JP2008234890A - 有機エレクトロルミネセンスパネル及び有機エレクトロルミネセンス表示装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネセンスパネル及び有機エレクトロルミネセンス表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】パネル内の温度を均一化することにより、表示領域全面で、焼き付き等の輝度ムラを視認することのない、均一な表示が可能な有機エレクトロルミネセンスパネル及び有機エレクトロルミネセンス表示装置を提供する。
【解決手段】有機発光材料を含んで構成された有機発光層を有する発光素子を複数の画素に備える有機エレクトロルミネセンスパネルであって、上記有機エレクトロルミネセンスパネルは、面方向ヘの熱伝導率が厚さ方向への熱伝導率より高い熱拡散層を備える有機エレクトロルミネセンスパネルである。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネセンスパネル及び有機エレクトロルミネセンス表示装置に関するものである。より詳しくは、発光素子を有する有機エレクトロルミネセンスパネル及び有機エレクトロルミネセンス表示装置に関するものである。
近年、高度情報化に伴い、フラットパネルディスプレイのニーズが高まっている。フラットパネルディスプレイとしては、非自発光型の液晶ディスプレイ(LCD)、自発光型のプラズマディスプレイ(PDP)、無機エレクトロルミネセンス(無機EL)ディスプレイ、有機エレクトロルミネセンス(以下「有機EL」又は「有機LED」ともいう。)ディスプレイ等が知られているが、これらのフラットパネルディスプレイの中でも、有機ELディスプレイの進歩は特に著しい。
有機ELディスプレイにおいては、単純マトリクス駆動により動画表示を行う技術が知られている(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照。)。しかしながら、単純マトリクス駆動では、線順次駆動を行うため、走査線数が数百本と多い場合には、必要とされる瞬間輝度が数十万〜数百万cd/mにも達する。そのため、駆動電圧が高くなり、配線での電圧降下が大きくなったり、発光効率が低い高輝度での駆動が強いられるために、消費電力が大きくなったりしていた。
そこで、薄膜トランジスタ(TFT)を用いて、有機EL素子のアクティブマトリクス駆動を行う有機ELディスプレイが開発された(例えば、特許文献2〜6参照。)。アクティブマトリクス駆動の有機ELディスプレイは、単純マトリクス駆動の有機ELディスプレイと比較して低電圧駆動が可能である。また、高い発光効率で駆動することが可能であるため、消費電力を大幅に低減することができる。
このようなアクティブマトリクス駆動型の有機ELディスプレイでは、4つ以上のTFTを用いて、TFTの閾値電圧(Vth)及び移動度のバラツキを補正した電流駆動アナログ階調方式により駆動が行われる。しかしながら、電流駆動アナログ階調方式を行う場合には、TFTの数が多いため歩留まりが低下するおそれがある。そこで、その解決策として、2つのTFTで、発光素子の電圧駆動デジタル階調方式を行う方法が提案されている(例えば、特許文献7参照。)。
しかしながら、電圧駆動デジタル階調方式を用いた有機ELディスプレイには、次のような点で改善の余地があった。有機ELディスプレイは、自発光型のディスプレイであるため、発光させることで温度上昇が生じる。有機EL素子の輝度−電圧特性は、温度に大きく依存するため、表示領域の一部の画素を発光させ、続いて、表示領域の一部の温度が上昇した状態で全面を発光させると、全面に一定の電圧を印加していても、先に発光させていた領域の輝度が高くなり、画面に輝度ムラが生じていた。
そこで、表示領域の温度上昇を防止するために、放熱層を備える方式が開示されている(例えば、特許文献8及び9参照。)。この方式によれば、表示領域の温度上昇は抑制されるため、有機EL素子を構成する材料の劣化や焼き付きを抑制することができる。しかしながら、表示領域全面の温度を充分に均一化することはできないため、輝度ムラが生じる点で未だ改善の余地があった。
特開平2−37385号公報 特開平7―122360号公報 特開平7―122361号公報 特開平7―153576号公報 特開平8―241047号公報 特開平8―227276号公報 特開平10−162959号公報 特開平10−275681号公報 特開2003−7450号公報 有機エレクトロニクス材料研究会編、「有機LED素子の残された重要課題と実用化戦略」、株式会社文伸ブックショップ、1999年7月1日、p.55
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、表示領域全面で均一な表示が可能な有機ELパネル及び有機EL表示装置を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、表示領域全面で均一な表示が可能な有機ELパネルについて種々検討したところ、発光素子の温度を表示領域全面で均一化するための層を設けることに着目した。そして、従来では、放熱層(熱伝導率が等方性の層)を設けることにより、表示領域全面の温度を下げることで温度の均一化を図っていたものの、これによっては、表示領域全面の温度を下げることを主命題としていたため、各発光素子の温度が下がる分温度差は小さくなるが、依然として、表示領域内の温度差は残るため、発光素子の温度を表示領域全面で均一化するには不充分であることを見いだした。そこで、面方向ヘの熱伝導率が厚さ方向への熱伝導率より高い熱拡散層を設けることにより、積極的に発光素子内の熱を他の画素に拡散することで、表示領域内の温度を均一化することができるため、表示領域全面で均一な表示を行うことが可能となることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は、有機発光材料を含んで構成された有機発光層を有する発光素子を複数の画素に備える有機ELパネルであって、上記有機ELパネルは、面方向ヘの熱伝導率が厚さ方向への熱伝導率より高い熱拡散層を備える有機ELパネルである。
本発明の有機ELパネルは、有機発光材料を含んで構成された有機発光層を有する発光素子を複数の画素に備えるものである。有機発光材料は、有機物を含んで構成される発光材料であれば、特に限定されず、金属を有する錯体等を含有していてもよい。また、有機発光層は、有機発光材料からなることが好ましい。発光素子は、通常は、陽極と陰極との間に少なくとも有機発光層が挟まれた構造を有する。そして、陰極から電子を注入し、有機発光層内で正孔と電子とを再結合させる。再結合で形成された励起子は、放射失活プロセス、又は、非放射失活プロセスを経て基底状態に戻る。その際、放射失活プロセスを経て基底状態に戻る場合に発光を生じる。なお、本明細書で「画素」とは、画像の最小表示単位(ピクセル)のことである。
しかしながら、上記発光素子は、放射失活プロセスを経るときに、発光するだけでなく発熱する。一般的に、発光素子の発光特性は温度依存性を有するため、表示領域内の温度が不均一になると輝度ムラが生じるおそれがある。そこで、上記有機ELパネルは、面方向ヘの熱伝導率が厚さ方向への熱伝導率より高い熱拡散層を備える。これによれば、発光素子内の熱を熱拡散層の面方向に効率的に拡散することができるため、発光素子内の熱を他の画素に拡散することにより、表示領域全面の温度を均一化することが可能となる。本発明の作用効果の観点から、熱拡散層は、面方向への熱伝導率が厚さ方向への熱伝導率より5W/Km以上高いことがより好ましく、50W/Km以上高いことが更に好ましい。本明細書で「熱伝導率」は、「熱伝導度」ともいい、熱伝導において、熱流束密度(単位時間に単位面積を通過する熱エネルギー)を温度勾配で割った物理量である。熱伝導率は、温度勾配により運ばれる熱エネルギー量を示す。なお、熱導電率は、レーザーフラッシュ法を用いて測定することができる。
上記熱拡散層は、発光素子の構成部材であってもよく、例えば発光素子を構成する陰極等が熱拡散層として機能してもよいが、熱拡散層は、発光素子の外側に配置されることが好ましい。発光素子の内部に配置する場合には、電荷輸送の機能を付加する必要があり、材料選択の範囲が限定されるおそれがある。また、発光素子内の熱を他の発光素子に効率的に拡散する観点からは、熱拡散層は、発光素子に接して配置されることが好ましい。光を効率良く外部に取り出す観点からは、発光素子の光取り出し面と逆方向の電極に接して配置されることがより好ましい。更に、発光素子内の熱を他の画素に効率的に拡散させるためには、熱拡散層は、面方向への熱伝導率が5W/Km以上であることが好ましく、50W/Km以上であることがより好ましい。そして、熱拡散層の膜厚は、50〜10000nmであることが好ましい。50nm未満であると、TFT、配線、コンデンサ又は電極等に起因する段差で膜が途切れ、熱を効果的に拡散することができなくなるおそれがあり、10000nmを超えると、膜の応力等による剥がれ等が発生するおそれがある。また、成膜(膜形成)に時間が掛かり生産性が悪くなるおそれがある。
本発明の有機ELパネルは、熱拡散層が発光素子の構成部材である場合には、発光素子を構成要素として有するものである限り、その他の構成要素を有しても有しなくてもよく、特に限定されるものではない。また、本発明の有機ELパネルは、熱拡散層が発光素子の構成部材でない場合には、熱拡散層及び発光素子を構成要素として有するものである限り、その他の構成要素を有しても有しなくてもよく、特に限定されるものではない。
以下、本発明の有機ELパネルの好ましい形態について説明する。
上記熱拡散層は、複数の画素にわたって配置されることが好ましい。複数の画素が共通の熱拡散層で接続されることにより、熱拡散層を介して、発光素子内の熱を効率的に他の画素に伝達することができるため、表示領域全面の温度をより均一化することができる。
上記熱拡散層は、熱伝導率に異方性を有する材料を含んで構成されることが好ましく、熱伝導率に異方性を有する材料から構成されることがより好ましい。
上記熱拡散層は、黒鉛、酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化ジルコニウムからなる群より選択された少なくとも一種の材料を含んで構成されることが好ましい。黒鉛、酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化ジルコニウムといった熱伝導性物質は、成膜したときに、膜の面方向への熱伝導率が膜厚方向への熱伝導率よりも高くなるため、熱拡散層を構成する材料として好適である。熱拡散層は、上記に示す材料のような熱伝導物質のみで構成されていてもよいし、熱伝導物質とバインダーとを含んで構成されていてもよい。
上記有機ELパネルは、放熱層を備え、発光素子、熱拡散層及び放熱層がこの順に積層されることが好ましい。熱拡散層により表示領域全面に拡散された熱を、放熱層によりパネル外部に放出することができるため、材料の結晶化、材料の分解、電極の剥離、電極の酸化等の発光素子の構成部材の劣化を軽減することができる。また、熱拡散層により表示領域全面に拡散された熱をパネル外部に放出することができるため、表示領域全面の温度をより均一化することができる。更に、熱を拡散した後に放出することで、熱を放出する断面積を大きくすることができるため、放熱層のみの場合より短時間で発光素子の冷却を行うことが可能となる。
本明細書で「放熱層」とは、熱拡散層により表示領域全面に拡散された熱を有機ELパネルの外部に放出するための、厚さ方向への熱伝導率が面方向への熱伝導率以上である層をいう。本発明の作用効果の観点から、放熱層の厚さ方向への熱伝導率は、5W/Km以上であることが好ましく、熱拡散層と放熱層とは、接していることが好ましい。
上記放熱層を構成する材料としては特に限定されず、窒化アルミニウム、ダイヤモンドライクカーボン、酸化マグネシウム及び炭化珪素等が挙げられる。
本発明はまた、上記有機ELパネルを備える有機EL表示装置でもある。本発明の有機EL表示装置によれば、本発明の有機ELパネルを構成部材として用いるので、輝度ムラが少なく、焼き付きの少ない、表示品位に優れた有機EL表示装置を実現することができる。
本発明の有機ELパネルによれば、発光素子内の熱を表示領域全面に拡散することができることから、焼き付きを防止することができ、表示均一性に優れた有機ELパネルを提供することができる。
以下に実施形態及び実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されるものではない。
<実施形態>
本実施形態に係る有機ELパネルを構成するアクティブマトリクス基板は、ガラス基板上に、複数の走査信号線、データ信号線、及び、走査信号線とデータ信号線との交差部にTFTが配置される。本実施形態に係る有機ELパネルでは、電圧駆動デジタル階調方式により駆動が行われ、画素毎にスイッチング用及び駆動用の2つのTFTが配置され、駆動用のTFTと有機EL素子の第一電極とが平坦化層に形成されるコンタクトホールを介して電気的に接続されている。また、一画素中には駆動用のTFTのゲート電位を定電位にするためのコンデンサが、駆動用のTFTのゲート部分に接続されるように配置されている。TFT上には、平坦化層が形成されて構成されている。アクティブマトリクス基板上には、第一電極、第一電極のエッジ部のリークを防止する絶縁性のエッジカバー、有機EL素子をウエットプロセスで作製する場合は、塗布される機能性材料溶液を保持するための絶縁性の隔壁層、少なくとも有機化合物を含んでなる有機発光層を有する有機EL層、及び、第二電極がこの順に積層された有機EL素子(発光素子)が複数の画素毎に配置されている。また、第二電極上には、有機発光層で生じた熱を表示領域面内に拡散する熱拡散層を有するものである。
以下、本発明に係る有機ELパネルの構成部材及びその形成方法について具体的に説明するが、本発明は後述する構成部材及び形成方法に限定されるものではない。
1.基板
本発明で用いられる基板としては、例えば、ガラス、石英等からなる無機材料基板、ポリエチレンテレフタレート、ポリカルバゾール、ポリイミド等からなるプラスチック基板、アルミナ等からなるセラミックス基板等の絶縁性基板、又は、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)等からなる金属基板に酸化シリコン(SiO)、有機絶縁材料等からなる絶縁物を表面にコーティングした基板、Al等からなる金属基板の表面を陽極酸化等の方法で絶縁化処理を施した基板等が挙げられるが、本発明はこれらの基板に限定されるものではない。また、ポリシリコンTFTを低温プロセスで形成する場合には、500℃以下の温度で融解せず、歪みも生じない基板を用いることが好ましい。更に、ポリシリコンTFTを高温プロセスで形成する場合には、1000℃以下の温度で融解せず、歪みも生じない基板を用いることが好ましい。更に、有機EL層からの発光を基板と逆側から取り出す場合には、基板としての制約はないが、有機EL層からの発光を基板側から取り出す場合には、用いる基板として有機EL層からの発光を外部に取り出す為に、透明又は半透明の基板を用いる必要がある。
2.TFT
TFTは、第一電極、有機EL層及び第二電極を形成する前に、予め基板上に形成され、スイッチング用及び駆動用として機能する。本発明で用いられるTFTとしては、公知のTFTが挙げられる。また、本発明では、TFTの代わりに金属−絶縁体−金属(MIM)ダイオードを用いることもできる。
TFTの活性層の材料としては、例えば、非晶質シリコン(アモルファスシリコン)、多結晶シリコン(ポリシリコン)、微結晶シリコン、セレン化カドミウム等の無機半導体材料、又は、ポリチオフェン誘導体、チオフエンオリゴマー、ポリ(p−フェリレンビニレン)誘導体、ナフタセン、ペンタセン等の有機半導体材料が挙げられる。また、TFTの構造としては、例えば、スタガ型、逆スタガ型、トップゲート型、コプレーナ型が挙げられる。
TFTを構成する活性層の形成方法としては、(1)プラズマ誘起化学気相成長(PECVD)法により成膜したアモルファスシリコンに不純物をイオンドーピングする方法、(2)シラン(SiH)ガスを用いた減圧化学気相成長(LPCVD)法によりアモルファスシリコンを形成し、固相成長法によりアモルファスシリコンを結晶化してポリシリコンを得た後、イオン打ち込み法によりイオンドーピングする方法、(3)Siガスを用いたLPCVD法又はSiHガスを用いたPECVD法によりアモルファスシリコンを形成し、エキシマレーザー等のレーザーによりアニールし、アモルファスシリコンを結晶化してポリシリコンを得た後、イオンドーピングを行う方法(低温プロセス)、(4)LPCVD法又はPECVD法によりポリシリコン層を形成し、1000℃以上で熱酸化することによりゲート絶縁膜を形成し、その上に、nポリシリコンのゲート電極を形成し、その後、イオンドーピングを行う方法(高温プロセス)、(5)有機半導体材料をインクジェット法等により形成する方法、(6)有機半導体材料の単結晶膜を得る方法等が挙げられる。
本発明で用いられるTFTのゲート絶縁膜は、公知の材料を用いて形成することができる。例えば、PECVD法、LPCVD法等により形成されたSiO又はポリシリコン膜を熱酸化して得られるSiO等が挙げられる。また、本発明で用いられるTFTの信号電極線、走査電極線、共通電極線、第1駆動電極及び第2駆動電極は、公知の材料を用いて形成することができ、例えば、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等が挙げられる。本発明に係る有機ELパネルのTFTは、上記のような構成で形成することができるが、これらの材料、構造及び形成方法に限定されるものではない。
3.層間絶縁膜
本発明で用いられる層間絶縁膜は、公知の材料を用いて形成することができ、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN、又は、Si)、酸化タンタル(TaO、又は、Ta)等の無機材料、又は、アクリル樹脂、レジスト材料等の有機材料等が挙げられる。また、その形成方法としては、化学気相成長(CVD)法、真空蒸着法等のドライプロセス、スピンコート法等のウエットプロセスが挙げられる。また、必要に応じてフォトリソグラフィ法等によりパターニングすることもできる。
有機EL層からの発光を基板の逆側(第二電極側)から取り出す場合には、外光が基板上に形成されたTFTに入射して、TFT特性に変化が生じることを防ぐ目的で、遮光性を兼ね備えた遮光性絶縁膜を用いることもできる。また、上記の絶縁膜と遮光性絶縁膜とを組み合わせて用いることもできる。遮光性層間絶縁膜としては、フタロシアニン、キナクロドン等の顔料又は染料をポリイミド等の高分子樹脂に分散したもの、カラーレジスト、ブラックマトリクス材料、NiZnFe等の無機絶縁材料等が挙げられる。しかしながら、本発明はこれらの材料及び形成方法に限定されるものではない。
4.平坦化膜
基板上にTFT等を形成した場合には、その表面に凸凹が形成され、この凸凹によって有機EL素子の欠陥(例えば、画素電極の欠損、有機EL層の欠損、対向電極の断線、画素電極と対向電極との短絡、耐圧の低下等)等が発生するおそれがある。これらの欠陥を防止するために、層間絶縁膜上に平坦化膜を設けてもよい。
本発明で用いられる平坦化膜は、公知の材料を用いて形成することができ、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化タンタル等の無機材料、ポリイミド、アクリル樹脂、レジスト材料等の有機材料等が挙げられる。平坦化膜の形成方法としては、CVD法、真空蒸着法等のドライプロセス、スピンコート法等のウエットプロセスが挙げられるが、本発明はこれらの材料及び形成方法に限定されるものではない。また、平坦化膜は、単層構造でも多層構造でもよい。
5.有機EL素子
本発明の有機EL素子は、基板上に、第一電極、少なくとも一層の有機発光層を有する有機EL層及び第二電極を順次形成することにより構成されている。
5−1.有機EL層
有機EL層は、単層構造でも多層構造でもよく、具体的には、下記の構成が挙げられるが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
(1)有機発光層
(2)正孔輸送層/有機発光層
(3)有機発光層/電子輸送層
(4)正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層
(5)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層
(6)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層
(7)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/ホールブロッキング層/電子輸送層
ここで、有機発光層、正孔注入層、正孔輸送層、ホールブロッキング層、電子輸送層及び電子注入層の各層は、単層構造でも多層構造でもよい。
有機発光層は、以下に例示する有機発光材料のみから構成されていてもよく、任意に正孔輸送材料、電子輸送材料、添加剤(ドナー、アクセプター等)、発光性のドーパント等を含んでいてもよく、また、これらの材料が高分子材料(結着用樹脂)又は無機材料中に分散された構成であってもよい。発光効率・寿命の観点からは、ホスト材料中に発光性のドーパントが分散されたものが好ましい。
有機発光材料としては、有機EL用の公知の有機発光材料を用いることができる。このような有機発光材料は、低分子発光材料、高分子発光材料及びその前駆体等に分類され、これらの具体的な化合物を以下に例示するが、本発明はこれらの材料に限定されるものではない。また、上記有機発光材料は、蛍光材料、燐光材料等に分類されるものでもよく、具体的な化合物を以下に例示するが、本発明はこれらの材料に限定されるものではない。
低分子発光材料としては、例えば、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)−ビフェニル(DPVBi)等の芳香族ジメチリデン化合物、5−メチル−2−[2−[4−(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾオキサゾール等のオキサジアゾール化合物、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−t−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)等のトリアゾール誘導体、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン等のスチリルベンゼン化合物、チオピラジンジオキシド誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、フルオレノン誘導体等の蛍光性有機材料、及び、アゾメチン亜鉛錯体、(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム錯体(Alq3)等の蛍光性有機金属化合物等が挙げられる。
高分子発光材料としては、例えば、ポリ(2−デシルオキシ−1,4−フェニレン)(DO−PPP)、ポリ[2,5−ビス−[2−(N,N,N−トリエチルアンモニウム)エトキシ]−1,4−フェニル−アルト−1,4−フェニルレン]ジブロマイド(PPP−NEt3+)、ポリ[2−(2’−エチルヘキシルオキシ)−5−メトキシ−1,4−フェニレンビニレン](MEH−PPV)、ポリ[5−メトキシ−(2−プロパノキシサルフォニド)−1,4−フェニレンビニレン](MPS−PPV)、ポリ[2,5−ビス−(ヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン−(1−シアノビニレン)](CN−PPV)等のポリフェニレンビニレン誘導体、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)(PDAF)等のポリスピロ誘導体が挙げられる。
また、高分子発光材料の前駆体としては、例えば、ポリ(p−フェニレンビニレン)前駆体(Pre−PPV)、ポリ(p−ナフタレンビニレン)前駆体(Pre−PNV)、ポリ(p−フェニレン)前駆体(Pre−PPP)等が挙げられる。
有機発光層に任意に含まれる発光性のドーパントとしては、有機EL用の公知のドーパント材料を用いることができる。このようなドーパント材料としては、例えば、スチリル誘導体、ペリレン、イリジウム錯体、クマリン誘導体、ルモーゲンFレッド、ジシアノメチレンピラン、フェノキザゾン、ポリフィリン誘導体等が挙げられる。
また、ホスト材料としては、有機EL用の公知のホスト材料を用いることができる。このようなホスト材料としては、上述した有機発光材料、カルバゾール誘導体等が挙げられる。
また、有機発光層一層中のドーパントを一つ発光させて単色(例えば、赤色、緑色、青色)を得ることもでき、有機発光層一層中の赤色、緑色、青色ドーパントを発光させて白色を得ることもでき、有機発光層一層中の黄色、青色ドーパントを発光させて白色を得ることもできる。また、複数の有機発光層を同時に発光させてもよい。例えば、黄色有機発光層と青色有機発光層の二層を組み合わせて白色を、青色有機発光層、緑色有機発光層、赤色有機発光層の三層を組み合わせて白色を得ることもできる。
電荷注入輸送層は、電荷の電極からの注入と電荷の電極から有機発光層への輸送とをより効率よく行う目的で、電荷注入層(正孔注入層、電子注入層)と電荷輸送層(正孔輸送層、電子輸送層)とに分類され、以下に例示する電荷注入輸送材料のみから構成されていてもよく、任意に添加剤(ドナー、アクセプター等)等を含んでいてもよく、これらの材料が高分子材料(結着用樹脂)又は無機材料中に分散された構成であってもよい。
電荷注入輸送材料としては、有機EL用、有機光導電体用の公知の電荷輸送材料を用いることができる。このような電荷注入輸送材料は、正孔注入輸送材料及び電子注入輸送材料に分類され、これらの具体的な化合物を以下に例示するが、本発明はこれらの材料に限定されるものではない。
正孔注入輸送材料としては、例えば、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)等の酸化物、無機p型半導体材料、ポルフィリン化合物、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPD)等の芳香族第三級アミン化合物、ヒドラゾン化合物、キナクリドン化合物、スチリルアミン化合物等の低分子材料、ポリアニリン(PANI)、ポリアニリン−樟脳スルホン酸(PANI−CSA)、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンサルフォネイト(PEDOT/PSS)、ポリ(トリフェニルアミン)誘導体(Poly−TPD)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)等の高分子材料、ポリ(p−フェニレンビニレン)前駆体(Pre−PPV)、ポリ(p−ナフタレンビニレン)前駆体(Pre−PNV)等の高分子材料の前駆体等が挙げられる。
正孔の注入・輸送をより効率よく行う点で、正孔注入層として用いる材料としては、正孔輸送層に使用する正孔注入輸送材料より最高被占分子軌道(HOMO)のエネルギー準位が低い材料を用いることが好ましく、正孔輸送層としては、正孔注入層に使用する正孔注入輸送材料より正孔の移動度が、高い材料を用いることが好ましい。
電子注入輸送材料としては、例えば、n型半導体である無機材料、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、チオピラジンジオキシド誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、フルオレノン誘導体等の低分子材料、ポリ(オキサジアゾール)(Poly−OXZ)、ポリスチレン誘導体(PSS)等の高分子材料が挙げられる。
電子注入材料としては、特にフッ化リチウム(LiF)、フッ化バリウム(BaF)等のフッ化物、リチウム(Li)等の酸化物等が挙げられるが、電子の注入・輸送をより効率よく行う点で、電子注入層として用いる材料としては、電子輸送層に使用する電子注入輸送材料より最低空分子軌道(LUMO)のエネルギー準位が高い材料を用いることが好ましく、電子輸送層として用いる材料としては、電子注入層に使用する電子注入輸送材料より電子の移動度が高い材料を用いることが好ましい。
有機発光層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層及び電子注入層等の有機EL層は、上記の材料を溶剤に溶解、分散させた有機EL層形成用塗液を用いて、スピンコーティング法、ディッピング法、ドクターブレード法、吐出コート法、スプレーコート法等の塗布法、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、マイクログラビアコート法等の印刷法等による公知のウエットプロセス、上記の材料を真空蒸着法、電子線(EB)蒸着法、分子線エピタキシー(MBE)法、スパッタリング法、有機気相蒸着(OVPD)法等の公知のドライプロセス、又は、レーザー転写法等により形成することができる。なお、ウエットプロセスにより有機EL層を形成する場合には、有機EL層形成用塗液は、レベリング剤等の塗液の物性を調整するための添加剤を含んでいてもよい。
上記の各有機EL層の膜厚は、通常1〜1000nm程度であるが、10〜200nmが好ましい。膜厚が10nm未満であると、ゴミ等の異物による画素欠陥が生じるおそれがある。また、膜厚が200nmを超えると有機EL層の抵抗成分により駆動電圧の上昇が生じるおそれがある。
5−2.第一電極及び第二電極
第一電極及び第二電極は、有機EL素子の陽極又は陰極として対で機能する。つまり、第一電極を陽極とした場合には、第二電極は陰極となり、第一電極を陰極とした場合には、第二電極は陽極となる。以下に、具体的な化合物及び形成方法を例示するが、本発明はこれらの材料及び形成方法に限定されるものではない。
第一電極及び第二電極を形成する電極材料としては公知の電極材料を用いることができる。陽極である場合には、有機EL層への正孔の注入をより効率よく行う観点から、仕事関数が4.5eV以上の金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)等の金属、及び、インジウム(In)と錫(Sn)からなる酸化物(ITO)、錫(Sn)の酸化物(SnO)インジウム(In)と亜鉛(Zn)からなる酸化物(IZO(登録商標))等が透明電極材料として挙げられる。また、陰極を形成する電極材料としては、有機EL層への電子の注入をより効率よく行う観点から、仕事関数が4.5eV以下のリチウム(Li)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)等の金属、又は、これらの金属を含有するMg:Ag合金、Li:Al合金等の合金が挙げられる。
第一電極は、上記の材料を用いてEB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法等の公知の方法により形成することができるが、本発明はこれらの形成方法に限定されるものではない。また、必要に応じて、フォトリソグラフィ法により、形成した電極をパターン化することもできる。その膜厚は、50nm以上が好ましい。膜厚が50nm未満の場合には、配線抵抗が高くなることから、駆動電圧の上昇が生じるおそれがある。
有機EL層からの発光を第一電極側から取り出す場合には、第一電極として透明電極を用いることが好ましい。この際に用いる透明電極材料としては、ITO、IZOが特に好ましい。透明電極の膜厚は、50〜500nmが好ましく、100〜300nmがより好ましい。膜厚が50nm未満の場合には、配線抵抗が高くなることから、駆動電圧の上昇が生じるおそれがある。また、膜厚が500nmを超える場合には、光の透過率が低下することから輝度が低下するおそれがある。
また、有機EL層からの発光を第一電極の逆側(第二電極側)から取り出す場合には、第一電極として光を透過しない電極を用いることが好ましい。この際に用いる電極材料としては、例えば、タンタル、炭素等の黒色電極、アルミニウム、銀、金、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−ネオジウム合金、アルミニウム−シリコン合金等の反射性金属電極、透明電極と前記反射性金属電極(反射電極)を組み合わせた電極等が挙げられる。画素電極による外光の反射によってコントラストが低下することを防止する目的とする場合には、画素電極として黒色電極を用いることが好ましい。
更に、有機EL素子の場合には、電極から有機EL層への電子の注入が正孔(ホール)の注入よりも困難であること、電子注入の電極がホール注入の電極よりも安定性が低いことから、電子注入の効率を高めて、高発光効率の有機EL素子を作製するためには、基板側から発光を取り出す場合にも、基板と逆側から発光を取り出す場合にも、第二電極を陰極とすることが好ましい。
この際に用いる透明電極材料としては、ITO、IZOが特に好ましく、室温形成時の抵抗の観点から、IZOが特に好ましい。透明電極の膜厚は、50〜500nmが好ましく、100〜300nmがより好ましい。膜厚が50nm未満の場合には、配線抵抗が高くなることから、駆動電圧の上昇が生じるおそれがある。また、膜厚が500nmを超える場合には、光の透過率が低下することから発光効率が低下するおそれがある。
5−3.保護層
本発明の有機EL素子は、有機EL層と第二電極との間に、抵抗加熱蒸着法により形成された1層以上の層からなる保護層を有することが好ましい。保護層は、第二電極として透明電極材料を形成する際のスパッタリングによるダメージによって生じるおそれがある、駆動電圧の上昇、発光効率の低下、低寿命化等の有機EL素子の特性劣化を防止する目的で設けられる。保護層は、スパッタリングに対して耐性を有する材料で構成される。保護層としては、Al、Ag等の金属薄膜、フタロシアニン等の有機膜が挙げられる。また、保護層は、抵抗加熱蒸着法で形成されることが好ましい。また、本発明はこれらの材料及び形成方法に限定されるものではない。
6.熱拡散層
本発明の熱拡散層は、画素内での温度差を均一にする目的で設けられるものであり、面方向の熱伝導率が、厚さ方向の熱伝導率より高い熱伝導材料からなる層である。ここで、熱拡散層の構成は、特に限定されるものではないが、例えば、熱伝導性物質のみからなる層や熱伝導性物質とバインダーとからなる層等が挙げられる。熱伝導性物質としては、黒鉛、酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化ジルコニウム等が挙げられる。また、バインダーとしては、テトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン水系ラテックス変性ニトリルゴム(NBR)等が挙げられるが、熱伝導性物質及びバインダーの材料は、これらの物質に限定されるものではない。
熱拡散層の形成方法としては、EB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法等が挙げられる。また、熱伝導性物質とバインダーとを事前に混合したものをシート状にし、それを接着剤等で貼り付けることで形成することもできるが、本発明はこれらの形成方法に限定されるものではない。
熱伝導率は、温度勾配により運ばれる熱エネルギー量を示し、熱拡散係数は温度勾配により運ばれる温度を示す。具体的には、レーザーフラッシュ法、熱線法平板熱流計法、温度傾斜法等で測定することができる。
7.偏光板
本発明の有機ELパネルには、偏光板を設けることが好ましい。偏光板としては、従来の直線偏光板とλ/4板とを組み合わせたものが好ましい。偏光板を設けることによって、有機ELパネルのコントラストを向上させることができる。
8.封止膜、封止基板
本発明の有機EL素子には、封止膜又は封止基板を設けることが好ましい。用いられる封止膜及び封止基板は、公知の封止材料及び封止方法により形成することができる。具体的には、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスをガラス、金属等で封止する方法が挙げられる。また、封入した不活性ガス中に酸化バリウム等の吸湿剤等を混入する方法も挙げられる。更に、第二電極上に樹脂をスピンコート法を用いて塗布する、又は、貼り合わせることによって封止膜とすることもできる。この封止膜により、外部からの素子内への酸素や水分の混入を防止することができ、有機EL素子の寿命が向上する。また、本発明は、これらの部材や形成方法に限定されるものではない。
9.放熱層
本発明の有機EL素子には、発光素子を形成する材料の劣化を抑制するために放熱層を設けることが好ましく、発光素子、熱拡散層及び放熱層がこの順に積層されていることがより好ましい。放熱層は、厚さ方向への熱伝導率が面方向への熱伝導率より高いことが好ましい。また、放熱層を形成する材料としては、窒化アルミニウム、ダイヤモンドライクカーボン、酸化マグネシウム及び炭化珪素等の材料を用いることができる。これらの放熱層は、EB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法又は抵抗加熱蒸着法等により形成することができる。また、熱伝導性物質とバインダーとを事前に混合したものをシート状にし、それを接着剤等で貼り付けることで形成することもできる。また、本発明はこれらの材料及び形成方法に限定されるものではない
<実施例1、2及び比較例1に係る有機ELパネル>
(実施例1)
図1は、実施例1に係る有機ELパネルの構成を示す断面図である。図1に示すアクティブマトリクス基板10は、ガラス基板上に半導体層が多結晶シリコンからなる複数のTFTが形成される。これらの複数のTFT上に、窒化シリコン及びアクリル樹脂膜が平坦化層として形成されている。
アクティブマトリクス基板10上には、平坦化層に設けたコンタクトホールを通して、TFTのドレイン電極と接続されるように、第一電極(陽極)11が形成されている。第一電極11は、ITOを用いて略150nmの膜厚で形成されている。
第一電極11のエッジ部を覆うように、SiO絶縁層15a及びアクリル系樹脂層15bの積層構造により、1つの画素領域17を区画する隔壁15が形成されている。隔壁15の内側に形成された第一電極11上には、ホール注入層12a及び有機発光層12bが順に積層された有機EL層12が形成されている。ここで、ホール注入層12aは、ポリエチレンヂオキシチオフェン(PEDOT)により、略60nmの膜厚で形成されている。また、有機発光層12bは、ポリフルオレン誘導体により、略80nmの膜厚で形成されている。有機EL層12の上には、全ての画素に共通の第二電極(陰極)13として、略1nmの膜厚のCaと略100nmの膜厚のAlとの積層膜が形成されている。
陰極13上には、熱拡散層14が表示領域全面に設けられている。熱拡散層14は、異方性黒鉛(熱伝導材料)をラテックスゴムに混ぜたものを成型した熱拡散シートであり、熱導電性接着剤を用いて第二電極13に貼り付けられている。本実施例では、熱拡散層14の厚さは、略2000nmで形成されているが、その限りではなく、50〜10000nmの厚さで形成されていればよい。本実施例における熱拡散層14は、厚さ方向の熱伝導率が略5.8W/Kmであり、面方向への熱伝導率は、略29.6W/Kmであり、面方向への熱伝導率が厚さ方向への熱伝導率の略5倍になっている。熱伝導率は、全自動レーザーフラッシュ法熱定数測定装置(商品名:TC−7000、アルバック理工社製)を用いて測定している。
また、熱拡散層14上には、基板1上に乾燥剤18を貼り付けたガラスである封止基板19が貼り付けられることによって有機EL素子は封止されている。本実施例で作製した構成の有機ELパネルは、表示領域に320×400個の画素を有している。
以下に、有機ELパネルの製造方法について説明する。
ガラス基板上に、PECVD法を用いて、アモルファスシリコン半導体膜を形成する。続いて、結晶化処理を施すことにより多結晶シリコン半導体膜を形成する。次に、フォトリソグラフィ法を用いて多結晶シリコン半導体膜を複数の島状にパターンニングする。続いて、パターニングした多結晶シリコン半導体層の上にゲート絶縁膜及びゲート電極層をこの順番で形成し、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングを行った。
その後、パターニングした多結晶シリコン半導体膜にリン等の不純物元素をドーピングすることによりソース及びドレイン領域を形成し、TFT素子を作製した。その後、平坦化膜を形成した。平坦化膜としては、PECVD法で形成した窒化シリコン膜、スピンコーターでアクリル系樹脂層をこの順で積層し形成する。まず、窒化シリコン膜を形成した後、窒化シリコン膜とゲート絶縁膜とを一括してエッチングすることによりソース及び/又はドレイン領域に通ずるコンタクトホールを形成し、続いて、ソース配線を形成した。その後、アクリル系樹脂層を形成し、ゲート絶縁膜及び窒化シリコン膜に穿孔したドレイン領域のコンタクトホールと同じ位置に、ドレイン領域に通ずるコンタクトホールを形成することにより、アクティブマトリクス基板10が完成する。平坦化膜としての機能は、アクリル系樹脂層で実現される。なお、TFTのゲート電位を定電位にするためのコンデンサは、スイッチング用TFTのドレインと駆動用TFTのソースとの間に層間絶縁膜等の絶縁膜を介することで形成される。
平坦化膜を形成したアクティブマトリクス基板10上に、平坦化膜に設けたコンタクトホールを通してTFTのドレイン電極と接続するように第一電極11を形成した。次に、第一電極11を形成した基板上に、機能膜を保持するための隔壁15を形成し、インクジェット法を用いて有機EL層を構成するホール注入層12a及び有機発光層12bを形成した。ホール注入層12aは、ポリエチレンヂオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルフォン酸(PSS)の混合水溶液を塗布し、150℃で20分間乾燥して形成した。有機発光層12bは、ポリフルオレン誘導体の溶液をインクジェット法で塗布し、乾燥することにより形成した。続いて、有機発光層12b上に第二電極13を形成した。
次に、第二電極13上に、熱拡散層14を、異方性黒鉛をラテックスゴムに混ぜたものを成型した熱拡散シートを、熱伝導性接着剤で貼り付けて形成した。続いて、熱拡散層14上に、封止基板19を用いて封止する。封止基板19には、乾燥剤18及び紫外線(UV)硬化樹脂が塗布されて形成されている。乾燥剤18は、基板1と熱拡散層14を設けたアクティブマトリクス基板10とを貼り合わせたときに、一つの画素に対向する基板1上の領域の中央に貼り付けられており、UV硬化樹脂は、その領域の四隅に形成されている。この封止基板19とアクティブマトリクス基板10とを貼り合せ、紫外光を照射することでUV硬化樹脂を硬化させて封止を行い、実施例1に係る有機ELパネルは完成する。その後、本実施例で作製した有機ELパネルに、外部駆動回路等を実装することにより、有機EL表示装置が完成する。
(実施例2)
図2は、実施例2に係る有機ELパネルの構成を示す断面図である。
実施例2においては、熱拡散層14上に放熱層16を形成すること以外は、実施例1と同様の構成及び形成方法であるため、重複部分は省略する。
図2に示すように、熱拡散層14上に、ダイヤモンドライクカーボンからなる放熱層16が略500nmの膜厚で形成されている。実施例2に係る有機ELパネルは、放熱層16以外の構成については実施例1と同様である。
次に、実施例2に係る有機ELパネルの製造方法について説明する。実施例1と同様にして、熱拡散層14を形成したアクティブマトリクス基板10上に、CVD法を用いて、ダイヤモンドライクカーボンを成膜する。ダイヤモンドライクカーボンにより形成した放熱層16の熱伝導率を、全自動レーザーフラッシュ法熱定数測定装置(商品名:TC−7000、アルバック理工社製)を用いて測定したところ、熱伝導率は、略250W/Kmであった。その後、放熱層16上を、封止基板19で封止することによって、実施例2に係る有機ELパネルは完成する。また、外部駆動回路等を実装することにより、有機EL表示装置が完成する。
(比較例1)
図3は、比較例1に係る有機ELパネルの構成を示す断面模式図である。比較例1においては、第二電極13上に熱拡散層14を形成していないこと以外は、実施例1と同様の構成及び形成方法であるため省略する。
<実施例1、2及び比較例1に係る有機ELパネルの焼き付き評価試験>
(評価方法)
以下のようにして焼き付き確認の試験を行った。
実施例1、2及び比較例1に係る有機ELパネルの走査信号線に電源を接続した。そして、有機ELパネルが図4のようなパターンを示すように、走査信号線に順次走査信号を印加した。ここで、図4は、焼き付き試験のための発光パターンを示す平面図であり、表示可能領域30は、有機ELパネルの表示領域全面を示しており、表示可能領域30中の発光領域20は、焼き付き確認のために、表示可能領域30全体を発光させる前に発光させておく領域のことである。このとき、発光領域20の有機EL素子には、5Vの一定電圧を印加し、発光領域の輝度は、200cd/mに調整している。この発光を30分間続けた後、パネル全面に5Vの電圧を印加し、全面を発光させ、目視確認及び写真撮影を行った。また、表示領域の温度を測定した。表示領域の温度測定は、赤外線サーモグラフィスーパーファインサーモ(商品名:TVS−8500、日本アビオニクス社製)を用いて行った。
(評価試験結果の比較)
まず、比較例1に係る有機ELパネルの結果を説明する。図5は、図4に示す発光領域20を30分間発光させた後、表示領域全面に一定の電圧を印加し、表示可能領域30の全面を発光させたときの写真である。目視で確認したところ、図5に示すように、発光領域20では、一定の電圧に対する輝度が高くなっており焼き付きが生じていた。このときの、表示領域の温度を測定したところ、最も温度の高い部分では60℃であり、最も温度の低い部分では25℃であり、温度差は35℃であった。また、このときの輝度は、最も温度の高い部分では、360cd/mであり、最も温度の低い部分では200cd/mであり、160cd/mの輝度差を生じていた。
次に、実施例1に係る有機ELパネルの結果を説明する。図6は、図4に示す発光領域20を30分間発光させた後、表示領域全面に一定の電圧を印加し、表示可能領域30の全面を発光させたときの写真である。目視で確認したところ、図6に示すように、図4の発光領域20に対応する表示領域と発光領域20以外の表示領域とで比較して、画面全面が略均一に光っており、焼き付きが解消されていた。このときの、表示領域の温度を測定したところ、最も温度の高い部分では40℃であり、最も温度の低い部分では28℃であり、温度差は12℃であった。また、このときの輝度は、最も温度の高い部分では210cd/mであり、最も温度の低い部分では200cd/mであり、10cd/mの輝度差であった。評価試験の結果のように、実施例1に従い作製した有機ELパネルでは、熱拡散層14を設けることにより、発光素子で生じた熱がパネル内に拡散し、焼き付きを防止することができることを確認した。
続いて、実施例2に係る有機ELパネルの結果を説明する。図7は、図4に示す発光領域20を30分間発光させた後、表示領域全面に一定の電圧を印加し、表示可能領域30の全面を発光させたときの表示領域全面の写真である。目視で確認したところ、図7に示すように、図4の発光領域20に対応する領域と図4に示す発光領域20以外の表示領域とで、画面全面が略均一に光っており、焼き付きが解消されていた。このときの表示領域の温度を測定したところ、最も温度の高い部分では30℃であり、最も温度の低い部分では略25℃であり、温度差は略5℃であった。また、このときの輝度は、最も温度の高い部分では205cd/mであり、最も温度の低い部分では200cd/mであり、5cd/mの輝度差であった。このように、実施例2の方法に従い作製した有機ELパネルは、熱拡散層14を設けることで熱を表示領域全面に拡散し、焼き付きを防止することができ、更に、放熱層16を設けることで表示領域全体の温度上昇を抑制することができた。そのため、発熱に起因する材料の結晶化、材料の分解、電極の剥離及び電極の酸化等の有機EL素子の特性劣化を防止することができ、特性劣化に起因する輝度ムラ、焼き付きも防止することができる。
実施例1、2及び比較例1において作製した有機ELパネルの評価試験結果からわかるように、熱拡散層を設けている有機ELパネルにおいては、表示領域内の温度が略均一になり、発光素子によって生じた熱に起因する輝度ムラを解消することができた。また、熱拡散層上に放熱層を設けることによって、表示領域内の熱を外部に放出することによって、パネルの温度を低くすることができるため、更に、表示領域の温度を低くすることができ、表示領域の温度をより均一にすることができた。また、実施例2の形態においては、
特に表示領域の温度上昇が低減されるため、熱に起因する有機EL素子の材料劣化も防止することができる。
実施例1に係る有機ELパネルの断面模式図である。 実施例2に係る有機ELパネルの断面模式図である。 比較例1に係る有機ELパネルの断面模式図である。 焼き付き試験のための発光パターンを示す平面図である。 比較例1に係る有機ELパネルにおいて、焼き付き評価試験を行ったときの表示領域全面を示す写真である。 実施例1に係る有機ELパネルにおいて、焼き付き評価試験を行ったときの表示領域全面を示す写真である。 実施例2に係る有機ELパネルにおいて、焼き付き評価試験を行ったときの表示領域全面を示す写真である。
符号の説明
1:基板
10:アクティブマトリクス基板
11:第一電極(陽極)
12:有機EL層
12a:ホール注入層
12b:有機発光層
13:第二電極(陰極)
14:熱拡散層
15:隔壁
15a:SiO絶縁層
15b:アクリル系樹脂層
16:放熱層
17:画素
18:乾燥剤
19:封止基板
20:発光領域
30:表示可能領域

Claims (6)

  1. 有機発光材料を含んで構成された有機発光層を有する発光素子を複数の画素に備える有機エレクトロルミネセンスパネルであって、
    該有機エレクトロルミネセンスパネルは、面方向ヘの熱伝導率が厚さ方向への熱伝導率より高い熱拡散層を備えることを特徴とする有機エレクトロルミネセンスパネル。
  2. 前記熱拡散層は、複数の画素にわたって配置されることを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネセンスパネル。
  3. 前記熱拡散層は、熱伝導率に異方性を有する材料を含んで構成されることを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネセンスパネル。
  4. 前記熱拡散層は、黒鉛、酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化ジルコニウムからなる群より選択された少なくとも一種の材料を含んで構成されることを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネセンスパネル。
  5. 前記有機エレクトロルミネンセンスパネルは、放熱層を備え、発光素子、熱拡散層及び放熱層がこの順に積層されることを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネセンスパネル。
  6. 請求項1記載の有機エレクトロルミネセンスパネルを備えることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス表示装置。
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