JP4955888B2 - ディスペンサーを備えて構成されるデバイス、及びそのデバイスを有するキット - Google Patents

ディスペンサーを備えて構成されるデバイス、及びそのデバイスを有するキット Download PDF

Info

Publication number
JP4955888B2
JP4955888B2 JP2001568394A JP2001568394A JP4955888B2 JP 4955888 B2 JP4955888 B2 JP 4955888B2 JP 2001568394 A JP2001568394 A JP 2001568394A JP 2001568394 A JP2001568394 A JP 2001568394A JP 4955888 B2 JP4955888 B2 JP 4955888B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solute
gradient
dispenser
radius
forming element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001568394A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004503264A5 (ja
JP2004503264A (ja
Inventor
ブラインズ マイケル
セラミ アンソニー
ワース ジーン−ポール
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Farrington Pharmaceuticals LLC
Original Assignee
Farrington Pharmaceuticals LLC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from US09/798,777 external-priority patent/US6569152B2/en
Application filed by Farrington Pharmaceuticals LLC filed Critical Farrington Pharmaceuticals LLC
Publication of JP2004503264A publication Critical patent/JP2004503264A/ja
Publication of JP2004503264A5 publication Critical patent/JP2004503264A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4955888B2 publication Critical patent/JP4955888B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/20Pills, tablets, discs, rods
    • A61K9/2072Pills, tablets, discs, rods characterised by shape, structure or size; Tablets with holes, special break lines or identification marks; Partially coated tablets; Disintegrating flat shaped forms
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P33/00Antiparasitic agents
    • A61P33/02Antiprotozoals, e.g. for leishmaniasis, trichomoniasis, toxoplasmosis
    • A61P33/06Antimalarials
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P7/00Drugs for disorders of the blood or the extracellular fluid
    • A61P7/06Antianaemics

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Tropical Medicine & Parasitology (AREA)
  • Diabetes (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Feeding And Watering For Cattle Raising And Animal Husbandry (AREA)

Description

【0001】
【発明の分野】
本発明は、1種以上の溶質を徐放させることが可能な送達システムに関する。特に、本発明は、持続的な送達を必要とする動物の身体または他の環境に物質を送達するための装置、およびこれらの物質を、持続する徐放様式で送達する方法に関する。
【0002】
【発明の背景】
薬物送達は、古典的には、消化管内で薬物が溶解するにつれて薬物を放出する、経口剤形によっていた。こうした送達システムは、一般に、活性な物質を急速に放出し、薬物の血中最高濃度に達した後、薬物が代謝され、排除されるにつれて濃度が急速に低下する。これらの最高濃度では、多くの薬物は極めて有毒である。さらに、体内の薬物濃度が急速に低下する場合、治療有効レベルに達している時間が短く、治療効果を得るためには、多回投与を必要とする。加えて、体内での物質の放出を調節できない場合、投与を必要としている身体の部位に、この物質を効果的に送達することはできない。
【0003】
他の溶質も、その徐放を可能にする装置から恩恵を受ける。たとえば、抗菌薬として、塩素をスイミングプールに加えたり、臭素を温水浴槽に加えたりするとき、現在のところ、これらの物質を、かなり定期的に水に加えることが必要である。さらに、濃度が調節されず、加えた時に高くなりすぎる場合、濃度が低値にて安定するまで、水は、水泳者(入浴者)にとって安全でも快適でもない。徐放性送達システムのその他の用途としては、たとえば、植物への、食物または殺虫剤の送達、家畜への、ワクチン、抗生物質、駆虫薬、成長促進剤または他の薬物の送達、トイレまたは浄化槽への、清浄剤または芳香剤の送達、コンパニオン動物への、抗生物質または他の薬物の送達、編織物加工における、染料、漂白剤または他の物質の送達、給水塔または池への、殺藻薬の送達、アクアリウムまたは池の中の魚への、食物の送達、および工業製造工程における、持続的送達を必要とする物質の送達などがある。
【0004】
溶質が、1つまたは複数の開口部を具備する不浸透性ハウジング内に含まれ、それから溶質が拡散によって出て行くものを含む、様々な徐放送達装置が記載されている。このような装置は、一定の(ゼロ次)速度で溶質を送達することを意図するが、その多くが、ゼロ次または線状送達から有意に逸脱する。加えて、このような装置は、送達できる総用量が限られ、同時に、送達キネティクスの調節を困難にするかまたは不可能にする固定されたパラメーターによって限定される。このような従来技術による装置の共通した特徴は、それらの放出キネティクスが、比較的一定した放出速度の期間に先行する溶質放出の初期バーストを特徴とし、また、多くの場合、比較的一定した放出速度は、大よそゼロ次に近づくにすぎないことを特徴とする。幾つかの理由から、このような初期バーストは、所望の有効量を超える量を一時的に送達し、従って、溶質を浪費し、さらに、有毒であるか、さもなければ、ある特定の用途で有害な量の溶質を送達する可能性があるため、望ましくない。加えて、最初に大量の溶質が放出されると、その後、装置が長期放出に使用できる溶質の総量が減少し、従って、比較的持続的な送達の持続期間が短縮し、その有効寿命が減少し、頻繁に補充することが必要である。
【0005】
本発明の装置および方法は、水性環境および非水性環境で、確実で且つ調節可能な溶質の徐放を実現することにより、現在の溶質送達のための装置および方法の不都合な点を克服する。本発明の装置および方法は、適当な長時間が終わるまで、調節可能な、ほぼ一定の放出速度を示すほかにも、前述の初期バーストの調節または抑制を実現する。本発明の装置および方法は、開窓またはオリフィスおよび流体不浸透性コーティングおよび溶質不浸透性コーティングを頼みにして、長期且つほぼゼロ次の放出を実現する、従来技術による装置のいずれにも適用することが可能である。
【0006】
本明細書に記載の参考文献の議論または引用文は、このような参考文献が、本発明に先行する技術であることを認めることと考えてはならない。
【0007】
【発明の概要】
第1の実施形態では、本発明は、1種以上の溶質の、連続的線状徐放用装置に関する。本装置は、少なくとも1つのディスペンサーを備え、各ディスペンサーは、少なくとも1種の溶質貯蔵器エレメントであって、流体不浸透性且つ溶質不浸透性の壁で画定され、ソースエレメントと呼ばれる少なくとも1つのオリフィスを中に有する溶質貯蔵器エレメントを含み、各ソースエレメントは、勾配形成エレメントと流体整合しており、勾配形成エレメントは、放出オリフィスを有する。勾配形成エレメントは、好ましくない初期バーストおよび溶質の放出を防止し、同時に、制御された長期ほぼゼロ次放出を促進するために設けられる。
【0008】
溶質貯蔵器エレメントは、半球体、球体、角錐、円柱、四面体、平行六面体、または多面体等の形状を有してもよいが、その限りではない。半球体または角錐の形をした溶質貯蔵器エレメントが好ましい。半球体の溶質貯蔵器エレメントが最も好ましい。溶質貯蔵器エレメントの最大内部拡散表面を表す半球体またはその一部の半径と、ソースエレメントの半径との比率は、好ましくは約2以上であり、さらに好ましくは、この比率は約5以上である。この比率は約10以上であることが最も好ましい。
【0009】
ソースエレメントは、溶質貯蔵器エレメントと勾配形成エレメントとの間の開口部または通路である。ソースエレメントは、円形の横断面を有することが好ましいが、その限りではなく、任意の形状であってもよい。
【0010】
勾配形成エレメントは、半球体、球体、角錐、円柱、四面体、平行六面体、または多面体等の形状を有してもよいが、その限りではない。勾配変更エレメントは、角錐であることが好ましく、最も好ましい角錐は、切頭直円錐(円錐台)である。さらに好ましいのは、約10°〜約135°の間の頂角を有する直円錐であり、なおいっそう好ましいのは、約60°〜約120°の頂角である。ソースエレメントから放出オリフィスまで伸びる勾配形成エレメントの寸法(本明細書では、勾配形成エレメントの高さと呼ぶ)と、放出オリフィスの半径およびソースエレメントの半径との間の関係は、勾配形成エレメントの高さが、ソースエレメントの半径の二乗と、放出オリフィスの半径との比率の約4倍未満であることが好ましい。勾配形成エレメントの高さは、前述の比率の約2倍未満であることがさらに好ましく、勾配形成エレメントの高さは、前述の比率の2倍未満であるが、前述の比率の10分の1より大きいことが最も好ましい。
【0011】
本発明の別の好ましい実施形態では、前述の装置は、円柱の一端がソースエレメントと流体整合しており、他端が放出オリフィスを提供する、円柱状の勾配形成エレメントを有する。溶質貯蔵器エレメントを含む半球体の半径と、ソースエレメントの半径との比率は、好ましくは、約2以上であり、さらに好ましくは5以上であり、最も好ましくは、10以上である。円柱の高さは、好ましくは、その半径の約4倍未満であり、さらに好ましくは、その半径の約2倍未満であり、最も好ましくは、その半径の0.1〜2倍である。このような装置は治療薬の経口送達に特に有用であるが、その限りではない。
【0012】
別の実施形態では、本発明の装置は、切頭球錐または切頭直円錐の形状の溶質貯蔵器エレメントを具備してもよい。勾配形成エレメントは、上述のものの中の形状を有してもよいが、円柱状の形状が好ましい。円錐内に含まれ、且つ最大内部拡散表面を表す半球体またはその一部の半径は、ソースエレメントの半径の2倍より大きいことが好ましく、ソースエレメントの半径の5〜10倍の半径を有する半球体がさらに好ましく、ソースエレメントの半径の10倍より大きい半径を有する半球体が最も好ましい。開口部から伸びる勾配形成エレメントのの長さは、その半径の4倍未満であることが好ましく、さらに好ましくは、その半径の2倍未満であり、最も好ましくは、その半径の0.1〜2倍である。勾配形成エレメントは、勾配形成エレメントの基部が、円錐形の溶質貯蔵器エレメントの開口部と流体整合している切頭直円錐の形状を有してもよく、従って、ディスペンサーは、小さい円錐が、大きい円錐の頂上からのびるという外観を有する。
【0013】
本発明のさらに別の実施形態において、前述の特徴を備えているが、同じまたは類似した特性を有するディスペンサーの改変が本明細書に含まれている。たとえば、非経口的使用に特に適したディスペンサー、たとえば皮下用は、円柱状の形をした溶質貯蔵器エレメントの形をとる。円柱の長軸方向の扇状体が欠けており、円柱の壁は、流体不浸透性且つ溶質不浸透性である。円柱における、長軸方向の扇状体の形をしたキャビティが、前述の勾配形成エレメントを形成し、円柱の全体的な形状の外側にあるその界面が、放出オリフィスを形成する。溶質を、溶質貯蔵器エレメントから勾配形成エレメントに提供するソースエレメントは、扇状体を形成する2つの平面の少なくとも一方または両方にある一連の開口部の形で提供される。円柱の長軸に平行な、一連の開口部の列が提供され、その列は、扇状体の内部に向かって(すなわち、中心向かって)間隔が近くなり、円柱の外面に近づくにつれて間隔が遠くなる。
【0014】
ディスペンサーの外側と接した深い湾入、陥入またはキャビティが設けられ、湾入が勾配形成エレメントを形成する、様々な形状の溶質貯蔵器エレメントを提供することによって、類似した構成を提供することも可能である。この溶質貯蔵器エレメントおよび湾入は、流体不浸透性且つ溶質不浸透性である。先の実施形態の場合と同様、溶質貯蔵器エレメントと勾配形成エレメントとの間の一連の開口部が、必要なソースエレメントを提供する。一連の開口部の列が提供される場合、それらは、勾配形成エレメントとディスペンサーの外側との間の界面遠位で間隔が近く、外側に向かって間隔が遠くなる。本発明の溶質貯蔵器エレメントは、多キャビティ型勾配形成エレメント、両者ともキャビティ型勾配形成エレメントの組み合わせ、上述の外部勾配形成エレメント型、たとえば、溶質貯蔵器エレメントからの円錐または円柱状の伸長を具備してもよい。従って、本発明は、内部勾配形成エレメントおよび外部勾配形成エレメントの両者、またはそれらの組み合わせを、1つのディスペンサーまたは装置の中に含む。このような装置は、ゼロ次またはほぼゼロ次型キネティクスを有し、且つ初期バーストを欠く、本明細書に記載の、所望の放出特性を実現する。他のディスペンサーに関して記した通り、数ある因子の中でも特に、位置、持続期間、流動、耐久性、生分解性を含む、個々の用途装置のニーズに合わうように、内部勾配形成エレメントを有する装置の幾何学および寸法を、容易に調整することができる。
【0015】
本発明の装置の一般的特徴または態様に関する本明細書の論議は、前述の実施形態のいずれかまたは全てに当てはまる。
【0016】
1つの態様では、本発明の装置溶質貯蔵器エレメントは空である。別の実施形態では、溶質貯蔵器エレメントは、多孔性基体を含む。また別の実施形態では、溶質貯蔵器エレメントは、多孔性基体を含むまたは含まない、1種以上の溶質を含む。放出オリフィスは、予め選択された条件、たとえば、予め選択されたpHで、可溶性である材料で被覆されていてもよい。
【0017】
本発明の装置内に含まれる1種以上の溶質は、非限定的な例として、治療薬であってもよい。このような治療薬の例として、カルシウム塩、上皮小体ホルモン、降圧薬、利尿薬、交換神経遮断薬、血管拡張薬、カルシウムチャネルブロッカー、鎮痛薬、オピオイド類、非ステロイド系抗炎症薬、抗ヒスタミン薬、抗鬱薬、催眠薬、鎮静薬、抗癲癇薬、抗不整脈薬、駆虫薬、抗菌薬、クロロキン、抗パーキンソン病薬、抗悪性腫瘍薬、避妊薬、血糖降下薬、電解質、ビタミン類、ミネラル類、栄養補助食品、局所麻酔薬、診断用薬、ペプチド成長因子、ホルモン類、サイトカイン類、刺激薬、アンフェタミン、メチルフェニデート、抗不安薬、ベンゾジアゼピン類、造血薬、エリトロポエチン、幹細胞因子、インターロイキン類、およびそれらの混合物が挙げられる。好ましい実施形態では、この1種以上の溶質は、エリトロポエチンまたはクロロキンである。
【0018】
この1種以上の溶質は、溶媒または薬学的に許容できる媒体に溶解していてもよく、または、乾燥状態で、装置内に存在してもよい。1つの実施形態では、この1種以上の溶質は水溶性ではない。本発明の装置は、溶質改質剤も含んでもよい。
【0019】
別の広い態様において、本発明は、上述の少なくとも1つの装置を、所望の送達部位に投与することにより、1種以上の溶質を、線状の、徐放様式で、送達する方法に関する。このような送達は、経口、舌下、直腸、膣、皮下、筋内、眼球、、局所、鼻、耳介、静脈内に、またはある特定の解剖学的な位置に直接であってもよい。
【0020】
さらなる広い態様において、本発明は、上述の少なくとも1つの装置を含むキットに関する。
【0021】
所望の放出特性を実現する本発明のディスペンサーのデザインの変形例は、本明細書に完全に含まれる。たとえば、ディスペンサーは、ソースエレメント1つ、勾配形成エレメント1つ、および放出オリフィス1つを含んでもよい。別の変形例は、複数の放出オリフィスを含む。別の実施形態では、ディスペンサーは、それぞれ独自の勾配形成エレメントを有する複数のソースエレメントを具備してもよい。また別の実施形態では、勾配形成エレメントは、幾つかのソースエレメントと関連していてもよく、さらなる実施形態では、溶質貯蔵器は、それぞれ、多数のソースエレメントを有する、複数のこのような勾配形成エレメントを含んでもよい。さらに、ディスペンサーは、多数の勾配形成エレメントを含んでもよく、それぞれが、予め選択されるが、ディスペンサー全体に帰すべき異なる放出キネティクスを実現する。
【0022】
ディスペンサーは、円錐、円柱、球体、楕円、半球体、カプセル、ロッド、針、およびシートからなる群から選択される形状を有してもよい。ディスペンサーまたはその放出オリフィスは、ハウジングが、ある特定の位置に、予め決定された時間、存在するまで、またはその材料を除去して、放出を開始させる特定の条件に付されるまで、溶質が放出するのを防止するために、除去可能な材料で覆われるか、または、塗布されていてもよい。
【0023】
本発明の装置は、前述のディスペンサーの1つ以上を保持するように改造することができる。非限定的な例として、溶質が、本装置の中に含まれる少なくとも1つのディスペンサーから出てきた後、環境に出て行くことが可能なように、本装置は、1つずつ、または多種多様に、開窓されていてもよく、あるいは、本装置は、ある時間の後、またはある条件で、開くかまたは分解して、個々のディスペンサーを放出するように、デザインされていてもよい。さらなる例では、本装置は、中に含まれるディスペンサーにおける放出オリフィスと流体整合している少なくとも1つの外部開口部が取り付けられていてもよい。複数のこのような外部開口部を有する装置の場合、各オリフィスは、ディスペンサーの放出オリフィスと関連しており、各外部開口部は、別の外部開口部から、少なくとも3放出オリフィス半径離れており、好ましくは、10半径離れている。
【0024】
溶質貯蔵器エレメントは、本装置のソースエレメントを供給するのに十分な量の、1種以上の溶質で満ちていてもよく、勾配形成エレメントは、任意に、1種以上の溶質で満ちていてもよい。
【0025】
第2の広い態様では、本発明は、少なくとも1種の溶質を含むか、または少なくとも1種の溶質で満たすことができる、上文に記載の少なくとも1つのディスペンサーを含む装置内の上記溶質を、送達部位に投与することを含む、1種以上の溶質を、線状の徐放様式で送達するための方法に関する。本装置を使用して、1種以上の溶質を動物の体内に、たとえば、経口、舌下、直腸、膣、皮下、筋内、眼球、鼻、耳介、静脈内、皮膚の表面上に、またはある特定の解剖学的な位置に直接、送達することができる。
【0026】
第3の態様では、本発明は、溶質の連続的な線状徐放用の装置であって、上文に記載の少なくとも1つのディスペンサーを含む装置を含むキットに関する。
【0027】
本発明の、これらの態様および 他の 態様は、以下の図面および 詳細な説明を参照することによって、もっとよく理解されるであろう。
【0028】
(発明の詳細な説明)
本発明は、一般に、初期バーストなしに、管理された、予め決定された速度で、長時間にわたって、ゼロ次キネティクスまたはほぼゼロ次キネティクスで、1種以上の溶質を送達することができる様々な装置に関する。こうした望ましい特徴を備えた装置のパラメーターは、本明細書に記載の教示によって決定することが可能である。溶質(非限定的な例として、薬理学的に活性な作用物質)を、初期バーストなしに、管理された放出速度で、長期間、動物の循環内への送達を管理することができることにより、過剰の溶質を浪費せずに、長時間にわたって、安全、有効、便利、且つ経済的に予防または治療するための、治療有効レベルを維持するという利点を提供する。初期の高レベルの放出を許容できない、狭い治療係数を有する医薬品は、本装置が既知のものに勝る利点の1例である。医薬品のほかにも、本発明の装置、方法およびキットは、溶質の、本装置から外部環境への、予め決定された管理された送達に使用することが可能である。本装置のパラメーターは融通性があるため、長期放出、および初期バーストのないことが要求される特記仕様書に合った、前述の特徴を備えた装置をデザインすることができる。
【0029】
本明細書に記載の発明は、大まかに、管理された放出送達装置、および本装置および方法を使用して、1種以上の溶質を送達する方法に関し、他の方法では、溶質は、流体不浸透性且つ溶質不浸透性の容器の1つまたは複数の開口部から拡散によって本装置から出て行く。以下の記述から分かるように、本発明のディスペンサーを含む様々なエレメントは、持続期間および溶質流動等の、個々の望ましい放出パラメーターを提供するように、容易に調整することができる。
【0030】
本発明のディスペンサーは、その送達特性に寄与する少なくとも4つのエレメントを有する。個々の各エレメントについては、以下で詳述し、ここでは、これまで、これらのエレメントの組合せなしに達成できなかった、ディスペンサーの送達特徴を与えるエレメント間の相互作用に関して論ずる。
【0031】
溶質貯蔵器エレメントは、本ディスペンサーで送達されることを望んでいる溶質の全部または大半を収容できるように設けられる。溶質貯蔵器エレメントと、勾配形成エレメントと呼ばれるチャンバとの間に、ソースエレメントと呼ばれる少なくとも1つの開口部が設けられる。この勾配形成エレメントは、少なくとも1つの放出オリフィスを有する。勾配形成エレメントは、ソースエレメントから放出オリフィスに向かって伸びる溶質勾配を作るための手段を提供する。この勾配は、本装置の望ましい溶質放出特性が達成されるように設けられる。勾配形成エレメントは、最高レベルから無ボーラス放出までの範囲の、初期ボーラス放出を提供するように、溶質で満たされていてもよく、満たされていなくてもよい。
【0032】
本発明のディスペンサーの溶質貯蔵器エレメントは、半球体、球体、角錐、円柱、四面体、平行六面体、または多面体等の、任意の三次元形状であってもよいが、その限りではない。半球体または角錐が好ましい。半球体形の溶質貯蔵器エレメント、または半球体を効率よく含む、すなわち、溶質貯蔵器エレメントの全形内に半球体形が存在する形状が最も好ましい。以下に記載する通り、溶質貯蔵器エレメントの寸法は、ソースエレメントの位置を直径の中央に合わせて溶質貯蔵器エレメント内にぴったり入る最大の半球体の直径によって記述することができる。
【0033】
溶質貯蔵器エレメントが、半球体であるか、または、半球体を含む形状である場合、ソースエレメントは、半球体の平面の中央か、または、それに相当するものに設けられることが好ましい。たとえば、面の1つの中央に開口部(ソースエレメント)を有する立方体形の溶質貯蔵器エレメントは、側面の長さの半分に等しい半径を有する半球体を含む。
【0034】
以下で明白な通り、本発明のディスペンサーが是認する好ましい形状は、本質的に、半球体または半球体の一部を、それらの中心部に有する。外に出た溶質の拡大するキャビティが、半球体の形状を画定する放出の期間中ずっと、ゼロ次放出またはほぼゼロ次放出が起こる。その後の放出は、指数関数的減衰による他の装置と違って、線状である。従って、半球体を効率よく含む溶質貯蔵器エレメントの形状は、装置の可使時間の終わりに、所望のキネティクスによって放出されない可能性がある、浪費される溶質の最小量を与える。しかし、本明細書に記載の理由で、装置の形状または浪費が他の理由によって決定されることもあり、あるいは、ある特定の用途または装置の位置では、所望の放出プロフィールの欠如が重要ではないこともある。従って、効率のよい溶質貯蔵器エレメントの半球体形が好ましいが、必須ではない。
【0035】
本発明の装置の放出特性は、ある一定の好ましい特性および最も好ましい特性を有する装置に対して提供されるが、本発明は、その限りではなく、また、当業者は、所望の持続期間および放出キネティクスを提供するのに適当な寸法および溶質容量を有する装置を容易にデザインすることができる。好ましい実施形態では、溶質貯蔵器エレメントは、半球体であるか、または半球体を含み、ソースエレメントは、半球体の平面上に中心を置く円形の開口部であり、このソースエレメントは、ある一定の半径を有する。勾配形成エレメントは、円錐台とも呼ばれる切頭直円錐であり、その基部(大きい方の端)は、ソースエレメントと流体整合しており、円錐台の基部と、ソースエレメントを形成する開口部とは、全く同一であり、従って、同じ半径を有する。円錐の切頭端(円錐台の頂上)は、放出オリフィスを形成する。この実施形態の例では、溶質貯蔵器エレメントの最大内部拡散表面を表す、半球体、またはその一部の半径と、ソースエレメントの半径との比率は、好ましくは約2以上であり、さらに好ましくは、この比率は、約5以上である。最も好ましくは、この比率は、約10以上である。上記の通り、勾配変更エレメントは、好ましくは角錐であり、最も好ましくは、角錐は、切頭直円錐である。約10°〜約135°の間の頂角を有する直円錐がさらに好ましく、約60°〜約120°の頂角がなおいっそう好ましい。この実施形態では好ましくは、ソースエレメントから放出オリフィスまで伸びる勾配形成エレメントの長さ寸法(本明細書では、勾配形成エレメントの高さと呼ぶ)と、放出オリフィスの半径およびソースエレメントの半径との間の関係は、勾配形成エレメントの高さが、ソースエレメントの半径の二乗と、放出オリフィスの半径との比率の約4倍未満であることが好ましく、さらに好ましくは、この比率の約2倍未満であり、最も好ましくは、この比率の約2倍〜約0.1倍である。図1に標示した寸法に基づいて、前述の関係を、以下の通りに数学的に表すことができる。溶質貯蔵器エレメント内の半球体の半径、Rsrと、ソースエレメントの半径、Rseとの間の関係に関して、好ましくは、Rsr/Rse≧2であり、さらに好ましくは、Rsr/Rse≧5であり、最も好ましくは、Rsr/Rse≧10である。勾配形成エレメントの高さ、Bと、ソースエレメントの半径Rseおよび放出オリフィスRroの半径との間の関係に関して、好ましくは、B≦4Rse /Rroであり、さらに好ましくは、B≦2Rse /Rroであり、最も好ましくは、Rse /10Rro≦B≦2Rse /Rroである。Bは、前述の、0.1より小さくてもよい。
【0036】
本装置、すなわち、本明細書で言及するディスペンサーの溶質貯蔵器エレメントならびに他の成分の三次元形状は、以下の通りに説明することが可能である。用語「角錐」は、一般に、一面が多角形であり(基部)、且つ他面の全てが、頂上(頂点)で合流する三角形または多角形である多面体を指す。角錐の横断面は、基部から頂上まで減少し、また、同じ横断面の形状を維持しながら減少してもよく、あるいは、螺旋円錐の場合のように、基部から先端まで、形状または方向が変化してもよい。様々なタイプのピラミッドの中には、辺の数によって、円錐、三角錐、四角錐、五角錐等々が含まれる。円錐は、基部および横断面が円形である、特殊なタイプの角錐である。切頭角錐は、結果として、円錐台と呼ばれる形状になる。直円錐は平らな基部を有し、球錐は回転楕円体の基部を有する。例として、約30°の頂角を有する直円錐は、空のアイスクリームコーンの形状を有し、その頂上は「先端」であり、その基部はアイスクリーム受け入れ部分である。本明細書で言及する球錐は、球体の中心から表面まで伸びる、球体から誘導される特殊な三次元円錐様幾何学的形状と記述することができる。球錐は、円錐の周縁上にドーム形の出っ張りを提供するのにようやく十分なアイスクリームが詰まったアイスクリームコーンの形状を有し、ドーム上の全ての点が、円錐の先端から等距離である。本明細書では、一般に、直円錐と球錐の両者を、集合的に円錐と呼ぶことがある。開口部を設けるために、円錐は切頭形であってもよい、すなわち、円錐の頂上(「先端」)が、円錐の縦軸に対して直角に切り取られていることが好ましいが、必ずしもそうであるとは限らない。結果として得られる形状は、円錐台形と呼ばれる。以下に示す通り、本発明の目的のために、直円錐および球錐は、0°より大きく且つ180°未満の頂角(すなわち、円錐の「先端」を形成する角)を有してもよい。頂角が小さい勾配形成エレメントの形状は、針に似ており、頂角が大きいものは、半球体の形状に近いかもしれない。本明細書でθ(ギリシャ文字シータ)が表す値は、図1に示す通り、頂角の半分である。
【0037】
本発明の別の好ましい実施形態では、円柱状の勾配形成エレメントを有すること以外は、上述の例と類似した装置が提供される。この場合、ソースエレメントの半径と放出オリフィスの半径は同じである。最大内部拡散表面を表す半球体またはその一部の半径は、勾配形成エレメントの半径(ソースエレメントまたは放出オリフィスの半径)の2倍より大きいことが好ましく、円柱の半径の約5倍より大きい半径を有する半球体がさらに好ましく、円柱の半径の約10倍より大きい半径を有する半球体が最も好ましい。加えて、ソースエレメントから開口部まで伸びる円柱(勾配形成エレメント)の高さは、好ましくは、円柱の半径の4倍未満であり、さらに好ましくは、この半径の2倍未満であり、最も好ましくは、この半径の0.1〜2倍である。
【0038】
本発明の別の態様では、装置は、複数のソースエレメントおよび関連した勾配形成エレメントを有し、各勾配形成エレメントがオリフィスを有する、1種の溶質貯蔵器エレメントを含んでもよい。各ソースエレメントおよび関連した勾配形成エレメントは、各ソースエレメントの辺りに出て来る溶質が、絶えず拡大する半球体のキャビティを徐々に形成し、拡大する各キャビティは、長期ゼロ次放出後、いつか、1つ以上が接触して融合するまで他から離れているように、他から最大限に離れて位置する。たとえば、1回量の固体 溶質を含み、溶質が装置から放出される1つ以上の放出 オリフィスのそれぞれが、勾配形成エレメントおよびその1回量の溶質から伸びるソースエレメントと関連している、カプセル形の装置を作製することができる。さらなる実施形態では、放出オリフィスは、小腸で溶解するが胃で溶解しない材料で覆われているか、塞がれていてもよい。嚥下したとき、カプセルは無傷で胃を通過し、小腸に曝露されたとき、コーティングが溶解し、初期バーストなしに、且つほぼゼロ次キネティクスで、溶質の放出が開始する。カプセルが消化管を持続的に通過する結果、長時間にわたって、多数の開口部から所望の溶質送達が得られる。
【0039】
用語「装置」および「ディスペンサー」は、互いに交換して使用してもよいが、本発明の装置は、1つまたは複数の類似したまたは異なるディスペンサーを含んでもよいと理解される。
【0040】
用語「賦形剤」または「溶質-改質剤」は、本明細書では、溶質(たとえば、治療薬、芳香剤、殺藻薬等々)ではなく、且つ溶質または本装置の作用の特性を変えるのに役立つ、本装置の溶質貯蔵器エレメントおよび/または勾配変更エレメント内に含まれる物質と定義される。例としては、溶質の生物学的活性を変えて、たとえば、装置内に存在する間に溶質の生物学的活性を失活させる、装置内での溶質の沈澱を助ける;安定性を維持するためにpHを変える;溶解を促進する;装置内での溶質の免疫認識を低減または防止する;免疫細胞または他の細胞が、オリフィスに入るのを諌止する;または溶質の粘度を調節する、化合物などがある。このような化合物の例は、後述する。賦形剤は、また、ディスペンサー内の、たとえば、振動や流出等から安定させるために、溶質が取り付けられた多孔性マトリックス、スポンジ、または他の材料にまで広がる。
【0041】
本発明の装置は、上述のディスペンサーの少なくとも1つを含む。本発明の装置は、以下にさらに詳細に論ずる通り、取扱い、取り付け、送達、固定、嚥下、挿入、除去、およびその他の、個々の所期の目的のために1つまたは複数のディスペンサーを使用する際に、感覚的および/または実用的な考慮すべき事項を向上させる形状で、完成品として作ることが可能である。1つより多いディスペンサーをハウジング内に含んでもよく、複数の類似したまたは異なるディスペンサー、たとえば、異なる溶質または放出特性を有する、異なる形状のディスペンサーを1つのハウジング内に配置してもよい。
【0042】
本発明の装置において、溶質の流動を決定するパーツとしては、(1)1種以上の溶質が存在する、成形されたキャビティまたはハウジング(すなわち、溶質貯蔵器エレメント)、(2)キャビティを取り囲む、少なくとも1つの開口部(ソースエレメント)を有する、有窓の流体不浸透性且つ溶質不浸透性の壁、(3)ソースエレメントから溶質が中に拡散する勾配形成エレメント、および(4)溶質がディスペンサーの外に流出する、勾配形成エレメントにおける放出オリフィスなどがある。溶質貯蔵器エレメントのサイズは、装置の物理的サイズによって、無制限に多様であってもよく、非常に小さいから非常に大きいまで、様々であってもよい。1つの実施形態では、本ディスペンサーは、バインダーまたは賦形剤を含むまたは含まない溶質のみで満ちたキャビティからなる。以下の実施例に記載の通り、ディスペンサー内で溶質の溶解を促進するために、または放出後、溶解性を維持するために、酸性、塩基性、または両性の賦形剤を含んでもよい。本装置の構造は、これらの改質成分が、他の溶質と共に装置内に存続して、連続的な溶質送達を可能にすることを保証する。
【0043】
別の実施形態では、溶質貯蔵器エレメントキャビティは、安定した濃度勾配を確立することが可能な多孔性基体またはゲル様基体で満ちている。この多孔性基体としては、寒天、ポリビニルスポンジ、微小孔性ビーズ、またはポリマー繊維などがある。多孔性基体の性質および勾配形成エレメントのパラメーターは、装置からの溶質の放出速度に対して、予想通りに影響する。理論にとらわれずに、この多孔性基体は、拡散係数を効果的に減少させる。マトリックスを加えることにより、極端な乱流を含む環境で、溶質貯蔵器エレメント内の濃度勾配を維持する方法を提供することも可能である。
【0044】
上述の通り、溶質貯蔵器エレメントは、ソースエレメントの平面に垂直な軸に関して対称的であってもよいが、必ずしもそうであるとは限らない幾何学的形状を有する。本発明のディスペンサーに適した対称的な幾何学的形状が好ましいが、これは、このような形状は、最も能率的な、長期間ほぼ一定したまたは線状の、溶質送達を可能にすることが計算によって確認されているためである。ディスペンサーまたは装置全体を取り囲む不浸透性ケーシングは、非生分解性であってもよく、生分解性であってもよい。あるいは、装置全体または放出オリフィスを、放出を制御する材料、たとえば、ある一定の条件で溶解してオリフィスを開かせる栓で覆ってもよい。本装置は、アクリロニトリルポリマー、たとえば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンターポリマー;ハロゲン化ポリマーまたはコポリマー、たとえば、ポリテトラフルオロエチレンおよびポリクロロトリフルオロエチレン;ポリイミド;ポリスルホン;ポリカーボネート;ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリ塩化ビニル-アクリルコポリマー;ジアルキルフマレート;塩化ビニリデンおよびポリスチレン、メチルセルロース、ポリエチレングルコールまたはそれらの組み合わせを含むがその限りではない、1つまたは複数の非反応性で且つ生体適合性のポリマーで作製されることが好ましい。ポリラクチド類およびポリエステル類等の生分解性ポリマー、ならびにメチルセルロース等の改質セルロース誘導体を使用してもよい。
【0045】
上述の通り、送達のための拡散に依存する従来技術によるマトリックスまたは貯蔵器装置は、初期バースト放出、ゼロ次または線状送達からの著しい逸脱、送達される総用量のかなりの制限および柔軟性のないパラメーターを含む多くの理由で、不満足であり、その全てが、送達の持続期間を含む送達キネティクスの調整を困難にする。封入される溶質の量に比べて小さい開口部を使用する従来技術による拡散装置は、溶質の初期バーストまたは減衰後の放出後期に関して、潜在的準ゼロ次放出を特徴とする。開口部を通過する溶質の流れは、その長さ寸法に正比例するため、放出パラメーターの調節は、開口部寸法の変化に比較的鈍感である。
【0046】
内容物と、膜が中に置かれている媒体との両者に対して不浸透性の膜で包囲された、様々なサイズおよび形状の装置を使用することによって、このような装置を改良することができる。ソースエレメント(開口部)を提供することによって、この膜の1ヶ所に(他所に略述した、理論的分析により規定される)開窓し、ソースエレメントからの溶質の流出が勾配形成エレメントによって加減されるチャンバを取り付け、放出オリフィスにて所望の放出特性を実現する。本明細書では勾配形成エレメントと呼ばれるこのチャンバは、溶質貯蔵器エレメントよりサイズがはるかに小さくてもよく、溶質貯蔵器エレメント上の円錐の(または別の形をした)隆起としか見えなくてもよい。勾配形成エレメントは、放出前の溶質貯蔵器エレメントと同様、最初は、溶質がなくてもよく、溶質で満ちていてもよい。
【0047】
従来技術による有窓装置は、マトリックスを含もうと、貯蔵器のみとして機能しようと、内部濃度勾配の「増幅」を特徴とする明確に記述された方式で作動し、開窓表面にて比較的高い濃度を提供する。装置からの溶質拡散が進行するにつれて、開窓の横断面の長さ寸法の1〜2倍より深い同心半球体の形をとる、一定濃度の拡散前面が確立される。このことは、本装置の深奥から表面まで、溶質拡散が増加し、たとえば、開口部における濃度を定常状態に維持する傾向があることを意味する。十分な溶質およびこれらの装置の寸法が最適化されると、様々な長さの時間に、ほぼ直線状の放出速度を得ることができる。初期の、開窓からの溶質の放出は、一般に、高濃度で起こり、従って、放出の初期バーストが起こる。
【0048】
本発明は、任意の構成の有窓装置を改変して、ゼロ次により近い放出、放出の初期バーストの減衰、送達持続期間の延長を実現する方法を提供し、また、ある特定の速度で送達するのに必要なサイズまたは形状の装置を精確に且つ容易にデザインできる能力を提供する。最も基本的な形態において、この勾配形成エレメントは、開窓(ソースエレメント)からの溶質の流出にインピーダンス、すなわち抵抗性を加える成分の役割を果たす。たとえば、経口投与された装置が、消化管内で水和されるとき起こり得る拡散性放出の開始するとき、最初に、勾配形成エレメントの拡散性抵抗およびソースエレメントにおける溶質濃度によって規定される速度で、空の勾配形成エレメント内への溶質の流出が起こる。装置(溶質貯蔵器エレメント)内部からの溶質の移動には、ソースエレメントの入口からの距離と正比例して増加する拡散の表面積が寄与する。この方式で、装置内を退去する溶質に代わって、装置のより深部からの溶質が補充される。拡散前面は、勾配形成エレメントを中を進むにつれて、遅れて、且つ最初は、ソースエレメントにおける、すなわち、開窓または開口部における溶質の濃度よりはるかに低い濃度で、外部環境に到達する。十分な時間の後、本装置の内部から勾配形成エレメントまで確立された濃度勾配によって、定常状態の拡散速度が確立される。以下の式の変形を使用して、これを数学的に見積もることができる。
【0049】
円錐台形の勾配形成エレメントを、半球体の溶質貯蔵器エレメントに加えることにより、半球体のみと比較して、送達速度を高め、また、送達を延長することができる。この改変は、放出オリフィスの時間依存的濃度を、半球体の溶質貯蔵器エレメントの面にある同一オリフィスでそうであろう濃度より高く維持することによって遂行される。勾配形成エレメントは、溶質が余りにも急速に装置から流出するのを防止し、それによって、最高送達速度は低いが、より高く且つより長期の準定常状態プラトーになる。
【0050】
円錐台形の半球体と比較した、半球体の準定常状態放出速度間の差は、関係式を比較することによって理解できる。この、半径Rの流出孔を有する半径Rの半球体からの、準定常状態の流動を表す式、iは、
【0051】
【数1】
Figure 0004955888
によって与えられる。ここで、前記溶質貯蔵器エレメントが、初期濃度C の溶質を含み、前記溶質が拡散係数Dを有しているものとする
【0052】
次式は、たとえば、図1に示す、円錐台形の調節可能な抵抗性エレメントを有するディスペンサーからの準定常状態流動、iを表す。ここで、溶質貯蔵器エレメントが、初期濃度C の溶質を含み、溶質貯蔵器エレメントの半径はR sr であり、ソースエレメントの半径はR se であり、前記溶質が拡散係数Dを有しているものとする。ここで、図1に、変数を示す。θの値は、頂角の半分を表す(すなわち、頂角は2θである)。
【0053】
【数2】
Figure 0004955888
【0054】
本装置の好ましい寸法は、対応する、同表面積を有する円形に置き換えて断面積を示すことによって表される。図2に示す通り、ソースエレメントは、断面積Aseを有し、放出オリフィスは、Aroで表される断面積を有する。ソースエレメントおよび/または放出オリフィスが円形でない装置に関する放出特性は、円形の同断面積を有するのであれば、開口部の等半径を決定することによって算出することができる。代替開口部は、非限定的な例として、楕円および正方形であってもよく、勾配形成エレメントの形状は、相応して形成される。
【0055】
勾配形成エレメントが、たとえば、図15に示す円柱である場合、従って、RroとRseが同じであり、円柱の高さがBである場合、定常状態放出は、次式:
【0056】
【数3】
Figure 0004955888
で表される。
【0057】
たとえば、完成したディスペンサーが、平面上のコーティングの厚さが勾配形成エレメントの高さである、平面の中央にソースエレメントおよび勾配形成エレメントを有する半球体の形状を有してもよいため、円柱状の装置を有するこのような装置を容易に製造することができる。
【0058】
勾配形成エレメントが円柱状であり、且つ溶質貯蔵器エレメントが半球体であってもよいか、または半球体の平面上に中心を置くソースエレメントを有する半球体の形状を含む場合、最大内部拡散表面を表す半球体またはその一部の半径は、勾配形成エレメントの半径(ソースエレメントまたは放出オリフィスの半径)の約2倍以上であることが好ましく、円柱の半径の約5倍より大きい半径を有する半球体がさらに好ましく、円柱の半径の約10倍以上の半径を有する半球体が最も好ましい。加えて、ソースエレメントから開口部まで伸びる円柱(勾配形成エレメント)の高さは、好ましくは、円柱の半径の4倍未満であり、さらに好ましくはこの半径の2倍未満であり、最も好ましくは、この半径の0.1〜2倍である。最大流出を与え、なおかつ放出の初期噴出を鈍らせる円柱の半径と半球体の半径との比率は、0.08〜0.086、すなわち、約1:12である。これらのパラメーターは非限定的であり、単なる例示にすぎない。
【0059】
別の好ましい実施形態では、本発明のディスペンサーの溶質貯蔵器エレメントは、切頭直円錐または切頭球錐の形状を有する。これらの形状は、上述の通りである。勾配形成エレメントは、所望の放出特性を実現する形状、たとえば、円錐台形または円柱状のいずれかの形状を有してもよいが、その限りではない。これらの、勾配形成エレメントの好ましい形状は、半球体形の溶質貯蔵器エレメントに関して上述した通りである。前述のディスペンサーの全ての他の態様およびさらなる特徴は、この実施形態にも当てはまる。
【0060】
この実施形態において、さらに好ましい円錐形の溶質貯蔵器エレメントは、約10°〜約135°の間の頂角を有し、なおいっそう好ましいのは、約60°〜約120°の頂角を有する円錐である。180°の頂角を有する円錐は半球体であり、これは、前述の通りである。ソースエレメントは、円錐の先端が切られている、溶質貯蔵器エレメントの頂上に提供されることが好ましい。円錐形の溶質貯蔵器エレメントおよび円錐台形または円柱状の勾配形成エレメントと関連して記載されている装置の場合、円錐内に含まれる、最大の半球体溶質貯蔵器の半径、および円錐の頂上に配置されたソースエレメントを使用するとき、前述の式を使用して、装置の放出オリフィスからの溶質流動を示すことができる。加えて、好ましい実施形態と最も好ましい実施形態は類似している。非限定的な例として、本発明の円柱状の勾配形成エレメントを有する、上述の装置の装置パラメーターの有用な範囲は、以下の通りである。R球体(内部拡散表面の最大半径)は、勾配形成エレメントの半径の2倍より大きいことが好ましく、さらに好ましくは、この半径の5〜10倍であり、最も好ましくは、この半径の10倍より大きい。最大流出を与え、なおかつ放出の初期噴出を鈍らせる勾配形成エレメントの半径と、球体の半径との比率は、0.080〜0.086、すなわち、約1:12である。勾配形成エレメントの高さおよび半径に関して、勾配形成エレメントの長さは、好ましくは、その半径の4倍未満、さらに好ましくは、その半径の2倍未満、最も好ましくは、その半径の0.1〜2倍であってもよい。これらのパラメーターは非限定的であり、単なる例示に過ぎない。
【0061】
従って、本明細書の以下の教示および前述の式に従えば、熟練者は、個々の用途に合った装置を容易に構築することができ、従って、ある特定の溶質または溶質を、長期間にわたって、ゼロ次またはほぼゼロ次キネティクスで送達することができる。装置のある特定のサイズまたは形状に、所望の放出特性を与えるために、無理やり決定される送達速度の低下は、溶質貯蔵器エレメント内の溶質の濃度(C)の上昇によって、または本明細書に記載の教示による幾何学変更によって、埋め合わせることができる。
【0062】
1つの実施形態では、ある特定の一組の条件下に限って可溶性である材料で、本装置の放出オリフィスが被覆されている(および/または勾配形成エレメントが満たされている)。好ましい実施形態では、溶質を動物の身体に経口送達するために使用される装置の放出オリフィスが、塩基性のpHのときに限って可溶性である材料で被覆されており、従って、動物の胃よりむしろ、腸内で溶質を放出させることができる。
【0063】
オリフィスまたは開口部は、当業者に周知の方法で作ることができる。たとえば、開口部は、とりわけ、エッチド・ヌクレアトラッキング(etched nuclear tracking);レーザー、超音波または機械穿孔;または放電;エッチング;または成形によって形成することができる。本装置はディスペンサーおよびそのハウジングを提供する任意の方法、たとえば、マイクロファブリケーション、射出成形、ハウジングの形状の固体ブロックからのエッチング等々で作製することができる。装置のサイズは、放出特性および送達すべき溶質の総量によって左右され、たとえば、動物の血管循環に入るための極微装置から、たとえば、水処理タンク、スイミングプールまたは殺藻薬を徐放するための貯蔵所に入れることができる、非常に大きい装置までの範囲であってもよい。
【0064】
1つの実施形態では、本装置は、1つのディスペンサーと1つの放出オリフィスを有する。別の実施形態では、本装置は、それぞれ、不浸透性材料で隔てられた1つより多いディスペンサーを有し、それ用の放出オリフィスが、互いに干渉しないように十分に遠く離れて配置されている。1つの実施形態では、1つまたは複数のディスペンサーが1種以上の溶質材料を含む。別の実施形態では、それぞれ、不浸透性材料で隔てられた1つより多いディスペンサーを有する装置が、各ディスペンサーハウジングについて1つの放出オリフィスを有する。
【0065】
場合によっては、前述の教示に従ってデザインされた、半球体、円錐、立方体またはその他の形をしたディスペンサーが、完成した装置に適さないことがあり、ディスペンサーを別の完成した形状で囲むか、またはディスペンサーに別の完成した形状を与えることが好ましいことがある。このような考えは、たとえば、装置の消費者受容を高めるため、または、突出部分を排除して、嚥下または挿入を容易にするため、および、必要であれば、体腔回収のために、実行されることがある。このような形状としては、円錐、円柱、球体、楕円、半球体、カプセル、ロッド、針、またはシートなどがあるが、その限りではない。前述の非限定的なリストは、完成した装置の形状である。場合によっては、本装置のディスペンサーおよびハウジングは、1つの連続した材料であってもよく、たとえば、内部の半球体形溶質貯蔵器エレメントおよび付随する勾配形成エレメントを、同一の不浸透性材料で構築するか、または同一の不浸透性材料からくりぬいて、異なる、より使いやすい形状の完成したハウジングを形成することもある。本装置から、装置が配置される区画に直接出られるように、ディスペンサーのオリフィスは、ハウジングの表面に向かって開くように製作してもよく、あるいは、ディスペンサーは、ハウジング内部に放出することも可能であり、放出された溶質は、1つまたは複数の放出口を通過して外部区画に入る。ハウジングは、多孔性材料または規則的に孔のあいた材料など、溶質が外部区画に急速に移動する多数の放出口を具備してもよい。本装置は、管理された放出キネティクスのための設備を具備しない、たとえば、事前に製造された処方薬錠剤の形であってもよい溶質を、ディスペンサー内に入れるために、使用前に開けることが可能なように、提供することができる。本装置の個々の特徴に関するこれらおよび他の詳細は、本明細書の教示に含まれており、当業者は、個々の用途の要求に答える適合製品を提供する1つまたは複数のディスペンサーを収容するための、外側のケーシングまたはハウジングを容易にデザインするであろう。
【0066】
たとえば、楕円またはカプセル形のハウジングを提供して、消化管を通過する間に溶質を放出する装置の嚥下を助けることが可能である。このディスペンサーの勾配形成エレメントは、放出口噴出からハウジング表面までの外部に注ぐことができる。上述の通り、その他のin vivo使用、特に、体腔またはオリフィスへの導入、外科的埋め込み、および、必要であれば、その後の回収には、縁がない滑らかな側面を持つ装置が特に望ましい。別の実施形態では、揮発性の液体から一定速度で放出する移動媒体に使用するための空気清浄スプレーが、ダッシュボードに貼るか、バックミラーから吊るすことができる装飾的キャニスターの形状で提供される。芳香性の液体を染み込ませたスポンジまたは微小孔性ビーズで満ちている溶質貯蔵器エレメントハウジングによって、溶質(この場合は液体)の振動が防止される。このような装置のハウジングの完成した形状は、特定の有益な位置に統合されてもよく、エンドユーザーの受容に合わせて、美的特性または他のデザイン特性を組み込んでもよい。
【0067】
当業者は、1つより多いディスペンサーを有する装置のデザインにおいて、全てのディスペンサーが、必ずしも同一の放出パラメーターまたは形状を有する必要がないことを理解するであろう。ある装置は、ある特定の形状およびサイズの勾配形成エレメントを有するディスペンサーを有してもよく、別の装置は、もう1組のパラメーターを有してもよい、たとえば、スイミングプールを消毒するための、ある形態の塩素を含む装置は、勾配形成エレメントを具備しない1つのディスペンサーを含んでもよく、このディスペンサーは、たとえば、不使用期間の後、または季節の初使用時に、プールに「衝撃」を与えるのに必要な量の塩素を含む。この衝撃は、人が楽しむには望ましくないであろう、大量の塩素を提供する。初期バースト後、この塩素は数日後に消散する。装置内の第2のディスペンサーは、水泳に適合するが、消毒を維持する量の塩素のゼロ次放出を、長期間、たとえば1ヶ月間、提供する、勾配形成エレメントを含む。従って、管理された放出という所期の目的のために、本発明のディスペンサーを、他の装置と組み合わせて、望ましい特徴を実現することができる。
【0068】
本発明の装置は、所期の用途に応じて、カプセルに入れて、およそ数十センチメートル程度またはそれより大きいのものに飲み込まれることが可能な、1mm程度またはそれ未満の装置を含むが、その限りではない、あらゆるサイズで作製することができる。
【0069】
1つの実施形態では、それぞれ、ある一定量の溶質を担持する多くの装置が、カプセルが壊れて開くか、コーティングが溶解したとき、本装置が動物体内に放出され、溶質が各装置から送達されるように、飲み込まれるカプセル内に配置される。本発明の装置は、任意の材料で作製することができる。別の実施形態では、本装置は生分解性である。また別の実施形態では、本装置は、非生分解性材料でできている。
【0070】
本明細書に記載の通りに装置を設計することによって、所望の放出持続期間を実現することができる。1つの実施形態では、本発明の方法を使用して、溶質を、線状様式で、約1時間〜約1ヶ月の期間にわたって、さらに好ましくは、約5時間〜約2週間の間、最も好ましくは、約12時間〜約48時間、送達することができる。特に好ましい実施形態では、本発明の方法を使用して、溶質を、線状様式で、約8時間〜約24時間にわたって、動物の体に送達することができる。
【0071】
本発明の装置を使用して、1種以上の溶質を送達することができる。1つの実施形態では、本発明の装置で送達される1種以上の溶質は、動物の体に送達される治療薬または予防薬等の、有益な薬剤である。これらの有益な薬剤としては、降圧薬、たとえば、利尿薬、交換神経遮断薬、血管拡張薬およびカルシウムチャネルブロッカー、鎮痛薬、たとえば、オピオイドおよび非ステロイド系抗炎症薬、抗ヒスタミン薬、抗鬱薬、催眠薬、鎮静薬、抗癲癇薬、抗不整脈薬、駆虫薬、抗菌薬、抗パーキンソン病薬、抗悪性腫瘍薬、避妊薬、血糖降下薬、電解質、ビタミン類、ミネラル、栄養補助食品、局所麻酔薬、診断用薬、ペプチド成長因子類、ホルモン類およびサイトカイン類、刺激薬、たとえば、アンフェタミンおよびメチルフェニデート、抗不安薬、たとえば、ベンゾジアゼピン、および造血薬、エリトロポエチン、幹細胞因子、インターロイキン類、およびそれらの混合物などがあるが、その限りではない。このような薬剤は、放射性造影剤、または代謝またはクリアランス、たとえば、肝機能または腎機能を評価するための物質等の、診断用薬であってもよい。好ましい実施形態では、有益な薬剤は、エリトロポエチンである。別の好ましい実施形態では、有益な薬剤はクロロキン、グリピジド、カルシウム塩類または上皮小体ホルモンである。1つの実施形態では、本発明の装置を使用して、1種の有益な薬剤が投与される。別の実施形態では、本発明の装置を使用して、2種以上の有益な薬剤が投与される。たとえば、風邪の症状を治療するために、本発明の装置を使用して、鬱血除去薬と抗ヒスタミン薬とを、動物の体に同時送達することができる。上記の通り、本発明の1つの装置は、それぞれ個々の溶質に合わせて、溶質の同時送達を最適化することができるように、それぞれ、異なる溶質を貯蔵し、個々の望ましいキネティクスで放出することができる、複数の放出ユニットを含むことができる。あるいは、1つのディスペンサーが、同一キネティクスで同時実施される複数の溶質を含んでもよい。
【0072】
1つの実施形態では、1種の(またはそれより多い)溶質が、溶媒に溶解している。当業者は、1種以上の溶質を溶解するのに使用される溶媒のタイプは、1種以上の溶質の溶媒特性によって異なることを理解するであろう。溶媒は、水性溶媒であってもよく、油でまたは非水性媒体であってもよい。1つの実施形態では、1種以上の溶質は、動物の体に投与すべき有益な薬剤であり、単独で投与してもよく、薬学的に許容できる媒体と一緒に投与してもよい。具体的な実施形態において、用語「薬学的に許容できる」は、米国薬局方または他の一般に認められた哺乳動物用薬局方に列挙されている、連邦政府または州政府の監督官庁によって認可されたことを意味する。用語「媒体」は、1種以上の溶質が一緒に投与される、希釈剤、補助薬、賦形剤、または担体を指す。このような薬学的媒体は、石油、動物、植物または合成起源のものを含む、水および油等の液体、たとえば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油等々であることが好ましい。哺乳動物に投与されたとき、1種以上の溶質および薬学的に許容できる媒体は、無菌であることが好ましい。食塩溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液を液体媒体として使用することもできる。必要に応じて、1種以上の溶質を、湿潤剤、乳化剤、またはpH緩衝剤の必要量と一緒に投与することもできる。
【0073】
送達されることが望ましい薬剤以外の、装置内のこのような薬剤を、一般に、本明細書では溶質改質剤と呼ぶ。上記に加えて、他の賦形剤を使用して、1種以上の溶質または装置の特性、たとえば、以下の活性等を改変することができるが、その限りではない。装置内の溶質の免疫検出を減少させるための薬剤、または動物または装置が中に埋め込まれるかまたは留置される環境の移動細胞、たとえば、白血球または付着細菌または他の微生物によるコロニー形成および目詰まりを防止するための薬剤;装置内の血漿または血液の凝固を防止するためにカルシウムをキレート化する薬剤;装置の一次ディスペンサーハウジング内の溶質の粘度を高めるためのポリマー;溶解性を維持するために界面活性剤等々。このような薬剤は、望の溶質と一緒に放出されてもよく、放出されなくてもよい放出の際に、このような薬剤は、溶質から解離してもよく、装置の目標および溶質の送達方法に影響を及ぼさないかまたは最小限の影響を及ぼすように希釈されてもよい。
【0074】
別の実施形態では、本発明の装置を使用して送達すべき1種以上の溶質は、溶媒に溶解していないが、乾燥状態で装置内に存在する。この実施形態では、装置が飲み込まれるのであれば、たとえば、動物の胃腸液中に装置が浸漬されたとき、あるいは、殺藻薬をスイミングプールに送達するために装置が使用されるのであれば、水中に装置が浸漬されたとき、1種以上の溶質が流体中に溶解または懸濁される。この1種以上の溶質は、とりわけ、粉末、結晶、非晶質固体等々として、装置内に存在してもよい。
【0075】
別の実施形態では、ユーザーが、たとえば、医薬品製剤、たとえば、クロロキン錠剤を、装置に詰め、嚥下し、および医薬品の長期線状送達が体内で実現されるように、ユーザーが詰められるまたは詰め替えられる、本明細書に上述した特徴を有する装置を作製することができる。埋め込まれた装置は、たとえば、装置への経皮注入によって、間隔をおいて詰め替えることが可能であろう。このような装置は、生分解性であってもよい。芳香剤をゼロ次で放出するための別のこのような装置は、ユーザーにより詰められ、心地よい、連続的なレベルの局所的な芳香を与えるために、たとえば、宝石類の形で、または衣類の中に分泌された状態で、携帯される。
【0076】
本発明は、本発明の装置を使用して、溶質を線状様式で送達する方法も含む。好ましい実施形態では、本発明の方法を使用して、1種以上の溶質を1つの実施形態では、本発明の方法を使用して、水性媒体に溶けにくい1種以上の溶質を、動物の体に送達する。この実施形態では、装置内の1種以上の溶質は、油または他の非水性媒体に溶解している。理論にとらわれずに、出願人は、本発明の装置からの非水溶性溶質の拡散速度は、水中の溶質の分配係数に、ある程度依存することを認める。別の実施形態では、装置内の1種以上の溶質は乾燥状態であり、装置が浸漬されるときに限って、液体中に溶解または懸濁される。本発明の方法を使用して、経口、舌下、直腸、膣、皮下、局所、筋内、眼球、鼻、耳介、腹腔内、静脈内を含むがその限りではない、様々な経路で物質を動物の体に送達することができる。1つの実施形態では、本発明の方法は、生分解性材料で作製された、本発明の注射可能な装置を使用する。別の実施形態では、本装置を皮膚パッチに組み込んで、薬剤を経皮的に送達することができる。
【0077】
本発明の装置は、香水、脱臭剤および、たとえば、空気清浄剤の中に含まれる、他の空中浮遊揮発性物質;たとえば、持続した速度で工業プロセスに送達することが可能な、工業用化学薬品;スイミングプールおよび温水浴槽に送達するための、塩素または臭素等の消毒薬;蚊用殺虫剤の池への送達;肥料の植物への送達を含むがその限りではない、他の溶質を送達することができる。本発明の装置は、流体が中を通過する導管または流れの中に入れてもよく、本装置は、動いている流れの中に溶質を送達する。こうした例は、単なる実例に過ぎず、本装置および方法を利用する多種多様な使用に関して非限定的である。
【0078】
本発明は、1種以上の溶質を送達するためのキットをさらに含む。本発明のキットは、本発明の1つまたは複数の装置を含む。本発明のキットを使用して、1種以上の溶質を動物の体、貯水槽、スイミングプール、温水浴槽、植物、トイレ、浄化槽、編織物、給水塔、アクアリウム、池、および工業製造工程用に送達することができる。本発明の装置は、詰め替えのために開けることが可能な装置等の、再使用可能な形態で提供することができる。本キットの装置は、所期の環境に配置する前にユーザーが詰めるのに向いた、溶質が入っていない空の状態で提供してもよい。
【0079】
製造工程は、薬学の技術分野に精通している者に周知の方法を使用して、簡単に行うことができる。
【0080】
本発明のさらなる実施形態では、図10〜12に示すディスペンサーを有する装置が提供される。図10の例では、管状の勾配形成エレメントの基部の周りに複数の放出オリフィスが提供される。図11〜13では、溶質貯蔵器エレメント内への管状の湾入という形で、複数のソースエレメントが、勾配形成エレメントに提供され、このソースエレメントは勾配形成エレメントにおける外周帯の状態で提供され、帯は、溶質貯蔵器エレメントの表面と同一平面でぴったり重なる放出オリフィスに近づくにつれて、帯間の距離が増加する。本発明によるこれらの装置は両者とも、本明細書に記載の望ましい放出特性を提供するための、ソースエレメントおよび勾配変更エレメントを提供する。
【0081】
本発明は、代表的な本発明として提供する以下の非限定的実施例を参照することによって、もっとよく理解できるであろう。本発明の好ましい実施形態をもっと十分に示すために、以下の実施例を提供する。しかし、以下の実施例は、決して、本発明の広い範囲を限定するものと考えてはならない。
【0082】
【実施例1】
半球体の真鍮金型をクロロキン粉末(およそ500mg)で満たし、次いで、平らなピストンまたは凹形の円錐台形ピストンのいずれかを使用し、水圧(6トン)を1分間使用して圧縮し、以下の寸法を有する錠剤を得た。
【0083】
【表1】
Figure 0004955888
【0084】
クロロキンの時間依存的流出を、昇順カラム法(Langenbucher,1969;J.Pharm.Sci.59:1265)を使用して決定した。図3および4に、これらの2装置の放出速度を(%クロロキン負荷として)示す。ここで、半球体および円錐台形の半球体は、円錐台形の放出モジュレーターを有すること以外は類似した放出(曲線下面積;AUC)を有し(図4)、ピーク放出は、半球体のみの約50%であるが、長時間維持される。
【0085】
当業者に明白になるであろうが、異なるパラメーターを指定することにより、円錐台形の装置の放出キネティクスを、多くの方法で変えることができる。たとえば、出口オリフィスのサイズを、半径0.075cmから0.150cmに倍増させることにより、より高い、持続したピーク放出が得られる(図5)が、送達持続期間が短いという犠牲をはらう。
【0086】
【実施例2】
本発明の装置および即時放出調製品、ARALENを使用して、クロロキンの放出キネティクス間の比較を行った。結晶クロロキンを、初期量の薬物を送達するまたは送達しないようにデザインされた2つの装置に入れた。一杯に詰めた装置をチャンバに入れ、それを通して0.75ml/分の速度で水をポンピングした。フラクションコレクターで、灌流液を15-分間隔で連続的に採取した。標準曲線を基準にした光吸収によって、分画のクロロキン含量を決定した。中黒の三角形は、初期量を送達する装置の放出速度を表し、中白の円は、鈍化した初期量(図6)を有する装置の放出速度を表す。両装置は、およそ250μg/15分という定常状態放出に達した。結果から、本明細書に記載の装置は、管理された方式でクロロキンを放出できることがわかる。市販されている調製品は、時が経つにつれて、放出速度が指数関数的に低下するのに比べて、装置1は、放出速度の線状低下を示し、装置2は、ゼロ次放出速度に近づく。
【0087】
図7は、ヒト男性被験者における、市販のクロロキン製剤ARALENおよび本発明の基本型装置の薬物動態学的挙動を示す図であり、両製剤は、塩基クロロキン300mgを含む。このデータは、2製剤の放出力学と一致する(図6参照)。本発明の装置は、ARALENと比較して狭い範囲内の血清レベルを、24時間にわたって実現した。
【0088】
図8は、本発明の管理された放出装置からの、高分子アルブミンの累積放出に関するデータを示す図である。このデータは、24時間にわたる、アルブミンのゼロ次速度放出を示す。ウシ血清アルブミン(MW 68,000)をリン酸緩衝食塩水に溶解し、初期量を送達するようにデザインされた装置内に詰めた。初期バースト放出後、速度が一定になった。データを、図5に関する記述通りに測定した、アルブミンの累積送達として、時間に対してプロットした。24時間でおよそ10mgが送達された。
【0089】
図9は、3週間にわたって皮下投与された1回量のタンパク質エリトロポエチンに対する生物学的応を、本発明の管理された放出装置を用いた、同一用量のエリトロポエチンの非経口的送達と比較する、in vivo実験の結果を示す図である。皮下投与と比較したとき、タンパク質の徐放は、3週に、より大きい生物学的活性を示した。
【0090】
【実施例3】
水不溶性溶質の特定の部位への送達
ディスペンサー装置の1つの実施形態では、標的溶質の溶解を可能にするかまたは溶解性を改善するために、他の溶質を溶質貯蔵器エレメントに加えることができる。溶質を、環境に、長期線状放出するのに適したディスペンサーの特徴は、ディスペンサーの内部にも当てはまる。すなわち、可溶化剤が急速に拡散する従来の製剤と比較して、貯蔵器内の溶質が保持される。
【0091】
ディスペンサーユニットの有用性の1例は、様々な病態、たとえば、骨粗鬆症を治療するために、カルシウム塩を経口送達することである。最も広く使用されているのは塩炭酸カルシウム(元素のカルシウム40%を含む)であるが、pHが約5未満でない限り、水性媒体に溶けない。従って、炭酸カルシウムの標準的な経口用製剤は、分解のための、胃内での酸性化に依存する。胃内容物を酸性化する能力が欠けている者(たとえば、悪性貧血患者)は、これらの医薬品からカルシウムを得ることができない。健常者は、胃内で炭酸カルシウムを可溶化できるかもしれないが、事実上、そこでは吸収は起こらない(総量の<2%)。そうではなく、吸収は、主として、腸管の残りの長さにおける、ある特定の、飽和可能なメカニズムによって起こり、吸収の等級は、回腸(総量の60%)、空腸(20%)、および結腸と、低下する。胃内で可溶化されたカルシウムのボーラスが吸収されるためには、カルシウムは、腸管内の他の部分と複合体を形成しないままでなければならず、また、最高(飽和)速度未満で輸送する腸管の1区画に提供されなければならない。
【0092】
キレート化または他の失活反応の変化を最小限に抑える方式で、カルシウムを可溶化して、腸管の連続部分に提供するためには、円錐台形の勾配形成エレメントを有し、且つ2種の溶質を含む、ハイブリッドディスペンサーを製造する。具体的には、炭酸カルシウム負荷に、アスコルビン酸(または他の可溶性酸性化剤)を加えることにより、水和されたとき、炭酸カルシウムが溶液状になるように、ディスペンサー内に低pHを生じさせる。腸管を通過する間に、ディスペンサーの保護された環境内から、カルシウムの特異的吸収および非特異的吸収が可能な腸管の各領域へのカルシウムの連続的な線状送達が局所的に実現する。
【0093】
別の例として、ディスペンサーに入っているカルシウム化合物は、炭酸カルシウムとほぼ同じ元素カルシウム含量を有する、三塩基性リン酸カルシウムであってもよい。粉状リン酸カルシウムとクエン酸とを1:2のモル比で一緒に混合することにより、加圧下で半球体の錠剤に圧縮することができる混合物が生じる。水不浸透性のコーティングを適用し、開窓および勾配形成エレメントを提供した後、炭酸カルシウムと同様、発泡せずに、カルシウムイオンが放出される。
【0094】
ここで開発された方法を使用すれば、様々なカルシウムディスペンサーをデザインし、製造する方法が、当業者に直ちに明白になるであろう。具体的であるが、非限定的な例として、粉状の炭酸カルシウムおよびアスコルビン酸を1:1ミリ当量比で混合し、水圧で半径5mmの半球体に圧縮し、続いて酢酸セルロース/PEG 600/アセトンの混合物で被覆する。ソースエレメントの直径3mm、円錐台形の勾配形成エレメントの高さ1mm、放出オリフィス1.5mm。
【0095】
【実施例4】
本発明の装置の代替構成
図13に三次元形式で描かれた本装置は、半球体の溶質貯蔵器エレメント、ソースエレメントを形成する1つの開口部(この表現では見られない)および放出オリフィスを有する円錐台形の勾配形成エレメントを有する本発明の好ましい実施形態を示すが、本明細書の教示には、本装置の多くの他の代替形式が含まれる。図10〜12および図14に、このような例を示す。図10では、ディスペンサーは、溶質貯蔵器エレメント、ソースエレメント(図では見られない)、および勾配形成エレメントを含むが、この場合、溶質放出は、溶質貯蔵器エレメントに近接した管状の勾配形成エレメント部分に沿って、円周型に位置する複数の放出オリフィスからもたらされる。本装置は、初期バーストを伴わない、ほぼゼロ次速度放出を実現する。
【0096】
図11では、表面から管状のキャビティの形をとり、立方体を通過して途中まで形成された勾配形成エレメントを有する、立方体の形をした溶質貯蔵器エレメントが提供される。勾配形成エレメントの放出オリフィスは、キャビティが開始する、立方体の表面に存在する。ソースエレメントは、キャビティの底部付近では近い間隔で、オリフィスが立方体の表面に近づくにつれて、オリフィスの環と環の間隔を広げて、複数の外周に向いたオリフィスによって提供される。複数のソースエレメント構成の、代替実施形態において、図12は、溶質貯蔵器を、完全ではないがほとんど通過する3つのボアホールを有する管状の溶質貯蔵器エレメントを表す。このソースエレメントは、図11に示す通り、一連の外周に向いたオリフィスを含み、従って、ボアホールと溶質貯蔵器エレメントとの3つの界面が、本装置の放出オリフィスを提供する。非経口的設置および投与に特に適し且つ有用なさらなる実施形態において、図14は、長軸方向の扇形が除去され、欠けた扇状体が、勾配形成エレメントを提供する、管状の形をした溶質貯蔵器エレメントを表す。ソースエレメントは、溶質貯蔵器の平らな内部表面に沿ったオリフィスの列によって提供され、その列は、中心に向かって間隔が近く、外側に向かって間隔が遠くなる。
【0097】
本発明の別の実施形態では、ディスペンサーは、図16に示す通り、切頭球錐の形状の溶質貯蔵器エレメントおよび円柱の形状の勾配形成エレメントを具備してもよい。
【0098】
上述の通り、本発明の装置の最終的な形状は、個々の有用性に合うように調整することが可能である。嚥下しやすいように、図17に示すカプセルの形状でディスペンサー提供することが可能である。このカプセルは、半球体の溶質貯蔵器エレメントおよび円柱状の勾配形成エレメントを有するディスペンサーを含む。図18は、このようなディスペンサーを4個含む(この場合、異なる形状を有し、従って、異なる放出特性を有する:2個は、短い勾配形成エレメントを有し、2個は、長い勾配形成エレメントを有する)、類似した、嚥下しやすいカプセルを示す。所望する、完成した装置の放出パラメーターによって、装置内のディスペンサーの全が同じであってもよく、幾つかが異なってもよい。前述の、本発明の装置の代替実施形態は、その全てが、1つまたは複数の溶媒を、初期放出なしに、ゼロ次またはほぼゼロ次速度放出で送達するための、溶質貯蔵器エレメントと、1つまたは複数のソースエレメントと、それぞれ、1つまたは複数の放出オリフィスを有する、1つまたは複数の勾配形成エレメントとの組合せの構成の変形を説明するのに役立つ例に過ぎない。
【0099】
上述の通り、本発明の装置は、前述のディスペンサーの1つまたは複数を保有するように改造することができる。このような外部開口部を複数有し、各オリフィスがディスペンサーの放出オリフィスと関連している装置の場合、各外部開口部は、他と少なくとも3放出-オリフィス半径、好ましくは10半径離れている。図27は、12個までのディスペンサーを1群に有し、ディスペンサーの数が増加するにつれて放出オリフィス間の距離が減少する、クロロキン含有装置からの放出キネティクスを示す。各ディスペンサーは、高さ1mmの勾配形成エレメント、直径3mmの放出オリフィスを有し、ディスペンサーの全長は3cmである。
【0100】
【実施例5】
図19は、同一の切頭球錐に付属する、拡散式の数値解によって決定される、異なる寸法を有する円柱状の勾配形成エレメントによって引き起こされる、初期放出速度の理論的変調および定常状態に到達するまでの時間を示す。共通の切頭円錐(ずんぐりしたもの、すなわち、基部と先端との比率が1より大きい)、および一定の長さの勾配形成エレメントを、表示の各条件に使用した。以下のパラメーターを評価した:(1)勾配形成エレメントを具備しない装置(「勾配形成エレメントなし」)、(2)円錐孔の半径の1/3の半径を有する勾配形成エレメント(1:3の勾配形成エレメント)を具備する装置;(3)孔半径の1/7の半径を有する勾配形成エレメント(1:7の勾配形成エレメント)を具備する装置、および(4)孔半径の1/15の半径を有する勾配形成エレメント(1:15の勾配形成エレメント)を具備する装置。勾配形成エレメントを具備しない装置は、>>200任意単位の時間、準一定の流出速度まで、急速な初期減衰を示す。1:3の比率を有する勾配形成エレメントを加えることにより、急速な初期の減衰が鈍化するばかりでなく、流動ならびにその不変性が上昇する。1:7の勾配形成エレメント関係を選択することによって、初期の急速な放出相を完全に鈍化できるばかりではなく、その上、流出速度が、次には、本当にゼロ次になる。勾配形成エレメント半径をさらに減少させても(たとえば、1:15)、流動速度をさらに低下させるのに役立つだけであり、この流動速度は、本質的に一定のままである。勾配形成エレメントの高さの影響を含む、これらのパラメーターの精確な関係を、以下の実施例に示す。
【0101】
図20は、図19について生成した理論的計算値に従って構築された円錐台形の装置からの、クロロキンの実際の放出を示す図である。1:3の比率について、実験的に証明された通り、勾配形成エレメントは、勾配形成エレメントが欠如しているディスペンサーに比べて、放出の初期バーストを鈍化させるばかりではなく、送達持続期間も増加させるであろう。
【0102】
図21は、初期バーストに続いて指数関数的に急速に減衰して送達する、同じではあるが、被覆されていない円錐、または勾配形成エレメントを具備しない円錐と対照的に、様々な速度にて、ゼロ次方式でクロロキンを送達する、円柱状の勾配形成エレメントを有する円錐台形の装置をデザインできることを示す図である。図22は、1mmおよび3mmの円柱状の勾配形成エレメントを有する円錐台形のディスペンサーからの相対的流動を、非被覆ディスペンサー、および勾配形成エレメントを具備しない被覆ディスペンサーと比較して、示す図である。
【0103】
【実施例6】
薬物を経口的に送達するための代表的な装置
溶質を経口的に送達するための装置のデザインは、一般的に、患者の消化管における通常の通過時間内、すなわち、およそ24時間以内に、溶質をほぼ完全に放出するための必要条件に縛られる。図23および24は、同一の基部直径という共通の特徴を有する連続的な放出によって、クロロキンを経口的に送達するための、2つの異なる形の装置を示す図である。図24は、頂角25°の、中程度にほっそりした円錐(「厚型装置」)に相当し、図23は、頂角60°のより広い円錐(「薄型装置」)に相当する。両者とも、高さ0.01cmの円柱状の勾配形成エレメントを想定する。上記円錐台形のディスペンサーについて与えられた流動式に、クロロキンの負荷濃度500mg/mL、および拡散係数5×10- を使用し、厚型装置に1.2mg/時間という放出を提供するためのパラメーター(下表に示す)を選択する。クロロキンの総負荷は〜49mgであり、24
時間にわたって29mgが送達される。対照的に、薄型装置は、〜670μg/時間というより小さい流動を実現するが、負荷16.5mgのうち〜16mgを放出する。流動式におけるパラメーターを一部変更することにより、当業者は、明記された溶質放出プロフィールを実現するための装置をデザインすることができるであろう。
【0104】
【表2】
Figure 0004955888
【0105】
薬物を非経口的に送達するための代表的装置
薬物を非経口的に送達するための必要条件としては、挿入しやすい形状、および、一般に経口投与に比べて長い送達持続期間などがある。こうした因子は、一般に、長い、ほっそりした装置プロフィールを必要とする。1例として、図27は、タンパク質エリトロポエチン(MW 〜34,000)を、20単位/日の速度で30日間、送達するために構築された、1つのこのような装置を示す図である。選択したパラメーターを下表に示す。
【0106】
【表3】
Figure 0004955888
【0107】
構築における多くの変更は、当業者に明白に成るであろう。たとえば、高濃度の溶質を、長期にわたって一定した濃度を実現するデポーとして、ディスペンサーの基部に配置してもよい。
【0108】
【実施例7】
クロロキンを経口送達するための、円柱状の勾配形成エレメントを具備する切頭円錐の製造および検証
切頭直円錐の形状を有する溶質貯蔵器エレメント、および円柱の形状を有する勾配形成エレメントを具備する装置の製造は、当業者に明白になるであろう多くの方法で遂行することができる。方法は、特に、賦形剤を含むまたは含まない溶質を、所要の幾何学的形状および寸法に、成形、鋳造、押出、または圧縮することを含む。あるいは、粉状の溶質を溶媒と共に、ディスペンサーのシェル内部に入れ、その後、外部環境から投与した後、キャビティに入れて、拡散過程を開始させる。キャビティを溶媒で満たすのを助けるために、繊維、湿潤剤、または親水性マトリックス等々の合体物等の、芯を、装置キャビティおよび勾配形成エレメント内の溶質混合物と混合してもよい。さらに、溶質送達以外の、特定の目的を有する他の物質も組み込んでもよい。たとえば、埋め込まれた装置に対する局所炎症反応を減少させるために、免疫調節物質を加えてもよく、あるいは、ディスペンサーの内部pHをある特定の範囲内に維持するために、緩衝性塩類を加えてもよい。
【0109】
さらに、半球体の形状を有する溶質貯蔵器エレメント、および切頭直円錐の形状を有する勾配形成エレメントを具備する装置の製造を、当業者に明白になるであろう多くの方法で遂行することができる。方法は、特に、賦形剤を含むまたは含まない溶質を、所要の幾何学的形状および寸法に、成形、鋳造、押出、または圧縮することを含む。図26に示す、製造中の中間体の例では、放出オリフィスから放出オリフィスに接続された2つの装置を含む対称的なダンベル形の鋳型を作製し、次いで、不浸透性材料で被覆する。真中で切り離すことにより、2つの同一ディスペンサーができる。代替実施形態では、異なる特性を有する2つのタイプのディスペンサーを作るために、このダンベルは、非対称であってもよい。
【0110】
引用した参考文献
それぞれ個々の出版物、または特許または特許出願を、全ての目的のために、参照により、そっくりそのまま援用すべきであると、具体的に且つ個々別々に指示されたのと同程度に、本明細書に引用した全ての参考文献を、全ての目的のために、参照により、そっくりそのまま、本明細書に援用する。
【0111】
当業者に明白になる通り、本発明の精神および範囲から逸脱せずに、本発明の多くの修飾および変更を行うことができる。本明細書に記載の具体的な実施形態は、例として提供するものであり、本発明は、添付の特許請求の範囲の条項、ならびにこのような特許請求の範囲が適用される同等物の全範囲によって限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のディスペンサーの非限定的な例の一般的形状の概要を表す図であり、この例は、半球体の溶質貯蔵器エレメント、円形の開口部、半球体の平面の中央にある、ソースエレメント、および溶質がそこから放出される放出オリフィスを有する円錐台形の勾配形成エレメントを有する。
【図2】 明示された、ある表面を有する、図1の装置の別の概要を表す図である。
【図3】 半径1.5mmの開窓を有する、従来技術による半球体形装置からの、クロロキンの時間依存的流出を表す図である。
【図4】 半径1.5mmの開窓を有し、半径0.75mmの放出オリフィスを有する円錐台形の勾配形成エレメントを有する半球体の溶質貯蔵器エレメントからの、クロロキンの時間依存的流出を表す図である。
【図5】 直径3.0mmの放出オリフィスを有する円錐台形の勾配形成エレメントを有する半球体の溶質貯蔵器エレメントからの、クロロキンの時間依存的流出を表す図である。
【図6】 市販のクロロキン製剤(ARALEN)からの放出を、本発明の2つの装置と比較した図である。
【図7】 従来技術による装置からのクロロキンのin vivo放出を、本発明の装置の1つと比較した図である。
【図8】 24時間にわたる、本発明の装置からのアルブミンの累積放出を表す図である。
【図9】 エリトロポエチンの単回投与皮下投与に対する応答と、同剤が入っており、3週間にわたって送達された、非経口的に埋め込まれた本発明の装置に対する応答とを比較するin vivo実験の結果を表す図である。
【図10】 半球体の溶質貯蔵器エレメント、および管状の勾配形成エレメントを有し、この勾配形成エレメントの基部の周りに複数の放出オリフィスが設けられた、本発明の装置を表す図である。
【図11】 立方体形の溶質貯蔵器エレメントを有し、勾配形成エレメントが、溶質貯蔵器エレメントの中を通って途中まで伸びている管状のキャビティとして設けられた、本発明の装置を表す図である。ソースエレメントは、勾配形成エレメントの最も内部付近で間隔が近く、立方体の表面の一重の放出オリフィスに近づくにつれて間隔が遠くなる、一連の環状開窓として、管状のキャビティの周りに設けられている。
【図12】 図11に示すものと類似した、1種の溶質貯蔵器エレメント内に3つの勾配形成エレメントを有する装置を表す図である。
【図13】 ソースエレメント1つと勾配形成エレメント1つとを含む、本発明の好ましい装置の三次元的表現を示す図である。
【図14】 管状形の溶質貯蔵器エレメント、勾配形成エレメントを提供する、欠けた長軸方向の扇状体、およびそれらの間にある、管状エレメントの中央で密集し、外側に向かって間隔が遠くなる複数の開口部の列を含み、開口部がソースエレメントを形成する、非経口投与に適した本発明の装置を示す図である。
【図15】 半球体の溶質貯蔵器エレメントおよび円柱状の勾配形成エレメント、および円形の放出オリフィスを有する本発明の装置を示す図である。
【図16】 円錐台形の溶質貯蔵器エレメントおよび円柱状の勾配形成エレメントを含む、本発明の別の実施形態の一般的形状を示す図である。
【図17】 装置の外面とつながっている円柱状の勾配形成エレメントを有する半球体形の溶質貯蔵器エレメントを含む、カプセル形の装置を示す図である。
【図18】 1つのディスペンサーでは得ることができない方式で溶質を送達するために、放出キネティクスが異なる多数のディスペンサーを、1つの装置に組み込むことができる方法を示す図である。
【図19】 初期バーストおよび1次放出を示す、勾配形成エレメントを具備しない円錐台形装置からの相対的流動を、ソースエレメントまたは放出オリフィスの半径の1/3、1/7、および1/15の、円柱状の勾配形成エレメントを有すること以外は同じ装置と比較したときの、理論的比較を示す図である。勾配形成エレメントを有する装置は、初期バーストを示さず、ほぼゼロ次放出を示す。
【図20】 図19のために作成した理論的計算に従って構築された円錐台形の装置からの、クロロキンの実際の放出を示す図である。1:3比率について実験的に証明された通り、円柱状の勾配形成エレメントは、勾配形成エレメントが欠如しているディスペンサーと比べて、放出の初期バーストを鈍らせるばかりではなく、長時間にわたって、送達速度も高める。
【図21】 初期バーストに続いて、急速に指数関数的に減衰する円錐台形の溶質貯蔵器エレメントのみと対照的に、円柱状の勾配形成エレメントを有する円錐台形の溶質貯蔵器エレメントは、クロロキンをゼロ次方式で送達するようにデザインすることができることを示す図である。
【図22】 図21に示す装置による、クロロキンの累積送達を示す図である。
【図23】 薬物が1日じゅうずっと徐放されるようにデザインされた、円錐台形の溶質貯蔵器エレメントおよび円柱状の勾配形成エレメントからなるディスペンサーを示す図である。
【図24】 薬物負荷を、持続的様式で2日間にわたって送達するためには、図23に示すディスペンサーから、どのような幾何学的変更を必要とするかを示す図である。
【図25】 タンパク質を、低い一定速度で、約30日間送達するための非経口的装置に適した1つのデザインを示す図である。
【図26】 本発明の好ましい実施形態の製作工程における中間形を示す図である。
【図27】 一緒に一団にされる、12までのクロロキン含有ディスペンサーからの放出キネティクスを示す図である。

Claims (25)

  1. 少なくとも一つのディスペンサーを備えて、1種以上の溶質を連続的にほぼ一定の割合で放出するように構成されるデバイスであって、前記ディスペンサーが、
    i)流体不浸透性且つ溶質不浸透性の半球状の壁によって画定され半球貯蔵空間を備える溶質貯蔵レメントであって、前記貯蔵空間内に前記溶質が満たされている溶質貯蔵エレメントと
    ii)前記溶質貯蔵エレメントにおける円板状壁部の中央に開口して形成された円形の通路を構成するソースエレメントと、
    iii)前記ソースエレメントを構成する前記円形の通路に基部が繋がって設けられ、先端に向かって細くなる切頭体状の流体不浸透性且つ溶質不浸透性の壁によって画定されて、前記溶質貯蔵エレメントに貯蔵された溶質を放出させる切頭円錐体形状の通路を形成する勾配形成エレメントと、
    iv)前記ディスペンサーから溶質の放出を行わせるために、前記勾配形成エレメントにおける円錐体形状の切頭部に形成される円形開口から構成される放出オリフィスとを有し
    前記溶質貯蔵エレメントを構成する半球形状の半径をRsrで示し、前記ソースエレメントを構成する円形通路の半径をRseで示すときに
    Rsr/Rse≧2 の条件を満足し
    前記勾配形成エレメントを構成する円錐形状の基部の半径をRseで示し、前記放出オリフィスの半径をRroで示し、前記勾配形成エレメントにおける前記ソースエレメントから前記放出オリフィスまでの高さをBで示すときに
    0.1(Rse 2 /Rro)≦ B ≦4(Rse 2 /Rro) の条件を満足することを特徴とするデバイス
  2. 前記勾配形成エレメントを構成する円錐形状が、10°〜35°の角を有する、請求項1に記載のデバイス
  3. 前記頂角が0°〜20°である、請求項2に記載のデバイス
  4. Rsr/Rse≧5 の条件を満足する、請求項1から3のいずれかに記載のデバイス
  5. Rsr/Rse≧10 の条件を満足する、請求項に記載のデバイス
  6. 0.1(Rse 2 /Rro)≦ B ≦2(Rse 2 /Rro) の条件を満足する、請求項1から5のいずれかに記載のデバイス
  7. 前記溶質貯蔵レメントが、初期濃度C0の溶質を含み、記溶質が拡散係数Dを有し、前記勾配形成エレメントを構成する円錐形状の頂角が2θであり、前記溶質が前記放出オリフィスからのある放出速度を有し、記放出速度が、
    Figure 0004955888
    (式中、iは、定常状態における、前記放出オリフィスからの溶質流動の前記速度である)によって与えられる、請求項1に記載のデバイス
  8. 少なくとも一つのディスペンサーを備えて、1種以上の溶質を連続的にほぼ一定の割合で放出するように構成されるデバイスであって、前記ディスペンサーが、
    i)流体不浸透性且つ溶質不浸透性の半球状の壁によって画定される半球状の貯蔵空間を備える溶質貯蔵エレメントであって、前記貯蔵空間内に前記溶質が満たされている溶質貯蔵エレメントと
    ii)前記溶質貯蔵エレメントにおける円板状壁部の中央に開口して形成された円形の通路を構成するソースエレメントと、
    iii)前記ソースエレメントを構成する前記円形の通路に一端部が繋がって設けられ、円柱体状の流体不浸透性且つ溶質不浸透性の壁によって画定されて、前記溶質貯蔵エレメントに貯蔵された溶質を放出させる円柱体形状の通路を形成する勾配形成エレメントと、
    iv)前記ディスペンサーからの溶質の放出を行わせるために、前記勾配形成エレメントの円形開口から構成される放出オリフィスと、を有し
    前記溶質貯蔵エレメントを構成する半球形状の半径をRsrで示し、前記ソースエレメントを構成する円形通路及び前記放出オリフィスの円形開口の半径をRscで示すときに
    Rsr/Rsc≧2 の条件を満足し
    前記勾配形成エレメントにおける前記ソースエレメントから前記放出オリフィスまでの高さをBで示すときに
    0.1Rsc≦ B ≦4Rsc の条件を満足することを特徴とするデバイス
  9. Rsr/Rsc≧5 の条件を満足する、請求項8に記載のデバイス
  10. Rsr/Rsc≧10 の条件を満足する、請求項に記載のデバイス
  11. 0.1Rsc≦ B ≦2Rsc の条件を満足する、請求項8から10のいずれかに記載のデバイス
  12. 前記溶質貯蔵エレメントが多孔性基体を含む、請求項1から11のいずれかに記載のデバイス
  13. 前記ディスペンサーが、円錐、円柱、球体、楕円、半球体、カプセル、ロッド、針、およびシートからなる群から選択される外形形状を有する、請求項1から12のいずれかに記載のデバイス
  14. 前記放出オリフィスが、予め選択された条件で可溶性である材料で被覆されている、請求項1から13のいずれかに記載のデバイス
  15. 前記材料が、予め選択されたpHで可溶性である、請求項14に記載のデバイス
  16. 前記1種以上の溶質が治療薬である、請求項1から15のいずれかに記載のデバイス
  17. 前記治療薬が、カルシウム塩、上皮小体ホルモン、降圧薬、利尿薬、交換神経遮断薬、血管拡張薬、カルシウムチャネルブロッカー、鎮痛薬、オピオイド、非ステロイド系抗炎症薬、抗ヒスタミン薬、抗鬱薬、催眠薬、鎮静薬、抗癲癇薬、抗不整脈薬、駆虫薬、抗菌薬、クロロキン、抗パーキンソン病薬、抗悪性腫瘍薬、避妊薬、血糖降下薬、電解質、ビタミン類、ミネラル、栄養補助食品、局所の麻酔薬、診断用薬、ペプチド成長因子、ホルモン類、サイトカイン類、刺激薬、アンフェタミン、メチルフェニデート、抗不安薬、ベンゾジアゼピン、造血薬、エリトロポエチン、幹細胞因子、インターロイキン、および
    それらの混合物からなる群から選択される、請求項16に記載のデバイス
  18. 前記1種以上の溶質がエリトロポエチンである、請求項1から16のいずれかに記載のデバイス
  19. 前記1種以上の溶質がクロロキンである、請求項1から16のいずれかに記載のデバイス
  20. 前記1種以上の溶質が、溶媒または薬学的に許容できる媒体に溶解している、請求項1から16のいずれかに記載のデバイス
  21. 前記1種以上の溶質が乾燥している、請求項1から16のいずれかに記載のデバイス
  22. 前記1種以上の溶質が水溶性でない、請求項1から16に記載のデバイス
  23. 前記1種以上の溶質が溶質改質剤を含む、請求項1から16のいずれかに記載のデバイス
  24. 少なくとも1つのデバイスを有するキットであって、前記少なくとも1つのデバイスは
    少なくとも一つのディスペンサーを備えて、1種以上の溶質を連続的にほぼ一定の割合で放出するように構成されるデバイスであって、前記ディスペンサーが、
    i)流体不浸透性且つ溶質不浸透性の半球状の壁によって画定され半球貯蔵空間を備える溶質貯蔵レメントであって、前記貯蔵空間内に前記溶質が満たされている溶質貯蔵エレメントと
    ii)前記溶質貯蔵エレメントにおける円板状壁部の中央に開口して形成された円形の通路を構成するソースエレメントと、
    iii)前記ソースエレメントを構成する前記円形の通路に基部が繋がって設けられ、先端に向かって細くなる切頭体状の流体不浸透性且つ溶質不浸透性の壁によって画定されて、前記溶質貯蔵エレメントに貯蔵された溶質を放出させる切頭円錐体形状の通路を形成する勾配形成エレメントと、
    iv)前記ディスペンサーから溶質の放出を行わせるために、前記勾配形成エレメントにおける円錐体形状の切頭部に形成される円形開口から構成される放出オリフィスと、を有し
    前記溶質貯蔵エレメントを構成する半球形状の半径をRsrで示し、前記ソースエレメントを構成する円形通路の半径をRseで示すときに
    Rsr/Rse≧2 の条件を満足し
    前記勾配形成エレメントを構成する円錐形状の基部の半径をRseで示し、前記放出オリフィスの半径をRroで示し、前記勾配形成エレメントにおける前記ソースエレメントから前記放出オリフィスまでの高さをBで示すときに
    0.1(Rse 2 /Rro)≦ B ≦4(Rse 2 /Rro)の条件を満足することを特徴とするデバイスであることを特徴とするキット
  25. 請求項8に記載の少なくとも一つのデバイスを含むキット
JP2001568394A 2000-03-21 2001-03-21 ディスペンサーを備えて構成されるデバイス、及びそのデバイスを有するキット Expired - Fee Related JP4955888B2 (ja)

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US19087800P 2000-03-21 2000-03-21
US60/190,878 2000-03-21
US22107000P 2000-07-27 2000-07-27
US60/221,070 2000-07-27
US09/798,777 2001-03-02
US09/798,777 US6569152B2 (en) 2000-03-21 2001-03-02 Sustained release delivery systems for solutes
PCT/US2001/008955 WO2001070196A2 (en) 2000-03-21 2001-03-21 Sustained release delivery systems for solutes

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2004503264A JP2004503264A (ja) 2004-02-05
JP2004503264A5 JP2004503264A5 (ja) 2008-11-27
JP4955888B2 true JP4955888B2 (ja) 2012-06-20

Family

ID=46149941

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001568394A Expired - Fee Related JP4955888B2 (ja) 2000-03-21 2001-03-21 ディスペンサーを備えて構成されるデバイス、及びそのデバイスを有するキット

Country Status (13)

Country Link
EP (1) EP1294356B1 (ja)
JP (1) JP4955888B2 (ja)
AU (2) AU4762101A (ja)
BR (1) BR0109495A (ja)
CA (1) CA2404112A1 (ja)
CY (1) CY1106831T1 (ja)
DE (1) DE60128686T2 (ja)
DK (1) DK1294356T3 (ja)
IL (1) IL151733A (ja)
MX (1) MXPA02009356A (ja)
NO (1) NO20024462L (ja)
SI (1) SI1294356T1 (ja)
WO (1) WO2001070196A2 (ja)

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6363610A (ja) * 1986-09-04 1988-03-22 ファイザー・インコーポレーテッド 有効物質の制御放出製剤

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3113076A (en) * 1956-07-03 1963-12-03 Henry R Jacobs Medicinal tablets
DE3809978A1 (de) * 1988-03-24 1989-10-05 Lohmann Gmbh & Co Kg Reservoir fuer gesteuerte wirkstoffabgabe, dieses enthaltende vorrichtung, sowie verfahren zu deren herstellung und verwendung der vorrichtung
US5391378A (en) * 1993-02-22 1995-02-21 Elizabeth-Hata International, Inc. Two-part medicinal tablet and method of manufacture

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6363610A (ja) * 1986-09-04 1988-03-22 ファイザー・インコーポレーテッド 有効物質の制御放出製剤

Also Published As

Publication number Publication date
AU2001247621B2 (en) 2005-06-30
BR0109495A (pt) 2004-12-07
EP1294356B1 (en) 2007-05-30
WO2001070196A2 (en) 2001-09-27
MXPA02009356A (es) 2004-03-25
DE60128686D1 (de) 2007-07-12
DE60128686T2 (de) 2008-01-17
EP1294356A2 (en) 2003-03-26
NO20024462L (no) 2002-11-14
CA2404112A1 (en) 2001-09-27
AU4762101A (en) 2001-10-03
DK1294356T3 (da) 2007-10-01
WO2001070196A3 (en) 2002-03-21
NO20024462D0 (no) 2002-09-18
CY1106831T1 (el) 2012-05-23
SI1294356T1 (sl) 2007-12-31
JP2004503264A (ja) 2004-02-05
IL151733A (en) 2009-02-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4217898A (en) System with microporous reservoir having surface for diffusional delivery of agent
US3732865A (en) Osmotic dispenser
US4034756A (en) Osmotically driven fluid dispenser
US3995631A (en) Osmotic dispenser with means for dispensing active agent responsive to osmotic gradient
JP5687276B2 (ja) 涙点プラグからの薬剤のパルス放出
US7090861B2 (en) Sustained release delivery systems for solutes
TWI290054B (en) Sustained release drug delivery devices, methods of use, and methods of manufacturing thereof
ES2287103T3 (es) Microparticulas comprimidas para inyeccion seca.
KR0154545B1 (ko) 유위 거환용 오리피스 삽입체
NL192720C (nl) Osmotische inrichting voor de afgifte van een voor een gebruiksomgeving voordelig middel.
JPS596843B2 (ja) 薬剤供給体の製造法
JPS6234576A (ja) 有用薬物を受容体に投与するための制御された供与器具
PT90418B (pt) Processo para a preparacao de composicoes de revestimento farmaceutico de base aquosa para formas de dosagem
CN110730655B (zh) 可生物侵蚀的药物递送装置
NL8601981A (nl) Afgifteinrichting voor het in beheerste snelheid toedienen van een heilzaam middel.
EP0089548A1 (en) Osmotic drug delivery system
DK152482B (da) Osmotisk drevet organ til reguleret indgift af et aktivt middel til et vandigt, surt vaeskemiljoe
JPH07502252A (ja) 液状薬品の放出のための浸透性の投与系
TW201201782A (en) Punctal plugs for controlled release of therapeutic agents
Rewar et al. Pulsatile drug delivery system: an overview
FI104151B (fi) Laite vaikuttavan aineen luovuttamiseksi ohjatusti
JP4955888B2 (ja) ディスペンサーを備えて構成されるデバイス、及びそのデバイスを有するキット
KR20120014248A (ko) 누점 마개 내로 약제를 분배하기 위한 방법 및 장치
NL194820C (nl) Preparaat voor de afgifte van een op warmte reagerende samenstelling.
AU2001247621A1 (en) Sustained release delivery systems for solutes

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080307

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080919

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110610

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20110909

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20110916

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20111006

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20111014

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20111108

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20111115

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111209

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120302

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120316

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150323

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees