JP4955509B2 - シフト装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動変速機の変速位置を切り替えるシフト装置に関するものである。
従来、車両の自動変速機とシフト装置とを機械的に分離した、いわゆるバイワイヤ方式のシフト装置が普及しつつある。当該シフト装置にあっては、自動変速機の変速位置(接続状態)を切り換える際にユーザにより操作されるシフト操作手段としてのシフトレバーの操作位置を電気信号として検出して当該検出信号に基づき自動変速機の変速位置を電子的に切り換えることから、リンク機構等の機械的な構成が不要となる。このため、シフト装置の配設位置の制限が緩和されるとともに小型化が容易となるといった利点がある。
近年では、車室内スペースの確保又はシフト装置の設置スペースの節約等の観点から、シフト装置のいっそうの小型化が要求されている。こうした要望を受けて、例えば特許文献1に示されるように、前述したシフトレバーに代えて、設置対象に対して回転操作可能に設けられるロータリ式のシフトノブを前記シフト操作手段として採用することが検討されている。当該ノブは、単一の軸を中心として回転操作されるのみであることから、前述のシフトレバーを採用する場合に比べて、シフト装置の設置スペースを節約することができる。すなわち、シフトレバーを採用する場合には、当該レバーを所定の操作方向へ案内するシフトゲートを設ける必要があるのに対して、ロータリ式のシフトノブを採用する場合にはそのような案内手段は不要となる。
特開2002−254946号公報
前記文献1のシフト装置には、シフトノブの誤操作を防止する誤操作防止装置としてシフトノブの回転操作を規制するロック装置が設けられている。このロック装置は、ソレノイドのプランジャの進退動作に連動して、シフトノブに設けられた被係合部位に係合する係合位置と当該被係合部位に対する係合が解除される解除位置との間を変位する係合部材を備えてなる。係合部材が前記係合位置に保持されている状態にあっては、係合部材が被係合部位に係合することによりシフトノブの回転操作が規制される。また、係合部材が前記解除位置に保持されている状態にあっては、係合部材の被係合部位に対する係合が解除されることによりシフトノブの回転操作が許容される。
前記シフトノブが例えばパーキング位置に保持された状態においては、係合部材が係合位置に保持されることにより、シフトノブはその回転操作が規制された状態に保たれている。そして、車両を走行させる際には、次のようにしてシフトノブの回転操作の規制が解除される。すなわち、エンジンが始動された状態で、ブレーキペダルの踏み込み操作が検出されたことをもってソレノイドが駆動し、係合部材は係合位置から解除位置へ変位する。この後、シフトノブの回転操作を通じて、当該ノブの操作位置が切り換えられることにより、自動変速機の変速位置が当該ノブの操作位置に対応する位置に切り換えられる。
ところが、当該文献1のシフト装置においては、次のような問題が懸念されていた。すなわち、当該文献1のシフト装置にあっては、シフトノブを単に操作しただけでは当該ノブの回転操作の規制が解除されることはないものの、例えば不用意にブレーキペダルの踏み込み操作がなされて、意図せずシフトノブが回転操作されることが想定される。また、ソレノイドの不具合等、何らかの原因によりシフトノブの回転の規制ができなくなった場合にも意図しないシフトノブの回転操作がなされるおそれがある。このように、前記文献1のシフト装置においては、依然としてシフトノブの誤操作のおそれがあった。そしてこの点において、未だ改善の余地があった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、意図しない変速操作をより確実に抑制することができるシフト装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、車両の自動変速機の変速位置を切り替え操作するバイワイヤ方式のシフト装置において、車両側の取り付け対象に固定されるハウジングの外部に一部が露出するとともに当該ハウジングに対して回転操作可能かつ自身の回転中心軸に対し交わる方向である側方へスライド操作可能に設けられた軸状のシフト操作部材と、前記シフト操作部材と前記ハウジングとの間に設けられて当該シフト操作部材が前記自動変速機の変速位置に対応して設定される複数の回転操作位置のうちいずれか一へ回転操作されたときにのみ、当該一の回転操作位置に対応する変速位置への切り替えを確定させる操作として当該シフト操作部材の側方へのスライド操作を許容するスライド規制手段と、前記シフト操作部材が特定の回転操作位置へ回転操作された状態で側方へスライド操作されたことを検出しその検出信号を出力する検出手段と、前記検出手段からの検出信号に基づき当該特定の回転操作位置に対応する変速位置へ切り替えるための変速制御信号を生成して前記自動変速機へ出力する制御手段と、を備え、前記回転操作位置として前進位置及び中立位置及び後進位置の3つを設定したうえで、当該3つの回転操作位置はいずれも前記シフト操作部材を回転操作することにより選択可能とし、前記スライド規制手段は、前記3つの回転操作位置のいずれが選択されたときであれ、前記シフト操作部材の側方へのスライド操作を、前記3つの回転操作位置にそれぞれ対応する変速位置への切り替えを確定させる共通の操作として許容することをその要旨とする。
本発明によれば、自動変速機の変速位置を切り替える際には、シフト操作部材の回転操作及び側方へのスライド操作の2つの異なる方向への操作が必要であることから、ユーザの意図しない変速操作を好適に抑制することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシフト装置において、前記シフト操作部材の回転操作位置として、車両の前進中に作動される特定の車両機能に対応する手動操作位置をさらに設定し、前記スライド規制手段は、前記シフト操作部材の回転操作位置が前記前進位置へ切り替えられたときにのみ、前記手動操作位置に対応する特定の車両機能の作動を確定させる操作として当該シフト操作部材の前進位置に対応する変速位置への切り替えを確定させるスライド操作方向とは異なる他の方向へのスライド操作を許容し、前記制御手段は、前記シフト操作部材が前進位置へ回転操作された状態で当該前進位置に対応する変速位置への切り替えを確定させるスライド操作が行われた旨示す前記検出手段からの検出信号が入力された後に、前記他の側方へスライド操作された旨示す前記検出手段からの検出信号に基づき、前記手動操作位置に対応する車両機能を作動させることをその要旨とする。
本発明によれば、シフト操作部材を前進位置に切り替えると同時に手動変速位置に切り替えられる。そして、シフト操作部材の前進位置に対応する変速位置への切り替えを確定させるスライド操作、及び手動操作位置に対応する特定の車両機能の作動を確定させる他の方向へのスライド操作が共に許容される。したがって、シフト装置の変速操作性が確保される。なお、実際には、シフト操作部材が前進位置へ回転操作された状態で当該前進位置に対応する変速位置への切り替えを確定させるスライド操作が行われた後に、前記他の側方へスライド操作されることにより、前記手動操作位置に対応する車両機能が作動する。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のシフト装置において、前記スライド規制手段は、前記シフト操作部材の外周面にその周方向に所定間隔をおいて形成されるとともに前記ハウジングの内部に突出して設けられる嵌合部材に嵌合可能とされた、前記シフト操作部材の回転操作位置と同数の嵌合凹部を含み、各嵌合凹部は、前記シフト操作部材が各回転操作位置にあるときにのみ前記嵌合部材に対して嵌合可能に対応するように設けたことをその要旨とする。
本発明によれば、シフト操作部材にはその各回転操作位置に対応する嵌合凹部を、またハウジング側にはシフト操作部材の嵌合凹部に嵌合する嵌合突部を設けるといった簡単な構成により、シフト操作部材のスライド操作を好適に規制することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のシフト装置において、前記シフト操作部材にはその周方向へ延びる溝を形成し、また、前記検出手段は前記シフト操作部材の溝の回転軌跡に対応して配設される複数個のマイクロスイッチを備えるとともに、各マイクロスイッチは、前記シフト操作部材の回転操作位置に応じて、前記シフト操作部材の外周面に対応して前記シフト操作部材がスライド操作されたときに前記シフト操作部材の外周面に押圧されてオンする状態、及び前記シフト操作部材の溝に対応して前記シフト操作部材がスライド操作されたときに前記シフト操作部材の外周面に押圧されることなくオフに保たれる状態の2つの状態をとるように配設し、前記制御手段は、各マイクロスイッチから入力されるオン信号及びオフ信号の組み合わせに基づき、シフト操作部材が各回転操作位置のいずれの状態で当該回転操作位置に対応する変速位置への切り替えを確定する操作であるスライド操作が行われたのかを判断することをその要旨とする。
本発明によれば、制御手段は、各マイクロスイッチから入力されるオン信号及びオフ信号の組み合わせに基づき、シフト操作部材の各回転操作位置のうちいずれが確定されたのかを判断すればよいので、シフト操作部材の操作位置を検出するに際して、複雑な信号処理を行う必要がない。したがって、制御手段の演算負荷が抑制される。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載のシフト装置において、前記シフト操作部材の近傍に配設されて前記シフト操作部材の回転操作方向及びスライド操作方向を示すとともに前記制御手段により点灯制御される複数のインジケータを備え、前記制御手段は、前記シフト操作部材の回転操作位置に応じてその時々における操作可能な方向を示すインジケータのみを点灯制御することをその要旨とする。
本発明によれば、ユーザは、シフト操作部材の操作可能方向を視覚的に認識することができる。そして、点灯していないインジケータにより示される方向へシフト操作部材が無駄に操作されることが抑制される。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載のシフト装置において、前記シフト操作部材の外周面には、前記ハウジングの一部に係合することにより前記シフト操作部材の回転操作範囲を定められた回転角度範囲に規制するストッパ手段を設け、当該シフト操作部材の各回転操作位置は、前記回転角度範囲内において設定されてなることをその要旨とする。
本発明によれば、シフト操作部材の回転操作範囲を越える操作を簡単な構成により規制することができる。また、シフト操作部材の回しすぎが規制されることにより、当該シフト操作部材の操作性も確保される。
本発明によれば、意図しない変速操作をより確実に抑制することができる。
<第1の実施の形態>
以下、本発明に係るバイワイヤ方式のシフト装置を、エンジン及びモータを走行用の駆動源とするハイブリッド車両に適用した第1の実施の形態を図1〜図11(a)〜(d)に基づいて説明する。まず、シフト装置の操作概要を説明する。
<シフト装置の操作概要>
図1に示すように、車室内の例えばインストルメントパネル10において、運転席の左前方に位置する部位には、ユーザの操作を通じて自動変速機の変速位置(ギヤ段)を切り替えるシフト装置11が設けられている。図2に示すように、シフト装置11は、取付け対象であるインストルメントパネル10に開口して形成された取り付け部位としての収容部10aに装着される直方体状のハウジング21、及び当該ハウジング21の収容部10aから露出する1つの側面である意匠面21aに設けられた円柱状のノブ22を備えてなる。
図3に示されるように、ノブ22は、意匠面21aに対して回転中心軸Oを中心として回転可能に、且つ当該回転中心軸Oに交わる2つの方向へスライド可能に設けられている。本実施の形態では、ノブ22は、図3に矢印X,Yで示されるように、互いに直交する2つの方向へ変位可能とされている。
ノブ22には、自動変速機の変速位置に対応する複数の回転操作位置として、後進位置「R」、中立位置「N」及び前進位置「D」が、また車両の特定の機能(ここでは、モータによる回生ブレーキ)に対応する回転操作位置として手動操作位置「B」が設定されている。そして、ノブ22の表面には、当該ノブ22の回転操作位置として設定される後進位置「R」、中立位置「N」、前進位置「D」、及び手動操作位置「B」を示す4つのインジケータ22r,22n,22d,22bが設けられている。これらインジケータ22r,22n,22d,22bは、アルファベッド「R」、「N」,「D」,「B」の形状に形成されている。
中立位置「N」を示すインジケータ22nは、ノブ22をその回転中心軸O側から見たとき、同回転中心軸Oに直交し且つノブ22の水平方向に延びる中心軸On上に設けられている。同じく後進位置「R」を示すインジケータ22rは、前記中心軸Onに対してノブ22の左回転方向において所定角度θ1をなす中心軸Or上に設けられている。同じく前進位置「D」を示すインジケータ22dは、前記中心軸Onに対してノブ22の右回転方向において所定角度θ2をなす中心軸Od上に設けられている。同じく手動操作位置「B」を示すインジケータ22bは、前記中心軸Onに直交し垂直方向へ延びる中心軸Opに対してノブ22の右回転方向において所定角度θ3をなす中心軸Ob上に設けられている。本実施の形態では、所定角度θ2及び所定角度θ3は同じ値とされている。
ハウジング21の意匠面21aにおいて、ノブ22の近傍には、当該ノブ22の回転操作方向を示す2つのインジケータ23a,23b、及び当該ノブ22のスライド操作方向を示すインジケータ24a,24bが設けられている。インジケータ23aはノブ22の右回転方向を示す矢印形状に、インジケータ23bはノブ22の左回転方向を示す矢印形状に形成されている。また、インジケータ24aはノブ22のスライド操作方向として矢印X方向(図3の右方)を示す矢印形状に、インジケータ24bはノブ22のスライド操作方向として矢印Y方向(図3の下方)を示す矢印形状に形成されている。各インジケータ23a,23b及びインジケータ24a,24bは、ノブ22がこれらの示す方向への操作が可能な状態であるときに点灯する。
ノブ22の回転操作方向を示す2つのインジケータ23a,23bは、シフト装置11をノブ22側から見たときに、水平方向へ延びる中心軸Onを間に挟んで互いに対向するように配設されている。また、ノブ22の右方へのスライド操作方向を示すインジケータ24aは、シフト装置11をノブ22側から見たときに、水平方向へ延びる中心軸Or上に位置するように配設されている。さらに、ノブ22の下方へのスライド操作方向を示すインジケータ24bは、シフト装置11をノブ22側から見たときに、垂直方向へ延びる中心軸Op上に位置するように配設されている。
ユーザは自動変速機の変速位置を切り替える際には、ノブ22を所望の変速位置(ギヤ段)に対応する特定の回転操作位置へ回転操作し、当該回転操作位置を保持した状態で当該ノブ22を図3に矢印Xで示される側方へスライド操作する。これにより、自動変速機において所望の変速位置への切り替えが実行される。本実施の形態では、ノブ22は、車両を前進させる際には前進位置「D」に、車両の駆動源の動力伝達を遮断する際には中立位置「N」に、車両を後進させる際には後進位置「R」に切り替えられる。すなわち、各回転操作位置を示す各インジケータ22r,22n,22dが、水平方向へ延びる中心軸On上に位置するようにノブ22を回転させ、その位置において当該ノブ22を矢印X方向へスライドさせる。
ここで、前述したように、所定角度θ2と所定角度θ3とは同じ値とされていることから、前進位置「D」を示すインジケータ22dが中心軸On上に位置するようにノブ22を回転させたとき、手動操作位置「B」を示すインジケータ22bは、垂直方向へ延びる中心軸Op上に位置する。すなわち、ノブ22を前進位置「D」に切り替えると同時に手動操作位置「B」にも切り替えられる。そして、この位置においてのみノブ22は矢印Y方向へスライド操作可能とされている。ノブ22が前進位置「D」に切り替えられる車両の前進走行中において、矢印Y方向へノブ22がスライド操作されると、手動操作位置「B」に対応する車両の機能が作動する。本実施の形態では、車両の走行用の駆動源を構成するモータによる回生ブレーキがかかる。
<シフト装置の詳細構成>
次に、前述のようなノブ22の操作が許容されるシフト装置の構成について詳細に説明する。
図4(a)に示すように、ノブ22のハウジング21側の側面には、ノブ22の回転中心軸Oに沿う方向へ延びる円柱状の軸部材31が同軸状に設けられている。軸部材31の外径はノブ22の外径よりも小さく設定されている。この軸部材31はノブ22とともに本発明のシフト操作部材を構成する。
図4(b)に示すように、ハウジング21において、ノブ22の取り付け部位である意匠面21aには、軸部材31を挿通可能とした横断面円形状の挿通穴32が開口して形成されている。挿通穴32の内径は軸部材31の外径よりも大きく且つノブ22の外径よりも小さく設定されている。当該挿通穴32には軸部材31が外方から挿通されている。そして、軸部材31は、ハウジング21に対して、回転可能、且つ軸部材31の外周面と挿通穴32の内周面との隙間の分だけ当該軸部材31の径方向へスライド可能に保持されている。
<軸部材の保持機構>
軸部材31は、次のような態様で挿通穴32の内部に保持されている。すなわち、図6に示すように、挿通穴32の内周面において、軸部材31の軸方向における中央部に対応する部位には、第1及び第2の突部33a,33bが周方向において所定間隔をおいて形成されている。第1及び第2の突部33a,33bは、軸部材31のほぼ全長にわたって形成されている。挿通穴32をその軸方向から見たとき、第1の突部33aは、挿通穴32の内周面において、水平方向へ延びる中心軸On上であって且つ図6に矢印Xで示されるノブ22の水平方向におけるスライド操作方向と反対側の部位に形成されている。同じく第2の突部33bは、挿通穴32の内周面において、垂直方向へ延びる中心軸Op上であって且つ図6に矢印Yで示されるノブ22の垂直方向におけるスライド操作方向と反対側の部位に形成されている。
また、挿通穴32の内周面において、水平方向へ延びる中心軸On上であって図6に矢印Xで示されるノブ22の水平方向におけるスライド操作方向と同じ側の部位(図6中、右側部)には、軸部材31をノブ22の前記水平方向におけるスライド操作方向と反対側へ常時付勢する第1の付勢機構34が設けられている。挿通穴32の内周面において、垂直方向へ延びる中心軸Op上であって図6に矢印Yで示されるノブ22の垂直方向におけるスライド操作方向と同じ側の部位(図6中、下部)には、軸部材31をノブ22の前記垂直方向におけるスライド操作方向と反対側へ常時付勢する第2の付勢機構35が設けられている。
これら第1及び第2の付勢機構34,35は、挿通穴32の内周面に開口して形成されたばね収容部34a,35aに収容された圧縮コイルばね34b,35b、及びこれら圧縮コイルばね34b,35bの弾性力によりばね収容部34a,35aから突出する方向へ常時付勢される押し子34c,35cを備えてなる。2つの押し子34c,35cはばね収容部34a,35aに沿って変位可能に設けられている。そして、押し子34c,35cのばね収容部34a,35aから突出する方向への変位は、これら押し子34c,35cの先端部が軸部材31の外周面に当接することにより規制される。
したがって、軸部材31は、第1の付勢機構34の押し子34cにより図6に矢印Xで示される水平方向におけるスライド操作方向と反対側へ常時付勢されるとともに、第2の付勢機構35の押し子35cにより図6に矢印Yで示される垂直方向におけるスライド操作方向と反対側へ常時付勢される。そして、軸部材31の図6に矢印Xで示される水平方向におけるスライド操作方向と反対側への変位は当該軸部材31の外周面が第1の突部33aに当接することにより、また図6に矢印Yで示される垂直方向におけるスライド操作方向と反対側への変位は当該軸部材31の外周面が第2の突部33bに当接することにより規制される。すなわち、軸部材31は、押し子34cを通じて第1の突部33aに押し付けられることにより挿通穴32の内部における水平方向における位置決めがなされるとともに、押し子35cを通じて第2の突部33bに押し付けられることにより挿通穴32の内部における垂直方向における位置決めがなされる。このようにして、軸部材31は、挿通穴32の内部に保持されている。
ノブ22が回転操作された場合には、軸部材31の外周面が第1及び第2の突部33a,33bの先端部及び押し子34c,35cの先端部に対して相対的に摺動することにより、当該軸部材31は前述した位置決め状態でノブ22の回転中心軸Oを中心として回転する。ノブ22が図6に矢印Xで示される水平方向へスライド操作された場合には、軸部材31は第1の付勢機構34を構成する圧縮コイルばね34bの弾性力に抗して同矢印Xで示される水平方向へ変位する。ノブ22が図6に矢印Yで示される垂直方向へスライド操作された場合には、軸部材31は第2の付勢機構35を構成する圧縮コイルばね35bの弾性力に抗して同矢印Yで示される垂直方向へ変位する。ノブ22に対する矢印Xで示される水平方向及び矢印Yで示される垂直方向への操作力が解除された場合には、軸部材31は、第1及び第2の付勢機構34,35を構成する圧縮コイルばね34b,35bの弾性力により、第1及び第2の突部33a,33bに当接する原位置(元の位置)へ復帰する。
<スライド規制手段>
また、軸部材31には、ノブ22が前述した複数の回転操作位置のうちいずれか一へ回転操作されたときにのみ、当該一の回転操作位置に対応する変速位置への切り替えを確定させる操作として当該ノブ22の側方へのスライド操作を許容するスライド規制手段として次のような構成が設けられている。すなわち、図5(a)に示されるように、軸部材31の外周面におけるノブ22寄りには、当該ノブ22の回転操作位置と同数(ここでは、4つ)の嵌合凹部41r,41n,41d,41bが形成されている。なお、図5(a)では、3つの嵌合凹部41r,41n,41dのみが示されている。
図7に示すように、4つの嵌合凹部41r,41n,41d,41bは、前述したノブ22の回転操作位置である後進位置「R」、中立位置「N」、前進位置「D」及び手動操作位置「B」に対応して形成されている。
中立位置「N」に対応する嵌合凹部41nは、軸部材31をその軸方向から見たとき、当該軸部材31の水平方向へ延びる中心軸On上であって且つ図6に矢印Xで示されるノブ22の水平方向におけるスライド操作側の部位(図7中、右側部)に設けられている。後進位置「R」に対応する嵌合凹部41rは、軸部材31をその軸方向から見たとき、前記中心軸Onに対して軸部材31の左回転方向において所定角度θ1をなす中心軸Or上に嵌合凹部41nと隣り合うように設けられている。前進位置「D」に対応する嵌合凹部41dは、軸部材31をその軸方向から見たとき、前記中心軸Onに対して軸部材31の右回転方向において所定角度θ2をなす中心軸Od上に嵌合凹部41nと隣り合うように設けられている。手動操作位置「B」に対応する嵌合凹部41bは、軸部材31をその軸方向から見たとき、前記中心軸Onに直交する中心軸Opに対して軸部材31の右回転方向において所定角度θ3をなす中心軸Ob上に嵌合凹部41dと隣り合うように設けられている。本実施の形態では、所定角度θ2及び所定角度θ3は同じ値とされている。
一方、挿通穴32の内周面において、軸部材31をその軸方向から見たとき、水平方向へ延びる中心軸On上であって図7に矢印Xで示されるノブ22の水平方向におけるスライド操作側の部位(図7中、右内側部)には、3つの嵌合凹部41r,41n,41dに嵌合する第1の嵌合突部42aが形成されている。また、挿通穴32の内周面において、軸部材31をその軸方向から見たとき、垂直方向へ延びる中心軸Op上であって図7に矢印Yで示されるノブ22の垂直方向におけるスライド操作側の部位(図7中、下内側部)には、嵌合凹部41bに嵌合する第2の嵌合突部42bが形成されている。第1及び第2の嵌合突部42a,42bの挿通穴32の内周面からの突出高さは、軸部材31の外周面が前述した第1及び第2の突部33a,33bの先端部に当接した状態における当該軸部材31の外周面と挿通穴32の内周面との距離よりも小さく設定されている。
したがって、ノブ22の回転操作を通じて、前述した3つの嵌合凹部41r,41n,41dのうちいずれか一が第1の嵌合突部42aに対向する位置まで回転したときに、当該軸部材31は水平方向へ延びる中心軸Onに沿って矢印Xで示される方向(図7中、右側)へスライド操作可能となる。すなわち、3つの嵌合凹部41r,41n,41dのうちいずれか一が第1の嵌合突部42aに対向した状態において、ノブ22が矢印X方向へスライド操作された場合には、軸部材31は第1の付勢機構34を構成する圧縮コイルばね34bの弾性力に抗して矢印X方向へ変位する。このとき、3つの嵌合凹部41r,41n,41dのうちいずれか一には第1の嵌合突部42aが嵌合することにより、軸部材31の右側への変位が許容される。3つの嵌合凹部41r,41n,41dのいずれも第1の嵌合突部42aに対応しない状態においては、軸部材31の外周面に第1の嵌合突部42aの先端部が当接することにより、当該軸部材31の矢印X方向への変位が規制される。ノブ22に対する矢印X方向へのスライド操作力が解除されたときには、軸部材31は圧縮コイルばね34bの弾性力により、当該軸部材31の外周面が第1の突部33aの先端部に当接する水平方向における原位置に復帰する。
また、ノブ22の回転操作を通じて、前進位置「D」に対応する嵌合凹部41dが第1の嵌合突部42aに対向する位置まで回転したとき、手動操作位置「B」に対応する嵌合凹部41bは第2の嵌合突部42bに対向する。これは、前述したように、軸部材31をその軸方向から見たとき、前進位置「D」に対応する嵌合凹部41dの中心軸Odと水平方向へ延びる中心軸Onとのなす所定角度θ2と、手動操作位置「B」に対応する嵌合凹部41bの中心軸Obと垂直方向へ延びる中心軸Opとのなす所定角度θ3とが同じ値とされているからである。
そして、前進位置「D」に対応する嵌合凹部41dが第1の嵌合突部42aに対向した状態において、ノブ22のスライド操作を通じて軸部材31が矢印Y方向へ変位したとき、当該嵌合凹部41bには第2の嵌合突部42bが嵌合することにより軸部材31の矢印Y方向への変位が許容される。手動操作位置「B」に対応する嵌合凹部41bが第2の嵌合突部42bに対応しない状態において軸部材31が矢印Y方向へ変位した場合には、当該軸部材31の外周面に第2の嵌合突部42bの先端部が当接することにより、当該軸部材31の矢印Y方向への変位が規制される。ノブ22に対する矢印Y方向へのスライド操作力が解除されたときには、軸部材31は第2の付勢機構35を構成する圧縮コイルばね35bの弾性力により、当該軸部材31の外周面が第2の突部33bの先端部に当接する垂直方向における原位置に復帰する。
通常、ノブ22は中立位置「N」に対応するインジケータ22nが、矢印X方向を示すインジケータ24aに対応する位置に保持されるとともに、軸部材31は中立位置「N」に対応する嵌合凹部41nが第1の嵌合突部42aに対向した中立状態に保持される。そして、この中立状態において、ノブ22の右回転操作を通じて軸部材31が所定角度θ1だけ右方向へ回転されることにより、後進位置「R」に対応する嵌合凹部41rは第1の嵌合突部42aに対向する。また、前述の中立状態において、軸部材31が右方向へ所定角度θ2(=θ3)だけ回転されることにより、前進位置「D」に対応する嵌合凹部41dは第1の嵌合突部42aに、手動操作位置「B」に対応する嵌合凹部41bは第2の嵌合突部42bに対向する。
このように、ノブ22が、複数の回転操作位置「R」,「N」,「D」のうちいずれか一へ回転操作されたときにのみ当該ノブ22の矢印X方向へのスライド操作が、またノブ22が回転操作位置「D」に回転操作されたときには矢印Y方向へのスライド操作が併せて許容される。
<ストッパ手段>
ここで、軸部材31の外周面において、嵌合凹部41rの左回転側の開口端縁には第1の当接壁43aが、また嵌合凹部41dの右回転側の開口端縁には第2の当接壁43bが、当該軸部材31の径方向へ突設されている。第1の当接壁43aの嵌合凹部41r側の側面は当該嵌合凹部41rの内側面と面一とされている。第2の当接壁43bの嵌合凹部41d側の側面は当該嵌合凹部41dの内側面と面一とされている。第1及び第2の当接壁43a,43bの軸部材31の外周面からの突出高さは、軸部材31の外周面が前述した第1及び第2の突部33a,33bの先端部に当接した状態における当該軸部材31の外周面と第1及び第2の嵌合突部42a,42bの先端面との距離よりも大きく設定されている。
したがって、軸部材31の右方向への回転は、第1の当接壁43aの嵌合凹部41r側の側面が第1の嵌合突部42aに当接することにより規制される。また軸部材31の左方向への回転は、第2の当接壁43bの嵌合凹部41d側の側面が第1の嵌合突部42aに当接することにより規制される。すなわち、軸部材31は、第1の当接壁43aが第1の嵌合突部42aに当接する位置と、第2の当接壁43bが第1の嵌合突部42aに当接する位置との間において回転可能とされている。このように、第1及び第2の当接壁43a,43bは、軸部材31、ひいてはノブ22の回転操作範囲を定められた回転角度範囲に規制するストッパ手段として機能する。
<回転規制手段>
また、図5(a),(b)に示されるように、軸部材31の外周面において、嵌合凹部41r,41n,41d,41bが形成された部位よりもさらにノブ22側の部位には、3つの係合凹部51r,51n,51dが当該軸部材31の周方向において所定の間隔をおいて形成されている。図8に示されるように、各係合凹部51r,51n,51dは、軸部材31の外周面において、前述した3つの嵌合凹部41r,41n,41dが形成された部位と反対側の部位であって、且つ軸部材31をその軸方向(ノブ22の回転中心軸側)から見たとき、各嵌合凹部41r,41n,41dに対応するように配設されている。すなわち、各係合凹部51r,51n,51dは、前述したノブ22の回転操作位置である後進位置「R」、中立位置「N」、前進位置「D」及び手動操作位置「B」に対応して形成されている。
具体的には、中立位置「N」に対応する係合凹部51nは、軸部材31をその軸方向から見たとき、当該軸部材31の水平方向へ延びる中心軸On上であって且つ図8に矢印Xで示されるノブ22の水平方向におけるスライド操作側と反対側の部位(図8中、左側部)に設けられている。後進位置「R」に対応する係合凹部51rは、軸部材31をその軸方向から見たとき、前記中心軸Onに対して軸部材31の左回転方向において所定角度θ1をなす中心軸Orの延長線上に係合凹部51nと隣り合うように設けられている。前進位置「D」に対応する係合凹部51dは、軸部材31をその軸方向から見たとき、前記中心軸Onに対して軸部材31の右回転方向において所定角度θ2をなす中心軸Odの延長線上に係合凹部51nと隣り合うように設けられている。また、当該係合凹部51nは、その内底面が前記中心軸Odに直交し且つ係合凹部51nから離れる方向へ延びるように開口形成されている。以上のように、軸部材31の外周面において、係合凹部51nを基準としたとき、左回転側には係合凹部51rが、また右回転側には係合凹部51dが設けられている。
そして、ハウジング21の内部、正確には挿通穴32の内周面に開口して形成されたソレノイド収容部21bには、軸部材31の一部として前述した各係合凹部51r,51n,51dに係合して当該軸部材31の回転を規制する回転規制手段としてソレノイド機構52が設けられている。図8に示されるように、ソレノイド機構52は、軸部材31の各係合凹部51r,51n,51dが形成された部位に対向して配設される励磁コイル53、及び当該励磁コイル53の励磁状態に基づき軸部材31に対し近接する方向(矢印X方向)及び軸部材31に対し離間する方向(矢印Xと反対方向)へ変位するプランジャ54を備えてなる。軸部材31をその軸方向から見た状態において、プランジャ54の変位方向へ延びる中心軸と、水平方向へ延びる前記中心軸Onとが一致するように、励磁コイル53及びプランジャ54は設けられている。なお、励磁コイル53はソレノイドケース53aに収容されるとともに、プランジャ54はソレノイドケース53aの軸部材31側の側壁を貫通して設けられている。
プランジャ54の先端部には直方体状の係合部材55が連結されるとともに、当該係合部材55の先端面には各係合凹部51r,51n,51dに係合する係合突部55aが形成されている。この係合突部55aは、水平方向へ延びる前記中心軸On上に位置するように設けられている。このため、ノブ22の回転操作を通じて、軸部材31の前述した3つの嵌合凹部41r,41n,41dのうちのいずれか一が第1の嵌合突部42a(図7参照)に対向する位置まで回転したときに、係合突部55aは3つの係合凹部51r,51n,51dのうちのいずれか一と対向する。具体的には、中立位置「N」に対応する嵌合凹部41nが第1の嵌合突部42aに対向する状態にあっては、同じく中立位置「N」に対応する係合凹部51nが係合突部55aに対向する。後進位置「R」に対応する嵌合凹部41rが第1の嵌合突部42aに対向する状態にあっては、同じく後進位置「R」に対応する係合凹部51rが係合突部55aに対向する。前進位置「D」に対応する嵌合凹部41dが第1の嵌合突部42aに対向する状態にあっては、同じく前進位置「D」に対応する係合凹部51dが係合突部55aに対向する。
また、プランジャ54において、係合部材55の基端面とソレノイドケース53aの軸部材31側の側面との間には圧縮コイルばね56が装着されている。係合部材55は圧縮コイルばね56の弾性力により軸部材31に対して近接する方向へ常時付勢される。このため、励磁コイル53が非励磁状態である場合には、プランジャ54は圧縮コイルばね56の弾性力により伸長して係合突部55aは対応する各係合凹部51r,51n,51dのいずれか一に係合する状態に保持される。すなわち、ソレノイド機構52は、軸部材31、ひいてはノブ22の回転操作を規制する回転規制状態となる。これにより、ノブ22の回転操作位置が保持される。一方、励磁コイル53が励磁状態である場合には、プランジャ54は圧縮コイルばね56の弾性力に抗して収縮して当該係合突部55aの各係合凹部51r,51n,51dのいずれか一に対する係合が解除された状態となる。すなわち、ソレノイド機構52は、軸部材31、ひいてはノブ22の回転操作を許容する回転許容状態となる。このように、励磁コイル53への通電の有無により、係合部材55はその係合突部55aが各係合凹部51r,51n,51dのいずれか一に係合する回転規制位置(ロック位置)と、同じく各係合凹部51r,51n,51dのいずれか一に対する係合が解除される回転許容位置(アンロック位置)との間を変位する。
なお、ノブ22が前進位置「D」に切り替えられ、且つその回転操作が規制された状態にある場合であれ、手動操作位置「B」の確定操作である矢印Y方向へのスライド操作は許容される。これは前述したように、係合凹部51dは、その内底面が前記中心軸Odに直交し且つ係合凹部51nから離れる方向へ延びるように開口形成されているからである。この構成により、軸部材31、ひいてはノブ22の前進位置「D」から中立位置「N」又は後進位置「R」への回転を規制しつつ、矢印Y方向へのスライド操作が許容される。また、ソレノイド機構52が前述した回転規制状態にある場合、すなわち係合突部55aが各係合凹部51r,51n,51dに係合した状態にある場合であれ、軸部材31、すなわちノブ22の矢印X方向へのスライド操作は許容される。
<検出手段>
さらに、軸部材31の外周面において、当該軸部材31の先端寄りの部位には、当該軸部材31の周方向へ延びる長溝61が矢印Xで示されるスライド操作方向において開口するように形成されている。この長溝61の軸部材31の周方向における長さは、前述した第1及び第2の当接壁43a,43bと第1の嵌合突部42aとの係合関係に基づき決定される軸部材31の回転操作範囲に対応して設定されている。また、図9(a)に示されるように、長溝61は、ノブ22の回転操作位置が中立位置「N」とされているとき、水平方向へ延びる中心軸Onが当該長溝61の延びる方向における中心を通るように形成されている。
そして、ハウジング21の内部、正確には挿通穴32の内周面に開口して形成された図示しないスイッチ収容部には、軸部材31、ひいてはノブ22の各回転操作位置への回転操作及び各回転操作位置における矢印X、Y方向へのスライド操作を検出する手段として、第1〜第3のマイクロスイッチ62a,62b,62cが配設されている。これら第1〜第3のマイクロスイッチ61a〜61cは、前述の長溝61内に進入可能な程度の大きさとされている。
第1及び第2のマイクロスイッチ62a,62bは、図9(a)に示されるように、矢印Xで示されるノブ22のスライド操作側に設けられている。また、第1及び第2のマイクロスイッチ62a,62bは、ノブ22が中立位置「N」にある状態においては、長溝61の延びる方向において互いに対向する2つの内側面と軸部材31の外周面との境界部位に形成される2つの角部63a,63bに対応するように設けられている。したがって、第1及び第2のマイクロスイッチ62a,62bは、ノブ22が中立位置「N」に保持された状態で矢印X方向へスライド操作されたときには、前述した2つの角部63a,63bにより押圧されてオン動作する。
また、図9(b)に示されるように、ノブ22が中立位置「N」から後進位置「R」へ回転操作された場合には、長溝61は第1のマイクロスイッチ62aから外れ、且つ第2のマイクロスイッチ62bに対応する位置に保持される。したがって、ノブ22が後進位置「R」に保持された状態で矢印X方向へスライド操作されたときには、第1のマイクロスイッチ62aは軸部材31の外周面により押圧されてオン動作する。第2のマイクロスイッチ62bは長溝61に対して相対的に進入することにより押圧されることはなく、オフ状態に保たれる。
また、図9(c)に示されるように、ノブ22が中立位置「N」から前進位置「D」へ回転操作された場合には、長溝61は第1のマイクロスイッチ62aに対応し、且つ第2のマイクロスイッチ62bから外れた位置に保持される。したがって、ノブ22が前進位置「D」に保持された状態で矢印X方向へスライド操作されたときには、第1のマイクロスイッチ62aは長溝61に対して相対的に進入することにより押圧されることはなく、オフ状態に保たれる。第2のマイクロスイッチ62bは軸部材31の外周面により押圧されてオン動作する。
なお、第3のマイクロスイッチ62cは、垂直方向へ延びる中心軸Op上にあって、且つ矢印Yで示されるスライド操作側において軸部材31の外周面に対向して設けられている。前述したように、ノブ22は前進位置「D」にあるときにのみ矢印Yで示される方向へのスライド操作が可能となる。そして、図9(c)に示されるように、ノブ22が前進位置「D」に保持されている状態で、ノブ22が矢印Y方向へスライド操作されたときには、第3のマイクロスイッチ62cは軸部材31の外周面により押圧されてオン動作する。
<電気的な構成>
次に、前述のように構成されたシフト装置の電気的な構成について説明する。
図10に示すように、シフト装置11の電子制御装置71には、第1〜第3のマイクロスイッチ62a〜62c、ノブ22の回転操作位置を示す4つのインジケータ22r,22n,22d,22b、2つの矢印型のインジケータ24a,24b、並びにソレノイド機構52が接続されている。また、電子制御装置71には、ブレーキスイッチ72、車速センサ73、及び自動変速機74が接続されている。ブレーキスイッチ72は、図示しないブレーキペダルの踏み込み操作の有無を検出して、その検出信号としてブレーキ信号を出力する。車速センサ73は車両の走行速度を検出し、その検出信号として車速信号を出力する。
電子制御装置71は、車速センサ73からの車速信号及びブレーキスイッチ72からのブレーキ信号に基づきソレノイド機構52を作動制御する。すなわち、電子制御装置71は、車速センサ73から車両の走行速度が所定の速度判定閾値に達していない旨示す車速信号が入力され、且つブレーキスイッチ72からブレーキペダルが踏み込み操作された旨示すブレーキ信号が入力された場合には、励磁コイル53へ励磁電流を供給する旨示す作動制御信号をソレノイド機構52へ出力する。この結果、励磁コイル53に励磁電流が供給されて、ソレノイド機構52は、係合部材55の軸部材31に対する係合が解除された回転許容状態となる。
また、電子制御装置71は、ブレーキスイッチ72からブレーキペダルの踏み込み操作が解除された旨示すブレーキ信号が入力された状態であって、車両の走行速度が所定の速度判定閾値に達した旨判断したときには、励磁コイル53への励磁電流の供給を遮断する旨示す作動制御信号をソレノイド機構52へ出力する。この結果、励磁コイル53への励磁電流の供給が遮断されて、ソレノイド機構52は、係合部材55が軸部材31に係合する回転規制状態となる。
なお、所定の速度判定閾値は、例えば時速0km〜時速10km程度のいわゆる低速域の値に設定される。本実施の形態では、速度判定閾値は時速10kmに設定されている。
また、電子制御装置71は、第1〜第3のマイクロスイッチ62a〜62cからの検出信号であるオン信号及びオフ信号の組み合わせに基づき、ノブ22の回転操作位置を判定する。すなわち、電子制御装置71は、第1及び第2のマイクロスイッチ62a,62bの双方からオン信号が入力された場合には、ノブ22が中立位置「N」にあって、且つ当該中立位置「N」に対応する変速位置(ギヤ段)への切り替えを確定させる操作として矢印X方向へのスライド操作がなされた旨判断する。そして、電子制御装置71は、ノブ22の中立位置「N」に対応する変速位置へ切り替えるための変速制御信号Scを生成して自動変速機74へ出力する。
また、電子制御装置71は、第1のマイクロスイッチ62aからオン信号が、第2のマイクロスイッチ62bからオフ信号が入力された場合には、ノブ22が後進位置「R」にあって、且つ当該後進位置「R」に対応する変速位置への切り替えを確定させる操作として矢印X方向へのスライド操作がなされた旨判断する。そして、電子制御装置71は、ノブ22の後進位置「R」に対応する変速位置へ切り替えるための変速制御信号Scを生成して自動変速機74へ出力する。
また、電子制御装置71は、第1のマイクロスイッチ62aからオフ信号が、第2のマイクロスイッチ62bからオン信号が入力された場合には、ノブ22が前進位置「D」にあって、且つ当該前進位置「D」に対応する変速位置への切り替えを確定させる操作として矢印X方向へのスライド操作がなされた旨判断する。そして、電子制御装置71は、ノブ22の前進位置「D」に対応する変速位置へ切り替えるための変速制御信号Scを生成して自動変速機74へ出力する。
また、電子制御装置71は、第3のマイクロスイッチ62cからオン信号が入力された場合には、ノブ22が前進位置「D」、すなわち手動操作位置「B」にあって、且つ当該手動操作位置「B」に対応する車両機能の作動を確定させる操作として矢印Y方向へのスライド操作がなされた旨判断する。そして、電子制御装置71は、手動操作位置「B」に対応する車両機能を作動させる。本実施の形態では、電子制御装置71は、回生ブレーキをかけるべく車両の走行用の駆動源を構成するモータを制御する。
なお、手動操作位置「B」に対応する車両機能の作動は、前進位置「D」に対応する変速位置への切り替えを確定させる操作である矢印X方向へのスライド操作が検出されていることが前提となる。すなわち、前進位置「D」に対応する変速位置への切り替えを確定させる操作として矢印X方向へのスライド操作が行われた後でなければ、手動操作位置「B」に対応する車両機能の作動を確定させる操作として矢印Y方向へのスライド操作が行われたとしても、当該手動操作位置「B」に対応する車両機能は作動されない。この場合には、電子制御装置71は、ノブ22の中立位置「N」に対応する変速位置へ切り替えるための変速制御信号Scを生成して自動変速機74へ出力する。ちなみに、手動操作位置「B」に対応する車両機能が作動している状態で、前進位置「D」に対応する変速位置への切換を確定させる操作として矢印X方向へのスライド操作が行われた場合には、電子制御装置71は、中立位置「N」に対応する変速位置へ切り替えるための変速制御信号Scを生成して自動変速機74へ出力する。
さらに、電子制御装置71は、図示しない始動スイッチの操作により車両の電源が投入された場合には、ノブ22の回転操作位置を示す4つのインジケータ22r,22n,22d,22bを点灯させる。また、電子制御装置71は、ノブ22の回転操作方向を示す矢印形のインジケータ23a,23b、及びノブ22のスライド操作方向を示す矢印形のインジケータ24a,24bの点灯制御を行う。すなわち、電子制御装置71は、ノブ22の回転操作位置及び車両の状態に応じて、インジケータ23a,23b及びインジケータ24a,24bのうち操作可能である方向を示すインジケータのみを点灯させる。これにより、ノブ22の操作可能な方向をユーザの視覚に訴えて示唆することが可能となる。
具体的には、図11(a)に示されるように、ノブ22が中立位置「N」に切り替えられた場合には、電子制御装置71は、インジケータ23a,23b及びインジケータ24aを点灯させる。図11(b)に示されるように、ノブ22が後進位置「R」に切り替えられた場合には、電子制御装置71は、インジケータ23a,23b及びインジケータ24a,24bのすべてを消灯させる。図11(c)に示されるように、ノブ22が前進位置「D」に切り替えられた場合には、電子制御装置71は、矢印Yで示されるスライド操作方向を示すインジケータ24bのみを点灯させて、残りのインジケータ23a,23b並びにインジケータ24aのすべてを消灯させる。
ここで、電子制御装置71は、車両の後進走行中又は前進走行中であっても、前述したように車両の走行速度が所定の速度判定閾値未満であり且つブレーキペダルが踏み込み操作された場合には、ソレノイド機構52による軸部材31の回動規制状態を解除してノブ22の回転操作を許容する。しかし、車両が前進走行中に後進位置「R」に対応する変速位置に、又は車両の後進走行中に前進位置「D」に対応する変速位置に自動変速機74が切り替えられることは好ましくない。このため、実際にはノブ22の回転操作が許容されているものの、ノブ22が後進位置「R」に切り替えられている場合には、敢えてノブ22の回転操作方向を示すインジケータ23a,23b並びにスライド操作方向を示すインジケータ24a,24bのすべてを消灯状態に保つ。また、ノブ22が前進位置「D」に切り替えられている場合には、敢えてノブ22の矢印Yで示されるスライド操作方向を示すインジケータ24bのみを点灯させて、残りのインジケータ23a,23b並びにインジケータ24aのすべてを消灯させる。
なお、このことは、車両の後進走行中又は前進走行中において、車両の走行速度が所定の速度判定閾値未満であり且つブレーキペダルが踏み込み操作された場合に、実際に許容されているノブ22の操作方向を示すインジケータを点灯させることを除外するものではない。各インジケータの点灯制御は、搭載される車両の仕様等に応じて適宜変更して実施される。
<実施の形態の作用>
次に、前述のように構成されたシフト装置11の動作について説明する。ここで、駐車状態の車両においては、走行用の駆動源は停止状態であるとともに、自動変速機74の変速位置は駐車位置に保持されている。この駐車状態において、シフト装置11は、その初期状態として、次のような状態に保持されている。すなわち、ノブ22の回転操作位置は中立位置「N」に保持されている。また、ソレノイド機構52への励磁電流の供給は遮断された状態であって当該ソレノイド機構52は係合部材55が軸部材31に係合する回転規制状態に保持されている。
<駆動源始動>
さて、駐車状態の車両を走行させる場合、ユーザはまずブレーキペダルを踏み込み操作した状態で車両の走行用の駆動源を始動させるべく図示しない始動スイッチを操作する。ここではノブ22の回転操作位置が中立位置「N」に保持されていることから、電子制御装置71は、ノブ22の回転操作位置を示す4つのインジケータ22r,22n,22d,22b、ノブ22の回転操作方向を示す2つのインジケータ23a,23b、及びノブ22のスライド操作方向を示すインジケータ24aを点灯させる。また、電子制御装置71は、ブレーキスイッチ72から入力されるブレーキ信号に基づき、ブレーキペダルの踏み込み操作がなされたことを認識し、励磁コイル53に励磁電流を供給するべくソレノイド機構52へ作動制御信号を出力する。すると、ソレノイド機構52のプランジャ54は、軸部材31に対して離間する方向へ変位し、係合部材55は圧縮コイルばね56の弾性力に抗して係合突部55aが軸部材31の係合凹部51nに係合する回転規制位置(ロック位置)から当該係合突部55aの軸部材31に対する係合が解除される回転許容位置(アンロック位置)へ変位する。この結果、軸部材31は挿通穴32に対して相対的に回転可能な状態となり、ノブ22の回転操作が許容される。
そして、ユーザは、ノブ22の操作を通じて自動変速機74の変速位置を所望の変速位置に切り替える。
<後進時>
ここではまず車両を後進させる場合について説明する。この場合、ユーザはノブ22を中立位置「N」から後進位置「R」へ回転操作する。これにより、軸部材31の嵌合凹部41rはハウジング21側の第1の嵌合突部42aに対向し、軸部材31は当該第1の嵌合突部42a側へ変位可能となる。このとき、図9(b)に示されるように、軸部材31の長溝61は第1のマイクロスイッチ62aから外れ、且つ第2のマイクロスイッチ62bに対応する位置に保持される。
そして、ユーザにより、後進位置「R」に対応する自動変速機74の変速位置(ギヤ段)への切り替えを確定させるべくノブ22がインジケータ24aで示される側方へスライド操作されると、これが第1及び第2のマイクロスイッチ62a,62bにより検出される。すなわち、第1のマイクロスイッチ62aは、軸部材31の外周面により押圧されてオン動作してオン信号を出力する。第2のマイクロスイッチ62bは、長溝61に対して相対的に進入することにより押圧されることはなくオフ状態に保たれてオフ信号を出力する。
電子制御装置71は、第1のマイクロスイッチ62aからオン信号が、第2のマイクロスイッチ62bからオフ信号が入力された場合には、ノブ22が後進位置「R」に切り替えられて、且つ当該後進位置「R」に対応する変速位置への切り替えを確定させる操作としてインジケータ24aで示される側方へのスライド操作がなされた旨判断する。そして、電子制御装置71は、ノブ22の後進位置「R」に対応する変速位置へ切り替えるための変速制御信号Scを生成して自動変速機74へ出力する。
この後、ユーザは、図示しないパーキングブレーキスイッチの操作を通じてパーキングブレーキを解除して、図示しないアクセルペダルを踏み込むことにより、車両を後進させることができる。
なお、ノブ22の回転操作位置が後進位置「R」に保持された状態でインジケータ24aにより示される側方へスライド操作された後に当該ノブ22に対する操作力が解除された場合、軸部材31は、第1の付勢機構34の圧縮コイルばね34bの弾性力により、第1の突部33aに当接する原位置へ復帰する。これに伴って、ノブ22はインジケータ24aにより示される方向と反対方向へ変位して、図3に実線で示される水平方向における原位置に復帰する。車両の後進中において、ノブ22の回転操作位置は後進位置「R」に保持される。
電子制御装置71は、車速センサ73からの車速信号に基づき車両の走行速度を認識し、当該速度が定められた速度判定閾値に達した旨判断した場合には、励磁コイル53への励磁電流の供給を遮断するべくソレノイド機構52へ作動制御信号を出力する。すると、ソレノイド機構52のプランジャ54は、圧縮コイルばね56の弾性力により軸部材31に対して近接する方向へ変位し、係合部材55はその係合突部55aが軸部材31の係合凹部51rに係合する回転規制位置(ロック位置)へ変位する。この結果、軸部材31の回転、すなわちノブ22の回転操作が規制される。これにより、車両の後進中において、ノブ22の回転操作位置が後進位置「R」から中立位置「N」又は前進位置「D」へ切り替えられることが規制され、ユーザの意図しない変速操作が抑制される。
そして車両の後進中においては、電子制御装置71は、図11(b)に示されるように、インジケータ23a,23b及びインジケータ24a,24bのすべてを消灯させる。ユーザは、これらインジケータが示すいずれの方向へもノブ22を操作することができない旨視覚を通じて認識することが可能となる。このため、車両の後進中にノブ22が無駄に操作されることが抑制される。
前記ブレーキペダルの踏み込み操作が行われて車両が停止された場合、正確には車両の走行速度が所定の速度判定閾値を下回った場合には、電子制御装置71はこれをブレーキスイッチ72からのブレーキ信号及び車速センサ73からの車速信号に基づき認識し、ソレノイド機構52を回転許容状態とする。すなわち、電子制御装置71は、励磁コイル53へ励磁電流を供給するべくソレノイド機構52へ作動制御信号を出力する。すると、ソレノイド機構52のプランジャ54は、圧縮コイルばね56の弾性力に抗して軸部材31に対して離間する方向へ変位し、係合部材55はその係合突部55aと軸部材31の係合凹部51rとの係合が解除される回転許容位置(アンロック位置)へ変位する。この結果、軸部材31の回転、すなわちノブ22の回転操作が許容される。この後、ユーザは車両の駆動源を停止して降車するか、ノブ22の操作を通じて自動変速機74の変速位置を切り替えて再び車両を走行させるかする。
<前進時>
次に、前述した車両の後進後に車両を前進させる場合について説明する。この場合には、ユーザはノブ22を後進位置「R」から前進位置「D」へ回転操作する。これにより、軸部材31の嵌合凹部41dはハウジング21側の第1の嵌合突部42aに対向し、軸部材31は当該第1の嵌合突部42a側へ変位可能となる。このとき、図9(c)に示されるように、軸部材31の長溝61は第1のマイクロスイッチ62aに対応し、且つ第2のマイクロスイッチ62bから外れた位置に保持される。
そして、ユーザにより、前進位置「D」に対応する自動変速機74の変速位置(ギヤ段)への切り替えを確定させるべくノブ22がインジケータ24aで示される側方へスライド操作されると、これが第1及び第2のマイクロスイッチ62a,62bにより検出される。すなわち、第1のマイクロスイッチ62aは、長溝61に対して相対的に進入することにより押圧されることはなくオフ状態に保たれてオフ信号を出力する。第2のマイクロスイッチ62bは、軸部材31の外周面により押圧されてオン動作してオン信号を出力する。
電子制御装置71は、第1のマイクロスイッチ62aからオフ信号が、第2のマイクロスイッチ62bからオン信号が入力された場合には、ノブ22が前進位置「D」に切り替えられて、且つ当該前進位置「D」に対応する変速位置への切り替えを確定させる操作としてインジケータ24aで示される側方へのスライド操作がなされた旨判断する。そして、電子制御装置71は、ノブ22の前進位置「D」に対応する変速位置へ切り替えるための変速制御信号Scを生成して自動変速機74へ出力する。この後、ユーザは、前記パーキングブレーキスイッチの操作を通じてパーキングブレーキを解除し、前記アクセルペダルを踏み込むことにより車両を前進させることができる。
なお、ノブ22に対する操作力が解除された場合には、前述した車両の後進時と同様に、ノブ22は、図3に実線で示される水平方向における原位置に復帰する。また、車両の前進中において、ノブ22の回転操作位置は前進位置「D」に保持される。
そして、電子制御装置71は、車速センサ73を通じて車両の走行速度が前記速度判定閾値に達した旨判断した場合には、励磁コイル53への励磁電流の供給を遮断するべくソレノイド機構52へ作動制御信号を出力する。すると、ソレノイド機構52のプランジャ54は、圧縮コイルばね56の弾性力により軸部材31に対して近接する方向へ変位し、係合部材55はその係合突部55aが軸部材31の係合凹部51dに係合する回転規制位置(ロック位置)へ変位する。この結果、軸部材31の回転、すなわちノブ22の回転操作が規制される。これにより、車両の前進中に、ノブ22の回転操作位置が前進位置「D」から中立位置「N」又は後進位置「R」へ切り替えられることが規制され、ユーザの意図しない変速操作が抑制される。
また、ノブ22を前進位置「D」に切り替えた場合には、手動変速位置「B」にも同時に切り替わる。そして、前述したように、ノブ22が前進位置「D」に切り替えられた状態においては、インジケータ24bで示される側方(下方)へのスライド操作のみが許容される。すなわち、ノブ22のインジケータ23a,23bで示される方向への回転操作及びインジケータ24aで示される方向へのスライド操作はすべて規制される。したがって、車両の前進中において、電子制御装置71はノブ22の操作が許容された唯一のスライド操作方向を示すインジケータ24bのみを点灯させる。ユーザはインジケータ24bで示される側方へのスライド操作のみ行うことができる旨視覚を通じて認識することが可能となる。このため、車両の前進中にノブ22が無駄に操作されることが抑制される。
なお、インジケータ24aで示される方向へのスライド操作は、前述したように、構成上は許容される。しかし、ここでは車両の前進中において、ノブ22のインジケータ24aで示される方向へのスライド操作は推奨しないという趣旨で、敢えてインジケータ24aは消灯状態としており、この状態をスライド操作の規制という概念に含めて説明している。
車両の前進中において、ノブ22がインジケータ24bで示される側方へスライド操作された場合、第3のマイクロスイッチ62cは、軸部材31の外周面により押圧されてオン動作し、この旨示すオン信号を出力する。なお、ノブ22に対する操作力が解除された場合には、ノブ22は、第2の付勢機構35の圧縮コイルばね35bの弾性力により、図3に実線で示される垂直方向における原位置に復帰する。ノブ22の回転操作位置は前進位置「D」(手動操作位置「B」)に保持される。
電子制御装置71は、第3のマイクロスイッチ62cからオン信号が入力された場合には、ノブ22が手動操作位置「B」に対応する車両機能の実行を確定させる操作としてインジケータ24bで示される側方へのスライド操作がなされた旨判断する。なお、当該判断は、前述したように、前進位置「D」に対応する変速位置への切り替えを確定させる操作として矢印X方向へのスライド操作が行われた後に、第3のマイクロスイッチ62cからオン信号が入力されたことが前提となる。そして本実施の形態では、手動操作位置「B」に対応する機能として、車両の走行用の駆動源を構成するモータの発電動作による回生ブレーキを作動させるスイッチ機能が割り当てられている。このため、ノブ22のインジケータ24bで示される側方へのスライド操作により回生ブレーキがかかる。
前記ブレーキペダルの踏み込み操作が行われて車両が停止された場合、正確には車両の走行速度が所定の速度判定閾値を下回った場合には、電子制御装置71はこれをブレーキスイッチ72からのブレーキ信号及び車速センサ73からの車速信号に基づき認識し、ソレノイド機構52を回転許容状態とする。この結果、ノブ22の回転操作が許容されて、ユーザはノブ22を任意の回転操作位置に切り替え可能となる。始動スイッチの操作を通じて車両の電源がオフとされた場合には、励磁コイル53への励磁電流の供給が遮断されることから、ソレノイド機構52は軸部材31の回転を規制する回転規制状態となる。
なお、駐車中において、車両を前進させる場合には、前述と同様に、ノブ22を中立位置「N」から前進位置「D」へ切り替えて、インジケータ24aの示す側方へスライド操作すればよい。
<中立状態>
次に、自動変速機74を中立状態とする場合について説明する。まず駐車中において、シフト装置11が前述した初期状態にある場合には、ノブ22は中立位置「N」に保持されている。このとき、軸部材31の嵌合凹部41nはハウジング21側の第1の嵌合突部42aに対向し、軸部材31は当該第1の嵌合突部42a側へ変位可能となる。このとき、図9(a)に示されるように、軸部材31の長溝61は第1及び第2のマイクロスイッチ62a,62bの双方から外れた位置に保持される。すなわち、第1及び第2のマイクロスイッチ62a,62bは、長溝61の延びる方向において互いに対向する2つの内側面と軸部材31の外周面との境界部位に形成される2つの角部63a,63bに対応する。
このようにノブ22の回転操作位置が中立位置「N」に保持された状態で、ユーザにより、中立位置「N」に対応する自動変速機74の変速位置への切り替えを確定させるべくノブ22がインジケータ24aで示される側方へスライド操作されると、これが第1及び第2のマイクロスイッチ62a,62bにより検出される。すなわち、第1及び第2のマイクロスイッチ62a,62bは、前述した2つの角部63a,63bに押圧されることによりオン動作してオン信号を出力する。
電子制御装置71は、第1及び第2のマイクロスイッチ62a,62bの双方からオン信号が入力された場合には、ノブ22が中立位置「N」に切り替えられて、且つ当該中立位置「N」に対応する変速位置への切り替えを確定させる操作としてインジケータ24aで示される側方へのスライド操作がなされた旨判断する。そして、電子制御装置71は、ノブ22の中立位置「N」に対応する変速位置へ切り替えるための変速制御信号Scを生成して自動変速機74へ出力する。これにより、自動変速機74は、車両の走行用の駆動源の動力伝達を遮断する状態となる。
なお、ノブ22に対する操作力が解除された場合には、前述した車両の後進時及び前進時と同様に、ノブ22は、第1の付勢機構34の圧縮コイルばね34bの弾性力により、図3に実線で示される水平方向における原位置に復帰する。ノブ22の回転操作位置は中立位置「N」に保持される。
停車中においては、ソレノイド機構52は回転許容状態とされることから、ノブ22のインジケータ23a,23bで示される方向への回転操作及びインジケータ24aで示される方向へのスライド操作はすべて許容され、インジケータ24bで示される方向へのスライド操作のみが規制される。このとき、電子制御装置71は、図11(a)に示されるように、インジケータ23a,23b及びインジケータ24aを点灯させるとともに、インジケータ24bのみを消灯させる。ユーザは、これらインジケータの点灯状態に基づきノブ22の操作が許容される方向及びノブ22の操作が規制される方向を、視覚を通じて認識することが可能となる。このため、ノブ22が無駄に操作されることが抑制される。
一方、車両の後進時又は前進時においては、前述したように、ソレノイド機構52は回転規制状態とされてノブ22の回転操作位置は後進位置「R」又は前進位置「D」に保持される。このため、車両の後進時又は前進時においてノブ22の回転操作位置を、中立位置「N」へ切り替える場合には、前記ブレーキペダルの踏み込み操作を通じて車両を停止させればよい。これにより、ブレーキペダルの踏み込み操作がなされ且つ車両の走行速度が所定の速度判定閾値未満であるというソレノイド機構52を回転規制状態から回転許容状態とするための動作条件(以下、「アンロック条件」という。)が満足される。
なお、ソレノイド機構52のアンロック条件については、車両の仕様等により適宜変更することも可能である。
<実施の形態の効果>
従って、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)軸部材31の外周面には、ノブ22の回転操作位置に対応する3つの嵌合凹部41r,41n,41dを形成した。また、ハウジング21の挿通穴32の内周面には各嵌合凹部41r,41n,41dに嵌合する第1の嵌合突部42aを形成した。そして、ノブ22が各回転操作位置に回転操作されたときに、各嵌合凹部41r,41n,41dは第1の嵌合突部42aに対向するようにした。このため、ノブ22の操作を通じて自動変速機の変速位置に対応して設定される複数の回転操作位置のうちいずれか一へ回転操作されたときにのみ、当該一の回転操作位置に対応する変速位置への切り替えを確定させる操作として当該ノブ22の側方へのスライド操作が許容される。すなわち、自動変速機74の変速位置を切り替える際には、ノブ22の回転操作及び側方へのスライド操作の2つの異なる方向への操作が必要であることから、ユーザの意図しない変速操作(シフト装置11の誤操作)を好適に抑制することができる。
(2)また、前述したように、軸部材31の各嵌合凹部41r,41n,41dと挿通穴32の内周面に設けられた第1の嵌合突部42aとの対応関係により、ノブ22のスライド操作を規制するようにした。このため、軸部材31にはノブ22の各回転操作位置に対応する嵌合凹部41r,41n,41dを、また挿通穴32には第1の嵌合突部42aを設けるといった簡単な構成により、ノブ22のスライド操作を好適に規制することができる。
(3)また、軸部材31の一部として3つの係合凹部51r,51n,51dに係合して前記一の回転操作位置にあるノブ22の他の回転操作位置への回転操作を規制する回転規制手段としてソレノイド機構52を設けた。当該ソレノイド機構52よりノブ22の回転操作が規制されることにより、意図しない変速操作をより確実に抑制することができる。ここで、当該ソレノイド機構の不具合等により、軸部材31の回転の規制が好適に行われない状況も想定されるところ、このような場合であれ、自動変速機74の変速位置を切り替える際には、ノブ22の回転操作及び側方へのスライド操作の2つの異なる方向への操作が必要であることから、シフト装置11の誤操作を抑制することができる。
(4)さらに、ノブ22の回転操作を規制する回転規制手段として、ソレノイド機構52を採用した。そして、当該ソレノイド機構52の励磁コイル53への通電の有無に基づき、当該ソレノイド機構52の係合部材55は、軸部材31の回転を規制する回転規制位置と、同じく回転を許容する回転許容位置との間を変位するようにした。電子制御装置71は、励磁コイル53に対する通電のオン及びオフを制御するだけでよいことから、ノブ22の回転を規制するに際して複雑な制御は不要である。すなわち、簡単な制御により、ノブ22の回転を好適に規制することができる。電子制御装置71の演算負荷の増大も抑制される。
(5)ノブ22の回転操作位置として、自動変速機74の各変速位置に対応する前進位置「D」、中立位置「N」及び後進位置「R」、並びに車両の前進走行中に行われる特定の機能に対応する手動操作位置「B」を設定した。そして、軸部材31の外周面には、手動操作位置「B」に対応する嵌合凹部41bを、また挿通穴32の内周面には当該嵌合凹部41bに嵌合する第2の嵌合突部42bを設けた。そして、ノブ22が前進位置「D」に回転操作されたときにのみ嵌合凹部41bは第2の嵌合突部42bに対向するようにした。このため、ノブ22が前進位置「D」へ回転操作されたときにのみ、手動操作位置「B」に対応する車両機能の作動を確定させる操作として、当該ノブ22の前進位置「D」、中立位置「N」及び後進位置「R」に対応する変速位置への切り替えを確定させる際のスライド操作方向とは異なる側方へのスライド操作がさらに許容される。すなわち、ノブ22を前進位置「D」に切り替えると同時に手動変速位置「B」に切り替えられるとともに、矢印X方向及び矢印Y方向へのスライド操作が共に許容される。したがって、シフト装置11の操作性が確保される。
(6)ノブ22に対するスライド操作方向への操作力が解除されたときに当該ノブ22を当該スライド操作方向における原位置へ復帰させる復帰手段として、第1及び第2の付勢機構34,35を設けた。このため、ノブ22のスライド操作方向における操作位置が保持されるようにした場合と異なり、次回の変速操作の際にノブ22をスライド操作方向における原位置へ操作した後に回転操作する必要がない。したがって、次回の変速操作の際には、そのままノブ22を回転操作すればよいことから、ノブ22の操作性が確保される。
(7)また、第1及び第2の付勢機構34,35は、ノブ22のスライド操作方向と反対側に配設されて軸部材31の外周面に当接する押し子34c,35cと、当該押し子34c,35cを前記スライド操作方向と反対方向へ付勢する圧縮コイルばね34b,35bとを備えて構成した。このため、簡単な構成でノブ22をそのスライド操作方向における原位置へ復帰させることができる。なお、第1及び第2の付勢機構34,35を軸部材31に組み込むことも可能である。このようにした場合であれ、ノブ22がスライド操作方向への操作力が解除されたときに、当該スライド操作方向における原位置に復帰させることができる。
(8)4つの嵌合凹部41r,41n,41d,41b、ソレノイド機構52、第1〜第3のマイクロスイッチ62a,62b,62c、及び電子制御装置71はすべてハウジング21の内部に配設することによりシフト装置11を単一のユニットとし、当該ユニットをインストルメントパネル10の収容部10aに装着するようにした。このように、シフト装置11がユニット化されることにより、その配設対象の外での組み立てが可能となる。そして、外部で予め組み立てられたユニットを配設対象の取付け部位(ここでは、インストルメントパネル10の収容部10a)に装着するだけで、シフト装置11の配設対象に対する取付けは完了となる。このため、シフト装置11の組み立て作業時において、シフト装置11の構成部品を配設対象に個々に組み付けていくようにした場合と異なり、シフト装置11の配設対象に対する取付け作業が簡単になる。なお、これは、シフト装置11の組み立て作業時において、シフト装置11の構成部品を配設対象であるインストルメントパネル10に個々に組み付けていくことを除外するものではない。このような組み立て方法を採用することも可能である。
(9)軸部材31の外周面にはその周方向へ延びる長溝61を形成した。また、ノブ22の各回転操作位置への回転操作及び各回転操作位置における側方へのスライド操作を検出する検出手段として、長溝61の回転軌跡に対応して配設される第1〜第3のマイクロスイッチ62a,62b,62cを採用した。各第1〜第3のマイクロスイッチ62a,62b,62cは、ノブ22の回転操作位置に応じて、軸部材31に対する相対位置が、軸部材31の外周面に対応する位置と軸部材31の長溝61に対応する位置との間を変位する。第1〜第3のマイクロスイッチ62a〜62cが軸部材31の外周面に対応する位置にある場合に、ノブ22がスライド操作されたときには、第1〜第3のマイクロスイッチ62a〜62cは軸部材31の外周面に押圧されることによりオン状態となる。第1〜第3のマイクロスイッチ62a〜62cが軸部材31の長溝61に対応する位置にある場合に、ノブ22がスライド操作されたときには、第1〜第3のマイクロスイッチ62a〜62cは長溝61の内部に進入することにより軸部材31の外周面に押圧されることはなく、オフ状態に保持される。そして、電子制御装置71は、各第1〜第3のマイクロスイッチ62a,62b,62cから入力されるオン信号及びオフ信号の組み合わせに基づき、ノブ22が各回転操作位置のいずれの状態で当該回転操作位置に対応する変速位置への切り替えを確定する操作であるスライド操作が行われたのかを判断するようにした。このため、電子制御装置71は、ノブ22の操作位置を検出するに際して、複雑な信号処理を行う必要がない。したがって、電子制御装置71の演算負荷が抑制される。
(10)ハウジング21の意匠面21aにおけるノブ22の近傍には、ノブ22の回転操作方向を点灯表示する2つのインジケータ23a,24b、及びノブ22のスライド操作方向を点灯表示する2つのインジケータ24a,24bを設けた。これらインジケータ23a,24b、及びインジケータ24a,24bは、電子制御装置71による点灯制御を通じて、ノブ22の回転操作位置に応じてその時々における操作可能な方向を示すインジケータのみが点灯される。このため、ユーザは、ノブ22の操作可能方向を視覚的に認識することができる。そして、点灯していないインジケータにより示される方向へノブ22が無駄に操作されることを抑制することができる。
(11)ノブ22を回転操作した際、軸部材31の外周面は、挿通穴32の内周面に設けられた第1及び第2の突部33a,33bの先端部、並びに軸部材31の外周面に当接する押し子34c,35cの先端部に対して回転摺動する。すなわち、第1及び第2の突部33a,33b、並びに2つの押し子34c,35cは、軸部材31の回転を案内する案内部材としても機能する。このため、軸部材31は安定して回転する。なお、第1及び第2の突部33a,33b、並びに2つの押し子34c,35cとは別に、軸部材31の回転を案内する案内部材を、例えば挿通穴32の内周面に設けるようにしてもよい。
(12)軸部材31の外周面には、ノブ22の回転操作範囲を定められた回転角度範囲に規制するストッパ手段として、第1及び第2の当接壁43a,43bを設けた。そして、この回転角度範囲内において、ノブ22の回転操作位置が設定されてなる。このため、ノブ22の回転操作範囲を越える操作を簡単な構成により規制することができる。また、ノブ22の回しすぎが規制されることにより、ノブ22の操作性も確保される。
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。本実施の形態は、基本的には先の図1〜図10に示されるシフト装置と同様の構成とされており、ノブ22のスライド操作方向への操作力が解除された際に、当該ノブ22をスライド操作方向における原位置へ復帰させる復帰手段の構成の点で前記第1の実施の形態と異なる。したがって、前記第1の実施の形態と同一の部材構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図12(a)に示すように、軸部材31の内端面には、ばね収容穴81が形成されている。このばね収容穴81には、圧縮コイルばね82を介して円柱状の摺動部材83が抜け止め状態で収容されている。摺動部材83の先端部は球面状に形成されるとともに、軸部材31の内端面から突出している。摺動部材83は、圧縮コイルばね82の弾性力に抗して、ばね収容穴81の内方へ変位可能に設けられている。
一方、ハウジング21の内面、正確には挿通穴32の内底面において、軸部材31の先端面に対向する部位には、矢印X,Yで示されるノブ22の2つのスライド操作方向へ延びる第1及び第2の案内溝84,85が形成されている。図12(b)に示されるように、これら第1及び第2の案内溝84,85はそれぞれの一端部において重なるように形成されている。そして、図12(c)に示されるように、矢印Xで示される方向へ延びる第1の案内溝84の内底面には、同じく矢印X方向へ向かうにつれてハウジング21の内方(軸部材31の先端面に近接する方向)へ傾斜する斜面84aが形成されている。同様に、矢印Yで示される方向へ延びる第2の案内溝85の内底面は、同じく矢印Y方向へ向かうにつれてハウジング21の内方(軸部材31の先端面に近接する方向)へ傾斜する斜面85aが形成されている。
図12(c)に示されるように、ノブ22に対して矢印X,Y方向への操作力が付与されていない状態において、摺動部材83の球面状の先端部は、第1及び第2の案内溝84,85の重なる部位に係合する。このとき、摺動部材83の先端部は圧縮コイルばね82の弾性力により第1及び第2の案内溝84,85の重なる部位に押し付けられた状態に保持されている。この状態で、ノブ22に矢印X方向への操作力が付与されると、図12(c)に二点鎖線で示されるように、摺動部材83は圧縮コイルばね82の弾性力に抗してばね収容穴81に対する没入方向へ変位しながら、斜面84aを登るように摺動する。そして、ノブ22に対する矢印X方向への操作力が解除されたときには、摺動部材83は圧縮コイルばね82の弾性力によりばね収容穴81に対する突出方向へ付勢されつつ斜面84aを下るように摺動し、第1及び第2の案内溝84,85の重なる部位に至る。ノブ22に対して矢印Y方向への操作力が付与された場合も同様である。
したがって、本実施の形態による場合であれ、ノブ22に対するスライド操作方向への操作力が解除されたときには、当該スライド方向における原位置へ復帰させることができる。なお、図12(d)に示されるように、斜面84a,85aは、摺動部材83の先端部が案内される方向(矢印X方向及び矢印Y方向)に直交する仮想平面での断面形状が軸部材31の先端部に対する離間方向に凸となる曲面として形成することも可能である。この場合には、摺動部材83の先端部はより安定して案内される。
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。本実施の形態は、基本的には先の図1〜図10に示されるシフト装置と同様の構成とされており、ノブの各回転操作位置を磁気センサにより検出するようにした点で前記第1の実施の形態と異なる。なお、本実施の形態では、軸部材31の長溝61は省略される。
図13(a)に示すように、軸部材31の先端面(ノブ22と反対側の端面)における外周寄りの部位には、磁石91が固定されている。一方、ハウジング21の内部、正確には挿通穴32の内底面には、軸部材31の先端面に対向するように基板92が配設されている。この基板92の軸部材31側の側面には3つのホールセンサ93r,93n,93dが設けられている。図13(b)に示されるように、これらホールセンサ93r,93n,93dは、軸部材31の回転に伴う磁石91の移動軌跡に対応するとともに、ノブ22が後進位置「R」、中立位置「N」及び前進位置「D」に回転操作されたときに磁石91に対向するように配設されている。これらホールセンサ93r,93n,93dは、ホール素子及びその信号処理回路が単一のICチップとして集積回路化されたものであり、磁界強度に応じた検出信号を出力する。そして、ホールセンサ93r,93n,93dは、自身に対向する磁石91から生じる磁界を検出してノブ22の回転操作位置を示す検出信号として電子制御装置71へ出力する。
図13(c)に示されるように、軸部材31の矢印X,Y側には、2つのマイクロスイッチ94a,94bが対向して配設されている。ノブ22が矢印X方向へスライド操作されたときには、当該矢印X側に配設されたマイクロスイッチ94aが軸部材31の外周面により押圧されることによりオン動作する。また、ノブ22が矢印Y方向へスライド操作されたときには、当該矢印Y側に配設されたマイクロスイッチ94bが軸部材31の外周面により押圧されることによりオン動作する。すなわち、ノブ22の矢印X方向及び矢印Y方向へのスライド操作は、2つのマイクロスイッチ94a,94bにより検出される。
電子制御装置71は、各ホールセンサ93r,93n,93dからの検出信号及び両マイクロスイッチ94a,94bからの検出信号に基づき、ノブ22の回転操作位置に対応する変速位置に切り替えるための変速制御信号Scを自動変速機74へ出力する。したがって、本実施の形態によれば、ノブ22の回転操作位置を各ホールセンサ93r,93n,93dにより非接触で検出するようにしたことにより、繰り返しの検出による劣化等がなく、ノブ22の回転操作位置の検出信頼性が高められる。なお、ホールセンサ93r,93n,93dは、それぞれMRセンサに置換することも可能である。MRセンサは、磁気抵抗効果素子及びその信号処理回路が単一のICチップとして集積回路化されたものであり、磁界方向に応じた検出信号を出力する。
また、本実施の形態において、ノブ22の回転操作位置は、次のようにして求めることも可能である。すなわち、軸部材31の先端面には、例えば円板状の磁石(図示略)を設けるとともに、当該磁石に対向するように単一のMRセンサ(図示略)を配設する。このMRセンサは軸部材31の回転に伴う磁石から発せられる磁束方向の変化に応じた検出信号を出力する。このため、電子制御装置71はMRセンサからの検出信号に基づきノブ22の回転角度、すなわち回転操作位置を検出することができる。ノブ22のスライド操作については、前述と同様に、マイクロスイッチ94a,94bにより検出する。
さらに、本実施の形態において、ノブ22のスライド操作を前述したホールセンサ及びMRセンサ等の磁気センサを使用して検出することも可能である。この場合には、図13(c)に示されるマイクロスイッチ94a,94bを磁気センサに置き換える。すなわち、図13(d)に示されるように、軸部材31の矢印X,Y側には2つの磁気センサ110a,110bが対向して配設されている。また、軸部材31の外周面において、磁気センサ110a,110bに対応する部位には、周方向において多極着磁された環状の磁石111が外嵌されている。磁気センサ110a,110bはノブ22の矢印X,Y方向へのスライド操作に伴い磁石111が近接したときに、オン信号を出力する。電子制御装置71は磁気センサ110a,110bからのオン信号に基づきノブ22がスライド操作された旨検出し、このスライド操作されたときのノブ22の回転操作位置に対応する変速位置に切り替えるための変速制御信号Scを生成して自動変速機74へ出力する。このように、ノブ22のスライド操作をも磁気センサ110a,110bにより非接触で検出するようにしたことにより、スライド操作の繰り返しの検出による劣化等がなく、ノブ22のスライド操作の検出信頼性が高められる。なお、本実施の形態では、環状の磁石111を使用したが、ノブ22が各回転操作位置に回転操作された際に磁気センサ110a,110bに対向すればよく、その形状は適宜変更してもよい。
加えて、本実施の形態は、次のような構成を採用することも可能である。すなわち、図13(e)に示すように、基板92の軸部材31側の側面に設けられる3つのホールセンサ93r,93n,93dは、ノブ22(軸部材31)が後進位置「R」、中立位置「N」及び前進位置「D」に回転操作された状態で、矢印X方向又は矢印Y方向へスライド操作されたときに磁石91に対向するように配設されている。そして、ホールセンサ93r,93n,93dは自身に対向する磁石91から生じる磁界を検出し、この磁界検出信号をノブ22がどの回転操作位置に保持された状態でスライド操作がなされたのかを示す検出信号として電子制御装置71へ出力する。電子制御装置71は、各ホールセンサ93r,93n,93dからの検出信号に基づき、ノブ22の回転操作位置に対応する変速位置に切り替えるための変速制御信号Scを自動変速機74へ出力する。
この構成によれば、ノブ22がどの回転操作位置でスライド操作されたのかを3つのホールセンサ93r,93n,93dのみで非接触で検出することができる。したがって、図13(a),(b),(d)に示されるように、ノブ22の回転操作位置の検出用及びスライド操作の検出用の2つの目的毎に磁気センサを設けるようにした場合と異なり、必要とされる磁気センサの個数を低減させることができる。
<他の実施の形態>
なお、前記各実施の形態は、次のように変更して実施してもよい。
・各実施の形態では、ノブ22の回転操作位置として手動操作位置「B」を設定するようにしたが、これを省略することも可能である。また、手動操作位置「B」に割り当てられた車両機能をパドルスイッチ及びステアリングスイッチ等の他のスイッチにより操作するようにしてもよい。
・また、手動操作位置「B」に、自動変速機74の変速位置を手動で切り替えるいわゆるシーケンシャルシフト機能を割り当てるようにしてもよい。この場合、ノブ22は、矢印Y方向へのスライド操作に加え、反矢印Y方向へのスライド操作も許容されるように構成する。そして、例えばノブ22が前進位置「D」に切り替えられている状態で、ノブ22が矢印Y方向(下方)へスライド操作されたときにはシフトダウン、またノブ22が反矢印Y方向(上方)へスライド操作されたときにはシフトアップするように構成する。
・各実施の形態において、ノブ22に押しボタンを組み込み、当該押しボタンに特定の車載機器の作動機能を持たせるようにしてもよい。例えば、押圧操作により車両の走行用の駆動源を始動させる始動スイッチをノブ22に組み込むことも可能である。また、自動変速機74の変速位置を駐車位置に切り替えるパーキングスイッチをノブ22に組み込むようにしてもよい。このようにすれば、各種スイッチの統合化が図られ、各種スイッチの設置スペースが節約される。
・各実施の形態では、ノブ22のスライド操作方向への操作力が解除された際に、当該ノブ22を当該スライド操作方向における原位置へ復帰させる第1及び第2の付勢機構34,35を1組だけ設けるようにしたが、複数組の第1及び第2の付勢機構34,35を設けるようにしてもよい。この場合、複数組の第1及び第2の付勢機構34,35は、軸部材31の延びる方向において所定間隔をおいて配設するとともに、これら第1及び第2の付勢機構34,35に対応して第1及び第2の突部33a,33bを設ける。このようにすれば、軸部材31が複数箇所においてスライド操作方向と反対側へ付勢されることから、軸部材31をそのスライド操作方向における原位置へ安定して復帰させることができる。また、軸部材31を挿通穴32の内部においてより安定して支持することもできる。
・各実施の形態では、軸部材31の外周面には、ノブ22の回転操作範囲を定められた回転角度範囲に規制するストッパ手段として、第1及び第2の当接壁43a,43bを設けるようにしたが、これらを省略することも可能である。
・各実施の形態においては、ノブ22の回転操作方向を示すインジケータ23a,23b及び同じくスライド操作方向を示すインジケータ24a,24bを設けたが、これらを省略してもよい。
・各実施の形態においては、ノブ22の回転操作方向を示すインジケータ23a,23b及び同じくスライド操作方向を示すインジケータ24a,24bについて、ノブ22の回転操作位置等に応じてその時々における操作可能な方向を示すインジケータのみを点灯するようにしたが、このような表示制御を行わないようにすることも可能である。
・各実施の形態において、ノブ22のスライド操作方向への操作力が解除されたときに当該ノブ22をそのスライド操作方向における原位置へ復帰させる第1及び第2の付勢機構34,35を省略することも可能である。この場合、ノブ22を矢印X,Yで示される方向と反対方向へスライド操作することにより、当該ノブ22をスライド操作方向における原位置へ復帰させる。
・各実施の形態では、ノブ22は互いに直交する2つの方向へスライド操作可能としたが、必ずしも直交される必要はない。2つのスライド操作方向がノブ22の回転中心軸に直交し、且つ2つのスライド操作方向が互いに異なる方向であればスライド操作方向を適宜変更して設けることも可能である。
・各実施の形態において、3つの係合凹部51r,51n,51d、4つの嵌合凹部41r,41n,41d,41b、第1及び第2の付勢機構34,35の押し子34c,35cの当接部位、並びに長溝61の軸部材31の軸方向における配設位置は適宜変更することも可能である。この際、ソレノイド機構52、第1及び第2の嵌合突部42a,42b、第1及び第2の付勢機構34,35、並びに第1〜第3のマイクロスイッチ62a,62b,62cの配設位置も対応して変更する。
・各実施の形態では、単一の軸部材31にすべての構成を設けたが、軸部材31をその軸方向において複数の分割体に分割し、これら分割体を組み合わせることにより一の軸部材31を構成することも可能である。
・各実施の形態では、軸部材31、ひいてはノブ22の回転操作を規制する回転規制手段としてソレノイド機構52を設けたが、これを省略して構成することも可能である。このようにした場合であれ、自動変速機74の変速位置を切り替える際には、ノブ22の回転操作及び側方へのスライド操作の2つの異なる方向への操作が必要であることから、ユーザの意図しない変速操作(シフト装置11の誤操作)を好適に抑制することができる。なお、この場合には、軸部材31の係合凹部51r,51n,51dは省略可能となる。
・各実施の形態では、エンジン及びモータを走行用の駆動源とするハイブリッド車両にシフト装置11を適用したが、エンジンのみを走行用の駆動源とする車両又はモータのみを走行用の駆動源とする電気自動車等に適用することも可能である。
<他の技術的思想>
次に、前記実施の形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
(イ)請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載のシフト装置において、前記制御手段からの作動制御信号に基づく駆動手段の作動を通じて、前記シフト操作部材の一部に係合して当該シフト操作部材の回転操作を規制する回転規制位置と、前記シフト操作部材に対する係合が解除されて当該シフト操作部材の回転操作を許容する回転許容位置との間を変位する係合部材を備えてなる回転規制手段をさらに備え、前記制御手段は、前記シフト操作部材の回転操作を規制するべきであるとして定められた車両状態を車両側に設けられる状態検出手段を通じて検出したとき、前記係合部材を回転許容位置から回転規制位置へ変位させるべく前記作動制御信号を前記回転規制手段へ出力するシフト装置。
この構成によれば、シフト操作部材の回転操作を規制するべきであるとして定められた車両状態が車両側に設けられる状態検出手段を通じて検出されたときには、係合部材は駆動手段の作動によりシフト操作部材の一部に係合する回転許容位置へ変位する。シフト操作部材の回転操作が機械的に規制されることにより、ユーザの意図しない変速操作をより確実に抑制することができる。
(ロ)請求項1〜請求項6並びに前記(イ)のうちいずれか一項に記載のシフト装置において、前記シフト操作部材に対するスライド操作方向への操作力が解除されたときに当該シフト操作部材をそのスライド操作方向における原位置へ復帰させる復帰手段を備えてなるシフト装置。
この構成によれば、シフト操作部材のスライド操作方向における操作位置が保持されるようにした場合と異なり、次回の変速操作の際にシフト操作部材をスライド操作方向における原位置へ戻す操作を行った後に回転操作する必要がない。次回の変速操作の際には、そのままシフト操作部材を回転操作すればよいことから、シフト操作部材の操作性が確保される。
(ハ)請求項1〜請求項3、請求項5、請求項6並びに前記(ロ)項のうちいずれか一項に記載のシフト装置において、前記シフト操作部材の内端面には磁石を設け、前記検出手段は、前記ハウジングの内部において前記磁石の移動軌跡に、且つシフト操作部材の各回転操作位置に対応して配設されるとともに、前記シフト操作部材の回転に伴う前記磁石から発せられる磁界に応じた検出信号を出力する複数の磁気センサを含むシフト装置。
この構成によれば、少なくともシフト操作部材の回転操作位置が磁気センサを通じて非接触状態で検出される。このため、繰り返しの検出による劣化等がなく、シフト操作部材の少なくとも回転操作位置の検出信頼性が高められる。
(ニ)前記(ロ)項又は前記(ハ)項に記載のシフト装置において、前記復帰手段は、前記シフト操作部材のスライド操作方向と反対側に配設されて前記シフト操作部材の外周面に当接する押し子と、当該押し子を前記スライド操作方向と反対方向へ常時付勢するばね部材とを備えてなるシフト装置。
この構成によれば、簡単な構成でシフト操作部材をそのスライド操作方向における原位置へ復帰させることができる。
(ホ)前記(ロ)、(ハ)及び(ニ)のうちいずれか一項に記載のシフト装置において、前記ハウジングにおける前記シフト操作部材の先端面に対向する部位には、前記シフト操作部材のスライド操作方向へ延びるとともに、当該スライド操作方向へ向かうにつれて前記シフト操作部材の先端面に近接する方向へ傾斜する斜面を有してなる案内溝を形成し、前記復帰手段は、前記シフト操作部材の先端面に対して突出する方向及び没入する方向へ変位可能に設けられるとともに、前記シフト操作部材のスライド操作に伴い前記案内溝に係合した状態で案内される被案内部材と、当該被案内部材を前記シフト操作部材の先端面から突出する方向へ常時付勢するばね部材と、を備えてなるシフト装置。
この構成によれば、シフト操作部材にスライド操作方向への操作力が付与されると、被案内部材はばね部材の弾性力に抗してシフト操作部材の先端面に対する没入方向へ変位しながら、斜面を登るように摺動する。そして、シフト操作部材に対するスライド操作方向への操作力が解除されたときには、被案内部材は、ばね部材の弾性力によりシフト操作部材の先端面に対する突出方向へ付勢されつつ斜面を下るように摺動して、原位置に至る。すなわち、シフト操作部材に対するスライド操作方向への操作力が解除されたときには、当該スライド方向における原位置へ復帰させることができる。
(ヘ)請求項1〜請求項6並びに前記(イ)〜(ホ)のうちいずれか一項に記載のシフト装置において、前記ハウジングの内面には、前記シフト操作部材の外周面に摺接して当該シフト操作部材の回転を案内する案内部材が設けられてなるシフト装置。
この構成によれば、シフト操作部材が回転操作された際に、当該シフト操作部材の外周面は案内部材に案内される。このため、シフト操作部材は安定して回転する。
(ト)請求項1〜請求項6並びに前記(イ)〜(ヘ)のうちいずれか一項に記載のシフト装置において、前記スライド規制手段及び前記検出手段及び前記制御手段を含むシフト装置の構成要素のすべてを前記ハウジングに組み付けることにより単一のユニットとして構成し、当該ユニットを前記取り付け対象に設けられる取り付け部位に装着するようにしたシフト装置。
この構成によれば、シフト装置がユニット化されることにより、その配設対象の外での組み立てが可能となる。そして、外部で予め組み立てられたユニットを配設対象の取付け部位に装着するだけで、シフト装置の配設対象に対する取付けは完了となる。このため、シフト装置の組み立て作業時において、シフト装置の構成部品を配設対象に個々に組み付けていくようにした場合に比べて、シフト装置の配設対象に対する取付け作業が簡単になる。
第1の実施の形態において、シフト装置の配設態様を示す車室内の概略斜視図。 同じくシフト装置の取り付けの態様を示す斜視図。 同じくノブの操作位置を示す正面図。 (a)は、同じくノブ及び軸部材のハウジングに対する取り付けの態様を示す分解斜視図、(b)は、軸部材とハウジングの挿通穴との隙間を示す図5(a)の1−1線断面図。 (a),(b)は、同じくシフト装置の概略構成を示す分解斜視図。 同じく図5(a)の2−2線断面図。 同じく図5(a)の3−3線断面図。 同じく図5(a)の4−4線断面図。 (a),(b),(c)は、同じく図5(a)の5−5線断面図。 同じくシフト装置の電気的な構成を示すブロック図。 (a)は、同じくノブが中立位置「N」に保持されている場合の各種インジケータの点灯状態を示す正面図、(b)は、同じくノブが後進位置「R」に保持されている場合の各種インジケータの点灯状態を示す正面図、(c)は、同じくノブが前進位置「D」に保持されている場合の各種インジケータの点灯状態を示す正面図。 (a)は、第2の実施の形態における軸部材の先端部の構成を示す分解斜視図、(b)は、軸部材の先端部に設けられた摺動部材が摺動可能に係合する第1及び第2の案内溝が形成された基板の正面図、(c)は、軸部材の先端部の摺動部材と第1及び第2の案内溝との係合状態を示す図12(b)の6−6線断面図、(d)は、図12(b)の7−7線断面図。 (a)は、第3の実施の形態における軸部材の先端部の構成を示す斜視図、(b)は、同じく軸部材の磁石の回転軌跡に対応して設けられる磁気センサの配設態様を示す基板の正面図、(c)は、同じくノブのスライド操作を検出するマイクロスイッチの配設態様を示す断面図、(d)は、変形例における磁石及び磁気センサの配設態様を示す断面図、(e)は、同じく磁気センサの他の配設態様を示す基板の正面図。
符号の説明
10…インストルメントパネル(取り付け対象)、11…シフト装置、21…ハウジング、22…シフト操作部材を構成するノブ、23a,23b,24a,24b…インジケータ、31…シフト操作部材を構成する軸部材、33a,33b…案内部材を構成する第1及び第2の突部、34c,35c…復帰手段及び案内部材を構成する押し子、34b,35b…復帰手段を構成する圧縮コイルばね(ばね部材)、41r,41n,41d,41b…嵌合凹部(スライド規制手段)、42a,42b…第1及び第2の嵌合突部(嵌合部材)、43a,43b…ストッパ手段を構成する第1及び第2の当接壁、52…ソレノイド機構(回転規制手段)、53…励磁コイル(駆動手段)、55…係合部材、61…長溝(溝)、62a,62b,62c…検出手段を構成する第1〜第3のマイクロスイッチ、71…電子制御装置(制御手段)、72…状態検出手段を構成するブレーキスイッチ、73…状態検出手段を構成する車速センサ、74…自動変速機、82…復帰手段を構成する圧縮コイルばね、83…復帰手段を構成する摺動部材(被案内部材)、84,85…第1及び第2の案内溝、84a,85a…斜面、91,111…磁石、94a,94b…検出手段を構成するマイクロスイッチ、93r,93n,93d…検出手段及び磁気センサを構成するホールセンサ、110a,110b…検出手段を構成する磁気センサ。

Claims (6)

  1. 車両の自動変速機の変速位置を切り替え操作するバイワイヤ方式のシフト装置において、
    車両側の取り付け対象に固定されるハウジングの外部に一部が露出するとともに当該ハウジングに対して回転操作可能かつ自身の回転中心軸に対し交わる方向である側方へスライド操作可能に設けられた軸状のシフト操作部材と、
    前記シフト操作部材と前記ハウジングとの間に設けられて当該シフト操作部材が前記自動変速機の変速位置に対応して設定される複数の回転操作位置のうちいずれか一へ回転操作されたときにのみ、当該一の回転操作位置に対応する変速位置への切り替えを確定させる操作として当該シフト操作部材の側方へのスライド操作を許容するスライド規制手段と、
    前記シフト操作部材が特定の回転操作位置へ回転操作された状態で側方へスライド操作されたことを検出しその検出信号を出力する検出手段と、
    前記検出手段からの検出信号に基づき当該特定の回転操作位置に対応する変速位置へ切り替えるための変速制御信号を生成して前記自動変速機へ出力する制御手段と、を備え
    前記回転操作位置として前進位置及び中立位置及び後進位置の3つを設定したうえで、当該3つの回転操作位置はいずれも前記シフト操作部材を回転操作することにより選択可能とし、
    前記スライド規制手段は、前記3つの回転操作位置のいずれが選択されたときであれ、前記シフト操作部材の側方へのスライド操作を、前記3つの回転操作位置にそれぞれ対応する変速位置への切り替えを確定させる共通の操作として許容するシフト装置。
  2. 請求項1に記載のシフト装置において、
    前記シフト操作部材の回転操作位置として、車両の前進中に作動される特定の車両機能に対応する手動操作位置をさらに設定し、
    前記スライド規制手段は、前記シフト操作部材の回転操作位置が前記前進位置へ切り替えられたときにのみ、前記手動操作位置に対応する特定の車両機能の作動を確定させる操作として当該シフト操作部材の前進位置に対応する変速位置への切り替えを確定させるスライド操作方向とは異なる他の方向へのスライド操作を許容し、
    前記制御手段は、前記シフト操作部材が前進位置へ回転操作された状態で当該前進位置に対応する変速位置への切り替えを確定させるスライド操作が行われた旨示す前記検出手段からの検出信号が入力された後に、前記他の側方へスライド操作された旨示す前記検出手段からの検出信号に基づき、前記手動操作位置に対応する車両機能を作動させるシフト装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のシフト装置において、
    前記スライド規制手段は、前記シフト操作部材の外周面にその周方向に所定間隔をおいて形成されるとともに前記ハウジングの内部に突出して設けられる嵌合部材に嵌合可能とされた、前記シフト操作部材の回転操作位置と同数の嵌合凹部を含み、
    各嵌合凹部は、前記シフト操作部材が各回転操作位置にあるときにのみ前記嵌合部材に対して嵌合可能に対応するように設けたシフト装置。
  4. 請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のシフト装置において、
    前記シフト操作部材にはその周方向へ延びる溝を形成し、また、前記検出手段は前記シフト操作部材の溝の回転軌跡に対応して配設される複数個のマイクロスイッチを備えるとともに、各マイクロスイッチは、前記シフト操作部材の回転操作位置に応じて、前記シフト操作部材の外周面に対応して前記シフト操作部材がスライド操作されたときに前記シフト操作部材の外周面に押圧されてオンする状態、及び前記シフト操作部材の溝に対応して前記シフト操作部材がスライド操作されたときに前記シフト操作部材の外周面に押圧されることなくオフに保たれる状態の2つの状態をとるように配設し、
    前記制御手段は、各マイクロスイッチから入力されるオン信号及びオフ信号の組み合わせに基づき、シフト操作部材が各回転操作位置のいずれの状態で当該回転操作位置に対応する変速位置への切り替えを確定する操作であるスライド操作が行われたのかを判断するシフト装置。
  5. 請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載のシフト装置において、
    前記シフト操作部材の近傍に配設されて前記シフト操作部材の回転操作方向及びスライド操作方向を示すとともに前記制御手段により点灯制御される複数のインジケータを備え、
    前記制御手段は、前記シフト操作部材の回転操作位置に応じてその時々における操作可能な方向を示すインジケータのみを点灯制御するシフト装置。
  6. 請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載のシフト装置において、
    前記シフト操作部材の外周面には、前記ハウジングの一部に係合することにより前記シフト操作部材の回転操作範囲を定められた回転角度範囲に規制するストッパ手段を設け、当該シフト操作部材の各回転操作位置は、前記回転角度範囲内において設定されてなるシフト装置。
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