JP4954456B2 - 電解コンデンサー用タブ端子 - Google Patents

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電解コンデンサー用のタブ端子に関する。より詳細には、高張力で電極箔を巻回した場合でも電極箔が破損することがなく、かつ、高密度で電極箔を巻回できる、電解コンデンサー用のタブ端子に関する。
アルミ電解コンデンサーは、アルミニウム陽極箔とアルミニウム陰極箔とをセパレ−タを介してタブ端子に巻回したコンデンサー素子に駆動用電解液を含浸し、この素子を外装ケース内に組込み密閉した構造を有する。また、タブ端子は、アルミニウムからなる丸棒部と、この丸棒部を偏平状に加工した圧延部と、丸棒部に溶接された引出線とから構成されている。
近年、小型化および大容量化したアルミ電解コンデンサーの開発が進められている。例えば、極薄の電極箔を用いて巻回数を上げたり、電極箔電極箔にエッチング処理を施すことにより、実効表面積を拡大し、静電容量を向上させることが行われている。
また、電極箔をタブ端子に巻回する際に、電極箔に高い張力をかけながら巻回することにより、高密度のコンデンサー素子とすることが行われている。
またさらに、電極箔をタブ端子に巻き始める際の巻き軸形状を工夫することにより、外装ケース内に効率よく収納できる、真円に近いコンデンサー素子が提案されている。
しかしながら、従来のタブ端子の圧延部は、プレス加工により平板状に形成されていたため、電極箔をこの圧延部に巻回す際に圧延部の側面に電極箔が接触し、電極箔を破損することがあった。特に、小型化されたアルミ電解コンデンサーでは製品直径が小さいため、素子の巻回曲率が大きくなり、圧延部と電極箔との接触圧が大きくなるため、電極箔が破損し易い。
また、高張力をかけて電極箔を巻回すると、当然、圧延部と電極箔との接触圧が高くなり、電極箔が破損し易くなる。
このような問題に対し、本発明者らは、先の出願(特願2002−151344)において、タブ端子の圧延部とアルミ箔とが接する部分である圧延部の四隅の角を、アール形状とすることにより、アルミ箔と圧延部との接触圧を下げ、電極箔の破損を防止することを提案している。
しかしながら、断面端部がアール形状を有する圧延部として場合であっても、圧延部の断面端部は、圧延部の表面よりも電極箔との接圧が大きくなることに変わりはなく、電極箔を破損せずに、高密度で巻回できるようなタブ端子が依然として希求されている。
本発明者らは、平板状の圧延部に電極箔を巻回すると必ず圧延部付近に空隙が生じてしまい、高密度で電極箔を巻回するには限界があるとこに着目し、所定の曲率を持たせて圧延部を形成することにより、高張力で電極箔を巻回した場合でも電極箔が破損することがなく、かつ、高密度で電極箔を巻回できる、との知見を得た。本発明はかかる知見に基づくものである。
したがって、本発明は、高張力で電極箔を巻回した場合でも電極箔が破損することがなく、かつ、高密度で電極箔を巻回できる、電解コンデンサー用タブ端子を提供することをその目的とするものである。
本発明による電解コンデンサー用タブ端子は、丸棒部と、この丸棒部を偏平状に加工した圧延部と、丸棒部に溶接された引出線とからなる電解コンデンサー用タブ端子であって、
前記圧延部が、湾曲した形状を有するものである。このように、圧延部に湾曲を持たせることにより、電極箔を圧延部に巻回した場合でも、圧延部の端部とアルミ箔との接触が低減するため、電極箔を破損することがなくなる。
また、圧延部を湾曲形状とすることにより、従来の平板状の圧延部に比べて、電極箔を巻回した状態での圧延部付近の隙間が減少するため、より高密度に電極箔を巻回することができる。その結果、コンデンサー素子の素子体積効率が向上する。
本発明による電解コンデンサー用タブ端子について、図面を参照しながら説明する。
本発明の電解コンデンサー用タブ端子は、図1に示すように、丸棒部1と、この丸棒部を偏平状に加工した圧延部2と、丸棒部1に溶接された引出線3とで構成されている。丸棒部および圧延部を構成する材料としては、通常、アルミニウム等が使用される。また、引き出し線としては、鉄線、銅線、または鉄線に銅を被覆したもの(CP線)等が使用される。この引き出し線は、半田付け特性を向上させるため、通常、表面に半田メッキされている。
図2は、図1のタブ端子の圧延部に電極箔を巻回した状態のものを圧延部上方向からみた上面図である。圧延部2は、図2に示すように、電極箔の巻回方向に沿って湾曲している。このように、圧延部を湾曲させることにより、圧延部の端部と電極箔との接触圧が低減する。従って、高張力で電極箔を巻回したような場合であっても、電極箔にストレスがかかることなく、破損することがない。
また、圧延部を巻回方向に沿って湾曲させることにより、図3に示すような従来の平板状の圧延部2’を有するタブ端子と比較して、圧延部付近にできる電極箔4の空隙が少なくなる。その結果、コンデンサー素子の素子体積効率が向上する。したがって、同一体積のアルミ電解コンデンサーを作製した場合には、圧延部を湾曲させたものの方が、より高密度に電極箔を巻回することができる。
圧延部の湾曲は、一対のタブ端子に電極箔を巻回した状態における、両タブ端子の圧延部の距離をrとした場合に、0.40r〜0.60rの曲率半径を有することが好ましい。より好ましくは、0.45r〜0.55rであり、特に0.5rであることが好ましい。すなわち、両タブ端子の圧延部間距離を直径とする円の円周状に重なるように、圧延部を湾曲させることにより、電極箔の空隙が最小となり、その結果、より高密度なアルミ電解コンデンサーを実現できる。
また、このように湾曲形状の圧延部とすることにより、電極箔を巻回した状態の真円度が向上する。巻回状態の真円度が高くなることにより、コンデンサー素子の素子体積効率が向上するため、当該素子を外装ケース内に効率よく収納でき、その結果、電解コンデンサーを小型化できる。
さらに、このように湾曲させた圧延部を有するタブ端子を使用したアルミ電解コンデンサーは、品質安定性に非常に優れるものである。このような予期せぬ効果を有する理由としては、定かではないが、タブ端子圧延部の表面とアルミ箔との接触面積が増えるためと考えられる。
圧延部の湾曲は、曲率半径が、0.60rを超えると、図4に示すように圧延部の内周側の端部5と電極箔4とが接触してしまうため、電極箔を傷つけ易くなる。また、圧延部の内径側に電極箔の空隙6が生じてしまうため、電解コンデンサーの高密度化に悪影響を及ぼす。
一方、曲率半径が、0.40r未満では、圧延部の外周側の端部と電極箔とが接触して、電極箔を破損し易くなる。また、圧延部の外周側および内周側に電極箔の空隙が生じてしまうため、電解コンデンサーの高密度化に悪影響を及ぼす。
圧延部は、その厚みが、0.05〜0.5mmであるであることが好ましい。このように、従来のタブ端子の圧延部よりも、厚みを薄くすることにより、電極箔のカシメ性、すなわち、電極箔を高張力でタブ端子の圧延部に巻回することができる。また、このように高張力で電極箔を巻回することにより、タブ端子の圧延部と電極箔との接触抵抗が減少する。圧延部の厚みが、0.5mmを超えると、カシメ性が不良となり、一方、0.05mm未満では、圧延部の強度が低下して、タブ端子を搬送する際や、電極箔を圧着する際に、圧延部を破損してしまう。
圧延部は、図5に示すように、圧延部の断面の四隅がアール形状を有するものである。このように、圧延部断面の四隅のエッジ部分を取り除くことにより、さらに、電極箔の破損を防ぐことができる。また、このように圧延部断面の四隅の角をアール形状とするとこにより、端子と電極箔との接触抵抗が低減され、コンデンサーの高周波特性がより一層改善される。このように四隅をアール形状とすることにより接触抵抗が低減されることは予期せぬものであった。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。すなわち、金属の端部には電荷が集中する傾向にあり、その端部(四隅)の角をアール形状とすることにより、電荷密度が均一になる。そのため、圧延部の断面の四隅をアール形状とすることにより、漏れ電流が低減され、その結果、端子と電極箔との接触抵抗が小さくなるものと推測される。
次に、本発明の電解コンデンサー用タブ端子の製造方法について説明する。
図6は、本発明の電解コンデンサー用タブ端子を製造する装置の一例を示した正面図である。
受け台11は基礎12に固定されており、その受け台11の上方に、パンチ13が設けられており、両者が向き合うように配置されている。
受け台11とパンチ13の中間に、昇降台15が設けられており、その昇降台15には切断装置14が設置されている。昇降台15は、基礎12から垂直に立つ支柱16に摺動自在に挿通されている。そして、パンチ13は、昇降台15に設けた垂直方向の通孔17に挿通されている。パンチ13は、パンチ昇降台18と連動して上下運動を行い、パンチ昇降台18は、支柱6に摺動自在に挿通されている。
昇降ロッド19の下端はパンチ昇降台18に連結されており、上端は駆動源(図示しない)に接続されている。そして、パンチ13をパンチ昇降台18と共に上昇したり下降したりする。
カム20には、これに長さ調節自在のねじロッド21のロール22が押し当てられると共に、ねじロッド21が昇降台15に連結されており、これらにより切刃反転位置調整機構が構成されている。
切断装置14は、図7の詳細図に示すように、パンチ13と受け台11の左右に切込み用切刃23と切除用切刃24を、上下接近した位置に一体的に組み付けて構成する。
切込み用切刃23は、図12の拡大図でいっそう明らかなように、そのエッジに切欠き部pを形成する。
そして昇降ロッド19を駆動してパンチ昇降台18を下降すると、受け台11に置いたアルミ頭部bの上にパンチ13が下り、アルミ頭部bを押しつぶし所定の厚みに扁平にする(図8)。
パンチ13の先端は、所定の湾曲形状の型を有し、また、受け台11の先端もパンチ13の先端と対応した湾曲形状の型を有している。したがって、圧扁されたアルミ頭部は、図5に示すような湾曲形状となる。
次に、カム20により切断装置14が下がって、切込み用切刃23がパンチ13の外にはみ出た部分に切り込んで止まり、はみ出し部に切込み線を刻み込む(図9)。
その後、切断装置14だけ反転上昇し、切込み用切刃23が上に離れると同時に下の切除用切刃24がパンチ13の先端より上方に上がって、はみ出し部を切込み線より切り離し切除する(図10)。切除したアルミのカスはエアで吹き飛ばす。
次に、パンチ13も上昇して受け台11の上方を開放し、製品のタブ端子を取り出す(図11)。
ところで、パンチ13と切断装置14の相互のタイミングとストロークであるが、図面に示した製造装置の一例では、ねじロッド21の長さを調整してこれを行う。
こうしてタイミング等を調節したパンチ13と切り込み用切刃23の位置関係を、図12〜14に拡大して示す。
パンチ13が下降してアルミ頭部が所定の湾曲形状の厚みに形成されると、次に切り込み用切刃23が下がり出し、図12から図13の状態になる。
図12で切込み用切刃23がはみ出し部に当り、はみ出し部を図13のように押し下げるので、パンチ13と受け台11の間に挟まれた部分とはみ出し部の境界付近が引っ張られる。
引き続き、パンチ13が、図12の当り始めの位置よりエッジの切欠き部pの深さだけ下がると、切欠き部pの端のエッジがはみ出し部に切り込み始める
切刃23がさらに圧延部の厚みの半分ぐらいに下がって深く切り込むと、いままで切らずに引っ張られた部分が切れて、そのためにスプリングバックという現象が起こり、引っ張られていた部分がパンチ13側に引き戻されて、切刃23と圧延部の間に隙間tを生じる(図14)。
こうして出来た隙間tのために、切刃23が上昇に転じるとき、切刃23は圧延部の周縁を引っ掛けることがない。したがって、返りバリが発生しない。
ここで図15に示すように、パンチ13の周縁にパンチ面より高くエッジを立て、エッジの内側をアール25に形成すると、図5に示すように、タブ端子の圧延部は所定の曲率半径で湾曲し、厚さが均一なものとなり、かつ圧延部の断面の四隅rを同じアールに形成できる。
圧延部の四隅rのアールの形状は、アールの半径が圧扁部の厚みを1とした場合に、0.03〜0.05の範囲内であることが好ましい。0.03を下回ると圧延部の四隅rが角張って電極箔を傷つける危険があり、一方、0.50を超えると、アールと圧延部の平面部の境界に不連続な稜線が生じて、やはり電極箔を損傷するおそれがある。
本発明のタブ端子の斜視図である。 本発明のタブ端子の圧延部に金属箔を巻回した状態を示した図である。 従来のタブ端子の圧延部に金属箔を巻回した状態を示した図である。 曲率半径が0.60rを超える圧延部に金属箔を巻回した状態を示した図である。 図1に示したタブ端子を圧延部方向から見た上面図である。 本発明のタブ端子を製造する装置の一例を示したものである。 本発明のタブ端子の製造工程を順に示したものである。 本発明のタブ端子の製造工程を順に示したものである。 本発明のタブ端子の製造工程を順に示したものである。 本発明のタブ端子の製造工程を順に示したものである。 本発明のタブ端子の製造工程を順に示したものである。 図9の工程を拡大して更に詳細に示したものである。 図9の工程を拡大して更に詳細に示したものである。 図9の工程を拡大して更に詳細に示したものである。 図6に示す製造装置のパンチを拡大した図である。
符号の説明
1 丸棒部
2、2’圧延部
3 引出線
4 電極箔
5 圧延部の内周側の端部
6 電極箔の空隙
11 受け台
13 パンチ
14 切断装置
15 昇降台
18 パンチ昇降台
19 昇降ロッド
20 カム
23 切り込み用切刃
24 切除用切刃
b アルミ頭部
p 切欠き部

Claims (5)

  1. 丸棒部と、この丸棒部を偏平状に加工した圧延部と、丸棒部に溶接された引出線とからなる、円筒状電解コンデンサー用タブ端子を製造する方法であって、
    パンチ面が湾曲形状を有する受け台及びパンチにより、前記丸棒部の頭部を湾曲した偏平形状となるように押しつぶし、
    前記丸棒部の頭部の、前記パンチ面からはみ出した部分を、切込み用切刃と切除用切刃とが上下接近した位置に一体的に組み付けられた切断装置を用いて、切断装置の上側に設けられた切込み用切刃で、切込み線を刻み込み、次いで、
    前記切り込み線が刻まれたはみ出した部分を、切断装置の下側に設けられた切除用切刃で切り離して切除して、湾曲した形状の圧延部を形成する、
    ことを含んでなり、
    前記パンチの周縁はパンチ面より高くしたエッジを有し、そのエッジ内側がアール形状となっており、前記圧延部の形成により、湾曲した圧延部断面の四隅がアール形状を有するように面取り加工が施される、円筒状電解コンデンサー用タブ端子の製造方法
  2. 前記圧延部の湾曲が、一対のタブ端子に電極箔を巻回した状態における、両タブ端子の圧延部間の距離をrとした場合に、0.40r〜0.60rの曲率半径を有する、請求項1に記載の円筒状電解コンデンサー用タブ端子の製造方法
  3. 前記曲率半径が0.5rである、請求項2に記載の円筒状電解コンデンサー用タブ端子の製造方法
  4. 前記圧延部の厚みが0.05〜0.5mmである、請求項1または2に記載の円筒状電解コンデンサー用タブ端子の製造方法
  5. 前記アール形状の曲率半径が、圧延部の厚みを1とした場合に、0.03〜0.05である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の円筒状電解コンデンサー用タブ端子の製造方法
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