JP2009124833A - 界磁コイルの製造装置および製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】平角線のエッジワイズ巻きによる連続コイル4のR整形において、連続コイル4を2極同時に、かつ、被膜に損傷を与えることなくR整形でき、生産性と信頼性が高く、工程が簡素で装置が小型の界磁コイルの製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】連続コイル4の円弧状に整形される外側に円弧状凹部10を有する1対のコイル整形部2と、コイル整形部2の中心を互いに連結する連結ピン8と、連結ピン8を移動可能に支承する整形部ホルダ9とからなるダイ3と、連続コイル4の円弧状に整形される内側に円弧状凸部21を有するパンチ5とを備え、ダイ3は、パンチ5の下降に対応して、連結ピン8がパンチ5の下降方向に移動するとともに、コイル整形部2が連結ピン8を中心にパンチ5の求心方向へ折れ曲がることにより、連続コイル4を、未加工部分から順次折り曲げ加工すると同時に、既加工部分をプレス成形加工して円弧状にR整形する。
【選択図】図2
【解決手段】連続コイル4の円弧状に整形される外側に円弧状凹部10を有する1対のコイル整形部2と、コイル整形部2の中心を互いに連結する連結ピン8と、連結ピン8を移動可能に支承する整形部ホルダ9とからなるダイ3と、連続コイル4の円弧状に整形される内側に円弧状凸部21を有するパンチ5とを備え、ダイ3は、パンチ5の下降に対応して、連結ピン8がパンチ5の下降方向に移動するとともに、コイル整形部2が連結ピン8を中心にパンチ5の求心方向へ折れ曲がることにより、連続コイル4を、未加工部分から順次折り曲げ加工すると同時に、既加工部分をプレス成形加工して円弧状にR整形する。
【選択図】図2
Description
本発明は、界磁コイルの製造装置および製造方法に関するものである。
〔従来の技術〕
車両用始動モータ等の多極式直流モータの界磁コイルは、平角線の幅方向と直交させて径方向に巻くフラットワイズ巻きや、平角線の幅方向を対向させて軸方向に巻くエッジワイズ巻きコイルが採用される。
車両用始動モータ等の多極式直流モータの界磁コイルは、平角線の幅方向と直交させて径方向に巻くフラットワイズ巻きや、平角線の幅方向を対向させて軸方向に巻くエッジワイズ巻きコイルが採用される。
エッジワイズ巻きコイルの4極式の界磁コイルにおいて、切れ目なく積層される2つのコイルからなる連続コイル1式を半円筒状に整形し、この連続コイル2式を互いに逆方向に整形して対向させ、互いのコイル端末部を渡り線で接合して後、ヨーク内壁に挿着、固定して磁極 (ポール)を形成する円筒状の界磁コイルの製造方法が公知である(例えば、特許文献1参照)。
従来、円筒状の界磁コイルを形成するために、個々の積層されるコイル(以下、積層コイルと呼ぶ)を円弧状に湾曲整形(以下、R (アール)整形と呼ぶ)するに際し、フラットワイズ巻きコイルに対しては、積層コイルを1つずつプレス成形によるR整形を実施して後、これを複数個連結して円筒状の界磁コイルを製作する製造方法が採用されていた。しかし、エッジワイズ巻きコイルに対しては以下に述べるような問題があって採用することは難しく、まして特許文献1に開示される切れ目なく積層される2つの積層コイルの連続コイル1式を半円筒状にR整形する製造方法として採用することは非常に難しかった。
また、連続コイル1式をR整形するに際し、ワークとしての連続コイル1式の加工長さを利用する多段のロール加工法も経験的に可能と考えられるが、以下に述べるような問題から好適な整形方法と言えるものではなかった。
〔従来技術の不具合〕
上記するプレス成形による製造方法において、1つのエッジワイズ巻きコイル毎に円弧状にプレス成形するR整形では、フラットワイズ巻きコイルの場合と異なって、平角線の幅方向に対向させて軸方向に密接して積層する構成であるので、プレス成形荷重に対する積層コイル間での摩擦負荷の増加が著しく、これによる幅方向の湾曲変形は平角線の被膜の剥離や表面傷等の損傷の発生が心配(信頼性の低下)されるとともに、1つのコイル毎では加工時間が掛かってしまう心配(生産性の低下)があった。
上記するプレス成形による製造方法において、1つのエッジワイズ巻きコイル毎に円弧状にプレス成形するR整形では、フラットワイズ巻きコイルの場合と異なって、平角線の幅方向に対向させて軸方向に密接して積層する構成であるので、プレス成形荷重に対する積層コイル間での摩擦負荷の増加が著しく、これによる幅方向の湾曲変形は平角線の被膜の剥離や表面傷等の損傷の発生が心配(信頼性の低下)されるとともに、1つのコイル毎では加工時間が掛かってしまう心配(生産性の低下)があった。
また、多段のロール加工による場合には、積層コイルの上層部と下層部とのずれやバラバラにコイルが分かれるばらけが生じやすく、積層コイルに大きな歪みが生じて円筒状のヨーク内壁の挿着に困難を伴うとともに、このための矯正工程もしくは再整列治具または装置を追加する必要が生じ、工程が複雑で装置が大型となる懸念があった。
特開2006−288123号公報
連続コイルを少なくとも2式使用し、ヨーク内壁に挿着できるようR整形し、互いのコイル端末部を渡り線にて接合して、例えば、4極式あるいは多極式直流モータの界磁コイルを製造するに際し、連続コイルを2極同時にR整形でき、積層コイルのコイル間にずれやばらけが生じず、同時に、被膜の剥離や表面傷等の損傷の発生のない生産性と信頼性が高く、また、工程が簡素で装置が小型の界磁コイルの製造装置および製造方法が強く望まれている。
よって、本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、平角線のエッジワイズ巻き連続コイルのR整形において、連続コイルを2極同時に、かつ、被膜に損傷を与えることなくR整形でき、生産性と信頼性が高く、工程が簡素で装置が小型の界磁コイルの製造装置および製造方法を提供することを目的とする。
〔請求項1の手段〕
請求項1の手段によれば、多極式直流モータの界磁コイルであって、平角線をエッジワイズに切れ目なく巻回してなる2つの積層コイルからなる連続コイルを複数使用し、それぞれを円弧状に整形し、互いに対向して渡り線によって連結し、ヨーク内壁に挿着して磁極を形成する円筒状の界磁コイルの製造装置において、連続コイルのそれぞれを所定の円弧状に整形する整形装置であって、連続コイルの円弧状に整形される外側に円弧状凹部を有する1対のコイル整形部と、各コイル整形部の中心を互いに連結する連結ピンと、連結ピンを移動可能に支承する整形部ホルダとからなるダイと、連続コイルの円弧状に整形される内側に円弧状凸部を有するパンチとを備え、ダイは、パンチの下降に対応して、連結ピンがパンチの下降方向に移動するとともに、各コイル整形部が連結ピンを中心にパンチの求心方向へ折れ曲がることにより、連続コイルを、円弧状に整形する整形装置を備えたことを特徴としている。
請求項1の手段によれば、多極式直流モータの界磁コイルであって、平角線をエッジワイズに切れ目なく巻回してなる2つの積層コイルからなる連続コイルを複数使用し、それぞれを円弧状に整形し、互いに対向して渡り線によって連結し、ヨーク内壁に挿着して磁極を形成する円筒状の界磁コイルの製造装置において、連続コイルのそれぞれを所定の円弧状に整形する整形装置であって、連続コイルの円弧状に整形される外側に円弧状凹部を有する1対のコイル整形部と、各コイル整形部の中心を互いに連結する連結ピンと、連結ピンを移動可能に支承する整形部ホルダとからなるダイと、連続コイルの円弧状に整形される内側に円弧状凸部を有するパンチとを備え、ダイは、パンチの下降に対応して、連結ピンがパンチの下降方向に移動するとともに、各コイル整形部が連結ピンを中心にパンチの求心方向へ折れ曲がることにより、連続コイルを、円弧状に整形する整形装置を備えたことを特徴としている。
これにより、R整形が折り曲げ加工とプレス成形加工との組合せによって実施できるので確実なR整形が可能となり、信頼性が向上するとともに加工が短時間で済み生産性が向上する。さらに、パンチの下降(プレス荷重)を増すことのみで折れ曲がりが促進する簡素な構成となっているので装置の小型化が容易である。
〔請求項2の手段〕
請求項2の手段によれば、1対のコイル整形部には、連続コイルの2つの積層コイルの中心間距離だけ離れた対称位置に、連続コイルのコイル内周を規制するコイル内周ガイドをそれぞれコイル整形部と直角に備えたことを特徴としている。
これにより、パンチの下降に伴う1対のコイル整形部の折れ曲がりによるR整形は、2つの積層コイルの中心にて各積層コイルの変形をガイドし外周側への移動(逃げる)を抑制するので、正常なコイル内周が得られるとともに所定の磁極ピッチが確保できる。
請求項2の手段によれば、1対のコイル整形部には、連続コイルの2つの積層コイルの中心間距離だけ離れた対称位置に、連続コイルのコイル内周を規制するコイル内周ガイドをそれぞれコイル整形部と直角に備えたことを特徴としている。
これにより、パンチの下降に伴う1対のコイル整形部の折れ曲がりによるR整形は、2つの積層コイルの中心にて各積層コイルの変形をガイドし外周側への移動(逃げる)を抑制するので、正常なコイル内周が得られるとともに所定の磁極ピッチが確保できる。
〔請求項3の手段〕
請求項3の手段によれば、コイル内周ガイドには、コイル内周ガイドが1対のコイル整形部の鉛直方向に昇降するようにスプリングを備えたことを特徴としている。
請求項3の手段によれば、コイル内周ガイドには、コイル内周ガイドが1対のコイル整形部の鉛直方向に昇降するようにスプリングを備えたことを特徴としている。
これにより、パンチの下降に伴う1対のコイル整形部の折れ曲がりによるR整形は、折れ曲がりが大きくなっても、コイル内周ガイドがパンチの一部と当接して、常に追従し、連続コイルがこのコイル内周ガイドからずれることなく安定したR整形が可能となる。また、所定の角度の折れ曲がりの整形終了状態においても、コイル内周ガイドはパンチの求心方向に向ってパンチと当接するので、R整形された円弧状の連続コイルの各積層コイルの磁極ピッチとコイル内周は正常に確保できる。
〔請求項4の手段〕
請求項4の手段によれば、コイル内周ガイドは、コイル内周保持部の形状寸法が整形終了状態のコイル内周寸法と同じであることを特徴としている。
請求項4の手段によれば、コイル内周ガイドは、コイル内周保持部の形状寸法が整形終了状態のコイル内周寸法と同じであることを特徴としている。
これにより、パンチの下降に伴う1対のコイル整形部の折れ曲がりによるR整形は、コイル内周ガイドのコイル内周保持部とコイル内周との間に適度な隙間を確保して、初期の折れ曲がりによる変形を許容し、なじみ調整されたのち正確な芯出しを得る。そして、その後折れ曲がりが大きくなるにつれ、コイル内周はコイル内周保持部に拘束され、コイルの曲げ変形能を高めるとともに積層コイルがばらけるのを防ぐことができる。また、折れ曲がりが大きくなるにつれ拘束は強まるので、コイル内周はコイル内周保持部の外形形状に倣うように変形し、従って、所定の形状寸法のコイルが得られる。
〔請求項5の手段〕
請求項5の手段によれば、1対のコイル整形部には、連続コイルの2つの積層コイルのコイル外周部と当接する位置に、2つのコイル外周部間寸法を規制するコイル外周ガイドを備えることを特徴としている。
請求項5の手段によれば、1対のコイル整形部には、連続コイルの2つの積層コイルのコイル外周部と当接する位置に、2つのコイル外周部間寸法を規制するコイル外周ガイドを備えることを特徴としている。
これにより、まず、連続コイルの投入時に位置決めが容易になるとともにコイル外周部と保持力が生じ、1対のコイル整形部が自重もしくは外部振動により下方へ下がる(折れ曲がる)のを、連続コイル自身の高い剛性によって防止することができる。また、この高い剛性とコイル外周部との保持力、および、コイル内周部のコイル内周ガイドとの保持力(拘束力)によって、パンチの下降に伴うR整形の変形負荷を適度に大きくすることが可能となる。
〔請求項6の手段〕
請求項6の手段によれば、1対のコイル整形部には、連続コイルの2つの積層コイルの巻き始め、および巻き終わりのコイル端末部を、円弧状に整形した連続コイルの周方向の所定の位置に保持するコイル端末部ガイドを備えたことを特徴としている。
これにより、各コイル端末部が周方向に変形するのを防止でき、R整形したのちにも所定のコイル端末部の形状を確保することができる。
請求項6の手段によれば、1対のコイル整形部には、連続コイルの2つの積層コイルの巻き始め、および巻き終わりのコイル端末部を、円弧状に整形した連続コイルの周方向の所定の位置に保持するコイル端末部ガイドを備えたことを特徴としている。
これにより、各コイル端末部が周方向に変形するのを防止でき、R整形したのちにも所定のコイル端末部の形状を確保することができる。
〔請求項7の手段〕
請求項7の手段によれば、ダイの最終曲げ角度は、連続コイルの整形角度と同じであることを特徴としている。
これにより、パンチの下降に伴う1対のコイル整形部の折れ曲がりによるR整形は、対をなすパンチの円弧状凸部とダイの円弧状凹部の所定形状に倣う。従って、ダイの最終曲げ角度と連続コイルの整形角度を同じにすることにより、所定角度のヨーク内壁に挿着可能なコイルが得られる。
請求項7の手段によれば、ダイの最終曲げ角度は、連続コイルの整形角度と同じであることを特徴としている。
これにより、パンチの下降に伴う1対のコイル整形部の折れ曲がりによるR整形は、対をなすパンチの円弧状凸部とダイの円弧状凹部の所定形状に倣う。従って、ダイの最終曲げ角度と連続コイルの整形角度を同じにすることにより、所定角度のヨーク内壁に挿着可能なコイルが得られる。
〔請求項8の手段〕
請求項8の手段によれば、パンチの円弧状凸部の外径寸法は、円弧状に整形した連続コイルの内側寸法より僅かに小さく、かつ、ダイの円弧状凹部の内径寸法は、ヨーク内壁の内径寸法より僅かに小さく設定されることを特徴としている。
これにより、円弧状にR整形した連続コイルのヨーク内壁への組付け作業が容易となる。
請求項8の手段によれば、パンチの円弧状凸部の外径寸法は、円弧状に整形した連続コイルの内側寸法より僅かに小さく、かつ、ダイの円弧状凹部の内径寸法は、ヨーク内壁の内径寸法より僅かに小さく設定されることを特徴としている。
これにより、円弧状にR整形した連続コイルのヨーク内壁への組付け作業が容易となる。
〔請求項9の手段〕
請求項9の手段によれば、多極式直流モータの界磁コイルであって、平角線をエッジワイズに切れ目なく巻回してなる2つの積層コイルからなる連続コイルを複数使用し、それぞれを円弧状に整形し、互いに対向して渡り線によって連結し、ヨーク内壁に挿着して磁極を形成する円筒状の界磁コイルの製造方法において、連続コイルの円弧状に整形される外側に円弧状凹部を有する1対のコイル整形部と、コイル整形部の中心を互いに連結する連結ピンと、連結ピンを移動可能に支承する整形部ホルダとからなるダイと、連続コイルの円弧状に整形される内側に円弧状凸部を有するパンチとを備え、ダイは、パンチの下降に対応して、連結ピンがパンチの下降方向に移動するとともに、コイル整形部が連結ピンを中心にパンチの求心方向へ折れ曲がることにより、連続コイルを、未加工部分から順次折り曲げ加工すると同時に、既加工部分をプレス成形加工して円弧状に整形することを特徴としている。
請求項9の手段によれば、多極式直流モータの界磁コイルであって、平角線をエッジワイズに切れ目なく巻回してなる2つの積層コイルからなる連続コイルを複数使用し、それぞれを円弧状に整形し、互いに対向して渡り線によって連結し、ヨーク内壁に挿着して磁極を形成する円筒状の界磁コイルの製造方法において、連続コイルの円弧状に整形される外側に円弧状凹部を有する1対のコイル整形部と、コイル整形部の中心を互いに連結する連結ピンと、連結ピンを移動可能に支承する整形部ホルダとからなるダイと、連続コイルの円弧状に整形される内側に円弧状凸部を有するパンチとを備え、ダイは、パンチの下降に対応して、連結ピンがパンチの下降方向に移動するとともに、コイル整形部が連結ピンを中心にパンチの求心方向へ折れ曲がることにより、連続コイルを、未加工部分から順次折り曲げ加工すると同時に、既加工部分をプレス成形加工して円弧状に整形することを特徴としている。
これにより、R整形は、まず、折り曲げ加工から始まって、その後にプレス成形によって確実にR整形が実施されるので、エッジワイズ巻きコイルでありながら、積層コイル間の摩擦負荷は小さく、良好な曲げが実施されるのでコイルの被膜の損傷は著しく低減し、信頼性が向上する。また、連続コイルの連続する2つの積層コイルを同時にR整形できるので、加工が短時間で済み生産性が向上する。さらに、パンチの下降(プレス荷重)を増すことのみで折れ曲がりが促進する簡素な構成となっているので工程の簡素化もできる。
〔請求項10の手段〕
請求項10の手段によれば、1対のコイル整形部には、連続コイルの2つの積層コイルの中心間距離だけ離れた対称位置に、連続コイルのコイル内周を規制する昇降式のコイル内周ガイドをそれぞれ備え、パンチの下降に対応して、コイル整形部が折れ曲がるときに、常に、パンチと当接させてコイル内周を保持しながら円弧状に整形することを特徴としている。
請求項10の手段によれば、1対のコイル整形部には、連続コイルの2つの積層コイルの中心間距離だけ離れた対称位置に、連続コイルのコイル内周を規制する昇降式のコイル内周ガイドをそれぞれ備え、パンチの下降に対応して、コイル整形部が折れ曲がるときに、常に、パンチと当接させてコイル内周を保持しながら円弧状に整形することを特徴としている。
これにより、パンチの下降に伴う1対のコイル整形部の折れ曲がりによるR整形は、2つの積層コイルの中心にて各積層コイルの変形をガイドし外周側への移動(逃げる)を抑制するので、正常なコイル内周が得られるとともに所定の磁極ピッチが確保できる。
〔請求項11の手段〕
請求項11の手段によれば、1対のコイル整形部には、連続コイルの2つの積層コイルの中心間距離だけ離れた対称位置に、連続コイルのコイル内周を規制する昇降式のコイル内周ガイドと、連続コイルの2つの積層コイルのコイル外周部と当接する位置に、2つのコイル外周部間寸法を規制するコイル外周ガイドをそれぞれ備え、少なくともコイル内周ガイドもしくはコイル外周ガイドのいずれかによって折り曲げに伴う変形負荷が生じるように連続コイルを拘束しながら整形されることを特徴としている。
請求項11の手段によれば、1対のコイル整形部には、連続コイルの2つの積層コイルの中心間距離だけ離れた対称位置に、連続コイルのコイル内周を規制する昇降式のコイル内周ガイドと、連続コイルの2つの積層コイルのコイル外周部と当接する位置に、2つのコイル外周部間寸法を規制するコイル外周ガイドをそれぞれ備え、少なくともコイル内周ガイドもしくはコイル外周ガイドのいずれかによって折り曲げに伴う変形負荷が生じるように連続コイルを拘束しながら整形されることを特徴としている。
これにより、パンチの下降に伴う折り曲がりによるR整形の変形負荷の発生に、ばねや圧縮ゴムのような負荷発生手段を設けずに整形可能となるため、装置が簡素化できる。
〔請求項12の手段〕
請求項12の手段によれば、請求項1ないし11のいずれか1に記載の界磁コイルの製造方法または製造装置により製造したので、信頼性の高い界磁コイルを高い生産性、つまり低コストに得ることができる。
請求項12の手段によれば、請求項1ないし11のいずれか1に記載の界磁コイルの製造方法または製造装置により製造したので、信頼性の高い界磁コイルを高い生産性、つまり低コストに得ることができる。
本発明の最良の実施形態を、図に示す実施例1とともに説明する。
〔実施例1の構成〕
本実施例は、本発明の界磁コイルの製造装置および製造方法を車両用始動モータ等の4極式直流モータに適用したものである。以下、図1、2に基づいて本実施例の界磁コイルの製造装置および製造方法について説明する。
図1は、本発明の実施例1における整形装置を示し、(a)は平面図であり、(b)は正面図である。図2は整形装置の横断面図であり、(a)は整形開始前状態を、(b)は整形途中状態を、(c)は整形終了状態を示す。図3は1式の連続コイルを示し、(a)は上面図であり、(b)は正面図である。
本実施例は、本発明の界磁コイルの製造装置および製造方法を車両用始動モータ等の4極式直流モータに適用したものである。以下、図1、2に基づいて本実施例の界磁コイルの製造装置および製造方法について説明する。
図1は、本発明の実施例1における整形装置を示し、(a)は平面図であり、(b)は正面図である。図2は整形装置の横断面図であり、(a)は整形開始前状態を、(b)は整形途中状態を、(c)は整形終了状態を示す。図3は1式の連続コイルを示し、(a)は上面図であり、(b)は正面図である。
本発明の整形装置1は、図1、2に示すように、折れ曲がり式のコイル整形部2を有するダイ3と、ダイ3の上方に投入され保持される連続コイル4を上方から押圧して円弧状に整形するパンチ5とからなる。
コイル整形部2は、1対の左側コイル整形部6と右側コイル整形部7とが互いに蝶番構造をなすように連結ピン8により連結され、整形部ホルダ9の上面に水平を維持して配設されている。
1対の左右側コイル整形部6、7は、所定の厚みと十分な剛性を有する板状の型部材であり、長手方向の両端部には互いにコの字状の蝶番部6a、6b,7a、7bが形成され、長手方向の中央部にはそれぞれ所定の円弧状の曲率を有した凹部10が長手方向に沿って形成され、この凹部10を除く他の部分は面一のフラット構造部となっている。なお、凹部10の中心線は円弧状の曲率中心と一致し、曲率中心の鉛直線である。
また、長手方向の中央部の凹部10の中心には、それぞれ左右コイル内周ガイド11、12が凹部10に対して鉛直に配設される。左右コイル内周ガイド11、12は、後記する連続コイル4の各積層コイル40のコイル内周形状と略同じ4隅のR面取りを有する矩形横断面をもち、側面にコイル内周保持部22のストレート領域をもつ角筒状型部材であり、上方は閉塞し、下方は開口してスプリング受け構造を構成している。そして、内部にスプリング18を収容して、後記するパンチ5の下降および上昇に伴い、常に、パンチ5に当接して移動を許容する昇降式のガイドである(図2(a)参照)。
このとき、左右コイル内周ガイド11、12の各コイル内周保持部22の形状寸法は連続コイル4の2つの積層コイル40のコイル内周と所定の隙間を有して嵌着可能に構成され、また、左右コイル内周ガイド11、12間の中心距離は、後記するパンチ5の円弧状凸部21の外周面の内角90度に相当する周長と等価となっている。従って、パンチ5の下降(押圧)によって1対の左右側コイル整形部6、7の折れ曲がりが増加すると、連続コイル4の変形も進行して、各コイル内周保持部22とコイル内周は所定の隙間が詰まって密接し、コイル間のずれが発生しないように拘束される。また、折れ曲がりが増加しても、常に、左右コイル内周ガイド11、12間の中心距離を一定に保ち、整形終了時に左右コイル内周ガイド11、12の中心がパンチ5の求心方向と一致するようになっており、所定の磁極ピッチが確保されるようになっている(例えば、図2(c)参照)。
なお、パンチ5の下降によって左右側コイル整形部6、7は上方に向って折れ曲がるように変形するが、折れ曲がりの角度θとは、左右側コイル整形部6、7が水平線とのなす角の総和(通常、折れ曲がりは対称で、左右側のなす角は等しいので、なす角の2倍)を指し、これは丁度パンチ5と連続コイル4との整形接触面のパンチ5の円弧状凸部21の接触面周長に相当する接触角と等価となり、この角度を整形角度と呼ぶ(例えば、図2(b)参照)。
また、左右側コイル整形部6、7のフラット構造部には、連続コイル4の外周を位置決めする左右コイル外周ガイド13、14が配設され、パンチ5の下降に伴い連続コイル4の変形が進行して折れ曲がりの角度θが大きくなっても、常に、連続コイル4の外周の変形が許容値以下に収まるようにガイドする機能も有している。
また、左右側コイル整形部6、7の一方端の蝶番部6b、7bには、さらに、連続コイル4の2つの積層コイル40の巻き始め、および巻き終わりのコイル端末部42を所定の位置に保持し、円弧状に整形した連続コイル4の周方向の移動を抑えるコイル端末部ガイド19、20を設けてもよい。これにより、それぞれの整形された連続コイル4のコイル端末部42の渡り線44による接合がしやすくなり、ヨーク内壁に挿着しやすくする。
そして、この1対の左右側コイル整形部6、7の所定の回転中心位置に連結ピン8が嵌入され、連結ピン8は整形部ホルダ9の両壁に設けられたピンガイド溝15に挿着され、支承される。これにより、左右側コイル整形部6、7は、蝶番部6a、7aおよび蝶番部6b、7bと連結ピン8とによって蝶番構造を構成して、連結ピン8を中心として左右側コイル整形部6、7が対称に折れ曲がるように変形することができる。
そして、パンチ5の下降とともに、連結ピン8はピンガイド溝15内を摺動し、下方へ移動でき、これとともに左右側コイル整形部6、7の折れ曲がりの角度θが大きくなる。なお、支持ピン16は連結ピン8が整形開始前に自重や外部振動等で落下しないように初期位置に支持するための部材であり、例えば、支持ピン受け17に挿着することにより、連結ピン8を支承する。
さらに、上記する左右側コイル整形部6、7をその上面に支持する整形部ホルダ9は、略直方体形状をなすベース部材であって、上下端面は平行に加工され水平配置が可能である。整形部ホルダ9の上下方向の中心に円柱状もしくは角柱状の穴が形成され、その穴の上方開口側にはその穴の上面に配設される左右側コイル整形部6、7の長手方向に沿って略45度の傾斜角をもつ斜傾部Cが所定の長さおよび深さまで形成される。
これにより、左右側コイル整形部6、7が連結ピン8を中心として折れ曲がる最終の折れ曲がりの角度θが略90度を超えないように維持できるようになっている。最終の折れ曲がりの角度θが略90度に維持されるため、これ以上のパンチ5の下降は抑制され、左右側コイル整形部6、7の折れ曲がりは停止して、押圧のみが促進され十分なプレス成形荷重が作用して積層コイル間の密接性を良好にする。なお、この最終の折れ曲がりの角度θの設定が、連続コイル4を円弧状に整形した整形終了時の連続コイル4の整形角度と一致するものである。
一方、パンチ5は外側に円弧状凸部21を有して長手方向に連続する型部材であり、本実施例(4極式直流モータ)では半円柱状の構造である。また、パンチ5は、コイル整形部2を構成する左右側コイル整形部6、7の回転中心の上方に、左右側コイル整形部6、7の長手方向に沿って配設され、図示しない駆動装置(例えば、油圧プレスなど)によって下方に駆動(下降)され、連結コイル4の中心部を押圧するようになっている。
パンチ5の半円柱状の外周半径は、上述するようにパンチ5の内角90度に相当する周長が、左右コイル外周ガイド13、14の中心間距離と等価となるように決められている。従って、パンチ5が下降して左右側コイル整形部6、7が変形して折れ曲がりの角度θが大きくなっても、常に、左右コイル外周ガイド13、14の中心間距離は維持され、整形終了時に左右コイル内周ガイド11、12の中心がパンチ5の求心方向と一致し、整形された連続コイル4の2つの積層コイル40は所定の90度の磁極ピッチを構成する。
さらに、連結コイル4の左右コイル外周部が、最終の折れ曲がり角度においても、パンチ5の半円柱状の円弧状凸部21と当接しつづけ、パンチ5による押圧の水平方向分力が常に作用して、連結コイル4の外周部であっても積層コイル40の密接性が維持できるようになっている。
以上により、半円柱状のパンチ5と、昇降式の左右コイル内周ガイド11、12を介装する1対のコイル整形部2からなる折れ曲がり式のダイ3との組合せになる整形装置1が形成される。そして、パンチ5の下降によって、ダイ側の折り曲げ整形とつづくプレス成形加工の組合せによってR整形される。
本実施例では、ワークとなる連続コイル4は、図3に示すように、積層コイル40を2個分巻回するに要する展開長を有する平角線を、所望の界磁コイル形状に形成される巻芯によって両自由端から同時に巻回される巻芯の同方向回転巻きであって、コイル端末部42が平行位置に位置する整列配置巻きの巻回方法になる継ぎ目のない連続コイル4を採用する。
この巻回方法により得られる連続コイル4は、図3(b)に示すように、同じ積層コイル40を2個平行に並べ、互いをコイル連続部41にて接続すると同様な構成となっており、図3(a)に示すように、積層コイル40の軸方向の厚さも共に等しく、互いに1直線上に並ぶ構成となっている。
このことは、つまり、連続コイル4を裏返した状態(以下、裏連続コイル4と呼ぶ)にて、同じ整形装置1に投入することが可能で、これによりR整形された連続コイル4(以下、裏R整形連続コイル4と呼ぶ)と表向き状態(以下、表連続コイル4と呼ぶ)にて整形装置1に投入されてR整形された連続コイル4(以下、表R整形連続コイル4と呼ぶ)とで1対の円筒状の界磁コイルが簡単に形成できることを期待させる。
なお、図1(a)に示すように、裏連続コイル4を投入した場合の連続コイル4の配置として、コイル端末部を細線の2点鎖線で示すが、これによれば、全く表連続コイル4と対称であって、コイル端末部ガイド19、20とにガイドされ、位置決めできる構成となっている。
なお、図1(a)に示すように、裏連続コイル4を投入した場合の連続コイル4の配置として、コイル端末部を細線の2点鎖線で示すが、これによれば、全く表連続コイル4と対称であって、コイル端末部ガイド19、20とにガイドされ、位置決めできる構成となっている。
図4は、円筒状の界磁コイルを形成する製造方法を模式的に示す説明図であり、(a)は界磁コイルを構成する2式の連続コイルを展開した上面図であり、(b)は正面図であり、(c)は界磁コイルを構成する2式のR整形された連続コイルの上面図であり、(d)は2式のR整形された連続コイルを渡り線で接合した界磁コイルの上面図である。
図4に示すように、表連続コイル4を本発明になる整形装置1で表R整形し、つづいて、同じ形状の裏連続コイル4を同じ整形装置1で裏R整形して、それぞれ互いに反対方向に湾曲する表R整形連続コイル4と裏R整形連続コイル4を製作する。そして、この表R整形連続コイル4と裏R整形連続コイル4とを互いに対向させてそれぞれのコイル端末部42を渡り線44で接合し、連結すれば、互いに異なる向きの磁極を形成する4極式の界磁コイルが完成する。
また、図4(a)、(b)の界磁コイルを構成する2式の連続コイル4を展開した構成図によれば、2つの表裏連続コイル4、4を互いに対称に配置し、隣り合うコイル端末部42を予め柔軟な渡り線44にて接合し、その後この接合した2連の表裏連続コイル4、4を本発明になる構成の整形装置1を2つ並列に並べたダンデム型整形装置で同時整形する製造方法であってもよい。これによれば、さらに生産性は向上する。ここで、図4(a)に示す円弧状の2点鎖線は、展開前の界磁コイルの円弧状に整形する向きを示すものである。
なお、連続コイル4は、本実施例で採用した構成以外に種々の配列、例えば、異方向回転巻きで互いのコイル端末が線対称位置に位置する対向配置巻きなど、用途に呼応した連続コイル4が考えられるが、そのための整形装置1の型形状は、特に、ダイ3側の左右側コイル整形部6、7の形状変更で対応させることが可能である。
〔実施例1の作用〕
次に、上記する整形装置1を使用して連続コイル4を半円筒状に整形する製造方法を図2の工程に従って説明する。
次に、上記する整形装置1を使用して連続コイル4を半円筒状に整形する製造方法を図2の工程に従って説明する。
〔整形開始前状態〕
図2(a)に示すように、所定の巻回方法によって巻回された連続コイル4をダイ3の上面に投入する。ダイ3に設けられた左右コイル内周ガイド11、12および左右コイル外周ガイド13、14は、所定の連続コイル4の各コイル内周形状と各コイル外周形状ならびに各コイル中心間距離と同様に形成されているので、投入と同時にこれらにガイドされてダイ3の中心に位置決めされ保持される。
図2(a)に示すように、所定の巻回方法によって巻回された連続コイル4をダイ3の上面に投入する。ダイ3に設けられた左右コイル内周ガイド11、12および左右コイル外周ガイド13、14は、所定の連続コイル4の各コイル内周形状と各コイル外周形状ならびに各コイル中心間距離と同様に形成されているので、投入と同時にこれらにガイドされてダイ3の中心に位置決めされ保持される。
〔整形途中状態〕
そして、支持ピン16を解除するとともに駆動装置を起動させ、パンチ5を下降させる。パンチ5はダイ3の中心軸上、つまり連続コイル4の2つの積層コイル40の中間の中心線に沿って移動し、連続コイル4に当接する。このとき、連続コイル4の中心線上には2つの積層コイル40の構成するコイル内周側が所定のスパンにて並列する状態で当接するため、パンチ5の頂部は直接連続コイル4に当接するのではなく、頂部より少し離れた位置にてコイル内周側と当接する。
そして、支持ピン16を解除するとともに駆動装置を起動させ、パンチ5を下降させる。パンチ5はダイ3の中心軸上、つまり連続コイル4の2つの積層コイル40の中間の中心線に沿って移動し、連続コイル4に当接する。このとき、連続コイル4の中心線上には2つの積層コイル40の構成するコイル内周側が所定のスパンにて並列する状態で当接するため、パンチ5の頂部は直接連続コイル4に当接するのではなく、頂部より少し離れた位置にてコイル内周側と当接する。
これにより、パンチ5の頂部より少し離れ、対向する2箇所の位置と各積層コイル40のコイル内周側が当接するので、仮に連続コイル4の形状、寸法にばらつきが生じても、あるいはワーク投入時にずれが生じても、常に、2箇所の当接部において連続コイル4の中心がなじみ(微調整され)、無理なく左右対称の折り曲げが実現できる。
また、パンチ5の頂部より少し離れた2箇所の当接部において、パンチ5の下降に伴うプレス荷重は、当接の初期時においても連続コイル4を支持する左右側コイル整形部6、7を連結する連結ピン8の回りに回転モーメントMを生じ、これにより左右側コイル整形部6、7は折れ曲がりを開始する。
パンチ5の下降に伴いプレス荷重が増加し、回転モーメントMも大きくなる。従って、左右側コイル整形部6、7の折れ曲がりも大きくなる。折れ曲がりが大きくなると折れ曲がりの回転中心位置に嵌入された連結ピン8は下方へ大きく移動する。左右側コイル整形部6、7の折れ曲がりによって連続コイル4はパンチ5と左右側コイル整形部6、7との間でパンチ5側に押し付けられるように曲げられる。そして、連続コイル4の曲げ加工の終わった既加工部はさらに増加するプレス荷重により円弧状にプレス整形される。
これにより、R整形は、パンチ5の下降により左右側コイル整形部6、7の折れ曲がりによる未加工部の順次(連続)曲げ加工と既加工部のプレス成形加工の組合せ加工法によってなされるもので、従来から採用されるコイルの厚さ方向の一体プレス成形加工法に比べ、平角線の被膜の損傷は著しく減少する。つまり、未加工部の積層コイル間の摩擦負荷が過大となることなく曲げに対して相対的移動が許容されるからである。
〔整形終了状態〕
そして、さらに、パンチ5が下降しプレス荷重が増加すると、左右側コイル整形部6、7は折れ曲がりを大きくし、図2(c)に示すように、折れ曲がりの角度θが略90度になって左右側コイル整形部6、7の背面が整形部ホルダ9の斜傾部Cと当接し折れ曲がりが停止する。左右側コイル整形部6、7の折れ曲がりが斜傾部Cと当接して停止すると、曲げ加工によってR整形された連続コイル4は、連続コイル4の1式全部がさらにプレス成形加工されてR整形を終了する。
そして、さらに、パンチ5が下降しプレス荷重が増加すると、左右側コイル整形部6、7は折れ曲がりを大きくし、図2(c)に示すように、折れ曲がりの角度θが略90度になって左右側コイル整形部6、7の背面が整形部ホルダ9の斜傾部Cと当接し折れ曲がりが停止する。左右側コイル整形部6、7の折れ曲がりが斜傾部Cと当接して停止すると、曲げ加工によってR整形された連続コイル4は、連続コイル4の1式全部がさらにプレス成形加工されてR整形を終了する。
このとき、左右側コイル整形部6、7の左右コイル内周ガイド11、12間の中心距離をパンチ5の半円柱状の外周面の内角90度に相当する周長と同じに設定するとともにR整形された連続コイル4の各コイル外周側がなす中心角を半円柱状のパンチ5の最大の中心角である180度よりも小さく設定するので、R整形される連続コイル4は、その2つの連続した積層コイル40のコイル外周側まで確実にプレス成形荷重が作用し、また、それぞれの積層コイル40が求心方向に向って整列するとともに互いに90度離れて隣り合い4極式直流モータに好適な磁極ピッチを形成する。
そして、所定の下降位置もしくは押圧力を達成したのち、パンチ5を逆起動して上昇させ、拘束を解除してR整形された連続コイル4をノックアウトして取り出す。
〔実施例1の効果〕
本実施例では、平角線をエッジワイズに切れ目なく巻回してなる2つの積層コイル40からなる連続コイル4を2式使用し、それぞれを円弧状に整形し、互いに対向して渡り線によって連結し、ヨーク内壁に挿着する4つの磁極を形成する円筒状の界磁コイルにおいて、連続コイル4のそれぞれを所定の半円筒状に整形する整形装置1および整形方法であって、連続コイル4の円弧状に整形される外側に円弧状凹部10を有する1対のコイル整形部2と、コイル整形部2の中心を互いに連結する連結ピン8と、連結ピン8を移動可能に支承する整形部ホルダ9とからなるダイ3と、連続コイル4の円弧状に整形される内側に円弧状凸部21を有するパンチ5とを備え、ダイ3は、パンチ5の下降に対応して、連結ピン8がパンチ5の下降方向に移動するとともに、コイル整形部2が連結ピン8を中心にパンチ5の求心方向へ折れ曲がることにより、連続コイル4を、未加工部分から順次折り曲げ加工してR整形すると同時に、既加工部分をプレス成形加工して、円弧状のR整形をなす。
本実施例では、平角線をエッジワイズに切れ目なく巻回してなる2つの積層コイル40からなる連続コイル4を2式使用し、それぞれを円弧状に整形し、互いに対向して渡り線によって連結し、ヨーク内壁に挿着する4つの磁極を形成する円筒状の界磁コイルにおいて、連続コイル4のそれぞれを所定の半円筒状に整形する整形装置1および整形方法であって、連続コイル4の円弧状に整形される外側に円弧状凹部10を有する1対のコイル整形部2と、コイル整形部2の中心を互いに連結する連結ピン8と、連結ピン8を移動可能に支承する整形部ホルダ9とからなるダイ3と、連続コイル4の円弧状に整形される内側に円弧状凸部21を有するパンチ5とを備え、ダイ3は、パンチ5の下降に対応して、連結ピン8がパンチ5の下降方向に移動するとともに、コイル整形部2が連結ピン8を中心にパンチ5の求心方向へ折れ曲がることにより、連続コイル4を、未加工部分から順次折り曲げ加工してR整形すると同時に、既加工部分をプレス成形加工して、円弧状のR整形をなす。
従って、R整形がまず折り曲げ加工から始まってその後にプレス成形によって確実にR整形が実施されるので、エッジワイズ巻きコイルでありながら、積層コイル間の摩擦負荷は小さく、良好な曲げが実施されるのでコイル被膜の損傷は著しく低減し、信頼性が向上する。また、連続コイル4の連続する左右2つの積層コイル40を同時にR整形できるので、加工が短時間で済み生産性が向上する。さらに、パンチ5の下降(プレス荷重)を増すことのみで折れ曲がりが促進する簡素な構成となっているので工程の簡素化もできる。
また、1対のコイル整形部2には、連続コイル4の2つの積層コイルの中心間距離だけ離れた対称位置に、連続コイル4のコイル内周を規制する左右コイル内周ガイド11、12をそれぞれ備えている。従って、パンチ5の下降に伴う1対のコイル整形部2の折れ曲がりによるR整形は、2つの積層コイル40の中心にて各積層コイル40の変形をガイドし外周側への移動(逃げる)を抑制するので、正常なコイル内周が得られるとともに所定の磁極ピッチが確保できる。
また、1対のコイル整形部2には、連続コイル4の2つの積層コイル40の中心間距離だけ離れた対称位置に、連続コイル4のコイル内周を規制する昇降式の左右コイル内周ガイド11、12と、連続コイル4の2つの積層コイル40のコイル外周部と当接する位置に、2つのコイル外周部間寸法を規制する左右コイル外周ガイド13、14をそれぞれ備え、少なくともコイル内周ガイドもしくはコイル外周ガイドのいずれかによって折り曲げに伴う変形負荷が生じるように連続コイル4を拘束しながら整形されるようにした。従って、パンチ5の下降に伴う折り曲がりによるR整形の変形負荷の発生に、ばねや圧縮ゴムのような負荷発生手段を設けずに整形可能となるため、装置が簡素化できる。
1 整形装置
2 コイル整形部
3 ダイ
4 連続コイル
5 パンチ
8 連結ピン
9 整形部ホルダ
10 凹部(円弧状凹部)
11 左コイル内周ガイド(コイル内周ガイド)
12 右コイル内周ガイド(コイル内周ガイド)
13 左コイル外周ガイド(コイル外周ガイド)
14 右コイル外周ガイド(コイル外周ガイド)
18 スプリング
19、20 コイル端末部ガイド
21 円弧状凸部
22 コイル内周保持部
40 積層コイル
42 コイル端末部
44 渡り線
2 コイル整形部
3 ダイ
4 連続コイル
5 パンチ
8 連結ピン
9 整形部ホルダ
10 凹部(円弧状凹部)
11 左コイル内周ガイド(コイル内周ガイド)
12 右コイル内周ガイド(コイル内周ガイド)
13 左コイル外周ガイド(コイル外周ガイド)
14 右コイル外周ガイド(コイル外周ガイド)
18 スプリング
19、20 コイル端末部ガイド
21 円弧状凸部
22 コイル内周保持部
40 積層コイル
42 コイル端末部
44 渡り線
Claims (12)
- 多極式直流モータの界磁コイルであって、
平角線をエッジワイズに切れ目なく巻回してなる2つの積層コイルからなる連続コイルを複数使用し、それぞれを円弧状に整形し、互いに対向して渡り線によって連結し、ヨーク内壁に挿着して磁極を形成する円筒状の界磁コイルの製造装置において、
前記連続コイルのそれぞれを所定の円弧状に整形する整形装置であって、
前記連続コイルの円弧状に整形される外側に円弧状凹部を有する1対のコイル整形部と、
前記各コイル整形部の中心を互いに連結する連結ピンと、
前記連結ピンを移動可能に支承する整形部ホルダと、からなるダイと、
前記連続コイルの円弧状に整形される内側に円弧状凸部を有するパンチと、を備え、
前記ダイは、前記パンチの下降に対応して、前記連結ピンが前記パンチの下降方向に移動するとともに、前記各コイル整形部が前記連結ピンを中心に前記パンチの求心方向へ折れ曲がることにより、
前記連続コイルを、円弧状に整形する整形装置を備えたことを特徴とする界磁コイルの製造装置。 - 請求項1に記載の界磁コイルの製造装置において、
前記1対のコイル整形部には、前記連続コイルの2つの積層コイルの中心間距離だけ離れた対称位置に、前記連続コイルのコイル内周を規制するコイル内周ガイドをそれぞれ前記コイル整形部と直角に備えたことを特徴とする界磁コイルの製造装置。 - 請求項2に記載の界磁コイルの製造装置において、
前記コイル内周ガイドには、前記コイル内周ガイドが前記1対のコイル整形部の鉛直方向に昇降するようにスプリングを備えたことを特徴とする界磁コイルの製造装置。 - 請求項2または3に記載の界磁コイルの製造装置において、
前記コイル内周ガイドは、コイル内周保持部の形状寸法が整形終了状態のコイル内周寸法と同じであることを特徴とする界磁コイルの製造装置。 - 請求項1ないし4のいずれか1に記載の界磁コイルの製造装置において、
前記1対のコイル整形部には、前記連続コイルの2つの積層コイルのコイル外周部と当接する位置に、2つのコイル外周部間寸法を規制するコイル外周ガイドを備えることを特徴とする界磁コイルの製造装置。 - 請求項1ないし5のいずれか1に記載の界磁コイルの製造装置において、
前記1対のコイル整形部には、前記連続コイルの左右2つの積層コイルの巻き始め、および巻き終わりのコイル端末部を、円弧状に整形した連続コイルの周方向の所定の位置に保持するコイル端末部ガイドを備えたことを特徴とする界磁コイルの製造装置。 - 請求項1に記載の界磁コイルの製造装置において、
前記ダイの最終曲げ角度は、前記連続コイルの整形角度と同じであることを特徴とする界磁コイルの製造装置。 - 請求項1に記載の界磁コイルの製造装置において、
前記パンチの円弧状凸部の外径寸法は、円弧状に整形した前記連続コイルの内側寸法より僅かに小さく、かつ、前記ダイの円弧状凹部の内径寸法は、前記ヨーク内壁の内径寸法より僅かに小さく設定されることを特徴とする界磁コイルの製造装置。 - 多極式直流モータの界磁コイルであって、
平角線をエッジワイズに切れ目なく巻回してなる2つの積層コイルからなる連続コイルを複数使用し、それぞれを円弧状に整形し、互いに対向して渡り線によって連結し、ヨーク内壁に挿着して磁極を形成する円筒状の界磁コイルの製造方法において、
前記連続コイルの円弧状に整形される外側に円弧状凹部を有する1対のコイル整形部と、
前記コイル整形部の中心を互いに連結する連結ピンと、
前記連結ピンを移動可能に支承する整形部ホルダと、からなるダイと、
前記連続コイルの円弧状に整形される内側に円弧状凸部を有するパンチと、を備え、
前記ダイは、前記パンチの下降に対応して、前記連結ピンが前記パンチの下降方向に移動するとともに、前記コイル整形部が前記連結ピンを中心に前記パンチの求心方向へ折れ曲がることにより、
前記連続コイルを、未加工部分から順次折り曲げ加工すると同時に、既加工部分をプレス成形加工して円弧状に整形することを特徴とする界磁コイルの製造方法。 - 請求項9に記載の界磁コイルの製造方法において、
前記1対のコイル整形部には、前記連続コイルの2つの積層コイルの中心間距離だけ離れた対称位置に、前記連続コイルのコイル内周を規制する昇降式のコイル内周ガイドをそれぞれ備え、前記パンチの下降に対応して、前記コイル整形部が折れ曲がるときに、常に、前記パンチと当接させてコイル内周を保持しながら円弧状に整形することを特徴とする界磁コイルの製造方法。 - 請求項9に記載の界磁コイルの製造方法において、
前記1対のコイル整形部には、前記連続コイルの2つの積層コイルの中心間距離だけ離れた対称位置に、前記連続コイルのコイル内周を規制する昇降式のコイル内周ガイドと、前記連続コイルの2つの積層コイルのコイル外周部と当接する位置に、2つのコイル外周部間寸法を規制するコイル外周ガイドをそれぞれ備え、
少なくとも前記コイル内周ガイドもしくは前記コイル外周ガイドのいずれかによって折り曲げに伴う変形負荷が生じるように前記連続コイルを拘束しながら整形されることを特徴とする界磁コイルの製造方法。 - 請求項1ないし11のいずれか1に記載の界磁コイルの製造方法または製造装置により製造した界磁コイル。
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