JP4613918B2 - コイルの製造方法 - Google Patents
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平角材を用いたコイルには、直線状の平角材を所定の長さに切ってコイルエンドで接合する方法で形成する場合と、エッジワイズ曲げをして形成する場合がある。
接合部分が少なくなる点ではエッジワイズ曲げにより形成したコイルのほうがより電気抵抗を低くでき、不良率の低減が期待できる。
特許文献1には、巻線装置及び巻線方法に関する技術が開示されている。平角材を用いてエッジワイズ曲げする際の具体的な機械の構成が示されている。この方法で巻回することで、安定して平角材を巻回することが可能となる。
このようにコイルの内周側が膨らむことによって、コイルに備えるスロットにおける平角材の占積率が低下してしまう。
このような問題を解決するために、特許文献2及び特許文献3に示されるような技術が開示されている。
モータに用いられる固定子は、極数が多い方がモータのトルクムラを抑え易い。よって、固定子に用いられるコイルは長細くなる傾向にある。このようなコイルを形成するために、特許文献1乃至特許文献3では、略長方形形状に平角材を巻回している。
図9に、従来技術の矩形コイル100を巻回する様子を示す。
矩形コイル100の巻回開始端100aから平角材115を巻回し始めて、数ターン巻回した状態が図9であり、供給端100bは固定で、回転軸120は矩形コイル100の内周と同じ矩形形状となっている。
すなわち、図9に示すように矩形コイル100の供給端100bが短辺を巻回しているときには、回転軸120が一定の速度で回転しているとすると、回転軸120の軸心Cからの距離が長軸Aとなるので巻速度が速くなり、供給端100bが長辺を巻回しているときには、軸心Cからの距離が短軸Bとなるので巻速度が遅くなる。これを交互に繰り返しながら平角材115を巻回して矩形コイル100を形成することになる。
すなわち、供給端100bに平角材115が供給される速度が変化し、速度ムラとして現れるのである。
なお、特許文献3には巻回方法に明示の記載がないが、コイルが長方形である以上同様の問題があると考えられる。
この際、巻速度を早いほうに合わせることは困難であるので、巻速度は遅い方に合わせることとなる。しかし、過剰な加速度をかけると、不要に平角材115の伸びを発生させる虞があるなどの事情から、巻回速度は数十rpm程度となる。
このような事情によって、略長方形のコイルを巻回する際には一定の速度以上にすることは困難である。したがって、コイル成形に時間がかかり、コストダウンを困難にしているという問題があった。
(1)平角材をエッジワイズ曲げ加工して形成する、コイルの製造方法において、
前記平角材を円筒状の仮巻治具に仮巻回し、前記平角材を略円形にエッジワイズ曲げ加工して仮巻きした仮巻きコイルを形成する仮巻き工程と、前記仮巻きコイルを、外周形状が円形から多角形に徐々に変化するコイル成形治具を用いて、前記コイル成形治具に前記仮巻きコイルを差し込み、前記平角材を多角形に成形された角巻き形状コイルを成形するコイル成形工程と、からなることを特徴とする。
前記仮巻きコイルから前記角巻き形状コイルへ成形する途中の成形中コイルの巻き重ね方向に圧縮力をかける第1コイル押圧手段を備え、前記コイル成形工程で、前記コイル成形治具の多角形部分に、前記仮巻きコイルが装着された状態で、前記第1コイル押圧手段により前記巻き重ね方向に圧縮力をかけて、前記角巻き形状コイルを成形することを特徴とする。
前記成形中コイルの周方向から前記コイル成形治具の凹状部分に向けて押圧成形する第2コイル押圧手段を備え、前記コイル成形治具の多角形の各辺が内側に凹む凹状に成形され、前記第1コイル押圧手段によって多角形部分に装着された前記成形中コイルが前記巻き重ね方向に圧縮力をかけられる前に、前記第2コイル押圧手段によって前記成形中コイルが押圧成形されることを特徴とする。
前記仮巻きコイルの1ターン分の周長と、前記コイル成形治具の外周に巻かれた前記角巻き形状コイルの1ターン分の周長とが略等しくなるように、前記仮巻きコイルの形状と前記仮巻治具の形状が設定されていることを特徴とする。
前記コイル成形治具を用いて成形した前記角巻き形状コイルを、焼き鈍ししたことを特徴とする。
まず、(1)に記載される発明は、平角材をエッジワイズ曲げ加工して形成する、コイルの製造方法において、平角材を円筒状の仮巻治具に仮巻回し、平角材を略円形にエッジワイズ曲げ加工して仮巻きした仮巻きコイルを形成する仮巻き工程と、仮巻きコイルを、外周形状が円形から多角形に徐々に変化するコイル成形治具を用いて、コイル成形治具に仮巻きコイルを差し込み、平角材を多角形に成形された角巻き形状コイルを成形するコイル成形工程と、からなるので、平角材を巻回する際には略円形に巻回すればよい。
また、仮巻きした後、コイル成形治具を用いて長方形に成形するコイル成形工程で必要な形状のコイルに成形することができる。コイル成形工程では、コイル形成治具に仮巻きコイルを差し込んで形成するという単純な方法を採るので、角巻き形状コイルに形成するのに短時間での成形が可能である。
したがって、図9に示すような従来の巻回方法で角巻き形状コイルを形成する場合に比べ、略円形の仮巻きコイルを形成し、コイル形成工程で角巻き形状コイルに形成する方法を採ることで、コイル成形に必要な時間を短縮することが可能となる。
平角材をエッジワイズ曲げ加工した場合には、コイルの内周側の厚みがそのエッジワイズ曲げ部分で膨らむ現象が確認されている。これは、直線の平角材をエッジワイズ曲げした際に、曲げ部の内周側が圧縮され、内周側の余った肉が平角材の厚み方向に移動するためである。
略円形に巻いた仮巻きコイルを角巻き形状に成形することでも、同様の現象が起きるため、コイル圧縮手段によってコイルの巻き重ね方向に圧縮力をかけることで、コイルの内周側の膨らみを矯正することができる。これによって、固定子に備えるスロットにコイルを配置した場合、スロットにおけるコイルの占積率を高めることが可能になる。
車載されるモータに使用される場合など小型化及び高出力化の要請が厳しい場面で使われる場合には、コイルの体格を極力小さくしたい。
これによって、角巻き形状コイルの体格を小さくすることができ、モータに搭載した場合にモータのコイルエンド部分を短くすることに貢献できる。
コイル成形治具の外周に巻かれた1ターン分の周長と、仮巻きコイルの1ターン分の周長が等しくない場合、仮巻きコイルをコイル成形治具で成形する際に、平角材が巻回方向に移動するか、平角材を延ばす方向に力が働く。このため、コイル成形時には大きな力を必要とし、成形に時間もかかる上、コイルの寸法精度を確保することが困難になる。
しかし、コイル成形治具の外周に巻かれた1ターン分の周長と、仮巻きコイルの1ターン分の周長を等しくすることで、コイルの巻回方向に働く力を最小限に抑えることができるので、コイル成形の時間を短縮することが可能で、平角材が延びることによる寸法変化もないため、寸法精度の良いコイルの提供が可能となる。
平角材をエッジワイズ曲げ加工した際に加工硬化が発生すると、コイルの抵抗値が上がってしまう。これは、エッジワイズ曲げ部分の素材材料中に、転位線が絡まり合いながら多く存在するため、電子の移動を妨げることになるからである。
したがって、コイルを焼鈍炉などで焼き鈍すことにより、材料から加工硬化の影響を除去することで、コイルのエッジワイズ曲げ部分の抵抗値の上昇を防ぐことが可能となる。
まず、本実施例のコイルの製造方法の構成について概略を簡単に説明する。
図1に、コイル10の斜視図を示す。
コイル10は、平角材15を用いて矩形に巻回されている。平角材15は、銅などの導電性の高い金属を材料に、断面が長方形に圧延された帯状の導体である。本実施例の平角材15は、厚みが約1mm、幅が約5mmである。
平角材15の周囲には絶縁被覆が施されている。絶縁被覆はエナメルやポリイミド、アミドイミドなどの絶縁性の高い物質で数十μm程度、平角材15の周囲に形成されている。
このような状態のコイル10を、図示しない固定子に装着し、モータを形成する。モータは自動車の駆動用動力として用いられている。もちろん、他の用途に用いることも妨げない。
図2に、仮巻きコイル11をコイル成形治具20に差し込む様子を示す。また、図3に、仮巻きコイル11を巻回する工程を示す。
図4に、コイル成形治具20のAA断面を示す。また、図5に、コイル成形治具20のBB断面を示す。また、図6に、コイル成形治具20のCC断面を示す。
仮巻きコイル11は、図2に示すように略円錐形に絶縁被覆されていない平角材15である、平角素線14を巻回したコイルである。この仮巻きコイル11は、図3に示したような巻回装置60によって巻回される。
巻回装置60は、ベース61と巻き軸62等からなり、平角素線14を巻き軸62に備えられる図示しない固定部に固定して巻回する。なお、巻き軸62は略円錐形状であり、平角素線14を巻回することで、平角素線14は略円形に巻回され、巻き軸62の形状に沿って略円錐形状の仮巻きコイル11が形成される。図示はしていないが、必要に応じて平角素線14を押さえるガイドを設けることが好ましい。
コイル成形治具20は、図2に示すように円形部分20a、楕円形部分20b、及び多角形部分20cが連続的に変化する形状に形成された治具である。円形部分20aは図4に、楕円形部分20bは図5に、多角形部分20cは図6にそれぞれ表されている。
なお、図2では、コイル成形治具20の形状を図面作成上の問題で高さを低く表現しているが、必要に応じてコイル成形治具20の高さを高くし、コイル成形治具20の形状変化を緩やかにすることで仮巻きコイル11を変形する際に無理な力がかからないようにすると良い。
コイル成形治具20の円形部分20a、楕円形部分20b、多角形部分20cのそれぞれの部分の外周の長さは、仮巻きコイル11の内周の長さとほぼ等しい。なお、円形部分20aの先端部分の外周は、仮巻きコイル11が挿入しやすいように仮巻きコイル11の内周よりも小さくしてある。仮巻きコイル11を挿入しやすいようにコイル成形治具20の先端を球状にしても良い。
このようなコイル成形治具20に、図2に示すように円形部分20a側から仮巻きコイル11を挿入する。
そして、仮巻きコイル11の上面から圧力を掛けて、仮巻きコイル11を下側に押していき、仮巻きコイル11を徐々に変形させていく。説明の都合上、成形中の仮巻きコイル11を成形中コイル12と呼ぶことにする。
成形中コイル12が、楕円形部分20bに差し掛かるにつれて、次第にコイル成形治具20の楕円形部分20bの断面形状に合わせて楕円形に形成されていく。その様子は図5に示されている。
そして、角部20c3には、平角材15の長辺の幅よりも短い半径でRが形成されている。角部20c3は成形中コイル12のエッジワイズ曲げ部分を形成する。
このように、成形中コイル12が多角形部分20cまで挿入されて、連続的に変形された後、第1コイル押圧手段と、第2コイル押圧手段によって、成形中コイル12の外径を成形する。
多角形部分20cに成形中コイル12が到達した状態で、第2コイル押圧手段に相当する周方向コイル圧縮手段30により成形中コイル12の周方向より中心に向けて圧縮変形させるように押圧する。
周方向コイル圧縮手段30は、長辺凹形状部20c1に対応する長辺押圧機構31と、短辺凹形状部20c2に対応する短辺押圧機構32とからなる。
長辺押圧機構31及び短辺押圧機構32は、その先端が図7に示すように円弧断面状に形成されており、長辺凹形状部20c1及び短辺凹形状部20c2の円弧とほぼ同じ形状をしている。
成形中コイル12をコイル成形治具20に通しただけの状態では、成形中コイル12のエッジワイズ曲げ加工部12aは、曲げ半径が板幅よりも小さくすることは難しく、場合によっては周方向に膨らんだ形状となっているため、周方向コイル圧縮手段30で成形中コイル12の周方向から中心に向けて押圧することで、エッジワイズ曲げ加工部12aの曲げ半径を、平角素線14の板幅よりも小さくすることが可能となる。
コイル成形治具20の周方向から中心に向けて周方向コイル圧縮手段30で押圧した後、第1コイル押圧手段に相当する巻重方向コイル圧縮手段40を用いて成形中コイル12を潰す。
巻重方向コイル圧縮手段40は、図8には成形中コイル12全体を押圧する状態で示されているが、最も押圧して板厚を矯正したい部分は成形中コイル12のエッジワイズ曲げ加工部12aであるので、成形中コイル12の四隅を下側に向けて押さえるような形状でも良い。
アニール処理は、コイル10のエッジワイズ曲げ部10aに溜まった加工歪みを除去する目的で、図示しない炉で一定温度以上に加熱し、徐々に冷却する。このような焼鈍処理を行うことで、コイル10のエッジワイズ曲げ部10aに生じた加工硬化の影響を除去、若しくは緩和する。
この後、コイル10を電着塗装などによって絶縁被覆処理し、絶縁被覆されたコイル10として形成する。
まず第1に、コイル10を仮巻きコイル11として巻回し、その後、コイル成形治具20及び、周方向コイル圧縮手段30、巻重方向コイル圧縮手段40を用いて角巻き形状のコイル10に成形するので加工時間の短縮を図ることができる。
前述したように、コイル10を角巻き形状にエッジワイズ曲げ加工していく場合、短辺と長辺の速度差が発生するために、巻回速度を上げられないという問題がある。
角巻き形状にエッジワイズ曲げ加工をおこなってコイル10を成形していく場合、十数rpm程度の速度が限界である。一方、仮巻きコイル11のように円筒形にコイルを巻回する場合には、数百rpm程度の速度で巻回することが可能であるので、数十倍の早さでの巻回を実現できる。
仮巻きコイル11をコイル成形治具20の多角形部分20cに通しただけでは、成形中コイル12のエッジワイズ曲げ加工部12aの曲げ半径を平角素線14の板幅よりも小さくすることは難しい。これは、略円錐形の仮巻きコイル11をコイル成形治具20に通して徐々に変形させ、多角形部分20cに成形中コイル12が到達した段階では、成形中コイル12の平角素線14は外側に膨らんでいる形状となりやすい。
略円錐形状の仮巻きコイル11から変形させるため、直線部分は円弧状となっており、これを周方向コイル圧縮手段30の長辺押圧機構31及び短辺押圧機構32で押圧することで矯正することで、成形中コイル12は角巻き形状となる。
ところで、成形中コイル12のエッジワイズ曲げ加工部12aの曲げ半径を、平角素線14の板幅よりも短くすることで、エッジワイズ曲げ加工部12aに発生する加工硬化が大きくなるが、コイル成形治具20で成形した後に焼鈍することで、解決可能である。
成形中コイル12のエッジワイズ曲げ加工部12a、すなわちコイル10のエッジワイズ曲げ部10aが加工硬化してしまった場合に一番大きな問題は、コイル10の抵抗値が上がってしまうことである。
出願人が確認した限り、エッジワイズ曲げ加工部12aに加工硬化が発生した場合には数%の抵抗値が上昇する。このような抵抗値の上昇は、モータの発熱に繋がり、寿命低下を招くので、好ましくない。しかし、成形中コイル12を成形後にアニール処理することで加工硬化を除去、緩和することが可能であるため、このようなコイル10の抵抗の上昇を抑えることに繋がる。
仮巻きコイル11をコイル成形治具20に通した後、多角形部分20cの位置で周方向コイル圧縮手段30によって、成形中コイル12の周方向から押圧成形したうえで、巻重方向コイル圧縮手段40によって押圧成形を行う。
平角素線14又は平角材15をエッジワイズ曲げ加工した場合には、平角素線14又は平角材15の板厚方向に寸法が増加する現象がある。これは、平角素線14又は平角材15の曲げ部の外周の長さと内周の長さの差が発生することにより、外周部分は引き延ばされ、内周部分は圧縮され、材料の肉が移動して平角素線14又は平角材15の板厚方向に逃げ、厚みが増加してしまう結果となるためである。
このように成形したコイル10を、固定子のスロットに配設した場合、スロットに対するコイル10の占積率を高めることに貢献する。
占積率の向上は、車載用モータの小型化、高出力化の要請に応えるものである。
コイル10に設けられる絶縁皮膜は固定子に配設された際に占積率に影響するため、極力薄く形成され、かつ必要な絶縁性が得られることが望ましい。
このため、数十μm程度の絶縁被覆が設けられるケースが多いが、周方向コイル圧縮手段30や巻重方向コイル圧縮手段40のような外的加圧時には、このような絶縁被覆を傷つける虞がある。また、コイル成形治具20の成形中コイル12が接触する外周面との摩擦でも、絶縁皮膜が剥がれてしまう虞もある。
よって、成形中コイル12を押圧成形後、アニール処理を行い、そして絶縁皮膜処理を施すという手順で、コイル10を成形することで、コイル10の絶縁皮膜を傷つける虞を極力減らすことが可能となる。
(1)平角材15がエッジワイズ曲げされて形成されたコイルの製造方法において、平角素線14を円筒状の巻き軸62に巻回装置60を用いて仮巻回し、平角素線14を略円形に仮巻きした仮巻きコイル11を形成する仮巻き工程と、仮巻きコイル11を、外周形状が円形から多角形に徐々に変化するコイル成形治具20を用いて、コイル成形治具20に仮巻きコイル11を差し込み、平角素線14を多角形に成形された角巻き形状コイルを成形するコイル成形工程と、からなるので、平角素線14を巻回する際には円筒状に巻回すればよい。
また、仮巻きした後、コイル成形治具20を用いて長方形に成形するコイル成形工程で必要な形状のコイル10に成形することができる。
平角素線14又は平角材15をエッジワイズ曲げ加工した場合には、コイル10の内周側がそのエッジワイズ曲げ部分で膨らむ現象が確認されている。これは、直線の平角素線14又は平角材15をエッジワイズ曲げした際に、エッジワイズ曲げ部10aの内周側が圧縮され、内周側の余った肉が厚み方向に移動するためである。
略円錐形状に巻いた仮巻きコイル11を角巻き形状に成形することでも、同様の現象が起きるため、巻重方向コイル圧縮手段40によってコイル10の巻き重ね方向に圧縮力をかけることで、コイルの内周側の膨らみを矯正することができる。これによって、固定子に備えるスロットにコイル10を配置した場合、スロットにおけるコイル10の占積率を高めることが可能になる。
車載されるモータに使用される場合など小型化及び高出力化の要請が厳しい場面で使われる場合には、コイル10の体格を極力小さくしたい。
これによって、角巻き形状コイルの体格を小さくすることができ、モータに搭載した場合にモータのコイルエンド部分を短くすることに貢献できる。
コイル成形治具20の外周に巻かれた1ターン分の周長と、仮巻きコイル11の1ターン分の周長が等しくない場合、仮巻きコイル11をコイル成形治具20で成形する際に、平角素線14が巻回方向に移動するか、平角素線14を延ばす方向に力が働く。このため、コイル成形時には大きな力を必要とし、成形に時間もかかる上、コイル10の寸法精度を確保することが困難になる。
しかし、コイル成形治具20の外周に巻かれた1ターン分の周長と、仮巻きコイル11の1ターン分の周長を等しくすることで、コイルの巻回方向に働く力を最小限に抑えることができるので、コイル成形の時間を短縮することが可能で、平角素線14が延びることによる寸法変化もないため、寸法精度の良いコイル10の提供が可能となる。
平角素線14をエッジワイズ曲げ加工した際に加工硬化が発生すると、コイル10の抵抗値が上がってしまう。これは、エッジワイズ曲げ部10aの素材材料中に、転位線が絡まり合いながら多く存在するため、電子の移動を妨げることになるからである。
したがって、コイル10を焼鈍炉などで焼き鈍すことにより、材料から加工硬化の影響を除去することで、コイル10のエッジワイズ曲げ部10aの抵抗値の上昇を防ぐことが可能となる。
例えば、周方向コイル圧縮手段30及び巻重方向コイル圧縮手段40の形状を変更することを妨げない。また、巻回装置60の構成についても仮巻きコイル11が巻回出来れば良いのであるから、図3に示す巻回装置60以外の構成を採ることを妨げない。
10a エッジワイズ曲げ部
11 仮巻きコイル
12 成形中コイル
12a エッジワイズ曲げ加工部
15 平角材
20 コイル成形治具
20a 円形部分
20b 楕円形部分
20c 多角形部分
20c1 長辺凹形状部
20c2 短辺凹形状部
20c3 R部
30 周方向コイル圧縮手段
31 長辺押圧機構
32 短辺押圧機構
40 巻重方向コイル圧縮手段
60 巻回装置
61 ベース
62 巻き軸
Claims (4)
- 平角材をエッジワイズ曲げ加工して形成する、コイルの製造方法において、
前記平角材を円筒状の仮巻治具に仮巻回し、前記平角材を略円形にエッジワイズ曲げ加工して仮巻きした仮巻きコイルを形成する仮巻き工程と、
前記仮巻きコイルを、外周形状が円形から多角形に徐々に変化するコイル成形治具を用いて、前記コイル成形治具に前記仮巻きコイルを差し込み、前記平角材を多角形に成形された角巻き形状コイルを成形するコイル成形工程と、
からなることを特徴とするコイルの製造方法。 - 請求項1に記載のコイルの製造方法において、
前記仮巻きコイルから前記角巻き形状コイルへ成形する途中の成形中コイルの巻き重ね方向に圧縮力をかける第1コイル押圧手段を備え、
前記コイル成形工程で、前記コイル成形治具の多角形部分に、前記仮巻きコイルが装着された状態で、前記第1コイル押圧手段により前記巻き重ね方向に圧縮力をかけて、前記角巻き形状コイルを成形することを特徴とするコイルの製造方法。 - 請求項2に記載のコイルの製造方法において、
前記成形中コイルの周方向から前記コイル成形治具の凹状部分に向けて押圧成形する第2コイル押圧手段を備え、
前記コイル成形治具の多角形の各辺が内側に凹む凹状に成形され、前記第1コイル押圧手段によって多角形部分に装着された前記成形中コイルが前記巻き重ね方向に圧縮力をかけられる前に、前記第2コイル押圧手段によって前記成形中コイルが押圧成形されることを特徴とするコイルの製造方法。 - 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のコイルの製造方法において、
前記仮巻きコイルの1ターン分の周長と、前記コイル成形治具の外周に巻かれた前記角巻き形状コイルの1ターン分の周長とが略等しくなるように、前記仮巻きコイルの形状と前記仮巻治具の形状が設定されていることを特徴とするコイルの製造方法。
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