JP4954332B2 - 通信装置および通信システム - Google Patents

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Description

本発明は、複数のビームで通信エリアをカバーするマルチビーム通信システムに関し、特に、地上系無線システムと衛星系移動体システムとで共有するハイブリッド移動体通信システムに関する。
複数ビームで通信エリアをカバーする従来のマルチビーム衛星通信システムの一例として、下記特許文献1に記載の衛星通信システムについて説明する。下記特許文献1に記載の衛星通信システムは、衛星と地上ネットワーク回線に接続する地上局とを備え、衛星は複数のビームを形成する。衛星が形成するビームにより無線端末と衛星が通信可能な領域であるビームエリアとするとき、各ビームエリアと通信する回線全てをユーザーリンク無線回線とよぶこととする。
なお、この通信システムでは、ユーザーリンク無線回線で使用する周波数帯は、どのビームエリアでも同一(周波数f1)とするが、衛星と地上局との無線回線であるフィーダーリンク無線回線で使用する周波数帯は、f1とは異なる周波数とする。なお、衛星は静止衛星または地球を周回する周回衛星のいずれかとする。
はじめに、フォワードリンクの通信(地上ネットワーク回線に接続されたユーザーから衛星を経由して無線端末に送信される方向)の流れについて説明する。衛星は、地上局を介して、地上ネットワーク回線からの各フォワードリンク信号を、フィーダーリンク無線回線を用いて受信する。さらに、衛星は、受信した地上ネットワーク回線からの各フォワードリンク信号を分波、抽出後、地上局からの制御コマンド情報に従って各ビームエリアに振り分けながらビーム単位で合波し、ユーザーリンク無線回線を用いて各ビームエリアに送信する。以上の信号処理フローにより、各ビームエリア内に存在する無線端末は、地上ネットワーク回線のユーザーから送信された信号を受信することができる。
つぎに、リターンリンク(無線端末から衛星を経由して地上ネットワーク回線に送信される方向)の通信の流れについて説明する。衛星は、各ビームエリア内の無線端末からのリターンリンク信号を、ユーザーリンク無線回線を用いて受信する。さらに、衛星は、受信した各ビームエリアからのリターンリンク信号を、地上局からの制御コマンド情報に従って分波、抽出後、複数のビームからの信号を合波し、フィーダーリンク無線回線を用いて地上局に送信する。地上局は、衛星からの受信信号を分波、抽出して、地上ネットワーク回線に送信する。以上の信号処理フローにより、各ビームエリア内の無線端末から送信された信号を、地上ネットワーク回線のユーザーに伝送することができる。
この従来の衛星通信システムの衛星はユーザーリンク(ユーザーリンク無線回線)側のマルチビーム送受信を、ディジタルビームフォーミング技術で実現している。具体的には、この衛星はユーザーリンク側送受信機を備え、ユーザーリンク側送受信機は、N(Nは自然数)個のアレーアンテナ素子で構成される受信アレーアンテナ素子,低雑音増幅器(LNA:Low Noise Amp),ダウンコンバータ(D/C),受信アナログフィルタ,AD(Analog to Digital)変換器,受信DBF(Digital Beam Forming)ネットワーク,受信DBF制御部,受信FB(Filter Bank),受信FB制御部,送信FB制御部,送信FB,送信DBF制御部,送信DBFネットワーク,DA変換器,送信アナログフィルタ,アップコンバータ(U/C),パワーアンプ(PA),送信アレーアンテナ素子を備えている。
ユーザーリンク側送受信機は、受信アレーアンテナで、各ビームエリア内の無線端末から送信された信号を受信する。なお、この際、各受信アレーアンテナは反射鏡を介して、各ビームエリアからの信号を受信する場合もある。N個のLNAは、それぞれ1つのアレー素子に対応する受信アレーアンテナが受信した受信信号を増幅し、N個のD/Cはそれぞれ対応する増幅後の受信信号を直流(DC)または中間(IF)周波数に周波数変換し、N個の受信アナログフィルタは、それぞれ対応する周波数変換後の受信信号から所望のシステム帯域信号を抽出する。さらに、N個のA/D変換器は、それぞれ対応する受信アナログフィルタ通過後の信号をサンプリングし、ディジタル信号に変換する。
受信DBF制御部は、地上局からフィーダーリンク無線回線経由で送信される制御コマンド情報(衛星の位置や姿勢から計算されるビーム放射方角等の情報)やA/D変換された各ディジタル信号に基づいて、所望の信号の到来方向に向けた受信アンテナパターンを形成するための各ウエイト値を計算し、その結果を受信DBFネットワークに出力する。受信DBFネットワークは、N個のディジタル信号中のL(Lは自然数)個に対応する各ウエイト値を乗算して振幅と位相制御を行った後、全て加算することで第1の受信アンテナパターンを形成し、その加算結果を第1の受信ビーム信号として出力する。
同様に、別のL個に対応する各ウエイト値を乗算して、全て加算することで第2の受信アンテナパターンを形成し、その加算結果を第2の受信ビーム信号として出力する。このようにして、受信DBFネットワークは、第1の受信ビーム信号から第M(Mは自然数)の受信ビームまでの合計M個の受信ビーム信号を出力する。
また、受信FB制御部は、フィーダーリンク無線回線経由で送信される制御コマンド情報に基づいて、各受信ビーム信号の分割内容を示す周波数分割指示情報をM個の受信FBに出力する。M個の受信FBは、それぞれ対応する受信ビーム信号を、受信FB制御部からの周波数分割指示情報に基づいて複数の信号に分波する。
ここで、受信FBおよび後述の送信FBは、たとえば、下記非特許文献1に記載の構成により実現することができる。下記非特許文献1は、入力信号の帯域の{2分割,4分割,8分割}を実現する構成である。この受信FBは、第1〜第7の7つの2分割フィルタバンク,選択部を備える。そして、各2分割フィルタバンクは、入力信号の周波数帯を2分割し、分割した高い方の周波数成分を抽出後、サンプリング速度を1/2にダウンサンプリングする高周波数側デシメータと、分割した低い方の周波数成分を抽出後、サンプリング速度を1/2にダウンサンプリングする低周波数側デシメータと、で構成される。
そして、受信FBに入力された信号は、まず、第1の2分割フィルタバンクに入力され、第1の2分割フィルタバンクの高周波数側デシメータの出力,低周波数側デシメータの出力は、それぞれ第2の2分割フィルタバンクと第3の2分割フィルタバンクに入力される。そして、第2の2分割フィルタバンクの高周波数側デシメータの出力,低周波数側デシメータの出力は、それぞれ第4の2分割フィルタバンクと第5の2分割フィルタバンクに入力され、第3の2分割フィルタバンクの高周波数側デシメータの出力,低周波数側デシメータの出力は、それぞれ第6の2分割フィルタバンクと第7の2分割フィルタバンクに入力される。そして、第1〜第7の2分割フィルタバンクの出力は選択部に入力される。
たとえば、F1〜F4の4つの周波数帯(F1<F2<F3<F4、F1の周波数帯域幅を1とするとき、F2,F3,F4の周波数帯域幅をそれぞれ1,2,4とする。)が含まれる入力信号の場合、選択部は、第7の2分割フィルタバンクの低周波数側デシメータの出力を選択することにより、F1の周波数帯の信号を得ることができ、第7の2分割フィルタバンクの高周波数側デシメータの出力を選択することにより、F2の周波数帯の信号を得ることができる。また、第3の2分割フィルタバンクの高周波数側デシメータの出力を選択することにより、F3の周波数帯の信号を得ることができ、第1の2分割フィルタバンクの高周波数側デシメータの出力を選択することにより、F4の周波数帯の信号を得ることができる。
また、この衛星システムで使用する周波数帯以外の周波数成分については、選択部は、選択せずに破棄する、たとえば、F4の周波数帯の信号がこの衛星システムの信号ではない場合(例えば、干渉波や他システムの信号の場合)、選択部は、第1の2分割フィルタバンク高周波数側デシメータの出力を選択しないで、破棄する。
そして、選択部が選択して出力する各分波信号は、他の受信ビーム信号に対して分波された信号とともに衛星で合波され、フィーダーリンク無線回線を用いて地上局に送信される。
つぎに、送信動作について説明する。各ビームに対応する送信FBは、フィーダーリンク無線回線から送られてきた各信号を、送信FB制御部からの周波数合成指示情報に基づいて1つの送信ビーム信号に合波する。即ちM個の送信FBから、M個の送信ビーム信号が出力される。送信DBFネットワークは、送信DBF制御部から指示されるL´個のウエイト値を、L´個にコピーされた所定の送信ビーム信号に乗算する。この処理をM個の送信ビーム信号に対してそれぞれ実施すると、L´×M個の信号が得られるが、送信アレー素子の共有化により適宜合成することにより、送信DBFネットワークは、N(<L´×M)個のDBF送信信号を出力する。
そして、N個のD/A変換器は、それぞれ対応するDBF送信信号を、ディジタルからアナログ信号に変換する。N個の送信アナログフィルタは、それぞれ対応するアナログ信号からイメージ成分を除去し、N個のU/Cは、対応するイメージ除去後の信号(アナログDBF信号)を、受信側の周波数とは異なる無線周波数に周波数変換する。
さらに、N個のPAは、それぞれ対応する無線周波数に変換されたアナログDBF信号を増幅し、送信アレーアンテナは、増幅された各アナログDBF信号を空間に出力する。この際、送信アレーアンテナは、反射鏡を介して各アナログDBF信号を空間に出力してもよい。
さらに、下記特許文献1に記載の衛星通信システムの衛星は、他のシステムとの周波数共有を実現するため、他のシステムからの信号(=干渉波)を検出し、検出した場合はその到来方向に対するアンテナパターンのヌル形成により、干渉に対する影響回避を行う。なお、信号源の到来方向の推定方法に関しては、既に様々な手法が確立されており、たとえばビーム・フォーマ法や、多重信号分離法(MUSIC)が代表的である。
干渉回避のための具体的な信号処理は、受信DBF制御部が行う。受信DBF制御部は、到来する信号の信号源を解析し、自衛星通信システム以外の信号であると判定した場合は、干渉波と判断し、干渉方向に対してアンテナパターンのヌル形成を行うようにウエイト値を計算し、受信DBFネットワークに出力する。受信DBFネットワークは、このウエイト値を用いて干渉方向に対するアンテナパターンへのヌル形成を行い、通信に影響を与えない程度まで干渉低減を行う。
特開平10−145260号公報
"マルチレート信号処理",貴家仁志,昭晃堂,pp.94 図6.5(a),(b) "安全・安心のための地上・衛星共用モバイル通信システム",電子情報通信学会,2008年 総合大会 BP-1-3
ところで近年、地上系無線セルラシステムとマルチビーム衛星システムで共有するハイブリッド移動体通信システムが検討されている(たとえば、上記非特許文献2参照)。このハイブリッド移動体通信システムでは、例えばIMT(International Mobile Telecommunication)−2000で衛星系に分配された周波数帯(30MHz)を、衛星系システムと別の地上系携帯電話システムで共有することで、周波数有効利用を図ろうとしている。しかし、この周波数共有方式では、互いの干渉を回避することが課題となる。
この方式では、衛星の受信系への干渉源は、対象のビームエリアと同一周波数を使用する近隣エリアの地上系無線セルラシステムの各携帯電話の電波となる。ここで、衛星のビームエリアの半径を100kmとし、地上系無線セルラの半径を1kmと仮定すると、衛星の1ビームエリア面積あたりの地上系セルラの数は約10000個と見積もることができる。このように、近隣エリアから発せられる干渉波(=携帯電話からの電波)の数は、無数に存在することになる。したがって、従来のように、衛星が干渉波1つ1つに対して到来方向を推定し、全ての干渉波に対して、アンテナパターンへのヌル形成を実現することは困難である。
たとえば、地上に存在する各都市部が複数存在する場合、各都市からの無数の干渉波が生じる。地上系無線セルラシステムとマルチビーム衛星システムの両システムで共有する周波数を、本衛星システム側の使用のみに制限しているエリア(以下、制限エリアという)以外のエリアでは、地上系無線セルラシステムは、マルチビーム衛星システムと共有の周波数を使用することができる。したがって、衛星に、無数の携帯電話からの干渉波が到来することになるが、その干渉波の発生分布は、その時々の人口密度に比例する。特に都市部からの干渉波の数は膨大な数になり、初期設定時の受信アンテナパターンのサイドローブでは除去しきれない大きなレベルの干渉源が、各都市部を中心に多数発生する。衛星は、これらの全ての干渉源に対してヌルを形成する必要があるが、受信DBF制御部において膨大な演算と、無数のヌルを形成するための膨大な回路規模となるため、ハードウエアの実現が極めて困難となる。
なお、ここでは簡単化のため、両システムで共有する周波数帯を1つとして説明したが、実際はマルチビーム衛星システムを構成する無線端末の移動性を考慮して、共有する周波数帯を複数に分割し、分割した周波数帯を異なるセルで用いる。たとえば、両システムで共有する周波数帯を3分割し、分割した周波数帯をそれぞれf1,f2,f3とする。この場合、分割した各周波数単位(f1,f2,f3)で、周波数共有化が行われるため、上述の分割しない場合(共有する周波数帯と1つとする場合)と同様の問題が発生する。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、回路規模の増加を抑え、かつ、地上系無線セルラシステムからの干渉の影響を低減することができる通信装置および通信システムを得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、N(Nは自然数)個のアレーアンテナ素子で構成される受信アレーアンテナと、ディジタルビーム形成処理により前記アレーアンテナ素子ごとの受信信号を用いてビームエリアの異なるM(Mは自然数)個の受信ビームを形成する受信ビーム信号を生成する受信ビーム形成手段と、前記受信ビーム信号を周波数分波した周波数分波受信ビーム信号を生成する受信フィルタバンクと、を備える通信装置であって、受信ビームごとに、あらかじめ定めた初期の受信ビーム特性に基づいて推定したその受信ビームに干渉を与えるビームエリアである干渉候補ビームエリアを保持し、前記周波数分波受信ビーム信号に基づいて受信ビームごとに受信スペクトラムを求め、受信ビームごとの受信スペクトラムと前記干渉候補ビームエリアを指向する受信ビームの受信スペクトラムとに基づいて、受信ビームと周波数との組み合わせごとに干渉源となるビームエリアである干渉源エリアを求める干渉源検出手段、を備え、前記受信ビーム形成手段は、受信ビームと周波数との組み合わせごとに前記干渉源エリアの方向にヌル形成を行うよう前記受信ビーム信号を生成することを特徴とする。
この発明によれば、本実施の形態では、干渉源検出手段が、最小周波数単位で分波した信号に基づいて平均電力を算出し、受信信号スペクトラムを求め、受信信号スペクトラムと干渉源エリアと予測されるエリアからの送信信号との関係とに基づいて、強い干渉波が生じている隣接エリアである干渉件源エリアを検出し、検出した干渉件源エリアに対してヌル形成を行うようウエイトを算出するようにしたので、回路規模の増加を抑え、かつ、地上系無線セルラシステムからの干渉の影響を低減することができる、という効果を奏する。
図1は、本発明にかかる通信装置の実施の形態1の機能構成例を示す図である。 図2は、実施の形態1の受信FBの機能構成例を示す図である。 図3は、最小周波数単位で分波した各信号の平均電力の一例を示す図である。 図4は、システム帯域の分割例を示す図である。 図5は、実施の形態1の通信システムのビームエリアと使用する周波数の一例を示す図である。 図6−1は、衛星に到来する信号のスペクトラム例を示す図である。 図6−2は、衛星に到来する信号のスペクトラム例を示す図である。 図7は、エリア64の方向に対して初期の受信ビーム形成を行った場合の受信ビーム信号形成処理の例を示す図である。 図8は、エリア63の方向に対して初期の受信ビーム形成を行った場合の受信ビーム信号形成処理の例を示す図である。 図9は、エリア65の方向に対して初期の受信ビーム形成を行った場合の受信ビーム信号形成処理の例を示す図である。 図10は、エリア63,64,65に対してそれぞれ受信ビームを向けた場合の受信スペクトラムを並べて示した図である。 図11は、干渉除去処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 図12は、地上系セルラシステムがCDMA方式である場合の干渉信号の一例を示す図である。 図13は、エリア64に受信ビームを向けエリア63に対してヌルを形成した場合のf4の受信信号スペクトラムの一例を示す図である。 図14は、エリア64に受信ビームを向けエリア63およびエリア61に対してヌルを形成した場合のf4の周波数帯の受信信号スペクトラムの一例を示す図である。 図15は、エリア64に受信ビームを向けエリア63およびエリア61に対してヌルを形成した場合の受信信号スペクトラムの一例を示す図である。 図16は、実施の形態3の通信装置の機能構成例を示す図である。 図17は、実施の形態4の通信装置の機能構成例を示す図である。
以下に、本発明にかかる通信装置および通信システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる通信装置の実施の形態1の機能構成例を示す図である。本実施の形態の通信装置は、静止衛星や周回衛星等の衛星に搭載されていることとする。図1に示すように、本実施の形態の通信装置は、受信アレーアンテナ素子1−1〜1−N(Nは自然数)で構成される受信アレーアンテナと、受信アレーアンテナ素子1−1〜1−Nにそれぞれ接続されるLNA2−1〜2−Nと、ダウンコンバータ(D/C)3−1〜3−Nと、受信アナログフィルタであるFilter4−1〜4−Nと、AD変換器(A/D)5−1〜5−Nと、受信DBFネットワーク6と、受信DBF制御部7と、受信FB8−1〜8−M(Mは自然数)と、受信FB制御部9と、干渉源検出部10と、を備えている。また、本実施の形態の通信装置は、さらに、送信DBF制御部11と、送信FB制御部12と、送信FB13−1〜13−Mと、送信DBFネットワーク14と、DA変換器(D/A)15−1〜15−Nと、送信アナログフィルタであるFilter16−1〜16−Nと、アップコンバータ(U/C)17−1〜17−Nと、パワーアンプ(PA)18−1〜18−Nと、送信アレーアンテナ素子19−1〜19−Nと、を備えている。
本実施の形態の通信装置は、マルチビームを構成し(M個のビームエリアを構成する)、また、地上ネットワークに接続される地上局とフィーダーリンク回線で通信を行うこととする。また、本実施の形態の通信装置と上述の地上局と各ビームエリア内で自装置と無線通信するユーザー端末とで通信システムを構成する。本実施の形態の通信システム内のユーザー端末は、本実施の形態の通信装置と地上局経由で地上ネットワーク上のユーザーと通信を行うことができる。
また、本実施の形態では、地上系無線セルラシステムと、本実施の形態の通信システム(マルチビーム衛星システム)でシステム帯域を共有することとする。また、本実施の形態の通信システムでは、システム帯域を所定の数に分割し、分割した周波数をビームエリアごとに割り当てて用いることとする。
本実施の形態では、マルチビームを構成する従来の衛星が備える受信FBの機能を用い、各受信FBが分波した信号電力の平均値を求め、平均値に基づいて平均的に強い干渉を発生しているビームエリアを特定し、ビームエリア単位でアンテナパターンのヌル形成を行う。この処理により、従来、受信DBF制御部で行っていた干渉波の到来方向を推定する複雑な演算処理を無くし、かつヌル形成を行う数も大幅に減らすことができるため、信号処理や回路規模の大きな削減をもたらし、地上系無線セルラシステムとシステム周波数を共有し、干渉波が無数に存在する場合でも衛星に搭載される通信装置のハードウエア化を実現可能とする。
つづいて、本実施の形態の動作について説明する。まず、送信動作について説明する。本実施の形態の送信FB13−1〜13−Mは、フィーダーリンク無線回線から送られてきた各信号を、送信FB制御部12からの周波数合成指示情報に基づいてそれぞれ1つの送信ビーム信号に合波する。即ちM個の送信FB13−1〜13−Mから、M個の送信ビーム信号が出力される。送信DBFネットワーク14は、送信DBF制御部11からの指示されるL´個のウエイト値を、L´個にコピーされた所定の送信ビーム信号に乗算する。なお、周波数合成指示情報およびL´は地上局からあらかじめ送信されることとする。この処理をM個の送信ビーム信号に対してそれぞれ実施すると、L´×M個の信号が得られるが、送信アレー素子の共有化により適宜合成することにより、送信DBFネットワーク14は、N(<L´×M)個のDBF送信信号を出力する。
そして、D/A15−i(i=1〜N)は、それぞれ対応するDBF送信信号を、ディジタルからアナログ信号に変換する。Filter16−iは、D/A15−iが変換したアナログ信号からイメージ成分を除去し、U/C17−iは、Filter16−iがイメージ除去した信号(アナログDBF信号)を、受信側の周波数とは異なる無線周波数に周波数変換する。
さらに、PA18−iは、U/C17−iが無線周波数に変換したアナログDBF信号を増幅し、送信アレーアンテナ素子19−iは、PA18−iが増幅したアナログDBF信号を空間に出力する。この際、送信アレーアンテナ素子19−iは、反射鏡を介して各アナログDBF信号を空間に出力してもよい。
つぎに、受信動作について説明する。本実施の形態の通信装置は、受信アレーアンテナ(受信アレーアンテナ素子1−1〜1−Nで構成されるアレーアンテナ)で、自装置が生成する各ビームエリア内の無線端末から送信された信号を受信する。なお、この際、各受信アレーアンテナは反射鏡を介して、各ビームエリアからの信号を受信する場合もある。
LNA2−i(i=1〜N)は、受信アレーアンテナ素子1−iが受信した受信信号を増幅し、D/C3−iはLNA2−iが増幅した受信信号を直流(DC)または中間(IF)周波数に周波数変換し、Filter4−iは、D/C3−iが周波数変換した受信信号から所望のシステム帯域信号を抽出する。さらに、A/D5−iは、Filter4−iが抽出した信号をサンプリングし、ディジタル信号に変換する。
受信DBF制御部7は、地上局からフィーダーリンク無線回線経由で送信される制御コマンド情報(衛星の位置や姿勢から計算されるビーム放射方角等の情報)とA/D5−1〜5−Nが処理した各ディジタル信号とに基づいて、所望の信号の到来方向に向けた受信アンテナパターンを形成するための各ウエイト値を計算し、その計算結果を受信DBFネットワーク6に出力する。受信DBFネットワーク6は、A/D5−1〜5−Nが処理したN個のディジタル信号中のL(Lは自然数)個に対応する各ウエイト値を乗算して振幅と位相制御を行った後、全て加算することで第1の受信アンテナパターンを形成し、その加算結果を第1の受信ビーム信号として出力する。
同様に、受信DBFネットワーク6は、別のL個に対応する各ウエイト値を乗算して、全て加算することで第2の受信アンテナパターンを形成し、その加算結果を第2の受信ビーム信号として出力する。このようにして、受信DBFネットワーク6は、第1の受信ビーム信号から第M(Mは自然数)の受信ビームまでの合計M個の受信ビーム信号を出力する。
また、受信FB制御部9は、フィーダーリンク無線回線経由で送信される制御コマンド情報に基づいて、各受信ビーム信号の分割内容を示す周波数分割指示情報を受信FB8−1〜8−Mに出力する。受信FB8−1〜8−Mは、受信DBFネットワーク6から出力されるそれぞれの受信ビーム信号を、受信FB制御部9からの周波数分割指示情報に基づいて複数の信号に分波する。
図2は、本実施の形態の受信FB8−1の機能構成例を示す図である。図2に示すように、本実施の形態の受信FB8−1は、2分割フィルタバンク21−1〜21−7と選択部22とで構成される。本実施の形態の受信FB8−1は、たとえば、「“マルチレート信号処理”,貴家仁志,昭晃堂,pp.94 図6.5(a),(b)」に示されるような、従来の受信FBの構成により実現できる。ただし、本実施の形態の受信FB8−1では、2分割フィルタバンク21−4〜21−7の出力信号(図中の出力信号23)、すなわち、使用可能な周波数帯域を分割した最小周波数帯単位で分波した信号が、干渉源検出部10に入力される点が従来の受信FBと異なる。なお、この改修点は、単に出力を追加するだけであるため、従来の受信FBから回路規模に変更はない。
2分割フィルタバンク21−1〜21−7は、それぞれ入力信号の周波数帯を2分割し、分割した高い方の周波数成分を抽出後、サンプリング速度を1/2にダウンサンプリングする高周波数側デシメータ31と、分割した低い方の周波数成分を抽出後、サンプリング速度を1/2にダウンサンプリングする低周波数側デシメータ32と、で構成される。なお、受信FB8−2〜8−Mも、受信FB8−1と同一の構成とする。
受信FB8−1に入力された信号は、まず、2分割フィルタバンク21−1に入力され、2分割フィルタバンク21−1の高周波数側デシメータ31の出力,低周波数側デシメータ32の出力は、それぞれ2分割フィルタバンク21−2,2分割フィルタバンク21−3に入力される。そして、2分割フィルタバンク21−2の高周波数側デシメータ31の出力,低周波数側デシメータ32の出力は、それぞれ2分割フィルタバンク21−4,と2分割フィルタバンク21−5に入力され、2分割フィルタバンク21−3の高周波数側デシメータ31の出力,低周波数側デシメータ32の出力は、それぞれ2分割フィルタバンク21−6と2分割フィルタバンク21−7に入力される。そして、2分割フィルタバンク21−1〜21−7の出力は選択部22に入力される。選択部22は、2分割フィルタバンク21−1〜21−7から、自通信システムで使用する周波数帯の信号を選択し、後段のユーザー装置等に出力し、また、自通信システムで使用する周波数帯以外の周波数成分の信号を破棄する。
干渉源検出部10は、受信FB8−1〜8−Mから出力される最小周波数単位で分波した各信号の平均電力を求め、求めた平均電力に基づいて干渉源が多く発生しているエリアを特定していく。具体的には、以下の処理を行う。はじめに干渉源検出部10は、出力信号23の各信号の電力を計算し、それらの電力の時間平均を平均電力として求め、M個の(ビームごとの)平均電力系列を得る。
図3は、最小周波数単位で分波した各信号の平均電力の一例を示す図である。下段の平均電力41〜49は、最小周波数単位で分波した(分割した)分割周波数ごとの平均電力を示す。この平均電力は、上述のように干渉源検出部10が算出した平均電力である。入力スペクトラム信号(受信信号のスペクトラム)を上段のような形状とするとき、下段に示すような平均電力41〜49が得られる。すなわち、最小周波数単位で分波した信号の平均電力を求めることにより、最小周波数単位で表した入力信号のスペクトラムを得ることができる。
すなわち、あらかじめ、ビームエリアごとの送信信号のスペクトラムの形状がわかっている場合、干渉源検出部10が求めた平均電力系列とそのスペクトラムの形状が一致する場合、その形状に対応するビームエリアに向けた信号を受信したと判断することができる。なお、以降では、干渉源検出部10が求める平均電力系列を受信信号スペクトラムとよぶこととする。
つぎに、干渉源検出部10が実施する受信信号スペクトラムを用いた干渉源エリア推定処理について説明する。図4は、システム帯域の分割例を示す図である。図4に示すように、地上系無線セルラシステムと、本実施の形態の通信システムで共有するシステム帯域を{f1,f2,f3,f4,f5,f6,f7}に7等分する場合を例に説明する。
図5は、本実施の形態の通信システムのビームエリアと使用する周波数の一例を示す図である。図5では、図4に示した7分割された周波数を各ビームエリアに割り当てて使用することとする。図5に示した各円は、衛星が生成する各ビームエリア(セル)を示している。なお、ここでは、図5のビームエリアは地上に固定の範囲(エリア)を示しており、本実施の形態の通信装置が搭載される衛星の位置にかかわらず、本実施の形態の通信装置がそのエリアに向けたビームを生成したときにカバーするビームエリアを示していることとする。図5に示すように、隣接するビームエリアでは異なる周波数を用いることとし、ここでは、7つの周波数を7セル単位で繰返して使用することとする。たとえば、エリア61,62,63,64,65,66,67は、それぞれ周波数f1,f2,f3,f4,f5,f6,f7の異なる周波数を用いている。また、エリア61〜67に隣接するエリア68,69,70,71は、それぞれ周波数f7、f2、f5,f1を用いる。
本実施の形態の通信システムと周波数を共有する地上系無線セルラシステムでは、図5で示す各ビームエリアでは、円内に記載の周波数(∈{f1,f2,f3,f4,f5,f6,f7})以外の周波数を使うことができる。また、図5のエリア63は、首都圏などの大都市部をカバーし、エリア61,64,68は、中規模な都市群をカバーし、エリア62,65,71は、地上系無線セルラシステムが存在しない海上をカバーし、その他のエリアは、農業地帯または山間地帯をカバーすることとする。
以上の条件の場合に、エリア61〜71から衛星に到来する信号のスペクトラム例を図6−1,6−2に示す。図6−1,6−2の、白色の台形で示される各信号スペクトラムは、本実施の形態の通信システム内のユーザー端末から送信される信号のスペクトラムを示している。それ以外の各網掛けされたスペクトラムは、地上系無線セルラシステムの各ユーザー端末から送信される信号のスペクトラムを示している。図6−1,6−2から明らかなように、大都市部をカバーするエリア63では、地上系無線セルラシステムからの信号スペクトラムの出力が特に高く、逆に海上をカバーするエリア62,65,71では地上系無線セルラシステムから送信される信号スペクトラムが存在しない。
図7〜9に、図4の周波数配置および図6−1,6−2で示した条件の場合の受信ビーム信号形成処理の例を示す。図7は、エリア64の方向に対して初期の受信ビーム形成を行った場合の受信ビーム信号形成処理の例を示し、図8は、エリア63の方向に対して初期の受信ビーム形成を行った場合の受信ビーム信号形成処理の例を示し、図9は、エリア65の方向に対して初期の受信ビーム形成を行った場合の受信ビーム信号形成処理の例を示す。
図7〜9のパターン80は、本実施の形態の通信装置が形成する初期時の受信アンテナビームパターンを示している。なお、ここで、受信アンテナビームパターンのサイドローブ特性により、受信ビームを向けた対象のビームエリアからの信号の受信レベルは保持し(=0[dB])であり、隣接するビームエリアからの信号レベルはX[dB]減衰し、さらに、次隣接以上のエリアからの信号は完全に除去されると仮定する。
この場合、本実施の形態の通信装置が受信するある受信ビームから受信する受信信号は、受信ビームを向けたエリア内から送信される信号と、6つの隣接するエリア内から送信されるX[dB]減衰したサイドローブ成分の信号が合成されたものとなる。したがって、たとえば、エリア64に向けられた受信ビームの受信信号(受信ビーム信号)のスペクトラムは、図7に示すように本来の信号レベルからX[dB]減衰したエリア61,62,63,65,66,67から送信された信号スペクトラムと、エリア64から送信された信号スペクトラムを合成したものになる。
図7中のスペクトラム81は、エリア64に向けられた受信ビーム信号のスペクトラムの周波数f4の成分である。なお、図7〜9では、同一の網掛け種類で示した矩形は同一のエリアから送信された同一種類の信号の成分を示すこととする。図7のスペクトラム81に示すように、この受信ビーム信号には、所望波であるエリア64からの信号以外に干渉波としてエリア63およびエリア61の地上系無線セルラシステムの各ユーザー端末から送信された信号が含まれている。このように、図7の例では、初期時の受信アンテナビームパターンでは干渉波が除去しきれずに残り、所望波のレベルより干渉波のレベルが大きく、通信が成立しない状態である。
ここで、エリア61,62,63,…,71にエリア#n(n=1,2,3,…,11)と順に番号を振り、エリア#nから到来する信号の周波数fm(m=1,2,3,…,7)の信号をエリア#nに受信ビームを向けた場合に受信した場合の受信電力をPin(n,m)とし、隣接エリアからのアンテナパターンのサイドローブによる信号の減衰比(その隣接エリアに受信ビームを向けた受信した場合の受信電力に対するサイドローブの電力比)wを、w=10(−X/10)とする。
このとき、本実施の形態の通信装置が、エリア♯nの方向に受信ビームを向けた(形成した)場合の周波数fmの受信電力Pout(n,m)は式で表すことができ、たとえば、図7に示したようにエリア64(n=4)の方向に対して受信ビームを向けた場合の周波数f4(m=4)の受信電力Pout(4,4)は、以下の式(1)で表すことができる。
Pout(4,4)
=Pin(4,4)+w×Pin(1,4)+Pin(2,4)+Pin(3,4)+Pin(5,4)+Pin(6,4)+Pin(7,4)) …(1)
また、図8に示すように、エリア63に向けられた受信ビーム信号のスペクトラムは、X[dB]減衰したエリア61,64,66,68,69,70からの信号スペクトラムと、エリア63からの信号スペクトラムを合成したものになる。図8のスペクトラム82は、エリア63に向けられた受信ビーム信号の周波数f4の受信ビーム信号のスペクトラムである。図8に示すように、スペクトラム82は、エリア63からの周波数f4成分、すなわち、エリア63からの地上系無線セルラシステムから信号が、支配的となる。このとき、Pout(3,4)は以下の式(2)で表すことができる。
Pout(3,4)
=Pin(3,4)+w×(Pin(1,4)+Pin(4,4)+Pin(6,4)
+Pin(8,4)+Pin(9,4)+Pin(10,4)) …(2)
図6−1に示すように、エリア63からの受信ビーム信号は、所望信号であるf3の周波数より、他の周波数成分の方が、レベルが高い。また、Pout(4,4)のサイドローブの成分の合計はPout(3,4)のサイドローブの成分の合計と同程度以下と仮定すると、以下の式(3)が成立する。
Pout(3,4) > Pout(4,4) …(3)
一方、図9に示すように、エリア65に向けられた受信ビーム信号のスペクトラムは、本実施の形態の通信システムがカバーするエリアの端のビームであるためX[dB]減衰したエリア62,64,65,67,71の信号スペクトラムと、エリア65の信号スペクトラムを合成したものになる。ここでは、本実施の形態の通信システムがカバーしない隣接エリアからの干渉は無いとして説明するが、もちろん、本実施の形態の通信システムがカバーしない隣接エリアからの干渉が発生する場合は、その干渉波がX[dB]減衰した成分を加算する。
図9のスペクトラム83は、エリア65に向けられた受信ビーム信号の周波数f4のスペクトラムである。図9に示すように、エリア65の隣接エリアの周波数f4帯には地上系無線セルラシステムの強い信号が存在しないため、エリア64の周波数f4帯からの信号が支配的となる。エリア65の受信ビーム信号の受信電力Pout(5,4)は、以下の式(4)で表すことができる。
Pout(5,4)
=Pin(5,4)+w×(Pin(2,4)+Pin(4,4)
+Pin(7,4)+Pin(11,4)) …(4)
したがって、図7と図9から明らかなように、次の式(5)が成り立つ。よって、エリア65に向けられた周波数f4の受信ビーム信号のスペクトラムと、エリア64に向けられた周波数f4の受信ビーム信号のスペクトラムを比較しても明らかなように、次式が成り立つ。
Pout(4,4) > Pout(5,4) …(5)
以上の式(3),(5)から、以下の式(6)が成り立つ。
Pout(3,4) > Pout(4,4) > Pout(5,4) …(6)
図10は、エリア63,64,65に対してそれぞれ受信ビームを向けた場合の受信スペクトラム(スペクトラム81〜83)を並べて示した図である。図10からわかるように、エリア63の地上系無線セルラシステムからの強い信号の影響によりPout(3,4)は高い値を示し、また、エリア63の地上系無線セルラシステムからの強い信号の影響がPout(4,4)に干渉成分として加わっている。
以上述べたような性質を利用し、干渉源検出部10は、受信FB8−1〜8−Mからの出力信号に基づいて求めた受信信号スペクトラムを、上記のPout(n,m)として用い、Pout(n,m)と既知であるアンテナパターンサイドローブの減衰量wとに基づいて、Pin(n,m)を算出する。なお、電力の周波数方向分解能の劣化を許容する場合、求める受信信号スペクトラムは、最小周波数単位で分波した信号である必要は無く、受信FB8−1〜8−M内の分波過程の、より粗い周波数単位で分波した信号を用いて求めてもよい。
具体的には、以下のようにPin(n,m)を求める。Pin(n,m)は、Pin(1,1),Pin(1,2),…,Pin(1,7)を周波数方向に並べたものが、図6−1のエリア61の電力(最上段)に対応し、同様に、Pin(n,1),Pin(n,2),…,Pin(n,7)を周波数方向にならべたものが、図6−1,図6−2に示した各スペクトラムとなる。しかし、サイドローブの影響により、干渉源検出部10が受信スペクトラムとして求めるのはPout(n,m)である。
Pin(n,m)を求めるための計算の方法として、たとえば、Pout(n,m)とPin(n,m)との間には、上記の式(1),(2),(4)に示すように一定の関係がある。これらの関係を全てのn,mについて求め、連立方程式とし、連立方程式をPin(n,m)について解くことにより、Pin(n,m)を得ることができる。なお、この場合、n=Mとなり、n個の各エリアはそれぞれM個の受信ビームに対応する。
つぎに、干渉源検出部10は、各受信ビームエリアについて、得られたPin(n,m)の中に、自通信システムの通信に障害となるような強い干渉波が発生している受信ビームを検出する。
この干渉波発生エリアの検出は、たとえば、Pin(n,m)に基づいて受信ビームごとに、その受信ビームに対応するPin(n,m)に基づいて所望波レベルSを求め、隣接するエリアのPin(n,m)に基づいてその所望波の周波数の干渉波レベルIを求め、S/I比を求める。そして、S/I比が所定の閾値より小さい受信ビームを抽出し、抽出した受信ビームに対して、干渉源として影響を及ぼしている隣接エリア(干渉源エリア)とその干渉量を検出する。そして、干渉源検出部10は、検出した干渉源エリアと干渉量を受信DBF制御部7に通知する。受信DBF制御部7は、従来技術とは異なり、自ら干渉波の到来方向を推定することはせず、干渉源検出部10からの干渉源エリアの情報に基づいてその干渉方向にヌル形成を行う。したがって、受信DBF制御部7の演算量は少なく、受信DBF制御部7は小規模の回路で実現することができる。
以上の一連の干渉除去処理を周期的に行うことで、干渉源が集中する都市部等の方向に対してのみヌル形成を実現することができ、軽い演算量で、マルチビーム衛星システムの干渉除去を実現することができる。
図11は、上述した干渉除去処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、受信DBF制御部7は、衛星の姿勢や位置情報に基づいて、各ビームエリアに向けた初期受信ビーム形成を行う(ステップS11)。つぎに、干渉源検出部10は、受信FB8−1〜8−Mの出力信号を平均することにより、受信ビームごとの受信信号スペクトラムを測定する(ステップS12)。すなわち、干渉源検出部10は、Pout(n,m)を求める。そして、干渉源検出部10は、上述のように連立方程式を解くことで、Pin(n,m)を求め、Pin(n,m)に基づいて強い干渉波が生じている隣接エリアを検出する(ステップS13)。
そして、干渉源検出部10は、強い干渉波が生じている隣接エリアが検出されたか否かを判断し(ステップS14)、検出された場合(ステップS14 Yes)は、干渉源エリアに対してヌル形成を行う(ステップS15)。具体的には、干渉源検出部10は、所望波を求めた受信ビームとその受信ビームに対する干渉源エリアと干渉量を受信DBF制御部7に通知し、受信DBF制御部7は、その受信ビームに対応するビームエリアにアンテナの指向性を向けつつ、干渉源エリアに対してヌル形成を実現するウエイト値を算出し、算出したウエイト値を受信DBFネットワーク6に出力する。そして、ステップS12に戻り処理を繰り返す。また、ステップS14で強い干渉波が生じている隣接エリアが検出されなかった場合(ステップS14 No)は、ステップS12に戻る。
なお、本実施の形態では、周波数を7セルを1単位として割り当て、7セルごとに繰返す場合について説明したが、周波数配置はこれに限らず、3セル以上を単位とする繰り返しであれば、どのような周波数配置としてもよい。
また、本実施の形態では、初期時の受信アンテナビームパターンの特性を、ビームを向けたエリアからの信号レベルは保持し(=0[dB])、隣接するビームエリアからの信号レベルはX[dB]減衰し、更に次隣接以上のビームエリアからの信号は完全に除去されると仮定したが、初期時の受信アンテナビームパターンの特性は、これに限らず、DBF(Digital Beam Forming)によって形成された指向性を有するアンテナパターン特性であればどのような特性でも良い。たとえば、サイドローブ特性が緩やかで、隣接ビームエリアだけでなく、次隣接ビームエリアからの信号まで十分減衰できない特性でも、上記の干渉回避処理は実現できる。この場合、次隣接ビームエリアの信号も考慮して連立方程式をたて、Pout(n,m)から、Pin(n,m)を求めることができる。
なお、衛星側の演算規模、回路規模、消費電力削減のため、干渉源検出部10、受信DBF制御部7aが行う演算処理の一部または全てを、地上局が行うようにしてもよい。この場合、たとえば、衛星の通信装置は、フィーダーリンク無線回線、または別の無線回線を用いて、受信FB8−1〜8−Mが最小周波数単位で分波した各信号を地上局に送信する。そして、地上局が上記Pout(n,m)の算出、連立方程式の計算、干渉源エリアの検出、およびヌル形成を実現するウエイト値算出を実施し、地上局は、ウエイト値等の計算結果を、衛星に搭載される通信装置にフィーダーリンク無線回線または別の無線回線を用いて送信する。
また、本実施の形態では、地上系無線セルラシステムと周波数を共有する周波数共有方式を前提としたが、地上系無線セルラシステムとの周波数共用を行わない周波数分離方式の場合でも、本衛星システムに影響を与える干渉源が無数存在し、かつ特定の複数のエリアに集中するような場合に、本実施の形態の干渉除去処理は有効である。たとえば、初期ビーム形成後の受信アンテナパターンの指向性が緩やかな場合に生じ得る、自通信システム内での干渉への回避にも有効である。この場合、あるエリアに向けた受信ビーム信号に対して、本実施の形態の通信システム内の同一周波数を使用している別エリアからの衛星に向けたアップリンクの信号が干渉源となる。この別エリアに本ユーザーが集中し干渉量が大きくなる場合に、特に有効である。
また、初期時のビーム形成時に、本実施の形態の通信システムのサービスエリアに関する地図情報や人口密度情報を用いて、あらかじめ干渉が生じると予想される方向(都市部への方向など)にビームのヌルを向ける設定とすることで、初期ビーム形成してから、干渉回避によって通信可能な状態となるまでの時間短縮を図っても良い。
また、干渉源検出部10は、検出した干渉源エリアの出現、消失に関する時間方向の規則性、または干渉量変化に関する時間方向の規則性(たとえば1日単位または1週間単位の周期性)を検出し、規則性を検出した場合には、その規則性に基づいてアンテナパターンのヌル形成を予測して制御することで、干渉源の時間変動に対する追従特性を高めてもよい。さらに、干渉源検出部10は、現在得られている干渉源エリアと、上記検出した規則性の情報の両方を用いることで、不規則な干渉波発生にも対応したリアルタイムな干渉回避も行うことで、更に性能を挙げてもよい。
なお、本実施の形態の通信システムと周波数を共有する地上系セルラシステムの多重アクセス方式をCDMA(Code Division Multiple Access)とし、本マルチビーム衛星システムの多重アクセス方式を、CDMA以外(TDMA(Time Division Multiple Access),FDMA(Frequency Division Multiple Access),OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)等)とすることで、以下の(A)〜(C)のメリットが生じるため、このような方式とすることが望ましい。
(A)地上系セルラシステムから衛星に到来する信号スペクトラムが、CDMAのシステム帯域内(=BWCDMA)でフラットになるため、このBWCDMA内に点在する本実施の形態の通信システムの各周波数の信号に対して、均等な干渉電力密度の干渉源となる。したがって、このBWCDMA内に点在する実施の形態の通信システムの各周波数の信号、どの周波数に配置してもS/Iが変わらないため、システム設計(S/Iの算出や、回線設計等)が容易になる。
図12は、地上系セルラシステムがCDMA方式である場合の干渉信号の一例を示す図である。図12中、スペクトラム100,101は、隣接エリアの地上系無線セルラシステムからのCDMA信号スペクトラムを示し、スペクトラム102,103,104,105は、f4の周波数帯を使用する本実施の形態の通信システム内のユーザーからの信号を示し、スペクトラム106は干渉信号のスペクトラムを示す。このように、スペクトラム100,101は、CDMAのシステム帯域内(=BWCDMA)でフラットであり、その信号レベルの増減は、地上系無線セルラシステムのユーザー数に比例する。このスペクトラム100,101が、アンテナパターンのサイドローブ特性によってX[dB]減衰して、f4の周波数帯を使用する実施の形態の通信システム内のユーザー信号に干渉を与えることになるが、その干渉信号のスペクトラム106もフラットになるため、スペクトラム102,103,104,105に及ぼす影響は同じであり、どの場合も同じS/Iとなる。この効果により、本マルチビーム衛星システムの設計が容易となる。
(B)図12に示したように、スペクトラム100,101が、CDMAのシステム帯域内(=BWCDMA)でフラットであるため、受信FB8−1〜8−Nの最小周波数単位が粗く、また、受信信号スペクトラムの周波数分解能が粗い場合でも、干渉源検出部10は、地上系無線セルラシステムからの干渉量を正確に算出することができる。
(C)逆方向として本実施の形態の通信システムが地上系無線セルラシステムに対して干渉を与える場合は、本実施の形態の通信装置から送信された複数の信号が、無線セルラシステムの受信機が行う逆拡散処理によって周波数拡散されるため、その拡散利得に応じたC/I(Carrier to Interference)の改善により、干渉に強い地上系無線セルラシステムが実現できる。
なお、本マルチビーム衛星システムの多重アクセス方式をCDMA方式とし、周波数を共用する地上系セルラシステムの多重アクセス方式をCDMA以外(TDMA,FDMA,OFDM)としても良い。この場合、以下の(a)〜(c)の効果が得られる。
(a)地上系セルラシステムからの各信号(=干渉波)は、地上局に転送され、地上局が行う逆拡散処理によって、スペクトラム拡散されるため、上記(A)の効果と同様に、その干渉量が、ある特定の周波数に偏ることは無い。したがって、逆拡散後のS/Iは、その干渉波が発生した周波数によって左右されることは無く、地上系無線セルラシステムのユーザー数に対してのみ比例する。この効果により、本実施の形態の通信システムの設計が容易となる。
(b)本実施の形態の通信システムの1波あたりの帯域幅がスペクトラム拡散によって広くなるため、通信装置の受信FB8−1〜8−Mおよび送信FB13−1〜13−Mの分波/合波の最小周波数単位が粗くて良くなる。これによって受信FB8−1〜8−Mおよび送信FB13−1〜13−Mの回路規模、消費電力を減らすことができる。
逆方向として本実施の形態の通信システムが地上系無線セルラシステムに対して干渉を与える場合は、衛星に搭載された通信装置から送信される各信号は、周波数拡散された干渉波となるため、この周波数拡散された帯域内で、地上系無線セルラシステムの各信号の周波数によってS/Iが変わることはなく、地上系無線セルラシステムのS/Iは、本実施の形態の通信システム内のユーザー数に比例する。この効果により、地上系無線セルラのシステム設計が容易となる。
このように、本実施の形態では、干渉源検出部10が、受信FB8−1〜8−Mから得られる最小周波数単位で分波した信号に基づいて平均電力を算出し、受信信号スペクトラムをPout(n,m)として求め、Pout(n,m)とPin(n,m)との所定の関係に基づいて、Pin(n,m)を求めるようにした。そして、干渉源検出部10は、求めたPin(n,m)に基づいて、強い干渉波が生じている隣接エリアを検出し、受信DBF制御部7は、検出した隣接エリアに対してヌル形成を行うようウエイトを算出するようにした。このため、無数の干渉波が存在する場合であっても、従来の受信FBから回路規模を増大させることなく、かつ、地上系無線セルラシステムからの干渉の影響を低減することができる。
なお、実施の形態では、本実施の形態の通信システムと地上系無線セルラシステムとの間で周波数を共有するハイブリッド移動体通信システムを例に説明したが、周波数を共用するシステムは、地上系無線セルラシステムに限らず、別の無線システムであってもよい。たとえば、周波数を共用するシステムは、地上系無線セルラシステムではなく、別のマルチビーム衛星システムや、無線LANシステムでも良い。
また、本実施の形態では、衛星に搭載された通信装置の場合について説明したが、衛星に搭載される場合だけでなく、複数のエリアにビームを向けて通信を行う無線通信システムに幅広く適応することができる。たとえば、室内の天井に設置され、複数の小エリアに存在する複数の無線端末と通信を行う室内無線基地局(アクセスポイント)や、屋外の鉄塔や柱の上に設置され、複数エリアに存在する複数の移動機と通信を行う屋外無線基地局として、本実施の形態の通信装置を用いることができる。
実施の形態2.
つづいて、本発明にかかる通信装置の実施の形態2について説明する。本実施の形態の通信装置の構成および通信システムの構成は実施の形態1と同様である。以下、実施の形態1と異なる部分についてのみ説明する。
本実施の形態では、実施の形態1で記載した連立方程式を用いることなく、簡単な比較処理および減算処理で、干渉源エリアと干渉量の検出を実現する。実施の形態1で述べたとおり、連立方程式を解いてPout(n,m)からPin(n,m)を求めることができるか、演算回路の規模上、このような連立方程式を解く処理を行うことが困難な場合も考えられる。したがって、本実施の形態では、Pin(n,m)を算出して干渉源エリアを特定するのではなく、Pout(n,m)と所定のしきい値との比較および減算処理によって干渉源エリアとその干渉量を特定する。
たとえば、実施の形態1で説明した図10に示したPout(3,4),Pout(4,4),Pout(5,4)を比較すると、エリア63の地上系無線セルラシステムからの信号レベルが高いため、エリア63にビームを向けて得られるPout(3,4)が大きな値を示す。このように、干渉源検出部10は、エリア64が用いる周波数帯であるf4の周波数帯について、隣接するエリアのPout(n,m)を抽出し、それらの大きさを比較する。図10の場合、干渉源検出部10は、エリア64に向けているビームに対して、エリア63が干渉源エリアであると判定することができる。この判定結果を受けて受信DBF制御部7は、エリア64へ向けたビームについてエリア63のヌル形成を行う。
図13は、エリア64に受信ビームを向けエリア63に対してヌルを形成した場合のf4の受信信号スペクトラムの一例を示す図である。スペクトラム84は、この場合の周波数帯f4の受信信号スペクトラムPout(4,4)である。図13に示す通り、Pout(4,4)の値は、エリア63からの干渉量削減によって減少し、その結果、エリア64に向けたビームの所望波レベルS/干渉波レベルI比は増加する。
このように、たとえば、エリア64に向けたビームでは、その周辺のエリアに向けたビームから得られるPout(1,4),Pout(2,4),Pout(3,4),Pout(5,4),Pout(6,4),Pout(7,4)の中で、所定のしきい値PTHより高い値が存在する場合、高い値に対応するエリアを干渉源エリアと判定することができる。干渉源検出部10は、このようにして判定した干渉源エリアとその干渉量を受信DBF制御部7に出力する。
たとえば、初期状態として図7に示した状態であった場合、Pout(1,4)とPout(3,4)がしきい値を超えたとする。このとき干渉源検出部10は、エリア64に向けたビームの周波数帯f4の受信信号に対して、エリア61から中レベル(Pout(1,4)−PTH)、エリア63から大レベル(Pout(3,4)−PTH)の干渉が加算されていると判定する。
この判定結果を受け、受信DBF制御部7は、エリア64に向けたビームについてエリア61とエリア63にアンテナのヌル形成を実現する各ウエイト値を出力することで、受信スペクトラムPout(4,4)から干渉波が減少する。図14は、エリア64に受信ビームを向けエリア63およびエリア61に対してヌルを形成した場合のf4の周波数帯の受信信号スペクトラムの一例を示す図である。スペクトラム85は、この場合の周波数帯f4の受信信号スペクトラムPout(4,4)である。図15は、エリア64に受信ビームを向けエリア63およびエリア61に対してヌルを形成した場合の受信信号スペクトラムの一例を示す図である。図15のスペクトラム81aは、各エリアから左側に示したような送信信号がある場合に、エリア64に受信ビームを向けエリア63およびエリア61に対してヌルを形成した場合の周波数帯f4の受信信号スペクトラムである。図14,15に示すように、干渉波の除去により高いS/Iを実現することができる。
なお、以上の処理を行い干渉源エリアにヌル形成を行っても、受信信号レベル(上記の例では、Pout(4,4))の減衰が生じない場合は、干渉源検出部10は、干渉源エリアからの干渉が、所望信号に影響を与えている量は僅かであると判断し、ヌル形成を緩和するまたは解除するフィードバック処理を行っても良い。
また干渉源検出部10は、しきい値PTHを超えるPout(j,4)の中で大小関係を求め、その数値が大きい順番に、それが該当するエリアに対する干渉回避を段階的に行なうようにしてもよい。
以上ではエリア64に向けたビームの周波数帯f4に対する処理について説明したが、干渉源検出部10は、同様に周波数帯f4の全てのPout(n,4)(n=1,2,3,…)に基づいて、周波数帯f4を用いる本実施の形態の通信システムへの干渉源となるエリアと、その干渉量を検出する。同様に、干渉源検出部10は、全てのPout(n,m)を用いて、本通信システムで使用する全ての周波数帯とすべての受信ビームに対して、干渉源となるエリアと、その干渉量を検出し、その結果を受信DBF制御部7に出力する。そして、受信DBF制御部7は、干渉源エリアにヌル形成するようウエイトを算出する。以上説明した以外の本実施の形態の動作は実施の形態1と同様である。
また、初期時のアンテナビーム特性が、次隣接ビームエリアの信号も考慮する必要がある特性である場合には、干渉源エリア検出の際に使用するPout(n,m)を、隣接エリアから次隣接エリアまでに拡大して収集し、それらをしきい値PTHと比較して検出していくことで、同様に干渉回避処理を実現できる。
このように、本実施の形態では、受信ビームごとに、その受信ビームエリアの隣接エリアのPout(n,m)がしきい値を超える場合にその隣接エリアを干渉源エリアと判定するようにした。このため、実施の形態1に比べ、さらに、演算量、回路規模、消費電力を大幅に減らすことができる。
実施の形態3.
図16は、本発明にかかる通信装置の実施の形態3の機能構成例を示す図である。図16に示すように本実施の形態の通信装置は、実施の形態1の通信装置に自動利得制御部(AGC:Automatic Gain Control)90を追加し、D/C3−1〜3−N,受信DBFネットワーク6,受信DBF制御部7,送信DBF制御部11をそれぞれD/C3a−1〜3a−N,受信DBFネットワーク6a,受信DBF制御部7a,送信DBF制御部11aに替える以外は実施の形態1の通信装置と同様である。本実施の形態の通信システムの構成は、実施の形態1の通信装置を本実施の形態の通信装置に替える以外は、実施の形態1の通信システムと同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施の形態では、実施の形態1に対して、以下の2つの機能を追加している。
(1)非常に強いレベルの干渉波が入力された場合でも、通信や干渉回避動作への影響を軽減するためのAGC機能
(2)衛星が、地上系無線セルラのユーザーに対して与える干渉を軽減する機能
まず、上記(1)の機能について説明する。実施の形態1の通信装置では、地上系無線セルラシステムからの干渉レベルが非常に強い場合、または非常に強い妨害波が受信アンテナ素子1−1〜1−Nに入力された場合、受信信号がA/D5−1〜5−Nの入力レベル範囲(A/Dの正常動作範囲)を超えることがある。この場合、A/Dサンプル後のデータは、最大と最小の2値のみで出力されるため、それ以降の受信DBFネットワーク6の信号処理(受信ビーム信号の形成や、干渉源エリアに対するヌル形成)が正常に行われないことになる。
この影響を回避するため、本実施の形態では、受信DBFネットワーク6aが、A/D5−1〜5−Nのそれぞれがサンプリングしたディジタルデータの電力(受信電力)を算出し、AGC90が、A/D5−1〜5−Nごとに算出した受信電力の平均値を求める。
そして、AGC90は、算出した各受信電力の平均値の全てが、所定のしきい値THa以下の場合、受信信号がA/Dの入力レベルの範囲内であると判断し、D/C3a−1〜3a−Nのゲイン値を最大値(たとえば0dB)に設定する。一方、算出した各受信電力の平均値のいずれかが、しきい値THaを超えた場合、AGC90は、受信信号がA/Dの入力レベルの範囲を超えたと判断し、D/C3a−1〜3a−Nのゲイン値を低減する制御を行う(たとえば、0dBから−6dBに変更する)。この制御の後に、再び算出した各受信電力の平均値全てが、しきい値THa以下となった場合、AGC90は、D/C3a−1〜3a−Nのゲイン値を最大値に上げる(たとえば、−6dBから0dBに変更する)制御を行う。
このようなフィードバック制御により、非常に強い干渉波レベルが入力された場合でも、受信信号がA/D5−1〜5−Nの入力レベル範囲を定常的に超えることはなく、ディジタル受信ビーム形成や干渉動作が不能となる問題を解決することができる。
ところで、非常に強い干渉波レベルが入力されると、受信信号中、干渉波成分が支配的となり、所望波の成分は減少することになる。したがって、受信信号がA/D5−1〜5−Nの入力レベル範囲に調整された後の所望波成分のエネルギーは減少し、その振幅ビット数が失われることになる。そこで、この問題も解決するため、受信DBFネットワーク6aは、受信アレーアンテナ素子1−1〜1−Nごとの信号を合成した後の各受信ビームを、受信FB8a−1〜8a−Nに出力する際に、合成によって増加した受信信号の振幅のビット数を減らさずに(下位数ビットを削除せずに)出力する。受信FB8a−1〜8a−Nは、この振幅のビット精度を保持するように演算を行い、ビット精度の向上を図る。なお、従来の一般的な処理では、この合成後の信号を出力する際にビット数を削減している。
つぎに、上記(2)の機能について説明する。実施の形態1または実施の形態2で記載した処理により求めた干渉源エリアには、多数の地上系無線セルラシステムのユーザーが存在していることを意味している。衛星から本実施の形態の通信システムの各エリアに向けた送信信号は、地上系無線セルラシステムのユーザーに影響を与える。特に、干渉源エリアにはとして判定されるエリアには、多数の地上系無線セルラシステムのユーザーが存在しているため、このエリアに対して干渉が生じると影響を受けるユーザーが多くなるため、このエリアに対して干渉を与えないことが望ましい。
そこで送信DBF制御部11aは、干渉源検出部10から受け取る干渉源エリアやその干渉量を用いて、干渉源エリアの近傍に向けた各送信ビームの指向性を高め、干渉源エリアに影響するサイドローブレベルを極力落とすように制御する(アンテナパターンの指向性を絞るよう制御する)。以上説明した以外の本実施の形態の動作は実施の形態1と同様であり、D/C3a−1〜3a−N,受信DBFネットワーク6a,受信DBF制御部7a,送信DBF制御部11aは、上記(1)および(2)の追加機能の動作以外に、それぞれ実施の形態1のD/C3−1〜3−N,受信DBFネットワーク6,受信DBF制御部7,送信DBF制御部11と同様の機能を有し同様の動作を行う。
なお、本実施の形態では、実施の形態1の通信装置に上記(1)と(2)の機能を追加したが、実施の形態2の通信装置に上記(1)と(2)の機能を追加するようにしてもよい。また、本実施の形態では上記(1)と(2)の両方の機能を追加するようにしたが、実施の形態1または実施の形態2の通信装置に、上記(1)または上記(2)の機能を単独で追加するようにしてもよい。
このように、本実施の形態では、AGC90が、受信電力がしきい値THaを超えるか否かを判定し、判定結果に基づいて、D/C3a−1〜3a−Nのゲインを制御するようにした。このため、非常に強い干渉波レベルが入力された場合でも、受信信号がA/D5−1〜5−Nの入力レベル範囲を定常的に超えることはなく、ディジタル受信ビーム形成や干渉動作が不能となる問題を解決することができる。
また、本実施の形態では、送信DBF制御部11aが、求めた干渉源エリアの近傍に向けた各送信ビームの指向性を高め、干渉源エリアに影響するサイドローブレベルを極力落とすようにした。このため、多数の地上系無線セルラシステムのユーザーが存在するエリアに対して、本実施の形態の通信装置からの送信信号が与える干渉を低減することができる。
実施の形態4.
図17は、本発明にかかる通信装置の実施の形態4の機能構成例を示す図である。図17に示すように本実施の形態の通信装置は、実施の形態3の通信装置の受信FB8−1〜8−Mを受信FB8a−1〜8a−Nに替え、受信DBFネットワーク6aの配置を受信FB8−1〜8−Mおよび受信FB制御部9の前段から、受信FB8a−1〜8a−Nおよび受信FB制御部9の後段に変更しているが、それ以外は、実施の形態3と同様である。本実施の形態の通信システムの構成は、実施の形態3の通信装置を本実施の形態の通信装置に替える以外は、実施の形態3の通信システムと同様である。実施の形態3と同様の機能を有する構成要素は、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施の形態では、受信FB8a−1〜8a−Nは、実施の形態3の受信FB8−1〜8−Mと同様に入力信号を分波するが、本実施の形態では、受信FB8a−1〜8a−Nは受信アレーアンテナ素子1−1〜1−Nごとにそれぞれ配置され、それぞれA/D5−1〜5−Nから入力されるディジタル信号に対して周波数分波を行う。そして、受信DBFネットワーク6aは、受信FB8a−1〜8a−Nが周波数分波した各信号に対して受信ビーム信号を形成する。そして、受信DBFネットワーク6aは、受信ビーム信号を干渉源検出部10に出力し、干渉源検出部10は受信ビーム信号に基づいて干渉源エリアや干渉量を検出する。このような構成とすることで、狭帯域に割当てられた既知信号を用いた主波の到来方向推定、指向性制御を高速に実現することができる。
以下に、本実施の形態の動作を詳細に説明する。本実施の形態の通信装置が搭載される衛星の姿勢が乱れると、地上の同一点からの信号の到来方向が変化する。したがって、衛星の姿勢が乱れる(指向精度が変動する)場合は、到来方向に対して常に送受信アンテナを向けるアンテナ指向性制御を行う必要がある。
この指向性制御の一手段として、例えば、地上局から発せられる既知信号(パイロット信号)を用いてフィードバック処理を行う方法がある。ここで既知信号(パイロット信号)に割当てられる周波数帯域は、一般に周波数有効利用の観点から、全システム帯域に対して僅か(たとえば数千分の1など)、残りは通信用の信号帯域に割当てられる。したがって、実施の形態1〜3の構成で、このパイロット信号を用いた指向性制御を実現する場合、受信DBF制御部7または受信DBF制御部7aに入力される信号は、A/D5−1〜5−Nから出力された分波される前の通信用信号とパイロット信号が合波された信号であるため、パイロット信号のみを用いることができない。
このため、受信DBFネットワーク6または受信DBFネットワーク6aでビーム形成が行われた後に、受信FB8−1〜8−Mで分波された後の信号から、パイロット信号を抽出して処理を行う必要がある。すなわち、実施の形態1〜3の構成でこの指向性制御を実現する場合には、ビーム形成後のパイロット信号を用いてフィードバック処理を行うことにより、受信DBF制御部7または受信DBF制御部7aが各ウエイト値を更新し、徐々に指向性制御を実現する動作となる。
一方、本実施の形態の構成で、同様の指向性制御を実現する場合、受信DBF制御部7aは、受信FB8a−1〜8a−Nから出力されるアレーアンテナ素子ごとに、分波された信号からパイロット信号を抽出して、そのパイロット信号を用いて所望のアンテナ指向性を実現するウエイト値を算出することによってフィードバック制御を行うことができる。したがって、受信DBF制御部7aは各ウエイト値を受信DBFネットワーク6aに直接設定することができるため、上記の実施の形態1〜3の構成で指向性制御を行う場合に比べ、高速に動作することができる。これ以外の本実施の形態の動作は、実施の形態3と同様である。
なお、図17では、実施の形態3の構成を変更する例について説明したが、実施の形態1または2の通信装置を、受信FB8−1〜8−Mを受信FB8a−1〜8a−Nに替え、受信DBFネットワーク6の配置を受信FB8−1〜8−Mおよび受信FB制御部9の前段から、受信FB8a−1〜8a−Nおよび受信FB制御部9の後段に変更し、本実施の形態の指向性制御を実現するようにしてもよい。
なお、本実施の形態では、高速な処理を行うために、図17に示した構成としたが、処理時間に余裕のある場合などには、実施の形態1〜3の構成から受信DBFネットワーク6の配置を変更せずに、ビーム形成後のパイロット信号を用いてフィードバック処理を行うことにより、受信DBF制御部7または受信DBF制御部7aが各ウエイト値を更新し、指向性制御を実現するようにしてもよい。
このように、本実施の形態では、受信DBFネットワーク6の前段に受信FB8a−1〜8a−Nおよび受信FB制御部9を配置し、受信FB制御部9が、ビーム形成前の信号を分波した受信FB8a−1〜8a−Nの出力からパイロット信号を抽出し、抽出したパイロット信号に基づいてウエイト値を設定することにより指向性制御を行うようにした。このため、実施の形態1〜3の構成でパイロット信号を用いて指向性制御を行う場合に比べ、高速に処理を行うことができる。
以上のように、本発明にかかる通信装置および通信システムは、複数のビームで通信エリアをカバーするマルチビーム通信システムに有用であり、特に、地上系無線システムと衛星系移動体システムとで共有するハイブリッド移動体通信システムに適している。
1−1〜1−N 受信アレーアンテナ素子
2−1〜2−N LNA
3−1〜3−N D/C
4−1〜4−N,16−1〜16−N Filter
5−1〜5−N A/D
6,6a 受信DBFネットワーク
7,7a 受信DBF制御部
8−1〜8−M,8a−1〜8a−N 受信FB
9 受信FB制御部
10 干渉源検出部
11,11a 送信DBF制御部
12 送信FB制御部
13−1〜13−M 送信FB
14 送信DBFネットワーク
15−1〜15−N D/A
17−1〜17−N U/C
18−1〜18−N PA
19−1〜19−N 送信アレーアンテナ素子
21−1〜21−7 2分割フィルタバンク
22 選択部
31 高周波数側デシメータ
32 低周波数側デシメータ
41〜49 平均電力
61〜71 エリア
80 パターン
81〜85,81a,100〜106 スペクトラム

Claims (13)

  1. N(Nは自然数)個のアレーアンテナ素子で構成される受信アレーアンテナと、ディジタルビーム形成処理により前記アレーアンテナ素子ごとの受信信号を用いてビームエリアの異なるM(Mは自然数)個の受信ビームを形成する受信ビーム信号を生成する受信ビーム形成手段と、前記受信ビーム信号を周波数分波した周波数分波受信ビーム信号を生成する受信フィルタバンクと、を備える通信装置であって、
    受信ビームごとに、あらかじめ定めた初期の受信ビーム特性に基づいて推定したその受信ビームに干渉を与えるビームエリアである干渉候補ビームエリアを保持し、前記周波数分波受信ビーム信号に基づいて受信ビームごとに受信スペクトラムを求め、受信ビームごとの受信スペクトラムと前記干渉候補ビームエリアを指向する受信ビームの受信スペクトラムとに基づいて、受信ビームと周波数との組み合わせごとに干渉源となるビームエリアである干渉源エリアを求める干渉源検出手段、
    を備え、
    前記受信ビーム形成手段は、受信ビームと周波数との組み合わせごとに前記干渉源エリアの方向にヌル形成を行うよう前記受信ビーム信号を生成し、
    干渉源検出手段は、受信ビームがカバーするエリアである対象ビームエリアから送信される信号をエリア内送信信号とし、
    前記初期の受信ビーム特性に基づいて、受信ビームと周波数との組み合わせごとに、その受信ビームに対応するエリア内送信信号と、前記干渉候補ビームエリアを指向する受信ビームのエリア内送信信号と、その受信ビームの受信信号のスペクトラムの推定値と、の関係式を定めておき、前記組み合わせの異なる関係式を連立方程式とし、
    また、前記推定値に前記組み合わせの一致する受信スペクトラムを代入し、代入後の連立方程式に基づいてエリア内送信信号を求め、
    さらに、受信ビームごとに、その受信ビーム信号に干渉を与えるとあらかじめ推定されるビームエリアのエリア内送信信号に基づいて、前記組み合わせごとに干渉源エリアを求めることを特徴とする通信装置。
  2. 前記受信ビーム形成手段は、前記受信信号に含まれるパイロット信号を抽出し、抽出したパイロット信号に基づいて受信ビームを形成することにより指向性制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
  3. N(Nは自然数)個のアレーアンテナ素子で構成される受信アレーアンテナと、前記アレーアンテナ素子ごとの受信信号を周波数分波した周波数分波信号を生成する受信フィルタバンクと、ディジタルビーム形成処理により前記周波数分波信号を用いてビームエリアの異なるM(Mは自然数)個の受信ビームを形成する周波数分波受信ビーム信号を生成する受信ビーム形成手段と、を備える通信装置であって、
    受信ビームごとに、あらかじめ定めた初期の受信ビーム特性に基づいて推定したその受信ビームに干渉を与えるビームエリアである干渉候補ビームエリアを保持し、前記周波数分波受信ビーム信号に基づいて受信ビームごとに受信スペクトラムを求め、受信ビームごとの受信スペクトラムと前記干渉候補ビームエリアを指向する受信ビームの受信スペクトラムとに基づいて、受信ビームと周波数との組み合わせごとに干渉源となるビームエリアである干渉源エリアを求める干渉源検出手段、
    を備え、
    前記受信ビーム形成手段は、受信ビームと周波数との組み合わせごとに前記干渉源エリアの方向にヌル形成を行うよう前記受信ビーム信号を生成し
    前記初期の受信ビーム特性に基づいて、受信ビームと周波数との組み合わせごとに、その受信ビームに対応するエリア内送信信号と、前記干渉候補ビームエリアを指向する受信ビームのエリア内送信信号と、その受信ビームの受信信号のスペクトラムの推定値と、の関係式を定めておき、前記組み合わせの異なる関係式を連立方程式とし、
    また、前記推定値に前記組み合わせの一致する受信スペクトラムを代入し、代入後の連立方程式に基づいてエリア内送信信号を求め、
    さらに、受信ビームごとに、その受信ビーム信号に干渉を与えるとあらかじめ推定されるビームエリアのエリア内送信信号に基づいて、前記組み合わせごとに干渉源エリアを求めることを特徴とする通信装置。
  4. 前記受信ビーム形成手段は、前記周波数分波信号に含まれるパイロット信号を抽出し、抽出したパイロット信号に基づいて受信ビームを形成することにより指向性制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
  5. 前記干渉源検出手段は、前記干渉候補ビームエリアを指向する受信ビームの受信スペクトラムが所定のしきい値以上となる場合に、その干渉候補ビームエリアを干渉源エリアとすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の通信装置。
  6. 前記受信アレーアンテナが受信した信号をアナログディジタル変換しディジタル信号を出力するA/D変換手段と、
    前記ディジタル信号に基づいて前記A/D変換手段に入力する信号のレベルを調整するAGC手段と、
    をさらに備え、
    前記受信信号を前記ディジタル信号とすることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の通信装置。
  7. 送信アレーアンテナ素子で構成される送信アレーアンテナと、
    ディジタルビーム形成処理により前記送信アレーアンテナ素子ごとの送信信号を用いてビームエリアの異なるM(Mは自然数)個の送信ビームを形成する送信ビーム信号を生成する送信ビーム形成手段と、
    をさらに備え、
    前記送信ビーム形成手段は、前記干渉源エリアに対する漏れの発生を低減するよう送信ビーム信号を生成することを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の通信装置。
  8. 請求項1〜のいずれか1つに記載の通信装置を搭載する人工衛星と、
    前記通信装置と無線通信を行うユーザー端末と、
    前記人工衛星の位置および姿勢に基づいて受信ビームの放射方角を含むビーム情報を前記人工衛星に送信する地上局と、
    を備え、
    前記人工衛星は、前記ビーム情報に基づいて受信ビームを形成することを特徴とする通信システム。
  9. N(Nは自然数)個のアレーアンテナ素子で構成される受信アレーアンテナと、ディジタルビーム形成処理により前記アレーアンテナ素子ごとの受信信号を用いてビームエリアの異なるM(Mは自然数)個の受信ビームを形成する受信ビーム信号を生成する受信ビーム形成手段と、前記受信ビーム信号を周波数分波した周波数分波受信ビーム信号を生成する受信フィルタバンクと、を備える通信装置を搭載する人工衛星と、前記通信装置と無線通信を行うユーザー端末と、前記人工衛星の位置および姿勢に基づいて受信ビームの放射方角を含むビーム情報を前記人工衛星に送信する地上局と、を備える通信システムであって、
    前記人工衛星の通信装置が、前記周波数分波受信ビーム信号を前記地上局に送信し、
    前記地上局が、受信ビームごとに、あらかじめ定めた初期の受信ビーム特性に基づいて推定したその受信ビームに干渉を与えるビームエリアである干渉候補ビームエリアを保持し、前記周波数分波受信ビーム信号に基づいて受信ビームごとに受信スペクトラムを求め、前記初期の受信ビーム特性に基づいて、受信ビームと周波数との組み合わせごとに、その受信ビームに対応するエリア内送信信号と、前記干渉候補ビームエリアを指向する受信ビームのエリア内送信信号と、その受信ビームの受信信号のスペクトラムの推定値と、の関係式を定めておき、前記組み合わせの異なる関係式を連立方程式とし、また、前記推定値に前記組み合わせの一致する受信スペクトラムを代入し、代入後の連立方程式に基づいてエリア内送信信号を求め、さらに、受信ビームごとに、その受信ビーム信号に干渉を与えるとあらかじめ推定されるビームエリアのエリア内送信信号に基づいて、前記組み合わせごとに干渉源となるビームエリアである干渉源エリアを求め、さらに、前記組み合わせごとに前記干渉源エリアの方向にヌル形成を行うためのウエイト値を計算し、前記ウエイト値を前記通信装置を搭載する人工衛星に送信し、
    前記人工衛星の通信装置が、前記ウエイト値に基づいて受信ビームを形成することを特徴とする通信システム。
  10. CDMA方式を採用し、CDMA方式以外の多重アクセス方式を採用する無線システムと周波数を共用することを特徴とする請求項またはに記載の通信システム。
  11. CDMA方式以外の多重アクセス方式を採用し、CDMA方式を採用する無線システムと周波数を共用することを特徴とする請求項またはに記載の通信システム。
  12. 前記共用する周波数帯を複数の分割周波数帯に分割し、前記人工衛星の通信装置がカバーするビームエリアに、隣接するビームエリアで異なる分割周波数帯を用いるよう分割周波数帯を割り当て、
    前記無線システムは、前記ビームエリア内では、そのビームエリアに割り当てられている分割周波数帯と異なる周波数を用いることを特徴とする請求項10または11に記載の通信システム。
  13. 前記異なる分割周波数帯を割り当てたビームエリアを1グループとし、隣接するビームエリアの割り当て分割周波数帯が異なるようグループを繰り返し配置することを特徴とする請求項12に記載の通信システム。
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