実施の形態1
以下本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1及び図2は本発明に係る放電灯点灯装置の構成を示す回路図である。図1において、1は放電灯点灯装置であり、放電灯点灯装置1は、変圧器(以下、トランス)6及び信号伝送素子であるフォトカプラ5を境に交流電源2側に配される1次側回路部10、並びに、ランプ4側に配される2次側回路部20により構成される。このように、2次側回路部20は、トランス6及びフォトカプラ5により、1次側回路部10に対して絶縁されている。なお、本実施の形態においては液晶プロジェクタ等に用いられるメタルハライドランプ等の放電灯を点灯させる放電灯点灯装置に適用する例を示す。
1次側回路部10は、ラインフィルタ11を介して交流電源2に接続されており、交流電源2からの交流を全波整流及び平滑するためのブリッジ回路12、平滑コンデンサ14、FET(Field Effect Transistor)もしくはバイポーラトランジスタを用いたパワースイッチ素子16,パワースイッチ素子16を制御するスイッチング制御部13及びこれに接続される起動抵抗15を含んで構成される。
ブリッジ回路12には平滑コンデンサ14が並列に接続されており、平滑コンデンサ14の一端は起動抵抗15及びトランス6の1次コイル(1次側巻線)61のa端子(正極)に接続されている。起動抵抗15のもう一方はスイッチング制御部13に接続される。トランス6は、パワースイッチ素子16にその一端が接続された1次コイル61、第1巻線621及び第2巻線622からなる2次コイル(2次側巻線)62、並びに、スイッチング制御部13に接続された帰還コイル63を備える。
1次コイル61のb端子(負極)はパワースイッチ素子16のドレインに接続される。パワースイッチ素子16のソースはブリッジ回路12へ、ゲートはスイッチング制御部13に接続され、スイッチング制御部13のゲート制御信号に従いドレイン−ソース間をオン・オフする。トランス6の帰還コイル63のf端子(負極)はパワースイッチ素子16のソース、ブリッジ回路12及びスイッチング制御部13に接続されており、また帰還コイル63のe端子(正極)もスイッチング制御部13に接続されている。スイッチング制御部13は2次側回路部20からの制御信号を伝送するフォトカプラ5にも接続されている。
次に1次側回路部10の動作について説明する。図示しないシステム全体のスイッチは、例えば交流電源2とラインフィルタ11の接続ラインに直列に挿入されている。このシステムスイッチがオフの状態においては、交流電源2からの電力は放電灯点灯装置1には供給されない。そのため、スイッチング制御部13は動作せず、パワースイッチ素子16のゲート電圧Vgsは0Vであり、オフの状態である。システムスイッチがオンにされ、交流電源2から電力が供給された場合、ブリッジ回路12及び平滑コンデンサ14により交流電圧が整流及び平滑される。その後ライン151の電圧が上昇し、起動抵抗15経由でスイッチング制御部13に電力が供給されて動作を開始し、パワースイッチ素子16にもゲート電圧がかかることになる。パワースイッチ素子16のゲート電圧Vgsが所定電圧以上となった場合、パワースイッチ素子16はオンとなる。
パワースイッチ素子16がオンした場合、1次コイル61のインダクタンスと両端abに印加されている電圧によって、1次コイル61に電流が流れる。2次コイル62及び帰還コイル63には巻き数比に応じた電圧が発生する。なお、1次コイル61のa端子と、帰還コイル63のe端子と、2次コイル62の第1巻線621のd端子と、2次コイル62の第2巻線622のc端子が同極(正極)であり、発生する電圧が同一の極性となる。帰還コイル63の正極(e端子)はスイッチング制御部13を介してパワースイッチ素子16のゲートに接続されている。つまり、パワースイッチ素子16がオンの場合、オン状態を維持する帰還コイル63の極性側に接続されている。
図3はスイッチング制御部13の回路構成を示す回路図である。スイッチング制御部13はスイッチ素子131、コンデンサ132、137、抵抗133、135、136、及びダイオード134を含んで構成される。なお図中5はフォトカプラの受光部を示す。パワースイッチ素子16のゲートは、帰還コイル63に発生する電圧を抵抗136、コンデンサ137を介して印加されることで動作する。起動抵抗15によってパワースイッチ素子16が一旦オンすると、帰還コイル63のe端子にプラスの電圧が発生するため、パワースイッチ素子16の動作はオンが継続する。また、パワースイッチ素子16のゲートはスイッチ素子131によって制御される。
スイッチ素子131のオン・オフ動作はコンデンサ132の両端電圧によって制御される。コンデンサ132の電圧は帰還コイル63のe端子に発生した電圧によって抵抗133に流れる電流で制御される。つまり、帰還コイル63にe端子にプラスの電圧が発生して、パワースイッチ素子16がオンするが、抵抗133経由でコンデンサ132に電荷がチャージされることでスイッチ素子131がオフからオンの状態となり、パワースイッチ素子16のゲートはドレインと同一電位となってオフ状態となる。パワースイッチ素子16がオン状態である時間は抵抗133とコンデンサ132の時定数で決まる。所望のパワーが取り出せるように定数を調整する。また、コンデンサ132はダイオード134、抵抗135、及びフォトカプラ5によっても充電される。フォトカプラ5が頻繁にオンする場合、コンデンサ132の充電が早まり、スイッチ素子131がオンからオフに変化する時間も短くなる。フォトカプラ5は後述する2次側回路部20から制御される。
続いて、スイッチがオフからオンへ移行するまでの動作を説明する。パワースイッチ素子16がオフとなった瞬間、2次コイル62のc端子及びg端子に正電圧が発生する。そして、パワースイッチ素子16がオンの間にトランス6に蓄えられた電力が2次側回路部20の整流ダイオード22及び整流ダイオード72を経由して出力される。オンの期間にトランス6に蓄えられた電力がゼロになった場合、残留した電力が帰還コイル63のe端子に、正の電圧を発生させる結果、スイッチが再びオンとなる。スイッチング制御部13は以上のオン・オフ制御を繰り返し行う。以上のように、平滑コンデンサ14、トランス6、パワースイッチ素子16、整流ダイオード22、整流ダイオード72、コンデンサ23、コンデンサ73(図2参照)からなる構成にて、パワースイッチ素子16のオン期間に電力をトランス6に蓄え、オフ期間にこれを2次側に取り出す動作を行う。オンとオフの時間を制御することで、入力電圧に対して出力電圧を昇圧もしくは降圧する動作となる。
次に2次側回路部20の構成を、図2を用いて説明する。2次コイル62は巻線の一の端子(c端子)を共通とする第1巻線621及び第2巻線622により形成され、第1巻線621と第2巻線622との巻数比は例えば13:12である。第1巻線621の他端(d端子)は接地されており、第1巻線621の一端(c端子)、換言すれば第2巻線622の他端(c端子)は、整流ダイオード22のアノードに接続されている。
また第2巻線622の一端(g端子)は整流ダイオード72のアノードに接続されている。ランプ4に対して直列に接続される整流ダイオード72のカソードにはランプ4に対して並列に接続されるコンデンサ73が接続されている。また、整流ダイオード72のカソード及びコンデンサ73にはスイッチ74が接続されている。
スイッチ74は一方がダイオード75のアノード、他方がイグナイタ3の抵抗33に接続されている。イグナイタ3は、印加電圧によってオン、オフの制御が切り替えられるサイダック(登録商標)31と、サイダック31の片側が接続されるパルストランス32と、サイダック31の発振周波数を決める抵抗33及びコンデンサ34と、ランプ4に対して直列に接続されパルストランス32が発生する高圧をコンバータ側に戻らないよう阻止するダイオード30からなる。ダイオード75のカソードはパルストランス32の3−4端子の4端子へ接続される。
ダイオード30のカソードもダイオード75のカソードと同じくパルストランス32の3−4端子の4端子へ接続されている。一方サイダック31の一端はパルストランス32の1−2端子の2端子に接続され、他端は直列に接続される抵抗33とコンデンサ34との間に接続される。第1巻線621の一端(c端子、第2巻線622の他端)は、整流ダイオード22のアノードに接続される。ランプ4に対して直列に接続される整流ダイオード22のカソードはランプ4に対して並列に接続されるコンデンサ23及びダイオード30のアノードに接続される。整流ダイオード22を経て供給された電圧は2次側のコンデンサ23により平滑され、平滑された後の電圧がランプ4へ印加される。なお、2次コイル62のd端子はグランドに接地されている。
ダイオード30は主コンバータ70(主回路)の出力であり、ダイオード75は補助コンバータ71(補助回路)の出力である。互いのカソードが接続されて、パルストランス32の二次側である3−4端子経由でランプ4に接続される。イグナイタ3はランプ4の起動時のみ動作して、その後はチョークコイルとして作用する。イグナイタ3が動作中は数キロVの高圧が発生するため、その電圧を他の回路に伝達しないように阻止する必要があるが、ダイオード30及びダイオード75がその高耐圧の定格仕様を持っている。つまり、ダイオード30及びダイオード75は、起動時の高電圧の阻止と、主コンバータ70及び補助コンバータ71の出力切り換えの機能を兼ねている。
第1分圧抵抗24及び第2分圧抵抗25はランプ4に対して並列に接続されており、検出されたランプ電圧は制御部21へ出力される。また電流検出抵抗26はランプ4に直列に接続されており、検出されたランプ電圧は制御部21へ出力される。イグナイタ3はランプ4に対して数キロVから十数キロVの高圧を印加してランプ4を始動させる。アーク放電が維持されランプ4が定常状態へ移行した後は、制御部21の検出回路部22E及びスイッチング制御部13によるランプ4の定電力制御が行われる。定電圧制御部23Vは
、ランプ4の消灯時にコンデンサ23の両端電圧が所定の値以上にならないように、フォトカプラ5とスイッチング制御部13とを介してパワースイッチ素子16を制御する。定電流制御部24Aは、ランプ4の点灯時に所定値以上の電流がランプ4に流れないように、フォトカプラ5とスイッチング制御部13とを介してパワースイッチ素子16を制御する。
ランプ4の点灯開始からグロー放電までの動作について説明する。図示しないシステム全体のスイッチがオフの場合、ダイオード30及びダイオード75のいずれにも電流が流れない。システムのスイッチがオンされた場合、前述のようにパワースイッチ素子16がスイッチング動作をすることで、2次側回路部20に電力が伝達されて、コンデンサ23及びコンデンサ73の電圧が上昇する。第1巻線621と第2巻線622との巻線比を13:12として、無負荷時のコンデンサ23の電圧を130Vとなるように第1分圧抵抗24と第2分圧抵抗25で検出して定電圧制御部23Vで制御した場合、コンデンサ23の電圧は130V、コンデンサ73の電圧は250Vとなる。スイッチ74はオンの状態であり、コンデンサ73の電圧250Vによりまず、スイッチ74、抵抗33を介してコンデンサ34が充電される。充電時間τ(時定数)は、τ=R×Cで決まる。なお。Rは抵抗33の抵抗値、Cはコンデンサ34の静電容量である。
サイダック31のオン電圧は220Vであり、コンデンサ34の電圧が220Vに達した時にサイダック31が導通して、パルストランス32の1−2端子に220Vが印加される。パルストランス32の1−2端子間巻き線と3−4端子間巻き線の比は1:25であり、3−4端子間に5キロVの電圧が発生し、ランプ4が動作を開始する。この場合、コンデンサ73の電圧はコンデンサ23の電圧より高いため、ダイオード75はオン、ダイオード30はオフとなり、主にダイオード75経由でランプ4へ電流が供給される。すなわち、整流ダイオード72、コンデンサ73及びダイオード75を通じた電力供給が行われる。ランプ4は絶縁破壊後、グロー放電へ移行し、100V〜200Vの電圧、約50Wの電力が、ダイオード75経由で供給される。ランプ4が点灯して以降、立ち消えするような場合を除いて、サイダック31がオンに必要な電圧である220Vがコンデンサ34に充電されることはないため、イグナイタ3は高圧発生動作を停止する。
スイッチ74は例えばFET等で構成され、メインのスイッチがオンされてから所定時間、例えばランプ4の始動時の過渡的な不安定性に起因する立ち消えまたはホットリスタート(ランプ4が熱い状態からの再点灯)を考慮して6秒経過後にオンからオフに切り替える。なお、図2においてスイッチ74は、抵抗33とダイオード75とをコンデンサ73から切り離す位置にあるが、ダイオード75のみをコンデンサ73から切り離す構成としてもよい。この場合、抵抗33は常にコンデンサ73から電流が供給されるが、ランプ点灯時のコンデンサ73の両端電圧は、ランプ電圧VL並びに第1巻線621及び第2巻線622の巻き線比で決まり、この電圧は220V以下となるためサイダック31は動作しない。よって抵抗33を流れる電流はコンデンサ34を充電した時点で流れなくなり、よってスイッチ74は抵抗33とコンデンサ73の接続を切らなくても良い。また、ダイオード75をコンデンサ73から切り離すために、スイッチ74のアノード側にスイッチを挿入してもよいし、カソード側に挿入しても良い。ダイオード75を、ダイオード30やパルストランス32の4端子と切り離す事で電流が流れる経路を切断すればよい。またスイッチ74は所定時間経過後にオンからオフに切り替える他、ランプ電流及びランプ電圧の変化を検知してオンからオフに切り替えるようにしても良い。この場合、制御部21へ入力されるランプ電流またはランプ電圧の情報はスイッチ74へも入力される。
スイッチ74は後述のCPU741を持ち、ランプ電圧VL(コンデンサ23の電圧)が100V以下か否かを判断し、ランプ電圧VLが100V以下になった場合に、グロー放電が終了してアーク放電に移行したと判断して、このスイッチ74をオフする。これにより、ダイオード75を通じた電力供給が止まる。この時点でランプ電圧VLは100V以下であり、整流ダイオード22、コンデンサ23及びダイオード30を通じた主コンバータ70による電力供給が開始される。またランプ電流ALを用いて判断する場合、CPU741はランプ電流ALが1A以上か否かを判断し、ランプ電流ALが1A以上になった場合に、このスイッチ74をオフする。これにより、整流ダイオード22、コンデンサ23及びダイオード30を通じた主コンバータ70による電力供給が開始され、ダイオード75を通じた電力供給が止まる。
図4は放電灯点灯装置1の出力特性を示すグラフである。縦軸はランプ4のランプ電圧を示し、単位は[V(ボルト)]であり、横軸はランプ4のランプ電流を示し、単位は[A(アンペア)]である。トランス6、パワースイッチ素子16、平滑コンデンサ14、整流ダイオード22、コンデンサ23は、主コンバータ70を構成している。主コンバータ70は、自励型フライバック方式のコンバータ(RCC: Ringing Choke Converter)である。図4の実線で示す特性が、この主コンバータ70の特性である。対して、トランス6、パワースイッチ素子16、平滑コンデンサ14、整流ダイオード72、コンデンサ73は、補助コンバータ71を構成している。補助コンバータ71も、自励型フライバック方式である。図4のグラフにおいて実線は主コンバータ70から供給される電流・電圧の特性を示す。実線の特性において、およそ1.6A以下で130V一定の特性は、定電圧制御部23Vの特性である。およそ40V以下で5A一定の特性は、定電流制御部24Aの特性である。双曲線は、検出回路部22Eの定電力特性である。点線は、補助コンバータ71から供給される電流、電圧の特性である。開放電圧(出力電流がゼロの電圧)、または出力電流の小さい軽負荷時の電圧は、250Vであり、これは第1分圧抵抗24及び第2分圧抵抗25により制御され、第1巻線621と第2巻線622との比で決まる電圧である。1Aの電流垂下特性は、電流検出抵抗26で制御された結果である。
本実施の形態においてはランプ4の定格電力を200Wであるものとし、また、ランプ4の寿命末期にランプ電圧VLが最大120Vとなることを仮定する。またコンデンサ23に発生する開放電圧は、120Vを駆動することを可能とすべく130Vとしてあり、コンデンサ73の開放電圧は250Vとしている。ランプ4の起動開始後、補助コンバータ71がイグナイタ3を動作させ、ランプ4に絶縁破壊を発生させ、その後ランプ4をグロー放電へ移行させる。
主コンバータ70と補助コンバータ71において、1次側回路部10は共通であり、2次側回路部20の整流ダイオード22等及びコンデンサ23等を個別に持つ。トランス6も共通であり、各々の2次コイル62を持つ。電圧、電流、または電力を所望の値に変換するコンバータは、一般的に入力電圧範囲、出力電圧範囲、出力電流範囲などによって使用する部品のサイズや耐圧仕様、最大電流仕様が決まる。前述の入出力範囲が広い方が、一般的に必要な耐圧や最大電流定格が大きくなり、部品のコストは高価になりかつ外形は大きくなる傾向にある。
耐圧を大きくしたために、寄生容量が増大してスイッチング速度の仕様が低下するようなトレードオフの関係も発生する。主コンバータ70の出力電圧を250Vから130Vに落とす事で、このような部品の定格アップまたはサイズアップを回避する。図2に示したように、制御部21はコンデンサ23の両端電圧を第1分圧抵抗24、第2分圧抵抗25で検出して制御している。つまり補助コンバータ71は、その出力電圧に関して無制御であることと等価となる。しかし、ここで補助コンバータ71が出力するのは絶縁破壊に必要な250Vの電圧、グロー放電に必要な100V〜200Vで0.5Aの電流、もしくはグロー放電からアーク放電に移行させるために必要な50W程度のパワーである。これらの動作は点灯時数秒間で終了する。よって、主コンバータ70の制御によって、補助コンバータ71の出力に第1巻線621と第2巻線622との巻数比で決まる電圧を取り出してランプ4に供給する事で、ランプ4の初期点灯が完了する。簡易に構成されて簡易に制御される補助コンバータ71でランプ4の点灯時の僅かな時間に必要な電圧、電力を供給することで、主コンバータ70のサイズダウンを図ることができる。補助コンバータ71が無制御でよいため、フォトカプラ5またはスイッチング制御部13は主コンバータ70と共用化が可能となる。
また、後述のように点灯開始から6秒間、補助コンバータ71を動作させる場合は、15V1A程度の定電流出力を補助コンバータ71から出力させればよく、この制御は電流検出抵抗26で検出して定電流制御部24Aで行えばよい。スイッチ74がオンの期間は、ダイオード75がオン、ダイオード30はオフであるため、定電流制御部24Aでの制御が可能となる。
グロー放電期間中も、パワースイッチ素子16はオン−オフ動作を行っており、補助コンバータ71は、その出力電圧が直接制御されていないが、スイッチ74がオンの期間は、1次側回路部10から電力の供給を受けてランプ4に出力している。2次側回路部20に大容量電解コンデンサを設けてそのコンデンサにチャージした電荷でグロー放電に必要なパワーを取り出す方式と比較して、小型化を図ることが容易である。
図5は図4のグラフにランプ4の動作点を模式的に重ねたグラフである。矢印及び(1)〜(8)で示す点はランプ4の動作点を時系列で表現したものである。ランプ4が点灯する前(つまり放電灯点灯装置1が動作する前)は、電流は0(ゼロ)Aであり、電圧はRCCコンバータの出力状態によって定まる0(ゼロ)Vである。放電灯点灯装置1が動作を開始した場合、補助コンバータ71が動作しコンデンサ73の両端に、250Vが発生する。この電圧を受けてイグナイタ3が動作する。そして、ランプ4に数kV〜数十kVの高圧電圧が発生しランプ4に印加される。ランプ4は、高圧によって絶縁破壊が発生し、電流が流れ始める。
ランプ4の点灯初期状態はグロー放電と呼ばれるモードで点灯する。図5に示すように、その時のランプ電圧は、およそ100V〜200Vであり、ランプ電流はおよそ0.5A程度である。ランプ4に十分なパワーが供給された場合、グロー放電から初期アーク放電へ移行する。このように(1)〜(3)におけるグロー放電及び(4)における初期アーク放電に必要な電力を補助コンバータ71により供給する。この時、ランプ4の特性は負性抵抗と呼ばれる状態となり、際限なく電流が流れる。この場合上述した如く上限電流を1Aとする定電流制御を定電流制御部24Aまたは、図示しない別の定電流制御部により行う。
定電流制御部24Aで補助コンバータ71の出力及び主コンバータ70の出力の電流制限を行う場合、補助コンバータ71用に第1の上限電流(本例では1A)制限を行う回路及び主コンバータ70用に第2の上限電流(本例では5A)制限を行う回路を設け、点灯開始後の所定時間経過後に第1の上限電流制限を行う回路から第2の上限電流制限を行う回路へ切り替えるようにしても良い。または、定電流制御部24Aとは別個に、補助コンバータ71用に第1の上限電流(本例では1A)制限を行う回路を設けても良い。なお本実施の形態においては第1の上限電流を1Aとしているがこれに限るものではなく例えば2A等としても良い。ランプ4の種類によっては、始動から数秒間に流す電流を制限することで、ランプの黒化回避、長寿命化が図れる場合があり、そのような条件では、上記のような、初期に1A、その後5Aの電流切り換えが有効となる。
ランプ4の点灯開始から6秒後、スイッチ74はオフし、電力供給は補助コンバータ71から主コンバータ70へと切り替わり、ランプ4の状態は(4)から(5)へ移行する。初期アーク点灯を経る間にランプ4が発熱し、ランプ電圧が上昇する((5)〜(7))。放電灯点灯装置1はこのランプ電圧の変動を検出して、定電流から検出回路部22Eによる定電力制御に移行する。定電力制御においては、ランプ電圧の上昇に合わせて流れる電流を減少させ、ランプ4が熱的に平衡した状態である定常点灯の(7)の段階において安定点灯する。寿命末期には例えばランプ電圧が(8)で示すように120Vまで上昇するが、電流を減少させて電力を一定とする制御が検出回路部22Eにより行われる。
図6はランプ電圧VLを監視してスイッチ74を適応的に切り換え制御する場合に、図4のグラフにランプ4の動作点を模式的に重ねたグラフである。図5においてはスイッチ74をランプ4の点灯開始後から所定時間経過後に、オフする場合の遷移を示したが、図6はランプ電圧が100V以下となった場合に、スイッチ74をオフし、補助コンバータ71から主コンバータ70へ電力供給を切り替えた場合のグラフである。グロー放電開始後電圧が徐々に降下し、(1)〜(3)へ移行する。(3)の段階において、ランプ電圧VLは100V以下となることから、スイッチ74はオフされ、主コンバータ70による電力供給が行われる。この場合ランプ4は(4)へ移行し、定電流制御部24Aによる定電流制御が行われる。この場合、所定時間経過後にスイッチ74をオフする場合と比較して、補助コンバータ71のための電流制限部が不要となり、回路規模が減少する。また補助コンバータ71の最大出力電流は0.5A程度に抑えられるので、部品の電流定格を下げることが可能となる。またランプ4の始動からランプ電圧が100V以下になる時間は、例えば数十ミリ秒の短い期間であり、前述の6秒間連続動作させる場合と比較して、回路が発生するロスの放熱設計が楽に行える。ランプ4の種類によっては、始動時に大きな電力を供給して速やかに定常点灯の状態に移行させることで、長寿命化が図れるものがある。そのようなランプ4に対して、グロー放電終了後、直ちに5Aの大電流を供給することで、長寿命化を図ることが可能となる。
また、起動時のラッシュ電流低減や、起動時のランプ4の安定した点灯制御のため、起動時にコンバータの出力に位置する平滑用のコンデンサの容量が小さくなるように、コンデンサをFET等のスイッチで切り替える方式が一般的であるが、本実施形態では、例えば補助コンバータ71のコンデンサ73を0.1uF(マイクロファラド)、主コンバータ70のコンデンサ23を2uFとすれば、コンデンサを切り替えるためのFETをスイッチ74で代用する事が可能となる。つまり、ランプ4の立ち上げの都合にあわせてコンデンサ73の容量を決めればよい。
その後ランプ電圧が上昇する((4)〜(6))。放電灯点灯装置1はこのランプ電圧の変動を検出して、定電流から検出回路部22Eによる定電力制御に移行する。定電力制御においては、ランプ電圧の上昇に合わせて流れる電流を減少させ、定格の(6)の段階において安定定格点灯する。寿命末期には例えばランプ電圧が(7)で示すように120Vまで上昇するが、電流を減少させる制御が検出回路部22Eにより行われる。
またスイッチ74のオン・オフはタイマを用いた制御及びランプ電圧またはランプ電流を監視することによる制御を組み合わせた形態でも良い。図7はスイッチ74の回路構成を示す回路図である。スイッチ74はFET747、抵抗748、ダイオード751、トランジスタ749、ダイオード750、絶縁トランス745、コンデンサ746、CPU(Central Processing Unit)741、タイマ743及びRAM(Random Access Memory)742を含んで構成される。
CPU741は時間情報を出力するタイマ743、各種演算結果及びFET747のオン・オフ制御を実行するプログラムを記憶するRAM742及び絶縁トランス745の端子1にそれぞれ接続されている。CPU741にはシステム全体の始動に伴うランプ4の始動を示す始動信号、ランプ4のランプ電流及びランプ電圧の情報が入力される。CPU741は始動信号、タイマ743からの時間情報、ランプ電圧またはランプ電流に基づき、RAM742に記憶されたプログラムに従い、絶縁トランス745の1次側の端子1へハイ信号またはロー信号を出力する。
絶縁トランス745の1次側の端子2はコンデンサ746を介してグランドに接続されている。絶縁トランス745の2次側の端子4はダイオード751のアノード側及びpnp型のトランジスタ749のベースに接続される。また絶縁トランス745の2次側の端子3は、トランジスタ749のコレクタにアノード側で接続されるダイオード750のカソード、抵抗748の一端及びFETのソースに接続されている。
FET747はCPU741からハイ信号が出力された場合にオンとなり、ロー信号が出力された場合にオフとなる。FET747のゲートは抵抗748の他端、ダイオード751のカソード及びトランジスタ749のコレクタに接続されている。
次にスイッチ74の動作について説明する。絶縁トランス745の端子1にハイ信号が入力された場合、端子3に対して端子4にプラスの電位が発生する。これによりダイオード751が導通し、トランジスタ749はオフとなる。FET747は、ソースに対してゲートにプラスの電位が印加され、オンする。これによりドレインソース間が導通し、入力から出力方向に電流が流れる。一方、絶縁トランス745の端子1にロー信号が入力された場合、端子3に対して端子4はマイナスとなる。この場合、トランジスタ749のエミッターベース間にバイアス電圧が印加され、オンする。そしてダイオード751には逆方向電圧がかかり、オフとなる。これによりFET747のゲートに存在する容量にチャージされた電荷が、トランジスタ749−ダイオード750経由で引き抜かれ、FET747がオフする。絶縁トランス745は、CPU741の5V出力を高圧にレベルシフトする。
図8はCPU741による制御処理の手順を示すフローチャートである。図示しないシステム全体のスイッチが操作され、CPU741にはランプ4の始動を示す始動信号が入力される(ステップS81)。CPU81は始動信号の入力をトリガーに、タイマ743による計時を開始する(ステップS82)。タイマ743からCPU741へは時間情報が出力される。この処理と同じくCPU741はハイ信号を絶縁トランス745の端子1へ出力する(ステップS83)。これによりスイッチ74はオンし、補助コンバータ71による電力供給が行われる。
CPU741は入力されるランプ電圧またはランプ電流(電気量)に基づき、入力されるランプ電圧が所定電圧以下であるか、または入力されるランプ電流が所定電流以上であるか否かを判断する(ステップS84)。この所定電圧は例えば100Vであり、また所定電流は1Aであり、それぞれRAM742にこれらの情報が記憶されている。CPU741は入力されるランプ電圧が所定電圧以下、または入力されるランプ電流が所定電流以上であると判断した場合(ステップS84でYES)、アーク放電へ移行したと判断し、ロー信号を絶縁トランス745の端子1へ出力する(ステップS87)。これによりスイッチ74はオフし、主コンバータ70による電力供給が行われる。
CPU741はタイマ743から出力される時間情報を参照して、所定時間を経過したか否かを判断する(ステップS88)。なお、この所定時間は、RAM742に例えば6秒と記憶されている。CPU741は所定時間を経過したと判断した場合(ステップS88でYES)、ランプ4が正常に点灯したと判断し処理を終了する。一方、CPU741は所定時間を経過していないと判断した場合(ステップS88でNO)、CPU741は入力されるランプ電圧またはランプ電流に基づき、入力されるランプ電圧が補助所定電圧以上であるか、または入力されるランプ電流が補助所定電流以下であるか否かを判断する(ステップS89)。この補助所定電圧及び補助所定電流は、初期アーク後の特殊アークによる立ち消えを検出するためのものである。補助所定電圧及び補助所定電流は上述した所定電圧及び所定電流とは異なる値であり、例えば補助所定電圧120V、補助所定電流0.1Aとすれば良く、それぞれRAM742にこれらの情報が記憶されている。
CPU741は入力されるランプ電圧が補助所定電圧以上ではない、または入力されるランプ電流が所定電流以下でないと判断した場合(ステップS89でNO)、立ち消えは発生していないと判断し、再びステップS88へ移行する。一方、ランプ4が消灯してしまうと、ランプ4は絶縁状態となり、ランプ電流は0Aとなり、ランプ電圧は不定となるため低電圧制御が働いて130Vとなる。よって、CPU741は入力されるランプ電圧が補助所定電圧以上、または入力されるランプ電流が所定電流以下であると判断した場合(ステップS89でYES)、立ち消えが発生したと判断し、ハイ信号を絶縁トランス745の端子1へ出力する(ステップS810)。これによりスイッチ74は再びオンし、補助コンバータ71による電力供給が行われる。その後CPU741はステップS84へ移行し、以上の処理を繰り返す。
ステップS84において、CPU741が入力されるランプ電圧が所定電圧以下、または入力されるランプ電流が所定電流以上でないと判断した場合(ステップS84でNO)、所定時間を経過したか否かを判断する(ステップS85)。CPU741は所定時間を経過していないと判断した場合(ステップS85でNO)、引き続き監視を続けるべくステップS83へ移行する。一方、CPU741は所定時間を経過したと判断した場合(ステップS85でYES)、ロー信号をパルストランス745の端子1へ出力する(ステップS86)。これによりスイッチ74はオフし、主コンバータ70による電力供給が行われる。
図9は検出回路部22Eの回路構成を示すブロック図である。検出回路部22Eは、ランプ電圧及びランプ電流により求まるランプ電力を所定の目標電力(本実施例では200W)と比較し、その偏差をフォトカプラ5へ出力する回路であり、例えば図9に示すマイコン内蔵型の検出回路部22Eが用いられる。検出回路部22Eは電圧検出用非反転アンプ221,電流検出用非反転アンプ222、A/D(アナログ−デジタル)変換器223,224,マイコン225、及びD/A(デジタル−アナログ)変換器226を含んで構成される。
電圧検出用非反転アンプ221はランプ電圧検出用の第1分圧抵抗24及び第2分圧抵抗25に接続されており、第1分圧抵抗24及び第2分圧抵抗25により分圧されたランプ電圧を所定の増幅率にて増幅する。増幅された後のランプ電圧は、電圧検出用非反転アンプ221の出力端子に接続されるA/D変換器223によりデジタル化され、マイコン225へ入力される。
電流検出用非反転アンプ222はランプ電流検出用の電流検出抵抗26(例えば高精度の50mΩ抵抗等)に接続されており、電流検出抵抗26にて変換された電圧を所定の増幅率にて増幅する。増幅されたランプ電流にかかる電圧は電流検出用非反転アンプ222の出力端子に接続されるA/D変換器224によりデジタル化され、マイコン225へ入力される。マイコン225は図示しないプロセッサ及びメモリを備え、目標とする所定の目標電力Pexpを記憶している。マイコン225のプロセッサは、A/D変換器223及び224から出力されたランプ電圧及びランプ電流に係る値を乗算しランプ電力Pdetを算出する。
マイコン225のプロセッサはメモリから読み出した目標電力Pexpと、算出したランプ電力Pdetとの偏差を算出し、これに負の利得を乗じた操作信号をマイコン225の出力側に接続されるD/A変換器226へ出力する。D/A変換器226は操作信号をアナログ化し、フォトカプラ5へ出力する。
図1及び図2に示すように1次側回路部10と2次側回路部20との絶縁を確保するフォトカプラ5はスイッチング制御部13に接続されており、偏差に対応する操作信号をスイッチング制御部13へ伝送する。ランプ電力Pdetが目標電力Pexpよりも大きい場合、すなわち偏差が正の場合、負の操作信号がフォトカプラ5から出力され、スイッチング制御部13はこれを受けてランプ4へ供給される電力が減少するよう1次側回路部10を制御する。一方、ランプ電力Pdetが目標電力Pexpよりも小さい場合、すなわち偏差が負の場合、正の操作信号がフォトカプラ5から出力され、スイッチング制御部13はこれを受けてランプ4へ供給される電力が増加するよう1次側回路部10を制御する。このフィードバック制御により偏差が0となった場合に、検出回路部22E及びスイッチング制御部13の応答が停止し、再び定常状態へ移行することになる。
図9で述べたように、検出回路部22Eは目標電力Pexpとランプ電力Pdetとの偏差を検出するものであれば、この構成に限るものではなく、例えばアナログ乗算回路を用いて実現しても良い。図10はアナログ乗算回路を用いた検出回路部22Eの回路構成を示すブロック図である。検出回路部22Eは、電圧検出用非反転アンプ221,電流検出用非反転アンプ222、アナログ乗算回路227,目標電力出力回路228、及びエラーアンプ229を含んで構成される。アナログ乗算回路227は、電圧検出用非反転アンプ221及び電流検出用非反転アンプ222の出力端子にそれぞれ接続されており、出力されたランプ電流とランプ電圧とを乗じ、乗じたランプ電力Pdetをエラーアンプ229の反転入力端子へ入力する。
エラーアンプ229の非反転入力端子には目標電力出力回路228が接続されている。エラーアンプ229は、この目標電力出力回路228から出力された目標電力Pexpとランプ電力Pdetとを比較し、エラーアンプ229は偏差に相当する電流を出力端子から吸い込む。エラーアンプ229の出力端子はフォトカプラ5の図示しないフォトダイオードのカソード側に接続されており、出力端子が吸い込む電流に応じてオン/オフ動作を行って、偏差に対応する信号をスイッチング制御部13へ伝送する。スイッチング制御部13はフォトカプラ5からの信号に従い偏差が0となるまでスイッチング制御を行う。
図11は定電流制御部24Aの回路構成を示す回路図である。定電流制御部24Aは、ランプ電流検出用の電流検出抵抗26、シャントレギュレータ243,発振防止用の発振防止用コンデンサ245,発振防止用抵抗246,フォトカプラ5に並列接続される第1抵抗241、これに直列接続される第2抵抗242を含んで構成される。第2抵抗242の片側には、13V程度の定電圧電源が接続されている。図中の2次側バスラインとは、図2において、整流ダイオード22のカソード側からイグナイタ3を通過してランプ4の図中の上側に至る部分を指し、ランプ4に電力を供給するラインである。ランプ電流は、2次側バスラインからランプ4を図中の上から下に流れ、電流検出抵抗26を経由してグランドに流れる。シャントレギュレータ243は基準電圧Vrefと、ランプ電流にランプ電流検出用の電流検出抵抗26の抵抗値を乗じた電圧Vrとを比較する。VrefとVrとが等しい場合は、カソードに電流が流れフォトカプラ5が動作する。フォトカプラ5からスイッチング制御部13へ信号が伝送され、定電流制御が行われる結果、ランプ電流が低下する。なお、電流の制限値を3A、シャントレギュレータ243の基準電圧Vrefを2.5Vとした場合、電流検出抵抗26の抵抗値を820mΩとすればよい。
図12は定電流制御部24Aの他の回路構成を示す回路図である。図11に示す定電流制御部24Aは図12に示す回路構成により実現しても良い。図12に示すように、電流検出抵抗26とシャントレギュレータ243の基準電圧制御用端子との間にはオペアンプ248が挿入されている。電流検出抵抗26から出力されるランプ電流は、オペアンプ248の非反転入力端子へ入力され、オペアンプ248の出力端子からシャントレギュレータ243の基準電圧制御用端子へ増幅信号が出力される。図11の回路構成においては電流検出抵抗26の抵抗値820mΩに最大3Aの電流が流れた場合、大型の抵抗器(およそ7W)が必要となる。かかる大型抵抗器の採用が困難な場合、図12に示すように、電流検出抵抗26の抵抗値を1/10の82mΩとし、オペアンプ248により増幅(10倍のゲイン)するようにしても良い。
図13は定電圧制御部23Vの回路構成を示す回路図である。定電圧制御部23Vは、シャントレギュレータ243,発振防止用の発振防止用コンデンサ245,発振防止用抵抗246,フォトカプラ5に並列接続される第1抵抗241、これに直列接続される第2抵抗242、2次側バスラインに設けられる第3抵抗244及び第4抵抗231を含んで構成される。シャントレギュレータ243の基準電圧制御用端子には第3抵抗244が接続されており、シャントレギュレータ243の基準電圧制御用端子の電圧をVr、基準電圧をVrefとする。Vr<Vrefの場合、カソードに電流は流れない。一方、Vr>Vrefの場合、カソードに電流が流れ、フォトカプラ5が動作し、フォトカプラ5からスイッチング制御部13へ信号が伝送される結果、定電圧制御が行われ、2次側バスラインの電圧が降下し、VrはVref以下となる。なお、フォトカプラ5は図9乃至図12に記載したものを共用しても良く、例えば共用するフォトカプラのフォトダイオードのカソード側を、各々の回路ブロックのシャントレギュレータのカソード側に接続することで、上述した定電力制御、定電圧制御及び定電流制御がor論理で動作する。
以上のように1次側回路部10に対して2次側回路部20を絶縁したので、2次側回路部20の安全性、並びに、放電灯点灯装置1及びこれを備えるプロジェクタ等の小型化も図ることができる。また2次側回路部20における検出回路部22Eにおいて目標電力とランプ4の電力との偏差を検出して制御するようにしたので、よりきめ細かなランプ4の定電力制御が可能となる。なお、図4の定電流制御は直線で示したが、直線でなくてもよい。さらに定電力制御は双曲線で示したが、直線近似で実現してもよい。
なお、スイッチング制御部13は図3に示す如く自励フライバック方式を用いた形態につき説明したが、他励フライバック方式であっても良い。図14は他励フライバック方式のスイッチング制御部13の回路構成を示す回路図である。スイッチング制御部13の制御を司る制御回路2S1は交流電源2とは別の補助電源2Sに入力端子Vccを介して接続されており、補助電源2Sから電力の供給を受ける。制御回路2S1のFRQ端子にはコンデンサが接続され周波数の調整が行われる。
フォトカプラ5のフォトトランジスタ側は制御回路2S1のFB端子に接続されており、フォトカプラ5から出力される電流の大小により、CTL端子を介して接続されるパワースイッチ素子16を制御する。すなわちCTL端子からはPWMの信号が出力されパワースイッチ素子16のゲートをオン・オフする。パルスがオンの期間、パワースイッチ素子16はオンとなる。
他励フライバック方式の場合も、2次側回路部20に専用の巻き線を設けて別途電圧を取り出すことで、イグナイタ3用の電圧とグロー放電用電力を効率よく取り出すことが可能となる。自励フライバックの場合も、他励フライバックの場合も、例えばフォワード型のコンバータと比較して、出力段のコイルが不要であり、また整流のためのダイオードも少なくて済むため、シンプルな構成が可能となる。図2において、第1巻線621(d−c間)と、第2巻線622(c−g間)とは、cを共通としている。ここで、例えば第2巻線622をd−g間に設けて、第1巻線621と第2巻線622との巻き線比を13:25としてもよい。
以上は、DC型のランプ4を駆動する場合を説明した。AC型のランプ4を駆動する場合は、イグナイタ3の前段にインバータ回路(図示せず)を挿入すればよい。インバータ回路は、通常4つのFETスイッチから構成される。ランプ4の両端にかかる電圧の極性を切り替える。ここで、AC型のランプ4にわずかに直流電流成分が印加されただけで、大きな寿命劣化を引き起こす要因となるが、本実施形態の場合は、インバータ回路にて電力制御や電流制御を行う必要が無いので、直流電流印加の回避は容易である。
図7のCPU741と図9のマイコン225を統合して、単一のデバイスで処理させても良い。上記において、グロー放電に必要な電力または電圧、グロー放電とアーク放電とを判断するVLの例を数値にて述べたが、本願はこの数値に限定するものではない。例えばランプ4の定格電力は50W〜300Wと幅広い。実施形態を元に、ランプ4の仕様に合わせて装置を調整すればよい。
以上述べたように、本実施形態では、簡素な構成でランプ4を理想的に制御することが可能となる。昇降圧が可能なフライバックコンバータを用いることで、キセノンランプ、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ等ランプ4(放電灯)の種類を選ばず点灯駆動させることが可能となる。フライバックコンバータは自励型でも他励型でも良い。フライバックコンバータのトランス6にサブ巻き線を持たせることで、簡易に補助コンバータを構成する。共通の制御スイッチで容易に高電圧を取り出すことが可能であり、イグナイタ3に必要な電圧と、グローに必要な電力とを補助コンバータ71から取り出すことで、アーク放電を受け持つ主コンバータ70の小型化が達成できる。またランプ4に並列に接続する大きなコンデンサを追加する必要がない。主コンバータ70と補助コンバータ71とで、各々平滑用コンデンサ(コンデンサ23及びコンデンサ73)を2個持つので、補助コンバータ71のコンデンサ容量を小さくすれば点灯時にランプ4が安定化して立ち消え発生頻度が低減する。またラッシュ電流が防止可能となる。
実施の形態2
上述した放電灯点灯装置1は例えばプロジェクタに適用される。図15はプロジェクタのハードウェア構成を示すブロック図である。プロジェクタ300は、実施の形態1の放電灯点灯装置1、ランプ4、反射鏡321、カラーホイール320、映像形成素子(以下、DMD(Digital Micromirror Device(登録商標))360、映像形成素子制御回路370、投射レンズ380、ファン330、主制御部390及び映像信号処理部391を含んで構成される。
主制御部390は、図示しないメモリに記憶したプログラムに従い、上述したハードウェア各部を制御する。映像信号は映像信号処理部391へ入力される。映像信号処理部391は、同期分離及びスケーリング等、映像信号の処理を行い、処理後の映像信号を映像形成素子制御回路370へ出力する。プロジェクタ300では、ランプ4から発せられた白色光が集光され、カラーホイール320に照射される。カラーホイール320は、赤、青及び緑色の光学フィルタが円周方向に沿って配列形成された円盤として構成されており、図示しない駆動モータによって高速回転されるようになっている。
カラーホイール320の回転に伴って、ランプ4から出射された光の光路に各色フィルタが順次挿入され、カラーホイール320に照射された白色光が赤色光、緑色光、青色光の各単色光に時分割で色分離される。そして、分離された各単色光は、反射鏡321へと送られ、DMD360に照射される。なお、DMDに代えて液晶パネルを用いても良い。DMD360は映像形成素子制御回路370によって駆動制御されている。映像形成素子制御回路370は、入力された映像信号に従ってDMD360を駆動する。具体的には、入力された映像信号に従ってDMD360の各セルや微小ミラーをオンまたはオフさせることによって、照射された単色光を画素単位で反射して光変調を行い、画像光を形成する。形成された画像光は、投射レンズ380に入射され、投射レンズ380によって不図示のスクリーン等に拡大投射される。
放電灯点灯装置1はランプ4の点灯及び消灯を制御する。ファン330はランプ4またはプロジェクタ300内を冷却するためのものであり、図示しないモータにより駆動される。なお、本実施の形態においては放電灯点灯装置1をプロジェクタ300へ適用する形態につき説明したが、これに限るものではなく、一般照明等に適用しても良い。
本実施の形態2は以上の如き構成としてあり、その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。