JP4952608B2 - 光学材料用樹脂組成物 - Google Patents
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Description
現在眼鏡レンズとして最も多用されている屈折率は1.6付近であり、従来技術における代表的な材料には、臭素原子を含むメタクリレート化合物、ポリチオールとポリイソシアネートから得られるチオウレタンがある。臭素原子を含むメタクリレート化合物として代表的なものは非特許文献1に示されるものであるが、眼鏡レンズとして重要な要素である強度、耐熱性に劣り、また臭素を多く含むために比重が大きく、着色しやすいといった問題点があった。チオウレタン材料は非特許文献2や特許文献1〜5に示される材料であり、強度が改善されているが耐熱性は十分ではなかった。また硫黄原子を多く含むため比重が大きく、さらには切削加工時に悪臭を伴うといった課題があった。
一方、これまでに特許文献6〜9に示される低比重レンズの提案もされてきている。しかしながら屈折率は1.5程度にとどまるため薄肉化には適さず、結果としてレンズの軽量化には至っていなかった。また強度、耐熱性に劣るといった問題もあり、普及していない。
したがって、屈折率1.6付近で低比重、高強度、高耐熱性の良好な物性を兼ね備えている材料が求められていた。
1.(a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する化合物、(b)スチレン骨格を有する化合物および(c)チオール基を1分子中に1個以上有する化合物を含有する光学材料用組成物。
2.(a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する化合物が下記(1)式で表される化合物である第1項記載の光学材料用組成物。
(1)
((1)式中、XはO(CH2)n、S(CH2)n、または(CH2)nを示し、nは0から6の整数を示す。Yはアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、またはビニル基を示す。)
3.(1)式で表される化合物がチオグリシジルメタクリレート((1)式においてXがO、Yがメタクリロイル基)である第2項記載の光学材料用組成物。
4.(1)式で表される化合物がアリルチオグリシジルエーテル((1)式においてXがO、Yがアリル基)である第2項記載の光学材料用組成物。
5.(b)スチレン骨格を有する化合物がスチレン、α−メチルスチレン、およびジビニルベンゼンから選ばれる1種以上である第1項記載の光学材料用組成物。
6.(c)チオール基を1分子中に1個以上有する化合物が、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼンおよび1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼンから選ばれる1種以上である第1項記載の光学材料用組成物。
7.第1項記載の光学材料用組成物を、硬化触媒の存在下重合硬化して得られる光学材料。
8.硬化触媒が、複素環を有するアミン、ホスフィン、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第3級スルホニウム塩、第2級ヨードニウム塩、過酸化物、アゾ化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物である第7項記載の光学材料。
9.硬化触媒が、複素環を有するアミン、ホスフィン、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第3級スルホニウム塩、第2級ヨードニウム塩中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物と、過酸化物、アゾ化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物の組み合わせである第7項記載の光学材料。
10.第7項記載の光学材料からなる光学レンズ。
11.第1項記載の光学材料用組成物を、重合硬化して得られる光学材料の製造方法。
より好ましい化合物は、(1)式で示される化合物である。中でも好ましい化合物は(1)式においてnが0、より好ましい化合物は(1)式においてXがOまたはSであり、Yがメタクリロイル基又はアリル基である。更に好ましい化合物は、チオグリシジルメタクリレート((1)式においてXがO、Yがメタクリロイル基)、アリルチオグリシジルエーテル((1)式おいてXがO、Yがアリル基)、チオグリシジルチオメタクリレート((1)式においてXがS、Yがメタクリロイル基)、およびアリルチオグリシジルチオエーテル((1)式においてXがS、Yがアリル基)である。特に好ましい化合物は、チオグリシジルメタクリレートおよびアリルチオグリシジルエーテルであり、最も好ましい化合物はチオグリシジルメタクリレートである。
以上具体例を示したが、これらに限定されるわけではなく、またこれらは単独でも2種以上を混合して使用しても構わない。
スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー、2,4,6−トリメチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、ビニルフェノール、ビニルチオフェノール、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、3−クロロメチルスチレン、4−クロロメチルスチレン、2−ブロモスチレン、3−ブロモスチレン、4−ブロモスチレン、3−ブロモメチルスチレン、4−ブロモメチルスチレン、4−アミノスチレン、3−シアノメチルスチレン、4−シアノメチルスチレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、4−ビニルビフェニル、2,2’−ジビニルビフェニル、4,4’−ジビニルビフェニル、2,2−ビス(4−ビニルフェニル)プロパン、ビス(4−ビニルフェニル)エーテル、ビニルナフタレン、ジビニルナフタレン等が挙げられる。
ヒドロキシチオフェノール類としては、2−ヒドロキシチオフェノール、3−ヒドロキシチオフェノール、4−ヒドロキシチオフェノール等を挙げることができる。
以上具体例を示したが、これらに限定されるわけではなく、またこれらは単独でも2種以上を混合して使用しても構わない。
複素環を有するアミンの具体例としては、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−メチル−2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、N−エチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、N−ブチルイミダゾール、2−ブチルイミダゾール、N−ウンデシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、N−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、N−ベンジルイミダゾール、2−ベンジルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、N−(2’−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、N−(2’−シアノエチル)−2−ウンデシルイミダゾール、N−(2’−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾール、3,3−ビス(2−エチル−4−メチルイミダゾリル)メタン、アルキルイミダゾールとイソシアヌル酸の付加物、アルキルイミダゾールとホルムアルデヒドの縮合物等の各種イミダゾール類、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン、5,6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン等のアミジン類が挙げられる。好ましくは、イミダゾール類である。
第2級ヨードニウム塩の具体例としては、ジフェニルヨードニウムクロライド、ジフェニルヨードニウムブロマイド、ジフェニルヨードニウムヨーダイド等が挙げられる。
ブルーイング剤の好ましい例としてはアントラキノン系化合物が挙げられる。これらの酸化防止剤、紫外線吸収剤およびブルーイング剤の添加量は、通常、組成物100重量部に対してそれぞれ0.000001〜5重量部である。
屈折率:アタゴ社製アッベ屈折計NAR−4Tを用い、d線での屈折率とアッベ数を25℃で測定した。
耐熱性:セイコーインスツルメンツ株式会社製熱機械的分析装置TMA/SS6000を用い、直径1mmのピンを試料に乗せて10gの荷重を与えて30℃から昇温してTMA測定を行い、軟化点温度を測定した。軟化点温度が120℃以上のものをA、100〜120℃のものをB、80〜100℃のものをC、80℃以下のものをDとした。
比重:アルファーミラージュ株式会社製電子比重計ED−120Tを用い、25℃で測定した。
強度:厚さ2.5mmの平板に縁から3mmの位置に直径2mmの穴を開け、この穴にピンを差し込み、このピンを引っ張り破壊したときの強度を測定した。破壊強度が1000gf以上のものをA、600gf以上1000gf未満のものをB、300gf以上600gf未満のものをC、300g未満のものをDとした。
外観、透明性:目視で観察した。
(a)化合物としてチオグリシジルメタクリレート90重量部、(b)化合物としてスチレン10重量部に触媒としてメチルイミダゾール1重量部、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1重量部を加え室温で攪拌し均一液とした。次いでこれを10torrで10分間脱気した後ろ過し、レンズ用モールドに注入し、オーブン中で30℃から120℃まで22時間かけて昇温して重合硬化させた。その後型から外し、110℃で1時間加熱してアニール処理を行った。得られたレンズは透明であり、良好な外観であった。物性等を測定し、その結果を表1に示した。
表1に示す組成、触媒を用いて実施例1と同様に重合硬化させてレンズを得た。得られたレンズは透明であり、良好な外観であった。屈折率、耐熱性、比重、強度を測定し、その結果を表1に示した。
(a)化合物
TGMA:チオグリシジルメタクリレート
ATGE:アリルチオグリシジルエーテル
EPTMS:3−(β−エピチオプロピルチオメチル)スチレンと4−(β−エピチオプロピルチオメチル)スチレンの50/50(重量比)の混合物
(b)化合物
ST:スチレン
DVB:ジビニルベンゼン
αMS:α−メチルスチレン
(c)化合物
BMES:ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド
XDT:p−キシリレンジチオール
触媒
PR :ピペリジン
MI :N−メチルイミダゾール
EBAC:トリエチルベンジルアンモニウムクロライド
TBP :トリブチルホスフィン
TBPB:テトラブチルホスホニウムブロマイド
POO :1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
PBO :tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
PBND:tert−ブチルパーオキシネオデカノエート
チオグリシジルメタクリレート100重量部に触媒としてメチルイミダゾール1重量部、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1重量部を加え室温で攪拌し均一液とした。次いでこれを10torrで10分間脱気した後ろ過し、レンズ用モールドに注入し、オーブン中で30℃から120℃まで22時間かけて昇温して重合硬化させた。その後型から外し、110℃で1時間加熱してアニール処理を行った。得られたレンズは透明であり、良好な外観であった。屈折率、耐熱性、比重、強度を測定し、その結果を表2に示した。
表2に示す組成、触媒を用いて実施例1と同様に重合硬化させてレンズを得た。得られたレンズは透明であり、良好な外観であった。屈折率、耐熱性、比重、強度を測定し、その結果を表2に示した。
1,9−ノナンジオールメタクリレート30重量部、ラウリルメタクリレート60重量部、α−メチルスチレン10重量部に触媒としてtert−ブチルパーオキシネオデカノエート1.2重量部を加え室温で攪拌し均一液とした。次いでこれを10torrで10分間脱気した後ろ過し、レンズ用モールドに注入し、オーブン中50℃で10時間、60℃で8時間、80℃で3時間、100℃で2時間加熱して重合硬化させた。その後型から外し、110℃で1時間加熱してアニール処理を行った。得られたレンズは透明であり、良好な外観であった。屈折率、耐熱性、比重、強度を測定し、その結果を表2に示した。
TGMA:チオグリシジルメタクリレート
ATGE:アリルチオグリシジルエーテル
EPTMS:3−(β−エピチオプロピルチオメチル)スチレンと4−(β−エピチオプロピルチオメチル)スチレンの50/50(重量比)の混合物
ST:スチレン
BPAMA:2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−(2−メタクリロイルオキシ)フェニル)プロパン
PETP:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)
MXDI:m−キシリレンジイソシアネート
NDM:1,9−ノナンジオールメタクリレート
LMA:ラウリルメタクリレート
αMS:α−メチルスチレン
表2の触媒略号
MI :N−メチルイミダゾール
POO :1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
PBND:tert−ブチルパーオキシネオデカノエート
BTC :ジブチルスズジクロライド
Claims (11)
- (a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する化合物、(b)スチレン骨格を有する化合物および(c)チオール基を1分子中に1個以上有する化合物を含有する光学材料用組成物。
- (a)アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、およびビニル基からなる群より選択されるいずれかの基と、β−エピチオプロピル基とをそれぞれ1分子中に1個以上有する化合物が下記(1)式で表される化合物である請求項1記載の光学材料用組成物。
(1)
((1)式中、XはO(CH2)n、S(CH2)n、または(CH2)nを示し、nは0から6の整数を示す。Yはアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、またはビニル基を示す。) - (1)式で表される化合物がチオグリシジルメタクリレート((1)式においてXがO、Yがメタクリロイル基)である請求項2記載の光学材料用組成物。
- (1)式で表される化合物がアリルチオグリシジルエーテル((1)式においてXがO、Yがアリル基)である請求項2記載の光学材料用組成物。
- (b)スチレン骨格を有する化合物がスチレン、α−メチルスチレン、およびジビニルベンゼンから選ばれる1種以上である請求項1記載の光学材料用組成物。
- (c)チオール基を1分子中に1個以上有する化合物が、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、および1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼンから選ばれる1種以上である請求項1記載の光学材料用組成物。
- 請求項1記載の光学材料用組成物を、硬化触媒の存在下重合硬化して得られる光学材料。
- 硬化触媒が、複素環を有するアミン、ホスフィン、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第3級スルホニウム塩、第2級ヨードニウム塩、過酸化物およびアゾ化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物である請求項7記載の光学材料。
- 硬化触媒が、複素環を有するアミン、ホスフィン、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、第3級スルホニウム塩、第2級ヨードニウム塩中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物と、過酸化物、アゾ化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の化合物の組み合わせである請求項7記載の光学材料。
- 請求項7記載の光学材料からなる光学レンズ。
- 請求項1記載の光学材料用組成物を、重合硬化して得られる光学材料の製造方法。
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