JP4951592B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関し、特に広範囲の運転領域にわたり安定して運転できる予混合圧縮着火燃焼方式(PCCI(Premixed Charge Compression Ignition)燃焼方式)の内燃機関の制御装置に関する。
従来、ディーゼルエンジンに用いられる拡散燃焼方式は、燃料室内に取り込んだ空気を圧縮し、この圧縮された空気に燃料を噴射し、自己着火によって燃焼させる。このようなディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンに比較して熱効率が良い反面、燃焼室内における不均一な噴霧燃料の分布に起因して混合気濃度の不均一性が高く、その燃焼は噴霧火炎の燃焼領域と空気領域が分かれている。その結果、燃焼温度の不均一性も高くなっている。これは、燃料の濃すぎる領域や高温の領域が存在することになり、NOxやパティキュレートマター(以下、「PM(Particulate Matter)」という)の発生し易い領域が燃焼室内に混在しているということを意味する。このため、NOxとPMを同時に低減することが困難であり、これらの排出量が多くなり、排気の後処理システムに掛かる負担が大きいという課題があった。
この点に鑑みて、近年では、燃費を確保しつつNOx及びPMの排出量を大幅に低減することを目的として予混合による燃焼改良が注目されている。予混合によるディーゼルエンジンの燃焼改良には、均質予混合圧縮着火燃焼(HCCI(Homogeneous Charge Compression Ignition)燃焼)と予混合圧縮着火燃焼(PCCI燃焼)の2種類が考えられている。
HCCI燃焼とは、ガソリンエンジンのように吸気管で空気と燃料を均一に混合させて燃焼室に送り込み、燃焼は圧縮自己着火でさせるという考え方である。
HCCI燃焼方式では、吸気行程で吸気ポートに燃料を噴射し、均一な混合気にしてから燃焼室に導入する。したがって、燃料と空気が十分に混ざるので混合気全体がリーンで、ディーゼルエンジンのような理論混合比付近の空燃比は存在せず、燃焼温度は低くなる。したがって、NOxはほとんど発生しないが、燃焼室内の全ての燃料を燃焼させるのは難しく、気筒壁面に付着した燃料は燃焼することなく排出されて、結果的にHC(炭化水素)排出が増加する。また、着火時期の制御が難しく、圧縮する気筒内の温度に依存するため熱効率が低下する。
これに対し、PCCI燃焼は、通常のディーゼルエンジンと同様に圧縮行程で燃料を気筒内に噴射して予混合させるという考え方である。従来のディーゼルエンジンの燃料噴射タイミングがクランク角度で、上死点前10°くらいからであるものを、PCCI燃焼では燃料と吸気との混合時間よりも乱流混合速度の増加に主眼を置き、上死点後に燃料噴射を行い、燃料噴射が終了してから着火させることを狙う。
着火時期は、従来のディーゼルエンジンよりも10〜15°遅れることで、ある程度希薄化した予混合気を圧縮着火させ、低温でNOxの発生が無く、且つ、PMの少ない燃焼となる。
図20は、局所温度と局所当量比に対するPMの生成領域とNOxの生成領域を示す図である。図20に示すように、局所当量比が高い(燃料が過濃な)部分では酸素不足によりPMが生成され、局所当量比が低く且つ局所温度が高い部分ではNOxが生成される。
破線Yに示すように、従来の拡散燃焼では、不均一な噴霧燃料を圧縮着火させることで、PMの生成領域及びNOxの生成領域の両方にわたって燃焼する。一方、実線Xで示すように、PCCI燃焼は、希薄化した予混合気を圧縮着火することで、従来の拡散燃焼に対して燃料の過濃な領域や高温の領域が少なく、PM及びNOxの生成量を低減することができる。
このようなPCCI燃焼方式のエンジンにおいては、近年ではさまざまな研究がなされている。例えば、特許文献1,2では、燃料効率の向上及び未燃のHCやCO(一酸化炭素)等の低減による排気のエミッションを更に向上することを目的として、第1燃料を吸気に混合して予混合気を供給する混合デバイスと、第2燃料を燃焼室内に直接噴射する直接燃料インジェクタとを備えるものが記載されている。このエンジンでは、燃焼室内で予混合気が着火した後に、燃焼室内に第2燃料を直接噴射する。また、この特許文献1,2では、第1燃料及び第2燃料として、天然ガス、ガソリン、軽油、ナフサ、及びプロパンガス等の燃料を組み合わせたものが示されている。
特表2003−532828号公報 特表2003−532829号公報
しかしながら、前記した特許文献1,2に記載された従来のPCCI燃焼方式の内燃機関では、中高負荷領域において急激な燃焼になるため、騒音及び振動が大きくなるという課題がある。
この課題に対して、高セタン価燃料を用いたり、燃料の噴射時期を内燃機関の標準時期よりも遅らせたりすることで、ある程度の改善ができるものの、燃料噴射時期を遅らせる手法では、燃費や、着火及び燃焼の安定性が大幅に悪化することも知られている。PCCI燃焼方式の内燃機関では、中高負荷運転領域において前記したような課題があるため、現状ではPCCI燃焼方式は、低負荷領域のみに限定された燃焼方式である。
本発明は、前記した従来の課題を解決するものであり、広範囲の運転領域にわたり安定して運転できる予混合圧縮着火燃焼方式の内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、軽油又は軽油とその他の燃料との混合燃料を主燃料とし、燃焼室内でこの主燃料を圧縮着火させる内燃機関の制御装置において、主燃料を内燃機関の各気筒に供給する主燃料供給手段と、主燃料から水素又は水素を含む改質ガスを予混合ガスとして生成するガス生成手段と、予混合ガスを内燃機関に供給するガス供給手段と、内燃機関の予混合圧縮着火燃焼条件にもとづいて、主燃料供給手段による主燃料の各気筒への供給時期及び供給期間を制御する主燃料供給制御手段と、内燃機関の予混合圧縮着火燃焼条件にもとづいて、ガス供給手段による予混合ガスの各気筒への供給時期及び供給期間を制御するガス供給制御手段と、を備え、ガス供給手段は、生成された予混合ガスを圧縮するガス圧縮機と、圧縮された予混合ガスを蓄圧状態に貯留する蓄圧タンクと、蓄圧タンクの予混合ガスを、内燃機関の各気筒に向けて分岐したガス供給管を通じて供給されて噴射するガス噴射弁と、を有することを特徴とする。
請求項1に記載の発明よれば、内燃機関の予混合圧縮着火燃焼条件にもとづいて、水素又は水素を含む改質ガスを予混合ガスとして供給時期及び供給期間を制御しつつ、内燃機関の予混合圧縮着火燃焼条件にもとづいて、主燃料の各気筒への供給時期及び供給期間を制御することにより主燃料を予混合圧縮着火燃焼させることができる。
特に、水素は、気筒の内壁に付着することは無く、又、水素の火炎の伝播速度は、比較的他の天然ガスやプロパンガスの火炎の伝播速度よりも速く、例えば、主燃料の供給時期を内燃機関の標準時期よりも遅延させた場合であっても、着火遅れを短縮しつつ燃焼を緩慢にし、又、騒音及び振動も低減できる。
したがって、前記のように中高負荷領域における燃焼を改善し、運転領域を拡大することができる。また、これらに加えて、未燃のHCやCOの排出量も低減することが可能となる。これにより、排気のエミッション及び主燃料の燃費を更に向上できる。
更に、ガス供給手段は、生成された予混合ガスを圧縮するガス圧縮機と、圧縮された予混合ガスを蓄圧する蓄圧タンクとを有し、蓄圧タンクの予混合ガスを内燃機関の各気筒に向けて分岐したガス供給管を通じて供給するので、内燃機関の始動直後においても、前回の内燃機関運転時にガス生成手段によって蓄圧タンク内に貯留された予混合ガスを利用して、内燃機関にガス噴射弁から予混合ガスを噴射できる。したがって、ガス生成手段が水素又は水素を含んだ改質ガスを生成開始するのに遅れ時間を要しても、蓄圧タンク内の予混合ガスを用いて内燃機関は起動時から予混合圧縮着火燃焼方式による運転を行え、内燃機関起動直後の排気ガスの後処理装置の機能が困難な低排気温度領域時に、期待される予混合圧縮着火燃焼方式で運転できる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、ガス供給手段は、更に、蓄圧タンクからガス噴射弁までの間を連通するガス供給管に、予混合ガス圧を調整する予混合ガス圧力調整弁と、予混合ガス圧を検出する予混合ガス圧力センサとを、この順に配置して有し、ガス供給制御手段は、予混合ガス圧力センサにより検出された予混合ガス圧にもとづいてガス噴射弁に供給する予混合ガス圧を調整することを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、蓄圧タンクより下流側の予混合ガス圧を検出する予混合ガス圧力センサと、検出された予混合ガス圧にもとづいてガス噴射弁に供給する予混合ガス圧を調整する予混合ガス圧力調整弁と、を有しているので、ガス供給制御手段は、例えば、エンジン回転速度やエンジン要求トルクの変動に対応して、内燃機関の予混合圧縮着火燃焼条件に適した量の予混合ガスを気筒に噴射できるように予混合ガスをガス噴射弁に供給できる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明の構成に加えて、ガス供給制御手段は、予混合ガスの供給期間の算出を、内燃機関の予混合圧縮着火燃焼条件にもとづく要求予混合ガス量にもとづいて算出することを特徴とする。
内燃機関の広い運転領域で予混合圧縮着火燃焼条件を維持するためには、エンジン回転速度やエンジン要求トルクの変動に対応して、吸入空気量に対して適切な水素濃度となるようにする必要がある。請求項3に記載の発明によれば、要求予混合ガス量にもとづいて、予混合ガスの供給期間が容易に算出でき、適切な水素濃度となるように制御できる。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明の構成に加えて、ガス供給制御手段は、蓄圧タンクより下流側の予混合ガス圧を予混合ガス圧力センサで検出するとともに、水素ガスセンサで水素濃度を検出し、予混合圧縮着火燃焼条件にもとづく要求予混合ガス量が、吸入空気量に対する水素濃度で所定の濃度範囲となるように制御する水素濃度制御手段を有し、水素濃度制御手段により制御された要求予混合ガス量にもとづいて予混合ガスの供給期間の算出をすることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、予混合ガスに含まれる水素濃度を検出することができるので、主燃料の成分変化に応じて適切な予混合圧縮着火燃焼条件にもとづく要求予混合ガス量が算出でき、予混合圧縮着火燃焼方式の運転が維持できる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の発明の構成に加えて、ガス供給制御手段は、吸気弁が開状態で、排気弁が閉状態である、バックファイアを起こさないタイミングを検出し、この期間内に予混合ガスを各気筒の吸気に噴射することを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、ガス供給制御手段は、吸気弁が開状態で、排気弁が閉状態である、バックファイアを起こさないタイミングを検出し、この期間内に予混合ガスを各気筒の吸気に噴射するので、気筒内に吸気とともに吸い込まれた水素がそのまま排気管から漏れ出して、バックファイアを生じたり、排気の後処理装置を損傷したりすることを防止できる。特に、水素濃度を4%以上にすると約600℃以上で自己着火するのでバックファイアを生じる可能性が高く、前記したように予混合ガスの供給期間を制御することによって、確実にバックファイアを防止できる。
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の発明の構成に加えて、ガス供給制御手段は、蓄圧タンクの圧力を、少なくともエンジン回転速度に応じて予め設定された圧力に制御することを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、例えば、エンジン回転速度が大きいほど予混合ガスの必要量が増加するので、ガス生成手段における予混合ガス生成量を増加するのみならず、ガス圧縮機の吐出圧をも高めて、蓄圧タンクの圧力を高めることにより、エンジン回転数が大のときにエンジントルクの要求量が増大したときにも、蓄圧タンクの予混合ガスがバッファーとして働き、所要の予混合ガスを気筒に供給することができる。特に、高回転速度程前記した吸気弁が開状態で、排気弁が閉状態である期間が短くなり、所定の予混合ガス量を供給するにはより予混合ガスの噴射圧を高める必要がある。
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項5に記載の発明の構成に加えて、主燃料供給手段は、燃料ポンプによって送り出された主燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部、該燃料蓄圧部から内燃機関の各気筒に向けて分岐した燃料供給管を通じて供給される主燃料を内燃機関の各気筒に噴射する燃料噴射弁、を有し、主燃料供給制御手段によって燃料噴射弁からの主燃料の噴射圧と、供給時期及び供給期間に対応する噴射時期と噴射期間が制御されることを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、燃料噴射弁及びガス噴射弁で主燃料及び予混合ガス(水素又は水素を含む改質ガス)を噴射することにより、これら主燃料及び予混合ガスの供給時期、供給期間を正確に制御することができる。その結果、予混合圧縮着火燃焼方式の内燃機関において安定した予混合圧縮着火燃焼を広い運転領域で維持できる。
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の発明の構成に加えて、ガス生成手段は、水蒸気改質法、部分酸化法、炭酸ガス改質法、並びに、水蒸気改質法及び部分酸化法を組み合わせたオートサーマル法のうちの1つの改質反応により、水素を含むガスを生成することを特徴とする。
請求項8に記載の発明によれば、ガス生成手段は、水蒸気改質法、部分酸化法、炭酸ガス改質法、並びに、水蒸気改質法及び部分酸化法を組み合わせたオートサーマル法のうちの1つの改質反応により、水素を含むガスを生成することにより、安定して水素を生成することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明の構成に加えて、ガス生成手段による主燃料の改質反応は、燃焼排出ガス、空気、酸素富化空気、窒素富化空気、酸素、窒素、二酸化炭素及び水蒸気のいずれかの雰囲気下で行われることを特徴とする。
請求項9に記載の発明によれば、空気、酸素富化空気、窒素富化空気、酸素、窒素、二酸化炭素及び水蒸気のいずれかの雰囲気下における改質反応により、水素を含むガスを生成することにより、安定して水素を生成することができる。
本発明によれば、広範囲の運転領域にわたり安定して運転できる予混合圧縮着火燃焼方式の内燃機関の制御装置を提供することができる。
特に、内燃機関起動時からガス生成手段における予混合ガスの生成遅れを生じても、それに関係なく、前回運転時に蓄圧タンク内に貯留した予混合ガスを用いて予混合圧縮着火燃焼を内燃機関の起動直後から実現できる。
以下に、本発明の実施形態に係る内燃機関の制御装置について図を参照しながら詳細に説明する。
《内燃機関の制御装置概略機能構成》
図1を参照して本実施形態における内燃機関の制御装置の概要について説明する。
図1は、本実施形態の内燃機関の制御装置の概略機能構成図である。
内燃機関(以下、エンジンと称する)1は、気筒11に形成された燃焼室13内で、ピストン12により圧縮した高温の吸気内に燃料を噴射して自己着火させるディーゼルエンジンである。ちなみに、エンジン1は、吸気弁16、排気弁17をシリンダヘッドに設けた4ストロークディーゼルエンジンである。
なお、図1には、エンジン1の複数の気筒11のうち1つのみを代表的に図示している。このエンジン1の制御装置であるエンジン制御装置(内燃機関の制御装置)100には、主燃料を供給する主燃料供給系(主燃料供給手段)20と、主燃料から水素又は水素を含む改質ガスを生成して予混合ガスとして供給するガス生成供給系30と、を備えている。
主燃料供給系20は、燃料タンク2、低圧ポンプ3A、高圧燃料供給系21及び燃料インジェクタ(燃料噴射弁)22を含んで構成される。
ここで、主燃料としては、軽油又は軽油とその他の燃料との混合燃料等が用いられる。また、前記したその他の燃料としては、バイオ燃料や、天然ガスから合成した液体燃料であるGTL(Gas to Liquids)燃料等が用いられる。軽油及びGTL燃料には、アルカン類、アルケン類、アルキン類、芳香族化合物、アルコール類、アルデヒド類、エステル類等の炭化水素類が含まれる。また、バイオ燃料には、エタノール、脂肪酸メチルエステル等の炭化水素類が含まれる。
燃料インジェクタ22は、エンジン1の各気筒11に設けられ、高圧燃料供給系21に含まれる高圧燃料供給管(燃料供給管)25を経由して、その図示しない噴射孔から主燃料を燃焼室13内に直接噴射する。この燃料インジェクタ22は、エンジン電子制御ユニット(以下、「ECU」と称する)40に電気的に接続されており、ECU40から出力される燃料噴射指令信号にもとづいてアクチュエータ22aが動作して主燃料を噴射する。
ガス生成供給系30は、主に、低圧ポンプ3Aで供給された主燃料を改質して水素又は水素を含む改質ガス(以下、「水素又は水素を含む改質ガス」を予混合ガスと称する)を生成する燃料改質器31と、予混合ガスを圧縮するガス圧縮機33と、圧縮された予混合ガスを蓄圧状態に貯留する蓄圧タンク34と、予混合ガス圧力調整弁35とヘッダ管36と、予混合ガス供給管(ガス供給管)37と、予混合ガスを各気筒に噴射するガスインジェクタ(ガス噴射弁)32とを含んで構成されている。
燃料改質器31は、改質触媒を備え、空気、酸素富化空気、窒素富化空気、酸素、窒素、二酸化炭素、又は水蒸気の雰囲気下で、低圧ポンプ3Aにより供給された主燃料を改質し、予混合ガスを生成し、この予混合ガスをガス圧縮機33に供給する。
ここで、改質触媒における改質反応は、例えば、水蒸気改質法、部分酸化法、炭酸ガス改質法、並びに、水蒸気改質法及び部分酸化法を組み合わせたオートサーマル法よりなる中から選ばれた1種の反応である。
燃料改質器31の予混合ガス(改質ガス)生成の出力レベル及びガス圧縮機33の出力は、ECU40に制御されて蓄圧タンク34の圧力が、例えば、エンジン回転速度Ne及びアクセル開度θthに応じて予め設定された所定圧力になるように制御される。
ガス圧縮機33で昇圧された予混合ガスは、蓄圧タンク34に貯留され、蓄圧タンク34の下流側に配置された予混合ガス圧力調整弁35を経由してヘッダ管36に至り、ヘッダ管36から各気筒11に分岐する予混合ガス供給管37により前記ガスインジェクタ32に供給される。
蓄圧タンク34に貯められた予混合ガスは、ECU40に制御される予混合ガス圧力調整弁35により、ヘッダ管36に設けられた圧力センサ(予混合ガス圧力センサ)SPgの信号にもとづいて所定の噴射圧力に減圧してから、ヘッダ管36から各気筒に分岐する予混合ガス供給管37を経由し、各気筒11の吸気管14の吸気ポート近くに配置されたガスインジェクタ32の図示しない噴射孔から吸気中に噴射される。
ガスインジェクタ32は、ECU40から出力される予混合ガス噴射指令信号にもとづいてアクチュエータ32aが動作して予混合ガスを噴射する。
また、エンジン制御装置100には、図示しないクランク軸の回転角度(クランク角度)を検出するクランク角度位置センサや、主燃料の燃料温度を検出する燃料温度センサS(図2参照)や、エンジン回転速度Neを検出する図示しないエンジン回転速度センサ、アクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度θth)を検出するアクセル開度センサ、エンジン1の吸気圧又は大気圧を検出する吸気圧センサ、吸気温度を検出する吸気温度センサ、エンジン冷却水の水温を検出する冷却水温度センサ、吸入空気量を検出する吸気量センサ等が設けられ、それらの電気信号がECU40に入力されている。
更に、前記した各種センサの他に、ガス生成供給系30には、蓄圧タンク34の圧力(蓄圧タンク圧力)Pを検出する蓄圧タンク圧センサSPa(図2参照)、前記ヘッダ管36の圧力(ヘッダ圧力)Pを検出する圧力センサSPg(図2参照)、ヘッダ管36の水素濃度vを検出する水素濃度センサS(図2参照)が設けられ、それらの電気信号がECU40に入力されている。
特に、排気管15から排気される排気ガスの背圧により図示しない排気タービンを回転させて過給機(圧縮機)を駆動し、吸気を加圧するターボディーゼルエンジンの場合、吸気圧、吸気温度、吸気流量は主燃料の噴射量や予混合ガスの噴射量を算出する上で重要になる。自然吸気式のディーゼルエンジンの場合は、前記吸気圧として大気圧を用いることになる。
ちなみに、クランク角度位置センサは、特定の気筒の所定のクランク角度位置で気筒識別パルスを生成して、ECU40に供給し、各気筒の圧縮行程の上死点位置のクランク角度をECU40が判別できるようにしている。これが、図1におけるECU40に供給される「気筒判別情報」のことである。
ここで、ECU40は、図示省略するがマイクロコンピュータ、各種センサからの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所定のレベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換するなどの機能を有する入力回路、主燃料供給系20及びガス生成供給系30に制御信号を出力する出力回路やアクチュエータ22a,32aを駆動するアクチュエータ駆動回路等を含む。
なお、低圧ポンプ3Aや、高圧燃料供給系21に含まれる高圧ポンプ3B(図2参照)やガス圧縮機33を駆動する図示省略のモータの駆動回路を、ECU40が含んでも良いし、ECU40の外部に別個設けても良い。
ECU40は、これら入力回路、マイクロコンピュータ、出力回路、アクチュエータ駆動回路、モータの駆動回路等のハードウェアの構成により機能する主燃料供給系20を制御する燃料供給制御部(主燃料供給制御手段)41と、ガス生成供給系30を制御する水素供給制御部(ガス供給制御手段)42の機能ブロックを有する。
燃料供給制御部41及び水素供給制御部42の詳細については後記する。
次に、図2を参照しながら本実施形態のエンジン制御装置100の詳細な構成を説明する。図2は、蓄圧式の燃料噴射装置を用いたエンジン制御装置の全体構成図である。
以下、図2にしたがって、各構成を詳細に説明する。
《主燃料供給系》
先ず、主燃料供給系20について説明する。
本実施形態のエンジン制御装置100の前記した主燃料供給系20は、燃料タンク2と、ECU40の燃料供給制御部41により電子制御されるモータ3aによって駆動される低圧ポンプ3A(フィードポンプとも呼ばれる)及びエンジン1のクランク軸から取り出された駆動力で機械的に駆動される高圧ポンプ3B(サプライポンプとも呼ばれる)と、この高圧ポンプ3Bから高圧の主燃料が供給されるコモンレール(燃料蓄圧部)4と、コモンレール4から各気筒11に分岐した高圧燃料供給管(燃料供給管)25を経由してエンジン1の燃焼室13内に高圧の主燃料を噴射供給する燃料インジェクタ22と、燃料供給制御部41により電子制御される燃料インジェクタ22に内蔵のアクチュエータ22aを含んで構成される。
ここで、低圧ポンプ3A及び高圧ポンプ3Bは請求項に記載の「燃料ポンプ」に対応する。
ここで、ECU40の前記マイクロコンピュータは、前記した図示省略のクランク角度位置センサ、燃料温度センサS、コモンレール圧センサSPc、図示省略のエンジン回転速度センサ、アクセル開度センサ、吸気圧センサ、吸気温度センサ、冷却水温度センサ、吸気量センサ等の各センサから信号を用いて、最適な主燃料の噴射量及び噴射時期を演算してアクチュエータ22aを電子制御する。
低圧ポンプ3A及びモータ3aは、燃料タンク2内にフィルタ60とともに組み込まれ、燃料タンク2から吸込み管61により主燃料を吸引し、低圧燃料供給配管62に吐出して高圧ポンプ3Bの吸い込み側及び燃料改質器31に主燃料を供給する。
低圧ポンプ3Aの吐出側と高圧ポンプ3Bの吸い込み側との間の低圧燃料供給配管62にはストレーナ64、逆止弁69aを内蔵した流量調整弁69Aが直列に配置されている。
ストレーナ64には、図示省略の差圧センサが設けられ、その信号がECU40に入力されて、ECU40が低圧ポンプ3Aやフィルタ60やストレーナ64の異常(低圧燃料供給量低)を検出できるようになっている。
低圧燃料供給配管62のストレーナ64と流量調整弁69Aとの中間から分岐した戻り配管65が、調圧弁67を経由して低圧ポンプ3Aの過剰な主燃料の供給を燃料タンク2に戻すようになっている。
高圧ポンプ3Bには、吐出される燃料温度を検出する燃料温度センサSが設けられ、その信号をECU40に出力している。
高圧ポンプ3Bから吐出配管63に吐出された高圧の主燃料は比較的に高い圧力の高圧燃料を蓄圧するサージタンクの一種であるコモンレール4に蓄圧される。コモンレール4にはコモンレールの圧力Pc(以下、コモンレール圧力Pcと称する)を検出するコモンレール圧センサSPcが設けられ、その検出圧信号はECU40に出力され、ECU40が、コモンレール4と燃料タンク2とを接続する戻り配管71の途中に配置された圧力調整弁72によりコモンレール4の圧力を、車両の運転状態、例えば、エンジン回転速度Neに応じて、例えば、30MPa〜200MPaの所定の目標圧力に制御する。
また、コモンレール4から各気筒11の燃料インジェクタ22へは、コモンレール4から分岐した高圧燃料供給管25が接続し、コモンレール4に蓄圧状態に貯留された主燃料を燃料インジェクタ22に供給する。背圧式の燃料インジェクタ22には、ドレーン通路26が接続され、それらは戻り燃料配管73に更に接続して、逆止弁76aとオリフィス76を並列に接続した流量調整器を介して低圧ポンプ3Aの吐出側の低圧燃料供給配管62に接続している。
本実施形態の燃料インジェクタ22の構造は、周知のものと同様であり、詳細な説明を省略する。
そして、ECU40の燃料供給制御部41(図1参照)は、アクセル開度θthにもとづいて要求トルクTを算出し、要求トルクTとエンジン回転速度Neにもとづいて、主燃料の噴射時期と噴射量を決定し、燃料インジェクタ22のアクチュエータ22aを制御する。
このとき、燃料供給制御部41は、予混合圧縮着火燃焼条件(以下、「PCCI燃焼条件」と称する)に適合するように、気筒判別情報とクランク角度にもとづいて、予めECU40のメモリに格納された、例えば、要求トルクTとエンジン回転速度Neをパラメータとした主燃料噴射時期を参照して、各気筒11に対し中高負荷領域においてもPCCI燃焼を実現するために、主燃料噴射時期(供給時期)は、標準時期(例えば、上死点(TDC))よりも遅延させて、前記決定した主燃料の噴射量を噴射できるように噴射時間幅(供給期間)を設定して噴射を行わせる。その噴射時期を以下、「ATDC(After Top Dead Center)噴射」と称する。
この主燃料のATDC噴射の制御の作用効果については図13から図20の説明において後記する。
《ガス生成供給系》
次に、ガス生成供給系30について説明する。
本実施形態のエンジン制御装置100の前記したガス生成供給系30は、燃料タンク2と、ECU40の燃料供給制御部41により電子制御されるモータ3aによって駆動される低圧ポンプ3Aと、純水を貯留する水タンク51と、ECU40の水素供給制御部42により電子制御されるモータ53aによって駆動される給水ポンプ53と、ECU40の水素供給制御部42により制御されて、給水ポンプ53により供給された純水と低圧ポンプ3Aにより供給された主燃料から水素を含む改質ガス(予混合ガス)に分解する燃料改質器31と、水素供給制御部42により制御されるガス圧縮機33と、ガス圧縮機33により昇圧された予混合ガスを蓄圧状態に貯留する蓄圧タンク34と、予混合ガス圧力調整弁35と、ヘッダ管36と、ヘッダ管36から気筒ごとに分岐してガスインジェクタ32に導く予混合ガス供給管37と、ガスインジェクタ32と、水素供給制御部42により電子制御されるガスインジェクタ32に内蔵のアクチュエータ32a等を含んで構成される。
ここで、燃料タンク2、低圧ポンプ3A、水タンク51、給水ポンプ53、燃料改質器31は、請求項に記載の「ガス生成手段」を構成し、ガス圧縮機33、蓄圧タンク34、予混合ガス圧力調整弁35、ヘッダ管36、予混合ガス供給管37、ガスインジェクタ32は、請求項に記載の「ガス供給手段」を構成する。
ここで、ECU40の前記マイクロコンピュータは、前記した図示省略のクランク角度位置センサ、エンジン回転速度センサ、アクセル開度センサ、吸気圧センサ、吸気温度センサ、吸気量センサ等の各センサから信号を用いて、最適な予混合ガス噴射量及び噴射時期を演算して燃料改質器31、ガス圧縮機33やアクチュエータ32a、予混合ガス圧力調整弁35を電子制御する。
低圧ポンプ3Aの吐出側の低圧燃料供給配管62は、ストレーナ64の下流側で燃料改質器31側に向かう低圧燃料供給配管66に分岐し、主燃料の一部を燃料改質器31に供給する。前記分岐した低圧燃料供給配管66は、燃料改質器31の燃料入口ポートとの間に、逆止弁69aを内蔵した流量調整弁69Bが直列に配置されている。流量調整弁69Bは、水素供給制御部42に制御され、燃料改質器31に供給する主燃料の流量を制御する。
給水ポンプ53及びモータ53aは、水タンク51内にフィルタ52とともに組み込まれ、水タンク51から吸込み管により純水を吸引し、燃料改質器31の純水入口ポートに純水を供給する。
給水ポンプ53の吐出側と燃料改質器31の純水入口ポートとの間には、逆止弁54aを内蔵した流量調整弁54が直列に配置されている。流量調整弁54は、水素供給制御部42に制御され、燃料改質器31に供給する純水の流量を制御する。
なお、流量調整弁54,69Bは、水素供給制御部42に制御される燃料改質器31における改質ガス(予混合ガス)の単位時間当たりの生成量(出力レベル)に見合うように協調制御される。
給水ポンプ53と流量調整弁54との中間から分岐した戻り配管56が、調圧弁55を経由して給水ポンプ53の過剰な純水供給を水タンク51に戻すようになっている。
燃料改質器31では、供給された純水を加熱して蒸気を生成し、供給された主燃料を水蒸気雰囲気下で触媒反応により水素を含む改質ガスに分解する。このような、改質ガスの生成方法を水蒸気改質法と称し、公知の方法である。
燃料改質器31で生成された改質ガスは予混合ガスとして、ガス圧縮機33で昇圧されて逆止弁38を経由して蓄圧タンク34に供給される。蓄圧タンク34には蓄圧タンク圧力Pを検出する蓄圧タンク圧センサSPaが設けられ、その検出圧信号はECU40に出力され、ECU40の水素供給制御部42が、燃料改質器31とガス圧縮機33の運転レベルを制御して蓄圧タンク34の圧力を、車両の運転状態、例えば、エンジン回転速度Neや、アクセル開度θthに応じて、所定の目標圧力に制御する。
また、蓄圧タンク34から各気筒11のガスインジェクタ32へは、予混合ガス圧力調整弁35を介して、蓄圧タンク圧力Pから減圧して、ヘッダ管36に供給され、このヘッダ管36から分岐した予混合ガス供給管37が接続し、蓄圧タンク34に蓄圧状態で貯留された予混合ガスをガスインジェクタ32に供給する。ガスインジェクタ32は、噴射圧が比較的低く設定できるので、直動式のもので十分である。
ヘッダ管36の容積及び各気筒11のガスインジェクタ32までの予混合ガス供給管37の容積の合計は、エンジン1の各気筒11に1回ずつ噴射する分、例えば、4気筒のエンジンなら、4回の噴射量の最大値程度である。
ガスインジェクタ32のアクチュエータ32aは、例えば、ソレノイド式又はピエゾ式である。
ヘッダ管36は、各気筒11におけるガスインジェクタ32の噴射による圧力変動を緩和するものであり、ECU40により制御される予混合ガス圧力調整弁35によりヘッダ管36の圧力(以下「ヘッダ圧力P」と称する)が調整される。ヘッダ管36には、実質的にガスインジェクタ32の噴射圧であるヘッダ圧力Pを検出する圧力センサSPgと、予混合ガス中の水素濃度vを検出する水素濃度センサSが設けられている。
《蓄圧タンク圧力の制御》
次に、図3及び図4を参照しながらガス生成供給系30の運転制御、特に、蓄圧タンク34の圧力制御の方法について説明する。図3は、ガス生成供給系の蓄圧タンク圧力制御の流れを示すフローチャートである。
図4の(a)は、エンジン回転速度Neに応じて設定される蓄圧タンク目標圧力PTaのエンジン回転速度Neに対する相関関係を示す図であり、(b)は、蓄圧タンク目標圧力PTaに対するアクセル開度θthによる補正係数Kの相関関係を示す図である。
この制御はECU40の水素供給制御部42においてなされる。
ステップS01では、IG ONで燃料改質器31を起動する。具体的には、給水ポンプ53を起動し、燃料改質器31内蔵のヒーターを起動して水蒸気を生成し、更に流量調整弁69Bを開いて主燃料を燃料改質器31に供給開始して、水蒸気改質法により主燃料の改質運転を開始させる。この改質運転には触媒反応が開始されるまで水蒸気温度等が上昇する時間が必要であり、燃料改質器31の起動時間、つまり、ウォーミングアップの時間が必要になる。このウォーミングアップの時間が必要になるという事情は、部分酸化法等の前記した他の改質法を用いた場合でも同じである。
ステップS02では、燃料改質器31が運転を開始したか否かをチェックする。運転を開始した場合(Yes)はステップS03へ進み、そうでない場合(No)はステップS02に戻りウォーミングアップの終了を待つ。
ステップS03では、ガス圧縮機33を起動し、燃料改質器31で生成した水素を含む改質ガス、つまり、予混合ガスを、逆止弁38を経由して蓄圧タンク34に圧入を開始する。
ステップS04では、エンジン回転速度Ne、アクセル開度θth、蓄圧タンク圧力Pを読み込む。そして、エンジン回転速度Ne及びアクセル開度θthにもとづいて蓄圧タンク目標圧力P Ta(=PTa*K)を設定する。
具体的には、エンジン回転速度Neにもとづき、図4の(a)に従い、蓄圧タンク目標圧力PTaを求める。この相関関係は、図4の(a)に示すようにエンジン回転速度Neが所定値以下では、蓄圧タンク目標圧力PTaは所定の閾値に設定され、エンジン回転速度Neが増加するとそれに応じて単調に蓄圧タンク目標圧力PTaは増加する。
エンジン回転速度Neが所定値以下において、蓄圧タンク目標圧力PTaは所定の閾値に設定する目的は、エンジン回転速度Neが小さく、予混合ガスの単位時間当たりのエンジン1への供給量が少なくても、先にステップS01,S02で説明したように、燃料改質器31は起動直後から速やかに予混合ガスを生成できないので、車両の走行開始のしばらくの時間、つまり、エンジン1の運転開始後のしばらくの時間、前回の走行時に蓄圧タンク34に貯留しておいた予混合ガスを用いて走行するために、このように設定するものである。
また、後記するように、ガスインジェクタ32からの一回の噴射量(後記する要求予混合ガス量R(図7、図8参照)に対応)は、エンジン回転速度Neだけではなくアクセル開度θthの増加に対しても増加させるように制御しているので、蓄圧タンク圧力Pもそれに対応できるように図4の(b)のように設定する補正係数Kにより、アクセル開度θthが増加するほど蓄圧タンク圧力Pも増加させるように補正係数Kを増加させる。
そして図4の(a)で求められた蓄圧タンク目標圧力PTaに図4の(b)で求められた補正係数Kを乗じて最終的な蓄圧タンク目標圧力P Taを設定する。
なお、最終的な蓄圧タンク目標圧力を設定する蓄圧タンク目標圧力PTa及び補正係数Kの設定は、車両の定常走行状態からアクセル開度θthが操作されて、エンジン回転速度Neが増加した場合の後記する要求予混合ガス量Rの増加に即応できるように、余裕をもって設定する。
ちなみに、図4の(a),(b)に示すようなデータは、予めECU40を構成する前記したマイクロコンピュータのROM等のメモリに格納されている。
燃料改質器31の出力レベルの応答性は緩慢であり、例えば、エンジン回転速度Neやアクセル開度θthの変化に追随できるものではない。したがって、蓄圧タンク目標圧力P Taの変化は急速に変化しないように、例えば、エンジン回転速度Neの移動平均値と、アクセル開度θthの移動平均値を用いたり、周期的にサンプリングする所定時間幅内のエンジン回転速度Neの最大値、アクセル開度θthの最大値の組み合わせを用いたりして、ステップS05における蓄圧タンク目標圧力P Taを安定に設定することが好ましい。
このような蓄圧タンク目標圧力P Taの設定方法によれば、蓄圧タンク圧力Pの変動が少なく、エンジン回転速度Neの急激な増大に対しても、蓄圧タンク34に貯留された予混合ガスにより容易に要求予混合ガス量Rに対応することができる。
ステップS06では、ステップS04で読み込んだ蓄圧タンク圧力Pと、ステップS05で設定した蓄圧タンク目標圧力P Taから圧力差(P Ta―P)を算出して、圧力差(P Ta―P)に応じて燃料改質器31の出力レベルを設定し、ガス圧縮機33の出力を制御する。この制御により、エンジン1の予混合ガスの消費率に応じて時間平均的な消費率が高いほど高く設定された蓄圧タンク目標圧力P Taに追随するように、又、時間平均的な消費率が低いほど低く設定された蓄圧タンク目標圧力P Taに追随するように蓄圧タンク圧力Pが制御される。
ステップS07では、ヘッダ圧力Pが(P Ta−ε)以上になるように予混合ガス圧力調整弁35を制御する。
このεは正の値で、ヘッダ圧力Pに減圧するものである。蓄圧タンク圧力Pの制御が前記したように緩慢な制御に対して、ヘッダ圧力Pは、ガスインジェクタ32の噴射圧そのものであり、エンジン回転速度Neやアクセル開度θthに即応して要求予混合ガス量Rを所定の後記する噴射時間許容最大値Tmax内に噴射できるように予混合ガス圧力調整弁35により制御される。この予混合ガス圧力調整弁35の詳細な制御については、後記する図5のフローチャートで説明するが、蓄圧タンク圧力Pは前記したように保守的に高めに設定制御されるので、通常は蓄圧タンク圧力Pが高めに設定されている分だけ圧力を下げるように制御する。
このεの値は、蓄圧タンク目標圧力P Taの設定や蓄圧タンク34の容量にもとづいて実験的に予め設定する。
ステップS08では、IG OFFを検出したか否かをチェックする。IG OFFを検出した場合(Yes)はステップS09へ進み、そうでない場合はステップS04に戻りステップS04〜S08の制御を繰り返す。
ステップS09では、給水ポンプ53を含む燃料改質器31、ガス圧縮機33を停止する。IG OFFにしてもエンジン1の停止の蓄圧タンク目標圧力P Taは、ゼロではないので、逆止弁38が機能して所定の圧力で予混合ガスが蓄圧タンク34に貯留され、次回のエンジン1の起動時に、エンジン1の運転開始から予混合ガスを供給できようにする。
これで、一連のガス生成供給系30の蓄圧タンク圧力制御の処理が終了する。
《予混合ガス噴射の制御》
次に、図5から図9を参照しながらECU40の水素供給制御部42によるガスインジェクタ32の予混合ガスの噴射制御について説明する。
図5、図6は、ガス生成供給系のガスインジェクタの噴射制御の流れを示すフローチャートである。
図7は、要求トルクTに対する要求予混合ガス量Rの相関関係を示す図であり、図8は、エンジン回転速度Ne対する要求予混合ガス量Rの相関関係を示す図である。
図9は、ガスインジェクタの噴射時期及び噴射期間を、排気弁及び吸気弁の開閉タイミングを参照して説明する図である。
この予混合ガス噴射の制御はECU40における水素供給制御部42において行われる。
ステップS21では、エンジン回転速度Ne、アクセル開度θth、吸気圧、吸気流量、水素濃度v、ヘッダ圧力Pを読み込む。
ステップS22では、アクセル開度θthにもとづいて要求トルクTを算出する。そしてステップS23では、要求トルクTとエンジン回転速度Neにもとづいて要求予混合ガス量Rを算出する。
図7及び図8はそれぞれ要求トルクTに対する要求予混合ガス量Rの相関関係と、エンジン回転速度Neに対する要求予混合ガス量Rの相関関係を示しており、要求トルクTが増加してもエンジン回転速度Neが増加しても要求予混合ガス量Rは増加する。このように要求トルクTとエンジン回転速度Neの2つのパラメータに対する要求予混合ガス量Rを算出する方法としては、例えば、縦軸に離散的な数値のエンジン回転速度Neをパラメータとし、横軸に離散的な数値の要求トルクTをパラメータとした要求予混合ガス量Rのルックアップテーブル方式が考えられる。このルックアップテーブルを予め作成して、ECU40を構成する前記したマイクロコンピュータのROM等のメモリに格納する。そして、その時点エンジン回転速度Ne、要求トルクTに対して前記ルークアップテーブルの2つのパラメータの値を内挿してその時点のエンジン回転速度Ne、要求トルクTに対応する要求予混合ガス量Rを容易に算出することができる。
ちなみに、ここで算出される要求予混合ガス量Rは、所定の基準成分の主燃料を想定して、基準成分の主燃料を改質して生成されたと仮定して、基準圧力、例えば、大気圧の改質ガス中の基準成分の主燃料により一意に決まる水素濃度v濃度(%)にもとづいて算出される。そして、このとき、例えば、吸気量に対し水素濃度が4.4vol%になるように予めエンジン回転速度Ne、要求トルクTに応じて変化する吸気量の変化も考慮して設定されるものである。
ステップS24では、吸気圧、エンジン回転速度Ne、吸気流量にもとづいて吸気量を算出する。この吸気量は前記した基準圧力換算の量である。ついで、ステップS25で算出され要求予混合ガス量R、水素濃度v、ステップS24で算出された吸気量(吸入空気量)にもとづいて、(水素/空気)比γH−airを算出して、(水素/空気)比γH−air≧閾値γであるか否かをチェックする(ステップS26)。閾値γ以上の場合(Yes)はステップS27へ進み、そうでない場合はステップS28へ進む。
ここでは、例えば、閾値γは0.044(4.4vol%)とする。少なくとも水素の可燃限界空燃比4%に少し余裕を持たせて設定する。
ちなみに、(水素/空気)比γH−airは、基準圧力で算出された要求予混合ガス量Rに水素濃度vを乗じ、基準圧力換算の吸気量で除すれば容易に算出できる。
ステップS27では、(水素/空気)比γH−airが閾値γ以上であるので、補正要求予混合ガス量Rcg=Rとし、補正を行わない。ステップS28では、(水素/空気)比γH−airが閾値未満なので、補正要求予混合ガス量Rcg=R*(γ/γH−air)と補正を行う。このように補正することで予混合ガスを吸気に噴射したときの水素濃度が4.4vol%を確保できるようになる。
ステップS27,S28の後ステップS29へ進み、補正要求混合ガス量Rcgとヘッダ圧力Pから予混合ガス噴射時間Tを算出する。
図示省略するが、基準圧力換算の補正要求混合ガス量Rcgをその時のヘッダ圧力Pにおいてガスインジェクタ32から所期通り噴射するには、図示省略するが、例えば、横軸に補正要求混合ガス量Rcgを取り、縦軸にガスインジェクタ32に出力する予混合ガス噴射時間Tを取り、離散的なヘッダ圧力P依存の相関曲線を予め実験等によって複数本設定した相関関係式を得る。そして、このヘッダ圧力Pをパラメータとした補正要求混合ガス量Rcgから予混合ガス噴射時間幅Tを算出する相関式をECU40を構成する前記したマイクロコンピュータのROM等のメモリに格納しておく。そうすれば、ヘッダ圧力Pに対して相関式を内挿することにより、容易に予混合ガス噴射時間幅Tが算出できる。
ステップS29の後、符号[1]にしたがって図6のステップS30に進み、予混合ガス噴射時間Tが噴射時間許容最大値Tmax以上か否かをチェックする。TがTmax以上の場合はステップS31に進み、そうでない場合は、ステップS33へ進む。
ガスインジェクタ32の噴射時期は、排気弁17が全閉した後の、吸気弁16が開状態で吸気状態が続いているときであり、図9に示すように予混合ガス噴射時間幅Tの噴射時間許容最大値はTmaxに制限されている。
特に、排気弁17が全閉する前の吸気状態で4vol%濃度以上の水素を吸気中に含むものが排気管15から後流側に流れると、排ガス処理系において予混合ガスがバックファイアを生じ、大きな騒音を発生させるだけでなく、排ガス処理系の機器を損傷させる可能性がある。
なお、図9では、クランク角度でTmaxを表示しているが、エンジン回転速度Ne又はクランク角速度を用いて容易にクランク角度表示のTmaxを時間表示のTmaxに換算できる。
したがって、そのときのエンジン回転速度Neとガスインジェクタ32の噴射可能なクランク角度範囲から容易にそのときのエンジン回転速度Neにおける噴射時間許容最大値Tmaxは算出でき、それに対し、ステップS30においてTがTmax以上の場合は、ヘッダ圧力Pを増加して、新たなP≧(T/Tmax)*Pとする。具体的には、予混合ガス圧力調整弁35を制御してヘッダ圧力Pを増加させる。
ついで、ステップS29と同様に改めて補正要求混合ガス量Rcgとヘッダ圧力Pから予混合ガス噴射時間Tを算出する。
ステップS33では、ガスインジェクタ32のアクチュエータ32aに予混合ガス噴射時間Tに対応する噴射指令信号を出力して、ガスインジェクタ32を駆動する。
このとき、水素供給制御部42は、気筒判別情報とクランク角度にもとづいて、排気弁17の全閉タイミングと吸気弁16の開状態を検出して図9に示したTmax内という噴射時期と予混合ガス噴射時間Tで噴射するようにアクチュエータ32aを駆動する。
こうして一連の予混合ガス噴射の制御を完了し、次の繰り返しの制御を行う。
なお、本実施形態のフローチャートのステップS21〜S28は請求項の「水素濃度制御手段」を構成する。
また、吸気量に対する水素濃度が可燃限界空燃比以上の所定値になるように予混合ガスの燃焼室13への供給する予混合ガス噴射時間Tが請求項に記載の予混合圧縮着火燃焼条件にもとづく「供給時間」に対応し、図9に示したTmax内という噴射時期が予混合圧縮着火燃焼条件にもとづく請求項に記載の「供給時期」に対応する。
図10にエンジン始動後からの必要水素供給率の推移を、本実施形態と比較例との間で比較したものを示す。ここで、比較例では燃料改質器31で生成された改質ガスを圧縮することなくそのままガスインジェクタ32から吸気管14の吸気ポートに噴射する構成であり、燃料改質器31から送出される改質ガス圧を略一定にするように燃料改質器31の出力レベルを制御する。また、前記した「必要水素供給率」とは、前記したステップS23において算出された要求予混合ガス量R中に含まれる必要な水素量に対する、ガスインジェクタ32から実際に噴射された予混合ガス中の水素量の割合をいう。
本実施形態によれば、図10に実線x1で示すように、蓄圧タンク34に貯留された予混合ガスにより、エンジン1の始動直後からわずかの時間遅れで略必要水素供給率100%でガスインジェクタ32に供給できる。これに対し、比較例では、破線y1に示すように燃料改質器31の起動に時間を要するので、100%に達するまでに、例えば、1分以上掛かる。
図11に車両の速度変化に伴う予混合ガス供給の応答性を、本実施形態と比較例との間で比較したものを示し、(a)は、車両の速度変化の推移を示し、(b)は、比較例におけるガスインジェクタの噴射量の時間推移を示し、(c)は、本実施形態におけるガスインジェクタの噴射量の時間推移を示す。
ここで、噴射量の単位としては、噴射の時間率(l/s)と、そのときの圧力(MPa)を乗じたものである。
比較例は、前記図10の説明の中の比較例と同じ構成である。
比較例では燃料改質器31で生成した予混合ガスの圧力がそのままガスインジェクタ32の噴射圧となり、前記したように燃料改質器31の出力レベルの変化は緩慢であり、エンジン回転速度Neにすぐには追随できないので、応答が遅れたものになる。特に、エンジン回転速度Neが急減して要求予混合ガス量Rが減少しても、燃料改質器31からの配管内の圧力はすぐに低減しないので、予混合ガス噴射時間Tを大きく絞り込まないと予混合ガスが注入し過ぎとなる。ガスの噴射ではある程度予混合ガス噴射時間Tを確保しないと流れないので、結局応答性は悪いものとなる。
これに対し、本実施形態では、ヘッダ管36及び予混合ガス供給管37の合計容量を制限している上、ヘッダ圧力Pを制御する予混合ガス圧力調整弁35を蓄圧タンク34の下流に設けてあるので、ヘッダ管36及び予混合ガス供給管37の圧力がエンジン回転速度Neに応じて可変になり、予混合ガス噴射時間Tを、噴射時間許容最大値Tmaxを越えない範囲で、過小な予混合ガス噴射時間とすることなくエンジン回転速度Ne応じた狭いT予混合ガス噴射時間の変動で設定可能とできる。その結果、図11の(c)に示すようにエンジン回転速度Neの変動に対して予混合ガス供給の応答性が極めて良好になっている。
図12に、本実施形態と比較例における燃料改質器の反応器のサイズを比較した結果を示す。図12において横軸は単位時間あたりの必要水素量(l/s)を示し、縦軸はそれに対応する燃料改質器の反応器のサイズ(cc)を示す。
本実施形態のようにガス圧縮機33と蓄圧タンク34とを有している構成では、通常の運転においてエンジン1が最大必要水素量(l/s)で運転される時間、例えば、登り勾配が急な高速道路の連続している区間長さを想定して、その期間の通常の平地走行や一般道路の登板時等における必要水素量(l/s)よりも必要水素量が多い分は、蓄圧タンク34に貯留された水素で賄うこととし、燃料改質器31の能力を前記した登り勾配が急な高速道路の連続走行時の必要水素量(l/s)としないことが可能である。
図12の実線x2は、そのように燃料改質器31の改質反応容器サイズを設定した場合の曲線であり、破線y2に示す比較例は、燃料改質器31の能力を前記した登り勾配が急な高速道路の連続走行時の必要水素量(l/s)を賄うことができる改質反応器サイズとした場合である。
例えば、比較例において必要水素量(l/s)を賄うためには改質反応器サイズが1000cc必要になるのに対し、本実施形態の構成では比較例の3/5のサイズの600ccの改質反応器サイズで対応することができる。
このように燃料改質器31の本体の改質反応器のサイズを小さくできるので、ガス生成供給系全体としてのコストと重量を小さくすることが可能となる。
本実施形態の変形例として、図3に示したフローチャートのように、蓄圧タンク34の圧力Pをエンジン回転速度Neやアクセル開度θthに応じて変圧制御する代わりに、略最大値近くに維持するように制御して、その代わり予混合ガス圧力調整弁35によるヘッダ圧力Pの制御をエンジン回転速度Neやアクセル開度θthに応じて柔軟に制御することにより、実施形態における燃料改質器31の改質反応器サイズを更に小さくすることができる。
次に、本実施形態において実現するPCCI燃焼において、予混合ガスを吸気に添加することによる効果を説明する。以下では、所定の主燃料噴射時期の下で所定量の水素を吸気に添加した例で説明し、この例に対して水素の添加をしないものを比較例とする。ここで、実施形態の例と比較例の違いは、水素の添加の有無のみであり、エンジンの特性、主燃料の種類、及び、主燃料の噴射条件等は全て同じである。
図13は、主燃料の噴射時期を従来の標準時期より遅らせて、吸気に水素添加した場合と水素添加しない場合の筒内圧のクランク角度との関係を示す図である。図14は、主燃料の噴射時期を従来の標準時期より遅らせて、吸気に水素添加した場合と水素添加しない場合の熱発生率(J/deg)のクランク角度との関係を示す図である。
これら図13、図14において、破線は比較例を示し、一点鎖線は本実施形態において2.2体積%(vol%)の水素を吸気に添加した例であり、実線は本実施形態において4.4体積%(vol%)の水素を吸気に添加した例である。
図13、図14に示すように、中高負荷領域においてPCCI燃焼を実現するために、主燃料噴射時期は、標準時期(例えば、TDC)よりも遅延させた場合である。
特に、図13、図14に示す例では主燃料噴射時期をクランク角度の表示でATDC+3°とした。
図13、図14に示すように、水素を吸気に添加すると、水素を添加しない場合と比較して、主燃料を噴射してから着火するまでの時間(主燃料噴射時期から筒内圧及び熱発生率がピークに達するまでの時間)、すなわち、着火遅れが短くなる。特に、4.4体積%の水素を吸気に添加した場合は、2.2体積%の水素を添加した場合と比較して、着火遅れは短くなる。具体的には、4.4体積%の水素を添加すると、水素を添加しない場合に対して着火遅れがクランク角度で約6°短縮される。この結果、水素を吸気に添加すると、図14に示すように、熱発生が早まり、熱発生率の変化がなだらかになるとともに、等容度が向上し熱効率は高くなる。
ここで、以上のような効果が得られた原因について考察すると、前記したように、4.4体積%の水素を吸気に添加した場合に、顕著な効果が見られた。これは、水素の可燃限界空燃比が4%以上であることに起因すると考えられる。つまり、この可燃限界空燃比以上の水素を吸気に添加すると、主燃料噴射により発生した静電気やプラズマ等により、水素が主燃料よりも先に着火し、また、水素の火炎伝播速度がメタンの炭化水素ガス等よりも極めて速いので、燃焼室13(図1参照)内に急速に火炎が広がり、噴射された主燃料も着火燃焼を始めることにより、主燃料の着火遅れが短くなると考えられる。
中高負荷運転領域に対して、従来の吸気に水素添加をしない、燃料噴射時期を遅らせたPCCI燃焼方式を、そのまま適用した場合に、ディーゼルノックを生じたものが、それも改善された。これは、主燃料自身は乱流混合速度を速めて、空気と噴霧燃料との混合が進む中で、先に燃焼を始めた水素の燃焼に補助されて燃焼を開始するため、従来のように主燃料の燃焼が遅れて着火した時に一気に燃焼が進むことが防止されるためと考えられる。
図15は、本実施形態及び比較例に係るエンジン回転速度とエンジントルクに対するPCCI燃焼が可能な領域を比較した図である。図15において破線は比較例のPCCI燃焼可能な領域を示し、実線は本実施形態のPCCI燃焼可能領域を示し、一点鎖線は通常の運転において要求されるPCCI燃焼領域を示す。
比較例では、中高負荷運転領域において燃焼が急激になりエンジン1の騒音や振動が大きくなるため、図15に示すように、そのPCCI燃焼可能な領域が低負荷運転領域に限定されてしまう。これに対して、本実施形態では、吸気に水素を添加することと合わせて主燃料をATDC噴射することにより、着火遅れを短縮しつつ燃焼を緩慢にし(図13及び図14参照)、後記するように騒音及び振動を抑制し(図16参照)、熱効率を維持し(図17参照)、CO排出量及びTHC排出量を低減できる(図18及び図19参照)。
このように、吸気への水素添加と主燃料のATDC噴射とを組み合わせることにより、図14に示すように常用運転領域を含む中高負荷運転領域までPCCI燃焼が可能となる。
図16は、吸気に水素添加した場合と水素添加しない場合の、爆発行程で検出される単位クランク角度当たりの筒内圧の圧力上昇率(dP/dθ)の最大値(dP/dθ)maxと、主燃料噴射時期との関係を示す図である。図16において、主燃料の噴射時期は、クランク角度表現で、ATDC−12°〜ATDC+3°の範囲で変化させており、破線は比較例の場合を示し、実線は本実施形態において4.4体積%(vol%)の水素を吸気に対して添加した例の場合を示す。
なお、(dP/dθ)maxは、エンジン1に発生する騒音及び振動の大きさの指標となる。
比較例では、主燃料の噴射時期に係らず、(dP/dθ)maxは、略一定である。これに対し、本実施形態では、主燃料の噴射時期を遅くするに従い、(dP/dθ)maxは小さくなり、特に主燃料の噴射時期がATDC+0°以降では、本実施形態の(dP/dθ)maxは比較例のそれよりも大幅に小さくなる。
したがって、吸気に水素を添加した状態で、主燃料のATDC噴射をすることによりエンジン1の騒音及び振動を低減できることが分かる。
図17は、吸気に水素添加した場合と水素添加しない場合の熱効率と、主燃料の噴射時期との関係を示す図である。図17において、主燃料の噴射時期は、クランク角度表現で、ATDC−12°〜ATDC+3°の範囲で変化させており、白丸○のデータ点は比較例の場合を示し、黒丸●のデータ点は本実施形態において4.4体積%の水素を吸気に対して添加した例の場合を示す。
比較例では、熱効率は、主燃料の噴射時期がATDC−12°〜ATDC+0°までの範囲では略一定であるが、ATDC+0°以降は急激に減少する。一方、本実施形態では、主燃料の噴射時期に係らず略一定であり、特にATDC+0°以降では、比較例より高い熱効率を示す。
図13及び図14を参照してクランク角度依存の筒内圧の変化と熱発生率を詳細に説明したように、吸気に水素添加なしの状態で主燃料のATDC噴射を行うと、燃焼が急激になり熱効率が急激に悪化するのに対し、吸気に4.4体積%の水素添加した状態で主燃料のATDC噴射を行うと、燃焼がなだらかになり効率よく燃焼することが可能となる。
図18は、実施形態及び比較例に係るCO排出量(一酸化炭素の排出量)と主燃料の噴射時期との関係を示す図である。
図19は、実施形態及び比較例に係るTHC排出量(未燃の炭化水素の総排出量)と主燃料の噴射時期との関係を示す図である。
図18及び図19において、主燃料の噴射時期は、クランク角度表示でATDC−12°〜ATDC+3°の範囲で変化させており、白丸○のデータ点は比較例の場合を示し、黒丸●のデータ点は本実施形態において4.4体積%の水素を吸気に対して添加した例の場合を示す。
図18に示すように、比較例ではCO排出量は、ATDC−12°〜ATDC−8°の範囲で急激に減少し、その後ATDC−8°〜ATDC+0°の範囲で略一定であり、ATDC+0°以降やや増加する。これに対し、本実施形態では、ATDC−12°〜ATDC+1°までの範囲で穏やかに減少し、ATDC+1°以降略一定である。本実施形態におけるCO排出量は、比較例とATDC+1°〜ATDC+2°の間に逆転し、ATDC+2°以降、本実施形態方のが、CO排出量が少なくなる。
図19に示すように、比較例ではTHC排出量は、ATDC−12°〜ATDC−8°の範囲で急激に減少し、その後ATDC−8°〜ATDC+3°の範囲で穏やかに増加する。これに対し、本実施形態では、ATDC−12°〜ATDC−4°までの範囲で穏やかに減少する。そして、本実施形態におけるTHC排出量は、比較例とATDC+1°〜ATDC+2°の間で逆転し、ATDC+2°以降、本実施形態の方が、THC排出量が少なくなる。
本実施形態によれば、エンジン1の予混合圧縮着火燃焼条件にもとづいて、水素又は水素を含む改質ガスを予混合ガスとして供給時期及び供給期間を制御しつつ、エンジン1の予混合圧縮着火燃焼条件にもとづいて、主燃料の各気筒11への供給時期及び供給期間を制御することにより主燃料を予混合圧縮着火燃焼させることができる。
特に、水素は、気筒の内壁に付着することは無く、又、水素の火炎の伝播速度は、比較的他の天然ガスやプロパンガスの火炎の伝播速度よりも速く、例えば、主燃料の供給時期を通常の拡散燃焼のディーゼルエンジンにおける標準時期よりも遅延させた場合であっても、着火遅れを短縮しつつ燃焼を緩慢にし、又、騒音及び振動も低減できる。
したがって、前記のように中高負荷領域における燃焼を改善し、運転領域を拡大することができる。また、これらに加えて、未燃のHCやCOの排出量も低減することが可能となる。これにより、排気のエミッション及び主燃料の燃費を更に向上できる。
更に、ガス生成供給系30は、生成された予混合ガスを圧縮するガス圧縮機33と、圧縮された予混合ガスを蓄圧する蓄圧タンク34とを有するので、エンジン1の始動直後においても、前回の運転時に燃料改質器31で生成されて蓄圧タンク34内に貯留された予混合ガスを利用して、ガスインジェクタ32から予混合ガスを吸気に噴射できる。したがって、燃料改質器31が水素又は水素を含んだ改質ガスを生成開始するのに遅れ時間を要しても、エンジン1は起動時からPCCI燃焼方式による運転を行え、起動直後の排気ガスの後処理装置の機能が困難な低排気温度領域時に、期待されるPCCI燃焼方式で運転できる。
また、蓄圧タンク34より下流側のヘッダ管36のヘッダ圧力Pにもとづいてガスインジェクタ32に供給する予混合ガス圧、つまり、予混合ガスの噴射圧を調整できるので、エンジン回転速度Neやエンジン要求トルクTの変動に対応して、予混合圧縮着火燃焼条件に適した量、例えば、吸入空気量に対する水素濃度が可燃限界空燃比4%以上となるように予混合ガスを気筒11に噴射できるように予混合ガスをガスインジェクタ32に供給できる。
これにより、エンジン1の中高負荷の運転領域に対しても、主燃料のATDCの噴射と組み合わせて、PCCI燃焼を維持できる。
特に、水素供給制御部42は、吸気弁16が開状態で、排気弁17が閉状態である、バックファイアを起こさないタイミングを検出し、この噴射時間許容最大値Tmax内に予混合ガスを各気筒11の吸気に噴射するので、予混合ガスによるバックファイアの発生を防止でき、排気の後処理装置を損傷したりすることを防止できる。
本実施形態においてはヘッダ管36に水素濃度センサSを設けて、水素濃度vを検出することとしたが、それに限定されるものではない。主燃料の成分が一定のものであれば、燃料改質器31において生成される改質ガス中の水素割合は、略一定であることから、水素濃度センサSを省略し、代わりに予め実験により改質ガス中の水素割合を測定して一定値に定め、その値にもとづいてフローチャートのステップS25における(水素/空気)比γH−airを算出するようにする。
本実施形態の内燃機関の制御装置の概略機能構成図である。 蓄圧式の燃料噴射装置を用いたエンジン制御装置の全体構成図である。 ガス生成供給系の蓄圧タンク圧力制御の流れを示すフローチャートである。 (a)は、エンジン回転速度Neに応じて設定される蓄圧タンク目標圧力PTaのエンジン回転速度Neに対する相関関係を示す図であり、(b)蓄圧タンク目標圧力PTaに対するアクセル開度θthによる補正係数Kの相関関係を示す図である。 ガス生成供給系のガスインジェクタの噴射制御の流れを示すフローチャートである。 ガス生成供給系のガスインジェクタの噴射制御の流れを示すフローチャートである。 要求トルクTに対する要求予混合ガス量Rの相関関係を示す図である。 エンジン回転速度Ne対する要求予混合ガス量Rの相関関係を示す図である。 ガスインジェクタの噴射時期及び噴射期間を、排気弁及び吸気弁の開閉タイミングを参照して説明する図である。 エンジン始動後からの必要水素供給率の推移を、本実施形態と比較例との間で比較した図である。 車両の速度変化に伴う予混合ガス供給の応答性を、本実施形態と比較例との間で比較したものを示し、(a)は、車両の速度変化の推移を示す図であり、(b)は、比較例におけるガスインジェクタの噴射量の時間推移を示す図であり、(c)は、本実施形態におけるガスインジェクタの噴射量の時間推移を示す図である。 本実施形態と比較例における燃料改質器の反応器のサイズを比較した結果を示す図である。 主燃料の噴射時期を従来の標準時期より遅れさせて、吸気に水素添加した場合と水素添加しない場合の筒内圧のクランク角度との関係を示す図である。 主燃料の噴射時期を従来の標準時期より遅れさせて、吸気に水素添加した場合と水素添加しない場合の熱発生率(J/deg)のクランク角度との関係を示す図である。 本実施形態及び比較例に係るエンジン回転速度とエンジントルクに対するPCCI燃焼が可能な領域を比較した図である。 吸気に水素添加した場合と水素添加しない場合の、爆発行程で検出される単位クランク角度当たりの筒内圧の圧力上昇率(dP/dθ)の最大値(dP/dθ)maxと、主燃料噴射時期との関係を示す図である。 吸気に水素添加した場合と水素添加しない場合の熱効率と、主燃料の噴射時期との関係を示す図である。 実施形態及び比較例に係るCO排出量(一酸化炭素の排出量)と主燃料の噴射時期との関係を示す図である。 実施形態及び比較例に係るTHC排出量(未燃の炭化水素の総排出量)と主燃料の噴射時期との関係を示す図である。 局所温度と局所当量比に対するPMの生成領域とNOxの生成領域を示す図である。
符号の説明
1 エンジン(内燃機関)
2 燃料タンク(主燃料供給手段、ガス生成手段)
3A 低圧ポンプ(主燃料供給手段、ガス生成手段、燃料ポンプ)
3B 高圧ポンプ(主燃料供給手段、燃料ポンプ)
3a モータ(主燃料供給手段、ガス生成手段、燃料ポンプ)
4 コモンレール(主燃料供給手段、燃料蓄圧部)
11 気筒
12 ピストン
13 燃焼室
14 吸気管
15 排気管
16 吸気弁
17 排気弁
20 主燃料供給系(主燃料供給手段)
21 高圧燃料供給系(主燃料供給手段)
22 燃料インジェクタ(主燃料供給手段、燃料噴射弁)
22a アクチュエータ
25 高圧燃料供給管(主燃料供給手段、燃料供給管)
26 ドレーン通路(主燃料供給手段)
30 ガス生成供給系(ガス生成手段、ガス供給手段)
31 燃料改質器(ガス生成手段)
32 ガスインジェクタ(ガス供給手段、ガス噴射弁)
32a アクチュエータ
33 ガス圧縮機(ガス供給手段)
34 蓄圧タンク(ガス供給手段)
35 予混合ガス圧力調整弁(ガス供給手段)
36 ヘッダ管(ガス供給手段)
37 予混合ガス供給管(ガス供給手段、ガス供給管)
40 ECU
41 燃料供給制御部(主燃料供給制御手段)
42 水素供給制御部(ガス供給制御手段)
51 水タンク(ガス生成手段)
52 フィルタ
53 給水ポンプ(ガス生成手段)
53a モータ(ガス生成手段)
54 流量調整弁(ガス生成手段)
55 調圧弁(ガス生成手段)
56 戻り配管
60 フィルタ
61 吸込み管(主燃料供給手段)
62 低圧燃料供給配管(主燃料供給手段)
63 吐出配管(主燃料供給手段)
64 ストレーナ(主燃料供給手段)
65 戻り配管(主燃料供給手段)
66 低圧燃料供給配管(ガス生成手段)
67 調圧弁(主燃料供給手段)
69A 流量調整弁(主燃料供給手段)
69B 流量調整弁(ガス生成手段)
71 戻り配管(主燃料供給手段)
72 圧力調整弁(主燃料供給手段)
73 戻り燃料配管(主燃料供給手段)
100 エンジン制御装置
水素濃度センサ
燃料温度センサ
Pc コモンレール圧センサ
Pa 蓄圧タンク圧センサ
Pg 圧力センサ

Claims (9)

  1. 軽油又は軽油とその他の燃料との混合燃料を主燃料とし、燃焼室内でこの主燃料を圧縮着火させる内燃機関の制御装置において、
    主燃料を前記内燃機関の各気筒に供給する主燃料供給手段と、
    前記主燃料から水素又は水素を含む改質ガスを予混合ガスとして生成するガス生成手段と、
    前記予混合ガスを前記内燃機関に供給するガス供給手段と、
    前記内燃機関の予混合圧縮着火燃焼条件にもとづいて、前記主燃料供給手段による主燃料の各気筒への供給時期及び供給期間を制御する主燃料供給制御手段と、
    前記内燃機関の予混合圧縮着火燃焼条件にもとづいて、前記ガス供給手段による前記予混合ガスの各気筒への供給時期及び供給期間を制御するガス供給制御手段と、
    を備え、
    前記ガス供給手段は、
    前記生成された予混合ガスを圧縮するガス圧縮機と、
    前記圧縮された前記予混合ガスを蓄圧状態に貯留する蓄圧タンクと、
    前記蓄圧タンクの前記予混合ガスを、前記内燃機関の各気筒に向けて分岐したガス供給管を通じて供給されて噴射するガス噴射弁と、
    を有することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記ガス供給手段は、更に、
    前記蓄圧タンクから前記ガス噴射弁までの間を連通する前記ガス供給管に、前記予混合ガス圧を調整する予混合ガス圧力調整弁と、前記予混合ガス圧を検出する予混合ガス圧力センサとをこの順に配置して有し、
    前記ガス供給制御手段は、前記予混合ガス圧力センサにより検出された予混合ガス圧にもとづいて前記ガス噴射弁に供給する前記予混合ガス圧を調整することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. ガス供給制御手段は、前記予混合ガスの前記供給期間の算出を、前記内燃機関の予混合圧縮着火燃焼条件にもとづく要求予混合ガス量にもとづいて算出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記ガス供給制御手段は、
    前記蓄圧タンクより下流側の予混合ガス圧を前記予混合ガス圧力センサで検出するとともに、水素ガスセンサで水素濃度を検出し、
    前記予混合圧縮着火燃焼条件にもとづく要求予混合ガス量が、吸入空気量に対する水素濃度で所定の濃度範囲となるように制御する水素濃度制御手段を有し、
    前記水素濃度制御手段により制御された前記要求予混合ガス量にもとづいて前記予混合ガスの前記供給期間の算出をすることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記ガス供給制御手段は、吸気弁が開状態で、排気弁が閉状態である、バックファイアを起こさないタイミングを検出し、この期間内に前記予混合ガスを各気筒の吸気に噴射することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記ガス供給制御手段は、前記蓄圧タンクの圧力を、少なくともエンジン回転速度に応じて予め設定された圧力に制御することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 前記主燃料供給手段は、燃料ポンプによって送り出された前記主燃料を蓄圧状態に貯留する燃料蓄圧部、該燃料蓄圧部から内燃機関の各気筒に向けて分岐した燃料供給管を通じて供給される前記主燃料を前記内燃機関の各気筒に噴射する燃料噴射弁、を有し、
    前記主燃料供給制御手段によって前記燃料噴射弁からの主燃料の噴射圧と、前記供給時期及び供給期間に対応する噴射時期と噴射期間が制御されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  8. 前記ガス生成手段は、水蒸気改質法、部分酸化法、炭酸ガス改質法、並びに、水蒸気改質法及び部分酸化法を組み合わせたオートサーマル法のうちの1つの改質反応により、水素を含むガスを生成することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  9. 前記ガス生成手段による主燃料の改質反応は、燃焼排出ガス、空気、酸素富化空気、窒素富化空気、酸素、窒素、二酸化炭素及び水蒸気のいずれかの雰囲気下で行われることを特徴とする請求項8に記載の内燃機関の制御装置。
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