JP4928512B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関し、特に広範囲の運転領域にわたり安定して運転できる予混合圧縮着火燃焼方式(PCCI(Premixed Charge Compression Ignition)燃焼方式)の内燃機関の制御装置に関する。
従来、ディーゼルエンジンに用いられる拡散燃焼方式は、燃料室内に取り込んだ空気を圧縮し、この圧縮された空気に燃料を噴射し、自己着火によって燃焼させる。このようなディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンに比較して熱効率が良い反面、燃焼室内における不均一な噴霧燃料の分布に起因して混合気濃度の不均一性が高く、その燃焼は噴霧火炎の燃焼領域と空気領域が分かれている。その結果、燃焼温度の不均一性も高くなっている。これは、燃料が濃すぎる領域や高温の領域が存在することになり、NOxやパティキュレートマター(以下、「PM(Particulate Matter)」という)の発生し易い領域が燃焼室内に混在しているということを意味する。このため、NOxとPMを同時に低減することが困難であり、これらの排出量が多くなり、排気の後処理システムに掛かる負担が大きいという課題があった。
この点に鑑みて、近年では、燃費を確保しつつNOx及びPMの排出量を大幅に低減することを目的として予混合による燃焼改良が注目されている。予混合によるディーゼルエンジンの燃焼改良には、均質予混合圧縮着火燃焼(HCCI(Homogeneous Charge Compression Ignition)燃焼)と予混合圧縮着火燃焼(PCCI燃焼)の2種類が考えられている。
HCCI燃焼とは、ガソリンエンジンのように吸気管で空気と燃料を均一に混合させて燃焼室に送り込み、燃焼は圧縮自己着火でさせるという考え方である。
HCCI燃焼方式では、吸気行程で吸気ポートに燃料を噴射し、均一な混合気にしてから燃焼室に導入する。したがって、燃料と空気が十分に混ざるので混合気全体がリーンで、ディーゼルエンジンのような理論混合比付近の空燃比は存在せず、燃焼温度は低くなる。したがって、NOxはほとんど発生しないが、燃焼室内の全ての燃料を燃焼させるのは難しく、気筒壁面に付着した燃料は燃焼することなく排出されて、結果的にHC(炭化水素)排出が増加する。また、着火時期の制御が難しく、圧縮する気筒内の温度に依存するため熱効率が低下する。
これに対し、PCCI燃焼は、通常のディーゼルエンジンと同様に圧縮行程で燃料を気筒内に噴射して予混合させるという考え方である。
図14は、局所温度と局所当量比に対するPMの生成領域とNOxの生成領域を示す図である。図14に示すように、局所当量比が高い(燃料が過濃な)部分では酸素不足によりPMが生成され、局所当量比が低くかつ局所温度が高い部分ではNOxが生成される。
破線Yに示すように、従来の拡散燃焼では、不均一な噴霧燃料を圧縮着火させることで、PMの生成領域及びNOxの生成領域の両方にわたって燃焼する。一方、実線Xで示すように、PCCI燃焼は、希薄化した予混合気を圧縮着火することで、従来の拡散燃焼に対して燃料の過濃な領域や高温の領域が少なく、PM及びNOxの生成量を低減することができる。
このようなPCCI燃焼方式のエンジンにおいては、近年ではさまざまな研究がなされている。例えば、特許文献1,2では、燃料効率の向上及び未燃のHCやCO(一酸化炭素)等の低減による排気のエミッションを更に向上することを目的として、第1燃料を吸気に混合して予混合気を供給する混合デバイスと、第2燃料を燃焼室内に直接噴射する直接燃料インジェクタとを備えるものが記載されている。このエンジンでは、燃焼室内で予混合気が着火した後に、燃焼室内に第2燃料を直接噴射する。また、この特許文献1,2では、第1燃料及び第2燃料として、天然ガス、ガソリン、軽油、ナフサ、及びプロパンガス等の燃料を組み合わせたものが示されている。
特表2003−532828号公報 特表2003−532829号公報
しかしながら、前記した特許文献1,2に記載された従来のPCCI燃焼方式の内燃機関では、中高負荷領域において急激な燃焼になるため、騒音及び振動が大きくなるという課題がある。
この課題に対して、高セタン価燃料を用いたり、燃料の噴射時期を内燃機関の標準時期よりも遅らせたりすることで、ある程度の改善ができるものの、燃料噴射時期を遅らせる手法では、燃費や、着火及び燃焼の安定性が大幅に悪化することも知られている。PCCI燃焼方式の内燃機関では、中高負荷運転領域において前記したような課題があるため、現状ではPCCI燃焼方式は、低負荷領域のみに限定された燃焼方式である。
本出願人は、特願2008−062615(未公開)及び特願2008−176939(未公開)において、吸気に所定濃度の水素添加をし、燃料をATDC(After Top Dead Center)噴射してPCCI燃焼条件の運転領域を拡大できることを示した。
しかし、燃料のセタン価の変動による燃焼のばらつき、特に、着火時期のばらつきに対しても常に安定したPCCI燃焼を実現するとともに、燃費、エミッション、並びに、エンジン振動及びエンジン騒音のドライバビリティの改善が必要なことが分かった。
本発明は、前記した従来の課題を解決するものであり、広範囲の運転領域にわたり安定して運転できる予混合圧縮着火燃焼方式の内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明の内燃機関の制御装置は、軽油又は軽油とその他の燃料との混合燃料を主燃料とし、燃焼室内でこの主燃料を圧縮着火させる内燃機関の制御装置において、主燃料を内燃機関の各気筒に供給する主燃料供給手段と、水素を含む予混合ガスを内燃機関の各気筒に供給するガス供給手段と、内燃機関の予混合圧縮着火燃焼条件にもとづいて、主燃料供給手段による主燃料の各気筒への供給時期及び供給期間を制御する主燃料供給制御手段と、内燃機関の予混合圧縮着火燃焼条件にもとづいて、ガス供給手段による予混合ガスの各気筒への供給時期及び供給期間を制御するガス供給制御手段と、内燃機関の排気通路から排出ガスの一部を抽出して、内燃機関の吸気側に戻すEGR量を制御する排出ガス循環制御手段と、内燃機関の気筒圧を検出する筒圧センサと、アクセル開度とエンジン回転速度にもとづいて要求トルクを算出する要求トルク算出手段と、検出された気筒圧から実瞬時トルクを取得する実瞬時トルク取得手段と、を備え、
主燃料供給制御手段は、算出された要求トルクと取得された実瞬時トルクにもとづいて主燃料の各気筒への供給時期及び供給期間を制御するとともに、ガス供給制御手段は、算出された要求トルクと取得された実瞬時トルクにもとづいて、予混合ガスの各気筒への供給時期及び供給期間を制御し、排出ガス循環制御手段は、算出された要求トルクと取得された実瞬時トルクにもとづいて、内燃機関の吸気側に戻すEGR量を制御することを特徴とする。
請求項1の発明によれば、筒圧センサにより内燃機関の気筒圧を検出し、それにもとづいて実瞬時トルク取得手段が実瞬時トルクを取得することができるので、要求トルク算出手段においてアクセル開度とエンジン回転速度にもとづいて算出される要求トルクとの比較ができ、要求トルクと実瞬時トルクとにもとづいて主燃料の供給時期及び供給時間や、予混合ガスの供給時期及び供給時間や、EGR量を制御でき、主燃料のセタン価のばらつきに応じたPCCI燃焼条件にもとづく制御ができる。
特に、水素は、気筒の内壁に付着することは無く、又、水素の火炎の伝播速度は、比較的他の天然ガスやプロパンガスの火炎の伝播速度よりも速く、例えば、主燃料の供給時期を内燃機関の標準時期よりも遅延させた場合であっても、着火遅れを短縮しつつ燃焼を緩慢にし、又、騒音及び振動も低減できる。
したがって、前記のように中高負荷領域における燃焼を改善し、運転領域を拡大することができる。また、これらに加えて、未燃のHCやCOの排出量も低減することが可能となる。これにより、排気のエミッション及び主燃料の燃費を更に向上できる。
請求項2に記載の発明の内燃機関の制御装置は、請求項1の発明の構成に加えて、算出された要求トルクにもとづいて、予混合圧縮着火燃焼条件にもとづく規範瞬時トルクを取得する規範瞬時トルク取得手段と、取得された実瞬時トルクを積算して実トルクを算出する実瞬時トルク積算手段と、要求トルクと実トルクの差分であるトルク偏差にもとづき、算出された要求トルクを補正する要求トルク補正手段と、取得された実瞬時トルクと取得された規範瞬時トルクとにもとづいて、主燃料の各気筒への供給時期を補正する主燃料供給時期補正手段と、を備え、
主燃料供給制御手段は、補正された主燃料の各気筒への供給時期の制御と、補正された要求トルクにもとづいて主燃料の各気筒へ供給期間の制御をするとともに、ガス供給制御手段は、補正された要求トルクにもとづいて、予混合ガスの各気筒への供給時期及び供給期間を制御し、排出ガス循環制御手段は、補正された要求トルクにもとづいて、内燃機関の吸気側に戻すEGR量を制御することを特徴とする。
請求項2の発明によれば、取得された実瞬時トルクを積算して実トルクとし、要求トルク算出手段で算出された要求トルクとの差分により要求トルクを補正し、補正された要求トルクにより主燃料の供給時間や、予混合ガスの供給時期及び供給時間や、EGR量を制御できる。特に、取得された実瞬時トルクと取得された規範瞬時トルクとにもとづいて、規範となる着火時期とのずれ量が分かるので、主燃料の各気筒への供給時期を補正する主燃料供給時期補正手段は、着火時期のずれ量に相当する燃料供給時期の調整ができ、主燃料のセタン価のばらつきに応じて、実トルクが効率よく出せるように、燃料供給時期を維持できる。
請求項3に記載の発明の内燃機関の制御装置は、請求項1又は請求項2の発明の構成に加えて、ガス供給手段は、主燃料から水素又は水素を含む改質ガスを予混合ガスとして生成するガス生成手段と、生成された予混合ガスを圧縮するガス圧縮機と、圧縮された予混合ガスを蓄圧状態に貯留する蓄圧タンクと、蓄圧タンクの予混合ガスを、内燃機関の各気筒に向けて分岐したガス供給配管を通じて供給されて噴射するガス噴射弁と、を有することを特徴とする。
請求項3に記載の発明よれば、内燃機関の予混合圧縮着火燃焼条件にもとづいて、水素又は水素を含む改質ガスを予混合ガスとして供給時期及び供給期間を制御しつつ、内燃機関の予混合圧縮着火燃焼条件にもとづいて、主燃料の各気筒への供給時期及び供給期間を制御することにより主燃料を予混合圧縮着火燃焼させることができる。
更に、ガス供給手段は、生成された予混合ガスを圧縮するガス圧縮機と、圧縮された予混合ガスを蓄圧する蓄圧タンクとを有し、蓄圧タンクの予混合ガスを内燃機関の各気筒に向けて分岐したガス供給配管を通じて供給するので、内燃機関の始動直後においても、前回の内燃機関運転時にガス生成手段によって蓄圧タンク内に貯留された予混合ガスを利用して、内燃機関にガス噴射弁から予混合ガスを噴射できる。したがって、ガス生成手段が水素又は水素を含んだ改質ガスを生成開始するのに遅れ時間を要しても、蓄圧タンク内の予混合ガスを用いて内燃機関は起動時から予混合圧縮着火燃焼方式による運転を行え、内燃機関起動直後の排気ガスの後処理装置の機能が困難な低排気温度領域時に、期待される予混合圧縮着火燃焼方式で運転できる。
請求項4に記載の発明の内燃機関の制御装置は、請求項3の発明の構成に加えて、ガス供給手段では、蓄圧タンクからガス噴射弁までの間を連通するガス供給配管に、予混合ガス圧を調整する予混合ガス圧力調整弁と、予混合ガス圧を検出する予混合ガス圧力センサとをこの順に配置しており、ガス供給制御手段は、予混合ガス圧力センサにより検出された予混合ガス圧にもとづいてガス噴射弁に供給する予混合ガス圧を調整することを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、蓄圧タンクより下流側の予混合ガス圧を検出する予混合ガス圧力センサと、検出された予混合ガス圧にもとづいてガス噴射弁に供給する予混合ガス圧を調整する予混合ガス圧力調整弁と、を有しているので、ガス供給制御手段は、例えば、エンジン回転速度やエンジン要求トルクの変動に対応して、内燃機関の予混合圧縮着火燃焼条件に適した量の予混合ガスを気筒に噴射できるように予混合ガスをガス噴射弁に供給できる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明の構成に加えて、ガス供給制御手段は、予混合ガスの前記供給期間の算出を、内燃機関の予混合圧縮着火燃焼条件にもとづく要求予混合ガス量にもとづいて算出することを特徴とする。
内燃機関の広い運転領域で予混合圧縮着火燃焼条件を維持するためには、エンジン回転速度やエンジン要求トルクの変動に対応して、吸入空気量に対して適切な水素濃度となるようにする必要がある。請求項5に記載の発明によれば、要求予混合ガス量にもとづいて、予混合ガスの供給期間が容易に算出でき、適切な水素濃度となるように制御できる。
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の発明の構成に加えて、ガス供給制御手段は、蓄圧タンクより下流側の予混合ガス圧を予混合ガス圧力センサで検出するとともに、水素ガスセンサで水素濃度を検出し、予混合圧縮着火燃焼条件にもとづく要求予混合ガス量が、吸入空気量に対する水素濃度で所定の濃度範囲となるように制御する水素濃度制御手段を有し、水素濃度制御手段により制御された要求予混合ガス量にもとづいて予混合ガスの供給期間の算出をすることを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、予混合ガスに含まれる水素濃度を検出することができるので、主燃料の成分変化に応じて適切な予混合圧縮着火燃焼条件にもとづく要求予混合ガス量が算出でき、予混合圧縮着火燃焼方式の運転が維持できる。
請求項7に記載の発明は、請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の発明の構成に加えて、ガス供給制御手段は、蓄圧タンクの圧力を、少なくともエンジン回転速度及び要求トルクに応じて予め設定された圧力に制御することを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、例えば、エンジン回転速度が大きいほど予混合ガスの必要量が増加し、要求トルクが大きいほど予混合ガスの必要量が増加するので、ガス生成手段における予混合ガス生成量を増加するのみならず、ガス圧縮機の吐出圧をも高めて、蓄圧タンクの圧力を高めることにより、エンジン回転速度及び要求トルクが大のときに、蓄圧タンクの予混合ガスがバッファーとして働き、所要の予混合ガスを気筒に供給することができる。特に、高回転速度程、吸気弁が開状態で、排気弁が閉状態である期間が短くなり、所定の予混合ガス量を供給するにはより予混合ガスの噴射圧を高める必要がある。
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の発明の構成に加えて、ガス供給制御手段は、吸気弁が開状態で、排気弁が閉状態である、バックファイアを起こさないタイミングを検出し、この期間内に前記予混合ガスを各気筒の吸気に噴射することを特徴とする。
請求項8に記載の発明によれば、ガス供給制御手段は、吸気弁が開状態で、排気弁が閉状態である、バックファイアを起こさないタイミングを検出し、この期間内に予混合ガスを各気筒の吸気に噴射するので、気筒内に吸気とともに吸い込まれた水素がそのまま排気管から漏れ出して、バックファイアを生じたり、排気の後処理装置を損傷したりすることを防止できる。特に、水素濃度を4%以上にすると約600℃以上で自己着火するのでバックファイアを生じる可能性が高く、前記したように予混合ガスの供給期間を制御することによって、確実にバックファイアを防止できる。
本発明によれば、広範囲の運転領域にわたり安定して運転できる予混合圧縮着火燃焼方式の内燃機関の制御装置を提供することができる。
特に、主燃料のセタン価の変動により、PCCI燃焼条件にもとづく適切な着火時期に対して、実際の着火時期がずれ量を算出して、主燃料の供給時期を補正し、実トルクが発揮されるPCCI燃焼条件における規範的な着火時期に維持するので、セタン価の特に低下方向のばらつき時に、燃費の悪化を抑制できる。
《第1の実施形態》
図1から図3を参照して本発明の第1の実施形態に係わるエンジン制御装置の概要について説明する。
図1は、本実施形態のエンジン制御装置の概略機能構成図であり、図2は、図1のエンジンの気筒頭部拡大図であり、図3は、内燃機関の制御装置に用いられるエンジン制御電子制御ユニットのハード的な構成説明図であり、図4は、エンジン制御電子制御ユニットの機能ブロック構成図である。
内燃機関(以下、エンジンと称する)1は、気筒2に形成された燃焼室4内で、ピストン3により圧縮した高温の吸気内に燃料を噴射して自己着火させるディーゼルエンジンである。ちなみに、エンジン1は、吸気弁16、排気弁17をシリンダヘッドに設けた4ストロークディーゼルエンジンである。
なお、図1には、エンジン1の複数の気筒2のうち1つのみを代表的に図示している。
このエンジン1の制御装置であるエンジン制御装置(内燃機関の制御装置)100Aには、主燃料を供給する主燃料供給系(主燃料供給手段)110と、排気還流系120と、水素を含むガスを貯留した水素タンク34Aから減圧調整して予混合ガスとして供給するガス供給系(ガス供給手段)130Aと、を備えている。
主燃料供給系(ガス供給手段)110は、主に、燃料インジェクタ5、コモンレール6、高圧供給ポンプ8、燃料タンク42、燃料フィルタ43A、それらを接続する配管62A,63,64,65A,71,73や、各種センサSPc,STf、流量調整弁69、圧力調整弁72等から構成される。
排気還流系120は、排気還流通路(以下、EGR通路という)23、排気還流量調整弁(以下、EGR弁と称する)24、EGRクーラ25から構成される。
ガス供給系130Aは、主に、ガスインジェクタ(ガス噴射弁)31、ヘッダ管32、圧力調整弁(予混合ガス圧力調整弁)33、水素タンク34A、それらを接続する配管75,76、各種センサSPHb,SPhg等から構成される。ここでEGR弁24は請求項に記載の排出ガス循環制御手段に対応する。
(主燃料供給系)
先ず、主燃料供給系110について説明する。
燃焼室4の上面の略中央部には、燃料インジェクタ5が先端部の噴射孔を燃焼室4に臨ませて配設されていて、各気筒2に所定の噴射タイミングで開閉作動されて、燃焼室4に主燃料を直接噴射するようになっている。
前記各燃料インジェクタ5には、高圧の燃料を蓄える共通のコモンレール6から分岐した高圧燃料供給配管64がそれぞれ接続されている。そのコモンレール6には、内部の燃圧(コモンレール圧)Pcを検出するコモンレール圧センサSPcと、目標コモンレール圧より高い場合に、主燃料を戻り配管71を介して燃料タンク42に戻し、燃圧を調整する圧力調整弁72が配設されているとともに、クランク軸7により駆動される高圧供給ポンプ8の吐出口からの吐出配管63が接続されている。
図1に示した燃料インジェクタ5は背圧式のものであり、インジェクタ5のアクチュエータ5a(図2参照)を駆動すると、主燃料噴射動作のために一部の主燃料が戻り配管73を経由して燃料タンク42に戻される構成となっている。燃料インジェクタ5が直動式の場合は、戻り配管73は不要となる。
この高圧供給ポンプ8は、圧力調整弁72と協調動作して、コモンレール圧センサSPcにより検出されるコモンレール6内の燃圧Pcが、エンジン回転速度Neと要求トルクTrqsolで決まる値に(例えば、エンジンの1の運転状態に応じて、30MPa〜200MPa)に保持されるように作動する。
高圧供給ポンプ8の吐出口には、主燃料の温度を検出する燃料温度センサSTfが設けられている
また、クランク軸7の回転角度を検出するクランク角センサSが設けられており、このクランク角センサSは、クランク軸7の端部に設けた被検出用プレート(図示せず)の外周に相対向するように配置され電磁ピックアップからなり、前記被検出用プレートの外周部全周に亘って形成された突起部の通過に対応してパルス信号を出力するようになっている。その他エンジン1にはカム角センサSbも設けられ、気筒2を判別するための気筒判別信号であるTDC(Top Dead Center)信号をECU50Aに入力する。
(吸気系)
次に、エンジン1の吸気系の構成について説明する。
エアクリーナ41で濾過された吸気(空気)は、吸気通路10を通り、図示しないサージタンクを介して気筒2毎に分岐して、それぞれ吸気ポートから各気筒2の燃焼室4に導入される。前記吸気通路10には上流側から下流側に向かって順に、前記したエアクリーナ41、エンジン1に吸入される吸気流量を検出するエアフローセンサSAir、吸気を圧縮するターボ過給機12の圧縮機12b、圧縮されて温度の高くなった吸気を冷却するインタークーラ13、吸気通路10の断面積を絞るスロットル弁14、前記したサージタンク内で各気筒2に供給される過給圧力を検出する過給圧センサSPsa及び吸気温度を検出する過給気温度センサSTsaと、が設けられている。
また、大気圧を検出する大気圧センサSPatや大気温度を検出する大気温度センサSTatが配設され、それらの信号がECU50Aに入力されている。
このスロットル弁14は、全閉状態でも吸気が流通可能なように切り欠きが設けられた、例えば、バタフライバルブからなり、例えば、ソレノイドバルブ方式の駆動機構が用いられ、スロットル開度センサ14aを内蔵し、スロットル弁14の開度がエンジン制御電子制御ユニット50A(以下、ECU50Aと称する)に制御されるようになっている。
前記エアフローセンサSAirは、流速変動があっても空気流量を確実にとらえることができる、例えば、特開2000−104628号公報の段落[0029]に記載のような定温度型ホットフィルム式エアフローセンサである。このエアフローセンサSAirによる計測値にもとづいて、正方向の空気流量のみを計測することができ、排気還流量の制御に逆流による誤差が入ることを避けることができる。
(排気系)
また、図1において、各気筒2の燃焼室4から排ガスを排出する排気通路20の上流端部は分岐して、それぞれ図示しない排気ポートにより各気筒2の燃焼室4に接続されている。この排気通路20には、上流側から下流側に向かって順に、排ガス中の酸素濃度を検出する排気O2センサSO2exと、排ガス流により回転されるタービン12aと、排ガス中のHC、CO及びNOx並びにパティキュレートを浄化可能な触媒コンバータ22とが配設されている。
触媒コンバータ22は、酸化触媒部22aとDPF(Diesel Particulate Filter)22bを有している。そして、触媒コンバータ22の入口側と出口側の差圧を検出する差圧センサSΔPと、酸化触媒部22a出口側及びDPF出口側に排気温度センサSTex1,STex2が設けられている。更に、触媒コンバータ22の下流側に排気ガス中の空燃比(A/F比)を検出する排気A/FセンサSA/Fexが配されている。
前記タービン12a及び圧縮機12bからなるターボ過給機12は、例えば、タービン12aを収容するタービン室に該タービンの全周を囲むように図示しない複数のベーンが設けられ、その各ベーンが排気流路のノズル断面積を変化させるように回動するVGT(バリアブルジオメトリーターボ)である。
そのため、可動ベーンを回動させるVGTアクチュエータ21が設けられ、可動ベーン回動位置を検出するVGTポジションセンサ21aを有し、ベーン回動位置の目標位置と実位置との差を検出してECU50Aによりフィードバック制御される構成としている。
(排気還流系)
前記排気通路20は、タービン12aよりも上流側の部位で、排ガスの一部を吸気側に還流させる23の上流端に分岐接続されている。このEGR通路23の下流端はスロットル弁14よりも吸気下流側の吸気通路10に接続されており、そのEGR通路23の途中の下流端寄りには、開度調整可能なEGR弁24が配置されている。そして、前記EGR通路23を流れる排ガスに対して上流側である排気通路20の圧力(以下、排気側圧力という)と下流側である吸気通路10の圧力(以下、吸気側圧力という)との間の圧力差によって前記排気通路20から吸い出した排ガスの一部を、EGR弁24により流量調整しながら吸気通路10に還流させるようになっている。
ちなみに、EGR弁24は、例えば、リニアソレノイド式の弁であり、ソレノイドの頭部にEGR弁リフトセンサ24aを有し、目標開度と実開度との差を検出してECU50Aによりフィードバック制御される構成としている。
前記燃料インジェクタ5、スロットル弁14、EGR弁24、VGTアクチュエータ21等は、ECU50Aからの制御信号によって作動するように構成されている。一方、このECU50Aには、前記過給圧センサSPsa、過給気温度センサSTsaからの出力信号と、クランク角センサSaからの出力信号と、エアフローセンサSAirからの出力信号と、排気O2センサSO2exからの出力信号と、EGR弁リフトセンサ24aからの出力信号と、車両の運転者によるアクセルペダル9の操作量(アクセル開度θth)を検出するアクセル開度センサSAccからの出力信号とが少なくとも入力されている。
ちなみに、気筒2の冷却水の温度を検出する水温センサSTwjが設けられ、その信号もECU50Aに入力されている。
(ガス供給系)
次に、ガス供給系130Aについて説明する。
各気筒2の吸気ポートには、ガスインジェクタ31が配設されていて、各気筒2に所定の噴射タイミングで開閉作動されて、予混合ガスである水素を含むガスを先端部の噴射孔を吸気弁16に向けて噴射するようになっている。
前記各ガスインジェクタ31には、共通のヘッダ管32から分岐したガス供給配管76がそれぞれ接続されている。そのヘッダ管32には、内部のガス圧(以下、ヘッダ圧と称する)Pgを検出するヘッダ圧センサ(予混合ガス圧力センサ)SPhgが配設されている。そして、ヘッダ管32には圧力調整弁33を介して水素タンク34Aから予混合ガスを供給するガス供給元管75が接続されている。ガス供給元管75には、水素タンク34Aの圧力を検出する水素タンク圧センサSPHbが設けられている。
圧力調整弁33は、ECU50Aに制御されてヘッダ圧Pgを制御する。
圧力調整弁33は、水素タンク圧PHbから減圧して、ヘッダ管32を介して予混合ガスをガスインジェクタ31に供給する。ヘッダ管32は、各気筒2におけるガスインジェクタ31の噴射による圧力変動を緩和するものである。ヘッダ管32の容積及び各気筒2のガスインジェクタ31までのガス供給配管76の容積の合計は、エンジン1の各気筒2に1回ずつ噴射する分、例えば、4気筒のエンジンなら、4回の噴射量の最大値程度である。
ガスインジェクタ31は、噴射圧が比較的低く設定できるので、直動式のもので十分である。ガスインジェクタ31のアクチュエータ31aは、例えば、ソレノイド式又はピエゾ式である。
(筒圧センサ)
更に、各気筒2の燃焼室4の上面には、筒圧センサSPclが配設されており、その出力信号がECU50Aに出力されている。
ちなみに、符号18で示すものはグロープラグである。
前記した筒圧センサSPclは、グロープラグ18に一体に組み込まれたものであっても良い。
(制御システムの全体構成)
次に、本実施形態の内燃機関の制御装置に用いられるECU50Aについて説明する。
ECU50Aは、図3に示されるようにマイクロコンピュータと周辺の電気回路で構成され、カレンダ時計機能を有するCLOCK201、制御と演算の機能を有するCPU(中央処理装置)202、プログラムを記憶するROM203、プログラム実行時にデータ等を記憶するRAM204、入力インタフェース206、出力インタフェース207、並びに、CPU202とROM203、RAM204、入力インタフェース206、出力インタフェース207等を相互に接続するバス205を備えている。
前記した入力インタフェース206には、各種のセンサからの信号が入力される。
各気筒2(図2参照)に設けられた筒圧センサSPclからの信号は、図3に示すようにチャージアンプで電圧信号に変換され、A/D変換器47に入力される。また、クランク角センサSaからのパルス信号は、パルスインクレメント回路46で処理されて、所定のクランク角度に対応させた信号(以下、クランク角度Acrankと称する)とし、カム角センサSbからのTDC信号とともにA/D変換器47に入力され、A/D変換器47は各気筒2の上死点を基準に、圧縮行程から爆発行程の所定のクランク角度毎の筒内圧PclをA/D変換器47でサンプリングする。このとき、A/D変換器47はデジタルフィルタ機能付きのA/D変換器であり、フィルタ処理された結果を前記TDC信号及びクランク角度Acrankのタイミング信号によりサンプリングする。そして、サンプリングされた筒内圧Pclを、入力インタフェース206を介してCPU202に入力する。これを取得する機能ブロックが、後記する実瞬時トルク取得部525(図4参照)である。
パルスインクレメント回路46の信号はクランク角度Acrankを示す信号として、カム角センサSbの信号はどの気筒2が爆発行程に入ったかを示すTDC信号として、入力インタフェース206を介してCPU202に入力される。
なお、エンジン回転速度Neは、クランク角度Acrankを示す信号からCPU202内で算出され、図4に示す機能ブロック図の中で使用される。
そのほかにアクセル開度センサSAccからのアクセル開度θthを示す信号、スロットル開度センサ14aからの信号、過給圧センサSPsaからの過給気圧Psaを示す信号、過給気温度センサSTsaからの吸気温度Tsaを示す信号、エアフローセンサSAirからの新気量FAirをしめす信号、大気圧センサSPatからの大気圧Patを示す信号、大気温度センサSTatからの大気温度Tatを示す信号等が吸気系に関係する信号として入力される。
なお、新気量FAirは、大気圧Pat及び大気温度Tatで標準温度及び標準大気圧状態での新気量FAirの換算計算に用いられる。
主燃料供給系110の関係では、燃料温度センサSTfからの燃料温度Tfの信号と、コモンレール圧センサSPcからのコモンレール圧Pcの信号が入力される。ちなみに、燃料温度Tfは後記するPCCI燃焼規範主燃料噴射制御部511(図4参照)において主燃料の噴射量を設定するときに燃料温度Tfによる密度変化を考慮して噴射時間を設定する。
排気還流系120の関係では、EGR弁リフトセンサ24aからのリフト量を示す信号が入力される。
ガス供給系130Aの関係では、水素タンク圧センサSPHbからの水素タンク34Aの圧PHbを示す信号及びヘッダ圧センサSPhgからのヘッダ圧Pgを示す信号が入力される。
排気系の関係では、排気O2センサSO2exからの排気酸素濃度を示す信号、VGTポジションセンサ21aからのベーン回動位置を示す信号、触媒コンバータ22(図1参照)に配置されている排気温度センサSTex1,STex2からの排気温度Tex1,Tex2を示す信号、排気A/FセンサSA/Fexからの触媒コンバータ22通過後の排気中のA/F比を示す信号や、差圧センサSΔPから差圧ΔPの信号が入力される。
なお、排気温度Tex1,Tex2、排気中のA/F比、及び差圧ΔPの信号は、触媒コンバータ22の排気浄化機能の監視及び制御に主に用いられるものであり、本発明の特徴には関係しない。
また、水温センサSTwjからの水温Twjの信号も入力される。この信号は、エンジン1の起動直後の排気還流系120のEGRクーラ25の温度制御やインタークーラ13の温度制御等に用いられる。
CPU202からは、前記した出力インタフェース207を介して、各種の駆動回路等への制御信号が出力される。
例えば、高圧供給ポンプ8への主燃料への流入量を制御する流量調整弁69への制御信号、燃料インジェクタ5のアクチュエータ5aを制御する燃料インジェクタ駆動回路301への制御信号、コモンレール6の圧力調整弁72への制御信号、ガスインジェクタ31のアクチュエータ31aを制御するガスインジェクタ駆動回路302への制御信号、ヘッダ管32の圧力調整弁33への制御信号、スロットル弁14を駆動するスロットル弁駆動回路303への制御信号、EGR弁24を駆動するEGR弁駆動回路304への制御信号、VGTアクチュエータ21を駆動制御するVGTアクチュエータ駆動回路305への制御信号等である。
なお、図3中、破線枠で示した機能ブロックは第2の実施形態における追加の構成であり、詳細は第2の実施形態において説明する。
《エンジン制御についての説明》
次に、図4を参照しながらECU50Aにおけるエンジン制御について説明する。
(制御の概要)
前記ECU50Aにおけるエンジン制御の基本的な処理の概要は図4の機能ブロック図に示されており、アクセル開度θthとエンジン回転速度Neにもとづいて要求トルクTrqsolを算出し、基本となる主燃料の噴射量、主燃料の噴射時期及び予混合ガスの噴射量を決定するとともに、EGR弁24の作動によりEGR率を調整して、各気筒2のA/F比(空燃比)を均一かつ高精度に制御するようにしている。前記EGR率は全排気量中の還流される排ガス量(EGR量)の割合をいう(EGR率=EGR量/全排気量)。
そして、筒圧センサSPclからの信号により筒内圧Pclの圧縮及び爆発行程における変化を取得して、実際の出力トルクと着火時期を算出する。次に、要求トルクTrqsolと実際の出力トルクとの偏差を得て、実際の出力トルクが要求トルクTrqsolと一致するように要求トルクを補正し、補正された要求トルクTrqsolにより、主燃料の噴射量、予混合ガスの噴射量及びEGR率を調整するとともに、規範着火時期と一致するように、主燃料の噴射時期を補正する。
具体的には、前記ECU50Aには、アクセル開度θth及びエンジン回転速度Neの変化における、実験的に決定された最適な要求トルクTrqsolを記録した二次元マップ501aと、エンジン回転速度Ne、要求トルクTrqsol及び新気量(吸入空気量のことであり主燃料及び予混合ガスを含まない。以下、同じ。)FAirの変化における、実験的に決定された最適な目標主燃料噴射量Fsolを記録した三次元マップ505a(図4では、補正後の要求トルクTrqsolを用いるので「Trqsol」と表示)と、エンジン回転速度Neと要求トルクTrqsolの変化における、実験的に決定された最適な目標空燃比A/Fsolを記録した二次元マップ506aとがそれぞれROM203(図3参照)上に電子的に格納されている。
同様に、前記ECU50Aには、エンジン回転速度Ne及び目標主燃料噴射量Fsolの変化における、実験的に決定された最適な吸気絞り量THsolを記録した二次元マップ514aと、エンジン回転速度Ne及び要求トルクTrqsol(具体的には、補正された要求トルクTrqsol)の変化における、実験的に決定された最適なコモンレール圧Pcsolを記録したコモンレール圧の二次元マップ512aと、エンジン回転速度Neと要求トルクTrqsolの変化における、実験的に決定された最適な目標過給圧力を記録した二次元マップ(図4では、補正後の要求トルクTrqsolを用いる)516aと、エンジン回転速度Ne及び要求トルクTrqsol(具体的には、補正された要求トルクTrqsol)の変化における、実験的に決定された最適なヘッダ圧Pgsolを記録したヘッダ圧の二次元マップ531aと、エンジン回転速度Ne及び要求トルクTrqsol(具体的には、補正された要求トルクTrqsol)の変化における、実験的に決定された最適な要求予混合ガス量Rgsolを記録した要求予混合ガス量の二次元マップ533aと、がそれぞれROM203(図3参照)上に電子的に格納されている。
(主燃料噴射制御)
先ず、主燃料噴射制御について図4を参照しながら説明する。
主燃料噴射制御では、先ず、アクセル開度センサSAccにより検出されたアクセル開度θthとクランク角センサSaにより検出された信号からECU50AのCPU202でエンジン回転速度に変換されたエンジン回転速度Neとを用いて、要求トルク演算部(要求トルク算出手段)501において、前記メモリ上の二次元マップ501aを参照して要求トルクTrqsolを算出する。
更に、この算出された要求トルクTrqsolを用いて、PCCI燃焼規範瞬時トルク取得部(規範瞬時トルク取得手段)521において、規範瞬時トルクパターン521aを取得するとともに、規範瞬時トルク積算値取得部522において、規範瞬時トルク積算値522aを取得する。
ここで、規範瞬時トルクパターン521aとは、決定された要求トルクTrqsolを実現するに当たって、エンジン回転速度Neと要求トルクTrqsolの二次元マップとして爆発行程における上死点を基準に、所定の離散的なクランク角度毎のPCCI燃焼時の最適な実瞬時トルクの変化を前もって実験的に決定され、前記ROM203(図3参照)上に電子的に格納されているものであり、規範瞬時トルク積算値522aも要求トルクTrqsolを参照して、前記した規範瞬時トルクパターン521aの積算値を前記ROM203上に電子的に格納されている。
なお、この規範瞬時トルクパターン521aには、規範着火時期の情報もクランク角度ベースで含まれている。
各気筒の筒内圧の変化を爆発行程における上死点を基準に、所定の離散的なクランク角度毎にサンプリングして実トルクを算出する方法は、例えば、特開昭63−61129号公報に記載されており、公知の方法である。
なお、要求トルク演算部501において出力された要求トルクTrqsolが後記する要求トルク補正部504において要求トルクTrqsolに補正されないでそのまま主燃料噴射制御に用いられる制御の流れについて先ず説明する。
この要求トルクTrqsolと、エアフローセンサSAirによって計測された新気量FAirとエンジン回転速度Neとを用いて、目標主燃料噴射量演算部505において前記ROM203上の三次元マップ505aを参照して目標主燃料噴射量Fsolを算出する。
そして、この目標主燃料噴射量Fsolと後記する制御されたコモンレール圧Pcsolとにもとづいて、PCCI燃焼規範主燃料噴射制御部511において各燃料インジェクタ5の励磁時間〔噴射時期(供給時期)及び噴射時間(供給期間)〕を決定し、燃料インジェクタ駆動回路301(図3参照)に出力し、PCCI燃焼条件にもとづく噴射時期及び噴射時間を制御する。
ここでPCCI燃焼条件にもとづく噴射時期及び噴射時間の制御とは、標準大気圧力に換算したとき、新気の吸気量に対して前記標準大気圧力に対して所定体積濃度の水素、例えば,4.4vol%の水素が添加された状態で、主燃料の噴射が完了した後で着火するように、それもTDC後に着火するように主燃料の噴射時期を制御することである。
なお、目標主燃料噴射量演算部505、PCCI燃焼規範主燃料噴射制御部511、コモンレール圧演算部512、コモンレール圧制御部513は請求項に記載の「主燃料供給制御手段」を構成する。
ちなみに、噴射時期は単に所定のクランク角度に固定されるものではなく、燃料噴射の終了する前に着火することが無いように、つまり、PCCI燃焼条件を維持するように、又、着火時期が燃費効率の良好なタイミングとなるクランク角度になるように、クランク角速度ωcrank、つまり、エンジン回転速度Neに応じて、燃料噴射時期は制御される。その意味においてPCCI燃焼規範主燃料噴射制御部511は、基準の成分の主燃料又は基準のセタン価の値の主燃料に対して、規範となる噴射時期及び噴射時間を決定する。
ただし、燃料インジェクタ駆動回路301に出力される噴射時間と噴射時期の指令信号のうち噴射時期の指令信号については、後記する噴射時期補正部530を介して出力される。
(コモンレール圧制御)
また、ECU50Aの要求トルク演算部501において得られた要求トルクTrqsolとエンジン回転速度Neとを用いて、コモンレール圧演算部512においてコモンレール圧の二次元マップ512aを参照して目標コモンレール圧Pcsolを算出し、これを用いてコモンレール圧制御部513がコモンレール圧センサSPcからの信号と比較して、圧力調整弁72に制御信号を出力し、コモンレール圧Pcを目標コモンレール圧Pcsolになるように制御する。
(排気還流制御)
一方、要求トルクTrqsolとエンジン回転速度Neとを用いて、目標空燃比演算部506において、前記した二次元マップ506aを参照して、NOx及びスモークの両立を図るための目標空燃比A/Fsolを算出する。そして、この目標空燃比A/Fsolと前記目標主燃料噴射量演算部505において求められた目標主燃料噴射量Fsolとを用いて、目標新気量演算部507において目標新気量FAsolを算出し(FAsol=Fsol×A/Fsol)、この目標新気量FAsolを目標として、新気量制御部508において新気量制御を行う。この新気量制御は、新気の供給量自体を直接調整するのではなく、排ガスの還流量を調整することによって新気量を変化させるというものである。つまり、新気の補正量を決定するのではなく、先ず、目標とする新気量FAsolにもとづいて、新気量制御部508がEGR弁24の基本動作量EGRbaseを決定し、これを更に新気量の偏差FAsol−FAirに応じてフィードバック補正して、EGR弁24の動作量EGRsolを決定し、その動作量EGRsolに対応するようにEGR弁制御部509がEGR弁駆動回路304(図3参照)に開度信号を出力する。EGR弁駆動回路304は、EGR弁24のEGR弁リフトセンサ24aからの信号にもとづき、動作量EGRsolになるようにEGR弁24の開度を制御する。
(スロットル弁制御)
また、前記目標主燃料噴射量演算部505において得られた主燃料目標噴射量Fsolとエンジン回転速度Neとを用いて、目標吸気絞り量演算部514において二次元マップ514aを参照して目標吸気絞り量THsolを算出し、これを用いて、スロットル弁制御部515においてスロットル開度センサ14aからの信号をフィードバック制御してスロットル弁14の開度を制御する。
(VGT制御)
さらに、ECU50Aの要求トルク演算部501において得られた要求トルクTrqsolとエンジン回転速度Neとを用いて、目標過給圧力演算部516において、前記した二次元マップ516aを参照して目標過給圧力Boostsolを算出する。そして、この目標過給圧力Boostsolと過給圧センサSPsaにより検出されたスロットル弁14下流の吸気通路10の過給気圧Psaとを用いて、過給圧力制御部517において、過給気圧Psaが目標過給圧力Boostsolになるように、ターボ過給機12のベーン回動位置VGTsolを算出し、VGTアクチュエータ駆動回路305(図3参照)に出力し、これを用いてVGTポジションセンサ21aからの信号をフィードバックしてVGTsolに一致するようにVGTアクチュエータ21を制御する。
ちなみに、EGR量の制御の詳細については、例えば、特開2000−104628号公報に記載されているのでここでは省略する。
(予混合ガスのヘッダ圧制御)
また、ECU50Aの要求トルク演算部501において得られた要求トルクTrqsolとエンジン回転速度Neとを用いて、ヘッダ圧演算部531において、ヘッダ圧の二次元マップ531aを参照して目標ヘッダ圧Pgsolを算出し、これを用いてヘッダ圧制御部532がヘッダ圧センサSPhgからの信号と比較して、圧力調整弁33に制御信号を出力し、ヘッダ圧Pgを目標ヘッダ圧Pgsolになるように制御する。
(予混合ガス噴射制御)
ECU50Aの要求トルク演算部501において得られた要求トルクTrqsolとエンジン回転速度Neとを用いて、要求予混合ガス演算部533において要求予混合ガス量の二次元マップ533aを参照して要求予混合ガス量Rgsolを算出し、これと目標新気量演算部507において算出された目標新気量FAsolとから、要求予混合ガス量補正部534Aにおいて、標準大気圧換算で要求予混合ガス量Rgsolに含まれる水素の体積濃度が標準大気圧換算した目標新気量FAsolに対して、可燃限界比を超えているか否かチェックし、可燃限界比を超えていない場合は、超えるように要求予混合ガス量Rgsolの値を補正して、予混合ガス噴射制御部535に出力する。予混合ガス噴射制御部535は、ヘッダ圧センサSPhgからヘッダ圧Pgにもとづき、目求予混合ガス量Rgsolに対応する噴射時間を算出し、そのときのエンジン回転速度Neから、排気弁17が完全に閉じ、吸気弁16が開状態の噴射時間許容最大値Tmax(図5参照)を算出し、噴射時間が噴射時間許容最大値Tmax内であることを確認し、そうでない場合は、ヘッダ圧制御部532にヘッダ圧Pgを増加させるように制御する。そして、予混合ガス噴射制御部535はガスインジェクタ駆動回路302に噴射時期と噴射時間の制御信号を出力し、ガスインジェクタ31のアクチュエータ31aを駆動する。
ここで、ヘッダ圧演算部531、ヘッダ圧制御部532、要求予混合ガス演算部533、要求予混合ガス量補正部534A、予混合ガス噴射制御部535が、請求項に記載の「ガス供給制御手段」を構成する。
(実トルク算出による要求トルクTrqsolの補正)
次に、本発明の特徴である実瞬時トルク取得部(実瞬時トルク取得手段)525、実瞬時トルク積算部526による実トルクの算出と、要求トルクTrqsolの補正について説明する。
各気筒2に設けられた筒圧センサSPclからの信号は、図3に示すようにチャージアンプで電圧信号に変換され、A/D変換器47に入力される。また、クランク角センサSaからのパルス信号をパルスインクレメント回路46で処理して所定のクランク角度に対応させた信号(以下クランク角度Acrankと称する)とし、カム角センサSbからのTDC信号とクランク角度Acrankをタイミング信号としてA/D変換器47に入力し、各気筒2の上死点を基準に、圧縮行程及び爆発行程の上死点前後の所定のクランク角度毎の筒内圧Pclをサンプリングする。このとき、A/D変換器47はデジタルフィルタ機能付きのA/D変換器でありフィルタ処理された結果を前記タイミング信号によりサンプリングする。そして、サンプリングされた筒内圧PclをCPU202に入力する。これを取得する機能ブロックが、実瞬時トルク取得部525である。
実瞬時トルク取得部525は、1つの気筒2に対する所定の個数の筒内圧Pclを取得したら、実瞬時トルク積算部526にその所定の個数の筒内圧Pclを出力し、実瞬時トルク積算部(実瞬時トルク積算手段)526において、その筒内圧Pclを、クランク角度毎に異なる重み付けをして加算し、全気筒2が同じ気筒圧変化をすると仮定して、実トルクを算出する。この実瞬時トルク取得部525及び実瞬時トルク積算部526における実トルクの算出方法は前記した特開昭63−61129号公報に記載の公知の技術である。
実瞬時トルク積算部526において算出された実トルクは、減算部527に出力される。
なお、実瞬時トルクを積算したものと要求トルク演算部501で算出された要求トルクTrqsolとでは、算出方法に差があるので、微妙に差が発生する可能性があり、ここでは規範瞬時トルク積算値取得部522から得られた規範瞬時トルク積算値522aと実瞬時トルク積算部526おいて算出された実トルクとの差分をとることにしている。
減算部527では、前記した規範瞬時トルク積算値取得部522で取得したPCCI燃焼条件における規範瞬時トルク積算値522aと、実瞬時トルク積算部526からの実トルクとの差分であるトルク偏差を算出し、要求トルク補正部504に出力する。
要求トルク補正部(要求トルク補正手段)504は、前記トルク偏差にもとづいて要求トルク演算部501で算出された要求トルクTrqsolを補正し、要求トルクTrqsolとし、目標主燃料噴射量演算部505、目標空燃比演算部506、コモンレール圧演算部512、目標過給圧力演算部516、ヘッダ圧演算部531、要求予混合ガス演算部533に出力し、それぞれにおいて、前記した要求トルクTrqsolの代わりに要求トルクTrqsolの値を用いて前記した各マップを参照する。
(主燃料の噴射時期のフィードバック制御)
また、着火時期分析部528は、実瞬時トルク取得部525が取得した複数の筒内圧Pclとそれぞれの対応するクランク角度Acrankから、着火時期のクランク角度Aexplを算出し、PCCI燃焼規範瞬時トルク取得部521が取得した規範瞬時トルクパターン521a及び規範着火時期と比較し、着火時期の偏差をクランク角度ベースで算出し、噴射時期補正部530に出力する。
噴射時期補正部530は、着火時期の偏差をクランク角速度ωcrankにもとづいて時間偏差に換算し、PCCI燃焼規範主燃料噴射制御部511から出力された噴射時期を補正して燃料インジェクタ駆動回路301に出力する。
これにより、標準の成分の主燃料、又は特定のセタン価の値の主燃料においてPCCI燃焼条件による噴射時期及び噴射時間が設定されている場合に、主燃料の成分の変化によるセタン価の変化が生じて、要求トルク演算部501で算出された要求トルクTrqsolに対する実トルクがずれている場合に、実瞬時トルク取得部525、実瞬時トルク積算部526、減算部527、要求トルク補正部504により、実トルクの算出を通じて、エンジン出力トルクのフィードバック制御ができることになる。
また、着火時期分析部528により着火したクランク角度が判定され、PCCI燃焼規範瞬時トルク取得部521から入力された規範瞬時トルクパターン521aによる本来の目標着火時期との偏差が噴射時期補正部(主燃料供給時期補正手段)530に入力され、前記着火時期の偏差をクランク角速度ωcrankにもとづいて時間偏差に換算し、PCCI燃焼規範主燃料噴射制御部511から噴射時期補正部530に入力された噴射時期を補正して、燃料インジェクタ駆動回路301に出力する。
この結果主燃料のセタン価が標準燃料のセタン価からずれた場合、例えば、セタン価が低下して着火時期が遅れ、エンジン1のトルク出力が要求トルクTrqsolに対して偏差を生じた場合に、目標主燃料噴射量演算部505における主燃料噴射量Fsolを算出したり、EGR量を算出したり、過吸気量を算出したり、要求予混合ガス量を算出したりするベースの要求トルクTrqsolを、要求トルク補正部504で補正して要求トルクTrqsolとして下流側に出力して出力トルクをフィードバック制御するとともに、噴射時期補正部530において、最適な噴射時期に補正するので、着火時期の遅れが解消され、本来の目標着火時期となり、出力トルクが回復され、要求トルク補正部504での補正量が小さくなる。
このような制御は、燃料インジェクタ5の製造誤差等による燃料インジェクタ5間の噴射量の誤差、噴射時期の誤差のばらつきを考慮すると、全気筒2における爆発行程が一巡した次の爆発行程に対して、各気筒2の対応する規範瞬時トルク積算値522aと実瞬時トルク積算値との偏差、目標着火時期と実着火時期との偏差を反映するように制御するのが理想的である。
しかし、燃料インジェクタ5の製造誤差等による燃料インジェクタ5間の噴射量の誤差、噴射時期の誤差のばらつきが小さい場合は、ある気筒2での実瞬時トルク積算値との偏差、目標着火時期と実着火時期との偏差を、次の爆発行程の気筒2に反映するように制御しても良い。
(作用効果の説明)
次に、図6から本実施形態における筒圧センサSPclからの筒内圧Pclにもとづく着火時期制御の作用効果について説明する。
図6は、熱発生率に及ぼす主燃料のセタン価の影響を説明する図である。図6において、横軸はクランク角度を表わし、TDC(Top Dead Center)を0°とし、マイナス側はBTDC(Before Top Dead Center)を、プラス側はADTC(After Top Dead Center)を示す。縦軸は、熱発生率(J/deg.)を表わす。図6の(1)〜(3)で示した曲線は、エンジン回転速度Neが1500rpm、BMEP(Brake Mean Effective Pressure:正味平均有効圧力)が89kPa、予混合ガスの水素濃度が4.4vol%、主燃料の噴射時期が曲線(A)で示すBDTC(Before Top Dead Center)−13°の条件でエンジンの運転実験をした結果である。
ここで、正味平均有効圧力とは、実際にエンジンから得られる仕事(図示仕事から補機類、ピストンの運動抵抗などを差し引いて計算される仕事)を行程容積で割ったものであり、エンジンの燃焼効率を判断する目安の1つである。
図6に示すように主燃料噴射の噴射が終了してから主燃料の着火が生じているのが分かるが、セタン価が56.9の曲線(1)に対して、セタン価が45.0の曲線(2)、セタン価が40.9の曲線(3)では、セタン価が小さくなる程熱発生率が最大になるクランク角度が遅延し、着火時期が遅くなる。主燃料噴射時期からのそれぞれの着火遅れは、曲線(1)では15°、曲線(2)では18°、曲線(3)では20°となっている。
ここで、水素の可燃限界空燃比が4%以上の4.4体積%の水素を吸気に添加した場合に、主燃料噴射により発生した静電気やプラズマ等により、水素が主燃料よりも先に着火し、また、水素の火炎伝播速度がメタンの炭化水素ガス等よりも極めて速いので、燃焼室4(図1参照)内に急速に火炎が広がり、主燃料が燃焼を始めることにより、安定なPCCI燃焼が生じると考えられる。
図7は、熱発生率に及ぼす主燃料の噴射時期の影響を説明する図である。図7も図6と同様に、横軸はクランク角度(deg.)を表わし、縦軸は、熱発生率(J/deg.)を表わす。図7の(1)〜(5)で示した曲線は、エンジン回転速度Neが1500rpm、BMEPが412kPa、予混合ガスの水素濃度が4.4vol%の条件である。
曲線(1)は主燃料のセタン価56.9で、主燃料の噴射時期がBDTC−13°(曲線(A))、曲線(2)〜(5)は主燃料のセタン価40.9で、主燃料の噴射時期がそれぞれBDTC−13°(曲線(B))、BDTC−16°(曲線(C))、BDTC−19°(曲線(D))、BDTC−22°(曲線(E))の場合である。
図7に示すように主燃料のセタン価が56.9よりも小さい40.9の場合でも、主燃料噴射時期を進角させることにより、熱発生率が最大となるクランク角度を進角させることができ、セタン価が56.9の場合と略同じクランク角度で、燃料噴射が終了してから着火させることができ、出力トルクが改善できる。
図8は、図7と同じエンジンの運転条件で熱発生率に及ぼす主燃料のセタン価と噴射時期の影響を説明する図である。図8も図6と同様に、横軸はクランク角度(deg.)を表わし、縦軸は、熱発生率(J/deg.)を表わす。
曲線(1)〜(3)は主燃料のセタン価がそれぞれ56.9,45.0,40.9で、主燃料の噴射時期がBDTC−13°の場合である。
曲線(4)は、本実施形態において、セタン価56.9の主燃料を基準の燃料とし、PCCI燃焼規範主燃料噴射制御部511における主燃料の噴射時期をBDTC−13°とした場合に、基準の主燃料のセタン価56.9と異なるセタン価40.9の主燃料が用いられときの、ECU50Aによる制御の結果を示す曲線である。
PCCI燃焼規範瞬時トルク取得部521が取得する規範瞬時トルクパターン521aは、曲線(1)に対応する所定の離散的なクランク角度における規範の筒内圧の変化である。それに対し、実瞬時トルク取得部525で取得した筒内圧Pclの変化は、曲線(3)に対応する規範瞬時トルクパターン521aと同じ所定の離散的なクランク角度における筒内圧Pclの変化である。
着火時期分析部528は、規範瞬時トルクパターン521aと実瞬時トルク取得部525で取得した筒内圧Pclの変化から、着火時期の偏差を算出して、噴射時期補正部530に出力する。そして、次回のPCCI燃焼規範主燃料噴射制御部511からの噴射時期の指令信号に対し、噴射時期補正部530からの着火時期の偏差をクランク角速度ωcrankにもとづいて、時間偏差に変換したもので補正して燃料インジェクタ駆動回路301に出力する。
図8に示すように主燃料のセタン価が56.9よりも小さい40.9の場合でも、主燃料噴射時期を進角させる補正制御が働くことにより、熱発生率が最大となるクランク角度を進角させることができ、セタン価が56.9の場合と略同じクランク角度で、燃料噴射が終了してから着火させることができ、出力トルクが改善できる。
また、規範瞬時トルク積算値取得部522が取得した規範瞬時トルク積算値522aよりも実瞬時トルク積算部526において算出した積算値の方が小さい場合は、要求トルク補正部504において補正された要求トルクTrqsolは増大され、逆に、大きい場合は、要求トルク補正部504において補正された要求トルクTrqsolは減少され、目標主燃料噴射量演算部505において最終的に主燃料の噴射量が増加又は減少され、要求トルク演算部501で算出された要求トルクTrqsolと実瞬時トルク積算部526において算出した積算値による実トルクが一致するように制御されるので、基準の燃料と異なるセタン価の場合でも、要求トルクTrqsolが達成される。
したがって、図8に示すように水素添加によるPCCI燃焼条件が、セタン価のばらつきに対しても、筒内圧Pclにもとづく主燃料の噴射時期の制御、噴射量の制御により適切に維持される。
図示は省略するが、主燃料のセタン価のばらつきだけではなく、同様に大量のEGR率によるNOxの低減策を採用する場合の、EGR量の制御誤差等による主燃料の着火時期のばらつき、吸気に添加する水素量のばらつきによる主燃料の着火時期のばらつきも生じる。
これらによる主燃料の着火時期のばらつきを全て、筒圧センサSPclからの筒内圧Pclにもとづいて、要求トルクTrqsolの補正を通じた、主燃料の噴射量の補正、EGR量の補正、過給気圧の補正、予混合ガス噴射量の補正、並びに着火時期の偏差の算出を介した主燃料の噴射時期の補正により、主燃料の着火時期のばらつきを抑制できる。
次に、図9、図10を参照しながら、本実施形態の効果を説明する。
図9は、比較例と本実施形態におけるセタン価に対する図示平均有効圧(IMEP:Indicate Mean Effective Pressure)の変動分布(C.O.V.:Coefficient of Variation)の差を説明する図である。図9において、横軸はセタン価を、縦軸はC.O.V.IMEPである。
図10は、比較例と本実施形態におけるセタン価に対する正味燃料消費率(BSFC:Break Specific Fuel Consumption)の差を説明する図である。図10において、横軸はセタン価を、縦軸は正味燃料消費率である。
ここで、「図示平均有効圧」とは、エンジンの1サイクルで燃焼ガスがピストンになす仕事を行程容積で割ったものであり、「正味燃料消費率」とは、単位仕事量(kW/h)当たりの燃料消費量である。
エンジンの運転条件は、エンジン回転速度Neが1500rpm、BMEPが412kPa、予混合ガスの水素濃度が4.4vol%の条件である。
図9、図10において白の四角でプロットした曲線(「PCCI(比較例)」)で示す比較例は、水素添加をし、クランク角速度ωcrankで一意に決まるPCCI燃焼条件の主燃料の噴射時期とした場合であり、主燃料のセタン価が変化してPCCI燃焼条件の最適な着火時期からのずれが生じても、主燃料の噴射時期を変えるように制御しないケースである。これに対し、黒の四角でプロットした曲線(「PCCI+筒内圧制御(実施形態)」)で示す本実施形態の場合は、主燃料のセタン価が変化してPCCI燃焼条件の最適な着火時期からのずれが生じたとき、燃料噴射時期を変えて最適な着火時期になるようにフィードバック制御し、また、要求トルクTrqsolと実トルクとの間に偏差があった場合に、その偏差を0とするように主燃料の噴射量を補正するフィードバック制御を行うケースである。
図9に示すように比較例では、セタン価が56.9から減少して、45.0当たりから40.9になるとC.O.V.IMEPが急激に増大し、約18%にもなるのに対し、本実施形態では、セタン価が56.9から40.9に減少してもC.O.V.IMEPは、緩やかに1%から約3.5%に増加する程度で、極めて平坦である。
これは、本実施形態によれば、エンジン1から得られる仕事のサイクル間での変動が小さいことを意味し、エンジン出力トルクの脈動が小さいことを意味する。それはエンジン振動やエンジン騒音の低下につながる。
図10に示すように比較例では、セタン価が56.9から減少して、45.0当たりから40.9になると正味燃料消費率が急激に増大し、300g/kW/h弱から約420g/kW/hに急激に増大するのに対し、本実施形態では、セタン価が45.0から40.9に減少しても正味燃料消費率は、約40g/kW/h程度増加する程度で、極めて平坦である。
これは、本実施形態によれば、筒内圧を検出して着火時期が実トルクとして有効に作用するクランク角度に維持するように制御できるためである。
以上、本実施形態によれば、主燃料のセタン価が実際のディーゼルエンジンで使用される40〜60の範囲内で変化しても、水素添加のPCCI燃焼条件を維持することができ、排気ガス規制をクリアでき、かつ、セタン価の低下による正味燃料消費率(g/kW・h)の増加を抑制できる。また、水素添加量のばらつきやEGR量のばらつきによる主燃料の着火時期のばらつき対しても同様に作用する
図11は、本実施形態及び比較例に係るエンジン回転速度とエンジントルクに対するPCCI燃焼が可能な領域を比較した図である。図11において破線は比較例のPCCI燃焼可能な領域を示し、実線は本実施形態のPCCI燃焼可能領域を示し、一点鎖線は通常の運転において要求されるPCCI燃焼領域を示す。
従来の予めエンジン回転速度Neと要求トルクの二次元マップに記憶された燃料噴射時期の制御にのみよる水素添加なしのPCCI燃焼制御の比較例では、中高負荷運転領域において燃焼が急激になりエンジン1の騒音や振動が大きくなるため、図11に示すように、そのPCCI燃焼可能な領域が低負荷運転領域に限定されてしまう。これに対して、本実施形態では、吸気に水素を添加することと合わせて主燃料をBTDC噴射することにより、着火遅れを制御可能とし(図7及び図8参照)、主燃料のセタン価のばらつきによる着火時期のずれをフィードバック制御して実トルク上好ましいクランク角度に維持し、熱効率を維持する(図10参照)。また、セタン価の変化に対し、C.O.V.IMEPCOを低値で平坦に維持できるので、触媒コンバータ22に対する負荷の変動が小さくなるので、NOx排出量及びTHC排出量を低減できる。
このように、吸気への水素添加と主燃料のBTDC噴射に、更に、筒内圧Pclにもとづく、要求トルクTrqsolのフィードバック補正と、主燃料の噴射時期のフィードバック補正とを組み合わせることにより、図11に示すように常用運転領域を含む中高負荷運転領域まで、セタン価の変化に対して実用的なPCCI燃焼が可能となる。
なお、本実施形態の説明における標準の主燃料のセタン価を56.9とし、水素添加のPCCI燃焼条件における規範の着火時期をBTDC−2°としたが、これに限定されるものではなく、もう少し遅らせてATDC+2°程度にし、図6における熱発生率(J/deg.)のピーク値をもう少し下げてより緩やかなピーク形状としても良い。
また、本実施形態によれば、ヘッダ管32及びガス供給配管76の合計容量を制限している上、ヘッダ圧Pgを制御する圧力調整弁33を水素タンク34Aの下流に設けてあるので、ヘッダ管32及びガス供給配管76の圧力がエンジン回転速度Neに応じて可変になり、予混合ガス噴射時間Tを、噴射時間許容最大値Tmaxを越えない範囲で、過小な予混合ガス噴射時間とすることなくエンジン回転速度Ne応じた狭いT予混合ガス噴射時間の変動で設定可能とできる。その結果、エンジン回転速度Neの変動に対して予混合ガス供給の応答性が極めて良好になる。
《第2の実施形態》
次に、図12、図13を参照して本発明の第2の実施形態に係わるエンジン制御装置の概要について説明する。図12は、本実施形態のエンジン制御装置の概略機能構成図であり、図13は、エンジン制御電子制御ユニット(ECU)の機能ブロック構成図である。
本実施形態におけるエンジン制御装置100Bが、第1の実施形態におけるエンジン制御装置100Aと異なる点は、ガス供給系130Aがガス供給系(ガス供給手段)130Bに置き換わった点であり、そのためにECU50AがECU50Bに変っている。
第1の実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
ガス供給系130Bは、主に、図示省略の低圧ポンプで燃料タンク42から供給された主燃料を改質して水素又は水素を含む改質ガス(以下、「水素又は水素を含む改質ガス」を予混合ガスと称する)を生成する燃料改質器(ガス生成手段)37と、予混合ガスを圧縮するガス圧縮機36と、圧縮された予混合ガスを蓄圧状態に貯留する水素タンク(蓄圧タンク)34Bと、圧力調整弁(予混合ガス圧力調整弁)33とヘッダ管32と、ガス供給配管76と、予混合ガスを各気筒2に噴射するガスインジェクタ(ガス噴射弁)31とを含んで構成されている。
燃料改質器37は、改質触媒を備え、空気、酸素富化空気、窒素富化空気、酸素、窒素、二酸化炭素、又は水蒸気の雰囲気下で、図示省略の低圧ポンプにより供給された主燃料を改質し、予混合ガスを生成し、この予混合ガスをガス圧縮機36に供給する。
ここで、改質触媒における改質反応は、例えば、水蒸気改質法、部分酸化法、炭酸ガス改質法、並びに、水蒸気改質法及び部分酸化法を組み合わせたオートサーマル法よりなる中から選ばれた1種の反応である。
燃料改質器37の予混合ガス(改質ガス)生成の出力レベル及びガス圧縮機36の出力は、ECU50Bに制御されて水素タンク34Bの圧力PHbが、例えば、エンジン回転速度Ne及び前記した要求トルクTrqsolに応じて予め設定された所定圧力になるように制御される。
ガス圧縮機36で昇圧された予混合ガスは、水素タンク34Bに貯留され、水素タンク34Bの下流側に配置された圧力調整弁(予混合ガス圧力調整弁)33を経由してヘッダ管32に至り、ヘッダ管32から各気筒2に分岐するガス供給配管76により前記ガスインジェクタ31に供給される。
水素タンク34Bに貯められた予混合ガスは、ECU50Bに制御される圧力調整弁33により、ヘッダ管32に設けられたヘッダ圧センサ(予混合ガス圧力センサ)SPhgの信号にもとづいて所定の噴射圧力に減圧してから、ヘッダ管32から各気筒2に分岐するガス供給配管76を経由し、各気筒2の吸気ポート近くに配置されたガスインジェクタ31の図示しない噴射孔から吸気中に噴射される。
ガス供給系(ガス供給手段)130Bには、水素タンク34Bの圧力PHbを検出する水素タンク圧センサSPHb(図12参照)、前記ヘッダ管32の圧力(予混合ガス圧)PPgを検出するヘッダ圧センサ(予混合ガス圧力センサ)SPhg(図12参照)、ヘッダ管32の水素濃度vを検出する水素濃度センサ(水素ガスセンサ)S(図12参照)が設けられ、それらの電気信号がECU50Bに入力されている。
図示しない低圧ポンプは、例えば、燃料タンク42内に燃料フィルタ43A,43B(図12では別体に表示してあるが、実際には一つのものである)とともに組み込まれ、燃料タンク42から吸込み管62A,62B(図12では別体に表示してあるが、実際は1本の共通管である)により主燃料を吸引し、途中で分岐して高圧供給ポンプ8の吸い込み側及び燃料改質器37に主燃料を供給する。
燃料改質器37には図示省略の流量調整弁が内蔵され、ECU50Bに制御され、過剰な主燃料は戻り管65Bで燃料タンク42に戻され、燃料改質器37に供給する主燃料の流量を制御する。
水タンク38内にフィルタ43Cとともに図示省略の給水ポンプ及びモータが組み込まれ、水タンク38から吸込み管62Cにより純水を吸引し、燃料改質器37の純水入口ポートに純水を供給する。
燃料改質器37の純水入口ポートには、図示省略の流量調整弁配置されており、ECU50Bに制御され、過剰な純水は戻り管65Cで水タンク38に戻され、燃料改質器37に供給する純水の流量を制御する。
なお、前記した燃料改質器37の主燃料及び純水の図示省略の流量調整弁は、ECU50Bに制御される燃料改質器37における改質ガス(予混合ガス)の単位時間当たりの生成量(出力レベル)に見合うように協調制御される。
燃料改質器37では、供給された純水を加熱して蒸気を生成し、供給された主燃料を水蒸気雰囲気下で触媒反応により水素を含む改質ガスに分解する。このような、改質ガスの生成方法を水蒸気改質法と称し、公知の方法である。
燃料改質器37で生成された改質ガスは予混合ガスとして、ガス圧縮機36で昇圧されて逆止弁35を経由して水素タンク34Bに供給される。水素タンク34Bには水素タンク圧PHbを検出する水素タンク圧センサSPHbが設けられ、その検出圧信号はECU50Bに出力され、ECU50Bが、燃料改質器37とガス圧縮機36の運転レベルを制御して水素タンク34Bの圧力を、車両の運転状態、例えば、エンジン回転速度Neや、アクセル開度θthに応じて、所定の目標圧力に制御する。
また、水素タンク34Bから各気筒2のガスインジェクタ31へは、圧力調整弁33を介して、水素タンク圧PHbから減圧して、ヘッダ管32に供給され、このヘッダ管32から分岐したガス供給配管76が接続し、水素タンク34Bに蓄圧状態で貯留された予混合ガスをガスインジェクタ31に供給する。
ヘッダ管32には、実質的にガスインジェクタ31の噴射圧であるヘッダ圧Pを検出する圧力センサSPHgと、予混合ガス中の水素濃度vを検出する水素濃度センサSが設けられている。
《ガス供給系の制御構成の説明》
次に、図13を参照しながらECU50Bにおけるガス供給系130Bに係る制御機能ブロックについて説明する。第1の実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
第1の実施形態では、ガス供給系130Aの制御機能ブロックとして、ヘッダ圧演算部531、ヘッダ圧制御部532、要求予混合ガス演算部533、要求予混合ガス量補正部534A、予混合ガス噴射制御部535を含んでいたが、本実施形態におけるガス供給系130Bの制御機能ブロックとして、タンク圧制御部536、ヘッダ圧演算部531、ヘッダ圧制御部532、要求予混合ガス演算部533、要求予混合ガス量補正部534B、予混合ガス噴射制御部535、燃料改質器制御部538を含んでいる。
そしてタンク圧制御部536は、図3に破線で示したガス圧縮機駆動回路306に制御信号を出力し、ガス圧縮機36を運転制御する。また、燃料改質器制御部538は、図3に破線で示した改質器駆動回路307に制御信号を出力し、燃料改質器37運転制御する。
(燃料改質器の運転制御)
燃料改質器制御部538は、要求予混合ガス演算部533で算出された要求予混合ガス量Rgsolにもとづいて、燃料改質器37の運転レベルを制御する。それに対応して水タンク38及び燃料タンク42から燃料改質器37に供給する純水の流量と主燃料の流量も制御する。
(水素タンク圧の制御)
水素タンク34Bの目標タンク圧PHbsolは、予め実験的に求められ、ROM203(図3参照)に電子的に格納されたエンジン回転速度Neと要求トルクTrqsolの二次元マップ536aを参照してタンク圧制御部536で算出して、ガス圧縮機36を制御してタンク圧PHbを制御する。
そして、この目標タンク圧PHbsolは、下限値が設定されており、エンジン停止時やアイドリング時でも所定圧力以上が確保されるように制御される。これは、エンジン1の起動時に、燃料改質器37が起動するまでに要する時間の間、水素タンク34Bに蓄圧された予混合ガスを利用して、エンジン1に予混合ガスを供給できるようにするためである。具体的なタンク圧PHbの制御は、例えば、2008−176939(未公開)の図3に記載されているような制御である。
そして、ヘッダ圧演算部531においては、第1の実施形態におけるヘッダ圧演算部531と同じように目標ヘッダ圧Pgsolを算出し、ヘッダ圧制御部532が圧力調整弁33を制御して目標ヘッダ圧Pgsolに制御する。
ここで、燃料改質器37が走行状態の通常の運転レベルに達している場合は、目標ヘッダ圧Pgsolは、タンク圧制御部536が算出して制御する目標タンク圧力PHbsolよりも少し低めの圧力である。
(予混合ガス噴射制御)
ECU50Bの要求トルク演算部501において得られた要求トルクTrqsolとエンジン回転速度Neとは、第1の実施形態において前記したように要求トルク補正部504において補正され、要求予混合ガス演算部533において要求予混合ガス量の二次元マップ533aを参照して要求予混合ガス量Rgsolを算出し、これと目標新気量演算部507において算出された目標新気量FAsolとから、要求予混合ガス量補正部534Bにおいて、標準大気圧換算で要求予混合ガス量Rgsolに含まれる水素の体積濃度が標準大気圧換算した目標新気量FAsolに対して、可燃限界比を超えているか否かチェックし、可燃限界比を超えていない場合は、超えるように要求予混合ガス量Rgsolの値を補正して、予混合ガス噴射制御部535に出力する。このとき、第1の実施形態では予混合ガス中の水素濃度が一定と仮定できたが、本実施形態では、主燃料の成分が基準のものからばらつくことを考慮しているので、ヘッダ管32に水素濃度センサSを配置して水素濃度vを検出し、検出した水素濃度vを反映して水素の体積濃度が標準大気圧換算した目標新気量FAsolに対して、可燃限界比を超えているか否かチェックする。
予混合ガス噴射制御部535は、ヘッダ圧センサSPhgからヘッダ圧Pgにもとづき、目求予混合ガス量Rgsolに対応する噴射時間を算出し、そのときのエンジン回転速度Neから、排気弁17が完全に閉じ、吸気弁16が開状態の噴射時間許容最大値Tmax(図5参照)を算出し、噴射時間が噴射時間許容最大値Tmax内であることを確認し、そうでない場合は、ヘッダ圧制御部532にヘッダ圧Pgを増加させるように制御する。そして、予混合ガス噴射制御部535はガスインジェクタ駆動回路302に噴射時期と噴射時間の制御信号を出力し、ガスインジェクタ31のアクチュエータ31aを駆動する。
ここで、ヘッダ圧演算部531、ヘッダ圧制御部532、要求予混合ガス演算部533、要求予混合ガス量補正部534B、予混合ガス噴射制御部535、タンク圧制御部536、燃料改質器制御部538が、請求項に記載の「ガス供給制御手段」を構成する。
以上、本実施形態によれば、先ず、第1の実施形態と同様に、主燃料のセタン価が実際のディーゼルエンジンで使用される40〜60の範囲で変化しても、水素添加のPCCI燃焼条件を維持することができ、排気ガス規制をクリアでき、かつ、セタン価の低下による正味燃料消費率(g/kW・h)の増加を抑制できる。また、水素添加量のばらつきやEGR量のばらつきによる主燃料の着火時期のばらつき対しても同様に作用する。
このように、吸気への水素添加と主燃料のBTDC噴射に、更に、筒内圧Pclにもとづく、要求トルクTrqsolのフィードバック補正と、主燃料の噴射時期のフィードバック補正とを組み合わせることにより、図11に示すように常用運転領域を含む中高負荷運転領域まで、セタン価の変化に対して実用的なPCCI燃焼が可能となる。
また、本実施形態によれば、ヘッダ管32及びガス供給配管76の合計容量を制限している上、ヘッダ圧Pgを制御する圧力調整弁33を水素タンク34Bの下流に設けてあるので、ヘッダ管32及びガス供給配管76の圧力がエンジン回転速度Neに応じて可変になり、予混合ガス噴射時間Tを、噴射時間許容最大値Tmaxを越えない範囲で、過小な予混合ガス噴射時間とすることなくエンジン回転速度Ne応じた狭いT予混合ガス噴射時間の変動で設定可能とできる。その結果、エンジン回転速度Neの変動に対して予混合ガス供給の応答性が極めて良好になる。
更に、ガス圧縮機36と水素タンク34Bとを有している構成とすることにより、燃料改質器37を小型のサイズにできる。その結果、燃料改質器37を用いたガス供給系130B全体としてのコストと重量を小さくすることが可能となる。
本実施形態の変形例として、図13に示したように、水素タンク34Bの圧力PHbをエンジン回転速度Neやアクセル開度θthに応じて変圧制御する代わりに、略最大値近くに維持するように制御して、その代わり圧力調整弁33によるヘッダ圧Pgの制御をエンジン回転速度Neやアクセル開度θthに応じて柔軟に制御することにより、実施形態における燃料改質器37の改質反応器サイズを更に小さくすることができる。
(変形例)
次に、変形例について説明する。
なお、第1の実施形態及び第2の実施形態においては、着火時期分析部528が検出した着火時期のクランク角度Aexplを算出し、PCCI燃焼規範瞬時トルク取得部521が取得した規範瞬時トルクパターン521aと比較し、着火時期の偏差をクランク角度ベースで算出し、噴射時期補正部530に出力するだけとした。しかし、着火時期のクランク角度ベース偏差を、基準となる主燃料成分のセタン価との差分と考え、その差分を予混合ガスの燃焼による吸気温度の上昇の度合いで調整を行うこととして、着火時期のクランク角度ベース偏差が−、つまり早期着火の場合は、要求予混合ガス演算部533で算出された要求予混合ガス量Rgsolを減少する側に補正して下流側に出力するように、また、着火時期のクランク角度ベース偏差が+、つまり着火遅れの場合は、要求予混合ガス演算部533で算出された要求予混合ガス量Rgsolを増加する側に補正して下流側に出力するようにしても良い。
この場合の、着火時期のクランク角度ベース偏差による要求予混合ガス量に対する補正量は、例えば、予め実験的にエンジン回転速度Ne及び要求トルクTrqsol(図4、図13中では補正された要求トルクTrqsolとなる)の二次元マップで求めてROM203上に、電子的に格納しておく。
このようにすることで、燃料噴射時期の制御に加えて、セタン価による着火時期のばらつきを、PCCI燃焼規範瞬時トルク取得部521が取得した規範瞬時トルクパターン521aが示す規範の着火時期に一致するように、制御する一助にできる。
第1の実施形態のエンジン制御装置の概略機能構成図である。 図1のエンジンの気筒頭部拡大図である。 内燃機関の制御装置に用いられるエンジン制御電子制御ユニットのハード的な構成説明図である。 エンジン制御電子制御ユニットの機能ブロック構成図である。 ガスインジェクタの噴射時期及び噴射期間を、排気弁及び吸気弁の開閉タイミングを参照して説明する図である。 熱発生率に及ぼす主燃料のセタン価の影響を説明する図である。 熱発生率に及ぼす主燃料の噴射時期の影響を説明する図である。 図7と同じエンジンの運転条件で熱発生率に及ぼす主燃料のセタン価と噴射時期の影響を説明する図である。 比較例と本実施形態におけるセタン価に対する図示平均有効圧(IMEP:Indicate Mean Effective Pressure)の変動分布(C.O.V.:Coefficient of Variation)の差を説明する図である。 比較例と本実施形態におけるセタン価に対する正味燃料消費率(BSFC:Break Specific Fuel Consumption)の差を説明する図である。 本実施形態及び比較例に係るエンジン回転速度とエンジントルクに対するPCCI燃焼が可能な領域を比較した図である。 第2の実施形態のエンジン制御装置の概略機能構成図である。 エンジン制御電子制御ユニット(ECU)の機能ブロック構成図である。 局所温度と局所当量比に対するPMの生成領域とNOxの生成領域を示す図である。
符号の説明
1 エンジン(内燃機関)
2 シリンダ
3 ピストン
4 燃焼室
5 燃料インジェクタ
6 コモンレール
7 クランク軸
8 高圧供給ポンプ
9 アクセルペダル
10 吸気通路
12 ターボ過給機
12a 排気タービン
12b 圧縮機
13 インタークーラ
14 スロットル弁
14a スロットル開度センサ
16 吸気弁
17 排気弁
20 排気通路
21 VGTアクチュエータ
21a VGTポジションセンサ
22 触媒コンバータ
22a 酸化触媒
22b DPF
23 EGR通路
24 EGR弁(排出ガス循環制御手段)
24a EGR弁リフトセンサ
25 EGRクーラ
31 ガスインジェクタ(ガス噴射弁)
33 圧力調整弁(予混合ガス圧力調整弁)
34A 水素タンク
34B 水素タンク(蓄圧タンク)
37 燃料改質器(ガス生成手段)
42 燃料タンク
50A,50B ECU
64 高圧供給配管
71 戻り配管
72 圧力調整弁
73 戻り配管
75 ガス供給元管
76 ガス供給配管
100A,100B 内燃機関の制御装置(内燃機関の制御装置)
110 主燃料供給系(主燃料供給手段)
120 排気還流系
130A,130B ガス供給系(ガス供給手段)
501 要求トルク演算部(要求トルク算出手段)
504 要求トルク補正部(要求トルク補正手段)
505 目標主燃料噴射量演算部(主燃料供給制御手段)
506 目標空燃比演算部
507 目標新気量演算部
508 新気量制御部
509 EGR弁制御部
511 PCCI燃焼規範主燃料噴射制御部(主燃料供給制御手段)
512 コモンレール圧演算部(主燃料供給制御手段)
513 コモンレール圧制御部(主燃料供給制御手段)
512a コモンレール圧二次元マップ
521 PCCI燃焼規範瞬時トルク取得部(規範瞬時トルク取得手段)
521a 規範瞬時トルクパターン
522 規範瞬時トルク積算値取得部
522a 規範瞬時トルク積算値
525 実瞬時トルク取得部(実瞬時トルク取得手段)
526 実瞬時トルク積算部(実瞬時トルク積算手段)
528 着火時期分析部
530 噴射時期補正部(主燃料供給時期補正手段)
531 ヘッダ圧演算部(ガス供給制御手段)
532 ヘッダ圧制御部(ガス供給制御手段)
533 要求予混合ガス演算部(ガス供給制御手段)
534A,534B 要求予混合ガス量補正部(ガス供給制御手段)
535 予混合ガス噴射制御部(ガス供給制御手段)
536 タンク圧制御部(ガス供給制御手段)
538 燃料改質器制御部(ガス供給制御手段)
θth アクセル開度
Pc 燃圧
Pcl 筒内圧
Pg ヘッダ圧
Air エアーフローメータ
Sa クランク角センサ
Sb カム角センサ
Acc アクセルポジションセンサ
水素濃度センサ(水素ガスセンサ)
O2ex 排気O2センサ
Pc コモンレール圧センサ
PHb 水素タンク圧センサ
Pcl 筒圧センサ
Phg ヘッダ圧センサ(予混合ガス圧力センサ)
Psa 過給圧センサ
Tsa 過給気温度センサ
Tf 燃料温度センサ

Claims (8)

  1. 軽油又は軽油とその他の燃料との混合燃料を主燃料とし、燃焼室内でこの主燃料を圧縮着火させる内燃機関の制御装置において、
    主燃料を前記内燃機関の各気筒に供給する主燃料供給手段と、
    水素を含む予混合ガスを前記内燃機関の各気筒に供給するガス供給手段と、
    前記内燃機関の予混合圧縮着火燃焼条件にもとづいて、前記主燃料供給手段による主燃料の各気筒への供給時期及び供給期間を制御する主燃料供給制御手段と、
    前記内燃機関の予混合圧縮着火燃焼条件にもとづいて、前記ガス供給手段による前記予混合ガスの各気筒への供給時期及び供給期間を制御するガス供給制御手段と、
    前記内燃機関の排気通路から排出ガスの一部を抽出して、前記内燃機関の吸気側に戻すEGR量を制御する排出ガス循環制御手段と、
    前記内燃機関の気筒圧を検出する筒圧センサと、
    アクセル開度とエンジン回転速度にもとづいて要求トルクを算出する要求トルク算出手段と、
    前記検出された気筒圧から実瞬時トルクを取得する実瞬時トルク取得手段と、
    を備え、
    前記主燃料供給制御手段は、前記算出された要求トルクと前記取得された実瞬時トルクにもとづいて前記主燃料の各気筒への供給時期及び供給期間を制御するとともに、
    前記ガス供給制御手段は、前記算出された要求トルクと前記取得された実瞬時トルクにもとづいて、前記予混合ガスの各気筒への供給時期及び供給期間を制御し、
    前記排出ガス循環制御手段は、前記算出された要求トルクと前記取得された実瞬時トルクにもとづいて、前記内燃機関の吸気側に戻すEGR量を制御する、
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記算出された要求トルクにもとづいて、前記予混合圧縮着火燃焼条件にもとづく規範瞬時トルクを取得する規範瞬時トルク取得手段と、
    前記取得された実瞬時トルクを積算して実トルクを算出する実瞬時トルク積算手段と、
    前記要求トルクと前記実トルクの差分であるトルク偏差にもとづき、前記算出された要求トルクを補正する要求トルク補正手段と、
    前記取得された実瞬時トルクと前記取得された規範瞬時トルクとにもとづいて、主燃料の各気筒への供給時期を補正する主燃料供給時期補正手段と、
    を備え、
    前記主燃料供給制御手段は、前記補正された主燃料の各気筒への供給時期の制御と、前記補正された要求トルクにもとづいて前記主燃料の各気筒へ供給期間の制御をするとともに、
    前記ガス供給制御手段は、前記補正された要求トルクにもとづいて、前記予混合ガスの各気筒への供給時期及び供給期間を制御し、
    前記排出ガス循環制御手段は、前記補正された要求トルクにもとづいて、前記内燃機関の吸気側に戻すEGR量を制御する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記ガス供給手段は、
    前記主燃料から水素又は水素を含む改質ガスを予混合ガスとして生成するガス生成手段と、
    前記生成された予混合ガスを圧縮するガス圧縮機と、
    前記圧縮された前記予混合ガスを蓄圧状態に貯留する蓄圧タンクと、
    前記蓄圧タンクの前記予混合ガスを、前記内燃機関の各気筒に向けて分岐したガス供給配管を通じて供給されて噴射するガス噴射弁と、を有する、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記ガス供給手段では、
    前記蓄圧タンクから前記ガス噴射弁までの間を連通する前記ガス供給配管に、前記予混合ガス圧を調整する予混合ガス圧力調整弁と、前記予混合ガス圧を検出する予混合ガス圧力センサとをこの順に配置しており、
    前記ガス供給制御手段は、前記予混合ガス圧力センサにより検出された予混合ガス圧にもとづいて前記ガス噴射弁に供給する前記予混合ガス圧を調整する、
    ことを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
  5. ガス供給制御手段は、前記予混合ガスの前記供給期間の算出を、前記内燃機関の予混合圧縮着火燃焼条件にもとづく要求予混合ガス量にもとづいて算出する、
    ことを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記ガス供給制御手段は、
    前記蓄圧タンクより下流側の予混合ガス圧を前記予混合ガス圧力センサで検出するとともに、水素ガスセンサで水素濃度を検出し、
    前記予混合圧縮着火燃焼条件にもとづく要求予混合ガス量が、吸入空気量に対する水素濃度で所定の濃度範囲となるように制御する水素濃度制御手段を有し、
    前記水素濃度制御手段により制御された前記要求予混合ガス量にもとづいて前記予混合ガスの前記供給期間の算出をする、
    ことを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 前記ガス供給制御手段は、前記蓄圧タンクの圧力を、少なくともエンジン回転速度及び前記要求トルクに応じて予め設定された圧力に制御する、
    ことを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  8. 前記ガス供給制御手段は、吸気弁が開状態で、排気弁が閉状態である、バックファイアを起こさないタイミングを検出し、この期間内に前記予混合ガスを各気筒の吸気に供給する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
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