JP4951168B2 - シート状リチウム二次電池 - Google Patents
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- Y02P70/50—Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はシート状リチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯用の電話やパソコンなどの電子機器用の電池として放電容量の大きいリチウム二次電池が脚光を浴びている。このリチウム二次電池として、従来は主として円柱状や箱型などの立体型電池が主流をなしてきた。しかし、近時、スペースファクター並びに軽量の点からシート状リチウム二次電池に関心が高まっている。
【0003】
シート状リチウム二次電池の長所は、立体型電池と異なって薄型であるので、放熱性が良好なために電池内に熱が籠もる程度が低く、このためにたとえ何らかの理由で過電流が流れ、あるいは釘などによる貫通傷が生じても、電池内部のリチウムの燃焼による爆発事故が起こり難く頗る安全なることである。
【0004】
通常、シート状リチウム二次電池では、電池容量を大きくするために、正極シート電極と負極シート電極をセパレータまたは固体電解質層を介して重ねた単位を複数含む積層構造体を形成し、これを発電要素に使用して、電池の有効反応面積を大きくしている。
【0005】
しかし、発電要素をこのような積層構造体にした場合、積層構造体内のシート電極間に浮き(シート電極間に隙間が空いた状態)が発生して、電池の内部抵抗が上昇し、電池性能(特にレート特性、低温特性、サイクル特性等)が低下することがある。よって、これを防止するために、通常、かかる積層構造体の外周に粘着テープを巻き付けて、積層構造体を構成する複数のシート電極を結束固定している。
【0006】
この粘着テープによる結束では、各シート電極の全体がセパレータまたは固体電解質層に一様に密着した状態となるように、積層構造体の概ね全体(積層構造体の集電端子が突出する面とこれに相対する面を除く面の略全域)に対して粘着テープを巻き付けている。よって、積層構造体内に電解液を含浸処理する(セパレータまたは固体電解質層に電解液を含浸させる)する際に電解液が積層構造体内へ浸透(流入)しにくく、その結果、当該工程に要する時間が長くなって、電池の生産性が低下したり、また、電解液が積層構造体の隅々まで十分に浸透(含浸)せず、電池性能がかえって低下してしまうことがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑み、電池製造時の積層構造体への電解液の含浸作業時に短時間で積層構造体の隅々まで電解液を含浸させることができ、かつ、積層構造体内の各シート電極間に不要な隙間がなく、各シート電極がセパレータまたは固体電解質層に一様に密着し、優れた電池性能を示すシート状リチウム二次電池を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は以下の特徴を有している。
(1)正極シート電極と負極シート電極をセパレータまたは固体電解質層を介して重ねた単位を複数含む積層構造体を発電要素とし、該積層構造体の外周にテープを巻き付けて、該積層構造体を構成する複数のシート電極をテープで結束固定したシート状リチウム二次電池であって、該積層構造体の最外に位置する2枚のシート電極の表面を積層構造体の主面と呼び、複数のシート電極の端面が集合した面を積層構造体の側面と呼ぶとして、積層構造体の側面を覆う部分のテープに複数の貫通孔を分散して設けたことを特徴とするシート状リチウム二次電池。
(2)正極シート電極および負極シート電極が略矩形のシートであり、積層構造体が略直方体の外形を有し、テープが当該積層構造体の両主面と一組の相対する側面に対して巻き付けられ、テープの巻き付け領域の面積が、当該積層構造体の両主面と一組の相対する側面の総面積の30%以上である上記(1)記載のリチウムイオン二次電池。
(3)複数の貫通孔の各孔の孔径が0.1〜8mmの範囲に設定され、各隣接する2つの孔の間隔が0.05〜8mmの範囲に設定されている上記(1)または(2)記載のシート状リチウム二次電池。
(4)正極シート電極と負極シート電極間に、塩と相溶性溶媒とビニリデンフルオライドを主単位とするフッ素ポリマーとを主体成分とする固体電解質層を介在させている上記(1)〜(3)のいずれかに記載のシート状リチウム二次電池。
(5)固体電解質層のフッ素ポリマーが密度0.60〜1.30g/cm3の多孔質体である上記(4)記載のシート状リチウム二次電池。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより具体的に説明する。
本発明のシート状リチウム二次電池は、発電要素として、正極シート電極と負極シート電極をセパレータまたは固体電解質層を介して重ねた単位を複数含む積層構造体を有するものにおいて、積層構造体の外周にテープを巻き付けて積層構造体を構成する複数のシート電極を結束固定し、積層構造体の少なくとも側面(すなわち、複数のシート電極の端面が集合する面)を覆う部分のテープに複数の貫通孔を分散して設けたことが特徴である。
上記結束用のテープは一般に粘着テープが好ましいが、粘着層をもたないテープであってもよい。粘着層をもたないテープの場合、テープの巻き付け後に所要の接着剤や止め具にてテープ止めを行う。なお、以下に説明する具体例は粘着テープを用いた好適例である。
【0010】
図1〜図3は本発明の一例によるシート状リチウム二次電池を示し、図1は積層構造体(発電要素)の概略斜視図、図2は該積層構造体内の正極シート電極と負極シート電極の積層状態を示した要部拡大断面図、図3は該積層構造体に粘着テープを巻き付けた状態の概略斜視図である。
【0011】
図1、2に示すように、発電要素である積層構造体3は、矩形の正極シート電極1と負極シート電極2をセパレータまたは固体電解質層4を介して重ねた単位を複数含む構造体であり、外形は略直方体を呈している。
【0012】
積層構造体3を構成する正極シート電極1と負極シート電極2は、図2に示すように、それぞれ、少なくとも活物質とバインダーを混合し、必要に応じて導電材をさらに混合した活物質組成物層(正極活物質組成物層6、負極活物質組成物層7)をシート状の集電体8、9上に層状に形成したものであり、セパレータまたは固体電解質層4にその活物質組成物層(正極活物質組成物層6、負極活物質組成物層7)を対向させている。各シート電極(正極シート電極1、負極シート電極2)の集電体8、9には、活物質組成物層の未形成部(図示せず)を設け、そこにリード(図示せず)が例えば溶接等によって取り付けられており、複数の正極シート電極1の各リードの端部が正極用集電端子10に接続され、複数の負極シート電極2の各リードの端部が負極用集電端子11に接続されている。
【0013】
積層構造体3の最外に位置する2枚のシート電極(負極シート電極2a、2b)の表面2a’、2b’を積層構造体の主面と呼び、複数のシート電極(正極シート電極1および負極シート電極2)の端面の集合面を積層構造体の側面と呼ぶとして、図3に示すように、積層構造体3の両主面3A−1、3A−2と、積層構造体の一組の相対する側面3B−1、3B−2の略全域に対して粘着テープ5を巻き付けて、複数枚のシート電極(正極シート電極1、負極シート電極2)を結束固定し、さらに、該粘着テープ5の積層構造体3の一組の相対する側面3B−1、3B−2を覆う部分に複数の貫通孔51を分散して設けている。
【0014】
当該シート状リチウム二次電池は、粘着テープ5の巻き付けを行った積層構造体3に対して電解液の含浸処理(各セパレータまたは固体電解質層(そのポリマー基質)4に電解液を含浸させる処理)を行い、電解液含浸後の積層構造体3を図示しないシート状の外装材に収容し、正極用集電端子10と負極用集電端子11のそれぞれの端部を外装材の外に引き出した状態で、外装材を封止することで製造される。
なお、電解液の含浸処理を施していない積層構造体を電解液ととも外装材に収容させ、外装材内で積層構造体に電解液を浸透させるようにしてもよい。
【0015】
図4は従来のシート状リチウム二次電池における粘着テープの巻き付けによって複数のシート電極を結束固定した積層構造体を示し、図1〜3と同一符号は同一または相当する部分を示している。従来のシート状リチウム二次電池では、この図に示すように、積層構造体3の両主面3A−1、3A−2と一組の相対する側面3B−1、3B−2の略全域に粘着テープ5が巻きつけられ、積層構造体3の電解液の流入領域となる側面のうち、集電端子10、11の突出する側面3C−1とこれに相対する側面3C−2が開放状態となり、これら一組の相対する側面とは別の側の一組の相対する側面3B−1、3B−2がその略全体が粘着テープで塞がれてしまっている。すなわち、実質的に積層構造体3の側面3B−1、3B−2が電解液の流入領域として使用できなくなっている。
【0016】
これに対し、本発明のシート状リチウム二次電池では、図3に示すように、積層構造体3に巻き付けた粘着テープ5のうち、積層構造体3の側面3B−1、3B−2を覆う部分の粘着テープに複数の貫通孔51を分散して設けているので、実質的に積層構造体の全ての側面(すなわち、一方の側の一組の相対する側面3C−1、3C−2および他方の側の一組の相対する側面3B−1、3B−2)が電解液の流入領域となり、積層構造体3内の隅々まで(各セパレータまたは固体電解質層4の隅々まで)電解液を短時間で浸透(含浸)させることができる。
【0017】
本発明において、粘着テープは積層構造体を構成する複数のシート電極に対して粘着テープの巻き締め力が十分作用するように、積層構造体の巻き付け対象面に対して粘着テープの巻き付け領域をできるだけ大きくするのが好ましい。
例えば、前記図3の正極シート電極1と負極シート電極2が略矩形のシートからなり、その外形が略直方体の積層構造体3の場合では、粘着テープの巻き付け対象面である積層構造体3の両主面3A−1、3A−2および一組の相対する側面3B−1、3B−2に対して、粘着テープの巻き付け領域5Aの面積は、これらの面の総面積に対して30%以上が好ましく、50%以上が特に好ましい。
【0018】
また、前記図3では太幅の粘着テープによる一個の大きな面積の巻き付け領域5Aを示しているが、例えば、細幅の粘着テープによって小さい面積の巻き付け領域を複数形成し、複数の巻き付け領域のトータルの面積が巻き付け対象面の総面積に対して上記の30%以上(好ましくは50%以上)となるようにしてもよい。
【0019】
本発明において、粘着テープの積層構造体の側面を覆う部分に分散して設ける複数の貫通孔における各貫通孔の孔径と隣接する2つの孔間の間隔(ピッチ)は、個々の孔における電解液の通過のしやすさ、積層構造体側面への電解液の浸透性およびテープ強度等を考慮して設定され、各貫通孔の孔径は0.1〜8mmの範囲が好ましく、0.5〜5mmの範囲が特に好ましい。また、隣接する2つの孔の間の間隔(ピッチ)は0.05〜8mmの範囲が好ましく、0.1〜5mmの範囲が特に好ましい。すなわち、各貫通孔の孔径と隣接する2つの孔の間の間隔(ピッチ)を上記の好ましい範囲に設定することにより、電解液が各貫通孔を速やかに通過して、積層構造体の側面から内部に一様に浸透していくとともに、粘着テープの巻き付け作業時および/または粘着テープ巻き付け後におけるテープ破断の発生を十分に抑制することができる。なお、「隣接する2つの孔の間の間隔(ピッチ)」とは隣接する2つの孔の周縁の最も近接する部分間の間隔である。
【0020】
また、粘着テープの積層構造体の側面を覆う部分における貫通孔の占める割合(粘着テープの積層構造体の側面を覆う部分の面積に対する複数の貫通孔の総開口面積の比率)は30〜70%が好ましく、特に好ましくは40〜60%である。この範囲を超えて貫通孔の占める割合が大きくなるとテープ破断の問題が懸念され、また、貫通孔の占める割合が小さくなると電解液の積層構造体への浸透速度が十分に向上し得ない虞がある。
【0021】
本発明において、粘着テープに設ける貫通孔の形状は特に限定されない。例えば、図3に示すような円形の他、楕円形、四角形等の多角形等が挙げられる。なお、前述の貫通孔の「孔径」は、貫通孔が円形の場合はその直径であり、貫通孔が円形以外の他の形状である場合は、その開口面積に等しい面積の円形の孔を想定した時の該円形の孔の直径である。
【0022】
貫通孔は粘着テープを積層構造体に巻き付ける前に形成してもよいし、粘着テープを積層構造体に巻き付けた後に形成してもよい。
粘着テープを積層構造体に巻き付ける前に粘着テープに貫通孔を形成する場合、積層構造体の大きさ、テープの巻き付け時の伸度等を考慮して貫通孔が積層構造体の側面に位置するように貫通孔を形成する、または、巻き付ける粘着テープ全体に貫通孔を形成する。巻き付ける粘着テープ全体に貫通孔を形成する場合、貫通孔の形成位置を調整する煩雑さはないが、巻き付ける粘着テープ全体に貫通孔が形成されているので、巻き付け作業時または巻き付け後の粘着テープの破断、巻き付け後の粘着テープの経時的な粘着力の低下等が懸念される。よって、巻き付ける粘着テープ全体に貫通孔を形成する場合、かかる点を十分に考慮して、粘着テープの種類、粘着するテープ全体における貫通孔の占める割合等を決定する。
【0023】
本発明のシート状リチウム二次電池では、1枚のシート電極の大きさは電池設計に応じて適宜選択され、通常、10〜100cm2の範囲から選択される。また、積層構造体における正極シート電極と負極シート電極とがセパレータまたは固体電解質層を介して積層された単位の数も電池設計に応じて適宜選択され、通常、2〜20の範囲から選択される。また、積層構造体の最外に位置する2枚のシート電極は、前記図3の例では、共に負極シート電極であるが、2枚のシート電極の一方が正極シート電極で、他方が負極シート電極の場合や両方が正極シート電極の場合等、電池設計に応じて異なることは言うまでもない。
【0024】
本発明において、粘着テープ5は電気絶縁性に優れ、発電要素の発熱や電解液に対して耐性を有するものが好ましく、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、綿、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂等からなるテープ基材に、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤等による粘着剤層を形成したものが好ましく、特に好ましくはポリプロピレンからなるテープ基材に、アクリル系粘着剤による粘着剤層を形成したものである。基材の厚みは5〜100μmが好ましく、粘着剤の厚みは10〜50μmが好ましい。
【0025】
本発明において、正極シート電極に用いる正極活物質は、リチウム二次電池における公知の正極活物質を使用できるが、Li−遷移金属複合酸化物が好ましく、特に好ましくはLi−Co複合酸化物、Li−Mn複合酸化物およびLi−Ni複合酸化物から選ばれる少なくとも一種の化合物であり、とりわけ好ましくはLi−Co複合酸化物である。
【0026】
また、正極活物質とともに使用する導電材としては、当分野において従来から広く用いられている、たとえば繊維状黒鉛、鱗片状黒鉛、球状黒鉛などの天然や人造の黒鉛類や導電性カーボンブラックなどを用いることができる。導電材の使用量は、正極活物質、バインダー、導電材の合計使用量100重量部あたり、好ましくは1重量%〜10重量%、より好ましくは3重量%〜7重量%である。
【0027】
また、正極活物質とともに使用するバインダーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、エチレン−プロピレン−ジエン系ポリマーなどが好適なものとして挙げられる。該バインダーの使用量は、正極活物質、バインダー、導電材の合計使用量100重量部あたり、好ましくは1重量%〜7重量%、より好ましくは2重量%〜5重量%である。
【0028】
正極用集電体としては、アルミニウム、アルミニウム合金、チタンといった導電性金属で形成された箔やエキスパンドメタルなどが挙げられ、これらは孔が形成されていてもよい。
【0029】
負極シート電極に用いる負極活物質としては黒鉛化炭素が好適に用いられる。このような黒鉛化炭素としては、各種の天然黒鉛や人造黒鉛、たとえば繊維状黒鉛、鱗片状黒鉛、球状黒鉛などの黒鉛類が挙げられる。また、負極活物質と共に用いるバインダーとしては、従来と同様に、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン−ジエン系ポリマーなどが好適なものとして挙げられ、中でも特にポリビニリデンフルオライドが好ましい。負極活物質の使用量としては、負極活物質とバインダーとの合計量100重量部あたり2重量部〜20重量部程度が好ましい。
【0030】
負極用集電体としては、銅、ニッケル、銀、ステンレスなどで形成された箔やエキスパンドメタルなどが挙げられ、これらは孔が形成されていてもよい。
【0031】
正極シート電極と負極シート電極間にセパレータを介在させたタイプの電池とする場合、セパレータには、公知のリチウム二次電池用のセパレータを制限なく使用できるが、なかでも、ポリオレフィンセパレータが好ましく、ポリオレフィン多孔質セパレータが特に好ましい。ポリオレフィン(多孔質)セパレータは、ポリエチレン層またはポリプロピレン層の単体からなるものでも、ポリエチレン層とポリプロピレン層を積層した複合セパレータでもよい。複合セパレータの積層構成は特に限定されず、ポリエチレン層/ポリプロピレン層、ポリエチレン層/ポリプロピレン層/ポリエチレン層、ポリプロピレン層/ポリエチレン層/ポリプロピレン層等の種々の積層構成のものを使用できる。
【0032】
セパレータの厚みは、一般に平均厚みが5〜100μmが好ましく、特に好ましくは10〜30μmである。なお、ここでいうセパレータの厚みは正極および負極の間に介在させた状態(実際に電池を組み立てた状態)での厚みであり、正極と負極の離間距離に等しい。
【0033】
また、正極シート電極と負極シート電極間に固体電解質層を介在させたタイプの電池(ポリマー電池)とする場合、固体電解質層には、公知のリチウム二次電池用の固体電解質層を制限なく使用できるが、ポリマー基質に電解液(リチウム塩(電解質)+相溶性溶媒)が含浸してゲル化し、それ自体がイオン伝導性を示すように調製された固体電解質層が好ましい。なかでも、ポリマー基質に、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリ塩化ビニル、ポリビニリデンカーボネート、ビニリデンフルオライドを主単位とするフッ素ポリマー(ポリビニリデンフルオライドを含む)等を使用したものが特に好ましく、電池のレート特性、低温特性等の点からビニリデンフルオライドを主単位とするフッ素ポリマーを使用したものがとりわけ好ましい。なお、固体電解質層を使用すればそのゲル化によって、セパレータに比べてシート電極に対してより良好な密着性が得られる。
【0034】
上記ビニリデンフルオライドを主単位とするフッ素ポリマーとは、ビニリデンフルオライドの単独重合体(ポリビニリデンフルオライド(PVdF))、または、ビニリデンフルオライドとその他のフッ素原子を有するビニル系モノマーとの共重合体を意味し、これらはそれぞれ単独でも混合して用いてもよい。上記ビニリデンフルオライド以外のフッ素原子を有するビニル系モノマーとしては、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、テトラフルオロエチレン(TFE)等が挙げられる。また、共重合体の形態はランダム、ブロックのいずれの形態でもよい。共重合体である場合、ビニリデンフルオライド(の単位)の割合が70モル%以上が好ましく、特に好ましくは75モル%以上である。
【0035】
また、ビニリデンフルオライドを主単位とするフッ素ポリマーは、カルボキシル基(−COOH)、スルホン酸基(−SO2OH)、カルボン酸エステル基(−COOR)、アミド基(−CONH2)またはリン酸基(−PO(OH)2)等からなる官能基を有するビニル系モノマーの重合体がグラフトされていてもよい(カルボン酸エステル基(−COOR)における置換基Rは、メチル基、エチル基、ブチル基等の炭素数が1〜4の低級アルキル基である。)。フッ素ポリマーをかかる官能基を含有する重合体がグラフトしたポリマー形態にすると、固体電解質層のシート電極への接着性がより向上し、電極間の抵抗がより低下するため、電池性能(特に、レート特性および低温特性)が更に向上する。上記官能基を有するビニル系モノマーとしては、官能基を除く部分の炭素数が4以下の化合物からなるモノマーが好適である。カルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、アリル酢酸等のカルボキシル基を1個有するものの他、イタコン酸、マレイン酸等のカルボキシル基を2個以上有するものも使用可能である。スルホン酸基含有モノマーとしては、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸等が好適である。カルボン酸エステル基含有モノマーとしては、メチルアクリレート、ブチルアクリレート等が好適である。アミド基含有モノマーとしては、アクリルアミド等が好適である。リン酸基含有モノマーとしては、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレシルなどが好適である。これらのうち最も好ましいものは、アクリル酸またはメタアクリル酸である。
【0036】
グラフト化する方法としては、特に限定はされないが、放射線法が好適である。例えば、ポリマー鎖基質(グラフトされる側のポリマー)とグラフトモノマー材料とを共存させて、放射線を連続的または間欠的に照射する、または、より好ましくは両者を共存させる前にポリマー基質に放射線を予備照射しておく。放射線は、電子ビーム、X線またはγ線が使用される。放射線の照射により、ポリマー基質は遊離基を発生して活性化する。
【0037】
グラフト化の程度は、いくつかの因子により決定することができるが、最も重要なのは、活性化した基質がグラフトモノマーと接触している時間の長さ、放射線による基質の予備活性の程度、グラフトモノマー材料が基質を透過できるまでの程度、および、基質およびモノマーが接触しているときの温度である。例えば、グラフトモノマーが酸であるとき、モノマーを含有する溶液をサンプリングして、塩基に対して滴定し、残留するモノマー濃度を測定することにより、グラフト化の程度を観測することができる。グラフト化の程度は最終重量の2〜20%が好ましく、特に好ましくは3〜12%、とりわけ好ましくは5〜10%である。なお、グラフト化は、ポリマー基質の活性化(遊離基の発生)を光照射または熱によって行う方法で行ってもよい。
【0038】
ビニリデンフルオライドを主単位とするフッ素ポリマーは、230℃、10kgにおけるメルトフローインデックスが1.0g/10min以下であるのが好ましく、0.2〜0.7g/10minであるのがより好ましい。なお、該メルトフローインデックスは、標準ASTM D 1238に説明されている方法で測定した値である。メルトフローインデックスがかかる1.0g/10min以下であることにより、固体電解質層の機械的強度が良好となり、また、室温でのイオン伝導性もより向上する。
【0039】
また、ビニリデンフルオライドを主単位とするフッ素ポリマーの多孔質体を使用することで、レート特性、低温特性等が一層向上する。多孔質体の密度は0.60g/cm3〜1.30g/cm3が好ましく、特に好ましくは0.70〜1.00g/cm3である。多孔質体の密度が0.60g/cm3未満であると、機械的強度の低下により積層構造体の作成時に取り扱いにくくなる等の問題が懸念され、密度が1.30g/cm3より大きいと、目的のレート特性、低温特性の向上効果が得られにくくなる。
【0040】
当該多孔質体における空孔の平均孔径は0.01〜10μmが好ましく、特に好ましくは0.1〜5.0μmである。この「平均孔径」は、SEM観察により任意の10個の空孔を取り出し、この10個の空孔の孔径の平均値を算出して、平均孔径とした。
【0041】
固体電解質層に使用する電解液(リチウム塩(電解質)+相溶性溶媒)を構成するリチウム塩(電解質)としては、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiAlCl4 およびLi(CF3SO2)2Nからなる群から選ばれる一種または二種以上が使用される。また、相溶性溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどが例示され、これらから選ばれるいずれか1種または2種以上の混合物が使用される。混合溶媒を使用する場合は、特に、ジエチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートから選ばれる少なくとも一種を含み、更にエチレンカーボネートと、プロピレンカーボネートと、ジメチルカーボネートとを含む混合物が好適である。かかる混合物を構成する各成分の混合比は、ジエチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートから選ばれる少なくとも一種においては、25体積%〜50体積%であるのが好ましく、30体積%〜35体積%であるのがより好ましい。エチレンカーボネートにおいては混合比が4体積%〜20体積%であるのが好ましく、6体積%〜18体積%であるのがより好ましい。プロピレンカーボネートにおいては混合比が3体積%〜17体積%であるのが好ましく、5体積%〜15体積%であるのがより好ましい。また、ジメチルカーボネートにおいては混合比が40体積%を超えて60体積%以下であるのが好ましく、45体積%〜55体積%であるのがより好ましい。
【0042】
電解液中のリチウム塩(電解質)濃度は、0.1モル/L〜2モル/Lが好ましく、特に好ましくは0.5モル/L〜1.5モル/Lである。塩(電解質)の濃度がかかる好ましい濃度であれば、レート特性、低温特性の点でより好ましい結果が得られる。
【0043】
なお、電池の使用温度(特に低温使用時)での電解液の結晶化防止等を目的に、上記相溶性溶媒とともに、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、N−メチル−ピロリドン(1−メチル−2−ピロリドン)、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等の可塑剤を使用するのが好ましい。該可塑剤の使用量は相溶性溶媒に対して1重量%〜50重量%程度が好ましい。当該可塑剤を添加することで、フッ素ポリマーに浸透(含浸)させた電解液の結晶化が起こりにくく、固体電解質層の十分なイオン伝導性を確保することができる。
【0044】
固体電解質層の厚みは、シート電極(正極シート電極および負極シート電極)の形状、サイズ等によっても相違するが、一般に平均厚みが5〜100μmが好ましく、特に好ましくは8〜50μm、とりわけ好ましくは10〜30μmである。なお、ここでいう固体電解質層の厚みは正極シート電極および負極シート電極の間に介在させた状態(実際に電池を組み立てた状態)での厚みであり、正極シート電極と負極シート電極の離間距離に等しい。
【0045】
本発明において、固体電解質層の形成方法は特に限定されない。例えば、
(a)ポリマー基質用材料を、押出成形等の公知の成形方法でフィルム状に成形してフィルムとする、若しくは、ポリマー基質用材料と適当な溶媒を混合した塗液(ペースト)を調製して、該塗液(ペースト)を適当なコーターで剥離用基材の表面に塗工して塗膜を形成し、該塗膜を加熱、乾燥後、剥離用基材から剥離することでフィルムとし、得られたフィルムを電解液(リチウム塩を相溶性溶媒に溶解させた溶液)に浸漬してゲル化する方法(電池の作製工程において正極および負極とともに溶液に浸漬する場合も含む。)、(b)電解液用のリチウム塩と相溶性溶媒を適当な溶剤に溶解し、さらにポリマー基質用材料を添加し、必要に応じて加温しながら、ポリマー基質用材料を溶解して塗液(ペースト)を調製し、これを剥離用基材の表面に適当なコーターで塗工して塗膜を形成し、該塗膜を段階的に温度を上げて加熱、乾燥して前記溶剤を蒸発させ、剥離用基材から固体電解質層を剥離する方法、(c)正極シート電極および/または負極の少なくとも一方の面に直接、上記のリチウム塩、相溶性溶媒、ポリマー基質用材料が溶解した塗液(ペースト)による塗膜を形成し、溶剤の蒸発を行って、固体電解質層を形成する方法等が挙げられる。
【0046】
上記(a)〜(c)の方法において、塗液(ペースト)にさらに発泡剤を添加混合し、溶剤の蒸発とともに気泡を発生させるようにすれば、ポリマー基質が多孔質体で存在する固体電解質層を得ることができる。
【0047】
上記(b)および(c)の方法における溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等が好ましい。
【0048】
また、上記ポリマー基質を多孔質体にする場合に用いる発泡剤としては、分解性発泡剤、気体発泡剤、および揮発性発泡剤のいずれも使用できるが、上記(a)の方法では気体発泡剤または揮発性発泡剤が好ましく、気体の発泡剤としては、窒素、炭酸ガス、プロパン、ネオペンタン、メチルエーテル、二塩化二フッ化メタン、n−ブタン、イソブタン等が好適であり、揮発性の発泡剤としては、n−オクタノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール等が好適である。また、上記(b)および(c)の方法では、揮発性発泡剤が好ましく、なかでもn−オクタノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール等が特に好ましく、n−オクタノールがとりわけ好ましい。
【0049】
ポリマー基質を多孔質体にする場合の多孔質体の密度は、発泡剤の量や製造時の各種条件を変えることによって調整される。例えば、(a)の方法の場合、発泡剤の量以外で密度(発泡度)に大きく影響する製造条件としては、成形温度、成形速度、成形圧力等である。また、(b)および(c)の方法の場合、発泡剤の量以外で密度(発泡度)に大きく影響する製造条件としては、塗工速度、乾燥温度プロファイル、排気の程度、成形速度等である。
【0050】
シート電極間にセパレータを介在させるタイプの電池において使用される電解液は、前記した固体電解質層のポリマー基質に含浸させる電解液(リチウム塩(電解質)+相溶性溶媒)が使用される。
【0051】
本発明のシート状リチウム二次電池における外装材としては、熱可塑性樹脂ラミネートを片面または両面に有する熱可塑性樹脂ラミネート金属薄板または熱可塑性樹脂ラミネート箔などが好ましい。このような熱可塑性樹脂ラミネートを有する外装材は、水やガスの透過に対する優れた透過防止性ならびに電気絶縁性などの点から、さらには該熱可塑性樹脂ラミネートを利用して内容物を熱融着封止できる点から好ましい。
【0052】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
実施例1
〔負極シート電極の作製〕
負極活物質となる繊維状黒鉛とバインダーとなるポリビニリデンフルオライドとをN−メチルピロリドン中で混合してスラリー化した負極活物質組成物を得た。該負極活物質組成物中、バインダーは10重量%とした。このスラリーを負極用集電体となる厚み15μmの銅箔の両面上に塗布した後、乾燥して圧延を施し、負極活物質層を形成した。負極用集電体にニッケル板を溶接してリードを形成して、下記寸法の矩形の負極シート電極を得た。
シート電極の大きさ:5cm×3cm
シート電極の厚み:160μm
また、同様にして、銅箔の片面のみに負極活物質層を有する、同一サイズの負極シート電極を作製した。
【0053】
〔正極シート電極の作製〕
正極活物質となるLiCoO2、導電材ならびにバインダーとなるポリビニリデンフルオライドをN−メチルピロリドン中で混合し均一に分散して、スラリー化した正極活物質組成物を得た。該正極活物質組成物中、導電材は5重量%、バインダーは4重量%とした。このスラリーを正極用集電体となるアルミニウム板両面上に塗布した後、乾燥して圧延を施し、正極活物質層を形成した。正極用集電体にアルミニウム板を溶接してリードを形成して、下記寸法の矩形の正極シート電極を得た。
シート電極の大きさ:4.0cm×2.8cm
シート電極の厚み:150μm
【0054】
〔多孔質ポリビニリデンフルオライドフィルムの作製〕
ポリビニリデンフルオライドとジメチルホルムアミド(DMF)とn−オクタノールを混合した塗液を調製して、該塗液を基材(アルミ箔)の上に塗工し、塗膜を加熱、乾燥後、基材から剥離することで密度0.75g/cm3、平均厚み25μmの多孔質フィルムとした。そして、このフィルムを所定寸法に切断し、熱プレス金具が破線状の熱プレス機を用いて、上記1枚の正極シート電極を収容し得る大きさの袋を作製した。
【0055】
〔積層構造体の組立て〕
正極シート電極を多孔質ポリビニリデンフルオライドフィルムの袋に収容したもの(8個)と、負極シート電極(両面に活物質層を有するもの7個、片面に活物質層を有するもの2個)を交互に積み重ねて、各正極シート電極のリードをNi板からなる正極集電端子に溶接し、各負極シート電極のリードをNi板からなる負極集電端子に溶接して積層構造体を組み立てた。
次に、幅47mmの粘着テープ(テープ基材:厚み50μmのポリプロピレンフィルム、粘着剤層:厚み20μmのシリコン系粘着剤)を用意し、これの上記積層構造体に巻き付けたときに積層構造体の側面(集電端子が突出した側面とこれに相対する側面とは別の側の一組の相対する側面)を覆う部分に円形の複数の貫通孔を(各孔の径を約2.0mmにし、各隣接する2つの孔間の間隔を1mmに設定)形成した。そして、この複数の貫通孔を形成した粘着テープを、実際に上記積層構造体に巻き付けて、積層構造体を構成する複数のシート電極を結束固定して、図3に示す状態とした。この粘着テープを巻き付けた積層構造体における粘着テープの積層構造体の側面を覆う部分における貫通孔の占める割合(粘着テープの積層構造体の側面を覆う部分の面積に対する複数の貫通孔の総開口面積の比率)は60%であった。
次に、この粘着テープを巻きつけた積層構造体に、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを50体積%:50体積%の割合で混合した混合溶媒に、LiPF6を濃度が1.0モル/L(調製後の濃度)となるように溶解させた溶液に浸漬して、多孔質ポリビニリデンフルオライドフィルムをゲル化して固体電解質層を形成した。この際、LiPF6の溶液が積層構造体内の全ての多孔質ポリビニリデンフルオライドフィルムの隅々まで浸透し、なおかつ、全ての正極−負極シート電極間にまで行きわたるまでに要した時間(すなわち、適正な浸透状態となるまでの時間)は5分であった。また、各シート電極間に形成された固体電解質層の厚みは22〜28μmの範囲内の略同一厚みであった。
なお、上記電解液の浸透(注液)時間は、電解液を実際に浸透させる時間(作業時間)を種々変更して作製した複数の電池について初回充電を行い、正常な容量(最大容量)が得られるもののうちの浸透時間が最小であったものの時間である。また、上記固体電解質層の厚みはマイクロメータで測定した。
【0056】
〔シート状リチウム二次電池の組立て〕
上記粘着テープを巻き付けた積層構造体を、内側から順に、ヒートシール層、耐電解液性を有する絶縁層、アルミニウム層、絶縁層の積層構造からなるラミネートフィルムからなる外装材(袋状)内に収容し、正極集電端子および負極集電端子が開口部からはみ出すようにして、外装材の開口部を熱融着封止して、シート状リチウム二次電池を完成させた。
【0057】
比較例
粘着テープに貫通孔を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、シート状リチウム二次電池を作製した。なお、LiPF6の溶液が積層構造体内の全ての多孔質ポリビニリデンフルオライドフィルムの隅々まで浸透し、なおかつ、全ての正極−負極シート電極間にまで行きわたるまでに要した時間は約60分であった。
【0058】
上記実施例および比較例で作製した電池について、以下の低温特性試験およびレート特性試験を行った。その結果、実施例の電池と比較例の電池とは同等の電池性能を示した。
実施例(低温特性(放電容量変化率)85%、レート特性97%)
比較例(低温特性(放電容量変化率)86%、レート特性97%)
よって、本発明では電解液の浸透させる時間を従来よりも大幅に短縮して、積層構造体内のシート電極間に不要な隙間のない、高性能のシート状リチウム二次電池を得ることができることを確認できた。
【0059】
〔低温特性試験〕
作製したリチウムイオン二次電池について室温で充電を行った後、これを−20℃の大気雰囲気中に24時間放置する。なお、充電は1C(600mA)定電流で電圧が4.2Vとなるまで電流を流した後、続いて全充電時間が2.5時間となるまで4.2V定電圧で電流を流して行った。次に、この−20℃の大気雰囲気中で0.5C(300mAh)/2.5Vカットオフ電圧で放電を行い、その時の放電容量[mA・H]を求める。また、室温(20℃)でも同様の条件で充電と放電を行い、放電容量[mA・H]を求める。さらに、−20℃下での放電容量を室温下での放電容量で割って放電容量変化率を求めた。
【0060】
〔レート特性試験〕
室温(20℃)下で、2C放電を行い、その放電容量の全容量に対する割合を算出した。なお、2Cとは、リチウムイオン二次電池の放電容量(600mA)に対する1200mAの定電流をいう。
【0061】
【発明の効果】
以上の説明により明らかなように、本発明によれば、発電要素である積層構造体(正極シート電極と負極シート電極をセパレータまたは固体電解質層を介して重ねた単位を複数含む積層構造体)にテープを巻き付けて、積層構造体を構成する複数のシート電極を結束固定しているにもかかわらず、短時間で積層構造体の隅々まで電解液を浸透させることができ、積層構造体内のシート電極間に不要な隙間がなく(各シート電極がセパレータまたは固体電解質層に一様に密着し)、優れた電池特性、特に、良好な低温特性およびレート特性を示すシート状リチウム二次電池を効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例によるシート状リチウム二次電池に用いる積層構造体(発電要素)の概略斜視図である。
【図2】図1の積層構造体内の正極シート電極と負極シート電極の積層状態を示した要部拡大断面図である。
【図3】図1の積層構造体に複数の貫通孔を有する粘着テープが巻き付けられた状態の概略斜視図である。
【図4】従来のシート状リチウム二次電池における粘着テープが巻き付けられた積層構造体の概略斜視図である。
【符号の説明】
1 正極シート電極
2 負極シート電極
3 積層構造体(発電要素)
3A−1、3A−2 積層構造体の主面
3B−1、3B−2、3C−1、3C−2 積層構造体の側面
4 セパレータまたは固体電解質層
5 粘着テープ
51 貫通孔
Claims (4)
- 正極シート電極および負極シート電極が略矩形のシートであり、これら正極シート電極と負極シート電極とをセパレータまたは固体電解質層を介して重ねた単位を複数含む、略直方体の外形からなる積層構造体を発電要素とし、該積層構造体の外周に粘着テープを巻き付けて、該積層構造体を構成する複数のシート電極を粘着テープで結束固定したシート状リチウム二次電池であって、
該積層構造体の最外に位置する2枚のシート電極の表面を積層構造体の主面と呼び、複数のシート電極の端面が集合した面を積層構造体の側面と呼ぶとして、粘着テープが該積層構造体の両主面と一組の相対する側面に対して巻き付けられており、
粘着テープの巻き付け領域の面積が、該積層構造体の両主面と一組の相対する側面の総面積の30%以上であり、
前記一組の相対する側面を覆う部分の粘着テープに複数の貫通孔が分散して設けられ、当該部分の粘着テープに設けられた貫通孔の占める割合が30〜70%である、ことを特徴とするシート状リチウム二次電池。 - 複数の貫通孔の各孔の孔径が0.1〜8mmの範囲に設定され、各隣接する2つの孔の間隔が0.05〜8mmの範囲に設定されている請求項1記載のシート状リチウム二次電池。
- 正極シート電極と負極シート電極間に、塩と相溶性溶媒とビニリデンフルオライドを主単位とするフッ素ポリマーとを主体成分とする固体電解質層を介在させている請求項1または2記載のシート状リチウム二次電池。
- 固体電解質層のフッ素ポリマーが密度0.60〜1.30g/cm3の多孔質体である請求項3記載のシート状リチウム二次電池。
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