JP4005789B2 - 二次電池 - Google Patents

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    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゲル化固体電解質を利用したポリマー二次電池等の二次電池と、その製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在エレクトロニクス分野から自動車用途などに様々な電池が用いられている。これら電池の多くには液体の電解質が含まれるため、その液漏れを防ぐために強固なシールが必要である。高エネルギー密度が得られることなどから携帯機器用の駆動電源として広く利用されているリチウムイオン二次電池においても、液漏れ防止のために例外なく強固な金属缶を外装缶として用いているため、軽量化に適しているというメリットを活かしきれていない。現在のデバイス全般について軽量化、薄型化は避けられない問題であるが、現状のリチウムイオン二次電池を利用したデバイスでは、デバイス全体に占める電池重量がますます大きくなってきており、また、電池の厚さによってデバイスの薄型化に制限が生じるようになってきている。したがって、リチウムイオン二次電池の将来展開を担う一つの鍵は、その軽量化および薄型化にあるといっても過言ではない。
【0003】
このような状況を踏まえ、リチウムポリマー二次電池が開発されつつある。リチウムポリマー二次電池では、ポリマーを電解液で膨潤させたゲル化固体電解質を用いるため、電池内にフリーな液体が存在しない。そのため、液漏れの心配がない。また、シート化、薄型化が可能であること、積層して小型化できること、形状選択の自由度が高いことなどから、次世代タイプの電池として注目を集めている。例えば米国特許第5,296,318号明細書、同5,418,091号明細書には、フッ化ビニリデン(VDF)と8〜25重量%の6フッ化プロピレン(HFP)の共重合体〔P(VDF−HFP)〕に、リチウム塩が溶解した溶液が20〜70重量%含まれているゲル電解質と、これを用いたリチウム・インターカレーション電池が開示されている。
【0004】
ゲル化固体電解質の製造方法としては、以下に説明する2種の方法が知られている。
【0005】
第1の方法は、ポリマーを溶媒に溶解し、そこに電解液等を混合した後、これを種々の方法で基材に塗布し、溶媒を揮発させてゲル化固体電解質フィルムを得るものであり、一般的な方法である。また、ポリマーを電解液に溶解し、これを塗布あるいは押出してゲル化固体電解質フィルムを得る方法も提案されている。しかし、電気化学デバイスに用いられる電解液は一般に水を嫌うため、これらの方法を用いて工業的にゲル化固体電解質を製造しようとする場合、全工程を露点マイナス30℃程度のドライな雰囲気に維持する必要がある。そのため、多額の設備投資および維持費が必要になってしまう。
【0006】
第2の方法は、例えば前記米国特許第5,418,091号明細書に記載されている。この方法では、ポリマー溶液に可塑剤を加え、これを基材に塗布後、溶媒を揮発させてフィルムを作製し、ここから可塑剤を抽出して多孔膜とし、可塑剤抽出により形成された空隙に電解液を含浸させる。この方法を利用して電池を製造する場合、まず、可塑剤を含有した状態の多孔膜を挟んで正極および負極を積層し、さらに集電体を積層して熱圧着することにより積層体を作製する。次いで、可塑剤の抽出および電解液の含浸を行い、多孔膜をゲル化する。この方法では、電解液の含浸工程の前までは通常の環境下で作業できることから、設備投資および維持費が大幅に低減できる。また、塗布・乾燥後、あるいは可塑剤抽出後の多孔膜をフィルム状態でストックできるため、多孔膜の在庫管理が容易となる。しかし、この方法では、多孔膜が上記積層体中に挟まれた状態で電解液を含浸させることになるため、積層体の最外層となる集電体として、電解液が透過可能なエキスパンドメタルを使用する必要がある。エキスパンドメタルとは、金属板に多数の孔を形成したものであり、薄いと外力により変形しやすいため、電池に使用するためにはある程度の厚さが必要である。そのため、エキスパンドメタルを使用したリチウムポリマー二次電池では、外装缶の重量を除くと、液体電解質を使用するリチウム二次電池よりも重くなってしまうという問題が生じる。また、エキスパンドメタルを電極に直接接触させる構成とすると、両者の間で均一な電気的接触がとれないため、例えば米国特許第5,554,459号明細書に示されるように、樹脂中に導電剤を分散させた導電塗料をエキスパンドメタルに塗布しておく必要がある。さらに、エキスパンドメタルを使用すると、熱圧着時に圧力分布に不均一さを生じ、また、ゲル化固体電解質の強度が低いため、熱圧着によって内部短絡が多く発生し、量産化への障害となっていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来のリチウムポリマー二次電池の製造方法には、様々な問題がある。これらの問題が、ポリマー二次電池が提案されて久しいにもかかわらず実用化できない大きな理由の一つとなっている。したがって、リチウムポリマー二次電池の工業的な利用においては、材料面での諸問題もさることながら合理的な製造方法を確立することが重要な課題である。
【0008】
本発明はこのような事情からなされたものであり、薄くかつ軽量なポリマー二次電池等の二次電池を、低コストで容易に製造できる二次電池を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記の本発明により達成される。
(1) 正極、負極および多孔膜を有し、多孔膜と正極と負極とを接着剤により仮固定した後に電解液を含浸させその後これらを圧着することにより、この正極、負極および多孔膜には電解液が浸漬され、前記多孔膜に対し正極の一部および負極の一部がそれぞれ多孔膜に接着剤により固定され、かつ多孔膜に対し正極および負極が圧着されて一体化されている二次電池。
(2) 前記接着剤はホットメルト接着剤である上記(1)の二次電池。
(3) 前記接着剤は、多孔膜、電極の塗布対象面の中央の1点にだけ塗布されている上記(1)または(2)の二次電池。
(4) 前記接着剤の塗布対象面全体に対する接着剤塗布面積の比率は、0.001〜1面積%である上記(1)〜(3)のいずれかの電池。
(5) 前記多孔膜がポリマーを含有し、このポリマーの少なくとも一部が、電解液への浸漬によりゲル化して固体電解質となるものである上記(1)の二次電池。
(6) 前記正極および負極が、電極活物質を結着するためのバインダとしてポリマーを含有し、このポリマーの少なくとも一部が、電解液への浸漬によりゲル化するものである上記(1)〜(5)のいずれかの二次電池。
(7) 前記正極および負極が、バインダとしてポリフッ化ビニリデンを含む上記(1)〜(6)のいずれかの二次電池。
(8) 前記正極および負極が、金属箔からなる集電体と一体化されている上記(1)〜(7)のいずれかの二次電池。
(9) リチウムイオン二次電池である上記(1)〜(8)のいずれかの二次電池。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、ポリマー二次電池の軽量化および薄型化と、集電体への導電塗料塗布工程を省くこととを目的として、集電体として金属箔を利用する実験を行った。この実験では、ポリマー含有多孔膜と、金属箔集電体上に形成され、ポリマーを含有する正負極とを、熱圧着により一体化した後、電解液の含浸を行った。その結果、ポリマーを十分にゲル化することができなかった。
【0011】
この結果から、金属箔集電体を使用する場合には電解液の含浸を熱圧着前に行う必要があることがわかった。ポリマーを使用した多孔膜と正極と負極とを熱圧着するためには、これらに可塑剤を含有させておくことが必要であるが、前記米国特許第5,418,091号に記載された方法のように、熱圧着後に抽出することが必要な可塑剤を用いると、電解液の含浸を可塑剤抽出後、すなわち熱圧着後に行う必要が生じる。したがって、電解液を可塑剤として用い、あらかじめ電解液を含浸させてポリマーをゲル化した後に熱圧着を行った。具体的には、金属箔集電体およびこれに塗布した電極と、電解液含浸前のシート状多孔膜とを、所定の寸法にそれぞれ打ち抜いた後、それぞれに電解液を含浸させ、次いで、積層して熱圧着することにより、良好な特性のポリマー二次電池が得られることがわかった。
【0012】
しかし、セパレータとして使用する多孔膜と電極とを、それぞれ個別に電解液に含浸させてゲル化した場合、これらを積層する際の位置合わせが困難となり、また、ゲル化したことにより強度の低下した多孔膜の取り扱いが非常に困難となって、量産が実質的に不可能であった。ここで、正負極を積層する際に正確な位置決めが必要である理由について説明する。リチウムイオン二次電池では、通常、正極よりも負極を大きくし、積層方向からみたときに正極が負極により完全に覆われた状態となるように積層する。これは、正極に対向して負極が存在しないと、正極から放出されたリチウムイオンが負極中に取り込まれずに析出してしまい、その結果、電池容量が減少してしまうからである。したがって、正極に対し負極が正確に向き合うように、両極の位置関係を正確に決定する必要がある。
【0013】
上記実験結果に基づいて、本発明では図1に示す工程に従い、電解液を含浸させる前に、図2に示すように、多孔膜2に対し正極3および負極4をそれぞれ位置決めすると共に、正極3の一部および負極4の一部をそれぞれ多孔膜2に固定する。この固定は、仮止めであり、例えば正極および負極のそれぞれ中央部だけを多孔膜に接着剤5等により固定するため、固定後に正極3および負極4のそれぞれと多孔膜2との間から電解液が容易に侵入できる。したがって、仮止め後、熱圧着前に電解液を含浸させることができる。そのため、正極3用の集電体31および負極4用の集電体41として金属箔を使用することが可能となるので、電池の軽量化および薄型化が実現できる。また、金属箔集電体の使用により、集電体に導電塗料を塗布する必要がなくなるので工程が簡素化できる。また、金属箔集電体の使用により、熱圧着時の圧力分布の不均一さが生じにくくなるので、内部短絡の発生を抑えることができる。さらに、電解液の含浸により強度の低下した多孔膜を、単独で取り扱う必要もなくなる。
【0014】
仮止めを接着剤により行う場合、接着剤がリチウムイオンの拡散を阻害するおそれがあり、また、電解液の侵入を阻害するので、接着剤塗布箇所はできるだけ少ないことが好ましく、また、接着剤塗布面積はできるだけ狭いことが好ましい。具体的には、接着剤は、多孔膜や電極の塗布対象面の中央の1点だけとすることが好ましい。また、塗布対象面全体に対する接着剤塗布面積の比率は、位置ずれを生じない程度の接着強度が得られるように、接着剤の種類や塗布対象面全体の面積などに応じて適宜決定すればよいが、通常、0.001〜1面積%の範囲から選択すればよい。
【0015】
仮止めに用いる接着剤は、ホットメルト接着剤であることが好ましい。ホットメルト接着剤としては、電極と多孔膜とを接着することが可能であって、かつ、電極や多孔膜の構成成分であるポリマーに比べ融点の低いものであれば、特に制限なく用いることができる。このようなホットメルト接着剤としては、例えばエチレン−メタアクリル酸共重合体を用いることができる。
【0016】
なお、本発明では、接着剤以外の手段で仮止めを行ってもよい。例えば、多孔膜と正極および負極とを位置決めして重ねた後、中央付近をピン、ネジ、ボルト等の固定手段により穿刺することによっても、多孔膜と電極とを仮止めすることが可能である。上記固定手段は、熱圧着後に除去してもよいが、電池としての特性に悪影響を与えなければ、残しておいてもよい。
【0017】
また、本発明において、固体電解質とした多孔膜と正極と負極との一体化は、上記したように熱圧着により行うことが好ましいが、加熱せずに圧着して一体化してもよい。
【0018】
本発明において使用する多孔膜は特に限定されず、また、その製造方法も特に限定されない。「微多孔性ポリマーとその応用展開」(東レ リサーチセンター、1997年1月1日発行)に記載されている製造方法をはじめ、各種製造方法により得られた多孔膜が使用可能である。
【0019】
例えば、前記米国特許第5,418,091号明細書に記載されているように、可塑剤を含むポリマーを用いてポリマー中に空孔を形成し、これを抽出してから電解液を含浸させる構成としてもよい。この場合、可塑剤の抽出は多孔膜と電極とを仮止めする前に行うことが好ましい。
【0020】
また、例えば、多孔膜を構成するポリマーとして、ポリマー粒子と、これを結着するポリマーバインダとを含むものを用いれば、可塑剤を使用しなくてもポリマーバインダ中に電解液を十分に含ませることができるので、製造工程が簡素となる上に十分に高いイオン伝導度が得られる。この場合、ポリマー粒子にはポリフッ化ビニリデン(以下、PVDF)を用いることが好ましく、ポリマーバインダにはフッ化ビニリデン単位を含有する共重合体を用いることが好ましい。
【0021】
従来のゲル化固体電解質は、前述したように可塑剤により高分子に多数の空孔を生成させ、電解液を含浸させてゲル化したものであり、空孔中の電解液と高分子に吸収された電解液との両方がイオン伝導に寄与している。一方、本発明において好ましく用いられるポリマー粒子を含むゲル化固体電解質では、従来とは異なり、ポリマーバインダによって結着されたポリマー粒子によって空孔が3次元的に形成されており、この空孔中に電解液が保持されてゲル化固体電解質が形成されている。この場合の空孔は、通常、従来のゲル化固体電解質よりも空孔径が大きくなる。ポリマー粒子およびポリマーバインダは、電解液によって膨潤するものであっても膨潤しないものであってもよい。ポリマー粒子により空孔を形成したゲル化固体電解質は、可塑剤を用いて空孔を形成したPVDF系コポリマーからなる従来のゲル化固体電解質と同等の十分な保液性をもつので、従来と同等のイオン伝導度が得られる。その上、特にレート特性に優れ、放電電流を大きくしても放電容量の低下が少ないので、上記従来のゲル化固体電解質と同等以上の放電率をもつ電池が実現する。
【0022】
また、ポリマー粒子を利用したゲル化固体電解質は、上記従来のゲル化固体電解質に比べ強度が高いため、より薄いシート状とすることが可能であり、例えば、厚さを60μm以下、さらには40μm以下とでき、15μm以下にすることもできる。また、外力により変形しにくいので、正極と負極とが短絡しにくい。また、引っ張り強度、曲げ強度がともに高いので、量産の際に有利である。つまり、通常、ポリマーが溶解・分散したスラリーを基体(キャリヤフィルム)に塗布し、溶媒を蒸発させてポリマーフィルムを作製するが、ポリマー粒子を含むポリマーフィルムは引っ張っても伸びにくく、また、曲げても折れにくいので、製造途中でキャリヤフィルムから剥離してロール状に巻くこともできる。
【0023】
しかも、無機粒子ではなくポリマー粒子を含有させることにより多孔膜化しているので、無機粒子を含有させた場合に比べ、より軽量化が可能である。
【0024】
また、ポリマー粒子を含むゲル化固体電解質では、耐熱性、耐薬品性に劣るPVDF系コポリマーはバインダに使用するだけであり、従来のゲル化固体電解質と比べて使用量が非常に少ないので、高温(85℃程度まで)での保存特性が高く、容量劣化が非常に小さく、内部ショートが発生することも少ない。しかも、高温での充放電特性にも優れている。
【0025】
なお、前記米国特許第5,418,091号明細書では、多孔膜化により電解液の含浸率を向上させるために、高分子固体電解質にアルミナやシリカからなるフィラーを20重量%混合しているが、それでも可塑剤が入っているために、ポリマー粒子含有固体電解質に比べ強度が低い。そのため、薄膜化できず、また、短絡が発生しやすい。また、強度向上に無機フィラーを利用するため、重いという問題もある。また、同明細書に記載された可塑剤の抽出方法は、生産性、量産性の点で大きなデメリットがある。
【0026】
ところで、DBP等の空孔形成用可塑剤を利用する場合には、可塑剤抽出により形成された空孔に電解液が侵入して保持されるため、可塑剤抽出前と電解液含浸後とで、ポリマーの体積はあまり変化しない。これに対し、空孔形成用可塑剤を利用しない場合、電解液含浸によりポリマーは比較的大きく膨潤する。一方、金属箔集電体は電解液に浸漬しても膨潤しない。このため、活物質を結着するためのバインダとしてポリマーを利用し、かつ空孔形成用可塑剤を使用しない電極では、金属箔集電体の一方だけに電極が形成されている場合に、反りが発生してしまう。この反りを軽減するためには、少なくとも、金属箔の一方の面にだけ形成された片面塗布タイプの電極において、バインダとして、電解液によって膨潤しにくいPVDF(ホモポリマー)を用いることが好ましい。
【0027】
本発明は、リチウムイオン二次電池の製造に好適である。
【0028】
以下、多孔膜、電極および電解液について、さらに詳細に説明する。
【0029】
多孔膜
本発明で使用する多孔膜は、従来のポリマー二次電池のセパレータと同様に、電解液含浸によりゲル化するポリマーだけから実質的に構成されていてもよいが、前述したように、好ましくはポリマー粒子と、これを結着するポリマーバインダとを含有することが好ましい。より詳細には、ポリマー粒子同士の接点にポリマーバインダがあり、ポリマー粒子を結着している。ポリマー粒子それぞれの周囲にポリマーバインダがあっても、ポリマー粒子が凝集していてもかまわない。多孔膜中では、ポリマー粒子が3次元的に多数の空孔を形成し、この中に電解液が侵入して保持された状態となっている。
【0030】
多孔膜は、以下の手順で作製することが好ましい。
【0031】
まず、溶媒に、ポリマー粒子を分散するとともにポリマーバインダを溶解する。具体的には、ポリマーバインダとポリマー粒子との混合物を溶媒に加え、または、ポリマーバインダをあらかじめ溶媒に溶解して溶液としたものにポリマー粒子を添加し、室温あるいは必要により加熱して、マグネチックスターラー、ホモジナイザー等の撹拌機、ポットミル、ボールミル、ス−パーサンドミル、加圧ニーダー等の分散機を用いて、分散および溶解する。
【0032】
このとき用いる溶媒は、ポリマー粒子が不溶でポリマーバインダが可溶な各種溶媒から適宜選択すればよく、工業的には高沸点で安全性の高いものが好ましい。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトンなどを用いることが好ましい。溶液中におけるポリマーバインダの濃度は好ましくは5〜25重量%である。
【0033】
このとき、ポリマー粒子が不溶でポリマーバインダが可溶な上記溶媒を第一の溶媒とし、これに、ポリマー粒子およびポリマーバインダが共に不溶な第二の溶媒を加えることが好ましい。このような混合溶媒において、上記第2の溶媒の方が上記第1の溶媒よりも沸点が高いことが好ましい。沸点をこのような関係とすることにより、第1の溶媒が蒸発した後、第2の溶媒が蒸発することになり、その結果、より高い空孔率が得られるので、電解液の保持量が増大して特性が向上する。なお、両溶媒の沸点の差は、20〜100℃程度であることが好ましい。
【0034】
第1の溶媒および第2の溶媒の具体例としては、例えば、ポリマー粒子としてPVDF、ポリマーバインダとしてPVDF系ポリマー、好ましくはフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体〔P(VDF−HFP)〕を用いる場合、第1の溶媒にはアセトン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン類が好ましく、第2の溶媒にはトルエン、キシレン、ブタノール、イソプロピルアルコール、ヘキサン等が好ましい。なお、第1の溶媒と第2の溶媒とは、相溶性が高いことが好ましい。
【0035】
混合溶媒において、重量比(第1の溶媒:第2の溶媒)は、好ましくは95:5〜60:40、より好ましくは85:15〜75:25である。第2の溶媒が少ないと、特性の向上の効果が小さくなってくる。一方、第2の溶媒が多いと、ポリマーバインダが混合溶媒に溶解しにくくなる。
【0036】
ポリマー粒子が分散し、ポリマーバインダが溶解しているスラリーを得た後、このスラリーをキャリヤフィルム上に塗布するか、あるいはキャスティング等によりフィルム状にする。このとき用いるキャリヤフィルムは、平滑なものであれば特に限定されず、例えばポリエステルフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム等の樹脂フィルムや、ガラス板を用いることできる。スラリーをキャリヤフィルムに塗布するための手段は特に限定されず、キャリヤフィルムの材質や形状などに応じて適宜決定すればよく、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法等が使用できる。塗布後、必要に応じて、平板プレス、カレンダーロール等により圧延処理を行う。
【0037】
塗布後、スラリー中の溶媒を蒸発させることにより、ポリマー粒子がポリマーバインダで結着されたポリマーフィルムを得ることができる。溶媒の蒸発には、減圧乾燥、風乾、加熱乾燥等のいずれを利用してもよい。
【0038】
乾燥後、キャリヤフィルムを剥離する。ただし、多孔質の樹脂フィルムをキャリヤフィルムとして用い、かつ、このキャリヤフィルムを剥離せずに使用してもよい。すなわち、ゲル化可能なポリマーフィルムが多孔質樹脂フィルムに付着したものも、本発明における多孔膜として利用できる。この場合の多孔質樹脂フィルムとしては、例えば、通常のリチウム二次電池においてセパレータとして用いられているポリオレフィン多孔膜を用いることができる。
【0039】
そして、上記ポリマーフィルムに電解液を含浸させることにより、ゲル化固体電解質を含む多孔膜が得られる。
【0040】
本発明で用いるポリマー粒子は、平均粒径が0.1〜0.5μm、特に0.1〜0.4μmであることが好ましい。このような粒子を用いることで、適切な空孔径と空孔率とが得られるので、電解液を十分に含浸でき、優れた特性が得られる。平均粒径が小さすぎると粒子が詰まりすぎてしまうので、電解液の保持が不十分となりやすい。一方、平均粒径が大きすぎると、ポリマーフィルムの薄膜化に支障をきたす場合がある。ポリマー粒子の粒度分布は狭い方が均一な空孔径が得られるので好ましい。
【0041】
ポリマー粒子は、通常、球状であることが好ましいが、適切な空孔が形成できればその形状は特に限定されず、回転楕円体状など他の形状であってもよい。
【0042】
ポリマー粒子の構成材料は、製造時に用いる溶媒に不溶であればよく、そのほかは特に限定されないが、耐熱性、耐薬品性に優れたものが好ましい。例えば、PVDF、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ラテックス、アクリロニトリル・ブタジエン系ラテックス、ウレタン樹脂等を用いることができるが、中でも、PVDFホモポリマーが好ましい。これらは、1種を用いても2種以上を併用してもかまわない。ポリマー粒子構成材料の重量平均分子量Mwは、材料の強度の点で1.0×105程度以上、特に3.0×105程度以上であることが好ましい。なお、Mwの上限は、通常、1.0×106程度である。
【0043】
このようなポリマー粒子は市販されている。PVDF粒子は、例えばエルフ・アトケム社の商品名「KynarFlex741」、「KynarFlex731」、「KynarFlex761」、「FORAFLON1000」、呉羽化学の「KFシリーズ」、SOLVAY社の「ソレフ1000シリーズ」、「ソレフ6000シリーズ」として販売されており、フェノール樹脂粒子は、例えばユニチカ(株)の「ユニベックス」、住友ジュレスの「ACSシリーズ」として販売されており、ラテックス粒子は、例えば日本ゼオンの「Nipol LX513」として販売されており、ウレタン樹脂粒子は、例えば大日本インキ化学の「パーノックCFB」、積水化成品「テクポリマーUB」として販売されている。
【0044】
ポリマーバインダは、製造時に溶媒に溶解するものであればよく、そのほかは特に限定されないが、好ましくはフッ素系ポリマーを用い、より好ましくはフッ化ビニリデン単位を含有する共重合体を用いる。
【0045】
フッ素系ポリマーとしては、例えば、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体〔P(VDF−HFP)〕、フッ化ビニリデン−塩化3フッ化エチレン(CTFE)共重合体〔P(VDF−CTFE)〕、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンフッ素ゴム〔P(VDF−HFP)〕、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンフッ素ゴム〔P(VDF−TFE−HFP)〕、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルフッ素ゴム等が好ましく挙げられる。フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンフッ素ゴム、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンフッ素ゴムの組成域は、おおよそVDF−HFP二元共重合体でのVDFが50〜85モル%の組成に、さらにTFEを0〜35モル%加えた組成域である。フッ化ビニリデン系ポリマーとしては、フッ化ビニリデンが50重量%以上、特に70重量%以上(上限値は97重量%程度である)であるものが好ましく、特に、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体〔P(VDF−HFP)〕、フッ化ビニリデンと塩化3フッ化エチレンとの共重合体〔P(VDF−CTFE)〕、中でも〔P(VDF−HFP)〕が好ましい。本発明では、膨潤性の高い高分子を用いても、膨潤性の低い高分子を用いてもよいが、膨潤性の低い高分子は溶解性が低いので、取り扱いが難しく、作業性に劣る。一方、膨潤性の高い高分子は、電解液を含浸しやすく、また、これを保持しやすいので、より優れた特性が得られる。
【0046】
このようなフッ化ビニリデン系ポリマーは市販されており、VDF−CTFE共重合体は、例えばセントラル硝子(株)から商品名「セフラルソフト(G150,G180)」として、日本ソルベイ(株)から商品名「ソレフ31508」等として販売されている。また、VDF−HFP共重合体は、エルフ・アトケム社から商品名「KynarFlex2750(VDF:HFP=85:15wt%) 」、「KynarFlex2801(VDF:HFP=90:10wt%) 」、「KynarFlex2851(VDF:HFP=95:5wt%)」等として、日本ソルベイ(株)から商品名「ソレフ11008」、「ソレフ11010」、「ソレフ21508」、「ソレフ21510」等として販売されている。
【0047】
ポリマーバインダの重量平均分子量Mwは、1.0×105〜1.0×106、特に3.0×105〜8.0×105であることが好ましい。
【0048】
ポリマー粒子とポリマーバインダとの重量比(ポリマー粒子:ポリマーバインダ)は、好ましくは70:30〜98:2、より好ましくは75:25〜95:5、さらに好ましくは80:20〜93:7である。ポリマーバインダの比率が高くなると、適切な空孔および空孔率が得られにくくなり、高特性を得ることが難しくなる。ポリマーバインダの比率が低くなると、ポリマー粒子を十分に結着することが難しくなるので、十分なシート強度が得られず、シートの薄型化が困難になってくる。
【0049】
本発明では、通常、多孔膜をシート状とする。シート状多孔膜の厚さは、電解液を含浸させる前の状態で、好ましくは5〜100μm、より好ましくは5〜60μm、さらに好ましくは10〜40μmである。ポリマー粒子を含有する多孔膜は強度が高いので、シートを薄型化できる。すなわち、実用上60μm以下にはできなかった従来のゲル化固体電解質と比べ薄膜化が可能であり、溶液系のリチウムイオン電池において使用されているセパレータ(一般に厚さ25μm程度)よりも薄くできる。そのため、ゲル化固体電解質を用いる場合の利点の一つである薄型大面積化に関し極めて優れている。
【0050】
多孔膜中の空孔率は、電解液を含浸させる前の乾燥時において、35%以上であることが好ましい。空孔率が低すぎると、電解液を十分に保持することが困難となり、イオン伝導度やレート特性が低下してくる。空孔率は、90%以下であることが好ましい。空孔率が高すぎると、強度が不十分になってくる。なお、空孔率はアルキメデス法により測定できる。
【0051】
多孔膜中の平均空孔径は0.005〜0.5μm、特に0.01〜0.3μmであることが好ましい。空孔径の平均がこれより大きいと、電流に偏りが見られ、負極にリチウムデンドライトが発生する可能性がある。一方、これより小さいと、リチウムイオンの拡散に問題が生じる可能性がある。空孔径は、水銀ポロシメータで測定できる。
【0052】
本発明では、上述したようにポリマー粒子を含有する多孔膜を用いることが好ましいが、従来と同様にポリマー粒子を含有しない多孔膜を用いてもよい。この場合、上記したポリマーバインダなどから、電解液含浸によるゲル化が可能であって、かつ電極と積層して圧着または熱圧着が可能なものを、適宜選択すればよい。なお、この場合、前述したように可塑剤[ジブチルフタレート(DBP)等]を含有させることにより、多孔膜中に空孔を形成することが好ましい。
【0053】
電極
本発明において電極は、公知のものの中から適宜選択して使用すればよいが、好ましくは、電極活物質と、これを結着するバインダとしてのポリマーとを含有し、必要により導電助剤を含有するものを用いる。バインダとして用いるポリマーとしては、電解液の含浸によりゲル化固体電解質となるものが好ましい。
【0054】
リチウム二次電池とする場合、負極活物質は、炭素材料、リチウム金属、リチウム合金、酸化物材料などから適宜選択することが好ましく、正極活物質は、リチウムイオンがインターカレート・デインターカレート可能な酸化物または炭素材料を用いることが好ましい。
【0055】
電極活物質として用いる炭素材料は、例えば、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、天然あるいは人造の黒鉛、樹脂焼成炭素材料、カーボンブラック、炭素繊維などから適宜選択すればよい。
【0056】
リチウムイオンがインターカレート・デインターカレート可能な酸化物としては、リチウムを含む複合酸化物が好ましく、例えば、LiCoO2、LiMn24、LiNiO2、LiV24などが挙げられる。これらの酸化物の粉末の平均粒子径は1〜40μm程度であることが好ましい。
【0057】
電極には、必要により導電助剤が添加される。導電助剤としては、好ましくは黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維等の炭素系材料や、ニッケル、アルミニウム、銅、銀等の金属が挙げられ、特に黒鉛、カーボンブラックが好ましい。
【0058】
電極組成は、正極では、重量比で、活物質:導電助剤:ゲル化固体電解質=30〜90:3〜10:10〜70の範囲が好ましく、負極では、重量比で、活物質:導電助剤:ゲル化固体電解質=30〜90:0〜10:10〜70の範囲が好ましい。ゲル化固体電解質として利用するポリマーの種類は特に限定されず、例えば多孔膜の説明において挙げた各種ポリマーから適宜選択すればよいが、電極の反りを抑えるためには、前述したようにPVDF(ホモポリマー)を用いることが好ましい。
【0059】
本発明では、電解液含浸によってはゲル化しないポリマーを電極のバインダとして用いてもよい。例えば、フッ素樹脂やフッ素ゴム等からゲル化しないものを選択することができる。この場合のバインダの量は、電極全体の3〜30重量%程度とすることが好ましい。
【0060】
電極の製造に際しては、まず、活物質と必要に応じて添加する導電助剤とを、バインダ溶液に分散して塗布液を調製する。次いで、この塗布液を集電体に塗布する。塗布手段は特に限定されず、集電体の材質や形状などに応じて適宜決定すればよいが、一般に、メタルマスク印刷法、静電塗装法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法等を使用すればよい。その後、必要に応じて、平板プレス、カレンダーロール等により圧延処理を行う。
【0061】
集電体は、電池形状やケース内への集電体の配置方法などに応じて、材質および形態を適宜選択すればよい。一般に、正極にはアルミニウムが、負極には銅またはニッケルが使用される。本発明では、前述したように金属箔を集電体として用いた場合に効果が高いが、必要に応じ金属メッシュを用いてもよい。
【0062】
塗布後、溶媒を蒸発させることにより、集電体と一体化した電極が得られる。塗膜の厚さは、50〜400μm程度とすることが好ましい。
【0063】
電解液
本発明で用いる電解液は、電解質塩を有機溶媒に溶解させた非水系のものである。リチウムイオン二次電池への応用を考えると、電解質塩にはリチウムが含有されている必要がある。リチウム含有電解質塩としては、例えばLiPF6、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiSO3CF3、LiN(CF3SO22等を用いることができる。電解質塩は1種だけを単独で用いてもよいし、複数の塩を混合して用いてもよい。
【0064】
有機溶媒としては、多孔膜や電極に含まれるポリマーや、電解質塩との相溶性が良好なものであれば特に限定されないが、リチウム二次電池への応用を考えると、高い電圧をかけた場合にも分解の起こらないものが好ましく、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート類、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン等の環式エーテル、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン等の環式エーテル、γ−ブチロラクトン等のラクトン、スルホラン、3−メチルスルホラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタン、エチルジグライム等を好ましく用いることができる。これらは単独で用いても、混合して用いてもよい。
【0065】
電解液における電解質塩の濃度は、好ましくは0.3〜5mol/lであり、通常、1mol/l付近で最も高い導電性を示す。
【0066】
電解液の含有量はゲル化固体電解質の30〜70重量%、特に40〜60重量%であることが好ましい。含有量がこれより多くなると、余分な電解液が多くなり、電池を作製したとき重量的に不利になってくる。また、含有量がこれより少なくなると、十分なイオン伝導度が得られにくくなってくる。
【0067】
なお、本発明は、ポリマー二次電池、すなわち、多孔膜がポリマーを含有し、このポリマーの少なくとも一部が電解液への浸漬によりゲル化して固体電解質となる二次電池の製造に適用した場合に効果が高い。ただし本発明は、ポリマー二次電池以外の二次電池にも適用可能である。すなわち、ゲル化しない多孔膜、例えば、通常のリチウム二次電池においてセパレータとして用いられているポリオレフィン多孔膜などを用いてもよい。その場合でも、正極、負極および多孔膜を位置合わせして仮止めした状態で電解液に浸漬できるので、正極と負極との位置ずれを防いだ上で、電解液の含浸を容易に行うことが可能となる。
【0068】
また、電極のバインダが、電解液の含浸によりゲル化するポリマーを含む場合、電解液含浸により電極強度が低下して位置決めが困難となるが、本発明を適用すれば電解液含浸前に位置決めできるため、正極と負極とを容易かつ正確に位置決めすることが可能となる。したがって、多孔膜がゲル化する場合およびしない場合のいずれにおいても、ゲル化する電極を用いると、本発明はより有効となる。
【0069】
【実施例】
実施例
図1に示す工程に基づき、以下の手順でポリマー二次電池を作製した。
【0070】
まず、正極活物質としてLiCoO2を、導電助剤としてカーボンブラックおよびグラファイトを、バインダとして前記KynarFlex741(エルフ・アトケム社製のPVDFホモポリマー粒子、重量平均分子量Mw5.5×105、平均粒径0.2μm、NMPに可溶)を用い、重量比でLiCoO2:カーボンブラック:グラファイト:バインダ=90:3:3:4となるように秤量し、さらに、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)をNMP:バインダ=94:6(重量比)となるように加え、これらを室温下で混合して正極用スラリーとした。この正極用スラリーを、厚さ60μmのアルミニウム箔集電体の片面に塗布して乾燥し、集電体と一体化した片面塗布型の正極を作製した。また、上記正極用スラリーを、厚さ20μmのアルミニウム箔集電体の両面に塗布して乾燥し、集電体と一体化した両面塗布型の正極を作製した。
【0071】
また、負極活物質としてメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)を、導電助剤としてカーボンブラックを、バインダとして前記KynarFlex741を用い、重量比でMCMB:カーボンブラック:バインダ=87:3:10となるように秤量し、さらに、NMPをNMP:バインダ=93:7(重量比)となるように加え、これらを室温下で混合して負極用スラリーとした。この負極用スラリーを、厚さ10μmの銅箔集電体の両面に塗布して乾燥し、集電体と一体化した負極を作製した。
【0072】
また、ポリマー粒子として前記KynarFlex741を、バインダとして前記KynarFlex2851(エルフ・アトケム社製、VDF:HFP=95:5wt%)を用い、重量比でポリマー粒子:バインダ=90:10となるように秤量して混合し、混合物1重量部に対して溶媒[アセトン:トルエン=8.9:1.1(重量比))]2.4重量部を加え、これらをホモジナイザーを用いて30〜40℃で混合、溶解して、スラリーを得た。なお、アセトンは前記第1の溶媒であり、トルエンは前記第2の溶媒である。このスラリー中では、バインダのポリマーだけが溶解し、PVDFホモポリマーからなるポリマー粒子は溶液中に分散していた。
【0073】
そして、このスラリーを、ドクターブレード法によりポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布し、室温から120℃の範囲で溶媒を蒸発させて、固体電解質シートを得た。この固体電解質シートの厚さ(乾燥厚さ)は、30μmとした。アルキメデス法により測定した空孔率は、40%であった。
【0074】
次に、正極、負極および多孔膜をほぼ矩形となるように切断してシートとし、正極シートおよび負極シートの中央付近にホットメルト接着剤(エチレン−メタアクリル酸共重合体)を塗布した。接着剤塗布面積は、シート面の0.05〜0.5面積%とした。次いで、図2に示すように、両面塗布型の正極が両端に存在するよう、正極、多孔膜、負極、多孔膜、正極、・・・の順に各シートを位置決めして積層し、110℃に加熱しながら加圧して上記接着剤により仮止めし、積層体を得た。この積層体中の多孔膜の数は、10とした。
【0075】
次いで、正極タブにアルミニウム線を、負極タブにニッケル線をそれぞれ溶接してリードを取り出した後、積層体を電解液に浸漬して含浸させた。電解液には、1M LiPF6/EC+DMC[EC:DMC=1:2(体積比)]を用いた。次いで、積層体中の余分な電解液を除去した後、積層体をアルミラミネートパックに封入し、70〜90℃でプレスすることにより積層体中のシートを熱圧着し、ポリマー二次電池を得た。
【0076】
なお、このポリマー二次電池において、正極および負極が含有するバインダは、電解液の含浸によりゲル化するものである。
【0077】
比較例
正極活物質としてLiCoO2を、導電助剤としてアセチレンブラックを、バインダとして前記KynarFlex2801(VDF:HFP=90:10wt%)を、可塑剤としてDBPをそれぞれ含有する正極シートをドクターブレード法を利用して作製した。また、負極活物質としてメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)を、導電助剤としてアセチレンブラックを、バインダとして前記KynarFlex2801を、可塑剤としてDBPをそれぞれ含有する負極シートを、ドクターブレード法を利用して作製した。また、無機フィラーとしてSiO2を、可塑剤としてDBPを、バインダとして前記KynarFlex2801をそれぞれ含有する多孔膜を、ドクターブレード法を利用して作製した。
【0078】
次に、正極、負極および多孔膜をほぼ矩形となるように切断してシートとし、正極、多孔膜、負極がこの順となるように各シートを積層し、130℃でプレスして熱圧着した。一体化後、両端を集電体で挟んで100〜130℃で熱圧着し、積層体を得た。なお、正極用の集電体には、厚さ80μmのアルミニウム製エキスパンドメタルに、カーボンとエチレン−アクリル酸共重合体とを混合したスラリーを塗布したものを使用し、負極用の集電体には、厚さ30μmの銅製エキスパンドメタルに、上記スラリーを塗布したものを使用した。
【0079】
次いで、正極タブにアルミニウム線を、負極タブにニッケル線をそれぞれ溶接してリードを取り出した後、上記積層体をヘキサン中に浸漬することにより、可塑剤であるDBPを抽出した。乾燥後、積層体を上記実施例で用いた電解液に浸漬して含浸させた。次いで、積層体中の余分な電解液を除去した後、積層体をアルミラミネートパックに封入し、ポリマー二次電池を得た。
【0080】
上記実施例および上記比較例のそれぞれについて、上述した手順で50個の電池を作製し、内部短絡している電池の個数を調べた。また、短絡していなかった電池について、2C放電容量(800mAの定電流で放電したときの容量)と0.2C放電容量(80mAの定電流で放電したときの容量)との比の平均値を求めた。これらの結果を表1に示す。また、作製した電池のサイクル特性を図3に示す。
【0081】
【表1】
Figure 0004005789
【0082】
表1から、実施例の電池は、比較例の電池に比べ短絡発生率が低いことがわかる。また、実施例の電池では、2C放電容量と0.2C放電容量との比が比較例の電池と同等であり、従来のものと同等のレート特性が得られることがわかる。
【0083】
なお、85℃で充放電を行ったところ、実施例の電池では容量の劣化は認められず、信頼性が良好であることがわかった。これに対し比較例の電池では、短絡が発生した。
【0084】
【発明の効果】
本発明によれば、薄くかつ軽量なポリマー二次電池等の二次電池を、容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図2】本発明により製造されるポリマー二次電池の構造を示す正面図である。
【図3】実施例および比較例について、電池のサイクル特性を示すグラフである。
【符号の説明】
2 多孔膜
3 正極
31 正極用の集電体
4 負極
41 負極用の集電体
5 接着剤

Claims (9)

  1. 正極、負極および多孔膜を有し、
    多孔膜と正極と負極とを接着剤により仮固定した後に電解液を含浸させその後これらを圧着することにより、
    この正極、負極および多孔膜には電解液が浸漬され、前記多孔膜に対し正極の一部および負極の一部がそれぞれ多孔膜に接着剤により固定され、かつ多孔膜に対し正極および負極が圧着されて一体化されている二次電池。
  2. 前記接着剤はホットメルト接着剤である請求項1の二次電池。
  3. 前記接着剤は、多孔膜、電極の塗布対象面の中央の1点にだけ塗布されている請求項1または2の二次電池。
  4. 前記接着剤の塗布対象面全体に対する接着剤塗布面積の比率は、0.001〜1面積%である請求項1〜3のいずれかの電池。
  5. 前記多孔膜がポリマーを含有し、このポリマーの少なくとも一部が、電解液への浸漬によりゲル化して固体電解質となるものである請求項1の二次電池。
  6. 前記正極および負極が、電極活物質を結着するためのバインダとしてポリマーを含有し、このポリマーの少なくとも一部が、電解液への浸漬によりゲル化するものである請求項1〜5のいずれかの二次電池。
  7. 前記正極および負極が、バインダとしてポリフッ化ビニリデンを含む請求項1〜6のいずれかの二次電池。
  8. 前記正極および負極が、金属箔からなる集電体と一体化されている請求項1〜7のいずれかの二次電池。
  9. リチウムイオン二次電池である請求項1〜8のいずれかの二次電池。
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