JP4266279B2 - 電極組成物、およびリチウム二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム二次電池等、二次電池材料用の電極組成物と、これを用いた二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の携帯機器の目覚ましい発展により、携帯機器用電源として使用される電池、とりわけリチウムイオン電池の重要が急速に高まってきている。さらに、携帯機器の機能の増加に伴い、高エネルギー化と、それに伴う電池特性の改善が技術開発の目標となっている。こうした中で重要な技術課題として、下記の項目が挙げられる。
【0003】
(1)安全性(過充電保護等)の向上
(2)高温保存特性の改善
(3)サイクル特性の改善
【0004】
この中で高温保存特性の改善については、電池系に用いられる塩、例えばリチウムイオン二次電池ならば、既に開示されているLiPF6、LiBF4 や、その他にイミド系のLiClO4 等の塩の熱的な安定性が一因と考えられている。近年さらに、特表2000−60834号公報に記載されているような新規なリチウム塩化合物も提案され、実用に供されている。
【0005】
また、この他の要因として電解液に利用される溶媒の電気化学的な安定性、溶媒中の水分も関係していると考えられ、添加物や種々の溶媒の適用等が考えられている。
【0006】
このように、高温保存対策として様々な手法が用いられているが、他の電池特性を維持しながら高温保存特性を改善することは特性全体の均衡を取る観点からは難しい点がある。一例として、LiBF4 を電解質塩として使用した場合について説明する。このLiBF4 (以下BFと略す)は、LiPF6 (以下PFと略す)に比べ伝導度は低いが熱的安定性に優れる。従って、高温保存特性、例えば保存後の交流測定による電池内部インピーダンスの変化は、PF系を使用した時に比べ小さくなる。しかし、伝導度が低いため、電池容量はPF系電池に比べ減少する。そのため、BFを電解質塩に供する場合、こうした観点を考慮して電解液溶媒組成の制御が必要であり、それに付随した技術も開示されてきているが、容量がPF系に比べ低下するという点は解決されたとはいえない。
【0007】
特に、近年携帯機器の高機能化に伴い、高エネルギー密度化の要求も大きく、特に電池を高容量化させた時(電池電極活物質のローディング量を増加した時)のBF系の特性改善、特に容量減少を低減させることが必要である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記BF系塩を用いた時の電池容量低下に対する解決策を提案するものである。
【0009】
特に電極を高エネルギー密度化した時のBF系の欠点を解決するものである。
【0010】
具体的には電極の結着剤としてPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を用い電解液溶媒として、環状カーボネート特にEC(エチレンカーボネート)を用い、さらにゲル化固体電解質構成成分としてγブチロラクトンを第二の成分として用い、塩として上述したBF系塩を用いる際、結着剤として一定の工程により合成されたPVDFを使用した時に、BF系の塩を使用しているにも関わらず、容量低下を従来に比べ大幅に低減する技術を提供するものである。
【0011】
【作用】
本発明者は、特に電池を高容量化させた時のBF系の特性改善、特に容量減少を低減させることを目指して検討してきた。本発明はこうしたBF系の課題を解決することを意図して進められてきたものである。また、今回開示する電池系については、近年注目されているゲル系固体電解質を用いたものにも適用できる。この電池は過去研究されてきた高分子媒体内を、リチウムイオンが伝導する有機固体電解質とも異なるものであり、大電流放電が可能である。
【0012】
本発明者は、上記課題に対して電極構成を最適化し電極内部におけるリチウムイオンの拡散を速やかに行わせることを目標に種々の検討、特に、結着剤の種類について詳細に検討を行った。
【0013】
その結果、本発明者が予想だにしえなかった結着剤が、BF系の電池特性に影響していることを見出した。
【0014】
すなわち、本発明で開示する結着剤はPVDF系であっても特に合成重合方法が、乳化重合によるものである。本発明に用いられるPVDFは、既に特開平8−250127号公報等において、合成技術が開示されている。しかしながら、電池特性特にBF系塩を用いた時の電池特性との関係について具体的に検討した例はない。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の電極組成物は、電解質にフッ化硼素酸リチウム系の塩を有する電極組成物であって、少なくとも結着剤としてポリフッ化ビニリデンホモポリマーと、電解質溶媒としてγブチロラクトンとを有し、前記ポリフッ化ビニリデンホモポリマーが乳化重合法により得られたものである。
【0016】
また、本発明のリチウム二次電池は、上記電極組成物を有するものである。
【0017】
本発明によれば、このポリフッ化ビニリデンホモポリマー(以下PVDF)を結着剤として用いた時にのみフッ化硼素酸リチウム系(以下BF系)における容量の低下現象を抑制させることができる。他の合成方法によるPVDFを用いた場合は、このような効果は全く見られない。したがって、電極を高エネルギー密度化させる時に、極めて有効な手段である。そのメカニズムについては、現時点では定かではないが、PVDFに内在する活性点があり、電極内部でBF系との塩の相互作用により抵抗が低減することや、樹脂の結晶性の違いに起因する膨潤性が向上し、リチウムの拡散が容易になり、その結果電池容量の低下も従来に比べ半減するものと堆定される。
【0018】
乳化重合法を用いる点については、特開平8−250127号公報などに開示されている。乳化重合法は、例えば実質的に無酸素下で、水媒体中で、ヨウ素化合物または臭素化合物、、好ましくはジヨウ素化合物の存在下に、パーハロオレフィン、要すれば硬化部位を与える単量体を加圧下で撹拌しながらラジカル開始剤の存在下乳化重合を行う方法が挙げられる。
【0019】
乳化重合法により得られたホモポリマーを用いる一つの利点は、極めて高純度のポリマー、つまり不純物が痕跡量である、つまり不純物がppb(百万分率)範囲の量であるポリマーが得られる。
【0020】
この乳化重合法により得られたホモポリマーの結晶化度は30%以上、特に35〜55%程度である。また、その分子量としては50,000以上が好ましく、特に100,000〜140,000が好ましい。
【0021】
電極は、好ましくは電極活物質と結着剤、必要により導電助剤との組成物を用いる。
【0022】
負極には、炭素材料、リチウム金属、リチウム合金あるいは酸化物材料のような負極活物質を用い、正極には、リチウムイオンがインターカレート・デインターカレート可能な酸化物または炭素材料のような正極活物質を用いることが好ましい。このような電極を用いることにより、良好な特性のリチウム二次電池を得ることができる。
【0023】
電極活物質として用いる炭素材料は、例えば、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、天然あるいは人造の黒鉛、樹脂焼成炭素材料、カーボンブラック、炭素繊維などから適宜選択すればよい。これらは粉末として用いられる。中でも黒鉛が好ましく、その平均粒子径は1〜30μm 、特に5〜25μm であることが好ましい。平均粒子径が小さすぎると、充放電サイクル寿命が短くなり、また、容量のばらつき(個体差)が大きくなる傾向にある。平均粒子径が大きすぎると、容量のばらつきが著しく大きくなり、平均容量が小さくなってしまう。平均粒子径が大きい場合に容量のばらつきが生じるのは、黒鉛と集電体との接触や黒鉛同士の接触にばらつきが生じるためと考えられる。
【0024】
リチウムイオンがインターカレート・デインターカレート可能な酸化物としては、リチウムを含む複合酸化物が好ましく、例えば、LiCoO2、LiMn2O4、LiNiO2、LiV2O4などが挙げられる。これらの酸化物の粉末の平均粒子径は1〜40μm 程度であることが好ましい。
【0025】
電極には、必要により導電助剤が添加される。導電助剤としては、好ましくは黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、ニッケル、アルミニウム、銅、銀等の金属が挙げられ、特に黒鉛、カーボンブラックが好ましい。
【0026】
電極組成は正極では、重量比で活物質:導電助剤:結着剤=80〜94:2〜8:2〜18の範囲が好ましく、負極では、重量比で活物質:導電助剤:結着剤=70〜97:0〜25:3〜10の範囲が好ましい。
【0027】
電極の製造は、まず、活物質と結着剤、必要に応じて導電助剤を、結着剤溶液に分散し、塗布液を調製する。
【0028】
そして、この電極塗布液を集電体に塗布する。塗布する手段は特に限定されず、集電体の材質や形状などに応じて適宜決定すればよい。一般に、メタルマスク印刷法、静電塗装法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法等が使用されている。その後、必要に応じて、平板プレス、カレンダーロール等により圧延処理を行う。
【0029】
集電体は、電池の使用するデバイスの形状やケース内への集電体の配置方法などに応じて、適宜通常の集電体から選択すればよい。一般に、正極にはアルミニウム等が、負極には銅、ニッケル等が使用される。なお、集電体は、通常、金属箔、金属メッシュなどが使用される。金属箔よりも金属メッシュの方が電極との接触抵抗が小さくなるが、金属箔でも十分小さな接触抵抗が得られる。
【0030】
そして、溶媒を蒸発させ、電極を作製する。塗布厚は、50〜400μm 程度とすることが好ましい。
【0031】
<リチウム二次電池>
リチウム二次電池の構造は特に限定されないが、通常、正極、負極及びセパレータから構成され、積層型電池や円筒型電池等に適用される。
【0032】
このような正極、セパレータ、負極をこの順に積層し、圧着して電池素体とする。
【0033】
セパレータに含浸させる電解液は一般に電解質塩と溶媒よりなる。電解質塩としては、例えば、LiBF4 、LiPF6 、LiAsF6 、LiSO3 CF3 、LiClO4 、LiN(SO2 CF3 )2 等のリチウム塩を挙げることができるが、本発明ではLiBF4 等のフッ化硼素酸系リチウムを用いる。
【0034】
電解液の溶媒としては、セパレータ、電解質塩との相溶性が良好なものであれば特に制限はされないが、リチウム電池等では高い動作電圧でも分解の起こらない極性有機溶媒、例えば、エチレンカーボネート(略称EC)、プロピレンカーボネート(略称PC)、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート(略称DMC)、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート類、テトラヒドロフラン(略称THF)、2−メチルテトラヒドロフラン等の環式エーテル、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン等の環式エーテル、γ−ブチロラクトン等のラクトン、スルホラン等を挙げることができる。
【0035】
本発明では電解液の溶媒中に少なくともγ−ブチロラクトン等のラクトンを含有する。また、このγ−ブチロラクトン等のラクトンとの組み合わせにおいて、上記溶媒中ではEC等の環状カーボネートが好ましい。また、環状カーボネートとラクトンとの体積比が、エチレンカーボネートとγブチロラクトンに換算して、3/7〜1/9、特に1/3〜3/17であることが好ましい。
【0036】
溶媒と電解質塩とで電解液を構成すると考えた場合の電解質塩の濃度は、好ましくは0.3〜5mol/lである。通常、0.8〜1.5mol/l辺りで最も高いイオン伝導性を示す。
【0037】
セパレータを形成する固体電解質ないしセパレータシートは、上記ポリフッ化ビニリデンホモポリマー、特に乳化重合法により製造されたものを用いることが好ましい。
【0038】
本発明で使用される固体電解質用微多孔膜は、以下に示す湿式相分離法により形成することが好ましい。
【0039】
湿式相分離法とは、溶液流延法による成膜において、相分離を溶液中で行う方法である。すなわち、微多孔膜となるポリマーをこのポリマーが溶解しうる溶媒に溶解させ、得られた成膜原液を金属あるいはプラスチックフィルム等の支持体上に均一に塗布して膜を形成する。その後、膜状にキャストした成膜原液を凝固浴と呼ばれる溶液中に導入し,相分離を生じさせることで微多孔膜を得る方法である。成膜原液の塗布は、凝固浴中で行ってもよい。
【0040】
上記微多孔膜と電極との接着性を向上させるための接着剤を使用してもよい。具体的には、ユニストール(三井化学社製)、SBR(日本ゼオン社製)、アクアテックス(中央理化社製)、アドコート(モートン社製)等のポリオレフィン系接着剤等を挙げることができ、なかでもアクアテックス等が好ましい。
【0041】
接着剤は、水、あるいはトルエン等の有機溶剤に溶解、あるいは分散させて、散布、塗布等により微多孔膜に付着・配置される。
【0042】
微多孔膜の空孔率は50%以上、好ましくは50〜90%、より好ましくは70〜80%である。また、孔径は0.02μm 以上、2μm 以下、好ましくは0.02μm 以上、1μm 以下、より好ましくは0.04μm 以上、0.8μm 以下、特に好ましくは0.1μm 以上、0.8μm 以下、さらに好ましくは0.1μm 以上、0.6μm 以下である。微多孔膜の膜厚は、好ましくは20〜80μm 、より好ましくは25〜45μm である。
【0043】
微多孔膜は、融点が好ましくは150℃以上、特に160〜170℃、融解熱が好ましくは30J/g以上、特に40〜60J/gの材料により形成されていることが好ましい。
【0044】
セパレータには他のゲル型高分子を用いてもよい。例えば、
(1)ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド、
(2)エチレンオキサイドとアクリレートの共重合体、
(3)エチレンオキサイドとグリシルエーテルの共重合体、
(4)エチレンオキサイドとグリシルエーテルとアリルグリシルエーテルとの共重合体、
(5)ポリアクリレート
(6)ポリアクリロニトリル
(7)ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−塩化3フッ化エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロビレンフッ素ゴム、フッ化ビニリデン“テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンフッ素ゴム等のフッ素系高分子等が挙げられる。
【0045】
ゲル高分子は電解液と混ぜてもよく、またセパレータに塗布をしてもよい。さらに、開始剤を入れることにより、紫外線、EB、熱等でゲル高分子を架橋させてもよい。
【0046】
固体状電解質の膜厚は、5〜100μm 、さらには5〜60μm 、特に10〜40μm であることが好ましい。本発明の固体状電解質は強度が強いので、膜厚を薄くすることができる。本発明の固体状電解質は、実用上60μm 以下にはできなかった従来のゲル電解質と比べて薄膜化が可能であり、さらには、溶液系のリチウムイオン電池において使用されているセパレータ(通常25μm )よりも薄くできる。そのため、固体状電解質を用いる利点の一つである薄型大面積化、すなわちシート状形態化が可能である。
【0047】
そのほかのセパレータ構成材料として、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフイン類の一種又は二種以上(二種以上の場合、二層以上のフィルムの張り合わせ物などがある)、ポリエチレンテレフターレートのようなポリエステル類、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体のような熱可塑性フッ素樹脂類、セルロース類などがある。シートの形態はJIS−P8117に規定する方法で測定した通気度が5〜2000秒/100cc程度、厚さが5〜100μm 程度の微多孔膜フィルム、織布、不織布などがある。
【0048】
外装袋は、例えばアルミニウム等の金属層の両面に、熱接着性樹脂層としてのポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂層や耐熱性のポリエステル樹脂層が積層されたラミネートフィルムから構成されている。外装袋は、予め2枚のラミネートフィルムをそれらの3辺の端面の熱接着性樹脂層相互を熱接着して第1のシール部を形成し、1辺が開口した袋状に形成される。あるいは、一枚のラミネートフィルムを折り返して両辺の端面を熱接着してシール部を形成して袋状としてもよい。
【0049】
ラミネートフィルムとしては、ラミネートフィルムを構成する金属箔と導出端子間の絶縁を確保するため、内装側から熱接着性樹脂層/ポリエステル樹脂層/金属箔/ポリエステル樹脂層の積層構造を有するラミネートフィルムを用いることが好ましい。このようなラミネートフィルムを用いることにより、熱接着時に高融点のポリエステル樹脂層が溶けずに残るため、導出端子と外装袋の金属箔との離間距離を確保し、絶縁を確保することができる。そのため、ラミネートフィルムのポリエステル樹脂層の厚さは、5〜100μm 程度とすることが好ましい。
【0050】
【実施例】
正極活物質としては、コバルト酸リチウム等を用い、負極活物質としては黒鉛系材料を使用した。黒鉛系と特性は異なるが有機材料を炭素化した材料も負極として用いることは可能である。
【0051】
[実施例1]
電極活物質として、コバルト酸リチウムを用いた。電極作製方法としては上述した各種の方法を用いることができる。この際、結着剤として下記のPVDFポリマーを用いた。
PVDF エルフアトケム社(アトフイーナ社) Kynar 741
【0052】
このPVDFは、乳化重合法により合成されたものである。この結着剤を用いて電極を作製した。本実施例では、電解質として、ゲル化した固体電解質を用いた。このゲル電解質の合成作成方法については、特願平11−276298号に開示されているのと同様である。
【0053】
すなわち、正極活物質としてLiCoO2 を、導電助剤としてアセチレンブラックを、バインダとしてPVDF Kynar 741を用いた。
【0054】
質量比でLiCoO2 :アセチレンブラック:PVDF=83:6:11となるように秤量し、さらにアセトンをアセトン:PVDF=9:1(質量比)となるように加え、これらを室温下で混合して正極用スラリーとした。
【0055】
また、負極活物質としてメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)を、導電助剤としてアセチレンブラックを用いた。
【0056】
質量比でMCMB:アセチレンブラック:PVDF=85:3:12となるように秤量し、さらにアセトンをアセトン:PVDF=9:1(質量比)となるように加え、これらを室温下で混合して負極用スラリーとした。
【0057】
そして、得られた正極用スラリー、負極用スラリーをそれぞれドクターブレード法によりPETフィルム上に塗布し、室温でアセトンを蒸発させてシート化した。
【0058】
電解質膜として、下記の材料を用いて微多孔膜を作製し、これを用いて固体状電解質とした。
【0059】
ジメチルアセトアミド40重量部、ジオキサン40重量部からなる混合溶液に、ポリフッ化ビニリデン〔エルフアトケム社製、Kynar 761〕20重量部を溶解し、ドクターブレード法を用いて200μm の膜厚にガラス板上に流延した。
【0060】
流延後、直ちにジオキサン80重量部、水20重量部からなる凝固浴に10分間浸漬し、凝固させた後、流水中で30分間洗浄した後、60℃で1時間乾燥し、厚さ50μm のポリフッ化ビニリデンホモポリマーよりなる微多孔膜を得た。
【0061】
得られた微多孔膜の空孔率は70%、孔径:0.2μm であった。
【0062】
上記微多孔膜表面に接着性を付与するため、ポリオレフィン系材料をスプレー等により堆積させてもよい。
【0063】
固体状電解質、正極および負極を所定のサイズに切断して、各シートを積層し、130〜160℃で熱ラミネートした。その後、正極には集電体として予め導電性接着剤を塗布したアルミニウムグリッドを、負極には集電体として予め導電性接着剤を塗布した銅グリッドを熱ラミネートした。
【0064】
そして、これに電解液として1M LiBF4 /EC+γブチロラクトン(EC:γブチロラクトン=2:8(体積比))を含浸させた後、アルミラミネートパックに封入し、リチウム二次電池を作製した。
【0065】
以上の構成で電池を作製し、充電後の容量を測定した。電池容量についてはPF系の電池を作製した時の容量を基準とした。PF系の電池としては、下記の点を除いて上記実施例1においてBF系で開示された電池と同一である。
電解液組成 EC:DEC=3:7
【0066】
[比較例1]
比較例として、結着剤にPVDF KF1000を用いた。これは懸濁重合により製造されたものである。この結着剤以外は実施例1と同一とした。この条件により作製した電池についても実施例1と同一の方法により電池化し、容量を測定した。
【0067】
[実施例2]
電解液組成を、下記に変更した以外は実施例1と同様にして素子を得た。
電解液組成 EC:γブチロラクトン=7/2
【0068】
[比較例2]
比較例として、電解液組成を下記に変更した以外は実施例1と同様にして素子を得た。
電解液組成 EC:DEC=3:7
【0069】
以上の結果を表1にまとめた。表1に示した容量低下率は、PF系を基準とし、これに対する初期容量の減少割合を示したものである。
【0070】
【表1】
【0071】
表1から明らかなように、実施例1,2の場合比較例1,2に比べ減少率が小さい。これは、ゲル化固体電解質構成要素として、γブチロラクトン、PVDFポリマーを用い、なおかつ電極結着剤として、実施例1に示したPVDFポリマーを用いた点にある。
【0072】
これは、ゲル化固体電解質構成要素と結着剤が共存して始めて発現する効果である。また、本実施例では,ゲル系固体電解質を用いた電池を構成したが、上記PVDFとγブチロラクトンが共存すれば、従来の溶液系電池においても同様な効果が得られる。
【0073】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、BF系塩を用いる際に生ずる容量低下現象を抑制する電極組成物、およびリチウム二次電池を提供することができる。
Claims (3)
- 電極と、電解液と、を備え、
前記電極は電極活物質と結着剤とを有し、前記結着剤として乳化重合法により得られたポリフッ化ビニリデンホモポリマーを含み、
前記電解液は、電解質と溶媒とを有し、前記電解質はフッ化硼素酸リチウム系の塩を含み、前記溶媒はγブチロラクトンを含むリチウム二次電池。 - 前記ポリフッ化ビニリデンホモポリマーの分子量が50,000以上、結晶化度が30%以上であり、
さらに前記溶媒として環状カーボネートを含み、この環状カーボネートとγブチロラクトンとの体積比が、エチレンカーボネートとγブチロラクトンに換算して、3/7〜1/9である請求項1のリチウム二次電池。 - 少なくとも、ポリフッ化ビニリデンホモポリマー、γブチロラクトン、およびフッ化硼素酸リチウム系の塩を固体電解質成分として有する請求項1又は2記載のリチウム二次電池。
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