JP4950866B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
そして、その算出結果である掃気条件に従って、下流デバイス掃気手段が作動することにより、下流デバイス掃気手段による無駄なエネルギ消費(後記する実施形態では電力)や、不要な作動音の発生を防止できる。
なお、後記する実施形態のように、発電停止前に燃料電池において生成水が略生成していないと推定される場合、燃料電池掃気手段による燃料電池の掃気も実行しない構成としてもよい。
図1に示す本実施形態に係る燃料電池システム1は、図示しない燃料電池自動車(移動体)に搭載されている。燃料電池システム1は、燃料電池スタック10と、燃料電池スタック10のアノードに対して水素(燃料ガス)を給排するアノード系と、燃料電池スタック10のカソードに対して酸素を含む空気(酸化剤ガス)を給排するカソード系と、掃気時にカソード系からアノード系に掃気ガスを導く掃気ガス系と、カソード流路12をバイパスさせるバイパス系と、燃料電池スタック10の発電電力を消費する電力消費系と、これらを電子制御するECU80(Electronic Control Unit、電子制御装置)と、を備えている。
燃料電池スタック10は、複数(例えば200〜400枚)の固体高分子型の単セルが積層されることで構成されたスタックであり、複数の単セルは電気的に直列で接続されている。単セルは、MEA(Membrane Electrode Assembly:膜電極接合体)と、これを挟み2枚の導電性を有するアノードセパレータ及びカソードセパレータと、を備えている。
MEAは、1価の陽イオン交換膜等からなる電解質膜(固体高分子膜)と、これを挟むアノード及びカソードとを備えている。アノード及びカソードは、カーボンペーパ等の導電性を有する多孔質体から主に構成されると共に、アノード及びカソードにおける電極反応を生じさせるための触媒(Pt、Ru等)を含んでいる。
カソードセパレータには、各MEAのカソードに対して空気を給排するため単セルの積層方向に延びる貫通孔(内部マニホールドと称される)や、単セルの面方向に延びる溝が形成されており、これら貫通孔及び溝がカソード流路12(酸化剤ガス流路)として機能している。
なお、カソードで生成した水(水蒸気)の一部は、電解質膜を透過し、アノードに移動する。よって、カソードから排出されるカソードオフガス、アノードから排出されるアノードオフガスは、多湿となる。
2H2→4H++4e− …(1)
O2+4H++4e−→2H2O …(2)
アノード系は、水素タンク21(燃料ガス供給手段)と、常閉型の遮断弁22と、エゼクタ23と、常閉型のパージ弁24と、温度センサ25とを備えている。
水素タンク21は、配管21a、遮断弁22、配管22a、エゼクタ23、配管23aを順に介して、アノード流路11の入口に接続されている。配管22aには、水素を所定圧力に減圧する減圧弁(図示しない)が設けられている。そして、ECU80によって、遮断弁22が開かれると、水素タンク21の水素が配管21a等を介してアノード流路11に供給されるようになっている。
ただし、温度センサ25の位置はこれに限定されず、後記する配管32bや、燃料電池スタック10から排出された冷媒が流れる配管(図示しない)や、燃料電池スタック10自体に設けてもよい。
カソード系は、コンプレッサ31(酸化剤ガス供給手段)と、加湿器32と、背圧弁33と、希釈器34とを備えている。
コンプレッサ31は、配管31a、加湿器32、配管32aを介して、カソード流路12の入口に接続されており、ECU80の指令に従って作動すると、酸素を含む空気を取り込み、カソード流路12に供給するようになっている。
また、コンプレッサ31は、燃料電池スタック10のアノード流路11、カソード流路12の掃気時には、燃料電池掃気手段として機能する。そして、燃料電池スタック10の掃気完了後、燃料電池スタック10の下流のデバイス(背圧弁33等)の掃気時には、下流デバイス掃気手段として機能する。
なお、コンプレッサ31は、燃料電池スタック10及び/又は後記する高圧バッテリ64を電源としている。
希釈器34は、パージ弁24が開かれた場合に導入されるアノードオフガス中の水素を、カソードオフガス(希釈用ガス)で希釈する容器であり、その内部に希釈空間を備えている。そして、希釈後のガスは、配管34aを介して、車外に排出されるようになっている。なお、配管34aには、図示しないサイレンサ(消音器)が設けられている。
ここで、本実施形態おける燃料電池スタック10の下流のデバイスは、アノード側の下流のデバイスと、カソード側の下流のデバイスと、を含んでいる。具体的には、アノード側の下流のデバイスは、配管24aと、パージ弁24と、配管24bとを含んでいる。カソード側の下流のデバイスは、配管32bと、加湿器32と、配管32cと、背圧弁33と、配管33aと、希釈器34と、配管34aとを含んでいる。
掃気系は、燃料電池スタック10及び燃料電池スタック10の下流のデバイスの掃気時に、コンプレッサ31からの掃気ガス(非加湿の空気)をアノード系に導く系であり、常閉型の掃気弁41を備えている。掃気弁41の上流は、配管41aを介して配管31aに接続されており、掃気弁41の下流は、配管41bを介して配管23aに接続されている。
そして、燃料電池スタック10等を掃気する場合、例えばシステム停止中において、温度センサ25が検出するシステム温度が0℃未満となり、燃料電池スタック10内が凍結する虞のある場合、ECU80はコンプレッサ31を作動すると共に、掃気弁41を開く設定となっている。
バイパス系(バイパス通路)は、カソード側の下流のデバイス(背圧弁33等)を掃気する場合において、コンプレッサ31からの掃気ガスを、燃料電池スタック10のカソード流路12をバイパス(迂回)させるための系であり、バイパス時にECU80によって開かれるバイパス弁51を備えている。バイパス弁51の上流は、配管51aを介して配管32aに接続されており、バイパス弁51の下流は配管51bを介して配管32bに接続されている。
その他、バイパス弁51に代えて、配管51bと配管32bの合流位置に三方弁を設け、この三方弁を適宜に開閉し、バイパスさせる構成としてもよい。
電力消費系は、燃料電池スタック10の発電電力を消費等する系であって、走行モータ61と、コンタクタ62と、出力検出器63と、高圧バッテリ64とを備えている。
走行モータ61は、コンタクタ62、出力検出器63を介して燃料電池スタック10の出力端子(図示しない)に接続されており、高圧バッテリ64は、走行モータ61とコンタクタ62との間に接続されている。走行モータ61は、燃料電池自動車の動力源であり、コンタクタ62は、ECU80によって、燃料電池スタック10と走行モータ61等との電気的接続をON/OFFするスイッチである。すなわち、コンタクタ62がOFFされると、燃料電池スタック10から電流が取り出されず、燃料電池スタック10の発電は停止する。
IG71は、燃料電池自動車及び燃料電池システム1の起動スイッチであり、運転席周りに設けられている。また、IG71はECU80と接続されており、ECU80はIG71のON/OFF信号を検知するようになっている。
ECU80(掃気条件算出手段)は、燃料電池システム1を電子制御する制御装置であり、CPU、ROM、RAM、各種インタフェイス、電子回路などを含んで構成されており、その内部に記憶されたプログラムに従って、各種機器を制御し、各種処理を実行するようになっている。
なお、ECU80による具体的制御内容は、図2のフローチャート等を参照して、以下詳細に説明する。
次に、燃料電池システム1の動作について、図2を主に参照して説明する。
なお、IG71がOFFされると、図2のフローチャートに示す処理がスタートする。また、IG71のOFF前(初期状態)において、コンタクタ62はONされており、燃料電池スタック10は運転者からの発電要求に応じて発電している。また、ここでは、カソード流路12及びアノード流路11の掃気の後、カソード側の下流のデバイス(背圧弁33、配管32b等)を掃気する場合を例示する。
システム温度が低温であると判定された場合(S102・Yes)、ECU80の処理はステップS104に進む。一方、システム温度が低温でないと判定された場合(S102・No)、ECU80の処理はステップS103に進む。
所定時間Δt1経過したと判定された場合(S103・Yes)、ECU80の処理はステップS102に進む。これにより、発電停止直後は、低温でなかったとしても(S102・No)、その後、所定時間Δt1経過毎(S103・Yes)、低温であるか否かの判定処理が実行されるので、凍結が防止される。
一方、所定時間Δt1経過していないと判定された場合(S103・No)、ECU80は、ステップS103の判定を繰り返す。
具体的には、ECU80の内部クロックで求められる燃料電池スタック10の発電時間により、IG71のON後に短時間でIG71がOFFされたため(いわゆるチョイガケ時)、停止前の燃料電池スタック10の発電時間が短い場合(例えば3分以下)、生成水が略発生していない判断される。また、低温環境下(例えば0℃未満)での起動後、燃料電池スタック10の暖機完了前に発電停止した場合も、発電に伴う生成水は略生成していないと判断される。
一方、生成水は略発生していないと判定された場合(S104・No)、ECU80の処理はエンドに進む。このように生成水は略発生しておらず、エンドに進む場合、ステップS105のカソード掃気、ステップS107のアノード掃気、及び、ステップS111の下流デバイスの掃気は、省略される。これにより、コンプレッサ31を不要に作動させることはなく、コンプレッサ31の作動音を低減すると共に、高圧バッテリ64の電力消費を抑えることができる。
なお、後記するアノード流路11の掃気(アノード掃気)の実行時間についても、同様に算出される。
カソード掃気は完了したと判定された場合(S106・Yes)、ECU80の処理はステップS107に進む。一方、カソード掃気は完了していないと判定された場合(S106・No)、ECU80はステップS107の判定を繰り返す。
なお、アノード掃気時のコンプレッサ31の回転速度は、カソード掃気時及び後記する下流デバイスの掃気時よりも高く設定される(図6参照)。
アノード掃気は完了したと判定された場合(S108・Yes)、ECU80の処理はステップS109に進む。このようにステップS109に進む場合、本実施形態では、ECU80(燃料電池掃気完了判定手段)により、燃料電池スタック10の掃気が完了したと判定される。
一方、アノード掃気は完了していないと判定された場合(S108・No)、ECU80はステップS108の判定を繰り返す。
具体的には、ECU80は、停止前における燃料電池スタック10の発電時間(及び/又は燃料電池スタック10の積算発電電力(Wh、積算発電量))と、カソード掃気時間と、アノード掃気時間と、図4のマップとに基づいて、燃料電池スタック10の下流のデバイスに残留する水分量を算出する。また、カソード掃気時間と、アノード掃気時間に代えて、又は加えて、カソード掃気時、アノード掃気時における掃気ガスの総体積流量に基づいて、水分量を算出してもよい。
なお、カソード掃気時、アノード掃気時における掃気ガスの総体積流量は、例えば、コンプレッサ31から吐出される掃気ガスの吐出量(L/分)と作動時間との積から求めることができる。その他、配管23a、31a等に流量センサを設けて求めることもできる。
これは、燃料電池スタック10の発電時間が長く、積算発電電力(積算発電量)が大きくなるほど、発電に伴う生成水が多くなり、下流のデバイスに残留する水分量が多くなるからである。また、カソード・アノード掃気時間が短いほど(掃気ガスの総体積流量が少ないほど)、燃料電池スタック10から押し出された水分が、下流のデバイスに残留したままとなりやすいからである。
コンプレッサ31の回転速度(掃気ガスの吐出流量)は、下流のデバイスの流路断面積や、流路の撥水性等に関係し、事前試験等により求められる。また、コンプレッサ31の回転速度は、残留する水分を確実に排出するために必要な回転速度(掃気ガス必要吐出流量)よりも高めに設定される(図6参照)。
なお、掃気時間と掃気ガスの総体積流量との両方に基づいて完了判定すると、誤判定を防止できる。
このような燃料電池システム1によれば、次の効果を得る。
カソード流路12及びアノード流路11の掃気の完了後、カソード流路12の下流に配置される背圧弁33、希釈器34、配管32b等のデバイスを掃気し、その内部の水分を外部に押し出すので、これらデバイス内で水分が凍結することを防止できる。
これにより、背圧弁33等が凍結により作動不動となること、加湿器32内が凍結し加湿不能になること又は破損すること、希釈空間の凍結により希釈器34の希釈性能が低下すること、配管32b等が凍結により閉塞することは防止される。したがって、その後、IG71がONされ、システムを再起動する場合、背圧弁33等を良好に作動させ、カソード流路12に空気を好適に供給し、燃料電池スタック10を再発電することができる。
そして、この算出された水分量に基づいて、燃料電池スタック10の下流のデバイスの掃気時間(及び/又は掃気ガスの総体積流量)を、適切に算出し、これに従ってコンプレッサ31を適切に作動させることができる。
10 燃料電池スタック(燃料電池)
24 パージ弁(下流のデバイス)
31 コンプレッサ(燃料電池掃気手段、下流デバイス掃気手段)
33 背圧弁(下流のデバイス)
24a、24b、33a、32c、33a、34a 配管(下流のデバイス)
34 希釈器(下流のデバイス)
41 掃気弁
51 バイパス弁
51a、51b 配管(バイパス通路)
80 ECU(掃気条件算出手段)
Claims (5)
- 燃料電池と、
前記燃料電池の発電停止後に、当該燃料電池を掃気する燃料電池掃気手段と、
前記燃料電池掃気手段による前記燃料電池の掃気の完了後、前記燃料電池の下流のデバイスを掃気する下流デバイス掃気手段と、
前記下流デバイス掃気手段による掃気における掃気ガス総体積流量及び掃気時間の少なくとも一方である掃気条件を、前記燃料電池掃気手段による前記燃料電池の掃気完了時における前記燃料電池の下流のデバイス内の水分量に基づいて算出する、掃気条件算出手段と、
を備え、
前記掃気条件算出手段は、
前記燃料電池掃気手段による掃気ガス総体積流量が少なく及び/又は掃気時間が短くなるにつれて、前記燃料電池の掃気完了時における前記燃料電池の下流のデバイス内の水分量が多くなるように算出し、
当該水分量が多くなるにつれて、前記下流デバイス掃気手段による掃気ガス総体積流量及び掃気時間の少なくとも一方が大きくなるように算出する
ことを特徴とする燃料電池システム。 - 前記掃気条件算出手段は、前記水分量を、前記燃料電池の発電時間、又は、前記燃料電池の積算発電量、に基づいて算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 発電停止前に前記燃料電池において生成水が略生成していないと推定される場合、前記下流デバイス掃気手段は掃気を実行しない
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電池システム。 - 前記デバイスは、前記燃料電池の酸化剤ガス流路の下流に設けられた背圧弁を含み、
前記下流デバイス掃気手段による掃気中に、前記背圧弁は開閉される
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。 - 前記下流デバイス掃気手段から前記デバイスに向かう掃気ガスが、前記燃料電池をバイパスするバイパス通路を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
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