JP4950583B2 - 抗菌性樹脂組成物及びその製造方法、抗菌性樹脂成形品、並びに抗菌性物品 - Google Patents

抗菌性樹脂組成物及びその製造方法、抗菌性樹脂成形品、並びに抗菌性物品 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂(本明細書において「樹脂」と「重合体」とは同義である)などの分散媒体に抗菌剤を溶解または分散させた抗菌性樹脂組成物に関し、さらに詳しくは抗菌効果に優れ、透明性が高く、安全性に優れる抗菌性樹脂成形品を提供することができる抗菌性樹脂組成物およびその使用に関する。
従来、抗菌剤は、無機系と有機系のものに大別される。無機系の抗菌剤は、樹脂、合成繊維或いは塗料などに添加して使用した場合、得られる製品の耐熱性および耐候性は良好であるが、得られる製品の透明性および機械的強度などの物性が低下するという問題点がある。また、無機系の抗菌剤の安全性については、該抗菌剤が銀などの金属イオンを含有しているので、今後の大量消費による銀などの金属の蓄積に起因する生態系への影響が問題となっている。
一方、有機系の抗菌剤は、樹脂、合成繊維或いは塗料などに添加して使用する場合、得られる製品の機械的強度は低下しないが、該製品の耐熱性や耐候性に欠点があり、使用する抗菌剤の種類によっては得られる製品に透明性の問題が生じる場合がある。
一般的に有機系の抗菌剤は低分子量化合物であるため、これらを使用するに当たって種々の不都合を生じている。例えば、比較的沸点が低い抗菌剤や昇華性のある抗菌剤では、これらの抗菌剤を含む樹脂組成物の成形時、加熱硬化時、加温状態での保存時或いは使用時などに、成形品中の抗菌剤が昇華や揮発などを起こす場合がある。また、上記抗菌剤は低分子量化合物であることから、該抗菌剤により人体の皮膚や粘膜に対する刺激性が見られ、人体に対する安全性や衛生性についても注意が必要のものがある。
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ヒンダードフェノール系誘導体を樹脂などの分散媒体に添加した場合、これらの樹脂からなる成形品などは、安定した抗菌性、優れた透明性、安全性、耐熱性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、抗菌剤と樹脂とを含有し、前記抗菌剤が、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]であることを特徴とする抗菌剤樹脂組成物を提供する。前記樹脂100質量部に対する、前記抗菌剤の含有量が0.05〜20質量部であることが好ましい。前記樹脂100質量部及び前記抗菌剤1〜70質量部を混練して得たマスターバッチと、希釈用のナチュラル樹脂とを混合して得られたものであることが好ましい。
また、本発明は、前記抗菌性樹脂組成物の製造方法であって、前記樹脂100質量部及び前記抗菌剤1〜70質量部を混練してマスターバッチを得る工程と、得られた前記マスターバッチと希釈用のナチュラル樹脂を混合する工程と、を有することを特徴とする抗菌性樹脂組成物の製造方法を提供する。さらに、本発明は、前記抗菌性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする抗菌性樹脂成形品を提供する。
上記抗菌性樹脂成形品としては、容器、フィルム、シート、パイプ、ホース、チューブ、ビーズ、繊維、自動車部品、電気機器部品、文具、家具、又は日用品が挙げられる。
また、本発明の抗菌性樹脂組成物は、成形に使用される以外にも各種物品の表面に付与して各種物品に抗菌性を付与するためにも使用することができる。
本発明の抗菌性樹脂組成物は、抗菌剤と樹脂との相溶性、成形性、熱安定性、安全性などに優れているため、成形性、透明性、熱安定性、安全性などに優れた抗菌性樹脂成形品や抗菌性物品が提供される。
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明の抗菌剤は、ヒンダードフェノール系誘導体であり、該抗菌剤は、分子中に以下の一般式(I)で表される構造を有する化合物である。
Figure 0004950583
本発明で使用されるヒンダードフェノール系誘導体としては、公知の化合物が使用できるが、下記の化合物(1)〜(19)が特に好ましい。
(1)ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
Figure 0004950583
(2)チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
Figure 0004950583
(3)オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
Figure 0004950583
(4)N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]
Figure 0004950583
(5)2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール
Figure 0004950583
(6)3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール
Figure 0004950583
(7)カルシウムジエチルビス[[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート]
Figure 0004950583
(8)4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール
Figure 0004950583
(9)エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]
Figure 0004950583
(10)ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
Figure 0004950583
(11)1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン
Figure 0004950583
(12)1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン
Figure 0004950583
(13)2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール
Figure 0004950583
(14)2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール
Figure 0004950583
(15)2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)
Figure 0004950583
(16)4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)
Figure 0004950583
(17)4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)
Figure 0004950583
(18)3,9−ビス[2−(3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン
Figure 0004950583
(19)1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチル−フェニル)−ブタン
Figure 0004950583
上記の化合物から選ばれた少なくとも1種の化合物である本発明の抗菌剤は、使用時に紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、赤外線吸収剤、蛍光増白剤或いは帯電防止剤などの少なくとも一種と併用してもよい。
本発明の抗菌性樹脂組成物は、上記本発明の抗菌剤を、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂、これらの樹脂の溶液または該樹脂の水系分散体から選ばれる分散媒体に溶解または分散させてなることを特徴としている。抗菌剤が添加される樹脂分散媒体は特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレン−co−プロピレン)、ポリ(エチレン−co−プロピレン−co−α−オレフィン)などのポリオレフィン系樹脂、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレングリコール−co−プロピレングリコール)、(ポリエチレングリコール)−(ポリプロピレングリコール)ブロック共重合体、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテル系樹脂、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンセバケートなどの脂肪族ポリエステル、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリネオペンチルテレフタレートなどの芳香族ポリエステルなどのポリエステル系樹脂、6−ナイロン系、6,6−ナイロン系などのポリアミド系樹脂、ポリスチレン、スチレン共重合体、ポリビニルブチラールなどのポリビニル系樹脂、アクリル酸エステル(共)重合体、メタクリル酸エステル(共)重合体、アクリル−スチレン共重合体などの(メタ)アクリル系(共)重合体、ポリシリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ尿素系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン系樹脂、セルロース系樹脂、キトサン系樹脂などから選ばれた単独樹脂或いは上記の2種またはそれ以上の単量体からなる共重合体或いは上記の樹脂からなるブロック共重合体が挙げられる。
本発明では、抗菌剤を用途に応じて分散媒体である各種形態の樹脂に溶解分散させた抗菌性樹脂組成物として各種製品の製造に使用される。分散媒体としての樹脂としては、上記の樹脂(固体状態または溶融状態)、樹脂の溶液または樹脂の水性分散体が挙げられる。
上記成形用樹脂としては従来公知の成形品、シート、フィルムなどに使用される熱可塑性樹脂が挙げられる。例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−ビニルアルコール系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、液晶ポリエステル樹脂(LCP)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂およびポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)からなる群より選ばれた樹脂または2種以上の樹脂のポリマーブレンド或いはポリマーアロイが挙げられる。
また、上記樹脂にガラス繊維、炭素繊維、半炭化繊維、セルロース系繊維、ガラスビーズなどのフィラーや難燃剤などを含有させた熱可塑性樹脂も挙げられる。例えば、PET、PBT、LCP、POM、PA、PPSなどのエンジニアリングプラスチックのガラス繊維入り複合材料或いは難燃剤、発泡剤、架橋剤などの各種添加剤を添加したものが挙げられる。また、これらの樹脂は、必要に応じて従来使用されている樹脂用の添加剤、例えば、ポリオレフィン系樹脂微粉末、ポリオレフィン系ワックス、エチレンビスアマイド系ワックス、金属石鹸などの1種または2種以上を含んでいてもよい。
また、成形用の熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられ、これらの樹脂はガラス繊維、炭素繊維、半炭化繊維、セルロース系繊維、ガラスビーズなどのフィラーや難燃剤などを含有しているものであってもよい。
本発明の抗菌性樹脂組成物は、抗菌剤を上記の樹脂に対して任意の添加量で添加して得ることが可能であるが、抗菌剤成分の含有量として上記樹脂100質量部に対して約0.05〜20質量部、好ましくは約0.1部〜10質量部の割合で添加するのがよい。抗菌剤の含有量が上記範囲未満あると、成形品などに十分な抗菌性を付与することができない。また、抗菌剤の含有量が、上記範囲を超えると抗菌剤が高価であることから、コスト面で好ましくない。
また、本発明の抗菌性樹脂組成物が、高濃度品、すなわちマスターバッチである場合には、前記抗菌剤の含有量は樹脂100質量部当たり、約1〜70質量%の範囲が好ましい。抗菌剤の含有量が上記範囲未満あると、抗菌剤未添加の樹脂で希釈する際、希釈率が低く、経済的ではない。また、抗菌剤の含有量が、上記範囲を超えると希釈樹脂により希釈した場合、抗菌剤の溶解または分散が不十分になる場合がある。
以上の如き抗菌性樹脂組成物は、従来公知の方法、例えば、成形、紡糸、製紙、成膜、塗布、捺染、印刷、電子写真記録、インクジェットプリンティング、接着などで使用され、成形品や各種物品に改良された抗菌性が付与される。
上記抗菌性樹脂成形品或いは物品は、通常の有機系抗菌剤の有する欠陥である、蒸発、揮発或いは昇華などによる抗菌剤の揮散による機能の低下や相溶性の限界による添加量の制限、無機系抗菌剤の樹脂への添加による成形品などの透明性の低下などが改良される。
本発明の抗菌性樹脂組成物が、そのままで成形に供される場合(すなわちマスターバッチではない場合)には、前記抗菌剤の1種または2種以上の所定量を上記の樹脂を加えてミキシングロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ニーダールーダー、単軸押出機或いは多軸押出機などで混練して得られる。該組成物はミキシングロール、射出成形機、押出し成形機、ブロー成形機、インフレーション成形機、圧縮成形機、回転成形機、熱硬化性樹脂成形機などを用いて成形することで、本発明の抗菌性樹脂成形品が得られる。
一方、本発明の樹脂組成物が抗菌剤を高濃度で含むマスターバッチの場合は、所定量の抗菌剤と樹脂とを混練してシート状のマスターバッチにした後、該マスターバッチをペレタイザーでペレットとする。該マスターバッチを希釈用のナチュラル樹脂と共に常法に従いヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラーなどにて抗菌剤成分が所定濃度になるように希釈混合し、該希釈混合品を上記と同様にして成形することで、本発明の抗菌性樹脂成形品が得られる。
上記の方法で成形される物品として容器(食品容器、化粧品容器、医薬品容器など)、フィルム、シート、ブリスター、パイプ、ホース、チューブ、ビーズ、繊維、自動車部品(車両内装品など)、電気機器部品(電気器具のハウジングなど)、文具、おもちゃ、家具(衣装収納製品など)、日用品(台所用品、浴用製品など)などが挙げられる。上記の物品の中で、透明性、抗菌性、抗菌剤の耐ブリード性が必要な用途の物品、特に抗菌剤の耐ブリード性が必要な食品、医療用品、化粧品或いは精密装置部品用の包装フィルム、容器などに本発明の抗菌性樹脂組成物は適している。
本発明の抗菌剤または抗菌性樹脂組成物が適用される繊維材料としては、公知の繊維材料、例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン系繊維、アクリロニトリル系繊維、ポリウレタン繊維、ポリエチレン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維などが挙げられる。繊維材料に対する適用方法もそれぞれ従来公知の適用方法が挙げられる。繊維材料に対する抗菌剤の添加量としては、抗菌剤成分として上記繊維100質量部に対して約0.05〜5質量部が好ましい。
本発明の抗菌剤または抗菌性樹脂組成物が適用される他の材料としては、例えば、紙材料、不織布材料、塗料、コーティング剤、捺染剤、印刷インキまたは接着剤などが挙げられ、これらの材料に対する適用方法は従来公知の方法でよい。適用方法としては、例えば、製紙、成膜、塗布、捺染、印刷などが挙げられる。
本発明の抗菌剤または抗菌性樹脂組成物が適用される塗料としては、従来公知のアクリルメラミン系、アルキッドメラミン系、ポリエステルメラミン系、アクリルイソシアネート系、二液ポリウレタン系などの油性溶剤型、アクリルメラミン系、アルキッドメラミン系などの水性溶液型、アクリル樹脂エマルジョン系、フッ素樹脂エマルジョン系などの水性ディスパージョン型、アクリルイソシアネート系、ポリエステルイソシアネート系、ポリエステルエポキシ系などの粉体塗料など、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリエステルアクリレート系などの紫外線硬化、電子線硬化塗料などが挙げられる。用途では、金属板用、コイルコーティング用、建材用、木工用などである。コーティング剤や接着剤も同様な乾式および湿式のタイプが挙げられる。
本発明の抗菌剤または抗菌性樹脂組成物が適用される捺染剤としては、従来公知のアクリル樹脂エマルジョン系、アクリルスチレン樹脂エマルジョン系、合成ゴム系のタイプが挙げられる。印刷インキとしては、従来公知の輪転、枚葉などのオフセットインキ、プラスチックフィルム・シート用、アルミ箔用、建材・化粧板用などのグラビヤインキ、金属板用インキなどのインキが挙げられる。電子写真現像剤およびインクジェットインクとしては、従来公知のフルカラー、モノカラー、モノクロの乾式現像剤、湿式現像剤、水性、油性、ソリッドタイプのインクジェットインクが挙げられる。特に広告、看板用、外装塗装用などのフルカラー画像の用途に使用される現像剤やインクが挙げられる。
上記のそれぞれの材料への抗菌剤の添加量は、使用される用途、目的によって変わるが、ひとつの基準として上記用途における樹脂固形分100質量部当たり抗菌剤成分としての添加量として約0.05〜10質量部の割合が好ましい。また、抗菌剤として目的に応じて同種機能或いは異種機能を含め二種以上併用し、相乗効果を得ることができる。
一般的に、本発明の抗菌剤または抗菌性樹脂組成物が適用される製品が、フィルムのような薄膜や糸のように細い場合や、材料が劣化し易いものだったり、使用される状況が屋外の塗料のように厳しい環境に曝され、且つ長期にわたる耐久性を期待される時などでは、抗菌剤としての添加量は、上記範囲において、多い方の比率で使用することが望ましい。
本発明の抗菌剤または抗菌性樹脂組成物を湿式で塗料などに適用する場合の処理方法としては、加熱攪拌反応槽、混合攪拌反応槽、ディゾルバー混合などによる方法が挙げられ、湿式分散方法としてはミキシングロールミル、ニーダー、ボールミル、アトライター、サンドミル、横形媒体分散機、縦形媒体分散機、連続横形媒体分散機、連続縦形媒体分散機などが挙げられる。乾式の加工方法としては、前記樹脂の成形で挙げた方法および成形機械を使用する方法が挙げられる。
本発明の抗菌剤または抗菌性樹脂組成物を各種樹脂に適用する場合には、同時に着色を行うことができる。これらの着色剤としては、樹脂、塗料、捺染剤、印刷インキ、電子写真現像剤或いはインクジェットインクなどのに使用される着色剤が挙げられ、これらの着色剤としては、これらの用途に通常使用されている有機顔料、無機顔料および体質顔料、および染料が挙げられる。具体的には、例えば、溶性アゾ系顔料、不溶性アゾ系顔料、ポリアゾ系顔料、アゾメチンアゾ系顔料、アントラキノン系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリノン−ペリレン系顔料、アゾメチン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、ピロロピロール系顔料、蛍光顔料などの有機顔料、カーボンブラック顔料、酸化チタン系顔料、黄色酸化鉄、弁柄、酸化クロム、群青、複合酸化物顔料、硫化亜鉛などの無機顔料、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、硫酸バリウムなどの体質顔料、さらに分散染料、油溶性染料が挙げられ、特に限定されるものではない。
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。尚、文中「部」または「%」とあるのは質量基準である。
実施例1(抗菌剤を含むマスターバッチの製造例)
低密度ポリエチレン(比重0.918、MFR 12)95部と前記抗菌剤(1)(ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])の5部とを高速混合機(ヘンシェルミキサー)で充分混合した後、2軸押出機を用い、130〜150℃で混練および造粒してマスターバッチを得た。このマスターバッチは抗菌剤(1)を5%含有する。同様に抗菌剤(2)〜(19)を5%含むそれぞれのマスターバッチを製造した。
実施例2
低密度ポリエチレン(比重0.918、MFR 12)に、実施例1で得た抗菌剤(1)のポリエチレンマスターバッチ(抗菌剤(1)5%含有)を10%の割合で添加し、ミキシングロール(ロール表面温度:120℃)で混練し、抗菌剤(1)を0.5%含む抗菌性シートに成形した。同様に抗菌剤(2)〜(19)のマスターバッチを用いてそれぞれ抗菌剤を0.5%含む抗菌性シートを成形した。
実施例3(抗菌性試験)
(供試菌株)
グラム陰性菌:大腸菌(Escherichia coli NBRC 3972)
グラム陽性菌:黄色ブドウ球菌(staphylococcus aureus NBRC 12732)
(試験方法)
JIS Z 2801に準じた。
上記実施例2で得られた抗菌性シートの試験片(50×50mm)を滅菌シャーレ中に置き、試料面上に生菌数を調整した前培養液を0.2ml接種し、その表面をポリエチレンフィルム(40×40mm)で被覆して、35℃、24時間培養した後、SCDLP培地で菌を洗い出し、生菌数を混釈平板法で測定した。接種菌液の栄養分には1/500(大腸菌)および1/20(黄色ブドウ球菌)希釈のニュートリエントプロス液体培地を使用し、無添加試料と比較して、JIS指定の計算式で抗菌活性値が2.0以上の試料を抗菌性があると判定した。対照試験として、ポリエチレンフィルムを試験片とした試験も同様に行った。
(試験結果)
Figure 0004950583
Figure 0004950583
以上の通り、本発明の抗菌剤(1)を含む抗菌性シートは、充分な抗菌性を示した。また、抗菌剤(2)〜(19)を含む抗菌性シートについても上記と同様に試験したところ、いずれの抗菌性シートも抗菌剤(1)を含む抗菌性シートと同様に充分な抗菌性を示した。
本発明によれば、本発明の抗菌性樹脂組成物は、抗菌剤と樹脂との相溶性、成形性、熱安定性、安全性などに優れているため、成形性、透明性、熱安定性、安全性などに優れた抗菌性樹脂成形品や抗菌性物品が提供される。

Claims (7)

  1. 抗菌剤と樹脂とを含有し、
    前記抗菌剤が、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]であることを特徴とする抗菌性樹脂組成物。
  2. 前記樹脂100質量部に対する、前記抗菌剤の含有量が0.05〜20質量部である請求項1に記載の抗菌性樹脂組成物。
  3. 前記樹脂100質量部及び前記抗菌剤1〜70質量部を混練して得たマスターバッチと、希釈用のナチュラル樹脂とを混合して得られたものである請求項1又は2に記載の抗菌性樹脂組成物。
  4. 請求項3に記載の抗菌性樹脂組成物の製造方法であって、
    前記樹脂100質量部及び前記抗菌剤1〜70質量部を混練してマスターバッチを得る工程と、
    得られた前記マスターバッチと希釈用のナチュラル樹脂を混合する工程と、を有することを特徴とする抗菌性樹脂組成物の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗菌性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする抗菌性樹脂成形品。
  6. 容器、フィルム、シート、パイプ、ホース、チューブ、ビーズ、繊維、自動車部品、電気機器部品、文具、家具、又は日用品である請求項5に記載の抗菌性樹脂成形品。
  7. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗菌性樹脂組成物が、物品の表面に付与されていることを特徴とする抗菌性物品。
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