JP4948501B2 - 整流子モータ、電気掃除機、手乾燥装置 - Google Patents
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Description
そこで、磁化特性が方向性を有する方向性電磁鋼板を用いて電機子鉄心を構成し、磁気回路の効率を高めることが考えられる。
そのため、固定子と電機子により形成される磁気回路の磁束の流れと、電機子片の磁化容易方向とを一致させることができる。これにより、磁気回路の効率を向上させることができる。
そのため、方向性電磁鋼板を採用したことに起因して、電機子鉄心の中心部近傍で磁化容易方向と磁束の流れが直交して磁気回路の抵抗が大きくなることを回避し、磁気回路の効率低下を抑えることができる。
図1は、本発明の実施の形態1における整流子モータの回転軸と平行方向の断面模式図である。整流子モータ1は、フレーム2、軸受3、回転軸4、整流子5、ブラシ6、電機子10、固定子20等から構成されている。
フレーム2aおよびフレーム2bの底部略中央には、軸受3aおよび軸受3bがそれぞれ設けられており、これら軸受3aおよび軸受3bによって回転軸4が回動自在に支持されている。
また、回転軸4には、複数の整流子片で構成された整流子5が設けられており、各整流子片には、歯部に巻かれた電機子巻線12が接続されている。
この整流子5には、整流子片を介して電機子巻線12に電流を供給する二つのブラシ6が接触している。これらブラシ6は、フレーム2aに設けられたブラシホルダー7に取り付けられている。
この固定子20の内周部には、互いに対向した二つの磁極片21が形成されており(図3に示す)、これら磁極片21のそれぞれには界磁巻線22が巻かれて、磁極を形成している。界磁巻線22のそれぞれは、一端が整流子モータ1の端子(図示せず)に接続され、他端がブラシ6に接続されている。
また、電機子鉄心11は、1片が1極に対応するn個の電機子片101〜10n(図2の例ではn=12。以下同様。)を、貫通孔の周りに180°/nずつずらして円状に連接配置して構成されている。
方向性材質は、その磁化特性方向に磁束が通りやすい性質を有している。以下、この磁束が通りやすい方向を磁化容易方向という。
方向性材質で構成される部分は、電機子10の歯部に相当する部分を側面に有する板状に形成されている。また、無方向性材質で構成される部分は、歯部の反対側の側部のうち一定領域を占める。
方向性電磁鋼板は、その圧延方向が上述の磁化容易方向となる。
電機子鉄心11は、各電機子片101〜10nを貫通孔の周りに180°/nずつずらして連接して配置することにより、磁化容易方向を円周方向に180°/nずつずらして構成されている。これにより、電機子鉄心11での磁束密度を平均化し、電機子10の回転ムラ(リップル)を防止することができる。
また、これとは別に無方向性材質を扇形にプレス成型等し、各電機子片101〜10nと接するように配置する。
各電機子片101〜10nは、回転軸4の周囲に円周方向に沿って水車羽根状に連接配置される。各電機子片101〜10nの板面の法線方向は、電機子10の半径方向と直交する向きとなる。また、電機子鉄心11の外周部には、各電機子片101〜10nが側面に有する歯部が、180°/nずつずれて円状に連接配置される。
固定子20の外郭部は、略正方形の額縁形状をしており、内周部には略三日月形状をした二つの磁極片21が対向して形成されている。
固定子20は、電磁鋼板からプレス等によって打ち抜かれた固定子片を複数積層することにより形成することができる。
次に、本実施の形態1に係る整流子モータ1の運転動作を説明する。
磁束の流れは、一方の固定子20から、電機子鉄心11を経由してもう一方の固定子20に向かう。このとき、回転軸4は迂回される。
そのため、電機子鉄心11を全て方向性材質で構成すると、磁化容易方向と磁束の向きが略直交する部分が存在し、磁気抵抗が高くなる。
無方向性材質は、磁化特性が全ての方向に対して均等であるため、方向性材質のように磁化容易方向と磁束の向きが直交するということはない。そのため、電機子鉄心11を全て方向性材質で構成する場合と比較して、実質的な磁気抵抗を低減することができる。
次に、電機子10や固定子20に発生するヒステリシス現象について説明し、その後に保磁力と火花との相関関係について説明する。
電磁鋼板にh1[A/m]の外部磁場(磁化力)を与えると、電磁鋼板の磁束密度はb1[T]となる。外部磁場を減少させていくと電磁鋼板の磁束密度も減少するが、外部磁場を0としても電磁鋼板にはb2[T]の磁束が残留する。
h1[A/m]と逆方向の外部磁場−h2[A/m]をさらに与えることにより、電磁鋼板の磁束密度は0となる。電磁鋼板に−h1[A/m]の外部磁場(磁化力)を与えると、電磁鋼板の磁束密度は−b1[T]となる。
外部磁場を減少させていくと電磁鋼板の磁束密度も減少するが、外部磁場を0としても電磁鋼板には−b2[T]の磁束が残留する。外部磁場h2[A/m]をさらに与えることにより、電磁鋼板の磁束密度は0となる。この外部磁場h2[A/m]が電磁鋼板の保磁力Hc[A/m]である。
つまり、磁化容易方向と同方向に磁束が発生するときの方向性珪素鋼板の保磁力Hc[A/m]は、無方向性珪素鋼板の保磁力Hc[A/m]よりも小さくなっている。
なお、磁化容易方向と垂直方向に磁束が発生するときの方向性電磁鋼板の保磁力Hc[A/m]は、磁化容易方向と同方向に磁束が発生するときの方向性電磁鋼板の保磁力Hc[A/m]よりも大きく、無方向性電磁鋼板の保磁力Hc[A/m]よりも小さくなる。
この図は、横軸に整流子モータ1の電機子鉄心および固定子として使用した電磁鋼板の保磁力Hc[A/m]、縦軸にブラシ6−整流子5間に発生した火花の大きさを示す。
また、横軸には、方向性珪素鋼板(JFEスチール株式会社製、品名「27JGSD090」)を磁化容易方向を長手方向として(つまり、磁化容易方向と試験片に発生する磁束の方向を同方向として)25cmエプスタイン試験(JISC2550)で測定した保磁力と、無方向性珪素鋼板(JFEスチール株式会社製、品名「35JN200」)を25cmエプスタイン試験(JISC2550)で測定した保磁力を示す。
なお、縦軸の火花の大きさは、保磁力Hc[A/m]が5[A/m]のときの火花の大きさを基準(=1)としている。
同様に、固定子20の部材として通常使用される無方向性電磁鋼板よりも保磁力Hc[A/m]の小さい電磁鋼板で固定子20を構成することにより、ブラシ6と整流子5との間に発生する火花を抑制することができる。
これにより、電機子鉄心11の磁化容易方向を円周方向に180°/nずつずらして構成することになるので、電機子鉄心11での磁束密度を平均化し、電機子10の回転ムラ(リップル)を防止することができる。
また、電機子10が回転しても、磁極片21の周辺では、磁束の流れと磁化容易方向を一致させることができるので、磁気効率を向上させることができる。さらには、同じ出力でもより少ないモータ電流で駆動することができるので、ブラシ6の長寿命化を図ることができる。
そのため、中心部120近傍の実質的な磁気抵抗を低減し、磁気回路の効率低下を抑えることができる。
実施の形態1では、電機子片101〜10nの一方の側部を電機子鉄心11の歯部として方向性材質で構成し、もう一方の側部の所定領域を無方向性材質で構成した。これにより、電機子10の周縁部分の磁化容易方向を磁束の向きと一致させるとともに、中心部120の磁気抵抗を抑えることを図った。
本実施の形態2において、電機子鉄心11の中心部120は、回転軸4を貫通させる穴を有する円柱状の無方向性材質で構成されている。また、中心部120の側面には、実施の形態1と同様に、電機子片101〜10nが中心部120の周辺に円周方向に沿って水車羽根状に連接配置されている。
実施の形態1〜2では、電機子片101〜10nを水車羽根状に配置して、磁化容易方向と磁束の向きを一致させる例を説明した。
本発明の実施の形態3では、電機子片101〜10nの他構成例を説明する。なお、その他の部分の構成は実施の形態1〜2と同様であるため、以下では差異点を中心に説明する。
各電機子片101〜10nの外周部分が、電機子鉄心11の歯部を形成する。また、各電機子片101〜10nの扇形の半径部分は、他の電機子片と相互に連接する。
中心部120は、電機子片101〜10nと同様にプレス等により打ち抜いた薄板を積層して形成することもできるし、実施の形態2と同様に円柱状にプレス成型等して形成することもできる。
実施の形態1〜2では、電機子片101〜10nを方向性電磁鋼板で構成する場合、各電機子片の板面の法線方向が電機子10の半径方向と直交する向きで圧延を行うものとした。
これに対し、本実施の形態3では、各電機子片の板面の法線方向が回転軸4の長さ方向と一致する向きで圧延が行われる。
実施の形態3で説明したように、電機子鉄心11を複数の電機子片101〜10nで構成した場合、電機子10の回転により遠心力が発生し、各電機子片101〜10nを遠心方向に向けて撥ね飛ばすような力が働く。
そのため、電機子片101〜10nの固定が緩んでいると、電機子片101〜10nが遠心方向に外れてしまう可能性がある。特に、電機子鉄心11を複数の電機子片に分割して円状に連接配置したことにより、上記の可能性が増す。
なお、本実施の形態4において、特に記述しない項目については実施の形態1〜3と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
第1係止部30nは、各電機子片101〜10nの一方の半径部分の一部を円周方向に向けて突き出した凸形状に構成されている。
第2係止部40nは、各電機子片101〜10nのもう一方の半径部分の一部を円周方向に向けて凹ませた凹形状に構成されている。
各電機子片101〜10nを円状に連接配置すると、図13(b)に示すように、第1係止部30nと他の電機子片の第2係止部40nが係合するようになっている。
したがって、電機子片101〜10nが遠心方向に外れることを防ぐことができる。
図14において、電機子片101〜10nは、図13で説明した第1係止部30nと第2係止部40nに加えて、凹形状の第3係止部50nを備えている。また、中心部120は、係止部50nと係合する突起部を備えている。
図14のように係止部50nと突起部を設けることにより、各電機子片と中央部120をより安定的に固定することができる。
さらには、実施の形態1〜2において、第1係止部30nや第2係止部40nと同様に電機子片同士で互いに係合する手段を設けることにより、各電機子片をより安定的に固定することもできる。
これにより、各電機子片101〜10nを安定的に固定することができる。
また、各電機子片101〜10nを同じ形状で構成することができるので、電機子鉄心11の製作が容易であり、整流子モータ1の製造コストを低減することができる。
本発明の実施の形態5では、方向性電磁鋼板を用いて固定子20を構成し、磁気回路の効率をさらに高める構成を説明する。なお、本実施の形態5において、特に記述しない項目については実施の形態1〜4と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
固定子20の外郭部は、略正方形の額縁形状をしており、内周部には略三日月形状をした二つの磁極片21が対向して形成されている。この固定子20は、方向性電磁鋼板からプレス等によって打ち抜かれた固定子片を、その磁化容易方向をそろえて複数積層することにより形成されている。磁化容易方向は、磁極片21の対向方向となっている。
一方、固定子20の左右辺や磁極片21近傍では、磁化容易方向と磁束の流れが一致しているため、この部分では磁気抵抗を低減する効果を発揮することができる。
これにより、磁束の方向と磁化容易方向が一致する部分で磁気抵抗を低減し、磁気回路の効率を高めることができる。
本発明の実施の形態6では、固定子20を複数のブロックに分けて構成し、各ブロック毎に磁気回路の磁束の方向と磁化容易方向を一致させる構成を説明する。
なお、本実施の形態6において、特に記述しない項目については実施の形態1〜5と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
固定子20の外郭部は、略正方形の額縁形状をしており、内周部には略三日月形状をした二つの磁極片21が対向して形成されている。
ブロック20aおよびブロック20bはブロック21aの両側部に設けられ、固定子20の外郭部の一辺を形成する。
具体的には、磁極片21となるブロック21aおよびブロック21bのそれぞれの磁化容易方向は、互いの対向方向となっている。固定子20の外郭部を形成するブロック20a〜20fのそれぞれの磁化容易方向は、外郭部の辺方向となっている。
これにより、磁極片21の対向方向、および固定子20の全周にわたって磁束の方向と磁化容易方向を一致させ、磁気回路の効率をさらに高めることができる。
図17は、本発明の実施の形態7に係る電気掃除機の概略構成図である。本実施の形態5に係る電気掃除機は、上記の実施の形態1〜6で説明した整流子モータ1を搭載したものである。
この電動送風機102は、整流子とブラシとを有する整流子モータ1とこの整流子モータ1により回転駆動するファンとから成る。
また、電気掃除機本体101には、延長目的でホースユニット105が設けられており、このホースユニット105を構成するホース106の一端には電気掃除機本体101に着脱可能に連結される接続部107が設けられており、他端に手元ハンドル108が設けられている。
そして、手元ハンドル108には延長管109が着脱可能に連結され、さらに延長管109の上流側には床用吸込具110が着脱可能に連結されて、床用吸込具110から電動送風機102の集塵室103までの間に負圧の吸引風路が形成され、集塵室103の下流側から排気口(図示せず)の間には排気風路が形成されている。
これにより、掃除室内に煙を排出することが無いため室内を煙で汚染することも無く、また、煙で不快な臭いが付着することも無いために、火花異常によって室内の衛生性を損なうことない。さらには、整流子モータ1の発火を防止して火災に関連する安全性の高い電気掃除機を提供することができる。
図18は、本発明の実施の形態8に係る手乾燥装置の概略構成図である。本実施の形態6に係る手乾燥装置は、上記の実施の形態1〜6で説明した整流子モータ1を搭載したものである。
高圧空気流発生部202は、吸込口205から空気を吸込み、高圧空気を生成して処理空間203の前面の手挿入口近傍において水分を吹飛ばす手乾燥に関する作動気流としての高速の気流をエアーノズル210により下向きに吹き出すものである。
この高圧空気流発生部202は、整流子とブラシとを有する整流子モータ1と、この整流子モータ1により回転駆動するターボファンとにより構成されている。
また、処理空間203の底部は、排水孔206を有する水受け部として構成され、水受け部の下に収められるドレン容器204の内側に導水枠207と、この導水枠207に係脱可能に保持させた水受け板208と、水受け板208の前縁に上から重なる庇209とにより構成されている。
これにより、処理空間203に挿入して乾燥をしようとした手に炎が噴出して火傷するようなことは無く、また、乾燥をしようとした手に煙が掛かって手に異臭が付着することも無く、また、煙を体内に吸込むことも無く、さらに、噴出し口から煙や炎が出ないために慌てて乾燥しようとしていた手を遠ざけようとして、思わぬところに当たって怪我をすることも無い。さらには、火災関連の安全性が高く、怪我に対する安全性も高く、衛生的にも高い手乾燥装置を提供することができる。
Claims (9)
- 内周部に磁極が形成された固定子と、
電機子鉄心に巻線が巻かれ、前記固定子の内周部側に回動自在に配置された電機子と、
前記巻線が接続された整流子と、
前記整流子に接触するブラシと、
を備え、
前記電機子鉄心の中心部は、磁化特性が方向性を有さない材質で構成され、
前記電機子鉄心の周縁部は、方向性電磁鋼板で構成されており、
前記方向性電磁鋼板の磁化容易方向は、
前記電機子鉄心の中心部から放射状に形成され、
前記電機子鉄心は、
板面の法線方向が前記電機子の半径方向と略直交する板状の電機子片を回転軸の円周方向に沿って複数連接配置してなり、
前記電機子片は、
所定部分が無方向性電磁鋼板で構成されるとともに、その他の部分が方向性電磁鋼板で構成されており、
各電機子片を連接配置した際に、
無方向性電磁鋼板で構成されている部分が前記電機子鉄心の中心部を構成し、
方向性電磁鋼板で構成されている部分が前記電機子鉄心の周縁部を構成する
ことを特徴とする整流子モータ。 - 前記電機子片は、周辺部材と係合する係止部を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の整流子モータ。 - 前記係止部は、他の電機子片が備える係止部と互いに係合するように構成されている
ことを特徴とする請求項2記載の整流子モータ。 - 前記電機子鉄心の中心部は突起部を有し、
前記係止部は前記突起部と係合するように構成されている
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の整流子モータ。 - 前記固定子は、無方向性電磁鋼板よりも保磁力の小さい鋼板から構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の整流子モータ。 - 前記固定子は方向性電磁鋼板で構成されている
ことを特徴とする請求項5記載の整流子モータ。 - 前記固定子は複数に分割されたブロックで構成されており、
前記ブロックに生じる磁束の方向と、前記ブロックの磁化容易方向とが同方向となるように前記固定子が構成されている
ことを特徴とする請求項6記載の整流子モータ。 - 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の整流子モータを備えた
ことを特徴とする電気掃除機。 - 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の整流子モータを備えた
ことを特徴とする手乾燥装置。
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