JP4948258B2 - 近赤外線カットフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、近赤外線カットフィルムに関するものであり、詳しくは、フィルム巻き取り性(滑り性)に優れ、ヘーズが小さく、粒子感がなく、可視光平均透過率、近赤外線透過率(850nm、950nm)、耐熱性、耐光性に優れた近赤外線カットフィルムに関するものである。
近年、光エレクトロニクス関連部品、機器の進歩は著しく、その中で、画像を表示するディスプレイは、従来のテレビジョン装置用に加えて、コンピューターモニター用等として需要が増加しつつある。中でも、ディスプレイの大型化および薄肉化に対する市場要求は高まる一方である。最近、大型かつ薄肉化を実現することが可能であるディスプレイとして、プラズマディスプレイパネル(PDP)が注目されている。PDPは、原理上、強い近赤外線を装置外に放出する。この近赤外線は、コードレス電話や赤外線方式のリモートコントローラー等の誤動作を引き起こす原因となる。
そこで、近赤外線を遮断するために、プラズマディスプレイパネルに近赤外線(NIR)カットフィルムが使用されている。特許文献1には、近赤外吸収能を有する色素が、フタロシアニン系金属錯体と、芳香族ジチオール錯体と、芳香族ジインモニウム化合物であり、それらから選択した2種類以上の色素を透明な高分子樹脂中に分散させることを特徴とする近赤外線吸収フィルムを含む多層近赤外線吸収フィルムと、電磁波吸収層、反射防止層、紫外線吸収層のうち少なくとも1層を有する多層近赤外線吸収フィルムが開示されている。しかし、該近赤外吸収能を有する色素を透明な高分子樹脂中に分散させ、二軸延伸ポリエステルフィルム上にコーティングしたフィルムは、滑り性がなく、フィルム巻き取り性が悪いという問題がある。
フィルムの巻き取り性を改良する技術として、二軸延伸ポリエステルフィルムの易接着剤層に粗面化物質を添加する技術が知られている。例えば、特許文献2には、ヘーズ値が5%以下、波長400〜750nmの光線の吸光度が0.15〜0.35である二軸配向ポリエステルフィルムからなり、該フィルムの少なくとも片面に易接着性塗膜が形成され、該易接着性塗膜中に平均粒径0.15μm以下の粗面化物質を5〜30重量%含有する光学用フィルムが開示されている。しかし、易接着性塗膜に該粗面化物質を上記形態でもって添加すると、透明性に劣り(ヘーズ値が大きい)、粒子感による外観性に劣るという問題がある。
また、特許文献3には、平均粒子径が0.01μm〜100μmの範囲にあり、800nm〜1200nmの波長領域に極大吸収波長を持つ近赤外線吸収色素を含有する樹脂微粒子が分散されている近赤外線遮蔽樹脂組成物からなる層および電磁波シールド層が積層されてなる近赤外線遮蔽性を有する電磁波シールド積層物が開示されている。しかし、該近赤外線吸収色素を含有する樹脂微粒子は、分散性が悪く、色調がぶれやすいという問題がある。
特許第3308545号公報 特開2002−212317号公報 特開2004−160676号公報
したがって本発明の目的は、上記のような従来の課題を解決し、フィルム巻き取り性(滑り性)に優れ、ヘーズが小さく、粒子感がなく、可視光平均透過率、近赤外線透過率(850nm、950nm)、耐熱性、耐光性に優れた近赤外線カットフィルムを提供することにある。
また本発明の別の目的は、該近赤外線カットフィルムと、粘着剤層とを有し、とくにプラズマディスプレイパネルに好適に使用される近赤外線カット粘着シート部材を提供することにある。
本発明は、以下のとおりである。
1.透明基材フィルム(A)上に、近赤外線吸収層(B)を有する近赤外線カットフィルムであって、前記近赤外線吸収層(B)が、アクリル系樹脂バインダー、近赤外線吸収色素および平均粒子径が5〜50nmのシリカ微粒子を含有するとともに、前記アクリル系樹脂バインダー100質量部に対する前記近赤外線吸収色素の配合割合が5〜50質量部であり、かつ前記シリカ微粒子の配合割合が0.1〜2.0質量部であり、前記アクリル系樹脂が、ポリメチルメタクリレート系樹脂であり、かつ、前記ポリメチルメタクリレート系樹脂の分子量分布Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が、1.5乃至2.1であることを特徴とする近赤外線カットフィルム。
2.前記近赤外線吸収色素が2種類以上使用されることを特徴とする前記1に記載の近赤外線カットフィルム。
3.前記シリカ微粒子が、コロイダルシリカであることを特徴とする前記1または2に記載の近赤外線カットフィルム。
4.前記近赤外線吸収色素が、ジイモニウム系色素、シアニン系色素およびフタロシアニン系色素から選ばれた2種類以上であることを特徴とする前記2に記載の近赤外線カットフィルム。
5.前記ジイモニウム系色素が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする前記3に記載の近赤外線カットフィルム。
Figure 0004948258
(一般式(2)中、R1〜R8はそれぞれ同じであっても異なっていても良く、水素原子、ヒドロキシ基、置換もしくは未置換の、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、シアノアルキル基、アリール基、又はフェニルアルキル基であり、環A及びBは置換基を有していても良い。また、R9及びR10はそれぞれ同じであっても異なっていても良く、それぞれフルオロアルキル基を示すか、それらが一緒になって形成するフルオロアルキレン基を表す。)
.前記透明基材フィルム(A)が、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする前記1または2に記載の近赤外線カットフィルム。
.前記透明基材フィルム(A)の前記近赤外線吸収層(B)が設けられた面とは反対の面に、帯電防止層、反射防止層およびハードコート層から選ばれた少なくとも1種のコート層(C)を有することを特徴とする前記1〜6のいずれかに記載の近赤外線カットフィルム。
.前記1〜7のいずれかに記載の近赤外線カットフィルムと、粘着剤層(D)とを少なくとも有することを特徴とする近赤外線カット粘着シート部材。
.プラズマディスプレイパネルに使用されることを特徴とする前記に記載の近赤外線カット粘着シート部材。
本発明によれば、透明基材フィルム(A)上に、近赤外線吸収層(B)を有する近赤外線カットフィルムであって、前記近赤外線吸収層(B)が、アクリル系樹脂バインダー、近赤外線吸収色素および平均粒子径が5〜50nmのシリカ微粒子を特定量でもって配合されてなるので、フィルム巻き取り性(滑り性)に優れ、ヘーズが小さく、粒子感がなく、可視光平均透過率、近赤外線透過率(850nm、950nm)、耐熱性、耐光性に優れた近赤外線カットフィルムを提供することができる。
また本発明の近赤外線カット粘着シート部材は、該近赤外線カットフィルムと、粘着剤層とを有しているので、とくにプラズマディスプレイパネルに好適に使用することができる。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。なお本発明でいう近赤外線とはおよそ800〜1100nmの波長領域の赤外線を意味しているが、本フィルムは、特に850nm、950nmの近赤外線透過率で評価を行った。850nmで近赤外線透過率が10%以下、950nmで近赤外線透過率が5%以下であることが、必要とされている。
(透明基材フィルム(A))
本発明で使用される透明基材フィルム(A)としては特に制限はなく、様々な透明プラスチックフィルムの中から、状況に応じて適宜選択して用いることができる。この透明プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1などのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、ポリエチレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、セルロースアセテートなどのセルロース系樹脂などからなるフィルム、これらの積層フィルム等が挙げられる。これらの中でも、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好適である。二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、機械的強度と寸法安定性が良好であり、また所望の厚みに調整が可能である。
透明基材フィルム(A)の厚さとしては、例えば10〜300μm、好ましくは20〜200μmである。
透明基材フィルム(A)は、所望により酸化防止剤や紫外線吸収剤等、公知の添加剤を配合してもよい。
また透明基材フィルムは、他層との接着性を高めるために、易接着剤層を設けておくこともできる。
(近赤外線吸収層(B))
本発明における近赤外線吸収層(B)は、アクリル系樹脂バインダー、近赤外線吸収色素および平均粒子径が5〜50nmのシリカ微粒子を含有する。以下、各成分について説明する。
(アクリル系樹脂バインダー)
本発明で使用されるアクリル系樹脂バインダーとしては、アクリル酸あるいはメタクリル酸のアルキルエステル類の単独重合体、前記単量体と共重合し得るエチレン性不飽和単量体との共重合体などが挙げられ、とくに制限されるものではないが、本発明ではポリメチルメタクリレート系樹脂が好ましい。中でも、ポリメチルメタクリレート系樹脂は、低分子量成分が極力排除された、シャープな分子量分布を有するものであれば、近赤外線吸収色素の劣化を起こさず、耐熱性、耐光性を良化させることができる。なお低分子量成分は、近赤外線吸収色素の構造を破壊する傾向にあり、近赤外線吸収色素の吸収性能を変化させ、耐熱性および耐光性を劣化させてしまう。したがって本発明でとくに好適なポリメチルメタクリレート系樹脂の分子量分布は、Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が、1.5乃至2.1であることが好ましく、1.6乃至1.9であることがより好ましい。なお本発明でいう分子量分布は、展開溶媒としてクロロホルムを用い、GPC(ポリメチルメタクリレート換算値)により測定される。
(近赤外線吸収色素)
本発明で使用される近赤外線吸収色素は、上記で定義した近赤外線の波長領域の赤外線を吸収可能な色素であればとくに制限されないが、本発明では、近赤外線吸収色素が、ジイモニウム系色素、シアニン系色素およびフタロシアニン系色素から選ばれた2種類以上であることが好ましい。
ジイモニウム色素は、下記一般式(1)で示される構造を有するものが挙げられる。
Figure 0004948258
上記一般式(1)中、R16〜R23はそれぞれ同じであっても異なっていても良く、水素原子、ヒドロキシ基、置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はフェニルアルキル基を示す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基等の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。シクロアルキル基としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の炭素数3〜10のシクロアルキル基が挙げられる。アルケニル基としてはビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基等の炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。アリール基としてはフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。
これらの基に結合する置換基としては、シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;テトラヒドロフリル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、プロポキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、プロポキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基エトキシプロポキシ基、メトキシブトキシ基、エトキシブトキシ基等の炭素数2〜12のアルコキシアルコキシ基;メトキシメトキシメトキシ基、メトキシメトキシエトキシ基、メトキシエトキシメトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシメトキシメトキシ基、エトキシメトキシエトキシ基、エトキシエトキシメトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基等の炭素数3〜15のアルコキシアルコキシアルコキシ基;アリルオキシ基;フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6〜12のアリールオキシ基;メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、n−プロピルスルホニルアミノ基、イソプロピルスルオニルアミノ基、n−ブチルスルホニルアミノ基、tert−ブチルスルホニルアミノ基、sec−ブチルスルホニルアミノ基、n−ペンチルスルホニルアミノ基、n−ヘキシルスルホニルアミノ基等の炭素数1〜6のアルキルスルホニルアミノ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、n−ペンチルカルボニルオキシ基、n−ヘキシルカアルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルキルカルボニルオキシ基;メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、sec−ブトキシカルボニルオキシ基、n−ペンチルオキシカルボニルオキシ基、n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ基等の炭素数2〜7のアルコキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
これらのR16〜R23のうち、炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基、ハロゲン置換アルキル基、シアノ置換アルキル基が好ましく、炭素数2〜6の直鎖又は分鎖基を有するアルキル基が特に好ましい。かかる炭素数2〜6の直鎖又は分鎖基を有するアルキル基の具体例としては、例えばエチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−アミル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、iso−アミル基等が挙げられる。
また、R16〜R23の好ましい他の例として、フェニルアルキレン基を挙げることもできる。かかるフェニルアルキレン基のアルキレン基の炭素数は、1〜8であることが好ましい。更にフェニルアルキレン基におけるフェニル基は、置換基を有していなくてもよいが、アルキル基、水酸基、スルホン酸基、アルキルスルホン酸基、ニトロ基、アミノ基、アルコキシ基、ハロゲン置換アルキル基及びハロゲンからなる群から選ばれる少なくとも1種の置換基を有していてもよい。好ましくは置換基を有していないフェニル基である。
かかるフェニルアルキレン基としては、例えばベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピレン基、フェニル−α−メチルプロピレン基、フェニル−β−メチルプロピレン基、フェニルブチレン基、フェニルペンチレン基、フェニルオクチレン基等が挙げられ、ベンジル基及びフェネチル基が好ましい。
上記一般式(1)における環A及びBは、1,4−位以外に1〜4個の置換基を有しても、いなくてもよい。
結合しうる置換基としては、例えばハロゲン原子、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基、シアノ基、低級アルキル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基等のC1〜C5のアルコキシ基が挙げられ、低級アルキルとしては、例えばメチル基、エチル基等のC1〜C5のアルキル基が挙げられる。好ましくはA及びBが置換基を有していないか、ハロゲン原子(特に塩素原子、臭素原子)、メチル基もしくはシアノ基で置換されたのもが好ましい。なお、Bに置換基を有する場合は、4つのB環がすべて同じであるもの、更に、置換基の位置はフェニレンジアミン骨格に結合する窒素原子に対して、m−位であるものが合成上好ましい。更に環A及びBには1,4−位以外に置換基を有していないものが合成上好ましい。
上記一般式(1)におけるXは、電荷を中和するのに必要なアニオンであり、アニオンが2価である場合には1分子、アニオンが1価の場合には2分子必要になる。これらのアニオンは、例えば有機酸アニオン又は無機アニオン等から選択される。具体的には、有機酸アニオンとしては、例えば酢酸イオン、乳酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオン、シュウ酸イオン、コハク酸イオン、ステアリン酸イオン等の有機カルボン酸イオン;メタスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、ナフタレンモノスルホン酸イオン、ナフタレンジスルホン酸イオン、クロロベンゼンスルホン酸イオン、ニトロベンゼンスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等の有機スルホン酸イオン;及びテトラフェニルホウ酸イオン、ブチルトリフェニルホウ酸イオン等の有機ホウ酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド酸イオン、ビス(ペンタフルオロエタン)イミド酸イオン、ペンタフルオロエタンスルホントリフルオロメタンスルホンイミド酸イオン、トリフルオロメタンスルホンヘプタフルオロプロパンスルホンイミド酸イオン、ノナフルオロブタンスルホントリフルオロメタンスルホンイミド酸イオン、1,3−ジスルホンニルヘキサフルオロプロピレンイミド酸イオン等のスルホンイミド酸イオン等が挙げられ、好ましくは、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン等のアルキルスルホン酸イオン、アルキルアリールスルホン酸イオン及びスルホンイミド酸イオンが挙げられる。
無機アニオンとしては、例えばフッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲンイオン;チオシアン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、過塩素酸イオン、過ヨウ素酸イオン、硝酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオン、チタン酸イオン、バナジン酸イオン、リン酸イオン及びホウ酸イオン等が挙げられ、好ましいものとしては、過塩素酸イオン、ヨウ素イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン及びヘキサフルオロアンチモン酸イオン等が挙げられる。
これらのアニオンのうち、好ましいものとしては、例えば過塩素酸イオン、ヨウ素イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン及びスルホンイミド酸イオン等が挙げられる。
上記一般式(1)で示されるジイモニウム系色素の合成方法は公知であり、例えば特公昭43−25335号公報に開示された方法を採用できる。上記一般式(1)で表されるジイモニウム系色素は、850〜1200nmの範囲に近赤外線吸収能があり、特に1000nm前後の近赤外線吸収が強く、リモコン等に使用される近赤外線の波長の光以外にも、将来使用が見込まれるコンピューター通信の波長の光をも遮断し、この誤作動の防止にも効果が期待できる。
本発明でとくに好ましいジイモニウム色素は、下記一般式(2)で表される。
Figure 0004948258
(一般式(2)中、R1〜R8はそれぞれ同じであっても異なっていても良く、水素原子、ヒドロキシ基、置換もしくは未置換の、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、シアノアルキル基、アリール基、又はフェニルアルキル基であり、環A及びBは置換基を有していても良い。また、R9及びR10はそれぞれ同じであっても異なっていても良く、それぞれフルオロアルキル基を示すか、それらが一緒になって形成するフルオロアルキレン基を表す。)
本発明における一般式(2)で表されるジイモニウム系色素の中でも、とくに好適な化合物を下記に例示する。
式(20)で示される、ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド酸N,N,N',N'−テトラキス{p−ジ(n−ブチル)アミノフェニル}−p−フェニレンジイモニウム、
式(20)
Figure 0004948258
式(21)で示される、ビス(ペンタフロロエタンスルホン)イミド酸N,N,N',N'−テトラキス{p−ジ(n−ブチル)アミノフェニル}−p−フェニレンジイモニウム、
式(21)
Figure 0004948258
式(22)で示される、ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド酸N,N,N',N'−テトラキス{p−ジ(iso−ブチル)アミノフェニル}−p−フェニレンジイモニウム、
式(22)
Figure 0004948258
式(23)で示される、ビス{ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド酸}N,N,N',N'−テトラキス(p−ジベンジルアミノフェニル)−p−フェニレンジイモニウム、
式(23)
Figure 0004948258
式(24)で示される、ビス{ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド酸}N,N,N',N'−テトラキス(p−ジフェネチルアミノフェニル)−p−フェニレンジイモニウム、
式(24)
Figure 0004948258
式(25)で示される、ビス{ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド酸}N,N,N',N'−テトラキス{(p−ジ(4−フッ化)ベンジルアミノフェニル)−p−フェニレンジイモニウム、
式(25)
Figure 0004948258
式(26)で示される、ビス(1,3−ジスルホニルヘキサフルオロプロピレンイミド酸)N,N,N',N'−テトラキス(p−ジフェネチルアミノフェニル)−p−フェニレンジイモニウム、
式(26)
Figure 0004948258
式(27)で示される、ビス(1,3−ジスルホニルヘキサフルオロプロピレンイミド酸)N,N,N',N'−テトラキス(p−ジブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジイモニウム等が挙げられる。
式(27)
Figure 0004948258
本発明で使用される一般式(2)で表されるジイモニウム系色素は、例えば特公昭43−25335号公報に開示された次の様な方法で得ることができる。すなわち、p−フェニレンジアミンと1−クロロ−4−ニトロベンゼンをウルマン反応させて得られた生成物を還元することにより得られる、下記一般式(28)で表されるアミノ体を有機溶媒中、好ましくはジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルピロリドン等の水溶性極性溶媒中、30〜160℃、好ましくは50〜140℃で、所望のR1〜R8に対応するハロゲン化化合物(例えば、R1がn−C49のときはBrC49)と反応させて、全ての置換基(R1〜R8)が同一である化合物(以下、全置換体と記す)を得ることができる。また、全置換体以外の化合物を合成する場合、例えば、先に所定のモル数(一般式(20)のアミン体1モル当たり7モル)の試薬(BrC49)と反応させてR1〜R8のうち7つにn−ブチル基を導入した後、残りの置換基(iso−ブチル基)を導入するのに必要なモル数(一般式(28)のアミン体1モル当たり1モル)の試薬(BrC49BrCH2CH(CH32)と反応させる。
一般式(28)
Figure 0004948258
(式中、環A及びBは前記で定義された通りである。)
その後、上記で合成した化合物を、有機溶媒中、好ましくはジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルピロリドン、アセトニトリル等の水溶性極性溶媒中、0〜100℃、好ましくは5〜70℃で、一般式(29)で示されるスルホンイミド酸銀誘導体を添加して酸化反応を行い、析出した銀を濾別した後、水、酢酸エチル又はヘキサン等の溶媒を加え、生じた沈殿を濾過することにより本発明の一般式(2)で表されるジイモニウム系色素がえられる。
一般式(29)
Figure 0004948258
(式中、R9及びR10は前記で定義された通りである。)
上記一般式(2)で表されるジイモニウム系色素の市販品としては、例えば、「CIR−RL」、「CIR−1085」(いずれも日本カーリット株式会社製)、「K−1032」(日本化薬株式会社製)等が挙げられる。
フタロシアニン系色素は、フタロシアニン、フタロシアニン錯体、或いはフタロシアニン及びフタロシアニン錯体であってフタロシアニン骨格のベンゼン環上にOR、SR、NHR、又はNRR′のうちの1種以上有するものである。ここでR、R′は、同一もしくは異なって、置換基を有してもよいフェニル基、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数7〜20のアラルキル基を表す。なお置換基のうちの1個がNHRで置換されたフタロシアニンであることが好ましい。
フタロシアニン系色素は、下記一般式(3)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0004948258
(式中、αは、同一もしくは異なって、SR28、OR29、NHR30又はハロゲン原子を表し、NHR30を必須とする。R28、R29及びR30は、同一もしくは異なって、置換基を有してもよいフェニル基、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数7〜20のアラルキル基を表す。βは、同一もしくは異なって、SR28、OR29又はハロゲン原子を表し、SR28、OR29を必須とする。Mは無金属、金属、金属酸化物又は金属ハロゲン化物を表す。)
上記一般式(3)において、炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2−メチル−1−イソプロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等の直鎖又は分岐状のアルキル基;シクロヘキシル基等の環状アルキル基等が挙げられる。炭素数7〜20のアラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子であることが好ましい。
上記R28、R29及びR30におけるフェニル基、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数7〜20のアラルキル基は、置換基を1個又は2個以上有してもよい。このような置換基としては、例えばハロゲン原子、アシル基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールアミノ基、アリールカルボニルアミノ基カルボニル基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。
上記一般式(3)中のMにおいて、無金属とは、金属以外の原子、例えば2個の水素原子であることを意味する。具体的には、フタロシアニン構造の中央部分に存在する、置換基を有してもよい、相対する2つの窒素原子に水素原子が結合している構造となる。金属としては、例えば鉄、マグネシウム、ニッケル、コバルト、銅、パラジウム、亜鉛、バナジウム、チタン、インジウム、錫等が挙げられる。金属酸化物としては、例えばチタニル、バナジル等が挙げられる。金属ハロゲン化物としては、例えば塩化アルミニウム、塩化インジウム、塩化ゲルマニウム、塩化錫、塩化ケイ素等が挙げられる。Mとしては、金属、金属酸化物又は金属ハロゲン化物であることが好ましく、具体的には、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、鉄、バナジル、ジクロロ錫等が挙げられる。より好ましくは、亜鉛、銅、コバルト、バナジル、ジクロロ錫である。
上記一般式(3)で表されるフタロシアニン系色素の好ましい形態としては、8個のβのうち4〜8個が、同一もしくは異なって、SR28又はOR29である。より好ましくは、8個のβが全て、同一もしくは異なって、SR28又はOR29である。このようなフタロシアニン系化合物としては、例えば、ZnPc(PhS)8(PhNH)35、ZnPc(PhS)8(PhNH)44、ZnPc(PhS)8(PhNH)53、ZnPc(PhS)8(PhCH2NH)44、ZnPc(PhS)8(PhCH2NH)53、ZnPc(PhS)8(PhCH2NH)62、CuPc(PhS)8(PhNH)7F、CuPc(PhS)8(PhNH)62、CuPc(PhS)8(PhNH)53、VOPc(PhO)8(PhCH2NH)53、VOPc(PhO)8(PhCH2NH)62、VOPc(PhO)8(PhCH2NH)8、VOPc(PhS)8(PhCH2NH)8、VOPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH32PhO}4{Ph(CH3)CHNH}3F、VOPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH32PhO}4(PhCH2NH)4、CuPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH32PhO}4(PhCH2NH)4、CuPc(PhS)8{2,6−(CH32PhO}4(PhCH2NH)4、VOPc(4−CNPhO)8{2,6−Br2−4−(CH3)PhO}4{Ph(CH3)CHNH}4、ZnPc(2,4−Cl2PhO)8{2,6−Br2−4−(CH3)PhO}4{Ph(CH3)CHNH}3Fの略号で表されるフタロシアニン化合物等が挙げられる。
またこれらの化合物の中でも8個のαのうち4個が、同一もしくは異なってNHR30又はハロゲン原子を表す化合物で、例えば、ZnPc(PhS)8(PhNH)35、ZnPc(PhS)8(PhNH)44、ZnPc(PhS)8(PhCH2NH)44、VOPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH32PhO}4{Ph(CH3)CHNH}3F、VOPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH32PhO}4(PhCH2NH)4、CuPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH32PhO}4(PhCH2NH)4、CuPc(PhS)8{2,6−(CH32PhO}4(PhCH2NH)4、VOPc(4−CNPhO)8{2,6−Br2−4−(CH3)PhO}4{Ph(CH3)CHNH}4、ZnPc(2,4−Cl2PhO)8{2,6−Br2−4−(CH3)PhO}4{Ph(CH3)CHNH}3Fの略称で表されるフタロシアニン化合物等が好ましい。
なお、上記化合物の略号において、Pcはフタロシアニン核を表し、Pcの後には、β位に置換する8個の置換基を表し、その後にα位に置換する8個の置換基を表す。また、上記Phはフェニル基を表す。更に具体的には、上記略号は、中心金属:Pc:β位の8個の置換基:α位の8個の置換基を表す。例えば、VOPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH32PhO}4{Ph(CH3)CHNH}3Fでは、中心金属がVO:フタロシアニン核:β位に2,5−Cl2PhOが8個置換:α位に2,6−(CH32PhOが4個とPh(CH3)CHNHが3個とFが1個置換したフタロシアニン系化合物を表す。
上記一般式(3)で表されるフタロシアニン系色素の製造方法は、特に制限されるものではなく、従来公知の方法を適当に利用することができる。例えば、フタロニトリル化合物を、金属塩、金属酸化物、金属カルボニル、金属ハロゲン化物及び有機酸金属から選ばれる一種と環化反応させた後、アミノ化合物と反応させることによって製造される。
上記一般式(3)で表されるフタロシアニン系色素の市販品としては、例えば、「イーエックスカラーIR10A」、「イーエックスカラーIR12」、「イーエックスカラーIR14」、「イーエックスカラーHA−1」、「イーエックスカラーHA−14」(いずれも日本触媒製)等があけられ、フタロシアニン系化合物の溶媒溶解性、共重合体(A)との相溶性の点より、近赤外線吸収フィルターとして使用する場合の可視光線透過率、近赤外線吸収効率の点より、「イーエックスカラーIR10A」、「イーエックスカラーIR12」、「イーエックスカラーIR14」が好ましい。
これら一般式(3)で表されるフタロシアニン系色素は、800〜900nmの近赤外線領域で吸収極大を持ち、且つ可視光領域での吸収が小さいという特徴を持つ。そこでジイモニウム系色素と組み合わせることにより、両者の相乗効果で800〜1000nmの近赤外線領域を効率良く吸収遮蔽するので、プラズマディスプレイが発する不要な近赤外線を吸収することができる。
また、フタロシアニン系色素は、一般的に耐熱性に優れるため、単独で使用した場合、他の色素と混合した場合でも、耐熱性の低下は問題ない。
シアニン系色素は、例えば、下記一般式(4)であることが好ましい。
Figure 0004948258
(一般式(4)中、R31〜R35は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基を表し、その具体例は、先述のものと同様なものが挙げられる。nは、0以上の整数を表し、通常は、1〜3である。Z1、Z2は、それぞれ独立に、S原子、O原子、NR36、CR3738である。R36〜R38は、それぞれ独立に、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいフェニル基を表す。その具体例は、先述のものと同様なものが挙げられる。L1、L2は、それぞれ独立に、5〜7員環を形成するものであって、好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環などの芳香環である。)
シアニン系色素の具体例としては、例えば日本化薬社製CY17、住友精化社製SD50、林原生物化学研究所社製NK−5706、NK−5060、NK−9028などのシアニン系化合物を好適に用いることができる。上記は一例であり、これらに限定されるものではない。
これら一般式(4)で表されるシアニン系色素は、800〜950nmの近赤外線領域で吸収極大を持ち、且つ可視光領域での吸収が小さいという特徴を持つ。そこでジイモニウム系色素と組み合わせることにより、両者の相乗効果で800〜1000nmの近赤外線領域を効率良く吸収遮蔽するので、プラズマディスプレイが発する不要な近赤外線を吸収することができる。
前述のように、本発明では近赤外線吸収色素を1種類のみ使用することもできるが、ジイモニウム系色素、シアニン系色素およびフタロシアニン系色素から選ばれた2種類以上を使用することが好ましい。2種類以上を併用する場合、各色素の使用割合は任意であるが、例えばジイモニウム系色素とシアニン系色素を併用する場合は、質量比として、前者1に対し、後者0.01〜0.5が好ましい。また、ジイモニウム系色素とフタロシアニン系色素を併用する場合は、質量比として、前者1に対し、後者0.02〜2.0が好ましい。また、シアニン系色素とフタロシアニン系色素を併用する場合は、質量比として、前者1に対し、後者1.0〜100が好ましい。また、3者をいずれも使用する場合は、質量比として、ジイモニウム系色素1に対し、シアニン系色素0.01〜0.5、フタロシアニン系色素0.02〜2.0が好ましい。
(シリカ微粒子)
本発明のシリカ微粒子は、平均粒子径(一次粒子径)が5〜50nmであるシリカ微粒子である。平均粒子径が5nm未満であると、十分な滑り性が得られず、50nmを超えると、ヘーズが悪くなる。好ましい平均粒子径は、10〜40nmである。
本発明におけるシリカ微粒子の形状は球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、もしくは不定形状であり、好ましくは球状である。シリカ微粒子の比表面積は0.1〜3000m2/gであり、好ましくは10〜1500m2/gである。
これらのシリカ微粒子の使用形態は乾燥状態の粉末、もしくは水もしくは有機溶剤で分散した状態で用いることができ、コロイダルシリカとして知られている微粒子状のシリカ微粒子の分散液を直接用いることができる。特に粒子感を改善するためにはコロイダルシリカの利用が好ましい。コロイダルシリカの分散溶媒が水の場合、その水素イオン濃度はpH値として2〜10の範囲であり、好ましくはpH3〜7の酸性コロイダルシリカが用いられる。また、コロイダルシリカの分散溶媒が有機溶剤の場合、有機溶剤としてメタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、エチレングリコ−ル、ブタノ−ル、エチレングリコ−ルモノプロピルエ−テル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド等の溶剤もしくはこれらと相溶する有機溶剤もしくは水との混合物として用いても良い。好ましい分散溶剤はメタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、メチルエチルケトン、キシレンである。シリカ微粒子の市販品としては、例えば、コロイダルシリカとしては日産化学工業(株)製のメタノ−ルシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−STおよびST−UP、ST−20L、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等をあげることができる。また粉体状シリカとしては、日本アエロジル(株)製のアエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600及びアエロジルOX50、旭硝子(株)製のシルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業(株)製のE220A、E220 富士シリシア(株)製のサイリシア470、日本板硝子(株)製のSGフレ−ク等を挙げることができる。また、ヒュームドシリカとして、日本アエロジル(株)製のアエロジルR972等を挙げることができる。
本発明の近赤外線吸収層(B)において、アクリル系樹脂バインダー100質量部に対し、前記近赤外線吸収色素の配合割合を5〜50質量部、かつ前記シリカ微粒子の配合割合を0.1〜2.0質量部に設定する必要がある。近赤外線吸収色素の配合割合が5質量部未満では、近赤外線の吸収効果が発現されず、逆に50質量部を超えると可視光の透過率に悪影響を及ぼす。また、シリカ微粒子の配合割合が0.1質量部未満であると、滑り性が悪く、フィルムの巻き取り性が悪化する。逆に2.0質量部を超えると滑りすぎて巻きずれを起こし、巻き取り性が悪化する。さらに好ましい形態としては、アクリル系樹脂バインダー100質量部に対し、前赤外線吸収色素を10〜40質量部、かつシリカ微粒子を0.2〜1.5質量部使用する形態である。
本発明の近赤外線カットフィルムは、例えば次のようにして製造することができる。アクリル系樹脂バインダーを溶解した溶液に、近赤外線吸収色素を溶解した溶液およびシリカ微粒子の分散液を加え、適当な溶剤で粘度を調整し、得られた塗布液を透明基材フィルム(A)上に、公知のコーティング方法によって塗布し、加熱乾燥して本発明の赤外線カットフィルムが得られる。なお、近赤外線吸収層(B)の乾燥後の厚さは、例えば
0.5μm〜5.0μm、好ましくは1.0μm〜3.0μmである。
また本発明の近赤外線カットフィルムは、透明基材フィルム(A)の近赤外線吸収層(B)が設けられた面とは反対の面に、帯電防止層、反射防止層およびハードコート層から選ばれた少なくとも1種のコート層(C)を有する形態も好ましい。当該形態の近赤外線カットフィルムは、プラズマディスプレイパネルに好適に使用される。
帯電防止層としては、例えば、水溶性または水分散性導電ポリマーである、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリエチレンイミン、アリルアミン系化合物などを含有する水溶液を塗布して形成することができる。
反射防止層としては、高屈折率層および低屈折率層からなる積層材料が挙げられ、高屈折率層は、例えば高屈折率層を形成しうるマトリックス成分に、高屈折率材料である酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、さらにこれらの金属酸化物微粒子にアンチモン、錫等の異種元素をドープした微粒子を高屈折率層形成用マトリックスに分散させ、塗料とし、これを塗布等により形成した層であることができる。また低屈折率層は、例えば、低屈折率層を形成しうるマトリックス成分に、低屈折率材料であるポリシロキサン、中空シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素樹脂などの微粒子を分散させ、塗料とし、これを塗布等により形成した層であることができる。
ハードコート層は、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート等の分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートに、光重合開始剤、必要に応じて各種無機化合物微粒子を添加し、紫外線照射することにより硬化させて形成することができる。
また本発明は、前記の近赤外線カットフィルムと、粘着剤層(D)とを積層し、近赤外線カット粘着シート部材を提供するものである。当該シート部材は、プラズマディスプレイパネルに好適に使用される。
粘着剤層(D)は、光学用途のものであって、例えばアクリル系粘着剤 、ウレタン系粘着剤 、シリコーン系粘着剤等、公知のものの中から適宜選択することができる。この粘着剤層(D)の厚さは、通常5〜40μmの範囲である。
本発明の近赤外線カット粘着シート部材をプラズマディスプレイパネルに適用する場合は、例えば、プラズマディスプレイパネルの前面ガラス板から視認側にかけて、前面ガラス板、粘着剤層(D)、近赤外線吸収層(B)、透明基材フィルム(A)、コート層(C)の順番で適用することができる。なお本発明は、上記順に限定されるものではない。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1
厚さ100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製A−1540、両面に易接着剤層が形成されている)上に、下記の近赤外線吸収層(B)形成用塗料を乾燥膜厚1.5μmとなるように塗布し、乾燥し、本発明の近赤外線カットフィルムを作製した。
(近赤外線吸収層(B)形成用塗料)
・バインダー樹脂(1) 333質量部
(固形分100質量部)
ポリメチルメタクリレート系樹脂
(綜研化学社製、GS1000、固形分30%、重量平均分子量(Mw)111,000で、Mw/Mn=1.68の分子量分布を有する)
分子量分布は、展開溶媒としてクロロホルムを用い、GPC(ポリメチルメタクリレート換算値)により測定した。GPCの測定条件は、カラムの種類:ShodexK806L×2+K800P、試料濃度:0.2%(w/v)、注入量:100μL、流速:1.0ml/min、測定温度:35℃、検出器:示差屈折計で測定した。
・ジイモニウム系色素(1) 200質量部
(固形分20質量部)
(日本カーリット社製、CIR−RL、固形分10%、溶剤はメチルエチルケトン(MEK))
・シアニン系色素(1) 100質量部
(固形分1.0質量部)
(林原生物化学研究所社製、NK−5060、最大吸収波長は864nm、固形分1%、MEK希釈)
・コロイダルシリカ分散液(1) 2質量部
(固形分0.6質量部)
(日産化学社製、MEK−ST、メチルエチルケトン分散液コロイダルシリカ、平均粒子径15nm、シリカ濃度30%)
・溶剤 MEK 317質量部
得られた近赤外線カットフィルムについて、下記の評価を行った。
(1)フィルム巻き取り性(滑り性)
300mの長さの近赤外線カットフィルムをロール状に巻き取り、目視で観察することにより、フィルムの巻き取り性(滑り性)を評価した。
・フィルムの巻き取り性(滑り性)の評価基準
○:巻きじわ及び、巻きずれがない。
△:巻きじわ又は、巻きずれがわずかにある。
×:巻きじわ又は、巻きずれが大きい。
(2)ヘーズ
JIS K 7136にしたがい、ヘーズコンピューター〔日本電色工業(株) NDH2000〕を用いて測定した。
(3)外観(粒子感)
三波長蛍光灯(F10光源)でフィルムの外観(粒子感)を目視で観察し、下記の基準により評価した。
・外観(粒子感)の評価基準
○:粒子感がなく、外観が良好である。
△:粒子感がやや認められ、外観がやや劣る。
×:粒子感が大きく、外観が劣る。
(4)可視光(400〜700nm)平均透過率
JIS A5759に準拠し測定した。
(5)近赤外線透過率(850nm)
分光光度計〔日本分光(株)、U−best V−570〕を用いて波長850nmの光線透過率を測定した。
(6)近赤外線透過率(950nm)
分光光度計〔日本分光(株)、U−best V−570〕を用いて波長950nmの光線透過率を測定した。
(7)耐熱性
得られた近赤外線カットフィルムを分光光度計〔日本分光(株)、U−best V−570〕にてJIS Z8701−1999に準じて、(Y、x、y)を測定した後、恒温層中に80℃で500時間静置した後の(Y、x、y)を上記と同様に測定した。試験前後の(Y、x、y)の変化量を求め、下記の基準により評価した。
・耐熱性の評価基準
○:(Y、x、y)の各数値の変化量が、全て3%未満である。
△:(Y、x、y)の各数値の変化量が、全て5%未満であるが、少なくとも1個が、3%以上である。
×:(Y、x、y)の各数値の変化量の少なくとも1個が、5%以上である。
(8)耐光性
得られた近赤外線カットフィルムを分光光度計〔日本分光(株)、U−best V−570〕にて(Y、x、y)を測定した後、キセノンウェザーメーター(スガ試験機製、XL−75F)を用い促進耐光性試験(JIS K7350−2−1995に準じる。光照射のみ、放射照度50W/m2(300〜400nm)、ブラックパネル温度65℃、湿度50%RH、100時間連続光照射)後の(Y、x、y)を上記と同様に測定した。試験前後の(Y、x、y)の変化量を求め、下記の基準により評価した。
・耐光性の評価基準
○:(Y、x、y)の各数値の変化量が、全て3%未満である。
△:(Y、x、y)の各数値の変化量が、全て5%未満であるが、少なくとも1個が、3%以上である。
×:(Y、x、y)の各数値の変化量の少なくとも1個が、5%以上である。
結果を表1に示す。
実施例2
実施例1において、コロイダルシリカ分散液(1)の配合割合を0.67質量部(固形分0.2質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
実施例3
実施例1において、コロイダルシリカ分散液(1)の配合割合を6.0質量部(固形分1.8質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
実施例4
実施例1において、コロイダルシリカ分散液(1)を、下記のコロイダルシリカ分散液(2)に変更し、その配合割合を3.0質量部(固形分0.6質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
コロイダルシリカ分散液(2):日産化学社製、スノーテックス20L、水分散液コロイダルシリカ、平均粒子径45nm、シリカ濃度20%。
実施例5
実施例1において、コロイダルシリカ分散液(1)を下記の超微粒子状無水シリカに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
超微粒子状無水シリカ:日本アエロジル社製、ヒュームドシリカ、粉体、平均粒子径16nm、シリカ濃度99.8%以上。
実施例2〜5の結果を表1に示す。
実施例6
実施例1において、ジイモニウム系色素(1)の配合割合を100質量部(固形分10質量部)に変更し、シアニン系色素(1)の配合割合を50質量部(固形分0.5質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
実施例7
実施例1において、ジイモニウム系色素(1)の配合割合を450質量部(固形分45質量部)に変更し、シアニン系色素(1)の配合割合を150質量部(固形分1.5質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
実施例8
実施例1において、シアニン系色素(1)の配合割合を60質量部(固形分0.6質量部)に変更し、さらに下記のシアニン系色素(2)を60質量部(固形分0.6質量部)に添加したこと以外は、実施例1を繰り返した。
シアニン系色素(2):林原生物化学研究所社製、NK−9028、最大吸収波長は875nm、固形分1%、MEK希釈)
実施例6〜8の結果を表2に示す。
実施例9
実施例1において、シアニン系色素(1)を使用せず、その替わりに下記のフタロシアニン系色素(1)を20質量部(固形分2.0質量部)添加したこと以外は、実施例1を繰り返した。
フタロシアニン系色素(1):日本触媒社製、IR−12、最大吸収波長は882nm、固形分10%。
参考例1
実施例1において、バインダー樹脂(1)の替わりに、下記バインダー樹脂(2)を用いたこと以外は実施例1を繰り返した。
バインダー樹脂(2):(株)トクシキ製、ポリメチルメタクリレート系樹脂、商品名、AR−8236HA、固形分40%、重量平均分子量(Mw)78,000で、Mw/Mn=2.48の分子量分布を有する)
分子量分布は、展開溶媒としてクロロホルムを用い、GPC(ポリメチルメタクリレート換算値)により測定した。GPCの測定条件は、実施例1と同じ条件で測定した。
実施例10
実施例1において、ジイモニウム系色素(1)の配合割合を300質量部(固形分30質量部)に変更し、シアニン系色素(1)を使用しなかったこと以外は、実施例1を繰り返した。
実施例11
実施例1において、ジイモニウム系色素(1)を使用せず、その替わりに下記のフタロシアニン系色素(1)を300質量部(固形分30質量部)添加したこと以外は、実施例1を繰り返した。
フタロシアニン系色素(1):日本触媒社製、IR−12、最大吸収波長は882nm、固形分10%。
実施例9〜11、参考例1の結果を表3に示す。
比較例1
実施例1において、コロイダルシリカ分散液(1)の配合割合を0.17質量部(固形分0.05質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
比較例2
実施例1において、コロイダルシリカ分散液(1)の配合割合を7.7質量部(固形分2.3質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
比較例3
実施例1において、コロイダルシリカ分散液(1)を、下記のコロイダルシリカ分散液(3)に変更し、その配合割合を1.5質量部(固形分0.6質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
コロイダルシリカ分散液(3):日産化学社製、スノーテックスZL、水分散液コロイダルシリカ、平均粒子径85nm、シリカ濃度40%。
比較例4
実施例1において、コロイダルシリカ分散液(1)を、下記のシリコーン樹脂微粒子(1)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
シリコーン樹脂微粒子(1):GE東芝シリコーン社製、トスパール130、無機と有機の中間的な構造をもつシリコーン樹脂微粒子、粉体、真球状、白色微粒子、平均粒子径3.0μm。
比較例5
実施例1において、コロイダルシリカ分散液(1)を、下記のシリコーン樹脂微粒子(2)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
シリコーン樹脂微粒子(2):GE東芝シリコーン社製、トスパールXC99−A8808、無機と有機の中間的な構造をもつシリコーン樹脂微粒子、粉体、真球状、白色微粒子、平均粒子径0.8μm。
比較例1〜5の結果を表4に示す。
比較例6
実施例1において、コロイダルシリカ分散液(1)を使用しなかったこと以外は、実施例1を繰り返した。
比較例7
実施例1において、ジイモニウム系色素(1)の配合割合を30質量部(固形分3質量部)に変更し、シアニン系色素(1)の配合割合を50質量部(固形分0.5質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
比較例8
実施例1において、ジイモニウム系色素(1)の配合割合を550質量部(固形分55質量部)に変更し、シアニン系色素(1)の配合割合を150質量部(固形分1.5質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。
比較例9
実施例1において、バインダー樹脂(1)の替わりに、下記バインダー樹脂(3)を用いたこと以外は実施例1を繰り返した。
バインダー樹脂(3):東洋紡社製、バイロンGK880、非晶性ポリエステル樹脂、Tg=84℃、固形分30%溶液、MEK希釈。
比較例6〜9の結果を表5に示す。
Figure 0004948258
Figure 0004948258
Figure 0004948258
Figure 0004948258
Figure 0004948258
表1〜5の結果から、以下の事項が導き出される。
・実施例1は、近赤外線吸収層(B)におけるアクリル系樹脂バインダー、近赤外線吸収色素および平均粒子径が5〜50nmのシリカ微粒子を特定量でもって配合しているので、フィルム巻き取り性(滑り性)に優れ、ヘーズが小さく、粒子感がなく、可視光平均透過率、近赤外線透過率(850nm、950nm)、耐熱性、耐光性に優れた近赤外線カットフィルムを提供することができる。
・実施例2は、コロイダルシリカを0.2質量部添加した例であり、フィルム巻き取り性が△評価であった(やや滑らない)。それ以外の性能は良好であった。
・実施例3は、コロイダルイシリカを1.8質量部添加した例であり、フィルム巻き取り性が△評価であった(やや滑りすぎ)。それ以外の性能は良好であった。
・実施例4は、平均粒子径が45nmのコロイダルシリカを添加した例であり、ヘーズがやや悪化した。それ以外の性能は良好であった。
・実施例5は、ヒュームドシリカを添加した例であり、ヘーズ、粒子感が、やや悪化した。それ以外の性能は良好であった。
・実施例6は、ジイモニウム色素を10質量部添加した例であり、近赤外線透過率が(850nm、950nm)、やや悪化した。それ以外の性能は良好であった。
・実施例7は、ジイモニウム系色素を45質量部添加した例であり、可視光平均光線透過率が、やや悪化した。それ以外の性能は良好であった。
・実施例8は、シアニン系色素を2種類添加した例であり、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例9は、フタロシアニン系色素を添加した例であり、実施例1と同様の性能を示した。
参考例1は、バインダー樹脂として、分子量分布がややブロードであるものを使用した例であり、耐熱性、耐光性が、△評価になった。それ以外の性能は良好であった。
・実施例10は、ジイモニウム色素を1種類のみ添加した例であり、可視光平均透過率がやや悪化した。
・実施例11は、ジイモニウム色素の替わりにフタロシアニン系色素を添加した例で、可視光平均透過率がやや悪化した。
・比較例1は、コロイダルシリカを0.05質量部添加した例であり、本発明の範囲外のため、フィルム巻き取り性は、×評価(滑らない)であった。滑りが悪いと力が逃げないため、巻き姿が悪くなるだけでなく、巻き芯のテープ跡等が出て、不良の要因になる。
・比較例2は、コロイダルシリカを2.3質量部添加した例であり、本発明の範囲外のため、フィルム巻き取り性は、×評価(滑りすぎ)であった。滑りすぎるとフィルムを巻いたとき巻きずれを起こし、ひどい場合には、巻き姿がタケノコ状になり、製品として使用不可となる。
・比較例3は、コロイダルシリカ(平均粒子径85nm)を添加した例であり、本発明の範囲外のためヘーズが悪化した。また粒子感もやや悪化した。
・比較例4は、シリコーン樹脂微粒子(平均粒子径3.0μm)を添加した例であり、本発明の範囲外のため、ヘーズ、粒子感が悪化した。
・比較例5は、シリコーン樹脂微粒子(平均粒子径0.8μm)を添加した例であり、本発明の範囲外のため、ヘーズ、粒子感が悪化した。
・比較例6は、シリカ微粒子を添加しなかった例であり、本発明の範囲外であるため、フィルム巻き取り性(滑り性)が悪化した。
・比較例7は、ジイモニウム系色素およびシアニン系色素の合計量が3.5質量部であり、本発明の範囲外であるため、近赤外線透過率(850nm、950nm)が悪化した。
・比較例8は、ジイモニウム系色素およびシアニン系色素の合計量が56.5質量部であり、本発明の範囲外であるため、可視光平均透過率(850nm、950nm)が悪化した。
・比較例9は、バインダー樹脂に非晶性ポリエステル樹脂を使用した例であり、本発明の範囲外であるため、耐熱性、耐光性が×評価になった。
本発明の近赤外線カットフィルムおよび近赤外線カット粘着シート部材は、フィルム巻き取り性(滑り性)に優れ、ヘーズが小さく、粒子感がなく、可視光平均透過率、近赤外線透過率(850nm、950nm)、耐熱性、耐光性に優れているので、とくにプラズマディスプレイパネルに好適に使用される。

Claims (9)

  1. 透明基材フィルム(A)上に、近赤外線吸収層(B)を有する近赤外線カットフィルムであって、
    前記近赤外線吸収層(B)が、アクリル系樹脂バインダー、近赤外線吸収色素および平均粒子径が5〜50nmのシリカ微粒子を含有するとともに、前記アクリル系樹脂バインダー100質量部に対する前記近赤外線吸収色素の配合割合が5〜50質量部であり、かつ前記シリカ微粒子の配合割合が0.1〜2.0質量部であり、
    前記アクリル系樹脂が、ポリメチルメタクリレート系樹脂であり、かつ、前記ポリメチルメタクリレート系樹脂の分子量分布Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が、1.5乃至2.1である
    ことを特徴とする近赤外線カットフィルム。
  2. 前記近赤外線吸収色素が2種類以上使用されることを特徴とする請求項1に記載の近赤外線カットフィルム。
  3. 前記シリカ微粒子が、コロイダルシリカであることを特徴とする請求項1または2に記載の近赤外線カットフィルム。
  4. 前記近赤外線吸収色素が、ジイモニウム系色素、シアニン系色素およびフタロシアニン系色素から選ばれた2種類以上であることを特徴とする請求項2に記載の近赤外線カットフィルム。
  5. 前記ジイモニウム系色素が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項3に記載の近赤外線カットフィルム。
    Figure 0004948258
    (一般式(2)中、R1〜R8はそれぞれ同じであっても異なっていても良く、水素原子、ヒドロキシ基、置換もしくは未置換の、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、シアノアルキル基、アリール基、又はフェニルアルキル基であり、環A及びBは置換基を有していても良い。また、R9及びR10はそれぞれ同じであっても異なっていても良く、それぞれフルオロアルキル基を示すか、それらが一緒になって形成するフルオロアルキレン基を表す。)
  6. 前記透明基材フィルム(A)が、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1または2に記載の近赤外線カットフィルム。
  7. 前記透明基材フィルム(A)の前記近赤外線吸収層(B)が設けられた面とは反対の面に、帯電防止層、反射防止層およびハードコート層から選ばれた少なくとも1種のコート層(C)を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の近赤外線カットフィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の近赤外線カットフィルムと、粘着剤層(D)とを少なくとも有することを特徴とする近赤外線カット粘着シート部材。
  9. プラズマディスプレイパネルに使用されることを特徴とする請求項に記載の近赤外線カット粘着シート部材。
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