前記問題点に鑑み、本発明は、半田を用いる必要なく、サイリスタチップのゲート電極とゲート電極信号線との電気接続の信頼性を向上させつつ、圧接型大電力用サイリスタモジュール全体の上下方向寸法を小型化することができる圧接型大電力用サイリスタモジュールを提供することを目的とする。
更に、本発明は、コイルバネ型ゲート電極信号線の上端とカソード端子バーとが短絡してしまうおそれを回避し、圧接型大電力用サイリスタモジュール全体の組立性を向上させ、圧接型大電力用サイリスタモジュールの稼動中にサイリスタチップのゲート電極とコイルバネ型ゲート電極信号線との電気接続の信頼性が低下してしまうおそれを低減することができる圧接型大電力用サイリスタモジュールを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明によれば、放熱板上に絶縁板を配置し、アノード端子バーを前記絶縁板上に配置し、下面にアノード電極を有し、上面の中心部分にゲート電極を有し、そのゲート電極の周りに環状のカソード電極を有するサイリスタチップを前記アノード端子バー上に配置し、環状の前記カソード電極上に環状の導電性カソードスペーサを配置し、前記ゲート電極上にコイルバネ型ゲート電極信号線を配置し、環状の前記導電性カソードスペーサと前記コイルバネ型ゲート電極信号線とを絶縁するための筒状の絶縁性ゲートスペーサを環状の前記導電性カソードスペーサと前記コイルバネ型ゲート電極信号線との間に配置し、前記導電性カソードスペーサ上にカソード端子バーを配置し、それらを圧接手段によって上下方向に圧接した圧接型大電力用サイリスタモジュールにおいて、前記コイルバネ型ゲート電極信号線の上端を水平方向に延ばすと共に、その水平方向に延ばされた部分を絶縁被覆し、その水平方向に延ばされた部分を収容するための収容溝を前記絶縁性ゲートスペーサおよび前記導電性カソードスペーサに形成し、前記コイルバネ型ゲート電極信号線の上端を覆うために前記絶縁性ゲートスペーサと係合可能な絶縁性蓋部材を前記絶縁性ゲートスペーサと前記カソード端子バーとの間に配置し、前記コイルバネ型ゲート電極信号線の上端の水平方向に延ばされた部分を前記絶縁性ゲートスペーサの収容溝の底面と協働して狭持するための狭持突起を前記絶縁性蓋部材の下面に形成したことを特徴とする圧接型大電力用サイリスタモジュールが提供される。
請求項2に記載の発明によれば、前記絶縁性蓋部材を前記絶縁性ゲートスペーサの収容溝と相補形状に形成し、前記絶縁性ゲートスペーサの収容溝の壁面の係合溝または係合突起と係合するための係合突起または係合溝を前記絶縁性蓋部材の側面に形成したことを特徴とする請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールが提供される。
請求項3に記載の発明によれば、前記絶縁性ゲートスペーサの上面に形成された係合穴または係合突起に対して圧入される係合突起または係合穴を前記絶縁性蓋部材の下面に形成したことを特徴とする請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールが提供される。
請求項4に記載の発明によれば、加圧板と、2本のネジと、皿バネと、前記皿バネを芯出しするために前記皿バネの内縁と嵌合する絶縁性芯出し部材とによって前記圧接手段を構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールが提供される。
請求項5に記載の発明によれば、前記カソード端子バーに電極片を接合し、可撓性のカソード電極信号線の一端を前記電極片にファストンタブを介して接続し、前記カソード電極信号線の他端を他の電極片に接続し、前記他の電極片を外囲ケースに担持させたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールが提供される。
請求項6に記載の発明によれば、放熱板上に絶縁板を配置し、第1アノード端子バーを前記絶縁板上に配置し、下面にアノード電極を有し、上面の中心部分にゲート電極を有し、そのゲート電極の周りに環状のカソード電極を有する第1サイリスタチップを前記第1アノード端子バー上に配置し、環状の前記カソード電極上に環状の第1導電性カソードスペーサを配置し、前記ゲート電極上に第1コイルバネ型ゲート電極信号線を配置し、環状の前記第1導電性カソードスペーサと前記第1コイルバネ型ゲート電極信号線とを絶縁するための筒状の第1絶縁性ゲートスペーサを環状の前記第1導電性カソードスペーサと前記第1コイルバネ型ゲート電極信号線との間に配置し、前記第1導電性カソードスペーサ上に第1カソード端子バーを配置し、それらを第1圧接手段によって上下方向に圧接した圧接型大電力用サイリスタモジュールにおいて、前記第1コイルバネ型ゲート電極信号線の上端を水平方向に延ばすと共に、その水平方向に延ばされた部分を絶縁被覆し、その水平方向に延ばされた部分を収容するための収容溝を前記第1絶縁性ゲートスペーサおよび前記第1導電性カソードスペーサに形成し、前記第1コイルバネ型ゲート電極信号線の上端を覆うために前記第1絶縁性ゲートスペーサと係合可能な第1絶縁性蓋部材を前記第1絶縁性ゲートスペーサと前記第1カソード端子バーとの間に配置し、前記第1コイルバネ型ゲート電極信号線の上端の水平方向に延ばされた部分を前記第1絶縁性ゲートスペーサの収容溝の底面と協働して狭持するための狭持突起を前記第1絶縁性蓋部材の下面に形成し、前記第1カソード端子バーとほぼ同じ高さに第2アノード端子バーを配置し、上面にアノード電極を有し、下面の中心部分にゲート電極を有し、そのゲート電極の周りに環状のカソード電極を有する第2サイリスタチップを前記第2アノード端子バーの下に配置し、前記第2サイリスタチップの環状のカソード電極の下に環状の第2導電性カソードスペーサを配置し、前記第2サイリスタチップのゲート電極の下に第2コイルバネ型ゲート電極信号線を配置し、環状の前記第2導電性カソードスペーサと前記第2コイルバネ型ゲート電極信号線とを絶縁するための筒状の第2絶縁性ゲートスペーサを環状の前記第2導電性カソードスペーサと前記第2コイルバネ型ゲート電極信号線との間に配置し、カソード端子バーとしての機能を兼ね備えた前記第1アノード端子バーを前記第2導電性カソードスペーサの下に配置し、それらを第2圧接手段によって上下方向に圧接し、前記第2コイルバネ型ゲート電極信号線の下端を水平方向に延ばすと共に、その水平方向に延ばされた部分を絶縁被覆し、その水平方向に延ばされた部分を収容するための収容溝を前記第2絶縁性ゲートスペーサおよび前記第2導電性カソードスペーサに形成し、前記第2コイルバネ型ゲート電極信号線の下端を覆うために前記第2絶縁性ゲートスペーサと係合可能な第2絶縁性蓋部材を前記第2絶縁性ゲートスペーサと前記第1アノード端子バーとの間に配置し、前記第2コイルバネ型ゲート電極信号線の下端の水平方向に延ばされた部分を前記第2絶縁性ゲートスペーサの収容溝の底面と協働して狭持するための狭持突起を前記第2絶縁性蓋部材の上面に形成したことを特徴とする圧接型大電力用サイリスタモジュールが提供される。
請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、コイルバネ型ゲート電極信号線が設けられている。そのため、請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、半田を用いる必要なく、サイリスタチップのゲート電極とコイルバネ型ゲート電極信号線との電気接続の信頼性を向上させることができる。
また、請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、コイルバネ型ゲート電極信号線の上端が水平方向に延ばされ、その水平方向に延ばされた部分が絶縁被覆され、その水平方向に延ばされた部分を収容するための収容溝が、絶縁性ゲートスペーサおよび導電性カソードスペーサに形成されている。
換言すれば、請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、コイルバネ型ゲート電極信号線の上端が、特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載されたもののように導電性カソードスペーサの上面よりも上側に引き出されるのではなく、絶縁性ゲートスペーサの収容溝および導電性カソードスペーサの収容溝を介して導電性カソードスペーサの側方であって導電性カソードスペーサの上面よりも下側に引き出されている。そのため、請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載されたものよりも、圧接型大電力用サイリスタモジュール全体の上下方向寸法を小型化することができる。
更に、請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、コイルバネ型ゲート電極信号線の上端を覆うための絶縁性蓋部材が、絶縁性ゲートスペーサとカソード端子バーとの間に配置されている。そのため、請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、コイルバネ型ゲート電極信号線の上端の絶縁被覆されていない部分とカソード端子バーとが短絡してしまうおそれを回避することができる。
また、請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、絶縁性蓋部材が絶縁性ゲートスペーサと係合可能に構成されている。そのため、請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、絶縁性蓋部材が絶縁性ゲートスペーサと係合可能に構成されていない場合よりも、絶縁性蓋部材と絶縁性ゲートスペーサとの組立性を向上させることができる。
更に、請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、コイルバネ型ゲート電極信号線の上端の水平方向に延ばされた部分を絶縁性ゲートスペーサの収容溝の底面と協働して狭持するための狭持突起が、絶縁性蓋部材の下面に形成されている。換言すれば、請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、絶縁性蓋部材が絶縁性ゲートスペーサと係合せしめられると、絶縁性蓋部材の下面の狭持突起と絶縁性ゲートスペーサの収容溝の底面とによってコイルバネ型ゲート電極信号線の上端の水平方向に延ばされた部分が狭持され、それにより、コイルバネ型ゲート電極信号線が絶縁性ゲートスペーサおよび絶縁性蓋部材に対して固定される。
そのため、請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、圧接型大電力用サイリスタモジュールの稼動中にコイルバネ型ゲート電極信号線が移動するのに伴って、サイリスタチップのゲート電極とコイルバネ型ゲート電極信号線との電気接続の信頼性が低下してしまうおそれを低減することができる。
更に、請求項1に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、コイルバネ型ゲート電極信号線が絶縁性ゲートスペーサおよび絶縁性蓋部材に対して固定されていない状態で組み立てられる場合よりも、コイルバネ型ゲート電極信号線の組立性を向上させることができる。
請求項2に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、絶縁性蓋部材が絶縁性ゲートスペーサの収容溝と相補形状に形成されている。更に、絶縁性ゲートスペーサの収容溝の壁面の係合溝または係合突起と係合するための係合突起または係合溝が、絶縁性蓋部材の側面に形成されている。
詳細には、請求項2に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、絶縁性蓋部材が、絶縁性ゲートスペーサに対して水平方向に摺動せしめられて絶縁性ゲートスペーサに対して装着される。
換言すれば、請求項2に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、絶縁性蓋部材が、コイルバネ型ゲート電極信号線から上向きの強い力を受けても絶縁性ゲートスペーサから分離しづらいように構成されている。
そのため、請求項2に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、圧接型大電力用サイリスタモジュールの組立時に、予め組み立てられた絶縁性ゲートスペーサとコイルバネ型ゲート電極信号線と絶縁性蓋部材とが、コイルバネ型ゲート電極信号線のバネ力によって分離してしまうおそれを低減することができる。
請求項3に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、絶縁性ゲートスペーサの上面に形成された係合穴または係合突起に対して圧入される係合突起または係合穴が絶縁性蓋部材の下面に形成されている。
換言すれば、請求項3に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、絶縁性蓋部材の下面の係合突起または係合溝を絶縁性ゲートスペーサの上面の係合穴または係合突起に対して下向きに圧入することにより、絶縁性蓋部材が絶縁性ゲートスペーサに対して係合せしめられる。
そのため、請求項3に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、絶縁性蓋部材を絶縁性ゲートスペーサに対して水平方向に摺動させることにより絶縁性蓋部材が絶縁性ゲートスペーサに対して係合せしめられる場合よりも、絶縁性蓋部材の下面の狭持突起とコイルバネ型ゲート電極信号線の上端の水平方向に延ばされた部分との摺動抵抗を低減しつつ、絶縁性蓋部材を絶縁性ゲートスペーサに対して係合させることができ、それにより、絶縁性蓋部材と絶縁性ゲートスペーサとの組立性を向上させることができる。
請求項4に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、加圧板と、2本のネジと、皿バネと、皿バネを芯出しするために皿バネの内縁と嵌合する絶縁性芯出し部材とによって圧接手段が構成されている。
詳細には、請求項4に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載されたものよりもネジの本数を削減する代わりに、皿バネによって圧接力が補われている。更に、ネジと皿バネとを嵌合させるのではなく、ネジとは別個に設けられた絶縁性芯出し部材によって皿バネの芯出しを行うことにより、サイリスタチップの周方向に均一に圧接力がかけられている。
そのため、請求項4に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載されたものよりもネジの本数を削減することにより、圧接型大電力用サイリスタモジュール全体の幅方向寸法および奥行き寸法を小型化しつつ、サイリスタチップの周方向に均一な圧接力をかけることができる。
請求項5に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、電極片がカソード端子バーに接合され、可撓性のカソード電極信号線の一端がファストンタブを介して電極片に接続され、カソード電極信号線の他端が他の電極片に接続され、他の電極片が外囲ケースに担持せしめられている。
つまり、請求項5に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、カソード電極信号線の一端のファストンタブを接続するための電極片が、カソード端子バーに設けられている。詳細には、請求項5に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、汎用品のファストンタブを接続可能な電極片が、カソード端子バーに設けられている。
そのため、請求項5に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、カソード電極信号線の一端のファストンタブを接続するための電極片がカソード端子バーに設けられていない特開2006−114883号公報の図5に記載されたものとは異なり、汎用品のファストンタブを用いることができる。
請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、第1コイルバネ型ゲート電極信号線が設けられている。そのため、請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、半田を用いる必要なく、第1サイリスタチップのゲート電極と第1コイルバネ型ゲート電極信号線との電気接続の信頼性を向上させることができる。
また、請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、第1コイルバネ型ゲート電極信号線の上端が水平方向に延ばされ、その水平方向に延ばされた部分が絶縁被覆され、その水平方向に延ばされた部分を収容するための収容溝が、第1絶縁性ゲートスペーサおよび第1導電性カソードスペーサに形成されている。換言すれば、請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、第1コイルバネ型ゲート電極信号線の上端が、特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載されたもののように導電性カソードスペーサの上面よりも上側に引き出されるのではなく、第1絶縁性ゲートスペーサの収容溝および第1導電性カソードスペーサの収容溝を介して第1導電性カソードスペーサの側方であって第1導電性カソードスペーサの上面よりも下側に引き出されている。そのため、請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載されたものよりも、圧接型大電力用サイリスタモジュール全体の上下方向寸法を小型化することができる。
更に、請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、第1コイルバネ型ゲート電極信号線の上端を覆うための第1絶縁性蓋部材が、第1絶縁性ゲートスペーサと第1カソード端子バーとの間に配置されている。そのため、請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、第1コイルバネ型ゲート電極信号線の上端の絶縁被覆されていない部分と第1カソード端子バーとが短絡してしまうおそれを回避することができる。
また、請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、第1絶縁性蓋部材が第1絶縁性ゲートスペーサと係合可能に構成されている。そのため、請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、第1絶縁性蓋部材が第1絶縁性ゲートスペーサと係合可能に構成されていない場合よりも、第1絶縁性蓋部材と第1絶縁性ゲートスペーサとの組立性を向上させることができる。
更に、請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、第1コイルバネ型ゲート電極信号線の上端の水平方向に延ばされた部分を第1絶縁性ゲートスペーサの収容溝の底面と協働して狭持するための狭持突起が、第1絶縁性蓋部材の下面に形成されている。換言すれば、請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、第1絶縁性蓋部材が第1絶縁性ゲートスペーサと係合せしめられると、第1絶縁性蓋部材の下面の狭持突起と第1絶縁性ゲートスペーサの収容溝の底面とによって第1コイルバネ型ゲート電極信号線の上端の水平方向に延ばされた部分が狭持され、それにより、第1コイルバネ型ゲート電極信号線が第1絶縁性ゲートスペーサおよび第1絶縁性蓋部材に対して固定される。そのため、請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、圧接型大電力用サイリスタモジュールの稼動中に第1コイルバネ型ゲート電極信号線が移動するのに伴って、第1サイリスタチップのゲート電極と第1コイルバネ型ゲート電極信号線との電気接続の信頼性が低下してしまうおそれを低減することができる。更に、請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、第1コイルバネ型ゲート電極信号線が第1絶縁性ゲートスペーサおよび第1絶縁性蓋部材に対して固定されていない状態で組み立てられる場合よりも、第1コイルバネ型ゲート電極信号線の組立性を向上させることができる。
また、請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、第2コイルバネ型ゲート電極信号線が設けられている。そのため、請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、半田を用いる必要なく、第2サイリスタチップのゲート電極と第2コイルバネ型ゲート電極信号線との電気接続の信頼性を向上させることができる。
また、請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、第2コイルバネ型ゲート電極信号線の下端が水平方向に延ばされ、その水平方向に延ばされた部分が絶縁被覆され、その水平方向に延ばされた部分を収容するための収容溝が、第2絶縁性ゲートスペーサおよび第2導電性カソードスペーサに形成されている。換言すれば、請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、第2コイルバネ型ゲート電極信号線の下端が、第2絶縁性ゲートスペーサの収容溝および第2導電性カソードスペーサの収容溝を介して第2導電性カソードスペーサの側方であって第2導電性カソードスペーサの下面よりも上側に引き出されている。そのため、請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、圧接型大電力用サイリスタモジュール全体の上下方向寸法を小型化することができる。
更に、請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、第2コイルバネ型ゲート電極信号線の下端を覆うための第2絶縁性蓋部材が、第2絶縁性ゲートスペーサと第1アノード端子バーとの間に配置されている。そのため、請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、第2コイルバネ型ゲート電極信号線の下端の絶縁被覆されていない部分と第1アノード端子バーとが短絡してしまうおそれを回避することができる。
また、請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、第2絶縁性蓋部材が第2絶縁性ゲートスペーサと係合可能に構成されている。そのため、請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、第2絶縁性蓋部材が第2絶縁性ゲートスペーサと係合可能に構成されていない場合よりも、第2絶縁性蓋部材と第2絶縁性ゲートスペーサとの組立性を向上させることができる。
更に、請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、第2コイルバネ型ゲート電極信号線の下端の水平方向に延ばされた部分を第2絶縁性ゲートスペーサの収容溝の底面と協働して狭持するための狭持突起が、第2絶縁性蓋部材の上面に形成されている。換言すれば、請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、第2絶縁性蓋部材が第2絶縁性ゲートスペーサと係合せしめられると、第2絶縁性蓋部材の上面の狭持突起と第2絶縁性ゲートスペーサの収容溝の底面とによって第2コイルバネ型ゲート電極信号線の下端の水平方向に延ばされた部分が狭持され、それにより、第2コイルバネ型ゲート電極信号線が第2絶縁性ゲートスペーサおよび第2絶縁性蓋部材に対して固定される。そのため、請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、圧接型大電力用サイリスタモジュールの稼動中に第2コイルバネ型ゲート電極信号線が移動するのに伴って、第2サイリスタチップのゲート電極と第2コイルバネ型ゲート電極信号線との電気接続の信頼性が低下してしまうおそれを低減することができる。更に、請求項6に記載の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、第2コイルバネ型ゲート電極信号線が第2絶縁性ゲートスペーサおよび第2絶縁性蓋部材に対して固定されていない状態で組み立てられる場合よりも、第2コイルバネ型ゲート電極信号線の組立性を向上させることができる。
以下、本発明の圧接型大電力用サイリスタモジュールの第1の実施形態について説明する。図1および図2は第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールの分解斜視図である。詳細には、図2は圧接型大電力用サイリスタモジュールの内部を見えやすくするために図1に示したものから外囲ケース51および蓋体52を取り除いた図である。
図1および図2において、1は例えば銅製の放熱板を示しており、11,21は放熱板1上に配置された絶縁板を示している。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1および図2に示すように、絶縁板11,21として同一の部品が用いられている。
また、図1および図2において、12はアノード端子バーとしての機能とカソード端子バーとしての機能とを兼ね備えたコモンバーを示しており、22はアノード端子バーを示している。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1および図2に示すように、アノード端子バー12が絶縁板11上に配置されている。
更に、図1および図2において、13,23はサイリスタチップを示している。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、サイリスタチップ13,23として同一の部品が用いられている。
図3はサイリスタチップ13,23の詳細図である。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図3に示すように、サイリスタチップ13,23の一方の面にアノード電極13a,23aが形成され、サイリスタチップ13,23の他方の面の中心部分にゲート電極13b,23bが形成され、ゲート電極13b,23bの周りに環状のカソード電極13c,23cが形成されている。
第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1〜図3に示すように、サイリスタチップ13がコモンバー12上に配置され、サイリスタチップ13のアノード電極13aとコモンバー12とが対向せしめられている。更に、サイリスタチップ23がアノード端子バー22の下に配置され、サイリスタチップ23のアノード電極23aとアノード端子バー22とが対向せしめられている。
また、図1および図2において、14,24は環状の導電性カソードスペーサを示している。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、導電性カソードスペーサ14,24として同一の部品が用いられている。更に、図1〜図3に示すように、導電性カソードスペーサ14がサイリスタチップ13上に配置され、環状の導電性カソードスペーサ14とサイリスタチップ13の環状のカソード電極13cとが対向せしめられている。また、導電性カソードスペーサ24がサイリスタチップ23とコモンバー12との間に配置され、環状の導電性カソードスペーサ24とサイリスタチップ23の環状のカソード電極23cとが対向せしめられている。
更に、図1および図2において、15,25はコイルバネ型ゲート電極信号線を示している。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、コイルバネ型ゲート電極信号線15,25として同一の部品が用いられている。また、図1〜図3に示すように、コイルバネ型ゲート電極信号線15がサイリスタチップ13上に配置され、コイルバネ型ゲート電極信号線15の下端とサイリスタチップ13のゲート電極13bとが対向せしめられている。また、コイルバネ型ゲート電極信号線25がサイリスタチップ23の下に配置され、コイルバネ型ゲート電極信号線25の上端とサイリスタチップ23のゲート電極23bとが対向せしめられている。
また、図1および図2において、16,26は筒状の絶縁性ゲートスペーサを示している。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、絶縁性ゲートスペーサ16,26として同一の部品が用いられている。更に、図1および図2に示すように、筒状の絶縁性ゲートスペーサ16が、環状の導電性カソードスペーサ14とコイルバネ型ゲート電極信号線15との間に配置され、それにより、導電性カソードスペーサ14とコイルバネ型ゲート電極信号線15とが絶縁されている。また、筒状の絶縁性ゲートスペーサ26が、環状の導電性カソードスペーサ24とコイルバネ型ゲート電極信号線25との間に配置され、それにより、導電性カソードスペーサ24とコイルバネ型ゲート電極信号線25とが絶縁されている。
更に、図1および図2において、17,27は絶縁性蓋部材を示しており、18はカソード端子バーを示している。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、絶縁性蓋部材17,27として同一の部品が用いられている。また、図1および図2に示すように、カソード端子バー18が、導電性カソードスペーサ14上に配置され、アノード端子バー22とほぼ同じ高さに配置されている。
図4は絶縁性ゲートスペーサ16と絶縁性蓋部材17との関係を詳細に示した図、図5は絶縁性蓋部材17の部品図である。詳細には、図5(A)は絶縁性蓋部材17の平面図、図5(B)は絶縁性蓋部材17の斜視図、図5(C)は絶縁性蓋部材17の正面図、図5(D)は絶縁性蓋部材17の右側面図である。更に、図6はコイルバネ型ゲート電極信号線15と絶縁性ゲートスペーサ16との関係を詳細に示した図である。詳細には、図6(A)はコイルバネ型ゲート電極信号線15および絶縁性ゲートスペーサ16の断面図、図6(B)はコイルバネ型ゲート電極信号線15の平面図である。また、図7は導電性カソードスペーサ14とコイルバネ型ゲート電極信号線15と絶縁性ゲートスペーサ16と絶縁性蓋部材17とカソード端子バー18との関係を示した断面図である。
図4〜図7において、15aはコイルバネ型ゲート電極信号線15のコイル部分を示しており、15bはコイルバネ型ゲート電極信号線15の上端の水平方向に延ばされた部分を示している。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図6および図7に示すように、コイルバネ型ゲート電極信号線15の上端の水平方向に延ばされた部分15bが、絶縁チューブによって被覆されている。
また、図4〜図7において、14aはコイルバネ型ゲート電極信号線15の上端の水平方向に延ばされた部分15bを収容するために導電性カソードスペーサ14に形成された収容溝を示している。16aはコイルバネ型ゲート電極信号線15の上端の水平方向に延ばされた部分15bを収容するために絶縁性ゲートスペーサ16に形成された収容溝を示している。16a1は収容溝16aの壁面に形成された係合溝を示しており、16a2は収容溝16aの底面を示している。17aは絶縁性ゲートスペーサ16の係合溝16a1と係合するために絶縁性蓋部材17の側面に形成された係合突起を示している。17bはコイルバネ型ゲート電極信号線15の上端の水平方向に延ばされた部分15bを絶縁性ゲートスペーサ16の収容溝16aの底面16a2と協働して狭持するために絶縁性蓋部材17の下面に形成された狭持突起を示している。
更に、図1および図2において、31は例えばビーム溶接によってカソード端子バー18に接合された電極片を示しており、34は外囲ケース51に担持せしめられている電極片を示している。
図8は電極片31と電極片34とを電気接続する手段を示した図である。詳細には、図8(A)は電極片31と電極片34とを電気接続する手段を概略的に示した図、図8(B)は図8(A)の一部の拡大図である。図8において、32は絶縁チューブによって被覆された可撓性のカソード電極信号線を示している。33はカソード電極信号線32と電極片31(図1および図2参照)とを電気接続するためのファストンタブを示している。
第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図8に示すように、例えば半田によってカソード電極信号線32と電極片34とが接合されている。また、例えばかしめによってカソード電極信号線32とファストンタブ33とが接合され、かしめられた部分が、例えば熱収縮タイプの絶縁チューブによって被覆されている。更に、ファストンタブ33を電極片31(図1および図2参照)と嵌合させることにより、ファストンタブ33と電極片31とが電気接続されている。
また、図1および図2において、19は放熱板1と絶縁板11とコモンバー12とサイリスタチップ13と導電性カソードスペーサ14とカソード端子バー18とを圧接するための圧接手段を示している。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1および図2に示すように、加圧板19aと、2本のネジ19bと、3個の皿バネ19cと、皿バネ19cを芯出しするために皿バネ19cの内縁と嵌合する絶縁性芯出し部材19dとによって、圧接手段19が構成されている。
更に、図1および図2において、29は放熱板1と絶縁板21とコモンバー12と導電性カソードスペーサ24とサイリスタチップ23とアノード端子バー22とを圧接するための圧接手段を示している。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1および図2に示すように、加圧板29aと、2本のネジ29bと、3個の皿バネ29cと、皿バネ29cを芯出しするために皿バネ29cの内縁と嵌合する絶縁性芯出し部材29dとによって、圧接手段29が構成されている。更に、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、加圧板19a,29aとして同一の部品が用いられ、ネジ19b,29bとして同一の部品が用いられ、皿バネ19c,29cとして同一の部品が用いられ、絶縁性芯出し部材19d,29dとして同一の部品が用いられている。
また、図1および図2において、62は外囲ケース51に担持せしめられている電極片を示している。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、コイルバネ型ゲート電極信号線15の上端の水平方向に延ばされた部分15bの端部(図7の左端)が、可撓性のゲート電極信号線(図示せず)を介して電極片62に電気接続されている。
図9は絶縁性ゲートスペーサ26と絶縁性蓋部材27との関係を詳細に示した図、図10は絶縁性蓋部材27の部品図である。詳細には、図10(A)は絶縁性蓋部材27の左側面図、図10(B)は絶縁性蓋部材27の正面図、図10(C)は絶縁性蓋部材27の斜視図、図10(D)は絶縁性蓋部材27の底面図である。更に、図11はコイルバネ型ゲート電極信号線25と絶縁性ゲートスペーサ26との関係を詳細に示した図である。詳細には、図11(A)はコイルバネ型ゲート電極信号線25および絶縁性ゲートスペーサ26の断面図、図11(B)はコイルバネ型ゲート電極信号線25の底面図である。また、図12は導電性カソードスペーサ24とコイルバネ型ゲート電極信号線25と絶縁性ゲートスペーサ26と絶縁性蓋部材27とコモンバー12との関係を示した断面図である。
図9〜図12において、25aはコイルバネ型ゲート電極信号線25のコイル部分を示しており、25bはコイルバネ型ゲート電極信号線25の下端の水平方向に延ばされた部分を示している。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図11および図12に示すように、コイルバネ型ゲート電極信号線25の下端の水平方向に延ばされた部分25bが、絶縁チューブによって被覆されている。
また、図9〜図12において、24aはコイルバネ型ゲート電極信号線25の下端の水平方向に延ばされた部分25bを収容するために導電性カソードスペーサ24に形成された収容溝を示している。26aはコイルバネ型ゲート電極信号線25の下端の水平方向に延ばされた部分25bを収容するために絶縁性ゲートスペーサ26に形成された収容溝を示している。26a1は収容溝26aの壁面に形成された係合溝を示しており、26a2は収容溝26aの底面(詳細には、天井面)を示している。27aは絶縁性ゲートスペーサ26の係合溝26a1と係合するために絶縁性蓋部材27の側面に形成された係合突起を示している。27bはコイルバネ型ゲート電極信号線25の下端の水平方向に延ばされた部分25bを絶縁性ゲートスペーサ26の収容溝26aの底面(天井面)26a2と協働して狭持するために絶縁性蓋部材27の上面に形成された狭持突起を示している。
更に、図1および図2において、41は例えばビーム溶接によってコモンバー12に接合された電極片を示しており、44は外囲ケース51に担持せしめられている電極片を示している。
図13は電極片41と電極片44とを電気接続する手段を示した図である。詳細には、図13(A)は電極片41と電極片44とを電気接続する手段を概略的に示した図、図13(B)は図13(A)の一部の拡大図である。図13において、42は絶縁チューブによって被覆された可撓性のカソード電極信号線を示している。43はカソード電極信号線42と電極片41(図1および図2参照)とを電気接続するためのファストンタブを示している。
第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図13に示すように、例えば半田によってカソード電極信号線42と電極片44とが接合されている。また、例えばかしめによってカソード電極信号線42とファストンタブ43とが接合され、かしめられた部分が、例えば熱収縮タイプの絶縁チューブによって被覆されている。更に、ファストンタブ43を電極片41(図1および図2参照)と嵌合させることにより、ファストンタブ43と電極片41とが電気接続されている。
また、図1および図2において、72は外囲ケース51に担持せしめられている電極片を示している。第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、コイルバネ型ゲート電極信号線25の下端の水平方向に延ばされた部分25bの端部(図12の右端)が、可撓性のゲート電極信号線(図示せず)を介して電極片72に電気接続されている。
図14は第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールの外観図である。詳細には、図14(A)は第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールの平面図、図14(B)は第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールの正面図、図14(C)は第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールの右側面図である。
図15は第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールの等価回路図である。図15中の「K1/A2」が図1および図2中のコモンバー12に相当し、図15中の「K2」が図1および図2中のカソード端子バー18に相当し、図15中の「G2」が図1および図2中の電極片62に相当し、図15中の「K2」が図1および図2中の電極片34に相当している。また、図15中の「A1」が図1および図2中のアノード端子バー22に相当し、図15中の「G1」が図1および図2中の電極片72に相当し、図15中の「K1」が図1および図2中の電極片44に相当している。
第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1、図2および図7に示すように、サイリスタチップ13のゲート電極13b(図3参照)に電気接続されるゲート電極信号線として、コイルバネ型ゲート電極信号線15が設けられている。そのため、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、半田を用いる必要なく、サイリスタチップ13のゲート電極13bとコイルバネ型ゲート電極信号線15との電気接続の信頼性を向上させることができる。
また、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図6および図7に示すように、コイルバネ型ゲート電極信号線15の上端が水平方向に延ばされ、その水平方向に延ばされた部分15bが絶縁被覆され、その水平方向に延ばされた部分15bを収容するための収容溝16a,14aが、絶縁性ゲートスペーサ16および導電性カソードスペーサ14に形成されている。換言すれば、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、コイルバネ型ゲート電極信号線15の上端が、特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載されたもののように導電性カソードスペーサの上面よりも上側に引き出されるのではなく、絶縁性ゲートスペーサ16の収容溝16aおよび導電性カソードスペーサ14の収容溝14aを介して導電性カソードスペーサ14の側方であって導電性カソードスペーサ14の上面よりも下側に引き出されている。そのため、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載されたものよりも、圧接型大電力用サイリスタモジュール全体の上下方向寸法を小型化することができる。
更に、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図7に示すように、コイルバネ型ゲート電極信号線15の上端を覆うための絶縁性蓋部材17が、絶縁性ゲートスペーサ16とカソード端子バー18との間に配置されている。そのため、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、コイルバネ型ゲート電極信号線15のコイル部分15aの上端とカソード端子バー18とが短絡してしまうおそれを回避することができる。
また、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図4に示すように、絶縁性蓋部材17が絶縁性ゲートスペーサ16と係合可能に構成されている。そのため、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、絶縁性蓋部材17が絶縁性ゲートスペーサ16と係合可能に構成されていない場合よりも、絶縁性蓋部材17と絶縁性ゲートスペーサ16との組立性を向上させることができる。
更に、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図5および図7に示すように、コイルバネ型ゲート電極信号線15の上端の水平方向に延ばされた部分15bを絶縁性ゲートスペーサ16の収容溝16a(図4および図6参照)の底面16a2と協働して狭持するための狭持突起17bが、絶縁性蓋部材17の下面に形成されている。換言すれば、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、絶縁性蓋部材17が絶縁性ゲートスペーサ16と係合せしめられると、絶縁性蓋部材17の下面の狭持突起17bと絶縁性ゲートスペーサ16の収容溝16aの底面16a2とによってコイルバネ型ゲート電極信号線15の上端の水平方向に延ばされた部分15bが狭持され、それにより、コイルバネ型ゲート電極信号線15が絶縁性ゲートスペーサ16および絶縁性蓋部材17に対して固定される。そのため、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、圧接型大電力用サイリスタモジュールの稼動中にコイルバネ型ゲート電極信号線15が移動するのに伴って、サイリスタチップ13のゲート電極13b(図3参照)とコイルバネ型ゲート電極信号線15との電気接続の信頼性が低下してしまうおそれを低減することができる。更に、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、コイルバネ型ゲート電極信号線15が絶縁性ゲートスペーサ16および絶縁性蓋部材17に対して固定されていない状態で組み立てられる場合よりも、コイルバネ型ゲート電極信号線15の組立性を向上させることができる。
また、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1、図2および図12に示すように、サイリスタチップ23のゲート電極23b(図3参照)に電気接続されるゲート電極信号線として、コイルバネ型ゲート電極信号線25が設けられている。そのため、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、半田を用いる必要なく、サイリスタチップ23のゲート電極23bとコイルバネ型ゲート電極信号線25との電気接続の信頼性を向上させることができる。
また、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図11および図12に示すように、コイルバネ型ゲート電極信号線25の下端が水平方向に延ばされ、その水平方向に延ばされた部分25bが絶縁被覆され、その水平方向に延ばされた部分25bを収容するための収容溝26a,24aが、絶縁性ゲートスペーサ26および導電性カソードスペーサ24に形成されている。換言すれば、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、コイルバネ型ゲート電極信号線25の下端が、絶縁性ゲートスペーサ26の収容溝26aおよび導電性カソードスペーサ24の収容溝24aを介して導電性カソードスペーサ26の側方であって導電性カソードスペーサ26の下面よりも上側に引き出されている。そのため、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、圧接型大電力用サイリスタモジュール全体の上下方向寸法を小型化することができる。
更に、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図12に示すように、コイルバネ型ゲート電極信号線25の下端を覆うための絶縁性蓋部材27が、絶縁性ゲートスペーサ26とコモンバー12との間に配置されている。そのため、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、コイルバネ型ゲート電極信号線25のコイル部分25aの下端とコモンバー12とが短絡してしまうおそれを回避することができる。
また、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図9に示すように、絶縁性蓋部材27が絶縁性ゲートスペーサ26と係合可能に構成されている。そのため、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、絶縁性蓋部材27が絶縁性ゲートスペーサ26と係合可能に構成されていない場合よりも、絶縁性蓋部材27と絶縁性ゲートスペーサ26との組立性を向上させることができる。
更に、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図10および図12に示すように、コイルバネ型ゲート電極信号線25の下端の水平方向に延ばされた部分25bを絶縁性ゲートスペーサ26の収容溝26a(図9および図11参照)の底面(天井面)26a2と協働して狭持するための狭持突起27bが、絶縁性蓋部材27の上面に形成されている。換言すれば、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、絶縁性蓋部材27が絶縁性ゲートスペーサ26と係合せしめられると、絶縁性蓋部材27の上面の狭持突起27bと絶縁性ゲートスペーサ26の収容溝26aの底面(天井面)26a2とによってコイルバネ型ゲート電極信号線25の下端の水平方向に延ばされた部分25bが狭持され、それにより、コイルバネ型ゲート電極信号線25が絶縁性ゲートスペーサ26および絶縁性蓋部材27に対して固定される。そのため、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、圧接型大電力用サイリスタモジュールの稼動中にコイルバネ型ゲート電極信号線25が移動するのに伴って、サイリスタチップ23のゲート電極23b(図13参照)とコイルバネ型ゲート電極信号線25との電気接続の信頼性が低下してしまうおそれを低減することができる。更に、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、コイルバネ型ゲート電極信号線25が絶縁性ゲートスペーサ26および絶縁性蓋部材27に対して固定されていない状態で組み立てられる場合よりも、コイルバネ型ゲート電極信号線25の組立性を向上させることができる。
また、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図4に示すように、絶縁性蓋部材17が絶縁性ゲートスペーサ16の収容溝16aと相補形状に形成されている。更に、絶縁性ゲートスペーサ16の収容溝16aの壁面の係合溝16a1と係合するための係合突起17aが、絶縁性蓋部材17の側面に形成されている。詳細には、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、絶縁性蓋部材17が、絶縁性ゲートスペーサ16に対して水平方向に摺動せしめられて絶縁性ゲートスペーサ16に対して装着される。換言すれば、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図7に示すように、絶縁性蓋部材17が、コイルバネ型ゲート電極信号線15から上向きの強い力を受けても絶縁性ゲートスペーサ16から分離しづらいように構成されている。そのため、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、圧接型大電力用サイリスタモジュールの組立時に、予め組み立てられた絶縁性ゲートスペーサ16とコイルバネ型ゲート電極信号線15と絶縁性蓋部材17とが、コイルバネ型ゲート電極信号線15のバネ力によって分離してしまうおそれを低減することができる。
第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、絶縁性ゲートスペーサ16に係合溝16a1が形成され、絶縁性蓋部材17に係合突起17aが形成されているが、第2の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、代わりに、絶縁性ゲートスペーサ16に係合突起を形成し、絶縁性蓋部材17に係合溝を形成することも可能である。
更に、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図9に示すように、絶縁性蓋部材27が絶縁性ゲートスペーサ26の収容溝26aと相補形状に形成されている。更に、絶縁性ゲートスペーサ26の収容溝26aの壁面の係合溝26a1と係合するための係合突起27aが、絶縁性蓋部材27の側面に形成されている。詳細には、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、絶縁性蓋部材27が、絶縁性ゲートスペーサ26に対して水平方向に摺動せしめられて絶縁性ゲートスペーサ26に対して装着される。換言すれば、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図12に示すように、絶縁性蓋部材27が、コイルバネ型ゲート電極信号線25から下向きの強い力を受けても絶縁性ゲートスペーサ26から分離しづらいように構成されている。そのため、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、圧接型大電力用サイリスタモジュールの組立時に、予め組み立てられた絶縁性ゲートスペーサ26とコイルバネ型ゲート電極信号線25と絶縁性蓋部材27とが、コイルバネ型ゲート電極信号線25のバネ力によって分離してしまうおそれを低減することができる。
第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、絶縁性ゲートスペーサ26に係合溝26a1が形成され、絶縁性蓋部材27に係合突起27aが形成されているが、第3の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、代わりに、絶縁性ゲートスペーサ26に係合突起を形成し、絶縁性蓋部材27に係合溝を形成することも可能である。
また、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1および図2に示すように、加圧板19aと、2本のネジ19bと、皿バネ19cと、皿バネ19cを芯出しするために皿バネ19cの内縁と嵌合する絶縁性芯出し部材19dとによって圧接手段19が構成されている。詳細には、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載されたものよりもネジの本数を削減する代わりに、皿バネ19cによって圧接力が補われている。更に、ネジと皿バネとを嵌合させるのではなく、ネジ19bとは別個に設けられた絶縁性芯出し部材19dによって皿バネ19cの芯出しを行うことにより、サイリスタチップ13の周方向に均一に圧接力がかけられている。詳細には、絶縁性芯出し部材19dによって皿バネ19cがサイリスタチップ13と同軸上に配置されている。そのため、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載されたものよりもネジの本数を削減することにより、圧接型大電力用サイリスタモジュール全体の幅方向寸法および奥行き寸法を小型化しつつ、サイリスタチップ13の周方向に均一な圧接力をかけることができる。
更に、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1および図2に示すように、加圧板29aと、2本のネジ29bと、皿バネ29cと、皿バネ29cを芯出しするために皿バネ29cの内縁と嵌合する絶縁性芯出し部材29dとによって圧接手段29が構成されている。詳細には、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載されたものよりもネジの本数を削減する代わりに、皿バネ29cによって圧接力が補われている。更に、ネジと皿バネとを嵌合させるのではなく、ネジ29bとは別個に設けられた絶縁性芯出し部材29dによって皿バネ29cの芯出しを行うことにより、サイリスタチップ23の周方向に均一に圧接力がかけられている。詳細には、絶縁性芯出し部材29dによって皿バネ29cがサイリスタチップ23と同軸上に配置されている。そのため、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、特開2006−114883号公報の図3〜図5に記載されたものよりもネジの本数を削減することにより、圧接型大電力用サイリスタモジュール全体の幅方向寸法および奥行き寸法を小型化しつつ、サイリスタチップ23の周方向に均一な圧接力をかけることができる。
また、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1、図2および図8に示すように、電極片31がカソード端子バー18に接合され、可撓性のカソード電極信号線32の一端がファストンタブ33を介して電極片31に接続され、カソード電極信号線32の他端が電極片34に接続され、その電極片34が外囲ケース51に担持せしめられている。つまり、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、カソード電極信号線32の一端のファストンタブ33を接続するための電極片31が、カソード端子バー18に設けられている。詳細には、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、汎用品のファストンタブ33を接続可能な電極片31が、カソード端子バー18に設けられている。そのため、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、カソード電極信号線32の一端のファストンタブ33を接続するための電極片31がカソード端子バー18に設けられていない特開2006−114883号公報の図5に記載されたものとは異なり、汎用品のファストンタブ33を用いることができる。更に、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、カソード電極信号線32の一端が、半田を介することなく、ファストンタブ33を介して電極片31に接続されている。そのため、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、サイリスタチップ13の稼動中に電極片31が昇温した場合であっても、カソード電極信号線32と電極片31とを確実に電気接続することができる。
更に、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1、図2および図13に示すように、電極片41がコモンバー12に接合され、可撓性のカソード電極信号線42の一端がファストンタブ43を介して電極片41に接続され、カソード電極信号線42の他端が電極片44に接続され、その電極片44が外囲ケース51に担持せしめられている。つまり、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、カソード電極信号線42の一端のファストンタブ43を接続するための電極片41が、コモンバー12に設けられている。詳細には、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、汎用品のファストンタブ43を接続可能な電極片41が、コモンバー12に設けられている。そのため、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、カソード電極信号線42の一端のファストンタブ43を接続するための電極片41がコモンバー12に設けられていない特開2006−114883号公報の図5に記載されたものとは異なり、汎用品のファストンタブ43を用いることができる。更に、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、カソード電極信号線42の一端が、半田を介することなく、ファストンタブ43を介して電極片41に接続されている。そのため、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、サイリスタチップ13,23の稼動中に電極片41が昇温した場合であっても、カソード電極信号線42と電極片41とを確実に電気接続することができる。
第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、2つのサイリスタチップ13,23が設けられているが、第4の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、代わりに、サイリスタチップ13のみを設けたり、サイリスタチップ23のみを設けたりすることも可能である。
以下、本発明の圧接型大電力用サイリスタモジュールの第5の実施形態について説明する。第5の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールは、後述する点を除き、上述した第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールとほぼ同様に構成されている。従って、第5の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、後述する点を除き、上述した第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールとほぼ同様の効果を奏することができる。
図16は第5の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールの要部の分解斜視図、図17は第5の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールのサイリスタチップ113,123の詳細図である。詳細には、図17(A)はサイリスタチップ113,123の平面図、図17(B)はサイリスタチップ113,123の断面図、図17(C)はサイリスタチップ113,123の裏面図である。
図18は導電性アノードサブスペーサ181,191の部品図である。詳細には、図18(A)は導電性アノードサブスペーサ181,191の平面図、図18(B)は導電性アノードサブスペーサ181,191の断面図である。また、図19は導電性カソードサブスペーサ183,193の部品図である。詳細には、図19(A)は導電性カソードサブスペーサ183,193の平面図、図19(B)は導電性カソードサブスペーサ183,193の断面図である。更に、図20はサイリスタチップ113,123と導電性アノードサブスペーサ181,191と導電性カソードサブスペーサ183,193との関係を示した図である。
第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図3に示すように、円形のサイリスタチップ13,23が用いられているが、第5の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図17に示すように、四角形のサイリスタチップ113,123が用いられている。
また、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1および図2に示すように、サイリスタチップ13のアノード電極13a(図3参照)がコモンバー12と直接接触せしめられているが、第5の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図16および図20に示すように、サイリスタチップ113のアノード電極113a(図17(C)参照)が、導電性アノードサブスペーサ181を介してコモンバー12と電気接続されている。
詳細には、第5の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図20に示すように、導電性アノードサブスペーサ181の側(図20の下側)に突出しているサイリスタチップ113の外縁部と導電性アノードサブスペーサ181とが干渉しないように、導電性アノードサブスペーサ181の幅寸法および奥行き寸法がサイリスタチップ113の幅寸法および奥行き寸法よりも小さくされている。また、第5の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図16に示すように、導電性アノードサブスペーサ181と相補形状の穴を有するアノードサブスペーサホルダ182が設けられ、それにより、サイリスタチップ113および導電性アノードサブスペーサ181が、コモンバー12に対して芯出しされている。
更に、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図1および図2に示すように、サイリスタチップ13のカソード電極13c(図3参照)が導電性カソードスペーサ14と直接接触せしめられているが、第5の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図16および図20に示すように、サイリスタチップ113のカソード電極113c(図17(A)参照)が、導電性カソードサブスペーサ183を介して導電性カソードスペーサ14と電気接続されている。
詳細には、第5の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図20に示すように、導電性カソードサブスペーサ183の側(図20の上側)に突出しているサイリスタチップ113の外縁部と導電性カソードサブスペーサ183とが干渉しないように、導電性カソードサブスペーサ183の幅寸法および奥行き寸法がサイリスタチップ113の幅寸法および奥行き寸法よりも小さくされている。また、第5の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図16に示すように、導電性カソードサブスペーサ183と相補形状の穴を有するカソードサブスペーサホルダ184が設けられ、それにより、サイリスタチップ113および導電性カソードサブスペーサ183が、導電性カソードスペーサ14に対して芯出しされている。
同様に、第5の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図20に示すように、導電性アノードサブスペーサ191の側(図20の下側)に突出しているサイリスタチップ123の外縁部と導電性アノードサブスペーサ191とが干渉しないように、導電性アノードサブスペーサ191の幅寸法および奥行き寸法がサイリスタチップ123の幅寸法および奥行き寸法よりも小さくされている。また、第5の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図16に示すように、導電性アノードサブスペーサ191と相補形状の穴を有するアノードサブスペーサホルダ192が設けられ、それにより、サイリスタチップ113および導電性アノードサブスペーサ191が、アノード端子バー22(図1および図2参照)に対して芯出しされている。
更に、第5の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図20に示すように、導電性カソードサブスペーサ193の側(図20の上側)に突出しているサイリスタチップ123の外縁部と導電性カソードサブスペーサ193とが干渉しないように、導電性カソードサブスペーサ193の幅寸法および奥行き寸法がサイリスタチップ123の幅寸法および奥行き寸法よりも小さくされている。また、第5の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図16に示すように、導電性カソードサブスペーサ193と相補形状の穴を有するカソードサブスペーサホルダ194が設けられ、それにより、サイリスタチップ113および導電性カソードサブスペーサ193が、導電性カソードスペーサ24に対して芯出しされている。
以下、本発明の圧接型大電力用サイリスタモジュールの第6の実施形態について説明する。第6の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールは、後述する点を除き、上述した第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールとほぼ同様に構成されている。従って、第6の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、後述する点を除き、上述した第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールとほぼ同様の効果を奏することができる。
第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図4に示すような絶縁性ゲートスペーサ16および絶縁性蓋部材17が用いられているが、第6の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、代わりに、図21に示すような絶縁性ゲートスペーサ216および絶縁性蓋部材217が用いられている。
図21は第6の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールの絶縁性ゲートスペーサ216と絶縁性蓋部材217との関係を詳細に示した図である。詳細には、図21(A)は絶縁性ゲートスペーサ216および絶縁性蓋部材217を下側から見た分解斜視図、図21(B)は絶縁性ゲートスペーサ216および絶縁性蓋部材217を上側から見た分解斜視図、図21(C)は絶縁性ゲートスペーサ216および絶縁性蓋部材217を透視した分解斜視図である。
図21において、216aはコイルバネ型ゲート電極信号線15の上端の水平方向に延ばされた部分15b(図6(B)参照)を収容するために絶縁性ゲートスペーサ216に形成された収容溝を示している。216a2は収容溝216aの底面を示しており、216bは絶縁性ゲートスペーサ216の上面に形成された係合穴を示している。217aは絶縁性ゲートスペーサ216の係合穴216bに対して圧入するために絶縁性蓋部材217の下面に形成された係合突起を示している。217bはコイルバネ型ゲート電極信号線15の上端の水平方向に延ばされた部分15bを絶縁性ゲートスペーサ216の収容溝216aの底面216a2と協働して狭持するために絶縁性蓋部材217の下面に形成された狭持突起を示している。
第6の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図21に示すように、絶縁性蓋部材217の下面の係合突起217aを絶縁性ゲートスペーサ216の上面の係合穴216bに対して下向きに圧入することにより、絶縁性蓋部材217が絶縁性ゲートスペーサ216に対して係合せしめられる。そのため、第6の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、絶縁性蓋部材17を絶縁性ゲートスペーサ16に対して水平方向に摺動させることにより絶縁性蓋部材17が絶縁性ゲートスペーサ16に対して係合せしめられる図4に示した第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールよりも、絶縁性蓋部材217の下面の狭持突起217bとコイルバネ型ゲート電極信号線15の上端の水平方向に延ばされた部分15b(図6参照)との摺動抵抗を低減しつつ、絶縁性蓋部材217を絶縁性ゲートスペーサ216に対して係合させることができ、それにより、絶縁性蓋部材217と絶縁性ゲートスペーサ216との組立性を向上させることができる。
第6の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図21に示すように、絶縁性蓋部材217に係合突起217aが形成され、絶縁性ゲートスペーサ216に係合穴216bが形成されているが、第7の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、代わりに、絶縁性蓋部材217に係合穴を形成し、絶縁性ゲートスペーサ216に係合突起を形成することも可能である。
更に、第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図9に示すような絶縁性ゲートスペーサ26および絶縁性蓋部材27が用いられているが、第8の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、代わりに、図22に示すような絶縁性ゲートスペーサ226および絶縁性蓋部材227が用いられている。
図22は第6の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールの絶縁性ゲートスペーサ226と絶縁性蓋部材227との関係を詳細に示した図である。詳細には、図22(A)は絶縁性ゲートスペーサ226および絶縁性蓋部材227を上側から見た分解斜視図、図22(B)は絶縁性ゲートスペーサ226および絶縁性蓋部材227を下側から見た分解斜視図、図22(C)は絶縁性ゲートスペーサ226および絶縁性蓋部材227を透視した分解斜視図である。
図22において、226aはコイルバネ型ゲート電極信号線25の下端の水平方向に延ばされた部分25b(図11(B)参照)を収容するために絶縁性ゲートスペーサ226に形成された収容溝を示している。226a2は収容溝226aの底面(天井面)を示しており、226bは絶縁性ゲートスペーサ226の下面に形成された係合穴を示している。227aは絶縁性ゲートスペーサ226の係合穴226bに対して圧入するために絶縁性蓋部材227の上面に形成された係合突起を示している。227bはコイルバネ型ゲート電極信号線25の下端の水平方向に延ばされた部分25bを絶縁性ゲートスペーサ226の収容溝226aの底面(天井面)226a2と協働して狭持するために絶縁性蓋部材227の上面に形成された狭持突起を示している。
第6の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図22に示すように、絶縁性蓋部材227の上面の係合突起227aを絶縁性ゲートスペーサ226の下面の係合穴226bに対して上向きに圧入することにより、絶縁性蓋部材227が絶縁性ゲートスペーサ226に対して係合せしめられる。そのため、第6の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールによれば、絶縁性蓋部材27を絶縁性ゲートスペーサ26に対して水平方向に摺動させることにより絶縁性蓋部材27が絶縁性ゲートスペーサ26に対して係合せしめられる図9に示した第1の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールよりも、絶縁性蓋部材227の上面の狭持突起227bとコイルバネ型ゲート電極信号線25の下端の水平方向に延ばされた部分25b(図11参照)との摺動抵抗を低減しつつ、絶縁性蓋部材227を絶縁性ゲートスペーサ226に対して係合させることができ、それにより、絶縁性蓋部材227と絶縁性ゲートスペーサ226との組立性を向上させることができる。
第6の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、図22に示すように、絶縁性蓋部材227に係合突起227aが形成され、絶縁性ゲートスペーサ226に係合穴226bが形成されているが、第8の実施形態の圧接型大電力用サイリスタモジュールでは、代わりに、絶縁性蓋部材227に係合穴を形成し、絶縁性ゲートスペーサ226に係合突起を形成することも可能である。
第9の実施形態では、第1から第8の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。