JP4946215B2 - 反射防止積層体 - Google Patents

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Description

本発明は低屈折率層を有する透明プラスチック製の反射防止フィルム等の反射防止積層体に関し、さらに詳しくは、表面が平坦性の且つ防汚性に優れ、透明性や膜強度に優れた反射防止積層体に関する。
基材/高屈折率層乃至中屈折率層/低屈折率層の各層を基本的に有する反射防止フィルム、或いは、基材/高屈折率乃至中屈折率のハードコート層/低屈折率層の各層を基本的に有する反射防止フィルム等の反射防止積層体はよく知られている。このような反射防止フィルムの表面に平坦性や防汚性を付与するためには、シリコーンやパーフルオロ基を有するフッ素化合物を低屈折率層に添加するのが一般的であるが、添加成分の分子量が小さければ、耐擦傷性試験を繰り返すうちに経時で添加成分が脱離するため、防汚性が低下する。或いは、添加成分の分子量を大きくした場合、バインダー成分との相溶性が低下するため透明性や膜強度の低下が起こる。さらにまた、バインダー成分に対する相溶性を持つモノマー類とこれらの添加成分の共重合を行ったものを添加成分とした場合、ランダムにユニットを導入したものは、防汚成分の最表面の平坦化(レベリング)や、防汚性が不十分となるという問題があった。
特開2004−198445号公報(特許文献1)には、特定構造のフルオロエチレニル基を含む繰り返し単位からなる重合体部Aと、特定のシロキサン構造群からなる繰り返し単位及び架橋反応性基を有する繰り返し単位からなる重合体部Bとから構成されるAB型若しくはABA型ブロック共重合体(BP)、並びに硬化剤及び硬化促進剤のうちの少なくとも一種を含有する被膜形成用組成物を塗設、硬化させて形成されたことを特徴とする反射防止膜及び防汚性膜並びに該防汚性膜/反射防止膜を支持体上に配した防汚・反射防止フィルムが提案されているが、該被膜形成用組成物を単独で用いて形成した塗膜は、膜強度が弱く、一方、レベリング剤等のバインダー成分に対する添加剤として使用した際はバインダー成分との相溶性が不十分となる。
特開2005−196122号公報(特許文献2)には、含フッ素化合物と含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰り返し単位と側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰り返し単位からなる共重合体を主成分とし、ランダムでもブロックでも良いとしている共重合体を被膜形成用組成物としているが、該共重合体は、分子量に分布があるため分子中における防汚成分の割合がまちまちとなり、該共重合体を添加剤としてバインダー成分に添加して用いた場合には、一部がバインダー成分に不相溶となる。
特開2004−198445号公報 特開2005−196122号公報
そこで本発明は、透明基材/低屈折率層の各層を少なくとも基本的に有する反射防止フィルム等の反射防止積層体において、低屈折率層に防汚性を付与するために防汚成分を低屈折率層に添加して使用する場合に、低屈折率層のバインダーに不相溶とならずに、したがって、不相溶が原因で発生する外観を損ねるようなハジキの発生や、不相溶な部分が固まって生ずる膜強度の劣化を防止でき、防汚性に優れた反射防止積層体を提供することを目的とする。
前記した課題を解決するため、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、低屈折率層の平坦化及び防汚性に寄与する成分と、低屈折率層形成用コーティング組成物中のバインダー成分への相溶性に寄与する成分(以下「相溶性成分」と呼ぶ)とを、同一分子内で特定の2種類の構造を取るブロック共重合体とすることで、該ブロック共重合体を低屈折率層形成用コーティング組成物へ添加することにより、該低屈折率層形成用コーティング組成物のバインダー成分との相溶性を維持しながら、塗膜の強度を十分に維持した硬化膜が得られること、及び添加する該ブロック共重合体の分子量分布がシャープである程、相溶性が不十分な成分を含まないため平坦性や防汚性や塗膜強度が向上し、透明性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、第1発明は、透明基材上に、光透過性の低屈折率層を構成層の一つとして有する2層以上からなる反射防止積層体であって、該低屈折率層は、バインダー成分を硬化させて形成された低屈折率層内の表面付近に、ブロック共重合体を固定させた硬化層であり、該ブロック共重合体は、ラジカル重合性単量体を重合成分として構成されるブロック(A)と、ケイ素元素及び/又はフッ素元素を含む重合成分から構成されるブロック(B)とから成るAB型のブロック共重合体であり、該ブロック共重合体のGPC法による分子量分布が1〜2の範囲であることを特徴とする反射防止積層体である。
第2発明は、前記第1発明において、前記低屈折率層は、必須成分として、次の(1)〜(3)を含有するコーティング組成物を被覆すべき面に塗工し硬化させてなる塗膜であることを特徴とする反射防止積層体である。
(1)ラジカル重合性単量体が重合成分として構成されるブロック(A)と、ケイ素元素及び/又はフッ素元素を含む重合成分から構成されるブロック(B)とから成るAB型のブロック共重合体であって、該ブロック共重合体はレベリング剤として機能し、GPC法による分子量分布が1〜2の範囲であるもの;
(2)電離放射線硬化性のバインダー成分;
(3)有機溶剤。
第3発明は、前記第1発明又は第2発明において、前記ケイ素元素及び/又はフッ素元素を含む重合成分から構成されるブロック(B)が、次の一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)で表される重合成分であることを特徴とする反射防止積層体である。
Figure 0004946215
(式中、R11は水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表す。Y11は酸素原子、イオウ原子又は−N(R13)−を表す。R13は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。aは0〜6の整数を表し、bは1〜18の整数を表す。R12は、水素原子又は−CF3 を表す。)
Figure 0004946215
(式中、R11は水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表す。Y11は酸素原子、イオウ原子又は−N(R13)−を表す。R13は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。aは0〜6の整数を表し、cは1〜9の整数を表す。R12は、水素原子又は−CF3 を表す。)
Figure 0004946215
(式中、R21〜R23はそれぞれ独立に炭素原子を1〜20含む基を表し、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、R21、R23のうち少なくとも一つの基が(メタ)アクリロイル基となる。R24はメチル基、(CF2 )b 、(OCF2 CF2 )c であり、末端はHかCF3 のいずれかである。bは1〜18の整数、cは1〜9の整数、pは1≦p≦4を満たす整数を表す。qは1≦q≦500を満たす整数を表し、rは1≦r≦500を満たす整数を表し、{ }で囲われている(ポリ)シロキサン部分はr≠0の時、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。)
第4発明は、前記第1発明乃至第3発明のいずれかの発明において、前記ブロック共重合体の数平均分子量が8千〜5万の範囲であり、前記ブロック(B)の割合が10〜50モル%の範囲であることを特徴とする反射防止積層体である。
第5発明は、前記第1発明乃至第4発明のいずれかの発明において、前記ブロック共重合体がさらに電離放射線硬化性を有することを特徴とする反射防止積層体である。
第6発明は、前記第1発明において、前記硬化層の少なくとも一部は、水素結合形成基を有するバインダー成分の硬化物であることを特徴とする反射防止積層体である。
第7発明は、前記第1発明乃至第6発明のいずれかの発明において、前記低屈折率層の膜厚が、0.05〜0.15μmの範囲である反射防止積層体である。
第8発明は、光透過性の高屈折率層及び光透過性の低屈折率層を硬化層として少なくとも備えると共に、1層又は2層以上の光透過性の中屈折率層を硬化層としてさらに備え、該高屈折率層、該中屈折率層及び該低屈折率層は、屈折率の高低が交互に入れ替わり且つ該低屈折率層の1層が最も観賞面側に位置するように積層されるものであり、該低屈折率層が前記第1発明乃至前記第5発明のいずれかの発明のブロック共重合体を含むことを特徴とする反射防止積層体である。
第9発明は、前記第8発明において、前記光透過性の高屈折率層、前記光透過性の中屈折率層、及び前記光透過性の低屈折率層のいずれかの層に接してハードコート層を備えていることを特徴とする反射防止積層体である。
第10発明は、前記第8発明又は前記第9発明において、前記高屈折率層及び/又は前記中屈折率層はハードコート層を兼ねることを特徴とする反射防止積層体である。
第11発明は、前記第8発明乃至前記第10発明のいずれかに記載の前記高屈折率層、前記中屈折率層、又は前記低屈折率層がウエットコーティング法により形成されたものであることを特徴とする反射防止積層体である。
第12発明は、前記第8発明乃至第11発明のいずれかにおいて、前記高屈折率層及び/又は前記中屈折率層は、前記第1発明乃至前記第5発明のいずれかに記載のブロック共重合体を含むことを特徴とする反射防止積層体である。
第13発明は、前記第8発明乃至前記第12発明のいずれかにおいて、前記高屈折率層及び/又は前記中屈折率層は、膜厚が0.05〜20μmで、屈折率が1.45〜2.00で、且つ、JIS−K7361に規定されるヘイズ値が前記透明基材だけのヘイズ値と変わらないか又は前記透明基材だけのヘイズ値との差が10%以内であることを特徴とする反射防止積層体である。
第14発明は、前記第8発明乃至第13発明のいずれかにおいて、前記高屈折率層及び/又は前記中屈折率層は、水素結合形成基を残した硬化層であることを特徴とする反射防止積層体である。
第15発明は、前記第1発明乃至前記第14発明のいずれかにおいて、前記#0000番のスチールウールを用いて10回擦ったときの、反射防止積層体のヘイズ値の変化が認められる最低荷重量が200g以上であることを特徴とする反射防止積層体である。
本発明によれば、透明基材上に光透過性の低屈折率層を構成層の一つとして有する2層以上からなる反射防止積層体において、前記したAB型のブロック共重合体を低屈折率層形成用組成物にレベリング剤、或いは防汚剤として添加しても、該ブロック共重合体のGPC法による分子量分布を1〜2の範囲とすることにより、低屈折率層形成用組成物のバインダーに不相溶とならずに、したがって、不相溶が原因で発生する外観を損ねるようなハジキの発生や、不相溶な部分が固まって生ずる膜強度の劣化を防止でき、しかも透明性を損ねることなく、防汚性に優れた反射防止積層体を提供することができる。
AB型ブロック共重合体:
AB型ブロック共重合体は、ラジカル重合性単量体を重合成分として構成されるブロック(A)と、ケイ素元素及び/又はフッ素元素を含む重合成分から構成されるブロック(B)とから成る共重合体である。特に、本発明においては分子量分布が狭いことが好ましく、リビングラジカル重合により得られたものはより好ましい。
本発明におけるブロック共重合体のGPC法による分子量分布が1〜2(1以上2以内)の範囲であることにより、シャープな分子量分布となり、バインダー成分に対してブロック共重合体における非相溶性な部分が殆ど生ぜず、相溶性の優れた塗膜となる。該分子量分布が2を超えると相溶性に劣る成分が含まれてくる。
低屈折率層に添加するAB型ブロック共重合体における、ブロック(A)とブロック(B)の共重合比は、ブロック(B)が5〜90モル%であることが望ましい。5モル%未満では防汚性の効果が無く、90モル%を超えると塗膜の均一性が低下する。
本発明におけるAB型ブロック共重合体の数平均分子量は8千〜5万の範囲が好ましい。数平均分子量が8千未満の場合は平坦性が十分に発揮されず、5万を超える場合は相溶性が極端に低下する。AB型ブロック共重合体は電離放射線硬化性を有していてもよい。
i)ブロック(A)
本発明に用いるAB型ブロック共重合体を構成する一つの重合成分(ブロック(A))としてのラジカル重合性単量体には、通常のラジカル重合で共重合可能なものであれば、好適に用いることができる。この様なモノマーの好ましい例として、例えば、オレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、6−ヒドロキシ−1−ヘキセン、シクロペンタジエン、4−ペンテン酸、8−ノネン酸メチル、ビニルスルホン酸、トリメチルビニルシランなど)、不飽和カルボン酸およびその塩類(アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、イタコン酸カリウムなど)、β−不飽和カルボン酸のエステル類(メチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリ−レート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、グリセリンモノメタクリレート、2−アセトキシエチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、ω−メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(付加モル数=2ないし100のもの)、ω−ヒドロキシポリエチレングリコールメタクリレート(付加モル数=2ないし100のもの)、ω−ヒドロキシポリプロピレングリコールメタクリレート(付加モル数=2ないし100のもの)、3−N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、クロロ−3−N,N,N−トリメチルアンモニオプロピルメタクリレート、2−カルボキシエチルメタクリレート、3−スルホプロピルメタクリレート、4−オキシスルホブチルメタクリレート、マレイン酸モノブチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジブチル、アリルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレートなど)、不飽和カルボン酸のアミド類(アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−tertオクチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリン、ジアセトンアクリルアミド、イタコン酸ジアミド、N−メチルマレイミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸など)、不飽和ニトリル類(アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど)、スチレン誘導体類(スチレン、ビニルトルエン、p−tertブチルスチレン、ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−スチレンスルホン酸ナトリウム塩、p−スチレンスルフィン酸カリウム塩、p−アミノメチルスチレンなど)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテルなど)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ酢酸ビニルなど)、その他の重合性単量体(N−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドンなど)などを挙げることができる。但し、これらのモノマーは膜の屈折率を上昇させない必要最小量を共重合して用いることが望ましい。
これらの中でもフッ素原子を含有するモノマー(以下、含フッ素モノマーと称す)は膜のレベリング性、屈折率の観点から用いられる。含フッ素モノマーはモノマーがフッ素原子を含有しているものであれば特に制限はないが、フッ素原子をパーフルオロアルキル基として有するものがフッ素含量の点で特に好ましい。
これらのモノマーの具体例としては、例えば、フルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロブタジエン、パーフルオロ―2,2―ジメチル―1,3―ジオキソールなど)、アクリルまたはメタクリル酸の部分及び完全フッ素化アルキル、アルケニル、アリールエステル類(例えば下記一般式で表される化合物)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類、完全または部分フッ素化ビニルエステル類、完全または部分フッ素化ビニルケトン類等であり、これらの任意のモノマーを任意の比率で組み合わせて共重合により目的のポリマーを得ることができる。
Figure 0004946215
(式中、R1 水素原子、炭素数1ないし3のアルキル基またはハロゲン原子を表す。Rfは完全または部分フッ素化されたアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環またはアリール基を表す。R2 およびR3 はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、ヘテロ環、アリール基または上記Rfで定義される基を表す。R1 、R2 、R3 およびRfはそれぞれフッ素原子以外の置換基を有していても良い。また、R2 、R3 およびRfの任意の2つ以上の基が互いに結合して環構造を形成しても良い。)
Figure 0004946215
(式中、Aは完全または部分フッ素化されたn価の有機基を表す。R4 は水素原子、炭素数1ないし3のアルキル基またはハロゲン原子を表す。R4 はフッ素原子以外の置換基を有していても良い。nは2ないし8の整数を表す。)
以下に本発明に用いられる好ましい含フッ素モノマーの例を挙げるが、本発明はこれらの具体的構造に限定されるものではない。
Figure 0004946215
Figure 0004946215
Figure 0004946215
また、上記の単官能ビニルモノマーに加え、任意の多官能モノマーを用いることで膜の強度を更に制御することができる。用いる多官能モノマーには特に制限はなく市販、または合成の一分子中に複数個の重合性不飽和基を有するものであればこれを好適に使用できる。
該多官能モノマーの具体例としては、例えばオレフィン類(ブタジエン、ペンタジエン、1,4−ジビニルシクロヘキサン、1,2,5−トリビニルシクロヘキサンなど)、アクリル酸およびメタクリル酸のエステル類(エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラメタクリレートなど)、スチレン誘導体(1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステルなど)、ビニルスルホン類(ジビニルスルホンなど)、アクリルアミド類(メチレンビスアクリルアミド、ジアクリロイルピペラジンなど)、メタクリルアミド類(メチレンビスメタクリルアミド、ジメタクリロイルピペラジンなど)などを挙げることができる。
この多官能モノマーをフッ素原子含有多官能モノマーから選択すると低屈折率なものとすることができる。
ii) ブロック(B)
ブロック(B)は、前記一般式(1)、前記一般式(2)又は前記一般式(3)で表される重合成分が挙げられる。ブロック共重合体においてブロック(B)の割合が10〜50モル%の範囲であることが好ましい。ブロック(B)の割合が10モル%未満では防汚性が発揮されず、50モル%を超えると低屈折率層を形成するためのバインダー成分に対してブロック共重合体の相溶性が極端に低下する。
電離放射線硬化性のバインダー成分:
本発明において低屈折率層に用いることが好ましい電離放射線硬化型バインダー成分は、1分子中に少なくとも1つ以上の水素結合形成基と1つ以上の電離放射線で硬化する官能基(単に「電離放射線硬化性基」と呼ぶことがある)を有する化合物が含まれることが望ましい。このように、電離放射線で硬化する電離放射線硬化性基の単独、あるいは硬化剤によって熱硬化する水素結合形成基とを有する場合、該バインダー成分を含有する塗工液を被塗工体の表面に塗布し、乾燥し、電離放射線の照射、または電離放射線の照射と加熱を行うと、塗膜内に架橋結合等の化学結合を形成し、塗膜を効率よく硬化させることができる。
前記「電離放射線硬化性基」とは、電離放射線の照射により重合または架橋等の大分子量化反応を進行させて塗膜を硬化させることができる官能基であり、例えば、光ラジカル重合、光カチオン重合、光アニオン重合のような重合反応、あるいは、光二量化を経て進行する付加重合または縮重合等の反応形式により反応が進行するものが挙げられる。特に、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合やエポキシ基やオキセタン基等の環状エーテル結合は、紫外線や電子線のような電離放射線の照射により直接、または開始剤の作用を受けて間接的に光ラジカルや光カチオン重合反応を生じるものであり、光硬化の工程を含む取り扱いが比較的容易なので好ましく、その中でも(メタ)アクリロイル基やオキセタン基は生産性に優れ、また、硬化後の塗膜の機械強度のコントロールが容易であるため好ましい。
本発明において「電離放射線硬化性基」は単独であっても良いし2つ以上が組み合わさっていても良い。
本発明における低屈折率層を形成するためのバインダーの少なくとも一部は、水素結合形成基を有するバインダー成分の硬化物であることが塗膜の効率的な硬化、微粒子の分散性、他成分との親和性、塗膜の均一性に優れるために望ましい。
水素結合形成基:
前記「水素結合形成基」とは、加熱によって同じ官能基同士または他の官能基との間で重合または架橋等の大分子量化反応を進行させて硬化させることができる官能基であり、例えば、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、等を例示することができる。これらの官能基の中でも水酸基は、無機微粒子を用いた場合特に、微粒子との親和性にも優れており、該無機微粒子のバインダー中での分散性を向上させるので好ましい。また、バインダー成分への導入が容易で、無機微粒子表面の水酸基に吸着し、塗工液や塗膜中に均一に分散させることが可能となり、塗工液の寿命向上や無機微粒子の凝集による巨大粒子化による塗膜の透明性や膜強度の低下が無い均一な塗膜の形成が可能となる。さらに硬化に際しては、単独、あるいは硬化剤を用いた熱硬化により、バインダー成分同士、あるいは微粒子表面の水酸基と共有結合を形成して微粒子が架橋剤として作用し、塗膜強度の更なる向上を図ることができるために特に好ましい。
低屈折率層を形成するのに用いられる電離放射線硬化型樹脂組成物に好ましく使用されるモノマー類としては、本質的に、あるいは合成時に副生され、モノマーの一部として混在する水酸基等の水素結合形成基を持つものが、一分子中に電離放射線硬化性基と水素結合形成基とを併せ持つため好ましい。これらのうち、エチレン性不飽和基を有するモノマーの例には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート等のジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート誘導体やジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート、等を例示することができる。
これらに加え、OH残基を有するエポキシアクリレート樹脂(共栄社化学社製「エポキシエステル」:商品名や、昭和高分子社製「リポキシ」:商品名、等)や各種イソシアナートと水酸基を有するモノマーとがウレタン結合を介して重付加によって得られるウレタンアクリレート樹脂(日本合成化学工業社製「紫光」:商品名、や共栄社化学社製「ウレタンアクリレート」:商品名)といった水素結合を含有する数平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算数平均分子量)が2万以下のオリゴマー類も好ましく使用できる。
これらのモノマー類やオリゴマー類は塗膜の架橋密度を高める効果が高いほか、数平均分子量が2万以下と小さいので流動性が高い成分であり、コーティング組成物の塗工適性を向上させる効果もある。
さらに、必要に応じて水素結合形成基を有するモノマーを含む(共)重合体で、主鎖や側鎖に(メタ)アクリレート基を有する数平均分子量が2万以上の反応性ポリマーなども好ましく使用することができる。これらの反応性ポリマーは例えば東亞合成社製の「マクロモノマー」(商品名)等の市販品として購入することも可能であるし、メタクリル酸メチルとグリシジルメタクリレートとの共重合体をあらかじめ重合しておき、後から共重合体のグリシジル基とメタクリル酸やアクリル酸のカルボキシル基を縮合させることで、(メタ)アクリレート基を有する反応性ポリマーを得ることができる。これら分子量が大きい成分を含むことで、防眩層などの複雑な形状に対する成膜性の向上や硬化時の体積収縮による反射防止積層体のカールや反りの低減が可能となる。
上記官能基を有するモノマーの代わりまたはそれに加えて、架橋性基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基、および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタンも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。
また、本発明において架橋性基とは、上記化合物に限らず上記官能基が分解した結果反応性を示すものであってもよい。
上記したモノマー、オリゴマー、ポリマー、および、上記に属さないモノマー、オリゴマー、ポリマーを適宜組み合わせて、成膜性、塗工適性、電離放射線硬化の架橋密度、熱硬化性を有する水素結合形成基の含有量等の諸性質を調節することができる。例えば、モノマー、オリゴマーにより架橋密度と加工適性が向上し、ポリマーによりコーティング組成物の成膜性が向上する。
本発明においては、数平均分子量が2万以下のモノマーおよび/またはオリゴマーと数平均分子量が2万以上のポリマーを適宜組み合わせ、塗膜の諸性質を容易に調節することが可能である。
反射防止積層体:
本発明の反射防止積層体の層構成の形態は、透明基材上に、光透過性の低屈折率層を構成層の一つとして有する2層以上からなる反射防止積層体であるが、具体例として、透明基材上に、光透過性の高屈折率層、光透過性の中屈折率層、光透過性の低屈折率層を有し、該高屈折率層、該中屈折率層及び該低屈折率層は、屈折率の高低が交互に入れ替わり且つ該低屈折率層が最も観賞面側に位置するように積層されたものを挙げることができる。
高屈折率層及び/又は前記中屈折率層は、膜厚が0.05〜20μmで、屈折率が1.45〜2.00で、且つ、JIS−K7361に規定されるヘイズ値が前記透明基材だけのヘイズ値と変わらないか又は前記透明基材だけのヘイズ値との差が10%以内であることが透明性に優れ、反射防止性に優れる反射防止積層体とするために好ましい。
また、前記高屈折率層及び/又は前記中屈折率層は、水素結合形成基を残した硬化層であることが塗膜の硬化性に優れ、前記高屈折率及び/又は前記中屈折率層と接する他の層との密着性に優れるため好ましい。
前記いずれかの層に隣接してハードコート層を設けることができる。或いは、該高屈折率層及び該中屈折率層のうち少なくとも一つが前記ハードコート層であってもよい。該高屈折率層、前記中屈折率層、又は前記低屈折率層は塗布等によるウエットコーティング法により形成することにより、操作性が向上する。
低屈折率層:
本発明の反射防止積層体における低屈折率層は、バインダー成分を硬化させて形成された低屈折率層内の表面付近に、前記に詳述したAB型ブロック共重合体を固定させた硬化層である。前記したAB型ブロック共重合体をバインダー成分に対して1〜10重量%未満添加したものを塗布し、塗膜を形成することにより、低屈折率層内の表面付近に、AB型ブロック共重合体を固定させることができる。AB型ブロック共重合体の添加量が1重量%未満ではレベリング剤としての効果が悪く、10重量%を超えると塗膜の均一性が低下する。
本発明の低屈折率層の膜厚は、0.05〜0.15μmであることが望ましい。0.05μm未満、或いは0.15μmを超えると前者は紫外域、後者は赤外域に反射防止性能を持つようになり且つ可視域の反射防止性能が劣るために好ましくない。
本発明の反射防止積層体における低屈折率層は、上記の要件に加えて、好ましくは、水素結合形成基を含有する低屈折率層であって、バインダー成分と平均粒子径5nm〜300nmの微粒子とを含むナノポーラス構造を有することが望ましい。低屈折率層のバインダー樹脂は、低屈折率層に水素結合形成基を含有するものが望ましく、例えば、フッ素含有モノマー及び/又はポリマーを含む電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化物を挙げることができる。水素結合形成基の例には前記電離放射線硬化型樹脂組成物に導入した水素結合形成基が挙げられる。
一般的に、分子中にフッ素原子を含む樹脂組成物は屈折率が低い材料なので、屈折率の低い塗膜を形成できる長所を有するが、該樹脂組成物を塗布して形成された塗膜は、原子間力が小さいフッ素原子を含有しているため硬度及び強度が不足し易いという欠点を有する。このような問題に対して、塗膜中にそれ自身が空隙を有する、及び/又は集合体を形成することで空隙を有する、平均粒子径5nm〜300nmの微粒子を含有させることが望ましく、分子中にフッ素原子を含有する樹脂組成物を用いるにも関わらず、硬化した樹脂組成物中に分散している空隙を有する微粒子の凝集力及び硬さによって、形成された塗膜が引き締められ、フッ素原子の含有量を非常に大きくした場合でも塗膜の硬度及び強度の著しい低下を避けることができる。
それ自身が空隙を有する微粒子は、微細な空隙を外部や内部に有しており、気体、例えば、屈折率1の空気が充填されているので、それ自身の屈折率が低い特徴があり、塗膜中に集合体を形成せずに均一に分散した場合でも、塗膜の屈折率を低下させることができるため好ましい。空隙を有する微粒子の好ましい例には、多孔質シリカ微粒子や中空シリカ微粒子が挙げられる。即ち、例えば、シリカを例にすると、内部に気体を有しない通常のコロイダルシリカ粒子(屈折率n=1.46程度)に比べると、シリカの空隙を有する微粒子の屈折率は1.20〜1.45と低い。或いは、空隙を有する微粒子の好ましい別の例には、多孔質ポリマー微粒子や中空ポリマー微粒子が挙げられる。
ナノポーラス構造:
本発明の反射防止積層体における低屈折率層は、前記微粒子を含む低屈折率層の微粒子の形態、構造、凝集状態、塗膜内部での微粒子の分散状態により、内部、及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造を有することが望ましい。
本発明の反射防止積層体におけるナノポーラス構造を有する低屈折率組成物をコーティングしてなる低屈折率層には、ナノポーラス構造が、平均粒子径5nm〜300nmの微粒子が集合体を形成した結果生じる平均孔径が0.01nm〜100nmの空気を含有する独立した、及び/又は連続した孔である構造が挙げられる。或いは、ナノポーラス構造を有する低屈折率組成物をコーティングしてなる低屈折率層には、ナノポーラス構造が、平均粒子径5nm〜300nmの微粒子自身の平均孔径0.01nm〜100nmの空気を含有する孔を有することにより形成される構造が挙げられる。
本発明において、ナノポーラスとは、粒子自身が持っている孔、或いは粒子同士が集合体を形成することによって生じる空隙、又は比表面積が大きい多孔質粒子に取り込まれた空気が塗膜形成の過程で粒子から塗膜中に拡散して生じる空気の孔のことを言い、所望の大きさの範囲内であれば、独立していても、連続していても良い。
微粒子の配合によりバインダー成分濃度が希釈されて低屈折率層の機械的強度や屈折率に悪影響を及ぼす弊害を避けるために、微粒子の屈折率は1.60以下であることが好ましい。
微粒子が無機化合物の場合、非晶質であることが好ましい。無機微粒子は、金属の酸化物、窒化物、硫化物またはハロゲン化物からなることが好ましく、金属酸化物または金属ハロゲン化物からなることがさらに好ましく、金属酸化物または金属フッ化物からなることが最も好ましい。金属原子としては、Na、K、Mg、Ca、Ba、Al、Si、Bが好ましく、Mg、Ca、BおよびSiがさらに好ましく、二種類の金属を含む無機化合物を用いてもよい。
無機微粒子の少なくとも一部を表面処理することにより、溶剤又はバインダーとの親和性の改善やバインダーとの反応性を付与させることが好ましい。
表面処理は、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理と、カップリング剤や有機低分子化合物、ポリマー等を表面に吸着、或いは結合させる化学的表面処理に分類できる。更に、無機微粒子表面の少なくとも一部を、それよりも粒子径が小さい無機や有機やそれらの複合微粒子で被覆しても良い(これらを総称して「表面処理物」という)。
化学的表面処理のみ、または物理的表面処理と化学的表面処理の組み合わせで実施することが好ましい。
カップリング剤としては、有機金属化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤、アルミキレート化剤)が好ましく用いられる。
表面処理物は無機微粒子表面の化学的性質によって適宜使用する事が好ましい。例えば、アニオン性を有する無機微粒子であればカチオン性の有機低分子化合物の使用が好ましい。
無機微粒子表面に水酸基等の官能基がある場合は、表面処理物を安定に吸着させることができ、また、シランカップリング剤や該官能基との反応性を有するポリマーを使用する事でより安定な化学結合による表面処理が特に有効に実施できるため、より好ましい。
無機微粒子に吸着、及び/或いは結合した表面処理物には、バインダー成分との反応性を持たせるためにバインダー成分の種類に応じて水酸基、アミノ基等の熱硬化性基や(メタ)アクリロイルオキシ基、エポキシ基、オキセタン基、マレイミド基等の電離放射線硬化性基等を適宜使用することが好ましい。
微粒子が有機化合物の場合は、架橋、非架橋に関わらず平均粒子径5nm〜300nmのポリマー微粒子であれば特に制限されず使用でき、ポリオレフィン系、フッ素系ポリマー系、ポリスルホン系、ポリエステル系、ポリビニルアセタール系、ポリビニルアルコール系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリスチレン系、ポリケトン系、シリコーン系、ポリ乳酸系、セルロース系等やこれらの共重合物を用いることが出来る。特に、低屈折率化の観点からはフッ素ポリマー系、シリコーン系からなることがさらに好ましい。また、例えば、ポリアクリル系であってもフッ素原子を含有するアクリルモノマーを使用する事で微粒子の低屈折率化が可能となるため好ましい。
有機微粒子も溶剤又はバインダーとの親和性やバインダーとの反応性が得られるモノマー重合体が表面に形成されることが好ましい。また、無機微粒子と同様の物理的および/或いは表面処理物を用いた化学的表面処理を施すことも好ましい。
ハードコート層:
本発明の反射防止積層体に設けることができるハードコート層に電離放射線硬化型樹脂がバインダー成分として好ましく用いられる。該電離放射線硬化型バインダー成分は、好ましくは、1分子中に少なくとも1つ以上の水素結合形成基と1つ以上の電離放射線で硬化する官能基(単に「電離放射線硬化性基」と呼ぶことがある)を有する化合物が含まれることが望ましい。また、電離放射線硬化型バインダー成分のうち、少なくとも一部は、水素結合形成基を有するバインダー成分の硬化物であることが望ましい。このように、電離放射線で硬化する電離放射線硬化性基の単独、あるいは硬化剤によって熱硬化する水素結合形成基とを有する場合、該バインダー成分を含有する塗工液を被塗工体の表面に塗布し、乾燥し、電離放射線の照射、または電離放射線の照射と加熱を行うと、塗膜内に架橋結合等の化学結合を形成し、塗膜を効率よく硬化させることができる。
前記「電離放射線硬化性基」には、前記屈折率層において説明したものと同様なものが含まれる。「電離放射線硬化性基」は単独であっても良いし2つ以上が組み合わさっていても良い。
透明基材:
本発明による反射防止積層体を構成する光透過性の透明基材は、板状であってもフィルム状であっても良い。好ましい透明基材としては、例えば、トリアセテートセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース、ポリエーテルサルホン、アクリル系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリエステル;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテル;トリメチルペンテン;ポリエーテルケトン;(メタ)アクリロニトリル;環状ポリオレフィン等の各種樹脂で形成したフィルム等を例示することができる。透明基材の厚さは、通常30μm〜200μm程度であり、好ましくは50μm〜200μmである。
i)ジテルリド化合物及びリビングラジカルポリマーの同定
ジテルリド化合物を、1H−NMR及びMSの測定結果から同定した。また、リビングラジカルポリマーの分子量及び分子量分布は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて求めた。使用した測定機は以下の通りである。
1H−NMR: Varian社製 Gemini 2000(商品名、300MHzfor1H)、
JEOL社製JNM−A400(商品名、400MHz for1H)、
MS(HRMS):JEOL社製 JMS−300(商品名)、
分子量及び分子量分布:液体クロマトグラフ Shimadzu社製 LC−10(商品名、
カラム:Shodex社製 K−804L + K−805L(商品名)、
ポリスチレンスタンダード:TOSOH社製 TSK Standard(商品名)、
ポリメチルメタクリレートスタンダード:Shodex社製 Standard M−75(商品名)
ii)ジフェニルジテルリドの合成例
金属テルル(Aldrich 社製、商品名:Tellurium(-40mesh))3.19g(25mmol)をTHF25mlに懸濁させ、フェニルリチウム〔Aldrich社製、1.8Mシクロヘキサン/エーテル(70:30)溶液〕15.8ml(28.5mmol)を0℃でゆっくり加えた(10分間)。この反応溶液を金属テルルが完全に消失するまで撹拌した(10分間)。この反応溶液に、塩化アンモニウム溶液20mlを室温で加え、1時間撹拌した。有機層を分離し、水層をジエチルエーテルで3回抽出した。集めた有機層を芒硝で乾燥後、減圧濃縮し、黒紫色油状物3.48g(8.5mmol:収率68%)を得た。1H−NMRによりジフェニルジテルリドであることを確認した。
iii)AB型ブロック共重合体の調製
窒素置換したグローブボックス内で、アゾイソブチロニトリル(0.10mmol)、前記工程ii)で製造したジフェニルジテルリド、トリフルオロメチルベンゼン1mlとAユニットとしてメタクリル酸メチル(MMA:略語)を加え80℃で3時間撹拌した。次いでBユニットとしてメタクリル変性シリコーンX−22−164A(商品名;信越化学工業製)、或いは1H、1H−パーフルオロ−n−オクチルメタクリレート(フッ素モノマ)を加え、更に80℃で3時間攪拌した。次いでクロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマを室温で吸引ろ過、乾燥することにより、下記の表1に示すAユニットとBユニットの共重合比の、分子量分布が異なる各種AB型ブロック共重合体(実施例のポリマ1〜4)を調製した。
重合開始剤として、α, α'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN:略語)のみを用いた以外は上記実施例のポリマ1〜4の製造と同様にして、本発明の範囲外の分子量分布を持つ、下記の表1に示す比較例のポリマ1、2を製造した。
得られた各種ポリマの数平均分子量と分子量分布も下記の表1に示す。
Figure 0004946215
表1に示す数平均分子量、及び分子量分布は、液体クロマトグラフ 島津 LC−10(商品名、島津製作所製、カラム:Shodex K-840 +K-805L、ポリスチレンスタンダード:TOSOH TSK Standard)を用いて測定した。
(1)基材/ハードコート層/低屈折率層からなる反射防止フィルム
(1−1) ハードコート層形成用組成物の調製
下記の組成の成分を配合して、実施例1〜15、比較例1〜15で用いるハードコート層形成用組成物を調製した。
(1−1−1) 共重合体を含むハードコート層形成用組成物(共重合体有:略語)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA:略語) 5.0質量部
イルガキュア184(商品名、チバスペシャリティケミカルズ社製)0.25質量部
前記表1に示す実施例のポリマ1〜4及び比較例のポリマ1、2 0.25質量部
メチルエチルケトン 20質量部
(1−1−2) 共重合体を含まないハードコート層形成用組成物(共重合体無:略語)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA:略語) 5.0質量部
イルガキュア184(商品名、チバスペシャリティケミカルズ社製)0.25質量部
メチルエチルケトン 20質量部
(1−2) ハードコートフィルムの作製
厚み80μmのトリアセテートセルロース(TAC)フィルム上に,上記組成のハードコート層形成用組成物をバーコーティングし、乾燥により溶剤を除去した後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン(株)製,光源Hバルブ)を用いて、照射線量60mJ/cm2 で紫外線照射を行い,ハードコート層を硬化させて、膜厚約5μmのハードコート層を有する、基材/ハードコート層フィルムを得た。
(1−3) 低屈折率層形成用組成物の調製
(1−3−1) 共重合体を含み水素結合形成基を含む低屈折率層形成用組成物(共重合体有:略語)の調製
下記の組成の成分を配合して低屈折率層形成用組成物を調製した。
中空シリカゾル(触媒化成工業製OSCAL (商品名、微粒子の屈折率1.30);メチルイソブチルケトン20重量%分散液) 12.85質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA:略語、極性基としてOH基を含有する) 1.43質量部
イルガキュア184(商品名、チバスペシャリティケミカルズ社製) 0.1質量部
前記表1に示す実施例のポリマ1〜4、及び比較例のポリマ1、2 0.07質量部
メチルイソブチルケトン 85.22質量部
(1−3−2) 共重合体を含まない低屈折率層形成用組成物(共重合体無:略語)の調製
下記の組成の成分を配合して低屈折率層形成用組成物を調製した。
中空シリカゾル(触媒化成工業製OSCAL (商品名、微粒子の屈折率1.30);メチルイソブチルケトン20重量%分散液) 12.85質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA:略語) 1.43質量部
イルガキュア184(商品名、チバスペシャリティケミカルズ社製) 0.1質量部
メチルイソブチルケトン 85.22質量部
(1−3−3) 共重合体を含み水素結合形成基を含まない低屈折率組成物形成用組成物(共重合体有、水素形成結合基無:略語)の調製
下記の組成の成分を配合して低屈折率層形成用組成物を調製した。
中空シリカゾル(触媒化成工業製OSCAL (商品名、微粒子の屈折率1.30);メチルイソブチルケトン20重量%分散液) 12.85質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA:略語、水素結合形成基を有しない) 1.43質量部
イルガキュア184(商品名、チバスペシャリティケミカルズ社製)0.1質量部
前記表1に示す実施例のポリマ1〜4 0.25質量部
メチルイソブチルケトン 85.22質量部
(1−4) 反射防止フィルムの作製
前記工程1−2で得られた基材/ハードコート層フィルム上に、上記工程1−3で得られた各低屈折率層形成用組成物を各々バーコーティングし、乾燥させることにより溶剤を除去した後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン(株)、光源Hバルブ)を用いて,照射線量200mJ/cm2 で紫外線照射を行い、塗膜を硬化させて、基材/ハードコート層/低屈折率層からなる積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは、ハードコート層に用いるAB型ブロック共重合体としてのポリマと、低屈折率層に用いるAB型ブロック共重合体としてのポリマの組み合わせにより、下記の表2、表3に示すように実施例1〜15、比較例1〜26に分類される反射防止フィルムである。低屈折率層の膜厚は、反射率の極小値が波長550nm付近になるような膜厚に調製した。低屈折率層の屈折率は1.38であり、全てのハードコート層上で最低反射率は1.2%であった。本各実施例、各比較例の反射防止フィルムの外観、ヘイズ値、耐スチールウール試験、指紋拭取り性試験の結果を下記の表2、表3に示す。
Figure 0004946215
Figure 0004946215

* ハードコート層に比較例のポリマ1及びポリマ2を添加したものは低屈折率層塗工後の塗膜が全て白化したため、その後のテストは実施しなかった。
耐スチールウール試験:
ハードコート層、及び反射防止フィルムの低屈折率層の表面を、#0000番のスチールウールを用いて10回擦ったときの、該低屈折率層のヘイズ値の変化が認められる最低荷重量を示す。
指紋拭取り性試験:
鼻脂を親指につけ、そのまま塗膜表面に垂直に3秒押しつけた後、ティッシュペーパーにて指紋を拭き、目視で見えなくなるまでの往復回数を評価した。鼻脂が広がり、30往復以上擦っても拭取れなかった場合は×と標記する。
上記表2、表3のような結果となった考察:
AB型ブロック共重合体をハードコート層形成用組成物及び低屈折率層形成用組成物に添加することにより、得られたハードコート層及び低屈折率層の平滑性が向上し、滑り性が付与されるため耐スチールウール性が向上し、また、防汚性が付与されるため指紋拭取り性が向上することが分かる。Bユニットの割合を多くしたAB型ブロック共重合体をハードコート層中に添加した場合、低屈折率層がハジキやすくなる。一方、低屈折率層中に添加した場合は、Bユニットの割合が多いほど、滑り性や防汚性が向上することが分かる。
また、水素結合形成基を含まない低屈折率層を形成した反射防止フィルムは、低屈折率層形成用組成物中において相溶性が悪いため、低屈折率層を形成した際に、対応する実施例に比べてヘイズ値が大きくなり、且つ、耐スチールウール性が低下した。
(2)ハードコート層を兼ねる中屈折率層を有する反射防止フィルム
(2−1) 共重合体を含むハードコート層を兼ねる中屈折率層形成用組成物(共重合体有:略語)の調製
下記の組成の成分を配合して共重合体を含むハードコート層を兼ねる中屈折率層形成用組成物を調製した。
KZ7973(商品名、JSR社製) 47質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA:略語) 5.0質量部
前記表1に示す実施例のポリマ1〜4及び比較例のポリマ1、2 0.25質量部
イルガキュア184(商品名、チバスペシャリティケミカルズ社製) 1質量部
シクロヘキサノン 12質量部
(2−2) 共重合体を含まないハードコート層を兼ねる中屈折率層形成用組成物(共重合体無:略語)の調製
下記の組成の成分を配合して共重合体を含まないハードコート層を兼ねる中屈折率層形成用組成物を調製した。
KZ7973(商品名、JSR社製) 47質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA:略語) 5.0質量部
イルガキュア184(商品名、チバスペシャリティケミカルズ社製) 1質量部
シクロヘキサノン 12質量部
(2−3) 積層体(基材/中屈折率ハードコート層/低屈折率層)の製造
前記(2−1)及び(2−2)の各中屈折率ハードコート層形成用組成物を各々TACフィルム上にバーコーティングし、乾燥により溶剤を除去した後、紫外線照射装置を用いて、照射線量100mJ/cm2 で塗膜を硬化させて、膜厚約5μmの中屈折率ハードコート層を有する基材/中屈折率ハードコート層からなる積層フィルムを得た。
基材のヘイズ値が0.3であるのに対し、共重合体を含まない中屈折率ハードコート層を塗工した基材/中屈折率ハードコート層からなる積層体のヘイズ値は0.3、実施例のポリマ1〜4を添加した中屈折率ハードコート層を用いた基材/中屈折率ハードコート層からなる積層体のヘイズ値は0.3であった。比較例のポリマ1、2を添加した中屈折率ハードコート層は基材に塗工した際に白化したためその後のテストは実施しなかった。
また、このときの中屈折率ハードコート層の屈折率は1.63であった。
次に、得られた基材/中屈折率ハードコート層フィルム上に、上記工程(1−3)で得られた各低屈折率層形成用組成物を各々バーコーティングし、乾燥させることにより溶剤を除去した後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン(株)製、光源Hバルブ)を用いて、照射線量200mJ/cm2 で紫外線照射を行い、塗膜を硬化させて、基材/ハードコート層/低屈折率層からなる積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは、ハードコート層に用いるAB型ブロック共重合体としてのポリマと、低屈折率層に用いるAB型ブロック共重合体としてのポリマの組み合わせにより、下記の表4に示すように実施例16〜30に分類される反射防止フィルムである。低屈折率層の屈折率は1.38であり、全ての実施例の中屈折率ハードコート層上で最低反射率は0.38%であった。実施例16〜30の反射防止フィルムについて前記(1−4)における試験と同様に、外観、ヘイズ値、耐スチールウール試験、指紋拭き取り性試験を行い、その結果を下記の表4に示す。
Figure 0004946215
(3)基材/中屈折率ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層からなる反射防止フィルム
(3−1) 共重合体を含む高屈折率層形成用組成物(共重合体有:略語)の調製
下記の組成の成分を配合して高屈折率層形成用組成物を調製した。
ルチル型酸化チタン(商品名:MT−500HDM、テイカ社製) 10質量部
Disperbyk163(商品名、ビックケミー・ジャパン製) 2質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA:略語) 5質量部
前記表1に示す実施例のポリマ1〜4及び比較例のポリマ1、2 0.25質量部
イルガキュア184(商品名、チバスペシャリティケミカルズ社製) 0.2質量部
メチルイソブチルケトン 37.3質量部
(3−2) 共重合体を含まない屈折率層形成用組成物(共重合体無:略語)の調製
下記の組成の成分を配合して高屈折率層形成用組成物を調製した。
ルチル型酸化チタン(商品名:MT−500HDM、テイカ社製) 10質量部
Disperbyk163(商品名、ビックケミー・ジャパン製) 2質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA:略語) 5質量部
イルガキュア184(商品名、チバスペシャリティケミカルズ社製) 0.2質量部
メチルイソブチルケトン 37.3質量部
(3−3)基材/中屈折率ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層からなる反射防止フィルムの製造
前記(2−1)、(2−2)で調製したハードコート層形成用組成物をTACフィルム上にバーコーティングし、乾燥により溶剤を除去した後、紫外線照射装置を用いて、照射線量100mJ/cm2 で塗膜を硬化させて、膜厚約5μmのハードコート層を有する基材/中屈折率ハードコート層からなる積層フィルムを得た。
さらに、上記(3−1)、(3−2)で調製した各高屈折率層形成用組成物を同条件にて前記工程で得られた積層フィルム上にそれぞれ塗工し、膜厚約80nmの高屈折率層を形成した。
基材のヘイズ値が0.3であるのに対し、実施例のポリマ1〜4を含む、或いは含まない中屈折率ハードコート層形成用組成物を塗工してなる基材/中屈折率ハードコート層からなる積層体のヘイズ値は0.3、更に実施例のポリマ1〜4を添加した高屈折率層形成用組成物を塗工してなる基材/中屈折率ハードコート層/高屈折率層からなる積層体のヘイズ値は0.3であった。比較例のポリマ1、2を添加した高屈折率層は基材に塗工した際に白化したためその後のテストは実施しなかった。
また、この時の中屈折率ハードコート層の屈折率は1.63で高屈折率層の屈折率は1.85であった。
次に、前記工程で得られた基材/中屈折率ハードコート層/高屈折率層からなる積層体上に、前記工程(1−3)で調製した低屈折率層形成用組成物をバーコーティングし、乾燥させることにより溶剤を除去した後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムジャパン(株)製、光源Hバルブ)を用いて、照射線量200mJ/cm2 で紫外線照射を行い、塗膜を硬化させて、基材/中屈折率ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層からなる積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは、中屈折率ハードコート層に用いるAB型ブロック共重合体としてのポリマと、高屈折率層に用いるAB型ブロック共重合体としてのポリマと、低屈折率層に用いるAB型ブロック共重合体としてのポリマの組み合わせにより、下記の表5に示すように実施例31〜45に分類される反射防止フィルムである。低屈折率層の屈折率は1.38であり、全ての実施例の高屈折率ハードコート層上で最低反射率は0.64%であった。実施例31〜45の反射防止フィルムについて前記(1−4)における試験と同様に、外観、ヘイズ値、耐スチールウール試験、指紋拭き取り性試験を行い、その結果を下記の表5に示す。
Figure 0004946215
本発明の反射防止積層体は、低屈折率層内の表面付近にレベリング剤としてのブロック共重合体が固定されることにより低屈折率層が平坦化され、且つ防汚性が発揮され、さらに、該反射防止積層体は、耐擦傷性の透明性に優れたものであるので、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、レンズ等の光学物品の表面に貼付される積層体、或いは反射防止フィルム等の反射防止積層体として有用である。

Claims (5)

  1. 透明基材上に、光透過性の低屈折率層を構成層の一つとして有する2層以上からなる反射防止積層体であって、
    前記低屈折率層は、必須成分として、
    (1)ラジカル重合性単量体が重合成分として構成されるブロック(A)と、ケイ素元素及び/又はフッ素元素を含む重合成分から構成されるブロック(B)とから成るAB型のブロック共重合体であって、該ブロック共重合体はレベリング剤として機能し、GPC法による分子量分布が1.18〜1.26の範囲であるもの、
    (2)電離放射線硬化性のバインダー成分、
    (3)有機溶剤、
    を含有するコーティング組成物を、被覆すべき面に塗工しバインダー成分を硬化させて形成された塗膜であり、
    該低屈折率層は、低屈折率層内の表面付近に、前記ブロック共重合体を固定させており、
    前記ケイ素元素及び/又はフッ素元素を含む重合成分から構成されるブロック(B)が、次の一般式(1)、一般式(2)又は一般式(3)で表される重合成分であり、
    Figure 0004946215
    (式中、R 11 は水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表す。Y 11 は酸素原子、イオウ原子又は−N(R 13 )−を表す。R 13 は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。aは0〜6の整数を表し、bは1〜18の整数を表す。R 12 は、水素原子又は−CF 3 を表す。)
    Figure 0004946215
    (式中、R 11 は水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表す。Y 11 は酸素原子、イオウ原子又は−N(R 13 )−を表す。R 13 は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。aは0〜6の整数を表し、cは1〜9の整数を表す。R 12 は、水素原子又は−CF 3 を表す。)
    Figure 0004946215
    (式中、R 21 〜R 23 はそれぞれ独立に炭素原子を1〜20含む基を表し、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、R 21 、R 23 のうち少なくとも一つの基が(メタ)アクリロイル基となる。R 24 はメチル基、(CF 2 )b 、(OCF 2 CF 2 )c であり、末端はHかCF 3 のいずれかである。bは1〜18の整数、cは1〜9の整数、pは1≦p≦4を満たす整数を表す。qは1≦q≦500を満たす整数を表し、rは1≦r≦500を満たす整数を表し、{ }で囲われている(ポリ)シロキサン部分はr≠0の時、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。)、
    前記ブロック共重合体の数平均分子量が8千〜5万の範囲であり、前記ブロック(B)の割合が10〜50モル%の範囲であり、
    前記ブロック共重合体は電離放射線硬化性を有し、
    前記硬化層の少なくとも一部は、水素結合形成基を有するバインダー成分の硬化物であることを特徴とする反射防止積層体。
  2. 前記ケイ素元素及び/又はフッ素元素を含む重合成分から構成されるブロック(B)が、次の一般式(2)で表される重合成分であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止積層体。
    Figure 0004946215
    (式中、R 11 は水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を表す。Y 11 は酸素原子、イオウ原子又は−N(R 13 )−を表す。R 13 は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。aは0〜6の整数を表し、cは1〜9の整数を表す。R 12 は、水素原子又は−CF 3 を表す。)
  3. 光透過性の高屈折率層及び光透過性の低屈折率層を硬化層として少なくとも備えると共に、1層又は2層以上の光透過性の中屈折率層を硬化層としてさらに備え、該高屈折率層、該中屈折率層及び該低屈折率層は、屈折率の高低が交互に入れ替わり且つ該低屈折率層の1層が最も観賞面側に位置するように積層されるものであり、該低屈折率層が請求項1に記載のブロック共重合体を含むことを特徴とする反射防止積層体。
  4. 前記光透過性の高屈折率層、前記光透過性の中屈折率層、及び前記光透過性の低屈折率層のいずれかの層に接してハードコート層を備えていることを特徴とする請求項3記載の反射防止積層体。
  5. 前記高屈折率層及び/又は前記中屈折率層は、請求項1のブロック共重合体を含むことを特徴とする、請求項3又は4に記載の反射防止積層体。
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