JP4946054B2 - 排ガス浄化フィルタの再生温度制御装置及び再生温度制御方法 - Google Patents

排ガス浄化フィルタの再生温度制御装置及び再生温度制御方法 Download PDF

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Description

この発明は、エンジンから排出される排ガス中に含まれるパティキュレートを捕捉して大気への排出を防止する排ガス浄化フィルタを再生するときのフィルタ温度を制御する装置及び方法に関する。
従来から、ディーゼルエンジンは、排ガスの浄化対策として排気通路に粒子状物質(Particulate Matter;以下「PM」という)を捕捉するディーゼルパーティキュレートフィルタ(Diesel Particulate Filter;以下「DPF」という)を装着している。DPFがPMを捕捉し続けると、やがて目詰まりを生じてしまう。そこでPMがある程度堆積したら排ガス温度を上昇させてDPFの温度(BED温度)を高温にすることで、堆積したPMを強制的に燃焼除去してDPFを再生する(例えば特許文献1)。
特開2002−97930号公報
しかし、前述した従来の方法では、車両の走行距離が増えるにつれてDPFの再生に長時間を要することとなっていた。DPFの再生に長時間を要しては、燃費が悪化し、またエンジンオイルを燃料で希釈してしまう。
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、排ガス浄化フィルタの再生時における燃費悪化を防止することができる排ガス浄化フィルタの再生温度制御装置を提供することを目的としている。
本発明は、エンジンから排出されるパティキュレートを捕捉して大気への排出を防止する排ガス浄化フィルタと、前記エンジンの排ガス中に含まれ、前記排ガス浄化フィルタに堆積した不燃成分の堆積状態を検出する不燃成分状態検出手段と、前記不燃成分が前記排ガス浄化フィルタに堆積した状態に基づいて、その排ガス浄化フィルタの再生時の温度を制御するフィルタ再生温度制御手段とを備え、前記不燃成分状態検出手段は、前記排ガス浄化フィルタが強制再生したか自然再生したかの再生履歴に基づいて、その排ガス浄化フィルタに堆積した不燃成分の堆積状態を検出することを特徴とする
発明者らによれば車両の走行距離が増えるにつれて排ガス浄化フィルタに不燃成分が堆積し、この不燃成分の影響でDPFの再生に長時間を要するようになっていることが見いだされた。そこで本発明では、不燃成分が排ガス浄化フィルタに堆積した状態に基づいて、その排ガス浄化フィルタの再生時の温度を制御するようにしたので、適切な温度にでき、走行距離が増えてフィルタに堆積する不燃成分が多くなっても、フィルタ再生に要する時間の増大を抑えることができ、フィルタの再生効率が低下することも防止できる。そのため燃費の悪化や、フィルタ再生時の燃料ポスト噴射によるエンジンオイルの希釈を抑制できるのである。
以下では図面等を参照して本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。まず初めに本発明の理解を容易にするために図1〜図4を参照して発明者らの知見について説明する。
上述のように、PMがある程度堆積したら排ガス温度を上昇させてDPFの温度(BED温度)を高温にすることで、堆積したPMを強制的に燃焼除去してDPFを再生している。この再生時のDPFの目標温度(目標BED温度)は、あらかじめROMに格納された特性マップ(一例を図1に示す)に基づいて設定している。
ここで図1について説明する。図1は、DPFが新品であるとき(すなわちAshが堆積していないとき)の、DPFのBED温度と、そのBED温度から到達しうる最高DPF温度との関係を、PM堆積量ごとにプロットしたグラフを示す図である。なお、到達しうる最高DPF温度は以下のようにして求める。すなわち通常運転中のエンジンを急激にアイドル運転にすると、DPF内を通流する排ガス量が急減して、排ガス通流による空冷効果が減り、DPF内部の温度が急上昇する。このようにエンジンを通常運転から急激にアイドル運転にしたときに到達する温度が、到達しうる最高DPF温度であることが発明者らによって確認されている。そこでこの温度を到達しうる最高DPF温度とした。
図1によると、例えばDPFのPM堆積量が2gのときは、DPFのBED温度が低ければ(例えばT1℃)、エンジンを通常運転から急激にアイドル運転にしても、最高DPF温度はあまり高温にならない。ところがDPFのBED温度がある程度高温のときに(例えばT2℃)、エンジンを通常運転から急激にアイドル運転にすると、PMの燃焼によってDPFの最高温度が上昇することがわかる。
またDPFのBED温度が同じでも(例えばT1℃)、PM堆積量が多いほどPMが燃焼しやすいので、最高DPF温度が高温になることがわかる。
さて最高DPF温度が高温であると、DPFが溶損する可能性がある。そこで最高DPF温度をDPF溶損温度以下にしなければならない。一方、DPFのBED温度が高温であるほどDPFを迅速に再生できる。DPFを再生するときは、後述のように燃料をポスト噴射して未燃燃料を酸化触媒に供給し排ガス温度を上昇させる。したがってDPFの再生時間がかかるほど、燃費が悪化し、またエンジンオイルを燃料で希釈するおそれがある。したがってDPFの再生時には、エンジン運転状態が変化してDPFの温度が急上昇してもDPFが溶損しないような範囲内で、できる限り高温にして再生時間を短くすることが望ましい。このような考えに基づき、DPF再生時の目標BED温度を設定している。すなわち、最高DPF温度の上限値は、DPFの仕様によって決まっている。そこで図1に基づいて、PM堆積量が2gのときは目標BED温度をT2g℃にし、PM堆積量が4gのときは目標BED温度をT4g℃にし、PM堆積量が6gのときは目標BED温度をT6g℃にする。
このように目標BED温度を設定して、実際のBED温度が目標BED温度になるように燃料噴射量や噴射時期を制御してPM強制燃焼制御(DPF再生制御)をしている。
ところが運転状態によってはDPFの再生に長時間を要することが本件発明者らによって知見された。発明者らは鋭意研究することで、この原因がエンジンオイル中の添加剤による不純物や、機械的摩耗から生じる金属粉などの不燃成分であるAsh(灰分)の影響であるとの知見を得た。すなわちAshの堆積によってDPF内のPM燃焼速度が遅くなり、図2に示すように、或るBED温度におけるDPFの最高温度が低下することが分かったのである。さらにPM燃焼速度は、Ashの堆積状態にも依存するとの知見を得た。この点について図3,図4を参照して詳述する。なお図3は、ディーゼルエンジンの通常運転におけるDPFの作用を説明する模式図であり、図3(A)はPMを捕捉する様子を示し、図3(B)はPMを強制燃焼した後のAshの堆積状態を示す。図4は、ディーゼルエンジンの高速走行におけるDPFのAshの堆積状態を示す模式図である。なお図3,図4においてPMを白丸で示し、Ashを黒丸で示す。
DPFは、例えばコージェライト等のセラミックから成る多孔質のハニカム構造である。DPFには、多孔質薄壁によって格子状に流路が区画される。図3(A)に示すように、各流路の入口は、交互に目封じされる。入口が目封じされない流路は、出口が目封じされる。
DPFに流入した排ガスは、図中の矢印で示すように、各流路を区画する多孔質薄壁を透過して下流へ排出される。通常運転時には、図3(A)に示すように、排ガスに含まれるPMが、多孔質薄壁の内側表面で捕捉されて堆積する。捕捉されたPMの一部はDPFで燃焼するものの、DPFの温度(BED温度)が高温でなければ燃焼量は少なく、PMの燃焼量よりも堆積量のほうが多いこととなる。この状態が継続しDPFがPMを捕捉し続けると、やがて目詰まりを生じてしまう。そこでPMがある程度堆積したら排ガス温度を上昇させて、堆積したPMを強制的に燃焼除去する。
ところが、排ガス温度を上昇させて堆積したPMを燃焼しても、Ashは燃焼しない。このAshは、図3(B)に示すようにDPFの下流部(底部)に堆積する。
一方、高速走行時は、排ガス温度が高温で、DPFの温度(BED温度)も高温になる。この状態では、排ガスに含まれるPMがDPFの多孔質薄壁の内側表面で捕捉されると、堆積することなく自然燃焼する。ところがAshは燃焼しない。そのため多孔質薄壁の内側表面には、図4に示すようにAshが堆積する。
このように、本件発明者らによって、DPFに堆積したPMを強制燃焼した場合と、高速走行などによって排ガス温度が高温になることでPMが自然燃焼する場合とで、Ashの堆積状態が異なることが知見された。そしてさらに発明者らによって、Ash堆積量が同じでもAshの堆積状態が異なると、DPFにおけるPM燃焼速度が異なりDPFの再生に要する時間が異なることが知見された。そのため、Ashの堆積状態が異なっているにもかかわらず、常に一律のPM強制燃焼制御(DPF再生制御)をしていたのでは、再生に長時間を要してしまう、ということを本件発明者らは見いだしたのである。
以上説明したように、発明者らによれば、Ashの堆積量が増えるとDPF内のPM燃焼速度が遅くなり、最高DPF温度が低下することが知見された。さらにDPF内のPM燃焼速度は、Ashの堆積状態にも依存することが知見された。そこで本発明では、Ashの堆積量及び堆積状態に応じてDPF再生時の目標BED温度を補正するようにしたのである。
以下では具体的な構成について説明する。図5は、本発明による排ガス浄化フィルタの再生温度制御装置の一実施形態を示す全体システム図である。
排ガス浄化フィルタの再生温度制御装置1は、ディーゼルエンジン10と、吸気通路21と、スロットルバルブ22と、排気通路23と、排ガス再循環装置(Exhaust Gas Recirculation;以下「EGR装置」という)30と、ディーゼル酸化触媒(Diesel Oxidation Catalyst;以下「DOC」という)40と、DPFアッセンブリ50と、センサ類61〜64と、コントローラ70とを有する。
ディーゼルエンジン10には、高圧ポンプ14で高圧化されコモンレール13に一旦蓄圧された燃料がインジェクタ12から噴射タイミングに応じて噴射される。
ディーゼルエンジン10から排出された排ガスの一部がEGR装置30を介して吸気通路21に還流する。EGR装置30は、EGR通路31にEGRクーラ32とEGRバルブ33とを有する。EGRクーラ32は排気通路23から還流する排ガスを冷却する。EGRバルブ33は開閉してEGR量を調整する。EGRバルブ33は、コントローラ70によってデューティ制御される。
DOC40は、ディーゼルエンジン10の排気通路23に設けられ、パラジウム、白金などの触媒による酸化作用で粒子状物質を減少させる。DOC40に未燃成分(炭化水素HC)が流入すると、触媒反応によって高温になった排ガスがDOC40から流出する。
DPFアッセンブリ50は、DOC40のさらに下流に設けられる。DPFアッセンブリ50は、DPFハウジング51にDPF52を内蔵する。DPF52は、例えばコージェライト等のセラミックから成る多孔質のハニカム構造である。DPF52には、多孔質薄壁によって格子状に流路が区画される。各流路の入口は、交互に目封じされる。入口が目封じされない流路は、出口が目封じされる。DPF52に流入した排ガスは、各流路を区画する多孔質薄壁を透過して下流へ排出される。排ガスに含まれるPMは多孔質薄壁の内側表面で捕捉されて堆積する。捕捉されたPMの一部はDPFで燃焼するものの、DPFの温度(BED温度)が高温でなければ燃焼量は少なく、PMの燃焼量よりも堆積量のほうが多いこととなる。この状態が継続しDPFがPMを捕捉し続けると、やがて目詰まりを生じてしまう。そこでPMがある程度堆積したら排ガス温度を上昇させて、堆積したPMを強制的に燃焼除去する。
差圧センサ61は、DPFハウジング51の上流室51a(DPF52の入口)及び下流室51b(DPF52の出口)の差圧を検出し、差圧信号をコントローラ70に出力する。
DPF入口温度センサ62は、DPF52の入口温度Tinを検出し、入口温度信号をコントローラ70に出力する。
DPF出口温度センサ63は、DPF52の出口温度Toutを検出し、出口温度信号をコントローラ70に出力する。
クランク角センサ64は、ディーゼルエンジン10のクランクシャフト11の回転速度を検出する。
コントローラ70は中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。
コントローラ70は、エンジンの運転状態(例えば回転速度と燃料噴射量)毎のPM排出量マップに基づいてPM排出量PMoutを検出する。そしてこのPM排出量PMoutに基づいてPM堆積量PMaを推定する。この推定方法の詳細は後述する。そしてコントローラ70は、このPM堆積量PMaに基づいてDPF再生時期を判定する。またコントローラ70は、差圧センサ61の差圧信号を入力する。コントローラ70は、DPF入口温度センサ62の入口温度信号及びDPF出口温度センサ63の出口温度信号を入力し、これらに基づきDPF52のBED温度を算出する。コントローラ70は、エンジンの運転状態から最適な変速段(ギヤ比)を決定し、クランク角センサ64の信号とあわせて、走行距離を算出する。
またコントローラ70は、入力信号に基づいてインジェクタ12及び高圧ポンプ14を制御して燃料噴射量、噴射時期を調整する。コントローラ70は、入力信号に基づいてスロットルバルブ22の開度を調整する。コントローラ70は、EGRバルブ33をデューティ制御する。コントローラ70は、これらをコントロールすることで空気過剰率(空燃比)を調整(λコントロール)して排ガス中に含まれる未燃成分(炭化水素HC)を調整し、DOC40から流出する排ガス温度を上昇させてDPFのBED温度を高温化してDPFを再生する。
次にコントローラ70の動作を中心として、本発明による排ガス浄化フィルタの再生温度制御装置の具体的な動作を説明する。図6は、排ガス浄化フィルタの再生温度制御装置の動作を説明するメインフローチャートである。なおコントローラ70はこの処理を微少時間(例えば10ミリ秒)毎に繰り返し実行している。
ステップS1において、コントローラ70は、PMの堆積量PMaを推定する。具体的な推定方法は後述する。
ステップS2において、コントローラ70は、PM堆積量PMaを図1に示すマップに適用して再生時基本目標BED温度TBED0を算出する。このマップはあらかじめ実験を通じて設定され、あらかじめROMに格納されている。なおこの再生時基本目標BED温度TBED0が特許請求の範囲の「再生時フィルタ基本温度」に相当する。
ステップS3において、コントローラ70は、目標BED温度補正値THOSを算出する。具体的な算出方法は後述する。
ステップS4において、コントローラ70は、再生時基本目標BED温度TBED0に目標BED温度補正値THOSを加算して補正後目標BED温度TBED1を算出する。なおこの補正後目標BED温度TBED1が特許請求の範囲の「再生時フィルタ基本温度を補正して求めた再生時目標温度」に相当する。
ステップS5において、コントローラ70は、補正後目標BED温度TBED1がBED温度限界値Tlimitを超えていないか否かを判定する。超えていなければステップS6へ処理を移行し、そうでなければステップS7へ処理を移行する。なおBED温度限界値Tlimitは本装置で実現可能なBED温度であり、あらかじめ設定されている。
ステップS6において、コントローラ70は、最終目標BED温度TBEDとして補正後目標BED温度TBED1を設定する。
ステップS7において、コントローラ70は、最終目標BED温度TBEDとしてBED温度限界値Tlimitを設定する。
図7は、PM堆積量推定処理を示すサブルーチンのフローチャートである。
ステップS11において、コントローラ70は、エンジンの運転状態(例えば回転速度と燃料噴射量)毎のPM排出量マップに基づいてPM排出量PMoutを検出する。このマップはあらかじめ実験を通じて設定される。
ステップS12において、コントローラ70は、DPFのBED温度及び前回検出されたPM堆積量PMa(前回)を、あらかじめROMに格納された図12に示す特性のマップに適用してPM燃焼量PMburnを求める。このマップはあらかじめ実験を通じて設定される。
ステップS13において、コントローラ70は、PM堆積量PMaを以下の式で算出する。
Figure 0004946054
図8は、目標BED温度補正値THOSを求める処理を示すサブルーチンのフローチャートである。
ステップS31において、コントローラ70は、DPF52の入口温度Tinが基準温度を超えているか否かを判定する。DPF52の入口温度(すなわちDPFに流入する排ガス温度)が高温であればあるほど、DPF52の内部でPMが自然燃焼しやすくなる。基準入口温度はこのことを判定する。基準入口温度はあらかじめ実験を通じて設定されるが、例えば450℃である。DPF52の入口温度Tinが基準温度を超えるときはステップS32に処理を移行し、超えなければステップS34に処理を移行する。
ステップS32において、コントローラ70は、DPF52のBED温度Tbedが基準BED温度を超えているか否かを判定する。DPF52のBED温度(すなわちDPFの内部温度)が高温であればあるほど、DPF52の内部でPMが自然燃焼しやすくなる。基準BED温度はこのことを判定する。基準BED温度はあらかじめ実験を通じて設定されるが、例えば600℃である。DPF52のBED温度Tbedが基準温度を超えるときはステップS33に処理を移行し、超えなければステップS34に処理を移行する。
ステップS33において、コントローラ70は、DPF52のPM堆積量PMaが基準堆積量を超えているか否かを判定する。DPF52の内部にPMが堆積していればいるほど、DPF52の内部でPMが自然燃焼しにくくなる。基準堆積量はこのことを判定する。基準堆積量はあらかじめ実験を通じて設定されるが、例えば0グラムである。DPF52のPM堆積量PMaが基準堆積量を超えるときはステップS34に処理を移行し、超えなければステップS35に処理を移行する。
ステップS34において、コントローラ70は、底部堆積処理を実行する。詳細は後述する。
ステップS35において、コントローラ70は、壁面堆積処理を実行する。詳細は後述する。
ステップS36において、コントローラ70は、目標BED温度補正値THOSを以下の式で求める。
Figure 0004946054
図9は、底部堆積処理を示すサブルーチンのフローチャートである。
ステップS341において、コントローラ70は、エンジン回転速度信号、変速段信号に基づいて、走行距離を算出する。
ステップS342において、コントローラ70は、前回が壁面堆積モードであったか否かを判定する。前回が壁面堆積モードであったときはステップS343に処理を移行し、壁面堆積モードでなければ、この処理を一旦抜ける。
ステップS343において、コントローラ70は、走行距離を、あらかじめROMに格納された図12に示す特性のマップに適用してDPF52に流入したAsh量(Ash0)を求める。このマップはあらかじめ実験を通じて設定される。
ステップS344において、コントローラ70は、底部堆積Ash量Ash1を以下の式で求める。なおこの底部堆積Ash量Ash1が特許請求の範囲の「第1の積算値」に相当する。
Figure 0004946054
ステップS345において、コントローラ70は、底部堆積Ash量Ash1を、あらかじめROMに格納された図13(A)に示す特性のマップに適用して底部Ash影響補正値HOS1を求める。なおこの底部Ash影響補正値HOS1が特許請求の範囲の「第1補正値」に相当する。
ステップS346においてコントローラ70は走行距離をリセットし、ステップS347において前回モードMODEzを1に変更する。
図10は、壁面堆積処理を示すサブルーチンのフローチャートである。
ステップS351において、コントローラ70は、エンジン回転速度信号、変速段信号に基づいて、走行距離を算出する。
ステップS352において、コントローラ70は、前回が底部堆積モードであったか否かを判定する。前回が底部堆積モードであったときはステップS353に処理を移行し、底部堆積モードでなければ、この処理を一旦抜ける。
ステップS353において、コントローラ70は、走行距離を、あらかじめROMに格納された図12に示す特性のマップに適用してDPF52に流入したAsh量(Ash0)を求める。このマップはあらかじめ実験を通じて設定される。
ステップS354において、コントローラ70は、壁面堆積Ash量Ash2を以下の式で求める。なおこの壁面堆積Ash量Ash2が特許請求の範囲の「第2の積算値」に相当する。
Figure 0004946054
ステップS355において、コントローラ70は、壁面堆積Ash量Ash2を、あらかじめROMに格納された図13(B)に示す特性のマップに適用して壁面Ash影響補正値HOS2を求める。なおこの壁面Ash影響補正値HOS2が特許請求の範囲の「第2補正値」に相当する。
ステップS356においてコントローラ70は走行距離をリセットし、ステップS357において前回モードMODEzを2に変更する。
以上詳細に説明したように、発明者らによれば、Ashの堆積量が増えるとDPF内のPM燃焼速度が遅くなり、最高DPF温度が低下することが知見された。さらにDPF内のPM燃焼速度は、Ashの堆積状態にも依存することが知見された。そこでAshの堆積量及び堆積状態に応じてDPF再生時の目標BED温度を上げるようにしたのである。
従来は、図14の破線に示すように、走行距離が増えてDPFに堆積するAshが多くなると、DPF再生に要する時間が増え、DPFの再生効率が低下していた。そのため燃費の悪化や、DPF再生時の燃料ポスト噴射によるエンジンオイルの希釈が懸念されていた。
ところが、本発明では、発明者の上記知見に基づいてAshの堆積量及び堆積状態に応じてDPF再生時の目標BED温度を上げるようにしたので、図14の実線に示すように、走行距離が増えてDPFに堆積するAshが多くなっても、DPF再生に要する時間の増大を抑えることができ、DPFの再生効率が低下することも防止できるようになったのである。そのため燃費の悪化や、DPF再生時の燃料ポスト噴射によるエンジンオイルの希釈を抑制できるのである。
以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明と均等であることは明白である。
例えば、DPFのBED温度は、DPFにセンサを取り付けて検出してもよい。また各マップは一例に過ぎず、実験によって適宜選択すればよい。
また上記実施形態においては、エンジンとしてディーゼルエンジンを一例に挙げて説明してるが、ガソリンエンジンであってもよい。
DPF再生時の目標BED温度を決めるための特性マップの一例を示す図である。 Ashの堆積によってDPF内のPM燃焼速度が遅くなる様子を示す図である。 ディーゼルエンジンの通常運転におけるDPFの作用を説明する模式図である。 ディーゼルエンジンの高速走行におけるDPFのAshの堆積状態を示す模式図である。 本発明による排ガス浄化フィルタの再生温度制御装置の一実施形態を示す全体システム図である。 排ガス浄化フィルタの再生温度制御装置の動作を説明するメインフローチャートである。 PM堆積量推定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。 目標BED温度補正値THOSを求める処理のサブルーチンを示すフローチャートである。 底部堆積処理のサブルーチンを示すフローチャートである。 壁面堆積処理のサブルーチンを示すフローチャートである。 PM燃焼量の特性マップである。 DPFに流入するAsh量の特性マップである。 Ash影響補正値の特性マップである。 本発明による効果を説明する図である。
符号の説明
1 排ガス浄化フィルタの再生温度制御装置
10 ディーゼルエンジン
50 DPFアッセンブリ
52 DPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ;排ガス浄化フィルタ)
61 差圧センサ
62 DPF入口温度センサ
63 DPF出口温度センサ
70 コントローラ
ステップS4〜S7 フィルタ再生温度制御手段/フィルタ再生温度制御工程
ステップS34,S35 不燃成分状態検出手段/不燃成分状態検出工程

Claims (11)

  1. エンジンから排出されるパティキュレートを捕捉して大気への排出を防止する排ガス浄化フィルタと、
    前記エンジンの排ガス中に含まれ、前記排ガス浄化フィルタに堆積した不燃成分の堆積状態を検出する不燃成分状態検出手段と、
    前記不燃成分が前記排ガス浄化フィルタに堆積した状態に基づいて、その排ガス浄化フィルタの再生時の温度を制御するフィルタ再生温度制御手段と、
    を備え、
    前記不燃成分状態検出手段は、前記排ガス浄化フィルタが強制再生したか自然再生したかの再生履歴に基づいて、その排ガス浄化フィルタに堆積した不燃成分の堆積状態を検出する、
    ことを特徴とする排ガス浄化フィルタの再生温度制御装置。
  2. 前記不燃成分は、前記エンジンから排出されるAshである、
    ことを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化フィルタの再生温度制御装置。
  3. 前記フィルタ再生温度制御手段は、前記不燃成分が多いほど、前記排ガス浄化フィルタの再生時の温度を高温にする、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の排ガス浄化フィルタの再生温度制御装置。
  4. 前記フィルタ再生温度制御手段は、前記排ガス浄化フィルタで捕捉しているパティキュレートの堆積量に基づいて再生時フィルタ基本温度を設定し、その排ガス浄化フィルタに堆積した不燃成分の状態に基づいて、その再生時フィルタ基本温度を補正する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の排ガス浄化フィルタの再生温度制御装置。
  5. 前記フィルタ再生温度制御手段は、前記排ガス浄化フィルタで捕捉しているパティキュレートの堆積量が多いほど、再生時フィルタ基本温度が低温となるように設定する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の排ガス浄化フィルタの再生温度制御装置。
  6. エンジンから排出されるパティキュレートを捕捉して大気への排出を防止する排ガス浄化フィルタと、
    前記エンジンの排ガス中に含まれ、前記排ガス浄化フィルタに堆積した不燃成分の堆積状態を検出する不燃成分状態検出手段と、
    前記不燃成分が前記排ガス浄化フィルタに堆積した状態に基づいて、その排ガス浄化フィルタの再生時の温度を制御するフィルタ再生温度制御手段と、
    を備え、
    前記不燃成分状態検出手段は、前記排ガス浄化フィルタの強制再生時に、前記不燃成分の前記排ガス浄化フィルタの底部への堆積を検出し、前記排ガス浄化フィルタの自然再生時に、前記不燃成分の前記排ガス浄化フィルタの壁面への堆積を検出し、
    前記フィルタ再生温度制御手段は、前記排ガス浄化フィルタで捕捉しているパティキュレートの堆積量に基づいて再生時フィルタ基本温度を設定し、前記排ガス浄化フィルタの底部に堆積した不燃成分堆積量と、前記排ガス浄化フィルタの壁面に堆積した不燃成分堆積量と、に基づいてその再生時フィルタ基本温度を補正する、
    ことを特徴とする排ガス浄化フィルタの再生温度制御装置。
  7. 前記フィルタ再生温度制御手段は、排ガス浄化フィルタの不燃成分底部堆積量から算出した第1補正値と、排ガス浄化フィルタの不燃成分壁面堆積量から算出した第2補正値とに基づいて、前記再生時フィルタ基本温度を補正する、
    ことを特徴とする請求項6に記載の排ガス浄化フィルタの再生温度制御装置。
  8. 前記第1補正値は、前記排ガス浄化フィルタの不燃成分底部堆積量が多いほど、大きい、
    ことを特徴とする請求項7に記載の排ガス浄化フィルタの再生温度制御装置。
  9. 前記第2補正値は、前記排ガス浄化フィルタの不燃成分壁面堆積量が多いほど、大きい、
    ことを特徴とする請求項7に記載の排ガス浄化フィルタの再生温度制御装置。
  10. 記フィルタ再生温度制御手段は、前記再生時フィルタ基本温度を補正して求めた再生時目標温度が実現可能な温度を超えているときには、その実現可能な温度を再生時目標温度にする、
    ことを特徴とする請求項4、請求項6から請求項9までのいずれか1項に記載の排ガス浄化フィルタの再生温度制御装置。
  11. エンジンから排出されるパティキュレートを捕捉して大気への排出を防止する排ガス浄化フィルタに堆積した排ガス不燃成分の堆積状態を検出する不燃成分状態検出工程と、
    前記不燃成分が前記排ガス浄化フィルタに堆積した状態に基づいて、その排ガス浄化フィルタの再生時の温度を制御するフィルタ再生温度制御工程と、
    を備え、
    前記不燃成分状態検出工程は、前記排ガス浄化フィルタが強制再生したか自然再生したかの再生履歴に基づいて、その排ガス浄化フィルタに堆積した不燃成分の堆積状態を検出する、
    ことを特徴とする排ガス浄化フィルタの再生温度制御方法。
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