JP4945765B2 - 淡水製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、海水から塩化ナトリウムを選択的に除去することにより、農業培養液、液肥、および農業用水等に利用することができる淡水を製造する淡水製造方法に関する。
離島、砂漠地帯等の水不足地域における水資源の確保を目的として、蒸発法、逆浸透膜法等の、海水を淡水化する方法がこれまでに開発されてきた。しかし、これらの方法は、その水処理コストが非常に高いため、これらの水不足地域における要求を満たすに十分な量の水資源の供給には適していない。また、これらの方法は高純度の飲料用水を得ることを目的としているため、これらの方法においては、海水に含まれる塩化ナトリウム以外の、植物の生育に必要な塩類も除去される。そのため、これらの方法により得られた脱塩水は、農作物の栽培に直接用いるためには好適ではない。
海水は塩化ナトリウム(食塩)を高濃度で含有しているため、直接植物の栽培に使用することはできないが、植物の生育に必要な栄養塩類をバランスよく含有している。そのため、海水から塩化ナトリウムを選択的かつ安価に除去することができれば、それにより得られた脱食塩水は、培養液、液肥あるいは農業用水として好適な組成を有しており、砂漠の緑化や離島における灌漑用水として非常に有用なものとなることが期待される。
特開平11‐209191号公報(特許文献1)には、海水にゼオライトによる処理およびキトサンまたは陰イオン交換樹脂による処理を行い、培養液、液肥および農業用水の少なくとも1種を製造する方法が開示されている。この方法では、陰イオン交換材としてキトサンまたは陰イオン交換樹脂が用いられている。
他に陰イオン交換方法としては、ハイドロタルサイト様化合物を用いる方法があり、このハイドロタルサイト様化合物が一般式[M2+ 1?xM3+ x(OH)2][An? x/n・zH2O](ここで、M2+は2価金属イオンを、M3+は3価金属イオンを、An?は陰イオンをそれぞれ表す)で表される層状化合物であり、層間に存在する陰イオンAが交換可能であるため、陰イオン交換能を有することが知られている。また、ハイドロタルサイト様化合物は、室温、大気圧下で安価に合成することが可能であり、安定性、耐久性にも優れている。
特開平11‐209191号公報
前記従来の技術は以上のように構成されていたことから、キトサン又は陰イオン交換樹脂を用いる陰イオン交換体が高価であり、耐久性および寿命の点において実用上問題がある。また、ハイドロタルサイト様化合物を用いる方法は、ハイドロタルサイト様化合物をそのまま海水の処理に用いた場合、塩化物イオン(Cl?)の交換能が十分でないため、塩化物イオンを十分除去することができないという問題を有している。
本発明は、前記課題を解消するためになされたもので、海水から塩化物イオンを効率的に除去するために必要とされる高いイオン交換能を有し、かつ安価で安定性の高い陰イオン交換材に関し、ハイドロタルサイト様化合物を熱処理することにより塩化物イオン交換能が向上した淡水製造方法を提案することを目的とする。
本発明に係る淡水製造方法は、海水に、300〜800℃で熱処理したハイドロタルサイト様化合物を海水1Lに対して50〜150gの割合で添加して10時間以上処理する工程(工程a)と、前記工程aにより得られる処理水1Lに対してゼオライトを50〜600gの割合で添加して1時間以上処理後、当該ゼオライトをろ去する工程(工程b)とを有し、当該工程bは4回以上繰り返し行われ、農業用培養液、液肥、または農業用水に利用可能で、カイワレダイコンの水耕栽培に直接利用可能な塩濃度を有する淡水を製造するものである。
また、本発明に係る淡水製造方法は、前記工程aが海水1Lに対して前記熱処理したハイドロタルサイト様化合物を50〜150gの割合で添加して処理するものである。
また、本発明に係る淡水製造方法は、前記工程bが前記工程aにより得られる処理水1Lに対してゼオライトを50〜600gの割合で添加して処理するものである。
また、本発明に係る淡水製造方法は必要に応じて、ハイドロタルサイト様化合物が、ハイドロタルサイトであるものである。
また、本発明に係る淡水製造方法は、前記工程aにおける処理時間が、少なくとも10時間であるものである。
また、本発明に係る淡水製造方法は、前記工程bにおける処理時間が、少なくとも1時間であるものである。
また、本発明に係る淡水製造方法は、工程aにおいて使用されるハイドロタルサイト様化合物が、300〜800℃で熱処理されたものである。
また、本発明に係る淡水製造方法は必要に応じて、前記工程aを複数回繰り返し行うものである。
また、本発明に係る淡水製造方法は必要に応じて、前記工程aと前記工程bの間に、前記工程aにより得られる処理水をリン酸もしくは硝酸またはそれらの塩を添加して処理する工程をさらに含むものである。
本発明によれば、海水から主に塩化ナトリウムのみを安価に除去する方法が提供される。本発明においてイオン交換剤として使用するハイドロタルサイト様化合物およびゼオライトは、両者とも安定な化合物であると共に再生、再利用が可能である。また、本方法の実施には特殊な設備を必要とせず、スケールアップも容易であるため、一度に大量の海水を処理することが可能である。したがって、本発明によれば海水の脱食塩化処理を経済的に行うことが可能になる。
本方法により得られる処理水は、海水に由来する、植物の生育に必要な塩類をほぼそのまま含んでいるため、培養液、液肥または農業用水として好適である。
また、ハイドロタルサイトは、アルミニウム再生工場から発生するアルミドロス等の廃棄物から合成することが可能であるため、本発明に係る方法は、産業廃棄物の有効利用という観点からも有用である。
本発明において塩化物イオンの除去(工程a)に使用するハイドロタルサイト様化合物としては、一般式[M2+ 1?xM3+ x(OH)2][An? x/n・zH2O](複数の金属元素よりなる不定比化合物を含む)で表され、十分な塩化物イオン交換能を有する任意の化合物を用いることができる。
工程aにおいて海水に添加する、熱処理したハイドロタルサイト様化合物の量は、海水1Lに対して50〜150gであることが好ましい。添加量が少なすぎると塩化物イオンを十分に除去することができず、また多すぎるとハイドロタルサイト様化合物による水の吸収によるロスが大きくなるため、いずれの場合も好ましくない。
ハイドロタルサイト様化合物の陰イオン交換能は、熱処理を行うことにより向上し、海水から塩化物イオンを効率的に除去するために十分なレベルに達する。熱処理温度は、好ましくは300〜800℃、最も好ましくは500℃である。最適な熱処理時間は、熱処理温度により異なるが、熱処理温度500℃の場合、3時間程度の熱処理で十分な塩化物イオン交換能が発現する。海水の処理に使用したハイドロタルサイト様化合物についても、同様の条件下での熱処理により当初の塩化物イオン交換能を回復することができる。
熱処理したハイドロタルサイト様化合物による処理は、十分に塩化物イオンを除去するためには少なくとも10時間を要し、24時間を越えると、塩化物イオン濃度はほぼ定常状態に達する。そのため、熱処理したハイドロタルサイト様化合物による処理は10〜24時間行うことが好ましい。
本発明においてナトリウムイオンの除去および溶液の中和(工程b)に用いるゼオライトとしては、十分なナトリウムイオン交換能および中和能を有する任意の天然ゼオライトおよび合成ゼオライトを使用することができる。ゼオライトによる処理を行うことにより、ナトリウムイオンの除去、熱処理したハイドロタルサイト様化合物による処理の結果アルカリ性になった、工程aにより得られる処理水の中和に加え、熱処理したハイドロタル
サイト様化合物による処理の際に失われたマグネシウムイオン、カルシウムイオン等の濃度を向上させることができる。
サイト様化合物による処理の際に失われたマグネシウムイオン、カルシウムイオン等の濃度を向上させることができる。
工程bにおいて、工程aにより得られる処理水に添加するゼオライトの量は、海水1Lに対して50〜600gであることが好ましい。添加量が少なすぎるとナトリウムイオンを十分に除去することができず、また多すぎると混合物がスラリー状になり混合物の撹拌や振盪が十分にできなくなるため、いずれの場合も好ましくない。なお、ゼオライトの添加量を海水1Lに対し50〜100gに抑えることが、良好に撹拌を行うことができる点で好ましいが、この場合においてナトリウムイオンを確実に除去するためには、ゼオライトの添加‐処理‐ろ去を2回以上繰り返すことがより好ましい。
ゼオライトによる処理は、十分にナトリウムイオンを除去するためには少なくとも1時間を要し、10時間を越えると、ナトリウムイオン濃度はほぼ定常状態に達する。そのため、ゼオライトによる処理は1〜10時間行うことが好ましい。
熱処理したハイドロタルサイト様化合物またはゼオライトによる溶液の処理は、処理対象となる溶液にこれらの化合物を添加後、所定時間混合物を静置することにより行ってもよいが、好ましくは、任意の公知の装置を用いた撹拌、振盪等の方法により行われる。所定時間経過後、処理に用いたこれらの化合物は、ろ過、デカンテーション等の任意の公知の方法により除去される。
熱処理したハイドロタルサイト様化合物またはゼオライトによる溶液の処理は、処理対象となる溶液にこれらの化合物を添加後、所定時間混合物を静置することにより行ってもよいが、好ましくは、任意の公知の装置を用いた撹拌、振盪等の方法により行われる。所定時間経過後、処理に用いたこれらの化合物は、ろ過、デカンテーション等の任意の公知の方法により除去される。
前述したとおり、塩化ナトリウムの除去効率を向上させるために、工程aおよび工程bの少なくとも一方を繰り返し行ってもよい。熱処理したハイドロタルサイト様化合物および天然ゼオライトをそれぞれ工程a、工程bに用いた場合、後に実施例において述べるように、工程bを少なくとも4回繰り返すことが好ましい。
以下、本発明の特徴を明らかにするために、実施例に基づいて本発明の実施形態をより詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1:熱処理したハイドロタルサイト様化合物‐ゼオライトによる処理)
海水100mLに、熱処理(500℃、3時間)したハイドロタルサイト様化合物10.0g(海水1Lに対し100gの割合)を添加し、マグネチックスターラーを用いて室温で24時間撹拌後、ハイドロタルサイト様化合物をろ去した(工程a)。こうして得られた、処理水100mLに、天然ゼオライト10.0g(処理水1Lに対し100gの割合)を添加し、マグネチックスターラーを用いて1時間撹拌後、ゼオライトをろ去し、その後同様の操作をもう1度繰り返した(工程b)。この操作(工程aおよびb)を10回繰り返し、得られた培養液を用いて、カイワレダイコン(Raphanus sativus)の水耕栽培を行ったところ、海水では栽培できなかったカイワレダイコンが順調に成長することを確認した。
海水、工程aにより得られる処理水、培養液および比較例として通常使用されている培養液の化学組成(mg/L)表を図1に示す。
熱処理したハイドロタルサイト様化合物を用いた処理により、塩化物イオン濃度が低下すると共に、処理水のpHが上昇(Cl-−OH-交換反応による)しているが、ゼオライト処理により、ナトリウムイオン濃度が低下すると共に中和されている(Na+−H+交換反応による)のがわかる。また、最終的に得られた培養液の組成はカリウムイオン濃度が低いものの通常使用されている培養液のそれに近く、これが、本実施例において得られた培養液によりカイワレの水耕栽培を良好に行うことができた理由であると考えられる。
(実施例2:熱処理したハイドロタルサイト様化合物の添加量の影響)
海水10mLに、熱処理(500℃、3時間)したハイドロタルサイト様化合物(を0.05g、0.1g、0.2g、0.3g、0.5g、1g、2gおよび3g添加した試料を調製し、マグネチックスターラーを用いて室温で24時間撹拌後、ハイドロタルサイト様化合物をろ去した。こうして得られた処理水のpH、カチオン濃度およびアニオン濃度の変化を、それぞれ図2、図3、図4に示す。処理水におけるpHの上昇およびカチオン濃度の減少は、熱処理したハイドロタルサイト様化合物を0.5g添加した時点で飽和している。一方、処理水の塩化物イオン濃度については、熱処理したハイドロタルサイト様化合物を1.5g添加した時点まで単調に減少を続けることがわかる。
(比較例:熱処理をしていないハイドロタルサイト様化合物の添加量の影響)
海水10mLに、熱処理をしていないハイドロタルサイト様化合物を0.05g、0.1g、0.2gおよび0.3g添加した試料を調製し、マグネチックスターラーを用いて室温で24時間撹拌後、ハイドロタルサイト様化合物をろ去した。得られた処理水のpH、カチオン濃度およびアニオン濃度の変化を、それぞれ図5、図6、図7に示す。処理水のpHおよび塩化物イオン濃度はいずれもほとんど変化しておらず、このことから、熱処理をしていないハイドロタルサイト様化合物は、海水中の塩化物イオンに対し交換能を示さないことがわかる。
(実施例3:天然ゼオライトによる繰返し処理の効果)
海水50mLに、熱処理(500℃、3時間)したハイドロタルサイト様化合物5.0g(海水1Lに対し100gの割合)を添加した試料を調製し、マグネチックスターラーを用いて室温で24時間撹拌後、ハイドロタルサイト様化合物をろ去し、その後同様の操作をもう1度繰り返した(工程a)。こうして得られた処理水のpH、カチオン濃度、アニオン濃度を測定した(図8〜10の処理回数0回に相当するデータ)。工程aにより得られた前記処理水に、天然ゼオライト5.0g(海水1Lに対し100gの割合)を添加し、マグネチックスターラーを用いて1時間撹拌後、ゼオライトをろ去した(工程b)。この操作(工程b)を1〜10回繰り返し、1回ごとに処理水のpH、カチオン濃度、アニオン濃度を測定した。こうして得られた測定値をそれぞれ図8、図9、図10に示す。いずれの測定結果も、操作を4回程度繰り返すことによりほぼ定常状態に達することがわかる。
(実施例4:リン酸または硝酸による成分調整)
海水50mLに、熱処理(500℃、3時間)したハイドロタルサイト様化合物5.0g(海水1Lに対し100gの割合)を添加し、マグネチックスターラーを用いて室温で24時間撹拌後、ハイドロタルサイト様化合物をろ去した(工程a)。こうして得られた処理水のpH、カチオン濃度、アニオン濃度を測定した(図8〜10の処理回数0回に相当するデータ)。工程aにより得られた前記処理水を、リン酸または硝酸で中和した後、天然ゼオライト5.0g(海水1Lに対し100gの割合)を添加し、マグネチックスターラーを用いて1時間撹拌後、ゼオライトをろ去した(工程b)。この操作(工程b)を1〜10回繰り返し、1回ごとに処理水のアニオン濃度を測定した。リン酸および硝酸で中和した溶液から得られた処理水について得られた測定値をそれぞれ図11、12に示す。リン酸の場合は4回処理時まで、硝酸の場合は10回処理時まで、約2,000mg/Lという、培養液として用いるのに十分な濃度のリン酸または硝酸イオンが溶液中に存在していることがわかる。
(実施例1:熱処理したハイドロタルサイト様化合物‐ゼオライトによる処理)
海水100mLに、熱処理(500℃、3時間)したハイドロタルサイト様化合物10.0g(海水1Lに対し100gの割合)を添加し、マグネチックスターラーを用いて室温で24時間撹拌後、ハイドロタルサイト様化合物をろ去した(工程a)。こうして得られた、処理水100mLに、天然ゼオライト10.0g(処理水1Lに対し100gの割合)を添加し、マグネチックスターラーを用いて1時間撹拌後、ゼオライトをろ去し、その後同様の操作をもう1度繰り返した(工程b)。この操作(工程aおよびb)を10回繰り返し、得られた培養液を用いて、カイワレダイコン(Raphanus sativus)の水耕栽培を行ったところ、海水では栽培できなかったカイワレダイコンが順調に成長することを確認した。
海水、工程aにより得られる処理水、培養液および比較例として通常使用されている培養液の化学組成(mg/L)表を図1に示す。
熱処理したハイドロタルサイト様化合物を用いた処理により、塩化物イオン濃度が低下すると共に、処理水のpHが上昇(Cl-−OH-交換反応による)しているが、ゼオライト処理により、ナトリウムイオン濃度が低下すると共に中和されている(Na+−H+交換反応による)のがわかる。また、最終的に得られた培養液の組成はカリウムイオン濃度が低いものの通常使用されている培養液のそれに近く、これが、本実施例において得られた培養液によりカイワレの水耕栽培を良好に行うことができた理由であると考えられる。
(実施例2:熱処理したハイドロタルサイト様化合物の添加量の影響)
海水10mLに、熱処理(500℃、3時間)したハイドロタルサイト様化合物(を0.05g、0.1g、0.2g、0.3g、0.5g、1g、2gおよび3g添加した試料を調製し、マグネチックスターラーを用いて室温で24時間撹拌後、ハイドロタルサイト様化合物をろ去した。こうして得られた処理水のpH、カチオン濃度およびアニオン濃度の変化を、それぞれ図2、図3、図4に示す。処理水におけるpHの上昇およびカチオン濃度の減少は、熱処理したハイドロタルサイト様化合物を0.5g添加した時点で飽和している。一方、処理水の塩化物イオン濃度については、熱処理したハイドロタルサイト様化合物を1.5g添加した時点まで単調に減少を続けることがわかる。
(比較例:熱処理をしていないハイドロタルサイト様化合物の添加量の影響)
海水10mLに、熱処理をしていないハイドロタルサイト様化合物を0.05g、0.1g、0.2gおよび0.3g添加した試料を調製し、マグネチックスターラーを用いて室温で24時間撹拌後、ハイドロタルサイト様化合物をろ去した。得られた処理水のpH、カチオン濃度およびアニオン濃度の変化を、それぞれ図5、図6、図7に示す。処理水のpHおよび塩化物イオン濃度はいずれもほとんど変化しておらず、このことから、熱処理をしていないハイドロタルサイト様化合物は、海水中の塩化物イオンに対し交換能を示さないことがわかる。
(実施例3:天然ゼオライトによる繰返し処理の効果)
海水50mLに、熱処理(500℃、3時間)したハイドロタルサイト様化合物5.0g(海水1Lに対し100gの割合)を添加した試料を調製し、マグネチックスターラーを用いて室温で24時間撹拌後、ハイドロタルサイト様化合物をろ去し、その後同様の操作をもう1度繰り返した(工程a)。こうして得られた処理水のpH、カチオン濃度、アニオン濃度を測定した(図8〜10の処理回数0回に相当するデータ)。工程aにより得られた前記処理水に、天然ゼオライト5.0g(海水1Lに対し100gの割合)を添加し、マグネチックスターラーを用いて1時間撹拌後、ゼオライトをろ去した(工程b)。この操作(工程b)を1〜10回繰り返し、1回ごとに処理水のpH、カチオン濃度、アニオン濃度を測定した。こうして得られた測定値をそれぞれ図8、図9、図10に示す。いずれの測定結果も、操作を4回程度繰り返すことによりほぼ定常状態に達することがわかる。
(実施例4:リン酸または硝酸による成分調整)
海水50mLに、熱処理(500℃、3時間)したハイドロタルサイト様化合物5.0g(海水1Lに対し100gの割合)を添加し、マグネチックスターラーを用いて室温で24時間撹拌後、ハイドロタルサイト様化合物をろ去した(工程a)。こうして得られた処理水のpH、カチオン濃度、アニオン濃度を測定した(図8〜10の処理回数0回に相当するデータ)。工程aにより得られた前記処理水を、リン酸または硝酸で中和した後、天然ゼオライト5.0g(海水1Lに対し100gの割合)を添加し、マグネチックスターラーを用いて1時間撹拌後、ゼオライトをろ去した(工程b)。この操作(工程b)を1〜10回繰り返し、1回ごとに処理水のアニオン濃度を測定した。リン酸および硝酸で中和した溶液から得られた処理水について得られた測定値をそれぞれ図11、12に示す。リン酸の場合は4回処理時まで、硝酸の場合は10回処理時まで、約2,000mg/Lという、培養液として用いるのに十分な濃度のリン酸または硝酸イオンが溶液中に存在していることがわかる。
Claims (4)
- 海水に、300〜800℃で熱処理したハイドロタルサイト様化合物を海水1Lに対して50〜150gの割合で添加して10時間以上処理する工程(工程a)と、前記工程aにより得られる処理水1Lに対してゼオライトを50〜600gの割合で添加して1時間以上処理後、当該ゼオライトをろ去する工程(工程b)とを有し、当該工程bは4回以上繰り返し行われ、農業用培養液、液肥、または農業用水に利用可能で、カイワレダイコンの水耕栽培に直接利用可能な塩濃度を有する淡水を製造することを
特徴とする淡水製造方法。 - 前記請求項1記載の淡水製造方法において、
前記ハイドロタルサイト様化合物が、ハイドロタルサイトであることを
特徴とする淡水製造方法。 - 前記請求項1または2に記載の淡水製造方法において、
前記工程aを複数回繰り返し行うことを
特徴とする淡水製造方法。 - 前記請求項1ないし3のいずれかに記載の淡水製造方法において、
前記工程aと前記工程bの間に、前記工程aにより得られる処理水をリン酸もしくは硝酸またはそれらの塩を添加して処理する工程をさらに含むことを
特徴とする淡水製造方法。
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