JP4943953B2 - 中空ゴムボール - Google Patents

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Description

本発明は、中空ゴムボールに関し、より詳細には、ボール表面に連続した窪み部とディンプルを有する中空ゴムボールに関する。
ボール表面に連続した窪み部とディンプルを有する中空ゴムボールは、軟式野球、バッティングマシンの投球機等の野球練習器具に用いられる。一般に中空ゴムボールは、硬式ボールの縫い目部に相当する連続した模様を備えており、さらに、ボール周面に独立した窪み部、いわゆるディンプルを備えている。硬式ボールの縫い目部に相当する連続した模様は、ボールを投げるときの指の引っ掛かりを良くし、変化球を投げ易くするという効果がある。さらに、連続した模様は、ボールに優れた意匠性を与える。また、ボール表面に配されたディンプルは、空気抵抗を減少させる又は増加させる効果がある。
従来の中空ゴムボールのディンプルの形状は、半球形状のものが提案されている。また、ボール周面におけるディンプルの形状は、円形、楕円形のものが提案されており、ディンプルの深さ方向の形状は、中華鍋の形状のような円弧形状のものが提案されている。
例えば、特許文献1(実開昭54−171863号公報)には、ボール本体の周面に縫目模様と多数の円形窪部を設けた野球用ゴムボールにおいて、該縫目模様を形成する凹凸部の凸部の表面をボール本体と同一周面上に設けたゴムボールが開示されている。
特許文献2(実開昭54−11768号公報)には、軟球の表面に帯状に切り込みを形成したバッティング練習用ボールが開示されている。
特許文献3(実公昭35−14302号公報)には、窪面と滑り止め用突起部とを設け、窪面に稀少な突起を突設した野球ボールが開示されている。
特許文献4(特公昭32−5964号公報)には、ポリエチレン球体の表面に凹凸を設けた野球ボールが開示されている。
実開昭54−171863号公報 実開昭54−11768号公報 実公昭35−14302号公報 特公昭32−5964号公報
これまで、中空ゴムボールのディンプルとしては、半球形状のものが提案されている。しかし、従来の中空ゴムボールのディンプルは、中華鍋形状、円弧形状等の湾曲した底面形状を有するものであり、これらの形状のディンプルは、底面が少なく、或いは、底面がなく、深さ方向に面積が極端に小さくなる形状であった。一般にゴムボールは使用されるにつれて、コントロールが不安定になり、変化球のキレも悪くなる。このような事情に鑑みて、本発明は、コントロールの安定性に優れ、変化球のキレがよく、さらに、コントロールの安定性と変化球のキレが持続する中空ゴムボールを提供することを目的とした。
本発明者らは、ゴムボールが使用されるにつれて、コントロールが不安定になり、変化球のキレも悪くなる原因は、ボールに備えられたディンプルの容積が、摩耗により減少することであると考えた。そして、ディンプルの底面積を一定以上にすることで、ボール表面が摩耗され磨り減った後も、ディンプルの容積を一定以上に維持することができ、コントロールの安定性、及び変化球のキレを持続させることができると考えた。
即ち、本発明の中空ゴムボールは、ボール表面に連続した窪み部及びディンプルを有する中空ゴムボールにおいて、ディンプルが平底部を有し、該平底部の面積がボール周面におけるディンプルの面積Aに対して25%〜100%であることを特徴とする。
あるいは、本発明の中空ゴムボールは、ボール表面に連続した窪み部及びディンプルを有する中空ゴムボールにおいて、ボール周面におけるディンプルの面積A、ディンプルのボール周面から底面方向への深さX(mm)の場合のディンプルの面積Bとしたとき、B/A≧0.7を満たす深さXの最大値が0.3mm以上であることを特徴とする。
本発明の中空ゴムボールは、ディンプルが平底部を有し、該平底部の面積がボール周面におけるディンプルの面積Aに対して25%〜100%である、又は、B/A≧0.7を満たす深さXの最大値が0.3mm以上であるので、ヒト又は投球機で投げた時に、優れたコントロールの安定性、変化球のキレを有し、さらに、ボール表面が摩耗した後も、ディンプルの容積が大きく減少することがなく、コントロールの安定性、及び変化球のキレの持続性に優れる。
よって、本発明は、軟式野球やバッティングマシンの投球機等の野球の練習器具に使用される。さらに、本発明の中空ゴムボールは、摩耗後のコントロールの安定性、変化球のキレの持続性に優れるので、比較的ボールが摩耗しやすいバッティングマシンの投球機用として好適に使用することができる。
本発明の中空ゴムボール(以下、単にゴムボール、又はボールともいう)は、ボール表面に連続した窪み部及びディンプルを有する中空ゴムボールにおいて、ディンプルが平底部を有し、該平底部の面積がボール周面におけるディンプルの面積Aに対して25%〜100%であることを特徴とする。このようなゴムボールは、ヒト又は投球機で投げた時に、優れたコントロールの安定性、変化球のキレを有し、さらに、ボール表面が摩耗した後も、ディンプルの容積が大きく減少することがなく、コントロールの安定性、及び変化球のキレの持続性に優れる。これは、ディンプルの底面積が一定以上であるので、磨り減りによるディンプル容積の減少が比較的少なく、その結果、空気抵抗の抑制効果を持続して得ることができることに起因する。また、本発明の中空ゴムボールは、110km以上の球速で投げた場合でも優れたコントロールの安定性及び変化球のキレを示し、従来のボールと比較して、より実践に近い感覚を味わうことができる。また、バッティングマシンの投球機で本発明のボールを投げた場合には、130km以上の高速設定でも、設定速度により近い速度を再現することができる。
本発明の中空ゴムボールを図1を用いて説明する。本発明の中空ゴムボールは、ボール表面に連続した窪み部3とディンプル1、2を有する。本発明のディンプル1、2とは、ボール表面に設けられた独立した窪み部のことをいう。本発明の連続した窪み部3とは、硬式ボールの縫い目に相当する指掛け模様のことであり、ボール表面に渡って連続した窪み部のことをいう。連続した窪み部3は、ボール周面において、途切れることなく、帯状又はたすき状に連続した模様であることが好ましい。連続した窪み部3がボール周面において、連続した模様であると、指掛かり又は滑り止めの機能が途切れる部分がなく、ヒト又は投球機でボールを投げるときに、球道が安定する。
また、本発明のゴムボールは、連続した窪み部3、ディンプル1、2の他に、突起部、窪み部、又はそれらの組み合わせを設けてもよい。他の突起部または窪み部としては、例えば、ロゴマーク4が挙げられる。ボール表面に設けられるロゴマーク4は、凹凸模様で構成されてよく、例えば、メーカーロゴマーク、号数ロゴマークが挙げられる。ロゴマーク4は、野球ボールとしての見た目の観点から、同程度の大きさのロゴマークをボールに2箇所配置することが好ましい。
本発明の中空ゴムボールのディンプルの底面形状を図4を用いて説明する。本発明の中空ゴムボールのディンプル底面5は平底部を有している。ディンプルが平底部を有するとは、ディンプル底面5が平らな面、又はボール周面と平行な面を有することをいう。また、ディンプルの底面積はボール周面におけるディンプルの面積Aに対して、25%〜100%であり、好ましくは50%〜95%であり、より好ましくは60%〜90%である。ディンプルの底面積がボール周面におけるディンプルの面積Aに対して小さすぎると、摩耗後のコントロールの安定性、変化球のキレの持続性が低下する傾向にあり、ディンプルの底面積がボール周面におけるディンプルの面積Aに対して大きすぎると、ディンプルに汚れが溜まりやすくなる傾向にある。また、本発明は、ディンプルの角6に丸みを設けることが好ましい。ディンプルの角6に丸みが設けられていると、ディンプルの角に亀裂が生じ難くなる。なお、図5に示す従来の中華鍋形状のディンプル底面5を有するボールは、ボール周面におけるディンプルの面積に対するディンプル底面積が0%〜15%である。
ディンプルの平底部の面積をボール周面におけるディンプルの面積Aに対して25%〜100%とするには、例えば、ディンプルが円形である場合には、ディンプル平底部の直径をボール周面におけるディンプルの直径の50%〜100%とするとよく、ディンプルが正方形である場合には、ディンプル平底部の一辺の長さをボール周面におけるディンプルの一辺の長さの50%〜100%とするとよい。
ボール周面におけるディンプルの面積Aは、好ましくは、3〜30mm2であり、より好ましくは、6〜20mm2であり、最も好ましくは、7〜15mm2である。ボール周面におけるディンプルの面積Aが、3〜30mm2であると、ヒト又は投球機でボールを投げた時に、変化球のキレがさらに良くなる。例えば、ディンプルが円形である場合には、直径を2〜6mmにすることで、3〜30mm2の面積を有するディンプルを得ることができる。そして、ボール周面におけるディンプルの面積Aが3mm2より小さいと、空気抵抗を抑制する効果が減少することが予想され、変化球のキレが悪くなる場合がある。また、ボール周面におけるディンプルの面積Aが30mm2を超えると、変化球のキレは増すものの、球速が減少する場合がある。これは、ボールにかかる空気抵抗が増加することに起因すると予想される。球速の低下を気にしない場合は、ボール周面におけるディンプルの面積Aを30mm2以上としても問題ない。
ディンプルの平底部の面積は、ボール周面におけるディンプルの面積Aが3〜30mm2である場合、好ましくは、1〜30mm2であり、より好ましくは、2〜20mm2であり、最も好ましくは、5〜10mm2である。例えば、ディンプル底面部が円形である場合には、直径を1.2〜6mmにすることで、1〜30mm2の面積を有するディンプルを得ることができる。ディンプルの底面積が1mm2より小さいと、摩耗後にコントロールの安定性、変化球のキレの持続性が低下する。また、ディンプルの底面積が30mm2を超えると、ディンプルに汚れが溜まりやすくなる。
本発明の中空ゴムボールのディンプルの深さは、好ましくは、0.3mm〜0.8mmであり、より好ましくは、0.4mm〜0.7mmであり、最も好ましくは、0.4mm〜0.65mmである。ディンプルの深さが、0.3mm〜0.8mmの範囲であると、投球機でボールを投げた場合に、さらに、設定速度の再現性に優れる。ディンプルの深さが0.3mmより浅いと、コントロールの安定性が低下し、制球にバラつく傾向にある。また、ディンプルの深さが、0.8mmを超えると、変化球のキレは増すものの、球速が減少する。これは、ボールにかかる空気抵抗が増加することに起因すると予想される。
本発明の中空ゴムボールに設けられたディンプルの総容積は、0.8〜3mlであることが好ましく、1〜2.5mlであることがより好ましい。ディンプルの総容積が0.8ml以上であると、コントロールの安定性と変化球のキレの観点で優れる。また、3ml以下であると、ボールにかかる空気抵抗の観点で優れる。
また、本発明の中空ゴムボールに設けられたディンプルの一つあたりの容積(単に、ディンプルの容積ともいう)は、2〜10mm3であることが好ましく、3.5〜8であることがより好ましい。ディンプル一つあたりの容積が2mm3〜10mm3であると、上記範囲のディンプルの総容積を得やすい。
ディンプルの測定方法について説明する。ディンプルのボール周面における面積A、底面積、深さ、及び容積は、金型から計測する方法、または、ゴムボールのディンプルの型を取って測定する方法を用いて、それぞれ測定することができる。例えば、ディンプルにエポキシ樹脂を流し込み、硬化させて、型を取り、エポキシ樹脂の型を切断し、それぞれの長さを計測することにより、ディンプルのボール周面における面積A、底面積、深さを求めることができる。ディンプルの総容積は、すべてのディンプルの容積を測定し、足し合わせて求めることができる。または、ディンプルがボール周面あたり同形状である場合は、ディンプル一つあたりの容積を測定しディンプルの個数をかけて求めてもよい。
ディンプルのボール周面における面積Aは、ボール周面より0.05mm以上の深さを有する凹部の面積をいう。ディンプルの深さは、ボール周面からディンプルの深さ方向に最も深い位置においての深さのことをいう。ディンプルの底面積は、ディンプルの深さが最も深い位置においてのディンプルの面積をいう。
本発明の中空ゴムボールは、ディンプルの深さ(mm)に対するボール周面におけるディンプルの直径(mm)の比(直径/深さ)が3〜10であることが好ましく、5〜8であることがより好ましい。ディンプルの直径とは、ディンプルがボール周面において、円形である場合は、円の直径であり、ディンプルがボール周面において、円形以外の形状である場合には、ボール周面におけるディンプルの面積Aと同じ面積を有する円の直径に換算した値のことをいう。円形以外の形状としては、例えば、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形や楕円形、瓢箪型、星形がある。ディンプルの深さに対するボール周面におけるディンプルの直径の比(直径/深さ)が3以上であると、ボールに及ぼす空気抵抗の観点で優れ、より速い球を投げることができるボールとなる。また、ディンプルの深さに対するボール周面におけるディンプルの直径の比(直径/深さ)が10より以下であると、コントロールの安定性、及び変化球のキレの持続性がさらに向上し優れる。
本発明の中空ゴムボールの表面のディンプル数は、ボール表面に対して、200〜400個であることが好ましく、250〜350個であることがより好ましい。ボール表面にディンプルが200個以上あると、グリップ性が良くなり、さらに、コントロールの安定性及び変化球のキレに優れる。400個以下であると、ボールの転がり性に優れると共に、ボールに及ぼす空気抵抗の観点で優れ、より速い球を投げることができる。
本発明の中空ゴムボールは、ディンプルの形状が、円形、四角形の群から選ばれる1種又は2種の組み合わせを含む形状であることが好ましい。このような構成であるボールは意匠性に優れる。また、本発明の中空ゴムボールのディンプルは、円形、四角形以外の形状を含んでもよい。円形、四角形以外の形状は、例えば、三角形、五角形、六角形等の多角形、楕円形、瓢箪型、星形の群の中から1または2以上の組み合わせで選択するとよい。
本発明の中空ゴムボールは、連続した窪み部の長手方向に沿って、その少なくとも一方の側にディンプルが連続して並んでいることが好ましい。さらに、連続した窪み部に沿って並んでいるディンプルは、一種類の形状から成ることがより好ましい。そして、連続した窪み部に沿って並んでいるディンプルは円形であることが最も好ましい。連続した窪み部に沿ってディンプルが並んでいると、ボールを投げたときに生じる空気抵抗がさらに減少することが予想され、さらに、コントロールの安定性に優れる。
本発明の中空ゴムボールは、ボール周面におけるディンプルの面積Aに対して、ディンプルのボール周面から底面方向への深さX(mm)の場合のディンプルの面積Bが、B/A≧0.7を満たす深さXの最大値が0.3〜0.8mmであることを特徴とする中空ゴムボールとして特定することも可能である。即ち、本発明のゴムボールは、ボール表面が深さX(mm)磨り減ったとしても、ディンプルの面積が磨り減り前の70%を有するので、ボール表面が磨り減った後も、ディンプルの容積が大きく減少することがなく、コントロールの安定性、及び変化球のキレの持続性に優れるゴムボールである。
本発明は、さらに、ディンプルが平底部を有していることが好ましく、ディンプル平底部の面積がボール周面におけるディンプルの面積Aに対して25%〜100%であることがさらに好ましい。ディンプルが平底部を有していると、ボール表面が磨り減った後も、ディンプルの容積を維持し易く、コントロールの安定性、及び変化球のキレの持続性に優れるゴムボールを得やすい。
ディンプルのボール周面から底面方向への深さXの最大値は、0.3〜0.8mmであり、好ましくは0.3〜0.7mmであり、最も好ましくは0.4〜0.65mmである。なお、深さXの最大値は、ディンプルの深さを超えることはなく、深さXの最大値の上限は、ディンプルの深さであることが好ましい。ディンプルのボール周面から底面方向への深さXの最大値が0.3mm以上であると、ボール表面の磨り減ったとしても、ディンプルの面積が維持され、コントロールの安定性及び変化球のキレが低下しにくい、又は低下しない。
本発明のA、B、Xについて図4を用いて説明する。ボール周面におけるディンプルの面積Aは、図4のA1に相当する面積である。また、ボール周面からディンプルの底面方向への深さXは、図4のX1に相当する。そして、ボール周面からの深さXの時のディンプルの面積Bは、図4のB1に相当する面積である。
本発明の中空ゴムボールは、従来の中空ゴムボールを製造する方法により製造することができる。例えば、製品ボールと同形状の模写面を有するマスター合成モデルを作製し、この合成モデルから二つの金型を作製する。次にこの二つの金型の間にボール素体を封入し、ボール素体を膨張させ、金型形状の凹凸模様をボール素体に転写して、製品ゴムボールを製造することができる。
本発明の中空ゴムボールのディンプルの形状となる金型の作製方法としては、例えば、金型に設けられたディンプル用凸部の断面を長方形とするとよい。ディンプル用凸部の各角は、丸みを設けることが好ましい。金型のディンプル用凸部の角に丸みを設けることで、製品ゴムボールのディンプルに発生する亀裂を抑制することができる。
本発明の中空ゴムボールは、さらに、二つの金型の内側の模様が実質的に同一形状である金型を用いて製造することが好ましい。二つの金型の内側の模様が実質的に同一形状とは、金型内側の製品ゴムボールの連続した窪み部に対応する凹凸模様と、ディンプルを形成するための凸模様が、二つの金型で同一形状であることをいう。連続した窪み部を実質的に同一形状とする方法としては、例えば、連続した窪み部を金型の合わせ目を軸面とした対称模様とすることにより得られる。このような構成であれば、二つの金型の内側の模様を容易に同一形状にすることができる。二つの金型の内側の模様が実質的に同一形状であれば、一つの半球状のマスター合成モデルから、中空ゴムボールの製造に必要な2つの金型を成型することができ、マスター合成モデルの成型にかかる費用や時間を軽減でき、経済的である。また、金型の内側の模様が実質的に同一形状である二つの金型を用いる工程を含む方法によって得られた中空ゴムボールは、金型の合わし目、つまり製品ボールにおいては、バリ面を基準に対称模様となる。このようなボールは、ボールにかかる空気抵抗のバラツキが抑制され、さらにコントロールの安定性に優れたボールとなる。
以下、本発明を実施例により説明する。
(実施例1)
窒素ガス発生剤を封入した天然ゴムを主体とする2層のボール素体を二つの金型の内側の模様が実質的に同一形状である金型に挿入し、熱処理を施し、ボール素体内に窒素ガスを発生させ、ボール素体を膨張させ、金型内側の模様を転写させて、図1のボール表面を有する中空ゴムボールを得た。このゴムボールは、平底形状の直径3.7mmの円形ディンプルと平底形状の一辺が3.2mmの正方形ディンプル(以下、四角形ディンプルともいう)を合わせて304個有しており、連続した窪み部の長手方向に沿って、円形ディンプルが並んでいた。そして、円形ディンプルは、ボール周面に180個あり、ボール周面における面積Aは10.7mm2であり、ディンプル底面における面積は9.6mm2であった。また、四角形ディンプルは、ボール周面に124個あり、ボール周面における面積は10.2mm2であり、ディンプル底面における面積は9.2mm2あった。さらに、ディンプルの深さは、円形ディンプル、四角形ディンプル共に0.6mmであった。そして、ディンプルの底面積はボール周面におけるディンプルの面積Aに対して79%であった。また、円形ディンプル、四角形ディンプル共にボール周面からディンプルの底面まで、B/A≧0.7の関係を満たしており、Xの最大値は0.6mmであった。
(比較例1)
金型の凹凸模様が異なる金型を用いたこと以外は、実施例1の方法で中空ゴムボールを作製した。比較例1のゴムボールは、図3の表面を有しており、ボール周面における形状が円形であるディンプルを304個有しており、円形ディンプルのボール周面における面積Aは11.3mm2であった。なお、ディンプルは、深さ方向に中華鍋のような形状をしており、底面に平底部がなく、底面の面積は計測出来なかった。また、ディンプルの深さは0.4mmであった。そして、B/A≧0.7の関係を満たすXの最大値は0.25mmであった。
Figure 0004943953
(制球性)
ローラー式投球機及びアーム式投球機を用い、実施例1及び比較例1のゴムボールを各10球投球し、ボールのコントロールの安定性(制球性ともいう)を観察した(表2)。

評価の基準は次のとおりである。
○:バラつきが少ない。
△:バラつきはあるが、大きなバラつきはない。
×:大きく外れる球もあり、バラつきがある。
Figure 0004943953
(球速)
ローラー式投球機及びアーム式投球機を用い、実施例1及び比較例1のゴムボールを各10球投球し、ボールの設定速度に対しての再現性を観察した(表3)。
Figure 0004943953
実施例1のゴムボールはローラー式、アーム式ともに、直球130km/hの設定でもコントロールの安定性が優れていた。また、実施例1のボールは、直球130km/hの設定においても、設定速度の85%以上を再現出来ており、速度の再現性にも優れていた。
(変化球のキレ)
ローラー式投球機を用い、実施例1及び比較例1のゴムボールを変化球の設定で各10球投球し、野球経験が10年以上の選手が捕球し、変化球のキレを観察した。
結果、実施例1のゴムボールは、大きく曲がり、キレも優れていた。比較例1のゴムボールは、曲がりが少なく、キレもなかった。
(打撃試験)
アーム式投球機を用い、実施例1及び比較例1のゴムボールを設定速度130km/hで各20球投球し、野球経験10年以上の選手2名が10球ずつ打撃し、ミートできた打球数を観察した(表4)。
Figure 0004943953
実施例1のゴムボールは、球道が見やすく、選手2名共に、多くの球を芯でミートすることができ、会心の当たりであった。比較例1のゴムボールは、球道が定まらず、芯でミートすることができなかった。
(コントロールの安定性の持続試験)
ローラー式投球機を用い、設定速度80km/hの設定で、実施例1及び比較例1のゴムボールを各1000回投球し、その後のボールのコントロールの安定性の持続性を観察した。実施例1のゴムボールは、1000回の投球後も制球にバラつきが少なく、コントロールが安定していた。そして、実施例1のボール表面は、摩耗により、0.3mm程度磨り減っていたが、ディンプルの面積は持続試験前と比較して、90%程度の面積を維持していた。比較例1のゴムボールは、1000回の投球後は、制球にバラつきがあり、大きく外れる球もあった。そして、比較例1のボール表面は、摩耗により、0.3mm程度磨り減っており、ディンプルの面積は持続試験前と比較して、40%程度の面積であった。
(変化球のキレの持続試験)
ローラー式投球機を用い、設定速度80km/hの設定で、実施例1及び比較例1のゴムボールを各1000回投球し、その後、ローラー式投球機を用い、設定を変化球とし、野球経験が10年以上の選手が捕球し、変化球のキレを観察した。実施例1のゴムボールは、1000回の投球後も変化球が大きく曲がり、キレも良好であった。そして、実施例1のボール表面は、摩耗により、0.3mm程度磨り減っていたが、ディンプルの面積は持続試験前と比較して、90%程度の面積を維持していた。比較例1のゴムボールは、1000回の投球後は、さらに曲がりが少なくなり、キレもなくなっていた。そして、比較例1のボール表面は、摩耗により、0.3mm程度磨り減っており、ディンプルの面積は持続試験前と比較して、40%程度の面積であった。
本発明の中空ゴムボールは、ヒト又は投球機で投げた時に、優れたコントロールの安定性、及び変化球のキレを有し、特に、高速でのコントロールの安定性に優れると共に、ボール表面が摩耗した後も、ディンプルの面積が大きく減少することがなく、コントロールの安定性、及び変化球のキレの持続性に優れるものであるから、軟式野球や、その練習用として利用することができ、特に、ボール表面が摩耗しやすいバッティングマシンの投球機用ボールとして使用することができる。
本発明の中空ゴムボールの正面図の一例示す説明図である。 本発明の中空ゴムボールの正面図の他の一例示す説明図である。 従来の中空ゴムボールの正面図の一例示す説明図である。 本発明の中空ゴムボールのディンプル(符号1、2)の断面の説明図である。 従来の中空ゴムボールのディンプル(符号1)の断面の説明図である。
符号の説明
1 ディンプル(円形)
2 ディンプル(正方形)
3 連続した窪み部
4 ロゴマーク
5 ディンプル底面
6 ディンプルの角

Claims (5)

  1. ボール表面に連続した窪み部及びディンプルを有する中空ゴムボールにおいて、ディンプルが平底部を有し、該平底部の面積がボール周面におけるディンプルの面積Aに対して25%〜100%で、ディンプルの数がボール表面に対して200〜400個であり、該ディンプルの深さが0.3〜0.8mmであることを特徴とする軟式野球用中空ゴムボール。
  2. ボール表面に連続した窪み部及びディンプルを有する中空ゴムボールにおいて、ボール周面におけるディンプルの面積A、ディンプルのボール周面から底面方向への深さX(mm)の場合のディンプルの面積Bとしたとき、B/A≧0.7を満たす深さXの最大値が0.3mm以上で、ディンプルの数がボール表面に対して200〜400個であり、該ディンプルの深さが0.3〜0.8mmであることを特徴とする軟式野球用中空ゴムボール。
  3. ボール全面におけるディンプルの総容積が、0.8〜3mlであることを特徴とする請求項1又は2に記載の軟式野球用中空ゴムボール。
  4. ディンプルの深さ(mm)に対するボール周面におけるディンプルの直径(mm)の比が3〜10であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の軟式野球用中空ゴムボール。
  5. ディンプルの形状が、円形、四角形の群から選ばれる1種又は2種の組み合わせを含む形状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の軟式野球用中空ゴムボール。
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