JP4942073B2 - サブポルフィリン化合物の製造方法及びサブポルフィリン化合物、並びに光記録媒体の記録層形成用色素、光記録媒体及びその記録方法 - Google Patents

サブポルフィリン化合物の製造方法及びサブポルフィリン化合物、並びに光記録媒体の記録層形成用色素、光記録媒体及びその記録方法 Download PDF

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本発明は、サブポルフィリン化合物の製造方法及びそれによって得られるサブポルフィリン化合物に関し、更には、そのサブポルフィリン化合物を用いた光記録媒体の記録層形成用色素と、それを用いた光記録媒体及びその記録方法に関する。
ポルフィリンとは、4つのピロール環が4つのメチン基を介して結合した、18π電子系を有する平面芳香族化合物であり、400nm付近にSoret帯、600nm付近にQ帯と呼ばれる特徴的な吸収ピークを有する化合物である。ポルフィリン及びその類縁体は、中心に金属が配位しその性質が変化する広大なπ共役平面を有するため、電子キャリアとして使用可能であることや、特定の波長領域に鋭い吸収ピークを有すること等の理由から、電子材料、光学材料、医療材料、表示材料等、種々の用途への応用の試みがなされている。近年では、ピロール環が反転したN−混乱ポルフィリンや、環を形成するピロール環及びメチン基の数が増大し、π共役平面が広がった環拡張ポルフィリン等の存在が明らかとなり、それらのポルフィリンとは異なる特異な挙動が注目を集めている(非特許文献1参照)。
一方で、環を形成するピロール環及びメチン基の数が減少し3つになったポルフィリン、即ちサブポルフィリンを合成することができれば、π共役平面の縮小に伴う吸収スペクトルの短波長シフトや、より小さい分子内空孔等の特異な性質により、化学的興味のみならず、光記録媒体等の情報電子分野や薬剤等の医療材料用途等、幅広い産業分野へ応用可能であることが期待される。
Karl Kadish et al.、The Porphyrin Handbook、(1999)、vol.2
しかしながら、特定の構造を有するサブポルフィリン化合物、例えば、3つの芳香環基が結合したトリアリールサブポルフィリン化合物を、安価な原料を用い、少ない工程数で効率的に製造できる方法は、現在のところ知られていない。以上の背景から、特定の構造を有するサブポルフィリン化合物を効率的に製造する方法が望まれてきた。
本発明は上述の課題に鑑みてなされたもので、その目的は、特定の構造を有するサブポルフィリン化合物を効率的に製造できる方法を提供するとともに、それによって得られる新規なサブポルフィリン化合物を提供すること、並びに、そのサブポルフィリン化合物を用いた光記録媒体の記録層形成用色素と、それを用いた光記録媒体及びその記録方法ことに存する。
本発明者は鋭意検討の結果、下記一般式(1)で表わされる化合物(トリピロールボラン誘導体)を用いることによって、下記一般式(2)で表わされるトリアリールサブポルフィリン化合物を、安価な原料から少ない工程数で効率的に合成することが可能になること、また、得られたトリアリールサブポルフィリン化合物は新規な構造を有し、光記録媒体の記録層の材料等に好適に用いることができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、下記一般式(1)で表わされる化合物を用いて、下記一般式(3)で表わされるトリアリールサブポルフィリン化合物を製造することを特徴とする、サブポルフィリン化合物の製造方法に存する(請求項1)。
Figure 0004942073
Figure 0004942073
(一般式(1)及び一般式(3)中、
1〜R6はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい芳香環基、又は炭素数0〜20の非芳香環置換基を表わす。但し、R1及びR2、R3及びR4、R5及びR6は、それぞれ結合して環を形成していてもよい。
Ar1〜Ar3はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香環基を表わす。
Xは、炭素数20以下のカウンターアニオンを表わす。
ここで、上記一般式(1)で表わされる化合物と芳香族アルデヒド化合物とを酸性条件下で縮合さる工程を少なくとも有することが好ましい(請求項2)。
また、得られるトリアリールサブポルフィリン化合物が、下記一般式(5)で表わされることも好ましい(請求項)。
Figure 0004942073
(一般式(5)中、Ar1〜Ar3 及びXは、一般式(1)及び一般式(2)と同じ定義を表わす。)
また、本発明の別の趣旨は、上記一般式(3)で表わされることを特徴とする、サブポルフィリン化合物に存する(請求項)。
また、本発明の別の趣旨は、上述のサブポルフィリン化合物の製造方法により製造されたサブポルフィリン化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする、光記録媒体の記録層形成用色素に存する(請求項)。
また、本発明の別の趣旨は、上述のサブポルフィリン化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする、光記録媒体の記録層形成用色素に存する(請求項)。
また、本発明の別の趣旨は、基板と、該基板上に形成された記録層とを少なくとも有し、該記録層が、上述の光記録媒体の記録層形成用色素を用いて形成されたものであることを特徴とする、光記録媒体に存する(請求項)。
また、本発明の別の趣旨は、上述の光記録媒体に対し、波長350〜530nmのレーザー光を用いて記録を行なうことを特徴とする、光記録媒体の記録方法に存する(請求項)。
本発明のサブポルフィリン化合物の製造方法によれば、トリアリールサブポルフィリン化合物を安価な原料から少ない工程数で効率的に製造することが可能となる。
また、本発明のサブポルフィリン化合物は新規な構造を有し、光記録媒体の記録層の材料等に好適に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々に変更して実施することができる。
[I.サブポルフィリン化合物の製造方法]
本発明のサブポルフィリンの製造方法(以下適宜「本発明の製造方法」と略称する。)は、下記一般式(1)で表わされる化合物(以下適宜「式(1)の化合物」と略称する。)を用いて、下記一般式(2)で表わされるトリアリールサブポルフィリン化合物(以下適宜「式(2)のトリアリールサブポルフィリン化合物」或いは単に「式(2)の化合物」と略称する。)を製造するものである。
Figure 0004942073
Figure 0004942073
上記一般式(1)及び一般式(2)中、R1〜R6はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい芳香環基、又は炭素数0〜20の非芳香環置換基を表わす。但し、R1及びR2、R3及びR4、R5及びR6は、それぞれ結合して環を形成していてもよい。
Ar1〜Ar3はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香環基を表わす。
Mは、2個の水素原子又は2価以上のカチオン原子を表わす。但し、該カチオン原子が3価以上の場合、更に炭素数20以下のカウンターアニオンを有していてもよい。
なお、本発明において「芳香環」とは、芳香族性を有する環、すなわち(4n+2)π電子系(nは自然数)を有する環を意味する。その骨格構造は、通常、5又は6員環の、単環又は2〜6縮合環からなる芳香環であり、該芳香環には、芳香族炭化水素環、芳香族複素環の他、アントラセン環、カルバゾール環、アズレン環のような縮合環も含まれる。また、これらの「芳香環」から、環に直接結合する1以上の水素原子を除いた構造の置換基を、本発明では「芳香環基」というものとする。
また、本発明において「置換基を有していてもよい」とは、置換基を1以上有していてもよいことを意味する。
以下、式(1)の化合物及び式(2)のトリアリールサブポルフィリン化合物について詳細に説明する。
{R1〜R6の定義}
上記一般式(1)及び一般式(2)中、R1〜R6はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい芳香環基、又は置換基を有していてもよい炭素数0〜20の非芳香環置換基を表わす。
<芳香環基>
1〜R6が芳香環基である場合、その骨格構造の具体例としては、5員環単環としてフラン環、チオフェン環、ピロール環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、6員環単環としてベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、5又は6員環の縮合環としてナフタレン環、フェナンスレン環、アズレン環、ピレン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ベンゾフラン環、カルバゾール環、ジベンゾチオフェン環、アントラセン環等が挙げられる。これらのうち、合成上の理由から単環が好ましく、更に好ましくは6員環の単環であり、特に好ましくはベンゼン環である。
1〜R6が芳香環基である場合、該芳香環基は更に置換基を有していてもよい。該置換基の例としては、鎖状アルキル基、鎖状アルケニル基、鎖状アルキニル基、炭化水素環基、複素環基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、(ヘテロ)アリールオキシ基、(ヘテロ)アラルキルオキシ基、更に置換基を有していてもよいアミノ基、ニトロ基、シアノ基、エステル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、ハロゲン原子、水酸基などが挙げられる。
鎖状アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等の、炭素数が通常1以上、また、通常20以下、好ましくは10以下の直鎖又は分岐状のものが挙げられる。
鎖状アルケニル基の例としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、ヘキセニル基、オクテニル基等の、炭素数が通常2以上、また、通常20以下、好ましくは10以下の直鎖又は分岐状のものが挙げられる。
鎖状アルキニル基の例としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、2−メチル−1−プロピニル基、ヘキシニル基、オクチニル基等の、炭素数が通常2以上、また、通常20以下、好ましくは10以下の直鎖又は分岐状のものが挙げられる。
炭化水素環基の例としては、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、テトラデカヒドロアントラニル基等の、炭素数が通常3以上、好ましくは5以上、また、通常20以下、好ましくは10以下のシクロアルキル基;シクロヘキセニル基等の、炭素数が通常3以上、好ましくは5以上、また、通常20以下、好ましくは10以下のシクロアルケニル基;フェニル基、アントラニル基、フェナンスリル基、フェロセニル基等の、炭素数が通常6以上、また、通常18以下、好ましくは10以下のアリール基が挙げられる。
複素環の例としては、5〜6員環の単環又は2〜6縮合環からなるヘテロアリール基、5〜6員環の単環又は2〜6縮合環からなるヘテロシクロアルキル基が挙げられ、ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。具体的には、チエニル基等の5員環;ピリジル基、2−ピペリジニル基、2−ピペラジニル基等の6員環;ベンゾチエニル基、カルバゾリル基、キノリニル基、オクタヒドロキノリニル基等の5又は6員環の2〜6縮合環が挙げられる。
アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基等の、炭素数が通常1以上、好ましくは2以上、また、通常9以下、好ましくは8以下のものが挙げられる。
アルキルカルボニル基としては、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、tert−ブチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基等の、炭素数が通常2以上、また、通常18以下、好ましくは8以下のものが挙げられる。
(ヘテロ)アリールオキシ基の例としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等の、炭素数が通常6以上、また、通常18以下、好ましくは10以下のアリールオキシ基;2−チエニルオキシ基、2−フリルオキシ基、2−キノリルオキシ基等の、炭素数が通常5以上、また、通常18以下、好ましくは10以下で、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子、硫黄原子等から選ばれるものを含むヘテロアリールオキシ基等が挙げられる。
(ヘテロ)アラルキルオキシ基の例としては、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、ナフチルメトキシ基等の、炭素数が通常7以上、また、通常18以下、好ましくは12以下のアラルキルオキシ基;2−チエニルメトキシ基、2−フリルメトキシ基、2−キノリルメトキシ基等の、炭素数が通常6以上、また、通常18以下、好ましくは10以下で、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子、硫黄原子などから選ばれるものを含むヘテロアラルキルオキシ基などが挙げられる。
置換基を有していてもよいアミノ基の例としては、アミノ基、アルキルアミノ基、(ヘテロ)アリールアミノ基等が挙げられる。
アルキルアミノ基の例としては、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ピペリジル基等の、炭素数が通常2以上、好ましくは3以上、また、通常20以下、好ましくは10以下のものが挙げられる。
(ヘテロ)アリールアミノ基の例としては、ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基、ナフチルフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基等の、炭素数が通常6以上、また、通常30以下、好ましくは15以下のアリールアミノ基;ジ(2−チエニル)アミノ基、ジ(2−フリル)アミノ基等の、炭素数が通常5以上、好ましくは6以上、また、通常30以下、好ましくは15以下で、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子、硫黄原子などから選ばれるものを含むヘテロアリールアミノ基;フェニル(2−チエニル)アミノ基等の、炭素数が通常11以上、好ましくは12以上、また、通常30以下、好ましくは16以下のアリールヘテロアリールアミノ基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいカルバモイル基の例としては、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基などが挙げられる。
アルキルカルバモイル基の例としては、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−エチル−N−シクロヘキシルカルバモイル基等の、炭素数が通常2以上、また、通常20以下、好ましくは10以下のものが挙げられる。
エステル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等の、炭素数が通常2以上、また、通常20以下、好ましくは10以下のものが挙げられる。
ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等が挙げられる。
1〜R6が芳香環基であり、且つ、該芳香環基が2つ以上の置換基を有する場合、該置換基同士が結合して、ヘテロ原子を含んでいてもよい環状構造をなしてもよい。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。例えば、R1〜R6がベンゼン環である場合、該ベンゼン環が有する2以上の置換基同士が結合して、ヘテロ原子を含んでいてもよい環状構造を形成している例として、以下の式に示す構造が挙げられる。なお、以下の式において、aは、上記一般式(2)におけるサブポルフィリン骨格への結合位置を表わす。
Figure 0004942073
なお、R1〜R6が芳香環基である場合は、これらの置換基を有している方が、本発明の製造方法により得られるサブポルフィリン化合物を光記録媒体の記録層形成用色素として用いる場合に、記録層形成時に使用する溶剤に対する溶解性が向上するので好ましい。特に、溶媒としてテトラフルオロプロパノールやメチルセロソルブなどの極性溶媒を用いる場合には、R1〜R6で表わされる芳香環基は、N,N−二置換カルバモイル基やエステル基などの極性置換基を有することが好ましい。一方、溶媒として塩化メチレン、ジブチルエーテルやメチルシクロヘキサンなどの非極性溶媒を用いる場合には、R1〜R6で表わされる芳香環基は、アルキル基やアルコキシ基等の非極性置換基を有することが好ましい。
但し、合成の容易性の観点からは、R1〜R6で表わされる芳香環基が、置換基を有していない方が好ましい。
また、該芳香環基に対する置換基の置換位置としては、トリアリールサブポルフィリン骨格により近接する位置を置換することが、化合物の塗布溶媒に対する溶解性向上の面で好ましいが、離れている方が合成上の理由から好ましい。
<非芳香環置換基>
1〜R6が炭素数0〜20の非芳香環置換基である場合、その具体例としては、R1〜R6が芳香環基である場合に更に有していてもよい置換基として上述した具体例のうち、芳香環基以外の置換基を挙げることができる。
<環構造>
なお、R1とR2との組、R3とR4との組、及び/又は、R5とR6との組が、それぞれ結合して環を形成していてもよい。その環構造の具体例としては、以下の式で表わされるものが挙げられる。なお、以下の式において点線で示される部分は、上記一般式(2)におけるサブポルフィリン骨格の一部を表わしている。
Figure 0004942073
なお、これらの環構造は、更に炭素数20以下の置換基を有していてもよい。その置換基の具体例としては、R1〜R6が芳香環基である場合に更に有していてもよい置換基として上述した具体例と同様の置換基を挙げることができる。
<R1〜R6の好ましい組み合わせ>
以上説明した中でも、合成の容易さ等の観点から、R1〜R6は各々独立に、水素原子、或いは、R1とR2、R3とR4、及び/又は、R5とR6がそれぞれ結合して形成する環構造であることが好ましい。後者の場合、その環構造としては、置換基を有していてもよいベンゼン環であることが特に好ましい。
<R1〜R6の分子量>
1〜R6の分子量は、分子量増大に伴いトリアリールサブポルフィリン骨格の14π電子系の効果が低下することを防止する観点から、更に置換基を有する場合はその置換基も含めて、合計1000以下であることが好ましい。
{Ar1〜Ar3の定義}
上記一般式(2)中、Ar1〜Ar3はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香環基を表わす。その具体例としては、R1〜R6が芳香環基である場合に上述した具体例と同様の芳香環基を挙げることができる。また、Ar1〜Ar3の芳香環基が有していてもよい置換基としては、R1〜R6が芳香環基である場合に有していてもよい置換基として上述した具体例と同様の置換基を挙げることができる。
中でも、合成の容易さ等の観点から、Ar1〜Ar3は各々独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環であることが好ましい。
<Ar1〜Ar3の分子量>
Ar1〜Ar3の分子量は、分子量増大に伴いサブポルフィリン骨格の14π電子系の効果が低下することを防止する観点から、更に置換基を有する場合はその置換基も含めて、合計500以下であることが好ましい。
{Mの定義}
上記一般式(2)中、Mは、2個の水素原子、又は、2価以上のカチオン原子を表わす。Mがカチオン原子の場合、その種類は、トリアリールサブポルフィリン骨格の窒素原子に結合し得るものであれば特に制限されない。その具体例としては、Be、B、Mg、Al、Si、P、Ca、Ti、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu、Zn等が挙げられる。
中でも、化合物の安定性等の観点から、Mは、2個の水素原子、或いは、周期律表の第2周期の原子であることが好ましい。周期律表の第2周期の原子の中では、後述する様に特に少ない工程数で製造できるという観点から、B(ホウ素)であることが好ましい。
なお、Mがカチオン原子であり、該カチオン原子が3価以上の場合、更に炭素数20以下のカウンターアニオンを有していてもよい。該カウンターアニオンの具体例としては、水、アルコール、フェノール、カルボン酸、ホスホン酸、ハロゲン、過塩素酸、過沃素酸、シアン酸、イソシアン酸、イソチオシアン酸、アジド、硝酸、炭酸、炭酸水素酸、置換又は無置換の硫酸(硫酸、硫酸水素酸、メチル硫酸など)、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トシル酸、置換又は無置換のリン酸(リン酸、リン酸水素酸、リン酸二水素酸、フェニルリン酸など)、六フッ化リン、六フッ化アンチモン、置換又は無置換のホスフィン酸(ホスフィン酸、メチルホスフィン酸など)、置換又は無置換のボロン酸(テトラフェニルボロン酸など)、ベンゼンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等の化合物をアニオン化したもの等が挙げられる。これらのうち、合成の容易さ等の観点から、水、アルコール又はフェノールをアニオン化したものを有することが好ましい。
{式(2)の化合物の物性}
上記式(2)の化合物は、分子量増大に伴いトリアリールサブポルフィリン骨格の14π電子系の効果が低下することを防止する観点から、カウンターイオンが存在する場合はそれも含めて、分子量が通常2000以下、中でも1500以下であることが好ましい。
尚、上記式(2)の化合物は、記録媒体の保存安定性の向上させる理由から、通常は水不溶性であることが好ましい。ここで「水不溶性」とは、25℃、1気圧の条件下における水に対する溶解度が、通常0.01重量%以下、好ましくは0.001重量%以下であることを言う。
{式(2)の化合物の具体例}
本発明の製造方法によって得られる式(2)の化合物の具体例を以下に例示するが、本発明の製造方法によって得られる化合物は以下の具体例に限定されるものではなく、本発明の要旨を超えない限りにおいて、任意のトリアリールサブポルフィリン化合物を製造することが可能である。なお、以下の式において「Et」はエチル基を表わし、「n−Pr」はn−プロピル基を表わし、「Ac」はアセチル基を表わす。
Figure 0004942073
Figure 0004942073
Figure 0004942073
中でも、本発明の製造方法により製造される式(2)の化合物としては、下記の一般式(3)又は一般式(4)で表わされる化合物が好ましい。
Figure 0004942073
上記一般式(3)中、R1〜R6及びAr1〜Ar3は、上記一般式(1)及び一般式(2)と同じ定義を表わす。
また、Xは、炭素数20以下のカウンターアニオンを表わす。その具体例は、上記一般式(1)のMの説明において例示したものと同様である。
Figure 0004942073
一般式(4)中、Ar1〜Ar3は、上記の一般式(1)及び一般式(2)と同じ定義を表わす。
また、Mは、上記一般式(2)と同じ定義を表わす。
{製造方法}
本発明の製造方法は、上記式(1)の化合物を用いて、上記式(2)の化合物を製造するものであれば、その他の条件は特に制限されない。原料となる式(1)の化合物は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。なお、式(1)の化合物は、例えばActa Chimica Hungarica, Budapest、1975年、86巻、235〜248頁に記載の方法により合成可能である。
本発明の製造方法は、式(1)の化合物と、芳香族アルデヒド化合物とを原料として、これらを酸性条件下で縮合させる工程(以下適宜「縮合工程」と略称する。)を少なくとも有することが好ましい。この場合、芳香族アルデヒド化合物としては、上記一般式(2)のAr1〜Ar3に相当する芳香環基にアルデヒド基が結合した化合物を用いる。
以下、上記の縮合工程を有する製造方法について、一般式(2)のAr1〜Ar3が全て同一である(以下、これを「Ar」と表記するものとする。)トリアリールサブポルフィリン化合物を製造する場合を例として、具体的に説明する。なお、以下の説明及び反応式(i)及び(ii)において、上記一般式(1)及び(2)と同じ符号は、同様の定義を表わす。また、M’は、上記一般式(2)のMと同様、2個の水素原子又は2価以上のカチオン原子(但し、ホウ素を除く。)を表わす。
<縮合工程>
Figure 0004942073
まず、上記反応式(i)に示すように、式(1)の化合物と芳香族アルデヒド化合物(Ar−CHOで表わされる化合物)とを酸性条件下で縮合することにより、縮合体であるサブポルフィリノーゲンを生成し、更に酸化剤によってこのサブポルフィリノーゲンを酸化することにより、一般式(2)における中心元素Mがホウ素である化合物を合成する。式(1)の化合物と芳香族アルデヒド化合物との使用比率は特に制限されないが、{式(1)の化合物}:{芳香族アルデヒド化合物}のモル比率で、通常1:3以上、中でも1:5以上、また、通常1:20以下、中でも1:10以下の範囲で選択することが好ましい。式(1)の化合物の使用量が少な過ぎると、式(1)の化合物が完全に反応しないという理由で好ましくない。一方、芳香族アルデヒド化合物の使用量が多過ぎると、合成後の精製作業が煩雑になるという理由で好ましくない。
縮合反応は酸性条件下で行なう。酸性条件を実現する手法としては、例えば、反応系に酸を共存させるという手法が挙げられる。
酸としては、従来のポルフィリン合成に用いられる酢酸、プロピオン酸などの弱酸や、トリフルオロ酢酸、トルエンスルホン酸や三フッ化ホウ素エーテル錯体等の強酸を用いることができる。中でも、酸としては、弱酸が好ましく、特にプロピオン酸が好ましい。なお、これらの酸は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。酸の使用量は、通常触媒量から溶媒量の範囲で用いられるが、酢酸、プロピオン酸などの弱酸を用いる場合は溶媒量、すなわち式(1)の化合物及び芳香族アルデヒド化合物の合計量に対する重量比で、通常2倍以上、好ましくは10倍以上、また、通常1000倍以下、好ましくは200倍以下の範囲で用いられることが好ましい。酸の使用量が少な過ぎると、縮合反応が十分に進行しないという理由で好ましくない。一方、酸の使用量が多過ぎると、合成後の精製作業が煩雑になるという理由で好ましくない。
一方、酸化剤としては、サブポルフィリノーゲン(縮合反応により生成した(1)の化合物とAr−CHOとの縮合体)の酸化が進行するものであれば特に限定されず、従来のポルフィリン合成に用いられる、空気、酸素などの気体酸化剤、クロラニル、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)等の固体酸化剤等を用いることができる。中でも、酸化剤としては、特に酸として弱酸を用いる場合は気体酸化剤が好ましい。なお、これらの酸化剤は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。酸化剤の使用量は、通常化学量論量から過剰量の範囲で用いられるが、気体酸化剤である場合は通常1〜10気圧であることが好ましく、固体酸化剤である場合は、固体酸化剤およびサブポルフィリノーゲンのモル比で、通常0.66倍以上、特に1倍以上であることが好ましい。酸化剤の使用量が少な過ぎると、酸化反応が十分に進行しないという理由で好ましくない。一方、酸の使用量が多過ぎると、合成後の精製作業が煩雑になるという理由で好ましくない。
縮合反応には、通常は反応溶媒を使用する。反応溶媒としては、式(1)の化合物と芳香族アルデヒド化合物とを好適に溶解又は分散させることができ、且つ、反応を進行させることが可能な溶媒であれば、その種類は特に限定されない。例としては、従来のポルフィリン合成に用いられる各種の溶媒、具体的には、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の塩素系有機溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶媒;エタノール、プロパノール等のアルコール系有機溶媒を挙げることができる。また、上述の酸が反応溶媒としての条件を満たす場合には、これらを反応溶媒として用いることも出来る。中でも、反応溶媒としては、塩素系有機溶媒もしくは上述の酸等を用いることが好ましい。なお、これらの反応溶媒は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。溶媒の使用量は、溶媒に対する式(1)の化合物及び芳香族アルデヒド化合物の合計割合の値で、通常0.1g/L以上、好ましくは1g/L以上、また、通常200g/L以下、好ましくは100g/L以下の範囲である。溶媒の使用量が少な過ぎると、目的化合物の収率が低下するという理由で好ましくない。一方、溶媒の使用量が多過ぎると、高コストになるという理由で好ましくない。
縮合反応の方式は、バッチ式で行なっても連続式で行なってもよく、また、密閉系で行なっても開放系で行なってもよい。通常は反応容器中、式(1)の化合物及び芳香族アルデヒド化合物を上述の反応溶媒に溶解又は分散させるとともに、上述の酸及び/又は酸化剤を反応系に共存させて行なう。酸及び/又は酸化剤を反応系に共存させる手法は特に制限されない。酸及び/又は酸化剤を反応溶媒中に溶解又は分散させてもよく、酸及び/又は酸化剤が気体の場合には、反応雰囲気内に酸及び/又は酸化剤を存在させてもよい。特に、酸化剤として空気を使用する場合には、反応を開放系で行ない、反応雰囲気に空気を流通させればよい。
縮合反応の反応温度は特に制限されないが、通常0℃以上、中でも15℃以上、また、通常200℃以下、中でも120℃以下の範囲が好ましい。特に、室温から反応溶媒が還流する程度の温度が好ましい。
縮合反応の反応圧力も特に制限されないが、通常5MPa以上、中でも10MPa以上、また、通常100MPa以下、中でも50MPa以下の範囲が好ましい。
縮合反応の反応時間は、反応温度や反応圧力等の条件によっても異なるが、通常0.5時間以上、中でも1時間以上、また、通常48時間以下、中でも24時間以下の範囲である。
以上の縮合工程により、一般式(2)の中心元素Mがホウ素である化合物(以下適宜「含ホウ素サブポルフィリン化合物」という。)を合成することができる。なお、一般式(2)の中心元素Mがホウ素以外の元素(M’)である化合物(以下適宜「非ホウ素サブポルフィリン化合物」という。)を合成する場合は、続いて以下に説明する工程を行なう。
<置換工程>
Figure 0004942073
上記反応式(ii)に示すように、縮合工程により得られた含ホウ素サブポルフィリン化合物から、中心元素であるホウ素を他の所望の中心元素M’に置換することにより、非ホウ素サブポルフィリン化合物を製造することが可能である。ホウ素を他の中心元素M’に置換する手法は特に制限されないが、例えば、含ホウ素サブポルフィリン化合物を酸によって脱ホウ素化した後、必要に応じて、これを更に金属塩と反応させることによって得ることができる。
脱ホウ素化反応に用いる酸は特に限定されないが、例としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等が好ましく、硫酸が特に好ましい。なお、これらの酸は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。酸の使用量は、含ホウ素サブポルフィリン化合物に対するモル比で、通常0.5倍以上、好ましくは1倍以上、また、通常1000倍以下、好ましくは100倍以下の範囲である。酸の使用量が少な過ぎると、脱ホウ素化反応が十分に進行しないという理由で好ましくない。一方、酸の使用量が多過ぎると、サブポルフィリン骨格が壊れるという理由で好ましくない。
脱ホウ素化反応には、通常は反応溶媒を使用する。反応溶媒としては、上述の含ホウ素サブポルフィリン化合物を好適に溶解又は分散させることができ、且つ、反応を進行させることが可能な溶媒であれば、その種類は特に限定されない。例としては、従来のポルフィリン合成に用いられる各種の溶媒、具体的には、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の塩素系有機溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶媒;エタノール、プロパノール等のアルコール系有機溶媒を挙げることができる。中でも、反応溶媒としては、塩素系有機溶媒が好ましい。なお、これらの反応溶媒は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。溶媒の使用量は、溶媒に対する含ホウ素サブポルフィリン化合物の割合の値で、通通常0.1g/L以上、好ましくは1g/L以上、また、通常200g/L以下、好ましくは100g/L以下の範囲である。溶媒の使用量が少な過ぎると、目的化合物の収率が低下するという理由で好ましくない。一方、溶媒の使用量が多過ぎると、高コストになるという理由で好ましくない。
脱ホウ素化反応の方式は、バッチ式で行なっても連続式で行なってもよく、また、密閉系で行なっても開放系で行なってもよい。通常は反応容器中、含ホウ素サブポルフィリン化合物を上述の反応溶媒に溶解又は分散させるとともに、上述の酸を反応系に共存させて行なう。酸を反応系に共存させる手法は特に制限されない。酸を反応溶媒中に溶解又は分散させてもよく、酸が気体の場合には、反応雰囲気内に酸を存在させてもよい。
脱ホウ素化反応の反応温度は特に制限されないが、通常0℃以上、中でも25℃以上、また、通常200℃以下、中でも120℃以下の範囲が好ましい。特に、室温から反応溶媒が還流する程度の温度が好ましい。
酸化反応の反応圧力も特に制限されないが、通常5MPa以上、中でも10MPa以上、また、通常100MPa以下、中でも50MPa以下の範囲が好ましい。
酸化反応の反応時間は、反応温度や反応圧力等の条件によっても異なるが、通常0.5時間以上、中でも1時間以上、また、通常48時間以下、中でも24時間以下の範囲である。
以上の脱ホウ素化反応により、中心元素M’として二つの水素原子を有するサブポルフィリン化合物(これを以下適宜「含水素サブポルフィリン化合物」という。)が得られる。中心元素M’がホウ素原子又は水素原子以外の元素であるサブポルフィリン化合物を製造するためには、この含水素サブポルフィリン化合物を、所望の元素M’の塩(金属塩)と反応させ、二つの水素原子を所望の中心元素に置換することにより、製造することが可能である。
金属塩としては、所望の元素M’を有する金属塩であれば、その種類は特に制限されないが、例としては、元素M’のハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、アセチルアセトン塩等が挙げられる。中でも、元素M’の酢酸塩やアセチルアセトン塩が好ましい。金属塩の使用量は、含水素サブポルフィリン化合物に対するモル比で、通常1倍以上、好ましくは1.5倍以上、また、通常100倍以下、好ましくは50倍以下の範囲である。金属塩の使用量が少な過ぎると、反応が十分に進行しないという理由で好ましくない。一方、金属塩の使用量が多過ぎると、合成後の精製が煩雑になるという理由で好ましくない。
含水素サブポルフィリン化合物と金属塩との反応には、通常は反応溶媒を使用する。反応溶媒としては、上述の含水素サブポルフィリン化合物を好適に溶解又は分散させることができ、且つ、反応を進行させることが可能な溶媒であれば、その種類は特に限定されない。例としては、従来のポルフィリン合成に用いられる各種の溶媒、具体的には、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の塩素系有機溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶媒;エタノール、プロパノール等のアルコール系有機溶媒を挙げることができる。中でも、反応溶媒としては、塩素系有機溶媒が好ましい。なお、これらの反応溶媒は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。溶媒の使用量は、溶媒に対する含ホウ素サブポルフィリン化合物の割合の値で、通通常0.1g/L以上、好ましくは1g/L以上、また、通常200g/L以下、好ましくは100g/L以下の範囲である。溶媒の使用量が少な過ぎると、目的化合物の収率が低下するという理由で好ましくない。一方、溶媒の使用量が多過ぎると、高コストになるという理由で好ましくない。
含水素サブポルフィリン化合物と金属塩との反応の方式は、バッチ式で行なっても連続式で行なってもよく、また、密閉系で行なっても開放系で行なってもよい。通常は反応容器中、含水素サブポルフィリン化合物を上述の反応溶媒に溶解又は分散させるとともに、上述の酸を反応系に共存させて行なう。酸を反応系に共存させる手法は特に制限されない。酸を反応溶媒中に溶解又は分散させてもよく、酸が気体の場合には、反応雰囲気内に酸を存在させてもよい。
含水素サブポルフィリン化合物と金属塩との反応における反応温度は特に制限されないが、通常0℃以上、中でも25℃以上、また、通常200℃以下、中でも120℃以下の範囲が好ましい。特に、室温から反応溶媒が還流する程度の温度が好ましい。
酸化反応の反応圧力も特に制限されないが、通常5MPa以上、中でも10MPa以上、また、通常100MPa以下、中でも50MPa以下の範囲が好ましい。
酸化反応の反応時間は、反応温度や反応圧力等の条件によっても異なるが、通常0.5時間以上、中でも1時間以上、また、通常48時間以下、中でも24時間以下の範囲である。
<その他>
上述の各工程(縮合反応及びその後の置換工程)により得られた生成物を、必要に応じて濾過、濃縮、水洗、乾燥、カラムクロマトグラフィー等の手法で反応系から分離・精製することにより、上記式(2)のトリアリールサブポルフィリン化合物を得ることができる。
以上の記載では、一般式(2)のAr1〜Ar3が全て同一(Ar)の場合を中心に説明したが、一般式(2)のAr1〜Ar3が異なるトリアリールサブポルフィリン化合物を製造する場合には、所望のAr1〜Ar3の種類に応じて、複数種の芳香族アルデヒド化合物を混合して用いればよい。
以上説明した本発明の製造方法によれば、安価な原料(上記式(1)の化合物、芳香族アルデヒド化合物、金属塩等)を用いて、上記式(2)のトリアリールサブポルフィリン化合物を、少ない工程数で効率的に製造することが可能である。具体的には、式(2)の中心元素Mがホウ素であるサブポルフィリン化合物であれば、通常は2工程程度(上記式(1)の化合物の合成工程、並びに、芳香族アルデヒド化合物との縮合及び酸化工程)で、また、式(2)の中心元素Mがホウ素以外の元素であるサブポルフィリン化合物であれば、通常は3〜4工程程度(上記2つの工程に加えて、脱ホウ素化反応工程、及び、必要に応じて行われる金属塩との反応工程)で、それぞれ製造することができる。
なお、本発明の製造方法では、その条件に応じて、上記式(2)のトリアリールサブポルフィリン化合物が、単一の化合物として得られる場合と、二種以上の化合物の混合物として得られる場合とがあるが、何れであってもよい。
[II.サブポルフィリン化合物]
本発明のサブポルフィリン化合物は、上述した本発明の製造方法によって得られるトリアリールサブポルフィリン化合物、又は、上記一般式(2)で表わされるトリアリールサブポルフィリン化合物である。その構造、物性(分子量等)、具体例などは、上記[I.サブポルフィリン化合物の製造方法]の欄において上述した通りである。中でも、本発明のサブポルフィリン化合物としては、上記一般式(3)又は一般式(4)で表わされるトリアリールサブポルフィリン化合物が好ましい。
なお、本発明のサブポルフィリン化合物は、吸光度測定を行なった場合に、通常350nm以上、400nm以下の波長領域に、鋭い吸収ピークを有するという特徴を有する。
本発明のサブポルフィリン化合物は、情報分野、医療分野、映像分野、触媒分野など様々な分野に応用可能であるが、上述のように350〜400nmに鋭い吸収ピークを有するため、光記録媒体(特に青色レーザー光対応の光記録媒体)の記録層形成用色素として用いることが好ましい。
[III.光記録媒体]
本発明の光記録媒体は、基板と、該基板上に形成された記録層とを少なくとも有し、該記録層が、上述の本発明のサブポルフィリン化合物を少なくとも一種含有する色素(これを適宜「本発明の光記録媒体の記録層形成用色素」或いは単に「本発明の色素」という。)を用いて形成されたものである。即ち、本発明の光記録媒体の記録層は、本発明のサブポルフィリン化合物を少なくとも1種類以上含有することになる。
本発明の光記録媒体の記録層形成に用いる色素(本発明の色素)としては、本発明のサブポルフィリン化合物を一種類のみ用いてもよく、本発明のサブポルフィリン化合物を二種類以上、任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、一種又は二種以上の本発明のサブポルフィリン化合物に加えて、他の色素を一種又は二種以上併用してもよい。但し、本発明のサブポルフィリン化合物以外の色素を併用する場合には、本発明のサブポルフィリン化合物の優れた特性を十分に発揮させる観点から、全色素の合計に対する本発明のサブポルフィリン化合物が占める比率を、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上とすることが好ましい。
本発明のサブポルフィリン化合物と併用可能な他系統の色素としては、記録用のレーザー光波長域に吸収を有し、照射されたレーザー光のエネルギーを吸収して、照射部分の記録層、反射層又は基板に、分解、蒸発、溶解等の熱的変形を伴うピットを形成させるものが好ましい。また、CD−R向けの770〜830nmの範囲から選ばれた波長の近赤外レーザー光やDVD−R向けの620〜690nmの範囲から選ばれた赤色レーザー光での記録に適する色素を併用して、複数の波長域のレーザー光での記録に対応する光学記録材料とすることもできる。他系統の色素としては、具体的には、含金属アゾ系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、シアニン系色素、アゾ系色素、スクアリリウム系色素、含金属インドアニリン系色素、トリアリールメタン系色素、メロシアニン系色素、アズレニウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、インドフェノール系色素、キサンテン系色素、オキサジン系色素、ピリリウム系色素等が挙げられる。なお、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、これら他系統の色素のうち、CD−R向けの770〜830nmの範囲から選ばれた波長の近赤外レーザー光やDVD−R向けの620〜690nmの範囲から選ばれた赤色レーザー光での記録に適する色素を併用して、複数の波長域のレーザー光での記録に対応する光学記録材料とすることもできる。
本発明の光記録媒体の記録層に対する本発明の色素の割合は、通常10重量%以上、好ましくは50重量%以上、特に好ましくは90重量%以上の範囲である。色素の割合が少なすぎると、記録感度が著しく低下するので好ましくない。本発明の色素として2種類以上の色素を併用する場合には、その合計が上記範囲を満たすようにする。また、後述のバインダーや各種の添加剤を用いる場合には、形成された記録層に占める本発明の色素の割合が上記の範囲内となるように、バインダーや添加剤の使用量を調整することが好ましい。なお、本発明のサブポルフィリン化合物の優れた特性を十分に発揮させる観点から、バインダーや添加剤が使用されないことが特に好ましい。
本発明の光記録媒体の記録層は、成膜性を向上させるために、バインダーを含有していてもよい。バインダーの種類は特に制限されず、各種の既知のバインダーを使用することが可能である。その例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ケトン樹脂、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート等が挙げられる。これらのバインダーは、何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。バインダーの使用量は、本発明の色素に対する割合で、通常50重量%以下、中でも30重量%以下の範囲とすることが好ましい。二種以上のバインダーを併用する場合には、その合計が上記範囲を満たすようにする。
また、記録層は、安定性や耐光性向上のため、一重項酸素クエンチャーや記録感度向上剤などを含有していてもよい。
一重項酸素クエンチャーとしては、アセチルアセトナート、ビスフェニルジチオール、サリチルアルデヒドオキシム、ビスジチオ−α−ジケトン等と遷移金属とのキレート化合物などが挙げられ、これらは何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。一重項酸素クエンチャーの使用量は、本発明の色素に対する割合で、通常5重量%以上、中でも10重量%以上、また、通常30重量%以下、中でも20重量%以下の範囲とすることが好ましい。二種以上の一重項酸素クエンチャーを併用する場合には、その合計が上記範囲を満たすようにする。
記録感度向上剤としては、遷移金属等の金属が原子、イオン、クラスター等の形で化合物に含まれる金属系化合物等が挙げられる。具体例としては、エチレンジアミン系錯体、アゾメチン系錯体、フェニルヒドロキシアミン系錯体、フェナントロリン系錯体、ジヒドロキシアゾベンゼン系錯体、ジオキシム系錯体、ニトロソアミノフェノール系錯体、ピリジルトリアジン系錯体、アセチルアセトナート系錯体、メタロセン系錯体のような有機金属化合物などが挙げられる。これらは何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。金属原子の種類は特に限定されないが、遷移金属が好ましい。記録感度向上剤の使用量は、本発明の色素に対する割合で、通常5重量%以上、中でも10重量%以上、また、通常30重量%以下、中でも20重量%以下の範囲とすることが好ましい。二種以上の記録感度向上剤を併用する場合には、その合計が上記範囲を満たすようにする。
本発明の光記録媒体の記録層を形成するには、真空蒸着法、スパッタリング法、ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等の一般に行われている薄膜形成法を用いることができる。これらのうち、量産性、コスト面からスピンコート法が好ましい。スピンコート法により記録層を成膜する場合、回転数は500〜5000rpmが好ましく、スピンコート後、必要に応じて、加熱又は溶媒蒸気にさらす等の処理を行ってもよい。記録層の膜厚は、特に限定されないが、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、更に好ましくは50nm以上、また、通常5μm以下、好ましくは2μm以下、更に好ましくは300nm以下の範囲である。色素層の膜厚が前記の下限値より大きい場合は、熱拡散の影響を抑えることができ、良好な記録がしやすい。また、記録信号に歪みが発生しにくいため、信号振幅を大きくしやすい。色素層の膜厚が前記の上限値より小さい場合は、反射率を高くしやすく、再生信号特性を良好としやすい。
記録層をドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等により形成する場合には、まず、本発明の色素、並びに、必要に応じて用いられる上述のバインダー、一重項酸素クエンチャー、記録感度向上剤等の成分を溶媒に溶解させ、塗布液を作成する。溶媒としては、基板を侵さない溶媒であれば特に限定されず、ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;n−ヘキサン、n−オクタン等の鎖状炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、t−ブチルシクロヘキサン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素系溶媒;ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒;テトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール、ヘキサフルオロブタノール等のパーフルオロアルキルアルコール系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチル、イソ酪酸メチル等のヒドロキシエステル系溶媒等が挙げられる。中でも、工業面から、テトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール、ヘキサフルオロブタノール等のパーフルオロアルキルアルコール系溶媒を用いることが好ましく、特に、現在一般に工業的に用いられている溶媒であるTFP(2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール)を用いることが好ましい。なお、これらの溶媒は何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
塗布液中における本発明の色素の濃度は、その溶媒溶解性に応じて適宜決定されるが、通常0.7重量%以上、好ましくは1.0重量%以上、また、通常10重量%以下、好ましくは3.0重量%以下の範囲である。塗布液中の色素濃度が過度に低いと、記録層の形成効率が悪くなる。塗布液中の色素濃度が過度に高いと、成膜工程において、色素の結晶化等の課題が発生する。
基板としては、ガラスや種々のプラスチックなど、使用するレーザー光に対して透明なものが好ましく用いられる。プラスチックとしては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ニトロセルロース、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられるが、生産性、コスト、耐吸湿性などの点からポリカーボネート樹脂を射出成形したものが好ましい。
この基板上に、本発明の色素を用いて、上述の手法に従い記録層を形成する。また、その他にも必要に応じて、反射層、保護層、下引き層等の各層を設けることにより、本発明の光記録媒体が製造される。
反射層としては、金、銀、アルミニウム又はそれらの合金のような金属からなるもの等が挙げられるが、550nm以下の波長のレーザー光に対する反射率から、金やアルミニウムより、銀の方が好ましい。金属反射層は、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などによって記録層上に成膜される。ここで、金属反射層と記録層との間に層間の密着力を向上させるため、又は、反射率を高める等の目的で中間層を設けてもよい。反射層の膜厚は、通常50nm以上、300nm以下の範囲である。
反射層の上に形成する保護層の材料は、反射層を外力から保護するものであれば特に限定されない。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、UV(紫外線)硬化性樹脂等の有機物質;SiO2、SiN4、MgF2、SnO2等の無機物質などが挙げられる。
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等は、適当な溶剤に溶解して塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。
UV硬化性樹脂は、そのままもしくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後にこの塗布液を塗布し、UV光を照射して硬化させることによって形成することができる。UV硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等のアクリレート系樹脂を用いることができる。これらの材料は単独で又は混合して用いてもよいし、1層だけでなく多層膜にして用いてもよい。
保護層の形成の方法としては、記録層と同様に、スピンコート法やキャスト法等の塗布法やスパッタ法や化学蒸着法等の方法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。保護層の膜厚は、通常0.1μm以上、100μm以下の範囲である。
また、下引き層は、各層間の接着力を高めるために、任意の二層間に形成される。下引き層の種類としては、各層の接着力を高め、且つ、各層の性質に影響を与えないものであれば特に限定されないが、取扱いの容易さから有機層であることが好ましい。
基板上における各層の積層は任意であり、目的とする光記録媒体の用途等に応じて適宜選択すればよい。主な積層順としては、基板上に反射層、記録層、保護層をこの順に設け、保護層側からレーザー光を記録層に入射して情報の記録・再生を行なう膜面入射型と、基板上に記録層、反射層、保護層をこの順に設け、基板側からレーザー光を記録層に入射して情報の記録・再生を行なう基板入射型とが挙げられる。なお、膜面入射型の場合には保護層の材料を、また、基板入射型の場合には基板の材料を、情報の記録・再生に使用するレーザー光に対して透明性を有する材料とする必要がある。
また、上記構成の光記録媒体を接着層を介して2枚貼り合わせ、或いは、基板の片面だけでなく両面に反射層、記録層、保護層等を設けることにより、両面記録型光記録媒体としてもよい。更には、基板上に反射層及び記録層の組を、中間層を介して二組以上形成し、その上に保護層を設けることにより、多層型光記録媒体としてもよい。
本発明の光記録媒体に対する情報の記録は、通常、その記録層に0.4〜0.6μm程度に集束したレーザー光を照射することにより行なう。記録層がレーザー光のエネルギーを吸収すると、レーザー光照射部分では、分解、発熱、溶融等の熱的変形が起こる。一方、記録された情報の再生は、通常、記録時よりもエネルギーの低いレーザー光を記録層に照射するとともに、反射光を光ピックアップ等の手段で受光し、上記熱的変形が起きている部分と起きていない部分の反射率の差を読み取ることにより行なう。
高密度記録のためには、記録時に使用するレーザー光の波長が短いほど好ましい。特に本発明の光記録媒体は、その記録層に上述した本発明のサブポルフィリンを含有することから、その利点を十分に発揮させる観点から、波長350〜530nmのレーザー光を用いて情報の記録を行なうことが好ましい(これを以下適宜「本発明の光記録媒体の記録方法」或いは単に「本発明の記録方法」という。)。
かかる波長350〜530nmのレーザー光の代表例としては、例えば、中心波長405nm、410nmなどの青色レーザー光、中心波長515nmの青緑色の高出力半導体レーザー光が挙げられる。これら以外にも、(a)基本発振波長が740〜960nmの連続発振可能な半導体レーザー光、又は(b)半導体レーザー光によって励起されかつ基本発振波長が740〜960nmの連続発振可能な固体レーザー光の何れかを、第二高調波発生素子(SHG)により波長変換することによって得られる光なども挙げられる。
上記のSHGとしては、反射対称性を欠くピエゾ素子であれば、如何なるものでもよいが、KDP(KH2PO4)、ADP(NH42PO4)、BNN(Ba2NaNb515)、KN(KNbO3)、LBO(LiB35)、化合物半導体などが好ましい。第二高調波の具体例としては、基本発振波長が860nmの半導体レーザーの場合は、その倍波の波長430nm、また半導体レーザー励起の固体レーザーの場合は、CrをドープしたLiSrAlF6結晶(基本発振波長860nm)から得られる倍波の波長430nmなどが挙げられる。これらのうち、中心波長405nmの青色レーザー光を使用することが特に好ましい。
本発明の光記録媒体が有する吸収波長及び吸光度のうち、光記録媒体の吸収スペクトルの最大吸収波長(λmax)が通常300〜380nmであり、該λmaxにおけるモル吸光係数が50000以上であることが好ましい。また、405nmにおける吸収強度は、λmaxにおける吸収強度の通常0%以上、中でも0.01%以上、また、通常15%以下、中でも10%以下の範囲であることが好ましい。
以下、本発明について実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
上記[I.サブポルフィリン化合物の製造方法]の欄に記載した、式(2)の化合物の具体例(即ち、本発明のサブポルフィリン化合物の具体例)の一つである、式(A−1)で表わされるサブポルフィリン化合物(以下「化合物(A−1)」と略称する。)を、以下の手順で合成した。
4−メチルベンズアルデヒド(0.50ml)をプロピオン酸(30ml)に溶解させ、15分間加熱還流した。該溶液に、Acta Chimica Hungarica, Budapest、1975年、86巻、235〜248頁に記載の手法で合成したトリピロールボラン(0.30g)のプロピオン酸溶液(30ml)を、1時間かけて滴下した。滴下後、更に3時間加熱還流させた。反応終了後、減圧条件下で溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、黄色の固体状の生成物(50mg)を得た。
得られた生成物について、プロトン核磁気共鳴法(1H NMR)、飛行時間質量スペクトル法(TOF−MS)、及び、紫外可視(UV−vis)吸収スペクトルの測定を行なった。得られた1H NMR及びTOF−MSの結果を以下に示す。これらの結果から、得られた生成物が上記化合物(A−1)であることが確認された。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ:8.11(s、6H、Por−β)、7.95(d、J=8.0Hz、6H、Ar)、7.50(d、J=8.0Hz、6H、Ar)、2.58(s、9H、CH3)、−2.11(s、1H、B−OH)
UV−vis(λmax、nm):375、462、489nm
TOF−MS(M+):529.2332、計算値:529.23
また、得られた化合物(A−1)の紫外可視吸収スペクトルを図1に示す。図1から明らかなように、化合物(A−1)は350〜400nmに鋭い吸収ピークを有し、青色レーザー光対応の光記録媒体の記録層形成用色素として有用であることが明らかである。
本発明により得られるサブポルフィリン化合物は、情報分野、医療分野、映像分野、触媒分野など様々な分野に応用可能であるが、上述のように350〜400nmに鋭い吸収ピークを有するため、光記録媒体(特に青色レーザー光対応の光記録媒体)の記録層形成用色素として用いることが好ましい。
実施例で得られたサブポルフィリン化合物の紫外可視吸収スペクトルである。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表わされる化合物を用いて、下記一般式(3)で表わされるトリアリールサブポルフィリン化合物を製造する
    ことを特徴とする、サブポルフィリン化合物の製造方法。
    Figure 0004942073
    Figure 0004942073
    (一般式(1)及び一般式(3)中、
    1〜R6はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい芳香環基、又は炭素数0〜20の非芳香環置換基を表わす。但し、R1及びR2、R3及びR4、R5及びR6は、それぞれ結合して環を形成していてもよい。
    Ar1〜Ar3はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香環基を表わす。
    Xは、炭素数20以下のカウンターアニオンを表わす。
  2. 上記一般式(1)で表わされる化合物と芳香族アルデヒド化合物とを酸性条件下で縮合させる工程を少なくとも有する
    ことを特徴とする、請求項1記載のサブポルフィリン化合物の製造方法
  3. 製造されるトリアリールサブポルフィリン化合物が、下記一般式(5)で表わされる
    ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のサブポルフィリン化合物の製造方法。
    Figure 0004942073
    (一般式(5)中、
    Ar1〜Ar3 及びXは、一般式(1)及び一般式(2)と同じ定義を表わす。)
  4. 下記一般式(3)で表わされる
    ことを特徴とする、サブポルフィリン化合物。
    Figure 0004942073
    (一般式(3)中、
    1〜R6はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい芳香環基、又は炭素数0〜20の非芳香環置換基を表わす。但し、R1及びR2、R3及びR4、R5及びR6は、それぞれ結合して環を形成していてもよい。
    Ar1〜Ar3はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香環基を表わす。
    Xは、炭素数20以下のカウンターアニオンを表わす。
  5. 請求項1〜の何れか一項に記載のサブポルフィリン化合物の製造方法により製造されたサブポルフィリン化合物を少なくとも1種含有する
    ことを特徴とする、光記録媒体の記録層形成用色素。
  6. 請求項記載のサブポルフィリン化合物を少なくとも1種含有する
    ことを特徴とする、光記録媒体の記録層形成用色素。
  7. 基板と、該基板上に形成された記録層とを少なくとも有し、
    該記録層が、請求項又は請求項に記載の光記録媒体の記録層形成用色素を用いて形成されたものである
    ことを特徴とする、光記録媒体。
  8. 請求項記載の光記録媒体に対し、波長350〜530nmのレーザー光を用いて記録を行なう
    ことを特徴とする、光記録媒体の記録方法。
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