JP2007118431A - 光学記録媒体及びその記録層形成用色素と記録方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、光学記録媒体の記録層の形成に用いられるジアリールピリジン等のトリアリール金属キレート錯体系色素に関するものである。特に、本発明は青色レーザー光対応の光学記録媒体に用いられる色素に関するものである。本発明はまた、このような色素を用いた記録層を有する光学記録媒体とその記録方法に関する。
近年、高密度での情報の記録保存/再生が可能なことから、レーザー光を用いた光学記録媒体、特に光ディスクについての開発が取り進められている。光ディスクの中でも最近注目を集めているものに、書き込み型コンパクトディスク(CD−R)がある。CD−Rは、通常、案内溝を有する円形のプラスチック基板上に、色素を主成分とする記録層、金属反射膜および保護膜が順次積層された構造をしている。CD−Rへの情報の記録は、レーザー光を照射し、その照射エネルギーが記録層で吸収されることにより、レーザー光照射部分の記録層、反射層または基板に分解、蒸発、溶解等の熱的変形を生じさせる方法(ヒートモード)や、レーザー光照射部分の記録層に含まれる色素の構造を可逆的に変化させる方法(フォトンモード)などにより行なわれる。また、記録された情報の再生は、レーザー光照射による熱的変形や色素構造の変化が起きている部分と起きていない部分のレーザー光に対する反射率の差を読み取ることにより行われる。従って、光学記録媒体の記録層はレーザー光のエネルギーを効率よく吸収する必要があり、記録層には一般的にレーザー光吸収色素が用いられている。
レーザー光吸収色素として有機色素を利用した光学記録媒体は、有機色素溶液を塗布するという簡単な方法で記録層を形成し得るため、安価な光学記録媒体として今後益々普及することが期待されている。
また、近年、記録の高密度化のため、記録に用いるレーザー光の波長を従来の半導体レーザーの発光波長である780nmを中心としたものから、405nm前後以下の青色光領域へと短波長化することが検討されつつある。
さらに、近年、記録媒体の高容量化のため、記録媒体に記録層を2層形成することによって記憶容量の倍化を図った2層記録媒体の作成が検討されている。
光学記録媒体では、記録データの形成、すなわち記録前後における記録層の反射率変化を、一般的に記録レーザー照射前後において色素の吸収強度が低下することに起因する反射率の上昇を用いる方法(吸収変化方式)もしくは記録レーザー照射前後において色素の複素屈折率強度が低下することに起因する反射率の低下を用いる方法(屈折率変化方式)によって行うが、これらのうち、屈折率変化方式による記録が2層記録媒体には有利である。
すなわち、一般的に、吸収変化方式では、未記録状態の記録層はレーザー光をよく吸収するため、1層目の記録層を透過し、2層目に至るレーザー光の強度が低くなる。従って、2層目の記録層には低いレーザー光強度で記録可能な著しく高い記録感度が求められる。さらに、1層目でレーザー光がよく吸収され、2層目に至るレーザー光の強度が低くなるということは、照射光量に対するレーザー光反射率が未記録部・記録部の別なく極端に小さくなることを意味するため、記録後の反射率変化の低下を招き、記録信号の信頼性を低下させる要因ともなる。
これに対して、屈折率変化方式では、色素の吸収極大近傍に存在する複素屈折率極大を利用するため、色素によるレーザー光の吸収は少なく、1層目の記録層を透過し2層目に至る光の量はそれほど低減しない。このことから、2層記録媒体であっても2層目に用いられる記録層用色素化合物のレーザー光に対する記録感度は吸収変化方式で用いられる色素ほど高くなくてよく、また、2層目における記録後の反射率変化が著しく小さくなる懸念はない。さらに、色素によるレーザー光の吸収が少ないということは、再生光劣化に強いことも併せて意味するため、記録媒体に好適である。
先述したように、屈折率変化方式による記録の際には、色素の吸収極大近傍に存在する複素屈折率極大を利用するが、特に記録前後の反射率変化を大きくとるには、吸収極大より長波長側に存在する正の屈折率極大を用いることが好ましい。従って、波長405nm前後の青色レーザー光を記録光として用いる場合、その吸収極大は405nm以下、特に380〜390nm以下である必要がある。さらに、吸収極大近傍における複素屈折率は該吸収極大の半値幅が小さいほど増大するため、吸収極大波長が記録光の波長に近いことが屈折率変化を大きく取れる点で好ましい。また、屈折率変化方式による記録の際には、記録前後における色素の光吸収変化に伴う反射率変化が無視できるほど小さいことが記録前後の反射率変化を大きくとるために好ましく、従って上記のレーザー光を記録光として用いる場合、405nmにおける色素の光吸収が極大吸収波長における吸収強度にくらべ大幅に小さいことが好ましい。
また、一般的にデータの記録および読み出しはともにレーザー光によって行われ、読み出しレーザー光には、記録レーザー光よりも強度の弱いものが用いられるが、光学記録媒体の記録層を形成する色素が、読み出し光である弱いレーザー光照射によって分解されてしまうほど該色素の耐光性が低いと、記録データの読み出しを行う際にデータエラーを生じる原因となる。また、光学記録媒体はその性質上記録面に太陽光や照明等が長時間照射される機会が多いため、色素が耐光性に劣ると光学記録媒体の記録データを長期保存することが困難になる。
さらに、色素を記録層に用いる場合、一般的にスピンコート法を用いて基板へ塗布することが、真空蒸着法に比べコスト面で有利であるため、光学記録媒体用色素は塗布溶媒に高い溶解性を示すことが必須である。
縮合環系化合物の金属キレート錯体は波長300〜500nm付近に吸収極大を有し、光に安定であることから、特に青色レーザー光を用いた光学記録媒体への応用が期待される化合物の1つである。特許文献1では、ベンゾオキサゾールとフェノールの縮合環系化合物のキレート錯体が報告されている。しかしながら、特許文献1には化合物の吸収波長の記載がなく、また、色素の基板への塗布をスピンコート法ではなく真空蒸着法にて行っているため、該実施例における化合物が溶解性に劣ることが容易に推定される。また、本発明者らが特許文献1に例示化合物として記載の下記化合物(3)を用意し、検討を行ったところ、塗布溶媒への溶解性が悪く、さらにその吸収スペクトルは370〜380nmの波長領域に極大吸収を有するものの、青色レーザー光の波長である405nmに大きな吸収を有するため、青色レーザー光対応光学記録媒体には不適であることが明らかとなった。
このようなことから、縮合環系化合物の金属キレート錯体は青色レーザー光対応2層光学記録媒体として期待されながらも、現在まで実用不可能であると考えられていた。
特開2004−74504号公報
本発明は上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、塗布溶剤への溶解性および吸収スペクトル形状に優れ、青色レーザー光を用いた光記録にも対応可能な光学記録媒体の記録層形成用のトリアリール金属キレート錯体系色素を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の一般式(1)で表されるトリアリールリガンド、特に好ましくは以下の一般式(2)で表されるジアリールピリジンリガンドで構成される金属キレート錯体化合物が、溶解性および吸収スペクトル形状に著しく優れ、かつこれを記録層に用いた光学記録媒体が青色レーザー光で良好に記録できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下を要旨とする。
即ち、本発明は、以下を要旨とする。
[1] 下記一般式(1)で表されるトリアリールリガンドと遷移金属カチオンおよび炭素数20以下のカウンターアニオンからなるキレート錯体を含むことを特徴とする光学記録媒体の記録層形成用色素。
(一般式(1)中、環A、環Bおよび環Cはそれぞれ独立に置換基を有していても良い含窒素芳香族複素環を表す。)
[2] [1]において、前記トリアリールリガンドが下記一般式(2)で表されるジアリールピリジンリガンドであることを特徴とする光学記録媒体の記録層形成用色素。
(一般式(2)中、X1およびX2はそれぞれ独立に周期表15族もしくは16族の原子を表し、R1〜R7はそれぞれ独立に水素原子、または置換基を有していても良い芳香環置換基もしくは置換基を有していても良い炭素数20以下の非芳香環置換基を表す。なお、X1、X2が15族原子である場合、さらに炭素数20以下の置換基を有していても良く、R1およびR2、R2およびR3、R4およびR5、R6およびR7は、それぞれ結合して環を形成していても良い。)
[3] [2]において、前記一般式(2)におけるX1およびX2がそれぞれ独立に炭素数20以下の置換基を有していても良い窒素原子であることを特徴とする光学記録媒体の記録層形成用色素。
[4] [2]または[3]において、前記一般式(2)におけるR4およびR5、R6およびR7がそれぞれ結合して芳香環を形成していることを特徴とする光学記録媒体の記録層形成用色素。
[5] [1]ないし[4]のいずれか1項において、前記遷移金属カチオンが周期表第4周期の元素からなることを特徴とする光学記録媒体の記録層形成用色素。
[6] [5]において、前記遷移金属カチオンがFeからなることを特徴とする光学記録媒体の記録層形成用色素。
[7] [1]〜[6]において、薄膜状態での極大吸収波長の一つが330〜390nmの波長領域に含まれることを特徴とする光学記録媒体の記録層形成用色素。
[8] [7]において、薄膜状態での極大吸収波長の一つが360〜390nmの波長領域に含まれることを特徴とする光学記録媒体の記録層形成用色素。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の記録層形成用色素を含む記録層を有することを特徴とする光学記録媒体。
[10] 波長350〜530nmのレーザー光で記録することを特徴とする[9]に記載の光学記録媒体の記録方法。
本発明の光学記録媒体の記録層形成用色素は、溶解性、吸収スペクトル形状および青色レーザー記録感度に優れている。従って、この色素を光学記録媒体の記録層に用いることにより、青色レーザー光による記録特性に優れ、かつ耐光性も良好な高密度2層光学記録媒体を、良好な膜性のもとに、安価に提供することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。
[記録層形成用色素]
本発明に係る光学記録媒体の記録層形成用色素は下記一般式(1)で表されるトリアリールリガンド、特に好ましくは下記一般式(2)で表されるジアリールピリジンリガンドと遷移金属カチオンおよび炭素数20以下のカウンターアニオンからなるキレート錯体(以下「トリアリール金属キレート錯体」と称す場合がある。)を最低1種類含む。
本発明に係る光学記録媒体の記録層形成用色素は下記一般式(1)で表されるトリアリールリガンド、特に好ましくは下記一般式(2)で表されるジアリールピリジンリガンドと遷移金属カチオンおよび炭素数20以下のカウンターアニオンからなるキレート錯体(以下「トリアリール金属キレート錯体」と称す場合がある。)を最低1種類含む。
{語句の説明}
本発明において芳香環とは、芳香族性を有する環、すなわち(4n+2)π電子系(nは自然数)を有する環を意味する。その骨格構造は、通常、5または6員環の、単環または2〜6縮合環からなる芳香環であり、該芳香環には、芳香族炭化水素環、芳香族複素環の他、アントラセン環、カルバゾール環、アズレン環のような縮合環も含まれる。「芳香環置換基」等の「・・・・置換基」とは、このような芳香環等の環から水素原子を1個取った1価の置換基である。
また、「(ヘテロ)アリール」とは「アリール」と「ヘテロアリール」の両方を意味し、「(ヘテロ)アラルキル」とは「アラルキル」と「ヘテロアラルキル」の両方を意味する。
本発明において芳香環とは、芳香族性を有する環、すなわち(4n+2)π電子系(nは自然数)を有する環を意味する。その骨格構造は、通常、5または6員環の、単環または2〜6縮合環からなる芳香環であり、該芳香環には、芳香族炭化水素環、芳香族複素環の他、アントラセン環、カルバゾール環、アズレン環のような縮合環も含まれる。「芳香環置換基」等の「・・・・置換基」とは、このような芳香環等の環から水素原子を1個取った1価の置換基である。
また、「(ヘテロ)アリール」とは「アリール」と「ヘテロアリール」の両方を意味し、「(ヘテロ)アラルキル」とは「アラルキル」と「ヘテロアラルキル」の両方を意味する。
また、本発明において「置換基を有していても良い」とは、置換基を1以上有していても良いことを意味する。
また、「XはYに対して電子供与性である」とは、XとYが直接結合したとき、Xの電子密度がYに対して上回る事を表す。これは、それぞれの構造の電子密度を計算すること等により測定可能である。
なお、本発明の記録層形成用色素中には、本発明に係るトリアリール金属キレート錯体の1種が単独で含まれていても良く、2種以上が混合して含まれていても良い。
以下に、本発明に係るトリアリール金属キレート錯体を構成する上記一般式(1)で表されるトリアリールリガンド、特に好ましくは上記一般式(2)で表されるジアリールピリジンリガンド、遷移金属カチオン、および炭素数20以下のカウンターアニオンについて詳細に説明する。
以下に、本発明に係るトリアリール金属キレート錯体を構成する上記一般式(1)で表されるトリアリールリガンド、特に好ましくは上記一般式(2)で表されるジアリールピリジンリガンド、遷移金属カチオン、および炭素数20以下のカウンターアニオンについて詳細に説明する。
{環A〜C}
前記一般式(1)において、環A〜Cは、それぞれ独立に置換基を有していても良い含窒素芳香族複素環を表す。
環Aの具体例としては、5員環単環としてイミダゾール環、チアゾール環、6員環単環としてピリジン環、ピラジン環、縮合環としてイソキノリン環等が挙げられ、環Bおよび環Cの具体例としては、5員環単環としてイミダゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、6員環単環としてピリジン環、ピラジン環、縮合環としてキノリン環、イソキノリン環、キノキサリン、ベンズイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環等が挙げられる。
これらのうち、トリアリール金属キレート錯体の吸収波長の最適化のため、環Aは6員環単環であることが好ましく、環Bおよび環Cは縮合環であることが好ましい。
前記一般式(1)において、環A〜Cは、それぞれ独立に置換基を有していても良い含窒素芳香族複素環を表す。
環Aの具体例としては、5員環単環としてイミダゾール環、チアゾール環、6員環単環としてピリジン環、ピラジン環、縮合環としてイソキノリン環等が挙げられ、環Bおよび環Cの具体例としては、5員環単環としてイミダゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、6員環単環としてピリジン環、ピラジン環、縮合環としてキノリン環、イソキノリン環、キノキサリン、ベンズイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環等が挙げられる。
これらのうち、トリアリール金属キレート錯体の吸収波長の最適化のため、環Aは6員環単環であることが好ましく、環Bおよび環Cは縮合環であることが好ましい。
なお、環Bおよび環Cはそれぞれ環Aに対し電子供与性であることが好ましい。その具体例としては、環Aがピリジン環やピラジン環などであって、環Bおよび環Cがオキサゾール環やベンズイミダゾール環の場合のように、環Bおよび環Cが環Aと異なることにより電子供与性効果が生じる場合や、環A〜Cは全てピリジン環であるが、環Aにはエステル基を置換基として含み、環BおよびCにはアミノ基が置換基として含まれる場合のように、環A〜Cの含窒素芳香族複素環は同一であるが置換基が異なることにより電子供与性効果が生じる場合等が挙げられる。
なお、環A〜Cが有していても良い置換基の具体例は、後述の一般式(2)におけるR1〜R7として例示したものが相当する。
{X1およびX2}
一般式(2)中、X1およびX2はそれぞれ独立に周期表15族または16族の原子を表す。その具体例としてはN、P、As、O、S、Se等が挙げられるが、これらのうち周期表第2周期の原子であることが、トリアリール金属キレート錯体の吸収スペクトルのシャープさの面で好ましく、Nであることが化合物の溶解性向上の面で特に好ましい。
なお、X1および/またはX2が15族原子である場合、さらに炭素数20以下の置換基を有していても良い。その具体例としては、後述のR1〜R7の具体例のうち、炭素数20以下のものが相当する。
一般式(2)中、X1およびX2はそれぞれ独立に周期表15族または16族の原子を表す。その具体例としてはN、P、As、O、S、Se等が挙げられるが、これらのうち周期表第2周期の原子であることが、トリアリール金属キレート錯体の吸収スペクトルのシャープさの面で好ましく、Nであることが化合物の溶解性向上の面で特に好ましい。
なお、X1および/またはX2が15族原子である場合、さらに炭素数20以下の置換基を有していても良い。その具体例としては、後述のR1〜R7の具体例のうち、炭素数20以下のものが相当する。
{R1〜R7}
一般式(2)中、R1〜R7はそれぞれ独立に水素原子、または置換基を有していても良い芳香環置換基もしくは置換基を有していても良い炭素数0〜20の非芳香環置換基を表す。
一般式(2)中、R1〜R7はそれぞれ独立に水素原子、または置換基を有していても良い芳香環置換基もしくは置換基を有していても良い炭素数0〜20の非芳香環置換基を表す。
〈R1〜R7が芳香環置換基である場合〉
(R1〜R7の骨格構造)
R1〜R7が芳香環置換基である場合、その芳香環の骨格構造の具体例としては、5員環単環としてフラン環、チオフェン環、ピロール環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、6員環単環としてベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、縮合環としてナフタレン環、フェナンスレン環、アズレン環、ピレン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ベンゾフラン環、カルバゾール環、ジベンゾチオフェン環、アントラセン環等が挙げられる。これらのうち、合成上の理由から単環が好ましく、さらに好ましくは6員環の単環であり、特に好ましくはベンゼン環である。
(R1〜R7の骨格構造)
R1〜R7が芳香環置換基である場合、その芳香環の骨格構造の具体例としては、5員環単環としてフラン環、チオフェン環、ピロール環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、6員環単環としてベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、縮合環としてナフタレン環、フェナンスレン環、アズレン環、ピレン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ベンゾフラン環、カルバゾール環、ジベンゾチオフェン環、アントラセン環等が挙げられる。これらのうち、合成上の理由から単環が好ましく、さらに好ましくは6員環の単環であり、特に好ましくはベンゼン環である。
(R1〜R7が有する置換基)
R1〜R7が芳香環置換基である場合、該芳香環はさらに置換基を有していても良い。
該置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、炭化水素環基、複素環基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、(ヘテロ)アリールオキシ基、(ヘテロ)アラルキルオキシ基、さらに置換基を有していても良いアミノ基、ニトロ基、シアノ基、エステル基、カルバモイル基、ハロゲン原子、水酸基などが挙げられる。好ましくは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数3〜20の炭化水素環基、5または6員環の単環または2〜6縮合環由来の複素環基、炭素数1〜9のアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルカルボニル基、炭素数2〜18の(ヘテロ)アリールオキシ基、炭素数3〜18の(ヘテロ)アラルキルオキシ基、アミノ基、炭素数2〜20のアルキルアミノ基、炭素数2〜30の(ヘテロ)アリールアミノ基、カルバモイル基、炭素数2〜20のアルキルカルバモイル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数2〜20のエステル基、ハロゲン原子、水酸基などである。
R1〜R7が芳香環置換基である場合、該芳香環はさらに置換基を有していても良い。
該置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、炭化水素環基、複素環基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、(ヘテロ)アリールオキシ基、(ヘテロ)アラルキルオキシ基、さらに置換基を有していても良いアミノ基、ニトロ基、シアノ基、エステル基、カルバモイル基、ハロゲン原子、水酸基などが挙げられる。好ましくは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数3〜20の炭化水素環基、5または6員環の単環または2〜6縮合環由来の複素環基、炭素数1〜9のアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルカルボニル基、炭素数2〜18の(ヘテロ)アリールオキシ基、炭素数3〜18の(ヘテロ)アラルキルオキシ基、アミノ基、炭素数2〜20のアルキルアミノ基、炭素数2〜30の(ヘテロ)アリールアミノ基、カルバモイル基、炭素数2〜20のアルキルカルバモイル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数2〜20のエステル基、ハロゲン原子、水酸基などである。
炭素数1〜20のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ヘキサドデシル基などが挙げられる。
炭素数2〜20のアルケニル基の例としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ヘキサドデセニル基などが挙げられる。
炭素数2〜20のアルキニル基の例としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、2−メチル−1−プロピニル基、ヘキシニル基、オクチニル、ヘキサドデシニル基などが挙げられる。
炭素数3〜20の炭化水素環基としてはシクロプロピル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、テトラデカヒドロアントラニル基、フェニル基、アントラニル基、フェナンスリル基、フェロセニル基などが挙げられる。
5または6員環の単環または2〜6縮合環由来の複素環基としては、ピリジル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、カルバゾリル基、キノリニル基、2−ピペリジニル基、2−ピペラジニル基、オクタヒドロキノリニル基などが挙げられる。
炭素数1〜9のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基などが挙げられる。
炭素数2〜18のアルキルカルボニル基としては、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、tert−ブチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、ヘキサドデシルカルボニル基などが挙げられる。
炭素数2〜18の(ヘテロ)アリールオキシ基の例としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、ピレニルオキシ基等のアリールオキシ基や、2−チエニルオキシ基、2−フリルオキシ基、2−キノリルオキシ基等のヘテロアリールオキシ基などが挙げられる。
炭素数3〜18の(ヘテロ)アラルキルオキシ基の例としては、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、ナフチルメトキシ基、ピレニルメトキシ基等のアラルキルオキシ基や、2−チエニルメトキシ基、2−フリルメトキシ基、2−キノリルメトキシ基等のヘテロアラルキルオキシ基などが挙げられる。
炭素数2〜20のアルキルアミノ基の例としては、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ピペリジル基、ヘキサドデシルアミノ基などが挙げられる。
炭素数2〜20の(ヘテロ)アリールアミノ基の例としては、ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基、ナフチルフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ピレニルアミノ基等のアリールアミノ基や、ジ(2−チエニル)アミノ基、ジ(2−フリル)アミノ基、フェニル(2−チエニル)アミノ基等のヘテロアリールアミノ基などが挙げられる。
炭素数2〜20のアルキルカルバモイル基としては、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−エチル−N−シクロヘキシルカルバモイル基などが挙げられる。
炭素数2〜20のエステル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。
ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子などが挙げられる。
炭素数2〜20のアルケニル基の例としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ヘキサドデセニル基などが挙げられる。
炭素数2〜20のアルキニル基の例としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、2−メチル−1−プロピニル基、ヘキシニル基、オクチニル、ヘキサドデシニル基などが挙げられる。
炭素数3〜20の炭化水素環基としてはシクロプロピル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、テトラデカヒドロアントラニル基、フェニル基、アントラニル基、フェナンスリル基、フェロセニル基などが挙げられる。
5または6員環の単環または2〜6縮合環由来の複素環基としては、ピリジル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、カルバゾリル基、キノリニル基、2−ピペリジニル基、2−ピペラジニル基、オクタヒドロキノリニル基などが挙げられる。
炭素数1〜9のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基などが挙げられる。
炭素数2〜18のアルキルカルボニル基としては、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、tert−ブチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、ヘキサドデシルカルボニル基などが挙げられる。
炭素数2〜18の(ヘテロ)アリールオキシ基の例としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、ピレニルオキシ基等のアリールオキシ基や、2−チエニルオキシ基、2−フリルオキシ基、2−キノリルオキシ基等のヘテロアリールオキシ基などが挙げられる。
炭素数3〜18の(ヘテロ)アラルキルオキシ基の例としては、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、ナフチルメトキシ基、ピレニルメトキシ基等のアラルキルオキシ基や、2−チエニルメトキシ基、2−フリルメトキシ基、2−キノリルメトキシ基等のヘテロアラルキルオキシ基などが挙げられる。
炭素数2〜20のアルキルアミノ基の例としては、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ピペリジル基、ヘキサドデシルアミノ基などが挙げられる。
炭素数2〜20の(ヘテロ)アリールアミノ基の例としては、ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基、ナフチルフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ピレニルアミノ基等のアリールアミノ基や、ジ(2−チエニル)アミノ基、ジ(2−フリル)アミノ基、フェニル(2−チエニル)アミノ基等のヘテロアリールアミノ基などが挙げられる。
炭素数2〜20のアルキルカルバモイル基としては、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−エチル−N−シクロヘキシルカルバモイル基などが挙げられる。
炭素数2〜20のエステル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。
ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子などが挙げられる。
R1〜R7が芳香環置換基であり、かつ該芳香環が2つ以上の置換基を有する場合、該置換基同士が結合して該芳香環に縮合する環状構造をなしてもよい。例えば、R1〜R7がベンゼン環由来の基である場合、該ベンゼン環が有する置換基同士が結合して環状構造を形成している例として以下に示す構造が挙げられる。なお、以下において、aがジアリールピリジン骨格への結合位置である。
なお、R1〜R7が芳香環置換基である場合は、上述のような置換基をさらに有している方が、トリアリール金属キレート錯体の溶媒溶解性および膜性向上の観点から好ましいが、置換基を有していない方が合成上の観点から好ましい。特に、テトラフルオロプロパノールやメチルセロソルブなどの極性溶媒に対しては、N,N−二置換カルバモイル基やエステル基などの極性置換基を有することが該溶媒に対する溶解性向上の面で好ましく、塩化メチレン、ジブチルエーテルやメチルシクロヘキサンなどの非極性溶媒に対しては、アルキル基やアルキルオキシ基などの非極性置換基を有することが該溶媒に対する溶解性向上の面で好ましい。
また、該芳香環に対する置換基の置換位置については、よりジアリールピリジン骨格に近接するように置換することがトリアリール金属キレート錯体の溶媒溶解性および膜性向上の面で好ましいが、離れている方が合成上の理由から好ましい。
また、該芳香環に対する置換基の置換位置については、よりジアリールピリジン骨格に近接するように置換することがトリアリール金属キレート錯体の溶媒溶解性および膜性向上の面で好ましいが、離れている方が合成上の理由から好ましい。
〈R1〜R7が非芳香環置換基である場合〉
R1〜R7がそれぞれ独立に炭素数0〜20の非芳香環置換基である場合、その具体例としては上述のR1〜R7が置換基を有していても良い芳香環である場合、さらに有していてもよい置換基として挙げられた具体例のうち、芳香環以外の官能基が、それぞれ相当する。
R1〜R7がそれぞれ独立に炭素数0〜20の非芳香環置換基である場合、その具体例としては上述のR1〜R7が置換基を有していても良い芳香環である場合、さらに有していてもよい置換基として挙げられた具体例のうち、芳香環以外の官能基が、それぞれ相当する。
なお、R1〜R7のうち、隣接する置換基同士はそれぞれ結合して環を形成していても良い。その具体例としては、例えばR4およびR5が結合して環を形成している例として、以下に示すものが挙げられる。
なお、以下において点線で示される部分が前記一般式(2)におけるジアリールピリジン骨格の一部を表し、これらの環構造はさらに炭素数20以下の置換基を有していても良く、その場合の置換基の具体例は上述のR1〜R7が置換基を有していても良い芳香環である場合、さらに有していてもよい置換基として挙げられた具体例が相当する。
なお、以下において点線で示される部分が前記一般式(2)におけるジアリールピリジン骨格の一部を表し、これらの環構造はさらに炭素数20以下の置換基を有していても良く、その場合の置換基の具体例は上述のR1〜R7が置換基を有していても良い芳香環である場合、さらに有していてもよい置換基として挙げられた具体例が相当する。
〈R1〜R7の好ましい組み合わせ〉
R1〜R7のうち、R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子または炭素数20以下の非芳香環置換基であることが合成面で好ましく、R4およびR5、R6およびR7はそれぞれ結合して含窒素5員環に縮合する芳香環を形成していることがトリアリール金属キレート錯体が青色レーザー光に対する最適記録波長を達成できる面で好ましく、合成面で特に好ましくは該含窒素5員環に縮合する芳香環が置換基を有していてもよいベンゼン環であることである。また、該ベンゼン環が有する置換基が電子供与性置換基であることが、吸収極大の長波長化およびキレート錯体の安定化の面で好ましい。
R1〜R7のうち、R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子または炭素数20以下の非芳香環置換基であることが合成面で好ましく、R4およびR5、R6およびR7はそれぞれ結合して含窒素5員環に縮合する芳香環を形成していることがトリアリール金属キレート錯体が青色レーザー光に対する最適記録波長を達成できる面で好ましく、合成面で特に好ましくは該含窒素5員環に縮合する芳香環が置換基を有していてもよいベンゼン環であることである。また、該ベンゼン環が有する置換基が電子供与性置換基であることが、吸収極大の長波長化およびキレート錯体の安定化の面で好ましい。
〈R1〜R7の分子量〉
R1〜R7の分子量は吸光度低下による記録感度低下を防止する観点から、さらに置換基を有する場合はその置換基も含めて、合計で1,000以下であることが好ましい。
R1〜R7の分子量は吸光度低下による記録感度低下を防止する観点から、さらに置換基を有する場合はその置換基も含めて、合計で1,000以下であることが好ましい。
{遷移金属カチオン}
遷移金属カチオンとして挙げられる金属元素は、前記一般式(1)で表されるトリアリールリガンドと金属錯体を形成し得るものであれば何でも良く、具体例としてはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,Pt,Au,Er等が挙げられる。
遷移金属カチオンは経済面から周期表第4周期元素であることが好ましく、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cuがさらに好ましく、Feが吸収波長の最適化の面で特に好ましい。
また、遷移金属カチオンの価数は特に規定されないが、スペクトル形状を光学記録媒体用途に適用可能とするためには2〜4価、特に2価であることが好ましい。
遷移金属カチオンとして挙げられる金属元素は、前記一般式(1)で表されるトリアリールリガンドと金属錯体を形成し得るものであれば何でも良く、具体例としてはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,Pt,Au,Er等が挙げられる。
遷移金属カチオンは経済面から周期表第4周期元素であることが好ましく、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cuがさらに好ましく、Feが吸収波長の最適化の面で特に好ましい。
また、遷移金属カチオンの価数は特に規定されないが、スペクトル形状を光学記録媒体用途に適用可能とするためには2〜4価、特に2価であることが好ましい。
{カウンターアニオン}
炭素数20以下のカウンターアニオンの具体例としては、アルコール、フェノール、カルボン酸、ホスホン酸、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、沃素など)、過塩素酸、過沃素酸、シアン酸、イソシアン酸、イソチオシアン酸、アジド、硝酸、炭酸、炭酸水素酸、置換または無置換の硫酸(硫酸、硫酸水素酸、メチル硫酸など)、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トシル酸、置換または無置換のリン酸(リン酸、リン酸水素酸、リン酸二水素酸、フェニルリン酸など)、六フッ化リン、六フッ化アンチモン、置換または無置換のホスフィン酸(ホスフィン酸、メチルホスフィン酸など)、置換または無置換のボロン酸(テトラフェニルボロン酸など)、ベンゼンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸それぞれをアニオン化したもの等が挙げられる。
これらのうち、吸光度低下による記録感度低下を防止する観点から、分子量300以下のものが好ましく、トリアリール金属キレート錯体の溶媒溶解性およびレーザー感度の向上の面から、ハロゲンアニオン、過塩素酸アニオン、四フッ化ホウ素アニオン、六フッ化リンアニオン、トリフルオロ酢酸アニオン等が含まれることが特に好ましい。
炭素数20以下のカウンターアニオンの具体例としては、アルコール、フェノール、カルボン酸、ホスホン酸、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、沃素など)、過塩素酸、過沃素酸、シアン酸、イソシアン酸、イソチオシアン酸、アジド、硝酸、炭酸、炭酸水素酸、置換または無置換の硫酸(硫酸、硫酸水素酸、メチル硫酸など)、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トシル酸、置換または無置換のリン酸(リン酸、リン酸水素酸、リン酸二水素酸、フェニルリン酸など)、六フッ化リン、六フッ化アンチモン、置換または無置換のホスフィン酸(ホスフィン酸、メチルホスフィン酸など)、置換または無置換のボロン酸(テトラフェニルボロン酸など)、ベンゼンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸それぞれをアニオン化したもの等が挙げられる。
これらのうち、吸光度低下による記録感度低下を防止する観点から、分子量300以下のものが好ましく、トリアリール金属キレート錯体の溶媒溶解性およびレーザー感度の向上の面から、ハロゲンアニオン、過塩素酸アニオン、四フッ化ホウ素アニオン、六フッ化リンアニオン、トリフルオロ酢酸アニオン等が含まれることが特に好ましい。
{キレート錯体の構成形態}
前記一般式(1)、好ましくは一般式(2)で表されるトリアリールリガンド、遷移金属カチオンおよびカウンターアニオンの、それぞれのトリアリール金属キレート錯体1分子中における構成数に関しては、金属キレート錯体として中性となるようなものであれば特に規定されないが、金属カチオン1に対してトリアリールリガンドの構成数が1〜2であり、アニオンの構成数が該金属カチオンの価数であることが好ましい。
また、トリアリールリガンド、遷移金属カチオンおよびカウンターアニオンの構成数のいずれかが2以上である場合、それぞれのトリアリールリガンド、遷移金属カチオンおよびカウンターアニオンは同じでも良く、異なっていても良い。たとえば、金属キレート錯体1分子中に遷移金属カチオンが2つ含まれている場合、該遷移金属カチオンがCr3+およびCu2+であっても良い。
前記一般式(1)、好ましくは一般式(2)で表されるトリアリールリガンド、遷移金属カチオンおよびカウンターアニオンの、それぞれのトリアリール金属キレート錯体1分子中における構成数に関しては、金属キレート錯体として中性となるようなものであれば特に規定されないが、金属カチオン1に対してトリアリールリガンドの構成数が1〜2であり、アニオンの構成数が該金属カチオンの価数であることが好ましい。
また、トリアリールリガンド、遷移金属カチオンおよびカウンターアニオンの構成数のいずれかが2以上である場合、それぞれのトリアリールリガンド、遷移金属カチオンおよびカウンターアニオンは同じでも良く、異なっていても良い。たとえば、金属キレート錯体1分子中に遷移金属カチオンが2つ含まれている場合、該遷移金属カチオンがCr3+およびCu2+であっても良い。
{分子量}
前記一般式(1)、好ましくは一般式(2)で表されるトリアリールリガンドを含む本発明に係るトリアリール金属キレート錯体は、吸光度低下による感度低下防止の点から、金属カチオンおよびアニオンを含めて、通常分子量2,500以下、中でも1,500以下であることが好ましい。
なお、本発明に係るキレート錯体は、通常水不溶性であることが好ましい。
前記一般式(1)、好ましくは一般式(2)で表されるトリアリールリガンドを含む本発明に係るトリアリール金属キレート錯体は、吸光度低下による感度低下防止の点から、金属カチオンおよびアニオンを含めて、通常分子量2,500以下、中でも1,500以下であることが好ましい。
なお、本発明に係るキレート錯体は、通常水不溶性であることが好ましい。
{具体例}
一般式(1)で表されるトリアリールリガンドの具体例を以下に例示するが、本発明はその要旨を超えない限りこれらに限定されるものではない。なお、以下においてEtはエチル基を、Acはアセチル基を表す。
なお、以下の例示化合物のうち、O−1〜8は一般式(1)で表されるトリアリールリガンドであるが、一般式(2)で表されるジアリールピリジンリガンドではないものの具体例であり、A−1〜31は一般式(2)で表される本発明に好適なジアリールピリジンリガンドの具体例である。
一般式(1)で表されるトリアリールリガンドの具体例を以下に例示するが、本発明はその要旨を超えない限りこれらに限定されるものではない。なお、以下においてEtはエチル基を、Acはアセチル基を表す。
なお、以下の例示化合物のうち、O−1〜8は一般式(1)で表されるトリアリールリガンドであるが、一般式(2)で表されるジアリールピリジンリガンドではないものの具体例であり、A−1〜31は一般式(2)で表される本発明に好適なジアリールピリジンリガンドの具体例である。
{合成法}
一般式(1)で表されるトリアリールリガンド、好ましくは一般式(2)で表されるジアリールピリジンリガンドは、種々の方法によって容易に合成できる。
一般式(2)で表されるジアリールピリジンリガンドについては、例えばアミノエチレン誘導体とアリールアルデヒドやアリールカルボン酸誘導体を縮合させ、次ぐ酸化反応によって得る方法や、イミダゾール誘導体やオキサゾール誘導体などとピリジルハライド誘導体を根岸カップリングで縮合させる方法など、種々の方法によって合成可能である。
本発明に係るトリアリール金属キレート錯体は、得られたトリアリールリガンドと遷移金属塩を溶媒の存在または非存在下に常温から溶媒が還流する程度の温度で反応させることにより得ることができる。カウンターアニオンは、得られた金属キレート錯体をさらに目的とするアニオンを含むアンモニウム塩などで処理することにより変更することができる。
一般式(1)で表されるトリアリールリガンド、好ましくは一般式(2)で表されるジアリールピリジンリガンドは、種々の方法によって容易に合成できる。
一般式(2)で表されるジアリールピリジンリガンドについては、例えばアミノエチレン誘導体とアリールアルデヒドやアリールカルボン酸誘導体を縮合させ、次ぐ酸化反応によって得る方法や、イミダゾール誘導体やオキサゾール誘導体などとピリジルハライド誘導体を根岸カップリングで縮合させる方法など、種々の方法によって合成可能である。
本発明に係るトリアリール金属キレート錯体は、得られたトリアリールリガンドと遷移金属塩を溶媒の存在または非存在下に常温から溶媒が還流する程度の温度で反応させることにより得ることができる。カウンターアニオンは、得られた金属キレート錯体をさらに目的とするアニオンを含むアンモニウム塩などで処理することにより変更することができる。
{耐光性}
下記一般式(1)で表されるトリアリールリガンドと遷移金属カチオンおよび炭素数20以下のカウンターアニオンからなるキレート錯体を含む本発明の記録層形成用色素のうち好ましいものは、耐光性および吸収スペクトル形状に優れ、さらに光学記録媒体の記録層形成に用いたときの膜性および記録感度に優れるという特徴がある。
この場合の耐光性に優れるとは、後述する記録層形成方法に従って、約50nmの膜厚になるように形成したトリアリール金属キレート錯体薄膜に対し、温度58℃−湿度50%−キセノンランプ(強度0.55W/m2)照射条件の耐光性試験を40時間行っても当該トリアリール金属キレート錯体の50%以上が劣化せずに残存することを言う。ここで、劣化の度合いは波長300〜500nmにおける吸収極大の吸収減少率によって判定する。
また、吸収スペクトル形状に優れるとは、後述する記録層形成方法に従って形成されたトリアリール金属キレート錯体の薄膜状態での吸収極大の少なくとも1つが330〜390nm、好ましくは360〜390nmの波長領域に存在し、さらに、該波長領域における吸収極大のうち、青色レーザー記録光の波長である405nmに最も近いものの吸収強度に対し、波長405nmにおける吸収強度が1〜20%であることを言う。
下記一般式(1)で表されるトリアリールリガンドと遷移金属カチオンおよび炭素数20以下のカウンターアニオンからなるキレート錯体を含む本発明の記録層形成用色素のうち好ましいものは、耐光性および吸収スペクトル形状に優れ、さらに光学記録媒体の記録層形成に用いたときの膜性および記録感度に優れるという特徴がある。
この場合の耐光性に優れるとは、後述する記録層形成方法に従って、約50nmの膜厚になるように形成したトリアリール金属キレート錯体薄膜に対し、温度58℃−湿度50%−キセノンランプ(強度0.55W/m2)照射条件の耐光性試験を40時間行っても当該トリアリール金属キレート錯体の50%以上が劣化せずに残存することを言う。ここで、劣化の度合いは波長300〜500nmにおける吸収極大の吸収減少率によって判定する。
また、吸収スペクトル形状に優れるとは、後述する記録層形成方法に従って形成されたトリアリール金属キレート錯体の薄膜状態での吸収極大の少なくとも1つが330〜390nm、好ましくは360〜390nmの波長領域に存在し、さらに、該波長領域における吸収極大のうち、青色レーザー記録光の波長である405nmに最も近いものの吸収強度に対し、波長405nmにおける吸収強度が1〜20%であることを言う。
なお、本発明のトリアリール金属錯体化合物が耐光性および吸収スペクトル形状に優れる理由は、金属キレート化によりトリアリールリガンドが安定化し、さらに金属化によってリガンド内の各芳香環同士の二面角が90度を下回り、π共役効果が生じたためであると推定される。
[記録層]
本発明の光学記録媒体が有する記録層は、一般式(1)で表わされるトリアリールリガンド、遷移金属カチオンおよび炭素数20以下のカウンターアニオンとからなるトリアリール金属キレート錯体を含む記録層形成用色素を含む。記録層に占める本発明に係るトリアリール金属キレート錯体の割合は、通常10重量%以上、好ましくは50重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。なお、記録層中には、本発明に係るトリアリール金属キレート錯体の1種が含まれていても良く、2種以上が含まれていても良い。
本発明の光学記録媒体が有する記録層は、一般式(1)で表わされるトリアリールリガンド、遷移金属カチオンおよび炭素数20以下のカウンターアニオンとからなるトリアリール金属キレート錯体を含む記録層形成用色素を含む。記録層に占める本発明に係るトリアリール金属キレート錯体の割合は、通常10重量%以上、好ましくは50重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。なお、記録層中には、本発明に係るトリアリール金属キレート錯体の1種が含まれていても良く、2種以上が含まれていても良い。
記録層は成膜性を向上させるためにバインダーを含有していてもよい。バインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ケトン樹脂、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート等既知のものが1種を単独で、或いは2種以上を混合して用いられる。
記録層に占めるバインダーの割合が高すぎると記録感度が著しく低下するので、バインダー、さらには後述の各種添加剤を用いる場合、形成された記録層に占める本発明に係るトリアリール金属キレート錯体の割合が、上記の範囲となるような量を用いる。
記録層に占めるバインダーの割合が高すぎると記録感度が著しく低下するので、バインダー、さらには後述の各種添加剤を用いる場合、形成された記録層に占める本発明に係るトリアリール金属キレート錯体の割合が、上記の範囲となるような量を用いる。
また、記録層は、安定性や耐光性向上のための一重項酸素クエンチャーや記録感度向上剤などを含有していても良い。
一重項酸素クエンチャーとしては、アセチルアセトナート、ビスフェニルジチオール、サリチルアルデヒドオキシム、ビスジチオ−α−ジケトン等と遷移金属とのキレート化合物などが挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
記録感度向上剤としては、遷移金属等の金属が原子、イオン、クラスター等の形で化合物に含まれる金属系化合物等が挙げられ、例えばエチレンジアミン系錯体、アゾメチン系錯体、フェニルヒドロキシアミン系錯体、フェナントロリン系錯体、ジヒドロキシアゾベンゼン系錯体、ジオキシム系錯体、ニトロソアミノフェノール系錯体、ピリジルトリアジン系錯体、アセチルアセトナート系錯体、メタロセン系錯体のような有機金属化合物などが挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。金属原子の種類は特に限定されないが、遷移金属が好ましい。
なお、一重項酸素クエンチャーは錯体に対して通常5〜30重量%程度、記録感度向上剤は錯体に対して通常10〜30重量%程度用いられる。
なお、一重項酸素クエンチャーは錯体に対して通常5〜30重量%程度、記録感度向上剤は錯体に対して通常10〜30重量%程度用いられる。
記録層には、必要に応じてさらに他系統の色素を併用することもできる。併用し得る他系統の色素としては、記録用のレーザー光波長域に吸収を有し、照射されたレーザー光のエネルギーを吸収して、照射部分の記録層、反射層または基板に、分解、蒸発、溶解等の熱的変形を伴うピットを形成させるものが好ましい。具体的には、波長405nmに吸収を有し、300℃以下の温度域において、発熱を伴い分解する色素がさらに好ましい。他系統の色素としては、具体的には、含金属アゾ系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、シアニン系色素、アゾ系色素、スクアリリウム系色素、含金属インドアニリン系色素、トリアリールメタン系色素、メロシアニン系色素、アズレニウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、インドフェノール系色素、キサンテン系色素、オキサジン系色素、ピリリウム系色素、ポルフィリン系色素、アザポルフィリン系色素、赤外吸収色素等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。
なお、これら他系統の色素のうち、CD−R向けの770〜830nmの範囲から選ばれた波長の近赤外レーザー光やDVD−R向けの620〜690nmの範囲から選ばれた波長の赤色レーザー光での記録に適する色素を併用して、複数の波長域のレーザー光での記録に対応する光学記録材料とすることもできる。
本発明の記録層形成用色素を用いて光学記録媒体の記録層を形成するには、真空蒸着法、スパッタリング法、ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等の一般に行われている薄膜形成法を用いることができる。
これらのうち、量産性、コスト面からスピンコート法が好ましい。
スピンコート法により記録層を成膜する場合、回転数は500〜5000rpmが好ましく、スピンコート後、必要に応じて、加熱または溶媒蒸気にさらす等の処理を行ってもよい。
記録層の膜厚は、特に限定されないが、通常10nm〜5μm、好ましくは20nm〜2μm、さらに好ましくは50nm以上300nm以下である。色素層の膜厚が前記の下限値より大きい場合は、熱拡散の影響を抑えることができ、良好な記録がしやすい。また、記録信号に歪みが発生しにくいため、信号振幅を大きくしやすい。色素層の膜厚が前記の上限値より小さい場合は、反射率を高くしやすく、再生信号特性を良好としやすい。
これらのうち、量産性、コスト面からスピンコート法が好ましい。
スピンコート法により記録層を成膜する場合、回転数は500〜5000rpmが好ましく、スピンコート後、必要に応じて、加熱または溶媒蒸気にさらす等の処理を行ってもよい。
記録層の膜厚は、特に限定されないが、通常10nm〜5μm、好ましくは20nm〜2μm、さらに好ましくは50nm以上300nm以下である。色素層の膜厚が前記の下限値より大きい場合は、熱拡散の影響を抑えることができ、良好な記録がしやすい。また、記録信号に歪みが発生しにくいため、信号振幅を大きくしやすい。色素層の膜厚が前記の上限値より小さい場合は、反射率を高くしやすく、再生信号特性を良好としやすい。
記録層をドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等により形成する場合には、まず、本発明の記録層形成用色素、バインダー、必要に応じて一重項酸素クエンチャー、記録感度向上剤および他の色素等を溶媒に溶解させ、塗布液を作成する。
溶媒としては、基板を侵さない溶媒であれば、特に限定されず、ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、n−ヘキサン、n−オクタン等の鎖状炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、t−ブチルシクロヘキサン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素系溶媒、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒、テトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール、ヘキサフルオロブタノール等のパーフルオロアルキルアルコール系溶媒、乳酸メチル、乳酸エチル、イソ酪酸メチル等のヒドロキシエステル系溶媒等が挙げられるが、テトラフルオロプロパノール(TFP)、オクタフルオロペンタノール、ヘキサフルオロブタノール等のパーフルオロアルキルアルコール系溶媒を用いることが工業面からさらに好ましく、現在一般に工業的に用いられている溶媒であるTFPを用いることが特に好ましい。なお、これらの溶媒は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
塗布液中の本発明に係るトリアリール金属キレート錯体の濃度は、その溶媒溶解性に応じて適宜決定されるが、通常0.5重量%以上、好ましくは1.0重量%以上で、通常10重量%以下、好ましくは3.0重量%以下とされる。塗布液中の色素濃度が過度に低いと、記録層の形成効率が悪くなる。塗布液中の色素濃度が過度に高いと成膜工程において、色素の結晶化等の問題が発生する。
[光学記録媒体]
本発明の光学記録媒体は、本発明の記録層形成用色素を用いて上述のようにして形成された記録層を有するものである。
本発明の光学記録媒体は、本発明の記録層形成用色素を用いて上述のようにして形成された記録層を有するものである。
記録層を形成する光学記録媒体の基板としては、ガラスや種々のプラスチックなど、使用するレーザー光に対して透明なものが好ましく用いられる。プラスチックとしては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ニトロセルロース、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられるが、生産性、コスト、耐吸湿性などの点からポリカーボネート樹脂を射出成形したものが好ましい。
通常、基板上には、必要に応じてさらに、反射層、保護層、下引き層などの記録層以外の層が設けられ、光学記録媒体として使用される。
反射層としては、金、銀、アルミニウムまたはそれらの合金のような金属からなるもの等が挙げられるが、550nm以下の波長のレーザー光に対する反射率から、金やアルミニウムより、銀の方が好ましい。金属反射層は、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などによって記録層上に成膜される。ここで、金属反射層と記録層との間に層間の密着力を向上させるため、または、反射率を高める等の目的で中間層を設けてもよい。
反射層の上に形成する保護層の材料は、反射層を外力から保護するものであれば特に限定されない。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、UV(紫外線)硬化性樹脂等の有機物質、SiO2、SiN4、MgF2、SnO2等の無機物質などが挙げられる。
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等よりなる保護層は適当な溶剤に溶解して塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。
UV硬化性樹脂よりなる保護層は、そのままもしくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後にこの塗布液を塗布し、UV光を照射して硬化させることによって形成することができる。UV硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等のアクリレート系樹脂を用いることができる。
これらの材料は1種を単独でまたは2種以上を混合して用いても良いし、1層だけでなく多層膜にして用いても良い。
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等よりなる保護層は適当な溶剤に溶解して塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。
UV硬化性樹脂よりなる保護層は、そのままもしくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後にこの塗布液を塗布し、UV光を照射して硬化させることによって形成することができる。UV硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等のアクリレート系樹脂を用いることができる。
これらの材料は1種を単独でまたは2種以上を混合して用いても良いし、1層だけでなく多層膜にして用いても良い。
保護層の形成の方法としては、記録層と同様に、スピンコート法やキャスト法等の塗布法やスパッタ法や化学蒸着法等の方法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。保護層の膜厚は、通常、0.1μm以上、100μm以下の範囲である。
なお、各層間の接着力を高めるために、各層間に下引き層を形成しても良い。下引き層の種類としては、各層の接着力を高め、かつ各層の性質に影響を与えないものであれば特に限定されないが、取扱いの容易さから有機層であることが好ましい。
さらに、上記構成の光学記録媒体を接着層を介して2枚貼りあわせ、両面記録型光学記録媒体としてもよいし、記録層を基板の両面に設けてもよいし、片面に設けてもよい。
上述のようにして得られた光学記録媒体への情報の記録は、通常、記録層に0.4〜0.6μm程度に集束したレーザー光を照射することにより行う。記録層がレーザー光のエネルギーを吸収すると、レーザー光照射部分では、分解、発熱、溶融等の熱的変形が起こる。記録された情報の再生は、レーザー光による上記熱的変形が起きている部分と起きていない部分の反射率の差を読み取ることにより行う。
高密度記録のためには、使用するレーザー光の波長が短いほど好ましく、特に、波長350nm〜530nmのレーザー光が好ましい。かかるレーザー光の代表例としては、例えば、中心波長405nm、410nmなどの青色レーザー光、中心波長515nmの青緑色の高出力半導体レーザー光が挙げられる。これら以外にも(a)基本発振波長が740〜960nmの連続発振可能な半導体レーザー光、または(b)半導体レーザー光によって励起されかつ基本発振波長が740〜960nmの連続発振可能な固体レーザー光のいずれかを、第二高調波発生素子(SHG)により波長変換することによって得られる光なども挙げられる。
これらのうち、工業的に利用可能な405nm青色レーザー光を用いることが好ましい。
これらのうち、工業的に利用可能な405nm青色レーザー光を用いることが好ましい。
光学記録媒体が有する吸収波長および吸光度は用いるレーザーの種類に依存するが、特に405nmを中心波長とする青色レーザーに対しては、光学記録媒体の吸収スペクトルの最大吸収波長(λmax)が330〜390nmであり、該λmaxにおけるモル吸光係数が20,000以上であることが好ましく、λmaxが360〜390nmであり、該λmaxにおけるモル吸光係数が30,000以上であることが特に好ましい。
また、屈折率方式による記録を可能にするため、405nmにおける吸収強度はλmaxにおける吸収強度の通常0.1〜25%であり、好ましくは1〜20%、特に好ましくは5〜15%である。
また、屈折率方式による記録を可能にするため、405nmにおける吸収強度はλmaxにおける吸収強度の通常0.1〜25%であり、好ましくは1〜20%、特に好ましくは5〜15%である。
特に、後述の実施例に示すように、本発明に係るトリアリール金属キレート錯体化合物はこれら青色レーザー光を用いた光学記録媒体に好適である。また、本発明に係るトリアリール金属キレート錯体化合物は合成が容易であることから、安価な光学記録媒体を提供することができる。
また、本発明に係るトリアリール金属キレート錯体化合物は、記録レーザー感度に優れる。具体的には、本発明に係るジアリールピリジン金属キレート錯体化合物を記録層に含んだ光学記録媒体のうち好ましいものは、中心波長404nm、NA=0.85の青色レーザー光を照射した場合に、レーザー強度12mW以下においても良好な記録ピットの形成が可能である。
なお、ここで良好な記録ピットの形成が可能であるとは、特定のレーザー強度の青色レーザー光を光学記録媒体の記録面に照射した場合に、目視もしくは光学顕微鏡を用いてピットの形成を確認できることを言う。
また、本発明に係るトリアリール金属キレート錯体化合物は、記録レーザー感度に優れる。具体的には、本発明に係るジアリールピリジン金属キレート錯体化合物を記録層に含んだ光学記録媒体のうち好ましいものは、中心波長404nm、NA=0.85の青色レーザー光を照射した場合に、レーザー強度12mW以下においても良好な記録ピットの形成が可能である。
なお、ここで良好な記録ピットの形成が可能であるとは、特定のレーザー強度の青色レーザー光を光学記録媒体の記録面に照射した場合に、目視もしくは光学顕微鏡を用いてピットの形成を確認できることを言う。
さらに、本発明に係るトリアリール金属キレート錯体化合物は、膜性に優れている。すなわち、スピンコート法により記録層を形成後、ディスク表面に化合物の結晶化に由来する白化現象が認められない点においても、工業的に有利である。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下において、NMR(核磁気共鳴)分析には、Brucker社のAV−400M核磁気共鳴分析装置(400MHz)を用い、室温にて重クロロホルム溶媒中でプロトンの測定を行った。
なお、以下において、NMR(核磁気共鳴)分析には、Brucker社のAV−400M核磁気共鳴分析装置(400MHz)を用い、室温にて重クロロホルム溶媒中でプロトンの測定を行った。
[実施例1]
〈例示化合物(A−1)の金属キレート錯体(金属カチオン:Fe2+、カウンターアニオン:PF6 −)の合成〉
アルドリッチ社製の2,6−ビス(2−ベンズイミダゾリノ)ピリジン(100mg)をエタノール(5ml)に溶解させ、塩化鉄(II)四水和物(35mg)のエタノール溶液(0.5ml)を加えた。反応混合物にさらに六フッ化リンアンモニウム(100mg)のエタノール溶液(1ml)を加えた後、溶媒を減圧条件下で濃縮した。脱塩水(10ml)を加え、生成した沈殿を濾別し、脱塩水で洗浄した。さらに乾燥させることで紫色の目的化合物(100mg、収率64%)を得た。
〈例示化合物(A−1)の金属キレート錯体(金属カチオン:Fe2+、カウンターアニオン:PF6 −)の合成〉
アルドリッチ社製の2,6−ビス(2−ベンズイミダゾリノ)ピリジン(100mg)をエタノール(5ml)に溶解させ、塩化鉄(II)四水和物(35mg)のエタノール溶液(0.5ml)を加えた。反応混合物にさらに六フッ化リンアンモニウム(100mg)のエタノール溶液(1ml)を加えた後、溶媒を減圧条件下で濃縮した。脱塩水(10ml)を加え、生成した沈殿を濾別し、脱塩水で洗浄した。さらに乾燥させることで紫色の目的化合物(100mg、収率64%)を得た。
[実施例2]
〈例示化合物(A−2)の合成〉
アルドリッチ社製のN−メチルベンズイミダゾール(0.70g)を無水テトラヒドロフラン(THF)(20ml)に溶解させ、窒素雰囲気下で−78℃に冷却した。1.6Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液(3.5ml)を加え、さらに0.5時間撹拌した。得られた橙色の溶液を無水塩化亜鉛(2.0g)の無水THF溶液(30ml)に−78℃、窒素雰囲気下の条件で加えた。反応混合物を室温に戻して3時間撹拌した。
得られた反応混合物に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.0g)および2,6−ジブロモピリジン(0.40g)を加え、窒素雰囲気下で4時間加熱還流させた。得られた反応混合物を濾過し、THFで洗浄した。得られた濾物を6N水酸化ナトリウム水溶液(50ml)に懸濁させ、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。さらに硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧条件で留去し、乾燥させることで白色の目的化合物(0.35g、収率60%)を得た。
得られた化合物の同定はプロトンNMRにより行った。
1H NMR(ppm)δ:8.42(d,J=8.0Hz,2H)、8.06(t,J=8.0Hz,1H),7.88(m,2H),7.55(m,2H),7.38(m,4H)、4.26(s,6H)
〈例示化合物(A−2)の合成〉
アルドリッチ社製のN−メチルベンズイミダゾール(0.70g)を無水テトラヒドロフラン(THF)(20ml)に溶解させ、窒素雰囲気下で−78℃に冷却した。1.6Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液(3.5ml)を加え、さらに0.5時間撹拌した。得られた橙色の溶液を無水塩化亜鉛(2.0g)の無水THF溶液(30ml)に−78℃、窒素雰囲気下の条件で加えた。反応混合物を室温に戻して3時間撹拌した。
得られた反応混合物に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.0g)および2,6−ジブロモピリジン(0.40g)を加え、窒素雰囲気下で4時間加熱還流させた。得られた反応混合物を濾過し、THFで洗浄した。得られた濾物を6N水酸化ナトリウム水溶液(50ml)に懸濁させ、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。さらに硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧条件で留去し、乾燥させることで白色の目的化合物(0.35g、収率60%)を得た。
得られた化合物の同定はプロトンNMRにより行った。
1H NMR(ppm)δ:8.42(d,J=8.0Hz,2H)、8.06(t,J=8.0Hz,1H),7.88(m,2H),7.55(m,2H),7.38(m,4H)、4.26(s,6H)
〈例示化合物(A−2)の金属キレート錯体(金属カチオン:Fe2+、カウンターアニオン:PF6 −)の合成〉
化合物(A−2)(100mg)をエタノール(10ml)に溶解させ、70℃に加熱した。該溶液にさらに塩化鉄(II)四水和物(30mg)のエタノール溶液(0.5ml)を加えた。得られた反応混合物にさらに六フッ化リンアンモニウム(100mg)のエタノール溶液(1ml)を加えた後、室温まで冷却した。生成した沈殿を濾別し、エタノール(10ml)で洗浄した。さらに乾燥させることで紫色の目的化合物(100mg、収率66%)を得た。
化合物(A−2)(100mg)をエタノール(10ml)に溶解させ、70℃に加熱した。該溶液にさらに塩化鉄(II)四水和物(30mg)のエタノール溶液(0.5ml)を加えた。得られた反応混合物にさらに六フッ化リンアンモニウム(100mg)のエタノール溶液(1ml)を加えた後、室温まで冷却した。生成した沈殿を濾別し、エタノール(10ml)で洗浄した。さらに乾燥させることで紫色の目的化合物(100mg、収率66%)を得た。
[実施例3]
〈例示化合物(A−2)の金属キレート錯体(金属カチオン:Co2+、カウンターアニオン:PF6 −)の合成〉
塩化鉄(II)四水和物を塩化コバルト六水和物(35mg)に変更した以外は実施例2と同様の合成方法で黄色の目的化合物(80mg、収率52%)を得た。
〈例示化合物(A−2)の金属キレート錯体(金属カチオン:Co2+、カウンターアニオン:PF6 −)の合成〉
塩化鉄(II)四水和物を塩化コバルト六水和物(35mg)に変更した以外は実施例2と同様の合成方法で黄色の目的化合物(80mg、収率52%)を得た。
[実施例4]
〈例示化合物(A−3)の合成〉
アルドリッチ社製の2,6−ビス(2−ベンズイミダゾリノ)ピリジン(0.50g)、ブロモ酢酸エチル(0.56g)、炭酸カリウム(0.70g)をジメチルホルムアミド(DMF)(10ml)中、室温で6時間撹拌した。反応終了後、酢酸エチルで抽出し、脱塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧条件下で溶媒を留去することで白色の目的化合物(A−3)(0.45g、収率58%)を得た。
得られた化合物の同定はプロトンNMRにより行った。
1H NMR(ppm)δ:8.39(d,J=8.0Hz,2H)、8.08(t,J=8.0Hz,1H)、7.88(m,2H),7.37(m,6H)、5.41(s、4H)、4.00(q,J=7.0Hz,4H)、0.96(t,J=7.0Hz,6H)
〈例示化合物(A−3)の合成〉
アルドリッチ社製の2,6−ビス(2−ベンズイミダゾリノ)ピリジン(0.50g)、ブロモ酢酸エチル(0.56g)、炭酸カリウム(0.70g)をジメチルホルムアミド(DMF)(10ml)中、室温で6時間撹拌した。反応終了後、酢酸エチルで抽出し、脱塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧条件下で溶媒を留去することで白色の目的化合物(A−3)(0.45g、収率58%)を得た。
得られた化合物の同定はプロトンNMRにより行った。
1H NMR(ppm)δ:8.39(d,J=8.0Hz,2H)、8.08(t,J=8.0Hz,1H)、7.88(m,2H),7.37(m,6H)、5.41(s、4H)、4.00(q,J=7.0Hz,4H)、0.96(t,J=7.0Hz,6H)
〈例示化合物(A−3)の金属キレート錯体(金属カチオン:Fe2+、カウンターアニオン:PF6 −)の合成〉
化合物(A−3)(100mg)をエタノール(10ml)に溶解させ、70℃に加熱した。該溶液にさらに塩化鉄(II)四水和物(20mg)のエタノール溶液(0.5ml)を加えた。得られた反応混合物にさらに六フッ化リンアンモニウム(100mg)のエタノール溶液(1ml)を加えた後、生成した沈殿を濾別し、エタノール(10ml)で洗浄した。さらに乾燥させることで紫色の目的化合物(90mg、収率66%)を得た。
化合物(A−3)(100mg)をエタノール(10ml)に溶解させ、70℃に加熱した。該溶液にさらに塩化鉄(II)四水和物(20mg)のエタノール溶液(0.5ml)を加えた。得られた反応混合物にさらに六フッ化リンアンモニウム(100mg)のエタノール溶液(1ml)を加えた後、生成した沈殿を濾別し、エタノール(10ml)で洗浄した。さらに乾燥させることで紫色の目的化合物(90mg、収率66%)を得た。
[実施例5]
〈例示化合物(A−3)の金属キレート錯体(金属カチオン:Cu2+、カウンターアニオン:Cl−)の合成〉
化合物(A−3)(100mg)をエタノール(10ml)に溶解させ、70℃に加熱した。該溶液にさらに無水塩化銅(II)(15mg)のエタノール溶液(0.5ml)を加えた。生成した沈殿を濾別し、エタノール(10ml)で洗浄した。さらに乾燥させることで緑白色の目的化合物(80mg、収率70%)を得た。
〈例示化合物(A−3)の金属キレート錯体(金属カチオン:Cu2+、カウンターアニオン:Cl−)の合成〉
化合物(A−3)(100mg)をエタノール(10ml)に溶解させ、70℃に加熱した。該溶液にさらに無水塩化銅(II)(15mg)のエタノール溶液(0.5ml)を加えた。生成した沈殿を濾別し、エタノール(10ml)で洗浄した。さらに乾燥させることで緑白色の目的化合物(80mg、収率70%)を得た。
[実施例6]
〈例示化合物(A−29)の合成〉
4−(N−シクロヘキシルアミノ)−3−アミノトルエン(1.0g)および2,6−ピリジンジカルボキシアルデヒド(0.20g)をエタノール(20ml)に溶解させた。無水塩化鉄(III)(1.0g)をさらに加え、酸素を吹き込みながら12時間加熱還流した。得られた溶液を濾過し、濾液から溶媒を減圧条件下で留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで目的化合物(0.70g、収率94%)を得た。
得られた化合物の同定はプロトンNMRにより行った。
1H NMR(ppm)δ:8.17(d,J=8.0Hz,2H)、8.15(t,J=8.0Hz,1H),7.65(s,1H),7.60(d,J=8.0Hz、2H),7.14(d,J=8.0Hz、2H)、5.10(m,2H)、2.51(s、6H)、2.2−1.1(m、20H)
〈例示化合物(A−29)の合成〉
4−(N−シクロヘキシルアミノ)−3−アミノトルエン(1.0g)および2,6−ピリジンジカルボキシアルデヒド(0.20g)をエタノール(20ml)に溶解させた。無水塩化鉄(III)(1.0g)をさらに加え、酸素を吹き込みながら12時間加熱還流した。得られた溶液を濾過し、濾液から溶媒を減圧条件下で留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで目的化合物(0.70g、収率94%)を得た。
得られた化合物の同定はプロトンNMRにより行った。
1H NMR(ppm)δ:8.17(d,J=8.0Hz,2H)、8.15(t,J=8.0Hz,1H),7.65(s,1H),7.60(d,J=8.0Hz、2H),7.14(d,J=8.0Hz、2H)、5.10(m,2H)、2.51(s、6H)、2.2−1.1(m、20H)
〈例示化合物(A−29)の金属キレート錯体(金属カチオン:Fe2+、カウンターアニオン:PF6 −)の合成〉
化合物(A−29)(100mg)をクロロホルム(5ml)およびエタノール(5ml)に溶解させた。該溶液にさらに塩化鉄(II)四水和物(35mg)のエタノール溶液(0.5ml)を加えた。得られた反応混合物にさらに六フッ化リンアンモニウム(100mg)のエタノール溶液(1ml)を加えた後、減圧条件下で溶媒を留去した。生成した沈殿をエタノール(10ml)に溶解させ、さらに脱塩水(10ml)を加えることで生成した沈殿を濾別し、脱塩水(10ml)で洗浄した。さらに乾燥させることで紫色の目的化合物(80mg、収率59%)を得た。
化合物(A−29)(100mg)をクロロホルム(5ml)およびエタノール(5ml)に溶解させた。該溶液にさらに塩化鉄(II)四水和物(35mg)のエタノール溶液(0.5ml)を加えた。得られた反応混合物にさらに六フッ化リンアンモニウム(100mg)のエタノール溶液(1ml)を加えた後、減圧条件下で溶媒を留去した。生成した沈殿をエタノール(10ml)に溶解させ、さらに脱塩水(10ml)を加えることで生成した沈殿を濾別し、脱塩水(10ml)で洗浄した。さらに乾燥させることで紫色の目的化合物(80mg、収率59%)を得た。
[吸収波長]
実施例1〜6で合成した化合物および比較例1,2の化合物(3)、(4)の溶液スペクトルにおけるλmax、ε、波長405nmにおける吸光強度とλmaxにおける吸光強度の比率(吸光度比)を表1に示した。ここで、例えば実施例1の化合物(A−1)−Fe2+−PF6 −とは、リガンドとしての化合物(1−A)と、遷移金属カチオンとしてのFe2+と、カウンターアニオンとしてのPF6 −とからなるキレート錯体化合物を表す。他の実施例においても同様である。
表1より本発明に係るトリアリール金属キレート錯体が比較例化合物に比べ優れた吸収スペクトルを有することが明らかである。
実施例1〜6で合成した化合物および比較例1,2の化合物(3)、(4)の溶液スペクトルにおけるλmax、ε、波長405nmにおける吸光強度とλmaxにおける吸光強度の比率(吸光度比)を表1に示した。ここで、例えば実施例1の化合物(A−1)−Fe2+−PF6 −とは、リガンドとしての化合物(1−A)と、遷移金属カチオンとしてのFe2+と、カウンターアニオンとしてのPF6 −とからなるキレート錯体化合物を表す。他の実施例においても同様である。
表1より本発明に係るトリアリール金属キレート錯体が比較例化合物に比べ優れた吸収スペクトルを有することが明らかである。
[溶解性試験]
実施例4〜6で合成したトリアリール金属キレート錯体および比較例1の化合物(3)に対し、下記の方法でそれぞれTFPに対する溶解性試験を行った。
試験方法:規定の濃度になるよう各化合物と溶媒(TFP)を混合し、50℃の湯浴中で1時間超音波処理(Branson社製2510超音波洗浄機使用)した。その後、得られた溶液を東洋濾紙株式会社製定量濾紙(No.5C)に滴下し、完全に溶解し、溶け残りが存在しないかどうかを目視で判定した。
結果を表2に示す。
表2より、化合物(3)に比べ本発明に係るトリアリール金属キレート錯体がTFPに対する溶解性に著しく優れることが明らかとなった。
実施例4〜6で合成したトリアリール金属キレート錯体および比較例1の化合物(3)に対し、下記の方法でそれぞれTFPに対する溶解性試験を行った。
試験方法:規定の濃度になるよう各化合物と溶媒(TFP)を混合し、50℃の湯浴中で1時間超音波処理(Branson社製2510超音波洗浄機使用)した。その後、得られた溶液を東洋濾紙株式会社製定量濾紙(No.5C)に滴下し、完全に溶解し、溶け残りが存在しないかどうかを目視で判定した。
結果を表2に示す。
表2より、化合物(3)に比べ本発明に係るトリアリール金属キレート錯体がTFPに対する溶解性に著しく優れることが明らかとなった。
[光学記録媒体の作製]
実施例4〜6で合成したトリアリール金属キレート錯体および比較例2の化合物(4)をそれぞれ2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールに1.0重量%溶解させ、濾過によって微細なゴミを取り除いた後に、得られた溶液を直径120mm、厚さ1.2mmの射出成形ポリカーボネート基板上に滴下し、スピンコート法(4900rpm)により塗布し、80℃で30分間乾燥することで透明な塗布膜(膜厚約50nm)を得た。いずれの塗布膜も化合物の結晶化に由来する白化現象は確認されなかった。
各化合物の膜状態における紫外可視吸収スペクトルを図1〜4にそれぞれ示す。
なお、比較例1の化合物(3)は2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールを含む種々の有機溶媒に対し塗布に十分な濃度で溶解しないため、光学記録媒体を作成できなかった。
実施例4〜6で合成したトリアリール金属キレート錯体および比較例2の化合物(4)をそれぞれ2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールに1.0重量%溶解させ、濾過によって微細なゴミを取り除いた後に、得られた溶液を直径120mm、厚さ1.2mmの射出成形ポリカーボネート基板上に滴下し、スピンコート法(4900rpm)により塗布し、80℃で30分間乾燥することで透明な塗布膜(膜厚約50nm)を得た。いずれの塗布膜も化合物の結晶化に由来する白化現象は確認されなかった。
各化合物の膜状態における紫外可視吸収スペクトルを図1〜4にそれぞれ示す。
なお、比較例1の化合物(3)は2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールを含む種々の有機溶媒に対し塗布に十分な濃度で溶解しないため、光学記録媒体を作成できなかった。
それぞれの記録媒体に対し温度58℃−湿度50%−キセノンランプ(強度0.55W/m2)照射−試験時間40時間の条件で耐光性試験を行った。即ち、この条件で光照射する前のλmaxにおける吸光強度に対する光照射後のλmaxにおける吸光強度の割合を求めた。
試験結果を表3に示す。
この結果より、本発明に係るトリアリール金属キレート錯体を用いて作成された光学記録媒体は耐光性に著しく優れることが明らかである。
試験結果を表3に示す。
この結果より、本発明に係るトリアリール金属キレート錯体を用いて作成された光学記録媒体は耐光性に著しく優れることが明らかである。
さらに、上記手法で作製した光学記録媒体のうち、実施例6のトリアリール金属キレート錯体および比較例2の化合物(4)を有するそれぞれの光学記録媒体に、中心波長404nm、NA=0.85の半導体レーザー光を照射した。このとき、良好な記録ピットの形成が確認された最高記録感度を表3に併記する。
この結果から、本発明に係るトリアリール金属キレート錯体を用いて作成された光学記録媒体はレーザー記録感度に優れることが明らかとなった。
この結果から、本発明に係るトリアリール金属キレート錯体を用いて作成された光学記録媒体はレーザー記録感度に優れることが明らかとなった。
Claims (10)
- 請求項2において、前記一般式(2)におけるX1およびX2がそれぞれ独立に炭素数20以下の置換基を有していても良い窒素原子であることを特徴とする光学記録媒体の記録層形成用色素。
- 請求項2または3において、前記一般式(2)におけるR4およびR5、R6およびR7がそれぞれ結合して芳香環を形成していることを特徴とする光学記録媒体の記録層形成用色素。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記遷移金属カチオンが周期表第4周期の元素からなることを特徴とする光学記録媒体の記録層形成用色素。
- 請求項5において、前記遷移金属カチオンがFeからなることを特徴とする光学記録媒体の記録層形成用色素。
- 請求項1ないし6のいずれか1項において、薄膜状態での極大吸収波長の一つが330〜390nmの波長領域に含まれることを特徴とする光学記録媒体の記録層形成用色素。
- 請求項7において、薄膜状態での極大吸収波長の一つが360〜390nmの波長領域に含まれることを特徴とする光学記録媒体の記録層形成用色素。
- 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の記録層形成用色素を含む記録層を有することを特徴とする光学記録媒体。
- 波長350〜530nmのレーザー光で記録することを特徴とする請求項9に記載の光学記録媒体の記録方法。
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