JP4941893B2 - シフトバイワイヤ式変速制御装置 - Google Patents
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Description
しかし、機械的なバックアップ用のレンジ切換機構を並設することは、構造が複雑になり、かつ、大型化する問題がある。また、シフトモータ及びシフト制御部を複数備えることは、コストアップになり、かつ、小型化が困難になる問題がある。
図1において、1は車両に搭載された自動式の変速機である。この変速機1は、シフトレンジとして、例えば、パーキングレンジ、ニュートラルレンジ、リバースレンジ、ドライブレンジ、3速レンジ、2速レンジ、ローレンジ等を有している。この変速機1のシフトレンジを変更するシフトバイワイヤ式変速制御装置2は、運転者が選択したシフトレンジ位置に対応する信号を出力するシフト操作装置3と、運転者が選択したシフトレンジ位置に対応して、変速機1のシフトレンジを変更するために動作されるアクチュエータ4と、シフト操作装置3の出力信号に応じて、変速機1のシフトレンジを変更するようにアクチュエータ4を動作させるシフト制御装置5とを備えている。
前記シフト操作装置3は、前記変速機1の各シフトレンジに対応した、パーキングレンジ位置:P、ニュートラルレンジ位置:N、リバースレンジ位置:R、ドライブレンジ位置:D、3速レンジ位置:3、2速レンジ位置:2、ローレンジ位置:L等を、運転者が選択可能な操作具6を備え、この操作具6が操作されたシフトレンジ位置に対応するシフトレンジ位置信号を出力するシフトレンジ位置スイッチ7を備えている。シフト操作装置3は、運転者が操作具6を操作してシフトレンジ位置の1つを選択すると、シフトレンジ位置スイッチ7が選択されたシフトレンジ位置に対応するシフトレンジ位置信号を出力する。なお、シフト操作装置3は、操作具6を設けず、運転者がシフトレンジ位置スイッチ7を選択操作して、シフトレンジ位置信号を出力する構成とすることもできる。
前記アクチュエータ4は、モータ8と歯車機構等の動力伝達機構9とから構成される。アクチュエータ4は、モータ8により動力伝達機構9を介してレンジ切換手段(例えば、レンジ切換弁)10を動作させ、変速機3のシフトレンジを切り換える。アクチュエータ4には、変速機1のシフトレンジを示すモータ8の動作位置を検出するシフトポテンショセンサ11を設けている。
前記シフト制御装置5には、車両情報入力手段12から車速、エンジン回転数、ブレーキスイッチ信号などの車両情報を入力し、シフトポテンショセンサ11からの変速機1のシフトレンジを示す検出信号と、シフト操作装置3が出力するシフトレンジ位置信号とを比較して、運転者が選択したシフトレンジ位置に変速機1のシフトレンジを変更するように、電源13から駆動電圧をモータ8に供給して動作させる。
前記シフト制御装置5は、2つのメイン・サブドライバ回路15・16のどちらか一方をモータ8と接続するドライバ回路切替手段17を備えている。ドライバ回路切替手段17は、2つの遮断回路から構成される。2つの遮断回路は、第1遮断回路18と第2遮断回路19とから構成され、メインドライバ回路15とモータ8との間に設けられている。第1遮断回路18と第2遮断回路19とは、ON時にメインドライバ回路15からモータ8への駆動電圧の出力を遮断し、OFF時にメインドライバ回路15からモータ8への駆動電圧の出力を許容する。これにより、ドライバ回路切替手段17は、第1遮断回路18と第2遮断回路19とのON・OFFによって、メイン・サブドライバ回路15・16のどちらか一方をモータ8と接続する。
前記第1遮断回路18と第2遮断回路19とは、シフト制御部14によりON・OFFされる。また、フェールセーフリレー20は、ONにより外部の電源13からモータ用駆動電圧をメインドライバ回路15及びサブドライバ回路16に供給して駆動し、OFFにより電源13からメインドライバ回路15及びサブドライバ回路16へのモータ用駆動電圧の供給を遮断する。これにより、フェールセーフリレー20は、ON・OFFによりメインドライバ回路15及びサブドライバ回路16を駆動・停止する。
前記フェールセーフリレー20は、リレー制御部21によりON・OFFされる。リレー制御部21は、前記シフト制御部14の出力するフェールセーフリレー制御信号により制御される。シフト制御部14は、異常検出手段22を備えている。異常検出手段22は、モータ8と現在接続中のメインドライバ回路15あるいはサブドライバ回路16が、異常かどうかを検出する。シフト制御部14は、この異常検出手段22により、現在接続中のドライバ回路、例えばメインドライバ回路15が異常であると判断された場合には、ドライバ回路切替手段17の第1・第2遮断回路18・19によりモータ8ともう一方のドライバ回路、例えばサブドライバ回路16とを接続する。
シフト制御装置5は、異常検出手段22により、2つのメイン・サブドライバ回路15・16の内、メインドライバ回路15が異常であると検出された場合には、前記モータ8とサブドライバ回路16との接続に合わせて、シフト制御装置5から変速制御装置23に高速通信網24を介してシフトダウンを要求する。変速制御装置23は、シフトダウン要求で、変速機1をシフトダウンする。
また、このシフトバイワイヤ式変速制御装置2は、報知手段としてウインカ/ハザード制御装置25を備えている。ウインカ/ハザード制御装置25は、シフト制御装置5の外部に設けられて双方向通信可能な高速通信網24により接続されている。ウインカ/ハザード制御装置25は、シフト制御装置5からのシフトダウン要求による変速機1のシフトダウンが実行された後、車両が停止した場合には、ウインカ/ハザードランプ26を点滅させて、異常により停止したことを車外に報知する。
例えば、リレー制御部21は、シフト制御部14からフェールセーフリレー20をONするようにフェールセーフリレー制御信号が出力されていても、変速制御装置23からフェールセーフリレー20をOFFするようにフェールセーフリレー制御信号が出力されていれば、結果としてフェールセーフリレー20をOFFする。
前記変速制御装置23は、高速通信網24で得たシフト制御装置ステータス信号によりシフト制御装置5の状態を監視し、異常検出を行う異常検出手段27を備えている。異常検出手段27は、高速通信網24によるシフト制御装置5からのシフト制御装置ステータス信号の通信が一定時間無い場合には、異常であると判断する。変速制御装置23は、異常検出手段27によりシフト制御装置5が異常であると判断された場合には、フェールセーフリレー20をOFFするようにフェールセーフリレー制御信号を出力し、また、変速機1をシフトダウン制御する。さらに、変速制御装置23は、シフトダウン制御による変速機1のシフトダウンが実行された後、車両が停止した場合には、高速通信網24でウインカ/ハザード制御装置25にハザード点滅要求を通信してウインカ/ハザードランプ26を点滅させて、異常により停止したことを車外に報知する。
シフトバイワイヤ式変速制御装置2は、図2に示すように、モータ8のメイン・サブドライバ回路15・16の異常検出の処理がスタートすると(A01)、運転者がシフト操作装置3により選択して要求するシフトレンジと変速機1の実際のシフトレンジとが一致するかを判断する(A02)。
この判断(A2)がYESの場合は、処理をエンドにする(A03)。この判断(A02)がNOの場合は、要求するシフトレンジと実際のシフトレンジとが一致しない状態が一定時間経過したかを判断する(A04)。
この判断(A04)がNOの場合は、エンドの処理(A03)をする。この判断(A04)がYESの場合は、モータ8への駆動電圧の供給にメインドライバ回路15を選択しているかを判断する(A05)。なお、メインドライバ回路15の選択は、第1・第2遮断回路18・19がOFFか、モータ8への電源供給がONか、により判断される。
この判断(A05)がYESの場合は、メインドライバ回路15を異常と判断し(A06)、処理をエンドにする(A03)。この判断(A05)がNOの場合は、モータ8への駆動電圧の供給にサブドライバ回路16を選択しているかを判断する(A07)。なお、サブドライバ回路16の選択は、第1・第2遮断回路18・19がONか、モータ8への電源供給がONか、により判断される。
この判断(A07)がYESの場合は、サブドライバ回路16を異常と判断し(A08)、処理をエンドにする(A03)。この判断(A07)がNOの場合は、処理をエンドにする(A03)。
シフトバイワイヤ式変速制御装置2は、図3に示すように、メイン・サブドライバ回路15・16の異常検出後の処理がスタートすると(B01)、メインドライバ回路15が異常かを判断する(B02)。
メインドライバ回路15が異常で、判断(B02)がYESの場合は、メインドライバ回路15からモータ8への駆動電圧の出力を遮断するように、シフト制御部14により第1・第2遮断回路18・19をON(B03)、フェールセーフリレー20によるメインドライバ回路15へのモータ用駆動電圧の供給を遮断(OFF)するように、シフト制御部14によりフェールセーフリレー制御信号をリレー制御部21に出力し(B04)、サブドライバ回路16が異常かを判断する(B05)。
サブドライバ回路16が異常で、判断(B05)がYESの場合は、フェールセーフリレー20によるサブドライバ回路16へのモータ用駆動電圧の供給を遮断するように、シフト制御部14によりフェールセーフリレー制御信号をリレー制御部21に出力し(B06)、シフト制御装置5から変速制御装置23に高速通信網24を介してシフトダウン要求を通信し(B07)、車両停止後にシフト制御装置5からウインカ/ハザード制御装置25に高速通信網24を介してハザード点滅要求を通信し(B08)、エンドの処理(B09)をする。
前記メインドライバ回路15が異常かの判断(B02)において、メインドライバ回路15が正常で、判断(B02)がNOの場合は、メインドライバ回路15からモータ8への駆動電圧の出力を許容するように、シフト制御部14により第1・第2遮断回路18・19をOFFし(B10)、フェールセーフリレー20によるメインドライバ回路15へのモータ用駆動電圧の供給を許容(ON)する一方、サブドライバ回路16へのモータ用駆動電圧の供給を遮断ように、シフト制御部14によりフェールセーフリレー制御信号をリレー制御部21に出力し(B11)、エンドの処理(B09)をする。
また、前記サブドライバ回路16が異常かの判断(B05)において、サブドライバ回路16が正常で、判断(B05)がNOの場合は、フェールセーフリレー20によるサブドライバ回路16へのモータ用駆動電圧の供給を許容(ON)するように、シフト制御部14によりフェールセーフリレー制御信号をリレー制御部21に出力し(B12)、シフト制御装置5から変速制御装置23に高速通信網24を介してシフトダウン要求を通信し(B07)、車両停止後にシフト制御装置5からウインカ/ハザード制御装置25に高速通信網24を介してハザード点滅要求を通信し(B08)、エンドの処理(B09)をする。
また、このシフトバイワイヤ式変速制御装置2は、2つのドライバ回路をメインドライバ回路15とサブドライバ回路16とから構成し、異常検出手段22により、2つのドライバ回路の内、メインドライバ回路15が異常であると検出された場合には、シフト制御装置5から、車両の運転状態に応じて変速機1へ変速指令を出力する変速制御装置23にシフトダウンを要求することで、メインドライバ回路15の異常時に、車両の走行性をより確保可能な状況へ変速機1を制御することができる。これにより、このシフトバイワイヤ式変速制御装置2は、さらに信頼性の高い変速制御システムを実現することができる。
さらに、このシフトバイワイヤ式変速制御装置2は、シフト制御装置5からのシフトダウン要求により、変速制御装置23によるシフトダウンが実行された後、車両が停止した場合には、異常により停止したことを車外に報知する報知手段としてウインカ/ハザード制御装置25を備えているので、変速制御システムに異常があることを、運転者に容易に認識させることが可能である。
シフト制御装置ステータス信号の通信が有り、判断(C02)がYESの場合は、エンドの処理(C03)をする。シフト制御装置ステータス信号の通信が無く、判断(C02)がNOの場合は、通信の無い状態が一定時間経過したかを判断する(C04)。
この判断(C04)がYESの場合は、シフト制御装置5を異常と判断し(C05)、エンドの処理(C03)をする。この判断(C04)がNOの場合、エンドの処理(C03)をする。
このシフト制御装置5の異常検出の処理後は、異常の有無によりフェールセーフリレー20を制御する。
変速制御装置23は、図5に示すように、シフト制御装置5の異常検出後の処理がスタートすると(D01)、シフト制御装置5が異常かを判断する(D02)。
シフト制御装置5が異常で、判断(D02)がYESの場合は、フェールセーフリレー20によるメイン・サブドライバ回路15・16へのモータ用駆動電圧の供給を遮断(OFF)するように、変速制御装置23によりフェールセーフリレー制御信号をリレー制御部21に出力し(D03)、変速制御装置23により変速機1をシフトダウン制御し(D04)、車両停止後に変速制御装置23からウインカ/ハザード制御装置25に高速通信網24を介してハザード点滅要求を通信し(D05)、エンドの処理(D06)をする。
一方、シフト制御装置5が正常で、判断(D02)がNOの場合は、フェールセーフリレー20によるメイン・サブドライバ回路15・16へのモータ用駆動電圧の供給を許容(ON)するように、変速制御装置23によりフェールセーフリレー制御信号をリレー制御部21に出力し(D07)、エンドの処理(D06)をする。
これにより、このシフトバイワイヤ式変速制御装置2は、シフト制御装置5が故障した場合には、変速制御装置23により変速機1をシフトダウン制御することで、車両の走行性をより確保可能な状況へ変速機1を制御することができ、信頼性の高い変速制御システムを実現することができる。
また、このシフトバイワイヤ式変速制御装置2は、変速制御装置23によるシフトダウン制御が実行された後、車両が停止した場合には、異常により停止したことを車外に報知する報知手段としてウインカ/ハザード制御装置25を備えているので、変速制御システムに異常があることを、運転者に容易に認識させることが可能である。
2 シフトバイワイヤ式変速制御装置
3 シフト操作装置
4 アクチュエータ
5 シフト制御装置
8 モータ
11 シフトポテンショセンサ
12 車両情報入力手段
13 電源
14 シフト制御部
15 メインドライバ回路
16 サブドライバ回路
17 ドライバ回路切替手段
18 第1遮断回路
19 第2遮断回路
20 フェールセーフリレー
21 リレー制御部
22 異常検出手段
23 変速制御装置
24 高速通信網
25 ウインカ/ハザード制御装置
27 異常検出手段
Claims (1)
- 運転者が選択したシフトレンジ位置を出力するシフト操作装置と、
運転者が選択したシフトレンジ位置に対応して、変速機のシフトレンジを変更するために動作されるアクチュエータと、
前記シフト操作装置の出力信号に応じて、前記アクチュエータを動作させるシフト制御装置とを備えたシフトバイワイヤ式変速制御装置において、
前記シフト制御装置は、1つのシフト制御部と、このシフト制御部により演算された駆動電圧を1つのアクチュエータに供給することが可能な2つのドライバ回路とを備え、
前記2つのドライバ回路のどちらか一方を前記アクチュエータと接続するドライバ回路切替手段を備え、
前記2つのドライバ回路の両方を停止するドライバ回路停止手段を備え、
前記アクチュエータと現在接続中のドライバ回路が、異常かどうかを検出する第1の異常検出手段を備え、
前記シフト制御装置からの通信信号が予め設定された時間以上受信できない場合には前記シフト制御装置が異常であると判断する第2の異常検出手段を有する変速制御装置を備え、
前記シフト制御部は、前記第1の異常検出手段により、現在接続中のドライバ回路が異常であると判断された場合には、前記ドライバ回路切替手段により前記アクチュエータともう一方のドライバ回路とを接続し、
前記変速制御装置は、前記第2の異常検出手段により前記シフト制御装置が異常であると判断された場合には、前記ドライバ回路停止手段により前記2つのドライバ回路の両方を停止させるように制御することを特徴とするシフトバイワイヤ式変速制御装置。
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