JP4940717B2 - ポリプロピレンシートまたはポリプロピレンフィルム - Google Patents
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かかる状況の下、本発明の目的は、高温下での寸法安定性に優れるポリプロピレンシートまたはポリプロピレンフィルムを提供することにある。
すなわち、本発明は、
融点が145℃以上164℃以下であるプロピレン系樹脂(A)からなる基材層の少なくとも一面に、プロピレン系樹脂(A)の融点より高い融点を有し、該融点が160℃以上であるプロピレン系樹脂(B)からなる表層が積層されてなるポリプロピレンシートまたはポリプロピレンフィルムに係るものである。また、そのポリプロピレンシートまたはポリプロピレンフィルムを二軸に延伸してなるフィルムに係るものである。
公知の重合触媒としては、例えば、
(1)マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分等からなるTi−Mg系触媒、
(2)マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と、必要に応じて電子供与性化合物等の第3成分とを組み合わせた触媒系
(3)メタロセン系触媒等が挙げられる。
好ましくはマグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と電子性供与性化合物とを組み合わせた触媒系である。
有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドの混合物およびテトラエチルジアルモキサン等が挙げられる。
電子供与性化合物としては、tert−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン等が挙げられる。
添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収材、帯電防止剤、滑剤、造核剤、防曇剤、アンチブロッキング剤等が挙げられる。
その他の樹脂としては、ポリエチレン系樹脂や、プロピレン系樹脂(A)およびプロピレン系樹脂(B)以外のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
(1)1−ブテン含有量(単位:重量%)
高分子分析ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の第619頁に記載されているIRスペクトル測定を行い、1−ブテン含有量を求めた。
試料1gを沸騰キシレン100mlに完全に溶解させた後、20℃に降温、4時間放置した。その後、これを析出物と溶液とに濾別し、濾液を乾固して減圧下70℃で乾燥し、残存物を得た。得られた残存物の重量を測定して、20℃キシレン可溶成分量(CXS)を求めた。
JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nで測定した。
ポリプロピレンを熱プレス成形(230℃で5分間予熱後、3分間かけて50kgf/cm2まで昇圧し2分間保圧した後、30℃、30kgf/cm2で5分間冷却)して、厚さ0.5mmのシートを作成した。示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製、DSC−7型)を用い、作成されたシートの10mgを窒素雰囲気下220℃で5分間熱処理後、降温速度300℃/分で150℃まで冷却し、150℃において1分間保温し、さらに降温速度5℃/分で50℃まで冷却し、50℃において1分間保温した後、50℃から180℃まで昇温速度5℃/分で加熱した際に得られた融解曲線において、最大吸熱ピークを示す温度(℃)を測定した。
プロピレン系樹脂(A)のトリアドタクティシティーは、Journal of Applied Polymer Science, Vol.80, 1880−1890 (2001)に記載の方法に従って測定した。
プロピレン系樹脂(B)のトリアドタクティシティーは、Macromolecules, Vol.8, 687−689 (1975)に記載の方法に従って測定した。
ペレット100gに粉末にしたドライアイスを加え、粉砕機にて粉砕した。粉砕した試料を20メッシュ網篩いで篩い分けし、20メッシュ以下を測定に使用した。90℃に保った真空乾燥機で試料を4時間乾燥させた。試料5gをソックスレー抽出器でn−ヘプタンを溶媒として24時間抽出した(抽出循環回数は15〜20回/hrになるように調整した)。残存物をアセトンで洗浄し、90℃で7時間乾燥させて重さを測定し、残存重量の割合をアイソタクチックインデックスとした。
長軸が縦方向(MD)と平行になるように、A4サイズのフィルムを採取し、縦方向(MD)および横方向(TD)にそれぞれ20cmの標線を引き、規定温度に保温しているオーブン中で吊るして15分間保持した。その後、フィルムを取り出し、室温にて30分間冷却した後に、試験片の標線長さを測定した。各方向に対する加熱収縮率を、次の計算式から算出した。
加熱収縮率(%)={(20−加熱後の標線長さ)/20}×100
加熱収縮率が小さいことは、高温下での寸法安定性に優れることを示す。
[固体触媒の合成]
内容積200Lの攪拌機付きのSUS製反応容器を窒素で置換した後、ヘキサン80L、テトラブトキシチタン6.55モル、フタル酸ジイソブチル2.8モルおよびテトラブトキシシラン98.9モルを投入し均一溶液とした。次に濃度2.1モル/Lのブチルマグネシウムクロリドのジイソブチルエーテル溶液51Lを反応容器内の温度を5℃に保ちながら5時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後室温でさらに1時間攪拌した後、室温で固液分離し、トルエン70Lで3回洗浄を繰り返した。
次いで、スラリー濃度が0.6kg/Lになるようにトルエンを抜き出した後、n−ブチルエーテル8.9モルと四塩化チタン274モルの混合液を加えた後、更にフタル酸クロライドを20.8モル加え110℃で3時間反応を行った。反応終了後、95℃のトルエンで2回洗浄を行った。
次いで、スラリー濃度を0.6kg/Lに調整した後、フタル酸ジイソブチル3.13モル、n−ジブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン137モルを加え、105℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離した後、95℃のトルエン90Lで2回洗浄を行った。
次いで、スラリー濃度を0.6kg/Lに調整した後、n−ジブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン137モルを加え、95℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離し、同温度でトルエン90Lで3回洗浄を行った。
次いで、スラリー濃度を0.6kg/Lに調整した後、n−ジブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン137モルを加え、95℃で1時間反応を行った。
反応終了後、同温度で固液分離し、同温度でトルエン90Lで3回洗浄を行った後、更にヘキサン90Lで3回洗浄した後、減圧乾燥して固体触媒成分11.0kgを得た。
固体触媒成分はチタン原子1.89重量%、マグネシウム原子20重量%、フタル酸エステル8.6重量%、エトキシ基0.05重量%、ブトキシ基0.21重量%を含有した微紛のない良好な粒子性状を有していた。
内容積3Lの攪拌機付きのSUS製オートクレーブに充分に脱水、脱気処理したn−ヘキサン1.5L、トリエチルアルミニウム37.5ミリモル、t−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン3.75ミリモルおよび上記固体触媒成分15gを添加し、槽内温度を5〜15℃に保ちながらプロピレン15gを30分かけて連続的に供給し予備活性化を行った後、得られた固体触媒スラリーを内容積200Lの攪拌機付きSUS製オートクレーブに移送し、液状ブタン140Lを加えて希釈し5℃以下の温度で保存した。
内容積1m3の攪拌機付き気相流動床反応器において、流動床の重合体保持量80Kg、重合温度80℃、重合圧力1.8MPa、気相部の水素濃度を1.6vol%、気相部の1−ブテン濃度を1.2vol%に保持するようにプロピレン、水素、1−ブテンが供給された条件下に、予備活性化された固体触媒成分0.93g/h、トリエチルアルミニウム48ミリモル/hr、t−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン6ミリモル/hrを供給しながら、連続気相重合を行うことにより、プロピレン共重合体の粉末23.5Kg/hrを得た。得られた重合体の1−ブテン含有量は、2.4重量%であった。
上記の重合で得られたプロピレン共重合体の粉末100重量部に対してハイドロタルサイト 0.01重量部、イルガノックス1010(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 0.15重量部、イルガフォス168(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 0.10重量部を混合して溶融混練してペレット(A)を得た。得られたペレット(A)の物性を表1に示した。
固体触媒および固体触媒の予備活性化はプロピレン系樹脂(A)と同様の触媒および同様の方法で実施した。
内容積1m3の攪拌機付き気相流動床反応器において、流動床の重合体保持量80Kg、重合温度80℃、重合圧力1.8MPa、気相部の水素濃度を2.5vol%に保持するようにプロピレン、水素が供給された条件下に、予備活性化された固体触媒成分1.23g/h、トリエチルアルミニウム42ミリモル/hr、t−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン6.3ミリモル/hrを供給しながら、連続気相重合を行うことにより、プロピレン単独重合体の粉末20.9Kg/hrを得た。
上記の重合で得られたプロピレン単独重合体を、プロピレン系樹脂(A)と同様の方法で溶融混練してペレット(B)を得た。得られたペレット(B)の物性を表1に示した。
上記で得られたペレット(A)を基材層用に、ペレット(B)を表層用に使用し、各々別の押出機を用いて、ペレット(A)を65mmφの押出機から260℃で溶融混練し、ペレット(B)を40mmφおよび50mmφの押出機から240℃で溶融混練し、共押出Tダイを備えた押出機に供給した。このTダイから、表層/基材層/表層となる2種3層構成で押出された樹脂を、30℃の冷却ロールにて急冷、固化することにより、厚さ1mmのキャストシートを得た。
得られたキャストシートを145℃で加熱しながら縦延伸機のロール周速差により縦方向に5倍延伸し、次いで加熱炉にて延伸温度157℃で横方向に8倍延伸した後、165℃で熱処理を行い、厚さ2μm/21μm/2μmの多層二軸延伸フィルムを得た。得られた多層二軸延伸フィルムの物性を表2に示した。
基材層用樹脂と表層用樹脂の吐出量を変更して、基材層の厚みと表層の厚みの比を5μm/15μm/5μmに変更した以外は、実施例1と同様に二軸延伸フィルムを作成した。得られた二軸延伸フィルムの物性を表2に示した。
表層用の押出機を停止し、樹脂(A)を単層で押出した以外は、実施例1と同様に二軸延伸フィルムを作成した。得られた二軸延伸フィルムの物性を表2に示した。
これに対して、本発明の要件である層構成を有していない比較例1は、MD方向の加熱収縮率およびTD方向の加熱収縮率のいずれもが大きく、高温での寸法安定性が不充分であることが分かる。
Claims (2)
- 融点が145℃以上164℃以下であり、メルトフローレート(MFR)が0.1〜10g/10分であるプロピレンと1−ブテンの共重合体(A)からなる基材層の両面に、該プロピレンと1−ブテンの共重合体(A)の融点より高い融点を有し、該融点が160℃以上であるプロピレン単独重合体(B)からなる表層が積層されてなるポリプロピレンシートまたはポリプロピレンフィルム。
- 請求項1に記載のポリプロピレンシートまたはポリプロピレンフィルムを二軸に延伸してなるフィルム。
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