以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下に述べる本実施形態は、水中において動作可能な、一般にデジタルスチルカメラ、デジタルカメラ等と称される電子カメラに本発明を適用したものである。
図1は、デジタルカメラの正面側を示す斜視図である。図2は、デジタルカメラの背面側を示す斜視図である。図3は、デジタルカメラの主要な構成を示すブロック図である。図4、図5、図6及び図7は、デジタルカメラにおいて実行されるメインルーチンのフローチャートである。図8は、タイマー割込みルーチンのフローチャートである。
以下に、本実施形態のデジタルカメラの構成を説明する。
本実施形態の電子装置であるデジタルカメラ1は、外装部材が水密に構成されており、水中において通常稼動可能な構成を有する、いわゆる防水仕様のデジタルカメラである。ここで、通常稼動とは、デジタルカメラ1が、使用者からの撮影指示に基づいて少なくとも撮影動作を行うことが可能な状態のことを指すこととする。すなわち、水中においては機能が制限され、撮影された画像を表示する再生動作や、撮影倍率の変更が不可能な構成のデジタルカメラであっても、水中において通常稼動可能なデジタルカメラの範疇に入るものとする。
図1及び図2に示すように、本実施形態のデジタルカメラ1の前面部には、撮影レンズユニット2及び閃光発光装置4が配設されている。ここで、前面とは、撮影時に撮影対象である被写体に臨む面のことを指す。また、デジタルカメラ1の上面部には操作スイッチである撮影指示を行うためのレリーズスイッチ(以下、レリーズSWと称する)3及び、デジタルカメラ1の起動動作及びシャットダウン動作を指示するためのパワースイッチ(以下、パワーSWと称する)5が配設されている。
また、デジタルカメラ1の背面部には、撮影時における撮影レンズユニット2のズーム指示を行うためのズーム指示スイッチ6、7、デジタルカメラ1の動作モードやパラメータの設定を行うための十字方向スイッチ8、及び撮影時に被写体像を周期的に更新して表示(ライブビュー表示)する表示手段である液晶表示装置10が配設されている。また、撮影時には、液晶表示装置10には、被写体像以外に、撮影条件や後述する水深情報及び警告等が表示される。
デジタルカメラ1が、撮影された画像を再生する動作モードである場合には、液晶表示装置10に、その画像が表示され、ズーム指示スイッチ6、7及び十字方向スイッチ8により、再生される画像の切り換えや拡大表示等の指示がなされる。
また、デジタルカメラ1の側面部や底面部には、図示しないが、電源である充電式電池(バッテリー)を収容する電池室、撮影した画像を記録する記録媒体であるメモリカードを収容するカード収容室、外部装置であるパーソナルコンピュータや外部記録装置との通信を行うための通信用インターフェイスであるUSB(Universal Serial Bus)端子等が配設されている。
また、デジタルカメラ1の前面部には、水検知手段である水検出センサ21と、圧力測定手段である圧力センサ31とが配設されている。
水検出センサ21は、デジタルカメラ1が水中に在るか否かを検出するためのものである。本実施形態では、水検出センサ21は、デジタルカメラ1の外装部材から露出した2つの電極22、23を具備して構成され、2つの電極22、23間の電気抵抗値に基づいて、デジタルカメラ1が水中に在るか否かを判定するものである。例えば、デジタルカメラ1が空気中にある場合には、2つの電極22、23間は絶縁されているため電気抵抗値が無限大であり、デジタルカメラ1が水中にある場合には、2つの電極22、23間に水が存在するため電気抵抗値は空気中の場合よりも下がり有限値となる。したがって、2つの電極22、23間における電気抵抗値を測定することにより、デジタルカメラ1が水中に在るか否かを判定することが可能となるのである。
一方、圧力センサ31は、本実施形態ではシリコンダイアフラムを用いた、いわゆる半導体式圧力センサであり、デジタルカメラ1が水中に存在する場合に水に浸かる箇所にダイアフラム32が配設されている。半導体式圧力センサは公知の技術であるので詳細な説明は省略するが、ダイアフラム32上に形成されたブリッジ抵抗回路が形成されており、圧力の変化に応じて変化するダイアフラム32の変形量を、ブリッジ抵抗回路における電圧の変化量として検出するものである。なお、圧力センサ31は、半導体式に限られるものではなく、静電容量式等の他の方式を用いたものであってもよい。
水検出センサ21及び圧力センサ31は、使用者がデジタルカメラ1を操作する場合に、操作の妨げとならない位置、例えば使用者の指がかからない位置に配置される。
上述のような構成を有するデジタルカメラ1の主要構成を、ブロック図として図3に示す。
制御手段であるシステムコントローラ100は、CPU101と複数のブロック回路により構成されている。該複数のブロック回路は、電力制御回路102、画像処理回路103、圧縮伸長回路104、外部メモリIF回路105、汎用I/O回路106、割込み制御回路107、タイマーカウンタ108、A/Dコンバータ109及びクロック供給回路110等の機能ごとにブロック化された回路である。
CPU101と上記各ブロック回路とは、制御ラインやバスラインで電気的に接続されている。CPU101は、フラッシュROM120に格納されたプログラムコードに従って上記各ブロック回路を制御する。電力制御回路102は、システムコントローラ100の各回路ブロックへの電力供給を、CPU101からの指令に基づき制御する。
撮像素子130は、撮影レンズユニット2により結像された被写体像をアナログ電気信号に光電変換し出力する。撮像素子インターフェイス回路(以下、撮像素子IF回路と称する)131は、撮像素子130を駆動し、撮像素子131から出力されたアナログ電気信号を所定の画像データに変換し出力する。
画像処理回路103は、撮像素子131から出力された画像データに対して、γ補正、色変換、画素変換等の所定の処理を施して出力する。
圧縮伸長回路104は、画像処理回路103により処理が施された画像データの圧縮動作、及び外部メモリインターフェイス回路(以下、外部メモリIF回路と称する)105から入力された圧縮された画像データの伸長動作を行う。
外部メモリIF回路105は、メモリカード132、DRAM133及びフラッシュROM120とシステムコントローラ100のデータバスとのブリッジ機能を有する。
汎用I/O回路106は、システムコントローラ100に電気的に接続された操作スイッチ(以下、操作SWと称する)134の読み込み端子や周辺回路を制御する制御信号の出力端子として使用される。
割込み制御回路107は、操作SW134により割込み信号、及びタイマーカウンタ108による割込み信号等を生成する。タイマーカウンタ108は、クロック供給回路110からのクロックをカウントしてシステム制御に必要なタイミング信号を生成する。
クロック供給回路110は、システムコントローラ100に電気的に接続された発振子135の出力から、システムコントローラ100の動作に必要なクロックを生成し、各回路ブロックに供給する回路である。A/Dコンバータ109は、デジタルカメラ1に配設され、システムコントローラ100に電気的に接続されたセンサからの入力信号を変換する回路である。
電力回路136は、充電式電池であるバッテリー137の電圧をシステムコントローラ100とその周辺回路に必要な駆動電圧に変換して出力する回路である。システムコントローラ100からの指令に基づき、電力の分配が制御される。
フラッシュROM120には、デジタルカメラ1の全体の動作を制御するための制御プログラムが記述されたプログラムコード、制御パラメータ、圧力センサ31により測定された圧力の値を記録したログデータ等が記録されている。
DRAM133は、撮像素子IF回路131から出力された画像データの一時的な格納及びシステムコントローラ100のワークエリア等として使用される。
上述のように構成されたシステムコントローラ100は、フラッシュROMに記録されている制御プログラムを読み出し、実行することにより、デジタルカメラ1の全体の動作を制御するのである。
メモリカード132は、半導体の不揮発メモリや、小型のハードディスクドライブ等を具備し、デジタルカメラ1に着脱自在に構成された記録媒体である。
時計回路138は、年月日時分秒の時間データを生成し、システムコントローラ100へ出力する回路である。
圧力センサ31は、前述したように、圧力に応じて変形するダイアフラム32に、該シリコンダイアフラムの変形を検出するための4つの圧電素子からなる歪ゲージが配設されて構成されている。4つの歪ゲージによりブリッジ回路が構成されており、ブリッジ回路の一方の一対の端子には、定電流回路33が電気的に接続されている。他方の一対の端子には、増幅回路34が電気的に接続されており、増幅回路34は、ダイアフラムの変形に応じて変化する他方の一対の端子間の電圧を増幅し、A/Dコンバータ109により変換可能な電圧信号として出力する。本実施形態においては、圧力センサ31、定電流回路33及び増幅回路34により、圧力測定手段30が構成される。
水検出センサ21は、前述したように2つの電極22、23を具備して構成される。水検出センサ21の2つの電極22、23には、2つの電極22、23間の電気抵抗値を検出する抵抗値検出回路24が電気的に接続されている。抵抗値検出回路24は、2つの電極22、23間の電気抵抗値が、所定の値以上であればHi信号を出力し、所定の値より低ければLo信号を出力する。
例えば、デジタルカメラ1が空気中にある場合には、2つの電極22、23間は絶縁されているため電気抵抗値が無限大であり、抵抗値検出回路24はHi信号を出力し、デジタルカメラ1が水中にある場合には、2つの電極22、23間に水が存在するため電気抵抗値が下がり、抵抗値検出回路24はLo信号を出力する。
すなわち、システムコントローラ100は、抵抗値検出回路24からの出力が、Hiならばデジタルカメラ1が気中に存在すると判断し、Loならばデジタルカメラ1が水中に存在すると判断する。本実施形態では、水検出センサ21及び抵抗値検出回路24により、水検知手段20が構成される。
表示手段である液晶表示装置10は、液晶モニタ11、バックライト13、液晶モニタ駆動回路12及びバックライト駆動回路14を具備して構成されている。液晶モニタ駆動回路12は、液晶モニタ11を駆動する回路であり、液晶モニタ11は、液晶モニタ駆動回路12からの駆動信号に応じて、画像や文字、アイコン等の各種表示を行う。また、バックライト駆動回路14は、液晶モニタ11を照明する照明素子であるバックライト13のLEDを駆動する回路である。
USBコントローラ139は、デジタルカメラ1と、USB端子を介して電気的に接続されるパーソナルコンピュータや外部記録装置等の外部装置との間におけるデータの送受信の制御を行う回路である。
操作SW134は、本実施形態では、レリーズSW3、パワーSW5、ズーム指示スイッチ6、7、十字方向スイッチ8等により構成される、デジタルカメラ1を操作するために利用されるスイッチ類により構成される。
以下に、上述の構成を有する本実施形態のデジタルカメラ1において、システムコントローラ100のCPU101により実行される、メインルーチンについて図4から図8を参照して説明する。パワーSW5が操作者によりON状態とされると、システムコントローラ100は動作を開始し、メインルーチンを実行する。
まず、ステップS100において、メモリ初期化、IO初期化及び回路ブロック初期化等のシステムの初期設定動作を、起動プロセスに応じて行う。起動プロセスには、パワーSW5が操作され、システムが完全に停止した状態から起動するプロセスと、システムのスタンバイ状態から起動するプロセスがある。
次に、ステップS101において、タイマーカウンタ108の設定を行う。タイマーカウンタ108からの出力は、圧力データの測定タイミングやスタンバイモードへの移行タイミングの検出に利用されるものである。
次に、ステップS102において、圧力測定手段30へ駆動電圧を供給すると共に、圧力測定手段30の回路が安定するまで待機する。
次に、ステップS103において、液晶表示装置10に被写体像を周期的に更新して表示するライブビュー表示動作を開始する。ここでは、撮像素子IF回路131から出力される画像データを周期的に取り込み、液晶モニタ駆動回路12へ出力するための設定及び動作が行われる。
次に、ステップS104からステップS106において、水中におけるデジタルカメラ1の所定の動作を規定する第2の動作モードである水中動作モードと、水中以外におけるデジタルカメラ1の所定の動作を規定する第1の動作モードとのいずれか一方を選択する動作モード選択処理が実行される。
動作モード選択処理においては、まず、ステップS104において、水検知手段20の抵抗値検出回路24からの出力信号から、デジタルカメラ1が水中に在るか否かを判定する。ここで、抵抗値検出回路24からの出力信号がLoであれば、デジタルカメラ1が水中に在ると判断してステップS105に進み、水中におけるデジタルカメラ1の動作が規定されたモードである水中動作モードが選択され設定される。一方、抵抗値検出回路24からの出力信号がHiであれば、デジタルカメラ1が水中以外に在ると判断してステップS106に進み、水中動作モードを解除する動作が行われる。すなわち、ステップS106においては、水中以外におけるデジタルカメラ1の動作が規定された動作モードが選択されて設定される。
ここで、水中動作モードとは、後述するスタンバイモードの動作条件や、画像処理回路103における画像処理に用いられるパラメータや、撮影レンズユニット2の焦点調整のアルゴリズム等のデジタルカメラ1の動作を規定する各因子を、水中での動作に最適化したものである。なおこれらのデジタルカメラ1の動作を規定する各因子のうち、本実施形態では、デジタルカメラ1のスタンバイモードの動作条件の変更について詳細に説明するものとし、その他の説明については省略するものとする。
次にステップS107において、タイマーカウンタ108の出力から、圧力測定タイミングであるか否かを判定する。圧力測定タイミングである場合は、ステップS120へ移行し、圧力測定タイミングでない場合にはステップS108へ移行する。タイマーカウンタ108による圧力測定タイミングを指示する信号の発生間隔は、ステップS101において設定されるものであり、例えば1秒に設定される。
ステップS107において圧力測定タイミングであると判定された場合、次にステップS120において、圧力測定手段30からの出力をA/D変換して取得する。そして、フラッシュROM120に格納された制御パラメータから、デジタル化された圧力測定手段30からの出力を圧力値に変換する変換パラメータを読み出す。そして、該変換パラメータを用いて、圧力測定手段30からの出力を圧力値である圧力データに変換する。
次に、ステップS121において、圧力データを、時計回路138から取得した時間データと共にフラッシュROM120のログデータの記録領域に格納する。
次に、ステップS122おいて、ステップS120で取得した圧力データが、所定の圧力値である判定値、いわゆる閾値よりも小さいか否かを判定する。ここで、判定値とは、デジタルカメラ1が水中において安全に動作可能な水深を考慮して定められた値であり、例えば水深10mに相当する圧力(水圧)値とされる。この判定値は、フラッシュROM120に、制御パラメータの一つとして記憶されている。なお、以下において、デジタルカメラ1が水中において安全に動作可能な水深の限界値を、安全動作限界と称する。
ステップS122において、圧力データが判定値以上である場合、すなわち、デジタルカメラ1が安全に動作可能な水深以上に深い水深に在る場合、ステップS150へ移行する。一方、ステップS122において、圧力データが判定値よりも小さい場合、すなわち、デジタルカメラ1が安全に動作可能な水深よりも浅い水深に在るもしくは気中にある場合、ステップS123へ移行する。
ステップS123において、OSD(On Screen Display)機能を用いて、液晶表示装置10に、取得した圧力データを画像データと共に表示する。圧力データは、そのまま、単位面積当たりの加重値として単位変換されて表示されてもよいし、図12に示すように、水深に換算されて表示されるものであってもよい。
上述のステップS120からS123における圧力測定、圧力データ記録及び圧力データの表示の動作は、ステップS107に示したように所定の周期で行われるため、使用者は、デジタルカメラ1による撮影を行いながら、同時に自らの居る水深を確実に認識することができる。また、圧力データは、時間データと共にフラッシュROM120に格納されているため、この格納されたデータを参照することにより、使用者は、自らの潜水深度の履歴の確認を行うことができる。
一方、ステップS107において圧力測定タイミングではない判定された場合、次にステップS108において、レリーズSW3の状態を判定する。レリーズSW3がON状態であればステップS130からステップS132の撮影処理を実行する。レリーズSW3がON状態でなければ、ステップS109へ移行する。
ステップS108において、レリーズSW3がON状態であると判定された場合、すなわち、操作者により撮影の指示がなされた場合、次にステップS130において、撮像素子IF回路131を介して画像データを取得する。取得した画像データに対して、画像処理回路103及び圧縮伸長回路104により画像処理及び圧縮処理等を行い、所定の形式、例えばJPEG形式の画像ファイルに変換する。
次にステップS131において、フラッシュROM120に格納されているログデータから最新の圧力データを取得し、画像ファイルのヘッダー部へ付加する。次にステップS132において、画像ファイルを外部メモリIF回路105を介してメモリカード132に格納する。そして、ステップS104へ移行する。
一方、ステップS108において、レリーズSW3がOFF状態であると判定された場合、次にステップS109において、パワーSW5の状態を判定する。パワーSW5がOFF状態であればステップS111へ移行しデジタルカメラ1の動作の停止処理を開始し、パワーSW5がON状態であればステップS110へ移行する。
ステップS111において、水中動作モードが設定されているか否かを判定する。水中動作モードが設定されていない場合、すなわちデジタルカメラ1が水中以外で使用されている場合、ステップS112へ移行し、デジタルカメラ1のシステムの終了(システムダウンもしくはシャットダウンとも称する)処理を行う。この結果、デジタルカメラ1の動作は停止される。
一方、水中動作モードが設定されている場合、すなわちデジタルカメラ1が水中で使用されている場合、システムの終了処理は禁止され、詳しくは後述するステップS141へ移行する。
ここで、本実施形態において、水中動作モードが設定されている場合に、システムの終了処理が禁止されるのは、使用者がデジタルカメラ1の安全動作限界を超えた水深へ潜ってしまうことを防止するためである。そこで、本実施形態のデジタルカメラ1では、使用者がデジタルカメラ1の安全動作限界を超えた水深へ潜ってしまうことを防止するために、後述するステップS141以降に示すように、圧力データの取得を継続するのである。
図14は、デジタルカメラ1が水中に位置する際に設定される水中動作モード(第2モード)、及びデジタルカメラ1が気中に位置する際に水中動作モードに設定されない場合(第1モード)を、圧力に対応して示す図である。
また、第2モードに対応する後述する第2スタンバイモード、第1モードに対応する後述する第1スタンバイモード、及び安全動作限界を超えた場合の後述するスタンバイ禁止モードについても合せて示している。
ステップS109において、パワーSW5がON状態であると判定された場合、次に、ステップS110において、操作SW134が操作されない連続した時間が、所定の時間以上に達したか否かを判定する。操作SW134が操作されない時間の測定は、タイマーカウンタ108からの出力に基づいて行われる。例えば所定の時間が30秒として、フラッシュROM120の制御パラメータに記憶されている場合、過去30秒間において操作SW134への操作が行われなければ、後述するステップS140へ移行し、スタンバイモードへの移行処理を実施する。最近の操作SW134への操作から、所定の時間が経過していなければ、ステップS104へ移行する。
ステップS140において、水中動作モードが設定されているか否かが判定される。水中動作モードが設定されていない場合には、第1のスタンバイモードの設定がステップS144及びステップS145において実施された後に、デジタルカメラ1はスタンバイモード(省電力動作モード)へ移行する。ここで、スタンバイモードとは、デジタルカメラ1における消費電力が通常稼動状態よりも低い状態のことを指す。第1のスタンバイモードの設定においては、操作SW134からの入力によってスタンバイモードが解除され、デジタルカメラ1のシステムの起動処理が開始される。
より具体的には、ステップS144において、システムコントローラ100の周辺回路の動作を停止する。次にステップS145において、操作SW134からの入力によってシステムコントローラ100がスタンバイモードから起動するように、割込み制御回路107の設定を行う。そして、クロック供給回路110の動作を停止する。これにより、システムコントローラ100は動作を停止し、デジタルカメラ1はスタンバイモードに移行する。なお、ここでシステムコントローラ100の動作の停止とは、後述するように割込み制御回路107等の一部の回路ブロックが動作可能な状態を指すものであり、パワーSW5がOFF状態であり電力が全く供給されない場合におけるシステムコントローラ100の状態とは異なるものである。
この第1のスタンバイモードの設定がなされた状態においては、操作SW134に何らかの操作が入力されることによって、割込み制御回路107により割込み信号が生成され、システムコントローラ100は通常の稼動状態に復帰する。そして、ステップS100からのメインルーチンが開始される。
一方、水中動作モードが設定されている場合には、第2のスタンバイモードの設定がステップS142及びステップS143において実施された後に、デジタルカメラ1はスタンバイモードへ移行する。第2のスタンバイモードの設定においては、操作SW134からの入力によるデジタルカメラ1のシステムの起動処理の開始に加えて、所定の周期でスタンバイモードの解除の判定が行われ、この判定結果に基づいてデジタルカメラ1のシステムの起動処理が開始される。
まず、第2のスタンバイモードの設定を実行する前に、ステップS141において、圧力データが所定の判定値以下であるか否かを判定する。ここで、圧力データが所定の判定値以下である、すなわちデジタルカメラ1が安全動作限界よりも浅い水深に在ると判定した場合、第2のスタンバイモードの設定を許可し、ステップS142へ移行する。
ステップS142において、圧力測定に必要な回路ブロックの動作を除き、システムコントローラ100の周辺回路の動作を停止する。次に、ステップS143において、操作SW134からの入力によってシステムコントローラ100がスタンバイモードから起動するように、割込み制御回路107の設定を行う。また、システムコントローラ100を所定の周期で停止状態から起動させるために、タイマーカウンタ108の出力に基づいて割込み信号が生成されるように割込み制御回路107の設定を行う。そして、システムコントローラ100は動作を停止し、デジタルカメラ1はスタンバイモードに移行する。
この第2のスタンバイモードの設定がなされた状態においては、操作SW134に何らかの操作が入力されることによって、割込み制御回路107により割込み信号が生成され、システムコントローラ100は通常の稼動状態に復帰する。
さらに、第2のスタンバイモードの設定がなされた状態においては、タイマーカウンタ108から出力される所定の周期の信号に基づいて割込み制御回路107により割込み信号が生成される。このため、システムコントローラ100は、操作SW134からの入力がなくとも、所定の周期で図8に示すタイマー割込みルーチンを実行することが可能な稼動状態に復帰する。そして、第2のスタンバイモードの設定がなされた状態で稼動状態に復帰したシステムコントローラ100は、図8に示すタイマー割込みルーチンを実行する。
上述のように、第2のスタンバイモードの設定がなされた状態におけるデジタルカメラ1のスタンバイモードは、2つの解除要因を有するのである。
一方、ステップS141において、圧力データが所定の判定値より大きい、すなわちデジタルカメラ1が安全動作限界よりも深い水深に在ると判定した場合、第2のスタンバイモードの設定を禁止し、ステップS150へ移行する。ここで、デジタルカメラ1は、安全動作限界よりも深い水深におかれているため、使用者に対して、安全動作限界の水深までの浮上を促す必要がある。以下に説明する、ステップS150からS160においては、使用者に対して浮上を促すための圧力データと警告を表示する処理を実行するものである。
まず、ステップS150において、圧力測定に必要な回路ブロックと、液晶表示装置10による表示動作に必要な回路ブロックを除き、システムコントローラ100の周辺回路の動作を停止する機能制限モードに移行する。液晶表示装置10においては、通常、ライブビュー表示が行われるものであるが、水深が安全動作限界よりも深い状態においては、被写体の画像データを表示する必要はない。したがって、ステップS150において、画像データの取得に必要な撮像素子130、撮像素子IF回路131等の動作は禁止されると共に、電力の供給が停止される。もちろん、撮影動作も禁止されるため、撮影動作に必要な回路ブロックの動作も禁止される。
次に、ステップS151において、液晶表示装置10に警告を表示する。すなわち、使用者に対してデジタルカメラ1が安全に動作可能な水深すなわち安全動作限界まで浮上するよう促す旨の警告文及び警告アイコンの少なくとも一方を、液晶表示装置10に表示する。図13に警告表示の例を示す。
次に、ステップS152において、システムコントローラ100内部の回路ブロックのうち、圧力データの取得と表示に関係しない回路ブロックへの動作を停止する省電力処理を実行する。例えば、画像データの処理に必要な画像処理回路103、圧縮伸長回路104等の回路ブロックへの動作クロックの供給を停止する。また、システムコントローラ100が、動作クロックの変更機能を有するものであれば、各回路ブロックへ供給するクロックの周波数を下げることで、消費電力を下げるようにしてもよい。このように、デジタルカメラ1の消費電力を抑制することにより、圧力データの取得と表示動作を長時間行うことが可能となる。
次にステップS153において、バックライト13の輝度を下げて、消費電力を下げるバックライト13の省電力処理を実行する。もしくは、バックライト13の点灯のON・OFFを繰り返すことで、バックライト13による消費電力を下げてもよい。この場合、バックライト13のON・OFFに同期して液晶モニタ駆動回路12の動作もON・OFFすることにより、より消費電力を下げることが可能となる。
次にステップS154において、圧力測定手段30からの出力をA/D変換して取得する。そして、フラッシュROM120に格納された制御パラメータから、デジタル化された圧力測定手段30からの出力を圧力値に変換する変換パラメータを読み出す。そして、該変換パラメータを用いて、圧力測定手段30からの出力を圧力値である圧力データに変換する。
次にステップS155において、圧力データを、時計回路138から取得した時間データと共にフラッシュROM120のログデータの記録領域に格納する。
次にステップS156において、液晶表示装置10に、取得した圧力データを表示する。圧力データは、そのまま、単位面積当たりの加重値として単位変換されて表示されてもよいし、水深に換算されて表示されるものであってもよい。
次にステップS157において、ステップS154において取得した圧力データが、所定の圧力値である判定値から所定の偏差量Δhysを引いた値以下であるか否かを判定する。すなわち、圧力データが、”判定値−Δhys”以下であるか否かを判定する。圧力データが、”判定値−Δhys”より大きければ、ステップS154へ移行し、”判定値−Δhys”以下であれば、ステップS158へ移行する。
ここで、判定値は、前述の通り、デジタルカメラ1が水中において安全に動作可能な水深を考慮して定められた値である。また、偏差量Δhysは、判定値を減少させるよう設定された制御パラメータであり、例えば判定値が水深10mと設定されている場合に、偏差量Δhysは2mとして設定される。これは、デジタルカメラ1が、判定値近傍の水深におかれた場合に、デジタルカメラ1の安全動作領域の判定と非安全動作領域の判定が短期間で何度も繰り返されてしまいデジタルカメラ1の動作が不安定となること防止するためである。
具体的には、一度、判定値である水深10mよりも深い水深に置かれて非安全動作領域に在ると判定したデジタルカメラ1は、水深8mに浮上するまで、非安全動作領域である判定を覆すことがない。すなわち、本実施形態では、デジタルカメラ1が一旦水深10mよりも深い水深に持ち込まれた場合、水深8mに浮上するまでの間、ステップS154からステップS156の処理が繰り返されるのである。
次にステップS158において、液晶表示装置10への警告の表示を停止する。
次にステップS159において、ステップS152で実行した省電力処理を停止する。
次に、ステップS160において、ステップS153で実行したバックライト13の省電力処理を停止する。
次に、ステップS161において、ステップS150で停止したシステムコントローラ100の周辺回路の動作を開始し、通常稼動に必要な設定が終了すると、ステップS104へ移行する。
次に、タイマー割込みルーチンについて、図8を参照して説明する。タイマー割込みルーチンは、前述の通り、第2のスタンバイモードの設定がなされた状態で稼動状態に復帰したシステムコントローラ100により実行されるものである。
まず、ステップS170において、圧力測定手段30からの出力をA/D変換して取得する。そして、フラッシュROM120に格納された制御パラメータから、デジタル化された圧力測定手段30からの出力を圧力値に変換する変換パラメータを読み出す。そして、該変換パラメータを用いて、圧力測定手段30からの出力を圧力値である圧力データに変換する。
次にステップS171において、圧力データを、時計回路138から取得した時間データと共にフラッシュROM120のログデータの記録領域に格納する。
次にステップS172において、ステップS170において取得した圧力データが、所定の圧力値である判定値から所定の偏差量Δhysだけ低い値以下であるか否かを判定する。すなわち、圧力データが、”判定値−Δhys”以下であるか否かを判定する。圧力データが、”判定値−Δhys”以下であれば、再びスタンバイモードへ移行する。一方、圧力データが、”判定値−Δhys”より大きければ、ステップS100へ移行し、システムの起動を開始する。
以上のように、デジタルカメラ1が水中にあると判定した場合、デジタルカメラ1がスタンバイモード中であっても圧力データの取得が行われるのである。そして、スタンバイモード中であるデジタルカメラ1の置かれる水深を深くしていった場合、安全動作限界である水深に到達するよりも手前の水深において、デジタルカメラ1は通常動作に復帰するのである。例えば、判定値が水深10mと設定され、偏差量Δhysが2mとして設定されている場合、スタンバイモードに移行した状態のデジタルカメラ1は、操作SW134からの入力がなくとも、水深8mよりも深い水深に持ち込まれた時点でスタンバイモードから通常動作に復帰する。
このように、スタンバイモードに移行中のデジタルカメラ1が、安全動作限界である水深に到達する前に通常動作に復帰することによって、安全動作限界である水深に達した場合には前述したステップS150からステップS156に示した警告動作が正常に行われるのである。このことにより、使用者に対して、デジタルカメラ1の安全動作限界の水深を超えたことを、確実に知らせることが可能となる。
上述した本実施形態の電子装置であるデジタルカメラ1は、圧力を測定する圧力測定手段30と、水検知手段20を具備して構成され、該水検知手段20によりデジタルカメラ1が水中にあると判定された場合には、スタンバイモード時に圧力測定手段30の動作を可能としたものである。したがって、本実施形態によれば、通常の動作時よりも低消費電力であるスタンバイモードに移行した場合においても、水中での動作時であれば圧力測定手段により圧力データを取得可能な電子装置を実現することが可能となるのである。また、水中以外での動作時には、圧力測定手段の駆動も停止されるため、よりスタンバイモード時における消費電力を抑制することが可能である。
また、本実施形態のデジタルカメラ1は、安全動作限界よりも深い水深に在ると判定した場合、スタンバイモードへ移行しない構成を有している(ステップS141)。このような構成を有することにより、デジタルカメラ1は、スタンバイモードへ移行してしまうことなく使用者に対して安全動作限界の水深まで浮上することを促す警告を表示することが可能となり、安全動作限界よりも深い水深における長時間の使用により内部に浸水してしまうことを防止することができる。
また、本実施形態のデジタルカメラ1は、安全動作限界よりも深い水深に在ると判定した場合に、圧力測定手段30と安全動作限界の水深まで浮上することを促す警告を表示する機能に関係する回路を除く回路を停止する機能制限モードへ移行する構成を有している。このような構成を有することにより、デジタルカメラ1は、安全動作限界よりも深い水深においても、圧力データの取得を中断することなく行うことが可能であり、かつその他の回路が停止されるため消費電力を抑えることが可能となる。
なお、水中においてはバッテリー137の交換が不可能であるため、デジタルカメラ1の駆動時間を長くすることが望ましく、特に水中動作モード時において消費電力を抑える必要がある。このように、水中動作モードが選択された状態における消費電力を抑制する方法として、ステップS110において、スタンバイモードへの移行に用いられた判定時間を、水中動作モード選択時には、水中動作モードが選択されていない場合に比して短く設定することが可能である。このように、水中動作モードが選択されている状態においては、スタンバイモードへの移行をより早く実行することにより、デジタルカメラ1がスタンバイモードである期間を長くすることが可能であるため、水中におけるデジタルカメラ1の消費電力をより抑制することが可能となる。
次に、本実施形態のメインルーチンの変形例を説明する。本変形例は、上述した実施形態に比して、メインルーチンのステップS104からステップS106における水中動作モードと水中動作モード以外の動作モードとのいずれか一方を選択する、動作モード選択処理のみが異なる。よって、この相違点のみを図9に示し、以下に説明するものとする。
上述した実施形態のメインルーチンのステップS104においては、水検知手段20の抵抗値検出回路24からの出力信号から、デジタルカメラ1が水中に在るか否かを判定しているものであるが、本変形例においては、水中動作モードの選択は、操作者からの指示に基づいて判定が行われる。すなわち、本変形例においては、デジタルカメラ1を水中で使用する場合には、操作者が、予め操作SW134を介して水中動作モードを選択する指示を行うものである。
したがって、本変形例では、ステップS204において、使用者により水中動作モードの選択がなされているか否かを判定する。ここで、水中動作モードの選択がなされていれば、ステップS205へ移行し水中動作モードが設定される。一方、水中動作モードの選択がなされていなければ、ステップS206へ移行して、水中動作モードを解除する動作が行われる。
本変形例では、水検知手段を用いずに水中動作モードの選択を実行する構成とすることにより、水検知手段を省いてより簡略な構成としながら、上述の実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
次に、本実施形態のメインルーチンのさらに別の変形例を説明する。
本変形例は、上述した実施形態に比して、メインルーチンのステップS104からステップS106における水中動作モードと水中動作モード以外の動作モードとのいずれか一方を選択する、動作モード選択処理のみが異なる。よって、この相違点のみを図10に示し、以下に説明するものとする。
上述した実施形態のメインルーチンのステップS104においては、水検知手段20の抵抗値検出回路24からの出力信号から、デジタルカメラ1が水中に在るか否かを判定しているものであるが、本変形例においては、水中動作モードの選択は、圧力測定の結果に基づいて判定が行われる。すなわち、本変形例においては、圧力測定手段30によって取得される圧力データに基づいて行う構成とし、本変形例においては、圧力測定手段30によって取得される圧力データが、所定の値以上であるか否かで、デジタルカメラが水中に在るか否かを判定する。
本変形例では、ステップS313において圧力測定を行い、ステップS303において圧力データが水中に在るか否かを判定するための水中判定値以上であるか否かを判定する。ここで、圧力データが水中判定値以上であれば、ステップS304へ移行し水中動作モードが設定される。一方、圧力データが水中判定値よりも小さい場合は、ステップS305へ移行して、水中動作モードを解除する動作が行われる。
例えば、圧力測定手段30によって取得される圧力データが、1気圧以上であればデジタルカメラが水中に在るものとして判定するのである。本変形例においても、水検知手段を用いずに水中動作モードの選択を実行することが可能となり、水検知手段を省いてより簡略な構成としながら、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
次に、本実施形態のさらにその他の変形例を説明する。
図11は、図7のステップS150〜ステップS161を、ステップS450〜ステップS461に変更した上に、ステップS453とステップS454の間に、ステップS480〜ステップS487を追加したものである。
本変形例では、デジタルカメラ1は、安全動作限界よりも深い水深におかれている場合に、上述した実施形態と同様に、使用者に対して、安全動作限界の水深までの浮上を促す動作を行うが、さらにバッテリー137のバッテリーチェック結果に基づいて、バッテリー残量不足の警告を行い、使用者に対して、水中からデジタルカメラ1を出してバッテリー137の交換を促す動作を行う。また所定時間よりも長時間、安全動作限界よりも深い水深におかれていることを検出して警告し、使用者に対して浮上を促す動作を行う。
以下、図11に示すフローチャートに基づいて本変形例を説明する。
ステップS450〜ステップS461においては、使用者に対して浮上を促すための圧力データと警告を表示する処理、及びバッテリーチェックの結果で残量が不足する場合の警告表示、安全動作限界よりも深い水深である非安全動作限界に位置している時間を計測し、該時間が所定時間以上である場合の警告表示を実行するものである。
まず、ステップS450〜ステップS453については、図7のステップS150〜ステップS153と同一であるので説明を省略する。
次にステップS480では、非安全動作限界の状態の継続時間を計測するためにタイマーカウンタ108内の複数のタイマーカウンタのうちの一部を初期化し、計測を開始する。
次にステップS481では、CPU101により電力回路136等を作動させてバッテリー137の水中用バッテリーチェック動作を行い、バッテリー残量が十分あるか否かを判定する。この際の判定レベルは、通常動作時の判定レベルと異なりデジタルカメラ1が水中で使用されていることを想定して判定レベルをより高くしている。
すなわち、水中においてはできるだけ余裕を持ったバッテリー残量にて残量不足と判定するように設定されているのであり、使用者やデジタルカメラ1の安全確保の考え方が盛り込まれている。
ステップS481にて、バッテリー残量が所定の値よりも多い“水中用バッテリーチェックOK”の場合には、ステップS483に移行する。この場合、図15に示すように、バッテリー137の残量を例えば動作可能な時間に換算して、バッテリー残量表示として液晶表示装置10に表示する。
また、ステップS481において、バッテリー残量表示を更新するとともに、後述する第2の警告表示動作がすでになされている場合には、第2の警告表示を停止しステップS484に移行する。
一方、ステップS481にて、バッテリー残量が所定の値以下であると判定した場合は、ステップS482に移行する。ステップS482では、図16に示すように、バッテリー残量が不足していることを示す第2の警告表示を液晶表示装置10に表示を開始する。
すなわち、使用者に対してデジタルカメラ1のバッテリー137を交換するよう促す旨の警告文及び警告アイコンの少なくとも一方を、液晶表示装置10に表示する。
次に、ステップS484ではタイマーカウンタ108のカウント値に基づいて、図15に示すように、非安全動作限界の状態が継続している時間を求め、液晶表示装置10に前記時間の表示を行う。ここで、表示する時間は、安全動作限界を水深10mとした場合には、水深10mよりも深い状態が継続している時間を表示する。
なお、このステップS484で表示する時間は、水深10mよりも深い状態が断続的である場合には、水深10mよりも深い状態の積算時間であってもよい。また、前記偏差量Δhysを2mとすると、水深8m以上の状態を継続している時間、または同様にその積算時間を採用してもよい。
なお、表示時間は、圧力データが前記判定値−Δhysより小さくなり水深が浅くなった(ステップS457のYES)等により、初期化される。
次に、ステップS485においては、上記ステップS484で求めた非安全動作限界の状態の継続時間が所定時間以上であるか否かを判定する。
そして非安全動作限界の状態の継続時間が所定時間以上である場合には、S486に移行し、非安全動作限界の状態である継続時間が所定時間以上であることを示す第3の警告表示を、図16に示すように液晶表示装置10に表示する。例えば、使用者に対して安全に動作可能な水深すなわち安全動作限界まで浮上するよう促す旨の警告文及び警告アイコンの少なくとも一方を、液晶表示装置10に表示する。
なお、非安全動作限界の状態の継続時間の代わりに、非安全動作限界の状態の積算時間によってステップS485の判定を行ってもよい。該積算時間は、非安全動作限界の状態である判定されている期間のタイマーカウンタ108のカウントデータを加算して求めることができる。
このように、本変形例では、デジタルカメラ1が安全動作限界を超えた水深に所定時間以上おかれており、破壊の可能性があることを警告として表示し、使用者に安全に動作可能な水深すなわち安全動作限界まで浮上するよう促す。
一方、ステップS485にて非安全動作限界の状態の継続時間が所定時間以上ではないと判定した場合は、ステップS487に移行し、非安全動作限界の状態の継続時間の表示を更新するとともに、すでに第3の警告表示動作が実行されている場合には、その第3の警告表示を停止してステップS454に移行する。
ステップS454〜ステップS457は、図7のステップS154〜ステップS157と同一であるので説明を省略する。
次に、ステップS458において、液晶表示装置10への警告の表示を停止する。ここでは上記第1〜第3の警告表示の全てが停止される。
以下のステップS459〜ステップS461は、図7のステップS159〜ステップS161と同一であるので説明を省略する。
上述した実施形態に基づいて、以下の構成を提案することができる。すなわち、
(付記1)
操作スイッチと、
圧力を測定する圧力測定手段と、
電子装置が水中に在るか否かを検知する水中検知手段と、
操作スイッチが所定時間操作されないと第1あるいは第2スタンバイモードを設定する設定手段と、
第1スタンバイモードが設定されると操作スイッチによるスタンバイモード解除機能を許可し、第2スタンバイモードが設定されるとこのモード解除機能と共に圧力測定手段の動作を許可する制御手段と、
を有し、
上記設定手段は、水中検知手段が水中に在ると判断すると第2スタンバイモードを選択し、水中には居ないと判断すると第1スタンバイモードを選択することを特徴とする電子装置。
(付記2)
操作スイッチと、
圧力を測定する圧力測定手段と、
非水中動作モードと水中動作モードのいずれかを選択する動作モード選択手段と、
操作スイッチが所定時間操作されないと第1スタンバイモードもしくは第2スタンバイモードへ動作状態を設定する設定手段と、
第1スタンバイモードが設定されると操作スイッチによるスタンバイモード解除機能を許可し、第2スタンバイモードが設定されると操作スイッチによるスタンバイモード解除機能と共に圧力測定手段の動作を許可する制御手段と
を有し、
設定手段は、非水中モードが選択されている時は第1スタンバイモードを設定し、水中動作モードが選択されているときは第2スタンバイモードを設定することを特徴とする電子装置。
(付記3)
圧力測定手段の出力が所定値以上のときは、第2スタンバイモードの動作を禁止する禁止手段をさらに有することを特徴とする付記1又は2に記載の電子装置。
(付記4)
制御手段は、第2スタンバイモード中に圧力測定手段の出力が所定値以上になるとスタンバイモードを解除することを特徴とする付記1又は2に記載の電子装置。
(付記5)
電子装置は、電子カメラであることを特徴とする付記1から4のいずれか一つに記載の電子装置。
なお、本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電子装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
例えば、上述の実施形態で説明した電子装置は電子カメラ(デジタルスチルカメラ)に限らず、水中において動作可能な、録音機器、携帯電話、PDA、パーソナルコンピュータ、ゲーム機、フィルムカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルメディアプレーヤー、テレビ、GPS、時計等の電子装置とすることが可能である。
また、上述の実施形態の電子装置であるデジタルカメラは、水密な構造の外装部材を有することにより、水中において動作可能なものとして説明しているが、いわゆる防水ケースや防水ハウジングと称される水密な構造の箱体内に収容された状態で、水中において使用される電子装置であっても、本発明を適用可能であることは言うまでもない。
また、上述の実施形態では、本発明の適用例としてデジタルカメラを採用しているため、圧力データや警告を表示する表示手段は液晶表示パネルが用いられているものであるが、例えば録音装置等の画像を表示する必要がない電子装置であれば、表示手段は単純な警告灯やセグメント方式のLED表示装置等であってもよいことは言うまでもない。
1 デジタルカメラ、 2 撮影レンズユニット、 3 レリーズスイッチ、 4 閃光発光装置、 5 パワースイッチ、 21 水検出センサ、 32 圧力センサ