本発明は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、TFTと略記)の活性層に適用するシリコンを含む結晶質半導体膜の作製方法に関し、特に結晶化の助長作用を有する触媒元素のスピン添加方法に関する。また、本発明は、当該結晶質半導体膜を有する半導体装置に関する。
近年、ガラス基板等の絶縁性基板上にTFTを形成して半導体集積回路を形成する技術が急速に進歩し、この技術を利用してアクティブマトリクス型液晶表示装置に代表される電気光学装置が実用化されつつある。特に、ドラーバー回路一体型アクティブマトリクス型液晶表示装置は、同一基板上に画素マトリクス回路とドライバー回路とを設けたモノリシック型液晶表示装置であり、高精細化の要求と共にその需要は高まっている。さらに、上記技術を利用して、γ補正回路やメモリ回路及びクロック発生回路等のロジック回路を内蔵したシステムオンパネルの実現に向け、さらなる開発も進められている。
しかし、ドライバー回路やロジック回路は高速動作を行う必要がある為、TFTにおいてチャネル形成領域やソース・ドレイン領域などを形成する活性層に、非晶質シリコン膜を適用することは不適当で、現状では多結晶シリコン膜を活性層としたTFTが主流に成りつつある。TFTを形成する基板については、コスト的に安価なガラス基板の適用が要求されており、ガラス基板への適用が可能なプロセスの開発が盛んに行われている。
例えば、結晶化の助長作用を有するNi(ニッケル)等の触媒元素を非晶質シリコン膜に導入し、熱処理により結晶質シリコン膜を成膜する技術が知られている。熱処理温度としてはガラス基板の耐熱温度以下である550〜600℃程度の熱処理で結晶化できることが判明している。当該結晶化技術に於いては、非晶質シリコン膜へ触媒元素を導入する必要があり、導入法として、プラズマCVD法、スパッタ法、蒸着法、スピン添加法等が挙げられる。
非晶質シリコン膜の表面近傍に効率的に触媒元素を導入する方法として、触媒元素を含む溶液(以下、触媒元素溶液と略記)をスピン添加法で添加する方法が開発されており、特開平7−211636号公報に公開されている。同公報記載の触媒元素溶液のスピン添加法は以下の特徴を有している。
(特徴1)触媒元素溶液中の触媒元素の濃度を制御することで、非晶質シリコン膜表面への触媒元素添加量を容易に制御できる。
(特徴2)この為、結晶化に必要最小限度の触媒元素を非晶質シリコン膜表面へ容易に添加できる。
(特徴3)半導体装置の信頼性及び電気的安定性の為には、結晶化した結晶質シリコン膜内の触媒元素の量を極力少なくする必要がある。スピン添加法の場合、触媒元素溶液の触媒元素濃度の調整により、結晶化に必要最低限の触媒元素を容易に添加できる為、過剰な触媒元素導入を抑止でき、半導体装置の信頼性及び電気的安定性の点で有利である。
大画面化への対応や生産性の向上を目的として、液晶表示装置の生産工程に用いるガラス基板のサイズは大型化が進んでいる。将来的には一辺が1mを越えるサイズのガラス基板が使用されることが見込まれている。
上述の触媒元素のスピン添加法は、触媒元素溶液を基板面に滴下することにより基板上に液盛りし、基板を高速で回転することにより、滴下された触媒元素溶液を振り切り、所望の量の触媒元素を基板面に添加するものである。当該スピン添加法に於いては、基板表面への触媒元素添加量を容易に制御できる等の特徴がある為実用化の検討が進められている重要な技術であるが、基板サイズが大型化するにつれ触媒元素添加量の均一性が悪化するという問題がある。特にこの不均一性は、角型基板の対角線の長さが500mm以上になると無視できない問題となる。
均一性が悪化する主な原因は、基板上に触媒元素溶液を液盛りした後にスピン乾燥する段階で、基板中央部と基板周辺領域との間で空気に対する相対運動速度が異なり、それに起因して、触媒元素溶液の溶媒成分の蒸発速度が基板の面内で異なり、結果的に中央部と周辺領域との間で乾燥ムラが生じるためと考えられる。
図3は角型基板サイズと基板端部での運動速度を示す関係図で、当該乾燥ムラの発生原因は以下の様に考えられる。例えば、一辺が250mmの角型基板に触媒元素溶液をスピン添加する場合、回転速度が500rpm(500回転/分)の時、基板中央部の空気に対する運動速度は0m/分であるのに対し、基板端部に於いては、約400m/分の運動速度で回転運動している。この様に基板中央部からの距離が長くなる程、空気に対して高速で運動することになる為、空気との摩擦も激しくなり、触媒元素溶液の溶媒成分はより急速に蒸発することになる。従って、基板中央部と基板端部との間で、溶媒成分の蒸発速度差に起因した乾燥ムラが生じることになる。
更に、溶媒成分の蒸発速度差に起因した乾燥ムラは、角型基板の基板コーナー領域で顕在化する傾向がある。基板コーナー領域に於いては、空気を押し退けながら回転運動する為、空気との摩擦が特異的に激しくなる為と考えられる。この様な乾燥ムラは触媒元素析出量に影響し、最終的に結晶化後の結晶化率、結晶粒のサイズ、その配列など様々なバラツキに影響する大きな問題である。
本発明は上記問題点を解決することを課題としている。具体的には、スピン添加法に於ける乾燥ムラに起因する触媒元素添加量の基板内不均一性の問題を解決することを課題とする。
上記のように、触媒元素のスピン添加法に於いては、触媒元素溶液のスピン乾燥時の乾燥ムラに起因して、触媒元素添加量の基板内不均一性の問題が懸念されている。触媒元素添加量の基板内不均一性を対策する為には、原因と推測されているスピン乾燥時の乾燥ムラを無くす必要がある。当該スピン乾燥時の乾燥ムラは、基板回転時の空気との摩擦に伴い、溶媒成分の蒸発速度に差が生じることに起因していると考えられている。
本発明は、そのような問題点を解決するために、触媒元素のスピン添加法に於いて、触媒元素析出量の基板内不均一性を改善する為、高速回転へ移行する迄の回転加速度を基板サイズに対応して最適化することにより、触媒元素添加量の基板内不均一性を改善するものである。
具体的には、結晶質シリコン膜の作製方法において、絶縁性基板上にシリコンを含む非晶質半導体膜を堆積する第1の工程と、非晶質半導体膜の全面に結晶化の助長作用を有する触媒元素をスピン添加法により添加する第2の工程と、非晶質半導体膜を熱処理することによりシリコンを含む結晶質半導体膜を成膜する第3の工程とを有し、触媒元素のスピン添加法は、回転加速度を5乃至120rpm/秒とする。又は、触媒元素のスピン添加法は、回転加速度yを、y≦Ax-B(xは基板の対角サイズ、A、Bは定数)で決定する。
尚、結晶化の助長作用を有する触媒元素をスピン添加法により添加する場合において、非晶質半導体膜上にマスク絶縁膜を堆積し、マスク絶縁膜の一部の領域に開口領域を形成した後、マスク絶縁膜上に結晶化を助長する触媒元素をスピン添加法により添加する方法を採用しても良い。触媒元素のスピン添加法は、定速回転速度の最大値が800乃至1200rpmであることを前提としている。触媒元素を含む溶液の添加は、加速又は定速回転中に滴下して、全面に触媒元素を分散させる。
従来のスピン添加法では、角型基板の対角線の長さが500mm以上となる場合は、円形基板の場合と比較して均一性が悪くなる。しかし、上記発明の構成を適用することよにより、基板の対角線の長さが500mm以上となっても均一性を向上させることができる。スピン塗布法により触媒元素を添加する場合において、触媒元素添加量の基板内ばらつき量を低減することにより、結晶化後の結晶化率、結晶粒のサイズ、その配列などの均一性を高めることが出来、大面積基板の全面に渡って均質な結晶質半導体膜を形成することができる。
本発明は、シリコンを含む結晶質半導体膜の作製方法に関し、特に回転加速度の低いことを特徴とした触媒元素のスピン添加法に関するもので、主な効果を以下に列記する。
(効果1)触媒元素のスピン添加工程に於いて、スピン乾燥の為の高速回転へ移行する迄の回転加速度を低下させることにより、触媒元素添加量の基板内均一性の向上を図ることが可能である。
(効果2)触媒元素のスピン添加工程に於いて、スピン乾燥の為の高速回転へ移行する迄の回転加速度を30rpm/秒以下とすることにより、触媒元素添加量の基板内均一性の向上を図ることが可能である。また、回転加速度を15〜30rpm/秒とすることにより、触媒元素添加量の基板内均一性の向上とスピン添加工程のスループットの両立を図ることが可能である。
(効果3)触媒元素添加量の基板内均一性の向上により、熱結晶化後に得られるシリコンを含む結晶質半導体膜に於ける結晶質の基板内バラツキの低減を図ることができる為、当該結晶質半導体膜で構成したTFTの電気特性の安定化に有効である。
〔スピン添加法の改善実験〕 触媒元素のスピン添加法は、触媒元素溶液を基板面に滴下して基板上に液盛りし、基板を高速で回転することにより、滴下された触媒元素溶液を振り切り、所望の量の触媒元素を基板面に添加するものである。当該スピン添加法の代表的スピン添加プログラムを図4に示す。図4の横軸は処理時間(秒)、縦軸は基板の回転速度(単位:rpm)であり、「低速回転時の触媒元素溶液の吐出」、「等加速度による回転速度の上昇」、「回転速度固定でのスピン乾燥」、「回転の停止」という処理手順でスピン添加処理が進められる。「回転速度固定でのスピン乾燥」処理に於いては、基板サイズの大口径化に伴い、回転時のスピンモーターへの負荷が大きくなる為、回転速度の最大許容範囲が制限されている。基板サイズ320mm×400mmの場合は、1200rpm程度が最大許容範囲であり、「回転速度固定でのスピン乾燥」処理に於いては、最大許容範囲の1200rpm固定で処理されている。この為、当該処理の変更は実際上殆ど不可能である。
従って、回転加速度に着目し、前記「等加速度による回転速度の上昇」処理の回転加速度を変化させて、触媒元素添加量の基板内均一性について比較評価した。本実験の主な条件を表1に示す。
本実験で使用した基板は、コーニング社製の1737基板で、厚さ0.7mm、基板サイズ320mm×400mmのガラス基板を使用した。本実験では、当該ガラス基板上に膜厚150nmのシリコン酸化膜から成る下地膜(ガラス基板からの各汚染物拡散を防止する為)をプラズマCVD法により堆積し、その上に膜厚50nmの非晶質シリコン膜をプラズマCVD法により堆積し、触媒元素溶液として、10ppmの酢酸ニッケル水溶液をスピン添加した。この際、本実験に於いては、15rpm/秒,30rpm/秒,60rpm/秒,120rpm/秒の4条件で回転加速度の条件振りを行った。スピン添加処理後、基板面内対角方向9点について、全反射蛍光X線分析装置により基板表面である非晶質シリコン膜(厳密には極薄シリコン酸化膜)上に析出しているNi(ニッケル)元素を測定した。
尚、酢酸ニッケル水溶液のスピン添加は、直接に非晶質シリコン膜表面にスピン添加すると、非晶質シリコン膜表面の濡れ性が悪い為、非晶質シリコン膜表面で酢酸ニッケル水溶液が弾き、均一に添加できない問題がある。この為、厳密には、非晶質シリコン膜表面の濡れ性改善の為、非晶質シリコン膜表面に膜厚2〜5nm程度の極薄シリコン酸化膜を成膜した後に、10ppmの酢酸ニッケル水溶液をスピン添加処理した。
本実験の結果を図1に示す。図1の横軸は回転加速度(rpm/秒)、縦軸はNi元素析出量(atoms/cm2)であり、図1の結果より、回転加速度の増加に伴い、Ni元素析出量の平均値(基板面内9点の平均)が減少し、基板面内の最大値と最小値の差であるバラツキ範囲が大きくなる傾向が認められた。換言すると、回転加速度の低下に伴い、Ni元素析出量の平均値は増加し、Ni元素析出量の基板面内バラツキが減少する傾向が認められた。例えば、回転加速度120rpm/秒の場合は、Ni元素析出量の平均値が5.80×1012atoms/cm2、最大値と最小値との差であるバラツキ範囲が1.28×1012atoms/cm2であるのに対し、回転加速度15rpm/秒の場合は、Ni元素析出量の平均値が7.64×1012atoms/cm2、バラツキ範囲が0.91×1012atoms/cm2と、回転加速度の低下に伴い、バラツキ範囲が縮小しているのが確認されている。
図15で示すグラフは、基板中央部と端部のNi濃度比について基板サイズ(対角の長さ)依存性を調べた結果である。ここでは、回転加速度を15〜120rpm/secまで変化させているが、回転加速度が低下するにつれ均一性は向上している。これまでの実験結果から、非晶質シリコン膜を600℃以下の温度で結晶化させる場合、添加するNiの適用範囲は5×1012〜1×1013atoms/cm2であることが判明している。Ni濃度をこの範囲内とすることで、均一な結晶核の生成が得られ、結晶化を確実に成すことができる。この濃度範囲以上となると、結晶質シリコン膜中にあるNiをゲッタリングして除去することが十分できず、ゲッタリング後に残留するNiによりTFT特性を悪化させてしまうことが判明している。以上のことより、基板面内での許容濃度差は2倍以内とする必要がある。このような状況下で作製される結晶質シリコン膜のドメインサイズは、基板面内で15〜20μmの範囲にあり一様に分布していることが確認されている。
尚、ここでいうドメインサイズとは、結晶質シリコン膜をセコ液で表面をエッチングし、走査電子顕微鏡で観察される粒径を指していう。また、図15に記載された数式は、上から(1)加速度120rpm/se c(2)加速度60rpm/sec(3)加速度30rpm/sec(4)加速度15rpm/secにおけるNi濃度の面内バラツキと基板サイズとの相関式を示したものである。
図16に示すグラフは、基板サイズに対する回転加速度の関係を示している。
許容される濃度差(基板中央部と端部のNi濃度比)を2倍とした場合に回転加速度yは、図16のグラフ中に挿入したように、y=Ax-B(xは基板の対角寸法(m)、yは回転加速度(rpm/sec))の関数として示される。ここで、実験値よりA=457、B=2が与えられる。従って、適用可能な回転加速度はy以下とすれば良い。
基板サイズを大型化した場合、回転加速度を低下させることにより、Ni元素析出量の基板面内バラツキの低減を図ることが可能である。しかし、回転加速度の低下は「回転速度(1200rpm)固定でのスピン乾燥」工程に到る迄の時間が長くなり、スピン添加工程全体のスループットの低下という短所を有している。回転加速度と基板1枚当たりの処理時間との間の関係は、「回転速度(1200rpm)固定でのスピン乾燥」工程を20秒一定で計算すると、例えば60rpm/秒の場合に約40秒、30rpm/秒の場合に約60秒、15rpm/秒の場合に約100秒となる。この為、Ni元素析出量の基板面内バラツキの低減効果とスループットの低下を比較考量し、適正な回転加速度を設定する必要がある。基板サイズ320mm×400mmの場合は、回転加速度は30rpm/秒以下、より好ましくは15〜30rpm/秒が好適であると考えられる。
尚、基板サイズの大口径化に伴い、「回転速度固定でのスピン乾燥」工程での回転速度は1200rpmより、更に低下することも考えられる。例えば、1m角の基板サイズの場合は800rpm程度の回転速度が想定されるが、「回転速度(800rpm)固定でのスピン乾燥」工程を20秒一定で計算すると、基板1枚当たりの処理時間は、例えば60rpm/秒の場合に約33秒、30rpm/秒の場合に約47秒、15rpm/秒の場合に約73秒となる。従って、基板サイズ1m角の場合についても、回転加速度として30rpm/秒以下が適切であり、またスピン添加工程のスループットを考慮すると15〜30rpm/秒が好適であることを示している。
更に、Ni元素析出量の基板面内分布を実験により調査し、その結果を図2に示す。尚、本実験の実験条件は、上記図1の実験と基本的に同じであるが、回転加速度が30rpm/秒の場合について調査した。また、基板面内の測定点は基板コーナー領域から対角方向に19点、基板の短軸方向(320mm径方向)に19点、基板の長軸方向(400mm径方向)に19点の計57点について測定した。
図2の結果より、基板の短軸方向と長軸方向のNi元素析出量のバラツキはそれ程大きくないのに対し、基板コーナー領域に於いて、Ni元素析出量が特異的に増大している為、対角方向のNi元素析出量のバラツキが特に激しいことが判明した。この原因としては、基板が回転する際、基板コーナー領域に於いて、空気との摩擦が特異的に激しくなる為、摩擦によるNi元素水溶液の溶媒成分の蒸発が特異的に大きくなったものと考えられる。当該原因について、より詳細に考察すると、以下のことが考えられる。基板コーナー領域は基板の内接円領域の外側に位置している為、基板が回転する際、空気を押し退けながら回転運動することになる。基板コーナー領域は、空気を押し退けながら回転運動する為、空気との摩擦が特異的に激しくなることが考えられ、Ni元素水溶液の溶媒成分の蒸発が特異的に大きくなったものと考えられる。
尚、先の実験である上記図1の結果は、基板の対角方向に9点測定した実験結果である為、基板コーナー領域の特異的バラツキの影響を反映した結果となっている。従って、図1の結果は、基板コーナー領域の特異的バラツキの影響を考慮に入れた上で、Ni元素析出量の基板内不均一性の改善に、回転加速度の低下が有効であり、回転加速度として30rpm/秒以下が適切であり、またスピン添加工程のスループットを考慮すると15〜30rpm/秒が好適であることを示している。
以上の実験より、触媒元素析出量の基板内不均一性を改善する為、触媒元素のスピン添加法に於いて、高速回転へ移行する迄の回転加速度を低下させることにより、触媒元素添加量の基板内不均一性を改善する。尚、基板サイズ320mm×400mm〜1m角の場合、「回転速度固定でのスピン乾燥」工程の回転速度が800〜1200rpm程度と考えられ、回転加速度として30rpm/秒以下が適切であり、またスピン添加工程のスループットを考慮すると15〜30rpm/秒が好適である。また、回転加速度を低下させると、触媒元素添加量の平均値が増加するが、これに対しては、触媒元素溶液の濃度調整で対応可能と考えられる。
〔触媒元素溶液の詳細〕 本発明の触媒元素のスピン添加法で使用される触媒元素溶液は、基本的に特開平7−211636号公報に開示されている触媒元素溶液と同じである。触媒元素溶液に関する同公報記載の内容は、以下の通りである。
触媒元素溶液としては、水溶液又は有機溶媒を使用することが可能で、触媒元素の溶解性の点で純水,アルコール,酸,アンモニア等の極性溶媒が好適である。また、触媒元素を含有する溶媒としては、無極性の有機溶媒であるベンゼン,トルエン,キシレン,四塩化炭素,クロロホルム,エーテル,トリクロロエチレン,フロン等も適用可能である。溶液中の触媒元素の状態としては、化合物として溶解している場合と単体元素として溶解している場合がある。
触媒元素としてNi元素を適用する場合は、通常はNi化合物として溶液中に導入される。代表的なNi化合物としては、臭化ニッケル,酢酸ニッケル,シュウ酸ニッケル,炭酸ニッケル,塩化ニッケル,ヨウ化ニッケル,硝酸ニッケル,硫酸ニッケル,蟻酸ニッケル,ニッケルアセチルアセテート,2−エチルヘキサンニッケル,4−シクロヘキシル酪酸ニッケル,酸化ニッケル,水酸化ニッケル等が挙げられる。またNi化合物ではなく、Ni元素単体として溶液中に溶解する場合は、酸に溶解する方法が好適である。尚、溶液中に於けるNi元素の存在状態としては、通常は完全に溶解している状態が好適であるが、Ni元素が均一に分散した乳濁液(エマルジョン)の状態でも構わない。
上記Ni元素以外の触媒元素としてはFe,Co,Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt,Cu,Au等の金属類も適用可能である。触媒元素の適用法としては、単一の触媒元素を溶液中に溶解する方法が一般的であるが、複数種類の触媒元素を混合溶解して使用しても構わない。また、これらの触媒元素は、Ni元素の場合と同様に、化合物の状態で溶液中に溶解しても良いし、触媒元素単体を酸類に溶解しても特に問題はない。
上記触媒元素の代表的な化合物を以下に記載する。
(Fe元素):臭化第1鉄,臭化第2鉄,酢酸第2鉄,塩化第1鉄,フッ化第2鉄,硝酸第2鉄,リン酸第1鉄,リン酸第2鉄等(Co元素):臭化コバルト,酢酸コバルト,塩化コバルト,フッ化コバルト,硝酸コバルト等(Ru元素):塩化ルテニウム等(Rh元素):塩化ロジウム等(Pd元素):塩化パラジウム等(Os元素):塩化オスミウム等(Ir元素):3塩化イリジウム,4塩化イリジウム等(Pt元素):塩化第2白金等(Cu元素):酢酸第2銅,塩化第2銅,硝酸第2銅等(Au元素):3塩化金,塩化金塩,テトラクロロ金ナトリウム等
〔結晶質半導体膜の作製方法〕 シリコンを含む結晶質半導体膜の作製方法の視点で、上記従来技術の問題点の解決手段を記載する。尚、シリコンを含む結晶質半導体膜の作製方法に於いては、所謂縦成長法と横成長法とがある為、各成長法の場合について記載する。
(1)縦成長法の場合 シリコンを含む非晶質半導体膜の全面に均一に触媒元素を添加した後に熱結晶化する縦成長法に於いて、改善された触媒元素のスピン添加法を適用した場合について記載する。縦成長法とは、シリコンを含む非晶質半導体膜の全面に均一に触媒元素を添加した後に熱結晶化する結晶成長法のことで、触媒元素を添加した非晶質半導体膜の表面から縦方向(基板面に垂直な方向)に結晶成長が進行する特徴があり、本明細書では縦成長法と称している。
(第1工程)ガラス基板等の絶縁性基板上に、シリコンを含む非晶質半導体膜を堆積する。
(第2工程)前記非晶質半導体膜の全面に、結晶化の助長作用を有する触媒元素をスピン添加法により添加する。此処で、当該スピン添加法に於いては、「回転速度固定でのスピン乾燥」工程へ移行する迄の回転加速度を低下させることにより、触媒元素添加量の基板内不均一性の改善を図っている。尚、回転速度の最大許容範囲が800〜1200rpm程度である基板サイズ1m角程度迄の大型基板の場合、回転加速度として30rpm/秒以下が適切であり、またスピン添加工程のスループットを考慮すると15〜30rpm/秒が好適である。
(第3工程)前記非晶質半導体膜を熱処理することにより、シリコンを含む結晶質半導体膜を成膜する(縦成長法)。
また、触媒元素の添加は、上述の如く非晶質半導体膜の全面に添加する方法の他に、非晶質半導体膜の下地に添加しても同様な効果を得ることができる。例えば、絶縁性基板の全面、或いは絶縁性基板上に形成された下地膜の全面に本発明に従いスピン添加法で触媒元素を添加しても良い。
(2)横成長法の場合 シリコンを含む非晶質半導体膜の一部の領域に選択的に触媒元素を添加した後に熱結晶化する横成長法に於いて、改善された触媒元素のスピン添加法を適用した場合について記載する。横成長法とは、マスク絶縁膜の開口部を介して、シリコンを含む非晶質半導体膜の一部の領域に触媒元素を添加した後に熱結晶化する結晶成長法のことで、前記開口領域を基点として周辺領域に熱拡散することにより、横方向(基板面に平行な方向)に結晶化が進行する特徴があり、本明細書では横成長法と称している。
(第1工程)ガラス基板等の絶縁性基板上に、シリコンを含む非晶質半導体膜を堆積する。
(第2工程)前記非晶質半導体膜上にマスク絶縁膜を堆積し、マスク絶縁膜の一部の領域に開口領域を形成する。
(第3工程)前記マスク絶縁膜上に結晶化の助長作用を有する触媒元素をスピン添加法により添加し、マスク絶縁膜の開孔領域を介して、前記非晶質半導体膜に触媒元素を導入する。此処で、当該スピン添加法に於いては、「回転速度固定でのスピン乾燥」工程へ移行する迄の回転加速度を低下させることにより、触媒元素添加量の基板内不均一性の改善を図っている。尚、回転速度の最大許容範囲が800〜1200rpm程度である基板サイズ1m角程度迄の大型基板の場合、回転加速度として30rpm/秒以下が適切であり、またスピン添加工程のスループットを考慮すると15〜30rpm/秒が好適である。
(第4工程)前記非晶質半導体膜を熱処理することにより、シリコンを含む結晶質半導体膜を成膜する(横成長法)。
以上の様に、縦成長法及び横成長法によるシリコンを含む結晶質半導体膜の作製方法に於いて、触媒元素のスピン添加工程に回転加速度の低いスピン添加法を適用することにより、触媒元素添加量の基板内均一性の向上を図ることが可能である。触媒元素添加量の基板内均一性の向上により、熱結晶化後に得られるシリコンを含む結晶質半導体膜に於ける結晶質の基板内バラツキの低減を図ることができる為、当該結晶質半導体膜で構成したTFTの電気特性の安定化に有効であると考えられる。
また、本明細書に於いては、通常の非晶質シリコン膜ではなく、シリコンを含む非晶質半導体膜なる特殊用語を用いている。従って、用語の定義について、此処で明確にしておく。シリコンを含む非晶質半導体膜とは、結晶化により半導体特性を有するシリコンを含む非晶質膜のことで、非晶質シリコン膜も当然に含まれるが、シリコンを含む非晶質半導体膜は全て含まれる。例えば、SixGe1-x(0<X<1)の形式で記載されるシリコンとゲルマニウムの化合物から成る非晶質膜も含まれる。また、シリコンを含む非晶質半導体膜を結晶化して得られる膜には、シリコンを含む結晶質半導体膜なる技術用語を用いている。此処で、多結晶とせずに結晶質と記載している理由は、通常の多結晶半導体膜と比較し、結晶粒が概略同一方向に配向しており、高い電界効果移動度を有する等の特異な性質がある為、多結晶半導体膜と区別する趣旨である。
本実例では、縦成長法による結晶質シリコン膜の作製方法に於いて、触媒元素の添加工程に本発明のスピン添加法を適用した場合を図5に基づき具体的に記載する。尚、図5(A)〜図5(F)は、縦成長法による結晶質シリコン膜の作製工程を示す基板断面図である。
先ず、減圧CVD法又はプラズマCVD法により、ガラス基板101上に非晶質シリコン膜102を10〜150nmの膜厚で堆積する。本実施例では、プラズマCVD法により、100nmの非晶質シリコン膜102を堆積する。堆積の際、非晶質シリコン膜102の表面には、処理雰囲気中に混入した空気中の酸素の影響により極薄の自然酸化膜103が成膜されている(図5(A))。
次に、枚葉方式の洗浄処理法により、当該基板を希フッ酸で所定時間洗浄する。当該洗浄処理により、非晶質シリコン膜102の表面に成膜されている自然酸化膜103の除去を行い、続けて水洗処理を行った後に当該基板を乾燥する(図5(B))。
次に、非晶質シリコン膜102の表面をライト酸化処理し、非晶質シリコン膜102の表面に膜厚2〜5nm程度の清浄な極薄のシリコン酸化膜104を成膜する。本実施例では、枚葉方式のオゾン水処理法により極薄のシリコン酸化膜104を成膜したが、過酸化水素水処理で成膜しても良いし、酸素雰囲気中での紫外線(UV)照射によりオゾンを発生させて成膜しても構わない。尚、極薄のシリコン酸化膜104の成膜は、後で触媒元素溶液であるNi元素水溶液を添加する際に、非晶質シリコン膜102に対する濡れ性を改善し、Ni元素を均一に付着させる為に処理するものである(図5(C))。
次に、非晶質シリコン膜102(厳密には極薄のシリコン酸化膜104)の全面に、結晶化の助長作用を有する触媒元素溶液であるNi元素水溶液をスピン添加する。この際、当該基板をスピンチャック105上に載置し、上方に配設されている供給ノズル106からNi元素水溶液107を基板上に液盛りするという添加方法でスピン添加処理が行われる。本実施例では、Ni化合物であるニッケル酢酸塩を純水に溶解し、重量換算で10ppmの濃度に調整したNi元素水溶液を100rpmの低速スピン状態でスピン添加した(図5(D))。
次に、当該基板を回転加速度30rpm/秒の低加速度で1200rpmの回転速度迄上昇させた後、1200rpmの回転速度で20秒間スピン乾燥させ、非晶質シリコン膜102(厳密には極薄のシリコン酸化膜104)の全面に、Ni含有層108を均一に付着させる(図5(E))。
尚、本実施例では、Ni元素のスピン添加の際に、高速回転(1200rpm)
へ移行する間の回転加速度を30rpm/秒と従来(60rpm/秒)の半分程度に低下させている。スピン添加工程での加速度の低下は、Ni元素添加量の基板内不均一性の改善に有効であるが、一方でNi元素添加工程の処理時間が長くなる欠点を有している。従って、スピン添加工程の加速度は、Ni元素添加量の基板内均一性と生産性の両方を比較考量して決める必要がある。30rpm/秒の加速度でスピン添加処理した場合、基板1枚当たりのスピン添加工程の処理時間は約1分とスループット的にも問題なく、またNi元素添加量の基板内バラツキは従来条件(回転加速度:60rpm/秒)で処理した場合の6〜7割程度に抑えられている。
次に、専用の熱処理炉を使用して、窒素雰囲気中で非晶質シリコン膜102を熱処理する。当該熱処理は、結晶化を助長する触媒元素の作用により、450〜750℃の温度範囲で熱処理することにより、結晶化が達成されるが、熱処理温度が低いと処理時間を長くしなければならず、生産効率が低下するという一般的性質がある。また、600℃以上の熱処理は、基板として適用するガラス基板の耐熱性の問題が表面化してしまう。従って、ガラス基板を使用する場合には、上記熱処理工程の温度は450〜600℃の範囲が妥当である。また、実際の熱処理は、非晶質シリコン膜102の堆積方法によっても、好適な熱処理条件が異なっており、例えば減圧CVD法で堆積した場合は600℃−12時間程度の熱処理が好適であり、プラズマCVD法で堆積した場合は550℃−4時間程度の熱処理で十分なことが判っている。本実施例に於いては、プラズマCVD法で膜厚100nmの非晶質シリコン膜102を堆積している為、550℃−4時間の熱処理を行うことにより結晶質シリコン膜109を成膜した。尚、Ni元素添加量の基板内均一性の向上が図られている為、熱結晶化後の当該結晶質シリコン膜109に於いても、均一な結晶構造が得られている(図5(F))。
以上の様に、縦成長法による結晶質シリコン膜の作製方法に、本発明の触媒元素のスピン添加方法を適用することにより、触媒元素添加量の基板内均一性の向上を図ることが可能である。また、本実施例では、触媒元素であるNi元素のスピン添加工程に於いて、回転加速度を30rpm/秒と低加速度にすることにより、Ni元素添加量の基板内均一性と生産性の両立が図られている。
実施例1において、図5(A)におけるガラス基板101上に、非晶質シリコン膜の結晶化の助長作用を有する触媒元素溶液であるNi元素水溶液をスピン添加法で全面に塗布する。スピン添加の詳細は実施例1に従い同様に行う。その後、非晶質シリコン膜を堆積し、同様の熱処理を行うことで縦成長法による結晶質シリコン膜を得ることができる。
また、基板101上には、プラズマCVD法やスパッタ法により作製される窒化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜等を、下地膜として10〜200nmの厚さに形成しておいても良い。
本実施例では、横成長法による結晶質シリコン膜の作製方法に於いて、触媒元素の添加工程に本発明のスピン添加法を適用した場合を図6に基づき具体的に記載する。尚、図6(A)〜図6(E)は、横成長法による結晶質シリコン膜の作製工程を示す基板断面図である。
先ず、減圧CVD法又はプラズマCVD法により、ガラス基板201上に非晶質シリコン膜202を10〜150nmの膜厚で堆積する。本実施例では、プラズマCVD法により、100nmの非晶質シリコン膜202を堆積した。堆積の際、非晶質シリコン膜202の表面は、処理雰囲気中に混入した空気中の酸素の影響により極薄の自然酸化膜(図示せず)が成膜されている。
次に、プラズマCVD法により、膜厚70〜200nmのシリコン酸化膜から成るマスク絶縁膜203を堆積する。本実施例では、プラズマCVD方により膜厚120nmのマスク絶縁膜203を堆積した。そして、通常のフォトリソグラフィ工程とエッチング工程(ウェットエッチングが一般的)により、マスク絶縁膜203の一部の領域に開口領域204を形成する。開口領域204は触媒元素(本実施例でもNi元素を適用)の選択的導入領域となる部分で、開口領域204の底部は、非晶質シリコン膜202が露出した状態となっている。尚、当該開孔領域204は、図6(A)には代表して1個しか図示してないが、実際には、数100μm間隔で、多数の開孔領域204が形成されている(図6(A))。
次に、当該基板をライト酸化することにより、前記開口領域204に於ける非晶質シリコン膜202の露出領域に2〜5nm程度の極薄シリコン酸化膜205を成膜する。本実施例では、所定時間のオゾン水処理により極薄シリコン酸化膜205を成膜しているが、過酸化水素水で処理することにより成膜しても良いし、酸素雰囲気中での紫外線(UV)照射によりオゾンを発生させて成膜しても構わない。尚、開口領域204の非晶質シリコン膜202表面に対する極薄のシリコン酸化膜205の成膜は、後で触媒元素溶液であるNi元素水溶液を添加する際に、開口領域204に於ける非晶質シリコン膜202に対する濡れ性を改善し、Ni元素を均一に付着させる目的で行われる(図6(B))。
次に、開口領域204を介して、非晶質シリコン膜202の一部の領域に結晶化の助長作用を有するNi元素を選択的に導入する為、当該基板上に触媒元素溶液であるNi元素水溶液を添加する。この際、当該基板をスピンチャック206上に載置し、上方に配設されている供給ノズル207からNi元素水溶液208を基板上に液盛りするという添加方法でスピン添加処理が行われる。本実施例では、Ni化合物であるニッケル酢酸塩を純水に溶解し、重量換算で10ppmの濃度に調整したNi元素水溶液を100rpmの低速スピン状態でスピン添加した(図6(C))。
次に、当該基板を回転加速度30rpm/秒の低加速度で1200rpmの回転速度迄上昇させた後、1200rpmの回転速度で20秒間スピン乾燥させ、当該基板の表面全域にNi含有層209を均一に付着させる。この際、非晶質シリコン膜202の結晶化に実際に寄与するのは、開孔領域204内の非晶質シリコン膜202(厳密には極薄のシリコン酸化膜205)の表面に付着しているNi含有層209である(図6(D))。
尚、本実施例では、Ni元素のスピン添加の際に、高速回転(1200rpm)
へ移行する間の回転加速度を30rpm/秒と従来(60rpm/秒)の半分程度に低下させている。スピン添加工程での加速度の低下は、Ni元素添加量の基板内不均一性の改善に有効であるが、一方でNi元素添加工程の処理時間が長くなる欠点を有している。従って、スピン添加工程の加速度は、Ni元素添加量の基板内均一性と生産性の両方を比較考量して決める必要がある。30rpm/秒の加速度でスピン添加処理した場合、基板1枚当たりのスピン添加工程の処理時間は約1分とスループット的にも問題なく、またNi元素添加量の基板内バラツキは従来条件(回転加速度:60rpm/秒)で処理した場合の6〜7割程度に抑えられている。
次に、専用の熱処理炉を使用して、窒素雰囲気中で当該基板を熱処理する。当該熱処理は、結晶化を助長する触媒元素の作用により、450〜750℃の温度範囲で熱処理することにより、非晶質シリコン膜202の結晶化が達成されるが、熱処理温度が低いと処理時間を長くしなければならず、生産効率が低下するという一般的性質がある。また、600℃以上の熱処理は、基板として適用するガラス基板の耐熱性の問題が表面化してしまう。従って、ガラス基板を使用する場合には、上記熱処理工程の温度は450〜600℃の範囲が妥当である。本実施例に於いては、窒素雰囲気中で570℃−14時間の熱処理を行うことにより、非晶質シリコン膜202を結晶化し、結晶質シリコン膜210を成膜した。この際、前記開口領域204を介してNi元素が選択的に導入される為、Ni元素は前記開口領域204を基点として周辺領域に拡散し、拡散の過程で非晶質シリコン膜202の結晶化が横方向(基板面に平行な方向)に進行する(図6(E))
。
以上の様に、横成長法による結晶質シリコン膜の作製方法に、本発明の触媒元素のスピン添加方法を適用することにより、触媒元素添加量の基板内均一性の向上を図ることが可能である。
本実施例は、触媒元素を利用した縦成長法による結晶質シリコン膜を有する液晶表示装置の製造工程に於いて、本発明の触媒元素のスピン添加法を適用した例であり、図7〜11に基づき具体的に記載する。尚、図7〜11は、アクティブマトリクス型液晶表示装置の製造工程を示す断面図である。
最初に、ガラス基板301上にプラズマCVD法により、各々組成比の異なる第1層目の酸化窒化シリコン膜302aを50nmと第2層目の酸化窒化シリコン膜302bを100nmの膜厚で堆積し、下地膜302を成膜する。尚、此処で用いるガラス基板301としては、石英ガラス又はバリウムホウケイ酸ガラス又はアルミノホウケイ酸ガラス等が有る。次に、前記下地膜302(302aと302b)上に、プラズマCVD法により、非晶質シリコン膜303aを55nmの膜厚で堆積する。堆積の際、非晶質シリコン膜303aの表面は、処理雰囲気中に混入した空気中の酸素の影響により極薄の自然酸化膜(図示せず)が成膜されている。尚、本実施例ではプラズマCVD法で非晶質シリコン膜303aを堆積しているが、減圧CVD法で堆積しても構わない(図7(A))。
また、非晶質シリコン膜303aの堆積に際しては、空気中に存在する炭素,酸素及び窒素が混入する可能性がある。これらの不純物ガスの混入は、最終的に得られるTFT特性の劣化を引き起こすことが経験的に知られており、このことから前記不純物ガスの混入は結晶化の阻害要因として作用することが知られている。従って、前記不純物ガスの混入は徹底的に排除することが好ましく、具体的な濃度範囲としては、炭素及び窒素の場合は共に5×1017atoms/cm3以下とし、酸素の場合は1×1018atoms/cm3以下とするのが好ましい(図7(A))。
次に、当該基板を希フッ酸で所定時間洗浄する。当該処理により、非晶質シリコン膜303aの表面に成膜されている自然酸化膜(図示せず)の除去を行い、続けて水洗処理を行った後に当該基板を乾燥する。その後、所定時間のオゾン水処理を行うことにより、非晶質シリコン膜303aをライト酸化する。当該ライト酸化処理により、非晶質シリコン膜303a上に清浄な極薄のシリコン酸化膜(図示せず)を成膜し、続けて当該基板を乾燥する。また、極薄のシリコン酸化膜(図示せず)は、過酸化水素水で処理することにより成膜しても良い。尚、極薄のシリコン酸化膜(図示せず)の成膜は、後に触媒元素溶液であるNi元素水溶液をスピン添加法で添加する際に、非晶質シリコン膜303aに対する濡れ性を改善し、Ni元素を均一に付着させる為のものである(図7(A))。
次に、非晶質シリコン膜303a(厳密には、図示しない極薄のシリコン酸化膜)の全面に、結晶化の助長作用を有する触媒元素溶液であるNi元素水溶液をスピン添加法により添加する。本実施例では、Ni化合物であるニッケル酢酸塩を純水に溶解し、重量換算で10ppmの濃度に調整したNi元素水溶液を100rpmの低速スピン状態でスピン添加した。続けて、当該基板を回転加速度30rpm/秒の低加速度で1200rpmの回転速度迄上昇させた後、1200rpmの回転速度で20秒間スピン乾燥させ、非晶質シリコン膜303a(厳密には極薄のシリコン酸化膜)の全面に、Ni含有層(図示せず)を均一に付着させた(図7(A)
)。
尚、本実施例では、Ni元素のスピン添加の際に、高速回転(1200rpm)へ移行する間の回転加速度を30rpm/秒と従来(60rpm/秒)の半分程度に低下させている。スピン添加工程での加速度の低下は、Ni元素添加量の基板内不均一性の改善に有効であるが、一方でNi元素添加工程の処理時間が長くなる欠点を有している。従って、スピン添加工程の加速度は、Ni元素添加量の基板内均一性と生産性の両方を比較考量して決める必要がある。30rpm/秒の加速度でスピン添加処理した場合、基板1枚当たりのスピン添加工程の処理時間は約1分とスループット的に問題なく、またNi元素添加量の基板内バラツキは従来条件(回転加速度:60rpm/秒)で処理した場合の6〜7割程度に抑えられている。
次に、非晶質シリコン膜303a中の含有水素量を5atom%以下に制御する為、当該基板を窒素雰囲気中で450℃−1時間の条件で熱処理し、非晶質シリコン膜303a中の含有水素の脱水素化処理を行う(図7(B))。
次に、電熱炉に於いて、550℃−4時間の条件で熱処理することにより、非晶質シリコン膜303aの結晶化を行い、結晶質シリコン膜303bを成膜する。此処で成膜された結晶質シリコン膜303bは、先のNi元素のスピン添加工程で、基板内均一に添加されている為、基板内で均一な結晶構造となっている。
結晶構造の基板内均一性の向上により、当該結晶質シリコン膜303bで構成したTFTの電気特性の安定化が図られている(図7(B))。
その後、得られた結晶質シリコン膜303bの結晶性を改善させる為、結晶質シリコン膜303bに対して、パルス発振型のKrFエキシマレーザー(波長248nm)によるレーザー照射を行う。当該エキシマレーザーは結晶質シリコン膜303bの結晶性の改善のみでなく、結晶質シリコン膜303b内に於いて、Ni元素が非常に移動し易い状態に変化させることができる為、ゲッタリング源によるゲッタリング効率の向上という効果も併せ持っている(図7(B))。
次に、通常のフォトリソグラフィ処理及びドライエッチング処理により、結晶質シリコン膜303bをパターン形成し、TFTのチャネル領域及びソース・ドレイン領域と成る半導体層304〜308を形成する。尚、半導体層304〜308の形成後、TFTのVth制御の為、n型又はp型不純物(B:ボロン又はP:リン)のイオンドープであるチャネルドープを実施しても構わない(図8(A))。
次に、前記半導体層304〜308を覆う様に、プラズマCVD法により膜厚100nmの酸化窒化シリコン膜から成るゲート絶縁膜309を堆積する。尚、ゲート絶縁膜309の堆積の際、半導体層304〜308の表面は自然酸化膜(図示せず)で覆われている為、希フッ酸処理により除去する。その後、ゲート絶縁膜309上にゲート電極材料である導電性膜をスパッタ法又はCVD法により堆積する。此処で適用されるゲート電極材料としては、後の不純物元素の活性化を兼ねたゲッタリング用の熱処理温度(550〜650℃程度)に耐え得る耐熱性材料が好ましい。耐熱性材料としては、例えばTa(タンタル),Mo(モリブデン),Ti(チタン),W(タングステン),Cr(クロム)等の高融点金属、及び高融点金属とシリコンの化合物である金属シリサイド、及びn型又はp型の導電型を有する多結晶シリコン等が挙げられる。尚、本実施例では、膜厚400nmのW膜から成るゲート電極膜310をスパッタ法により堆積した(図8(B))。
上記構造の基板上に、ゲート電極形成用のフォトリソグラフィ処理とドライエッチング処理を行うことにより、ゲート電極317〜320と保持容量用電極321とソース配線として機能する電極322を形成する。ドライエッチングの後、ゲート電極317〜320上にはドライエッチングのマスクであるレジストパターン311〜314が残膜し、同様に保持容量用電極321上にレジストパターン315とソース配線として機能する電極322上にレジストパターン316が残膜している。尚、ドライエッチングに伴い、下地の酸化窒化シリコン膜から成るゲート絶縁膜309は膜減りにより、ゲート絶縁膜323の形状に変形している(図9(A))。
次に、レジストパターン311〜316を残した状態で、ゲート電極317〜320と保持容量用電極321をマスクに、イオンドープ装置を使用して、第1のイオンドープ処理である低ドーズ量のn型不純物をイオンドープする。イオンドープ条件としては、n型不純物であるP(リン)イオンを使用し、加速電圧60〜100kVで、ドーズ量3×1012〜3×1013ions/cm2のイオンドープ条件で処理する。この第1のイオンドープ処理により、ゲート電極317〜320と保持容量用電極321の外側に対応する半導体層304〜308に、n型不純物の低濃度不純物領域(n−領域)329〜333が形成される。同時に、ゲート電極317〜320の真下には、TFTのチャネルとして機能する実質的に真性な領域324〜327が形成される。また、保持容量用電極321の真下の半導体層308には、当該領域がTFT形成領域でなく、保持容量405の形成領域である為、容量形成用電極の片側として機能する真性な領域328が形成される(図9(A))。
次に、当該基板を専用の剥離液で洗浄することにより、ドライエッチングのマスクとなったレジストパターン311〜316を除去する。除去した後、駆動回路406に於けるnチャネル型TFT401,403と画素領域407に於ける画素TFT404をLDD構造にする為、当該領域に存在するゲート電極317,319〜320を被覆する様に、第2のイオンドープ処理のマスクとなるn+領域形成用のレジストパターン334〜336を形成する(図9(B))。
次に、第2のイオンドープ処理である、高ドーズ量のn型不純物をイオンドープする。イオンドープ条件としては、n型不純物であるPイオンを使用し、加速電圧60〜100kVで、ドーズ量1.7×1015ions/cm2のイオンドープ条件で処理する。当該イオンドープ処理により、前記レジストパターン334〜336の外側領域に対応する半導体層304,306〜307にn型不純物の高濃度不純物領域(n+領域)337,339〜340が形成される。この高濃度不純物領域(n+領域)337,339〜340の形成に伴い、既に形成した低濃度不純物領域(n−領域)329,331〜332は、高濃度不純物領域(n+領域)337,339〜340と低濃度不純物領域(n−領域)342〜344に分離され、LDD構造となるソース・ドレイン領域が形成される。この際、LDD構造形成領域以外の領域である駆動回路406のpチャネル型TFT402の領域と画素領域407の保持容量405の領域に於いては、ゲート電極318と保持容量用電極321をマスクに各々イオンドープされる為、ゲート電極318の外側領域に対応する半導体層305にn型不純物の高濃度不純物領域(n+領域)338が形成され、保持容量用電極321の外側領域に対応する半導体層308にもn型不純物の高濃度不純物領域(n+領域)341が形成されている(図9(B))。
次に、通常のフォトリソグラフィ処理により、pチャネル型TFT402に対応する半導体層305の領域と保持容量405に対応する半導体層308の領域を開口領域とするレジストパターン345〜347を形成する。その後、前記レジストパターン345〜347をマスクに、イオンドープ装置を使用して、第3のイオンドープ処理である高ドーズ量のp型不純物をイオンドープする。当該イオンドープ処理により、pチャネル型TFT402に対応する半導体層305には、ゲート電極318をマスクにp型不純物であるB(ボロン)イオンがイオンドープされる。この結果、ゲート電極318の外側領域に対応する半導体層305には、p型の導電型を有する高濃度不純物領域(p+領域)348が形成される。前記高濃度不純物領域(p+領域)348には、既にn型不純物であるPイオンがイオンドープされているが、前記Pイオンに比較し、更に高ドーズ量(2.5×1015ions/cm2)のBイオンがイオンドープされる為、結果としてp型の導電型を有し、ソース・ドレイン領域として機能する高濃度不純物領域(p+領域)348が形成される。また、保持容量405の形成領域に於いても、保持容量用電極321の外側領域に対応する半導体層308にp型の導電型を有する高濃度不純物領域(p+領域)349が同様に形成される(図10(A))。
次に、前記レジストパターン345〜347を除去した後、膜厚150nmの酸化窒化シリコン膜から成る第1の層間絶縁膜350をプラズマCVD法により堆積する。その後、半導体層304〜308にイオンドープされたn型又はp型不純物(PイオンとBイオン)の熱活性化の為、電熱炉に於いて、600℃−12時間の熱処理を行う。当該熱処理は、n型又はp型不純物の熱活性化処理の為に行うものであるが、チャネル領域として機能する実質的に真性な領域324〜327及び容量形成用電極の片側として機能する真性な領域328に存在するNi元素を前記不純物によりゲッタリングする目的も兼ねている。尚、第1の層間絶縁膜350の堆積前に当該熱活性化処理を行っても良いが、ゲート電極等の配線材料の耐熱性が弱い場合は、第1の層間絶縁膜350の堆積後に行う方が好ましい。この後、半導体層304〜308のダングリングボンドを終端させる為、410℃−1時間の水素化処理を水素3%含有の窒素雰囲気中で行う(図10(B))。
次に、前記第1の層間絶縁膜350の上に、膜厚1.6μmのアクリル樹脂膜から成る第2の層間絶縁膜351を成膜する。その後、通常のフォトリソグラフィ処理とドライエッチング処理により、第2の層間絶縁膜351と第1の層間絶縁膜350、更に下層膜であるゲート絶縁膜323を貫通する様に、コンタクトホールを形成する。この際、コンタクトホールは、ソース配線として機能する電極322及び高濃度不純物領域337,339〜340,348〜349と接続する様に形成される(図11(A))。
次に、駆動回路406の高濃度不純物領域337,339,348と電気的に接続する様に、導電性の金属配線352〜357を形成する。また、画素領域407の接続電極358,360〜361とゲート配線359を同じ導電性材料で形成する。本実施例では、金属配線352〜357、接続電極358,360〜361及びゲート配線359の構成材料として、膜厚50nmのTi膜と膜厚500nmのAl−Ti合金膜の積層膜を適用している。そして、接続電極358は、不純物領域340とソース配線として機能する電極322とを電気的に接続する様に形成されている。接続電極360は、画素TFT404の不純物領域340と電気的に接続する様に形成されており、接続電極361は保持容量405の不純物領域349と電気的に接続する様に形成されている。また、ゲート配線359は、画素TFT404の複数のゲート電極320を電気的に接続する様に形成されている。その後、膜厚80〜120nmのITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電膜を堆積した後、フォトリソグラフィ処理とエッチング処理により、画素電極362を形成する。画素電極362は、接続電極360を介して、画素TFT404のソース・ドレイン領域である不純物領域340と電気的に接続されており、更に接続電極361を介して、保持容量405の不純物領域349とも電気的に接続されている(図11(B))。
以上の様に、LDD構造のnチャネル型TFTとシングルドレイン構造のpチャネル型TFTを有するアクティブマトリクス型液晶表示装置の製造工程に於いて、触媒元素溶液(Ni元素水溶液)のスピン添加工程に回転加速度の低いスピン添加法(回転加速度:30rpm/秒)を適用した結果、従来の回転加速度(60rpm/秒)に比較し、Ni元素添加量の基板内バラツキを6〜7割程度に低減でき、Ni元素添加量の基板内均一性の向上を図ることができた。触媒元素であるNi元素添加量の基板内均一性の向上は、熱結晶化後に得られる結晶質シリコン膜に於ける結晶質の基板内バラツキの低減に影響し、最終的に当該結晶質シリコン膜で構成したTFTの電気特性の安定化に好影響をもたらすと考えられる。従って、本発明の触媒元素のスピン添加法は、触媒元素を利用した結晶質シリコン膜を有する液晶表示装置の製造工程に於いて、TFTの電気特性の安定化に対し、必須の重要な技術であると考えられる。
本発明は、シリコンを含む結晶質半導体膜の作製方法に関するものであり、様々な半導体装置の製造に本発明を適用することが可能である。従って、本発明は、液晶表示装置を表示媒体として組み込んだ様々な分野の半導体装置に適用可能であり、此処では半導体装置の具体例を図12〜14に基づき記載する。尚、半導体装置としては、ビデオカメラとデジタルカメラとプロジェクター(リア型又はフロント型)とヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)とゲーム機とカーナビゲーションとパーソナルコンピューターと携帯情報端末(モバイルコンピュータ,携帯電話,電子書籍等)等が挙げられる。
図12(A)は、本体1001と映像入力部1002と表示部1003とキーボード1004で構成されたパーソナルコンピューターである。本発明を表示部1003及び他の回路に適用することができる。
図12(B)は、本体1101と表示部1102と音声入力部1103と操作スイッチ1104とバッテリー1105と受像部1106で構成されたビデオカメラである。本発明を表示部1102及び他の回路に適用することができる。
図12(C)は、モバイルコンピュータ(モービルコンピュータ)であり、本体1201とカメラ部1202と受像部1203と操作スイッチ1204と表示部1205で構成される。本発明を表示部1205及び他の回路に適用することができる。
図12(D)は、ゴーグル型ディスプレイであり、本体1301と表示部1302とアーム部1303で構成される。本発明を表示部1302及び他の回路に適用することができる。
図12(E)は、プログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と略記)に用いるプレーヤーであり、本体1401と表示部1402とスピーカー部1403と記録媒体1404と操作スイッチ1405で構成される。尚、この装置は記録媒体としてDVD及びCD等が用いられ、音楽鑑賞又はゲーム又はインターネットに利用可能である。本発明を表示部1402及び他の回路に適用することができる。
図12(F)は、携帯電話であり、表示用パネル1501と操作用パネル1502と接続部1503と表示部1504と音声出力部1505と操作キー1506と電源スイッチ1507と音声入力部1508とアンテナ1509で構成される。表示用パネル1501と操作用パネル1502は、接続部1503で接続されている。表示用パネル1501の表示部1504が設置されている面と操作用パネル1502の操作キー1506が設置されている面との角度θは、接続部1503に於いて任意に変えることができる。本発明を表示部1504に適用することができる。
図13(A)は、フロント型プロジェクターであり、光源光学系及び表示部1601とスクリーン1602で構成される。本発明を表示部1601及び他の回路に適用することができる。
図13(B)は、リア型プロジェクターであり、本体1701と光源光学系及び表示部1702とミラー1703〜1704とスクリーン1705で構成される。本発明を表示部1702及び他の回路に適用することができる。
尚、図13(C)は、図13(A)の光源光学系及び表示部1601と図13(B)の光源光学系及び表示部1702に於ける構造の一例を示した図である。
光源光学系及び表示部1601,1702は、光源光学系1801とミラー1802,1804〜1806とダイクロイックミラー1803と光学系1807と表示部1808と位相差板1809と投射光学系1810で構成される。投射光学系1810は、投射レンズを備えた複数の光学レンズで構成される。この構成は、表示部1808を3個使用している為、三板式と呼ばれている。また同図の矢印で示した光路に於いて、実施者は光学レンズ及び偏光機能を有するフィルム又は位相差を調整する為のフィルム又はIRフィルム等を適宜に設けても良い。
図13(D)は、図13(C)に於ける光源光学系1801の構造の一例を示した図である。本実施例に於いては、光源光学系1801はリフレクター1811と光源1812とレンズアレイ1813〜1714と偏光変換素子1815と集光レンズ1816で構成される。尚、同図に示した光源光学系は一例であり、この構成に限定されない。例えば、実施者は光源光学系に光学レンズ及び偏光機能を有するフィルム又は位相差を調整するフィルム又はIRフィルム等を適宜に設けても良い。
次の図14(A)は、単板式の例を示したものである。同図に示した光源光学系及び表示部は、光源光学系1901と表示部1902と投射光学系1903と位相差板1904で構成される。投射光学系1903は、投射レンズを備えた複数の光学レンズで構成される。同図に示した光源光学系及び表示部は図13(A)と図13(B)に於ける光源光学系及び表示部1601,1702に適用できる。また光源光学系1901は図13(D)に示した光源光学系を用いれば良い。尚、表示部1902にはカラーフィルター(図示しない)が設けられており、表示映像をカラー化している。
図14(B)に示した光源光学系及び表示部は図14(A)の応用例であり、カラーフィルターを設ける代わりに、RGBの回転カラーフィルター円板1905を用いて表示映像をカラー化している。同図に示した光源光学系及び表示部は図13(A)と図13(B)に於ける光源光学系及び表示部1601,1702に適用できる。
図14(C)に示した光源光学系及び表示部は、カラーフィルターレス単板式と呼ばれている。この方式は、表示部1916にマイクロレンズアレイ1915を設け、ダイクロイックミラー(緑)1912とダイクロイックミラー(赤)1913とダイクロイックミラー(青)1914を用いて表示映像をカラー化している。投射光学系1917は、投射レンズを備えた複数の光学レンズで構成される。同図に示した光源光学系及び表示部は、図13(A)と図13(B)に於ける光源光学系及び表示部1601,1702に適用できる。また光源光学系1911としては、光源の他に結合レンズ及びコリメーターレンズを用いた光学系を用いれば良い。
以上の様に、本発明の結晶質半導体膜の作製方法は、その適用範囲が極めて広く、本発明は、様々な分野のアクティブマトリクス型液晶表示装置を組み込んだ半導体装置の製造に適用可能である。
回転加速度とNi元素析出量(平均値とバラツキ範囲)との相関を示すグラフである。
Ni元素析出量の基板面内分布を示すグラフである。
基板サイズと基板端部での運動速度との間の関係図である。
触媒元素のスピン添加法のスピン添加プログラムを示す、処理時間と回転速度との関係図である。
縦成長法による結晶質シリコン膜の作製工程を示す基板断面図である。
横成長法による結晶質シリコン膜の作製工程を示す基板断面図である。
アクティブマトリクス型液晶表示装置の製造工程を示す断面図である。
アクティブマトリクス型液晶表示装置の製造工程を示す断面図である。
アクティブマトリクス型液晶表示装置の製造工程を示す断面図である。
アクティブマトリクス型液晶表示装置の製造工程を示す断面図である。
アクティブマトリクス型液晶表示装置の製造工程を示す断面図である。
液晶表示装置を組み込んだ半導体装置の例を示す装置概略図である。
液晶表示装置を組み込んだ半導体装置の例を示す装置概略図である。
液晶表示装置を組み込んだ半導体装置の例を示す装置概略図である。
基板サイズと、基板中央部と基板端部でのNi濃度比の関係を回転加速度をパラメータとして示すグラフである。
基板サイズと回転加速度との関係を、基板中央部と基板端部でのNi濃度比をパラメータとして示すグラフである。
符号の説明
101 :ガラス基板
102 :非晶質シリコン膜
103 :自然酸化膜
104 :シリコン酸化膜
105 :スピンチャック
106 :供給ノズル
107 :Ni元素水溶液
108 :Ni含有層
109 :結晶質シリコン膜
201 :ガラス基板
202 :非晶質シリコン膜
203 :マスク絶縁膜
204 :開口領域
205 :極薄シリコン酸化膜
206 :スピンチャック
207 :供給ノズル
208 :Ni元素水溶液
209 :Ni含有層
210 :結晶質シリコン膜
301 :ガラス基板
302 :下地膜
302a:第1層目の酸化窒化シリコン膜
302b:第2層目の酸化窒化シリコン膜
303a:非晶質シリコン膜
303b:結晶質シリコン膜
304 〜 308:半導体層
309 :ゲート絶縁膜(酸化窒化シリコン膜)
310 :ゲート電極膜(W膜)
311 〜 316:レジストパターン(ゲート電極及び他の電極形成用)
317 〜 320:ゲート電極
321 :保持容量用電極
322 :電極(ソース配線として機能)
323 :ゲート絶縁膜(ゲート電極ドライエッチング後)
324 〜 327:実質的に真性な領域(チャネル領域として機能)
328 :真性な領域(容量形成用電極の片側として機能)
329 〜 333:n型不純物の低濃度不純物領域(n−領域)
334 〜 336:レジストパターン(n+領域形成用)
337 〜 341:n型不純物の高濃度不純物領域(n+領域)
342 〜 344:n型不純物の低濃度不純物領域(n−領域)
345 〜 347:レジストパターン(p+領域形成用)
348 :p導電型の高濃度不純物領域(p+領域)(ソース・ドレイン領域として
機能)
349 :p導電型の高濃度不純物領域(p+領域)(容量形成用電極の片側として
機能)
350 :第1の層間絶縁膜(酸化窒化シリコン膜)
351 :第2の層間絶縁膜(アクリル樹脂膜)
352 〜 357:金属配線(Ti膜とAl−Ti合金膜の積層膜)
358 :接続電極
359 :ゲート配線
360 〜 361:接続電極
362 :画素電極(ITO膜)
401 :nチャネル型TFT
402 :pャネル型TFT
403 :nチャネル型TFT
404 :画素TFT
405 :保持容量
406 :駆動回路
407 :画素領域