しかしながら、被写体に所定のパターンの赤外光を照射するためには照明装置の構成が複雑化し、装置全体の小型化及び製造コストの低減には不向きである。また、撮影範囲内の全ての被写体に対してステレオマッチング法により距離画像を生成するとその処理の負担が大きく、処理時間が長くなるという欠点がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、装置の大型化、高コスト化を招くことなく、目的の被写体を的確に検出することによって、その目的の被写体に関して精度の高い距離画像を生成できるようにすると共に距離画像を短時間で生成できるようにした距離画像生成方法及びその装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために請求項1に記載の距離画像生成装置は、被写体の画像を結像する光学系と、該光学系により結像された被写体の画像を2次元配列の受光素子により電気信号として取り込むイメージセンサとを備えた複数の撮像部と、前記複数の撮像部の各々から、第1の波長域の光により結像された被写体の画像を第1の画像として取り込む第1画像取込手段と、前記複数の撮像部のうち、少なくとも1つの撮像部から、第2の波長域の光により結像された被写体の画像を第2の画像として取り込む第2画像取込手段と、前記第2画像取込手段により取り込まれた第2の画像に基づいて、各画素の画素値を距離データとする第2の距離画像を生成する第2距離画像生成手段と、前記第2距離画像生成手段により生成された第2の距離画像に基づいて、各距離ごとに各距離に属する距離データを有する画素の出現頻度を示す距離データヒストグラムを作成する距離データヒストグラム作成手段と、前記距離データヒストグラムに基づいて、主要被写体を検出する主要被写体検出手段と、前記第1画像取込手段により取り込まれた第1の画像に基づいて、各画素の画素値を距離データとする第1の距離画像を生成する第1距離画像生成手段であって、前記第1の画像に基づいて、前記主要被写体検出手段により検出された主要被写体の範囲の画像の各画素を距離データとする前記主要被写体の距離画像を生成する第1距離画像生成手段と、前記第1距離画像生成手段により生成された前記主要被写体の距離画像を記録媒体に記録し、又は、外部に送出する前記記録/送出手段と、を備えたことを特徴としている。
本発明によれば、距離データヒストグラムを作成してその距離データヒストグラムを使用して主要被写体を検出するようにしているため、的確に目的の被写体を検出することができ、その距離画像を生成することができる。
また、本発明によれば、第1距離画像生成手段と第2距離画像生成手段とにより異なる方法で個別に距離画像を生成する手段を備えている。第1距離画像生成手段が複数の撮像部から取り込まれた全ての画像に基づいて距離画像を生成する手段であるため高い精度の距離画像を生成することができる一方で距離画像の生成に時間を要する。そこで、第2距離画像生成手段により得られた第2の距離画像により主要被写体となるものを検出し、その主要被写体の範囲に対してのみ第1距離画像生成手段により高い精度の距離画像を生成する。これにより、必要な被写体に関して高い精度の距離画像を短時間で生成することが可能となる。また、第1距離画像生成手段と第2距離画像生成手段とでイメージセンサが共用されているため、距離画像を生成するために2つの手段が用いられることによる装置の大型化や高コスト化を抑止することができる。更に、目的の被写体として主要被写体のみの距離画像を記録媒体に記録し、又は、外部に送出することも可能であり、その場合に記録媒体に記録するデータ量や外部に送出するデータ量を低減できる。
請求項2に記載の距離画像生成装置は、請求項1に記載の発明において、前記記録/送出手段は、前記主要被写体の距離画像と共に、前記複数の各撮像部により取り込まれた少なくとも1つの画像を前記記録媒体に記録し、又は、外部に送出することを特徴としている。
本発明は、主要被写体の距離画像と共に、各撮像部により取り込まれた画像も記録又は送出するようにした態様である。
請求項3に記載の距離画像生成装置は、請求項1、又は、2に記載の発明において、前記第2の波長域内の光を被写体に照射する光照射手段を備え、前記第2画像取込手段は、前記光照射手段により前記第2の波長域内の光が被写体に照射し、その反射光により結像された被写体の画像を前記第2の画像として取り込むことを特徴としている。
本発明によれば、第2距離画像生成手段において参照する第2の画像、即ち、第2の波長域内の光により結像される被写体の画像を得るための光照射手段を本発明に係る装置が備え、第2の画像を取り込む際にその光照射手段からの第2の波長域の光を被写体に照射することができる。
請求項4に記載の距離画像生成装置は、請求項1、2、又は、3に記載の発明において、前記第1距離画像生成手段は、前記第1画像取込手段により前記複数の撮像部の各々から取り込まれた前記複数の第1の画像において、同一の物点に対する像点を示す対応点を検出し、該対応点の視差に基づいて前記物点までの距離を求め、該距離を示す距離データを前記対応点の画素の画素値とすることにより前記第1の距離画像を生成するステレオマッチンング法を用いた距離画像生成手段であることを特徴としている。
本発明によれば、第1距離画像生成手段では、異なる視線方向から同一の空間領域を撮影して得られたステレオ画像、即ち、第1の画像から、ステレオマッチング法により距離画像を生成する方法が採用されている。
請求項5に記載の距離画像生成装置は、請求項1、2、3、又は、4に記載の発明において、前記第2距離画像生成手段は、前記第2の波長域の光が被写体に照射されて前記撮像部に到達するまでの時間に応じた画素値を示す前記第2の画像に基づいて各画素を像点とする物点までの距離を求め、該距離を示す距離データを各画素の画素値とすることによって前記第2の距離画像を生成するTOF法を用いた距離画像生成手段であることを特徴としている。
本発明によれば、第2距離画像生成手段では、被写体に照射され、反射した第2の波長域の光が撮像部に到達するまでに要した時間を第2の画像に基づいて求めることによって、被写体の各物点までの距離を求めるTOF(Time of Flight)法により距離画像を生成する方法が採用されている。
請求項6に記載の距離画像生成装置は、請求項1〜5のうちのいずれか1に記載の発明において、前記第1の波長域は、可視の波長域であり、前記第2の波長域は、可視外の波長域であることを特徴としている。
本発明は、可視の波長域の光により結像された被写体の画像を第1の画像として取り込み、可視外の波長域の光により結像された被写体の画像を第2の画像として取り込む態様を示している。
請求項7に記載の距離画像生成装置は、請求項1〜6のうちのいずれか1に記載の発明において、前記第2の波長域は、赤外の波長域であることを特徴としている。
本発明は、赤外光により第2の画像を取り込むようにした態様を示している。
請求項8に記載の距離画像生成装置は、請求項1〜7のうちのいずれか1に記載の発明において、前記第1画像取込手段により前記第1の画像が取り込まれる撮像部において、前記第1の波長域の光を透過する1種類からなる第1の画素フィルター、又は、前記第1の波長域を分割した複数の波長域ごとの光を透過する複数種類からなる第1の画素フィルターが、前記イメージセンサの各受光素子に配置され、前記第1画像取込手段は、前記第1の画素フィルターが配置された受光素子によって前記第1の画像を取り込み、前記第2画像取込手段により前記第2の画像が取り込まれる撮像部において、前記第2の波長域の光を透過する第2の画素フィルターが前記イメージセンサの各受光素子に配置され、前記第2画像取込手段は、前記第2の画素フィルターが配置された受光素子によって前記第2の画像を取り込むことを特徴としている。
本発明は、波長域の異なる光により第1の画像と、第2の画像とを取り込むためのイメージセンサの画素フィルターの構成に関する一形態を示している。
請求項9に記載の距離画像生成装置は、請求項8に記載の発明において、前記第2画像取込手段により前記第2の画像が取り込まれる撮像部において、前記第2の画素フィルターは、第1の画素フィルターと異なる受光素子に配置される画素フィルターであることを特徴としている。
本発明は、第2の画像が取り込まれる撮像部において、第1の画像を取り込むための受光素子とは別の受光素子により第2の画像を取り込むようにした態様を示している。これによれば、第1の画像と第2の画像の取込みを同時に行うことも可能である。
請求項10に記載の距離画像生成装置は、請求項8、又は、9に記載の発明において、前記第1の波長域は緑色の波長域であり、前記第1の画素フィルターは、緑色の波長域の光を透過する画素フィルターであることを特徴としている。
本発明は、第1の画像を緑色の画素のみによって取り込み、第2の画像を緑色の画素フィルターが配列された受光素子以外で取り込めるようにしたものである。
請求項11に記載の距離画像生成装置は、請求項8、9、又は、10に記載の発明において、前記第2の波長域は赤外の波長域であり、前記第2の画素フィルターは、赤外の波長域の光を透過する画素フィルターであることを特徴としている。
本発明は、第2の画像を取り込むための第2の波長域及び第2の画素フィルターの一形態を示しており、第2の画像を赤外画像として取り込むようにしたものである。
請求項12に記載の距離画像生成装置は、請求項8、9、10、又は、11に記載の発明において、前記第2画像取込手段により前記第2の画像が取り込まれる撮像部において、前記第1の画素フィルターと前記第2の画素フィルターとが交互に配置されることを特徴としている。
本発明は、画素フィルターの配列のー例を示している。
請求項13に記載の距離画像生成装置は、請求項1〜12のうちのいずれか1に記載の発明において、前記主要被写体検出手段は、前記距離データヒストグラム作成手段により作成された距離データヒストグラムにおいて、出現頻度が所定の閾値を超える距離範囲を主要被写体の距離範囲として検出すると共に、該距離範囲に属する距離データを有する画素を主要被写体の画素として検出することを特徴としている。
本発明は、距離データヒストグラムから主要被写体を検出する具体的一態様を示している。
請求項14に記載の距離画像生成装置は、請求項13に記載の発明において、前記主要被写体検出手段は、前記所定の閾値を複数の閾値で変更し、各閾値において検出される前記主要被写体の距離範囲に基づいて、適切な閾値を決定し、該決定した閾値に基づいて前記主要被写体の画素を検出することを特徴としている。
本発明によれば、主要被写体を適切に検出することができ、主要被写体の誤検出を低減することができ、距離画像精度の向上に寄与する。
請求項15に記載の距離画像生成装置は、請求項14に記載の発明において、前記主要被写体検出手段は、前記複数の閾値を所定の規定値分の差を有する値で設定し、各閾値において検出される前記主要被写体の距離範囲の数が最大となるときの閾値を前記適切な閾値として決定することを特徴としている。
本発明は、前記複数の閾値のうち適切な閾値を決定する方法の一態様を示している。
請求項16に記載の距離画像生成装置は、請求項15に記載の発明において、前記主要被写体検出手段は、前記各閾値において検出される前記主要被写体の距離範囲の数が最大となるときの閾値が複数存在し、且つ、前記主要被写体の距離範囲の数が最大となるときの複数の閾値が隣接する値であることを条件として該条件を満たす場合に、該条件を満たした複数の閾値のうち最も小さい値の閾値を前記適切な閾値として決定し、前記条件を満たさない場合には、前記条件を満たされるまで、前記規定値を減少させた新たな規定値によって前記複数の閾値を設定しなおすことを特徴としている。
本発明は、前記複数の閾値のうち適切な閾値を決定する方法の一態様を示し、初期の閾値において、適切な閾値が検出されない場合の態様も含む。
請求項17に記載の距離画像生成装置は、請求項13〜16のうちのいずれか1に記載の発明において、前記主要被写体検出手段は、前記主要被写体の距離範囲を所定の距離範囲内に制限して検出することを特徴としている。
本発明は、主要被写体を検出する距離範囲を制限することによって、処理時間の低減を図るものである。
請求項18に記載の距離画像生成装置は、請求項1〜17のうちのいずれか1に記載の発明において、前記第1距離画像生成手段は、前記主要被写体検出手段により検出された主要被写体の画素及びその周辺画素からなる画像を前記主要被写体の範囲の画像として、前記主要被写体の距離画像を生成することを特徴としている。
本発明は、主要被写体の距離画像として求める画像の範囲の一実施の形態を示している。
請求項19に記載の距離画像生成装置は、請求項1〜18のうちのいずれか1に記載の発明において、前記第1距離画像生成手段により距離画像が生成された前記主要被写体の範囲以外の距離画像を前記第2距離画像生成手段により生成された第2の距離画像から取得し、該取得した距離画像と、前記第1距離画像生成手段により生成された前記主要被写体の距離画像とを統合した距離画像を第3の距離画像として生成する第3距離画像生成手段を備え、前記記録/送出手段は、前記第3距離画像生成手段により生成された第3の距離画像を、前記第1距離画像生成手段により生成された前記主要被写体の距離画像を含む距離画像として前記記録媒体に記録し、又は、外部に送出することを特徴としている。
本発明は、主要被写体の距離画像を第1距離画像生成手段により高い精度で生成し、主要被写体以外の範囲の距離画像を第1距離画像生成手段により主要被写体の距離画像を生成する以前に既に生成されている第2距離画像生成手段により生成された距離画像(第2の距離画像)により補間して第3の距離画像を生成する態様を示している。主要被写体以外の範囲の距離画像を補間するための距離画像を生成する時間を要さないため、撮影範囲全体の距離画像を高速に生成することができる。
請求項20に記載の距離画像生成装置は、請求項1〜19のうちのいずれか1に記載の発明において、前記距離データヒストグラム作成手段は、各距離ごとに各距離に属する距離データを有する画素の出現頻度を求めた後、該求めた出現頻度に所定のフィルター処理を施して得た値を前記距離データヒストグラムの値とすることを特徴としている。
本発明は、主要被写体が複雑な形状を有する場合に適切に主要被写体を検出できるようにした態様を示している。
請求項21に記載の距離画像生成装置は、請求項20に記載の発明において、前記フィルター処理は、前記出現頻度の平滑化を目的とした処理であることを特徴としている。
本発明は、距離データヒストグラムを平滑化するフィルター処理によって、主要被写体が複雑な形状を有する場合でも適切に主要被写体を検出できるようにした態様を示している。
請求項22に記載の距離画像生成装置は、請求項1〜21のうちのいずれか1に記載の発明において、前記記録/送出手段は、前記複数の撮像部のうちのいずれか1つの撮像部から取り込まれた前記第1の画像を前記主要被写体の距離画像と共に前記記録媒体に記録し、又は、外部に送出することを特徴としている。
本発明は、距離画像だけでなく通常の画像も記録するようにしたものである。
請求項23に記載の距離画像生成装置は、請求項1〜22のうちのいずれか1に記載の発明において、前記距離データは、前記撮像部の光軸方向の距離を示す距離データであることを特徴としている。
即ち、本発明における距離画像の距離データは、奥行き方向の距離を示してる。
請求項24に記載の距離画像生成方法は、被写体の画像を結像する光学系と、該光学系により結像された被写体の画像を2次元配列の受光素子により電気信号として取り込むイメージセンサとを備えた複数の撮像部の各々から、第1の波長域の光により結像された被写体の画像を第1の画像として取り込む第1画像取込工程と、前記複数の撮像部のうち、少なくとも1つの撮像部から、第2の波長域の光により結像された被写体の画像を第2の画像として取り込む第2画像取込工程と、前記第2画像取込工程により取り込まれた第2の画像に基づいて、各画素の画素値を距離データとする第2の距離画像を生成する第2距離画像生成工程と、前記第2距離画像生成工程により生成された第2の距離画像に基づいて、各距離ごとに各距離に属する距離データを有する画素の出現頻度を示す距離データヒストグラムを作成する距離データヒストグラム作成工程と、前記距離データヒストグラムに基づいて、主要被写体を検出する主要被写体検出工程と、前記第1画像取込工程により取り込まれた第1の画像に基づいて、各画素の画素値を距離データとする第1の距離画像を生成する第1距離画像生成工程であって、前記第1の画像に基づいて、前記主要被写体検出工程により検出された主要被写体の範囲の画像の各画素を距離データとする前記主要被写体の距離画像を生成する第1距離画像生成工程と、前記第1距離画像生成工程により生成された前記主要被写体の距離画像を記録媒体に記録し、又は、外部に送出する前記記録/送出工程と、を備えたことを特徴としている。
請求項25に記載の距離画像生成方法は、請求項24に記載の発明において、前記記録/送出工程は、前記主要被写体の距離画像と共に、前記複数の各撮像部により取り込まれた画像を前記記録媒体に記録し、又は、外部に送出することを特徴としている。
請求項26に記載の距離画像生成方法は、請求項24、又は、25に記載の発明において、前記第2画像取込工程は、前記第2の波長域内の光を被写体に照射する光照射手段により前記第2の波長域内の光を被写体に照射し、その反射光により結像された被写体の画像を前記第2の画像として取り込むことを特徴としている。
請求項27に記載の距離画像生成方法は、請求項24、25、又は、26に記載の発明において、前記第1距離画像生成工程は、前記第1画像取込工程により前記複数の撮像部の各々から取り込まれた複数の第1の画像において、同一の物点に対する像点を示す対応点を検出し、該対応点の視差に基づいて前記物点までの距離を求め、該距離を示す距離データを前記対応点の画素の画素値とすることにより前記第1の距離画像を生成するステレオマッチング法を用いた距離画像生成工程であることを特徴としている。
請求項28に記載の距離画像生成方法は、請求項24、25、26、又は、27に記載の発明において、前記第2距離画像生成工程は、前記第2の波長域の光が被写体に照射されて前記撮像部に到達するまでの時間に応じた画素値を示す前記第2の画像に基づいて各画素を像点とする物点までの距離を求め、該距離を示す距離データを各画素の画素値とすることによって前記第2の距離画像を生成するTOF法を用いた距離画像生成工程であることを特徴としている。
請求項29に記載の距離画像生成方法は、請求項24〜28のうちのいずれか1に記載の発明において、前記第1の波長域は、可視の波長域であり、前記第2の波長域は、可視外の波長域であることを特徴としている。
請求項30に記載の距離画像生成方法は、請求項24〜29のうちのいずれか1に記載の発明において、前記第2の波長域は、赤外の波長域であることを特徴としている。
請求項31に記載の距離画像生成方法は、請求項24〜30のうちのいずれか1に記載の発明において、前記第1画像取込工程により前記第1の画像が取り込まれる撮像部において、前記第1の波長域の光を透過する1種類からなる第1の画素フィルター、又は、前記第1の波長域を分割した複数の波長域ごとの光を透過する複数種類からなる第1の画素フィルターが、前記イメージセンサの各受光素子に配置され、前記第1画像取込工程は、前記第1の画素フィルターが配置された受光素子によって前記第1の画像を取り込み、前記第2画像取込工程により前記第2の画像が取り込まれる撮像部において、前記第2の波長域の光を透過する第2の画素フィルターが前記イメージセンサの各受光素子に配置され、前記第2画像取込工程は、前記第2の画素フィルターが配置された受光素子によって前記第2の画像を取り込むことを特徴としている。
請求項32に記載の距離画像生成方法は、請求項31に記載の発明において、前記第2画像取込工程により前記第2の画像が取り込まれる撮像部において、前記第2の画素フィルターは、第1の画素フィルターと異なる受光素子に配置される画素フィルターであることを特徴としている。
請求項33に記載の距離画像生成方法は、請求項31、又は、32に記載の発明において、前記第1の波長域は緑色の波長域であり、前記第1の画素フィルターは、緑色の波長域の光を透過する画素フィルターであることを特徴としている。
請求項34に記載の距離画像生成方法は、請求項31、32、又は、33に記載の発明において、前記第2の波長域は赤外の波長域であり、前記第2の画素フィルターは、赤外の波長域の光を透過する画素フィルターであることを特徴としている。
請求項35に記載の距離画像生成方法は、請求項31、32、33、又は、34に記載の発明において、前記第2画像取込工程により前記第2の画像が取り込まれる撮像部において、前記第1の画素フィルターと前記第2の画素フィルターとが交互に配置されることを特徴としている。
請求項36に記載の距離画像生成方法は、請求項24〜35のうちのいずれか1に記載の発明において、前記主要被写体検出工程は、前記距離データヒストグラム作成工程により作成された距離データヒストグラムにおいて、出現頻度が所定の閾値を超える距離範囲を主要被写体の距離範囲として検出すると共に、該距離範囲に属する距離データを有する画素を主要被写体の画素として検出することを特徴としている。
請求項37に記載の距離画像生成方法は、請求項36に記載の発明において、前記主要被写体検出工程は、前記所定の閾値を複数の閾値で変更し、各閾値において検出される前記主要被写体の距離範囲に基づいて、適切な閾値を決定し、該決定した閾値に基づいて前記主要被写体の画素を検出することを特徴としている。
請求項38に記載の距離画像生成方法は、請求項37に記載の発明において、前記主要被写体検出工程は、前記複数の閾値を所定の規定値分の差を有する値で設定し、各閾値において検出される前記主要被写体の距離範囲の数が最大となるときの閾値を前記適切な閾値として決定することを特徴としている。
請求項39に記載の距離画像生成方法は、請求項38に記載の発明において、前記主要被写体検出工程は、前記各閾値において検出される前記主要被写体の距離範囲の数が最大となるときの閾値が複数存在し、且つ、前記主要被写体の距離範囲の数が最大となるときの複数の閾値が隣接する値であることを条件として該条件を満たす場合に、該条件を満たした複数の閾値のうち最も小さい値の閾値を前記適切な閾値として決定し、前記条件を満たさない場合には、前記条件を満たされるまで、前記規定値を減少させた新たな規定値によって前記複数の閾値を設定しなおすことを特徴としている。
請求項40に記載の距離画像生成方法は、請求項36〜39のうちのいずれか1に記載の発明において、前記主要被写体検出工程は、前記主要被写体の距離範囲を所定の距離範囲内に制限して検出することを特徴としている。
請求項41に記載の距離画像生成方法は、請求項24〜40のうちのいずれか1に記載の発明において、前記第1距離画像生成工程は、前記被写体距離検出工程により検出された主要被写体の画素及びその周辺画素からなる画像を前記主要被写体の範囲の画像として、前記主要被写体の距離画像を生成することを特徴としている。
請求項42に記載の距離画像生成方法は、請求項24〜41のうちのいずれか1に記載の発明において、前記第1距離画像生成工程により距離画像が生成された前記主要被写体の範囲以外の距離画像を前記第2距離画像生成工程により生成された第2の距離画像から取得し、該取得した距離画像と、前記第1距離画像生成工程により生成された前記主要被写体の距離画像とを統合した距離画像を第3の距離画像として生成する第3距離画像生成工程を備え、前記記録/送出工程は、前記第3距離画像生成工程により生成された第3の距離画像を、前記第1距離画像生成工程により生成された前記主要被写体の距離画像を含む距離画像として前記記録媒体に記録し、又は、外部に送出することを特徴としている。
請求項43に記載の距離画像生成方法は、請求項24〜42のうちのいずれか1に記載の発明において、前記距離データヒストグラム作成工程は、各距離ごとに各距離に属する距離データを有する画素の出現頻度を求めた後、該求めた出現頻度に所定のフィルター処理を施して得た値を前記距離データヒストグラムの値とすることを特徴としている。
請求項44に記載の距離画像生成方法は、請求項43に記載の発明において、前記フィルター処理は、前記出現頻度の平滑化を目的とした処理であることを特徴としている。
請求項45に記載の距離画像生成方法は、請求項24〜44のうちのいずれか1に記載の発明において、前記記録/送出工程は、前記複数の撮像部のうちのいずれか1つの撮像部から取り込まれた前記第1の画像を前記主要被写体の距離画像と共に前記記録媒体に記録し、又は、外部に送出することを特徴としている。
請求項46に記載の距離画像生成方法は、請求項24〜45のうちのいずれか1に記載の発明において、前記距離データは、前記撮像部の光軸方向の距離を示す距離データであることを特徴としている。
以上の請求項24〜46に記載の発明は各々、請求項1〜23に記載の装置の発明に対応する方法の発明であり、対応する装置の発明と同様の効果を奏する。
本発明によれば、目的の被写体を的確に検出することができ、装置の大型化、高コスト化を招くことなく、その目的の被写体に関して精度の高い距離画像を生成できるようになると共に距離画像を短時間で生成できるようになる。
以下、添付図面に従って本発明に係る距離画像生成方法及びその装置を実施するための最良の形態について詳説する。
図1は、本発明に係る被写体距離生成装置が組み込まれたカメラ(撮像装置)の外観構成を示した正面図である。同図のカメラ10は、通常のデジタルスチルカメラと同様に可視光により結像された被写体の画像を撮像し、その画像を記録媒体等に記録する機能と、後述のようにステレオマッチング法及び赤外光によるTOF(Time of flight)法を使用して被写体の距離を各画素の画素値とする距離画像を生成し、その距離画像を記録媒体等に記録する機能とを備えている。尚、本明細書において記録画像という場合には、記録媒体に記録される可視光による通常の画像を示すものとする。
同図に示すようにカメラ10の本体12には撮像部(主撮像部)PAと撮像部(副撮像部)PBの2つが設けられており、それらの撮像部PA、PBの各々は、被写体を結像するための撮影レンズ(撮影光学系)LA、LBと、例えばCCD等の固体撮像素子からなるイメージセンサSA、SB(図3において示す)とを備えている。
撮像部PAは、1つの撮像部により可視光の画像(静止画像)を撮像する通常のデジタルスチルカメラと同様に用いられ、カメラ10の本体12には、通常のデジタルスチルカメラと同様にその撮像部PAによって可視光の画像を撮像し記録媒体42(図3において示す)に記録するための構成部が設けられている。詳細は省略するが、例えば、画像の取込み等を指示するシャッターボタン14、被写体が暗い場合に可視光領域の波長の照明光を発光するストロボ16、セルフ撮影を行なう場合にシャッターレリーズのタイミングを通知するセルフタイマーランプ17等が設けられている。また、電子ビューファインダ等として画像を表示することができる液晶モニターや、撮像部PAによって撮像された可視光の画像や後述の距離画像等のデータを記録する記録媒体(メモリーカード)42を装着するカードスロット等がカメラ10の本体12の背面部や側面部等に設けられている。
一方、撮像部PBは、距離画像を生成するために用いられ、後述のように撮像部PAと異なる視線方向からの可視光の画像を取り込む。これによって、撮像部PAと撮像部PBによって取り込まれた2つの画像がステレオ画像としてステレオマッチング法による距離画像の生成に使用される。また、撮像部PBの撮影レンズLBの上下には、赤外光を出射する赤外光照射部18、18が設けられており、これらの赤外光照射部18、18から被写体に照射されて反射した赤外光(赤外光を含む光)によって結像された画像が撮像部PBにより取り込まれる。その赤外光により結像された画像は、赤外光を使用したTOF(Time of Flight)法による距離画像の生成に使用される。尚、TOF法による距離画像は、後述のようにステレオマッチング法による距離画像を補間するために使用される。また、赤外光照射部18は、2つではなく、3つ以上設けてもよいし、1つであってもよい。
図2は、撮像部PAと撮像部PBの視点と、被写体との関係を示した被写界上面図である。同図では、カメラ10の撮像部PAの視点を原点とすると共に、撮像部PAの光軸をZ軸とし、撮像部PAの視点(原点)と撮像部PBの視点とを結ぶ直線の方向にX軸をとり、X軸とZ軸に直交する紙面垂直方向にY軸(図1参照)をとって被写界空間の座標が定義されている。同図のように撮像部PAの視点と撮像部PBの視点の位置がX軸方向に異なっており、被写界空間の被写体(同図では人物)Mの同一の物点Xを異なる角度で各視点からみた画像が各撮像部PA、PBによって取り込まれる。そのため、各撮像部PA、PBにより取り込まれた各画像上において同一の物点Xに対する像点の位置にずれ(視差)が生じ、その視差を求めることによって物点Xまでの距離が三角測量の原理により求められる。尚、撮像部PAと撮像部PBの各々によって撮像される画像間において、同一の物点に対する像点となる位置(画素)を対応点というものとする。また、生成する距離画像の各画素の距離データを、撮像部PAの視点から各物点までの距離として求めることができるが、することもできるが、本実施の形態ではZ軸方向(奥行き方向)の距離として求めるものとする。
図3は、上記カメラ10の内部構成を示した構成図である。同図においてカメラ10を構成する各構成部はカメラ制御部30によって統括的に制御されており、以下に示す各構成部の動作がカメラ制御部30の指令等に基づいて行なわれるようになっている。
主撮像部である上記撮像部PAは、同図に示すように撮影レンズ(撮影光学系)LAと、CCD等の固体撮像素子からなるイメージセンサSA等を備えている。被写体からの可視光領域の光が撮影レンズLAに入射すると、撮影レンズLAにより被写体の画像がイメージセンサSAの受光面に結像される。そして、その画像がイメージセンサSAによって撮像(光電変換)されて電気信号(画像信号)に変換される。これによって、可視光により結像された被写体の画像が撮像部PAにより取り込まれる。その画像を示す画像信号は、イメージセンサPAから出力されてA/D変換器32によりデジタル信号に変換された後、メモリー部34に一時記憶されると共に画像処理部36により、所要の処理、例えば、ホワイトバランス補正、ガンマ補正、輪郭補正等の画像処理が施される。
同図におけるモニター部・スピーカー部38は、カメラ10の本体12に設けられた液晶モニター、スピーカー及びそれらの制御部を含み、その液晶モニターにスルー画像を表示させる場合は、被写体の画像が撮像部PAによって連続的に取り込まれ、イメージセンサSAから順次出力される画像信号が画像処理部36により連続的に処理される。そして、画像処理部36により処理されてメモリー部34に一時記憶されている画像信号が、モニター部・スピーカー部38にバスを介して伝送される。これによって、撮像部PAによって現在撮影されている映像が液晶モニターにスルー画像として表示される。
一方、カードスロットに装填された記録媒体(メモリーカード)42に画像(可視光による画像、即ち、記録画像)を記録する場合は、同図の操作部40に含まれるシャッターボタン14(図1参照)が全押しされたことによって発生する撮影指令に応答して、撮像部PAにより被写体の画像が取り込まれ、1コマ分の画像信号がイメージセンサSAから出力される。その画像信号がメモリー部34に一時記憶されると共に画像処理部36により処理された後、記録媒体記録部44に伝送される。記録媒体記録部44では、画像信号に圧縮等の処理が施されて所定フォーマットの画像データとして記録媒体42に記録される。
記録媒体42に記録された画像データの画像を液晶モニターに再生表示する場合には、所定の再生指令に応じて記録媒体42から読み出され、記録媒体記録部44において圧縮処理された画像データの伸張処理等が施された後、モニター部・スピーカー部38に伝送される。これによって、記録媒体42に記録された画像データの画像が液晶モニターに再生表示される。
尚、同図における操作部40は、シャッターボタン14以外にも電源スイッチ等の各種操作部材を含み、それらの操作がカメラ制御部30に読み取られることによって、操作に応じた処理が実行される。また、シャッターボタン14は、例えば2段ストロークのボタンで、半押し時にONしてAF(自動焦点調整)、AE(自動露出調整)等の撮影準備を行わせるスイッチと、全押し時にONして画像の取り込みを行わせるスイッチとを有している。また、同図の信号出力部46からは、液晶モニターに表示されている画像の画像信号や、記録媒体42に記録されている画像データ等の外部機器への出力が行なえるようになっている。更に、カメラ10にはバッテリー48が着脱可能に装填されるようになっており、電源部50からそのバッテリー48の電力が各構成部に供給されている。
副撮像部である上記撮像部PBは、同図に示すように撮像部PAと同様に撮影レンズLBと、CCD等の固体撮像素子からなるイメージセンサSB等を備えている。また、撮像部PBには、撮影レンズLBとイメージセンサSBとの間の光路に所定電圧の印加により、光の透過、非透過を制御可能な電気光学シャッター60と、その光路に挿脱可能な赤外カットフィルター62が配置されている。
電気光学シャッター60には、例えば、印加電圧によって透過率が変化する液晶シャッターが使用され、印加電圧によって、光を透過する開状態と、光を遮断する閉状態とで切り替わるようになっている。尚、電気光学シャッター60は、TOF法により距離画像を生成するための画像を取り込む際に使用されるもので、開状態と閉状態とを高速で切り替えるために使用される。従って、イメージセンサSBにおける電子シャッターの機能で対応できる場合には、必ずしも電気光学シャッター60は必要ではない。
赤外カットフィルター62は、赤外光を遮断するフィルターであり、フィルター駆動部64のモータ等によって、光路に挿入された位置と、光路から退避した位置とで移動するようになっている。赤外カットフィルター62が光路に挿入されている場合には、撮影レンズLBを通過した光のうち、赤外光が取り除かれ、可視光のみがイメージセンサLBに入射する。
撮像部PBによる画像の取込みは、シャッターボタン14の1回の全押しによる撮影指令に対応して複数コマ分の画像の取込みが行われるようになっている。1コマ分の画像の取込みは、赤外カットフィルター62が光路に挿入された状態で行われる。尚、このとき電気光学シャッター60は開状態に設定され、赤外光照射部18からの赤外光の照射は行われない。この画像の取込み時には、撮影レンズLBに入射した被写体からの光は、赤外カットフィルター62によって赤外光が取り除かれるため、可視光のみによって被写体の画像がイメージセンサSBの受光面に結像される。そして、その画像はイメージセンサSBにより撮像(光電変換)されて電気信号(画像信号)に変換される。これによって可視光による被写体の画像が撮像部PBによって取り込まれる。その画像を示す画像信号は、イメージセンサSBから出力されてA/D変換器66によりデジタル信号に変換された後、メモリー部34に一時記憶されると共に画像処理部68により、ホワイトバランス補正、ガンマ補正、輪郭補正等の所要の処理が施される。このようにして撮像部PBにより取り込まれた画像は、撮像部PAにより取り込まれた画像と共に、同一の被写体を異なる視線方向から撮影したステレオ画像を構成する2つの画像としてステレオマッチング距離画像生成部70に取り込まれる。そして、ステレオマッチング距離画像生成部70において、ステレオマッチング法により被写体の各物点までの距離を各画素の画素値とした距離画像が生成される。
一方、撮像部PBでの他の画像の取込みは、赤外カットフィルター62が光路から退避した状態で電気光学シャッター60を制御(開状態と閉状態の切替え)することによって行われる。また、このとき、赤外光照射部18から赤外光が出射される。この画像の取込み時には、撮影レンズLBに入射した被写体からの光の中に、赤外光照射部18から被写体に照射されて反射した赤外光が含まれる。そして、撮影レンズLBに入射した被写体からの光は、赤外光を含んだ状態で被写体の画像を結像する。この赤外光を含む光により結像された画像は、イメージセンサSBにより撮像されて電気信号(画像信号)に変換される。これによって、赤外光照射部18から照射された赤外光を含む光により結像された被写体の画像(以下、赤外光を含む光により結像された本画像を赤外画像というものとする)が撮像部PBにより取込まれる。その赤外画像を示す画像信号は、イメージセンサSBから出力されてA/D変換器66によりデジタル信号に変換された後、TOF距離画像生成部72に取り込まれる。そして、そのTOF距離画像生成部72において、TOF法により被写体の各物点までの距離を各画素の画素値とした距離画像が生成される。
ここで、各撮像部PA、PBにおけるイメージセンサSA、SBの画素フィルター配列を図4及び図5に示す。図4は撮像部PAにおけるイメージセンサSAの各画素の受光素子に配置される画素フィルター配列を示しており、R、G、Bで示す画素フィルターはそれぞれ赤色、緑色、青色の波長域の光を透過する画素フィルターを示している。図5は、撮像部PBにおけるイメージセンサSBの画素フィルター配列を示しており、R′、G、Bで示す画素フィルターはそれぞれ赤色、緑色、青色の波長域の光を透過する画素フィルターを示している。
イメージセンサSAとイメージセンサSBは、同等の特性を有する撮像素子が使用されており、画素ピッチ、画素数、基本的な画素フィルター配列なども一致している。
一方、イメージセンサSAのRの画素フィルターとイメージセンサSBのR′の画素フィルターとではフィルター特性が相違している。図6は、R、G、B、R′の画素フィルターの波長特性を示している。イメージセンサSAのGとBの画素フィルターと、イメージセンサRBのGとBの画素フィルターとは、それぞれ同一の特性を有しており、同図に示すように、Gの画素フィルターは、グラフFGで示すように緑色の波長域の所定波長において透過率が最大となる波長ピークを有し、その波長ピークにおいてGの画素フィルターが配置された受光素子(Gの受光素子)の受光感度が最大となる。Bの画素フィルターは、グラフFBで示すように青色の波長域の所定波長において透過率が最大となる波長ピークを有し、その波長ピークにおいてBの画素フィルターが配置された受光素子(Bの受光素子)の受光感度が最大となる。これらのG、Bの画素フィルターは、通常のイメージセンサに使用される緑色と青色の画素フィルターと同様の特性を有する。
また、イメージセンサSAのRの画素フィルターは、通常のイメージセンサにおいて使用される赤色の画素フィルターと同様の特性を有し、グラフFR(破線)で示すように赤色の波長域の所定波長において透過率が最大となる波長ピークを有し、その波長ピークにおいてRの画素フィルターが配置された受光素子(Rの受光素子)の受光感度が最大となる。
一方、イメージセンサSBのR′の画素フィルターは、グラフFR′で示すようにRの画素フィルターの波長ピークと略同じ波長を波長ピークとし、Rの画素フィルターと同様に赤色の波長域の光を透過するが、更に、長波長側の赤外の波長域の光も透過する特性を有している。従って、このR′の画素フィルターが配置された受光素子(R′の受光素子)では赤外光に対しても大きな受光感度を有している。
また、同図において、上記赤外光照射部18から出射される赤外光の波長領域がグラフFSで示されており、撮像部PBの赤外カットフィルター62のフィルター特性がグラフFIRで示されている。
上記のようにステレオマッチング距離画像生成部70における距離画像の生成のための画像を撮像部PBにより取り込む場合には、赤外カットフィルター62が光路に挿入された状態で画像の取込みが行われる。このとき、被写体からの光は、赤外カットフィルター62とR′の画素フィルターを通過してR′の受光素子に入射する。そのため、R′の受光素子の受光感度は、イメージセンサSAのRの受光素子と同様に赤色の波長域に制限される。即ち、R′の受光素子は、赤外カットフィルター62の特性とR′の画素フィルターの特性とを重畳した特性を有するフィルターを備えているものと同等となり、その特性は、Rの画素フィルターに類似したものとなる。これに対してイメージセンサSBのGとBの受光素子では、赤外カットフィルター62の影響を殆ど受けない。従って、赤外カットフィルター62を光路に挿入した状態で画像の取込みを行うと、イメージセンサSAと同等の特性によって撮像された可視光による画像がイメージセンサSBによって得られる。
一方、上記のようにTOF距離画像生成部72における距離画像の生成のための画像を撮像部PBにより取り込む場合には、赤外カットフィルター62が光路から退避した状態で画像の取込みが行われる。このとき、イメージセンサSBのR′の画素フィルターの特性がそのまま反映される。そして、このとき赤外光照射部18から赤外光が被写体に照射されるが、R′の画素フィルターはその赤外の波長域の光を透過する特性を有するため、イメージセンサSBのR′の受光素子では、赤外光照射部18から照射されて被写体で反射した赤外光を受光する。従って、赤外カットフィルター62を光路から退避させた状態で赤外光照射部18から赤外光を照射した状態で画像の取込みを行うと、その赤外光を含む光によって結像された画像(赤外画像)がイメージセンサSBによって得られる。尚、このとき取り込む赤外画像はR′の受光素子から得られる画像のみとする。
次に、図7のフローチャートを用いて上記カメラ10における距離画像生成の処理手順について説明する。まず、所定の電源スイッチの操作に従ってカメラ10の電源をオンすると(ステップS10)、撮像部PBにおける赤外カットフィルター62を光路に挿入する(赤外カットフィルター62のオン)(ステップS12)。続いてシャッターボタン14が全押しされたか否かを判定する(ステップS14)。NOと判定している間は、この判定処理を繰り返す。
一方、ステップS14の判定処理においてYESと判定した場合、AE及びAFの処理を実行する(ステップS16)。続いて、撮像部PAのイメージセンサSA及び撮像部PBのイメージセンサSBにより画像を取り込み、それらの画像をメモリー部34に記憶する(ステップS18)。ここで、このとき撮像部PAのイメージセンサSAにより取り込んだ画像を画像1、撮像部PBのイメージセンサSBにより取り込んだ画像を画像2とする。
次に、赤外カットフィルター62を光路から退避させて(赤外カットフィルター62のオフ)、赤外光照射部18から赤外光を被写体に照射する(ステップS20)。そして、電気光学シャッター60を駆動し、イメージセンサSBの所定の露光制御を実行する(ステップS22)。これによって、イメージセンサSBのR′の受光素子のみから画像(赤外画像)を取り込み、その画像をTOF距離画像生成部72内のメモリー部に記憶する(ステップS24)。このとき撮像部PBにより取り込んだ赤外画像を画像3とする。尚、画像3も、画像1、2と同様にメモリー部34に記憶するようにしてもよい。
次に、メモリー部34に記憶した画像1及び画像2をステレオマッチング距離画像生成部70に取り込み、それらの画像1、画像2に基づいて、ステレオマッチング法により距離画像Aを生成する(ステップS26)。
ここで、ステレオマッチング距離画像生成部70では、例えば、画像1と画像2において同一の物点に対する像点の位置となる対応点が検出され、画像1と画像2における対応点の位置のずれ(視差)が求められる。そして、その視差から三角測量の原理によりその物点のまでの距離が算出される。このようなステレオマッチング処理が画像1の各画素に対して行われ、画像1の各画素の画素値を、算出した距離の値(距離データ)とすることによって距離画像Aが生成される。
一方、TOF距離画像生成部72は、画像3の画素値に基づいて、その画素を像点する被写体の物点までの距離をTOF法の原理に基づいて算出し、算出した距離の値(距離データ)を画素値とする距離画像Bを生成する(ステップS28)。例えば、イメージセンサSBの各受光素子において入射した光に対して有効に電荷を蓄積するタイミングを制御し(電気光学シャッター60又は電子シャッターの制御)、赤外光照射部18を所定周期で発光させると共に、その発光のタイミングに合わせてイメージセンサSBの各受光素子で有効に電荷を蓄積する。各受光素子に蓄積される電荷量は、赤外光照射部18から出射された赤外光が、出射されてから被写体で反射して各受光素子に入射するまでに要した飛行時間に応じた大きさとなる。従って、イメージセンサSBの各受光素子(R′の受光素子)により得られた画像3の各画素の画素値によって各画素を像点とする物点までの距離を算出することができる。
尚、TOF法により距離画像Bを生成する方法として、赤外光照射部18からパルス光を発光し、そのパルス光の発光のタイミングに合わせてイメージセンサSBの各受光素子で有効に電荷を蓄積する露光のタイミングを制御する方法が知られている。この場合、赤外光照射部18から被写体に照射されて、その反射光がイメージセンサSBの各受光素子に到達するまでの時間に応じた量の電荷が各受光素子で蓄積される。即ち、各受光素子の蓄積電荷が近距離では多く、遠距離では少なくなる。従って、これによって得られた画像3の各画素の画素値に基づいて各画素を像点とする物点までの距離を算出することができる。赤外光照射部18でのパルス光の発光と、それに対するイメージセンサSBの露光は、3、4回程度繰り返し行われる。
TOF法により距離画像Bを生成する他の方法として、赤外光照射部18からサイン波変調光(照射サイン波)を発光し、そのパルス光の発光のタイミングに合わせてイメージセンサSBの各受光素子での露光を複数回(例えば4回)繰り返す方法が知られている。この場合、画像3として複数コマ分の画像が得られ、得られた各画像の画素値に基づいて、照射サイン波に対して各受光素子で受光された受光サイン波が復調される。これによって、照射サイン波と受光サイン波の位相ずれを検出することができ、その位相ずれに基づいて各画素を像点とする物点までの距離を算出することができる。このような方法において得られる画像3の各画素の画素値は、赤外光照射部18から被写体に照射された光が被写体で反射されてイメージセンサSBに到達するまでの時間に応じた値を示すもので、この方法も本明細書ではTOF法の一形態に含まれるものとする。
次に、ステレオマッチング距離画像生成部70は、ステップS26における距離画像Aの生成において距離を算出することができなかった画素についての距離データをTOF距離画像生成部72において生成された距離画像Bの対応する画素から取得する。そして、その距離画像Bから取得した距離データを距離画像Aに適用して距離画像Cを生成する(ステップS30)。
以上の処理が終了すると、撮像部PAにより取り込まれた画像1と、距離画像Cとを記録媒体42に記録し(ステップS32)、ステップS12に戻る。
尚、画像1と距離画像Cとは、別個のファイルとして対応付けして記録してもよいし、1つのファイル内のデータとして記録してもよい。更に画像2、画像3も記録してもよい。
また、以下の説明において、上記のようにステレオマッチング距離画像生成部70において距離画像Aを生成するために撮像部PAにより取り込まれる画像を画像1、撮像部PBにより取り込まれる画像を画像2とし、TOF距離画像生成部72において距離画像Bを生成するために撮像部PBにより取り込まれる画像を画像3と記す。
次に、図7のステップS30において距離画像Cを生成するための具体的な生成方法について説明する。上記ステレオマッチング距離画像生成部70において生成される距離画像Aは、記録媒体42に記録される可視光の記録画像、即ち、上記画像1の各画素の画素値を距離データとしたものである。一方、撮像部PAと撮像部PBとは視点が異なるため、TOF距離画像生成部72において撮像部PBにより取り込まれた上記画像3により生成された距離画像Bと、上記距離画像Aとの間での対応点となる画素の各画像上での位置が異なる。
そこで、ステレオマッチング距離画像生成部70において距離画像Aを生成する際に画像1と画像2の間で求めた対応点を利用する。図8は、ステレオマッチング距離画像生成部70において生成された距離画像Aと、TOF距離画像生成部72において生成された距離画像Bの各々において画像全体のうちの同一範囲内の画素を抜き出して示した図である。同図において距離画像Aの各画素は画像1の画素に対応しており、R、G、Bで示されている各画素(Rの画素、Gの画素、Bの画素)は、それぞれ図4に示した撮像部PAのイメージセンサSAの画素フィルター配列においてR、G、Bの画素フィルターが配置された受光素子に対応する画素を示している。一方、距離画像Bの各画素は画像2の画素に対応しており、R′、G、Bで示されている各画素(R′の画素、Gの画素、Bの画素)は、それぞれ図5に示した撮像部PBのイメージセンサSBの画素フィルター配列においてR′、G、Bの画素フィルターが配置された受光素子に対応する画素を示している。
例えば、ステレオマッチング距離画像生成部70において検出された対応点(対応画素)が、同図において距離画像Aと距離画像BのGの画素mであったとする。このとき、その対応画素mの周辺の画素は、相対的にずれが少ない。そこで距離画像Bの対応画素mの周辺のR′の画素nの距離データを、距離画像Aの対応画素mの周辺のRの画素pに対応させて距離画像Aの距離データでとして不足する部分を補間する。この処理を各対応点ごとに繰り返して補間を行うことによって、画素ずれの少ない適切な距離画像Cが生成される。
尚、図8では、対応画素mの周辺6画素分を補間しているが、その範囲は適宜設定できるものとしてもよい。
次に、TOF距離画像生成部72での距離画像Bの生成における距離算出精度の向上を図るための実施の形態について図9のフローチャートを用いて説明する。図9のフローチャートにおいて図7のフローチャートと同一ステップ番号を付している処理は図7で説明した処理内容と一致している。図9において、図7と同一処理が行われるステップS10〜S24までの処理の説明を省略すると、ステップS24において撮像部PBから画像3(赤外画像)を取り込んだ後のステップS40の処理が追加されている。
ステップS40では画像3の各画素の画素値から赤色の波長域の光が寄与した分の値を除去する処理が行われる。即ち、撮像部PBにより取り込まれた画像3は、イメージセンサSBのR′の受光素子により得られた画素(R′の画素)によって構成されている。図4〜図6を用いたR′の画素フィルターのフィルター特性の説明で示したように、R′の画素フィルターが配置された受光素子は、赤外光照射部18から出射される赤外光と、赤色の波長域の光とに対して受光感度を有している。従って、R′の画素の画素値は、赤外光によるものだけでなく、赤色の波長域の光による値が重畳されており、赤外光を参照光としてTOF法により距離を算出する場合に、赤色の波長域の光が距離算出精度の低下を招くおそれがある。
一方、撮像部PBにおいて赤外カットフィルター62を光路に挿入した状態で取り込まれた画像2の場合、R′の画素の画素値は、赤外光が取り除かれた赤色の波長域の光による値である。そこで、画像3の各R′の画素と画像2の各R′の画素の対応する画素間において、画像3の各R′の画素の画素値R3nから、画像2の各R′の画素の画素値R2nに規定値Kを乗じた値を減算する。即ち、
R4n=R3n−K*R2n
の式により、R4nを求め、そのR4nの値で画像3のR′の画像の画素値を置き換える。これによって生成された画像は、赤色の波長域の光による影響が取り除かれた赤外光による画像を示している。尚、この画像を画像4とする。また、上記規定値Kは、画像2の撮影時の露光量と、画像3の撮影時の露光量との比に基づいて決定する。但し、画像2の撮影時の露光時間T2と画像3の撮影時の露光時間T3との比、即ち、
K=T3/T2
としてもよい。
以上のように図9のステップS40において画像4を生成すると、ステップS28′において画像3から距離画像Bを生成する代わりに画像4から距離画像Bを生成する。ステップS40の処理以後のステップS26、S30、32は、図7の処理と一致しており、画像4から生成された距離画像Bを使用して距離画像Cが求められる。
次に、撮像部PBにおけるイメージセンサSBの画素フィルターに関する他の実施の形態について説明する。上記実施の形態では撮像部PBにより取り込まれた画像3により生成される距離画像Bは、図5においてイメージセンサSBのR′の画素フィルターが配置された受光素子(R′の受光素子)により得られたR′の画素のみによるものである。そのため、距離画像Bの解像度が全画素の1/4となっている。そこで、イメージセンサSBの画素フィルターとして以下のようなフィルター特性を有するものを使用する。それによって、イメージセンサSBの全ての受光素子により得られた画像の全ての画素を使用して距離画像Bを生成することができるようになり、距離画像Bの解像度を向上させることが可能となる。
本実施の形態での撮像部PBのイメージセンサSBの画素フィルター配列を図10に示す。同図においてr、g、bで示す画素フィルターは各々、赤色、緑色、青色の波長域の光を透過する画素フィルターを示している。r、g、bの各画素フィルターの配列を、図4に示したイメージセンサSAのR、G、Bの画素フィルターと比較すると、rの画素フィルターは、Rの画素フィルターに対応し、gの画素フィルターは、Gの画素フィルターに対応し、bの画素フィルターは、Bの画素フィルターに対応している。そして、r、g、bの画素フィルターの配列は、R、G、Bの画素フィルターの配列と一致している。
一方、r、g、bの各画素フィルターのフィルター特性は、イメージセンサSAのR、G、Bの画素フィルターのフィルター特性と異なる。
図11(A)、(B)、(C)にr、g、bの各々の画素フィルターの波長特性を示す(同図(A)、(B)、(C)の順にb、g、rの特性を示している)。これらの図に示すように、r、g、bの各画素フィルターは、イメージセンサSAのR、G、Bの画素フィルターと同じようにそれぞれグラフFR、FG、FBで示す赤色、緑色、青色の各々の波長域において所定波長の光の透過率が最大となる波長ピークを有している。一方、r、g、bの各画素フィルターは、各図のFDで示す赤外の波長域において所定波長の光の透過率が最大となる波長ピークを有し、各画素フィルターは、それぞれ、赤色、緑色、青色の波長域と、赤外の波長域とで2つの波長ピークを有している。これによって、r、g、bの各画素フィルターは、赤外光照射部18から出射される赤外光も透過する特性を有している。
このような画素フィルターを図10のような配列でイメージセンサSBの各受光素子に配置することによって次のような画像が撮像部PBにより得られる。撮像部PBの光路に赤外カットフィルター62を挿入した状態で画像の取込みを行った場合、赤外カットフィルター62によって赤外光が遮断されるため、撮像部PBが撮像部PAと同様の特性となる。従って、撮像部PBにより可視光の画像が取り込まれるため、この画像を上記実施の形態においてステレオマッチング距離画像生成部70での距離画像Aの生成に使用する画像2とすることができる。
一方、撮像部PBの光路から赤外カットフィルター62を退避させた状態で赤外光照射部18から赤外光を被写体に照射して画像の取込みを行うと、イメージセンサSBのr、g、bの画素フィルターが配置された全ての受光素子(r、g、bの受光素子)において、赤外光照射部18から照射された赤外光が受光される。従って、イメージセンサSBの全ての受光素子により得られた画像(r、g、bの画素)を、上記実施の形態においてTOF距離画像生成部72での距離画像Bの生成に使用する画像3とすることができる。
これによってイメージセンサSBの全ての受光素子から得られた画像の全ての画素により距離画像Bを生成することができるため、距離画像Bの解像度を上げることが可能となる。
尚、図9で示したステップS40の処理と同様に画像3の各画素の画素値から可視光の影響を除去する場合には、図9のステップS40の代わりに図12のステップS40′に示すように、rの画素のみでなく、g、bの画素についても、それらの画素値から、画像2の各画素の画素値に規定値Kを乗じた値を減算することによって画像4を求める。
以上、上記実施の形態において、ステレオマッチング距離画像生成部70によって距離画像を生成するために取り込む画像を第1の画像、その画像を結像させる被写体光の波長域を第1の波長域、撮像部PA、PBのイメージセンサSA、SBにおいて第1の画像を取り込む受光素子に配置される画素フィルターを第1の画素フィルターというものとし、TOF距離画像生成部72により距離画像を生成するために取り込む画像を第2の画像、その画像を結像させる被写体光の波長域を第2の波長域、撮像部PBのイメージセンサSBにおいて第2の画像を取り込む受光素子に配置される画素フィルターを第2の画素フィルターというものとする。この場合に、上記実施の形態では、第1の波長域を可視の波長域、第1の画素フィルターを赤色、緑色、青色の波長域の光を透過する画素フィルター、第2の波長域を赤外の波長域とした場合を示している。一方、第2の画素フィルターについては、図5のイメージセンサSBの形態では、第1の画素フィルターでもある赤色の波長域を透過する画素フィルターに赤外の波長域の光を透過する特性をもたせたR′の画素フィルターを第2の画素フィルターとした場合を示し、図9のイメージセンサSBの形態では、第1の画素フィルターの全ての種類(赤色、緑色、青色の画素フィルターの全て)に赤外の波長域の光を透過する特性を持たせたr、g、bの画素フィルターを第2の画素フィルターとした場合を示している。
上記で説明したこれらの形態に対して、他の形態を実施することも可能である。まず、第1の波長域は、可視以外の波長域であってもよいし、可視の波長域内の更に限られた波長域であってもよい。そして、第2の波長域は、第1の波長域以外であればよい。例えば、第1の波長域を赤外の波長域とし、第2の波長域を可視の波長域とすることもできる。また、第1の画素フィルターは、第1の波長域の光を透過する特性を有する画素フィルターであるが、上記実施の形態のように透過する波長域が異なる複数種類の画素フィルターの配列によって、第1の波長域の光を透過させ、それらの画素フィルターが配置された受光素子によって第1の画像を取り込めるようにしてもよいし、第1の波長域の光を透過させる単一種の画素フィルターを第1の画素フィルターとしてもよい。
一方、撮像部PBのイメージセンサSBにおける第2の画素フィルターは、第1の画素フィルターが上記のように複数種類からなる場合には、それらのうちの少なくとも1種類の画素フィルターに第2の波長域の光を透過する特性をもたせることによって第1の画素フィルターを第2の画素フィルターとして共用することができる。第1の画素フィルターが1種類である場合には、その第1の画素フィルターに第2の波長域の光を透過する特性を持たせた画素フィルターが第2の画素フィルターとなる。
また、上記実施の形態では、撮像部PBから上記画像1を取り込む際に、赤外光を遮断する赤外カットフィルター62を光路に挿入するようにしたが、これと同様に、撮像部PBから上記第1の画像を取り込む際に、第2の波長域の光を遮断するフィルターを光路に挿入すれば、第2の画素フィルターとしても共用される第1の画素フィルターが配置された受光素子からも第1の画像を構成する画素を適切に取得することができる。また、上記実施の形態では採用していないが、撮像部PBから上記第2の画像を取り込む際には、第1の波長域の光を遮断するフィルターを光路に挿入するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、2つの撮像部PA、PBから、ステレオマッチング距離画像生成部70により距離画像Aを生成するための2つの第1の画像を取り込み、そのうちの1つの撮像部PBから、TOF距離画像生成部72により距離画像Bを生成するための1つの第2の画像を取り込むようにしたが、2つの撮像部PA、PBに限らず、更に多くの撮像部を設け、それらの撮像部から第1の画像を取り込んで、ステレオマッチング距離画像生成部70により距離画像Aを生成し、そのうちの少なくとも1つの撮像部から第2の画像を取り込み、TOF距離画像生成部72により距離画像Bを生成するようにしてもよい。
次に、撮像部PBにおいて上記赤外カットフィルター62を使用せずに上記画像2及び画像3を取り込めるようにした実施の形態について説明する。図13は、本実施の形態における撮像部PBのイメージセンサSBの画素フィルター配列を示し、図14は、イメージセンサSBの各画素フィルターのフィルター特性を示している。図13に示すように、本実施の形態における画素フィルター配列は、Gで示す画素フィルターとDで示す画素フィルターの2種類によって構成される。Gの画素フィルターは、図4に示した撮像部PAのイメージセンサSAにおけるGの画素フィルターと同じフィルター特性を有し、図14のグラフFGに示すように緑色の波長域の光を透過する特性を有している。また、イメージセンサSBにおけるGの画素フィルターは、撮像部PAのイメージセンサSAにおけるGの画素フィルターが配置される受光素子に対応する位置(イメージセンサ内で同じ位置)の受光素子に配置される。
一方、撮像部PBのイメージセンサSBにおけるDの画素フィルターは、赤外の波長域の光を透過する特性を有し、赤外光照射部18から出射される赤外光を透過する。また、図4に示した撮像部PAのイメージセンサSAにおけるR及びBの画素センサーが配置される受光素子に対応する位置(同じ位置)の受光素子に配置される。
このようなGとDの画素フィルターが配置されたイメージセンサSBを使用した場合において、ステレオマッチング距離画像生成部70が距離画像Aを生成するために撮像部PBから取り込む画像2については、イメージセンサSBのGの画素フィルターが配置された受光素子により得られたGの画素からなる画像を使用する。撮像部PAと撮像部PBの両方のイメージセンサSA、SBにおけるGの受光素子の特性は同等であるため、ステレオマッチング距離画像生成部70での距離算出処理において高い精度が得られる。
一方、TOF距離画像生成部72が距離画像Bを生成するために撮像部PBから取り込む画像3については、イメージセンサSBのDの画素フィルターが配置された受光素子により得られたDの画素からなる画像を使用する。これによれば、画像2と画像3を図3に示した赤外カットフィルター62を使用することなく取り込むことができる。本実施の形態におけるカメラ10の構成を図15に示す。同図において図3の構成と異なるところは、図3において撮像部PBに設けられていた赤外カットフィルター62と赤外カットフィルター62を駆動するフィルター駆動部64が図15では設けられていない点である。その他は図3と同様に構成されている。
本実施の形態のカメラでの距離画像生成の処理手順を図16のフローチャートに示す。同図のフローチャートにおいて、図7のフローチャートと同様の処理ブロックには図7と同一ステップ番号を付している。本実施の形態における図16のフローチャートの処理手順によれば、赤外カットフィルター62の制御が不要となっている点で図7のフローチャートの処理手順と相違している。即ち、図7のフローチャートのステップS12、ステップS20における赤外カットフィルター62の制御が不要となっている。それ以外の処理は基本的に同様の手順で行われる。ただし、ステレオマッチング距離画像生成部70により距離画像Aを生成するために取り込まれる画像1及び画像2として、ステップS18のようにGの画素フィルターが配置された受光素子によって得られたGの画素からなる画像が用いられる。また、TOF距離画像生成部72により距離画像を生成するために取り込まれる画像3として、ステップS24のようにイメージセンサSBのDの画素フィルターが配置された受光素子によって得られたDの画素からなる画像が用いられる。
次に、図13に示した画素フィルター配列のイメージセンサSBを使用して、ステレオマッチング距離画像生成部70による距離画像Aの生成に使用する画像2と、TOF距離画像生成部72による距離画像Bの生成に使用する画像3とを、イメージセンサSBからの1回の読み出しで取得できるようにした実施の形態について説明する。図16のフローチャートの処理手順では画像2と画像3とを時間をずらして撮像部PBのイメージセンサSBから取り込む(読み出す)ため、動体に対しては、時間的なずれが発生しやすい。また、動画撮影等の連続撮影でのフレームレートが低下する要因となる。
そこで、イメージセンサSBからの1回の読み出しによって、Gの画素からなる画像2とDの画素からなる画像3とを取得することができるようにしたイメージセンサSBの構成を図17に示す。同図において、G、Dで示す受光素子は、それぞれGの画素フィルターとDの画素フィルターが配置されている受光素子を示している。各受光素子は、電気的スイッチSWG、SWDにより、一方は垂直転送路VSに、他方はドレインDS側に切替え可能に接続されている。Gの受光素子の電気的スイッチSWGは、G画素シャッター制御用ラインGCに接続され、Dの受光素子の電気的スイッチSWDは、D画素シャッター制御用ラインDCに接続されている。
ここで、各受光素子が電気的スイッチSWG、SWDによって垂直転送路VS側に接続されている間が、露光時間となる。ドレインDS側は受光素子の電荷を排出する機能を有する。尚、電気的スイッチSWG、SWDはMOSスイッチ型又はCCD転送ゲート型などで行なうことができる。更に垂直転送路VSも、CMOSセンサーの如くマトリックス配線により読み出すようにしてもよい。
このようなイメージセンサSBを使用することにより、Gの受光素子で撮像されるGの画素からなる画像2のシャッター時間と、Dの受光素子により撮像されるDの画素からなる画像3のシャッター時間とを個々に制御することができ、イメージセンサSBからの蓄積電荷の1回の読み出し(転送)で画像2と画像3の両画像のデータを取得することができる。また、動画等の連続撮影への適用も可能となる。
上記イメージセンサSBを制御する際の好ましいシャッター制御のタイミングを図18に示す。同図に示すように1フレーム期間において、所定の時間TSを設定し、TSまでの期間でDの受光素子の電気的スイッチSWDを制御するD画素シャッター制御を行い、TSからTFまでの期間でGの受光素子の電気的スイッチSWGを制御するG画素シャッター制御を行う。
TSまでの期間では赤外光照射部18から所定時間幅のパルス状の赤外光を所定周期で繰り返し発光させる。この間のD画素シャッター制御において、その赤外光の発光に同期して電気的スイッチSWDをドレインDS側に接続している状態(ローレベルで示す状態)から垂直転送路VSに接続した状態(ハイレベルで示す状態)に切り替える。そして、所定時間が経過すると、ドレインDS側に接続を切り替える。この制御を赤外光の発光に合わせて繰り返し行う。電気スイッチSWDを垂直転送路VSに接続している期間においてDの受光素子で光電変換された電荷が、垂直転送路VSの転送素子に蓄積される。
一方、TSからTFの期間は赤外光照射部18における赤外光の発光を停止させる。この間のG画素シャッター制御において、電気的スイッチSWGをドレインDS側に接続している状態(ローレベルで示す状態)から垂直転送路VSに接続した状態(ハイレベルで示す状態)に切り替える。そして、適切な露光時間が経過すると、ドレインDS側に接続を切り替える。電気的スイッチSWGを垂直転送路VSに接続している期間においてGの受光素子で光電変換された電荷が垂直転送路VSの転送素子に蓄積される。
以上の1フレーム期間が経過すると、垂直転送路の転送素子に蓄積された電荷が読み出される。これによって、イメージセンサSBからの蓄積電荷の1回の読み出しによって画像2と画像3の両画像のデータを同時に取得することができる。このような制御によれば、赤外光照射部18から照射された赤外光の被写体からの反射光の到達遅延分も考慮してTSを設定することによって、Gの画素からなる画像2を取得する際の不要な赤外光の入射を防ぐことができる。また、画像2と画像3の撮像に対する消費電力の重なりが回避されるため、瞬時的な消費電力の増大によるノイズの発生が防止されており、両画像2、3への電気的なノイズの混入も抑制できる効果がある。
以上、赤外カットフィルター62を不要にした実施の形態において、ステレオマッチング距離画像生成部70によって距離画像を生成するために取り込む画像を第1の画像、その画像を結像させる被写体光の波長域を第1の波長域、撮像部PA、PBのイメージセンサSA、SBにおいて第1の画像を取り込む受光素子に配置される画素フィルターを第1の画素フィルターというものとし、TOF距離画像生成部72により距離画像を生成するために取り込む画像を第2の画像、その画像を結像させる被写体光の波長域を第2の波長域、撮像部PBのイメージセンサSBにおいて第2の画像を取り込む受光素子に配置される画素フィルターを第2の画素フィルターというものとする。この場合に、上記実施の形態では、第1の波長域を緑色の波長域、第1の画素フィルターを緑色の波長域の光を透過する画素フィルター、第2の波長域を赤外の波長域、第2の画素フィルターを赤外の波長域の光を透過する画素フィルターとして場合を示している。
このような実施の形態に対して以下のような形態を実施することも可能である。まず、第1の波長域は、緑色以外の波長域であってもよく、第2の波長域は、第1の波長域以外であればよい。また、第1の画素フィルターは、第1の波長域の光を透過する特性を有する画素フィルターであるが、上記実施の形態のように単一種の画素フィルターではなく、透過する波長域が異なる複数種類の画素フィルターの配列によって、第1の波長域の光を透過させ、それらの画素フィルターが配置された受光素子によって第1の画像を取り込めるようにしてもよいし、上記の実施の形態のように第1の波長域の光を透過させる単一種の画素フィルターを第1の画素フィルターとしてもよい。撮像部PBのイメージセンサSBにおける第2の画素フィルターは、第1の画素フィルターとは別に配置される第2の波長域の光を透過する画素フィルターであって、第1の画素フィルターが配置されていない受光素子に配置すればよい。これによれば、赤外カットフィルター62のような第2の波長域の光を遮断するフィルターを使用することなく、撮像部PBから第1の画像(画像2)と第2の画像(画像3)を取り込むことができる。また、第1の画像と第2の画像を同時に撮像することも可能であるし、上記実施の形態のようにずれして撮像することもできる。
また、上記実施の形態では、2つの撮像部PA、PBから、ステレオマッチング距離画像生成部70により距離画像Aを生成するための2つの第1の画像を取り込み、そのうちの1つの撮像部PBから、TOF距離画像生成部72により距離画像Bを生成するための1つの第2の画像を取り込むようにしたが、2つの撮像部PA、PBに限らず、更に多くの撮像部を設け、それらの撮像部から第1の画像を取り込んで、ステレオマッチング距離画像生成部70により距離画像Aを生成し、そのうちの少なくとも1つの撮像部から第2の画像を取り込み、TOF距離画像生成部72により距離画像Bを生成するようにしてもよい。
以上、上記実施の形態では、1台のカメラに2つの撮像部PA、PBを設け、通常の可視光による画像(画像1)の記録と、距離画像の生成及び記録を可能にした態様について説明したが、撮像部PAと撮像部PBとを分離できるようにしてもよい。
例えば、図19に本形態の構成を示し、図3に示したカメラ10の構成において、同一又は類似の作用の構成部には図1と同一符号を付す。図19において、撮像部PAを備えた主カメラ100と撮像部PBを備えた副カメラ102が機械的及び電気的に着脱可能となっており、主カメラ100と副カメラ102を分離することができるようになっている。
主カメラ100は、その撮像部PAにより、通常の可視光による画像を撮像し、その画像を記録媒体40に記録する機能を備えている。これによって主カメラ100を単体で通常のカメラとして使用することができる。
一方、副カメラ102は、距離画像生成に関する機能を備えている。例えば、図3に示した赤外光照射部18、ステレオマッチング距離画像生成部70、TOF距離画像生成部72等の回路を搭載している。そして、主カメラ100に副カメラ102を所定の装着機構によって機械的に装着した場合に、例えば、主カメラ100の電気コネクタ100Aと副カメラ102の電気コネクタ102Aとが接続され、主カメラ100と副カメラの所要の構成部間において信号伝送できるようになっている。尚、主カメラ100と副カメラ102との間での信号伝送は無線を利用することも可能である。
これによって、主カメラ100と副カメラ102を装着すると、図3に示した構成のカメラ10と同様の処理が行えるようになり、可視光による画像の記録と、距離画像の生成及び記録が可能となる。
以上、上記実施の形態において、ステレオマッチング距離画像生成部70、TOF距離画像生成部72における距離画像生成のための処理内容、手順等は、必ずしも上記実施の形態で示したものである必要ない。
また、上記実施の形態では、距離画像だけでなく通常のカメラとして通常の画像を撮影し記録する機能を備えていたが、距離画像を生成するのみであってもよい。
次に、上記実施の形態における距離画像生成装置が組み込まれたカメラの構成を利用した他の実施の形態について説明する。
本実施の形態では、撮影画角内の所定の主要被写体に着目して、その主要被写体に対して精度良い距離画像を生成することで、ステレオマッチング法における対応点の誤検出の低減と処理時間の短縮を図ることを主目的とし、更に、主要被写体のみの距離画像を記録できるようにすることで、記録媒体等に記録するデータ量の低減を図ると共に、データ伝送時における伝送時間の短縮を可能にする。
本実施の形態におけるカメラの構成は、上記実施の形態において、撮像部PBの赤外カットフィルター62を不要にしたカメラと同様であり、外観構成は図1に示したもの、内部構成は図15に示したもの、撮像部PAのイメージセンサSAにおける画素フィルター配列は図4に示したもの、撮像部PBのイメージセンサSBにおける画素フィルター配列は図13に示したものと一致している。
本実施の形態における距離画像生成の処理を図20のフローチャートに従って説明する。尚、本フローチャートにおいて、上記実施の形態において赤外カットフィルター62を不要にした場合の距離画像生成の処理手順を示した図16のフローチャートと同様の処理ブロックには同一ステップ番号を付している。
本フローチャートにおいて、ステップS10〜ステップS24の画像1、画像2、画像3を取り込むまでの処理は、図16のフローチャートでの処理と同様に行われる。
ステップS24までの処理が終了すると、続いて、TOF距離画像生成部72は、画像3に基づいて距離画像Bを生成する(ステップS28)。図16のフローチャートでは、ステップS28の前のステップS26においてパターンマッチング距離画像生成部70による距離画像Aの生成が行われるが、本実施の形態ではステップS28の前には行われない。
次に、TOF距離画像生成部72は、Z軸方向(図2参照)に対する距離を所定長さ単位の距離区分に分け、距離画像Bの各画素の距離データがどの距離区分に属するかを判定しながら、各距離区分に距離データが属すると判定した画素の数(出現頻度)を算出する。即ち、距離データヒストグラムを作成する(ステップS60)。距離区分は、その区分長を測定精度の最小単位(1cm単位等)としたものであってもよいし、最小単位の所定倍(1cm×5倍=5cm等)としたものであってもよい。尚、本処理は、ステレオマッチング距離画像生成部70で行ってもよく、また、他の処理部で行っても良い。
ここで、図21に示すように撮影画角内の被写界空間に3つの被写体A、B、Cが存在すると仮定した場合、図22のような距離データヒストグラムが距離画像Bから作成される。
図22の距離データヒストグラムにおいて、横軸の距離に対して近距離側から遠距離側に向けて出現頻度の参照点を変更していった場合に、出現頻度が0から増加する距離Z1、Z3、Z5の各々の距離と、出現頻度が減少して0になる距離Z2、Z4、Z6の各々の距離との間に上記被写体A、B、Cが存在している。このように、距離データヒストグラムにおいて、出現頻度が0から増加する距離と、出現頻度が減少して0になる距離の間に、周辺部分と独立した被写体が存在する可能性が高い。
そこで、距離データヒストグラムにおいて出現頻度が0から増加する距離と、出現頻度が減少して0になる距離の間に存在する被写体を主要被写体とし、図20のステップS60において、距離データヒストグラムを作成すると、まず、出現頻度が0から増加する距離を前側分離点として検出すると共に、出現頻度が減少して0になる距離を後側分離点として検出する(図20のステップS60)。これによって、前側分離点と後側分離点に挟まれた距離範囲に主要被写体が存在すると判断される。尚、図21及び図22の例では、距離Z1、Z3、Z5が前側分離点として検出され、距離Z2、Z4、Z6が後側分離点として検出される。また、横軸の距離に対して近距離側から遠距離側に向けて出現頻度の参照点を変更していった場合に、出現頻度が0から増加する距離と、出現頻度が減少して0になる距離を分離点とするのではなく、所定の閾値に対して、出現頻度が閾値未満の値から閾値以上の値となった距離を前側分離点、出現頻度が閾値以上の値から閾値未満の値となった距離を後側分離点とし、主要被写体が存在する距離範囲を検出するようにしてもよい。更に、主要被写体を検出する距離範囲、即ち、前側分離点と後側分離点とを検出する距離範囲を一定範囲に制限するようにしてもよい。
ステップS60において、分離点(前側分離点及び後側分離点)を検出すると、続いて、所定の1つ(例えば最も近い距離)の前側分離点と、それよりも遠距離側にある後側分離点のうちの最も近いものとで挟まれる距離範囲を、第1の距離範囲として、その第1の距離範囲の距離データを有する画素を距離画像Bから検出する。そして、イメージセンサSBにおいて、その検出した画素に対応する位置(同じ位置)のDの受光素子を中心とする3×3の受光素子の範囲を距離算出対象範囲とする。
即ち、図23に示すイメージセンサSBの受光素子において、主要被写体の距離範囲に属するとして検出された距離画像Bの所定画素に対応する受光素子を受光素子100とする。このとき、その受光素子100の上下左右のGの受光素子102、102、102、102を含む縦3×横3の受光素子の範囲を距離算出対象範囲とする。そして、イメージセンサSBから得られる画像のうちの、距離算出対象範囲の受光素子により得られた画素(以下、距離算出対象範囲の画素という)を抽出する。距離算出対象範囲のGの受光素子に対しては画像2から抽出し、距離算出対象範囲のDの受光素子に対しては画像3から抽出する(図20のステップS62)。
距離算出対象範囲の画素を抽出すると、次に、ステレオマッチング距離画像生成部70は、その距離算出対象範囲の各画素と画像1とを用いてステレオマッチング法により第1の距離範囲の主要被写体に対する距離画像A1を求める(ステップS64)。そこで、まず、距離算出対象範囲の各画素と画像1との間での対応点を検出する。尚、距離算出対象範囲の画素は、所定の距離範囲(第1の距離範囲)に属する物点に対する像点であることが分かっているため、それらの画素の対応点として検出する画像1の画素範囲を一定範囲内に限定することが可能であり、高速に対応点を見つけることができる。但し、画像1の全体から対応点を検出してもよい。対応点を検出すると、上記のように対応点の視差を求めて各画素を像点とする物点までの距離を三角測量の原理により求め、求めた距離のデータを各画素の画素値とする距離画像A1を生成する。
ステップS62及びステップS64において、第1の距離範囲に対して行った処理を、所定の前側分離点と後側分離点とで挟まれる他の距離範囲(第2〜第nの距離範囲)に対しても行い、各々の距離範囲の主要被写体に対する距離画像A2〜Anを生成する(ステップS66)。
次に、記録媒体42に記録する距離画像の種類に関して、ユーザによって設定されている状態を確認する(ステップS68)。記録する距離画像の種類としてはフル画像と部分画像の2種類があり、ユーザは、距離画像として記録する距離画像の種類をそれらのうちの所望の種類に設定することができるようになっている。
フル画像の記録が設定されている状態の場合、撮像部PAにより取り込まれる画像1の各画素のうち、距離画像A1〜Anのいずれかによって距離データが生成されている画素は、その距離データを画素値とする。一方、それ以外の画素については、距離画像Bの距離データで補間できる場合には、その距離データを画素値とする。これによって、距離画像Cを生成する(ステップS70)。そして、図16のフローチャートと同様にその距離画像Cを画像1と共に記録媒体42に記録する(ステップS32)。
ステップS68において、部分画像の記録が設定されている場状態の場合、距離画像A1〜Anを統合して距離画像Cを生成する。即ち、撮像部PAにより取り込まれる画像1の各画素のうち、距離画像A1〜Anのいずれかによって距離データが生成されている画素は、その距離データを画素値とする。それ以外の画素には距離データを割り当てることなく、距離画像A1〜Anの距離データによって画素値が得られた画素のみからなる距離画像を距離画像Cとして生成する(ステップS72)。そして、その距離画像Cを画像1と共に記録媒体42に記録する(ステップS32)。
尚、記録媒体42に記録するデータにはデータ圧縮を施しても良い。また、カメラ本体での距離画像生成に時間が係る場合には、画像1、2、3を全て記録媒体42に記録しておき、後処理としてカメラ本体や他の機器(PC等)で距離画像を生成するようにしてもよい。
次に、上記距離データヒストグラムから主要被写体の距離範囲(分離点)を検出する際に閾値(0以外の閾値)を使用する場合の処理手順について図24のフローチャートを用いて説明する。尚、本実施の形態において、図20に示したステップS10〜ステップS24の画像1、画像2、画像3を取り込むまでの処理が一致しているため、図24のフローチャートでは、ステップS10〜ステップS24の処理を省略し、図20に示したステップS28以降の処理のみが示されている。
ステップS24までの処理が終了すると、続いて、TOF距離画像生成部72は、画像3に基づいて距離画像Bを生成する(ステップS28)。
次に、TOF距離画像生成部72は、上記実施の形態と同様に距離データヒストグラムを作成する(ステップS60′)。
続いて、所定の閾値L1を設定し、距離データヒストグラムにおいて出現頻度が閾値L1未満の値から閾値L1以上になる距離を前側分離点とし、出現頻度が閾値L1以上の値から閾値L1未満になる距離を後側分離点として、近距離側から遠距離側に順に検索する。検出した前側分離点をzu1〜zun、後側分離点をzd1〜zdnとする(ステップS80)。
ここで、図21に示したように撮影画角内の被写界空間に3つの被写体A、B、Cが存在すると仮定した場合に、図22と同様に図25のような距離データヒストグラムが得られたとする。このとき、閾値L1を設定して、上記のように分離点を検出すると、前側分離点は距離zu1〜zu3で検出され、後側分離点は距離zd1〜zd3で検出される。
次に、検出した前側分離点zu1〜zunと後側分離点zd1〜zdnとから、主要被写体が存在する距離範囲zu1〜zd1、zu2〜zdn、…、zd1〜zdnを設定する(ステップS82)。即ち、所定の1つの前側分離点と、その前側分離点よりも遠距離側にある後側分離点のうちの最も近い後側分離点とで挟まれる距離範囲を主要被写体が存在する距離範囲として設定する。図25の距離データヒストグラムでは、距離範囲zu1〜zd1、zu2〜zd2、zun〜zdnの各々が主要被写体A、B、Cが存在する距離範囲として設定される。
続いて、主要被写体が存在する各距離範囲ごとに、上記実施の形態と同様に、その距離範囲に距離データを有する画素を距離画像Bから検出する。そして、上記実施の形態と同様に、その検出した各画素に対応する距離算出対象範囲の画素を画素2及び画像3から抽出する(ステップS84)。
次に、各距離範囲ごとに、距離算出対象範囲として抽出された各画素と、画像1とを用いてステレオマッチング法により各距離範囲の主要被写体に対する距離画像A1〜Anを生成する(ステップS86)。
続いて、距離画像A1〜Anのいずれかによって距離データが生成されている画素は、その距離データを画素値とする。一方、それ以外の画素については、距離画像Bの距離データで補間できる場合には、その距離データを画素値とする。これによって、距離画像Cを生成する(ステップS88)。そして、図20のフローチャートのステップS32と同様にその距離画像Cを画像1と共に記録媒体42に記録する。
尚、本フローチャートでは、距離画像Cとしてフル画像のみを記録する場合を示したが、図20のフローチャートと同様に、フル画像と部分画像のいずれの種類の距離画像Cを生成し、記録するかをユーザの選択に従って行うようにしてもよい。
続いて、上記図24のフローチャートで示した実施の形態における閾値L1を適切な値に設定することによって主要被写体の距離範囲の検出精度を向上させる方法について説明する。
図26は、適切な閾値を設定するめの処理手順を示したフローチャートである。尚、本実施の形態において、図20に示したステップS10〜ステップS24の画像1、画像2、画像3を取り込むまでの処理が一致しているため、図26のフローチャートでは、ステップS10〜ステップS24の処理を省略し、図20に示したステップS28以降の処理のみが示されている。
ステップS24までの処理が終了すると、続いて、TOF距離画像生成部72は、画像3に基づいて距離画像Bを生成する(ステップS28)。
次に、TOF距離画像生成部72は、上記実施の形態と同様に距離データヒストグラムを作成する(ステップS60′)。
続いて、距離データヒストグラムの出現頻度に対する複数の閾値L1〜Lnを所定既定可変値Sを想定して決定する(ステップS100)。
ここで、図21に示したように撮影画角内の被写界空間に3つの被写体A、B、Cが存在すると仮定した場合に、図22と同様に図27のような距離データヒストグラムが得られたとする。このとき、所定の最小閾値L1に対して所定の出現頻度数(既定可変値)Sを順次加算して得られた値を順に閾値L2、L3、…Lnとして求める。最大閾値Lnは、例えば、距離データヒストグラムの最大出現頻度を初めて超えたときの閾値とする。これによって、閾値L1〜Lnを決定する。同図では、n=5のときの閾値L5が距離データヒストグラムの最大出現頻度を初めて超えたためその閾値L5が最大閾値となり、閾値L1から閾値L5までの閾値が決定される。
ステップS100において閾値L1〜Lnを決定すると、まず、閾値L1を設定し、距離データヒストグラムにおいて出現頻度が閾値L1未満の値から閾値L1以上になる距離を前側分離点とし、出現頻度が閾値L1以上の値から閾値L1未満になる距離を後側分離点として、これらの分離点を近距離側から遠距離側に順に検索する。検出した前側分離点をzu1〜zun、後側分離点をzd1〜zdnとする。尚、このとき分離点を検索する距離範囲を主要被写体として存在すると考えられる一定範囲に制限してもよい。そして、所定の1つの前側分離点と、その前側分離点よりも遠距離側にある後側分離点のうちの最も近い後側分離点とで挟まれる距離範囲zwの数(距離範囲数)をカウントする。閾値L1のときのその距離範囲数をL1zwとする(ステップS102)。
図27の距離データヒストグラムでは、2つの前側分離点zu1、zu2と、1つの後側分離点zd1が検出され、前側分離点zu1に対しては後側分離点zd1がその前側分離点zu1とで距離範囲zw1を挟む後側分離点として存在する。一方、前側分離点zu2に対してはその前側分離点zu1とで距離範囲を挟む後側分離点が存在しない。従って、閾値L1のときに前側分離点と後側分離点とで挟まれる距離範囲数L1zwは1となる。
ステップS102と同様の処理により他の閾値L2〜Lnの各々に対しても前側分離点と後側分離点の検出を行い、前側分離点と後側分離点とで挟まれる距離範囲数L2zw、L3zw、…、Lnzwを求める(ステップS104)。図27の距離データヒストグラムで示した例では、閾値L2のときには前側分離点と後側分離点とで挟まれる距離範囲がzw1、zw2、zw3となるためその距離範囲数L2zwが3となる。閾値L3のときも距離範囲数L3zwが3となる。閾値L4のときには距離範囲数L4zwが1となり、閾値L5のときには距離範囲数L5zwが0となる。
次に、ステップS102、104で求めた距離範囲数L1zw〜Lnzwのうちの最大値を求める(ステップS106)。図27の距離データヒストグラムで示した例では最大値が3となる。
続いて、距離範囲数L1zw〜Lnzwのうちで、距離範囲数の最大値と等しい値となるものが、2つ以上存在し、且つ、それらが得られたときの閾値が連続した(隣接した)レベルか否かを判定する(ステップS108)。図27の距離データヒストグラムで示した例では、距離範囲数の最大値3に等しい距離範囲数がL2zwとL3zwとで2つ存在し、かつ、それらが得られたときの閾値L2、L3が連続したレベルであるため、ステップS108においてYESと判定される。
このようにステップS108においてYESと判定すると、続いて、距離範囲数の最大値が得られたときの閾値のうち、最も低い(最小)の閾値を主要被写体を検出するための最適な閾値として設定する(ステップS110)。図27の距離データヒストグラムで示した例では閾値L2が主要被写体を検出するための最適な閾値として設定される。
主要被写体を検出するための最適な閾値を設定すると、図24のフローチャートで説明したステップS80及びステップS82と同様にその閾値を使用して主要被写体の距離範囲を求める(ステップS112)。以後の処理は、図24のフローチャートで説明したステップS86以降の処理と同様に行い、距離画像Cを生成し、記録媒体42に記録する。
一方、ステップS108において、NOと判定した場合には、閾値L1〜Lnを決定する際の既定可変値Sを規定量αで減算した値S−αを新たな規定可変値Sとし、その新たな規定可変値Sにより閾値L1〜Lnを決定する(ステップS110)。そして、ステップS108においてYESと判定されるまで、ステップS102からの処理を繰り返す。
次に、上記距離データヒストグラムから主要被写体の距離範囲(分離点)の検出に関する他の実施の形態について図28のフローチャートを用いて説明する。尚、本実施の形態において、図24のフローチャートで示した実施の形態のステップS80以外の処理は同様に行われるため、図28では、ステップS80に代わるステップS150、ステップS152と、図24と同様に行われるステップS28及びステップS60′の処理のみが示されている。
本実施の形態は、主要被写体が複雑な形状をしている場合を考慮したもので、同一物体であるが、何かの陰に隠れて見えない箇所がある主要被写体、即ち、オクルージョンが発生した主要被写体の距離範囲を適切に検出できるようにしたものである。
本実施の形態において、図24のフローチャートで示した実施の形態と同様に、各撮像部PA、PBにより画像1、画像2、画像3を取り込みが終了し、画像3より距離画像Bを生成すると共に(ステップS28)、距離画像Bにより距離データヒストグラムを作成すると(ステップS60′)、図28のフローチャートのステップS100に示すように、距離データヒストグラムのピーク検出が行われる。このピーク検出は、着目している距離に対して前後の1ステップ分の距離を含む3ステップ分の距離に対する出現頻度のうち最大の値(ピーク検出値)となるものを、着目している距離の出現頻度とするフィルター処理である。
図29はオクルージョンが生じている場合の距離データヒストグラムを例示したものである。同図に示すように、特定の距離において出現頻度が0となる部分が発生する。そこで、距離データヒストグラムに上記フィルター処理を施して、被写体の連続性を維持する。即ち、上記のように横軸の距離に対して所定距離を1ステップとした3ステップ分の3つの距離における出現頻度のピークを検出し、そのピークの値(ピーク検出値)を3ステップ分の距離の中央の距離に対する出現頻度の値とする。これによって、距離データヒストグラムは、図29の破線で示すようにグラフに変換される。
次に、ステップS152において、距離データヒストグラムに対して所定の閾値L1を設定し、ステップS150で検出したピーク検出値が閾値L1未満の値から閾値L1以上の値に変化する距離を前側分離点とし、ピーク検出値が閾値L1以上の値から閾値L1未満の値に変化する距離を後側分離点として、近距離側から遠距離側に順に検索する。これによって主要被写体の距離範囲が検出される。そして、検出した前側分離点をzu1〜zun、後側分離点をzd1〜zdnとする(ステップS152)。以後の処理は、図24のフローチャートで示したステップS82からの処理と同様に行われる。
尚、ステップS150におけるフィルター処理は、上記の場合に限らず、移動平均等の平滑化するフィルター処理であればよい。また、フィルター処理を行うステップ間隔を適宜変更して処理を行うことでより精度を向上させることができる。
以上、図20以降で示した実施の形態において、それ以前に説明した画像1、2、3の取込みや、距離画像A、Bの生成等に関す各種実施の形態の内容を同様に適用できる。
また、全ての実施の形態において、距離画像C等の記録媒体42に記録したデータは、記録媒体42に記録すると共に、又は、記録媒体42に記録することなく、外部の機器に送出するようにしてもよい。また、記録媒体42や外部の機器に距離画像Cを生成するための元画像(画像1〜3)、又は、所定の処理によって得られた中間画像を、記録媒体42に記録し、又は、外部の機器に送出し、距離画像Cの生成は、撮影後の後処理として行うカメラ内又は外部の機器において行うようにしてもよい。
10…カメラ、12…本体、14…シャッターボタン、18…赤外光照射部、30…カメラ制御部、34…メモリー部、36…画像処理部、42…記録媒体、60…電気光学シャッター、62…赤外カットフィルター、70…ステレオマッチング距離画像生成部、72…TOF距離画像生成部、PA、PB…撮像部、LA、LB…撮影レンズ、SA、SB…イメージセンサ