(実施形態1)
本実施形態のランプソケット装置1は、図2に示すように、バルブ2の各端部にそれぞれ固着された口金3の端面からそれぞれバルブ2の長手方向に一対ずつ突出してなる給電用のランプピン4(図9(a)参照)を有したランプ5を、照明器具6の器具本体7に取付可能とするものである。
本実施形態では、直管形のランプ5(ここでは直管形蛍光ランプ)に対応した照明器具6に本発明のランプソケット装置1を適用する例を示す。この照明器具6は、矩形板状の器具本体7を備え、器具本体7の一表面側における長手方向の各端部それぞれにランプソケット装置1が配設されている。
ランプソケット装置1は、図3および図4に示すように、ランプ5の各口金3から突出する一対のランプピン4それぞれに接触することで電気的に接続される一対の接触子8を有したソケット本体9と、器具本体7に対してソケット本体9を支持するソケット取付台となる支持部10とを備える。なお、以下の説明では、説明の簡略化のために図3の上下方向を上下方向として説明するが、この方向はランプソケット装置1の取付方向を規定するものではない。また、このようにソケット本体9と支持部10とを備えたランプソケット装置1は、単にランプソケットと呼ばれることもある。
ソケット本体9は、前面が開口した有底円筒状の内ボディ11と、内ボディ11に収納される一対の導電板12と、内ボディ11との間に一対の導電板12を収納する形で内ボディ11の前面側に取着される内カバー13とを有する。内ボディ11と内カバー13は、いずれも絶縁性を有する樹脂材料からなる合成樹脂成形品である。
一対の導電板12は、対称形状に形成されたものであって、例えば、弾性を有する金属材料からなる板材を折曲してなり、前記接触子8と、ランプ5への給電用の電線14が電気的に接続されるとともに電線14を機械的に保持する端子部15と、接触子8および端子部15を連続一体に連結する連結片16とを備えている。端子部15は、連結片16に連続し電線14の挿入方向に沿って配置された接続片15aと、接続片15aにおける連結片16とは反対側の端縁から電線14の挿入方向に直交するように立設された立設片15bと、立設片15bの先端縁から接続片15aに向けて延設された鎖錠片15cとを具備し、立設片15bに設けた芯線挿入孔15dを通った電線14の芯線14aを鎖錠片15cの先端縁と接続片15aとの間に挟持することにより、電線14の機械的保持と電気的接続とを同時に行う所謂速結端子である。各導電板12は、接触子8を前面側、端子部15の芯線挿入孔15dを後面側に向けた状態で、内ボディ11に収納される。ここで、内ボディ11の後壁において各端子板12の芯線挿入孔15dそれぞれに対応する部位には、ソケット本体9内に電線14を挿入するための引出孔17が貫設され、引出孔17からソケット本体9内に電線14を挿入することにより、電線14の芯線14aを端子部15に接続できるようになっている。
連結片16は下方に凸となるコ字状に形成され、内ボディ11の内周面の下部に設けた導電板固定部18に挿入される形で内ボディ11に対して位置決めされる。連結片16から上方には接触子8が延出されている。
接触子8は、上端部が互いに離れる向きに折り返されて引掛部8aを成し、この引掛部8aを後述する内カバー13の一部に引掛けることによりソケット本体9内に位置決めされる。また、接触子8の長手方向の略中央部には互いに離れる向きに凸となるピン保持部8bが形成されている。
上述のように構成された一対の導電板12は、接触子8を互いに対向させた状態で内ボディ11に取り付けられる。このとき、接触子8のピン保持部8b間の距離は、一対のランプピン4をピン保持部8b間に配置した際に、各ランプピン4が各ピン保持部8bそれぞれに接触する距離となるように設定される。
この構成により、一対のランプピン4を一対の接触子8の間に挿入し両ピン保持部8bの間に挟持させることにより、各ランプピン4が各接触子8に電気的に接続される。
内ボディ11は、接触子8および連結片16を収納する円筒状の太筒部19と、端子部15を収納する円筒状の細筒部20とが、太筒部19を前方、細筒部20を後方とするとともに互いの中心軸を一致させるように前後方向に連結されてなる。太筒部19は、細筒部20よりも直径(内径)が大きく設定されている。太筒部19の上部には、内カバー13に形成された後述のピン挿入孔21に連通する導入口22が前方に開放される形で形成されている。また、内ボディ11は、太筒部19の外周面のうち前記導入口22の側方から太筒部19の半径方向に突出する操作レバー23を有している。
内カバー13は、略円形状のピン挿入孔21が前壁の中央部に貫設され、前壁の周部から後方に内周壁24が立設された構成を有する。内カバー13の前壁にはピン挿入孔21を上方に開放する切欠25が設けられており、この切欠25を通してピン挿入孔21は前記導入口22に連通する。ピン挿入孔21の直径は口金3から突出する一対のランプピン4の間隔よりも大きく設定されており、一対のランプピン4がピン挿入孔21に挿入された状態で内カバー13を口金3に対して相対的に回転可能としてある。内カバー13は、内周壁24を内ボディ11の太筒部19内に挿入する形で内ボディ11に組み合わされ、太筒部19の内周面に突設された係合爪26を、内周壁24に貫設した係合孔27の縁部に係合させることにより内ボディ11と結合される。内ボディ11と内カバー13とを結合した状態では、内カバー13によって内ボディ11からの導電板12の抜け止めが為される。さらに、内周壁24の上部には切欠25に連通する開口部28が形成されており、この開口部28の周縁に上述した接触子8の引掛部8aが引掛けられる。
一方、支持部10は、前面が開口した有底円筒状の外ボディ29と、外ボディ29との間にソケット本体9を収納する形で外ボディ29の前面側に取着される外カバー30とを有する。外ボディ29と外カバー30はいずれも絶縁性を有する樹脂材料からなる合成樹脂成形品である。さらに、外ボディ29は内ボディ11に用いられている樹脂材料に対して摺動性が良好な樹脂材料が用いられる。
外ボディ29は、ソケット本体9の太筒部19を収納する円筒状の摺動部31と、細筒部20を収納する円筒状の挿通部32とが、摺動部31を前方、挿通部32を後方とするとともに互いの中心軸を一致させるように前後方向に連結されてなる。摺動部31は、挿通部32よりも直径(内径)が大きく設定されている。摺動部31の内径はソケット本体9の太筒部19の外径と同等に設定されており、そのため、ソケット本体9を外ボディ29に取り付けた際には、ソケット本体9の内ボディ11の中心軸(太筒部19と細筒部20の中心軸)と、外ボディ29の中心軸(摺動部31の中心軸)とが一致する。挿通部32の後壁に貫設された露出孔33の内径はソケット本体9の細筒部20の外径と同等に設定されている。そのため、ソケット本体9は、太筒部19の外周面が摺動部31の内周面に当接するとともに、細筒部20の後部が露出孔33を通して後方に突出した形で外ボディ29に嵌合されるから、前後方向を回転軸方向として回転自在に外ボディ29に支持される。つまり、ソケット本体9は、外ボディ29に枢支される。
ところで、摺動部31には、操作レバー23が挿通される操作窓34が開口している。操作窓34は、摺動部31の周方向に操作レバー23を移動させることが可能な大きさに形成されている。なお、挿通部32の外周面は後方ほど外径を小さくするテーパ面を成している。
外カバー30は、上下方向に沿って延長されており上方に開放された案内スリット35が前壁に形成され、前壁の周部から後方に外周壁36が立設されている。案内スリット35は、一対のランプピン4が挿入されるように、幅方向(図1(a)における左右方向)の寸法が各ランプピン4の直径よりもやや大きく設定され、長手方向(図1(a)における上下方向)の寸法が一対のランプピン4の間隔よりも大きく設定されている。外カバー30は、外ボディ29の摺動部31を外周壁36で囲む形で外ボディ29に組み合わされ、外ボディ29の外周面に突設された組立爪37を、外周壁36に貫設した組立孔38の縁部に係合させることにより外ボディ29と結合される。外周壁36は、外ボディ29と外カバー30とを結合した状態で外ボディ29の操作窓34に対応する部位に開口する開放部39を有しており、この開放部39は案内スリット35に連通する。なお、外周壁36の周方向における開放部39の寸法は、上述した外ボディ29の操作窓34よりも大きく設定されている。
さらに、外カバー30の前壁背面における略中央部には、中心線が外ボディ29の中心軸と一致するように後方に突出する軸突起40が設けられている。軸突起40は、外ボディ29と外カバー30との間にソケット本体9を収納した状態では、ソケット本体9のピン挿入孔21を通してソケット本体9に挿入されて、一対の接触子8により狭持される。ところで、軸突起40には、案内スリット35を通るランプピン4との干渉を避けるための逃げ凹部40aが形成されている。また、逃げ40aの幅方向の寸法は案内スリット35の幅方向の寸法と同じ大きさに設定され、深さ寸法は、口金3からのランプピン4の突出寸法よりも大きく設定されている。したがって、ランプピン4を案内スリット35内で移動させる際に、ランプピン4が逃げ凹部40aを通過することにより、ランプピン4の移動に際して軸突起40が邪魔になることがない。
本実施形態のランプソケット装置1は、支持部10内にソケット本体9を収納してなる。ところで、ランプソケット装置1の支持部10の外周面の下部には、ランプソケット装置1を器具本体7に固定する際に用いられる固定部41が設けられており、この固定部41を、例えばねじ止めなどの方法により器具本体7に固定することにより、ランプソケット装置1が器具本体7に固定される。
図2に示す照明器具6では、一対のランプソケット装置1は、案内スリット35が形成された支持部10の前面を互いに対向させる形で、器具本体7に固定されている。一方、ランプ5は、図2に示すように、各口金3の端面それぞれが各ランプソケット装置1の支持部10の前面に対向するようにして(各口金3の一対のランプピン2を支持部10の案内スリット35に挿入して)、一対のランプソケット装置1間に位置した状態で、器具本体7に取り付けられる。つまり、この位置がランプ5の器具本体7に対する定位置(取付位置)となり、ランプ5を前記定位置に位置させた状態では、支持部10の前面(外カバー30の前面)がランプ5の口金3との対向面となり、ランプピン4の突出方向は、ランプソケット装置1の前後方向に沿った方向となる。
次に、本実施形態のランプソケット装置1の動作について説明する。
上述した構成により、ソケット本体9は、前後方向を回転軸方向として回転自在に支持部10に支持される。すなわち、ソケット本体9は、ランプ5を前記定位置に位置させた状態におけるランプピン4の突出方向に直交する面(以下、「回転面」と称する)内で、支持部10に回転自在に支持される。ここで、ソケット本体9の回転範囲は、支持部10の外ボディ29に設けた操作窓34の大きさによって規制される。つまり、ソケット本体9に設けた操作レバー23は操作窓34に挿通されているから、支持部10における操作窓34の開口周縁が操作レバー23に当接することで操作レバー23の移動範囲を規制する規制手段として機能し、ソケット本体9の回転方向における操作窓34の寸法によってソケット本体9の回転範囲が決定する。
ここでは、ソケット本体9の回転範囲が、図1(a)に示すように導入口22を上方に向ける位置(以下、「自由位置」という)と、自由位置からソケット本体9を図1(a)の時計回りに90度回転させた図1(b)に示す位置(以下、「拘束位置」という)との間に規制されるように操作窓34が形成されている。なお、図1では操作レバー23の移動範囲、つまりソケット本体9の回転範囲をθ1で示している。
ソケット本体9が図1(a)の自由位置にある状態では、支持部10の案内スリット35と、ソケット本体9の導入口22とが前後方向に重なっており、ソケット本体9のピン挿入孔21が上方に開放されている。また、図5(a)に示すように、一対の接触子8は案内スリット35の幅方向(回転面内で案内スリット35の長手方向に交わる方向)に沿って一対の接触子8が対向している。
そのため、ソケット本体9を自由位置に位置させた状態では、案内スリット35の長手方向における一対のランプピン4の移動が規制されないから、一対のランプピン4を案内スリット35の長手方向に沿って自由に移動させることができ、開放部39および導入口22を通してランプピン4をピン挿入孔21に挿抜自在となっている。すなわち、ランプ5の着脱が自由に行えるようになっている。なお、案内スリット35の幅方向の寸法は、ランプピン4の直径よりもやや大きく設定されているため、ピン挿入孔21に挿入された一対のランプピン4は、案内スリット35の長手方向に並ぶ形になる。
このように一対のランプピン4をピン挿入孔21に挿入した際には、一対のランプピン4は、ソケット本体9内で一対の接触子8の間に配置されることになるものの、上述したように一対の接触子8が案内スリット35の幅方向に沿って対向しているから、各ランプピン4と接触子8とは非接触状態にあり、電気的に接続されないようになっている。
一方、ソケット本体9が拘束位置にある状態では、図5(a)に示すように、案内スリット35の幅方向に沿った方向で対向していた一対の接触子8が、ソケット本体9の回転に伴って図5(b)に示すように矢印A方向(時計回り方向)に回転して、図5(c)に示すように、案内スリット35の長手方向に沿った方向で対向するようになる。
そのため、一対のランプピン4を案内スリット35に挿入してランプ5を前記定位置に位置させた状態で、ソケット本体9を拘束位置に位置させた際には、図5(c)に示すように、一対の接触子8が一対のランプピン4にそれぞれ接触して案内スリット35の長手方向における一対のランプピン4の移動が規制され、一対のランプピン4を案内スリット35の長手方向に沿って自由に移動させることができない、つまりランプ5を前記定位置から移動させることができない(ランプ5をランプソケット装置1から外すことができない)ようになっている。また、この状態では、一対の接触子8が一対のランプピン4にそれぞれ接触しているため、一対の接触子8と一対のランプピン4とがそれぞれ電気的に接続される。このとき、接触子8は、案内スリット35に対応する位置に一対のピン保持部8bが互いに対向する形で位置し、一対のランプピン4は一対のピン保持部8bの間に挟持される。なお、接触子8は弾性を有する金属材料からなる板材を用いて形成された導電板12の一部であるから、ランプピン4と接触子8との間の接圧が確保される。
ソケット本体9を自由位置から拘束位置に回転させた際には、接触子8がランプピン4に接触していない位置から、ランプピン4に接触する位置に移動されるため、ランプ5には、接触子8によりソケット本体9と共に回転するような力が加えられる。しかしながら、本実施形態では、ランプピン4が支持部10の案内スリット35に挿通されているので、ランプピン4が案内スリット35の幅方向の内側面に当接することで、ランプ5の回転が規制され、ランプ5がソケット本体9と共に回転しないようになっている。
また、ソケット本体9が拘束位置に位置した状態では、図1(b)に示すように支持部10の案内スリット35と、ソケット本体9の導入口22とが前後方向に重ならなくなって、ピン挿入孔21に連通された導入口22は支持部10によって閉塞されている。したがって、この状態では、開放部39および導入口22を通してランプピン4をピン挿入孔21に挿抜することができないから、ソケット本体9を拘束位置に位置させた際には、ランプ5の着脱が自由に行えないようになっている。
したがって、本実施形態のランプソケット装置1では、ソケット本体9が自由位置に位置した状態では、案内スリット35の幅方向に沿って一対の接触子8が対向して、案内スリット35の長手方向における一対のランプピン4の移動を規制しないので、一対のランプピン4を開放部39から案内スリット35に挿入してランプ5を器具本体7に対して定位置に位置させることができる。また、ソケット本体9が拘束位置に位置した状態では、案内スリット35の長手方向に沿って一対の接触子8が対向することによって、前記定位置に位置させたランプ5の一対のランプピン4それぞれに一対の接触子8が接触して、案内スリット35の長手方向における一対のランプピン4の移動を規制するので、ランプ5を前記定位置に固定できる。
そのため、本実施形態のランプソケット装置1によれば、ソケット本体9を自由位置と拘束位置との間で回転させることによってランプ5の着脱が行え、その結果、ランプ5を着脱する際にランプ5自体を回転しなくて済み、口金3の中心軸が同一直線上にないランプ5でも取り付けることができる。
また、ランプ5を握持して回転させるためのスペースがランプ5の周囲に確保されていない場合でも、ランプ5の着脱作業を容易に行うことができる。さらに、ランプ5自身を移動させることによりランプ5を着脱する図13に示すような従来構成では、ランプ5が大型になるとランプ5の取り扱いが困難になりランプ5着脱の作業性が悪くなるが、本実施形態のランプソケット装置1では、ランプ5の大きさにかかわらずソケット本体9を移動させるだけでランプ5の着脱を容易に行うことができるから、ランプ5の着脱の作業性が悪化することがない。
加えて、ランプ5の着脱時にはソケット本体9を回転させればよいので、ランプ5の着脱時にソケット本体9が移動する領域が比較的狭くなり、ソケット本体9の周囲においてソケット本体9が通過する領域に広いスペースを確保しなくて済むから、照明器具6の器具本体7を小型化できる。
さらに、本実施形態のランプソケット装置1によれば、ソケット本体9の回転操作を操作レバー23により行えるから、ランプ5の着脱作業が容易に行える。
ここで、本実施形態における操作レバー23は、図7(a),(b)に示すように、ソケット本体9の内ボディ11に突設された突出部23aと、突出部23aの先部(先端部)に形成された摘み部23bとで構成されている。
突出部23aは、ソケット本体9が自由位置に位置した状態で、案内スリット35に対してソケット本体9を拘束位置から自由位置に位置させる際の回転方向(図7(a)における反時計回り方向)側に位置するように内ボディ11の導入口22の縁部に突設されている。また、突出部23aは、ソケット本体9が自由位置に位置した状態において案内スリット35側となる突出部23aの側面(図7(a)における右側面)が、導入口22の内周面と連続するように形成されている。
摘み部23bは、回転面内で突出部23aの突出方向(内ボディ11の径方向)と交差する方向(本実施形態では、ソケット本体9を拘束位置から自由位置に位置させる際の回転方向側)に突出する形で突出部23aの先部に形成されている。また、摘み部23bは、図7(a)に示すように、ランプソケット装置1を前面側から見た外形形状が、ソケット本体9を拘束位置から自由位置に位置させる際の回転方向を示す矢印形状に形成されている。さらに、摘み部23bは、ソケット本体9を自由位置に位置させた状態においては、ソケット本体9と支持部10の両方との隙間が、ランプピン4の直径より小さくなるように形成されている。
このように本実施形態では、操作レバー23に摘み部23bを設けているので、操作レバー23を用いてソケット本体9を回転操作する際に操作レバー23と使用者の手との接触面積が増えて操作レバー23の操作が行いやすくなるから、ランプ5の着脱作業がさらに容易に行えるようになる。特に、摘み部23bを、突出部23aから回転面内で突出部23aの突出方向と交差する方向に突出しているので、摘み部23bが突出部23aの幅方向に突出している場合とは異なり、摘み部23bを用いてソケット本体9を回転させる際に、摘み部23bを突出部23aの突出方向を回転軸方向として回転させるような力が生じず、使用者が摘み部23bにかけた力がソケット本体9に無駄なく伝わるから、ソケット本体9の回転操作が行い易くなる。
また、操作レバー23が案内スリット35の近傍に位置しているから、操作レバー23の操作が行い易くなり、しかも、ソケット本体9が自由位置に位置した状態で、案内スリット35に対してソケット本体9を拘束位置から自由位置に位置させる際の回転方向側に突出部23aが位置するようにしているので、案内スリット35内にランプピン4を挿入する際に操作レバー23が邪魔になってしまうことがないから、ランプ5の着脱作業をさらに容易に行える。
加えて、突出部23aの前記側面が導入口22の内周面と連続しているから、導入口22を通してランプピン4をピン挿入孔21に挿抜する際に、ランプピン4を突出部23aの前記側面に沿わせて移動させれば、突出部23aの前記側面をランプピン4の挿抜時のガイドとして利用できるから、ランプ5の着脱作業をさらに容易に行えるようになる。
さらに、摘み部23bの外形形状を矢印形状としたので、操作レバー23の操作方向を使用者に分かり易く表示できる。また、ソケット本体9を自由位置に位置させた状態では、摘み部23aとソケット本体9および支持部10の両方との隙間が、ランプピン4の直径より小さくなるようにしているので、ランプ5をランプソケット装置1に取り付ける際に、摘み部23bとソケット本体9との隙間、または摘み部23bと支持部10との隙間にランプピン4が挟まることがないから、ランプピン4が操作レバー23に引っ掛かってランプ5のバルブ2に無理な負荷がかかり、ランプ5が破損してしまうことを防止できる。
ところで、本実施形態における操作レバー23には、図7(a),(b)に示すように、突出部23aと摘み部23bとの境界部分を示す直線状の溝部23cが形成されている。このような溝部23cを形成すれば、図8(a),(b)に示すように、溝部23cを有しておらず、摘み部23bの幅方向(ソケット本体9の前後方向に沿った方向)の側面が突出部23aと連続一体となっているような場合に比べて、摘み部23bの外形形状を明確にして摘み部23bの外形形状が矢印形状であることを強調できる。操作レバー23の操作方向を使用者にさらに分かり易く示すことができる。また、操作レバー23を形成するにあたってスライドコア(図示せず)を利用する場合には、スライドコアのスライド方向を増やさずに済むから、製造コストの低減が図れる。
なお、ソケット本体9において操作レバー23を設ける位置は、本実施形態で述べた位置に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更してもよい。
ところで、本実施形態では外カバー30の前壁背面における軸突起40の両側に突部42を設け、ソケット本体9において突部42に対応する部位には突部42が嵌る凹部43が設けられている。凹部43は、ソケット本体9が自由位置にある状態で各突部42に対向する2箇所と、ソケット本体9が拘束位置にある状態で各突部42に対向する2箇所との計4箇所に形成される。ここで、外カバー30の前壁は、突部42を前後方向に移動させるように撓む可撓部44を突部42の周囲に有する。したがって、自由位置または拘束位置にあるソケット本体9を回転させると可撓部44が撓んで突部42が凹部43から後退し、ソケット本体9が拘束位置または拘束位置まで回転させられると突部42が凹部43に嵌ることとなり、ソケット本体9の回転時にクリック感が得られる。なお、ここでは内カバー13に形成された切欠25が1つの凹部43として兼用されるので、実際には凹部43は3箇所に形成されている。
また、ソケット本体9の後壁に設けた引出孔17はソケット本体9の回転軸方向(つまりランプピン4の突出方向)に沿って貫設されており、引出孔17から引き出される電線14はソケット本体9の回転軸に沿って引き出されることになる。したがって、図6(a)に示す自由位置と図6(b)に示す拘束位置との間でソケット本体9が矢印Aのように回転させられても、ソケット本体9から引き出された電線14が通過する領域C1を比較的狭く抑えることができる。つまり、ソケット本体9を回転させる際に電線14の周囲に余分なスペースを確保する必要がない。
さらに、図2に示すランプソケット装置1は、ソケット本体9が自由位置にありソケット本体9がランプ5を保持していない状態であっても、器具本体7に対してランプ5を仮保持することができる仮保持部45を備えている。図2の仮保持部45は、器具本体7の長手方向の中央部においてバルブ2の両側にそれぞれ配設されており、バルブ2の長手方向の中央部を挟持する形でランプ5を仮保持する。この仮保持部45は互いに離れる向きに凸となる形に湾曲したランプ保持部45aが中央部に形成され、両ランプ保持部45a間にランプ5を挟持することによりランプ5を仮保持する。一対の仮保持部45の上端部は上方ほど互いに離れる向きに傾斜した押操作部45bを構成しており、これにより、両ランプ保持部45aの間にランプ5が挟持された状態からランプ5を取り外す際に、押操作部45bを押操作して両ランプ保持部45aの間隔を広げることで、ランプ5を容易に取り外すことができる。なお、仮保持部45の下端部は器具本体7に固定されているが、支持部10と一体に仮保持部45が形成されていてもよい。
このように仮保持部45を設けたことにより、ランプ5の着脱の際に、ランプソケット装置1のソケット本体9が自由位置にある状態でも、ランプ5を器具本体7の定位置に位置決めすることができる。その結果、作業者は操作レバー23を操作してソケット本体9を回転させるときにランプ5を手で位置決めしておく必要がなく、ランプ5の着脱作業を容易に行うことができるという利点がある。
また、操作レバー23を操作してソケット本体9を回転させるときにランプ5を手で位置決めしておく必要がないので、作業者においては、ソケット本体9を自由位置に移動させることでランプピン4と接触子8との接続を解除してから、ランプ5を仮保持部45に対して着脱することが可能になる。これにより、ランプ5を仮保持部45に対して着脱する際にも、ランプピン4が接触子8に接続されている状態のランプ5を作業者が手で持つ必要はなく、接触子8への通電が遮断されていなくても、安全にランプ5を着脱することができる。
ところで、本実施形態のランプソケット装置1を用いれば、上述したように直管形のランプ5に対応した照明器具6だけでなく、図9に示すようにランプピン4の突出方向に沿った口金3の中心軸が同一直線上にないランプ5に対応した照明器具6を構成することもできる。
図9に例示するランプ5は、各口金3からのランプピン4の突出する向きが互いに逆向きであって、一対の口金3が結合片46によって一体に結合されている。ここでは図示を省略しているが、バルブ2は一対の口金3の間において所定の形状に形成される。バルブ2の一例として、両口金3の中間部付近で一端部同士が連結された2本のバルブ2を、それぞれ当該連結部位を中心とする螺旋状に延長し、各端部をそれぞれ口金3に固着する形のものが考えられる。このランプ5に対応する照明器具6は、円盤状の器具本体7を備え、器具本体7の一表面側において各口金3に対応する部位にそれぞれランプソケット装置1が配設されている。
この種のランプ5においては、口金3の中心軸が同一直線上にないので、従来構成のように口金3の中心軸を中心としてランプ5を回転させることによりランプソケット装置1にランプ5を着脱することはできないが、上述した本実施形態のランプソケット装置1を用いればランプ5の着脱が可能となる。すなわち、図9(a)に示すようにソケット本体9が自由位置にある状態で、ランプ5を矢印B方向に移動させてピン挿入孔21に対してランプピン4を開放部39および導入口22を通して挿入し、図9(b)に矢印Aで示すようにソケット本体9を拘束位置に回転移動させるだけで、ランプソケット装置1によるランプ5の保持および電気的接続が完了する。
このように、本実施形態のランプソケット装置1を用いれば、ランプ5自身を移動させることなくランプ5の着脱が可能であるから、口金3の中心軸が同一直線上にないランプ5でも着脱が可能である。また、ランプ5を回転させないので、バルブ2が螺旋状に形成されたランプ5のように、バルブ2の中心軸と口金3の中心軸とが同一直線上にない場合でも、ランプ5の周囲においてバルブ2の回転時にバルブ2が通過する領域にスペースを設ける必要はなく、器具本体7の小型化につながる。
また、図9に示すランプソケット装置1では、各支持部10の近傍に仮保持部45がそれぞれ配設されており、仮保持部45はランプ5のうちの口金3に接触することによりランプ5を仮保持するので、細管化や形状の複雑化により高い強度を確保することが困難なガラス製のバルブ2を具備するランプ5であっても、バルブ2に荷重を加えることなくランプ5を仮保持することができる。
なお、上述したランプソケット装置1の構成は一例に過ぎず、たとえば内ボディ11からの導電板12の抜け止めの機能を外カバー30に付与して内カバー13を省略したり、外カバー30を器具本体7に一体に形成したり、支持部10を案内スリット35の長手方向に分離可能な2部材で構成したり、様々な構成で本発明のランプソケット装置1を実現することができる。
そして、以上述べた本実施形態のランプソケット装置1を器具本体7に備えてなる照明器具6によれば、ランプ5を移動させることなく器具本体7に対してランプ5の着脱を行えるから、口金3の中心軸が同一直線上にないランプ5でも取り付けることができる上に、ランプ5の着脱作業が容易に行える。
(実施形態2)
本実施形態のランプソケット装置1は、操作レバー23の摘み部23bの構成に特徴があり、その他の構成は実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態における操作レバー23の摘み部23bは、図10(a)〜(c)に示すように、ソケット本体9を自由位置に位置させた状態において案内スリット35の長手方向を法線方向とする第1平面部23dと、図10(d)〜(f)に示すように、ソケット本体9を拘束位置に位置させた状態において案内スリット35の長手方向を法線方向とする第2平面部23eとを備えてなる。なお、本実施形態の摘み部23bにおいても、ソケット本体9を自由位置に位置させた状態においては、摘み部23bとソケット本体9および支持部10の両方との隙間は、ランプピン4の直径より小さくなるようにしている。
ところで、第1平面部23dおよび第2平面部23eそれぞれには、表示部(図示せず)が設けられている。このような表示部は、例えば、摘み部23bの色とは異なる色(例えば、摘み部23bの色に対して目立つ(注意を引く)色、例えば、摘み部23bが黒であれば、白や赤など)のシールなどであって、第1平面部23dおよび第2平面部23eの両方に、貼付されている。
つまり、本実施形態のランプソケット装置1によれば、実施形態1と同様の効果を奏する上に、操作レバー23の位置を表示部により分かり易く表示することができる。しかも、第1平面部23dは、ソケット本体9を自由位置に位置させた状態において案内スリット35の長手方向を法線方向とするので、ランプ5の着脱を行うにあたって、ソケット本体9を自由位置に位置させた状態では、第1平面部23dが使用者に正対し易くなるから、第1平面部23dに設けられた表示部の視認性を向上でき、第1平面部23dに設けた表示部を使用者の目に留まり易くできる。同様に、第2平面部23eは、ソケット本体9を拘束位置に位置させた状態において案内スリット35の長手方向を法線方向とするので、ランプ5の着脱を行うにあたって、ソケット本体9を拘束位置に位置させた状態では、第2平面部23eが使用者に正対し易くなるから、第2平面部23eに設けられた表示部の視認性を向上でき、第2平面部23eに設けた表示部を使用者の目に留まり易くできる。
さらに、第1平面部23dおよび第2平面部23eそれぞれに表示部を設けるにあたっては、ソケット本体9が自由位置に位置した状態で第1平面部23dに表示部を設け、ソケット本体9を拘束位置に位置させてランプソケット装置1の電気検査試験を行い、これと同時に、第2平面部23eに表示部を設けるようにすれば、ランプソケット装置1の電気検査試験と、表示部を設ける作業とを並行して行え、製造工程を簡略化できる。
なお、表示部としては、操作レバー23の操作方向を示す矢印などが画かれたシールであってもよいし、操作レバー23の操作方法が記載されたシールであってもよい。また、表示部としてシールを用いる代わりに、印刷や、熱刻印などの方法により各平面部23d,23eそれぞれに表示部を形成するようにしてもよい。
さらに、表示部としては、図11および図12(a)〜(c)に示すように、立体形状の第1表示部23fおよび第2表示部23gを用いることができる。第1表示部23fおよび第2表示部23gそれぞれは、第1平面部23dおよび第2平面部23eそれぞれに一体に突設されている。
ここで、第1表示部23fは、ソケット本体9が自由位置に位置している状態において、ソケット本体9を自由位置から拘束位置に回転させる際の操作レバー23の操作方向(図12(a)における右方向)を示す矢印形状に形成されている。また、第2表示部23gは、ソケット本体9が拘束位置に位置している状態において、ソケット本体9を拘束位置から自由位置に回転させる際の操作レバー23の操作方向(ソケット本体9が自由位置に位置している際に第1表示部23fにより示される方向とは逆方向)を示す矢印形状(例えば、図12(b)に示すように、ソケット本体9が自由位置に位置している際に下方向を指す矢印形状)に形成されている。
さらに、各表示部23f,23gそれぞれは対称形状に形成されており、その対称軸が操作レバー23を幅方向に二等分する線と一致するように各平面部23d,23eそれぞれに形成されている。
したがって、第1表示部23fおよび第2表示部23gを形成するにあたっては、操作レバー23と一体に形成するようにすればよく、この場合、操作レバー23における前記幅方向の中央で衝合する(操作レバー23を幅方向に二等分する面を分割面とする)ように操作レバー23の金型(スライドコア)を形成すれば、各表示部23f,23gが形成しない場合と同数のスライドコアで操作レバー23の形成が行える。