JP4935788B2 - 圧電薄膜共振子およびその製造方法 - Google Patents

圧電薄膜共振子およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、バルク弾性波を利用した圧電薄膜共振子に関し、詳しくは、横モードのスプ
リアスを抑制する圧電薄膜共振子、およびその製造方法に関する。
従来、薄膜半導体プロセスを用いて、金属−誘電体−金属の積層構造の共振器としてF
BAR(Film Bulk Acoustic Resonator)と呼称される圧
電薄膜共振子が、デュプレクサ、バンドパス・フィルタ等に利用され、その小型化・低コ
スト化を可能にしている。また、数GHz帯の高周波帯におけるフィルタ特性や低消費電
力化に優れており、高速無線通信アプリケーションなどへの応用に好適であるとされ注目
されている。
しかしながら、バルク音波共振器の基本振動モードは、電極面に対して垂直方向に伝搬
されるが、励起される他の振動モードが存在し、この振動モードは電極面に対して平行に
伝搬する。このような電極面に対して平行な振動は基本モードに対してノイズであり、横
モードのスプリアスと呼ばれ、デュプレクサ、バンドパス・フィルタ、発振器、センサ等
を用いた回路においては問題となる。
上述した横モードのスプリアスを抑制する手段として、圧電体(誘電体)の表裏それぞ
れに設けられる頂部電極と底部電極の重なり部分の一部が、非方形の不規則な多角形の一
部が構成される外周部を有するバルク音波共振器というものが知られている(例えば、特
許文献1参照)。
また、圧電体(誘電体)の表裏それぞれに設けられる頂部電極と底部電極の重なり部分
において、頂部電極の外周周縁部に、さらにもう一層の壁状の電極を設けて横モードのス
プリアスを抑制するバルク音波共振器というものも知られている(例えば、非特許文献1
参照)。
特開2000−332568号公報(第3,4頁、図4,5) G.G.Fattinger,S.Marksteiner,J.Kaitila,and R.Aigner、「Optimization of Acoustic Dispersion for High Performance Thin Film BAW Resonators」,2005 Ultrasonic Symposium(Rotterdam).
このような特許文献1では、非方形の不規則な多角形の一部を構成していることから、
横モードの音波が外周部で不規則に反射を繰り返すことで高レベルな縮退を低減し、横モ
ードのスプリアスを抑制することを可能としているが、頂部電極と底部電極の重なり部分
の面積は所定の大きさが必要とされ、この頂部電極と底部電極の重なり部分において不規
則な非方形の外周形状を得るためには、捨て面積が発生することからその面積を大きくし
なければならず、平面サイズが大きくなってしまうという課題を有する。
また、非特許文献1によれば、頂部電極の外周周縁部に、さらにもう一層の電極を設け
て周縁部が高い段部を設けることで、この段部における音波の伝搬の境界特性の遮断周波
数と分散特性の変化により横モードのスプリアスを抑制することが可能としているが、頂
部電極の外周部にもう一層の電極を設けることから、マスクの増加、製造工程の増加が必
要となり、コスト面で不利である。
本発明の目的は、前述した課題を解決することを要旨とし、横モードにおけるスプリア
スを抑制し、且つ、小型化可能な圧電薄膜共振子およびその製造方法を提供することにあ
る。
上記課題を解決するために、本発明の圧電薄膜共振子は、支持枠と、支持枠上に積層さ
れる圧電体と、圧電体の支持枠側の主面に形成される底部電極と、他方の主面に形成され
る頂部電極とを有し、頂部電極は平面視で略方形を有し、その外周の少なくとも対向する
二辺の端面が略鋸歯形状に形成されていることを要旨とする。
底部電極と頂部電極との交差領域の形状が方形である場合、この交差領域の外周のある
一点から出た横モードの音波は、反対側の平行な辺に垂直に反射し元の点に戻る。このよ
うに音波の往復の共振経路が同じものが複数存在する場合、高レベルな縮退となり、不要
なスプリアスとして出現する。
ここで、交差領域内において、スペース効率のよい略方形の頂部電極を形成したとき、
その端面を略鋸歯形状にすることにより、ある一点から出た横モードの音波は不規則な方
向に伝搬され、反対側の平行な辺により反射されても元の点には戻らず、同じ共振経路が
ほとんど存在しない。従って、前述した特許文献1のような交差領域の外周形状が非方形
な構造のように平面サイズを増大させることなく、高レベルな縮退とはならずスプリアス
を抑制することができる。
本発明の圧電薄膜共振子は頂部電極の全部または端面部分が、液滴吐出用導電体材料で
あってもよい。
この構成によれば、インクジェット方式などの液滴吐出法により頂部電極を形成するこ
とができる。インクジェット法を用いて方形の描画パターンを形成した場合に、液滴吐出
ヘッドの走査方向の描画パターンの端面は、同一のノズルから吐出される液滴により略直
線的に形成される。これに対し、液滴吐出ヘッドの走査方向と直行するピッチ送り方向に
形成される描画パターンの端面は、ピッチ送りされながらインクノズルから吐出される液
滴の着弾位置の差異により凹凸が生じ、略鋸歯形状と近似な端面形状が形成される。これ
により、頂部電極の少なくとも対向する二辺の端面を略鋸歯形状に形成することができ、
上述した略方形の交差領域における共振経路がほとんどなくなる効果により、圧電薄膜共
振子の横モードのスプリアスを抑制することができる。
さらに、頂部電極の端面部分のみを液滴吐出用導電材料により形成することにより、横
モードのスプリアスを抑制することも可能である。例えば、圧電膜上に、薄膜半導体プロ
セスにより略方形の頂部電極を形成し、この頂部電極の端面部分に、インクジェット方式
により液滴吐出用導電材料からなる段部を形成する。この段部の端面は、前述したインク
ジェット方式による描画パターン端面形状の形成過程で略鋸歯形状に形成されるので、頂
部電極の横モードのスプリアスの抑制に供することができる。また、液滴吐出用導電材料
により形成された段部が錘となって、交差領域の外側に漏れ出る横モードの音波を抑制す
る効果も奏する。また、この構成は前記非特許文献1に示された横モード抑制方法と似た
ものであるが、本発明では液滴吐出法を用いているので、マスクの増加、製造工程の増加
が不要であり、コスト面で有利である。
本発明の圧電薄膜共振子は、頂部電極の外周四辺のうち、一方の対向する二辺が略平行
に形成され、他方の対向する二辺が前記一方の対向する二辺に対して直交しないように形
成されている構成としてもよい。
上述したように、インクジェット法を用いて略直方形の描画パターンを形成したとき、
液滴吐出ヘッドの走査方向の描画パターンの端面形状は、同一のノズルにより略直線を有
して形成され、液滴吐出ヘッドの走査方向と直交する方向の端面形状は略鋸歯形状を呈す
る。この、液滴吐出ヘッドの走査方向に対応する方向の頂部電極の二辺を、液滴吐出ヘッ
ドの走査方向と平行にならないよう所定の角度をつけることにより、描画パターンの端面
形状を略鋸歯形状にすることが可能である。これにより、略方形の頂部電極の端面形状を
四辺ともに略鋸歯形状にすることができるので、電極面積を増大を抑えながら、より一層
、横モードのスプリアスの抑制効果を奏する。
本発明は、支持枠と、支持枠上に積層される圧電体と、圧電体の支持枠側の主面に形成
される底部電極と、他方の主面に形成される平面視で略方形の頂部電極と、を有する圧電
薄膜共振子の製造方法であって、頂部電極の全部または端面部分を、液滴吐出法により形
成することを要旨とする。
この構成によれば、特にインクジェット方式の液滴吐出装置により、液滴吐出用導電材
料を塗布し、この塗布パターンを固化させることによって頂部電極を形成する。このとき
、液滴吐出用導電材料の描画パターンは、液滴吐出ヘッドの走査方向と直交する方向の端
面が、ピッチ送りされながらインクノズルから吐出される液滴の着弾位置の差異により、
直線的でない不規則な略鋸歯形状を有して形成される。これにより、頂部電極と底部電極
とによる交差領域において、頂部電極の端面のある一点から出た横モードの音波と、対向
する辺から反射される音波の方向が不規則になり、同じ共振経路がほとんど存在しなくな
るので、横モードのスプリアスを抑制することができる。
また、従来の蒸着やスパッタリング、またはフォトリソグラフィなどによる方法に比べ
、マスクが不要で、工程も単純であることから、低コストにて横モードのスプリアスを抑
制可能な圧電薄膜共振子を提供することが可能となる。
本発明の圧電薄膜共振子の製造方法は、頂部電極の外周四辺のうち、一方の対向する二
辺を略平行に、且つ液滴吐出装置の液滴吐出ヘッドの走査方向と直交する方向と平行な方
向に合わせて形成し、他方の対向する二辺を前記一方の対向する二辺に対して直交しない
ように形成する構成としてもよい。
この構成によれば、頂部電極の外周四辺のうち、液滴吐出ヘッドの走査方向と直交する
方向と平行な方向の二辺の端面は、前述したピッチ送りされる液滴吐出ヘッドから吐出さ
れる液滴の着弾位置の差異により、略鋸歯形状に形成される。他方の対向する二辺の端面
は、液滴吐出ヘッドの走査方向に対して平行でない角度を持たせて形成されるため、イン
クヘッドに設けられた複数のインクノズルの別々のインクノズルから吐出される液滴によ
り形成される。この、別々のノズルから吐出される液滴の着弾位置の差異により、端面も
不規則な略鋸歯形状に形成することができる。
従って、略方形の頂部電極の端面形状を四辺ともに略鋸歯形状にすることができるので
、電極面積を増大を抑えながら、より一層、横モードのスプリアスの抑制効果を奏するこ
とが可能になる。
以下、本発明の圧電薄膜共振子をバルク音波共振器に具現化した実施の形態を図面に沿
って説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係るバルク音波共振器10を示し、(a)はその概略構造を
模式的に示す平面図、(b)は図1(a)のA−A線断面図である。
図1(b)において、バルク音波共振器10は、Siからなる支持枠1の上面にSiO
2からなる絶縁層2、底部電極3、圧電体4、頂部電極5とが順に積層されて構成されて
いる。
支持枠1は、上述した構成要素を積層した状態において、Si基板の略中央の一部を裏
面側からエッチング除去して形成される空洞9を有している。圧電体4は、圧電体4の一
部を挟む頂部電極5と底部電極3とを含んで、圧電体4の底部に空気/電界面が作られる
ように前記空洞9の上に架橋された状態である。このように構成される素子を一般にFB
AR(Film Bulk Acoustic Resonator)と呼称することが
ある。
絶縁層2は、Si基板からなる支持枠1の上面に空洞9をエッチングで形成する際の、
エッチングストッパーとして形成される極薄い層である。
底部電極3は、アルミニウム(Al)、タングステン(W)やモリブデン(Mo)等に
より形成されている。また、圧電体4の材料としては、AlN(窒化アルミニウム)やZ
nO(酸化亜鉛)等が採用され、スパッタや蒸着等の手段で形成されている。なお、圧電
体4は、空洞9の領域内に収まっている方が振動エネルギの漏れが少なく、より望ましい
頂部電極5は、本実施形態では平面視で略直方形を有し、アルミニウム(Al)、タン
グステン(W)やモリブデン(Mo)等を含んだ液滴吐出用導電材料が固化されて形成さ
れている。また、頂部電極5の外形となる四辺の端面のうち、対向する二辺の端面は不規
則な略鋸歯形状を有して形成されている。
本実施形態では、底部電極3は、支持枠1の表面全体に設けられ、その面積は頂部電極
5の面積よりも十分大きい。従って、底部電極3と頂部電極5との交差領域は、頂部電極
5の形状に相当する。
バルク音波共振器10の望ましい共振モードにおいて、バルク圧縮波は、圧電体4中を
厚さ方向の軸に対して平行に伝搬されるように設計される。電圧の印加により電界が2つ
の電極間(頂部電極5と底部電極3の間)に生じると、圧電体4は電気エネルギーを音波
という形の機械的エネルギーに変換し、音波は電界と同じ方向に伝搬され、電極/空気界
面において反射する。支持枠1の空洞9の基本縦共振モードの周波数は、CL/2tを中
心としている。CLは縦伝搬モードの音速であり、tは圧電体4の厚さである。
圧電体4の厚さ方向に電位が印加されると、横向きの機械的歪みが生じることがあり、
これが圧電体4の中を横に移動する音波を励起してしまうことがある。このような音波の
横移動を横モードと呼称する。
ここで、頂部電極5と底部電極3との交差領域の外周即ち頂部電極5の端面のある一点
から出た横モードの音波は、対面する辺の端面の壁で垂直に反射する。最もスペース効率
のよい略直方形にて形成された頂部電極5の外周の端面形状が略直線である場合には、頂
部電極5の外周のある一点から出た横モードの音波は、対面する外周の壁で垂直に反射し
、横モード音波が出た元の外周のある一点に戻ることになる。この横モードの音波の伝搬
経路となる頂部電極5の幅をWとすると、前記音波は、長さ2Wの共振経路を有する。こ
のように、同一素子内において音波の往復の共振経路が同じものが複数存在することにな
ると、高レベルな縮退となり、不要な横モードのスプリアスを生じることになる。
本実施形態のバルク音波共振器10では、略直方形に形成された頂部電極5の外周の二
組の対向する二辺のうち、一方の対向する二辺のそれぞれの端面が、直線的でない不規則
な略鋸歯形状を有して形成されている。これにより、略鋸歯形状の端面のある一点から出
た横モードの音波は不規則な方向に伝搬され、ある一点から出た音波は近接する他の端面
の一点に反射する。また、対向する辺の端面も略鋸歯形状であるために反射される音波の
方向も不規則になり、同じ長さの共振経路を有する伝搬経路はほとんど存在しない。従っ
て、高レベルな縮退が生じることなく、横モードのスプリアスを抑制することができる。
また、本実施形態では、交差領域の外周となる頂部電極5が略直方形を有しているので
、前述した特許文献1のような交差領域の外周形状が非方形な構造に比べ、バルク音波共
振器10の平面サイズの小型化に有利である。
(第2の実施形態)
次に、第1の実施形態のバルク音波共振器10の製造方法について、図1と同一符号を
用いて説明する。
バルク音波共振器10は、最上部に形成される頂部電極5を除く大部分を、薄膜半導体
プロセスを用いて形成する。
まず、支持枠1を形成するためのシリコン(Si)基板の表面に、酸化シリコン(Si
2)などの絶縁層2を熱酸化などにより形成する。
次に、絶縁層2の上面に、スパッタや蒸着などにより、アルミニウム(Al)やモリブ
デン(Mo)などからなる底部電極3を形成する。なお、上記第1の実施形態では、底部
電極3は支持枠1の上面全体に形成された例を示したが、これに限らず所定の表面積にて
形成してもよい。
次に、底部電極3の上面に、スパッタや蒸着等により、AlN(窒化アルミニウム)や
ZnO(酸化亜鉛)等からなる圧電体4を形成する。なお、圧電体4は、空洞9の領域内
に収まっている方が振動エネルギの漏れが少なく、より望ましい。
次に、支持枠1の裏面側の略中央部を、水酸化カリウムなどのエッチング液により選択
的にエッチング除去して空洞9を形成する。このときのエッチングは、エッチングストッ
パーである絶縁層2で止まり、上下を底部電極3と頂部電極5に挟まれて積層された圧電
体4が、支持枠1の空洞9の上に架橋された状態が形成される。
なお、支持枠1の空洞9の形成は、上記した底部電極3形成後、または後述する頂部電
極5の形成後に行なうこともできる。
次に、圧電体4の支持枠1の空洞9の上方に形成された圧電体4の上面に、液滴吐出法
を用いて頂部電極5を形成する。本実施形態では、インクジェット方式の液滴吐出装置を
用いて、アルミニウム(Al)、タングステン(W)やモリブデン(Mo)等を含んだ液
滴吐出用導電材料を、圧電体4上の所定位置に所定量塗布する。液滴吐出用材料の塗布量
や塗布位置は、液滴吐出装置のメモリに描画データとして格納されていて、この描画デー
タに基づいて液滴吐出装置による頂部電極5用の塗布パターンが形成される。
図1(a)において、頂部電極5の塗布パターンは、図中X方向を液滴吐出装置のイン
クジェッドヘッドの走査方向とし、図のY方向をピッチ送り方向として塗布された状態を
図示している。液滴吐出ヘッドの走査方向に吐出される液滴は、同じインクノズルが走査
方向に沿って液滴が塗布面に着弾されることにより、塗布パターンの端面形状が略直線と
なる。これに対して、走査方向と直交する液滴吐出ヘッドのピッチ送り方向の塗布パター
ン端面は、ピッチ送りされながらインクノズルから吐出される液滴の着弾位置の差異によ
り凹凸が生じ、略鋸歯形状の端面形状となる。
次に、液滴吐出用導電材料により形成された頂部電極5の塗布パターンを固化させて成
膜することにより、頂部電極5を形成する。このときの固化方法は、例えば、有機溶剤を
溶媒とした液滴吐出用導電材料を用いた場合には、恒温層内に入れて所定温度にて所定時
間加熱することにより、溶媒分を除去して成膜する。この他、紫外線硬化材を含有した液
滴吐出用導電材料を用いて、その塗布パターンに紫外線を照射して固化させる等、液滴吐
出用導電材料の硬化材の種類を選定することにより、それに応じた硬化方法がとられる。
以上述べたバルク音波共振器10の製造方法によれば、インクジェット方式の液滴吐出
装置により、液滴吐出用導電材料を塗布し、この塗布パターンを固化させることによって
頂部電極5を形成している。このとき、液滴吐出用導電材料の塗布パターンは、液滴吐出
ヘッドの走査方向と直交する方向の端面が、ピッチ送りされながらインクノズルから吐出
される液滴の着弾位置の差異により、直線的でない不規則な略鋸歯形状を有して形成され
る。これにより、頂部電極5と底部電極3とによる交差領域において、頂部電極5の端面
のある一点から出た横モードの音波と、対向する辺から反射される音波の方向が不規則に
なり、同じ共振経路がほとんど存在しなくなるので、横モードのスプリアスを抑制するこ
とができる。
また、液滴吐出用導電材料を直接描画することにより頂部電極5を形成するので、蒸着
やスパッタなどによる方法に比して、マスクの増加、製造工程の増加がないので、低コス
トにてバルク音波共振器10を製造することができる。
(第3の実施形態)
上記実施形態のバルク音波共振器10は、頂部電極5を全て液滴吐出用導電材料により
形成したが、これに限らない。例えば、薄膜半導体プロセスにより形成された頂部電極の
端面部分に、液滴吐出用導電材料からなる段部を形成することにより、上記実施形態と同
様に横モードのスプリアスを抑制可能なバルク音波共振器を得ることができる。
以下、本実施形態のバルク音波共振器について図面に沿って説明する。なお、本実施形
態は、半導体プロセス等により形成された頂部電極本体部35の端面部分に、液滴吐出用
導電材料を吐出させて電極段部36を形成することを特徴としている。つまり、本実施形
態では、頂部電極を、頂部電極本体部35と電極段部36で構成した。他の構成は前述し
た各実施形態と同じであるため、共通部の説明を省略する。
図3は、第3の実施形態に係るバルク音波共振器40を示し、(a)はその概略構造を
模式的に示す平面図、(b)は図3(a)のB−B線断面図である。
図3(b)において、本実施形態のバルク音波共振器40は、下面の略中央に空洞39
が形成された支持枠31の上面に、絶縁層32、底部電極33、圧電体34、頂部電極本
体部35が、順に積層されている。また、平面視で略直方形の頂部電極本体35の図中長
辺側の二つの端面部分を縁取るように、液滴吐出用導電材料による電極段部36が形成さ
れている。
支持枠31と、支持枠31上に順次積層された絶縁層32、底部電極33、圧電体34
、頂部電極本体部35は、蒸着やスパッタリング、フォトリソグラフィなどの半導体プロ
セスを用いて形成されている。
略直方形に形成された頂部電極本体部35の外周の各端面は、滑らかな略直線となって
いる。この頂部電極本体部35の図中長辺側の対向する二辺の各端面部には、液滴吐出用
導電材料からなる電極段部36が形成されている。電極段部36は、インクジェット方式
の液滴吐出装置を用いて、液滴吐出ヘッドの走査方向と直交するピッチ送り方向を、頂部
電極本体部35の図中長辺側と平行な方向に合わせて形成されている。
前述したように形成された電極段部36の図中長手方向の端面は、前述したインクジェ
ット方式による描画パターンの形成過程により略鋸歯形状に形成されるので、頂部電極本
体部35と電極段部36により構成される頂部電極は横モードのスプリアスの抑制に供す
ることができる。また、電極段部36が錘となって、交差領域の外側に漏れ出る横モード
の音波を抑制する効果も奏する。
また、頂部電極の大部分を構成する頂部電極本体部35が、半導体プロセスを利用して
形成されている。これにより、膜厚を精緻に制御して均一に形成することができる。これ
により、安定した共振周波数を有するバルク音波共振器40を提供することが可能になる

さらに、この構成は前記非特許文献1に示された横モードのスプリアス抑制方法と似た
ものであるが、本実施形態では液滴吐出法を用いているので、マスクの増加、製造工程の
増加が不要であり、コスト面で有利である。
(第4の実施形態)
上記実施形態では、FBAR(Film Bulk Acoustic Resona
tor)型の圧電薄膜共振子の頂部電極の端面形状が略鋸歯形状に形成された構成、およ
びその製造方法を示したが、これに限らない。SMR(Solid Mounted R
esonator)型の圧電薄膜共振子に適用することによっても同様な横モードのスプ
リアス抑制効果を奏する。
以下、本発明をSMR型バルク音波共振器80に応用した第4の実施形態を、図面に沿
って説明する。
図4に示すように、SMR型バルク音波共振器80は、シリコン基板71上に、AlN
/W(窒化アルミニウム/タングステン)層62,64,66,68と、SiO2等の絶
縁層63,65,67,72が、交互に順次積層された音響多層膜(ミラー層)を有して
いる。音響多層膜最上層の絶縁層72上には、底部電極73、圧電体74、頂部電極75
が順に積層されている。このように構成される素子を、一般にSMR(Solid Mo
unted Resonator)と呼称することがある。SMR型の圧電薄膜共振子は
、前記各実施形態のFBAR型の圧電薄膜共振子が、支持枠に空洞を設けたメンブレン構
造により圧電膜を自由に振動させる構成なのに対して、上記の音響多層膜によって弾性波
を反射させる構造となっている。
上記のSMR型バルク音波共振器80の構成において、頂部電極75は、液滴吐出用導
電材料を液滴吐出法により塗布したのち、固化されることにより形成されている。液滴吐
出法により形成された頂部電極75は、液滴吐出ヘッドの走査方向と直交する液滴吐出ヘ
ッドのピッチ送り方向の塗布パターン端面が、ピッチ送りされながらインクノズルから吐
出される液滴の着弾位置の差異により略鋸歯形状に形成されている。
この構成によれば、頂部電極75と底部電極73とによる交差領域において、頂部電極
75の略鋸歯形状を有する端面のある一点から出た横モードの音波と、対向する辺から反
射される音波の方向が不規則になり、同じ共振経路がほとんど存在しなくなるので、SM
R型バルク音波共振器80の横モードのスプリアスを抑制することができる。
本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、以下の変形例を実施することも
できる。
(変形例)上記第1および第2の実施形態では、バルク音波共振器10の頂部電極5の
平面形状を略直方形とし、対向する二辺の端面が略鋸歯形状に形成された構成、およびそ
の製造方法を示したが、これに限らない。頂部電極の平面形状を、対向する二辺を平行と
し、それと直交しない他方の対向する二辺による方形とすることにより、平面サイズの増
加を最小限にしながら横モードのスプリアスをさらに抑制することができる。
以下、本変形例の圧電薄膜共振子について図面を用いて説明する。なお、本変形例は、
頂部電極25の平面形状を、対向する二辺を平行とし、それと直交しない他方の対向する
二辺による方形とすることを特徴としており、他の構成は前述した各実施形態と同じであ
るため、共通部の説明を省略する。
図2は、頂部電極の平面形状が略平行四辺形を有するバルク音波共振器30を説明する
概略平面図である。
図2においてバルク音波共振器30は、底部電極23、圧電体24、頂部電極25が、
順に積層されている。
頂部電極25は、外周四辺のうち、図中Y方向の対向する二辺が略平行に形成され、図
中X方向の対向する二辺は、図中X方向の対向する二辺に対して直交しないように角度を
持たせた略方形を有している。本実施形態の頂部電極25は、略平行四辺形となっている
頂部電極25は、インクジェット方式による液滴吐出装置を用いて形成されている。こ
のとき、頂部電極25の図中X方向を液滴吐出ヘッドの走査方向と平行にして液滴吐出用
導電材料を塗布するようにする。頂部電極25の図中Y方向の対向する二辺の端面は、前
述した液滴吐出ヘッドのピッチ送り方向に相当するので略鋸歯形状が形成される。頂部電
極25の図中X方向の端面は、液滴吐出ヘッドの走査方向に対して平行でない角度を持た
せて形成されるため、インクヘッドに設けられた複数のインクノズルの別々のインクノズ
ルから吐出される液滴により形成される。この、別々のノズルから吐出される液滴の着弾
位置の差異により、頂部電極25のX方向の端面も不規則な略鋸歯形状に形成することが
できる。
この構成によれば、略方形の頂部電極25の端面形状を四辺ともに略鋸歯形状にするこ
とができるので、前記各実施形態の略直方形の頂部電極に比して、電極面積を増大を抑え
ながら、より一層、横モードのスプリアスの抑制効果を奏する。
以上説明した本発明の圧電薄膜共振子は、高速無線通信におけるデュプレクサ、バンド
パス・フィルタ、発振器、センサ等に利用するのに好適である。
本発明の第1の実施形態に係る圧電薄膜共振子を示し、(a)はその概略構造を示す平面図。(b)は、(a)のA−A線断面図。 本発明の第1の実施形態の変形例としての圧電薄膜共振子を模式的に示す平面図。 本発明の第3の実施形態の圧電薄膜共振子を示し、(a)はその概略構造を示す平面図。(b)は、(a)のB−B線断面図。 本発明の第4の実施形態の圧電薄膜共振子を示し、(a)はその概略構造を示す平面図。(b)は、(a)のC−C線断面図。
符号の説明
1,31,71…支持枠、3,23,33,73…底部電極、4,24,34,74…
圧電体、5,25,75…頂部電極、35…頂部電極の本体となる頂部電極本体部、36
…頂部電極の端部を形成する電極段部、10,30,40,80…圧電薄膜共振子として
のバルク音波共振器。

Claims (3)

  1. 支持枠と、
    前記支持枠上設けられている圧電体と、
    前記圧電体の前記支持枠側の主面に設けられている底部電極と、前記圧電体の他方の主面に設けられている頂部電極と、を備え
    前記頂部電極は、平面視で方形の頂部電極本体と、前記頂部電極本体の外周の少なくとも対向する二辺の端面部分に、前記頂部電極本体部とは別体で設けられている鋸歯形状の電極段部と、を含み、
    前記電極段部は液滴吐出用導電体材料を用いていることを特徴とする圧電薄膜共振子。
  2. 請求項に記載の圧電薄膜共振子において、
    前記頂部電極本体は平面視で平行四辺形であることを特徴とする圧電薄膜共振子。
  3. 支持枠と、
    前記支持枠上設けられている圧電体と、
    前記圧電体の前記支持枠側の主面に設けられている底部電極と、前記圧電体の他方の主面に設けられている平面視で方形の頂部電極と、を備えている圧電薄膜共振子の製造方法であって、
    前記頂部電極の頂部電極本体を半導体プロセスにより形成し、前記頂部電極本体の外周の少なくとも対向する二辺の端面部分に液滴吐出法により、前記頂部電極本体部とは別体である鋸歯形状の電極段部を形成することを特徴とする圧電薄膜共振子の製造方法。
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