JP4934842B2 - 誘電妨害型放電のための調光可能な放電ランプおよび放電ランプの作動方法並びに放電ランプを備えた照明装置 - Google Patents
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Description
本発明は、誘電妨害型放電のために設計されている放電ランプの作動方法に関する。このため放電ランプは、放電媒体で満たされた放電容器と、少なくとも1つのアノードならびに少なくとも1つのカソードを有している。さらに少なくともアノードと放電媒体との間に誘電層が設けられており、これにより誘電妨害型放電を生じさせる。
【0002】
本明細書ではアノードとカソードという用語を、それによって本発明がユニポーラ動作に限定されるものと捉えてはならない。バイポーラの場合であれば、アノードとカソードとの間に少なくとも電気的には差異はなく、したがって両方の電極グループの一方について述べることはすべての電極についてあてはまる。
【0003】
従来の技術
ここで考察する放電ランプに関する前途有望な適用分野としてはたとえば、フラットディスプレイシステムのバックライトや信号設備のバックライトならびに信号ランプ自体が挙げられる。最後に挙げた2つの項目については、本願発明の参考文献である EP-A-0 926 705 の開示内容を参照されたい。さらに本発明は、DE-A-197 18 395 に示されている電極が内側に設けられたコピー機のランプや、ドイツ連邦共和国特許出願 198 17 475.6 に記載されている電極が外側に設けられた直管形ランプのようなランプにも適している。引用したこれらの出願の開示内容をそれぞれ本願の参考文献とする。
【0004】
誘電妨害型放電ランプは非常に様々な大きさや形状で作成することができるし、水銀を含有する充填物を用いた古典的な放電ランプの典型的な欠点がかなり高い効率で回避されることから、量的な普及度についても適用分野についてもこのような放電ランプの利用増大が見込まれる。
【0005】
次に、従来技術の以下の文献を参照する:
DE 196 36 965 A1 に示されている誘電妨害型放電ランプは、その型ゆえに少なくともアノードと放電媒体との間に誘電層を有している。この文献によれば、局所化された電界強度により放電ランプのための規定された開始点が形成される。これにより時間的な観点でも空間的な観点でも、出力分布の均質性を改善しようというものである。
【0006】
DE 197 11 893 A1 は上述の引用文献とかなり対応しており、その着想をさらに進めて、ランプの周縁領域において開始点をいっそう密に配置することにより、あるいはアノードの幅を広げてそこで燃焼する個別放射による電流密度を択一的に高めることで、周縁部が暗くなることに対向して作用するように構成されている。
【0007】
DE 41 40 497 C2 には、誘電妨害型放電による紫外線高出力放射器が示されている。この場合、紫外線放射の均質性を向上させるため、周縁領域において変換される電力が放電間隔あるいは誘電体容量を変えることで高められる。
【0008】
さらに DE 42 22 130 A1 は誘電妨害型放電の分野において、局所的な電界歪み構造の点弧補助機能にかかわるものであり、たとえば放電容器壁に溶接された石英滴状体または壁部におけるくぼみあるいは隆起体にかかわるものである。
【0009】
US 5 760 541 にはストライプ状の電極を備えた放電ランプについて記載されており、その幾何学的形状を正弦波状のエッジ、切り欠きならびに他の可能な構成とすることで放電ランプ内で電界変調を生じさせている。このようにすることで放電ランプにおいて明るさ/暗さの分布の時間的変動を取り除くようにしており、その目的は透過媒体のためのスキャン装置における使用で有利になるよう、このような不均質性に対し時間的に変化させない局所的な補正を行えるようにすることである。
【0010】
DE 196 28 770 は、衛星で適用するためのトランスポンダ面上で進行波増幅器の出力を最適化するための措置にかかわるものであり、これは動作点、エージング、周波数変化、温度変動等に関して増幅器システム全体の出力を安定化させることを目的としている。
【0011】
GB 2 139 416 には、電子照射装置のビーム送出を、永久磁石と磁気材料を所定のように空間的に配置することで局所的に変調することが示されている。
【0012】
US 4 584 501 には放電ディスプレイが示されており、この場合、種々の放電路が機械的に操作されるフラップにより切り替えられ、半透過性ミラーを使用することで多重反射による光学的効果が形成される。
【0013】
あとで公開される DE 198 17 479 は、無音放電ランプの電極装置をそれぞれ別個に作動可能なグループに分配することが示されている。
【0014】
さらに DE 43 11 197 には、ここで考察している放電ランプにとって重要なパルス化された動作方法ならびに特定の放電タイプを発生させるためのパラメータ調整について示されている。
【0015】
本発明の説明
本発明の基礎とする技術的な課題は、誘電妨害型放電のための放電ランプの用途を拡大し改善できるようにすることである。
【0016】
本発明によればこの課題は、放電媒体を含む放電容器と、アノードおよびカソードを有する電極装置と、少なくとも前記のアノードと放電媒体との間に誘電層が設けられており、前記電極装置により、制御長に沿って少なくとも局所的な平均値について単調に変化する放電間隔が規定されていることで、前記電極装置は制御長に沿って点弧電圧の変化について不均一である、放電ランプの作動方法において、制御長内の各電極間の最大スパーク長dmaxと、制御長内の各電極間の最小スパーク長dminの差と、該制御長(SL)との定量的な比率について、(dmax −dmin)/SL≦0.6とし、動作中、放電ランプの電力供給についての電気的パラメータを変化させて放電ランプの出力を制御することにより解決される。
【0017】
さらに本発明は、前述の放電ランプと上記の方法のために設計された前置回路装置を備えた照明装置にも関する。
【0018】
従属請求項には、本発明による作動方法ならびに本発明による照明装置の有利な実施形態が示されている。
【0019】
本発明によるそれらの実施形態のいくつかは、放電ランプの別の技術的な特徴とも結合されている。この範囲内において、本発明は相応に設計された放電ランプにも関する。
【0020】
本発明の既述の一般的な表現から明らかなように、本発明は誘電妨害型放電による放電ランプにおける出力制御を目指している。このため、放電ランプ内の電極の延びに沿って少なくとも1つの制御長が作り出されている。この用語は電極構造の区間を表しており、これに沿って不均一な放電条件が生じている。放電条件の不均一性により、制御長に沿って放電点弧電圧が単調に変化することになるが、これは少なくとも実効平均値においては単調に変化する。点弧電圧を単調に変化させるための特別な非連続的構成については、あとで説明する。
【0021】
また、ここで点弧電圧という用語は殊に最小点弧電圧に係わるものであり、これは個々の放電の着火電圧に対応するものではなく、電極装置における所定の個所で放電構造を維持できるようにする最小電圧に相応する。
【0022】
本発明では、有効電力をパルス化されたかたちで放電ランプに入力結合するようにした作動方法が有利であるとみなされる。これについては、WO94/23 442 もしくは DE-P 43 11 197.1 を参照されたい。これらを本発明の参考文献とする。
【0023】
パルス化されたこの有効電力入力結合との関連において、連続的な照明動作においてパルス方式に従い発生する有効電力入力結合の規則的な遮断もしくはデッドタイムのいずれかの後に残留イオン化がまだ生じたままのときに個別放電が新たに点弧されることを、新たな点弧とはいわない。新たな点弧のために必要とされる点弧電圧とはむしろ、放電ランプがまったく新たにスイッチオンされる状況つまりは放電媒体中に残留イオン化が生じていない状況のことを意味する。
【0024】
誘電妨害型放電のための放電ランプについて本発明との関連で重要な特性は、正の電流電圧特性である。したがってこの特性における電流と電圧との明確な関係ゆえに、給電電圧を変化させることで誘電妨害型放電によるランプ電流も変化させることができる。慣用の放電ランプではこれに対して負の差分抵抗が妨害する。
【0025】
ランプ電流のこのような変化との関連で、本発明は以下の考察に基づく。ここで関連づけられているパルス化された動作の基本的な利点は、放電構造が妨害を行う誘電体の前に比較的幅広く展開したかたちで生じているかぎり、誘電妨害が好適に利用されることである。このような典型的な放電構造においてはいずれにせよ大部分でかなり僅かな電荷キャリア密度となっており、これは放電ランプの効率に関して非常に重要なことである。
【0026】
したがってランプ電流上昇は慣用の構造では、個々の放電構造における電荷キャリア密度の上昇にじかに結びついており、つまりは光発生効率を劣化させている。
【0027】
また、ランプ電流が過度に大きいとカソード(あるいはバイポーラ動作では目下のカソード)に著しい熱的な負荷が加わり、その際、放電構造はかなり集中した開始点をもつことになる。したがって該当するカソード位置が個々に熱的に負荷を受ける。しかも増幅されたランプ電流により、カソードにおけるイオン照射すなわち放電のスパッタ作用により腐食作用も高まる。
【0028】
他方では、最適な値よりもランプ電流を小さくしてしまうという欠点とも結びついている。なぜならばこの場合、不安定さの生じる可能性があり、個々の放電構造が消えてしまったり、あるいはそれぞれ異なる個所の間を飛び回るかもしれないからである。これにより光発生の場所および時間に関する均一性が劣化してしまう。
【0029】
慣用のやり方ではランプ電流が最適な値よりも高くなったり、あるいはその最適な値よりも低くなったりすると、その場合には著しい欠点が伴う。そこで本発明の着想によれば放電ランプにおける電流上昇を、放電のボリューム全体が変えられるように実行し、その結果として個々の放電構造における電流密度を実質的に等しく保てるようにしている。一方の事例として個々の放電構造の増大を、カーテン状に幅の広げられた放電構造となるように行う。他方の事例では、制御長内に複数の部分放電構造を相前後して並べ、制御長内におけるそれらの部分放電構造の個数を変化させて放電のボリューム全体を変えるようにする。これら2つの事例の移行を、場合によっては流動的にすることもできる。
【0030】
いずれにせよ、少なくともアノード上で放電構造は有限の長さ領域にわたって形成され、この領域に沿って放電前提条件が本発明により位置に依存する点弧電圧というかたちで変えられる。その際、個別放電構造が並べられる事例では、各々の放電構造による局所的な平均値を表すことができ、この平均値が放電構造の位置依存性を反映することになる。カーテン状に幅の広げられる放電構造であれば、制御長内での放電構造の相応の境界を電極に沿ってずらすことができるよう、放電前提条件の位置依存性が役割を担う。
【0031】
放電ランプにおける光発生の場所に関する均一性が重要な役割を果たすならば、放電ランプの大きさ全体に対し制御長を比較的小さく選定することができる。すなわち放電ランプを多数の個々の制御長に分割することができる。この場合、個々の制御長における放電ボリュームの変化を、適切なやり方で光発生を平均化して、たとえば拡散体、プリズムシートなどによって補償することができる。これにより全体として均一化された光発生特性が得られ、それによれば、たとえば電圧入力結合の増大や低減などに基づく電流上昇または電流低減による出力変化が、必ずしもはっきりと目に見える放電構造の変化に結びつくことはない。
【0032】
制御長内での最小点弧電圧の単調な位置依存性に関して、このような不均一な電極配置構成において様々な可能性がある。最も重要であるのは、放電に決定的な役割を果たす電極間の間隔いわゆるスパーク長を変化させることである。スパーク長が広がれば広がるほど、その間隔における放電のための最小点弧電圧が大きくなる。
【0033】
この点では本発明は、制御長に沿ってスパーク長を少なくとも局所的な平均値に関して単調に変化させる電極装置を目指している。
【0034】
本発明において、スパーク長の変化の関係に対する定量的な限定、すなわち1つの制御長内で現れる最大スパーク長dmax と最小スパーク長dmin の差と、区間長としての制御長SL自体との比率に対する定量的な限定が成り立つ。この比率に対する上限は0.6ところにあり有利には0.5のところにある。殊に有利であるのは0.4という値である。
【0035】
上述の比率を本発明において、ゼロにはならないかぎり非常に小さい値とすることができる。すでにたとえば0.01付近の値からすでに、気づくことのできる本発明の効果を達成できる。
【0036】
この関連で、すでに述べた着火電圧と最小点弧電圧との相違点を以下の点で明瞭に説明することができる。すなわち、放電は単調に変化する電極間隔をもつ制御長の所定の個所で僅かな間隔をおいた隣り合う領域に着火し、その後、目下利用できる点弧電圧がなお放電に十分であるその領域に移動していく。このことは、放電構造は利用できる電極平面に可能なかぎり分散する、という基本的な現象に由来するものである。それというのも、放電媒体における電界をしだいに遮蔽していき電界分布の作用により放電構造の幅を広げる局所的な空間電荷が形成されるからである。
【0037】
しかしながら本発明によれば、局所的な電界増幅つまりは個別放電の局所化のため(それ自体知られた個所に)電極を設けることももちろん可能である。このような構造の場合、放電点弧に十分な短い放電間隔をそれぞれもっているそれらの個所の間と、放電の維持にのみ十分な間隔をもつ別の個所との間における個々の放電構造の移動は、そのままでは不可能である。つまり、局所的な電界増幅の個所の間の領域によっても放電の維持がもはや不可能となる場合がある。
【0038】
点弧電圧に対する決定的な量としてスパーク長または放電間隔をここで論じた関連でこのような局所的な電界増幅を、たとえば一方または両方の電極の小さい突出部によるものとすることができる。この場合、決定的な役割を果たす放電間隔は、このような突出部のそれぞれの先端から測る。つまりこの関連において、個々の個所における非連続的な一連の点弧電圧を生じさせることができ、この場合、本発明は有利には、このような局所的な電界増幅個所によって単調に段階づけられた種々異なる一連の点弧電圧が制御長内で規定される事例を目指している。
【0039】
この事例では請求項1記載の点弧電圧を、放電維持のための最小点弧電圧ではなく放電のための着火電圧とも一致させることができる。もちろん本発明によれば、このような極端な事例の間の移行も考えられる。この意味で、点弧電圧という用語を電極配置構成の個々の状況に合わせて解釈する必要がある。
【0040】
点弧電圧制御のため放電間隔を変化させる上述の事例のほか、アノードの幅を変化させる別の構成も可能である。一方で、アノード幅により、放電に利用できる局所的なアノード平面つまりは放電電流が決定される。やはりこの場合も放電電流に依存して、2つの有効電力パルスの間のデッドタイムインターバル終了時にもまだ放電媒体の残留イオン化が生じ、それによって再着火の確率が決まり、再着火電圧も決まる。これに加えて、アノード平面が広がり、つまりは放電電流が広い面積にわたり分布することで、誘電体における電圧降下が僅かになり、つまりは放電媒体における電界が大きくなる。
【0041】
もちろんこの場合、アノードの幅の変化を既述のカソード突出部に関連させて生じさせることもでき、実質的に平坦なカソードを必ずしも前提とはしていない。
【0042】
さらに別の可能性として、前述の説明と類似して放電電流つまりはガス充填物内の電界を制御する目的で、誘電体の幅を変えることもできる。このやり方の場合も、電極構造の不均一性により放電の点弧電圧を局所的に変化させることができる。
【0043】
したがって本発明によれば一方では、1つの制御長内で制御可能な個数の個別放電を設けることもできるし、あるいはそれぞれ1つの制御長に対応づけられた放電構造をそれらの個々のボリュームの広がりについて制御することもできる。後者の事例において本発明によれば、単調に位置に依存する点弧電圧をもつ適切な電極構造により、制御長内における放電構造の幅がカーテン状に広げられる。
【0044】
これまで、制御長に沿った点弧電圧の連続的な経過ならびに非連続的な位置依存性をもつ本発明の変形実施例について説明してきた。本発明の場合、出力制御という用語はそれに応じて一般的なものとして理解されたい。つまり離散的な出力段階の間における放電ランプの切り替えとすることができ、その際、出力段階は一方では、個別放電のそれぞれ対応づけられた局所的電界増幅個所をもつ既述の非連続的な電極構造によっても設定できるし、あるいはそれ相応の前置回路装置の電気的な段階によっても設定できる。
【0045】
さらに本発明は有利には、誘電妨害型放電による放電ランプのための調光回路に関する。ここで用語「調光」とは、所定の調光範囲を連続的なやり方でまたは少なくともほぼ連続的なやり方で出力制御部により実行できるようにした出力制御のことである。このことは既述の「非連続的な解決手段」の事例については、制御長内でいっそう多くの個数の局所的電界増幅個所を生じさせて、このような出力段階の選択において少なくともほぼ連続的に出力を設定できるようにする必要のあることを意味する。
【0046】
これまで放電電流および放電ボリュームの設定に関して、実例として放電ランプに加わる電圧による制御について言及してきた。しかしながら本発明を、基本的に出力設定または出力制御のための電気的パラメータというように、もっと広く理解されたい。この場合、パルス化された有効電力入力結合においては、放電ランプに加わる電圧のほか、有利には以下の変形実施例が考察されることになる:
まずはじめに、パルス化された有効電力入力結合において立ち上がりエッジの勾配を制御することができる。この変形実施例はいわば、個々のパルスの上昇領域におけるランプに加わる電圧の時間導関数にかかわる。ここではまずはじめに、本発明の基礎となる開発作業の実験結果を扱う。とはいえこのような制御のための説明のもととなるのは、電圧上昇がいっそう急峻になりつまりは高周波フーリエ成分が電圧経過特性にいっそう関与するとき、殊に誘電体における高周波伝導性が低周波や直流伝導性よりも改善され、ひいてはガス充填物内に存在する電界が高められる、ということである。このことは他の関連ですでに説明した。さらにこの場合、電界の時間導関数による電子エネルギー分布の変化も役割を果たしている。
【0047】
放電ランプにおける点弧電圧を制御するための有効電力供給の別の時間パラメータは、個々の有効電力パルス間のいわゆるデッドタイムであり、つまり個々のパルスの間で放電の点弧されない時間である。このデッドタイムが長くなればなるほど、当然ながらデッドタイム終了時にまだ生じている放電媒体中の残留イオンが僅かになる。再着火の確率もしくは再着火に必要とされる電圧はやはり、残留イオンの量に依存する。
【0048】
有効電力供給の別の時間的パラメータとしてさらに、パルス持続時間ならびにパルスの繰り返し周波数を挙げることができ、これを前述の説明と同じように本発明による出力制御に利用することができる。
【0049】
放電間隔を変化させるために本発明によれば、電極の少なくとも1つを正弦波形状するかまたは電極の少なくとも1つを鋸歯形状にして動作させるのが有利である。正弦波形状にはピークがなく、つまり全般的に丸い形状になっている。そのようなピークがあると、局所的な電界増幅の生じる可能性がある。これはたいていの場合、不所望であるといえる。電界増幅によって最初の着火を容易にすることができる一方、アノードにおいて電流密度が高まり、それによって放電効率を劣化させてしまう可能性がある。
【0050】
さらに正弦波形状の利点は、極値から出発して2つの側に向かい対称に延びていることであり、つまり放電構造におけるカーテン状の広がりを2つの方向で同時に形成することができる。この場合、放電構造において殊にその重心は一定に保たれており、このことは放電ランプの外観にとって有利なものとすることができる。
【0051】
また、鋸歯形状を、欠点となる可能性があるとしてさきほど言及した鋸歯のピークを、丸く形成することも当然ながら可能である。さらに鋸歯形状を2つの側で対称にすることもできるが非対称であってもよく、つまりこの場合、鋸歯形状はたとえば短い勾配の傾斜と長いが勾配の緩やかな傾斜から成る。鋸歯形状の基本ポイントは傾斜の直線性にあり、つまり放電間隔の位置依存性の直線性にある。このため、可変の電気的パラメータと放電間隔との間の精確な数学的関係は別として制御長に関して、電気パラメータへの外部からの介入と結果として得られる放電構造の幅の広がりと間で広範囲にわたり等しい関係が得られる。
【0052】
しかしここで、鋸歯形状のピークを丸くしないで構成するのが望ましい場合もある。これによれば、すでに言及した局所的電界増幅により対応する対抗電極に向かって配向されたピークの前で、放電の最初の着火を容易にする状況が作り出される。それにもかかわらずこのピークから出発して、放電構造におけるカーテン状に広げた形成を保つことができる。同じことは、制御長内で複数の放電構造を並べて配置することについてもあてはまる。
【0053】
電極配置構成に関する特徴的な幾何学的大きさについて、以下のような定量的な限定が好適であると判明した:
同じ制御長内での最小スパーク長dmin と最大スパーク長dmax との別の定量的関係を以下のように与えてもよい。すなわち、最小スパーク長と最大スパーク長との比を0.3よりも大きくし、有利には0.4および0.5そして0.9よりも小さくするのが好適である。
【0054】
制御長の定義と関連して重要であるのは、制御長を幾何学的な電極構造により定められる最小電極間隔と最大電極間隔との間の最大可能な区間に必ずしも対応させなくてもよいことである。ここで制御長とは、実際に本発明による電力制御により利用される電極装置の区間のことである。
【0055】
この相違点が重要となるのは殊に電極構造においてであり、たとえばすでに言及した2つの異なる側から利用できる正弦波形状または鋸歯形状においてである。つまりここで考慮に入れるのがよい電極のストライプ配置において、放電容器の一方の壁または対向する複数の壁に交番する順序で電極が設けられていて、その際、それらの電極のいくつかは放電のために2つの側に向かって、殊に互いに異なる側に向かって使われるように配置されている。両方の壁に向かって点弧する放電は電極ストライプ上で相互に妨害し合うので、その際にたとえば正弦波形状であれば正弦波の一方の所定の部分を可能な一方の放電側に対応づけ、他方の部分を他方の可能な放電側に対応づけることができ、もちろん一般的にはそれぞれすぐ近くに位置する部分に対応づけることができる。さらにたとえばこの場合、それぞれ異なる放電側に対応づけられた各領域の間に所定の中間区間を設けることもでき、そこからは基本的に放電を生じさせないようにする。
【0056】
本発明のように放電構造の幅を広げることに関して重要であると判明したのは、電極上たとえばカソード上に場合によっては存在する層が比較的滑らかなことである。慣用的に圧力プロセスに従って比較的平坦にデポジットされつまりは電極全体にわたって設けることのもできる発光物質の場合、妨げとなる粒状性の生じる可能性がある。適切な定量的限界は8μmの粒状正であり、それよりも下であればそのような層の上で放電構造の幅を広げることができる。いっそう良好に適しているのは、当然ながら5.3または1μmおよびそれ以下のいっそう小さい粒状性である。ここで前提としているのは、粒状性によってすべての層の基本的な問題が表されることであり、この点では発光物質層にかぎらない。他方、現在の技術レベルでは殊に発光層はときおり比較的粒が粗くなる。特定の理由で発光物質に対し十分に粒を細かくする代案がなければ、本発明によればカソードを完全に発光物質がないようにするのがよく、つまり発光物質のデポジットを省くのがよい。その他の層たとえばTiO2 またはAl2O3 から成る粒の細かい反射層については、必ずしもこのことに該当するものではない。
【0057】
しかしこのような実施形態を、カソード上に粒状の発光物質または他の粒状の層が設けられていると本発明による方法が機能しなくなってしまうと意味で理解してはならない。この場合、たとえば制御長にわたる放電間隔の上昇勾配などさらに別のパラメータも役割を果たし、それらによって粒状の層であっても相応の放電形成を実現することができる。
【0058】
本発明による作動方法の有利な実施形態によれば、バイポーラの電圧パルスによりランプが制御され、つまり前置回路装置により発せられる電圧パルスによって、反転した極性をもつ電圧パルスが生じる。この場合、ランプは2つの側に誘電妨害部分をもち、つまり電極全体が誘電層によって覆われている。バイポーラ動作法は、ここで説明した放電物理的な視点で同種の電極に殊に適しており、これらは時間的に交互に一時的なアノードまたはカソードの役割を担うことができる。
【0059】
バイポーラ動作法の利点としてたとえば、ランプ内の放電特性の対称化を挙げることができる。このことで非対称の放電特性により引き起こされる問題点が殊に効果的に回避され、たとえば黒化を招くおそれのある誘電体中のイオンの移動あるいは放電を劣化させる空間電荷蓄積の効率などが回避される。
【0060】
バイポーラ動作法のための前置回路装置として、たとえば変形されたフォワードコンバータが考慮に入れられる。この変形が目指しているのは、フォワードコンバータのトランスにおいて2次側回路内の電圧パルスに作用を及ぼす1次側回路の電流を方向転換することである。これは一般に、2次回路側で方向転換するための電子技術的な措置よりも簡単である。
【0061】
たとえばこの目的でトランスに2つの1次巻線をもたせることができ、これらは2つの電流方向のそれぞれ一方に割り当てられ、したがって2つの方向の一方だけの1次回路電流のために用いられる。つまり、両方の1次巻線に交互に電流が加えられる。そしてこのことはたとえば、タイミング制御される2つのスイッチを1次回路内で用いることにより行うことができ、それらのスイッチはそれぞれ2つの巻線のうち対応づけられた一方を流れる電流のタイミングをとる。したがって両方の電流方向の各々に、固有のタイミングスイッチと固有のトランス1次巻線が対応づけられている。
【0062】
本発明による前置回路装置を交流電流源に用いたときに有利であるのは、2つの1次側の電流方向について2つの蓄積コンデンサを設けることであり、これらの蓄積コンデンサは半周期ごとに交互に交流電流源により充電される。したがってそれらの蓄積コンデンサの一方に対し一方の極性の交流半周期が用いられ、他方の蓄積コンデンサに対し他方の極性の交流半周期が用いられる。したがってこれら両方の蓄積コンデンサから、それぞれ1つの方向のための電流を取り出すことができる。このことはトランス1次巻線の既述のような2重構成とともに行うことができるけれども、そのことは本来は必須ではない。そうではなくただ1つの1次巻線に対し、それ相応のスイッチにより交互に両方の蓄積コンデンサから給電することができ、その際、各蓄積コンデンサはそれぞれ1つの電流方向に対応づけられている。交流電流源から蓄積コンデンサを給電するためにそれ相応の整流回路を用いることができる。このような整流回路の詳細は当業者にとって自明である。
【0063】
すでに説明したように、本発明は相応の放電ランプのための動作法のみならず放電ランプと前置回路装置から成る適合したセットのことである照明装置のための動作方法も目指している。この場合、前置回路装置は本発明による方法を考慮して設計されており、つまりこの前置回路装置は出力制御部を有しており、これによれば放電ランプにおける出力制御の適切な電気的パラメータを前置回路装置によって制御することができ、それによって放電ボリュームを変化させるために放電ランプ内に相応に形成された電極構造を利用することができる。
【0064】
本発明の様々な実施形態に対するこれまの説明は照明装置についても同様にあてはなり、つまり放電ランプ内の電極構造ならびに前置回路装置内の出力制御装置についても同様にあてはまる。
【0065】
既述の説明で挙げた電極構造の格別な特徴を考慮して、本発明は相応に形成された放電ランプにもかかわり、それについてはこれまでの説明中の対応個所を参照されたい。
【0066】
図面の説明
次に、いくつかの実施例に基づき本発明についてさらに詳しく説明する。その際に開示される特徴は他の組み合わせでも可能であるし、あるいはそれ自体本発明の本質的なものであるともいえる。
【0067】
図1は、鋸歯状のアノードをもつ電極構造を示す平面図であり、これらは上から下に4つの出力段階で描かれている。
【0068】
図2は、正弦波状のアノードをもつ電極構造の部分平面図である。
【0069】
図3は、図2の構造を別の出力段階について示す図である。
【0070】
図4は、図2および図3に対する変形実施例を示す図である。
【0071】
図5は、正弦波状のカソードとアノードをもつ図2,図3ならびに図4に対する別の変形実施例を示す図である。
【0072】
図6は、本発明に従って構成された平面型放射器のベースプレートの平面図である。
【0073】
図7は、本発明による照明装置のブロック図である。
【0074】
図8は、図7による照明装置における放電ランプに加わる外部からの電圧とそこを流れる電流に関する測定曲線を示す図7に対応するダイアグラムである。
【0075】
図9は、変形実施例としてバイポーラ動作方法に適した前置回路装置を放電ランプとともに示す回路図である。
【0076】
図10は、図9による照明装置における放電ランプに加わる外部からの電圧とそこを流れる電流に関する測定曲線を示すダイアグラムである。
【0077】
図1には、直線的ストライプ状のカソード1と鋸歯ストライプ状アノード2から成る4つの同じ電極配置構成が上から下に示されている。上部領域には、カソード2の上に誘電被覆部4が描かれている。さらに、アノード2のストライプ構造の周期長が制御長SLとして書き込まれている。
【0078】
これらの電極の間には、誘電妨害型放電による放電ランプのパルス化されたユニポーラ動作に特徴的な三角波状の放電構造3が示されている。一番上に示された事例a)の場合、各制御長ごとに1つの放電構造を有している。その下に示されている事例b)の場合、各制御長内に第2の放電構造3が加わっている。他の2つの段階c)、d)についても同じことがあてはまり、この場合、一番下の段階では各制御長SLが4つの個別の三角波状放電3により実質的に完全に満たされている。これら4つの表示a)〜d)によって、一番上の事例における設定可能な最小出力の状態から一番下の事例における設定可能な最大出力の状態までの放電ランプの調光範囲が示されている。この場合、各出力段階は、制御長SL内における個別放電3の所定の個数に対応している。とはいえこのことが、連続的な調光範囲の不可能な非連続的出力制御に必ずしも相当するわけではない。その理由は、それぞれ異なる放電構造の個数をもつ各出力段階の間で、各放電構造の出力を連続的に変化させること自体もまったく可能だからである。
【0079】
さらに図面に示されているように、個々の放電3はまずはじめ、つまり印加される供給電圧が最小のとき、カソード1とアノード2との間隔が最小の領域で点弧し、つまり図面では各制御長のそれぞれ左端で点弧する。各制御長のもっとも左端に現れる最小放電間隔つまり最小スパーク長をdmin と称する。また、制御長SL内において最大のスパーク長は右端に位置しており、これは図1において下段の実例では1つの制御長内に並んだ最後の放電3によってはじめて到達する。
【0080】
それぞれ1つの放電構造をもつ一番上に示した実例についてさらに述べておくと、この放電構造3はそれぞれ鋸歯形状の1つの先端で作用しているので、それらの点弧は放電ランプの最初の始動にあたりそこで電界を上昇させることで容易になる。放電構造3の1つを最初に1回まえもって定め、つまりは近辺で所定の残留イオン化が生じるようにすれば、あとに示されている放電構造3の相応の点弧がそれによってすでに容易になる。
【0081】
図1を理解するうえで重要であるのは、上下に位置する4つの電極対を電極パターンのすべてと捉えないことである。なぜならばこの場合、鋸歯状のアノード2と隣接する構造におけるストライプ状カソード1との間でもそれぞれ放電が生じるからである。むしろこの図は、具体的に説明するためきわめて簡略化された実施例を4つの個別の形態で示したものである。
【0082】
図2にはこれに対し択一的な実施形態が示されており、この実施例ではアノード2が正弦波状に延びている。この場合も最小放電間隔領域でまず最初に三角形状の個別放電3が形成されている。
【0083】
図3には、カソード1と2つのアノード2から成る図2と同じ電極配置構成が示されているけれども、この場合には図2によりも高い出力段階が描かれている。図2および図3に示されている実施例の場合、第2または第3の個別の放電構造3をすでに図2に示されている放電構造の隣りに付け加えることはできない。むしろこの場合には、図2では比較的狭かった放電構造3がカーテンのように幅が広げられ、正弦波状のアノード2においてもストライプ状のカソード1においても長手方向区間が長く広がっている。
【0084】
図3に示されているように、そこに描かれているアノード2における個々の放電構造3はすでに、左側の領域に書き込まれた制御区間SLにほぼ達している。これに対し図2では同じ制御長SLは、放電構造3のアノード側によってごく小さい部分しか満たされていない。図2および図3には、交番的に並置されているカソードストライプ1とアノードストライプ2から成るもっと大きい電極配置構造の一部分が示されているにすぎない。したがってここに書き込まれている制御長SLは正弦波形状の周期長全体に相当しているのではなく、半周期長に相当しているだけである。この図に示されているカソード1に対し書き込まれた最大放電間隔dmax を越えた間隔をもつ個々の周期半部は、図示されていない別のカソード1に対する放電構造に対応づけられているものである。
【0085】
本発明の基礎となった開発作業を通して好適であると判明したのは、1つの制御長内で個々の放電構造をカーテン状に引き離して生じさせるのを容易にするため、ガス状の放電媒体たとえばXe放電充填物を比較的低い圧力に設定することである。この場合、低い圧力をたとえば80Torrよりも低い圧力とすることができ、あるいは60Torrよりも低い圧力であってもよい。ここに示されている実施例では、カーテン状に互いに引き離すために50TorrのXe充填物が適していると実証された。これに対し、個別放電の容積を変えることなく放電の個数を変えて互いに並置した実例では、100Torrのキセノン圧力が適していると実証された。
【0086】
図4にはさらに別の実施例が示されているが、これは図2および図3とは異なりカソード1が正弦波形状をもつ点で取り替えられている。そしてこの正弦波形状はやはりそれぞれ半周期長ごとに、正弦波状カソード1の互いに反対側の面に位置する2つのアノード2に対応づけられている。これによりこの実施例ではストライプ状のアノード2はそれぞれ2重に設けられており、したがって各アノード2はそれぞれ一方の側だけで放電を担っている。制御区間SL、最小スパー口調dmin、最大スパーク長dmax の幾何学的な大きさは、図2および図3の実施例に相応している。アノードを2重に構成する技術については、ドイツ連邦共和国特許出願 197 11 892.5 を参照されたい。これを本発明の参考文献とする。
【0087】
図5にはさらに別の変形実施例が示されており、この場合、カソード1もアノード2も正弦波状に構成されている。これによればそれぞれ隣り合う正弦波状ストライプが半周期分だけ互いに位相シフトされており、その結果、それらの最大値もしくは最小値がそれぞれ互いに向き合うかたちとなり、つまりは正弦波形状により隣り合う各電極間の放電間隔の変調が生じている。
【0088】
ここでもやはりあてはまるのは、各電極の「2面的な機能」によりそれぞれ半周期長だけが制御長SLとして生じており、したがって最大スパーク長dmax は実際に幾何学的に現れている最大間隔に対応していない。
【0089】
この構造の利点は、図4に示されているツインアノード2を省くことができ、1つの正弦波状アノード2と置き換えることができることである。本発明のこの構成については同一出願人による同日付の並行出願である「電極構造の改善された誘電妨害型放電用放電ランプ」を参照されたい。これを本発明の参考文献とする。
【0090】
次に、図4による構造に対応する具体的な実施例を図6に示す。ここではまず参照符号6により平面型放射器のガラスベースプレートが描かれており、つまり主境界壁として2枚のガラス板を備えた誘電妨害型放電によるフラットに構成された放電ランプのガラスベースプレートが示されている。平面型放射器のこのベースプレート6の上に、図4による電極パターンがメタルスクリーン印刷パターンとして被着されている。これによれば本来の電極1,2はフレーム7内に配置されており、このフレームによって図示のベースプレート6が図示されていないカバーフレートと結合され、放電ボリュームが外部に対し封止される。その際、各電極ストライプの延長部は放電ボリューム内部の区間とは異なりガラスろうフレーム7による封止部をそのまま通り抜けて案内されている。
【0091】
フレーム7内部では電極形状は図4に対応しており、つまりツインアノード2は直線状ストライプであり、カソード1は正弦波形状である。フレーム7の外側において電極の種類1,2の各々は、それぞれカソードにおけるバス状の外部導体8とアノードにおける外部導体9とにいっしょに接続されている。
【0092】
図1による実施例では0.6mm厚の誘電体が用いられ、つまり軟質ガラス層が用いられた。また、図2〜図6による実施例では250μm厚が採用され、そこではガラスろうであった。さらに図1、図2および図3、図4および図6、ならびに図5による各実施例において、最小スパーク長dmin と最大スパーク長dmax ならびに制御長について以下の値が成り立つ(単位:mm)。
【0093】
【表1】
【0094】
対応する放電ランプの出力制御は、パルス状の電力供給による電圧振幅の変化により行った。
【0095】
図1による構造の事例では具体的に示すため、電圧を変化させることにより、もしくは一定の電圧振幅においてパルス繰り返し周波数を変化させることにより、並行して一連の2つの実験を実行した。それぞれの結果を以下の表に示す。ここで表の各行は順番に図1の4つの個別の形態に対応している。
【0096】
【表2】
【0097】
図2〜図6に示されている事例では個別放射構造3のカーテン状の形成を意図しているので、そこでは発光物質層においてカソード1の個所に開口部を設けた。カソード表面をこのようにして滑らかにすることで、圧力をいくらか高めたときでもカーテン状の放電形成が可能となる。したがってこれらの事例では、Xe充填ガスを用いて10kPaの圧力も使われた。
【0098】
図7には本発明による別の平面型放射器の電極構造が略示されており、これはバイポーラ動作法による変形実施形態のためにも構成されている。それゆえ、第1の極性をもつ第1の種類の電極10と第2の極性をもつ第2の種類の電極11とから成る電極構造全体が、(図示されていない)厚さ約150μmのガラスろう層で覆われている(2面の誘電妨害型放電)。第1の種類の電極10は対を成して配置された一連の電極ストライプから成り、その際、電極対全体が互いに接続されており、つまり等しい電位におかれている。この場合、各電極対は互いに鏡像的な鋸歯状の2つの電極ストライプから成る。これらの電極における各々の「鋸の歯」は、長く平坦な傾斜と短く急峻な傾斜を有している。長い傾斜は制御長として機能する。第2の種類の電極11は直線状電極ストライプを有しており、それらはやはり対を成して第1の種類の各電極対の間に配置されている。さらに直線状電極ストライプは互いに並行に配向されていて相互に接続されており、つまりそれらは等しい電位におかれている。鋸歯状電極ストライプとすぐ隣りに位置する直線状電極ストライプとの間すなわち「鋸の歯」とすぐ隣りに位置する直線状電極との間の最小間隔は約3mmであり、最大間隔すなわち「切れ込み」とすぐ隣りに位置する直線状電極との間の間隔は約5mmである。
【0099】
この平面型放射器の(図示されていない)放電容器は図6の実施例と同様、ベースプレートとフロントプレートとフレームによって形成されている。これらのプレートは厚さ2mm、105mm×137mmのサイズのガラスから成る。また、ベースプレートとフレームには、Al2O3 またはTiO2 から成る光反射層が被着されている。それに続いて内側表面全体に3バンド発光層が設けられている。ユニポーラ動作で80kHzの電圧パルス周波数において制御量としてピーク電圧を用いることで、各々の「鋸の歯」とすぐ隣りの直線状電極との間におけるデルタ状の部分放電の個数を制御することができる。3.5Wの平均消費電力に従い1.35kVのピーク電圧のとき、各々の鋸の歯の先端とすぐ隣りの直線状電極との間で1つの部分放電がそれぞれ点弧する。8Wの平均消費電力に従い1.39kVのピーク電圧のときには鋸の歯ごとに2つの部分放電が点弧し、それらは1つの鋸の歯の先端で始まり鋸の歯における長い方の傾斜に沿ってすなわち制御長に沿って並んで配置されている。
【0100】
図8には、図7による電極構造の変形実施例が示されている。この実施例が図7と異なる点は基本的に、図8では第2の電極の種類すなわち直線状電極ストライプが欠けていることである。この場合、鋸歯状電極ストライプは、それぞれ対ごとに互いに異なる極性をもつ2つの鏡像的な電極が対置するよう、2つのグループ12,13にまとめられている。図7のところで説明したように出力を上昇させると、つまりたとえば電力を2.5Wから3.6Wさらには5Wに高めることに応じて、制御量としてピーク電圧を用いて1.48kVから1.5kVへ、さらには1.53kVに高めると、最初は各々の「鋸の歯」の先端に生じていたデルタ状の部分放電が、鋸の歯の長い方の傾斜に沿ってカーテン状に幅の広がった構造となって拡大し、そのような構造においてはもはや、個々のデルタ状の部分放電はいずれにせ明確には視覚的に識別できない。なお、図8による電極構造の場合には、制御量として動作周波数を用いることによってもこのような効果を達成することができ、たとえば動作周波数を50kHから111kHzに高めることによっても達成できる。注目すべきことは、その場合にはピーク電圧が低減し、つまり1.53kVから1.46kVへ下がる。そして電力消費は2Wから5Wに上昇する。
【0101】
パルス化された動作により誘電妨害型放電を生じさせる様々な動作条件のもとでの特徴的な部分放電の形状や構造についてのその他の詳細な点については、すでに引用した WO 94/23 442 を参照されたい。また、ここで示した放電ランプに関するその他の技術的な詳細な点については、すでに引用したドイツ連邦共和国特許出願 197 11 892.5 を参照されたい。
【0102】
図9には、バイポーラ動作法による変形実施例のために設計された前置回路装置の概略的な回路図が示されている。つまりこの場合、交番する極性の外部電圧パルスが、たとえば図7または図8で説明したタイプの誘電妨害型放電ランプLへ印加される。この目的でトランスTは2つの1次巻線を有しており、これらの巻線は互いに逆の巻回方向で図9に書き込まれている。1次巻線の各々は、それらに対応づけられたスイッチングトランジスタTQ と電気的に直列に接続されており、これらのスイッチングトランジスタには固有の制御装置SEが設けられている。もちろん、両方の制御装置を1つの一体的な制御装置の2つの機能として捉えることも可能であり、ここでシンボリックに表そうとしているのは、両方の1次巻線がいっしょにではなく交番的にタイミング制御される点だけである。これら2つの1次巻線の巻回方向が逆であることから、1次巻線をタイミング制御したときにトランスTは互いに逆極性の電圧パルスをそのつど2次回路Sに発生させる。要約して述べると、図9による回路では1次巻線W1、スイッチTQ および制御装置SEから成る部品グループが2重に形成されており、その際、巻回方向によって極性符号の逆転が行われている。
【0103】
図10には、外部ランプ電圧UL とランプ電流IL についてそれ相応の実際の測定曲線が示されている。ここで留意したいのは、測定された外部ランプ電圧UL は本来のパルスの電圧と2次回路の固有振動の電圧から合成されている点である。とはいえ後者は、放電に対し少なくとも重大な影響は及ぼさない。むしろ重要なのは本来の電圧パルスであって、これによって向きの変わる点弧の対応するランプ電流パルスが引き起こされ、ひいてはすでに WO 94/23442 で開示されている有効電力パルス駆動が生じる。外部ランプ電圧の点弧パルスからも向きの変わる点弧のランプ電流からも、バイポーラ動作法の行われていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 鋸歯状のアノードをもつ電極構造を示す平面図であり、これらは上から下に4つの出力段階で描かれている。
【図2】 正弦波状のアノードをもつ電極構造の部分平面図である。
【図3】 図2の構造を別の出力段階について示す図である。
【図4】 図2および図3に対する変形実施例を示す図である。
【図5】 正弦波状のカソードとアノードをもつ図2,図3ならびに図4に対する別の変形実施例を示す図である。
【図6】 本発明に従って構成された平面型放射器におけるベースプレートの平面図である。
【図7】 本発明による照明装置のブロック図である。
【図8】 図7による照明装置における放電ランプに加わる外部からの電圧とそこを流れる電流に関する測定曲線を示す図7に対応するダイアグラムである。
【図9】 変形実施例としてバイポーラ動作方法に適した前置回路装置を放電ランプとともに示す回路図である。
【図10】 図9による照明装置における放電ランプに加わる外部からの電圧とそこを流れる電流に関する測定曲線を示すダイアグラムである。
Claims (31)
- 放電媒体を含む放電容器と、アノード(2)およびカソード(1)を有する電極装置と、少なくとも前記のアノード(2)と放電媒体との間に誘電層(4)が設けられており、
前記電極(アノード,カソード)の少なくとも1つは鋸歯形状を有しており、当該鋸歯形状は、短く、勾配が急な傾斜と、長く、勾配が緩やかな傾斜とが交番する列によって形成されており、当該長く、勾配が緩やかな傾斜部分に相応する、前記電極装置(1、2)の部分が制御長(SL)として決められ、当該制御長(SL)に沿って放電間隔が単調に変化していることで、前記電極装置(1,2)は当該制御長(SL)に沿って点弧電圧の変化について不均一である、
放電ランプの作動方法において、
前記制御長(SL)内の各電極(1,2)間の最大スパーク長dmaxと、前記制御長(SL)内の各電極(1,2)間の最小スパーク長dminの差と、該制御長(SL)との定量的な比率について、(dmax −dmin)/SL≦0.6とし、
前記最大スパーク長dmaxは、前記アノード(2)と前記カソード(1)との間の最大電極間距離であり、前記最小スパーク長dminは、前記アノード(2)と前記カソード(1)との間の最小電極間距離であり、
動作中、放電ランプの電力供給についての電気的パラメータを変化させて放電ランプの出力を制御することを特徴とする、
放電ランプの作動方法。 - 前記の不均一性を付加的にアノードの幅の変化により生じさせる、請求項1記載の作動方法。
- 前記の不均一性を付加的に誘電層(4)の厚さの変化により生じさせる、請求項1または2記載の作動方法。
- 前記制御長(SL)内で出力制御にあたり放電ボリュームを変化させる、請求項1から3のいずれか1項記載の作動方法。
- 出力制御における前記の放電ボリューム変化を、制御長内で制御可能な個数の個別放電を生じさせることにより実現する、請求項4記載の作動方法。
- 制御長(SL)内に局所的電界増幅のための所定数のカソード個所を設け、該局所的電界増幅のためのカソード個所により、種々の点弧電圧をもつ単調に段階づけられた列を規定する、請求項1から5のいずれか1項記載の作動方法。
- 出力制御にあたり制御長(SL)内で個々の放電構造(3)の個数を変化させ、該放電構造(3)の各々を前記局所的電界増幅のためのカソード個所の1つのところにそれぞれ配置する、請求項6記載の作動方法。
- 放電ランプの電極(1,2)に所定数の制御長(SL)を一列にもたせる、請求項1から7のいずれか1項記載の作動方法。
- 電力供給の電気的パラメータを連続的に変化させて放電ランプの調光を行う、請求項1から8のいずれか1項記載の作動方法。
- 前記電気的パラメータは、前記放電ランプ内にパルス化されて入力された有効電力の電圧振幅である、請求項1から9のいずれか1項記載の作動方法。
- 前記電気的パラメータは、前記放電ランプ内にパルス化されて入力された有効電力の立ち上がりエッジの勾配である、請求項1から9のいずれか1項記載の作動方法。
- 前記電気的パラメータは、前記放電ランプ内にパルス化されて入力された有効電力のデッドタイムである、請求項1から9のいずれか1項記載の作動方法。
- 前記電気的パラメータは、前記放電ランプ内にパルス化されて入力された有効電力のパルス持続時間である、請求項1から9のいずれか1項記載の作動方法。
- 前記電気的パラメータは、前記放電ランプ内にパルス化されて入力された有効電力のパルス繰り返し周波数である、請求項1から9のいずれか1項記載の作動方法。
- 鋸歯形状をもつ電極とそれに対し鏡像的な電極を対として互いに並行に配置する、請求項1記載の作動方法。
- 鋸歯形状をもつ隣り合う2つの電極対の間に2つの平行な直線状電極(11)を配置する、請求項15記載の作動方法。
- (dmax −dmin)/SL≦0.4とする、請求項1から16のいずれか1項記載の作動方法。
- (dmax −dmin)/SL≦0.5とする、請求項1から16のいずれか1項記載の作動方法。
- 同じ制御長(SL)内の各電極(1,2)間の最小スパーク長dminと最大スパーク長dmaxとの間の定量的な比率について、0.3<dmin/dmax<0.9とする、請求項1から16のいずれか1項記載の作動方法。
- 同じ制御長(SL)内の各電極(1,2)間の最小スパーク長dminと最大スパーク長dmaxとの間の定量的な比率について、0.4<dmin/dmax<0.9とする、請求項1から16のいずれか1項記載の作動方法。
- 同じ制御長(SL)内の各電極(1,2)間の最小スパーク長dminと最大スパーク長dmaxとの間の定量的な比率について、0.5<dmin/dmax<0.9とする、請求項1から16のいずれか1項記載の作動方法。
- カソード(1)を覆う層は8μmまたはそれ以下の粒状性を有する、請求項1から21のいずれか1項記載の作動方法。
- 前記カソード(1)には発光物質層は設けられていない、請求項1から22のいずれか1項記載の作動方法。
- 電力を供給する1次回路(P)、放電ランプ(L)を含む2次回路(S)ならびに前記1次回路(P)を前記2次回路(S)と結合するトランス(T)を備えた前置回路装置を用い、該前置回路装置を、電圧パルスごとに極性符号の交番する外部電圧(UL)が前記放電ランプ(L)へ印加されるように構成する、請求項1から23のいずれか1項記載の作動方法。
- 前記トランス(T)における1次側の電流(IW1)の方向を電圧パルスごとに交番させる、請求項24記載の作動方法。
- 前記トランスに2つの1次巻線(W1)を設け、該1次巻線を2つの電流方向のそれぞれ一方に割り当てる、請求項25記載の作動方法。
- 前記1次回路に2つのスイッチ(TQ)を設け、該スイッチにより前記2つの巻線(W1)の一方を通る電流をそれぞれタイミング制御する、請求項26記載の作動方法。
- 前記1次回路を交流電流源によって給電し、該交流電流源は2つの蓄積コンデンサを半周期ごとに交互に充電し、各蓄積コンデンサを2つの電流方向のそれぞれ一方に割り当てる、請求項24から27のいずれか1項記載の作動方法。
- 放電媒体を含む放電容器と、アノード(2)およびカソード(1)を備えた電極装置と、少なくとも前記のアノード(2)と放電媒体との間に誘電層(4)と、前置回路装置が設けられており、
前記電極(アノード,カソード)の少なくとも1つは鋸歯形状を有しており、当該鋸歯形状は、短く、勾配が急な傾斜と、長く、勾配が緩やかな傾斜とが交番する列によって形成されており、当該長く、勾配が緩やかな傾斜部分に相応する、前記電極装置(1、2)の部分が制御長(SL)として決められ、当該制御長(SL)に沿って放電間隔が単調に変化していることで、前記電極装置(1,2)は当該制御長(SL)に沿って点弧電圧の形状について不均一である、放電ランプを備えた照明装置において、
前記制御長(SL)内の各電極(1,2)間の最大スパーク長dmaxと、前記制御長(SL)内の各電極(1,2)間の最小スパーク長dminの差と、該制御長(SL)との定量的な比率について、(dmax −dmin)/SL≦0.6が成り立ち、
前記最大スパーク長dmaxは、前記アノード(2)と前記カソード(1)との間の最大電極間距離であり、前記最小スパーク長dminは、前記アノード(2)と前記カソード(1)との間の最小電極間距離であり、
前記前置回路装置は、前記放電ランプの電力供給の電気的パラメータを変えることにより前記放電ランプの出力を制御する出力制御装置を有することを特徴とする、
放電ランプを備えた照明装置。 - 請求項2から28のいずれか1項記載の作動方法のために構成されている、請求項29記載の照明装置。
- 放電媒体を含む放電容器と、アノード(2)とカソード(1)を備えた電極装置と、少なくとも前記のアノード(2)と放電媒体との間に誘電層(4)が設けられており、請求項1から29のいずれか1項記載の方法のために構成されており、前記電極(アノード,カソード)の少なくとも1つは鋸歯形状を有しており、当該鋸歯形状は、短く、勾配が急な傾斜と、長く、勾配が緩やかな傾斜とが交番する列によって形成されており、当該長く、勾配が緩やかな傾斜部分に相応する、前記電極装置(1、2)の部分が制御長(SL)として決められ、当該制御長(SL)に沿って放電間隔が単調に変化しており、
前記制御長(SL)内の各電極(1,2)間の最大スパーク長d max と、前記制御長(SL)内の各電極(1,2)間の最小スパーク長d min の差と、該制御長(SL)との定量的な比率について、(d max −d min )/SL≦0.6とし、
前記最大スパーク長d max は、前記アノード(2)と前記カソード(1)との間の最大電極間距離であり、前記最小スパーク長d min は、前記アノード(2)と前記カソード(1)との間の最小電極間距離である、
ことを特徴とする放電ランプ。
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