JP4934811B2 - 光反応性化合物、光反応性ポリアミンおよびポリアミンシートの製造方法 - Google Patents
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Description
(1)DNAチップの基板修飾用として使用されてきたポリアミンは、固相上全体に被覆されるため非特異的吸着により微粒検出が困難であること。
(2)一般にDNAチップやプロテインチップで汎用されるスライドガラスは、目的に応じた表面処理が必要であること。
(3)固相表面での生体分子結合には表面処理により液相環境を与えることが必要であること。
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参考文献4:Improvement in the properties of 3-phenyl-3-trifluoromethyldiazirine based photoreactive bis-glucose probes for GLUT4 following substitution on the phenyl ring., Chem. Pharm. Bull., 50, 1004-1006, 2002.
参考文献5:One-step Synthesis of Biotinyl Photoprobes from Unprotected Carbohydrates., J. Org. Chem., 65, 5639-5643, 2000.
参考文献6:A Rapid and Efficient Method for Identifying Photoaffinity Biotinylated Sites within Proteins., J. Am. Chem. Soc., 120, 453-454, 1998.
参考文献7:特開2000-319262号公報(発明の名称:フェニルジアリジン化合物及び光親和性標識試薬)
本発明者等は、前記光アフィニティー法の研究において新たに開発された光反応性化合物が、DNAチップやプロテインチップを製造する上でのポリアミンによる基板修飾に特に適しており、それを用いることにより上記の課題を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。
これらの化合物は、光反応性のジアジリン構造及び反応性のエポキシ基を有しているため、エポキシ基を介してポリアミンと反応し、ポリアミンに光反応性のジアジリン構造を導入するための原料として使用できる。
(式中、R1及びR2は上記と同様である。)
本発明の第4の態様は、上記の製造方法で製造されたポリアミンシートである。
本発明において、特にことわりがない限り、ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を;アルキル基とは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチルなどの直鎖状または分岐状のC1-6アルキル基を;アルケニル基とは、ビニル、アリル、イソプロペニルなどの直鎖状または分岐状のC2-6アルケニル基を;アルコキシ基とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシなどの直鎖状または分岐状のC1-6アルコキシ基を、それぞれ意味する。
また、本発明において、平均分子量は、特にことわりがない限り、重量平均分子量を意味する。
また、R2のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基としては、例えば、フルオロメチル、クロルメチル、フルオロエチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリクロルメチルなどが挙げられるが、好ましいものとしてトリフルオロメチルが挙げられる。
ポリアミン化合物(10)の平均分子量は、平均分子量が2,000〜100,000の範囲、好ましくは5,000〜80,000の範囲、より好ましくは10,000〜50,000の範囲である。
ポリアミン化合物(11)の平均分子量は、平均分子量が2,500〜150,000の範囲、好ましくは2,500〜120,000の範囲、より好ましくは3,000〜100,000の範囲である。
また、式(C)で表される繰返し単位と式(C’)で表される繰返し単位のモル比は、例えば、100:0〜0:100であることができる。
ポリアミン化合物(12)の平均分子量は、平均分子量が2,000〜150,000の範囲、好ましくは2,500〜120,000の範囲、より好ましくは3,000〜10,000の範囲である。
ポリアミン化合物(13)の平均分子量は、平均分子量が2,000〜100,000の範囲、好ましくは5,000〜80,000の範囲、より好ましくは10,000〜50,000の範囲である。
また、式(B)で表される繰返し単位と式(B’)で表される繰返し単位のモル比は、例えば、100:0〜0:100であることができる。
ポリアミン化合物(14)の平均分子量は、平均分子量が2,000〜150,000の範囲、好ましくは2,500〜120,000の範囲、より好ましくは3,000〜10,000の範囲である。
また、式(C)で表される繰返し単位と式(C’)で表される繰返し単位のモル比は、例えば、100:0〜0:100であることができる。
ポリアミン化合物(15)の平均分子量は、平均分子量が2,000〜150,000の範囲、好ましくは2,500〜120,000の範囲、より好ましくは3,000〜10,000の範囲である。
一般式(2a)の化合物は、一般式(1a)の化合物をエポキシ化することにより製造できる。この反応は、エポキシドをアルデヒドより合成する公知の方法[第4版実験化学講座20、215-218、(1992)、丸善、など]で実施すればよい。具体的には、例えば、含水アセトニトリルなど溶媒中で、ジメチルスルホニウムメチリドなどにより、アルデヒドのカルボニルにメチレン単位を付加環化させればよい。
一般式(1a)の化合物は、例えば、Heterocycls, 49, 465-468(1998)及びJ. Am. Chem. Soc., 115, 3458-3474(1993)などに記載の方法、またはそれらに準じた方法により調製することができる。
通常、エポキシ化合物は、アミンにより求核置換反応により、温和な条件下で環開裂を伴って2−アミノアルコール誘導体を生成する。具体的に製造法B1として図示した。
本発明に使用されるポリアルキレンイミンの好ましい例としては、以下の式で示されるポリエチレンイミンが挙げられる。
ゲル濾過におけるポリアミン化合物の溶出は、254nmおよび360nmの吸光度を測定することで確認すればよい。
なお、製造法B1においては、表記上、全てアミノ基に置換フェニル基が付加されているが、実際の本発明のポリアミン化合物は、ポリアミンの一部のアミノ基は、フリーのアミノ基(置換フェニル基が付加していないアミノ基)として存在する。
また、ポリアミン化合物(10)、(11)および(12)は、それぞれ(3A)、(4A)および(5A)とポリアルキレンイミン、ポリアルキルアミンおよびポリアミノ酸の複数の繰り返し単位からなる共重合体であり、各ポリアミン化合物における各繰り返し単位はランダムに配列する。
一般式(5A)の化合物は、例えば、J. Am. Chem. Soc., 106, 7540-7545(1984) に記載された方法またはそれに準じた方法により製造することができる。具体的な化合物として、3-(4-(ブロモメチル)フェニル)-3-(トリフルオロメチル)-3H-ジアジリンが挙げられる。
製造法B2おけるポリアルキレンイミノ、ポリアルキルアミノ、ポリアミノ酸としては、例えば、ポリエチレンイミノ、ポリアリルアミン、ポリ-L-リジンなどが挙げられる。
上記したポリアミンとXが臭素である一般式(5A)の化合物を、例えば、ジメチルホルムアミド−水(1:1)の混合溶媒中、50℃付近で遮光下に終夜反応させ、反応終了後、溶媒を留去し、さらにゲル濾過などにより精製して目的のポリアミン化合物(13)、(14)および(15)の成分である(6A)、(7A)および(8A)を製造することができる。
ゲル濾過におけるポリアミン化合物の溶出は、254nmおよび360nmの吸光度を測定することで確認すればよい。
なお、製造法B2においては、表記上、全てアミノ基に置換フェニル基が付加されているが、実際の本発明のポリアミン化合物は、ポリアミンの一部のアミノ基は、フリーのアミノ基(置換フェニル基が付加していないアミノ基)として存在する。
また、ポリアミン化合物(13)、(14)および(15)は、それぞれ(6A)、(7A)および(8A)とポリアルキレンイミン、ポリアルキルアミンおよびポリアミノ酸の複数の繰り返し単位からなる共重合体であり、各ポリアミン化合物における各繰り返し単位は、ランダムに配列する。
一般式(1a)の化合物は、例えば、Heterocycls, 49, 465-468(1998)に記載された方法またはそれに準じた方法により製造することができる。具体的な化合物として、4-[3-トリフルオロメチル-3H-ジアジリン-3-イル]ベンズアルデヒドが挙げられる。
製造法B3おけるポリアルキレンイミノ、ポリアルキルアミノ、ポリアミノ酸としては、例えば、ポリエチレンイミノ、ポリアリルアミン、ポリ-L-リジンなどが挙げられる。
上記したポリアミンと化合物(1)を、例えば、酢酸−水−メタノール(7:1:8)の混合溶媒中、50℃付近で遮光下に1日反応させ、次いでNaCNBH3を加えた後、さらに50℃付近で遮光下に1日反応させる。
反応終了後、溶媒を留去し、さらにゲル濾過などにより精製して目的のポリアミン化合物(13)、(14)および(15)の成分である(6A)、(7A)および(8A)を製造することができる。
ゲル濾過におけるポリアミン化合物の溶出は、254nmおよび360nmの吸光度を測定することで確認すればよい。
なお、製造法B3においては、表記上、全てアミノ基に置換フェニル基が付加されているが、実際の本発明のポリアミン化合物は、ポリアミンの一部のアミノ基は、フリーのアミノ基(置換フェニル基が付加していないアミノ基)として存在する。
また、ポリアミン化合物(13)、(14)および(15)は、それぞれ(6A)、(7A)および(8A)とポリアルキレンイミン、ポリアルキルアミンおよびポリアミノ酸の複数の繰り返し単位からなる共重合体であり、各ポリアミン化合物における各繰り返し単位は、ランダムに配列する。
本発明は、ポリアミン化合物(10)、(11)、(12)、(13)、(14)または(15)を含む溶液を基板表面に塗布し、次いで紫外線照射してポリアミン化合物を基板表面上に結合させることを含む。
アミンシートは、例えば、以下のスキームで作成することができる。なお、表記上、全てアミノ基に置換フェニル基が付加されているが、実際の本発明のポリアミン化合物は、ポリアミンの一部のアミノ基は、フリーのアミノ基(置換フェニル基が付加していないアミノ基)として存在する。
塗布液に使用する溶媒としては、通常、水を使用すればよいが、光反応ポリアミンの溶解性などの物性により水以外の溶媒、例えば、各種緩衝液やジメチルホルムアミドなどを単独または混合して使用することができる。
ポリアミン化合物と溶媒との混合比は、ポリアミン化合物が溶解される量であれば、特に限定されないが、例えば、ポリアミン化合物(12)の場合、1mLの溶媒に0.01〜10mgを溶かして用いることができる。他のポリアミン化合物の場合もほぼ同様の条件で混合することができる。
具体的なポリアミンシートの作成手順は、例えば、1.0mg/mLのポリアミン化合物の水溶液の適当量をポリプロピレンシートにスポッティングし乾燥させる。次いで、100Wブラックライトランプを30分間照射した後、イオン交換水、1M塩酸、超純水の順で洗浄すればよい。
本発明の反応性のポリアミンは、ポリプロピレンの光反応で焼付けでき、新しいタイプのアミンシートを作成することができる。
(2)本発明のポリアミンシートは、スポッティング前に基板の樹脂に特別な処理をする必要が全くなく、簡便かつ迅速で低コストにDNAチップなどを作製することができる。
(3)本発明のポリアミンシートは、固定されたポリアミンが3次元的で柔軟な構造をとることで、その後の生体物質の反応系においてより液相中の環境に近くなり、しかも単位面積あたりの物質の固定化量の向上を図ることができる。
(4)本発明のポリアミンシートは、DNAを基板上に静電気的に固定する場合、オリゴマーやDNAの結合および除去をpHの調整により容易に行うことができる。
以下、本発明を実施例および試験例で説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下の反応式において、ポリアミン化合物は、便宜上、全てアミノ基に置換フェニル基が付加されているが、実際の本発明のポリアミン化合物は、ポリアミンの一部のアミノ基は、置換フェニル基が付加していないアミノ基として存在する。
3-(4-オキシラニルフェニル)-3-トリフルオロメチル-3H-ジアジリン(2)の合成
[3-(4-Oxiranylphenyl)-3-trifluoromethyl-3H-diazirine]
1H NMR (500MHz, CDCl3, 25℃):δ 7.31 (d, 2H, J=8.3Hz), 7.18 (d, 2H, J=7.9Hz), 3.81 (dd, 1H, J=2.6, 3.8Hz), 3.17 (dd,1H, J=5.6, 3.8Hz), 2.75 (dd,1H, J=2.6, 5.6Hz)
3-(3-メトキシ-4-オキシラニルフェニル)-3-トリフルオロメチル-3H-ジアジリン(2a)の合成
[3-(3-Methoxy-4-oxiranylphenyl)-3-trifluoromethyl-3H-diazirine]
1H NMR (500MHz, CDCl3, 25℃):δ 7.17 (d, 1H, J=8.1 Hz), 6.79 (d, 1H, J=8.1 Hz), 6.62 (s, 1H), 4.16 (dd, 1H, J=2.6, 3.8 Hz), 3.87 (s, 3H), 3.15 (dd, 1H, J=3.8, 6.0 Hz), 2.64 (dd, 1H, J=2.6, 6.0 Hz).
* 使用カラム;(ゲル部分) 内径0.75cm、高さ18cm、体積31.8cm3
使用ゲル;セファデックス(Sephadex)G15
フラクション;約0.7mLずつ試験管にとった
溶出パターンを図1に示す。
* 使用カラム;(ゲル部分) 内径0.75cm、高さ18cm、体積31.8cm3
使用ゲル;セファデックスG15
フラクション;約0.7mLずつ試験管にとった。
溶出パターンを図2に示す。
* 使用カラム;(ゲル部分) 内径 0.75cm、高さ 36cm、体積 63.6cm3
使用ゲル;セファデックス G15
フラクション;約1mlずつ試験管にとった。
溶出パターンを図3に示す。
・光反応性ポリアミン1.20mg/水1.0mLを10倍希釈したものの吸光度;0.0806
・ジアジリン-エポキシドのεの値;151
(波長;356nm)(溶媒;水:メタノール=4:1)
上記の2つの値と式A=εclより
ジアジリンによるポリアミンの修飾率; 4.44×10-3mol/1.00mg
* 使用カラム;(ゲル部分) 内径0.75cm、高さ18cm、体積31.8cm3
使用ゲル;セファデックスG15
フラクション;約0.7mlずつ試験管にとった。
溶出パターンを図4に示す。
*使用カラム;(ゲル部分) 内径0.75cm、高さ18cm、体積31.8cm3
使用ゲル;セファデックスG15
フラクション;約0.7mlずつ試験管にとった。
溶出パターンを図5に示す。
*使用カラム;(ゲル部分) 内径0.75cm、高さ18cm、体積31.8cm3
使用ゲル;セファデックスG15
フラクション;約0.7mlずつ試験管にとった。
溶出パターンを図6に示す。
* 使用カラム;(ゲル部分) 内径0.75cm、高さ18cm、体積31.8cm3
使用ゲル;セファデックスG15
フラクション;約1mLずつ試験管にとった。
溶出パターンを図7に示す。
タンパク質のポリアミンシートへの固定(概念図を図8に示す)
DIA−ポリエチレンイミンの1%(W/V)水溶液5μL、西洋ワサビパーオキシダーゼ(HRP)の1%(W/V)水溶液5μLの混合液を、ポリプロピレンシート状にスポッティングし減圧下20分間乾燥した。次いで、紫外線を照射(360nm,15W×2で60分)した後、緩衝液中で1分間超音波洗浄した。
ルミノール発光によって、シート上に固定化されたHRPの活性を確認した。
Claims (12)
- 式(3)で表される繰返し単位と式(A)で表される繰返し単位のモル比が、1:50〜1:2の範囲である請求項4記載のポリアミン化合物。
- 式(4)で表される繰返し単位と式(B)及び(B’)で表される繰返単位のモル比が、1:50〜1:2の範囲である請求項6記載のポリアミン化合物。
- 式(6)で表される繰り返し単位と式(C)及び(C’)で表される繰返し単位が1:50〜1:2の範囲である請求項8記載のポリアミン化合物。
- 請求項3から9のいずれか一項に記載のポリアミン化合物を含む溶液を基板表面に塗布し、次いで紫外線を照射してポリアミン化合物を基板上に結合させることを特徴とするポリアミンシートの製造方法。
- 基板表面が樹脂性である請求項10に記載の製造方法。
- 請求項10または11に記載の製造方法により製造されたポリアミンシート。
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