JP4934016B2 - 解しテンペ菌発酵食品の製造方法及び解しテンペ菌発酵食品 - Google Patents

解しテンペ菌発酵食品の製造方法及び解しテンペ菌発酵食品 Download PDF

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本発明は調理し易いテンペ菌発酵食品の製造方法及びその製造方法によって得られたテンペ菌発酵食品に関するもので、調理し易いテンペ菌発酵食品を効率的かつ簡便に製造することを目的に開発したものである。
テンペ菌(リゾプス属菌)を用いた発酵食品の製造方法については、インドネシアでの伝統的な製造方法を基本にして、衛生的・工業的視点から様々な製造方法が提案され、業界誌の「食品工業」や、「日本醸造協会誌」などに研究論文が散見されるところである。テンペ菌発酵食品とその製造方法の発明も種々の提案があり、その多くは、テンペ菌発酵食品の風味、味覚の改善であって、テンペ菌発酵食品が実際に調理される際の利便性を検討したものは多くはない。
たとえば、特許文献1には、発酵時の工夫として、大豆を洗浄し、水煮して脱皮の後、乳酸を1〜5%添加して2〜3時間浸漬し、蒸煮後冷却し、その後リゾプス属菌を接種し23〜27℃で24〜30時間発酵してテンペ発酵物とし、このテンペ発酵物をミートチョッパー等により磨砕の後水漉しをし、更に脱水して固形分比50〜70%の糖類を添加し、80〜100℃で15〜30分間加熱、混練して大豆餡とするとある。磨砕工程については、テンペを餡にするために行うのであるから、大豆粒が潰れればよい。したがって、ミートチョッパー、ミキサー若しくはすり鉢を使用して大豆を潰すとの記載がある。
特許文献2は、γ−アミノ酪酸が高濃度に含有する大豆発酵食品を生産することが提案されている。該大豆発酵食品の二次加工についてはそのままの形態でも利用可能であるが、加熱、乾熱、マイクロ波などで殺菌を行い、さらに粉砕後、ペースト状にしたり、水溶性成分を抽出したりして利用できるとの記載がある。
特許文献3は製品の香味を高め、かつ栄養価値を高めたテンペ菌発酵食品を容易に製造する方法が示されている。すなわち、生大豆を原料として焙焼する工程、焙焼した炒大豆を脱皮風選する工程、脱皮炒大豆の洗浄後浸漬する工程、テンペ菌を接種発酵してテンペ発酵大豆とする工程、該テンペ発酵大豆の殺菌後工程とからなり、焙焼する工程は、乾燥生大豆を焙焼機内で連続的に移動しながら180〜220℃、5〜15分間程度、好ましくは200℃、10分間程度で行う方法である。加熱殺菌後の二次加工については、加熱殺菌後に細かく砕いて(サイレントカッター)乾燥又は冷凍し、その後デンプンを加えて成型機にかけペレット化する方法が示されている。
特許文献4は脱脂大豆やオカラ、すなわち大豆由来の副産物の殆ど全てをリサイクルシステム化したことを特徴とするテンペ食材の製造方法が示されている。すなわち、生大豆、脱脂大豆、オカラの1種又は2種以上を原料として大豆由来の副産物をリサイクルシステム化したことを特徴とするテンペ食材の製造方法であり、生大豆は焙焼した後、脱皮風選して胚芽・皮を除去した脱皮炒大豆を原料とし、胚芽・脱皮炒大豆以外の原料に加えるテンペ食材の製造方法である。加熱殺菌後の二次加工については、特許文献3と同様に、加熱殺菌後に細かく砕いて(サイレントカッター)乾燥又は冷凍し、その後デンプンを加えて成型機にかけペレット化する方法が示されている。
特許文献5は食品素材として調理しやすく、菌糸の目立たないそぼろ状テンペ及びその製造方法に関するものである。すなわち、挽き割り大豆を蒸煮したもの、あるいは豆腐製造時に排出されるオカラといった大豆由来細状物を原料として、テンペ菌を接種する接種過程、同接種過程を経て得られた菌接種済み細状物を適宜条件にて発酵させる発酵過程、同発酵過程を経て得られた塊状テンペを適宜の手段によってそぼろ状に砕く破砕過程とを経ることによって、そぼろ状テンペを製造する方法が示されている。該破砕過程については実施例1及び2にプラスチック製のヘラを用いて砕き、そぼろ状にしたとの記載がある。
特開平5−304922公号報(請求項1、[0009]、図1) 再表01−093696号公報(要約、11頁の20〜23行等) 特開2005−341874号公報(要約、[0028]、[0032]) 特開2006−25715号公報(要約、[0017]、[0020]、[0044]) 特開2006−325466号公報(要約、[0019][0023]、[0026])
本発明はより簡便かつ効率的にブロック状に強固に結着したテンペ菌発酵食品をバラバラに解す方法を開発し、調理しやすい解しテンペ菌発酵食品の製造方法を提供することを課題とする。すなわち、特許文献1〜4はいずれも目的とする製品の形態に応じて、破砕機、磨砕機を用いて所望の粒径に加工するものである。また、特許文献5には上述のようにテンペ菌発酵食品を食品素材として調理しやすく、菌糸の目立たないそぼろ状テンペ及びその製造方法を提供することが提案されているが、その製造方法は大豆、若しくは大豆由来の細状物に、テンペ菌を接種する接種過程と、該接種過程を経た該細状物を発酵させる発酵過程と、該発酵過程を経て得られた塊状テンペをそぼろ状に砕く破砕過程よりなるものである。該破砕過程はいかなるものでも良いと記載されているが、実施例1及び2にプラスチック製のヘラを用いて破砕することが記されているのみであり、具体的な破砕手段の検討はなされておらず、もっぱらプラスチック製のヘラを使った手作業による破砕であると思われる。テンペ菌発酵食品はポリエチレン等の袋に詰めて発酵を行うのが一般的であり、発酵後のテンペ菌発酵食品はテンペ菌の作用により個々の破砕大豆粒が強固に結着して1枚のブロック状になっている。かかるブロック状のテンペ菌発酵食品を従来行われていたようにヘラを用いて破砕するのでは効率が悪く、テンペ菌発酵食品の量産化には不向きであり、量産の際には作業性の悪さから人件費がかさむ事となりかねないし、一般家庭での調理の際には調理作業が煩雑になる。また、破砕作業に一般的に用いられる破砕機、磨砕機を用いた場合には、破砕、混練されたペースト状のテンペ菌発酵食品が破砕機、磨砕機の細部にまで入り込み、その洗浄作業に難渋することとなり、仮に洗浄が不十分であった場合には、食中毒の原因ともなりかねないなどの問題があった。そこで本発明は上記のような本格的な破砕機、磨砕機によらず、より効率的かつ衛生的にテンペ菌発酵食品を解す方法を開発すべく検討を行った。
すなわち、本発明は前処理した大豆原料にテンペ菌を接種、発酵して得られたブロック状に強固に結着したテンペ菌発酵食品を加熱殺菌後、熱い内に袋ごと衝撃を与えることで(熱間解し処理)、簡便にテンペ菌発酵食品をバラバラに解すことができる。これはテンペ菌発酵食品が熱い内であれば、人力で袋を破らないように丸角の棒を使って打ちつける程度の外力でブロック状のテンペ菌発酵食品を解すことができるため、従来に比べて簡便に解し処理を行うことができる。
具体的には、大豆を原料として破砕し、破砕大豆を脱皮風選し、破砕脱皮大豆の洗浄後浸漬蒸煮したものを水切・放熱して蒸煮大豆とし、該蒸煮大豆にテンペ菌を接種し孔開き袋に詰めて発酵する工程を経て、発酵工程で得られた袋詰めテンペ菌発酵食品を加熱殺菌後、中心温度が40〜80℃である熱い内に孔開き袋ごと衝撃を与えて破砕脱皮大豆形状まで解すことを特徴とする解しテンペ菌発酵食品の製造方法により上記課題を解決する。
上記の孔開き袋ごと衝撃を与える工程は、コンベアで移送しながら加圧ロール間を通過させて行えば、連続的にブロック状に結着したテンペ菌発酵食品を解すことができる。加圧ロールと組み合わせて使用されるコンベアについては殺菌済テンペ菌発酵食品を熱い間に解せるよう設けられた加圧ロールの間隙にブロック状のテンペ菌発酵食品を孔開き袋ごと連続的にフィードできればどのような種類のコンベアを用いてもよいが、好適なものの一例としては無端ベルトコンベアのベルト面を上下から挟み込むようにして任意の数の加圧ロールを配置して間隙を設けたコンベアがよい。
また、上記の加圧ロールは必要に応じコンベアを挟み込む加圧ロールの周速に適宜差をつけて回転させれば、加圧ロール間を通過する孔開き袋入りブロック状のテンペ菌発酵食品に剪断力が加わり、十分な解し効果が得られる。
原材料大豆は大豆、黒豆大豆等の皮付きの大豆を使用し、必要に応じて乾燥、焙焼などの処理を施した後、たとえば回転数の異なる2基のゴムロールの間隙を通過させることにより破砕すると簡便である。破砕された原料大豆は乾燥状態で風力により胚芽・種皮を吹き飛ばして破砕脱皮大豆と胚芽・種皮に選別する脱皮風選工程を行う。破砕脱皮大豆を水洗、乳酸酸性水に浸漬、蒸煮を経て水切・放熱して蒸煮大豆とする洗浄後浸漬蒸煮工程を行い、続いてテンペ菌を接種後孔開き袋に詰めて発酵する発酵工程に移る。所望する段階まで発酵が達したら、過剰発酵による品質の劣化が生じないよう直ちに袋ごと蒸室に入れ生蒸気が均一に袋の間に行渡るように配慮しつつ直接蒸射による加熱殺菌工程を行う。
熱間解し処理工程は加熱殺菌工程が終了した後、熱い内に孔開き袋ごと衝撃を与えて細分化をすることにより行う。解すための手段はどのようなものを用いてもよいが、上述のようにコンベアで移送しながら加圧ロール間を通過させて行うと簡便かつ効率的に破砕脱皮大豆形状にまで解され形状の安定したテンペ菌発酵食品(以下、解しテンペ菌発酵食品と略する)を大量に製造することができる。コンベアによる破砕が不十分な場合には加圧ロール間の間隙を狭めるか、上述のように加圧ロールの周速に差をつけて加圧ロールを駆動することで、テンペ菌発酵食品入りの袋に剪断力が加わるため、十分な解し効果を得ることができる。また、大豆の蒸煮時間を短めに設定し、大豆を硬めに仕上げてテンペ菌の生育を抑制する方向にコントロールしたり、発酵時間を短めに設定したり、発酵時の湿度を低くしたり、加熱殺菌工程を長めにすることでブロック状に結着したテンペ菌発酵食品をより解しやすくすることもできる。ここでは解し処理の手段の一例として加圧ロールを用いる例を示したが、ブロック状の殺菌済テンペ菌発酵食品の中心温度が40〜80℃の範囲であれば、ブロック状の殺菌済テンペ菌発酵食品は丸角の棒で打ちつけると打ちつけた部分にひび割れが生じて折れる程度の強度になっているため、生産規模に応じて、たとえば、コンベアの端部等の丸角に対してブロック状の殺菌済テンペ菌発酵食品を袋ごと打ちつけるなどの方法により手作業で熱間解し処理を行えばよい。また機器を用いてさらに粒径の小さいテンペ菌発酵食品とする場合であっても、破砕作業に先立って本発明の製造法を適用すればブロック状に結着したテンペ菌発酵食品を粗解しできるため、後の破砕作業が格段に楽になる。
本発明の製造方法により簡便かつ効率的に破砕脱皮大豆の粒径にまで解され形状の安定したテンペ菌発酵食品(解しテンペ菌発酵食品)を大量に生産することができる。これにより、生食、食用油でフライにした後調味料で味付けして食すことが一般的であったテンペ菌発酵食品をより広範な用途に向けることができる。たとえば、挽肉の代わりにミートソースに用いたりする場合には家庭でブロック状のテンペ菌発酵食品を解す作業が必要であったが、本発明により提供される解しテンペ菌発酵食品を用いればそのような煩雑な作業は不要となり、調理の際の利便性が高まる。
テンペ菌発酵食品の調理の利便性の向上、多用途化によりこれまで潜在的な需要が認められながらも、調理時の煩雑さを理由に使用が敬遠されていたような学校給食、病院給食における需要拡大が見込まれる。特に本発明を適用したテンペ菌発酵食品をIQF (Individual Quick Freezing)により冷凍すればバラバラに解れた状態を保ったまま冷凍保存ができるので業務用食材としての価値は飛躍的に高まることが予想される。
本発明の適用によってより衛生的に解しテンペ菌発酵食品を製造することができる。本発明によると発酵から熱間解し処理工程終了まで終始、孔開き袋の中にテンペ菌発酵食品が詰められたまま作業が進行するので、従来のように破砕機の細部に破砕、混練されたテンペ菌発酵食品が入り込みこびりつくようなことがない。破砕機の洗浄が簡便になる他、テンペ菌発酵食品が残留することによる細菌の繁殖を未然に防ぐことができる。
本発明の適用により加熱殺菌工程終了後、ブロック状のテンペ菌発酵食品が熱い内に予めバラバラに解しておけば、調味料との混合による調味テンペ、細砕処理による顆粒テンペ、乾燥処理による乾燥テンペ、粉砕処理による粉末テンペの製造等の二次加工が容易になる。ブロック状に結着したテンペ菌発酵食品を混合、細砕、乾燥、粉砕するよりもバラバラに解されたテンペの方が二次加工原料として優れているのはいうまでもない。
以下、本発明の実施例につき、具体的に説明する。図1は本発明の破砕工程から加熱殺菌工程に至る製造方法の一例を示すフローチャートである。図2は本発明の熱間解し処理工程から解しテンペ菌発酵食品、調味テンペ菌発酵食品、顆粒テンペ菌発酵食品、乾燥テンペ菌発酵食品及び粉末テンペ菌発酵食品の各二次加工済製品に至る製造方法の一例を示すフローチャートである。図3は本発明の熱間解し手段の一例である圧砕コンベアの構成を模式化して示した図である。
破砕工程1は原材料として大豆、黒豆大豆等の皮付きの大豆11を使用し、必要に応じて乾燥、焙焼などの処理を施した後、回転数の異なる2基のゴムロールの間隙を通過させることにより破砕する。生産規模に応じて適宜、他の破砕手段を用いてもよい。また、ここでゴムロールの間隙を適宜、調整することにより、2つ割大豆、引割大豆形状等にしておけば解しテンペ菌発酵食品の粒径を調整することができる。
脱皮風選工程2は、大豆を脱皮させて破砕脱皮大豆12と胚芽・種皮13とに分離する工程である。風力により胚芽・種皮13を吹き飛ばして胚芽・種皮13と破砕脱皮大豆12とに分離する。
洗浄後浸漬蒸煮工程3は、脱皮後の破砕脱皮大豆12を水洗後1〜3%乳酸酸性水に2〜3時間浸漬、蒸煮後、水切・放熱して蒸煮大豆15とする工程である。この浸漬により大豆粒のpHは下がりリゾプス属菌が良く繁殖し、雑菌が繁殖しにくい環境を作り出す。蒸煮は、大豆タンパク質を変性させ、リゾプス属菌を良く繁殖させるために行う。
テンペ菌を接種発酵する発酵工程4では、水切りした蒸煮大豆15を放熱して中心温度が約32℃となったところで少量(蒸煮大豆重量に対して0.2%)のテンペ菌16を脱皮風選後の大豆をキナ粉化したものに混ぜて、前記の蒸煮大豆15に対して均等に分散する。このときキナ粉はテンペ菌の10倍量(重量比)となるようにすればよい。発酵は細孔を多数設けたポリエチレン等の袋に入れて15mm前後の厚みを持たせながら延ばして袋詰めを行い、そのまま袋ごと発酵室にて40℃未満で発酵を行いブロック状のテンペ菌発酵食品17を製造する。ここで、発酵温度が40℃を超えるとテンペ菌は死滅するので、好ましくは30〜38℃、より好ましくは32℃前後の比較的低い温度で発酵させると、雑菌の繁殖が少なく、低温発酵が可能なリゾプス属菌のみを発酵させる環境となり、雑菌に由来する臭みを抑えることができるためより好ましい。また孔の大きさは直径0.9mm、孔を設ける間隔は垂直方向及び水平方向に17mm、袋に用いるポリエチレンシートの大きさは360mm×240mm、厚みは0.07mmとし、一袋当たり1000gの蒸煮大豆15を袋詰めするようにすると好適である。発酵時間は19〜25時間発酵を行えばよく、破砕脱皮大豆の粒径により発酵時間を適宜調節するとよい。
加熱殺菌工程5では所望する段階まで発酵が達したら、過剰発酵による品質の劣化が生じないよう直ちに蒸室に入れ生蒸気が均一に袋の間に行渡るように配慮しつつ90℃にて15〜25分、好ましくは20分直接蒸射による加熱殺菌を行い、殺菌済テンペ菌発酵食品104を得る。ここで蒸射時間を短めにすれば製品の仕上がりが硬くなり、逆に長めに設定すれば仕上がりを柔らかくすることができ、製品の使用用途に合わせて食感の調整を本工程で行うことができる。また、加熱により食欲を減退させる一因となっている揮発性の悪臭成分を蒸散させることができ、加えてテンペ菌自体も熱により死滅してしまうので、テンペ菌そのものに由来する食欲を減退させる食味も軽減することができる。
熱間解し処理工程6は加熱殺菌工程5が終了した後、熱い内(中心温度40〜80℃、より好ましくは40〜60℃)に孔開き袋ごと衝撃を与えて破砕脱皮大豆の形状に細分化をすることにより行う。熱間解し手段はどのような方法を用いてもよいが、たとえば図3に示される無端コンベアベルト表面100の下方に断面円形の下部加圧ロール101を、上方に断面円形の前上部加圧ロール108及び後上部加圧ロール109を無端コンベアベルト表面100の回転方向に前後連続して配置してなる圧砕コンベア106の各加圧ロール間に殺菌済テンペ菌発酵食品104を通過させて熱間解し処理を行えば連続的に解しテンペ菌発酵食品107を大量に製造することができる。各加圧ロールはコイルスプリング103により無端コンベアベルト表面100に対して直行方向に位置調整可能に弾支すれば各加圧ロール間を通過する殺菌済テンペ菌発酵食品104の外形に各加圧ロールが追従し、袋の中のテンペ菌発酵食品を損傷させることなく十分な解し効果が得られる。また、ショックアブソーバ105を必要に応じて組み合わせれば各加圧ロールの上下の不安定な挙動が安定するのでより好ましい。各加圧ロールは側面視で、前上部加圧ロール108の円弧と後上部加圧ロール109の円弧が最も接近する二点間の距離を11〜13mm、前上部加圧ロール108と下部加圧ロール101の円弧が最も接近する二点間の距離を11〜13mm、下部加圧ロール101の円弧と後上部加圧ロール109の円弧が最も接近する二点間の距離を11〜13mmとなるように配置することが好ましい。前上部加圧ロール108及び後上部加圧ロール109の直径は70mm、下部加圧ロール101の直径は100mmとし、回転速度はいずれの加圧ロールについても60rpmとし、下部加圧ロール101の周速と上部加圧ロール102の周速に差をつけて袋入り殺菌済テンペ菌発酵食品に剪断力が加わるようにするとよい。この場合無端ベルトコンベアの回転速度は下部加圧ロール101の回転速度に同調する速度で運転する。
ここでは解し処理の手段の一例として圧砕コンベア106を用いる例を示したが、殺菌済テンペ菌発酵食品104の中心温度が40〜80℃、より好ましくは40〜60℃の範囲であれば、丸角を有する棒などで打ちつければ十分な解し効果が得られるため、熱間解し処理は必ずしも特別な機器を用いる必要はない。生産規模によっては手作業により熱間解し処理を行えばよい。ここで解れにくい場合は中心温度が40〜60℃より高い内に解し処理を行えばよい。また圧砕コンベア106を用いる場合であっても、本発明の製造方法により殺菌済テンペ菌発酵食品104が熱い内に袋ごと解し処理を施せば従来のように解し処理を行うためにサイレントカッターのような鋭角の攪拌子を備えた機器を使用する必要がなく安全であり、また孔開き袋を介して破砕処理を施すので機器の汚れが少なく従来のように、破砕機にテンペ菌発酵食品がこびりつき洗浄作業に難渋するといったことが少なく、機器を衛生的に使用する点で好ましい。
熱間解し処理工程6終了後、開袋、計量、冷凍及び金属検査を経て破砕脱皮大豆12の形状に解された解しテンペ菌発酵食品(製品)18が得られる。必要に応じて図2に示される二次加工工程7により、混合、細砕、乾燥若しくは粉砕処理を行い調味テンペ菌発酵食品19、顆粒テンペ菌発酵食品20、乾燥テンペ菌発酵食品21及び粉末テンペ菌発酵食品22の二次加工製品を生産する。ここで調味テンペ菌発酵食品19とは解しテンペ菌発酵食品を適当な調味料で味付けしたテンペ菌発酵食品、顆粒テンペ菌発酵食品20とはザラメ形状に細砕したテンペ菌発酵食品、乾燥テンペ菌発酵食品21とはたとえば真空凍結乾燥機等により乾燥して保存性を高めたテンペ菌発酵食品、粉末テンペ菌発酵食品22とは粉砕処理により粉状に加工したテンペ菌発酵食品をいう。これらの二次加工処理に先立って、熱間解し処理工程6によりブロック状の殺菌済テンペ菌発酵食品を破砕脱皮大豆12の形状にまで解してあるので、調味料が浸透しやすい、乾燥しやすい、細砕、粉砕が容易であるなどの点で二次加工を効率的に行うことができる。
以下、実施例により更に具体的に説明する。
実施例1
生大豆原料5kgを乾燥して水分15%の乾燥大豆とし、籾摺機の2本の回転数を変えた弾性ゴムロールの間隔をほぼ密着させて配置し、その間を通過させて脱皮の後、風選した。脱皮大豆のほとんどは2分割され、かつ、胚芽の一部が外れて種皮と共に分離された。
次いで、脱皮大豆を2、3回水洗後、1%の乳酸酸性水8kgに水洗した脱皮大豆5kgを入れ、酸性水処理2時間後、加熱煮沸を65分間行ってザルに移し、脱液、流水をかけ放熱して(32℃以下)重量約10kgの蒸煮大豆を得た。これにテンペ菌20gとキナ粉200g混合したものを再度入念に混合した。テンペ菌接種後の発酵原料を垂直方向及び水平方向に17mm間隔で0.9mm以下の小孔を配した大きさ360mm×240mmのポリエチレン袋に入れて15mm位の厚さになるよう蒸煮大豆1000g宛1枚の孔開きポリエチレン袋に入れて32℃湿度85%で、22時間、恒温室中で発酵してブロック状のテンペ菌発酵食品とした。
発酵後、加熱殺菌するために、孔開き袋ごと蒸室に運び込み90℃の生蒸気を蒸射して20分加熱した。加熱殺菌終了後、直径70mmの一対の上部加圧ロール及び直径100mmの下部加圧ロールを1基備え、コイルスプリングにより各ロールが無端コンベアベルトに対して上方若しくは下方から直行方向に弾支されてなる圧砕コンベアに中心温度50℃の孔開き袋入りのブロック状の殺菌済テンペ菌発酵食品を載せて熱間解し処理を施した。熱間解し処理の条件は前上部加圧ロールの円弧と後上部加圧ロールの円弧が最も接近する2点間の距離が12mm、前上部加圧ロールの円弧と下加圧ロールの円弧が最も接近する2点間の距離が12mm、後上部加圧ロールの円弧と下部加圧ロールの円弧が最も接近する2点間の距離が12mmとなるように各加圧ロールを配置し、3基の加圧ロールの回転速度を60rpm、無端コンベアベルトの回転速度314mm/sにて行った。
熱間解し処理工程終了後のテンペ菌発酵食品入りの袋を開き、解しテンペ菌発酵食品を得た。該解しテンペ菌発酵食品の大きさを目視したところほぼ破砕脱皮大豆形状にまでブロック状のテンペ菌発酵食品が解されていた。複数回同一の条件にて解しテンペ菌発酵食品を製造したところ、熱間解し処理の効果について十分な再現性があることが確認された。
比較例1
加熱殺菌後の放熱処理の条件以外は実施例1の条件と同一として、解しテンペ菌発酵食品を製造した。すなわち、加熱殺菌後、中心温度28℃になるまで室温にて放熱した孔開き袋入りの殺菌済テンペ菌発酵食品を実施例1に示した条件に設定した圧砕コンベアに通して解しテンペ菌発酵食品を得た。該解しテンペ菌発酵食品の大きさを目視したところ、ブロック状の形態のままであり、15mmであった厚みが小さくなって、袋入りのブロック状の殺菌済テンペ菌発酵食品が全体的に引き伸ばされただけで、十分な解し効果は得られなかった。
実施例1及び比較例1の結果を表1に示す。
Figure 0004934016
このように本発明を適用すると効率的かつ簡便に破砕脱皮大豆の形状に細分化されたテンペ菌発酵食品を得ることができる。
本発明の破砕工程から加熱殺菌工程に至る製造方法の一例を示すフローチャートである。 本発明の熱間解し処理工程から解しテンペ菌発酵食品、調味テンペ菌発酵食品、顆粒テンペ菌発酵食品、乾燥テンペ菌発酵食品及び粉末テンペ菌発酵食品の各二次加工済製品に至る製造方法の一例を示すフローチャートである。 本発明の熱間解し処理の手段の一例である圧砕コンベアの構成を模式化して示した側面図である。
符号の説明
1 破砕工程
2 脱皮風選工程
3 洗浄後浸漬蒸煮工程
4 発酵工程
5 加熱殺菌工程
6 熱間解し処理工程
7 二次加工工程
11 大豆
12 破砕脱皮大豆
13 胚芽・種皮
15 蒸煮大豆
16 テンペ菌
17 テンペ菌発酵食品
18 解しテンペ菌発酵食品(製品)
19 調味テンペ菌発酵食品
20 顆粒テンペ菌発酵食品
21 乾燥テンペ菌発酵食品
22 粉末テンペ菌発酵食品
100 無端コンベアベルト表面
101 下部加圧ロール
102 上部加圧ロール
103 コイルスプリング
104 殺菌済テンペ菌発酵食品
105 ショックアブソーバ
106 圧砕コンベア
107 解しテンペ菌発酵食品
108 前上部加圧ロール
109 後上部加圧ロール

Claims (3)

  1. 大豆を原料として破砕し、破砕大豆を脱皮風選し、破砕脱皮大豆の洗浄後浸漬蒸煮したものを水切・放熱して蒸煮大豆とし、該蒸煮大豆にテンペ菌を接種し孔開き袋に詰めて発酵する工程を経て、発酵工程で得られた袋詰めテンペ菌発酵食品を加熱殺菌後、中心温度が40〜80℃である熱い内に孔開き袋ごと衝撃を与えて破砕脱皮大豆形状まで解すことを特徴とする解しテンペ菌発酵食品の製造方法。
  2. 孔開き袋ごと衝撃を与える工程は、コンベアで移送しながら加圧ロール間を通過させて行う請求項1記載の解しテンペ菌発酵食品の製造方法。
  3. 請求項1又は2のいずれか記載の製造方法により得られた安定した破砕脱皮大豆形状の解しテンペ菌発酵食品。
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