以下、実施例に係るパチンコ機に基づいて本発明を更に詳細に説明する。図1は、本実施例のパチンコ機1を示す正面図である。図示のパチンコ機1は、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠2と、外枠2に固着されたヒンジ3を介して開閉可能に枢着される前枠4とで構成されている。この前枠4には、遊技盤5が裏側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。
前面板7には発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠4の下部には、上皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。発射ハンドル10は発射モータM2と連動しており、発射ハンドル10の回動角度に応じて動作する打撃槌によって遊技球が発射される。
上皿8のほぼ中央には、ランプを内蔵する楕円形のプッシュボタン11が設けられている。プッシュボタン11は、遊技者の左手で操作できる位置に設けられており、遊技者は、発射ハンドル10から右手を離すことなくプッシュボタン11を操作できる。このプッシュボタン11は、通常時には機能していないが、ゲーム状態が例えば「ボタンチャンス状態」となると内蔵ランプが点灯されて操作可能となる。
上皿8の右部には、カード式球貸し機に対する球貸し操作用の操作パネル12が設けられ、カード残額を3桁の数字で表示する残額表示部12aと、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチ12bと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチ12cとが設けられている。
図2に示すように、遊技盤5には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、ガイドレール13の内側に、遊技領域5aが形成されている。遊技領域5aの下部中央には、2つの図柄始動口14A,14Bと、2つの大入賞口15A,15Bと、4つの普通入賞口16と、左右の通過口であるゲート17A,17Bが配設されている。これらの入賞口14〜16及びゲート17A,17Bは、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。
この遊技機では、図柄始動口14A,14B、大入賞口15A,15B、及びゲート17A,17Bが各2つ設けられており、それぞれが、遊技チャンネルA(14A,15A,17A)と遊技チャンネルB(14B,15B,17B)の遊技部材の一部を形成している。
遊技領域5aの略中央には、大型の液晶カラーディスプレイDISPが配置されている。液晶ディスプレイDISPは、大略、四つの部分(18,19,20,21)に区分されており、各部分18,19,20,21は、それぞれ遊技チャンネルA,Bに対応して二分されている。具体的には、液晶ディスプレイDISPの各部は、変動保留状態の個数を表示する保留数表示部18A,18Bと、「当り」状態か否かを示す普通図柄表示部19A,19Bと、「大当り」状態か否かを示す特別図柄表示部20A,20Bと、大当り状態に係わる特別図柄と関連する演出図柄を変動表示する演出図柄表示部21A,21Bとして機能している。
例えば、図柄始動口14A(14B)に遊技球が入賞すると、これに対応して特別図柄表示部20A(20B)や演出図柄表示部21A(21B)では表示図柄の変動動作が開始される。そして、各遊技チャンネルの変動動作中に、重複して同一チャンネルの図柄始動口14A(14B)に遊技球が入賞した場合には、変動保留状態となって図柄変動動作の開始が待機状態となる。この待機状態が変動保留状態であり、重複して入賞した遊技球は、4個を上限にして保留数表示部18A(18B)に表示される。但し、それ以上の遊技球の入賞は、図柄変動動作には寄与せず、遊技者には所定数の賞球が払出されるに止まる。
なお、変動保留状態は、普通図柄表示部19A,19Bに対しても成立するが、普通図柄の保留数表示部23A,23Bは、液晶ディスプレイDISPの上部に、LEDランプ表示部として設けられている。そして、ゲート17A(17B)に遊技球が通過すると普通図柄表示部19A(19B)の動作が開始されるが、変動終了までに、再度、同じゲート17A(17B)の遊技球が通過すると4個を上限にして保留数表示部23A(23B)に表示されて、普通図柄表示部19A(19B)の変動開始を待つことになる。
本実施例では、図柄始動口14A、大入賞口15A、ゲート17A、保留数表示部18A,23A、普通図柄表示部19A、特別図柄表示部20A、及び演出図柄表示部21Aが遊技チャンネルAの遊技部材として機能し、一方、図柄始動口14B、大入賞口15B、ゲート17B、保留数表示部18B,23B、普通図柄表示部19B、特別図柄表示部20B、及び演出図柄表示部21Bが遊技チャンネルBの遊技部材として機能する。なお、演出図柄表示部21は、遊技チャンネルAと遊技チャンネルBの演出図柄を同時に表示する場合には自動的に上下二分され(縮小モード)、それぞれ演出図柄表示部21Aと演出図柄表示部21Bとして機能するが、遊技チャンネルAか遊技チャンネルBの何れか一方の演出図柄のみを表示する場合には、演出図柄表示部21の画面全体が使用される(等倍モード)。なお、何れの動作態様でも、演出図柄表示部21は、背景画像や各種のキャラクタなども併せてアニメーション的に表示する。
この遊技機の当選状態には、「当り」状態と、更に格段に高価値の「大当り」状態があるが、普通図柄表示部19A,19Bでは、液晶ディスプレイDISPに表示された演出図柄が点滅動作をして、一定時間後に当り状態か否かの抽選結果を表示する。一方、特別図柄表示部20A,20Bや演出図柄表示部21(縮小モードでは21A,21B)では、特別図柄などが適宜な演出動作によって変動した後、大当り抽選処理の当否結果を確定的に表示する。
また、大当り状態は、確変大当りと、ノーマル大当りとに区分されているが、演出図柄表示部21は、確変大当りか、ノーマル大当りか、ハズレかを、停止状態の演出図柄の配列によって報知するのに対して、特別図柄表示部20A,20Bでは、これを所定の停止模様や文字などによって報知している。具体的には、演出図柄表示部21は、確変大当りか、ノーマル大当りか、ハズレかに応じて、それぞれ「7・7・7」、「6・6・6」、「2・5・2」などの演出図柄を停止表示するのに合わせて、特別図柄表示部20では、「◎確変大当り!!」、「○ノーマル大当り!!」、「−残念!!」の文字を表示する。なお、確変大当りとは、ノーマル大当りの場合と同様の特別遊技状態が終了した後、大当りの当選確率が増加した遊技(確変状態の遊技)が開始される大当り状態を意味する。
先に説明したように、ゲート17A(17B)を通過した遊技球が検出されると、普通図柄表示部19A(19B)では、表示内容が所定時間だけ変動し、その後、遊技球のゲート17A(17B)の通過時点において抽選された抽選用乱数値に基づいて決定される当否状態を表示する。
2つの図柄始動口14A,14Bは、それぞれ一対の開閉爪を備えた電動式チューリップで拡大縮小され、普通図柄表示部19A,19Bの変動後の停止状態で当り表示をした場合には、開閉爪が所定時間だけ拡大されるようになっている。そして、この図柄始動口14A(14B)に遊技球が入賞すると、演出図柄表示部21A(21B)と特別図柄表示部20A(20B)の表示図柄が所定時間だけ変動し、図柄始動口14A(14B)への遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄で停止する。
大入賞口15A(15B)は、前方に開放可能な開閉板で開閉されるが、演出図柄表示部21の変動停止後の図柄が「6・6・6」「7・7・7」などの整列した演出図柄のとき(特別図柄表示部20A(20B)では、○又は◎などを関連する文字と共に表示)、「大当り」と称される特別遊技状態が開始され、開閉板が開放されるようになっている。また、大入賞口15A(15B)の内部に特定領域22A(22B)があり、この特定領域22を入賞球が通過すると、遊技者に有利な特別遊技が継続される。
大入賞口15A(15B)の開閉板が開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板が閉じる。このとき、遊技球が特定領域22A(22B)を通過していない場合には特別遊技が終了するが、特定領域22A(22B)を通過していれば、本実施例では、最大16回まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な状態に制御される。
図3は、実施例に係るパチンコ機1の全体構成を示すブロック図である。図示の通り、このパチンコ機1は、遊技動作を統括的に制御する主制御基板30と、主制御基板30から受ける制御コマンドCMD1に基づいて払出モータM1を制御して遊技球を払出す払出制御基板31と、主制御基板30から受ける制御コマンドCMD(CMD(a),CMD(b))に基づき必要時には演出抽選を行い、その結果を示す制御コマンドCMD’を出力する演出制御基板32と、演出制御基板32から受けた制御コマンドCMD’に基づいてスピーカSPa,SPbを駆動すると共にランプ群を点滅動作させる音声・ランプ制御基板33と、発射モータM2を駆動して遊技球を発射させる発射制御基板34と、AC24Vを受けて装置各部に直流電圧を供給する電源基板35と、を中心に構成されている。
図示の通り、演出制御基板32が受ける制御コマンドCMDと、音声・ランプ制御基板33が受ける制御コマンドCMD’は、それが変動パターンコマンドなどである場合には、遊技チャンネルAと遊技チャンネルBの遊技部材に対応して、Aチャンネル用の制御コマンドCMD(a),CMD’(a)と、Bチャンネル用の制御コマンドCMD(b),CMD’(b)とに区別されている。ここで、Aチャンネル用の制御コマンドCMD(a)は、液晶ディスプレイDISPにおける、保留数表示部18A、普通図柄表示部19A、特別図柄表示部20A、及び演出図柄表示部21Aなどの動作に関係している。一方、Bチャンネル用の制御コマンドCMD(b)は、液晶ディスプレイDISPにおける、保留数表示部18B、普通図柄表示部19B、特別図柄表示部20B、及び演出図柄表示部21Bなどの動作に関係している。
同様に、音声・ランプ制御基板33が受ける制御コマンドCMD’のうち、Aチャンネル用の制御コマンドCMD’(a)は、スピーカSPaから発せられる音声演出や変動保留数表示部23Aの点灯動作に関係し、Bチャンネル用の制御コマンドCMD’(b)は、スピーカSPbから発せられる音声演出や変動保留数表示部23Bの点灯動作に関係している。
なお、主制御基板30、払出制御基板31、演出制御基板32、及び、音声・ランプ制御基板33は、ワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路が搭載されている。そして、この実施例では、払出制御基板31、演出制御基板32、及び音声・ランプ制御基板33がサブ制御基板に該当し、各サブ制御基板31〜33では、主制御基板30から直接的に又は他の基板を介して間接的に受信した制御コマンドに基づいて動作している。なお、以下の説明では、各制御基板30〜33に搭載された回路及びその回路によって実現される動作を機能的に総称して、それぞれ主制御部30、払出制御部31、演出制御部32、及び音声・ランプ制御部33と称することがある。
本実施例の場合、演出制御部32が主制御部30から受ける制御コマンドCMDには、普通図柄表示部19の表示動作に関するものや、特別図柄表示部20や演出図柄表示部21の表示動作に関するものが含まれている。これらの制御コマンドCMDは、それぞれ「当り」抽選及び「大当り」抽選の抽選結果を示すコマンドであり、具体的には、抽選結果とそれを確定的に報知するまでの演出動作の総時間とを特定する「変動パターンコマンド」と、演出動作の終了タイミングを指示する「変動停止コマンド」とで構成されている。
ここで、「変動パターンコマンド」は、それが「当り」抽選結果を示すか、「大当り」抽選結果を示すかに応じて二分されると共に、それぞれについて、演出総時間や大当りの種類(ノーマル/確変)などに応じて多数の種類が用意されている。そして、「大当り」抽選結果を示す「変動パターンコマンド」(以下、「特別図柄の変動パターンコマンド」という)を受けた演出制御部32では、「特別図柄の変動パターンコマンド」で規定される演出総時間などに拘束された状態で演出抽選を行い、液晶ディスプレイDISPにおける図柄演出と、ランプ群によるランプ演出と、スピーカによる音声演出との連動による演出内容を決定する。そして、決定された演出内容を示す制御コマンドCMD’(特別図柄の変動パターンコマンド)を音声・ランプ制御部33に伝送する。
図4は、演出制御部32が主制御部30から受ける「特別図柄の変動パターンコマンド」の種類(α、β、γ、δ)と、演出制御部32の演出抽選によって決定される「具体的な変動パターンコマンド」との関係を示している。図示の通り、主制御部30からは、α、β、γa〜γd、δの制御コマンドCMD(特別図柄の変動パターンコマンド)を受けるが、各制御コマンドCMDは、具体的な演出内容に応じて複数個に細分化されており、演出抽選によって何れかに決定され制御コマンドCMD’が特定される。但し、細分化された「具体的な変動パターンコマンド」の何れも、基本となる「特別図柄の変動パターンコマンド」の演出時間と同じであり、当否結果が変化することもない。このように、本実施例では、演出動作の具体的な内容は、専ら演出制御部32で決定されるので、主制御部30の制御負担が軽く、しかも、主制御部30から受信した制御コマンドCMDがビット化けしても、送信する制御コマンドCMD’がビット化けしない限り、音声演出やランプ演出と同期した図柄演出が確実に実現される。なお、演出制御部32と音声・ランプ制御部33との位置関係を工夫することによって、制御コマンドCMD’のビット化けは防止できる。
以上を踏まえて、各制御部30〜33の回路構成を確認的に説明する。図3に示すように、主制御部30には、図柄始動口14A,14Bや大入賞口15A,15Bを開閉するソレノイド類をON/OFF駆動する駆動回路36と、図柄始動口14などに内蔵された検出スイッチからの信号を受ける入力ポート37と、サブ制御基板に制御コマンドを出力する出力ポート38a,38bとが設けられている。この出力ポート38a,38bは、一旦制御コマンドを出力すると、次の新たな制御コマンドを出力するまで、その出力レベルを維持する。
主制御部30の上記の構成に対応して、演出制御部32には、主制御部30から制御コマンドCMDを受ける入力ポート39と、音声・ランプ制御部33に制御コマンドCMD’を出力する出力ポート40と、液晶ディスプレイ14を駆動するLCD駆動回路41とが設けられている。先に説明した通り、演出制御部32では、主制御部30から「特別図柄の変動パターンコマンド」を受けた場合には、演出抽選によって具体的な演出内容を決定した後、決定した演出内容を示す制御コマンドCMD’を、出力ポート40から音声・ランプ制御部33に出力している。
図6は、演出制御部32の回路構成をより細かく示すブロック図である。演出制御部32は、制御コマンドCMDに基づいて遊技動作を実行するワンチップマイコン50と、ワンチップマイコン50が実行すべき制御プログラムを記憶している制御ROM51と、液晶ディスプレイDISPに描画されるスプライトに関する情報を、ワンチップマイコン50から受けて描画信号を生成するグラフィックコントローラ(具体的にはVDP:Video Display Processor)52と、液晶ディスプレイDISPに描画可能な各スプライトのパターンデータなどを記憶するCGROM53とで構成されている。
ここで、スプライトとは、液晶ディスプレイDISP上で他の画像とは独立して、任意に移動可能な一単位のグラフィックデータの総称であり、この実施例では、演出図柄表示部21に描画される「1」〜「9」などの装飾文字や、特別図柄表示部20や普通図柄表示部19に描画される「◎」、「○」、「−」、「ハート模様」などの記号や、その他の演出キャラクタを特定するものとなっている。また、背景画像についてもスプライトで構成されている。
このようなスプライトは、リーチ演出などの図柄演出動作において液晶ディスプレイDISP上を適宜に移動するが、その移動経路や動作内容を特定するスプライト経路データは、制御ROM51に記憶されている。なお、特別図柄を表現するスプライトとして、各種形状のものが用意されているが、共通の移動経路をとるものが多いので、演出内容を多様化させても、制御ROM51内のスプライト経路データはそれほど大容量とはならない。
また、図6に示す通り、ワンチップマイコン50は、主制御部30から制御コマンドCMDを入力ポート39に受けると共に、制御コマンドCMDに同期して供給されるストローブ信号STBを割込み端子IRQ1に受けている。そして、ストローブ信号STBがアクティブになると、制御ROM51に格納されている割込み処理プログラムが起動して、ワンチップマイコン50は、制御コマンドCMDを取得するようになっている。制御コマンドCMDは、Aチャンネル用の制御コマンドCMD(a)と、Bチャンネル用の制御コマンドCMD(b)とに区分される場合があるが、何れの制御コマンドかは、コマンドデータのビットパターンから判別できるようになっている。
ワンチップマイコン50は、また、出力ポート40を備えており、音声・ランプ制御部33に対して、受信した制御コマンドCMDをそのまま転送するか、或いは、演出抽選によって生成した制御コマンド(特別図柄の変動パターンコマンドなど)を出力している。また、ワンチップマイコン50の割込み端子IRQ0は、グラフィックコントローラ52から出力される割込み信号INTを受けており、液晶ディスプレイDISPの1フレーム分の描画が完了する1/60秒毎に、描画用の割込み処理プログラムが起動するようになっている。
制御ROM51に格納されている描画用の割込み処理プログラムでは、各スプライトの描画位置などを決定する指示テーブルTBLに必要なデータ(動作パラメータ)を書込むことによって、次に描画すべき各スプライトの位置や変形形状を指定するようにしている。なお、次に描画すべき各スプライトの位置や変形形状は、制御ROM51に格納されているスプライト経路データによって特定される。
グラフィックコントローラ52の指示テーブルTBLは、ワンチップマイコン50の外部バスに接続可能な周辺デバイス(メモリ)として機能しており、ワンチップマイコン50のメモリマップに位置づけて直接的にアクセスすることも可能である(ダイレクトマッピング)。また、グラフィックコントローラ52の内蔵レジスタを介して間接的にアドレッシングすることもできるが(インダイレクトマッピング)、何れにしてもグラフィックコントローラ52は、書込み処理に関与することがなく、要するに、グラフィックコントローラ52はワンチップマイコン50に対して入力処理を実行しない。
このように、グラフィックコントローラ52は、指示テーブルTBLのデータを読み出すだけであり、指示テーブルTBLに格納されている動作パラメータに基づいてCGROM53から特定のスプライトのパターンデータを読み出し、指定された位置に、指定された変形形状で、各スプライトを描画するべくデータ演算処理をしている。そして、この実施例の場合には、データ演算の結果をアナログ変換して、R,G,Bの画像信号として液晶ディスプレイDISPに向けて出力している。
図7は、上記したグラフィックコントローラ52を更に詳細に示したブロック図である。図示の通り、このグラフィックコントローラ52は、ワンチップマイコン50からのデータを受けるCPUインタフェイス部54と、CGROM53からスプライトのパターンデータを受けるパターンメモリインタフェイス部55と、指示テーブルTBLやフレームバッファ(グラフィックイメージデータを保持するメモリ領域)として使用されるSDRAM(Synchronous Dynamic RAM)56と、グラフィックイメージデータを生成するスプライト面生成部57と、CGROM53から圧縮データを受けた場合に機能する圧縮データ伸張部58と、圧縮データ伸張部58のワークエリアとして機能するSDRAM(Synchronous Dynamic RAM)59と、スプライト面生成部57で生成されたグラフィックイメージデータをDA変換するDAC60と、液晶ディスプレイDISPの同期信号などを出力するコントローラ部CTLとで構成されている。
CGROM53には、各スプライトの画像データが格納されているが、図5は、16×16ドット(画素)によって構成されたスプライトを例示したものである。16×16に区分されている各画素には色情報が規定されており、図示の例では、00Hの色番号のドットと、02Hの色番号のドットと、01Hの色番号のドットとを適宜に組合せて特定図柄「7」を実現している。
本実施例では、演出図柄表示部21に表示される演出図柄として、例えば、n個のスプライト(#1〜#n)が用意されており、これらが背景画像を実現しているスプライト(#m)に重ねられて、液晶ディスプレイDISPに描画されることになる。なお、背景画像スプライトの画素数は、液晶ディスプレイDISPの解像度に応じて適宜に設定されるが、液晶ディスプレイDISPの解像度を超える画素数を設定すれば、背景画像を上下左右に自然に移動させることが可能となる。
図8は、SDRAM56に設けられた指示テーブルTBLと、指示テーブルTBLの格納データ(動作パラメータ)に基づいて描かれるスプライトの関係を図示したものである。指示テーブルTBLは、演出図柄表示部21に関するものと、その他の表示部(特別図柄表示部20、普通図柄表示部19、変動保留数表示部18)に関するものとに大別されている。演出図柄表示部21に描かれるスプライトは、縮小モードの遊技動作状態か、等倍モードの遊技動作状態かに応じて、その全てのスプライトが一斉に縮小又は拡大されるが、他の表示部18〜20のスプライトは、その大きさが変化することはない。但し、いずれのスプライトの場合でも、指示テーブルTBLには、各スプライト毎に16バイト程度の動作パラメータの書込み領域が設けられており、書込まれた動作パラメータによって各スプライトの表示位置や拡大縮小率などが特定されるようになっている。
この実施例では、演出図柄表示部21が上下二分されて遊技チャンネルAと遊技チャンネルBの図柄演出が同時に行われることがあるので(縮小モード)、演出図柄表示部21用の指示テーブルTBLには、N種類のキャラクタや文字などを示すスプライトと、背景画像を規定するスプライトとが各二倍(つまり、合計2×(N+1)個)用意されている。図示の通り、演出図柄表示部21用の指示テーブルTBLには、遊技チャンネルAのスプライト用として#1a〜#Na及び#Maの動作パラメータ領域が確保され、遊技チャンネルBのスプライト用として#1b〜#Nb及び#Mbの動作パラメータ領域が確保されている。
スプライトの表示位置は、例えば、スプライトの左上端ドットの座標位置(DOx,DOy)によって規定され、スプライトサイズが16×16ドットである場合には、当該スプライトは、スプライト面生成部57の動作によって、スプライト面の左上端(DOx,DOy)から右下端(DOx+15,DOy+15)で囲まれる矩形範囲内に描画されることになる。なお、これらの動作においてSDRAM56のフレームバッファが使用される。
以上の説明から明らかなように、ワンチップマイコン50が指示テーブルTBLの書込み動作を行い、スプライト#Nの表示位置を(DOx,DOy)から(DOx+A,DOy+B)に変更すれば、液晶ディスプレイDISP上では、当該スプライト#NがX方向に+A、Y方向に+Bだけ移動することになる。もっとも、液晶ディスプレイDISPの解像度に応じて、実際に表示されるのは水平表示ドット数HDW×垂直表示ライン数VDWの矩形範囲内に限られるが、上記したスプライトの左上端ドットの座標指定によって、各スプライトを液晶ディスプレイDISP上で自由に移動させることが可能となる。このように、ワンチップマイコン50は、1/60秒毎の描画割込みIRQ0によって指示テーブルTBLの内容を書換えることによって、リーチ演出を含む各種の図柄演出が可能となる。
ところで、図3に示す主制御部30は、図9に示すタイマ割込み処理を所定時間(例えば2mS)毎に実行することによって、パチンコ機1の動作全体を総括的に制御している。以下、図9に基づいて説明すると、主制御部30では、タイマ割込みが生じると、各レジスタの内容がスタック領域に退避された後(ST1)、最初に乱数作成処理が実行される(ST2)。乱数作成処理とは、普通図柄処理ST10や特別図柄処理ST15における抽選動作で使用される当り用カウンタRGや大当たり用カウンタCTの更新処理を含んでいる。
当り用カウンタRGや大当り用カウンタCTは、ステップST2において、それぞれ所定数値範囲内でインクリメント(+1)処理によって更新され、更新後のカウンタの値は、それぞれ、当り判定用乱数値や大当り判定用乱数値として当否抽選動作で活用される。
具体的には、当り用カウンタRGの値は、遊技球がゲート17A,17Bを通過した場合に、普通図柄処理(ST10)における抽選動作で使用され、大当り用カウンタCTの値は、遊技球が図柄始動口14A,14Bを通過した場合に、特別図柄処理(ST15)における抽選動作に使用される。なお、従来装置では、乱数作成処理において、演出図柄表示部21や特別図柄表示部20における停止図柄を決定するための、大当り図柄用乱数作成処理を行っていたが、本実施例では、かかる処理は存在しない。
すなわち、本実施例では、特別図柄処理(ST15)において、大当り状態の当否抽選のみを行い、その当否結果を、大当り用の「特別図柄の変動パターンコマンド」として演出制御部32に伝送し、演出図柄表示部21や特別図柄表示部20におけるリーチ演出時の演出図柄や停止図柄の選択については演出制御部32に委ねている。但し、当り用や大当り用の「変動パターンコマンド」は、それが遊技チャンネルAに関するものか、遊技チャンネルBに関するものかが特定されている。
乱数作成処理(ST2)が終わると、各遊技動作の時間を管理しているタイマについてタイマ減算処理が行なわれた後(ST3)、図柄始動口14A,14Bやゲート17A,17Bの検出スイッチ、及び大入賞口15A,15Bの検出スイッチを含む各種スイッチ類の信号が入力され記憶される(ST4)。なお、ステップST3の処理で減算される各タイマは、電動チューリップや大入賞口15A,15Bの開放時間やその他の遊技演出時間を管理するためのものである。
スイッチ入力処理(ST4)が終わると、次に、この段階で生成されている制御コマンドを、対応するサブ制御部に伝送した後(ST5)、エラー管理処理が行われる(ST6)。エラー管理処理は、遊技球の補給が停止したり、遊技球が詰まっていないかなど、機器内部に異常が生じていないかの判定である。次に、払出制御部31向けの制御コマンドを作成した後(ST7)、生成された制御コマンドを対応するサブ制御部に伝送する(ST8)。
次に、現在が「当り中」の動作状態でないことを条件に、普通図柄処理を行う(ST10)。普通図柄処理とは、電動チューリップなど、普通電動役物を作動させるか否かの判定を意味する。具体的には、ステップST4のスイッチ入力結果によって遊技球がゲート17A,17Bを通過していると判定された場合に、乱数生成処理(ST2)で更新された当り用カウンタRGの値を取得し、このとき取得された乱数値が、変動開始時に当り当選値と対比される。そして、対比結果が当選状態であれば「当り中」の動作状態に変更する。また、「当り中」となれば、電動式チューリップなど、普通電動役物の作動に向けた処理を行う(ST12)。なお、ゲート17A(17B)に関する当選状態では、図柄始動口14A(14B)の電動チューリップが作動することになる。
続いて、必要な制御コマンドを演出制御部32に伝送する(ST13)。この制御コマンドは、普通図柄処理における当り抽選処理の当否結果に対応したものであり、最初に出力されるのは、普通図柄についての「変動パターンコマンド」であり、所定時間後に「変動停止コマンド」が出力される。先に説明したように、遊技球がゲート17A(17B)を通過して実施される抽選処理の結果は、普通図柄表示部19A(19B)の演出に反映されるので、遊技チャンネルAの制御コマンドCMD(a)であるか、或いは、遊技チャンネルBの制御コマンドCMD(b)であるかを特定して演出制御部32に出力される。
次に、現在が「大当り中」の動作状態でないことを条件に、特別図柄処理を行う(ST15)。特別図柄処理(ST15)とは、大入賞口15など第1種特別電動役物を作動させるか否かの判定である。具体的には、ステップST4のスイッチ入力結果によって遊技球が図柄始動口14A,14Bに入賞したと判定された場合に、乱数生成処理(ST2)で更新された大当り用カウンタCTの値を取得し、このとき取得された乱数値が大当り当選値と対比され、対比結果が当選状態であれば「大当り中」の動作状態に変更される。
以上のような特別図柄処理(ST15)が終わったら、現在が、「大当り中」の動作状態であることを条件に、大入賞口15A,15Bを用いた特別電動役物の作動に向けた処理が行われる(ST17)。続いて、ストローブ信号STBの出力を伴うコマンド伝送処理(ST18)が行われ、直近に特別図柄処理(ST15)が行われた場合には、その際の当否結果に応じて、「特別図柄の変動パターンコマンド」が演出制御部32に伝送される。図柄始動口14A(14B)への入賞は、特別図柄表示部20A(20B)や演出図柄表示部21A(21B)の演出に反映されるので、普通図柄の場合と同様、「特別図柄の変動パターンコマンド」も、遊技チャンネルAの制御コマンドCMD(a)であるか、遊技チャンネルBの制御コマンドCMD(b)であるかを特定して演出制御部32に出力される。
また、「変動パターンコマンド」で規定される所定時間後に「特別図柄の変動停止コマンド」が出力される。最初に伝送される「特別図柄の変動パターンコマンド」によって、変動動作の終了時は予め特定されているが、「特別図柄の変動停止コマンド」を受けることによって、確定的に演出動作を停止することになる。
このように「特別図柄の変動パターンコマンド」→「特別図柄の変動停止コマンド」の順番に制御コマンドが伝送されるが、この遊技機1には遊技チャンネルAと遊技チャンネルBとが存在するので、「特別図柄の変動停止コマンド」が伝送されて演出動作が終了する前に、別の「特別図柄の変動パターンコマンド」が伝送される場合がある。すなわち、例えば、図柄始動口14Aへの入賞に起因して「特別図柄の変動パターンコマンドCMD(a)」が伝送された後、「特別図柄の変動停止コマンド」の伝送前に、図柄始動口14Bへの入賞に起因する「特別図柄の変動パターンコマンドCMD(b)」が重複して伝送されることがある。但し、同一の図柄始動口14に連続して入賞しても、「特別図柄の変動パターンコマンド」が重複して伝送されることはなく、保留数表示部18,23に表示すべき変動保留数を規定する制御コマンドが伝送されるに過ぎない。なお、これらの点は、「普通図柄の変動パターンコマンド」の場合も同じである。
何れにしても、ステップST18の処理が終わると、ステップST1の処理で退避しておいたレジスタを復帰させてタイマ割込み処理を終える(ST19)。その結果、メインルーチンの処理に戻ることになるが、所定時間経過すると、再度ステップST1の処理が開始されるので、ステップST1〜ST19の処理は、所定時間毎に繰り返されることになる。
続いて、図10及び図11のフローチャートに基づいて、演出制御部32における動作内容を説明する。演出制御部32の動作は、主制御部30からのストローブ信号STBに起因して起動するコマンド受信割込みルーチン(図11)と、グラフィックコントローラ52からの割込み信号INTに起因して起動する描画割込みルーチン(図10(b))と、演出制御部32の一連の動作を実質的に実行するメインルーチン(図10(a))とで構成されている。
先に説明したように、グラフィックコントローラ52は、液晶ディスプレイDISPの1フレーム(画面)を1/60秒の時間を要して描画しており、1フレームの描画が完了する毎に垂直同期信号に同期して割込み信号INTを出力している。そこで、描画割込みルーチンでは、図10(b)に示すように、描画要求フラグFLGを1にセットして割込み処理を終える(ST30)。
次に、ストローブ信号STBに起因して起動されるコマンド受信割込みルーチンについて最初に説明する。図11(a)に示すように、コマンド受信割込みルーチンでは、最初にワンチップマイコン50の入力ポート39から制御コマンドCMDを取得し(ST20)、取得した制御コマンドCMDをリングバッファ構造の受信バッファに格納する(ST21)。そして、リングバッファのポインタを循環的に増加させて次の格納位置を指定して処理を終える(ST22)。このようにして格納された制御コマンドは、メインルーチンのコマンド解析処理(図10のST33)において読み出され、その後、リングバッファのポインタ値は元の値に戻される。
ところで、演出制御部32が受信する制御コマンドCMDには、演出図柄表示部21などの演出内容を概略的に特定する「変動パターンコマンド」と、演出動作の終了タイミングを特定する「変動停止コマンド」とが含まれている。また、これらには、「当り」抽選に関連する普通図柄の演出表示動作を指定するものと、「大当り」抽選に関連する特別図柄の演出表示動作を指定するものとがある。
そこで、先ず、受信した制御コマンドが、大当り抽選の結果に関わる「特別図柄の変動パターンコマンド」か否かが判定され(ST23)、もし「特別図柄の変動パターンコマンド」を受信したのであれば、変動パターンフラグPATTの値を格納領域PATT(OLD)にコピーした後、変動パターンフラグPATTのBit0かBit1を1にセットする(ST24)。具体的には、遊技チャンネルA(図柄始動口14A)に関する制御コマンドCMD(a)であれば、Bit0を1にセットし、遊技チャンネルB(図柄始動口14B)に関する制御コマンドCMD(b)であれば、Bit1を1にセットする。なお、演出制御部32は、図柄始動口14Aへの入賞に基づく場合には、「特別図柄の変動パターンコマンド」を、制御コマンドCMD(a)として受信するが、一方、図柄始動口14Bへの入賞に基づく場合には、制御コマンドCMD(b)として受信する。
ステップST24の処理が終われば、受信した「特別図柄の変動パターンコマンド」に基づく演出抽選を行って具体的な演出内容を決定し(図4参照)、決定された演出内容を示す制御コマンドCMD’を音声・ランプ制御部33に伝送して割込み処理を終える(ST25)。この場合、遊技チャンネルAの制御コマンドCMD(a)を受けると、制御コマンドCMD’(a)を伝送するが、遊技チャンネルBの制御コマンドCMD(b)を受けると、制御コマンドCMD’(b)を伝送する。
このような制御コマンドCMD’の伝送を受けた音声・ランプ制御部33では、制御コマンドCMD’によって特定される所定のランプ演出と音声演出とを開始することになる。この場合、遊技チャンネルAの制御コマンドCMD’(a)を受けると、スピーカSPaを駆動した音声演出を実行し、一方、遊技チャンネルBの制御コマンドCMD’(b)を受けた場合には、スピーカSPbを駆動した音声演出を実行する。但し、ランプ演出については、制御コマンドCMD’(a)とCMD’(b)とを区別しておらず、「変動パターンコマンド」を受ける毎に、その内容に応じて、それぞれ特別図柄用か普通図柄用のランプ演出を開始する。
以上、「特別図柄の変動パターンコマンド」を受信した場合について説明したが、ステップST23の判定がNoの場合には、受信した制御コマンドCMDが「特別図柄の変動停止コマンド」か否かが判定される(ST26)。もし「特別図柄の変動停止コマンド」を受信していない場合には、そのまま割込み処理を終えるが、「特別図柄の変動停止コマンド」を受信した場合には、変動パターンフラグPATTの値を、格納領域PATT(OLD)にコピーした後、変動パターンフラグPATTのBit0かBit1をリセットする(ST27)。この処理は、ステップST24のセット処理に対応するものであり、遊技チャンネルAに関する変動停止コマンドCMD(a)であれば、Bit0を0にリセットし、遊技チャンネルBに関する変動停止コマンドCMD(b)であれば、Bit1を0にリセットする。
その後、演出制御部32は、音声・ランプ制御部33に対して、制御コマンドCMD’として「特別図柄の変動停止コマンド」を伝送する(ST28)。この時にも、遊技チャンネルAの制御コマンドCMD(a)を受けた場合には、制御コマンドCMD’(a)を伝送するが、遊技チャンネルBの制御コマンドCMD(b)を受けた場合には、制御コマンドCMD’(b)を伝送する。
図11(b)は、ステップST24とST27の処理によって推移する変動パターンフラグPATTの内容を図示したものである。「特別図柄の変動パターンコマンド」を受信して開始した演出動作中に、改めて「特別図柄の変動パターンコマンド」を受信した場合には、演出図柄表示部21を上下二分する必要があるが、そのことは、変動パターンフラグPATTが2進数「******11」に変化したことによって明らかとなる。一方、変動パターンフラグPATTが、2進数「******11」の値から、「******10」か、または「******01」に変化した場合には、上下二分されていた演出図柄表示部21を全面表示に拡大すべきことになる。
以上を踏まえて、図10(a)に示すメインルーチンを説明する。メインルーチンでは、最初に、ワンチップマイコン50その他について初期化処理を実行する(ST31)。次に、描画要求があるか否かを描画要求フラグFLGの値によってチェックし、描画要求フラグFLGが1になるのを待つ(ST32)。最初に説明したように、描画要求フラグFLGは、描画割込みルーチンにおいて、液晶ディスプレイDISPの垂直同期信号に同期して1/60秒ごとにセットされる。
そして、描画要求フラグFLGが1にセットされたのが確認されたら(ST32がYes)、描画要求フラグFLGをリセットすると共に、ステップST33の処理に移行する。本実施例では、描画要求フラグFLGは垂直同期信号に同期して1にセットされるので、結局、ステップST33以下の処理は、液晶ディスプレイDISPの描画完了毎に実行されることになる。
ステップST33のコマンド解析処理では、リングバッファ構成の受信バッファから未処理の制御コマンドを読み出し、その制御コマンドに対応した処理を行う。具体的には、最初に、「特別図柄の変動パターンコマンド」を受けたか否かを判定し(ST40)、「特別図柄の変動パターンコマンド」を受信した場合には、変動パターンフラグPATTの値を判定する(ST41)。そして、変動パターンフラグPATTの値が2進数「******11」であれば、重複フラグVARYを1にセットして次の処理に移行する(ST42)。変動パターンフラグPATTの値が2進数「******11」の場合は、演出図柄表示部21を上下二分すべき場合であるから(図11(b)参照)、重複フラグVARYを1にセットするのである。
一方、ステップST40の判定がNoの場合には、「特別図柄の変動停止コマンド」を受信したか否かを判定し(ST43)、「特別図柄の変動停止コマンド」を受信した場合であれば、それまでの変動パターンフラグPATT(OLD)の値を判定する(ST44)。そして、それまでの変動パターンフラグPATT(OLD)の値が2進数「******11」であれば、重複フラグVARYを0にリセットして次の処理に移行する(ST45)。この場合は、変動パターンフラグPATTの値が2進数「******11」から「******10」か、又は「******01」に変化した場合であり、上下に二分されていた演出図柄表示部21を全画面表示に戻すべく(図11(b)参照)、重複フラグVARYを0にリセットするのである。
その後の処理としては、例えば、新規に「特別図柄の変動パターンコマンド」を受信した場合には、演出時間を管理する管理タイマの計時動作を開始させるなど必要な準備動作を行う。以下、主として、「特別図柄の変動パターンコマンド」の受信と、その後の演出抽選(ST25)で特定される図柄変動動作を開始させるか、或いは持続させる場合について説明するが、「変動パターンコマンド」の受信前であって、静止図柄を描画しつづける場合も基本的には同様の動作である。
ステップST33のコマンド解析処理が終われば、主制御部30から指示された「変動パターンコマンド」に基づいて図柄変動動作を実行する必要があるので、前回の割込み処理で用意され、現在、液晶ディスプレイDISPに表示されている画像を先ず消去する(ST34)。画像の消去は、グラフィックコントローラ52を、表示OFF状態に設定することで実行され、その結果、液晶ディスプレイDISPへの画像信号が消失し、液晶ディスプレイDISPの画面は真っ暗となる。このような処理を設けているのは、ワンチップマイコン50による指示テーブルTBLの書き込み動作中に、液晶ディスプレイDISPの画像を表示すると、その表示画像に不合理が生じるからである。
画像を消去するステップST34の処理が終われば、変動パターンコマンドによって特定される一連の図柄演出の進行度合に応じて、液晶ディスプレイDISPに描画すべき次の画像を特定し、特定された内容にしたがってグラフィックコントローラ52の指示テーブルTBLの内容を書き直す(ST35)。
このステップST35の処理を詳細に説明するに先立って、演出図柄表示部21を全画面表示して使用する場合と、上下二分して使用する場合とで、指示テーブルTBLの内容を如何に変化させるかについて説明する。例えば、図13(a)のように、「特別図柄の変動パターンコマンド」を受けて演出図柄表示部21の全体を使用して、遊技チャンネルAのスプライトSa1〜Sa5が背景スプライトSa0の上で変動している場合を考える。
かかる等倍モードの動作状態において、遊技チャンネルBについて「特別図柄の変動パターンコマンド」を重複して受けると、この実施例では、演出図柄表示部21を上下二分して、上側を遊技チャンネルAとして使用し下側を遊技チャンネルBとして使用している(図13(b)参照)。この場合、各スプライトを一斉に縮小するとともに、その座標位置を変化させている。なお、逆に演出図柄表示部21を上下二分して使用している状態で、遊技チャンネルBについて「変動停止コマンド」を受けると、図13(b)の状態から一斉に図13(a)の状態に戻す必要がある。
同様に、図14(a)のように、「特別図柄の変動パターンコマンド」を受けて演出図柄表示部21の全体を使用して、チャンネルBのスプライトSb1〜Sb5が背景スプライトSb0の上で変動している場合に、遊技チャンネルAについて「特別図柄の変動パターンコマンド」を重複して受けると、上側を遊技チャンネルAとして使用し下側を遊技チャンネルBとして使用する(図14(b)参照)。この場合も、各スプライトを一斉に縮小するとともに、その座標位置を変化させている。なお、演出図柄表示部21を上下二分している状態で遊技チャンネルAについて「変動停止コマンド」を受けると、図14(b)の状態から図14(a)の状態に戻す点も図13の場合と同じである。
このように「特別図柄の変動パターンコマンド」を重複して受信すると、各スプライトを縮小するとともに、その座標位置を変化させる必要があるが、本実施例では、図12(b)に表記するアルゴリズムで、各スプライトの情報(動作パラメータ)を変更している。すなわち、重複表示状態(縮小モード)では、遊技チャンネルAについて、(1)スプライトの始点座標(X,Y)のX座標は変化させないが、Y座標は元の座標値の1/2にする。また、(2)スプライトの大きさについては、X方向を1/2倍に縮小し、Y方向を3/4倍に縮小している。そして、縮小モードに変わると(3)その後のスプライトの移動量をX方向については1/2倍に縮小し、Y方向については3/4倍に縮小している(図12(c)、図13、図14参照)。X方向とY方向とで縮小率が異なるのは、画面の縦横比が等倍モードと縮小モードで異なるからである。
同様に、重複表示状態(縮小モード)では、遊技チャンネルBについて、(1)スプライトの始点座標(X,Y)のX座標は変化させないが、Y座標は、[元の座標値の1/2]+[OFFSET]とする。なお、OFFSETとは、全画面表示状態のY軸最大値の1/2である。また、(2)スプライトの大きさについては、X方向を1/2倍に縮小し、Y方向を3/4倍に縮小している。そして、縮小モードに変わると、(3)その後のスプライトの移動量を、X方向については1/2倍に縮小し、Y方向については3/4倍に縮小している(図12(c)、図13、図14参照)。
かかる動作は、演出図柄表示部21の指示テーブルTBLに書き込む動作パラメータを書き換えることによって実現される。すなわち、各スプライトには、指示テーブルTBL中の16バイトの動作パラメータ領域が付与されており、その動作パラメータ領域には、始点座標(X,Y)の格納領域と、拡大縮小率(拡縮率)の格納領域があるので、その値を適宜に書き換えることによって、各スプライトの縮小と、始点位置の移動が可能となる。具体的には、各スプライトは、動作パラメータの書き換えによって、X方向に1/2倍、Y方向に3/4倍の縮小となり、始点位置は、(X,Y/2)か(X,Y/2+OFFSET)の座標位置に移動される。
以上を踏まえて、図10の描画処理(ST35)の具体的内容を、図12(a)に基づいて説明する。描画処理では、先ず、重複フラグVARYの値が1か0かをチェックする(ST50)。図11に関して説明した通り、重複フラグVARYの値は、演出図柄表示部21を上下二分すべき場合には1にセットされている(ST42)。そこで、重複フラグVARY=1の場合には、演出図柄表示部21の指示テーブルTBLの内容をチェックして既に縮小モードの動作を開始しているか否かを判定する(ST51)。これは、それまで演出図柄表示部21を全画面使用していた状態で、「特別図柄の変動パターンコマンド」を重複して受けたのか、それとも、既に演出図柄表示部21を二分して使用しているかを判定するためである。
縮小モードで動作しているか否かは、演出図柄表示部21の指示テーブルTBLにおける、各スプライトの拡縮率を記載すべき領域の値で判定できるので、X方向とY方向の拡縮率が(1,1)であれば、それまで全画面表示(等倍モード)で動作していたことになる。そこで、拡縮率が(1,1)であれば、演出図柄表示部21の指示テーブルTBLの全てのスプライトについて、始点座標を変換する(ST52)。具体的には、遊技チャンネルAのスプライトについては、始点位置を(X,Y/2)に変換し、遊技チャンネルBのスプライトについては、始点位置を(X,Y/2+OFFSET)に変換する。
次に、演出図柄表示部21の指示テーブルTBLの全てのスプライトについて、動作パラメータの書き換えによって、X方向に1/2倍、Y方向に3/4倍の縮小率とする(ST53)。なお、このようにして、演出図柄表示部21の指示テーブルTBLの動作パラメータを書き換えると、等倍モードから縮小モードに変わるので、その後はステップST52とST53の処理はスキップされる。
次に、現在までの図柄演出の進行を管理タイマによって把握すると共に、制御ROM51に格納されているスプライト経路データによって、各スプライトの次の位置を把握して、移動量を各スプライトの始点座標に加算する(ST54)。この場合の移動量は、縮小モードの移動量であり、本来の値(ΔX,ΔY)に対して(ΔX/2,3×ΔY/4)である。
以上、重複フラグVARY=1の場合について説明したが、重複フラグVARY=0の場合には、ステップST50からST55に移行して、既に、等倍モードになっているか否かを判定する。これは、「変動停止コマンド」を受けた結果、今回、縮小モードから等倍モードに変更されたところなのか、それとも、既に、等倍モードに変更済みなのかの判定のためである。なお、縮小モードか等倍モードかは、演出図柄表示部21の指示テーブルTBLの拡縮率についての動作パラメータを検査することで判定される。
ステップST55の判定の結果、現在が縮小モードであれば、演出図柄表示部21の指示テーブルTBLの全てのスプライトについて、始点座標を変換する(ST56)。具体的には、それまでの始点座標(X,Y)に対して、遊技チャンネルAのスプライトの始点座標を(X,Y×2)に変換し、遊技チャンネルBのスプライトの始点座標を(X,(Y−OFFSET)×2)に変換する。
そして、縮小モードから等倍モードに変換するべく、演出図柄表示部21の指示テーブルTBLの全てのスプライトについて、X方向、Y方向とも1倍の縮小率とする(ST57)。次に、現在までの図柄演出の進行を管理タイマによって把握すると共に、制御ROM51に格納されているスプライト経路データによって、各スプライトの次の位置を把握して、移動量を各スプライトの始点座標に加算する(ST58)。この場合の移動量は、等倍モードの移動量であるから、本来の値(ΔX,ΔY)が使用される。
以上、図12(a)のフローチャートに基づいて図10の描画処理(ST35)を説明したが、指示テーブルTBLの書き換え時に、必要に応じてスプライトの色彩を変更したり、スプライトを回転させるための指示がされる。
以上のようにして指示テーブルTBLの書換え処理が終われば、液晶表示をON状態にセットする(図10のST36)。すると、書き換えられた指示テーブルTBLの動作パラメータにしたがって、CGROM53から該当するスプライトのパターンデータが読み出され、必要な変形処理などを経た上で指示された座標位置に配置され、フレームバッファに書込まれる。そして、アナログ変換された画像信号RGBとして液晶ディスプレイDISPに送出されるので、液晶ディスプレイDISPには前回と異なる画像が表示されて変動動作が実現される。
その後は、検査機関用の外部端子に必要な信号を出力した後(ST37)、ステップST32の処理に戻り、次回の描画割込みが生じるのを待つ。その結果、今回構築された画像は1/60秒間だけ静止画像として液晶ディスプレイDISPに表示され、次回の割込み処理によって別の静止画像に書換えられる。なお、図柄変動動作が開始される以前は、液晶ディスプレイDISPに静止画像が連続的に表示されることもあるが、そのような場合は、ステップST35の処理において動作パラメータの書き換え動作がスキップされる。
以上、主として、演出図柄表示部21の動作について説明したが、普通図柄表示部19の点滅動作や、特別図柄表示部20の図柄変動動作についても、縮小モードと等倍モードの切換えがないことを除けば、その動作内容は基本的に上記した演出図柄表示部21と同じである。また、変動保留数表示部18も含め、各表示部18〜20の動作内容を規定する制御コマンドには、遊技チャンネルAの制御コマンドCMD(a)か、遊技チャンネルBの制御コマンドCMD(b)かが区別されており、遊技チャンネルに応じた表示動作が実現される。
遊技チャンネルA,Bに応じた演出制御部32の動作は以上の通りであるが、演出制御部32から制御コマンドCMD’を受ける音声・ランプ制御部33では、縮小モードや等倍モードの動作切換えがない。すなわち、「変動パターンコマンド」を受けると同一のランプ演出を開始する一方、遊技チャンネルA,Bに応じて左右何れかのスピーカSPa,SPbを用いて音声演出を開始している。また、変動保留数を規定する制御コマンドを受けた場合にも、遊技チャンネルA,Bに応じて何れか一方の保留数表示部23A,23Bのランプ表示が変更される。
以上、本発明の実施例について説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定するものではない。例えば、上記の実施例では、演出図柄表示部21の図柄演出に同期した音声演出に関して、制御コマンドCMD’(a)を受けた音声演出はスピーカSPaから発せられ、制御コマンドCMD’(b)を受けた音声演出はスピーカSPbから発せられよう説明したが、常にこのように動作させる必要はない。すなわち、演出図柄表示部21が縮小モードで動作している場合には、2つのスピーカSPa、SPbから別々の音声を発するが、等倍モードで動作している場合には、2つのスピーカSPa、SPbから同一の音声を発するようにしてもよい。
また、上記の実施例では、2つの図柄始動口14A,14Bを、共に電動式チューリップで構成したが、何れか一方だけを電動式チューリップとするのも効果的である。例えば、図柄始動口14Bには電動式チューリップを設けず、この構成に対応して、ゲート17B、普通図柄表示部19B、及び、普通図柄の保留数表示部23Bを設けないように構成する。なお、このような実施例の場合でも、図柄始動口14Bを遊技球が通過すると、特別図柄表示部20Bや演出図柄表示部21Bの変動動作は開始されるので、迫力ある演出動作が可能となる。
一方、2つの図柄始動口14A,14Bとも、電動式チューリップを設けない構成も考えられる。この場合には、ゲート17A、普通図柄表示部19A、及び、普通図柄の保留数表示部23Aについても省略できるので、液晶表示部DISPをより広く使用することができる利点がある。
また、変動パターンに応じて表示画像の優先順位を設けても良い。例えば、遊技チャンネルAに関してリーチ演出が行われている場合は、そのリーチ演出を全画面表示するか、又は遊技チャンネルBの表示よりも大きく表示することが考えられる。また、表示画像に限らず、ランプ演出や音声演出に関しても優先順位を設けるようにしても良い。更に、一方の遊技チャンネルが当選状態の場合は必ず全画面表示するようにしても良いし、所定の確率で画面分割表示するようにしても良い。後者の場合には、遊技者は、重複入賞でありながら、一方の遊技チャンネルのみが全画面表示されたのを見て、大きな期待を抱くことになる。
また、上記の実施例の場合には、全画面表示⇔1/2表示を図柄変動ごと(つまり、保留消化ごと)行うことになる。したがって、変動保留状態が生じた場合は、変動パターンフラグPATTの所定ビットはゼロクリアしない、若しくは変動停止コマンドを受信しても重複フラグVARYをゼロクリアしないようにするのが好ましい。このような構成により、連続して変動する場合には画面表示を一定(1/2状態)に保ったまま演出画像を表示できる。
なお、上記の実施例では、各遊技チャンネルの図柄演出は、液晶表示画面を切り分けて実行されているが、このような実施態様に限定される必要はなく、二つの遊技チャンネルの図柄演出を重複させて行うのも効果的である。また、表示装置は液晶表示装置に限定されず、ドットマトリクスや有機EL等の表示装置を採用しても良く、更には、表裏両面に表示画面を有する両面液晶表示装置を採用し、これを回転可能に構成して表面側と裏面側の表示面を使い分けても良い。