JP4932570B2 - 加工性に優れた鋼管及びその製造方法 - Google Patents
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Description
(1) 質量%で、
C:0.035〜0.210%、
Si:0.13〜0.34%、
Mn:0.40〜1.35%、
P:0.0065〜0.0150%、
S:0.0016〜0.0043%、
Al:0.002〜0.033%、
N:0.0019〜0.0048%、
O:0.0019〜0.0034%を含有し、
残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼管を素管として、該素管を冷間で伸管加工した後、Ac1変態点−70℃からAc1変態点の温度範囲で加熱して製造した鋼管であって、シーム溶接部を含む鋼管全域でフェライトの分率が60%以上、平均結晶粒径が10μm以上、アスペクト比の平均値が1.0以上5.0未満であり、更に、鋼管の軸方向のr値(rL)が1.2以上、鋼管の円周方向のr値(rC)が1.2以上であることを特徴とする加工性に優れた鋼管。
(2) 質量%で、
C:0.035〜0.210%、
Si:0.13〜0.34%、
Mn:0.40〜1.35%、
P:0.0065〜0.0150%、
S:0.0016〜0.0043%、
Al:0.002〜0.033%、
N:0.0019〜0.0048%、
O:0.0019〜0.0034%を含有し、
残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼管を素管として、鋼管の1/2板厚における板面の{111}のX線反射面ランダム強度比が2.0以上7.0以下、{110}のX線反射面ランダム強度比が1.0以上5.0以下、{100}のX線反射面ランダム強度比が3.0以下であり、シーム溶接部を含む鋼管全域でフェライトの分率が60%以上、平均結晶粒径が10μm以上であり、更に、鋼管の軸方向のr値(rL)が1.2以上、鋼管の円周方向のr値(rC)が1.2以上であることを特徴とする加工性に優れた鋼管。
(3) 前記鋼管のシーム溶接部を含む鋼管全域で硬さの最大値と最小値との差がHv50以下であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の加工性に優れた鋼管。
(4) 質量%で、
C:0.035〜0.210%、
Si:0.13〜0.34%、
Mn:0.40〜1.35%、
P:0.0065〜0.0150%、
S:0.0016〜0.0043%、
Al:0.002〜0.033%、
N:0.0019〜0.0048%、
O:0.0019〜0.0034%を含有し、
残部がFe及び不可避的不純物からなる素管を減面率が10%以上60%以下、減肉率が1%以上となるように冷間で伸管加工し、Ac1変態点−70℃からAc1変態点の温度範囲で30秒以上加熱した後、冷却することを特徴とする加工性に優れた鋼管の製造方法。
(5) 前記素管を冷間で伸管加工する前に、Ac3変態点以上の温度に加熱し、冷却する工程を付加することを特徴とする前記(4)に記載の加工性に優れた鋼管の製造方法。
本発明者らは、鋼管を素管として、該素管を加熱した後、直ちに縮径加工するような高価な製造設備を必要とすることなく、また高価な冷間圧延鋼板を素材として造管することなく、安価に製造することができ、シーム溶接部も含めた鋼管全域での加工性に優れた鋼管及びその製造方法について鋭意検討を行った。
このようにして得られた平板状の試料について、機械研磨や化学研磨などによって板厚中心付近まで研磨し、バフ研磨によって鏡面に仕上げた後、電解研磨や化学研磨によってひずみを除去すると同時に、板厚中心層が測定面となるように調整する。
なお、試料の板厚中心層に偏析帯が観察される場合には、板厚の3/8〜5/8の範囲で偏析帯のない場所を測定すればよい。さらに、X線測定が困難な場合は、EBSP法によって測定しても差し支えない。
本発明では、鋼管のシーム溶接部を含む鋼管全域で硬さの最大値と最小値との差がHv50以下であることが好ましい。特に、加工の厳しいハイドロフォーミングのような加工では、この差がHv50を超えてしまうと、硬さの高い箇所での延性不足により破断に至ることがある。したがって、鋼管のシーム溶接部を含む鋼管全域で硬さの最大値と最小値との差は、Hv50以下であることが好ましく、より好ましくはHv30以下である。
なお、鋼管の硬さ測定については、鋼管の円周方向の切断面(C断面)の板厚3/8〜5/8、且つシーム溶接部を含む円周方向全域をビッカース硬度計により測定した。
本発明の加工性に優れた鋼管の製造方法は、鋼管を素管として、該素管を減面率が10%以上60%以下、減肉率が1%以上となるように冷間で伸管加工し、Ac1変態点−70℃からAc1変態点の温度範囲で30秒以上加熱した後、冷却することを特徴とする。
なお、減面率とは、{(伸管加工前の断面積−伸管加工後の断面積)/(伸管加工前の断面積)}×100(%)で表される値である。
なお、減肉率とは、{(伸管加工前の肉厚−伸管加工後の肉厚)/(伸管加工前の肉厚)}×100(%)で表される値である。
また、冷間での伸管加工する前にAc3変態点以上の温度に加熱し、冷却することによって、シーム溶接部を含めた鋼管の材質が均質化され、その後の冷間での伸管加工と熱処理によって、シーム溶接部を含めた鋼管全域において材質の均質化が得られる。一方、冷間で伸管加工する前の加熱温度がAc3変態点未満の場合は、シーム溶接部と母材部の材質が不均質となる。
なお、伸管前の熱処理は、950℃加熱のノルマを施した。
鋼管の加工性の評価は、以下の方法で行った。すなわち、鋼管に10mmφのスクライブドサークルを転写し、内圧と軸押し量を制御して、円周方向への張り出し成形を行った。そして、バースト直前での最大拡管率を示す部位(拡管率=成形後の最大周長/母管の周長)の軸方向のひずみと円周方向のひずみを測定した。この2つのひずみの比ρと最大拡管率をプロットして、ρ=−0.5となる拡管率Reをもってハイドロフォームの成形性指標とした。
これに対して、No.8〜13の鋼管(比較例)は、具備すべき条件が適切でなく、加工性に劣る。
具体的に、No.8の鋼管は、減面率が低いため、r値が低く最大拡管率が低い。
No.9の鋼管は、減面率が高すぎるため、伸管加工時に破断した。
No.10の鋼管は、減肉率が低いため、rL値が低いために、最大拡管率が低いことと、伸管加工前のノルマ熱処理がないために、硬さの最大値と最小値の差が大きい。
No.11の鋼管は、熱処理温度が低いため、フェライトの平均結晶粒径が小さく、且つフェライトのアスペクト比の平均値が大きいために、r値が低く、最大拡管率が低い。
No.12の鋼管は、熱処理温度が高いため、r値が低く、最大拡管率が低い。
No.13の鋼管は、熱処理時間が短いため、フェライトの分率が低く、且つr値が低いために、最大拡管率が低い。
Claims (5)
- 質量%で、
C:0.035〜0.210%、
Si:0.13〜0.34%、
Mn:0.40〜1.35%、
P:0.0065〜0.0150%、
S:0.0016〜0.0043%、
Al:0.002〜0.033%、
N:0.0019〜0.0048%、
O:0.0019〜0.0034%を含有し、
残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼管を素管として、該素管を冷間で伸管加工した後、Ac1変態点−70℃からAc1変態点の温度範囲で加熱して製造した鋼管であって、シーム溶接部を含む鋼管全域でフェライトの分率が60%以上、平均結晶粒径が10μm以上、アスペクト比の平均値が1.0以上5.0未満であり、更に、鋼管の軸方向のr値(rL)が1.2以上、鋼管の円周方向のr値(rC)が1.2以上であることを特徴とする加工性に優れた鋼管。 - 質量%で、
C:0.035〜0.210%、
Si:0.13〜0.34%、
Mn:0.40〜1.35%、
P:0.0065〜0.0150%、
S:0.0016〜0.0043%、
Al:0.002〜0.033%、
N:0.0019〜0.0048%、
O:0.0019〜0.0034%を含有し、
残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼管を素管として、鋼管の1/2板厚における板面の{111}のX線反射面ランダム強度比が2.0以上7.0以下、{110}のX線反射面ランダム強度比が1.0以上5.0以下、{100}のX線反射面ランダム強度比が3.0以下であり、シーム溶接部を含む鋼管全域でフェライトの分率が60%以上、平均結晶粒径が10μm以上であり、更に、鋼管の軸方向のr値(rL)が1.2以上、鋼管の円周方向のr値(rC)が1.2以上であることを特徴とする加工性に優れた鋼管。 - 前記鋼管のシーム溶接部を含む鋼管全域で硬さの最大値と最小値との差がHv50以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の加工性に優れた鋼管。
- 質量%で、
C:0.035〜0.210%、
Si:0.13〜0.34%、
Mn:0.40〜1.35%、
P:0.0065〜0.0150%、
S:0.0016〜0.0043%、
Al:0.002〜0.033%、
N:0.0019〜0.0048%、
O:0.0019〜0.0034%を含有し、
残部がFe及び不可避的不純物からなる素管を減面率が10%以上60%以下、減肉率が1%以上となるように冷間で伸管加工し、Ac1変態点−70℃からAc1変態点の温度範囲で30秒以上加熱した後、冷却することを特徴とする加工性に優れた鋼管の製造方法。 - 前記素管を冷間で伸管加工する前に、Ac3変態点以上の温度に加熱し、冷却する工程を付加することを特徴とする請求項4に記載の加工性に優れた鋼管の製造方法。
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