JP4932570B2 - 加工性に優れた鋼管及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、伸管、曲げ、ハイドロフォーミング等によって成形する構造用鋼管、配管等に適する加工性に優れた鋼管及びその製造方法に関する。
工程の省略及び部品点数の削減による自動車の製造コスト低減を目的として、鋼管から複雑な形状の部品を製造するハイドロフォーミング技術が開示されている(特許文献1を参照)。このようなハイドロフォーミング技術のメリットを十分に活用するためには、塑性異方性の指標であるr値(ランクフォード値)の高い鋼管が望ましく、ハイドロフォーミング用鋼管及びその製造方法が開示されている(特許文献2〜6を参照)。
しかしながら、これらの鋼管の製造方法は、何れも鋼管を素管として、該素管を加熱した後、比較的高温で縮径加工することによって鋼管の集合組織を制御し、r値を高める方法であることから、製造設備が高価となり、製造コストが上昇するという問題がある。
一方、圧延方向及び圧延方向に直交する方向のr値が高い冷延鋼板を用いて造管した後、鋼管を熱処理する方法が開示されている(特許文献7を参照)。しかしながら、この方法では、鋼管を製造する際に、シーム溶接部で溶融した部分と、Ac1変態点以上に再加熱されることでオーステナイトに変態した部分とのr値が低下することから、加工性に劣るという問題がある。さらに、この方法は、素材となる冷間圧延鋼板の製造コストが高いので、鋼管の製造コストも上昇するという問題点がある。
一方、引張強度が350MPa以上、鋼管の軸方向及び円周方向のr値が共に1.3以上であり、鋼管の軸方向のn値「n」と引張強度「TS[MPa]」がTS+3285×n>1082の関係を満たす加工性に優れた鋼管、並びにそのような鋼管の製造方法として、冷間圧延鋼板を素材として造管した後、加熱する方法が開示されている(特許文献8を参照)。
しかしながら、この方法では、鋼管を製造する際に、鋼管を単に加熱するだけではシーム溶接部で溶融した部分と、Ac1変態点以上に再加熱されることでオーステナイトに変態した部分とのr値の向上は認められず、加工性に劣るという問題点がある。さらに、この方法は、冷間圧延鋼板を素材として鋼管を製造し、該鋼管を加熱することによって鋼管の集合組織を制御してr値を高める方法であることから、素材となる冷間圧延鋼板の製造コストが高くなり、その結果、鋼管の製造コストも上昇するという問題点がある。
特開平10−175026号公報 特開2001−348643号公報 特開2001−348647号公報 特開2001−348648号公報 特開2002−20841号公報 特開2002−115029号公報 特開2002−115780号公報 特開2004−68040号公報
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、安価で良好な加工性を有する鋼管及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決することを目的とした本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1) 質量%で、
C:0.035〜0.210%、
Si:0.13〜0.34%、
Mn:0.40〜1.35%、
P:0.0065〜0.0150%、
S:0.0016〜0.0043%、
Al:0.002〜0.033%、
N:0.0019〜0.0048%、
O:0.0019〜0.0034%を含有し、
残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼管を素管として、該素管を冷間で伸管加工した後、Ac1変態点−70℃からAc1変態点の温度範囲で加熱して製造した鋼管であって、シーム溶接部を含む鋼管全域でフェライトの分率が60%以上、平均結晶粒径が10μm以上、アスペクト比の平均値が1.0以上5.0未満であり、更に、鋼管の軸方向のr値(rL)が1.2以上、鋼管の円周方向のr値(rC)が1.2以上であることを特徴とする加工性に優れた鋼管。
(2) 質量%で、
C:0.035〜0.210%、
Si:0.13〜0.34%、
Mn:0.40〜1.35%、
P:0.0065〜0.0150%、
S:0.0016〜0.0043%、
Al:0.002〜0.033%、
N:0.0019〜0.0048%、
O:0.0019〜0.0034%を含有し、
残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼管を素管として、鋼管の1/2板厚における板面の{111}のX線反射面ランダム強度比が2.0以上7.0以下、{110}のX線反射面ランダム強度比が1.0以上5.0以下、{100}のX線反射面ランダム強度比が3.0以下であり、シーム溶接部を含む鋼管全域でフェライトの分率が60%以上、平均結晶粒径が10μm以上であり、更に、鋼管の軸方向のr値(rL)が1.2以上、鋼管の円周方向のr値(rC)が1.2以上であることを特徴とする加工性に優れた鋼管。
(3) 前記鋼管のシーム溶接部を含む鋼管全域で硬さの最大値と最小値との差がHv50以下であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の加工性に優れた鋼管。
(4) 質量%で、
C:0.035〜0.210%、
Si:0.13〜0.34%、
Mn:0.40〜1.35%、
P:0.0065〜0.0150%、
S:0.0016〜0.0043%、
Al:0.002〜0.033%、
N:0.0019〜0.0048%、
O:0.0019〜0.0034%を含有し、
残部がFe及び不可避的不純物からなる素管を減面率が10%以上60%以下、減肉率が1%以上となるように冷間で伸管加工し、Ac1変態点−70℃からAc1変態点の温度範囲で30秒以上加熱した後、冷却することを特徴とする加工性に優れた鋼管の製造方法。
(5) 前記素管を冷間で伸管加工する前に、Ac3変態点以上の温度に加熱し、冷却する工程を付加することを特徴とする前記(4)に記載の加工性に優れた鋼管の製造方法。
以上のように、本発明によれば、安価で加工性に優れた鋼管を得ることが可能であり、このような鋼管を、伸管、曲げ、ハイドロフォーミングなどで加工する構造用鋼管、配管等に適用することにより、安全性が著しく向上すると共に、工程の省略及び部品点数の削減による製造コストの低減が可能となり、資源の有効利用が可能となる。
以下、本発明の加工性に優れた鋼管及びその製造方法について詳細に説明する。
本発明者らは、鋼管を素管として、該素管を加熱した後、直ちに縮径加工するような高価な製造設備を必要とすることなく、また高価な冷間圧延鋼板を素材として造管することなく、安価に製造することができ、シーム溶接部も含めた鋼管全域での加工性に優れた鋼管及びその製造方法について鋭意検討を行った。
その結果、鋼管を素管として、該素管を減面率が10%以上60%以下、減肉率が1%以上となるように冷間で伸管加工し、Ac1変態点−70℃からAc1変態点の温度範囲で30秒以上加熱した後、冷却することによって、シーム溶接部を含む鋼管全域で鋼管の軸方向のr値(rL)及び鋼管の円周方向のr値(rC)を高くして、曲げ加工やハイドロフォーミングなどの加工性を向上させることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の加工性に優れた鋼管は、質量%で、C:0.035〜0.210%、Si:0.13〜0.34%、Mn:0.40〜1.35%、P:0.0065〜0.0150%、S:0.0016〜0.0043%、Al:0.002〜0.033%、N:0.0019〜0.0048%、O:0.0019〜0.0034%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼管を素管として、該素管を冷間で伸管加工した後、Ac1変態点−70℃からAc1変態点の温度範囲で加熱して製造した鋼管であって、シーム溶接部を含む鋼管全域でフェライトの分率が60%以上、平均結晶粒径が10μm以上、アスペクト比の平均値が1.0以上5.0未満であり、更に、鋼管の軸方向のr値(rL)が1.2以上、鋼管の円周方向のr値(rC)が1.2以上であることを特徴とする。
また、本発明の加工性に優れた鋼管は、質量%で、C:0.035〜0.210%、Si:0.13〜0.34%、Mn:0.40〜1.35%、P:0.0065〜0.0150%、S:0.0016〜0.0043%、Al:0.002〜0.033%、N:0.0019〜0.0048%、O:0.0019〜0.0034%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼管を素管として、鋼管の1/2板厚における板面の{111}のX線反射面ランダム強度比が2.0以上7.0以下、{110}のX線反射面ランダム強度比が1.0以上5.0以下、{100}のX線反射面ランダム強度比が3.0以下であり、シーム溶接部を含む鋼管全域でフェライトの分率が60%以上、平均結晶粒径が10μm以上であり、更に、鋼管の軸方向のr値(rL)が1.2以上、鋼管の円周方向のr値(rC)が1.2以上であることを特徴とする。
具体的に、鋼管を素管として、該素管を冷間で伸管加工した後、Ac1変態点−70℃からAc1変態点の温度範囲で加熱して製造する鋼管において、曲げ加工やハイドロフォーミングなどの加工性を向上させるためには、本発明のようにシーム溶接部を含む鋼管全域でrL及びrCをそれぞれ1.2以上とすることが好ましい。一般的にr値が高くなると加工性が向上することが知られている。シーム溶接部を含めて円周方向全域でrL及びrCが高くなる場合、rL及びrCが1.2以上であれば、曲げ加工やハイドロフォーミングなどの加工性を十分に確保することが可能である。なお、45゜方向のr値(rD)は、加工性に大きな効果を及ぼさないため、特に限定しないものの、このような鋼管の製造条件において、rDは1.2未満となる。
鋼管のrLの測定方法については、先ず、鋼管からJIS Z 2201に準拠して、鋼管の軸方向を長手方向として12号円弧状試験片を採取し、標点をマーキングして標点間の距離を測定する。次に、試験片平行部の中央部にひすみゲージを幅方向に貼付した後、伸び計を取り付けて引張試験機で10%の引張ひずみを与え、標点距離の変化とひずみゲージにより測定した幅方向のひずみ変化からrLを算出した。
鋼管のrCの測定方法については、先ず、鋼管を切断してプレス等で平板状とし、円周方向を長手方向としてJIS Z 2201の13B号試験片を採取し、試験片平行部に標点をマーキングして標点距離ならびに試験片平行部の板厚及び板幅を測定した。次に、試験片に伸び計を取り付けて、引張試験機にて10%の引張ひずみを与え、引張ひずみ導入前後の試験片の板幅及び標点間距離からrCを算出した。
また、本発明の鋼管組織は、シーム溶接部を含む鋼管全域でフェライトの分率が60%以上、平均結晶粒径が10μm以上であることが好ましい。フェライトの分率及び平均結晶粒径は、上記の規定範囲から外れると、良好なr値を得ることが困難となる。また、フェライトの平均結晶粒径が100μm以上となると、成形時に肌荒れ等の問題になる場合があるため、フェライトの平均結晶粒径は100μm未満であることがより好ましい。
フェライトの分率及び平均結晶粒径は、鋼管の軸方向と平行な切断面(L断面)の板厚3/8〜5/8の範囲内について測定した。フェライトの分率については、点算法などによって測定すればよく、フェライトの平均結晶粒径については、切片法などによって測定すればよい。なお、測定誤差を低減するためには、結晶粒が100個以上存在する領域について測定しなくてはならない。また、エッチングはナイタールが好ましい。
さらに、本発明の鋼管組織は、フェライトのアスペクト比の平均値が1.0以上5.0未満であることが好ましい。フェライトのアスペクト比の平均値は、長辺と短辺とが同一となる1.0が最低値である。一方、フェライトのアスペクト比の平均値が5.0以上となると、伸管加工後の熱処理による再結晶が形成されず、伸管加工により形成された加工フェライトが残存するため、良好なr値が得られない。また、フェライトのアスペクト比の平均値は1.0以上4.0未満がより好ましく、更に好ましくは1.0以上3.0未満である。
ここで言うアスペクト比とは、JIS G 0552の方法によって測定される展伸度と同じである。すなわち、本発明の場合、鋼管の軸方向と平行な切断面(L断面)における板厚3/8〜5/8の範囲内の軸方向に垂直な一定長さの線分によって切断される結晶粒の数で、圧延方向に平行な上記と同じ長さの線分によって切断される結晶粒の数を除したもので与えられる。
本発明のように鋼管のr値を高めるためには、集合組織を制御する必要がある。すなわち、rC及びrLを高くして、鋼管の優れた加工性を得るためには、本発明のように鋼管の1/2板厚における板面の{111}のX線反射面ランダム強度比を2.0以上7.0以下、{110}のX線反射面ランダム強度比を1.0以上5.0以下、{100}のX線反射面ランダム強度比を3.0以下とすることが好ましい。これらのランダム強度比が上記の規定範囲から外れると、rC及びrLをそれぞれ1.2以上にすることが困難となる。また、特定の方位のみランダム強度比を高めると、他の方位のランダム強度比が低くなるので、各方位におけるランダム強度比の上限を規定した。
各方位のX線ランダム強度比は、X線回折によって測定される。具体的には、鋼管から弧状試験片を切り出し、これをプレス等で平板状としてから、X線解析を行う。また、弧状試験片から平板状とするときは、試験片加工による結晶回転の影響を避けるため、極力低ひずみで行うものとし、加工により導入されるひずみ量の上限は10%以下とすることが好ましい。
このようにして得られた平板状の試料について、機械研磨や化学研磨などによって板厚中心付近まで研磨し、バフ研磨によって鏡面に仕上げた後、電解研磨や化学研磨によってひずみを除去すると同時に、板厚中心層が測定面となるように調整する。
なお、試料の板厚中心層に偏析帯が観察される場合には、板厚の3/8〜5/8の範囲で偏析帯のない場所を測定すればよい。さらに、X線測定が困難な場合は、EBSP法によって測定しても差し支えない。
鋼管の曲げ加工やハイドロフォーミングなどの加工において、鋼管の局部的な硬度上昇による延性の劣化は、加工性を著しく低下させる。このため、鋼管のシーム溶接部を含む鋼管全域で材質の均一化が必要である。
本発明では、鋼管のシーム溶接部を含む鋼管全域で硬さの最大値と最小値との差がHv50以下であることが好ましい。特に、加工の厳しいハイドロフォーミングのような加工では、この差がHv50を超えてしまうと、硬さの高い箇所での延性不足により破断に至ることがある。したがって、鋼管のシーム溶接部を含む鋼管全域で硬さの最大値と最小値との差は、Hv50以下であることが好ましく、より好ましくはHv30以下である。
なお、鋼管の硬さ測定については、鋼管の円周方向の切断面(C断面)の板厚3/8〜5/8、且つシーム溶接部を含む円周方向全域をビッカース硬度計により測定した。
次に、本発明の加工性に優れた鋼管の製造方法について説明する。
本発明の加工性に優れた鋼管の製造方法は、鋼管を素管として、該素管を減面率が10%以上60%以下、減肉率が1%以上となるように冷間で伸管加工し、Ac1変態点−70℃からAc1変態点の温度範囲で30秒以上加熱した後、冷却することを特徴とする。
具体的に、素管の減面率が10%未満になると、十分な結晶回転が起こらず、熱処理後の再結晶集合組織が特定の方位に制御できないため、C及びL方向のr値が高くならない。一方、素管の減面率が60%を超えると、冷間加工時に破断し易くなる。したがって、素管の減面率は、10%以上60%以下とすることが好ましい。
なお、減面率とは、{(伸管加工前の断面積−伸管加工後の断面積)/(伸管加工前の断面積)}×100(%)で表される値である。
減肉率が1%未満となると、熱処理後の再結晶集合組織が特定の方位に制御できないため、C及びL方向のr値が高くならない。したがって、減肉率は1%以上とすることが好ましく、この減肉率を1%以上とするためには、冷間での伸管加工時に鋼管内部にプラグを差込み、板厚を制御する方法を用いることが望ましい。
なお、減肉率とは、{(伸管加工前の肉厚−伸管加工後の肉厚)/(伸管加工前の肉厚)}×100(%)で表される値である。
冷間で伸管加工した後、加熱温度がAc1変態点−70℃未満となると、再結晶が十分に進行しないので狙いとする再結晶集合組織及びフェライト組織が得られず、C及びL方向のr値が高くならない。一方、加熱温度がAc1変態点を超えると、オーステナイト変態が起こり、狙いとする集合組織及びフェライト組織が得られず、C及びL方向のr値が高くならない。したがって、鋼管の加熱温度は、Ac1変態点−70℃からAc1変態点の温度範囲とすることが好ましい。
また、鋼管をAc1変態点−70℃からAc1変態点の温度範囲で加熱する際は、その加熱時間が30秒未満であると、再結晶が十分に進行せず、特定の再結晶集合組織及び狙いとするフェライト組織が得られないので、C及びL方向のr値が高くならない。したがって、鋼管の加熱時間は、30秒以上とすることが好ましい。なお、鋼管を加熱した後の冷却は、空冷又は水冷の何れでも構わない。
本発明では、冷間で伸管加工する前に、Ac3変態点以上の温度に加熱し、冷却する工程を付加してもよい。この場合、冷間で伸管加工する前に、Ac3変態点以上の温度に加熱し、冷却することによって、シーム溶接部を含めた鋼管の集合組織がランダム化され、その後の冷間での伸管加工と熱処理によって、更に高いr値が得られる。一方、冷間で伸管加工する前の加熱温度がAc3変態点未満の場合は、集合組織のランダム化が不十分となる。
また、冷間での伸管加工する前にAc3変態点以上の温度に加熱し、冷却することによって、シーム溶接部を含めた鋼管の材質が均質化され、その後の冷間での伸管加工と熱処理によって、シーム溶接部を含めた鋼管全域において材質の均質化が得られる。一方、冷間で伸管加工する前の加熱温度がAc3変態点未満の場合は、シーム溶接部と母材部の材質が不均質となる。
なお、本発明では、鋼管の鋼成分については特に規定しないものの、通常の構造用鋼管、自動車用鋼板に使用されるものであれば、その鋼成分に関わらず、上述した本発明の効果を得ることができる。また、鋼成分によってAc1変態点が異なる場合は、熱処理条件を設定する際、予めAc1変態点を測定しておく必要がある。このAc1変態点は、フォーマスター試験等によって測定することが可能である。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
本実施例では、鋼管サイズが63.5φ×2.2mmtとなるように、表1の各鋼成分を有する冷間加工前の母管を準備して、伸管加工を行い、その後、熱処理した各鋼管の製造条件及び機械的性質を表2に示す。
なお、伸管前の熱処理は、950℃加熱のノルマを施した。
鋼管の加工性の評価は、以下の方法で行った。すなわち、鋼管に10mmφのスクライブドサークルを転写し、内圧と軸押し量を制御して、円周方向への張り出し成形を行った。そして、バースト直前での最大拡管率を示す部位(拡管率=成形後の最大周長/母管の周長)の軸方向のひずみと円周方向のひずみを測定した。この2つのひずみの比ρと最大拡管率をプロットして、ρ=−0.5となる拡管率Reをもってハイドロフォームの成形性指標とした。
Figure 0004932570
Figure 0004932570
表2から明らかなように、No.1〜7の鋼管(本発明例)は、何れも良好な集合組織とr値を有し、ハイドロフォーム加工時の最大拡管率が高く、良好な加工性を有する。
これに対して、No.8〜13の鋼管(比較例)は、具備すべき条件が適切でなく、加工性に劣る。
具体的に、No.8の鋼管は、減面率が低いため、r値が低く最大拡管率が低い。
No.9の鋼管は、減面率が高すぎるため、伸管加工時に破断した。
No.10の鋼管は、減肉率が低いため、rL値が低いために、最大拡管率が低いことと、伸管加工前のノルマ熱処理がないために、硬さの最大値と最小値の差が大きい。
No.11の鋼管は、熱処理温度が低いため、フェライトの平均結晶粒径が小さく、且つフェライトのアスペクト比の平均値が大きいために、r値が低く、最大拡管率が低い。
No.12の鋼管は、熱処理温度が高いため、r値が低く、最大拡管率が低い。
No.13の鋼管は、熱処理時間が短いため、フェライトの分率が低く、且つr値が低いために、最大拡管率が低い。
本発明の鋼管は、安価で加工性に優れているので、伸管、曲げ、ハイドロフォーミングなどで加工する構造用鋼管、配管等に幅広く適用することが可能である。

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C:0.035〜0.210%、
    Si:0.13〜0.34%、
    Mn:0.40〜1.35%、
    P:0.0065〜0.0150%、
    S:0.0016〜0.0043%、
    Al:0.002〜0.033%、
    N:0.0019〜0.0048%、
    O:0.0019〜0.0034%を含有し、
    残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼管を素管として、該素管を冷間で伸管加工した後、Ac1変態点−70℃からAc1変態点の温度範囲で加熱して製造した鋼管であって、シーム溶接部を含む鋼管全域でフェライトの分率が60%以上、平均結晶粒径が10μm以上、アスペクト比の平均値が1.0以上5.0未満であり、更に、鋼管の軸方向のr値(rL)が1.2以上、鋼管の円周方向のr値(rC)が1.2以上であることを特徴とする加工性に優れた鋼管。
  2. 質量%で、
    C:0.035〜0.210%、
    Si:0.13〜0.34%、
    Mn:0.40〜1.35%、
    P:0.0065〜0.0150%、
    S:0.0016〜0.0043%、
    Al:0.002〜0.033%、
    N:0.0019〜0.0048%、
    O:0.0019〜0.0034%を含有し、
    残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼管を素管として、鋼管の1/2板厚における板面の{111}のX線反射面ランダム強度比が2.0以上7.0以下、{110}のX線反射面ランダム強度比が1.0以上5.0以下、{100}のX線反射面ランダム強度比が3.0以下であり、シーム溶接部を含む鋼管全域でフェライトの分率が60%以上、平均結晶粒径が10μm以上であり、更に、鋼管の軸方向のr値(rL)が1.2以上、鋼管の円周方向のr値(rC)が1.2以上であることを特徴とする加工性に優れた鋼管。
  3. 前記鋼管のシーム溶接部を含む鋼管全域で硬さの最大値と最小値との差がHv50以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の加工性に優れた鋼管。
  4. 質量%で、
    C:0.035〜0.210%、
    Si:0.13〜0.34%、
    Mn:0.40〜1.35%、
    P:0.0065〜0.0150%、
    S:0.0016〜0.0043%、
    Al:0.002〜0.033%、
    N:0.0019〜0.0048%、
    O:0.0019〜0.0034%を含有し、
    残部がFe及び不可避的不純物からなる素管を減面率が10%以上60%以下、減肉率が1%以上となるように冷間で伸管加工し、Ac1変態点−70℃からAc1変態点の温度範囲で30秒以上加熱した後、冷却することを特徴とする加工性に優れた鋼管の製造方法。
  5. 前記素管を冷間で伸管加工する前に、Ac3変態点以上の温度に加熱し、冷却する工程を付加することを特徴とする請求項4に記載の加工性に優れた鋼管の製造方法。
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