JP4931866B2 - α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有濃縮組成物の製造方法 - Google Patents

α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有濃縮組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩等の界面活性剤ペーストを特殊な濃縮装置を用いることなく汎用設備を用いて簡易的な濃縮方法で高濃度・低水分、かつハンドリング可能な低粘度のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有濃縮組成物の製造方法、及びこの組成物を用いて得られる粒状洗剤組成物の製造方法に関する。
従来において、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩等の界面活性剤スラリーを原料として衣料用粒状洗剤の粉粒体を得る場合、中和時にα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩等の界面活性剤を濃縮したものを、衣料用粒状洗剤製造工程で、噴霧乾燥法により製造していた。
しかしながら、この方法は大型設備(噴霧乾燥塔)が必要であり、エネルギー負荷も大きいものであった。
そこで、本出願人らは、噴霧乾燥法によらず、真空薄膜蒸発機を用いて、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩等の界面活性剤スラリーを、更に濃縮し水分を10%以下まで下げた後、直接捏和工程に投入することにより衣料用粒状洗剤を製造することでプロセス全体として簡素化することに成功した。(例えば、特許文献1及び2参照)。
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載されるプロセスでは、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩等の界面活性剤の濃縮操作を1段階目で30〜40%の水分を20〜25%にした上で、2段階目で真空薄膜蒸発機を用いて濃縮を行う必要があった。用いる真空薄膜蒸発機は、設備コストがかかる上、蒸発機内を高真空にする高価なポンプ装置が必要であり、更には、蒸発機内部の付着物を定期的に除去する必要があり設備メンテナンスの点でも改善が望まれていた。
一方、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩等の界面活性剤の高濃度スラリーを得る方法としては、下記(1)〜(4)の方法が知られている。
(1) 従来の濃縮法の1段目で、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩等の界面活性剤をリサイクルフラッシュ方法により界面活性剤溶液を濃縮する方法(例えば、特許文献3参照)。
(2) α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩等の界面活性剤に、エチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)をアルコール1モルあたり20モルまで付加させた非イオン界面活性剤を1〜15質量%併用することにより、粘度を70℃で10MPa・s以下にする方法(例えば、特許文献4参照)。
(3) 従来の濃縮法の2段目で、ある一定の水分を含有するα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有濃縮物、例えば、特定の濃縮技術(例えば、特許文献5参照)によって得られた濃縮物に、更に、非イオン界面活性剤等を添加した後、再度濃縮し水分含量を10%程度に減少させる方法(例えば、特許文献5〜8参照)。
(4) 特殊装置で中和〜濃縮する方法、すなわち、アニオン界面活性剤の酸前駆体を含有する酸性液と中和用のアルカリ液とを加熱装置に連続的に供給し、減圧下で加熱して気−液混相流を形成しながら中和反応を行い、次いで、フラッシュ蒸発罐に導入してフラッシュ蒸発を行い水分を10%以下とする方法(例えば、特許文献9参照)。
しかしながら、上記特許文献3に記載される濃縮方法では、水分を13%以下にしようとすると、粘度が上昇してハンドリングできない、また、副生物である芒硝(Na2SO4)が析出して運転不可能となってしまう等の課題があった。
また、上記特許文献4に記載される方法では、スラリーの低粘化のみを目的としており、中和及び濃縮の方法については一切記載も示唆されていないものである。
更に、上記特許文献5〜8に記載される従来の濃縮法の2段目での方法においても、どの方法によっても、ある一定の水分を含有するα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有濃縮物を、更に濃縮技術によって濃縮物とし、さらに非イオン界面活性剤等を添加した後、再度濃縮し水分含量を10%程度に減少させるというように2段階で濃縮操作を行うために、操作が煩雑なことに加えて設備投資がかかるという課題がある。
また、上記特許文献9に記載される方法は、特殊な加熱装置が必要で、かつ濃縮の際、減圧のための設備投資がかかるといった課題を生じている。
特開平6−184592号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開平8−170093号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開平8−164301号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開昭59−157199号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開平8−164301号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開平9−143500号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開平8−170093号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開平8−157895号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開平11−172293号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来の課題に鑑み、これを解消しようとするものであり、設備が汎用で安価な装置を用いて簡易な方法で効率的に製造することができるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有濃縮組成物の製造方法の提供、また、この濃縮組成物を用いて、他の洗浄剤成分を添加し、捏和・粉砕することにより、高嵩密度の粒状洗剤組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来の課題等について、鋭意検討した結果、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルに、メタノールと過酸化水素を添加した漂白酸を中和する際、アルカリ水溶液と同時に非イオン界面活性剤を添加した組成物とし、これを簡易な方法で濃縮することで、上記目的の流動性のあるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有濃縮組成物を効率的に生産し、また、この濃縮物を用いることにより、上記目的の高嵩密度の粒状洗剤の製造方法が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(2)に存する。
(1) 脂肪酸アルキルエステルのスルホン化により得たα−スルホ脂肪酸アルキルエステルに低級アルコールと過酸化水素を添加して得た漂白酸を中和する際に、アルカリ水溶液と非イオン界面活性剤を添加して、下記(a)〜(d)成分を含有するα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有組成物を調製し、フラッシュ蒸発により水分量を13%以下に濃縮することを特徴とするα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有濃縮組成物の製造方法。
(a) α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩 40〜55質量%
(b) 水 20〜40質量%
(c) 低級アルコール 6〜14質量%
(d) 非イオン界面活性剤 7〜24質量%
(2) 上記(1)に記載の製造方法によって得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有濃縮組成物を用いて得られることを特徴とする粒状洗剤組成物の製造方法。
本発明によれば、設備が汎用で安価な装置を用いて簡易な方法で濃縮することで、流動性のあるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有濃縮組成物を効率的に製造することができるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有濃縮組成物の製造方法が提供される。
また、本発明の粒状洗剤組成物の製造方法では、上記本発明の製造方法により得られた組成物を用いて、他の洗浄剤成分を添加し、捏和・粉砕することにより、製造性及び品質(粉体白度、溶解性)に優れると共に、高嵩密度の粒状洗剤組成物が得られるものとなる。
以下に、本発明の実施の形態を発明毎に、詳しく説明する。
本発明の第1発明となるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有濃縮組成物の製造方法は、脂肪酸アルキルエステルのスルホン化により得たα−スルホ脂肪酸アルキルエステルに低級アルコールと過酸化水素を添加して得た漂白酸を中和する際に、アルカリ水溶液と非イオン界面活性剤を添加して、下記(a)〜(d)成分を含有するα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有組成物を調製し、フラッシュ蒸発により水分量を13%以下にする濃縮することを特徴とするものである。
(a) α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩 40〜55質量%
(b) 水 20〜40質量%
(c) 低級アルコール 6〜14質量%
(d) 非イオン界面活性剤 7〜24質量%
また、本発明の粒状洗剤組成物の製造方法は、上記製造方法によって得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有濃縮組成物を用いて得られることを特徴とするものである。
以下において、「α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩」を単に「α−SF塩」という場合がある。
図1は、本発明の製造方法であるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有濃縮物又はこの組成物を含有する高濃度界面活性剤を得る濃縮操作の概念図を示すものである。
用いるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩は、一般に、水分量により図1の実線の粘度挙動をもつ。
このα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を製造装置、配管内部で流動させるためには、10〜20MPa・s以下の粘度にしなければならないものであった。従来では、淡色で副生物であるα―スルホ脂肪酸ジ金属塩(例えば、Di−Na)の少ない13%以下の低含水量のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩等の界面活性剤を製造するには、上述の特許文献7(特開平8−170093号公報)のように1段階目でリサイクルフラッシュなどの濃縮操作により、水分量を35%、粘度0.7Pa・sのα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を水分量26%、粘度7Pa・sにし(図1の実線矢印)、2段階目で減粘剤として非イオン界面活性剤をα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩に対して、21〜25%加えて水分量23%、粘度3Pa・sのα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を真空薄膜蒸発機によって水分量10%、粘度6Pa・sにする2段階の濃縮操作が必要であった(図1の点線矢印)。
この2段階目の濃縮操作に用いる真空薄膜蒸発機は、設備コストがかかり、また、蒸発機内部の付着物を定期的に除去する必要があり、設備メンテナンスの点でも改善が望まれていたのである。
本発明の製造方法は、上記の課題を解決したものであり、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の濃縮物組成物を設備が安価な減圧しないフラッシュ蒸発法等の1段階の簡易濃縮操作で得る製造方法(図1の太矢印部に沿った操作、すなわち、☆印から☆印まで)である。また、本発明の粒状洗剤組成物は、上記濃縮組成物を用いて得られる粒状洗剤組成物である。
本発明の製造方法は、上述の如く、減圧しないフラッシュ蒸発法等の1段階の簡易濃縮操作で得る方法であり、例えば、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有濃縮組成物又はこの組成物を含有する高濃度界面活性剤を製造にあたり、その出発原料には、下記の一般式(I)で表わされるものが好適であり、好ましくは、飽和脂肪酸又は飽和脂肪酸のアルキルエステルが望ましい。
RCH2COOR' ………(I)
〔上記式(I)中Rは、炭素数6〜20、好ましくは、10〜18の直鎖ないしは分岐のアルキル基またはアルケニル基であり、また、R'は水素原子、あるいは炭素数1〜6、好ましくは、1〜3の直鎖ないしは分岐のアルキル基である。〕
上記Rの炭素鎖長が6未満、また、20を越えて大きくても、界面活性剤としての効果が少なくなる。また、R’が6を越える場合も、界面活性剤としての効果が少なくなるため、好ましくない。
本発明の製造方法において、出発原料として用いる上記脂肪酸あるいは脂肪酸アルキルエステルは、牛脂、魚油、ラノリンから誘導される動物系油脂由来の脂肪酸、ヤシ油、パーム油、大豆油などから誘導される植物系油脂由来の脂肪酸、α−オレフィンのオキソ法から誘導される合成脂肪酸、これらの脂肪酸あるいはエステルなどのいずれでも良いが、特に限定されるものではない。
具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、硬化牛脂脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、硬化魚油脂肪酸やそれらの、メチル、エチル、あるいはプロピルエステルなどが挙げられる。これらは単独であるいは混合して使用しても良い。
また、スルホン化物の色調を良くするためには、ヨウ素価ができるだけ低い方が良く、好ましくは、ヨウ素価が1以下のものを使用することが望ましい。
スルホン化は、例えば、不活性ガスで、SO3ガス濃度を5〜10vol%に希釈したスルホン化剤を、原料に対して、1.0〜2.0のモル比で用いて、通常、50〜100℃の温度で行うことができる。スルホン化反応方式は、薄膜式スルホン化方法、槽型スルホン化方法など、その反応方式は特に限定されない。
本発明の製造方法では、α−SFの反応速度は、エトキシレートやα−オレフィンや、アルコールと比較して遅いため、熟成反応が必要となる。この熟成は、60〜100℃で10〜100分滞留または撹拌して行なう。また、この熟成は、スルホン化粗生成物をループ型反応器、撹拌タンクのカスケード、蛇管熟成管などを用いて、上記熟成時間を反応管の中に留めることが好ましい。
本発明の製造方法では、α−SFは、反応時間が長く過酷な条件下にさらされるため、その色調の劣化が他のスルホン化物あるいは硫酸化物に比較して悪いものである。そのため、漂白工程が必要となる。α−SFを直接中和した後に、過酸化水素あるいは次亜塩素酸ソーダを用いて、漂白を行なうことも可能である。ここでは、例えば、特公平1−41138号公報に記載の方法に従い、低級アルコール(炭素数1〜6のアルコール)と過酸化水素を、アルコールに酸が先に接触するように配置されたインジェクションパイプを通し、酸、アルコール、過酸化水素を供給して行なう。これにより、α―スルホ脂肪酸ジ金属塩(例えば、Di−Na)の副生が少なく淡色のα−SFを得ることができる。
この漂白方法を用いる際には、スルホン酸あるいは硫酸とアルコール及び過酸化水素との反応初期の段階に、著しい発熱があるため(熱除去効率が低いと更に過酸化水素の分解を招き発熱が更に助長される)、温度制御のためのジャケットを備えた槽型反応装置、温度を一定の範囲にコントロールするため外部に熱交換器を配置した外部循環型槽型反応装置、あるいは、熱交換器を備えたループ型反応装置を用いることが望ましいが、効率良く、除熱・コントロールできればこれら装置に限定されるものではない。
漂白温度は、50〜100℃とし、漂白時間は5〜120分程度で完了すると記述されているが、この時間に限定されるものではない。特に、スルホン酸色調によりその時間は異なるものとなる。そこで、初期の発熱を充分除熱でき、更にその後の熟成温度もほぼ設定温度にコントロールを行ない、少なくとも20分以上の漂白を行うことが望ましい。漂白時間が、5分未満では、漂白効果が低く、また、6時間まで漂白を行なっても、その効果は徐々に低くなることがわかった。従って、設備投資及び効率を考慮して、漂白時間は、200分以下が望ましい。
本発明の製造方法では、得られた漂白酸を、例えば、水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウムといったアルカリ溶液で中和する際に、中和に使用されるアルカリの濃度としては、目的の高濃度の組成物にする必要があるため高濃度水溶液が望ましく、特に濃度が、48質量%以上の苛性ソーダの使用が好ましい。
また、目的の高濃度組成物の組成とするべく、中和に必要な水と苛性ソーダを事前に混合しても構わない。このアルカリ水溶液による中和の好適な操作条件は、中和pH範囲が約4〜9、特に、5.5〜7.5が好ましい。更に、中和温度は、約40℃〜70℃、特に45〜55℃で行うことが好ましい。更にまた、この中和の段階で、EO及び/又はPOの平均付加モル数が、5〜25の非イオンおよび低級アルコール、を添加して調整する。
本発明の製造方法では、中和の際の組成は、下記のとおりの範囲が中和工程でのハンドリング性が良好で、副生物である芒硝の析出を起さず、かつ次工程であるの濃縮操作に非常に良好となるものである。
(a)α−SF塩 40〜55質量%
(b)水 20〜40質量%
(c)低級アルコール 6〜14質量%
(d)非イオン界面活性剤 7〜24質量%
本発明で用いるα−SF塩は、上記方法又はその他の方法で製造されたα−スルホ脂肪酸エステル塩であり、脂肪酸残基の炭素鎖長が8〜18で、エステル部のアルキル基の炭素鎖長が1〜4であるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩が衣料用洗浄剤等の界面活性剤としての性質がよく発揮されることから好ましく、塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩あるいはアルカリ土塁金属塩が代表的である。
本発明で用いる組成物は、このα−SFを40〜55質量%含むことが必要であり、好ましくは42〜48質量%とすることが望ましい。この組成物中にα−SFの含有量が40質量%未満であると、組成物粘度上昇等物性悪化や濃縮工程への負荷増大により非常に効率の悪いものとなり、また、55質量%を越えると、組成物粘度上昇、泡がらみ時の泡抜け悪化といった物性悪化や組成物中での芒硝析出発生となり、好ましくない。
また、水は,家庭飲料用上水、精製水、蒸留水、イオン交換水などが用いられ、また、アルカリ水溶液中の水、その他原料に含まれる水分、更には中和工程で発生した中和水のことを指し、この組成物中に、20〜40質量%とすることが必要であり、好ましくは25〜35質量%含むことが望ましい。
組成物中に水の含有量が20質量%未満であると組成物粘度の上昇や芒硝析出が見られ、また、40質量%以上であると界面活性剤の濃度が下がり高濃度界面活性剤を得るためには濃縮工程での負荷が増え非常に効率の悪いものとなることから、好ましくない。
本発明で用いる低級アルコールは、炭素数1〜6のアルコール、具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、n−またはiso−またはtert−ブチルアルコール、1,2,3−ペンタノール、ヘキサノールの、グリセリン、エチレングリコール等の直鎖ないし分岐の一価または多価アルコールなどが挙げられ、沸点が低いため濃縮操作時に分離しやすい点、また、分離回収後に不純物を除去してリサイクルしやすい点(ランニングコストが低くなる点)で、メチルアルコール、エチルアルコールが好ましい。
この低級アルコールの含有量は、組成物中に6〜14質量%とすることが必要であり、好ましくは、7〜12質量%とすることが望ましい。この低級アルコールが組成物中に6質量%未満であると、組成物粘度の上昇が見られ、また、14質量%を越えると、粘度は低減するものの芒硝の析出が激しくなることから、好ましくない。
なお、メチルアルコールを用いる場合は、メチルアルコール/(メチルアルコール+水分)比の値は、低すぎると組成物粘度の上昇が見られ、また、高い場合には芒硝が析出してしまうことから、0.18〜0.30が好ましい。
また、本第2発明で用いる非イオン界面活性剤としては、以下の、(1)ポリオキシエチレンアルキルエーテル、(2)ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、(3)ポリエチレングリコール、(4)ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、(5)ソルビタン脂肪酸エステルが好適である。
(1) ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、炭素数8〜40の飽和または不飽和のアルコールに、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)または、ブチレンオキシド(BO)が、好ましくは、EOまたはPOが単独であるいは混合して5〜25モル、好ましくは、10〜20モル付加したものが望ましい。
また、混合付加する場合は、ランダム付加でもブロック付加でもよい。更に、EO又はPOまたはBOのモル数が5モル未満でも25モル超過でも、衣料用界面活性剤等に使用する際には、好適でない。
(2) ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルとしては、アルキル基またはアルケニル基の炭素数8〜12のアルキルフェノールに、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)または、ブチレンオキシド(BO)が、好ましくはEOまたはPOが単独であるいは混合して5〜25モル好ましくは8〜20モル付加したものが望ましい。混合付加する場合は、ランダム付加でもブロック付加でもよい。
(3) ポリエチレングリコールとしては、質量平均分子量600〜5000のものが好ましい。
(4) ポリエチレングリコール脂肪酸エステルとしては、脂肪酸残基の炭素数8〜22のものが挙げられる。
(5) ソルビタン脂肪酸エステルとしては、脂肪酸残基の炭素数8〜22のものが挙げられる。
上記の炭素数、質量平均分子量、付加モル数については、この組成物を衣料用界面活性剤等に使用する場合に、特に好ましい値である。
これらの非イオン界面活性剤の組成物中の含有量は、中和により生成するα−SF塩に対し、12〜60%、好ましくは,15〜30%である。
このα−SF塩の濃度は、40〜55%であることから、本発明の組成物中の非イオン界面活性剤の量は7〜24%となり、好ましくは、8〜16%とすることが望ましい。
この非イオン界面活性剤量が7%未満であると、中和時に粘度上昇と共に泡の抜けが悪くなり、比重の低下、除熱効率の低下、循環量の低下を招くこととなる。また、24%を越えてより多くても、粘度の上昇を伴い組成物がゲル化してしまう。
本発明では、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の濃度をあまり下げることなく粘度を低下させ、特に、衣料用界面活性剤等に使用するためには、8〜16%とすることが好ましい。
中和の設備として基本的には、酸、アルカリ、非イオン界面活性剤を混合可能な混合装置(ミキシングポンプ等)と付帯設備として、中和熱を効率良く除去できる熱交換器、及び中和物を循環させる循環ポンプを備えた設備を用いることが好ましい。
中和は、酸、アルカリ、非イオン界面活性剤、低級アルコール、水を混合可能な混合装置のみで構成されても、熱交換器を設置しても、循環ポンプを備えループ式反応装置でもよく、設備に限定されるものではない。なお、副生成物であるα−SF二塩の生成や温度コントロールの観点から、例えば、特開平08−164301号公報に記載されているような、混合ミキサーと熱交換器を持つループ式の中和反応装置とすることが望ましい。
このようにして得られた中和物を、簡易濃縮方法により漂白時に用いたメタノール等の回収を行なうと共に、濃縮物中の水分を13%以下に濃縮を行うことにより本第2発明の高濃度界面活性剤組成物が得られることとなる。
本発明の製造方法で規定する「簡易濃縮操作」とは、特開平6−184592号公報に開示された真空薄膜蒸発機装置や特開平11−172293号公報に開示された回転内筒を有する二重管構造からなる加熱装置のような、高速回転する撹拌駆動部を有する装置を使用する方法は本発明で規定する簡易濃縮操作に含まず、後述する汎用装置を用いて簡易な操作で所定の水分まで濃縮することができる蒸発方法をいう。なお、上記真空薄膜蒸発機装置及び回転内筒を有する二重管構造からなる加熱装置は、特殊な加熱装置であり、かつ濃縮の際、減圧のための設備投資がかかるといった課題を有し、かつ、操作が煩雑なものとなり、本発明の課題を解消するものではない。
本発明の製造方法で用いることができる簡易濃縮操作のための装置としては、上記真空薄膜蒸発機装置及び回転内筒を有する二重管構造からなる加熱装置以外であれば、特に限定されず、例えば、加熱装置を備えた汎用容器を始め、丸善出版 化学工学会編 改訂五版 化学工学便覧の404〜406頁の「7・2 蒸発装置 蒸発装置の各種形式と摘要」に記載されているような、自然循環式浸管型、自然循環式水平管型、自然循環式垂直短管型(標準型、バスケット型、撹拌翼付き)、垂直長管上昇膜型、水平管下降膜型、垂直長管下降膜型などの自然循環型の蒸発装置及び液循環ポンプを用いた強制循環式水平管型、同型式の垂直管型などの強制循環型の蒸発装置を使用することができる。
簡易濃縮操作の方法としては、常圧又は減圧にした上記各装置内に本第1発明のα−SF塩含有組成物、または、本第2発明で用いる上記(a)〜(d)成分を少なくとも含有する組成物(界面活性剤水溶液)を公知の方法で供給、加熱して、所定の水分量(水分量13%以下)まで濃縮する方法を使用することができる。
圧力としては、原料の界面活性剤水溶液の組成に応じ、常圧から50kPaの減圧の範囲で操作することが好ましく、50kPaよりも高真空にすると、真空発生装置及び蒸発成分の凝縮回収設備の負荷が増大するため、好ましくはない。
温度としては、操作圧力と蒸発成分の沸点との兼ね合いから、100〜150℃の範囲が好ましく、100℃より低いと、所定の水分まで濃縮するのが困難で、低級アルコールの残存量が多く臭気が残り、また、得られる濃縮物の粘度が高まり流動性が損なわれる問題がある。一方、150℃よりも温度が高くなると、界面活性剤の分解により例えば、α−スルホ脂肪酸ジNaや芒硝が副生したり、色調劣化が起こるなど品質が低下するので、好ましくはない。
簡易濃縮の他の方法として、原料のα−SF塩含有組成物、または、用いる上記(a)〜(d)成分を少なくとも含有する組成物(界面活性剤水溶液)を沸点以上の温度に加熱し、圧力コントロールバルブを経て、より低い圧力の缶内にフラッシュするフラッシュ蒸発方法を使用することができる。
フラッシュする前の加熱温度としては、100〜150℃の範囲が好ましく、100℃未満であると、原料の界面活性剤水溶液の温度が沸点に至らず、低級アルコールの残存量が多く臭気が残り、また、得られる濃縮物の粘度が高まり、所定の水分量(水分量13%以下)まで濃縮することが不可能となる。一方、150℃を越えて温度が高くなると、界面活性剤の分解により、例えば、α−スルホ脂肪酸ジNaや芒硝が副生したり、色調劣化が起こるなど品質が低下するので好ましくはない。
フラッシュする前の圧力は、原料の組成、原料の加熱温度に依存するが、常圧から0.5MPaの範囲に加圧し、50kPaから常圧の範囲に保たれた缶内にフラッシュすることが好ましい。
また、蒸発方法としては、バッチ式、連続式があるが、バッチ式では、濃縮が進むにつれ、装置内の液量が減少し、加熱面に芒硝などが析出付着しやすくなる可能性があるため、液面変動のない連続式の方が好ましく、特にフラッシュ蒸発が好ましい。
フラッシュ蒸発方法としては、例えば、特開平7−150199号公報に開示された加熱した洗剤ペーストを配管内にフラッシュ蒸発させる方法や、特開平8−164301号公報及び特開平10−146501号公報に開示されたリサイクルフラッシュ蒸発方法も本発明の簡易濃縮方法として使用することができる。
特に、リサイクルフラッシュ蒸発法は濃縮物をリサイクルし、濃縮前の原料液体と合流させて濃縮を行うため、液体原料の温度をあまり上昇させずに、液体原料が熱的に安定の状態を保って所定の水分まで濃縮できるため、より好ましい。
リサイクルフラッシュ蒸発方法において、圧力コントロールバルブ手前の加熱された原料の温度は100℃〜150℃の範囲となるように、また、圧力コントロールバルブ手前の圧力は、常圧〜0.5MPaの範囲となるように、運転するのが好ましい。温度が100℃より低いと、原料の界面活性剤水溶液の温度が沸点に至らず、低級アルコールの残存量が多く臭気が残り、また、得られる濃縮物の粘度が高くなり、所定の水分まで濃縮することが困難となる。一方、150℃よりも温度が高くなると、界面活性剤の分解により例えば、α−スルホ脂肪酸ジNaや芒硝が副生したり、色調劣化が起こるなど品質が低下するので好ましくはない。圧力は、原料の組成、原料の加熱温度に依存し、常圧よりも低いと、温度が100℃より低い場合と同様、所定の水分まで濃縮することが困難となり、また0.5MPaよりも高いと、温度が150℃より高い場合と同様、界面活性剤の分解によりα−スルホ脂肪酸ジNaや芒硝が副生したり、色調劣化が起こるなど品質が低下するため好ましくはない。
フラッシュ缶内の圧力は常圧から50kPaの減圧の範囲で操作することが可能で、フラッシュの方法としては、常圧から減圧、加圧から常圧或いは加圧から減圧のいずれのフラッシュ蒸発を行っても良いが、減圧の缶内にフラッシュするためには、真空発生装置及び蒸発成分の凝縮回収設備を備える必要があるため、加圧から常圧にフラッシュする方法が好ましい。
図2は、本発明の製造方法における簡易濃縮操作の実施形態の一例であるリサイクルフラッシュ蒸発方法により、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩組成物を濃縮する場合の説明図である。
図2に示すように、原料のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩組成物は、加熱器1で沸点以上の温度に加熱され、圧力コントロールバルブ2を経て、フラッシュ缶3内にフラッシュされる。圧力コントロールバルブ2の手前の圧力は常圧でもよいが、好ましくは加圧とする。加圧とすることにより、加熱器1の内部での蒸発が抑えられ、フラッシュ蒸発が効率的になる。また、フラッシュ出口にノズルなどを付けて微粒化させ水や低級アルコールをより効率的に蒸発させてもよい。
フラッシュ缶3内にフラッシュさせると、水および低級アルコールは蒸発し、凝縮器5で凝縮されて凝縮水として回収される。一方、濃縮物がフラッシュ缶3の底部から回収される。本発明の製造方法では、この濃縮物の一部を循環ポンプ4により循環ループ内に循環し、供給されてくる原料のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩組成物と合わせて混合し、この混合物を加熱器1で沸点以上に加熱し、圧力コントロールバルブ2を経て再びフラッシュ缶3内にフラッシュする。
上記混合物の沸点は、加熱される圧力によって変動するが、それに相応して加熱器1では混合物の温度が沸点以上となるように加熱することが重要である。この温度が沸点に至らないと、低級アルコールの残存量が多く臭気が残り、また、得られる濃縮物の粘度が高く十分な濃縮化が不可能となる。
また、フラッシュ蒸発のために供給される原料のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩組成物の量を供給量とし、循環されてくる濃縮物の量を循環量とした時、以下の式でリサイクル比が定義される。
リサイクル比=(循環量)/(供給量)
すなわち、リサイクル比は、フラッシュ蒸発に供される混合物における原料のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩組成物と循環濃縮物との混合比である。
本発明の製造方法では、このリサイクル比を8以上とすることが重要である。
このリサイクル比を8以上とすることにより、液体原料の温度をあまり上昇させずに熱的に安定な範囲内で、高粘度域を経ないで、低粘度域での安定な操作が可能となり、低級アルコール含有が少なく、臭気が改善され、しかも、十分に濃縮化されたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩濃縮物が得られる。
以上の説明では、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩組成物の濃縮について説明したが、本発明の製造方法における簡易濃縮操作(濃縮化方法)は、これに限定されず、他の界面活性剤組成物の濃縮にも用いることができる。
このようなフラッシュ蒸発による濃縮をさせた場合は、水分量を13%以下とした場合は、従来法では、組成中に含まれる芒硝(Na2SO4)が析出してしまい、ポンプ類が磨耗し製造が困難になるなどの問題があった。これは、副生物である芒硝は、中和系では組成中の水分が多いため、水中に溶解しているが、濃縮工程で水分をより少なくさせることにより、芒硝濃度が飽和溶解度以上になるため析出してくることによるものである。
本発明の製造方法では、上記芒硝が析出しない領域となる中和組成を見つけ、更に本発明の製造方法により芒硝が物性的に析出しにくい領域、すなわち、濃縮物の相状態をヘキサゴナル相液晶となる領域にすることで、芒硝析出を抑制し、目的のα−SF塩含有濃縮物又は高濃度界面活性剤組成物が得られるものである。
上記簡易濃縮操作で得られる濃縮物は、水分及び温度変化に応じ、図3に示すような結晶構造、すなわち、水和固体(S)、ラメラ相液晶(Lα)、ヘキサゴナル相液晶(H)等の相状態が存在するが、ラメラ相液晶(Lα)の場合、ラメラ相間が薄い水相となっているため、過飽和状態の芒硝がそのラメラ相間に偏析し、その結晶が成長する。しかしながら、ヘキサゴナル相液晶(H)は、棒状様ミセルが六方晶型に会合したものである。そのミセル同士の間隙に過飽和状態の芒硝若しくはその微粒子が安定な状態で分散しているためポンプ類の磨耗を抑制すると考えられる。
図4は、本発明の製造方法の簡易濃縮操作における相図概念図を示すものである。本発明の製造方法では、左の○で囲んだ部分である中和組成物を用い、本発明の製造方法により、ラメラ相液晶(Lα)を飛び越し、ヘキサゴナル相液晶(H)となる右の○で囲んだ部分まで水分を下げることで芒硝析出を抑制させると推察される。
このへキサゴナル相液晶(H)を発現させる濃縮物の水分量は、13%以下、好ましくは、7〜13%である。
従って、本発明の製造方法では、簡易濃縮操作により水分量を13%以下に濃縮するにあたり、濃縮後の組成物の相状態が偏光顕微鏡観察(OLYMPUS BH−2、倍率20倍、ガラスプレパラートにはさみ観察、以下同様)で確認した際に、70℃の温度でヘキサゴナル相状態(H)となっていることが必要となる。なお、70℃としたのは、最も相状態の違いを区別しやすい温度のためである。
上記水分量を13%以下にすることで、例えば、この組成物に他の洗剤成分を添加するだけで、粒状洗剤が得られることとなる。なお、13%超過の水分量であると、粒子状の水分量が多過ぎることとなり、好ましくない。
また、上記水分量13%以下の時の組成としては、例えば、本発明の界面活性剤組成物では、α−SF塩が50〜75質量%、非イオン界面活性剤が9〜33質量%、低級アルコールが0〜3質量%となる。
以上のような、中和組成物を用いて、1段階のリサイクルフラッシュ方法等の減圧することのない本発明の製造方法における1段階の簡易濃縮操作を行なうことにより、水分含量を13%以下に濃縮できることとなる。
本発明の製造方法は、省エネ化の観点からも有意義であり、また、水分含量が13%以下程度でも、このまま粉体化できることにより、得られるα−SF塩含有濃縮物又は高濃度界面活性剤組成物を用いて、捏和・粉砕の操作で、本第3発明の高嵩密度となる粒状洗剤組成物を製造することができることとなる。
本発明の粒状洗剤組成物は、上記製造方法によって得られたα−SF塩含有濃縮物又は高濃度界面活性剤組成物を用いて得られることを特徴とするものである。
本発明の粒状洗剤組成物は、上記製造方法で得られた水分量13%以下のα−SFスラリー又は該スラリーを含有する界面活性剤組成物を用いて、捏和・粉砕を行なうことにより、目的の高嵩密度の粒状洗剤組成物が得られることとなる。
本発明の粒状洗剤組成物では、得られた洗剤粒子を100%としたとき、
(A)水分13%以下のα−SF塩含有濃縮物:10〜40%と、(B)その他の洗剤成分:60〜90%とを直接捏和した後、粉砕して高嵩密度洗剤粒子とするので、工程的に簡素化することができる。
また、(A)の濃縮物と(B)その他の洗剤成分とをニーダー等に直接投入することにより、噴霧乾燥工程を省略したプロセスの実現が図れ、単位製品当たりの噴霧乾燥負荷が下がることから、既存設備での能力アップが実現できることとなる。
用いる上記(B)のその他の洗剤成分としては、例えば、アニオン、および非イオン等の界面活性剤、ゼオライト、トリポリリン酸ナトリウムやピロリン酸ナトリウムのような無機ビルダー、クエン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸塩、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウム−無水マレイン酸ナトリウム共重合物、ポリアセタールカルボキシレート等のカルシウムイオン補捉ビルダー、炭酸塩、セスキ炭酸塩、珪酸塩等のアルカリビルダー、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール等の再汚染防止剤、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ等の酵素、蛍光剤、香料、色素等を使用することができる。
また、造粒方法としては、KRCニーダー(栗本鐵工所社製)、バッチ式ニーダー(縦型ニーダー:ダルトン社製)等が挙げられる。粉砕機は、フィッツミル(ホソカワミクロン社製)、スピードミル(岡田精工社製)等が挙げられる。
粉砕の際に粉砕助剤を用いることで、より効率的に粉砕できる。この助剤の種類としては、粉体物性をよくするために、平均粒径30μm以下の無機粒子が好ましく、ゼオライト・炭酸ナトリウム・ホワイトカーボン等が用いられ、助剤量は製品100に対して1〜20%が好ましく、2〜10%の方がより好ましい。この量より多いと著しく粉体物性が悪くなり少ないと効果が現れないこととなる。
このように構成される上記第1及び第2発明の製造方法では、設備が汎用で安価な装置を用いて簡易な方法で濃縮することで、流動性のある水分13%以下のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有組成物又はこの組成物を含む界面活性剤を効率的に製造することができるものとなる。
また、本発明の粒状洗剤組成物は、上記各製造方法により得られた組成物を用いて、他の洗浄剤成分を添加し、捏和・粉砕することにより、高嵩密度の粒状洗剤組成物が効率的に得られることとなる。
次に、実施例及び比較例により、本発明を更に上述するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〜13及び比較例1〜3〕
(各α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有組成物の製造方法、原料は下記表1に示す組成による。各界面活性剤組成物の調製法)
パーム油をメチルアルコールでエステル交換して得たパーム油脂肪酸メチルエステルを分留し、C12,C14,C16,C18の飽和脂肪酸メチルエステルを得た。C18については常法により水添操作を行いヨウ素価を0.2とした。このうちC14:20,C16:80質量%の割合で混合した飽和脂肪酸メチルエステル(ライオンオレオケミカル社製、パステルM146、ヨウ素価0.4)を流下型薄膜反応器を用いて、脱湿した空気で7%に希釈したSO3ガスで反応モル比(SO3/飽和脂肪酸エステル)=1.2、反応温度80℃の条件にてスルホン化し、スルホン化粗生成物を得た。
得られたスルホン化生成物を、平均滞留時間時間20分の二重管ジャケット付きのループ式熟成管に導入した。このループ式熟成管を3基連続して繋げ、平均滞留時間を60分とし、また十分な攪拌と一定温度を保持するために、線速0.16m/sでループ熟成管を流し、設定温度80℃に対して実際の温度は78〜82℃で制御して熟成反応を行いスルホン化を完結し、α−スルホ脂肪酸メチルエステルを得た。
得られたα−スルホ脂肪酸メチルエステル100質量部に対してメタノール(住友化学工業社製メタノール:工業グレード水分500ppm以下)を20質量部導入した後、この混合物と35%過酸化水素(三菱ガス化学社製35%工業用過酸化水素:工業グレード)5.7質量部を混合ミキサーと熱交換器を備えた連続ループ式反応器に導入して漂白を行った。
次に、各々の原料界面活性剤組成となるように48%NaOH水溶液(ダイソー株式会社製かせいソーダ:工業グレード)と非イオン界面活性剤(下記表1参照),水,メタノール(住友化学工業社製メタノール:工業グレード)及び上記漂白処理物を混合ミキサーと熱交換器とを用いたループ型連続中和装置に導入してpHを7に調整し、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有組成物を得た。
このα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有組成物の粘度、比重、相状態、芒硝析出、流動性について、評価を行った。
更に、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有組成物を原料界面活性剤水溶液として用い、図2に示した装置(1.加熱器:UX-005-J-24、2.圧力コントロールバルブ:KITZ社製グローブ弁(3/8B)、3.フラッシュ缶:容量30L、4.循環ポンプ:大東工業HP-4TJV2B-38(5L/min)、5.凝縮器:シェル&チューブ型熱交換器)でリサイクルフラッシュ蒸発を行い、低級アルコールの除去及び濃縮化を行った。
この原料界面活性剤の組成を調整し、下記表1に示す種々のフラッシュ条件で濃縮化を行った。得られた濃縮したα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有組成物の水分量、濃縮物粘度、相状態、芒硝析出について、評価を行った。
これらの結果を下記表1に示す。
Figure 0004931866
上記表1中の*1〜*10は、下記のとおりである。
*1:CO1214(プロクターアンドギャンブル社製)のEO15モル付加物
*2:ダイアドール13(三菱化学社製)のEO15モル付加物
*3:エマレックス715(日本エマルジョン社製)
*4:エマレックス615(日本エマルジョン社製)
*5:エマレックス515(日本エマルジョン社製)
*6:相状態;所定の温度で偏光顕微鏡観察で確認(原料組成物50℃、濃縮物70℃)
I:液晶、S:水和固体、H:ヘキサゴナル相液晶、Lα:ラメラ相液晶
*7:芒硝析出 ○:50℃、一旦保管後、内部観察し析出物なし
×:50℃、一旦保管後、内部観察し析出物なし
*8:流動性 ○:50℃ 流動性あり
×:50℃ 流動性なし
*9:芒硝析出 ○:5hr運転後、内部を観察し析出物5g/mhr未満
×:5hr運転後、内部を観察し析出物5g/mhr以上
*10:圧力は、常圧(0MPa)に設定しているが、リサイクル系のため圧力の開放が完全でないため、微加圧となっている。
上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜13は、本発明の範囲外となる比較例1〜3に較べて、流動性のある水分13%以下のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有界面活性剤を芒硝析出もなく、効率的に製造することができることが判明した。
〔実施例14〜15及び比較例4:粒状洗剤組成物の調製〕
下記表2は、上記製造方法に従って得られた、水分量13%以下のα−SFスラリーを用いて、捏和・粉砕を行ない、粒状洗剤組成物を得た。
具体的には、下記表2に示される各成分をKRCニーダー(栗本鐵工所社製)、押出成型機(ダルトン社製)及びフィッツミル(ホソカワミクロン社製)を使用することにより捏和・粉砕を行ない、粒状洗剤組成物を得た。
得られた粒状洗剤組成物について、性状(平均粒径、嵩密度、安息角、製造性)について評価し、また、下記評価方法により品質(粉体白度、溶解性)を評価した。
これらの結果を下記表2に示す。
(粉体白度の評価方法)
上記性状品の24#パス(710μ)〜42#(350μ)に粒度を調製して、粉体白度(b値)を日本電色社製の測色色差計モデルZ−1001DPで測定した。数値が低い程、白度が良好であることを示す。
(溶解性(布付着)の評価方法)
洗濯機を使用し、水道水及び濃色の木綿シャツを用いた。液量30L、浴比1:3、温度10℃または5℃の水道水に被洗布を浸した後、得られた洗剤組成物を50g振りかけ、その後5分間洗浄した。洗濯終了後、被洗布を1分間脱水した後、洗浄組成物の布への付着性を次の基準で評価した。
評価基準:
A:付着を認めない。
B:付着を極わずか認める。
C:付着を認める。
Figure 0004931866
上記表2の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例14〜15は、本発明の範囲外となる比較例4に較べて、製造性及び品質(粉体白度、溶解性)に優れ、高嵩密度の粒状洗剤組成物が効率的に得られることが判明した。
本発明の製造方法であるα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有濃縮物又はこの組成物を含有する高濃度界面活性剤を得る濃縮操作の概念図を示す図面である。 本発明の製造方法における簡易濃縮操作の実施形態の一例であるリサイクルフラッシュ蒸発方法により、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩組成物を濃縮する場合の説明図である。 本発明の製造方法等で得られる濃縮物の水分及び温度変化に応じた、濃縮物の結晶構造〔水和固体(S)、ラメラ相液晶(Lα)、ヘキサゴナル相液晶(H)〕の相状態を示す図面である。 本発明の製造方法の簡易濃縮操作における相図概念図を示す説明図である。
符号の説明
1 加熱器
2 圧力コントロールバルブ
3 フラッシュ缶
4 循環ポンプ
5 凝縮器

Claims (2)

  1. 脂肪酸アルキルエステルのスルホン化により得たα−スルホ脂肪酸アルキルエステルに低級アルコールと過酸化水素を添加して得た漂白酸を中和する際に、アルカリ水溶液と非イオン界面活性剤を添加して、下記(a)〜(d)成分を含有するα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有組成物を調製し、フラッシュ蒸発により水分量を13%以下に濃縮することを特徴とするα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有濃縮組成物の製造方法。
    (a) α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩 40〜55質量%
    (b) 水 20〜40質量%
    (c) 低級アルコール 6〜14質量%
    (d) 非イオン界面活性剤 7〜24質量%
  2. 請求項1に記載の製造方法によって得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有濃縮組成物を用いて得られることを特徴とする粒状洗剤組成物の製造方法。
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