以下、本発明に係る画像表示装置の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、画像表示装置として、使用者の頭部に装着して使用する画像表示装置であって、画像信号に基づいて生成した光束を2次元的に走査し、その走査された光を使用者の眼に導き網膜上に画像を形成する網膜走査型のヘッドマウントディスプレイ(以下、「HMD:Head Mount Display」という。)を例に挙げて説明するが、本発明は、これに限定されるものではなく、画像信号に基づいて生成した光束をスクリーン上で2次元的に走査することによりスクリーン上に画像を投影して表示するレーザープロジェクタのような投影型画像表示装置に対しても適用することができるものである。
図1は、本実施形態に係る画像表示装置による画像の輝度調整の一例を示す説明図であり、図2は、本実施形態に係る画像表示装置を示す外観斜視図であり、図3は、本実施形態に係る画像表示装置の操作入力部を示す説明図であり、図4は、本実施形態に係る画像表示装置の電気的構成を示す機能ブロック図であり、図5は、表示する画像の輝度と光束の走査角とを対応させた対応テーブルを示す説明図であり、図6及び図7は、本実施形態に係る画像表示装置の制御部が行う処理を示すフローチャートである。
(画像表示装置による輝度調整の概要)
本実施形態の画像表示装置であるHMDは、使用者が頭部に装着した状態で映像コンテンツ等の画像を鑑賞する装置であり、画像信号を変調した光束を、使用者の少なくとも一方の網膜に投影すると共に2次元的に走査して画像を表示(投影表示)する光走査部と、この光走査部の動作を制御する制御部とを備えている。
特に、このHMDは、制御部が光走査部に光束の走査角を変更させる制御を行うことにより、表示する画像の輝度を調整するように構成している。
すなわち、制御部は、比較的低い輝度で画像を表示している低輝度状態から、その画像の輝度を上げて高輝度状態にする場合に、光束の光量を増大させるのではなく、光束の光量を一定に保ったままで、低輝度状態のおける光束の走査角よりも小さい走査角によって光束を走査することによって、表示する画像の輝度を上げるようにしている。
具体的には、低輝度状態において、制御部は、図1(a)に示すように、比較的大きな走査角で光束を2次元的に走査して低輝度の画像V1を表示するようにしている。
そして、制御部は、この低輝度状態を高輝度状態に変更する場合に、光の走査角を低輝度状態のときよりも小さくすることで、図1(b)に示すように、光束の走査範囲を縮小し、網膜上の縮小された走査範囲において単位時間あたりに走査される光束の光量を増大させることによって低輝度状態のときよりも画像面積を若干縮小した高輝度の画像V2を表示するようにしている。
このように、本実施形態のHMDは、光束の光量を増大させるのではなく、光束の光量を一定に保ったままで、光束の走査角を小さくすることにより表示する画像の輝度を高めるように構成しているため、画像の輝度を高めるために、光束の光量を増大させる必要がなく、HMDの消費電力を低減することができる。
しかも、光束の走査角を高輝度状態では、低輝度状態よりも小さくするため、光走査部の駆動電力を低減することができ、これによってもHMDの消費電力を低減することができる。
また、光束の光量を最大とする設定を行っている状態であっても、その状態で光束の走査角を小さくすれば、さらに表示する画像の輝度を上げることができるので、輝度の調整幅を拡張することができる。
具体的に説明すると、外界の景色も表示画像とともに見ることができるシースルー方のHMDの場合等は、外光の強度が非常に強い場所で使用すると、光束を出力する光束出力部が最大出力により光束を出力している状態であっても、使用者にとって外光がまぶしく感じられ、光走査部が走査する光束の光量が不足して表示画像が暗く感じられて見え難くなることがある。
しかし、本実施形態のHMDでは、上記のように構成しているため、光束を出力する光束出力部が最大出力により光束を出力している状態において、制御部が光束走査部に光束の走査角を小さくさせる制御を行うことによって、表示する画像の輝度をさらに高めることができるので、非常に明るい場所で試用しても、表示する画像が見え難くなることを好適に防止することができる。
また、このHMDの制御部は、光出力部による光束の出力状態の変化を検出する出力状態変化検出部を備えており、この出力状態変化検出部の検出結果に応じて、光束走査部に光束の走査角を変更させる制御を行うことにより、表示する画像の輝度を一定に保つようにしている。
そのため、このHMDでは、光出力部による光束の出力を低下させると共に、光束の走査角を小さくすることによって、画像表示装置の消費電力を低減しながらも、表示する画像の輝度を低下させることなく一定に保つことができる。
出力状態変化検出部は、HMDの電源電圧の変化を検出することによって、光出力部へ供給される光出力部の駆動電圧の変化を検出し、その検出結果に基づいて、光出力部の出力状態(光束の光量)の変化を間接的に検出するように構成している。
このように出力状態変化検出部を構成することによって、たとえば、HMDの電源がバッテリーである場合、バッテリー残量が低下して光出力部に供給する電圧が低下しても、表示する画像の輝度を低下させることなく一定に保つことができるので、一定の輝度を保ちながら比較的長時間使用可能な画像表示装置を提供することができる。
なお、ここでは、出力状態変化検出部を制御部に設けるようにしているが、これに限定するものではなく、出力状態変化検出部を制御部から独立して設けてもよい。
また、ここで出力状態変化検出部は、HMDの電源電圧の変化に基づいて、間接的に光出力部による光束の出力状態の変化を検出するように構成しているが、発明はこれに限定するものではなく、光出力部の出力状態の変化を直接的に検出するものであってもよい。
たとえば、出力状態変化検出部は、光出力部として機能する後述の光源部30が有するレーザドライバ31、32、33(図4参照。)から、後述のレーザ34、35、36(図4参照。)に供給される駆動電圧の変化を検出することによって、光出力部の出力状態の変化を検出するように構成することもでき、また、後述のレーザ34、35、36(図4参照。)が出力する光束の輝度の変化を検出する輝度センサを設け、この輝度センサにより光出力部として機能する光源部30(図4参照。)の出力状態の変化を検出するように構成することもできる。
また、この図1(b)に示す例では、光束の2次元的な走査において、水平方向及び垂直方向の両方の走査角を同じ割合で小さくすることにより、表示画像の画質の劣化を防止するようにしているが、光束の2次元的な走査において、垂直方向の走査角だけを小さくすることによって、輝度調整を行う際の制御部の処理負荷を低減させながら、表示する画像の輝度を高めるようにすることもできる。
すなわち、光束の2次元的な走査において、水平方向の走査角に関しては変更することなく低輝度状態の走査角を維持したまま、垂直方向の走査角だけを小さくすることによって、図1(c)に示すように、表示画面の縦方向だけを若干縮小して輝度を高めた高輝度の画像V3を表示する。
このような輝度調整を行えば、制御部は、光束の水平方向の走査角を変更する必要がないため、表示画像を低輝度状態から高輝度状態にするために行う処理負荷が低減され、輝度調整にかかる時間を短縮することができる。
ただし、このように光束の垂直方向の走査角だけを小さくして表示する画像の輝度を高める場合には、画像の縦横の縮尺比を低輝度状態のときと同じにするために、表示する画像を水平方向に圧縮すると共に、図1(c)に示す非表示領域V4では、光束の走査中に光を出力しないようにする。
こうすることにより、輝度を高めたことによる画像の劣化を防止できると共に、光走査部が図1(c)の非表示領域V4を走査する際に光の出力を停止するので、HMDの消費電力を低減することができる。
また、表示する画像の輝度を変化させるために光束の走査角を変更する場合、その走査角の変化に応じて画像内容を変更しても良い。
例えば、表示する画像の輝度を高めるために光束の走査角を小さくすると、表示する画像が縮小されて、文字などが見にくくなる場合があるので、そのような場合には、制御部により表示する画像の外側(外枠)部分を削除する等の処理を行うことで表示画像が見え難くなるのを防ぐことができる。
(画像表示装置の概要の説明)
次に、上記のような輝度調整を可能としたHMDの概要について説明する。
図2に示すように、本実施形態のHMD1は、内部に網膜走査型画像表示装置を収納した筐体3と、この筐体3を支持する支持フレーム4と、支持フレーム4と一体に形成されてHMD1を使用者の頭部に装着するための頭部装着部5とを備えている。
筐体3は、内部に網膜走査型画像表示装置を収納可能な収納空間を有し、頭部装着時に使用者の左眼部分と左側こめかみ部分とを被覆するように配設された平面視略L字形状の箱体により構成している。
そして、この筐体3の頂面3bの所定位置には、外界の明るさ(輝度)を検出するための輝度センサ2が設けられている。
また、この筐体3は、HMD1を頭部に装着した状態において当該筐体3の最前面部を構成する正面視略矩形状の前面3aと、当該筐体3の最上部を構成する平面視略L字形状の頂面3bとの間を、頂面3bから前面3aに向けて傾斜させた傾斜面3cにより接合させている。
そして、この傾斜面3cに、使用者が操作することにより、HMD1の各種機能を実行させる操作入力部6を備えている。この操作入力部6には、使用者が操作する複数のスイッチが設けられている。
具体的には、図3に示すように、HMD1により画像の再生を開始するために操作する再生スイッチ6aと、画像の再生を停止するために操作する停止スイッチ6bと、表示する画像の輝度を調整するために操作する複数のスイッチが配設された輝度調整部7とを備えている。なお、ここでは説明を簡単にするために、画像の早送りや巻き戻し等といったHMD1が備える他の機能を実行させるために操作するスイッチについては、図示を省略している。
特に、輝度調整部7には、上記輝度センサ2により検出した外界の輝度に基づいて、表示する画像の輝度を使用者が見やすいと感じる輝度となるように自動調整するオートモードを選択するために操作するオートモードスイッチ7aを備えている。
このオートモードスイッチ7aは、押圧操作型のボタンスイッチであり、このオートモードスイッチ7aを押圧操作することによりオートモードが選択され、オートモードスイッチ7aが押圧操作されていないとき、又はオートモードが選択されているときに再度このオートモードスイッチを押圧操作したときに、画像の輝度調整を手動で行うマニュアルモードが選択されるように構成している。
また、この輝度調整部7には、マニュアルモードが選択された状態において、使用者が表示されている画像の輝度を調整するために操作する昼夜切替スイッチ7bと、晴雨切替スイッチ7cと、室内外切替スイッチ7dと、任意切替スイッチ7eとが配設されている。
昼夜切替スイッチ7bは、上下に摺動操作が可能なスライド型のスイッチであり、この昼夜切替スイッチ7bを上側にスライド操作することにより昼モードが選択され、下側にスライド操作することにより夜モードが選択される。なお、上下いずれにもスライド操作しない状態では、昼モード及び夜モードのいずれのモードも選択されないようにしている。
ここで、昼モードとは、外界の明るさが比較的明るい昼間に、表示する画像の輝度を使用者が見やすいと感じる予め定めた最高段階の輝度に設定するモードであり、夜モードとは、外界の明るさが比較的暗い夜間に、表示する画像の輝度を使用者が見やすいと感じる予め定めた最低段階の輝度に設定するモードである。
また、晴雨切替スイッチ7cは、上下に摺動操作が可能なスライド型のスイッチであり、この晴雨切替スイッチ7cを上側にスライド操作することにより晴天モードが選択され、下側にスライド操作することにより雨天モードが選択される。なお、上下いずれにもスライド操作しない状態では、晴天モード及び雨天モードのいずれのモードも選択されないようにしている。
ここで、晴天モードとは、外界の明るさが比較的明るい晴天のときに、表示する画像の輝度を使用者が見やすいと感じる予め定めた比較的高い輝度であって、上記最高段階よりも一段階低い輝度に設定するモードであり、雨天モードとは、外界の明るさが比較的暗い雨天のときに、表示する画像の輝度を使用者が見やすいと感じる予め定めた比較的低い輝度であって、上記最低段階よりも一段階高い輝度に設定するモードである。
また、室内外切替スイッチ7dは、上下に摺動操作が可能なスライド型のスイッチであり、この室内外切替スイッチ7dを上側にスライド操作することにより室外モードが選択され、下側にスライド操作することにより室内モードが選択される。なお、上下いずれにもスライド操作しない状態では、室外モード及び室内モードのいずれのモードも選択されないようにしている。
ここで、室外モードとは、外界の明るさが比較的明るい室内において、表示する画像の輝度を使用者が見やすいと感じる予め定めた比較的高い輝度であって、上記晴天モードよりも一段階低い輝度に設定するモードであり、室内モードとは、外界の明るさが比較的暗い室内において、表示する画像の輝度を使用者が見やすいと感じる予め定めた比較的低い輝度であって、上記雨天モードよりも一段階高い輝度に設定するモードである。
すなわち、これら昼夜切替スイッチ7b、晴雨切替スイッチ7c、室内外切替スイッチ7d、任意切替スイッチ7eは、外界の状況毎に後に詳述する光走査部による光束の走査角を複数段階に変更可能なスイッチとして機能するのである。
このように、本実施形態のHMD1では、昼夜切替スイッチ7b、晴雨切替スイッチ7c、室内外切替スイッチ7dという複数の輝度調整用のスイッチを備えており、これらのスイッチを単独又は組み合わせて操作することにより、画像を表示する際の場所や時間、天候等に応じて使用者が最も見やすいと感じる輝度となるように画像の輝度調整を行うことができる。
また、任意切替スイッチ7eは、回動操作可能なダイヤル式スイッチであり、この任意切替スイッチ7eを時計回り又は反時計回りに回動操作することにより、上記した6段階の中から選択した輝度をさらに細かく調整することができるようにしている。
また、支持フレーム4は、眼鏡のフロント部と同様の形状をしたゴーグル型の支持体であり、本実施形態では、HMD1を頭部に装着した際に、使用者の左眼と対向する部分に筐体3を取り付けるようにしている。
この支持フレーム4は、HMD1を頭部に装着した際に、使用者の右眼と対向する部分を透光性部材により構成することによって、使用者がHMD1により画像を鑑賞している間であっても、周囲の状況を視認できるようにしている。
そのため、使用者は、このHMD1を装着して歩く等の動作をしながら画像を鑑賞することができ、しかも、屋外等の比較的明るい場所で使用した場合に、透光性部材により構成した支持フレーム4から筐体3側へ外界の光が入射しても、上記のように輝度調整部7の各種スイッチ7b〜7eを操作して画像の輝度を好適に調整することができるので、使用する時間と場所に関係なく常時最適に輝度調整した画像を鑑賞することができる。
また、この支持フレーム4は、使用者の左眼と対向する部分と、使用者の右眼と対向する部分との間に正面視略台形の切欠部4aを備えており、使用者がHMD1を頭部に装着する際には、使用者の鼻にこの切欠部4aを掛止するようにしている。
頭部装着部5は、その基端側がゴーグル型の支持体の上部両端にそれぞれ回動自在に取付けられた、眼鏡のツル(テンプル)と同様形状の部材により構成しており、その終端側が、HMD1を頭部に装着した際に、使用者の耳に掛止できるように湾曲形状となっている。
そして、このHMD1を使用する際、使用者は、支持フレーム4の切欠部4aを鼻に掛止すると共に、頭部装着部5終端側の湾曲した部分を両耳に掛止することによって、両耳と鼻の3点でHMD1を支持させ、筐体3を左眼の前方に位置させるようにして頭部に装着した後、操作入力部6を操作することによって映像コンテンツ等の画像を鑑賞する。
(画像表示装置の電気的構成の説明)
次に、本実施形態のHMD1の電気的構成等について、図4及び図5を参照して説明する。
図4に示すように、このHMD1は、HMD1全体の動作を統括制御する制御部110と、この制御部110から供給される映像信号をドットクロック毎に読み出し、読み出した映像信号に応じて強度変調された光束を生成して出射する光束生成部20を備え、さらに、その光束生成部20と使用者の眼Eとの間には、光束生成部20で生成され、光ファイバ100を介して出射されるレーザビーム(以下、「光束」と呼ぶ。)を平行光化するコリメート光学系61と、このコリメート光学系61で平行光化された光束を画像表示のために水平方向(第1方向)に往復走査する第1光走査部として機能する水平走査部70と、水平走査部70で水平方向に走査された光束を垂直方向(第1方向と異なる第2方向)に往復走査する第2光走査部として機能する垂直走査部80と、水平走査部70と垂直走査部80との間に設けられたリレー光学系75と、このように水平方向と垂直方向に走査された光束を瞳孔Eaへ出射するためのリレー光学系90を備えている。
本実施形態では、これら水平走査部70と、リレー光学系75と、垂直走査部80と、リレー光学系90とが、画像信号に基づいて生成した光束を2次元的に走査することにより画像を表示する光走査部に相当する。
また、光束生成部20には、パーソナルコンピュータ(図示略。)等の外部装置から供給される画像信号が入力され、それに基づいて画像を合成するための要素となる各信号等を発生する信号処理回路21が設けられ、この信号処理回路21において、青(B)、緑(G)、赤(R)の各画像信号22a〜22cが生成され、出力される。また、信号処理回路21は、水平走査部70で使用される水平駆動信号23と、垂直走査部80で使用される垂直駆動信号24とをそれぞれ出力する。
さらに、光束生成部20は、信号処理回路21からドットクロック毎に出力される3つの画像信号(B,R,G)22a〜22cをそれぞれ光束にする光束出力部として機能する光源部30と、これらの3つの光束を1つの光束に結合して任意の光束を生成するための光合成部40を備えている。
光源部30は、青色の光束を発生させるBレーザ34及びBレーザ34を駆動するBレーザドライバ31と、緑色の光束を発生させるGレーザ35及びGレーザ35を駆動するGレーザドライバ32と、赤色の光束を発生させるRレーザ36及びRレーザ36を駆動するRレーザドライバ33とを備えている。なお、各レーザ34、35、36は、例えば、半導体レーザや高調波発生機構付き固体レーザとして構成することが可能である。なお、半導体レーザを用いる場合は駆動電流を直接変調して、光束の強度変調を行うことができるが、固体レーザを用いる場合は、各レーザそれぞれに外部変調器を備えて光束の強度変調を行う必要がある。
光合成部40は、光源部30から入射する光束を平行光にコリメートするように設けられたコリメート光学系41、42、43と、このコリメートされた光束を合成するためのダイクロイックミラー44、45、46と、合成された光束を光ファイバ100に導く結合光学系47とを備えている。
各レーザ34、35、36から出射したレーザ光は、コリメート光学系41、42、43によってそれぞれ平行化された後に、ダイクロイックミラー44、45、46に入射される。その後、これらのダイクロイックミラー44、45、46により、各光束が波長に関して選択的に反射・透過される。
具体的には、Bレーザ34から出射した青色光束は、コリメート光学系41によって平行光化された後に、ダイクロイックミラー44に入射される。Gレーザ35から出射した緑色光束は、コリメート光学系42を経てダイクロイックミラー45に入射される。Rレーザ36から出射した赤色光束は、コリメート光学系43を経てダイクロイックミラー46に入射される。
それら3つのダイクロイックミラー44、45、46にそれぞれ入射した3原色の光束は、波長選択的に反射または透過して結合光学系47に達し、集光され光ファイバ100へ出力される。
水平走査部70及び垂直走査部80は、光ファイバ100から入射された光束を画像として投影可能な状態にするために、水平方向と垂直方向に走査して走査光束とするものである。
水平走査部70は、光束を水平方向に走査するため偏向面を有する共振型偏向素子71と、この共振型偏向素子71を共振させ、共振型偏向素子71の偏向面を揺動させる駆動信号を発生する駆動信号発生器としての水平走査駆動回路72と、共振型偏向素子71から出力される変位信号に基づいて、共振型偏向素子71の偏向面の揺動範囲及び揺動周波数等の揺動状態を検出する水平走査角検出回路73と、共振型偏向素子71の温度を検出する温度検出部74とを有している。なお、この温度検出部74は、共振型偏向素子71の温度を検出するものであるが、共振型偏向素子71の周囲の温度を検出することで、共振型偏向素子71の温度を検出するようにしてもよい。
特に、水平走査角検出回路73は、検出した共振型偏向素子71の揺動状態を示す信号を制御部110へ入力するようにしている。
垂直走査部80は、光束を垂直方向に走査するための偏向素子81と、この偏向素子81を駆動させる垂直走査制御回路82と、この垂直走査制御回路82偏向面の揺動範囲及び揺動周波数等の揺動状態を検出する垂直走査角検出回路83とを備えている。
また、水平走査駆動回路72と垂直走査制御回路82は、信号処理回路21から出力される水平同期信号23と垂直同期信号24に基づいてそれぞれ駆動し、垂直走査角検出回路83は、検出した偏向素子81の揺動状態を示す信号を制御部110へ入力するようにしている。
そして、後に詳述する制御部110は、信号処理回路21の動作を制御することによって、これら水平駆動信号23と垂直駆動信号24とを調整することによって、水平走査部70と垂直走査部80に光束の走査角を変更させて、表示する画像の輝度を調整するようにしている。
こうして変更された走査角度は水平走査角検出回路73および垂直走査角検出回路83からの検出信号に基づいて制御部110により検出され、信号処理回路21と水平走査駆動回路72とを介して水平駆動信号23にフィードバックされると共に、信号処理回路21と垂直走査制御回路82とを介して垂直駆動信号24にフィードバックされる。
また、水平走査部70と垂直走査部80との間での光束を中継するリレー光学系75を備えており、共振型偏向素子71によって水平方向に走査された光は、リレー光学系75を通って、偏向素子81によって垂直方向に走査されて、走査光束として、リレー光学系90へ出射される。
リレー光学系90は、正の屈折力を持つレンズ系91、94を有している。垂直走査部80から出射された表示用走査光束は、レンズ系91によって、それぞれの光束がその光束の中心線を相互に平行にされ、かつそれぞれ収束光束に変換される。そして、レンズ系94によってほぼ平行な光束となると共に、これらの光束の中心線が使用者の瞳孔Eaに収束するように変換される。
なお、本実施形態においては、光ファイバ100から入射された光束を、水平走査部70で水平方向に走査した後、垂直走査部80によって垂直方向に走査することとしたが、水平走査部70と垂直走査部80との配置を入れ替え、垂直走査部80によって垂直方向に走査した後、水平走査部70で水平方向に走査するようにしてもよい。
また、制御部110は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103とを備えている。
そして、これらCPU101、ROM102、RAM103は、データ通信用のバスにそれぞれ接続されており、このデータ通信用のバスを介して各種情報の送受信を行う。
また、この制御部110は、使用者により操作される操作入力部6と、外界の明るさ(輝度)を検出する輝度センサ2と接続されている。
CPU101は、ROM102に記憶されている各種プログラムを実行することにより、HMD1を構成する図示しない各種回路を動作させて、HMD1が備える各種機能を実行させる演算処理装置である。
ROM102は、HMD1により画像の再生、停止、早送り、巻き戻し等を行う際に光束生成部20、水平走査部70、垂直走査部80等を動作させるための画像再生プログラム、HMD1により表示する画像の輝度を調整する際に水平走査部70、垂直走査部80等の光走査部を動作させるための輝度調整プログラム等、制御部110がHMD1全体の動作を統括制御するためにCPU101により実行される各種プログラムを記憶しているプログラム記憶手段として機能するものである。
また、このROM102は、制御部110が表示する画像の輝度調整を行う際に参照する複数の対応テーブルを記憶しており、表示する画像の輝度と光走査部による光束の走査角とを対応させた対応テーブルを記憶した対応テーブル記憶手段として機能するものである。
図5は、ROM102に記憶している複数の対応テーブルのうちの一つを示す説明図である。この図5に示すように、対応テーブルは、水平走査部70及び垂直走査部80が光束を走査する際の画角(走査角)と、その走査角により光束を走査したときに表示される画像の輝度値とを対応させたテーブルである。
図5に示す対応テーブルは、水平走査部70が備える共振型偏向素子71の回動角及び垂直走査部80が備える偏向素子81の回動角を5度として光束の走査を行った場合に、表示される画像の輝度が900(Cd:カンデラ/m2)となり、水平走査部70が備える共振型偏向素子71の回動角及び垂直走査部80が備える偏向素子81の回動角を10度として光束の走査を行った場合に、表示される画像の輝度が400(Cd/m2)となり、水平走査部70が備える共振型偏向素子71の回動角及び垂直走査部80が備える偏向素子81の回動角を15度として光束の走査を行った場合に、表示される画像の輝度が100(Cd/m2)となることを示している。
なお、図5に示す対応テーブルは、使用者が昼夜切替スイッチ7bを操作したときに制御部110によって参照される対応テーブルである。
そして、制御部110は、使用者により昼モードが選択された場合に、この対応テーブルを参照して光走査部に走査角5度で光束を走査させる制御を行い、使用者により夜モードが選択された場合に、光走査部に走査角15度で光束を走査させる制御を行うのである。なお、使用者が昼モード及び夜モードのいずれのモードも選択しなかった場合に制御部110は、基本設定として光走査部に走査角10度で光束を走査させる制御を行うようにしている。
RAM103は、CPU101がROM102に記憶している各種プログラムを実行する際に作業領域として使用する一時記憶手段である。
また、このRAM103には、図示しないインターフェース部を介して外部装置から入力される映像コンテンツ等に相当する画像情報を一時的に記憶するようにしており、HMD1により画像を表示する際に制御部110は、このRAM103に一時記憶している画像情報を読み出して、画像を表示する処理を行う。
このように構成したHMD1の制御部110は、上記のように、第1走査部である水平走査部70と第2光走査部である垂直走査部80との少なくともいずれか一方に光束の走査角を変更させる制御を行うことにより、表示する画像の輝度を調整するようにしている。
すなわち、この制御部110は、使用者が画像の輝度を調整するために輝度調整部7に設けられている各種スイッチ7a〜7eを操作すると、ROM102に記憶している輝度調整プログラムを実行して対応テーブルを参照し、各種スイッチ7a〜7eの操作に応じて光走査部の共振型偏向素子71と偏向素子81とに光束の走査角を変更させる制御を行うのである。
このように、本実施形態のHMD1が備える制御部110は、対応テーブルを参照して画像の輝度調整を行うための制御を行うので、複雑な演算処理を行うことなく輝度調整を行うことができ、CPU101の処理負荷を低減することができる。
また、この制御部110は、使用者がオートモードスイッチ7aを操作してオートモードを選択した場合には、ROM102に記憶している輝度調整プログラムを実行し、輝度センサ2の検出結果に応じて、光走査部である水平走査部70と垂直走査部80との少なくともいずれか一方に光束の走査角を変更させる制御を行うことにより、表示する画像の輝度を、外界の明るさに応じて自動的に調整することができ、煩雑な操作を要することなく容易に輝度調整することができる。
(画像表示装置の制御部が行う処理の説明)
次に、本実施形態のHMD1における制御部110が行う処理について、図6及び図7を参照して説明する。
(メイン処理の説明)
図6に示すように、メイン処理において制御部110は、電源がONされると、まずハードディスク(図示略)のアクセス許可や、RAM103の作業領域を初期化する等の初期設定処理を行い(ステップS1)、その後、表示する画像の輝度を調整するための輝度調整処理を実行し(ステップS2)、その後、処理をステップS3へ移す。なお、ステップS2で行う輝度調整処理については、後に図7を参照して具体的に説明する。
次に、ステップS3において、制御部110は、画像の再生操作があったか否かの判断を行う。ここで、制御部110は、再生スイッチ6aから押圧操作されたことを示す信号を受信したか否かを判断することによって、再生操作があったか否かを判断する。
そして、制御部110は、再生操作がなかったと判断した場合に(ステップS3:NO)、処理をステップS8へ移し、再生操作があったと判断した場合に(ステップS3:Yes)、処理をステップS4へ移す。
ステップS4において、制御部110は、ステップS2で行うものと同じ輝度調整処理を行った後、処理をステップS5へ移して画像表示処理を行い、その後、処理をステップS6へ移す。
ステップS6において、制御部110は、画像表示を停止する停止操作があったか否かの判断を行う。ここで、制御部110は、停止スイッチ6bから押圧操作されたことを示す信号を受信したか否かを判断することによって、停止操作があったか否かを判断する。
そして、制御部110は、停止操作がなかったと判断した場合に(ステップS6:No)、処理をステップS4へ移し、停止操作があったと判断した場合に(ステップS:Yes)、処理をステップS7へ移し、画像の表示を停止する処理を行い、その後、処理をステップS8へ移す。
次に、ステップS8において、制御部110は、電源がOFFされたか否かの判断を行い、電源がOFFされたと判断した場合に(ステップS8:Yes)、このメイン処理を終了し、電源がOFFされていないと判断した場合に(ステップS8:No)、処理をステップS3へ移す。
(輝度調整処理の説明)
次に、制御部110がメイン処理のステップS2及びS4で行う輝度調整処理について、図7を参照して説明する。
この輝度調整処理において、制御部110は、まず、輝度調整操作があったか否かの判断を行う(ステップS11)。ここで、制御部110は、輝度調整部7に設けられているいずれかのスイッチから操作されたことを示す信号を受信したか否かを判断することによって、輝度調整操作があったか否かを判断するようにしている。
そして、制御部110は、輝度調整操作があったと判断した場合に(ステップS11:Yes)、処理をステップS12へ移し、輝度調整操作がなかったと判断した場合に、この輝度調整処理を終了して処理をメイン処理に戻す。
ステップS12において、制御部110は、オートモードが選択されたか否かの判断を行い、オートモードが選択されたと判断した場合に(ステップS12:Yes)、処理をステップS13へ移し、オートモードが選択されていないと判断した場合に(ステップS12:No)、処理をステップS14へ移す。
ここで、制御部110は、オートモードスイッチ7aから押圧操作によってオートモードが選択されたことを示す信号を受信したか否かを判断することによって、オートモードが選択されたか否かを判断する。
ステップ13において、制御部110は、オートモード処理を行う。ここで、制御部110は、輝度調整プログラムを実行し、輝度センサ2から入力される外界の輝度情報に基づいて、ROM102に記憶している複数の対応テーブルから所望の対応テーブルを選択して参照することにより、輝度センサ2の検出結果に応じた最適な輝度となるように表示する画像の輝度調整を行い、その後、この輝度調整処理を終了して処理をメイン処理へ戻す。
また、このとき制御部110は、上記出力状態変化検出部により光束出力部である光源部30の出力(光束の光量)が低下したことを検出すると、その低下度合いに応じて光束の走査角を小さくする制御を行うことにより、表示する画像の輝度が最低な一定の輝度値となるように自動調整を行う。
ステップS14において、制御部110は、昼モードが選択されたか否かの判断を行い、昼モードが選択されたと判断した場合に(ステップS14:Yes)、処理をステップS15へ移し、昼モードが選択されていないと判断した場合に(ステップS14:No)、処理をステップS16へ移す。
ここで、制御部110は、昼夜切替スイッチ7bから昼モードの位置までスライド操作されたことを示す信号を受信したか否かを判断することによって、昼モードが選択されたか否かを判断する。
ステップS15において、制御部110は、昼モード処理を行う。ここで、制御部110は、輝度調整プログラムを実行して、ROM102に記憶している複数の対応テーブルから昼夜切替スイッチ7bの操作に対応した対応テーブルを選択して参照し、その対応テーブルにおける昼モードの走査角で光走査部に光束を走査させる制御を行うことによって、表示する画像の輝度調整を行い、その後、この輝度調整処理を終了して処理をメイン処理へ戻す。
ステップS16において、制御部110は、夜モードが選択されたか否かの判断を行い、夜モードが選択されたと判断した場合に(ステップS16:Yes)、処理をステップS17へ移し、昼モードが選択されていないと判断した場合に(ステップS16:No)、処理をステップS18へ移す。
ここで、制御部110は、昼夜切替スイッチ7bから夜モードの位置までスライド操作されたことを示す信号を受信したか否かを判断することによって、夜モードが選択されたか否かを判断する。
ステップS17において、制御部110は、夜モード処理を行う。ここで、制御部110は、輝度調整プログラムを実行して、ROM102に記憶している複数の対応テーブルから昼夜切替スイッチ7bの操作に対応した対応テーブルを選択して参照し、その対応テーブルにおける夜モードの走査角で光走査部に光束を走査させる制御を行うことにより、表示する画像の輝度調整を行い、その後、この輝度調整処理を終了して処理をメイン処理へ戻す。
ステップS18において、制御部110は、晴天モードが選択されたか否かの判断を行い、晴天モードが選択されたと判断した場合に(ステップS18:Yes)、処理をステップS19へ移し、晴天モードが選択されていないと判断した場合に(ステップS18:No)、処理をステップS20へ移す。
ここで、制御部110は、晴雨切替スイッチ7cから晴天モードの位置までスライド操作されたことを示す信号を受信したか否かを判断することによって、晴天モードが選択されたか否かを判断する。
ステップS19において、制御部110は、晴天モード処理を行う。ここで、制御部110は、輝度調整プログラムを実行して、ROM102に記憶している複数の対応テーブルから晴雨切替スイッチ7cの操作に対応した対応テーブルを選択して参照し、その対応テーブルにおける晴天モードの走査角で光走査部に光束を走査させる制御を行うことにより、表示する画像の輝度調整を行い、その後、この輝度調整処理を終了して処理をメイン処理へ戻す。
ステップS20において、制御部110は、雨天モードが選択されたか否かの判断を行い、雨天モードが選択されたと判断した場合に(ステップS20:Yes)、処理をステップS21へ移し、雨天モードが選択されていないと判断した場合に(ステップS20:No)、処理をステップS22へ移す。
ここで、制御部110は、晴雨切替スイッチ7cから雨天モードの位置までスライド操作されたことを示す信号を受信したか否かを判断することによって、雨天モードが選択されたか否かを判断する。
ステップS21において、制御部110は、雨天モード処理を行う。ここで、制御部110は、輝度調整プログラムを実行して、ROM102に記憶している複数の対応テーブルから晴雨切替スイッチ7cの操作に対応した対応テーブルを選択して参照し、その対応テーブルにおける雨天モードの走査角で光走査部に光束を走査させる制御を行うことにより、表示する画像の輝度調整を行い、その後、この輝度調整処理を終了して処理をメイン処理へ戻す。
ステップS22において、制御部110は、室外モードが選択されたか否かの判断を行い、室外モードが選択されたと判断した場合に(ステップS22:Yes)、処理をステップS23へ移し、室外モードが選択されていないと判断した場合に(ステップS22:No)、処理をステップS24へ移す。
ここで、制御部110は、室内外切替スイッチ7dから室外モードの位置までスライド操作されたことを示す信号を受信したか否かを判断することによって、室外モードが選択されたか否かを判断する。
ステップS23において、制御部110は、室外モード処理を行う。ここで、制御部110は、輝度調整プログラムを実行して、ROM102に記憶している複数の対応テーブルから室内外切替スイッチ7dの操作に対応した対応テーブルを選択して参照し、その対応テーブルにおける室外モードの走査角で光走査部に光束を走査させる制御を行うことにより、表示する画像の輝度調整を行い、その後、この輝度調整処理を終了して処理をメイン処理へ戻す。
ステップS24において、制御部110は、室内モードが選択されたか否かの判断を行い、室内モードが選択されたと判断した場合に(ステップS24:Yes)、処理をステップS25へ移し、室内モードが選択されていないと判断した場合に(ステップS24:No)、処理をステップS26へ移す。
ここで、制御部110は、室内外切替スイッチ7dから室内モードの位置までスライド操作されたことを示す信号を受信したか否かを判断することによって、室内モードが選択されたか否かを判断する。
ステップS25において、制御部110は、室内モード処理を行う。ここで、制御部110は、輝度調整プログラムを実行して、ROM102に記憶している複数の対応テーブルから室内外切替スイッチ7dの操作に対応した対応テーブルを選択して参照し、その対応テーブルにおける室内モードの走査角で光走査部に光束を走査させる制御を行うことにより、表示する画像の輝度調整を行い、その後、この輝度調整処理を終了して処理をメイン処理へ戻す。
ステップS26において、制御部110は、任意設定処理を行い、その後、この輝度調整処理を終了して処理をメイン処理へ戻す。
この任意設定処理において、制御部110は、任意切替スイッチ7eから回動操作されたことを示す信号を受信すると、輝度調整プログラムを実行して、任意切替スイッチ7eから受信した信号に基づいて、任意切替スイッチ7eの回動操作に対応した走査角で光走査部に光束を走査させる制御を行うことにより、表示する画像の輝度調整を行う。
また、このとき制御部110は、光束出力部である光源部30が最大出力により光束を出力している状態において、使用者が表示する画像の輝度を高める方向に任意切替スイッチ7eを回動操作したことを検出すると、光走査部に光束の走査角を小さくさせる制御を行うことにより、表示する画像の輝度をさらに高めるようにしている。