JP4929898B2 - 弾性表面波角速度センサ - Google Patents

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Description

本発明は、弾性表面波を用いて摂動錘を駆動振動させ、この摂動錘に対して加えられる加速度の検出を行う弾性表面波角速度センサ(以下、単に角速度センサという)に関するものである。
従来、特許文献1、2において、弾性表面波を用いて角速度の検出を行う角速度センサが提案されている。特許文献1、2に記載されている角速度センサは、共に、同一原理に基づいて角速度を検出するものであり、センサを構成するデバイスの構造としては、圧電単結晶基板上に金属配線で形成された駆動用の櫛歯電極、検出用の櫛歯電極、反射器および複数の摂動錘を備えたものを採用している。
図7は、特許文献1に記載された角速度センサのレイアウト図である。この図に示すように、略正方形に整列配置された複数の摂動錘J1を中心として、複数の摂動錘J1により形成される正方形の一辺と対向するように駆動用の櫛歯電極J2が配置され、さらに、その駆動用の櫛歯電極J2および複数の摂動錘J1を挟むように両側に反射器J3、J4が配置されている。つまり、複数の摂動錘J1により形成される正方形の相対する二辺と対向するように駆動用の櫛歯電極J2および反射器J3、J4が配置されることで、駆動用の櫛歯電極J2および反射器J3、J4からなる1つの弾性表面波デバイスが図7中のx軸方向に並べられ、そのデバイスの伝播路上に複数の摂動錘J1が配置された構成となっている。
また、複数の摂動錘J1により形成される正方形の相対する他の二辺と対向するように検出用の櫛歯電極J5、J6が設けられると共に、その検出用の櫛歯電極J5、J6および複数の摂動錘J1を挟むように両側に反射器J7、J8が配置されることで、検出用の櫛歯電極J5、J6および反射器J7、J8からなるもう1つの弾性表面波デバイスが図7中のy軸方向に並べられ、そのデバイスの伝播路上に摂動錘J1が配置された構成となっている。
このように構成される角速度センサは、以下のように作動する。図8に、角速度センサの駆動用の櫛歯電極J2による定在波の振動分布と摂動錘J1との関係とその角速度センサに発生するコリオリ力の説明図を示し、この図を参照して説明する。
駆動用の櫛歯電極J2に交流電圧を印加し、その駆動用の櫛歯電極J2のピッチで決まる共振周波数、たとえば10MHz〜数百MHzの信号で駆動すると、弾性表面波が励起される。このとき、弾性表面波が反射器J3、J4で閉じ込められるため、弾性表面波の励振効率が向上していく。また、反射器J3、J4により、駆動用の櫛歯電極J2と反射器J4の間にある伝播路に定在波が生成される。
そして、複数の摂動錘J1のピッチが定在波の波長に合わせられており、各摂動錘J1それぞれが定在波の腹の部分に位置するようにパターニングされているため、摂動錘J1が定在波の最大振幅位置で振動する。なお、「定在波の腹」とは、基板面に垂直方向の振動成分が最大となる場所のことを意味している。
このとき、対角線上において隣接している各摂動錘J1が定在波の振幅の上下逆位相となる位置に配置されているため、図8に示すように、摂動錘J11〜J14と摂動錘J15は逆位相振動する。
このような状態において、図中で、x方向の回りに回転(角速度)Ωxが加わった場合、摂動錘J1に振動速度に比例したコリオリ力による加速度a=2v×Ωがy方向に加わる。vとΩxはベクトル量であるから、摂動錘J11〜J14と摂動錘J15に作用する力は逆位相となる。
また、コリオリ力によるそれぞれの摂動錘J11〜J15で生じる加振力は、駆動定在波(x方向)とは直行する向き(y方向)に弾性波を励振することとなる。これらの摂動錘J11〜J15において駆動される弾性波は、摂動錘J1(たとえば、摂動錘J11とJ12)がy方向に対し波長の整数倍で配置されるため、検出用の櫛歯電極J5、J6の空間に弾性波動が励振される。そして、検出用の櫛歯電極J5、J6と対向するように反射器J7、J8が設置されているため、コリオリ力によって励振された波によって定在波が励振される。この定在波の強さがコリオリ力に比例しているため、検出用の櫛歯電極J5、J6で電圧または電荷を計測することにより、回転角速度を計測することが可能となる。
特開平8−334330号公報 米国特許第6516665号明細書
これら特許文献1、2に記載された技術は、高周波のメカニカルフィルタ(セラミックスフィルタ、SAWフィルタ)に基づき成り立っているため、角速度センサを形成するための圧電単結晶基板として、主にLiNbO3、LiTaO3を用いると想定される。
しかしながら、このような圧電単結晶基板は、メカニカルフィルタの分野では良く用いられているが、この上に摂動錘J1を設けて角速度センサを構成する場合には、小型化、回路との集積化には適していない。例えば、上述したように、駆動用の櫛歯電極J2による振動によって定在波を発生させ、複数の摂動錘J1を定在波の腹の位置に配置することによってコリオリ力を検出するようにしているため、数多くの摂動錘J1を広範囲に配置しなければならず、上述したように小型化、回路との集積化に適さない。
また、これら構造では、複数の摂動錘J1それぞれを定在波の腹の位置に配置できるようにしなければならないため、個々の摂動錘J1の質量が小さく、コリオリ力は摂動錘J1の質量、速度に比例するため、感度が小さくなるという問題もある。
本発明は、上記問題に鑑みて、小型化・回路との集積化が図れる角速度センサを提供することを第1の目的とする。また、高感度にできる角速度センサを提供することを第2の目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、表面となる第1面と裏面となる第2面を有した圧電体(4)と、圧電体(4)の第1面側に形成された摂動錘兼上部電極(6)と、圧電体(4)の第2面のうち、少なくとも摂動錘兼上部電極(6)と対向する位置に形成された下部電極(3)と、摂動錘兼上部電極(6)から離間して配置され、摂動錘兼上部電極(6)に対して加えられた角速度に応じた物理量を検出する検出器(7〜10、21〜24)と、を有したセンサ部を備え、摂動錘兼上部電極(6)は格子状に複数個配置されており、該摂動錘兼上部電極(6)はそれぞれ電気的に接続されており、該摂動錘兼上部電極(6)の配置される間隔は検出する弾性波の波長の整数倍であり、第1面と平行な方向において、摂動錘兼上部電極(6)と検出器(7〜10、21〜24)が並べられた方向をx軸、該x軸と直交する方向をy軸として、圧電体(4)の第1面に対して垂直方向に振動する摂動錘兼上部電極(6)に対し、外部からy軸周りの回転方向運動が作用することにより、摂動錘兼上部電極(6)にコリオリ力が生じ、該コリオリ力によってx軸の方向に弾性波を励振させ、検出器(7〜10、21〜24)で検出することにより、角速度を検出することを特徴としている。
このような構成の角速度センサでは、摂動錘兼上部電極(6)に対して直接駆動電圧を印加することにより、摂動錘兼上部電極(6)を上下方向(基板垂直方向)に振動させることができる。このため、摂動錘兼上部電極(6)の振動に基づいて角速度を検出することが可能となる。このような角速度センサによれば、従来の摂動錘のために必要とされる面積よりも摂動錘兼上部電極(6)のために必要とされる面積が小さく、かつ、摂動錘を中心とした一方向に沿って駆動用の櫛歯電極および反射器を並べる必要がなく、検出器(7〜10)を配置するのみで良くなる。したがって、角速度センサの小型化を図ることができ、回路と共に角速度センサを構成する場合には、回路との集積化も図ることが可能となる。
また、このような角速度センサでは、例えば、検出器(7〜10、21〜24)を第1検出器(7、8)および第2検出器(9、10)を含んだ構成とし、摂動錘兼上部電極(6)を挟んだ両側に1つずつ該第1、第2検出器(7〜10)を配置して、これら第1、第2検出器(7〜10)および摂動錘兼上部電極(6)を同軸上に配置することができる。
この場合、第1、第2検出器(7〜10)の出力の差に基づいて、角速度の検出を行うようにすれば、不要振動の影響をキャンセルすることができる。
さらに、検出器(7〜10、21〜24)を第1、第2検出器(7〜10)に加えてさらに第3検出器(21、22)および第4検出器(23、24)を含んだ構成とし、摂動錘兼上部電極(6)を挟んだ両側に1つずつ該第3、第4検出器(21〜24)を配置して、これら第3、第4検出器(21〜24)および摂動錘兼上部電極(6)を同軸上に配置し、この軸が第1、第2検出器(7〜10)および摂動錘兼上部電極(6)の配置された軸と垂直となるようにすることもできる。
このようにすれば、直交する2軸の角速度を検出することが可能となる。このことにより基板を伝わる電気的な直達波を抑制できる。
この場合、第1、第2検出器(7〜10)の出力の差、第3、第4検出器(21〜24)の出力の基づいて、角速度の検出を行うようにすれば、不要振動の影響をキャンセルすることができる。
また、本発明において、圧電体(4)を圧電体で構成された基板により構成しても良いが、圧電体(4)を薄膜で構成し、該圧電体(4)の裏面側に、下部電極(3)を介して支持基板(2)を配置する構造とすることができる。
この場合、支持基板(2)を絶縁基板もしくは高抵抗の半導体材料よりなる基板にて構成することができる。
そして、この場合、支持基板(2)のうち、摂動錘兼上部電極(6)と対応する位置を抉り取られた穴部(2a)とすることで、摂動錘兼上部電極(6)をより大きく上下方向に振動させることが可能となり、より角速度センサの感度を高くすることが可能となる。
ただし、穴部(2a)を大きくし過ぎるとベンディングによる不要振動が発生する可能性がある。このため、穴部(2a)において、第1、第2検出器(7〜10)が並べられる軸方向の穴部(2a)の両端部が摂動錘兼上部電極(6)の両端部よりも内側に配置されるようにすることで、そのような不要振動の発生を抑制することができる。
逆に、摂動錘兼上部電極(6)のうち第1、第2検出器(7〜10)と対向する方向に関しては、第1、第2検出器(7〜10)と摂動錘兼上部電極(6)のうち大きく上下振動が行われる領域が対向する長さを長くできるようにすると、第1、第2検出器(7〜10)の出力を大きくすることができ、高感度化が図れる。このため、穴部(2a)において、第1、第2検出器(7〜10)が並べられる軸方向と垂直方向の穴部(2a)の両端部が摂動錘兼上部電極(6)の両端部よりも外側に配置されるようにすると好ましい。
なお、上述した2軸の角速度検出が行えるようにする場合には、穴部(2a)において、第1、第2検出器(7〜10)が並べられる軸方向及び第3、第4検出器(21〜24)が並べられる軸方向の穴部(2a)の両端部が摂動錘兼上部電極(6)の両端部よりも内側に配置されるようにすれば、上記のように不要振動の発生を抑制することができる。
また、本発明では、摂動錘兼上部電極(6)を1つのみで構成すると好ましい。このように摂動錘兼上部電極(6)を1つのみで構成すれば、摂動錘兼上部電極(6)の質量を重くすることが可能となり、摂動錘兼上部電極(6)の振動振幅を大きくでき、振動速度を大きくすることが可能となる。そして、角速度が加えられた場合、摂動錘兼上部電極(6)の振動速度に比例したコリオリ力による加速度が発生するため、振動速度が大きくできることにより、角速度センサの高感度化を図ることが可能となる。
また、本発明では、下部電極(3)を圧電体(4)の第2面のうち摂動錘兼上部電極(6)と対向する位置にのみ形成することもできる。
このようにすれば、検出器(7〜10、21〜24)の下方に下部電極(3)が存在していない状態にできるため、電気的なパスがなくなり、直達波を抑制することが可能となる。
また、本発明では、圧電体(4)における第1面の表面には層間絶縁膜(5)を形成し、該層間絶縁膜(5)を介して摂動錘兼上部電極(6)を形成した構造とすることもできる。
このような構造とする場合、層間絶縁膜(5)を圧電体(4)における第1面のうち摂動錘兼上部電極(6)と対応する位置にのみ形成すると好ましい。これにより、上部電極と下部電極間での電流リークを防止することができる。また、層間絶縁膜(5)の質量を摂動錘兼上部電極(6)の質量に加えて錘として機能させることができ、より角速度センサの感度を高くすることが可能となる。
また、本発明では、例えば、圧電体(4)をAlN、ZnO、PZT、PT、LiNbO3、LTのいずれか1つにより構成することができる。このとき、圧電体(4)をAlNにより構成した場合には、角速度センサと同チップ中にCMOSなどの他の素子を形成したとしても、金属汚染の要因とならないようにできる。
また、本発明では、摂動錘兼上部電極(6)もしくは下部電極(3)の電極材料として、Al、Al−Si、Al−Si−Cu、もしくは不純物をドーピングしたPoly−Siのいずれか1つを用いることができる。このような電極材料を用いれば、角速度センサの製造を半導体プロセスにて行う場合に、下部電極(3)の形成時の金属汚染を防止することができる。
また、摂動錘兼上部電極(6)もしくは下部電極(3)の電極材料として、Au、Pt、W、Ruのいずれか1つを用いることもできる。このような電極材料を用いれば、摂動錘兼上部電極(6)もしくは下部電極(3)の質量を重くすることが可能となる。
また、本発明では、摂動錘兼上部電極(6)を格子状に複数個分割し、該複数個に分割された摂動錘兼上部電極(6)をそれぞれ電気的に接続することで、各摂動錘兼上部電極(6)それぞれに駆動電圧が印加できる構造とすることもできる。
このような構成の場合、各摂動錘兼上部電極(6)それぞれでコリオリ力に基づいて発生する弾性波が互いに強め合うようにでき、角速度センサの感度を高めることが可能となる。
また、本発明では、センサ部を1チップ内に複数個配置することもできる。このようにすれば、各センサ部に備えられた検出器(7〜10、21〜24)の出力を加算して増幅させることが可能となるため、より角速度センサを高感度にすることが可能となる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態の角速度センサ1を示したものであり、図1(a)は、角速度センサ1の上面レイアウトを示した図であり、図1(b)は、図1(a)におけるA−A断面図である。なお、図1(a)は断面図ではないが、理解を容易にするために部分的にハッチングを示してある。
図1(b)に示すように、角速度センサ1は、シリコンなどの半導体材料のような高抵抗材料や絶縁基板により構成された基板2を用いて形成され、この基板2上にセンサ部が形成されることにより構成されている。
基板2の表面全面に、例えば1〜1.5μmの厚みの下部電極3が形成されている。この下部電極3は、不純物がドーピングされたPoly−Si、Al、Al−Si−Cu、Au、Pt、W、Ru等によって構成されている。下部電極3を不純物がドーピングされたPoly−Si、Al、Al−Si−Cu等で形成すれば、角速度センサ1の製造を半導体プロセスにて行う場合に、下部電極3の形成時の金属汚染を防止することができ、Au、Pt、W、Ru等で形成すれば、質量を重くすることが可能となる。
下部電極3の表面全面に、例えば0.5〜2μmの厚みの圧電膜4が形成されている。圧電膜4は、例えばAlN、ZnO、PZT、PT等により構成されるが、AlNにより構成した場合には、角速度センサ1と同チップ中にCMOSなどの他の素子を形成したとしても、金属汚染の要因とならないようにできる。
圧電膜4の表面には、シリコン酸化膜などにより構成された層間絶縁膜5が形成されている。この層間絶縁膜5は必須のものではないが、圧電膜4をAlNで構成する場合には形成するようにした方が好ましい。これは、後述する摂動錘兼上部電極6に対して電圧を印加し、摂動錘兼上部電極6と下部電極3の間に電界が掛けられたときに摂動錘兼上部電極6から下部電極3に向けてリーク電流が流れる可能性があるためである。
そして、層間絶縁膜5の表面に、摂動錘と上部電極を兼用する摂動錘兼上部電極6が形成されていると共に、検出器としての役割を果たす検出用の櫛歯電極7、8、9、10が形成されている。摂動錘兼上部電極6および櫛歯電極7〜10も、不純物がドーピングされたPoly−Si、Al、Al−Si−Cu、Au、Pt、W、Ru等によって構成されている。摂動錘兼上部電極6を不純物がドーピングされたPoly−Si、Al、Al−Si−Cu等で形成すれば、角速度センサ1の製造を半導体プロセスにて行う場合に、摂動錘兼上部電極6の形成時の金属汚染を防止することができ、Au、Pt、W、Ru等で形成すれば、質量を重くすることが可能となる。
摂動錘兼上部電極6は、図1(a)に示すように、例えば長方形で構成されている。そして、この摂動錘兼上部電極6が構成する長方形の相対する二辺(具体的には2つの長辺)と対向するように、櫛歯状の検出器を構成する検出用の櫛歯電極7〜10が摂動錘兼上部電極6を挟むように両側に配置された構成、つまりこれら摂動錘兼上部電極6および検出用の櫛歯電極7〜10が図1(a)、(b)のx軸方向に並べられた配置とされている。
摂動錘兼上部電極6には、図1(b)に示されるように、例えばボンディングワイヤなどにより構成される駆動電圧印加ライン11を通じて、駆動電源12から駆動電圧が印加されるようになっており、GNDライン13に接続される下部電極3との間に電位差を発生させることで、摂動錘兼上部電極6を直接的に図1(b)の上下方向(z軸方向つまり基板垂直方向)に振動させられるようになっている。
検出用の櫛歯電極7、8は、これらが一対となって一組の検出器(第1検出器)を構成するものである。これら検出用の櫛歯電極7、8は、共に、摂動錘兼上部電極6のうちy軸と平行な一辺と対向する複数の櫛歯部7a、8aと、これら複数の櫛歯部7a、8aを連結する連結部7b、8bを有して構成されている。この検出用の櫛歯電極7、8は、互いの櫛歯部7a、8aが等間隔に一本ずつ交互に、つまり互いの櫛歯部7a、8aが噛合うように配置されることで、各櫛歯部7a、8aが1本ずつ対向配置されている。そして、各連結部7b、8bが櫛歯部7a、8aを挟んで反対側に配置され、連結部7bが各櫛歯部7aの紙面上方側の端部と接続され、連結部8bが各櫛歯部8aの紙面下方側の端部と接続されている。
一方、検出用の櫛歯電極9、10も同様であり、これらが一対となって一組の検出器(第2検出器)を構成するものである。これら検出用の櫛歯電極9、10は、共に、摂動錘兼上部電極6のうちy軸と平行な他の一辺(つまり検出用の櫛歯電極7、8が配置される側とは反対側の一辺)と対向する複数の櫛歯部9a、10aと、これら複数の櫛歯部9a、10aを連結する連結部9b、10bを有して構成されている。この検出用の櫛歯電極9、10は、互いの櫛歯部9a、10aが等間隔に一本ずつ交互に、つまり互いの櫛歯部9a、10aが噛合うように配置されることで、各櫛歯部9a、10aが1本ずつ対向配置されている。そして、各連結部9b、10bが櫛歯部9a、10aを挟んで反対側に配置され、連結部9bが各櫛歯部9aの紙面上方側の端部と接続され、連結部10bが各櫛歯部10aの紙面下方側の端部と接続されている。
このようなセンサ部を有した構造により、本実施形態の角速度センサ1が構成されている。続いて、本角速度センサ1の作動について説明する。
上述したように、角速度センサ1におけるセンサ部の駆動は、駆動電圧印加ライン11を通じて駆動電源12から摂動錘兼上部電極6に対して駆動電圧を印加すると共に、下部電極3をGNDライン13に接続することにより行われる。駆動電圧は、所定周波数の交流電圧とされており、この駆動電圧が摂動錘兼上部電極6に印加されることで、摂動錘兼上部電極6と下部電極3との間に電位差が生じてこれらの間に電界が発生させられ、摂動錘兼上部電極6を上下方向に励振させることができる。
この状態で例えば図1(a)、(b)中のy軸周りの回転(角速度)Ωが加わった場合、摂動錘兼上部電極6に振動速度に比例したコリオリ力F=2mv×Ωがx方向に加わる。このコリオリ力が加振力となり、上下の駆動振動(z方向)とは直交する向き(x方向)に弾性波を励振することとなる。これらの弾性波により、検出用の櫛歯電極7〜10の空間に弾性波動が励振される。これにより、検出用の櫛歯電極7〜10の電圧または電荷が変化するため、これを計測することにより、回転角速度を計測することが可能となる。

このとき、摂動錘兼上部電極6の両側に配置された櫛歯電極7、8と櫛歯電極9、10の各組の出力の差に基づいて、回転角速度を計測すると好ましい。つまり、櫛歯電極7、8と櫛歯電極9、10のいずれか一方の組の出力のみを用いる場合、不要振動の影響を受けた出力となっている可能性があるが、このように2つの組の出力を差を求めること(例えば、差動増幅を行うこと)により、その影響をキャンセルすることが可能になるためである。
次に、本実施形態の角速度センサ1の製造方法について説明する。
まず、シリコンなどの半導体材料のような高抵抗材料や絶縁基板により構成された基板2を用意する。このとき、基板2として半導体材料を用いれば、回路などと共に角速度センサ1を形成する場合において、回路との集積化を図ることも可能である。
この基板2の表面全面に、例えば1〜1.5μmの厚みの下部電極3を成膜する。例えば、不純物がドーピングされたPoly−Siを堆積させたり、Al、Al−Si−Cu、Au、Pt、W、Ru等の金属層をスパッタすることによって下部電極3を成膜する。
続いて、下部電極3の表面全面に、例えばAlN、ZnO、PZT、PT等によって0.5〜2μmの厚みの圧電膜4を形成する。この圧電膜4の表面に、シリコン酸化膜などを成膜することで層間絶縁膜5を形成する。
そして、層間絶縁膜5の表面に、不純物がドーピングされたPoly−Si、Al、Al−Si−Cu、Au、Pt、W、Ru等を成膜したのち、それをパターニングすることで、摂動錘兼上部電極6および櫛歯電極7〜10を形成する。この後は、ワイヤボンディングなどを行うことで、駆動電圧印加ライン11やGNDライン13を形成したり、櫛歯電極7〜10と接続される配線等を形成することで、本実施形態の角速度センサ1が完成する。
以上説明した本実施形態の角速度センサ1によれば、摂動錘兼上部電極6に対して駆動電圧を直接印加することにより、摂動錘兼上部電極6を上下方向に振動させるようにしている。このため、従来と比べて共振倍率を高め、高効率な励振が可能となる。すなわち、従来は図7に示したように、反射器J3、J4を用いて摂動錘J1を振動させて定在波を生成しているため、摂動錘J1の振動が小さく、速度も遅い。これに対して、本実施形態では、摂動錘兼上部電極6を直接上下方向に振動させられるため、振動を大きくでき、速度も早くできる。そして、コリオリ力が発生したときの検出用の櫛歯電極7〜10の出力は、摂動錘兼上部電極6の振動の速度に依存するため、本実施形態のようにその速度を高くできることで櫛歯電極7〜10の出力を高めることができる。
したがって、角速度センサ1を高感度にすることが可能となる。特に、本実施形態の場合、摂動錘兼上部電極6を従来の摂動錘J1の1つ1つと比べて大きくでき、摂動錘兼上部電極6の質量を大きく取ることができる。そして、コリオリ力が摂動錘兼上部電極6の質量、速度に比例することから、より感度を高くすることが可能となる。
また、本実施形態では、従来のように駆動用の櫛歯電極J2および反射器J3、J4を摂動錘J1を中心とした一方向(x軸方向)に並べる必要がなく、検出用の櫛歯電極7〜10を配置するのみで良いため、角速度センサ1の小型化を図ることができる。特に、本実施形態の場合、上記のように感度を高くすることができるため、摂動錘兼上部電極6に必要な面積を従来のように複数の摂動錘J1を形成するために必要な面積よりも小さくすることも可能であり、より角速度センサ1の小型化が図れるし、回路と共に角速度センサ1を形成する場合においても、回路との集積化を図ることができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態の角速度センサ1は、第1実施形態に対して検出器の構成を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、ここでは異なる部分についてのみ説明する。
図2は、本実施形態の角速度センサ1の斜視図である。この図に示すように、本実施形態の角速度センサ1では、摂動錘兼上部電極6を正方形とし、正方形の相対する二辺と対向するようにx軸方向に沿って並べた検出用の櫛歯電極7〜10に加えて、正方形の相対する他の二辺と対向するようにy軸方向に沿って並べた検出用の櫛歯電極21〜24を備えたことが異なる。櫛歯電極21〜24の構造は、基本的に櫛歯電極7〜10と同様であり、例えば、摂動錘兼上部電極6を中心として櫛歯電極7〜10を90°回転させて配置したものが櫛歯電極21〜24となる。なお、櫛歯電極21、22が本発明の第3検出器、櫛歯電極23、24が本発明の第4検出器に相当するものである。
このような構成の角速度センサ1においては、上述したようなy軸周りの回転(角速度)が加わった場合だけでなく、x軸周りの回転(角速度)が加わった場合にも、櫛歯電極21〜24にてその角速度を検出することが可能となる。これにより、2軸の角速度検出が可能となる。
なお、この場合に、第1、第2検出器に相当する検出用の櫛歯電極7〜10の出力の差、および、第3、第4検出器に相当する検出用の櫛歯電極21〜24の出力の差に基づいて、角速度の検出を行うようにすれば、不要振動の影響をキャンセルすることができる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態の角速度センサ1は、第1実施形態に対して下部電極3および層間絶縁膜5の構成を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、異なる部分についてのみ説明する。
図3(a)は、角速度センサ1の上面レイアウトを示した図であり、図3(b)は、図3(a)におけるB−B断面図である。なお、図3(a)は断面図ではないが、理解を容易にするために部分的にハッチングを示してある。
図3(a)、(b)に示すように、本実施形態の角速度センサ1では、下部電極3および層間絶縁膜5を摂動錘兼上部電極6が形成されている位置と対応する場所にのみ配置した構成としている。
このように、層間絶縁膜5を摂動錘兼上部電極6が形成されている位置と対応する場所にのみ配置することで、層間絶縁膜5の質量分を摂動錘兼上部電極6の質量に加えた錘として寄与させることができ、より角速度センサ1の感度を高くすることが可能となる。すなわち、第1実施形態のように、層間絶縁膜5が圧電膜4の表面全面に形成されている場合、摂動錘兼上部電極6と共に層間絶縁膜5が上下振動するときに、基本的には層間絶縁膜5の質量分も摂動錘兼上部電極6の質量に加えられて錘が構成されることになるが、層間絶縁膜5に引っ張り応力が発生するため、実質的に層間絶縁膜5の質量分は錘として寄与しない。これに対して、本実施形態のように層間絶縁膜5を摂動錘兼上部電極6と対応する位置にのみ配置した構成とすれば、引っ張り応力の影響がほぼなくなり、層間絶縁膜5の質量を錘として機能させることが可能となる。さらに、圧電膜上に直接検出器が配置されることになるため層間膜による電圧降下がなく高感度に検出が可能となる。
また、本実施形態の角速度センサ1のように、下部電極3を摂動錘兼上部電極6が形成されている位置と対応する場所にのみ配置するようにすれば、検出用の櫛歯電極7〜10の下方に下部電極3が存在していない状態、つまり櫛歯電極7〜10から下部電極3に至る経路中に基板2が存在する構造になるため、電気的なパスがなくなり、直達波を抑制することが可能となる。
なお、このような構造の角速度センサ1は、基板2を用意したのち、基板2のうち下部電極3と対応する場所をエッチングなどにより除去すると共に、その除去した場所に選択的に下部電極3を形成し、その後、第1実施形態と同様の工程を行って層間絶縁膜5を形成してから、層間絶縁膜5をフォトエッチングなどによりパターニングすることで製造される。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態の角速度センサ1は、第1実施形態に対して基板2の構成を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、異なる部分についてのみ説明する。
図4(a)は、角速度センサ1の上面レイアウトを示した図であり、図4(b)は、図4(a)におけるC−C断面図である。なお、図4(a)は断面図ではないが、理解を容易にするために部分的にハッチングを示してある。
図4(a)、(b)に示すように、本実施形態の角速度センサ1では、摂動錘兼上部電極6が形成されている位置と対応する場所において、基板2を抉り取って穴部2aを形成した構成としている。この穴部2aのうちx軸方向(つまり検出用の櫛歯電極7〜10が並べられる方向)の幅は摂動錘兼上部電極6よりも狭く、穴部2aにおける両端が摂動錘兼上部電極6の両端よりも内側に位置する構成とされ、穴部2aのうちy軸方向の幅は摂動錘兼上部電極6よりも広く、穴部2aにおける両端が摂動錘兼上部電極6の両端よりも外側に位置する構成とされている。
このように、穴部2aを設けることにより、摂動錘兼上部電極6をより大きく上下方向に振動させることが可能となり、より角速度センサ1の感度を高くすることが可能となる。 ただし、穴部2aを大きくし過ぎるとベンディングによる不要振動が発生する可能性がある。これに対して、上述したように、穴部2aのうちx軸方向の幅を摂動錘兼上部電極6よりも狭くすることで、そのような不要振動の発生を抑制することができる。
逆に、y軸方向に関しては、櫛歯電極7〜10における櫛歯部7a〜10aと摂動錘兼上部電極6のうち大きく上下振動が行われる領域が対向する長さを長くできるようにすると、櫛歯電極7〜10の出力を大きくすることができ、高感度化が図れる。このため、上述したように、穴部2aのうちy軸方向の幅を摂動錘兼上部電極6よりも広くすることで、高感度化を図ることが可能となる。
なお、このような穴部2aは、基板2の裏面側からエッチングすることによって形成されるため、第1実施形態に対して下部電極3などを形成したあとで穴部2aを形成するという工程を追加するだけで良い。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態の角速度センサは、第2実施形態に示した角速度センサ1に備えられたセンサ部を複数個配置したものである。図5は、本実施形態の角速度センサ1の斜視図である。この図に示すように、複数のセンサ部を1チップ内に配置しても良い。このようにすれば、各センサ部に備えられた櫛歯電極7〜10および21〜24の出力を加算して増幅させることが可能となるため、より角速度センサ1を高感度にすることが可能となる。
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態の角速度センサ1では、第1実施形態に対して摂動錘兼上部電極6の構成を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、ここでは異なる部分についてのみ説明する。
図6(a)は、本実施形態の角速度センサ1の斜視図であり、図6(b)は、図6(a)中の摂動錘兼上部電極6のみの上面レイアウトを表した図である。この図に示すように、本実施形態の角速度センサ1では、摂動錘兼上部電極6が格子状に複数個に分割されている。本実施形態の場合、摂動錘兼上部電極6がx軸方向に3つ並べられていると共に、y軸方向にも3つ並べられ、3×3の合計9個に分割されている。各摂動錘兼上部電極6は例えばボンディングワイヤ等を介して電気的に接続されており、駆動電圧印加ライン11から駆動電圧が均等に印加できるようになっている。このため、各摂動錘兼上部電極6はそれぞれ個別に上下方向に振動させられるようになっている。隣接しあう各摂動錘兼上部電極6の間隔は、各摂動錘兼上部電極6が上下方向に振動したときに同位相となるように、各摂動錘兼上部電極6の振動波の波長λの整数倍(n倍)、好ましくは1倍とされている。
このような構成の場合、各摂動錘兼上部電極6それぞれでコリオリ力に基づいて発生する弾性波が互いに強め合うようにでき、角速度センサ1の感度を高めることが可能となる。なお、本実施形態のように摂動錘兼上部電極6を複数個に分割する場合、個々の摂動錘兼上部電極6の質量が小さくなるため、上下方向の振動が小さくなるが、コリオリ力により発生する弾性波が互いに強め合うことで、感度を低下させないようにできる。また、このように摂動錘兼上部電極6を分割したことにより、一見すると、従来に近い構造になるが、従来のように駆動用の櫛歯電極J2や反射器J3、J4を備える構造にするわけではないし、コリオリ力により発生する弾性波が互いに強め合うという現象を用いるものであるため、摂動錘兼上部電極6を形成するために必要となる面積も第1実施形態と変わらず、従来と比べれば小さくすることができる。このため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(他の実施形態)
上記第1実施形態では、摂動錘兼上部電極6を長方形状に形成したが、これは単なる一例であり、必ずしも長方形にする必要はない。同様に、第2実施形態に関しても、摂動錘兼上部電極6が正方形でなくても良い。つまり、摂動錘兼上部電極6を上下方向に振動させられ、かつ、摂動錘兼上部電極6でコリオリ力に基づいて発生する弾性波が検出用の櫛歯電極7〜10に伝達できるような形状であれば、どのような形状であっても構わない。
また、上記各実施形態では、検出器を櫛歯電極7〜10にて構成したが、検出器として機能するものであればどのようなものであっても構わない。また、検出器の配置場所も上記各実施形態に示すように層間絶縁膜5の表面や圧電膜4の表面に形成するものに限らず、他の場所に形成されていても良い。例えば、第3実施形態に示したように、下部電極3を摂動錘兼上部電極6が配置された場所と対応する位置にのみ形成する場合には、下部電極3から離れた位置において、基板2の上に形成するようにすることもできる。
また、上記実施形態では、下層から順に基板2/下部電極3/圧電膜4/層間絶縁膜5/摂動錘兼上部電極6という構造を採用しているが、圧電膜4を基板として用いると共に下部電極3を圧電膜4の裏面に形成し、圧電膜4の表面に必要に応じて層間絶縁膜5を形成したのち、摂動錘兼上部電極6を形成するような構造としても構わない。すなわち、上記各実施形態では、圧電膜4を薄膜とし、この圧電膜4の表面を第1面、裏面を第2面として、第1面側に摂動錘兼上部電極6、第2面側に下部電極3を形成する構成とし、さらに下部電極3を介して第2面側に支持基板となる基板2を配置した構造としているが、圧電膜4を薄膜としなければ必ずしも基板2が必要になるわけではない。
このような構造であっても、摂動錘兼上部電極6に駆動電圧を直接印加することで上下方向に振動させるという本発明の特徴を実現できるため、少なくとも角速度センサ1の小型化や高感度化を図ることが可能である。
さらに、上記第2実施形態に示したような2軸の角速度検出が行えるようにする場合において、上記第4実施形態で示したような穴部2aが形成されるようにする場合、穴部2aにおいて、第1、第2検出器に相当する検出用の櫛歯電極7〜10が並べられる軸方向及び第3、第4検出器に相当する検出用の櫛歯電極21〜24が並べられる軸方向の穴部2aの両端部が摂動錘兼上部電極6の両端部よりも内側に配置されるようにすれば、上記のように不要振動の発生を抑制することができる。
本発明の第1実施形態における角速度センサ1を示したものであり、(a)は、角速度センサ1の上面レイアウトを示した図、(b)は、(a)におけるA−A断面図である。 本発明の第2実施形態における角速度センサ1の斜視図である。 本発明の第3実施形態における角速度センサ1を示したものであり、(a)は、角速度センサ1の上面レイアウトを示した図、(b)は、(a)におけるB−B断面図である。 本発明の第4実施形態における角速度センサ1を示したものであり、(a)は、角速度センサ1の上面レイアウトを示した図、(b)は、(a)におけるC−C断面図である。 本発明の第5実施形態における角速度センサ1の斜視図である。 (a)は、本実施形態の角速度センサ1の斜視図であり、(b)は、(a)中の摂動錘兼上部電極6のみの上面レイアウトを表した図である。 従来の角速度センサのレイアウト図である。 角速度センサの駆動用の櫛歯電極による定在波の振動分布と摂動マスとの関係とその角速度センサに発生するコリオリ力の説明図である。
符号の説明
1…角速度センサ、2…基板、2a…穴部、3…下部電極、4…圧電膜、
5…層間絶縁膜、6…摂動錘兼上部電極、7〜10…櫛歯電極、
7a〜10a…櫛歯部、7b〜10b…連結部、11…駆動電圧印加ライン、
12…駆動電源、13…ライン、21〜24…櫛歯電極。

Claims (10)

  1. 表面となる第1面と裏面となる第2面を有した圧電体(4)と、
    前記圧電体(4)の前記第1面側に形成された摂動錘兼上部電極(6)と、
    前記圧電体(4)の前記第2面のうち、少なくとも前記摂動錘兼上部電極(6)と対向する位置に形成された下部電極(3)と、
    前記摂動錘兼上部電極(6)から離間して配置され、前記摂動錘兼上部電極(6)に対して加えられた角速度に応じた物理量を検出する検出器(7〜10、21〜24)と、を有したセンサ部を備え、
    前記摂動錘兼上部電極(6)は格子状に複数個配置されており、該摂動錘兼上部電極(6)はそれぞれ電気的に接続されており、該摂動錘兼上部電極(6)の配置される間隔は検出する前記弾性波の波長の整数倍であり、前記第1面と平行な方向において、前記摂動錘兼上部電極(6)と前記検出器(7〜10、21〜24)が並べられた方向をx軸、該x軸と直交する方向をy軸として、前記圧電体(4)の前記第1面に対して垂直方向に振動する前記摂動錘兼上部電極(6)に対し、外部からy軸周りの回転方向運動が作用することにより、前記摂動錘兼上部電極(6)にコリオリ力が生じ、該コリオリ力によって前記x軸の方向に弾性波を励振させ、前記検出器(7〜10、21〜24)で検出することにより、角速度を検出することを特徴とする弾性表面波角速度センサ。
  2. 前記検出器(7〜10、21〜24)は、第1検出器(7、8)および第2検出器(9、10)を含んでおり、該第1、第2検出器(7〜10)が前記摂動錘兼上部電極(6)を挟んだ両側に1つずつ配置され、これら第1、第2検出器(7〜10)および前記摂動錘兼上部電極(6)が同軸上に配置されており、前記第1、第2検出器(7〜10)の出力の差に基づいて、前記角速度の検出を行うことを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波角速度センサ。
  3. 前記検出器(7〜10、21〜24)は、前記第1、第2検出器(7〜10)に加えてさらに第3検出器(21、22)および第4検出器(23、24)を含んでおり、該第3、第4検出器(21〜24)も前記摂動錘兼上部電極(6)を挟んだ両側に1つずつ配置され、これら第3、第4検出器(21〜24)および前記摂動錘兼上部電極(6)が同軸上に配置されており、この軸が第1、第2検出器(7〜10)および前記摂動錘兼上部電極(6)の配置された軸と垂直をなしており、前記第1、第2検出器(7〜10)の出力の差、前記第3、第4検出器(21〜24)の出力の差に基づいて、前記角速度の検出を行うことを特徴とする請求項に記載の弾性表面波角速度センサ。
  4. 前記圧電体(4)は薄膜であり、該圧電膜(4)の裏面側には、前記下部電極(3)を介して支持基板(2)が配置されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の弾性表面波角速度センサ。
  5. 前記支持基板(2)は、絶縁基板もしくは高抵抗の半導体材料よりなる基板にて構成されていることを特徴とする請求項に記載の弾性表面波角速度センサ。
  6. 前記圧電体(4)における前記第1面の表面には層間絶縁膜(5)が形成されており、該層間絶縁膜(5)を介して前記摂動錘兼上部電極(6)が形成されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の弾性表面波角速度センサ。
  7. 前記層間絶縁膜(5)は、前記圧電膜(4)における前記第1面のうち、前記摂動錘兼上部電極(6)と対応する位置にのみ形成されていることを特徴とする請求項に記載の弾性表面波角速度センサ。
  8. 前記圧電体(4)は、AlN、ZnO、PZT、PT、LiNbO3、LTのいずれか1つにより構成されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の弾性表面波角速度センサ。
  9. 前記摂動錘兼上部電極(6)もしくは前記下部電極(3)の電極材料として、Al、Al−Si、Al−Si−Cu、もしくは不純物をドーピングしたPoly−Siのいずれか1つが用いられていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の弾性表面波角速度センサ。
  10. 前記摂動錘兼上部電極(6)もしくは前記下部電極(3)の電極材料として、Au、Pt、W、Ruのいずれか1つが用いられていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の弾性表面波角速度センサ。
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