JP4928360B2 - 柱状構造物補強用袋体、および柱状構造物の補強方法 - Google Patents

柱状構造物補強用袋体、および柱状構造物の補強方法 Download PDF

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Description

本発明は、橋脚、構築物の柱、煙突などの柱状構造物を耐震補強するための柱状構造物補強用袋体、およびこの柱状構造物補強用袋体を用いた柱状構造物の補強方法に関する。
既設橋脚などのコンクリート構造物の耐震補強方法としては、例えば下記に示す特許文献に記載されているような、コンクリート構造物の外周に対して、補強コンクリート層を形成する方法、鋼板を巻き付ける方法、或いは繊維シートや網状補強材を巻き付ける方法などが提案されている。
従来、コンクリート構造物の外周に補強コンクリート層を形成する耐震補強方法が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1、2に記載の耐震補強方法は、いずれも補強しようとする既存のコンクリート構造物の外周に補強コンクリート層成形型枠を組み、その型枠と既存コンクリート構造物との間にコンクリートを打設する補強方法であり、型枠内には補強コンクリート層内に埋設する鉄筋などの補強鋼材を設置し、その補強鋼材を既存コンクリート構造物の補強鋼材と一体化させている。この補強鋼材の一体化は、通常、既存コンクリート構造物の表面をはつって内部の補強鋼材を露出させ、露出させた補強鋼材に補強コンクリート層内に埋設する補強鋼材を溶接することによって成されている。
また、コンクリート構造物の外周に鋼板を巻き付ける耐震補強方法が知られている(例えば、特許文献3、4参照)。特許文献3に記載の耐震補強方法は、一断面に集中して配置された既存コンクリート構造物内部の鉄筋の重ね継手部が位置する部分の既存コンクリート構造物の外周を鋼板で包囲する補強方法である。また、特許文献4に記載の耐震補強方法は、既存コンクリート構造物の表面を、その形状に合わせた鋼板製の外殻で覆い、その外殻と既存コンクリート構造物との隙間にモルタルや樹脂を充填して外殻と既存コンクリート構造物とを一体化する補強方法である。
また、コンクリート構造物の外周に繊維シートを巻き付ける耐震補強方法が知られている(例えば、特許文献5参照)。特許文献5に記載の耐震補強方法は、炭素繊維束を縦横に編成してなるメッシュ状の繊維シートを既存コンクリート構造物の外周に巻き付け、その繊維シートをエポキシ樹脂などの合成樹脂を用いて既存コンクリート構造物に貼り付けて繊維シートと既存コンクリート構造物とを一体化する補強方法である。
また、コンクリート構造物の外周に網状補強材を巻き付ける耐震補強方法が知られている(例えば、特許文献6参照)。特許文献6に記載の耐震補強方法は、多数の線状材を交差させて網状に編成した網状補強材を、線状材の一部又は全部が既存コンクリート構造物の軸方向と交差する角度として既存コンクリート構造物の外周に巻き付け、その網状補強材の上下の両端を互いに引張することによって網状補強材と既存コンクリート構造物とを一体化しようとする補強方法である。
特開平9−67942号公報 特開2002−332750号公報 特開2003−155777号公報 特開2005−54500号公報 特開平9−158495号公報 特開2006−328852号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載されたコンクリート構造物の外周に補強コンクリート層を形成する補強方法は、既存コンクリート構造物の外周面に補強のためのコンクリートを一体化させるため、既存コンクリート構造物の表面をはつって目粗しする必要がある。そのため、施工に際して既存構造物の周囲をドライ空間とする必要がある。したがって、水中にある橋脚などの構造物の補強作業に際しては、その周囲をドライアップするために水密性矢板などによる止水壁の構築が必要となり、コスト高となると共に工期も長くなるという問題がある。
また、特許文献3、4に記載されたコンクリート構造物の外周に鋼板を巻き付ける補強方法においても同様、既存コンクリート構造物の外周面と鋼板とを一体化させるために既存構造物と鋼板との隙間にモルタルや樹脂を充填する場合には、型枠形成等のために既存構造物の周囲をドライアップする必要がある。さらに、特許文献5に記載されたコンクリート構造物の外周に繊維シートを巻き付ける補強方法においても同様、既存コンクリート構造物の外周面と繊維シートとを一体化させるためには、繊維シートをエポキシ樹脂などの合成樹脂を用いて既存構造物に貼り付ける必要があり、既存構造物の周囲をドライアップする必要がある。
一方、特許文献6に記載されたコンクリート構造物の外周に網状補強材を巻き付ける補強方法は、その網状補強材の上下の両端を互いに引張することによって網状補強材と既存構造物とを一体化させることができ、水中であっても網状補強材を既存構造物の外周面に密着させることができる、と称している。しかしながら、水中の既存コンクリート構造物には、魚介類の付着や洗掘のため、その表面には凹凸があり、網状補強材を既存コンクリート構造物に完全に密着させるには、既存コンクリート構造物の表面処理が必要となる。そのため、上述した各種補強方法と同様、本補強方法においても既存構造物の周囲をドライアップする必要が生じる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、橋脚などの既存構造物の補強に際し、水中であってもドライ空間を形成することなく施工でき、また、水中、陸上を問わず、既存構造物との一体化を容易に実現できる柱状構造物補強用袋体、およびこの袋体を用いた補強方法を提供することである。
課題を解決するための手段及び効果
本発明に係る柱状構造物補強用袋体は、橋脚、構築物の柱、煙突などの柱状構造物を耐震補強するための柱状構造物補強用袋体に関する。そして、本発明に係る柱状構造物補強用袋体は、上記目的を達成するために以下のようないくつかの特徴を有している。すなわち、本発明の柱状構造物補強用袋体は、以下の特徴を単独で、若しくは、適宜組み合わせて備えている。
上記目的を達成するための本発明に係る柱状構造物補強用袋体における第1の特徴は、柱状構造物の外周に巻き付け、内部に流動体を充填することによって、当該柱状構造物を補強する柱状構造物補強用袋体であって、帯状又は線状の補強材と、前記補強材を挿通するための挿通部を外周部において長手方向に沿って有する円周方向に継ぎ目のない長尺の筒状織物と、を備えていることである。
この構成によると、柱状構造物の外周に巻き付けられ、内部に流動体が充填された柱状構造物補強用袋体の筒状織物は、その内部に流動体が充填されることにより緊張させられた補強材によって柱状構造物の径方向外側への膨張が拘束され、反力により柱状構造物の表面に押し付けられる。これにより、柱状構造物は補強される。すなわち、筒状織物の内部に流動体を充填するだけで補強材を緊張させることができ、補強材を緊張させることで柱状構造物を強固に補強することができる。また、筒状織物の表面形状は、柱状構造物の表面の凹凸に追従しやすいので、筒状織物は、柱状構造物の表面に密着し、その結果、内部に流動体が充填された柱状構造物補強用袋体と柱状構造物とは一体化する。したがって、補強対象である柱状構造物の表面処理は特に不要であり、かつ、筒状織物自体が流動体の型枠となるので、施工場所が水中であってもドライ空間を形成することなく施工できる。また、補強対象である柱状構造物の表面処理が不要となるので、水中、陸上を問わず、既存構造物との一体化を容易に実現できる。
また、本発明に係る柱状構造物補強用袋体における第2の特徴は、前記補強材の伸び率は、前記筒状織物の伸び率よりも小さいことである。この構成によると、筒状織物へ流動体を充填していく際に、筒状織物よりも補強材のほうが伸びにくいため、より確実に補強材を緊張させることができる。その結果、筒状織物の膨張に基づく緊張した補強材からの反力をより確実に筒状織物に作用させることができ、その結果、筒状織物をより大きな力で柱状構造物の表面に押し付けることができる。
また、本発明に係る柱状構造物補強用袋体における第3の特徴は、前記挿通部の幅は、前記補強材の幅よりもわずかに大きいことである。この構成によると、挿通部の幅が、補強材の幅とほぼ同じなので、補強材の筒状織物への引き込み時や、補強材が挿通された筒状織物の取り扱い時に、補強材が挿通部内の所定の位置からずれて蛇行することが防止される。
また、本発明に係る柱状構造物補強用袋体における第4の特徴は、前記筒状織物の内部に、屈曲可能な長尺の離間材が配置されていることである。この構成によると、筒状織物を補強対象である柱状構造物に巻き付けた際、流動体が充填される筒状織物内の内部空間を確保しやすい。
また、本発明に係る柱状構造物の補強方法は、前記柱状構造物補強用袋体を用いた柱状構造物の補強方法に関する。そして、本発明に係る柱状構造物の補強方法は、上記目的を達成するために以下のようないくつかの特徴を有している。すなわち、本発明の柱状構造物の補強方法は、以下の特徴を単独で、若しくは、適宜組み合わせて備えている。
上記目的を達成するための本発明に係る柱状構造物の補強方法における第1の特徴は、前記第1〜第4の特徴のうちの少なくとも第1の特徴を有する柱状構造物補強用袋体を用いた柱状構造物の補強方法であって、前記柱状構造物補強用袋体を前記柱状構造物の外周に巻き付ける袋体設置工程と、前記巻き付けた前記柱状構造物補強用袋体の前記筒状織物の内部に前記流動体を充填する流動体充填工程と、を備えていることである。
この構成によると、柱状構造物の外周に巻き付けられ、内部に流動体が充填された柱状構造物補強用袋体の筒状織物は、その内部に流動体が充填されることにより緊張させられた補強材によって柱状構造物の径方向外側への膨張が拘束され、反力により柱状構造物の表面に押し付けられる。これにより、柱状構造物は補強される。すなわち、筒状織物の内部に流動体を充填するだけで補強材を緊張させることができ、補強材を緊張させることで柱状構造物を強固に補強することができる。また、筒状織物の表面形状は、柱状構造物の表面の凹凸に追従しやすいので、筒状織物は、柱状構造物の表面に密着し、その結果、内部に流動体が充填された柱状構造物補強用袋体と柱状構造物とは一体化する。したがって、補強対象である柱状構造物の表面処理は特に不要であり、かつ、筒状織物自体が流動体の型枠となるので、施工場所が水中であってもドライ空間を形成することなく施工できる。また、補強対象である柱状構造物の表面処理が不要となるので、水中、陸上を問わず、既存構造物との一体化を容易に実現できる。
また、本発明に係る柱状構造物の補強方法における第2の特徴は、前記袋体設置工程は、前記柱状構造物補強用袋体を前記柱状構造物の外周に螺旋状に巻き付ける工程であることである。この構成によると、補強対象である柱状構造物の上部または下部から長尺の柱状構造物補強用袋体を迅速に巻き付けることができる。また、柱状構造物補強用袋体は1本で済む。
また、本発明に係る柱状構造物の補強方法における第3の特徴は、前記袋体設置工程は、前記柱状構造物補強用袋体を前記柱状構造物の外周に隙間なく巻き付ける工程であることである。この構成によると、柱状構造物の外周面全体を柱状構造物補強用袋体で覆うことができ、柱状構造物の強度をより高めることができる。
また、本発明に係る柱状構造物の補強方法における第4の特徴は、前記袋体設置工程は、前記柱状構造物補強用袋体を、前記柱状構造物の長手方向に所定の間隔を設けて、当該柱状構造物の外周に複数巻き付けることである。この構成によると、柱状構造物の必要補強強度を適宜決定して、柱状構造物全体を均一に補強することができる。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明に係る柱状構造物補強用袋体、およびこの柱状構造物補強用袋体を用いた柱状構造物の補強方法は、水中、陸上を問わず、橋脚、構築物の柱、煙突などの既存の柱状構造物を耐震補強するために広く利用できるものであり、また、コンクリート製、鋼管製、鋼板製など様々な材料の柱状構造物を補強できる技術である。以下の説明においては、まず、柱状構造物補強用袋体の実施形態について説明し、その後、この柱状構造物補強用袋体を用いた補強方法について説明する。
<柱状構造物補強用袋体>
図1は、本発明に係る柱状構造物補強用袋体の一実施形態を示す図である。図1(a)は、本実施形態の柱状構造物補強用袋体1を広げた状態の側面図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A断面図である。
図1に示すように、本実施形態の柱状構造物補強用袋体1は、帯状の高張力ベルト5(補強材)と、高張力ベルト5を挿通するための挿通部Iを長手方向に沿って外周部に有する長尺の筒状織物2とを備えている。筒状織物2は、外径φ70のポリエステル製筒状織物であり、外袋3と内袋4とからなる。外袋3および内袋4は、いずれも円周方向に継ぎ目のない筒状織物であり、経糸1000d/2本、16本/cm、緯糸1000d/4本、5本/cmで織製されたものである。外袋3および内袋4の両端部は、相互に重ねて縫い合わせることにより閉止されている。図1(a)に示すように、外袋3と内袋4との間に形成される隙間空間が、高張力ベルト5を挿通するための挿通部Iである。また、筒状織物2には、内部にモルタルなどの流動体を充填するための注入口が、少なくとも1つ取り付けられている(不図示)。尚、外袋3は、外周面の損傷防止と、充填される流動体の注入圧力に耐えるだけの強度が必要なため、上記条件で織製される必要があるが、内袋4は、挿通部Iを形成することと、流動体によって高張力ベルト5を外袋3に押し付けることが目的のため、特に強度は必要とされず、製造コスト、軽量化の観点から流動体が通過しない程度の薄い織物であってもよい。また、筒状織物2の両端部の閉止は、その両端部を鋼板などで挟みこみ、ボルト・ナットで締め付けることにより行うこともできる。
高張力ベルト5は、ダイニーマ(材料:超高分子量ポリエチレン繊維、東洋紡績株式会社製)で製作された幅50mm、厚み1mmの長尺の補強材である。高張力ベルト5の両端部を補強対象の柱状構造物などに固定する必要があるため、高張力ベルト5の全長は、筒状織物2の全長よりも長い。また、この高張力ベルト5の伸び率は、筒状織物2の伸び率よりも小さい。高張力ベルト5(補強材)の材料は、上記のような合成繊維の他に炭素繊維を用いてもよい。
次に、柱状構造物補強用袋体1の変形例について説明する。図2は、図1に示す柱状構造物補強用袋体1の変形例を示す、図1(b)に相当する柱状構造物補強用袋体11および21の断面図である。
図2(a)に示す本変形例の柱状構造物補強用袋体11は、帯状の高張力ベルト15と、高張力ベルト15を挿通するための挿通部Iを長手方向に沿って外周部に有する長尺の筒状織物12とから構成される。筒状織物12は、外径φ70のポリエステル製筒状織物であり、外袋13と内側布14とからなる。外袋13は、円周方向に継ぎ目のない筒状織物であり、経糸1000d/2本、10本/cm、緯糸1000d/4本、2.5本/cmで織製されたものである。内側布14は、経糸1000d/2本、24本/cm、緯糸1000d/4本、2.5本/cmで、外袋13の内側に外袋13と一体的に織製されたものである。挿通部Iは、外袋13と内側布14との間に形成される空間であり、外袋13の外周方向全体にわたってではなく、外袋13の外周方向の一部に形成されている。また、挿通部Iの幅L1は、高張力ベルト15の幅L2よりもわずかに大きくなるよう形成され、その幅L1は約40mmである。挿通部Iの幅L1が、高張力ベルト15の幅L2とほぼ同じなので、高張力ベルト15の筒状織物12への引き込み時や、高張力ベルト15が挿通された筒状織物12の取り扱い時に、高張力ベルト15が挿通部I内の所定の位置からずれて蛇行することはほぼない。尚、高張力ベルト15は、ダイニーマ(材料:超高分子量ポリエチレン繊維、東洋紡績株式会社製)で製作された幅35mm、厚み1mmの長尺の補強材である。
図2(b)に示す本変形例の柱状構造物補強用袋体21は、帯状の複数の高張力ベルト25と、高張力ベルト25を挿通するための複数の挿通部Iを長手方向に沿って外周部に有する長尺の筒状織物22とから構成される。尚、この複数の挿通部Iは、筒状織物22の円周方向に相互に隣接して形成されているが、必ずしも隣接して形成される必要はなく、所定の間隔があけられて形成されてもよい。筒状織物22は、外径φ70のポリエステル製筒状織物であり、一重の布部23と、複数の挿通部Iを形成する外側布26および内側布24とからなる。一重の布部23は、経糸1000d/2本、10本/cm、緯糸1000d/4本、5本/cmで織製されたものである。外側布26および内側布24は、経糸1000d/2本、24本/cm、緯糸1000d/4本、2.5本/cmで、布部23に連続して二重織りにより織製されたものである。そのため、筒状織物22の円周方向には継ぎ目がない。高張力ベルト25は、ダイニーマ(材料:超高分子量ポリエチレン繊維、東洋紡績株式会社製)で製作された補強材であり、その幅は、図2(a)に示す高張力ベルト15の幅よりも狭い。複数の高張力ベルト25を用いることで、製作不良などで仮に1本のベルトが破断しても、他のベルトを用いることができるというメリットがある。本変形例においては、帯状の高張力ベルト15の代わりに線状の鋼製ワイヤーを補強材として用いてもよい。
尚、筒状織物に挿通する補強材としては、これら以外にアラミドベルト、ビニロンベルトなどの伸び率が低く、高強度の材料が挙げられ、筒状織物の材料としては、ナイロン、ポリエステルなどの伸び率がやや大きい材料が好ましい。詳しくは後述するが、補強材の伸び率を、筒状織物の伸び率よりも小さくすることで、モルタルなどの流動体を筒状織物に充填していく際に、筒状織物よりも補強材のほうが伸びにくいため、より確実に補強材を緊張させることができる。その結果、筒状織物の膨張に基づく緊張した補強材からの反力をより確実に筒状織物に作用させることができ、その結果、筒状織物をより大きな力で柱状構造物の表面に押し付けることができる。
<柱状構造物の補強方法>
次に、図1に示す柱状構造物補強用袋体1を用いた柱状構造物の補強方法について説明する。図3は、柱状構造物補強用袋体1を用いて橋脚100(柱状構造物)を補強した一実施形態を示す図である。図3(a)は、補強された橋脚100の側面図であり、図3(b)は、図3(a)のB部の拡大断面を示す図である。尚、本説明においては、水中に鉛直方向に設置された橋脚100を耐震補強する例について説明する。また、橋脚100の水平断面形状は円形であるが、補強対象の柱状構造物の水平断面形状はは、四角形、五角形、六角形などの多角形であってもよく、さまざまな形状の柱状構造物を対称とすることができる。
まず、柱状構造物補強用袋体1を橋脚100の外周に螺旋状に巻き付ける工程が行われる(袋体設置工程)。袋体設置工程においては、リール(不図示)などに巻き取って施工現場に搬入した柱状構造物補強用袋体1をリールから引き出し、柱状構造物補強用袋体1の高張力ベルト5の一端を橋脚100にアンカーなどで固定する。そして、柱状構造物補強用袋体1を橋脚100の外周に螺旋状に巻き付けていく。橋脚100への巻き付けが終了すれば、高張力ベルト5の他端を橋脚100にアンカーなどで固定する。この際、図3(b)に示すように、高張力ベルト5が外側に配置されるように、柱状構造物補強用袋体1を橋脚100の外周に巻き付ける。
次に、橋脚100の外周に巻き付けた柱状構造物補強用袋体1の筒状織物2の内部にモルタル6を充填する工程が行われる(流動体充填工程)。流動体充填工程においては、筒状織物2に少なくとも1つ設けられた注入口(不図示)からモルタル6を圧入していく。筒状織物2の内部に充填する流動体としては、透水性のある筒状織物2に充填しても閉塞せず長距離圧送が可能な、水中不分離剤入りのモルタルやセメントミルクが好ましい。例えば、セメント100重量部に対して、砂100重量部、水60重量部、水中不分離剤0.5重量部、流動化剤5重量部を加えたモルタルや、セメント100重量部に対して、水60重量部、水中不分離剤0.5重量部、流動化剤5重量部を加えたセメントミルクが適している。水中不分離剤としては、例えば太平洋マテリアル株式会社製のエルコン、流動化剤としては、例えば株式会社フローリック製のフローリックNSWがある。また、橋脚100の仮設補強の場合には、袋体(筒状織物2)の内面を水密加工して流動体として水を用いてもよい。
橋脚100の外周に巻き付けられ、内部にモルタル6が充填された柱状構造物補強用袋体1の筒状織物2は、モルタル充填により緊張させられた高張力ベルト5によって橋脚100の径方向外側への膨張が拘束され、反力により橋脚100の表面に押し付けられる。これにより、橋脚100は補強される。すなわち、筒状織物2の内部にモルタル6を充填するだけで高張力ベルト5を緊張させ橋脚100を強固に補強することができる。また、筒状織物2の表面形状は、橋脚100の表面の凹凸に追従しやすいので、筒状織物2は、橋脚100の表面に密着し、その結果、モルタル6が硬化することにより内部にモルタル6が充填された柱状構造物補強用袋体1と橋脚100とは一体化する。したがって、補強対象である柱状構造物の表面処理は特に不要であり、かつ、筒状織物2自体が充填されるモルタル6の型枠となるので、施工場所が水中であってもドライ空間を形成することなく施工できる。尚、補強対象は、水中に設置された柱状構造物に限られることはない。柱状構造物の表面に凹凸があっても、その柱状構造物の表面処理が不要となるので、水中、陸上を問わず、補強用袋体と既存構造物との一体化を容易に実現できる。
また、補強対象である橋脚100の外周に柱状構造物補強用袋体1を螺旋状に巻き付けるので、長尺の柱状構造物補強用袋体1を迅速に橋脚100に巻き付けることができ、柱状構造物補強用袋体1は1本で済む。また、柱状構造物補強用袋体1を構成する筒状織物2や高張力ベルト5は屈曲性に富む材料からなるので、構造物の形状に対して融通性があり、さまざまな形状の構造物に適用できる。そして、柱状構造物補強用袋体1は、鋼板に比べて軽量であり、リールなどに巻き取って取り扱われるので運搬や保管に適している。さらに、筒状織物2内部にモルタル6などの流動体を充填することにより、高張力ベルト5に容易にテンションをかけることができるので、特別な緊張用機械、工具を必要とすることなく施工が迅速、容易である。
また、モルタル6が充填され膨張した筒状織物2は、高張力ベルト5からの反力により橋脚100に押し付けられ、そしてモルタル6が硬化すると橋脚100にはプレストレスが作用した状態となる。そのため、橋脚100の内部または表面にクラックが発生していたとしても、橋脚100へのプレストレスの付与により、クラックの拡大を抑制することができる。また、高張力ベルト5は、その長手方向に自在に動くことができるので、筒状織物2に織りムラがあったとしても、また橋脚100への巻き付け時に発生する巻き付け力が不均一であったとしても、高張力ベルト5全長にわたってテンションは均一となり易い。また、高張力ベルト5を独立した部材としているため、必要に応じて適宜、材料、形状を選択できる。
次に、図4は、図1に示す柱状構造物補強用袋体1を用いて水中に鉛直方向に設置された橋脚100を補強した他の実施形態を示す図である。図4に示すように、本実施形態の袋体設置工程においては、柱状構造物補強用袋体1を、橋脚100の長手方向に所定の間隔を設けて、その外周に複数巻き付けている。これにより、橋脚100の必要補強強度を適宜決定して、橋脚100全体を均一に補強することができる。尚、複数の柱状構造物補強用袋体1を橋脚100の外周に隙間なく巻き付けてもよい(橋脚100の外周に柱状構造物補強用袋体1を螺旋状に巻き付けている図3に示した実施形態においても同様)。
図5は、図3に示す実施形態の変形例を示す図である。図5に示すように、柱状構造物補強用袋体1を用いたプレストレス付与効果が少なくても良い場合は、高張力ベルト5のみを橋脚100の外周に巻き付けた部分があってもよい。
次に、図6は、水平断面の形状が矩形の橋脚101を本発明の一実施形態に係る柱状構造物補強用袋体31で補強する場合の例を示す図である。図6(a)は、柱状構造物補強用袋体31を橋脚101に巻き付け、流動体を充填していない状態の橋脚101の水平断面図であり、図6(b)は、図6(a)のC−C拡大断面図である。
図6(a)に示すように、角部が鋭角な橋脚101のような柱状構造物の外周に補強用袋体を巻き付けた場合、角部でキンクが生じる場合がある。キンクが生じると、補強用袋体の流動体の注入経路が閉塞され流動体の充填が阻害される。本実施形態の柱状構造物補強用袋体31は、図6(b)にその断面を示すように、流動体の注入経路を確保することができるメッシュ6(離間材)を、本補強用袋体の長手方向に沿って内部に配置した補強用袋体である。メッシュ6は、屈曲可能な長尺のネット状部材であって、例えば合成繊維からなる。
図7は、図3に示す柱状構造物補強用袋体1を用いて補強した橋脚100をさらにコンクリート102で被覆した状態を示す図である。図7に示すように、柱状構造物補強用袋体1で補強した橋脚100の外周に、さらにコンクリート102の被覆層を形成することにより、さらに橋脚100の強度を向上させることができる。地上に設置された柱状構造物に好適な耐震補強である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することが可能なものである。例えば、柱状構造物補強用袋体1を橋脚100の外周に2重、3重(多重)に重ねて巻き付けてもよい。
本発明に係る柱状構造物補強用袋体の一実施形態を示す図である。 図1に示す柱状構造物補強用袋体の変形例を示す断面図である。 図1に示す柱状構造物補強用袋体を用いて橋脚を補強した一実施形態を示す図である。 図1に示す柱状構造物補強用袋体を用いて橋脚を補強した他の実施形態を示す図である。 図3に示す実施形態の変形例を示す図である。 水平断面の形状が矩形の橋脚を本発明の一実施形態に係る柱状構造物補強用袋体で補強する場合の例を示す図である。 図3に示す柱状構造物補強用袋体を用いて補強した橋脚をさらにコンクリートで被覆した状態を示す図である。
符号の説明
1:柱状構造物補強用袋体
2:筒状織物
5:高張力ベルト(補強材)
6:モルタル(流動体)
100:橋脚(柱状構造物)

Claims (8)

  1. 柱状構造物の外周に巻き付け、内部に流動体を充填することによって、当該柱状構造物を補強する柱状構造物補強用袋体であって、
    帯状又は線状の補強材と、
    前記補強材を挿通するための挿通部を外周部において長手方向に沿って有する円周方向に継ぎ目のない長尺の筒状織物と、を備えていることを特徴とする、柱状構造物補強用袋体。
  2. 前記補強材の伸び率は、前記筒状織物の伸び率よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の柱状構造物補強用袋体。
  3. 前記挿通部の幅は、前記補強材の幅よりもわずかに大きいことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の柱状構造物補強用袋体。
  4. 前記筒状織物の内部に、屈曲可能な長尺の離間材が配置されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の柱状構造物補強用袋体。
  5. 請求項1〜4の1つに記載の柱状構造物補強用袋体を用いた柱状構造物の補強方法であって、
    前記柱状構造物補強用袋体を前記柱状構造物の外周に巻き付ける袋体設置工程と、
    前記巻き付けた前記柱状構造物補強用袋体の前記筒状織物の内部に前記流動体を充填する流動体充填工程と、を備えていることを特徴とする、柱状構造物の補強方法。
  6. 前記袋体設置工程は、前記柱状構造物補強用袋体を前記柱状構造物の外周に螺旋状に巻き付ける工程であることを特徴とする、請求項5に記載の柱状構造物の補強方法。
  7. 前記袋体設置工程は、前記柱状構造物補強用袋体を前記柱状構造物の外周に隙間なく巻き付ける工程であることを特徴とする、請求項5又は請求項6に記載の柱状構造物の補強方法。
  8. 前記袋体設置工程は、前記柱状構造物補強用袋体を、前記柱状構造物の長手方向に所定の間隔を設けて、当該柱状構造物の外周に複数巻き付けることを特徴とする、請求項5に記載の柱状構造物の補強方法。
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