JP4926442B2 - 排ガス抽気用プローブとそれを備えたセメント焼成設備及びセメント焼成設備における排ガス処理方法 - Google Patents

排ガス抽気用プローブとそれを備えたセメント焼成設備及びセメント焼成設備における排ガス処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、排ガス抽気用プローブとそれを備えたセメント焼成設備及びセメント焼成設備における排ガス処理方法に関し、更に詳しくは、セメント焼成設備のセメントキルンから排出される排ガスの一部を抽気する際に、この抽気した排ガスを、この排ガスに含まれる塩素化合物の融点以下に冷却することにより、この排ガス中に残存する塩素化合物の捕集効率を高め、塩素循環によるセメント焼成設備でのコーチングトラブルを防止する技術に関するものである。
一般に、セメントクリンカを、ロータリーキルンにセメント原料予熱装置のサスペンションプレヒータ(プレヒータと略称)を備えたサスペンションプレヒータ付キルン(SPキルンと略称)またはニューサスペンションプレヒータ付キルン(NSPキルンと略称)にて焼成する場合、セメント原料及び燃料から持ち込まれる塩素、アルカリ、硫黄等の揮発性成分は、ロータリーキルンとプレヒータとの系内で循環することにより順次濃縮される。
これらのSPキルンやNSPキルンでは、揮発性成分の循環が数時間から数十時間で平衡に達し、セメント原料及び燃料により系内に持ち込まれる揮発性成分の量と、セメントクリンカにより系外へ持ち出される揮発性成分の量とが等しくなることが知られている。
この場合、セメント原料及び燃料により系内に持ち込まれる揮発性成分の量が多いと、セメントクリンカ中の揮発性成分の量も多くなる。この揮発性成分は、生産されるセメントの品質に悪影響を及ぼす。
また、ロータリーキルンとプレヒータとの系内における揮発性成分が多くなると、この系内で低融点化合物が形成されてプレヒータの閉塞が頻発するようになり、ロータリーキルンの安定操業が損なわれる原因となる。
このように、セメント原料及び燃料から持ち込まれる揮発性成分は、セメントの品質の低下、生産性の低下等を引き起こすことから、揮発性成分の含有量の少ないセメント原料及び燃料が望ましい。
しかしながら、セメント焼成設備にて産業廃棄物の有効利用を推進していると、どうしても塩素含有量の多い産業廃棄物を利用せざるを得ない状況になってきている。そこで、産業廃棄物から効率的に揮発性成分を除去する必要がある。
特に、ロータリーキルンとプレヒータとの系内においては、揮発性成分を除去する方法として、いわゆるアルカリバイパス法、あるいは塩素バイパス法が用いられている。
最近では、特に、塩素バイパス法が抽気量も少なく、且つ、熱損失も少ないことから主流となっている。
塩素バイパス法としては、例えば、次の(a)〜(d)それぞれの方法(装置)が提案されている。
(a)キルンの窯尻に連なるキルン排ガス用の立ち上がりダクトと、このキルン排ガスの一部を系外に抜くために先端がダクト内に開口するバイパス管(いわゆるキルン排ガス抽気用プローブ)と、このバイパス管の後端に接続されたキルン排ガスのガス抽気排出系とを備えた装置である(特許文献1参照)。
このバイパス管は、ガス抽気排出系に接続されている内管と、ダクト内への突出近傍に大気を導く外管とかなる二重管構造、実質的には、同心の小径の内管と大径の外管からなる二重管構造であり、この内管はキルン排ガス用の立ち上がりダクト内とガス抽気排出系とを接続するガス通路となり、外管は内管先端近傍に大気を導くための大気導入路となっている。ここでは、外管の立ち上がりダクト内への突出長を、内管のダクト内への突出長より長くしている。
(b)二重管構造のプローブをキルン排ガス流路に連通させ、このプローブの内管を介してキルン排ガスの一部を抽気するとともに、このプローブの内管と外管との間の流路に冷却気体を供給するキルン排ガスの塩素バイパスであり、この冷却気体を内管の先端部内方に案内し、このプローブの先端部に混合急冷域を形成している(特許文献2〜4参照)。
この冷却気体の流速は、内管内の抽気ガスの流速より遅く、併せて、この冷却気体のプローブ長手方向の吐出流速は、内管内の抽気ガス流速の1/3〜2/3であり、かつ、この冷却気体は旋回流である。
また、この二重管構造のプローブにおいては、プローブの先端部に混合急冷域を形成するために、冷却気体を先端部内方に導くための案内手段を設けている。
この案内手段は、先端に向かって次第に小径となる外管の先端部と、内管の先端部と外管の先端部との間に設けられプローブ先端保護用空気孔を備えた傾斜板と、内管の先端部に形成されたキルン排ガス冷却空気用孔とにより構成され、外管の先端部には、プローブ先端保護用冷却手段としてリング状の水冷管が設けられた構造である。
(c)キルン排ガスの一部を抽気する抽気管と、このキルン排ガスから揮発性成分を除去する処理装置とを備えたセメントクリンカ焼成装置であり、プレヒータとキルンとを連結するダクトの曲がり部(インレットフッド)の位置に抽気管(いわゆるキルン排ガス抽気用プローブ)が設けられた構成である(特許文献5参照)。
この抽気管は、キルン長手方向側から見てインレットフッドの側面で、かつ、インレットフッドの前面の壁内面から前記抽気管の直径に500mmを加えた長さの幅と、キルン最上部よりキルン径の1/3下方の位置からインレットフッド上端までの高さとで囲まれた範囲の位置に接続されている。この範囲には、抽気管の抽気口面積の8割以上が位置している。また、この位置には、この位置の面積の1/2以上が位置する膨らみ部が形成され、この膨らみ部に前記抽気管が接続されている。
この装置では、プレヒータのインレットフッドから上方に延びているキルン排ガスの立ち上がりダクト(ライジングダクト)の下部がキルン側に張り出した張り出し部のキルン長手方向側から見て側面に、抽気管を接続したものもある。
この接続位置においても、抽気管の抽気口面積の8割以上が位置するように接続され、この接続位置には、この位置の面積の1/2以上が位置する膨らみ部が形成され、この膨らみ部に前記抽気管が接続されている。
また、プレヒータのキルン長手方向側から見て側面で、この側面に接続された抽気管から抽気管径の1/2〜3倍上方のインレットフッド又はライジングダクトの内側に、幅が抽気管径の1.5〜5倍で、出っ張り長さが抽気管径の1/3〜2倍のひさしを設け、ライジングダクト下端からキルン径に相当する高さの位置に前記抽気管を接続したものもある。さらに、この抽気管を、キルン最上部よりキルン径の1/3下方の位置からインレットフッド上端までの高さの範囲に接続したものもある。
(d)抽気管、冷却室、冷却室出口ダクト、チャンバ、チャンバと集塵機を接続するダクト及び集塵機を順に具備し、抽気管の軸方向の長さがその内径の2倍以下であり、前記冷却室には冷却用空気が旋回流を生じるように周方向から吹き込めための吹込口が1個所以上設けられ、この冷却室の出口ダクトは、この冷却室で発生させた旋回流を維持するようにこの冷却室とチャンバに接続され、このチャンバは旋回流を乱して気流を混合し、かつ、重力沈降室として塊状物を分離する構成である(特許文献6参照)。
この装置では、抽気管で抽気したキルン排ガスを冷却室に導き、この冷却室内壁及び抽気管の窯尻側先端部に至るまでの内壁面に沿って冷却用空気の旋回流が生じるように、チャンバ出口における排ガス温度を350℃以下まで冷却するに十分な冷却用空気を冷却室内の外周から吹き込ませ、冷却室に接続した冷却室出口ダクトまで旋回流を維持させることで徐々に排ガスと冷却用空気を混合する。次いで、この混合空気をチャンバに導入し、旋回流を乱すことで排ガスと冷却用空気を混合して350℃以下まで冷却すると共に塊状物を除去し、その後、集塵機に導入して粉状物を除去する。冷却用空気を冷却室に吹き込むための吹き込み口の断面積は可変である。
特開平02−116649号公報 特許第3318714号公報 特開2002−172314号公報 特許第3125248号公報 特許第3503402号公報 特許第3438489号公報
しかしながら、従来の(a)〜(d)の各方法(装置)では、次のような問題点があった。
(a)の二重管構造のバイパス管では、冷却空気を外管と内管との間の空気通路を通ってキルンの窯尻部の立ち上がりダクトに流すことにより、抽気されるキルン排ガスを冷却しているので、冷却空気の吹き抜け量が多くなり、したがって、バイパス管の先端部にて冷却空気とキルン排ガスとが十分に混合されない虞があり、そのため、バイパス管先端部では、抽気ガスを瞬時に冷却することが困難になる虞があるという問題点があった。
そこで、バイパス管の冷却空気量を増加させることで、急冷却できるようにする方法も考えられているが、冷却空気量を増やすと、プレヒータ系へ吹き抜ける空気量も多くなり、したがって、プレヒータの風量増加となり、熱量ロス及び電力ロスとなる。
(b)の二重管構造の抽気管では、外管の先端部を絞ることで冷却空気の吹き抜け防止を図っているが、キルンの運転期間の長期化、例えば、従来3ヶ月〜6ヶ月であった運転期間が、6ヶ月、あるいは1年間と長期化するにしたがって、外管先端の絞り部へのコーチング付着や熱損傷による形状の保持が困難となる虞があり、性能を維持することが難しいという問題点があった。
(c)及び(d)の抽気管では、単管で、軸方向の長さはその内径の2倍以下で、接続する冷却室で旋回流を生じるように周方向から吹き込まれる冷却空気と混合して350℃以下まで抽気ガスを冷却する構造とし、キルン窯尻抽気部と抽気管との間に間隙を設けているが、気管先端部のコーチング付着を防止する手段としては、キルンの窯尻抽気部と抽気管との間隙からの空気流入のみであり、気管先端部のコーチング付着を十分に防止することはできない。
このように、従来の(a)〜(d)では、いわゆる排ガス抽気用プローブの先端部を冷却すること等を良好に行なうことでコーチング付着を防止し、キルンの長期運転に適切な排ガス抽気の継続を図っているが、現状ではプローブの仕様を変えることなく、冷却空気を最適に調整してプローブ先端部まで冷却することは難しい。特に、排ガス抽気量を変化させた場合においては、プローブ先端部まで十分に冷却することは難しい。
例えば、抽気ガス冷却後の温度を一定、例えば350℃とすると、プローブにおける排ガスに対する抽気量を2%から3%に増加させると、プローブ先端部を冷却するための空気量も大凡5割増加することになる。
プローブの構造は、計画された抽気量に対して適正な冷却空気量が供給された場合を想定して設計される。したがって、冷却空気量が増加する場合においても、冷却空気はプローブ先端部の適正な位置までを冷却するのみで、プローブ先端部よりキルン側へ漏れ出すことがないのが望ましい。しかしながら、実際のプローブでは、このプローブの先端部における排ガス抽気量と冷却空気量のバランスが変化することで、プローブの先端部からの冷却空気の漏出量が変化したり、あるいはプローブの先端部まで冷却空気が到達し難くなる等により、十分な冷却効果が得られない虞がある。また、冷却空気の漏出量が大幅に増加した場合、キルン操業に影響を与え、エネルギー損失を招く虞もある。
さらに、プローブのインレットフッド(プレヒータとロータリーキルンとを連通するダクトの曲部)〜ライジングダクト(プレヒータのインレットフッドから上方に延びるキルン排ガスの立ち上がりダスト)部付近の取り付け位置は一般的に垂直壁であるから、プローブは前記垂直壁に水平、あるいは比較的傾斜角度の小さな状態(プローブ先端部を下向きに数十度傾けた状態)で設置されるのが一般的である。したがって、キルン排ガス抽気量を大幅に下げた低抽気運転とした場合、プローブあるいはそれに連結されているダクト内に抽気ガス中のダストが沈降堆積し、付着する虞がある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、セメント焼成設備のセメントキルンから排出される排ガスの一部を抽気する際に、この排ガス中に残存する塩素化合物の捕集効率を高めるとともに、塩素循環によるセメント焼成設備でのコーチングトラブルを防止することができる排ガス抽気用プローブとそれを備えたセメント焼成設備及びセメント焼成設備における排ガス処理方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、セメント焼成設備から排出される排ガスの一部を抽気する排ガス抽気用プローブを、内筒及び外筒からなる二重管構造とし、この内筒を、外筒の軸線に沿って移動自在かつ前記外筒内の任意の位置に固定可能とし、さらに、内筒の内部空間を抽気排ガス流路とするとともに、内筒と外筒との間の空間部を冷却空気流路とすれば、冷却空気の吹き抜け量を減少させることができ、排ガス抽気用プローブの先端部においては、冷却空気と抽気した排ガスとを十分に混合することで抽気した排ガスを急速に冷却することができることを見出し、さらには、排ガス抽気用プローブの先端部のコーチング付着や熱損傷を防止することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の排ガス抽気用プローブは、セメント焼成設備から排出される排ガスの一部を抽気する排ガス抽気用プローブであって、内筒と、先端部側が前記内筒から突出するように同軸的にかつ前記内筒を囲むように設けられた外筒とを備え、前記内筒は、前記外筒内に同軸的に設けられて前記外筒の軸線に沿って移動自在かつ前記外筒内の任意の位置に固定可能とされた第1の筒部と、先端部が前記第1の筒部の先端部より後退する位置に位置するとともに前記第1の筒部の内面に対して摺動自在かつ前記第1の筒部内にて固定可能とされた第2の筒部とを備え、前記内筒の内部空間をその先端部にて抽気する排ガスを流動する抽気排ガス流路とするとともに、前記内筒と前記外筒との間の空間部を、前記外筒の先端部の開口に冷却空気を導入する冷却空気流路とし、前記抽気による排ガス量の変化に対して前記内筒の先端側位置を調整することを特徴とする。
この排ガス抽気用プローブでは、内筒を、外筒内に同軸的に設けられて外筒の軸線に沿って移動自在かつ外筒内の任意の位置に固定可能とされた第1の筒部と、先端部が第1の筒部の先端部より後退する位置に位置するとともに第1の筒部の内面に対して摺動自在かつ第1の筒部内にて固定可能とされた第2の筒部とを備えたものとし、さらに、この内筒の内部空間をその先端部にて抽気する排ガスを流動する抽気排ガス流路とするとともに、内筒と外筒との間の空間部を、外筒の先端部の開口に冷却空気を導入する冷却空気流路とし、前記抽気による排ガス量の変化に対して前記内筒の先端側位置を調整することにより、このプローブの先端部では、抽気される排ガスと冷却空気流路から流出する冷却空気が混合することで、抽気された排ガスを効率良く急冷する。
これにより、排ガスの抽気量を変化させた場合においても、抽気による排ガス量の変化に対して内筒の先端側位置を調整することにより、排ガスを効率良く抽気することが可能になる。また、抽気された排ガスを急冷することで、排ガスに含まれる塩素化合物が微粒化し、この塩素化合物を排ガスから分離することが容易になり、排ガス中の塩素化合物を除去・低減することが容易になる。
また、冷却空気の流量を調整することが可能であるから、冷却空気の吹き抜け量を大幅に削減することが可能になる。
さらに、前記内筒を、前記外筒内に同軸的に設けられて前記外筒の軸線に沿って移動自在かつ前記外筒内の任意の位置に固定可能とされた第1の筒部と、先端部が前記第1の筒部の先端部より後退する位置に位置するとともに前記第1の筒部の内面に対して摺動自在かつ前記第1の筒部内にて固定可能とされた第2の筒部とを備えた構成としたことにより、第2の筒部の位置調整が容易になり、よって、排ガスの抽気量の変化に対応して内筒の位置調整を容易に行うことが可能である。
前記外筒の内径をDとしたとき、前記第1の筒部の先端側の調製範囲を、前記外筒の先端部の最短側の先端を基準として、0.5D〜2.5Dの範囲としたことが好ましい。
このような構成とすることで、排ガスの抽気量を0.25%〜4.0%の範囲で変化させた場合においても、排ガスを効率良く抽気することが可能になる。
前記内筒及び前記外筒の先端部を、これらの軸線に対して傾斜してなることが好ましい。
このような構成とすることで、排ガスの抽気量を大幅に下げた場合においても、内筒の内部に抽気された排ガス中のダストが沈降堆積し、付着する虞がない。
本発明のセメント焼成設備は、ロータリーキルンを備えたセメント焼成設備において、前記ロータリーキルンに、本発明の排ガス抽気用プローブを備えてなることを特徴とする。
このセメント焼成設備では、ロータリーキルンに本発明の排ガス抽気用プローブを備えたことにより、冷却空気の吹き抜け量が減少する。また、抽気された排ガスを急冷することで、排ガスに含まれる塩素化合物を容易に分離することが可能になり、排ガス中の塩素化合物を除去・低減することが容易になり、排ガス抽気用プローブの先端部のコーチング付着や熱損傷も防止される。
前記排ガス抽気用プローブは、前記ロータリーキルンの窯尻部に設けられた予熱用のフッドと排ガスの立ち上がりダクトとの接続部に設けてなることが好ましい。
前記排ガス抽気用プローブの先端部は、水平方向に対して45°以上かつ90°以下の角度で下向きに傾斜または直立してなることが好ましい。
このような構成とすることで、排ガス抽気用プローブを下方に傾斜または直立させることが容易になり、この排ガス抽気用プローブ内に抽気した排ガス中のダストが沈降堆積し付着する虞もなくなる。
本発明のセメント焼成設備における排ガス処理方法は、セメント焼成設備のロータリーキルンから排出される排ガスの一部を本発明の排ガス抽気用プローブを用いて抽気し、この抽気された排ガスに含まれる塩素化合物を除去する排ガス処理方法であって、前記ロータリーキルンから排出される排ガスの一部を前記排ガス抽気用プローブを用いて抽気するとともに、この抽気された排ガスを冷却空気を用いて一次冷却する抽気・冷却工程と、一次冷却された排ガスを塩素化合物の融点以下に冷却する二次冷却工程と、塩素化合物の融点以下に冷却された排ガス中に残存する塩素化合物を含む塵埃を捕集する塵埃捕集工程と、を備えてなることを特徴とする。
この排ガス処理方法では、抽気・冷却工程により、ロータリーキルンから排出される排ガスの一部を排ガス抽気用プローブを用いて抽気するとともに、この抽気された排ガスを冷却空気を用いて一次冷却し、次いで、二次冷却工程により、一次冷却された排ガスを塩素化合物の融点以下に冷却し、次いで、塵埃捕集工程により、塩素化合物の融点以下に冷却された排ガス中に残存する塩素化合物を含む塵埃を捕集することにより、排ガスに含まれる塩素化合物を容易に分離することが可能になり、したがって、排ガス中の塩素化合物を除去・低減することが容易になる。
また、冷却空気の流量を抑制することが可能であるから、冷却空気の吹き抜け量を大幅に削減することが可能になる。
本発明の排ガス抽気用プローブによれば、内筒を、外筒内に同軸的に設けられて外筒の軸線に沿って移動自在かつ外筒内の任意の位置に固定可能とされた第1の筒部と、先端部が第1の筒部の先端部より後退する位置に位置するとともに第1の筒部の内面に対して摺動自在かつ第1の筒部内にて固定可能とされた第2の筒部とを備えたものとし、さらに、この内筒の内部空間をその先端部にて抽気する排ガスを流動する抽気排ガス流路とするとともに、内筒と外筒との間の空間部を、外筒の先端部の開口に冷却空気を導入する冷却空気流路とし、前記抽気による排ガス量の変化に対して前記内筒の先端側位置を調整することとしたので、排ガスの抽気量を変化させた場合においても、排ガスを効率良く抽気することができ、排ガスに含まれる塩素化合物を排ガスから容易に分離することができる。したがって、排ガス中の塩素化合物を容易に除去・低減することができる。
また、冷却空気の流量を容易に調整することができるので、冷却空気の吹き抜け量を大幅に削減することができる。
本発明のセメント焼成設備によれば、ロータリーキルンを備えたセメント焼成設備において、このロータリーキルンに本発明の排ガス抽気用プローブを備えたので、冷却空気の吹き抜け量を減少させることができる。また、抽気された排ガスを急冷することで、排ガスに含まれる塩素化合物を容易に分離することができるので、排ガス中の塩素化合物を容易に除去・低減することができ、排ガス抽気用プローブの先端部のコーチング付着や熱損傷も防止することができる。
本発明のセメント焼成設備における排ガス処理方法によれば、セメント焼成設備のロータリーキルンから排出される排ガスの一部を排ガス抽気用プローブを用いて抽気するとともに、この抽気された排ガスを冷却空気を用いて一次冷却する抽気・冷却工程と、一次冷却された排ガスを塩素化合物の融点以下に冷却する二次冷却工程と、塩素化合物の融点以下に冷却された排ガス中に残存する塩素化合物を含む塵埃を捕集する塵埃捕集工程とを備えたので、排ガスに含まれる塩素化合物を容易に分離することができ、したがって、排ガス中の塩素化合物を容易に除去・低減することができる。
また、冷却空気の流量を抑制することにより、冷却空気の吹き抜け量を大幅に削減することができる。
本発明の排ガス抽気用プローブとそれを備えたセメント焼成設備及びセメント焼成設備における排ガス処理方法の最良の形態について、図面に基づき説明する。
なお、本形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
図1は、本発明の一実施形態のセメント焼成設備の要部を示す模式図であり、ロータリーキルンから排出される排ガスの一部を排ガス抽気用プローブを用いて抽気するとともに、この抽気された排ガスを段階的に冷却して塩素化合物の融点以下に冷却し、排ガス中に残存する塩素化合物を分離する装置の例である。
図において、1はロータリーキルン、2はインレットフッド(予熱用のフッド)、3はライジングダクト(排ガスの立ち上がりダクト)、4はインレットフッド2からライジングダクト3への絞り傾斜部(接続部)、5は絞り傾斜部4の上側壁面に設けられロータリーキルン1から排出される排ガスの一部を抽気するプローブ(排ガス抽気用プローブ)、6は抽気された排ガスを塩素化合物の融点以下に冷却する冷却チャンバ、7は冷却した排ガス中に残存するダスト(塵埃)を捕集するバッグフィルタ等の集塵機、8は捕集されたダストを分級する振動篩等の分級機である。
プローブ5は、図2に示すように、長尺かつ断面円形状の内筒11と、先端部側が内筒11と同軸的かつ内筒11を囲むように設けられ後端部側がL字型に屈曲された断面円形状の外筒12とを備えている。
内筒11は、外筒12内にて軸線Axに沿って移動自在なる長尺かつ断面円形状の(第1の)筒部21と、この筒部21内に同軸的に設けられた長尺かつ断面円形状の(第2の)筒部22とを備えたもので、筒部21の後端部側にはフランジ23が一体に設けられ、筒部22の後端部側にもフランジ24が一体に設けられ、この筒部22は、筒部21の内面21aに対して摺動自在かつ筒部21内の任意の位置にて固定可能とされている。
これら筒部21、22により形成される内部空間は、その先端部にて抽気する排ガスGを流動するための抽気排ガス流路25とされ、また、内筒11と外筒12との間に形成される空間部は、外筒12の先端部の開口12aに冷却空気Cを導入する冷却空気流路26とされている。
このプローブ5の先端部、すなわち外筒12の先端部は、水平方向に対して45°以上かつ90°以下の角度θで下向きに傾斜または直立したものとなっている。
この外筒12の内径をDmmとした時、内筒11の筒部21の先端側の調整範囲Lは、この外筒12の最短側の先端mを基準として、0.5D〜2.5Dの範囲、好ましくは0.7D〜1.5Dの範囲とされている。
また、筒部22は、筒部21に対して軸線Axに沿って相対移動させることにより、その位置を調整することが可能である。したがって、筒部22のフランジ24の部分は、外筒12のL字型の端部から調整範囲Lで調整可能になっている。
このプローブ5では、内筒11及び外筒12からなる二重管構造とすることで、長期安定運転及び維持管理を簡易にしている。この外筒12は、直筒部分に絞りを設けていないので、抽気ガス量の変化に対して筒部21、22により二重管構造とした内筒11の先端側位置を調整することで、運転中でも内筒11の見掛け長さを調整することができ、この調整によりロータリーキルン1への冷却空気の吹き抜けを防止することが可能である。
このプローブ5では、外筒12の内径(D)、内筒11の内径、抽気ガス量から求められる吐出速度、各部位の設定温度については、設計段階からHagen−Poiseuilleの法則を適用し、プローブ5における各位置別の風速分布を求め、適正な風速バランスとなるようにする。
実際には、プローブ5内では完全な層流状態となることはなく、かつ、排ガスも非圧縮性流体ではないが、理論的な解析手法として、Re≦2300の場合に層流として取扱えるものとすれば、Hagen−Poiseuilleの法則が適用できる。
このHagen−Poiseuilleの法則によれば、管の内部での摩擦による圧力損失エネルギーΔPは、層流の場合(Re≦2300の時)
ΔP=((32μlw)/d
が成り立つ。但し、
ΔP:圧力損失(Pa)
μ:粘性係数(Pa・s)
l:管長さ(m)
w:管内流速 (m/s)
d:管の内径 (m)
である。
このプローブ5は、インレットフッド2とライジングダクト3との接続部、すなわちインレットフッド2からライジングダクト3への絞り傾斜部4に、水平方向に対して45°以上かつ90°以下の角度θで下向きに傾斜または直立した状態で設置することにより、低抽気時においても、内部にダストが堆積・付着する虞がなくなる。
次に、このプローブ5を備えたセメント焼成設備における排ガス処理方法について説明する。
このプローブ5を、ロータリーキルン1の回転方向と反対側の奥面、ないしはロータリーキルン1の側面の奥コーナー部の排ガスの流れが弱い澱みを形成している部分に設置することにより、ほとんどセメント原料を含まない排ガスを抽気することができる。
このプローブ5では、ロータリーキルン1から排出される排ガスの一部を抽気する。この抽気された排ガスGは、プローブ5の先端部にて冷却空気Cと混合されて一次冷却され、350℃〜450℃程度の温度の排ガスとなる。
ここでは、外筒12と内筒11の筒部21との間で冷却空気流路26を構成し、後端部よりプローブ冷却ファン(図示略)にて一次冷却用の冷却空気Cを導入することにより、先端部近傍に冷却空気Cが導入されるようになる。
また、内筒11の先端が外筒12の最短側の先端Lよりも後退しているので、このような二重管の長さの相違により、導入される冷却空気Cのプレヒータ側への吹き抜けが効果的に防止される。
なお、抽気量を増減すると、導入される冷却空気Cのプレヒータ側への吹き抜け状態に大きな変動が生じる。そこで、安定的に吹き抜け量が少なくなるようにするため、内筒11の位置を抽気量に併せて適宜調整する。
また、この冷却空気Cの流量は、プローブ冷却ファン(図示略)の回転数を制御することで調整することが可能である。これにより、プローブ5の先端部周辺におけるコーチング付着防止に有効で、かつプレヒータへの冷却空気の吹き抜けを減少させることができる。また、プローブ5の冷却空気Cの流量は、抽気した排ガス中に含まれる塩素成分を急冷してプローブ5内でできるだけ迅速に固体(ダスト)化するのに十分な流量であればよい。
冷却空気流路26を通って先端部に導入された冷却空気Cは、インレットフッド2内の約1100℃前後の高温の排ガスと混合され、内筒11の抽気排ガス流路25を通過した後、冷却チャンバ6、集塵機7の順に通過する。
この際、約1100℃前後の高温の排ガスは、冷却空気Cと混合された際に急速に冷却されて350℃〜450℃程度となる。この間に、排ガス中に含まれる主として金属塩として存在するガス状の塩素分は、凝結して固体(ダスト)化する。
この固体(ダスト)化した塩素分を含む排ガスは、冷却チャンバ6にて均一化されると同時に、外部から導入される二次冷却空気C’によりさらに冷却され、塩素化合物の融点以下に冷却された排ガスとなる。
この際、排ガスGは、分級操作を必要としないため、冷却チャンバ6内での温度制御のみを考慮して操作すればよく、抽気した排ガスGの量の増減による分級操作への影響を勘案する必要はない。
このチャンバ6内での排ガスGの温度制御は、プローブ5と冷却チャンバ6を連通する排ガス搬送用ダクトあるいは冷却チャンバ6に直接、二次冷却空気C’を導入して行ない、集塵機7の仕様にあった適宜の温度、例えば180℃〜250℃に調整する。この様に、塩素化合物の融点以下に冷却された排ガスGは集塵機7に導入される。
集塵機7では、塩素化合物の融点以下に冷却された排ガスG中に残存する塩素化合物を含むダスト(塵埃)Pを捕集することにより、排ガスGからダストPが分離される。捕集されたダストPは、分級機8に送られて所定の粒径のダスト、例えば、粗粒ダストと微粒ダストに分級され、粗粒ダストは原料の一部としてロータリーキルン1に送られ、微粒ダストは脱塩素ダストとして処理される。
このように、排ガスを、冷却空気C及び二次冷却空気C’を用いて2段階にて冷却するので、抽気排ガスの排出系であるプローブ5の内筒11あるいは連結ダクト等の内壁に溶融物が付着するのが軽減・減少され、安定した塩素バイパス装置の長期連続運転が可能となった。
また、プローブ5は、冷却空気の吹き抜けを防止できるような構造であるから、水平から垂直までの何れの角度に取り付けた場合であっても、プレヒータ内部における排ガスの流れに乱れを及ぼすような虞もなく、適宜に取り付けることもできる。
また、プローブ5は、冷却チャンバ6との間に設けられるダクト内に抽気した排ガス中のダストが堆積することのないよう、できるだけ垂直に近い角度にして抽気することが望ましいが、実際には、プローブ5、冷却チャンバ6及び集塵機7等の配置上の制約もあり、プローブ5の先端部を50°〜70°程度の角度で下向きに取り付けることが多い。
ここで、このプローブ5を用いて抽気する排ガスの抽気量を変化させた場合における予想冷風回収率を、Hagen−Poiseuilleの法則を適用して計算した結果を表1〜表3に示す。
表1は、排ガスの抽気量を、ロータリーキルン1から排出される排ガスの全体量の2%とし、この値を基準にプローブ5の寸法を設計し、吐出口からの距離をパラメータとして冷風速度等を計算したものである。
また、表2は、表1のプローブ5を用いて排ガスの抽気量を5割増としたときの計算値であり、表3は、表1のプローブ5を用いて排ガスの抽気量を倍増したときの計算値である。これら表1〜表3の下に記載された矢印及び数値は、各プローブにおける内筒の調整範囲を示す。
Figure 0004926442
Figure 0004926442
Figure 0004926442
表1〜表3によれば、抽気量を5割増とした場合、内筒11の調整の範囲で予測冷風回収率を100%超の状態とすることができるが、抽気量を倍増した場合、内筒11を最大に調整しても80%弱の予想冷風回収率にしかならず、プレヒータ側への冷風吹き抜けが発生する虞がある。したがって、冷風吹き抜けが生じない抽気量は、5.5割増、すなわち抽気量3.1%が上限となる。
以上により、プローブ5の設計時に抽気ガス量4%でも対応できるように配慮すれば、十分4%の抽気を行なっても予測冷風回収率が100%超となるよう調整可能である。
実施例1、2により本発明をより具体的に説明する。
「実施例1」
プローブ5の構造を下記の通りとした。
内筒11の筒部21は、外筒12の内径をDmmとした時、外筒12の最短側の先端Lを基準とした位置で大凡1.1D〜2.5D、実寸法では基準位置より730mm〜1600mmの位置の間で出し入れ調整できる構造とした。
なお、プローブ5の外筒内径、内筒外径、内筒内径、内筒長さ、内筒調整長さ及び外筒長さ等の各寸法は、Hagen−Poiseuilleの法則を用いて適宜に算出し、好適な値を求めて作成した。その際の排ガスの抽気量は、キルン排ガス量の2%を抽気することを基準とした。
また、集塵機7としては、最高使用温度280℃のバッグフィルタを用いた。
このプローブ5を、インレットフッド2からライジングダクト3への絞り傾斜部4の上側壁面、かつ、キルンの回転方向と反対側の奥面コーナー部のキルン排ガス流れが弱い澱みを形成している部位に接続した。この場合の取り付け角度は水平に対して62°であった。
このプローブ5によりロータリーキルン1内の排ガスの一部を抽気し、このプローブ5内で冷却空気Cと混合して急冷し、350℃〜450℃程度の温度の排ガスとし、ダクトを介して冷却チャンバ6に送出した。
この排ガスを、冷却チャンバ6にて混合均一化した。この冷却チャンバ6での排ガスの温度コントロールは、プローブ5と冷却チャンバ6を連通するダクトに二次冷却空気C’を導入して行ない、集塵機7として設けられているバッグフィルタの仕様にあった温度200℃〜250℃に調整した。
その後、集塵機7に導入し、排ガスからダストを分離した。ここでは、分級器での処理を必要としていないため、冷却チャンバ6での温度コントロールのみを考慮すればよく、抽気する排ガス量の増減による分級性能への影響を勘案する必要はなかった。
これにより、冷風回収率はほぼ100%となり、プローブ5内における冷風回収率が向上したことで、従来用いていた排ガス抽気プローブに比べ、熱量損失の小さな装置とすることができた。
また、プローブ5を用いることで、抽気した排ガスからの塩素分の除去・低減を図ることができ、かつ、従来のプローブより熱量損失を小さくすることができた。
表4は、本発明の調整の幅が異なる2種類の二重管式のプローブA、Bを実施例とし、本発明の範囲外にて調整した二重管式のプローブCを比較例とし、従来の塩素バイパス法(b)にて用いられる内筒が単管式かつ長さが固定されたプローブDを従来例としたときの、それぞれの冷風回収率及び熱量損失を示したものである。
表中、「内筒の調整範囲」とは、内筒の外側の筒部を一番先端部側に押し出した位置m、及び内筒の外側の筒部を一番後方側に引き込んだ位置mを外筒最短側の外筒先端位置m(基準位置として0mmとする)からの距離mとし、かつ、外筒の内径をDとした場合の「m/D」で表示される範囲のことである。
「冷風回収率」とは、冷風回収風量を冷風吹込風量で除したもののことで、100%以上の場合、100%と表示している。
「熱量効果」とは、未回収の風量が、冷風温度(20℃)から窯尻排ガス温度(1100℃)まで昇温するのに必要な熱量として算出したものである。
「改善効果」とは、従来例のプローブDを用いた場合の熱量効果を基準として算出・比較したものである。
Figure 0004926442
表4によれば、本発明のプローブA、Bは、プローブ内における冷風回収率が97%以上と向上したことで、従来用いていたプローブに比べ、熱量損失の小さな装置とすることができた。
一方、比較例のプローブCや従来例のプローブDでは、冷風回収率が80%以下で十分満足できる状態とならず、熱量損失が大きかった。
表5〜表7は、本発明のプローブA、B及び比較例のプローブC各々における内筒の調整範囲と排ガス抽気率を2%とした場合の予想冷却回収率を示したものである。
プローブAの冷風の吐出速度は4.04m/s、吐出角度は35度、熱風の入口速度は4.09m/s、外筒の内径Dは0.65m、内筒の外径は0.368m、プローブBの冷風の吐出速度は3.27m/s、吐出角度は35度、熱風の入口速度は4.48m/s、外筒の内径Dは1.10m、内筒の外径は0.65m、プローブCの冷風の吐出速度は7.70m/s、吐出角度は35度、熱風の入口速度は3.74m/s、外筒の内径Dは0.90m、内筒の外径は0.70mである。
これら表5〜表7の下に記載された矢印及び数値は、各プローブにおける内筒の調整範囲を示す。
Figure 0004926442
Figure 0004926442
Figure 0004926442
これらの表によれば、本発明のプローブA、Bでは、内筒の調整範囲内であれば、冷風回収率は全て100%超となっており、したがって、プレヒータへの冷風吹き抜けがゼロとなっていることが分かる。
一方、比較例のプローブCでは、内筒の調整範囲内であっても冷風回収率が低く、プレヒータへの冷風吹き抜けが多くなっていることが分かる。
「実施例2」
実施例1と同一構造のプローブA、Bを用いた。
但し、ロータリーキルン1における排ガスの風量の違いがあるため、抽気した排ガスの風量を2%とし、プローブAの外筒内径を0.65m、内筒外径を0.368mとし、プローブBの外筒内径を1.10m、内筒外径を0.65mとした。
また、プローブA、Bの取り付け角度を水平に対して52°とした。
このプローブA、B各々の内筒の調整範囲は同じ730mm〜1600mmであるが、外筒内径をDとした比率では、プローブAでは1.12D〜2.46D、プローブBでは0.66D〜1.45Dであった。
これらプローブA、Bにおいても、内筒調整範囲の800mm〜1600mmの位置では、予想冷風回収率が100%超となり、プレヒータへの冷風吹き抜けがゼロとなり、大凡100%近い冷風回収率となっていることが分かった。また、従来のプローブより熱量損失を小さくすることができることが分かった。
本発明の排ガス抽気用プローブは、排ガス中に残存する塩素化合物の捕集効率を高めるとともに、塩素循環によるセメント焼成設備でのコーチングトラブルを防止することができ、さらには熱量損失を小さくすることができるものであるから、セメント焼成設備のみならず、各種焼成炉、焼却炉、あるいはボイラー等においても、水を使用せずに冷却空気のみで抽気プローブ先端部へのコーチング付着防止や抽気プローブの機械的保護、燃焼排ガス中の塩素成分除去装置の抽気プローブとして使用することができ、工業上極めて優れたものである。
本発明の一実施形態のセメント焼成設備の要部を示す模式図である。 本発明の一実施形態のプローブを示す断面図である。
符号の説明
1 ロータリーキルン
2 インレットフッド
3 ライジングダクト
4 絞り傾斜部
5 プローブ
6 冷却チャンバ
7 集塵機
8 分級機
11 内筒
12 外筒
21、22 筒部
23、24 フランジ
25 抽気排ガス流路
26 冷却空気流路
G 排ガス
C 冷却空気
C’ 二次冷却空気
D 外筒の内径

Claims (7)

  1. セメント焼成設備から排出される排ガスの一部を抽気する排ガス抽気用プローブであって、
    内筒と、先端部側が前記内筒から突出するように同軸的にかつ前記内筒を囲むように設けられた外筒とを備え、
    前記内筒は、前記外筒内に同軸的に設けられて前記外筒の軸線に沿って移動自在かつ前記外筒内の任意の位置に固定可能とされた第1の筒部と、先端部が前記第1の筒部の先端部より後退する位置に位置するとともに前記第1の筒部の内面に対して摺動自在かつ前記第1の筒部内にて固定可能とされた第2の筒部とを備え、
    前記内筒の内部空間をその先端部にて抽気する排ガスを流動する抽気排ガス流路とするとともに、前記内筒と前記外筒との間の空間部を、前記外筒の先端部の開口に冷却空気を導入する冷却空気流路とし、
    前記抽気による排ガス量の変化に対して前記内筒の先端側位置を調整することを特徴とする排ガス抽気用プローブ。
  2. 前記外筒の内径をDとしたとき、
    前記第1の筒部の先端側の調製範囲を、前記外筒の先端部の最短側の先端を基準として、0.5D〜2.5Dの範囲としたことを特徴とする請求項1記載の排ガス抽気用プローブ。
  3. 前記内筒及び前記外筒の先端部を、これらの軸線に対して傾斜してなることを特徴とする請求項1または2記載の排ガス抽気用プローブ。
  4. ロータリーキルンを備えたセメント焼成設備において、
    前記ロータリーキルンに、請求項1ないし3のいずれか1項記載の排ガス抽気用プローブを備えてなることを特徴とするセメント焼成設備。
  5. 前記排ガス抽気用プローブは、前記ロータリーキルンの窯尻部に設けられた予熱用のフッドと排ガスの立ち上がりダクトとの接続部に設けてなることを特徴とする請求項4記載のセメント焼成設備。
  6. 前記排ガス抽気用プローブの先端部は、水平方向に対して45°以上かつ90°以下の角度で下向きに傾斜してなることを特徴とする請求項5記載のセメント焼成設備。
  7. セメント焼成設備のロータリーキルンから排出される排ガスの一部を請求項1ないし3のいずれか1項記載の排ガス抽気用プローブを用いて抽気し、この抽気された排ガスに含まれる塩素化合物を除去する排ガス処理方法であって、
    前記ロータリーキルンから排出される排ガスの一部を前記排ガス抽気用プローブを用いて抽気するとともに、この抽気された排ガスを冷却空気を用いて一次冷却する抽気・冷却工程と、一次冷却された排ガスを塩素化合物の融点以下に冷却する二次冷却工程と、塩素化合物の融点以下に冷却された排ガス中に残存する塩素化合物を含む塵埃を捕集する塵埃捕集工程と、を備えてなることを特徴とするセメント焼成設備における排ガス処理方法。
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