JP4925511B2 - リモコン受光装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、待機時の消費電力の削減を図ったリモコン受光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7に従来のリモコン受光装置(リモコン受光素子)100Aのブロック図を示す。このリモコン受光装置100Aは赤外線を透過するクリアモールドでパッケージ化されている。1は赤外線リモコン信号光を集光する集光レンズ、2はそのリモコン信号光を受光して光電変換するホトダイオード、3は大きな利得の第1増幅器(ヘッドAMP)、4は受光信号から直流光成分を除去する直流光キャンセル回路、5は第2増幅器(2ndAMP)、6はリモコン信号から副搬送波を取り出すバンドパスフィルタ、8は副搬送波を積分する積分器、9は波形整形用の比較器、10は出力回路、11は出力トランジスタである。
【0003】
リモコンコマンダーから到来した赤外線コマンド信号は、集光レンズ1によりホトダイオード2に集光されそこで電流信号に変換される。変換された電流信号は第1増幅器3により電圧信号に変換されて増幅されるが、直流成分は直流光キャンセル回路4によりキャンセルされる。第1増幅器3の出力信号は第2増幅器5で増幅され、バンドパスフィルタ6に入力してそこで副搬送波が取り出される。取り出された副搬送波は積分器8に入力して積分され更に比較器9に入力して波形整形される。そして、出力回路10から出力トランジスタ11を経由して、次段のマイクロコンピュータからなる制御回路(図示せず)に取り込まれ処理される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようなリモコン受光装置100Aでは、待機時の消費電力を削減する対策として、一般的には低電源電圧化と低消費電流化が採られる。しかし、このリモコン受光装置100Aのみにて更なる待機電力の低下を図るには、外部に専用の電源供給手段を設けて待機時に間欠的に動作を行わせる必要があった。
【0005】
このように従来のリモコン受光装置100Aを間欠動作させるためには、電源供給を間欠的に制御する他なく、このため外部に専用の電源制御手段を特別設ける必要があり、コスト高となる問題があった。
【0006】
また、リモコン受光装置100Aは数nAの微少な光電流を検出するために非常に高い利得が必要とされるので、電源ラインのノイズ除去のために電源ラインに抵抗とキャパシタによる1次のローパスフィルタを挿入する必要があるが、この場合には間欠的に電源供給を制御すると所定の電圧に達するまでに遅延時間が発生し、動作時間が増して消費電力の削減効果が不十分になるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、外部に専用の電源制御手段を設けることなく、安価に消費電力削減を実現できるようにしたリモコン受光装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための第1の発明は、リモコン信号を受光するホトダイオードの受光電流を電圧変換して増幅する第1増幅器と、該第1増幅器で増幅された信号を更に増幅する第2増幅器と、該第2増幅器から出力する信号から副搬送波を取り出すバンドパスフィルタと、該バンドパスフィルタから出力する副搬送波を積分する積分器と、該積分器の出力を波形整形する比較器と、該比較器の出力を増幅する出力回路と、前記バンドパスフィルタから出力する前記副搬送波を検出する検出器と、前記第1増幅器、前記第2増幅器、前記バンドパスフィルタ、および前記検出器に電源を供給する第1スイッチと、前記積分器、前記比較器、および前記出力回路に電源を供給する第2スイッチと、前記検出器が前記副搬送波を検出しないときは、前記第1スイッチを所定時間周期で所定時間だけオンさせる間欠動作を行わせると共に前記第2スイッチをオフにし、前記検出器が前記副搬送波を検出したときは、前記第1および第2スイッチをオンさせる時間制御回路と、を設けて構成した。
第2の発明は、第1の発明において、前記第1スイッチのオフ期間を、リモコン信号の終了を示す信号を除く信号期間より短い時間に設定して構成した。
第3の発明は、第1又は第2発明において、前記第1スイッチのオフ期間を、リモコン信号の信号期間の内の先頭および終了を示す信号を除く期間より短い時間に設定して構成した。
第4の発明は、第1、第2又は第3の発明において、前記第1スイッチのオン期間を、2値のデーターコードの最大の無信号期間より長い期間に設定して構成した。
第5の発明は、第1、第2、第3又は第4の発明において、前記時間制御回路は、前記第1および第2スイッチをオンにさせた後に、前記リモコン信号の信号期間の内の終了を示す信号の期間より長い所定の時間が経過しても前記副搬送波が検出されないときは、前記第1スイッチに前記間欠動作を行わせ、前記第2スイッチをオフさせるよう構成した。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の1つの実施の形態のリモコン受光装置100のブロック図である。このリモコン受光装置100は赤外線を透過するクリアモールドでパッケージ化されている。1は赤外線リモコン信号光を集光する集光レンズ、2はリモコン信号光を受光して光電変換するホトダイオード、3は大きな利得の第1増幅器、4は受光信号から直流光成分を除去する直流光キャンセル回路、5は第2増幅器、6は副搬送波を取り出すバンドパスフィルタ、8は積分器、9は波形整形用の比較器、10は出力回路、11は出力トランジスタである。以上は図7の構成と同じである。
【0016】
本リモコン受光装置100は、さらにバンドパスフィルタ6と積分器8との間に検出器7を介在させ、ここで副搬送波の有無を検出できるようにしている。また、第1増幅器3、第2増幅器5、バンドパスフィルタ6、および検出器7にはスイッチSW1を介して電源が供給され、積分器8,比較器9および出力回路10にはスイッチSW2を介して電源が供給されるようになっている。12は発振回路、13はその発振回路12で発振した信号の周波数変換を行う分周回路である。
【0017】
14は時間制御回路であり、分周回路13の出力パルスをタイミング信号として入力し、検出器7の検出信号を動作モード切り替え信号として入力して、スイッチSW1、SW2を駆動する。すなわち、この時間制御回路14は、検出器7が副搬送波を検出していないときはスイッチSW1を所定時間周期で所定時間だけオンさせる間欠動作を行わせると共にスイッチSW2を連続オフさせ、検出器7が副搬送波を検出するとスイッチSW1とSW2を連続してオンさせ、さらに所定時間以上副搬送波を検出しなくなるとスイッチSW1に上記した間欠動作を行わせると共にスイッチSW2を連続オフさせるよう切替制御する。
【0018】
さて、リモコン信号が到来していないときは、バンドパスフィルタ6からは副搬送波は出力しておらず、検出器7はそれを検出できないので、時間制御回路14は省電力モードに設定される。これにより、スイッチSW1が間欠的にオン/オフし、スイッチSW2が連続オフしている。よって、このとき第1増幅器3、第2増幅器5、バンドパスフィルタ6、および検出器7は間欠的に電源が供給されて間欠動作する。また、積分器8,比較器9および出力回路10には電源が供給されず、それらは動作しない。
【0019】
この状態でリモコン信号が到来すると、スイッチSW1がオンになっているタイミング時にバンドパスフィルタ6から副搬送波が出力し検出器7がそれを検出するので、時間制御回路14が通常動作モードに切り替えられ、スイッチSW1とSW2が連続オン状態に設定され、到来するリモコン信号を受信して増幅し副搬送波を積分し波形整形して出力する通常の動作を行う。
【0020】
この後、所定時間以上リモコン信号が到来しなくなると、それが検出器7で検出されて、時間制御回路14が省電力モードに復帰し、スイッチSW1が間欠的にオン/オフする動作に切り替わり、スイッチSW2が連続してオフする。
【0021】
以上から、本実施形態のリモコン受光装置100は、リモコン信号未到来の状態ではそのリモコン受光装置100内において副搬送波検出に必要な回路部分のみに間欠的に電源供給を行う動作のみが実行されるので、リモコン受光装置100の外部において特別な電源制御手段を設けることなく、安価に消費電力削減を実現できるようになる。
【0022】
図2は家電製品協会が制定しているリモコン信号のフォーマットである。その構成内容は、信号の先頭を示すマーカーに相当するリーダーと、信号の終了を示すマーカーであるトレーラーに挟まれた部分に、製品を供給する会社の識別のためのカスタムコードCO,C1、誤送信をチェックするためのパリティーコードP、実際のコマンド内容を伝達するデーターコードDO〜Dnが順次配列されている。
【0023】
1バイトは8ビットであり、1ビットは図3に示すようにPWM(パルス幅変調)方式により”0”、”1”の判定を行う。ただし、図3に示す3Tを2Tとする場合もあり、仕様(メーカーや製品、以下同じ)によって異なる。1Tの基本パルス幅は家電製品協会では0.35 msec<1T<0.5 msecとしているが。基本的には仕様に応じて任意に設定しており、0.4 msec<1T<0.9 msecが主流である。図4はリーダー部分の家電製品協会のフォーマットであり、先頭を示すマーカーのみ図3の”0”、”1”判定のフォーマットとは区別されている。リモコンコマンダーは以上の1Tの基本パルスを33KHz〜40KHzの副搬送波に変調して送信するため、通常1Tの間に13〜25発のパルスの副搬送波が挿入されることになる。
【0024】
本実施形態では、トレーラを除いたリーダーから最終バイトまでの時間と、1Tと3Tによる”0”、”1”判定によるパルス幅に着目し、トレーラを除いたリーダーから最終バイトまでの時間のうち、リモコンのコマンド信号入力時に必ず副搬送波を検出できる時間帯のみスイッチSW1をオンさせる間欠動作によって、大幅な消費電流の削減を図る。
【0025】
図5はコマンド信号と検出器7の検出出力とスイッチSW1,SW2の動作のタイミングチャートであり、コマンド信号は一般的に使用されている1コマンドに対して3回の同一コードを時間T4のインターバルで送信する状態を表している。コマンド信号が入力していないときは、スイッチSW1は時間T2のインターバル毎に時間T1だけオンして、その時間T1でコマンド信号有無の確認を行う。この図5においては、スイッチSW1が3回目にオンしているときにコマンド信号の入力を確認している。コマンドデーターは1ビットが数十パルスの副搬送波信号により、0.4 msec 〜 0.9 msecのパルス幅をもつバースト信号が数十ビット束になって送信されており、図5ではその8ビット目の信号から検出を開始している。
【0026】
コマンド信号の入力を検出した検出器7の出力は、時間制御回路14に入力され、これによりモードが通常モードとなって、スイッチSW1を連続オン、スイッチSW2を連続オンに切り替える。
【0027】
コマンド信号の入力状態の継続については、検出器7の検出出力を時間制御回路14で監視することで続けられるが、予め設定した時間T3以上コマンド信号の入力が途絶えたとき、時間制御回路14は省電力モードに戻り、スイッチSW1を間欠動作に、スイッチSW2を連続オフ状態に設定し、次回のコマンド入力に対する待機状態に入る。この時間T3は、リモコン信号の終了を示すマーカーであるトレーラーの期間より長く設定されるが、前記のように1コマンドに対して複数回の同一コードを送信するときは、そのインターバル時間T4に対して、T3>T4に設定される。これにより、T4の期間にスイッチSW1,SW2が復帰することはない。
【0028】
消費電力の削減率は、図5中の時間T1とT2の比率、および図1のスイッチSW1、SW2で制御される回路部分3〜10の消費電力、および常時動作状態にある発振回路12、分周器13、時間制御回路14の消費電力により決定される。
【0029】
図6はデーターを第1バイトから第4バイトまでの4バイトデータとしたときのスイッチSW1の間欠動作のオン時間T1とインターバル時間T2の時間設定の説明図であり、1T=600μsecの時のものである。スイッチSW1のオン時間T1の時間設定は、データーおよびリーダーが必ず検波できる時間幅に設定する必要があり、本実施形態ではデーターの最大無信号期間が3T(図3)、リーダーコードの最大無信号期間が4T(図4、図6)であるので、ここではその4T(=2.4 msec)よりも大きく設定しなければならない(T1>4T)。このようにオン時間T1はT1>4Tであり、且つ38KHzの副搬送波が7パルス入る時間幅を設定した場合のオン時間T1は、2.6 msecである。
【0030】
一方、スイッチSW1のインターバル時間T2の時間設定は、4バイトデーターコードの最短時間にリーダーを加算した時間幅Taよりも小さく設定しなければならない(T2<Ta)。4バイトのデーターが最短となるのはすべてのデーターが”0”のときであり、この時間にリーダーコード(0.6 msec×12=7.2msec)を加算した時間幅Taは、
である。
【0031】
ここで、T2<Taが成立する時間としてT2 = 44 msecに設定した場合における間欠動作時での消費電流の低減量を計算する。スイッチSW1により電源供給が制御される回路部分3、5〜7の消費電流を420μA、スイッチSW2により電源供給が制御される回路8〜10の消費電流を200μAとする。まず、間欠動作時におけるスイッチSW1にかかる回路部分3、5〜7の消費電流の平均値I1は、
I1= 420 × (2.6/44) = 24.82μA
となる。また、常時動作する発振回路12、分周回路13、および時間制御回路14はこれをCMOSプロセスで設計した場合の平均電流値が16μAであるとすると、間欠動作時の消費電流の総和Iaは、
Ia= 24.82 + 16 = 40.82μA
となり、図7に示した従来回路の消費電流を600μAとした場合に比べて、間欠動作時での消費電流を7%程度まで削減することが可能となり、大きな低減効果が得られる。
【0032】
図6は前記のようにデーターのコード長を第1バイトから第4バイトの4バイトとした場合の例であり、バイト数の大小およびリーダーの設定時間の大小により、低減効果は変動する。また、コード長の設定は仕様により異なるため、それぞれの仕様に最適なT1,T2が存在するが、これらの設定時間の対応は技術的には時間制御回路の容易な変更にて可能である。
【0033】
なお、図6の時間幅Taをトレーラーのみならずリーダーをも除いた第1バイトから第4バイトのコード長の時間に変形し、スイッチSW1のインターバル時間T2をT2<Taに設定し、スイッチSW1のオン時間であるT1をT1>3Tに設定することもできる(但し、図3のデーターコードのとき)。
【0034】
このように設定したときは、図6のリーダーの無信号期間が極端に長いコードを使用する仕様に対しても、消費電力の充分な低減効果を上げることができる。また、この実施形態はデーターコードの”1”を1T対3Tから1T対2Tとする仕様に変更した内容(図6の下段)に対しても有効であり、この場合のT1の設定時間はT1>2Tと短くなり、消費電流の低減効果がより増大する。
【0035】
更に別の実施形態として、図1のスイッチSW1とSW2を共通として、つまり1個のスイッチで共用し、積分器8、比較器9、出力回路10をも間欠動作させることができる。この場合は時間制御回路の簡略化は可能となる利点があるが、消費電流の低減効果は前記の場合に比べて若干低下する。
【0036】
【発明の効果】
以上から本発明によれば、従来のリモコンフォーマットおよびコード長においても、十分な消費電力の低減効果を上げることが出きる。また、本発明はリモコン受光装置内で間欠動作の全てを処理しているため、外部からの制御を一切必要とせず、リモコン受光装置に対する専用の電源制御手段を設ける必要がなく、安価に消費電力の削減を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1つの実施形態のリモコン受光装置のブロック図である。
【図2】 赤外線リモコンのフォーマットの説明図である。
【図3】 データーコードのタイミング図である。
【図4】 リーダーコードのタイミング図である。
【図5】 図1のリモコン受光装置の動作のタイミングチャートである。
【図6】 データー長を4バイトとした場合の動作説明用の波形図である。
【図7】 従来のリモコン受光装置のブロック図である。
【符号の説明】
100,100A:リモコン受光装置
1:集光レンズ、2:ホトダイオード、3:第1増幅器、4:直流光キャンセル回路、5:第2増幅器、6:バンドパスフィルタ、7:検出器、8:積分器、9:比較器、10:出力回路、11:出力トランジスタ、12:発振回路、13:分周回路、14:時間制御回路。
Claims (5)
- リモコン信号を受光するホトダイオードの受光電流を電圧変換して増幅する第1増幅器と、
該第1増幅器で増幅された信号を更に増幅する第2増幅器と、
該第2増幅器から出力する信号から副搬送波を取り出すバンドパスフィルタと、
該バンドパスフィルタから出力する副搬送波を積分する積分器と、
該積分器の出力を波形整形する比較器と、
該比較器の出力を増幅する出力回路と、
前記バンドパスフィルタから出力する前記副搬送波を検出する検出器と、
前記第1増幅器、前記第2増幅器、前記バンドパスフィルタ、および前記検出器に電源を供給する第1スイッチと、
前記積分器、前記比較器、および前記出力回路に電源を供給する第2スイッチと、
前記検出器が前記副搬送波を検出しないときは、前記第1スイッチを所定時間周期で所定時間だけオンさせる間欠動作を行わせると共に前記第2スイッチをオフにし、前記検出器が前記副搬送波を検出したときは、前記第1および第2スイッチをオンさせる時間制御回路と、
を設けたことを特徴とするリモコン受光装置。 - 請求項1に記載のリモコン受光装置において、
前記第1スイッチのオフ期間を、リモコン信号の終了を示す信号を除く信号期間より短い時間に設定したことを特徴とするリモコン受光装置。 - 請求項1又は2に記載のリモコン受光装置において、
前記第1スイッチのオフ期間を、リモコン信号の信号期間の内の先頭および終了を示す信号を除く期間より短い時間に設定したことを特徴とするリモコン受光装置。 - 請求項1、2又は3に記載のリモコン受光装置において、
前記第1スイッチのオン期間を、2値のデーターコードの最大の無信号期間より長い期間に設定したことを特徴とするリモコン受光装置。 - 請求項1、2、3又は4に記載のリモコン受光装置において、
前記時間制御回路は、前記第1および第2スイッチをオンにさせた後に、前記リモコン信号の信号期間の内の終了を示す信号の期間より長い所定の時間が経過しても前記副搬送波が検出されないときは、前記第1スイッチに前記間欠動作を行わせ、前記第2スイッチをオフさせる特徴とするリモコン受光装置。
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