(実施形態1)
本発明の実施形態1について図1〜5を用いて説明する。図1は実施形態1の火災感知システムのブロック図である。図2は実施形態1の火災感知システムの全体構成図である。図3は、実施形態1の火災感知システムにおけるスーパーフレームの構成図である。図4,5は、実施形態1の火災感知システムにおける中継器と火災感知器の無線通信を示すタイムチャートである。
まず、実施形態1の火災感知システムの構成について説明する。実施形態1の火災感知システムは、火災を感知して火災発生場所を特定するものであり、図2に示すように、中央監視盤1と、複数の中継器2,・・・と、複数の火災感知器3,・・・とを備えている。以下、複数の火災感知器を個別に示す場合は火災感知器31,32,33,・・・と表記し、区別しない場合は火災感知器3と表記する。
中央監視盤1は、例えば施設の管理室などに設置され、複数の中継器2,・・・と信号線Lsを介して接続している。この中央監視盤1は、後述の各火災感知器3から送信された定期送信信号又は火災感知信号を中継器2から信号線Lsを介して受信し、火災感知信号を送信した火災感知器3の設置場所から火災発生場所を特定し、警報音の鳴動や火災発生場所の報知、消防署への通報などの必要な対処を行う。
各中継器2は、図1に示すように、複数の火災感知器3,・・・との通信圏内に設置され、中継器送信部20と、中継器受信部21と、中継器制御部22とを備え、複数の火災感知器3,・・・のそれぞれと無線通信を行う。中継器送信部20は、各火災感知器3から自己の動作状態を示す定期送信信号を要求する送信要求信号を各火災感知器3に定期的に送信する。具体的には、中継器送信部20は、送信要求情報をメッセージとして含む後述のデータフォーマットを所定の周波数の搬送波に変調し、変調したデータフォーマットを無線信号として各火災感知器3に送信する。定期送信信号の内容は、火災感知器3における異常(例えば電池電圧のしきい値以下までの低下や送受信の動作不良など)の有無に関する情報である。中継器受信部21は、各火災感知器3から定期送信信号を受信し、中継器制御部22に出力する。具体的には、中継器受信部21は、各火災感知器3から定期送信信号を受信し、データフォーマットを復調して中継器制御部22に出力する。
中継器制御部22は、例えばEEPROMなどの不揮発性メモリとマイコンとを主構成要素とし、各火災感知器3が正常に動作していることを確認するために、送信要求信号を各火災感知器3に送信するように中継器送信部20を制御し、各火災感知器3から定期送信信号を受信するように中継器受信部21を制御する。この中継器制御部22は、受信した定期送信信号に基づいて各火災感知器3で例えば電池切れなどの故障が生じているか否かを判断する。また、中継器制御部22は、電源がオンにされた直後に、無線通信を行う火災感知器3を検出し、各火災感知器3に後述の上り情報スロットDi(i=1〜32)を割り当てる。不揮発性メモリには、各種の処理を実行するためのプログラムと、製造時又は施工時に付与された固有アドレスとが格納されている。また、この不揮発性メモリには、送受信を行う火災感知器3の数と、各火災感知器3に割り当てた後述の上り情報スロットDi(i=1〜32)の一覧表とが記憶されている。これにより、中継器制御部22は、停電などで停止し復旧したときであっても、無線通信を行う火災感知器3の数と、各火災感知器3に割り当てた上り情報スロットDi(i=1〜32)の一覧表とを認識することができる。
1台の中継器2と複数の火災感知器3,・・・のそれぞれとの間で行われる無線通信には、免許を不要とする周波数を利用する。例えば、日本では小電力セキュリティや特定小電力無線規格、米国ではFCC Regulations Part15 SubpartC、欧州ではShort Range Device規格に準拠した無線通信で行わなければならない。
1台の中継器2とその中継器2と無線通信する複数の火災感知器3,・・・のそれぞれとの間で授受されるデータのデータフォーマットは、1と0が交番する32ビットのプリアンブル(ビット同期パターン)と、規定のビット列からなる16ビットのユニークワード(フレーム同期パターン)と、1台の中継器2及びその中継器2と無線通信する複数の火災感知器3,・・・からなるサブシステムに割り当てられる32ビットの固有のID(システムID)と、各火災感知器3に割り当てられた8ビットの固有のID(感知器ID)と、16ビットのメッセージと、16ビットの誤り検出符号とで構成される。中継器2の固有アドレスはシステムIDとなり、各火災感知器3の固有アドレスはシステムIDと感知器IDを合わせたものとなる。
このようなデータフォーマットを用いて、中継器2は、サブシステム内の特定の火災感知器3を指定して信号を送信する場合、データフォーマットの感知器IDに上記特定の火災感知器3の感知器IDを指定して送信する。これに対して、サブシステム内の全ての火災感知器3,・・・に信号を同時送信する場合、データフォーマットの感知器IDに「0」を指定して送信する。各火災感知器3が中継器2に対して信号を送信する場合、自己の感知器IDをデータフォーマットの感知器IDに設定して送信する。
また、中継器制御部22は、中継器受信部21で復調されたデータを、マイコンが有するデジタルの入力ポートでサンプリングし、プリアンブルの受信中にビットタイミングを抽出して、次に連続する16ビット分の受信ビットを規定のユニークワードと一致するまで1ビットずつシフトすることでユニークワードを検出する。その後、中継器制御部22は、中継器受信部21によって受信されたシステムID及び感知器IDを固有アドレスと照合し、これらが一致し、かつビット誤りが検出されなかった場合にメッセージを受理する。
ここで、実施形態1の火災感知システムの信頼性を向上するためには、定期的な送信要求信号と定期送信信号の送受信をできるだけ頻繁に行う必要がある。例えば欧州統一規格(EN規格)においては、300秒に1回の割合で上記のような定期的な信号の送受信を行うことを義務づけた規格(EN54−25)が策定される予定である。
ところで、定期的な信号の送受信が上記のように頻繁に行われ、しかも、1台の中継器2あたりの火災感知器3の台数が多くなるほど、火災感知器3,・・・同士の送信タイミングが重なって衝突が生じる確率が高くなる。このため、上記衝突を回避する必要がある。実施形態1の火災感知システムにおいて、1台の中継器2と複数の火災感知器3,・・・との間の無線通信は、後述のスーパーフレーム内で時分割多元接続方式によって行われる。
時分割多元接続方式で行われる際の通信フレームとして、図3に示すように、1台の中継器2(図1参照)から無線通信を行う全ての火災感知器3,・・・(図1参照)に信号を送信するために割り当てられたタイムスロットである下り情報スロットBと、下り情報スロットBに続き各火災感知器3から中継器2に信号を送信するために火災感知器3ごとに個別に割り当てられたタイムスロットである複数の上り情報スロットD1〜D32とで構成される複数のフレームF1〜F90が集まったスーパーフレームSFが用いられる。
各フレームFk(k=1〜90)の各上り情報スロットDi(i=1〜32)を各火災感知器3に個別に割り当てることによって、定期的な信号の送受信の間隔が相対的に短い場合、例えばEN規格における300秒に1回というような場合であっても、各火災感知器3から送信される無線信号同士の衝突を確実に回避することができる。これにより、高い信頼性を確保することができる。各火災感知器3に対する上り情報スロットDi(i=1〜32)の割り当ては、例えば、火災感知器3にディップスイッチを設けて上記ディップスイッチによって設定する方法、製造工程において後述の火災感知器3の感知器制御部33(図1参照)の不揮発性メモリに予め格納しておく方法、又は、設置時に無線通信を用いて中継器2から順番に各火災感知器3に割り当てて感知器制御部33の不揮発性メモリに格納する方法などで行われる。
下り情報スロットB及び各上り情報スロットDi(i=1〜32)の周期は100ミリ秒であり、その内訳はデータフォーマットに50ミリ秒、中継器2の中継器送信部20(図1参照)及び火災感知器3の感知器送信部42(図1参照)が起動し安定した搬送波周波数で送信可能となるまでの時間(送信起動時間)に20ミリ秒、ガードタイムとして前後各々15ミリ秒ずつが割り当てられている。ガードタイムは火災感知器3と中継器2の動作クロック周波数(後述の感知器制御部44及び中継器制御部22を構成するマイコンの動作クロック周波数)の誤差に起因するタイミングの差を吸収するための空き時間である。
各火災感知器3は、図1に示すように、例えば施設の天井などに設置される無線式の火災感知器であって、感知部40と、感知器受信部41と、感知器送信部42と、発振子43と、感知器制御部44とを備えている。感知部40は、火災に伴って発生する温度変化や煙を検出することで火災を感知するものである。感知器受信部41は、中継器2から送信要求信号を受信し、データフォーマットを復調して感知器制御部44に出力する。感知器送信部42は、自己の動作状態を示す定期情報をメッセージとして含むデータフォーマットを所定の周波数の搬送波に変調し、変調したデータフォーマットを定期送信信号として中継器2に送信する。発振子43は、動作クロックを生成するものである。
感知器制御部44は、例えばEEPROMなどの不揮発性メモリとマイコンとを主構成要素とし、中継器2から送信要求信号を受信するように感知器受信部41を制御し、定期送信信号を送信するように感知器送信部42を制御する。不揮発性メモリには、各種の処理を実行するためのプログラムと、製造時又は施工時に付与された固有アドレスとが格納されている。感知器制御部44は、感知器受信部41で復調されたデータを、マイコンが有するデジタルの入力ポートでサンプリングし、プリアンブルの受信中にビットタイミングを抽出して、次に連続する16ビット分の受信ビットを規定のユニークワードと一致するまで1ビットずつシフトすることでユニークワードを検出する。その後、感知器制御部44は、感知器受信部41によって受信されたシステムID及び感知器IDを固有アドレスと照合し、これらが一致し、かつビット誤りが検出されなかった場合にメッセージを受理する。
上記のような感知器制御部44は、感知器受信部41が中継器2から送信要求信号を受信した場合、送信要求信号の受信タイミングによって中継器2との間で同期を新たに確立する。この感知器制御部44は、同期確立後からの発振子43によって生成された動作クロックによるタイミングで定期送信信号を中継器2に送信するように感知器送信部42を制御する。これに対して、感知器受信部41が中継器2から送信要求信号を受信することができなかった場合、中継器2との同期を新たに確立することなく動作クロックによるタイミングで定期送信信号を中継器2に送信するように感知器送信部42を制御する。
また、感知器制御部44は、第1のタイマ、第2のタイマ、第3のタイマ及び第4のタイマ(図示せず)をマイコンに内蔵して備える。第1のタイマは、先頭のフレームF1の下り情報スロットB(図3参照)が終了した時点からスーパーフレームSF(図3参照)が終了するまでの時間(例えばフレームF1〜F90が各々3.3秒、スーパーフレームSFが297秒、下り情報スロットB及び上り情報スロットD1〜D32のそれぞれが100ミリ秒とすれば、297−0.1=296.9秒)をカウントする。第2のタイマは、各フレームFk(k=1〜90)の下り情報スロットBが終了した時点から各火災感知器3に個別に割り当てられた上り情報スロットDi(i=1〜32)(図3参照)の開始時点までの時間(例えば、0.1×((上り情報スロットDiの番号i)−1)秒)をカウントする。第3のタイマは、各フレームFk(k=1〜90)の下り情報スロットBが終了した時点からそのフレームFkが終了する時点までの時間(例えば、3.3−0.1=3.2秒)をカウントする。第4のタイマは、フレームFk(k=1〜90)の各火災感知器3に個別に割り当てられた上り情報スロットDi(i=1〜32)の終了時点から次のフレームFk+1の各火災感知器3に個別に割り当てられた上り情報スロットDi(i=1〜32)の開始時点までの時間をカウントする。
次に、実施形態1の火災感知システムが常時に行う動作について主に図1を用いて説明する。まず、火災感知システムの電源(図示せず)がオンにされると、中継器2の中継器制御部22が、無線通信を行う火災感知器3を検出し、各火災感知器3に後述の上り情報スロットDi(i=1〜32)を割り当てる(A−1)。その後、中継器制御部22の制御によって中継器送信部20がデータフォーマットの感知器IDを「0」に設定し、スーパーフレームSFの先頭のフレームF1の下り情報スロットB(図3参照)で全ての火災感知器3,・・・に送信要求信号を同時送信する(A−2)。一方、電源オン直後に火災感知器3の感知器制御部44が感知器受信部41を起動し、感知器受信部41が送信要求信号を受信するまで連続受信状態とする(A−3)。その後、感知器受信部41が送信要求信号を受信すると、感知器制御部44が第1のタイマ、第2のタイマ及び第3のタイマ(図示せず)を起動する(A−4)。第2のタイマのカウントが終了することによって、感知器制御部44が、個別に割り当てられた上り情報スロットDi(i=1〜32)の開始時点を決定し、感知器制御部44の制御によって感知器送信部42が、個別に割り当てられた上り情報スロットDi(i=1〜32)で定期送信信号を中継器2に送信する(A−5)。
中継器2において、中継器制御部22の制御によって中継器受信部21が各火災感知器3から定期送信信号を受信する(A−6)。このとき、中継器受信部21が異常有りの定期送信信号を受信すると、中継器制御部22が、異常有りの定期送信信号を送信した火災感知器3の感知器IDを信号線Ls(図2参照)を介して中央監視盤1(図2参照)に伝送してシステム管理者に知らせる(A−7)。全ての火災感知器3,・・・からの定期送信信号を中継器2が正常に受信すると、各火災感知器3の感知器制御部44の制御によって、第1のタイマ(図示せず)が終了するまで感知器受信部41及び感知器送信部42の動作が停止する(A−8)。第1のタイマが終了して次のスーパーフレームSFが開始されると、再び(A−2)〜(A−8)の動作を行う。上記の動作をスーパーフレームSFごとに繰り返す。
次に、実施形態1の火災感知システムにおける、いずれかの火災感知器3で火災を感知した場合の動作について主に図1を用いて説明する。まず、火災感知器3の感知部40が火災を感知すると、感知器制御部44が第2のタイマ(図示せず)のカウント中であるか否かを判断する(B−1)。第2のタイマがカウント中であれば、現在のフレームFk(k=1〜90)(図3参照)において個別に割り当てられた上り情報スロットDi(i=1〜32)(図3参照)がまだ経過していないので、感知器送信部42が感知器制御部44の制御によって第2のタイマの終了時点で個別に割り当てられた上り情報スロットDi(i=1〜32)で火災感知信号を中継器2に送信する(B−2)。これに対して、第2のタイマがカウント中でなければ、現在のフレームFk(k=1〜90)において個別に割り当てられた上り情報スロットDi(i=1〜32)が既に経過しているので、感知器送信部42が感知器制御部44の制御によって第4のタイマ(図示せず)の終了時点、つまり、次のフレームFk+1において個別に割り当てられた上り情報スロットDi(i=1〜32)で火災感知信号を中継器2に送信する(B−3)。感知器送信部42による火災感知信号の送信後に、感知器制御部44が第4のタイマを起動する(B−4)。
中継器2の中継器受信部21が火災感知器3から火災感知信号を受信すると、中継器制御部22が信号線Ls(図2参照)を介して中央監視盤1(図2参照)に火災感知信号を伝送するとともに、火災感知信号を送信した火災感知器3の感知器IDを指定し、火災感知信号を受信したことを示す受信完了情報をメッセージとする受信完了信号を、火災感知信号を受信したフレームFk(又はFk+1)の次のフレームFk+1(又はFk+2)の下り情報スロットB(図3参照)で送信する(B−5)。第3のタイマ(図示せず)が終了すると、火災感知信号を送信した火災感知器3の感知器受信部41が感知器制御部44の制御によって次のフレームFk+1(又はFk+2)の下り情報スロットBで受信完了信号を受信するとともに、第3のタイマを再び起動する(B−6)。これにより、火災を感知した火災感知器3が、遅くとも火災を感知した時点のフレームFkの次のフレームFk+1で火災感知信号を中継器2に送信することができるので、火災を感知してからフレーム周期の3.3秒以内に火災感知信号を中継器2に送信することができ、欧州のEN規格(EN54−25)の規格値(検出から10秒以内)を満足させることができる。
次に、実施形態1の火災感知システムにおいて、例えば停電などで中継器2が停止した場合の動作について図4を用いて説明する。なお、図4では受信状態を「R」と示し、送信状態を「T」と示す。まず、先頭のフレームF1において、常時に行う動作と同様に(A−1)〜(A−8)を行っている(C−1〜C−8,図4のt1〜t2)。その後、中継器2が停止すると(t3)、各火災感知器3が中継器2から送信要求信号を受信することができなくなるので、送信要求信号の受信タイミングに基づいて中継器2との同期を確立することができなくなる(t4)。このとき、各火災感知器3が、送信要求信号の受信タイミングに基づいて行われる同期確立を無視した状態で、発振子43(図1参照)の動作クロックによるタイミングで通常の動作を行う(C−9,t4〜t5)。その後、中継器2が復旧すると(t6)、不揮発性メモリによって各火災感知器3に割り当てた上り情報スロットDi(i=1〜32)の一覧表を認識した状態で受信状態を開始する(C−10,t6〜t7)。そして、次のスーパーフレームSFで送信要求信号を各火災感知器3に送信する(C−11,t7)。各火災感知器3が中継器2から送信要求信号を受信すると、送信要求信号に基づく同期確立を再開して中継器2の停止期間中の同期誤差を調整する(C−12,t7〜t8)。
続いて、実施形態1の火災感知システムにおいて、各火災感知器3が他のシステムの干渉などで中継器2から送信要求信号を受信できなかった場合について図5を用いて説明する。なお、図5では受信状態を「R」と示し、送信状態を「T」と示す。まず、先頭のフレームF1において、常時に行う動作と同様に(A−1)〜(A−8)を行っている(D−1〜D−8,図5のt1〜t2)。その後、中継器2が火災感知器3に送信要求信号を送信したものの、各火災感知器3が送信要求信号を受信することができなかった場合(t3)、送信要求信号の受信タイミングに基づいて中継器2との同期を確立することができなくなる。このとき、各火災感知器3が、送信要求信号の受信タイミングに基づいて行われる同期確立を無視した状態で、発振子43(図1参照)の動作クロックによるタイミングで通常の動作を行う(D−9,t3〜t4)。その後、中継器2が次のスーパーフレームSFで送信要求信号を各火災感知器3に送信する(D−10,t5)。各火災感知器3が中継器2から送信要求信号を受信すると、送信要求信号に基づく同期確立を再開して同期誤差を調整する(D−11,t5〜t6)。
以上、実施形態1によれば、各火災感知器3が、例えば中継器2の停電や他の機器からの干渉などによって中継器2から送信要求信号を受信することができなかった場合であっても、中継器2との同期を確立することなく動作クロックによるタイミングで無線通信を行うことができるので、中継器2との間でタイミングが大きく外れることなく無線通信を継続することができ、その後、中継器2から送信要求信号を受信すると、この送信要求信号の受信タイミングによって中継器2との間で同期を新たに確立することができる。これにより、高い信頼性を確保することができる。
また、各火災感知器3が送信要求信号を受信することができなかった場合であっても、定期送信信号を中継器2に送信することができるので、送信要求信号を受信した場合と同様の動作を行いながら無線通信を継続することができる。
(実施形態2)
本発明の実施形態2について図1,2,6を用いて説明する。図6は、実施形態2の火災感知システムにおける中継器と火災感知器の無線通信を示すタイムチャートである。なお、図6のt5は図4のt5と同一である。
まず、実施形態2の火災感知システムの構成について説明する。実施形態2の火災感知システムは、図2に示すように、中央監視盤1と、複数の中継器2,・・・と、複数の火災感知器3,・・・とを実施形態1の火災感知システムと同様に備えているが、実施形態1の火災感知システムにはない以下に記載の特徴部分を有する。
実施形態2の各火災感知器3において、図1に示す感知器制御部44は、感知器受信部41が中継器2から送信要求信号を受信することができなかった場合、送信要求信号の受信不可が規定回数N1以上になると、同一のフレームF1(図6参照)内で、中継器2との同期を新たに確立することなく動作クロックによるタイミングで、中継器2との同期の確立を要求する同期要求信号を中継器2に送信するように感知器送信部42を制御する。規定回数N1は、火災感知器3,・・・間のタイミングのずれが大きくなって、信号が衝突する可能性が高くなることを防止するために設定されたものである。また、感知器制御部44は、次の送信要求信号が送信されるタイミングまでの待機時間を含む同期通知信号を中継器2から受信するように感知器受信部41を制御する。なお、実施形態2の各火災感知器3は上記以外の点において実施形態1の火災感知器と同様である。
また、実施形態2の各中継器2において、中継器制御部22は、中継器受信部21が各火災感知器3から同期要求信号を受信すると、同期要求信号を送信した火災感知器3に同期通知信号を送信するように中継器送信部20を制御する。なお、実施形態2の各中継器2は上記以外の点において実施形態1の中継器と同様である。
次に、実施形態2の火災感知システムにおいて、例えば停電などで中継器2が停止した場合の動作について図6を用いて説明する。なお、図6では受信状態を「R」と示し、送信状態を「T」と示す。実施形態2では中継器2が実施形態1よりも長期間停止している。中継器2が停止すると、実施形態1の火災感知システムの(C−9)と同様に、各火災感知器3が同期確立を無視した状態で、発振子43(図1参照)の動作クロックによるタイミングで通常の動作を行う(E−1)。
その後、送信要求信号の受信不可が規定回数N1以上となると、各火災感知器3が送信要求信号を受信することなく同期要求信号を中継器2に送信する(E−2,図6のt9〜t10)。中継器2が停止中に同期要求信号を受信することはないが(t9〜t10)、復旧すると(t11)、不揮発性メモリによって各火災感知器3に割り当てた上り情報スロットDi(i=1〜32)の一覧表を認識した状態で受信状態を開始して同期要求信号を受信する(E−3,t12〜t13)。同期要求信号の受信後に、各火災感知器3に割り当てた上り情報スロットDi(i=1〜32)の一覧表を用いて各火災感知器3の順番を把握し、中継器2が次のスーパーフレームの開始タイミング(t14)までの待機時間を求め、この待機時間を含む同期通知信号を各火災感知器3に送信する(E−4)。各火災感知器3が中継器2から同期通知信号を受信する(E−5)。これにより、定期送信時と送受信の動作時間の割合を変えることなく同期通知待ち状態で動作することができる。
その後、実施形態1の火災感知システムの(C−11),(C−12)と同様に、中継器2が送信要求信号を送信し(E−6,t14)、各火災感知器3が送信要求信号を受信して同期確立を再開する(E−7,t14〜t15)。
以上、実施形態2によれば、各火災感知器3が送信要求信号を受信することができなかった場合、同期要求信号を送信して同期通知信号を受信することによって、中継器2との間で同期を確立するまでの待機時間を把握することができる。
なお、実施形態2の変形例として、中継器2が停止した直後から、各火災感知器3が同期要求信号を送信して同期通知信号を受信してもよい。このような構成であっても、実施形態2と同様に、各火災感知器3が、中継器2との間で同期を確立するまでの待機時間を把握することができる。
(実施形態3)
本発明の実施形態3について図1,2,7を用いて説明する。図7は、実施形態3の火災感知システムにおける中継器と火災感知器の無線通信を示すタイムチャートである。なお、図7のt10は図6のt10と同一である。
まず、実施形態3の火災感知システムの構成について説明する。実施形態3の火災感知システムは、図2に示すように、中央監視盤1と、複数の中継器2,・・・と、複数の火災感知器3,・・・とを実施形態2の火災感知システムと同様に備えているが、実施形態2の火災感知システムにはない以下に記載の特徴部分を有する。
実施形態3の各火災感知器3において、図1に示す感知器制御部44は、感知器受信部41が中継器2から送信要求信号を受信することができなかった場合、送信要求信号の受信不可が規定回数N2(N2>N1)以上になると、フレームF1〜F3(図7参照)を個別に割り当てられ、個別に割り当てられたフレームF1〜F3内で、中継器2との同期を新たに確立することなく動作クロックによるタイミングで、中継器2との同期の確立を要求する同期要求信号を中継器2に送信するように感知器送信部42を制御する。規定回数N2は、火災感知器3,・・・間のタイミングのずれが大きくなって、同一フレーム内では信号が衝突する可能性が高くなってしまう時間に応じて設定されたものである。また、感知器制御部44は、次の送信要求信号が送信されるタイミングまでの待機時間を含む同期通知信号を中継器2から受信するように感知器受信部41を制御する。なお、実施形態3の各火災感知器3は上記以外の点において実施形態2の火災感知器と同様である。
次に、実施形態3の火災感知システムにおいて、例えば停電などで中継器2が停止した場合の動作について図7を用いて説明する。なお、図7では受信状態を「R」と示し、送信状態を「T」と示す。実施形態3では中継器2が実施形態2よりも長期間停止している。中継器2が停止すると、実施形態2の火災感知システムの(E−1),(E−2)と同様に、各火災感知器3が同期確立を無視した状態で、発振子43(図1参照)の動作クロックによるタイミングで通常の動作を行い(F−1)、送信要求信号の受信不可が規定回数N1以上になると、各火災感知器3が送信要求信号を受信することなく同期要求信号を送信する(F−2)。
その後、送信要求信号の受信不可が規定回数N2以上になると、各火災感知器3が先頭のフレームF1で同期要求信号を送信する代わりに、個別に割り当てられたフレーム(火災感知器31(図1参照)が先頭のフレームF1、火災感知器32(図1参照)が2番目のフレームF2、火災感知器33(図1参照)が3番目のフレームF3)で同期要求信号を中継器2に送信する(F−3,図7のt16〜t19)。中継器2が停止中に同期要求信号を受信することはないが、復旧すると、不揮発性メモリによって各火災感知器3に割り当てた上り情報スロットDi(i=1〜32)の一覧表を認識した状態で受信状態を開始し、個別に割り当てられたフレームで同期要求信号を受信する(F−4)。同期要求信号の受信後に、中継器2が同期通知信号を各火災感知器3に送信する(F−5)。各火災感知器3が中継器2から同期通知信号を受信する(F−6)。
その後、実施形態2の火災感知システムの(E−6),(E−7)と同様に、中継器2が送信要求信号を送信し(F−7)、各火災感知器3が送信要求信号を受信して同期確立を再開する(F−8)。
以上、実施形態3によれば、各火災感知器3が送信要求信号を受信することができなかった場合、他の火災感知器3による信号の送受信との間隔をあけて同期要求信号を送信して同期通知信号を受信することによって、他の火災感知器3の信号との衝突を低減しながら中継器2との間で同期を確立するまでの待機時間を把握することができる。つまり、定期送信時と送受信の動作時間の割合を変えることなく、火災感知器3,・・・間の上り情報スロットの間隔を広げた状態で同期通知待ち動作を行うことができるので、長時間の停止中に各火災感知器3が自走して同期誤差が大きくなることに伴う火災感知器3,・・・間の送信衝突を回避することができる。
なお、実施形態3の変形例として、中継器2が停止した直後から、各火災感知器3が同期要求信号を送信して同期通知信号を受信してもよい。このような構成であっても、実施形態3と同様に、各火災感知器3が、他の火災感知器3の信号との衝突を低減しながら中継器2との間で同期を確立するまでの待機時間を把握することができる。
(実施形態4)
本発明の実施形態4について図1,2,8を用いて説明する。図8は、実施形態4の火災感知システムにおける中継器と火災感知器の無線通信を示すタイムチャートである。なお、図8のt19は図7のt19と同一である。
まず、実施形態4の火災感知システムの構成について説明する。実施形態4の火災感知システムは、図2に示すように、中央監視盤1と、複数の中継器2,・・・と、複数の火災感知器3,・・・とを実施形態3の火災感知システムと同様に備えているが、実施形態3の火災感知システムにはない以下に記載の特徴部分を有する。
実施形態4の各火災感知器3において、図1に示す感知器制御部44は、中継器2から送信要求信号を受信することができなかった場合、送信要求信号の受信不可が規定回数N3(N3>N2)以上になると、スーパーフレームSF1〜SF3(図8参照)を個別に割り当てられ、個別に割り当てられたスーパーフレームSF1〜SF3内で、中継器2との同期を新たに確立することなく動作クロックによるタイミングで、中継器2との同期の確立を要求する同期要求信号を中継器2に送信するように感知器送信部42を制御する。規定回数N3は、火災感知器3,・・・間のタイミングのずれが大きくなって、同一スーパーフレーム内では信号が衝突する可能性が高くなってしまう時間に応じて設定されたものである。また、感知器制御部44は、次の送信要求信号が送信されるタイミングまでの待機時間を含む同期通知信号を中継器2から受信するように感知器受信部41を制御する。なお、実施形態4の各火災感知器3は上記以外の点において実施形態3の火災感知器と同様である。
次に、実施形態4の火災感知システムにおいて、例えば停電などで中継器2が停止した場合の動作について図8を用いて説明する。なお、図8では受信状態を「R」と示し、送信状態を「T」と示す。実施形態4では中継器2が実施形態3よりも長期間停止している。中継器2が停止すると、実施形態3の火災感知システムの(F−1)〜(F−3)と同様に、各火災感知器3が同期確立を無視した状態で、発振子43(図1参照)の動作クロックによるタイミングで通常の動作を行い(G−1)、送信要求信号の受信不可が規定回数N1以上になると、各火災感知器3が送信要求信号を受信することなく同期要求信号を送信し(G−2)、送信要求信号の受信不可が規定回数N2以上になると、個別に割り当てられたフレームで同期要求信号を送信する(G−3)。
その後、送信要求信号の受信不可が規定回数N3以上になると、各火災感知器3がフレームごとに同期要求信号を送信する代わりに、個別に割り当てられたスーパーフレーム(火災感知器31(図1参照)が先頭のスーパーフレームSF1、火災感知器32(図1参照)が2番目のスーパーフレームSF2、火災感知器33(図1参照)が3番目のスーパーフレームSF3)で同期要求信号を中継器2に送信する(G−4,図8のt20〜t23)。中継器2が停止中に同期要求信号を受信することはないが、復旧すると、不揮発性メモリによって各火災感知器3に割り当てた上り情報スロットDi(i=1〜32)の一覧表を認識した状態で受信状態を開始して同期要求信号を受信する(G−5)。
同期要求信号の受信後の動作は、実施形態3の火災感知システムの(F−5)〜(F−8)と同様に、中継器2が同期通知信号を送信し(G−6)、各火災感知器3が同期通知信号を受信し(G−7)、その後、中継器2が次のスーパーフレームで送信要求信号を送信し(G−8)、各火災感知器3が送信要求信号を受信して同期確立を再開する(G−9)。
以上、実施形態4によれば、各火災感知器3が送信要求信号を受信することができなかった場合、他の火災感知器3による信号の送受信との間隔を十分にあけて同期要求信号を送信して同期通知信号を受信することによって、他の火災感知器3の信号との衝突を十分に低減しながら中継器2との間で同期を確立するまでの待機時間を把握することができる。
なお、実施形態4の変形例として、中継器2が停止した直後から、各火災感知器3が同期要求信号を送信して同期通知信号を受信してもよい。このような構成であっても、実施形態4と同様に、各火災感知器3が、他の火災感知器3の信号との衝突を十分に低減しながら中継器2との間で同期を確立するまでの待機時間を把握することができる。
(実施形態5)
本発明の実施形態5について図1,2,9を用いて説明する。図9は、実施形態5の火災感知システムにおける中継器と火災感知器の無線通信を示すタイムチャートである。なお、図9のt5は図4のt5と同一である。
まず、実施形態5の火災感知システムの構成について説明する。実施形態5の火災感知システムは、図2に示すように、中央監視盤1と、複数の中継器2,・・・と、複数の火災感知器3,・・・とを実施形態2の火災感知システムと同様に備えているが、実施形態2の火災感知システムにはない以下に記載の特徴部分を有する。
実施形態5の各中継器2において、図1に示す中継器制御部22は、中継器受信部21が最初に受信した同期要求信号の受信タイミングから次の送信要求信号を送信するタイミング(次のスーパーフレームの開始タイミング)を求める。なお、実施形態5の各中継器2は上記以外の点において実施形態2の中継器と同様である。
次に、実施形態5の火災感知システムにおいて、例えば停電などで中継器2が停止した場合の動作について図9を用いて説明する。なお、図9では受信状態を「R」と示し、送信状態を「T」と示す。中継器2が停止すると、実施形態2の火災感知システムの(E−1),(E−2)と同様に、各火災感知器3が同期確立を無視した状態で、発振子43(図1参照)の動作クロックによるタイミングで通常の動作を行い(H−1)、送信要求信号の受信不可が規定回数N1以上になると、各火災感知器3が送信要求信号を受信することなく同期要求信号を送信する(H−2,図9のt9〜t10)。
中継器2が停止中に同期要求信号を受信することはないが、復旧すると(t11)、不揮発性メモリによって各火災感知器3に割り当てた上り情報スロットDi(i=1〜32)の一覧表を認識した状態で受信状態を開始して同期要求信号を受信する(H−3,t12〜t13)。最初の同期要求信号の受信後に、中継器2が、各火災感知器3に割り当てた上り情報スロットDi(i=1〜32)の一覧表を用いて各火災感知器3の順番を把握し、最初に受信した同期要求信号の受信タイミングから次の送信要求信号を送信するタイミング(次のスーパーフレームの開始タイミング)(t14)を求める(H−4)。そして、中継器2が同期通知信号を各火災感知器3に送信する(H−5,t12〜t13)。各火災感知器3が中継器2から同期通知信号を受信する(H−6)。
その後、実施形態2の火災感知システムの(E−6),(E−7)と同様に、中継器2が送信要求信号を各火災感知器3に送信し(H−7,t14)、各火災感知器3が送信要求信号を受信して同期確立を再開する(H−8,t14〜t15)。
以上、実施形態5によれば、中継器2の長時間停止中に各火災感知器3が自走することによって、中継器2と各火災感知器3の間でタイミングのずれを生じているが、中継器2が、火災感知器3から最初に受信した同期要求信号の受信タイミングから次の送信要求信号を送信するタイミングを求め、各火災感知器3に同期通知信号を送信することによって、簡易かつ迅速にタイミングを求めることができる。
なお、実施形態5の変形例として、中継器2が停止した直後から、各火災感知器3が同期要求信号を送信して同期通知信号を受信するとともに、中継器2が、火災感知器3から最初に受信した同期要求信号の受信タイミングから次の送信要求信号を送信するタイミングを求めてもよい。このような構成であっても、実施形態5と同様に、簡易かつ迅速にタイミングを求めることができる。
(実施形態6)
本発明の実施形態6について図1,2を用いて説明する。
まず、実施形態6の火災感知システムの構成について説明する。実施形態6の火災感知システムは、図2に示すように、中央監視盤1と、複数の中継器2,・・・と、複数の火災感知器3,・・・とを実施形態1の火災感知システムと同様に備えているが、実施形態5の火災感知システムにはない以下に記載の特徴部分を有する。
実施形態6の各中継器2において、図1に示す中継器制御部22は、複数の火災感知器3,・・・から受信した同期要求信号の受信タイミングの平均値から次の送信要求信号を送信するタイミング(2回先のスーパーフレームの開始タイミング)を求める。なお、実施形態6の各中継器2は上記以外の点において実施形態5の中継器と同様である。
次に、実施形態6の火災感知システムにおいて、例えば停電などで中継器2が停止した場合の動作について説明する。中継器2が停止すると、実施形態5の火災感知システムの(H−1)〜(H−3)と同様に、各火災感知器3が同期確立を無視した状態で、発振子43の動作クロックによるタイミングで通常の動作を行い(I−1)、送信要求信号の受信不可が規定回数N1以上になると、各火災感知器3が送信要求信号を受信することなく同期要求信号を送信し(I−2)、中継器2が復旧すると、不揮発性メモリによって各火災感知器3に割り当てた上り情報スロットDi(i=1〜32)の一覧表を認識した状態で受信状態を開始し、全ての火災感知器3,・・・から同期要求信号を受信する(I−3)。
全ての同期要求信号の受信後に、中継器2が、各火災感知器3に割り当てた上り情報スロットDi(i=1〜32)の一覧表を用いて各火災感知器3の順番を把握し、受信した複数の同期要求信号の受信タイミングの平均値から次の送信要求信号を送信するタイミング(2回先のスーパーフレームの開始タイミング)を求める(I−4)。そして、中継器2が上記タイミングまでの待機時間を含む同期通知信号を次のスーパーフレームで各火災感知器3に送信する(I−5)。各火災感知器3が中継器2から同期通知信号を受信する(I−6)。
その後、実施形態5の火災感知システムの(H−7),(H−8)と同様に、中継器2が同期通知信号を送信した次のスーパーフレームで送信要求信号を送信し(I−7)、各火災感知器3が送信要求信号を受信して同期確立を再開する(I−8)。
以上、実施形態6によれば、中継器2の長時間停止中に各火災感知器3が自走することによって、中継器2と各火災感知器3の間でタイミングのずれを生じているが、中継器2が、複数の火災感知器3,・・・から受信した同期要求信号の受信タイミングの平均値から次の送信要求信号を送信するタイミングを求め、各火災感知器3に同期通知信号を送信することによって、送受信のタイミングが中継器2と大きくずれている火災感知器3の影響を小さくすることができる。
なお、実施形態6の変形例として、中継器2が停止した直後から、各火災感知器3が同期要求信号を送信して同期通知信号を受信するとともに、中継器2が、複数の火災感知器3,・・・から受信した同期要求信号の受信タイミングから次の送信要求信号を送信するタイミングを求めてもよい。このような構成であっても、実施形態6と同様に、送受信のタイミングが中継器2と大きくずれている火災感知器3の影響を小さくすることができる。
(実施形態7)
本発明の実施形態7について図1,2,10を用いて説明する。図10は、実施形態7の火災感知システムにおける中継器と火災感知器の無線通信を示すタイムチャートである。なお、図10のt10は図6のt10と同一である。
まず、実施形態7の火災感知システムの構成について説明する。実施形態7の火災感知システムは、図2に示すように、中央監視盤1と、複数の中継器2,・・・と、複数の火災感知器3,・・・とを実施形態3の火災感知システムと同様に備えているが、実施形態3の火災感知システムにはない以下に記載の特徴部分を有する。
実施形態7の各火災感知器3において、図1に示す感知器制御部44は、感知器受信部41が中継器2から送信要求信号を受信することができなかった場合、送信要求信号の受信不可が規定回数N2以上になると、フレームF1〜F3(図10参照)を個別に割り当てられ、個別に割り当てられたフレームF1〜F3内で、中継器2との同期を新たに確立することなく動作クロックによるタイミングで、個別に割り当てられた上り情報スロットで同期要求信号を中継器2に送信するように感知器送信部42を制御する。なお、実施形態7の各火災感知器3は上記以外の点において実施形態3の火災感知器と同様である。
次に、実施形態7の火災感知システムにおいて、中継器2が停止した場合の動作について図10を用いて説明する。なお、図10では受信状態を「R」と示し、送信状態を「T」と示す。中継器2が停止すると、実施形態3の火災感知システムの(F−1),(F−2)と同様に、各火災感知器3が同期確立を無視した状態で、発振子43(図1参照)の動作クロックによるタイミングで通常の動作を行い(J−1)、送信要求信号の受信不可が規定回数N1以上になると、各火災感知器3が送信要求信号を受信することなく同期要求信号を送信する(J−2)。
その後、送信要求信号の受信不可が規定回数N2以上になると、各火災感知器3が、個別に割り当てられたフレーム(図10では火災感知器31(図1参照)が先頭のフレームF1、火災感知器32(図1参照)が2番目のフレームF2、火災感知器33(図1参照)が3番目のフレームF3)の個別に割り当てられた上り情報スロットで同期要求信号を中継器2に送信する(J−3,図10のt24〜t27)。中継器2が停止中に同期要求信号を受信することはないが、復旧すると、不揮発性メモリによって各火災感知器3に割り当てた上り情報スロットDi(i=1〜32)の一覧表を認識した状態で受信状態を開始し、個別に割り当てられた上り情報スロットで同期要求信号を受信する(J−4)。
同期要求信号の受信後の動作は、実施形態3の(F−5)〜(F−8)と同様に、中継器2が同期通知信号を送信し(J−5)、各火災感知器3が同期通知信号を受信し(J−6)、その後、中継器2が送信要求信号を送信し(J−7)、各火災感知器3が送信要求信号を受信して同期確立を再開する(J−8)。
以上、実施形態7によれば、各火災感知器3が、個別に割り当てられた上り情報スロットを用いて同期要求信号を送信することによって、同期が確立されない期間が長時間になったとしても、信号の送受信を正常に再開することができる。
なお、実施形態7の変形例として、中継器2が停止した直後から、各火災感知器3が同期要求信号を送信し、同期通知信号を受信し、各火災感知器3が、個別に割り当てられた上り情報スロットを用いて同期要求信号を送信してもよい。このような構成であっても、実施形態7と同様に、同期が確立されない期間が長時間になったとしても、信号の送受信を正常に再開することができる。
(実施形態8)
本発明の実施形態8について図1,2,11を用いて説明する。図11は、実施形態8の火災感知システムにおける中継器と火災感知器の無線通信を示すタイムチャートである。なお、図11のt10は図6のt10と同一である。
まず、実施形態8の火災感知システムの構成について説明する。実施形態8の火災感知システムは、図2に示すように、中央監視盤1と、複数の中継器2,・・・と、複数の火災感知器3,・・・とを実施形態1の火災感知システムと同様に備えているが、実施形態3の火災感知システムにはない以下に記載の特徴部分を有する。
実施形態8の各火災感知器3において、図1に示す感知器制御部44は、感知器受信部41が中継器2から送信要求信号を受信することができなかった場合、送信要求信号の受信不可が規定回数N2以上になると、フレームF1〜F3(図11参照)を個別に割り当てられ、個別に割り当てられたフレームF1〜F3内で、中継器2との同期を新たに確立することなく動作クロックによるタイミングで、先頭の上り情報スロットで同期要求信号を中継器2に送信するように感知器送信部42を制御する。なお、実施形態8の各火災感知器3は上記以外の点において実施形態3の火災感知器と同様である。
次に、実施形態8の火災感知システムにおいて、中継器2が停止した場合の動作について図11を用いて説明する。なお、図11では受信状態を「R」と示し、送信状態を「T」と示す。中継器2が停止すると、実施形態3の火災感知システムの(F−1),(F−2)と同様に、各火災感知器3が同期確立を無視した状態で、発振子43(図1参照)の動作クロックによるタイミングで通常の動作を行い(K−1)、送信要求信号の受信不可が規定回数N1以上になると、各火災感知器3が送信要求信号を受信することなく同期要求信号を送信する(K−2)。
その後、送信要求信号の受信不可が規定回数N2以上になると、各火災感知器3が、個別に割り当てられたフレーム(図11では火災感知器31(図1参照)が先頭のフレームF1、火災感知器32(図1参照)が2番目のフレームF2、火災感知器33(図1参照)が3番目のフレームF3)の先頭の上り情報スロットで同期要求信号を中継器2に送信する(K−3,図11のt28〜t31)。中継器2が停止中に同期要求信号を受信することはないが、復旧すると、不揮発性メモリによって各火災感知器3に割り当てた上り情報スロットDi(i=1〜32)の一覧表を認識した状態で受信状態を開始し、先頭の上り情報スロットで同期要求信号を受信する(K−4)。
同期要求信号の受信後の動作は、実施形態3の(F−5)〜(F−8)と同様に、中継器2が同期通知信号を送信し(K−5)、各火災感知器3が同期通知信号を受信し(K−6)、その後、中継器2が送信要求信号を送信し(K−7)、各火災感知器3が同期通知信号を受信して同期確立を再開する(K−8)。
以上、実施形態8によれば、各火災感知器3が先頭の上り情報スロットを用いて同期要求信号を送信することによって、より早いタイミングで信号の送受信を正常に再開することができる。
なお、実施形態8の変形例として、中継器2が停止した直後から、各火災感知器3が同期要求信号を送信し、同期通知信号を受信し、各火災感知器3が、先頭の上り情報スロットを用いて同期要求信号を送信してもよい。このような構成であっても、実施形態8と同様に、より早いタイミングで信号の送受信を正常に再開することができる。