以下に、本発明撮像装置を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
本発明撮像装置は、主撮像レンズ及び主撮像レンズで形成された光学像を電気的信号に変換する主撮像素子を有する主撮像ユニットと、光路折曲素子を有するリアコンバータレンズ及びリアコンバータレンズで形成された光学像を電気的信号に変換する副撮像素子を備えるリアコンバータユニットとを備え、前記リアコンバータユニットは、光路折曲素子が主撮像ユニット内に形成される配置空間に位置して主撮像レンズの光をリアコンバータレンズに導く拡大像取得位置と、光路折曲素子が前記配置空間から離脱した待避位置との間を移動可能に構成されたものである。
従って、リアコンバータユニットが待避位置にある通常撮影状態では、主撮像レンズを経た被写体像が主撮像素子によって受光される。また、リアコンバータユニットが拡大像取得位置にある拡大像撮影状態では、主撮像レンズ及びリアコンバータレンズを経た被写体像が副撮像素子によって受光される。
本発明撮像装置にあっては、リアコンバータレンズを経て形成された光学像を受光するための副撮像素子が主撮像素子の他に用意されているので、リアコンバータレンズの配置に関して、空間利用上の制約が、従来の単一の撮像素子しか有しないものに比較して、格段少なく、小型化、特に、薄型化、すなわち、入射光軸方向での小型化に有利である。そのために、主撮像レンズには、リアコンバータレンズの光路折曲素子を挿入するための配置空間が形成されれば良く、主撮像レンズ及びリアコンバータレンズ共に設計上のサイズや形態(折曲光学系か否か等)に関する制約が少なく、高機能化を図ることができる。以上のような観点から本発明撮像装置にあっては、高変倍比と小型化との両立を図ることができる。
本発明の一実施形態による撮像装置にあっては、以下の条件式(1)を満足することが望ましい。
(1)0.15<L2/L1<0.7
但し、
L1:主撮像レンズのバックフォーカス
L2:配置空間の物体側面から主撮像レンズの光軸と光路折曲素子の反射面との交点までの距離とする。
条件式(1)は、リアコンバータレンズを主撮像レンズに装着する際にリアコンバータレンズが他の素子に衝突しない間隔を維持しつつ、リアコンバータレンズを適度なサイズに維持するための条件を規定するものである。条件式(1)の上限値を上回ると、リアコンバータレンズの口径が大きくなって、小型化を十分に図ることが出来なくなってしまう。また、条件式(1)の下限値を下回ると、主撮像レンズにおける配置空間の物体側面とリアコンバータレンズの光路折曲素子とが衝突しないための間隔を確保出来なくなってしまう。
本発明の一実施形態による撮像装置にあっては、リアコンバータレンズは、光路折曲素子の物体側に合成屈折力が負である光学素子群を有することが望ましい。
主撮像レンズと光路折曲素子との間に配置される光学素子群に負のパワー(屈折力)を持たせることで、全体で負のパワーを持つリアコンバータレンズにおいて、光路折曲素子より像側に配置される各光学素子に強いパワーを持たせる必要がなくなり、製造時における軸ずれや軸倒れに対する敏感度を小さくすることができる。また、光路折曲素子以降の光学素子の負のパワーを主撮像レンズと光路折曲素子との間に配置される光学素子群が分担することによって高変倍比化が可能になる。そのため、高性能かつ高変倍比を実現することが可能となる。
本発明の一実施形態による撮像装置にあっては、リアコンバータレンズが、光路折曲素子の物体側に合成屈折力が負である光学素子群を有する場合において、以下の条件式(2)を満足することが好ましい。
(2)0.25<L2/L1<0.7
条件式(2)は、小型化、高変倍比及び高性能を実現するための条件を規定するものである。条件式(2)の上限値を上回ると、主撮像レンズから負のパワーを持った光学素子群までの距離が長くなりすぎて十分な変倍比を維持しつつ、性能を維持することが難しい。また、サイズも大型化する。条件式(2)の下限値を下回ると、主撮像レンズにおける配置空間の物体側面と負のパワーを持った光学素子群とが衝突しないための間隔を確保することが出来なくなってしまうか、主撮像レンズのバックフォーカスが長くなりすぎて十分な明るさを確保することが出来なくなる。
本発明の一実施形態による撮像装置にあっては、リアコンバータレンズが、光路折曲素子の物体側に合成屈折力が負である光学素子群を有する場合において、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
(3)frc/f1>0.05
但し、
f1:光路折曲素子の物体側に位置する負の屈折力を有する光学素子群の焦点距離
frc:リアコンバータレンズの焦点距離
とする。
条件式(3)の下限値を下回ると、リアコンバータレンズ全体の負のパワーに対して、主撮像レンズと光路折曲素子との間に位置する光学素子群の負のパワーが弱くなりすぎて、リアコンバータレンズの光路折曲素子以降の(像側の)光学素子群との間隔を、折り曲げに必要な分だけ確保しつつ、高性能を維持することが困難となる。すなわち、主撮像レンズと光路折曲素子との間に位置する光学素子群の負のパワーが弱いパワーの時はリアコンバータレンズに入射する収束光を強く発散させることが出来ないために、前記間隔を折り曲げに必要な分だけ長く確保しようとすると、光路折曲素子以降の光学素子の第1面へ入射する光束幅が狭くなり、光線を曲げるために強い曲率が必要になる。一般的に、曲率が強くなればなるほど、画面中心と周辺の性能バランスを確保することは難しくなる。すなわち、高性能を維持することが難しくなる。
本発明の一実施形態による撮像装置にあっては、使用時に主撮像レンズの一部又は全部が移動することによって前記配置空間が形成されることが望ましい。
主撮像レンズ内又は主撮像レンズと主撮像素子との間に予め配置空間が形成されていても、前記した効果を奏するものであるが、配置空間を、主撮像レンズの一部又は全部が移動させて、形成することによって、さらなる空間利用上の利点が得られる。すなわち、主撮像レンズのうち配置空間より物体側に位置する(ことになる)部分の少なくとも一部を、使用時、すなわち、撮影時に、例えば、カメラ筐体前面より突出させて、配置空間を形成することにより、不使用時には、前記主撮像レンズの前記部分をカメラ筐体内に引き込んでおく、いわゆる、沈胴式レンズの構成とすることができ、不使用時、すなわち、撮影をしないときにおけるカメラ筐体を薄型のものとすることができる。
次に、本発明撮像装置の具体的な実施の形態及び該実施の形態に具体的な数値を適用した数値実施例について図面及び表を参照して説明する。
なお、各実施の形態において非球面が導入されており、該非球面形状は、次の数1式によって定義されるものとする。
ここで、xは高さyでの光軸方向の変位量(面頂点基準)、yは光軸に垂直な方向の高さ、cは近軸曲率、kは円錐係数、Aは4次の非球面係数、Bは6次の非球面係数、Cは8次の非球面係数、Dは10次の非球面係数である。
図1及び図2は本発明撮像装置の第1の実施の形態1のレンズ構成を示すものであり、図1は通常撮影状態、すなわち、リアコンバータユニットが待避位置にある状態を示し、図2は拡大像撮影状態、すなわち、リアコンバータユニットが拡大像取得位置にある状態を示す。
主撮像ユニット1MUは主撮像レンズ1Mと該主撮像レンズ1Mによって形成された光学像を電気的信号に変換する主撮像素子MIを備える。
主撮像レンズ1Mは、物体側より順に、第1レンズ群Gr1、第2レンズ群Gr2、第3レンズ群Gr3、第4レンズ群Gr4及び第5レンズ群Gr5が配列されて成る。そして、第5レンズ群Gr5の後方に主撮像素子MIが配置されている。
第1レンズ群Gr1は、物体側から順に、凸面を物体側に向けた負メニスカスレンズG1、光路をほぼ90°折り曲げるプリズムG2、両凸形状の正レンズG3が配列されて成り、正レンズG3の両面(第5面、第6面)は非球面で構成されている。第2レンズ群Gr2は、物体側から順に、凸面を物体側に向けた負メニスカスレンズG4、両凹形状の負レンズと凹面を像側に向けた正メニスカスレンズとの接合負レンズG5、両凹形状の負レンズG6が配列されて成る。第3レンズ群Gr3は、両凸形状の正レンズG7から成り、正レンズG7の両面(第14面、第15面)は非球面で構成されている。第4レンズ群Gr4は、物体側から順に位置した、両凸形状の正レンズと像側に凸面を向けた負メニスカスレンズとの接合正レンズG8から成り、正レンズの物体側面(第17面)は非球面で構成されている。第5レンズ群Gr5は、物体側から順に、凸面を物体側に向けた負メニスカスレンズG9、両凸形状の正レンズG10が配列されて成る。そして、主撮像素子MIと第5レンズ群Gr5との間には2枚のフィルタFLが介挿され、物体側のフィルタFLと第5レンズ群GR5との間の空間が配置空間SPCとされる。また、第3レンズ群Gr3の像側に近接して開口絞りSが位置している。
リアコンバータユニット1RUはリアコンバータレンズ1RCと前記主撮像レンズ1M及びリアコンバータレンズ1RCによって形成された光学像を電気的信号に変換する副撮像素子SIを備える。
リアコンバータレンズ1RCは、光路折曲素子としてプリズムL3を有し、該プリズムL3の物体側に、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL1、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズがL2が配列され、これら2枚のレンズL1、L2が光路折曲素子の物体側に位置した合成屈折力が負である光学素子群を構成する。そして、前記負メニスカスレンズL2の両面(第3面、第4面)は非球面で構成されている。前記プリズムL3の像側には、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズと像側に凸面を向けた負メニスカスレンズとの接合負レンズL4、両凸形状の正レンズと両凹形状の負レンズとの接合正レンズL5が配列されている。そして、副撮像素子SIと接合正レンズL5との間には2枚のフィルタFLが介挿されている。
そして、図1に示した、通常撮影状態では、リアコンバータユニット1RUは配置空間SPCから退避した退避位置にあり、主撮像レンズ1Mを透過してきた光束は配置空間SPCを経て主撮像素子MIによって受光される。
そして、図2に示した拡大像撮影状態では、リアコンバータユニット1RUが主撮像ユニット1MUに装着された状態、すなわち、リアコンバータレンズ1RCのプリズムL3及び負の屈折力を有するレンズ群L1、L2が前記配置空間SPCに挿入された状態とされ、主撮像レンズ1Mの第5レンズ群Gr5を出た光束は、負の屈折力を有するレンズ群L1、L2を透過した後プリズムL3の反射面で反射されて、さらに、接合レンズL4、L5を経て副撮像素子SIによって受光される。
表1乃至表4に前記第1の実施の形態1に具体的数値を適用した数値実施例1における主撮像レンズ1Mのレンズデータを示す。
先ず、表1に焦点距離f、FナンバーFNO、半画角ωを広角端(f=6.00)、中間焦点距離(f=16.95)、望遠端(f=28.24)毎に示す。
次に、表2に主撮像レンズ1Mの面番号、曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数を示す。なお、面番号は、物体側からの順番を示し、曲率半径は物体側からi番目の面の曲率半径を示し、面間隔は物体側からi番目の面とi+1番目の面との間の軸上面間隔を示し、屈折率は、物体側に第i面を有する媒体のd線(波長=587.6nm)に対する屈折率を示し、アッベ数は物体側に第i面を有する媒体のd線に対する屈折率を示す。なお、曲率半径に関し「0」は当該面が平面であることを示し、面間隔に関し「Di」は当該面間隔が可変間隔であることを示す。
前記したように主撮像レンズ1Mの第5面、第6面、第14面、第15面及び第17面は非球面で構成されている。そこで、数値実施例1における前記各面の4次、6次、8次、10次の非球面係数A、B、C、Dを円錐係数κと共に表3に示す。なお、表3及び以下の非球面係数を示す表において「E−i」は10を底とする指数表現、すなわち、「10−i」を表しており、例えば、「0.12345E-05」は「0.12345×10−5」を表している。
広角端から望遠端へのズーミングに際し、第1レンズ群Gr1と第2レンズ群Gr2との間の面間隔D6、第2レンズ群Gr2と第3レンズ群Gr3との間の面間隔D13、第3レンズ群Gr3(開口絞りS)と第4レンズ群Gr4との間の面間隔D16及び第4レンズ群Gr4と第5レンズ群Gr5との間の面間隔D19が変化する。そこで、数値実施例1における前記各可変面間隔の広角端(f=6.00)、中間焦点距離(f=16.95)、望遠端(f=28.24)における数値を表4に示す。
リアコンバータユニット1RUを主撮像ユニット1MUに装着した拡大像撮影状態において、数値実施例1の主撮像レンズ1Mとリアコンバータレンズ1RCとで得られる焦点距離f、FナンバーFNO、半画角ωを広角端(f=12.00)、中間焦点距離(f=33.85)、望遠端(f=56.54)毎に表5に示す。
次に、表6にリアコンバータレンズ1RCの面番号、曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数を示す。なお、面番号は、負メニスカスレンズL1の物体側面を第1面とし、以下副撮像素子SIに向かって順番に増加し、曲率半径は負メニスカスレンズL1の物体側面からi番目の面の曲率半径を示し、面間隔は負メニスカスレンズL1の物体側面からi番目の面とi+1番目の面との間の軸上面間隔を示し、屈折率は、物体側に第i面を有する媒体のd線に対する屈折率を示し、アッベ数は物体側に第i面を有する媒体のd線に対する屈折率を示す。なお、曲率半径に関し「0」は当該面が平面であることを示す。
前記したようにリアコンバータレンズ1RCの第3面及び第4面は非球面で構成されている。そこで、数値実施例1における前記各面の4次、6次、8次、10次の非球面係数A、B、C、Dを円錐係数κと共に表7に示す。
前記数値実施例1の前記各条件式対応値を表8に示す。
図3乃至図5は本発明の数値実施例1における主撮像レンズ1Mの無限遠合焦状態での収差図をそれぞれ示し、図3は広角端状態(ω=31.0度)、図4は中間焦点距離状態(ω=12.0度)、図5は望遠端状態(ω=7.3度)における諸収差図を示す。
図6乃至図8は数値実施例1におけるリアコンバータレンズ1RCを主撮像レンズ1Mに装着した場合の無限遠合焦状態での収差図をそれぞれ示し、図6は広角端状態(ω=16.7度)、図7は中間焦点距離状態(ω=6.1度)、図8は望遠端状態(ω=3.6度)における諸収差図を示す。
前記各収差図において、収差は波長d線に対応するものであり、非点収差図中の実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面を示す。
各収差図から、数値実施例1は高変倍比でありながら収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
図9及び図10は本発明撮像装置の第2の実施の形態2のレンズ構成を示すものであり、図9は通常撮影状態、すなわち、リアコンバータユニットが待避位置にある状態を示し、図10は拡大像撮影状態、すなわち、リアコンバータユニットが拡大像取得位置にある状態を示す。なお、この第2の実施の形態において、主撮像ユニットには前記第1の実施の形態における主撮像ユニット1MUと同じ構成のものを使用するので、その詳細の説明は省略する。
リアコンバータユニット2RUはリアコンバータレンズ2RCと主撮像レンズ1M及びリアコンバータレンズ2RCによって形成された光学像を電気的信号に変換する副撮像素子SIを備える。
リアコンバータレンズ2RCは、光路折曲素子としてプリズムL3を有し、該プリズムL3の物体側に、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL1、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL2が配列され、これら2枚のレンズL1、L2が光路折曲素子の物体側に位置した合成屈折力が負である光学素子群を構成する。そして、前記負メニスカスレンズL2の両面(第3面、第4面)は非球面で構成されている。前記プリズムL3の像側には、物体側から順に、両凸形状の正レンズと両凹形状の負レンズとの接合正レンズL4、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL5が配列されている。そして、副撮像素子SIと接合正レンズL5との間には2枚のフィルタFLが介挿されている。
そして、図9に示した、通常撮影状態では、リアコンバータユニット2RUは配置空間SPCから退避した退避位置にあり、主撮像レンズ1Mを透過してきた光束は配置空間SPCを経て主撮像素子MIによって受光される。
そして、図10に示した拡大像撮影状態では、リアコンバータユニット2RUが主撮像ユニット2MUに装着された状態、すなわち、リアコンバータレンズ2RCのプリズムL3及び負の屈折力を有するレンズ群L1、L2が前記配置空間SPCに挿入された状態とされ、主撮像レンズ1Mの第5レンズ群Gr5を出た光束は、負の屈折力を有するレンズ群L1、L2を透過した後プリズムL3の反射面で反射されて、さらに、接合レンズL4、正メニスカスレンズL5を経て副撮像素子SIによって受光される。
次に、前記第2の実施の形態2に具体的数値を適用した数値実施例2に関して、リアコンバータユニット2RUを主撮像ユニット1MUに装着した拡大像撮影状態において、数値実施例2の主撮像レンズ1Mとリアコンバータレンズ2RCとで得られる焦点距離f、FナンバーFNO、半画角ωを広角端(f=10.80)、3つの中間焦点距離(f=20.30、30.47、40.65)、望遠端(f=50.85)毎に表9に示す。
次に、表10にリアコンバータレンズ2RCの面番号、曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数を示す。なお、面番号は、正メニスカスレンズL1の物体側面を第1面とし、以下副撮像素子SIに向かって順番に増加し、曲率半径は正メニスカスレンズL1の物体側面からi番目の面の曲率半径を示し、面間隔は正メニスカスレンズL1の物体側面からi番目の面とi+1番目の面との間の軸上面間隔を示し、屈折率は、物体側に第i面を有する媒体のd線に対する屈折率を示し、アッベ数は物体側に第i面を有する媒体のd線に対する屈折率を示す。なお、曲率半径に関し「0」は当該面が平面であることを示す。
前記したようにリアコンバータレンズ2RCの第3面及び第4面は非球面で構成されている。そこで、数値実施例2における前記各面の4次、6次、8次、10次の非球面係数A、B、C、Dを円錐係数κと共に表11に示す。
前記数値実施例2の前記各条件式対応値を表12に示す。
図11乃至図13は数値実施例2におけるリアコンバータレンズ2RCを主撮像レンズ1Mに装着した場合の無限遠合焦状態での収差図をそれぞれ示し、図11は広角端状態(ω=18.4度)、図12は中間焦点距離状態(ω=6.7度)、図13は望遠端状態(ω=4.0度)における諸収差図を示す。
前記各収差図において、収差は波長d線に対応するものであり、非点収差図中の実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面を示す。
各収差図から、数値実施例2は高変倍比でありながら収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
図14及び図15は本発明撮像装置の第3の実施の形態3のレンズ構成を示すものであり、図14は通常撮影状態、すなわち、リアコンバータユニットが待避位置にある状態を示し、図15は拡大像撮影状態、すなわち、リアコンバータユニットが拡大像取得位置にある状態を示す。
主撮像ユニット3MUは主撮像レンズ3Mと該主撮像レンズ3Mによって形成された光学像を電気的信号に変換する主撮像素子MIを備える。
主撮像レンズ3Mは、物体側より順に、第1レンズ群Gr1、第2レンズ群Gr2、第3レンズ群Gr3、第4レンズ群Gr4及び第5レンズ群Gr5が配列されて成る。そして、第5レンズ群Gr5の後方に主撮像素子MIが配置されている。
第1レンズ群Gr1は、物体側から順に、凸面を物体側に向けた負メニスカスレンズG1、光路をほぼ90°折り曲げるプリズムG2、両凸形状の正レンズG3が配列されて成り、正レンズG3の両面(第5面、第6面)は非球面で構成されている。第2レンズ群Gr2は、物体側から順に、凸面を物体側に向けた負メニスカスレンズG4、両凹形状の負レンズと凹面を像側に向けた正レンズとの接合負レンズG5、凹面を物体側に向けた負レンズG6が配列されて成る。第3レンズ群Gr3は、両凸形状の正レンズG7から成り、正レンズG7の両面(第14面、第15面)は非球面で構成されている。第4レンズ群Gr4は、物体側から順に位置した、両凸形状の正レンズと像側に凸面を向けた負メニスカスレンズとの接合正レンズG8から成り、正レンズの物体側面(第17面)は非球面で構成されている。第5レンズ群Gr5は、物体側から順に、凸面を物体側に向けた負メニスカスレンズG9、両凸形状の正レンズG10が配列されて成る。そして、主撮像素子MIと第5レンズ群Gr5との間には2枚のフィルタFLが介挿され、物体側のフィルタFLと第5レンズ群GR5との間の空間が配置空間SPCとされる。また、第3レンズ群Gr3の像側に近接して開口絞りSが位置している。
リアコンバータユニット3RUはリアコンバータレンズ3RCと前記主撮像レンズ3M及びリアコンバータレンズ3RCによって形成された光学像を電気的信号に変換する副撮像素子SIを備える。
リアコンバータレンズ3RCは、光路折曲素子としてミラーL1を有し、該ミラーL1の像側には、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL2、両凹形状の負レンズL3、両凸形状の正レンズと両凹形状の負レンズとの接合正レンズL4、両凸形状の正レンズと像側に凸面を向けた負メニスカスレンズとの接合正レンズL5が配列されて成る。そして、副撮像素子SIと接合正レンズL5との間には2枚のフィルタFLが介挿されている。
そして、図14に示した、通常撮影状態では、リアコンバータユニット3RUは配置空間SPCから退避した退避位置にあり、主撮像レンズ3Mを透過してきた光束は配置空間SPCを経て主撮像素子MIによって受光される。
そして、図15に示した、拡大像撮影状態では、リアコンバータユニット3RUが主撮像ユニット3MUに装着された状態、すなわち、リアコンバータレンズ3RCのミラーL12が前記配置空間SPCに挿入された状態とされ、主撮像レンズ3Mの第5レンズ群Gr5を出た光束は、ミラーL1の反射面で反射されて、さらに、各レンズL2、L3、L4、L5及びフィルタFLを経て副撮像素子SIによって受光される。
表13乃至表16に前記第3の実施の形態3に具体的数値を適用した数値実施例3における主撮像レンズ3Mのレンズデータを示す。
先ず、表13に焦点距離f、FナンバーFNO、半画角ωを広角端(f=6.00)、3つの中間焦点距離(f=15.08、16.95、22.60)、望遠端(f=28.25)毎に示す。
次に、表14に主撮像レンズ3Mの面番号、曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数を示す。なお、面番号は、物体側からの順番を示し、曲率半径は物体側からi番目の面の曲率半径を示し、面間隔は物体側からi番目の面とi+1番目の面との間の軸上面間隔を示し、屈折率は、物体側に第i面を有する媒体のd線に対する屈折率を示し、アッベ数は物体側に第i面を有する媒体のd線に対する屈折率を示す。なお、曲率半径に関し「0」は当該面が平面であることを示し、面間隔に関し「Di」は当該面間隔が可変間隔であることを示す。
前記したように主撮像レンズ3Mの第5面、第6面、第14面、第15面及び第17面は非球面で構成されている。そこで、数値実施例3における前記各面の4次、6次、8次、10次の非球面係数A、B、C、Dを円錐係数κと共に表15に示す。
広角端から望遠端へのズーミングに際し、第1レンズ群Gr1と第2レンズ群Gr2との間の面間隔D6、第2レンズ群Gr2と第3レンズ群Gr3との間の面間隔D13、第3レンズ群Gr3(開口絞りS)と第4レンズ群Gr4との間の面間隔D16及び第4レンズ群Gr4と第5レンズ群Gr5との間の面間隔D19が変化する。そこで、数値実施例3における前記各可変面間隔の広角端(f=6.00)、中間焦点距離(f=16.95)、望遠端(f=28.25)における数値を表16に示す。
リアコンバータユニット3RUを主撮像ユニット3MUに装着した拡大像撮影状態において、数値実施例3の主撮像レンズ3Mとリアコンバータレンズ3RCとで得られる焦点距離f、FナンバーFNO、半画角ωを広角端(f=10.80)、3つの中間焦点距離(f=27.05、30.41、40.57)、望遠端(f=50.71)毎に表17に示す。
次に、表18にリアコンバータレンズ3RCの面番号、曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数を示す。なお、面番号は、ミラーL1の反射面を第1面とし、以下副撮像素子SIに向かって順番に増加し、曲率半径はミラーL1の反射面からi番目の面の曲率半径を示し、面間隔はミラーL1の反射面からi番目の面とi+1番目の面との間の軸上面間隔を示し、屈折率は、物体側に第i面を有する媒体のd線に対する屈折率を示し、アッベ数は物体側に第i面を有する媒体のd線に対する屈折率を示す。なお、曲率半径に関し「0」は当該面が平面であることを示す。
前記したようにリアコンバータレンズ3RCの第4面及び第5面は非球面で構成されている。そこで、数値実施例3における前記各面の4次、6次、8次、10次の非球面係数A、B、C、Dを円錐係数κと共に表19に示す。
表20に数値実施例3の各条件式対応値を示す。
図16乃至図18は本発明の数値実施例3における主撮像レンズ3Mの無限遠合焦状態での収差図をそれぞれ示し、図16は広角端状態(ω=31.0度)、図17は中間焦点距離状態(ω=12.0度)、図18は望遠端状態(ω=7.3度)における諸収差図を示す。
図19乃至図21は数値実施例3におけるリアコンバータレンズ3RCを主撮像レンズ3Mに装着した場合の無限遠合焦状態での収差図をそれぞれ示し、図19は広角端状態(ω=18.4度)、図20は中間焦点距離状態(ω=6.8度)、図21は望遠端状態(ω=4.1度)における諸収差図を示す。
前記各収差図において、収差は波長d線に対応するものであり、非点収差図中の実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面を示す。
各収差図から、数値実施例3は高変倍比でありながら収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
図22に本発明撮像装置の制御部の一例をブロック図で示す。
デジタルスチルカメラ10には主撮像ユニットMU及びリアコンバータユニットRUを備えた撮像部20が内蔵されている。図22は撮像部20が拡大像撮影状態、すなわち、リアコンバータユニットRCが拡大像取得位置にある状態を示している。撮像部20の主撮像素子MIが出力する画像信号はアンプ21で増幅された後カメラ信号処理部22でA/D(アナログ/デジタル)変換等の処理を施された後画像処理部31に送出される。また、撮像部20の副撮像素子SIが出力する画像信号は別のアンプ23で増幅された後カメラ信号処理部24でA/D(アナログ/デジタル)変換等の処理を施された後画像処理部31に送出される。
なお、前記した主撮像素子MI及び副撮像素子SIとしては、CCDやCMOSを適用することが出来る。
また、撮像部20には、リアコンバータユニットRUを移動させるアクチュエータ25が備えられ、該アクチュエータ25は後述する制御部からの指令応じた駆動信号を出力するアクチュエータドライバ26の前記駆動信号によって動作する。なお、撮像部20には、その他にも、開口絞りの開口度を制御するアイリスアクチュエータ、該アイリスアクチュエータ用のドライバ、ズーミング時に変倍レンズ群を駆動するズームアクチュエータ、該ズームアクチュエータ用のドライバ等が備えられているが、図示を省略する。
画像処理部31に入力された画像信号は、ここで各種処理を施された後、所定の方式でデータ圧縮され、画像データとして内部メモリー32に一時保存される。また、前記画像データは画像録再部33に送出され、該画像録再部33にて記録される。画像録再部33は長期保存に適した記録媒体、例えば、ハードディスク、各種CD(Compact Disk)、各種DVD(Digital Versatile Disc)、磁気テープ等に記録し及びこれら記録媒体に記録された信号を読み出すドライブを1乃至複数備えたものである。前記画像処理部31から送られた画像データは画像録再部33に備えられたドライブによって所定の記録媒体に記録される。また、記録媒体に記録された画像データは必要に応じて画像処理部31へと読み出される。
外部メモリインターフェース34を介してメモリドライブ35が備えられており、該メモリドライブ35にメモリカード40を挿脱できるようになっている。そして、画像処理部31から送出された画像データは外部メモリインターフェース34を介してメモリドライブ35に装着されたメモリカード40に記録される。また、外部メモリインターフェース34を介してメモリドライブ35に装着されたメモリカード40に記録されている画像データを画像処理部31へ読み込むことが出来、該読み込んだ画像データを前記画像録再部33の記録媒体に記録することが出来る。さらに、内部メモリー32に一時的に保存した画像データ、画像録再部33の記録媒体に記録した画像データ、メモリカード40に記録されている画像データによる画像をモニタドライバ36を介して液晶表示パネル等のモニタ37に表示することが出来る。
デジタルスチルカメラ10の全体を制御する制御部38が備えられており、該制御部38によって、画像処理部31、画像録再部33への指示が為される。また、制御部38には操作ボタン、操作ダイヤル等の各種操作子を備える操作部39からの操作信号が入力され、該操作信号に応じた各種指令が、前記アクチュエータドライバ26を含む各部に送出され、該指令に応じた動作が各部において為される。
なお、上記したブロック図では、本発明をデジタルスチルカメラに適用した例を示したが、デジタルビデオカメラとして適用することが出来ることは勿論である。
本発明をデジタルスチルカメラに適用した場合のカメラ筐体内での配置例を図23に示す。
デジタルスチルカメラ50は薄型の、すなわち、入射光軸方向Xでのサイズを小さくしたカメラ筐体51を有する。
カメラ筐体51の前面51aの一方の側部の上方に変位した位置に主撮像レンズ52の前端52aが配置される。主撮像レンズ52は第1レンズ群に光路折曲部材52b(例えば、図1のG2)を有しているので、第1レンズ52c(例えば、図1のG1)から入射した光はカメラ筐体51の前面51aに沿う方向、図23の例では、下方に、折り曲げられる。図23では通常撮影状態を示しており、リアコンバータレンズ53のプリズム53aが主撮像レンズ52の像側端に形成された配置空間54内から退避した退避位置に位置している。プリズム53aは光路をほぼ90゜折り曲げるので、リアコンバータレンズ53の光軸方向をカメラ筐体51の前面51aに沿う方向に折り曲げることができる。従って、主撮像レンズ52及びリアコンバータレンズ53の光軸が何れもカメラ筐体51の前面51aに沿う方向に延びているので、カメラ筐体51の厚み(X方向の大きさ)を小さくすること、すなわち、薄型化が可能である。
なお前記配置空間54の像側には主撮像素子55が配置され、また、リアコンバータレンズ53の像側には副撮像素子56が配置されている。
さらに、カメラ筐体51の上面51bにはシャッターレリーズボタン57が、また、カメラ筐体51の前面51aの上部中央部にはストロボ発光部58が配置されている。
図24乃至図26に、主撮像レンズに光路折曲素子を含まない場合のカメラ筐体内での配置例を示す。
デジタルスチルカメラ60は薄型の、すなわち、入射光軸方向Xでのサイズを小さくしたカメラ筐体61を有する。
前記カメラ筐体61にはその前面61aから突出した使用位置(図24、図25参照)カメラ筐体61内に引き込まれた不使用位置(図26参照)との間で移動自在に構成された沈胴型レンズ鏡筒62を備え、該沈胴型レンズ鏡筒62に主撮像レンズ63の大部分の構成要素が支持されている。そして、レンズ鏡筒62が使用位置まで引き出されると、主撮像レンズ63と主撮像素子64との間の間隔が正規の間隔となり、また、配置空間65が形成される。また、図26に示す不使用状態では、レンズ鏡筒62がカメラ筐体61内に完全に引き込まれ、前面61aからの突出物がほとんど無くなり、携帯や収納に好適な状態となる。
リアコンバータレンズ66はそのプリズム66aが前記配置空間65に挿入離脱自在に構成されている。また、リアコンバータレンズ66の像側には副撮像素子67が配置されている。
カメラ筐体61の上面61bにはシャッターレリーズボタン61cが、また、カメラ筐体61の前面61aの上部にはストロボ発光部61dが配置されている。また、カメラ筐体61の背面61eには液晶表示パネル等からなるモニタ68が配置されている。さらに、前記シャッターレリーズボタン61cを囲む位置にはパワースイッチ69が回転可能に設けられている。
前記デジタルスチルカメラ60において、図26に示す不使用状態から、パワースイッチをON(オン)の状態にすると、レンズ鏡筒62が図24、図25に示すように突出し、撮影可能な状態となる。図24に示す状態(リアコンバータレンズ66のプリズム66aが配置空間から離脱している通常撮影状態)でシャッターレリーズボタン61cが押下されると、主撮像レンズ63で形成された被写体像が主撮像素子64に受光される。そして、図24に示す状態から図示しないモードスイッチが拡大像撮影モードにされると、リアコンバータレンズ66のプリズム66aが配置空間65内に挿入されて図25に示す拡大像撮影状態となる。この状態でシャッターレリーズボタン61cが押下されると、主撮像レンズ63及びリアコンバータレンズ66によって形成された被写体像が副撮像素子67に受光される。
そして、前記パワースイッチ69がOFF(オフ)の状態とされると、レンズ鏡筒62がカメラ筐体61内に引き込まれて、図26に示す不使用状態とされる。なお、このとき、リアコンバータレンズ66のプリズム66aが配置空間65内に挿入されているときは、先ず、リアコンバータレンズ66のプリズム66aが配置空間65から離脱し、その後に、レンズ鏡筒62がカメラ筐体61内に引き込まれる。
なお、前記各実施の形態において示した各部の形状及び数値は、何れも本発明を実施するための具体化のほんの一例にすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
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