JP4923840B2 - チェーン、およびチェーンドライブシステム - Google Patents

チェーン、およびチェーンドライブシステム Download PDF

Info

Publication number
JP4923840B2
JP4923840B2 JP2006220328A JP2006220328A JP4923840B2 JP 4923840 B2 JP4923840 B2 JP 4923840B2 JP 2006220328 A JP2006220328 A JP 2006220328A JP 2006220328 A JP2006220328 A JP 2006220328A JP 4923840 B2 JP4923840 B2 JP 4923840B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chain
sliding
groove
plate
recess
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006220328A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008045635A (ja
Inventor
毅 樋口
豊 馬渕
雅之 田村
眞 加納
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2006220328A priority Critical patent/JP4923840B2/ja
Publication of JP2008045635A publication Critical patent/JP2008045635A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4923840B2 publication Critical patent/JP4923840B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Devices For Conveying Motion By Means Of Endless Flexible Members (AREA)

Description

本発明は、チェーンガイドやテンショナーなどのガイド機構に対して油潤滑環境下で摺動する摺動面を備えるチェーン、およびチェーンドライブシステムに関する。
エンジン用のチェーンドライブシステムのタイミングチェーンやバランサチェーンには、ローラチェーンやサイレントチェーンなどのチェーンが用いられている。チェーンドライブシステムには、走行中のチェーンの振動、横振れを防止するためのチェーンガイドや、循環走行するチェーンに適切な張力を付与するためのテンショナーなどが設けられている。チェーンは、チェーンガイドやテンショナーなどのガイド機構に対して油潤滑環境下で接触し、摺動しながら走行する。
この場合、チェーンを構成するリンクプレート、ガイドプレートなどのプレートは、ガイド機構と接触する側の端面が摺動面となっており、プレートとガイド機構との間の摺動抵抗がチェーン駆動時の機械損失となる。
プレートとガイド機構との間の摺動抵抗を軽減する技術として、チェーンガイドの表面改質(特許文献1、特許文献2)、チェーンへのオイル供給を保証するシステム(特許文献3、特許文献4)が提案されている。
また、表面粗さを細かくするために、プレート端面を研削加工(特許文献5)したり、シェービング加工(特許文献6)したりする技術が提案されている。しかしながら、これらの技術はプレート端面の形状や表面粗さを特定するものではなく、ガイド機構との摺動抵抗を低減する効果は限定的なものである。
特開2005−112871号公報 特開2005−048786号公報 特開2005−048693号公報 特開2005−030352号公報 特開2002−156002号公報 特開平9−217796号公報
そこで、本発明の目的は、プレート端面の形状および表面粗さを最適なものとすることにより、プレートとガイド機構との間の摺動抵抗を低減し、摺動抵抗による駆動損失を軽減し得るチェーン、およびチェーンドライブシステムを提供することにある。
上記目的を達成するための請求項1に記載の本発明は、チェーンガイドやテンショナーなどのガイド機構に対して油潤滑環境下で摺動する摺動面を備え、相互に連結される複数のプレートと、
前記プレートの前記摺動面に摺動方向と同じ方向に沿って形成された溝形状の凹部と、を有し、
前記凹部が、前記摺動方向に対して直交する方向に沿って両端に位置する盛り上がり角部を有し、
前記凹部の溝深さが、前記プレートの厚さに対して、1/1000〜1/20、より好ましくは、1/700〜1/200であることを特徴とするチェーンである。
また、上記目的を達成するための請求項に記載の本発明は、請求項1から請求項のいずれか1つに記載のチェーンと、
前記プレートの前記摺動面が摺動する表面を備えるガイド機構と、を有し、
前記プレートの前記摺動面の硬度が、前記ガイド機構の前記表面の硬度よりも大きいチェーンドライブシステムである。
本発明によれば、プレートとガイド機構との間の摺動抵抗を低減することができ、もって、摺動抵抗による駆動損失を軽減することが可能となる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、エンジン用のチェーンドライブシステム10を示す概略構成図、図2(A)および(B)は、チェーンドライブシステム10のタイミングチェーンとして用いるサイレントチェーン20を示す平面図および正面図、図3(A)は、サイレントチェーン20のリンクプレート21を示す斜視図、図3(B)は、図3(A)の3B−3B線に沿う断面であり、リンクプレート21の摺動面22に形成された溝形状の凹部23を示す断面図である。
図1を参照して、エンジン用のチェーンドライブシステム10は、タイミングチェーンとして用いるサイレントチェーン20と、スプロケット31、32と、走行中のチェーンの振動、横振れを防止するためのチェーンガイド41と、循環走行するチェーンに適切な張力を付与するためのテンショナー42とを有する。サイレントチェーン20は、チェーンガイド41やテンショナー42などのガイド機構40に対して油潤滑環境下で接触し、摺動しながら走行する。
図2(A)(B)および図3(A)を参照して、サイレントチェーン20は、ガイド機構40に対して油潤滑環境下で摺動する摺動面22を備え、相互に連結される複数のプレート21を有する。さらに詳しくは、サイレントチェーン20は、複数のリンクプレート21(プレートに相当する)が連結ピン24によって長手方向に交互に連結されている。図3(A)において図中上端に示される端面が、ガイド機構40に対して油潤滑環境下で摺動する摺動面22となる。リンクプレート21には、連結ピン24が挿通される一対の孔25と、摺動面22と反対側に位置し、スプロケット31、32の歯と噛み合うように切り欠かれた噛み合い部26と、が形成されている。図3(A)に付した矢印Xは、チェーンの摺動方向を示し、矢印Yは、リンクプレート21の厚み方向、あるいはチェーンの摺動方向に対して直交する方向を示している。
チェーンの歯幅方向(図2(A)において上下方向)の両側には、ガイドプレート27が連結ピン24によって連結されている。連結ピン24は、ガイドプレート27に圧入、カシメなどにより固定されている。ガイドプレート27にも、連結ピン24を固定するための一対の孔が形成されているが、リンクプレート21のような噛み合い部26は形成されていない。このため、ガイドプレート27は、スプロケット31、32に巻き掛けられたサイレントチェーン20の幅方向の移動(横ズレ)を規制し、スプロケット31、32からの脱落を防止する機能を有する。
次に、リンクプレート21の摺動面22の表面形状について説明する。
図3(A)(B)を参照して、本実施形態にあっては、リンクプレート21の摺動面22に摺動方向Xと同じ方向に沿って溝形状の凹部23が形成されている。リンクプレート21の摺動面22がガイド機構40に対して油潤滑環境下で摺動する場合には、凹部23に潤滑油が保持される。この凹部23は摺動方向Xと同じ方向に沿って溝形状を有していることから、ガイド機構40に対して摺動する際の接触部分に十分な潤滑油が保持される。したがって、リンクプレート21とガイド機構40との間の摺動抵抗を低減することができ、もって、摺動抵抗による駆動損失を軽減することが可能となる。
本実施形態ではリンクプレート21の摺動面22に溝形状の凹部23を形成したが、サイレントチェーン20を構成するプレートにはガイドプレート27もある。そこで、リンクプレート21のみならず、ガイドプレート27の摺動面にも摺動方向Xと同じ方向に沿って溝形状の凹部を形成しても良い。摺動抵抗による駆動損失を軽減する効果を大きくできるからである。
なお、溝形状の凹部23は、すべてのリンクプレート21に形成してもよいし、リンクプレート21を要素とするサイレントチェーン20とガイド機構40との間の摺動抵抗を低減することができる限りにおいて、一部のリンクプレート21に形成してもよい。
溝形状の凹部23は、摺動方向Xに対して直交する方向Yに沿う両端に、凹部23の溝底28から突出する盛り上がり角部29が位置する。摺動方向Xに対して直交する方向Yに、潤滑油を流出させないためである。一方、摺動方向Xに沿う両端または一方の端部の形状は、摺動面22とガイド機構40との間に潤滑油を確実に介在させて摺動抵抗を低減することができる限りにおいて、適宜の構造を採用することができる。例えば、開放してもよいし、盛り上がり角部29とほぼ同じ高さの壁部を形成してもよいし、溝底28から突出するものの盛り上がり角部29よりは低い壁部を形成してもよい。また、摺動方向Xに沿う端部以外、つまり摺動方向Xに沿う途中の部位に、壁部を形成することもできる。
摺動抵抗による駆動損失を軽減する効果を大きくするためには、凹部23の溝深さdを、プレートの厚さtに対して、1/1000〜1/20とすることが望ましい。
摺動面22の表面粗さが十分に平滑に仕上げ加工された面の場合には、凹部23の溝深さdがリンクプレート21の厚さtの1000分の1以上となっていれば十分である。十分に仕上げ加工を行っていない凹凸がある表面において、表面の凹凸が非常に大きい場合においても、凹部23の溝深さdがリンクプレート21の厚さtの20分の1以下であれば、摺動抵抗による駆動損失を軽減する効果を発現する。
摺動抵抗による駆動損失を軽減する効果をより大きくするためには、凹部23の溝深さdは、プレートの厚さtに対して、より好ましくは、1/700〜1/200である。
摺動抵抗による駆動損失を軽減する効果を大きくするためには、凹部23の溝深さdを、1μm〜50μmとすることが望ましい。
摺動面22の表面粗さが十分に平滑に仕上げ加工された面の場合には、凹部23の溝深さdが1μm以上となっていれば十分である。十分に仕上げ加工を行っていない凹凸がある表面において、表面の凹凸が非常に大きい場合においても、凹部23の溝深さdが50μm以下であれば、摺動抵抗による駆動損失を軽減する効果を発現する。
摺動抵抗による駆動損失を軽減する効果をより大きくするためには、凹部23の溝深さdは、より好ましくは、2μm〜5μmである。
リンクプレート21とガイド機構40との間の摺動抵抗をさらに低減するためには、摺動面22の表面粗さを小さくすることが有効である。特に、凹部23の溝底28における面粗さを、溝深さdに対して十分に小さく加工することにより、摺動抵抗を低減する効果を十分に発揮することができる。
この場合、凹部23の溝底28における長さ方向つまり摺動方向Xに測定したときの1次元面粗さがJIS B0601−1994記載の粗さパラメータRaで1μm以下の面粗さを有することによって、効果を十分に発揮することができる。Raが1μmよりも大きい場合、溝底28の凹凸が盛り上がり角部29を超えるときがあり、溝の機能が十分に発揮できないからである。また、溝が浅い場合(凹部23の溝深さdが例えば5μm以下の場合)には、樹脂製のガイド機構40の弾性変形により溝底28も摺動面となるので、摺動抵抗を低減するためにRa1μm以下の面粗さを有することが望ましい。
摺動抵抗を低減する効果をより大きくするためには、凹部23の溝底28における長さ方向の1次元面粗さは、より好ましくは、Ra0.05μm以下である。
摺動面22に形成した溝形状の凹部23の数は1本でも複数本でも良い。溝形状の凹部23を形成する方法としては、切削加工などの機械加工を利用する方法でもよい。また、打ち抜き成型などでプレートを成型した際に生じた端面のうねり形状を研削や研磨等で整えて溝とする方法によっても、溝形状の凹部23を形成することが可能であり、より簡便で実用的である。
この場合、摺動方向Xに対して直交する方向Yに沿って両端に位置する凹部23の盛り上がり角部29は、極端に鋭利な形状ではなく、面取り、または丸み付けが施されていることが望ましい。本発明によれば、凹部23の盛り上がり角部29に面取り、または丸み付けを施した場合に、摺動抵抗による駆動損失を軽減する効果を大きくできるからである。
摺動抵抗による駆動損失を軽減する効果をより大きくするためには、凹部23の溝深さの2分の1以上の面取り、または凹部23の溝深さの2分の1以上をアールとする丸み付けを施すことが望ましい。
チェーンを構成するプレートは、C、Si、およびMnを含む鉄鋼材料から成形されている。この種の鉄鋼材料の多くは表面硬度が60HRA〜100HRAとなっている。プレートの材料はこれらの元素を含まない鉄鋼材料および樹脂材料など鉄鋼以外の材料で作製することも可能であるが、溝形状の凹部23の機能を十分に発揮させ、摺動抵抗による駆動損失を軽減する効果を得るためには、チェーンを構成するプレートは、C、Si、およびMnを含む鉄鋼材料から成形することが望ましい。
図示例のチェーンドライブシステム10では、サイレントチェーン20が、チェーンガイド41やテンショナー42などのガイド機構40に対して摺動するので、リンクプレート21の摺動面22が摺動するガイド機構40の表面の形成材料は、リンクプレート21の形成材料と比較して硬度の小さい材料が望ましい。材料の種類としては、樹脂材料とするのが望ましく、ポリアミドイミド樹脂(PAI)とすることが特に望ましい。
チェーンの形態としては、ガイド機構40の表面に対して大きな面積で同時に接触し得るチェーンであることが望ましい。より多くのプレートが同時にガイド機構40の表面に対して摺動するチェーンであることが望ましく、このためには、サイレントチェーン20として組み立てられていることが特に望ましい。
なお、プレートとして、サイレントチェーン20用のリンクプレート21を例に挙げたが、本発明はこの場合に限定されるものではない。ローラチェーン用のプレートに本発明を適用できることはいうまでもない。
以下に、表1および表2を参照しつつ、本発明についてさらに詳細に説明する。
Figure 0004923840
Figure 0004923840
(比較例1)
自動車用ガソリンエンジンのタイミングチェーンとして使用される、サイレントチェーンを構成するリンクプレートを打ち抜きによって成型した。リンクプレートの材料として、S55Cを使用した。リンクプレートの全面を、シェービング加工および研磨加工によって平滑に仕上げた。その後、サイレントチェーンとして組み上げた。
リンクプレートの1つを調べたところ、摺動面に溝形状の凹部は形成されておらず、摺動方向に測定した1次元面粗さはRa=1μmであった。
このチェーンと、チェーンとの摺動面がナイロン66である市販のチェーンガイドを、排気量1.8Lの直列4気筒エンジンに取り付け、モータ駆動により回転させて、エンジン回転数と回転トルクの関係を得た。後述する他の比較例および各実施例においても、同様にして、エンジン回転数と回転トルクの関係を得た。
(比較例2)
比較例1と同様にして、サイレントチェーンを組み上げた。
リンクプレートの1つを調べたところ、摺動面に溝形状の凹部は形成されておらず、摺動方向に測定した1次元面粗さがRa=0.05μmであった。
2000回転/分での回転トルクを比較例1で得られた回転トルクと比較したところ、0.08N・mのフリクショントルクが低減した。摺動面の面粗度を細かくすることにより、フリクショントルクが低減することを確認した。
(比較例3)
材料としてS55Cを用いて、ローラチェーンを構成するリンクプレートを打ち抜きによって成型した。リンクプレートの全面を、シェービング加工および研磨加工によって平滑に仕上げた。その後、ローラチェーンとして組み上げた。
リンクプレートの1つを調べたところ、摺動面に溝形状の凹部は形成されておらず、摺動方向に測定した1次元面粗さはRa=0.05μmであった。
(比較例4)
材料としてS55Cを用いて、サイレントチェーンを構成するリンクブレートを打ち抜きによって成型した。チェーンガイドに対して摺動するリンクプレートの摺動面に、研削加工および研磨加工によって、摺動方向に対して直交する方向に沿う溝を複数本形成した。その後、サイレントチェーンとして組み上げた。
リンクプレートの1つを調べたところ、摺動面に形成された溝は、摺動方向に測定した溝底の1次元面粗さがRa=1μmであった。リンクプレートの厚さtは1mm、凹部の溝深さdは20μmであり、d/t=1/50であった。凹部の盛り上がり角部には面取りを施してあり、面取りの大きさ(面取りの深さ)は15μmであった。
2000回転/分での回転トルクを比較例1で得られた回転トルクと比較したところ、0.04N・mのフリクショントルクが低減した。フリクショントルク低減効果は小さかった。
(実施例1)
材料としてS55Cを用いて、サイレントチェーンを構成するリンクブレートを打ち抜きによって成型した。チェーンガイドに対して摺動するリンクプレートの摺動面に、シェービング加工および研磨加工によって、摺動方向と同じ方向に沿って溝形状の凹部を形成した。その後、サイレントチェーンとして組み上げた。
リンクプレートの1つを調べたところ、摺動面に形成された溝形状の凹部は、長さ方向つまり摺動方向に測定した溝底の1次元面粗さがRa=0.05μmであった。リンクプレートの厚さtは1mm、凹部の溝深さdは5μmであり、d/t=1/200であった。凹部の盛り上がり角部には丸み付けを施してあり、断面のうねり曲線における最小のRは100μmであった。なお、各実施例において、盛り上がり角部の面粗さは、溝底の面粗さとほぼ同じである。
2000回転/分での回転トルクを比較例1で得られた回転トルクと比較したところ、0.2N・mのフリクショントルクが低減した。比較例2で得られた回転トルクよりも低減していることから、面粗度のみによるフリクショントルク低減効果よりも大きな効果が得られたことを確認した。
(実施例2)
実施例1と同様にして、サイレントチェーンを組み上げた。
リンクプレートの1つを調べたところ、摺動面に形成された溝形状の凹部は、摺動方向に測定した溝底の1次元面粗さがRa=0.05μmであった。リンクプレートの厚さtは1.4mm、凹部の溝深さdは2μmであり、d/t=1/700であった。凹部の盛り上がり角部には丸み付けを施してあり、断面のうねり曲線における最小のRは100μmであった。
2000回転/分での回転トルクを比較例1で得られた回転トルクと比較したところ、0.2N・mのフリクショントルクが低減しており、実施例1と同等の効果が得られた。
(実施例3)
実施例1と同様にして、サイレントチェーンを組み上げた。
リンクプレートの1つを調べたところ、摺動面に形成された溝形状の凹部は、摺動方向に測定した溝底の1次元面粗さがRa=1μmであった。リンクプレートの厚さtは1mm、凹部の溝深さdは5μmであり、d/t=1/200であった。凹部の盛り上がり角部には丸み付けを施してあり、断面のうねり曲線における最小のRは100μmであった。
2000回転/分での回転トルクを比較例1で得られた回転トルクと比較したところ、0.13N・mのフリクショントルクが低減した。実施例1よりも溝底の面粗度が大きくなったため、フリクショントルク低減効果は実施例1に比べると小さくなった。溝底の面粗度がフリクショントルク低減効果に寄与するのは、摺動する際に樹脂製のチェーンガイドが弾性変形して溝底にも接するからだと考えられる。
(実施例4)
実施例1と同様にして、サイレントチェーンを組み上げた。
リンクプレートの1つを調べたところ、摺動面に形成された溝形状の凹部は、摺動方向に測定した溝底の1次元面粗さがRa=0.05μmであった。リンクプレートの厚さtは1mm、凹部の溝深さdは20μmであり、d/t=1/50であった。凹部の盛り上がり角部には丸み付けを施してあり、断面のうねり曲線における最小のRは100μmであった。
2000回転/分での回転トルクを比較例1で得られた回転トルクと比較したところ、0.16N・mのフリクショントルクが低減した。フリクショントルク低減効果は、実施例1の効果には及ばなかったが、比較例1と比較してフリクショントルクが低減しており、溝形状の凹部を形成した効果が得られたことを確認した。
(実施例5)
材料としてS55Cを用いて、サイレントチェーンを構成するリンクブレートを打ち抜きによって成型した。チェーンガイドに対して摺動するリンクプレートの摺動面に、研削加工および研磨加工によって、摺動方向と同じ方向に沿って溝形状の凹部を形成した。その後、サイレントチェーンとして組み上げた。
リンクプレートの1つを調べたところ、摺動面に形成された溝形状の凹部は、摺動方向に測定した溝底の1次元面粗さがRa=0.05μmであった。リンクプレートの厚さtは1mm、凹部の溝深さdは20μmであり、d/t=1/50であった。凹部の盛り上がり角部には面取りを施してあり、面取りの大きさ(面取りの深さ)は10μmであった。
2000回転/分での回転トルクを比較例1で得られた回転トルクと比較したところ、0.17N・mのフリクショントルクが低減した。フリクショントルク低減効果は、実施例1の効果には及ばなかったが、実施例4と同等の効果が得られた。
(実施例6)
実施例1と同様にして、サイレントチェーンを組み上げた。
リンクプレートの1つを調べたところ、摺動面に形成された溝形状の凹部は、摺動方向に測定した溝底の1次元面粗さがRa=0.05μmであった。リンクプレートの厚さtは1mm、凹部の溝深さdは50μmであり、d/t=1/20であった。凹部の盛り上がり角部には丸み付けを施してあり、断面のうねり曲線における最小のRは200μmであった。
2000回転/分での回転トルクを比較例1で得られた回転トルクと比較したところ、0.12N・mのフリクショントルクが低減した。フリクショントルク低減効果は実施例1の効果の半分程度であった。
(実施例7)
実施例1と同様にして、サイレントチェーンを組み上げた。
リンクプレートの1つを調べたところ、摺動面に形成された溝形状の凹部は、摺動方向に測定した溝底の1次元面粗さがRa=0.05μmであった。リンクプレートの厚さtは1mm、凹部の溝深さdは1μmであり、d/t=1/1000であった。凹部の盛り上がり角部には丸み付けを施してあり、断面のうねり曲線における最小のRは100μmであった。
2000回転/分での回転トルクを比較例1で得られた回転トルクと比較したところ、0.10N・mのフリクショントルクが低減した。フリクショントルク低減効果は実施例1および2の効果の半分程度であった。
(実施例8)
材料としてS55Cを用いて、サイレントチェーンを構成するリンクブレートを打ち抜きによって成型した。チェーンガイドに対して摺動するリンクプレートの摺動面に、研削加工によって、摺動方向と同じ方向に沿って溝形状の凹部を形成した。その後、サイレントチェーンとして組み上げた。
リンクプレートの1つを調べたところ、摺動面に形成された溝形状の凹部は、摺動方向に測定した溝底の1次元面粗さがRa=0.05μmであった。リンクプレートの厚さtは1mm、凹部の溝深さdは5μmであり、d/t=1/200であった。凹部の盛り上がり角部には面取り、丸み付けを施しておらず、ほぼ直角になっていた。
2000回転/分での回転トルクを比較例1で得られた回転トルクと比較したところ、0.12N・mのフリクショントルクが低減した。この効果を実施例5と比較すると、盛り上がり角部に面取りを施していないことにより、フリクショントルク低減効果は小さくなった。
(実施例9)
材料としてS55Cを用いて、ローラチェーンを構成するリンクプレートを打ち抜きによって成型した。チェーンガイドに対して摺動するリンクプレートの摺動面に、シェービング加工および研磨加工によって、摺動方向と同じ方向に沿って溝形状の凹部を形成した。その後、ローラチェーンとして組み上げた。
リンクプレートの1つを調べたところ、摺動面に形成された溝形状の凹部は、摺動方向に測定した溝底の1次元面粗さがRa=0.05μmであった。リンクプレートの厚さtは2mm、凹部の溝深さdは2μmであり、d/t=1/1000であった。凹部の盛り上がり角部には丸み付けを施してあり、断面のうねり曲線における最小のRは100μmであった。
2000回転/分での回転トルクを比較例3で得られた回転トルクと比較したところ、0.10N・mのフリクショントルクが低減した。フリクショントルク低減効果は実施例1および2の効果の半分程度であった。
エンジン用のチェーンドライブシステムを示す概略構成図である。 図2(A)および(B)は、チェーンドライブシステムのタイミングチェーンとして用いるサイレントチェーンを示す平面図および正面図である。 図3(A)は、サイレントチェーンのリンクプレートを示す斜視図、図3(B)は、図3(A)の3B−3B線に沿う断面であり、リンクプレートの摺動面に形成された溝形状の凹部を示す断面図である。
符号の説明
10 チェーンドライブシステム、
20 サイレントチェーン(チェーン)、
21 リンクプレート(プレート)、
22 摺動面、
23 凹部、
24 連結ピン、
25 孔、
26 噛み合い部、
27 ガイドプレート、
28 溝底、
29 盛り上がり角部、
31、32 スプロケット、
40 ガイド機構、
41 チェーンガイド、
42 テンショナー、
X 摺動方向、
Y 摺動方向に対して直交する方向、
d 凹部の溝深さ、
t プレートの厚さ。

Claims (5)

  1. チェーンガイドやテンショナーなどのガイド機構に対して油潤滑環境下で摺動する摺動面を備え、相互に連結される複数のプレートと、
    前記プレートの前記摺動面に摺動方向と同じ方向に沿って形成された溝形状の凹部と、を有し、
    前記凹部が、前記摺動方向に対して直交する方向に沿って両端に位置する盛り上がり角部を有し、
    前記凹部の溝深さが、前記プレートの厚さに対して、1/1000〜1/20、より好ましくは、1/700〜1/200であることを特徴とするチェーン。
  2. 前記凹部の前記盛り上がり角部が、面取り、または丸み付けが施されていることを特徴とする請求項1に記載のチェーン。
  3. 前記プレートが、C、Si、およびMnを含む鉄鋼材料から成形されていることを特徴とする請求項1または2に記載のチェーン。
  4. 請求項1から請求項のいずれか1つに記載のチェーンと、
    前記プレートの前記摺動面が摺動する表面を備えるガイド機構と、を有し、
    前記プレートの前記摺動面の硬度が、前記ガイド機構の前記表面の硬度よりも大きいチェーンドライブシステム。
  5. 前記ガイド機構の前記表面の形成材料がポリアミドイミド樹脂であることを特徴とする請求項に記載のチェーンドライブシステム。
JP2006220328A 2006-08-11 2006-08-11 チェーン、およびチェーンドライブシステム Active JP4923840B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006220328A JP4923840B2 (ja) 2006-08-11 2006-08-11 チェーン、およびチェーンドライブシステム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006220328A JP4923840B2 (ja) 2006-08-11 2006-08-11 チェーン、およびチェーンドライブシステム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008045635A JP2008045635A (ja) 2008-02-28
JP4923840B2 true JP4923840B2 (ja) 2012-04-25

Family

ID=39179573

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006220328A Active JP4923840B2 (ja) 2006-08-11 2006-08-11 チェーン、およびチェーンドライブシステム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4923840B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6802482B2 (ja) * 2017-02-06 2020-12-16 株式会社椿本チエイン チェーンおよびチェーン伝動装置

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09269035A (ja) * 1996-03-29 1997-10-14 Borg Warner Automot Kk サイレントチェーン
JP3269011B2 (ja) * 1997-07-28 2002-03-25 株式会社椿本チエイン 伝動チェーンの走行案内シュー
JP2004300531A (ja) * 2003-03-31 2004-10-28 Daido Steel Co Ltd 冷間打抜品用の高靭性高炭素鋼
JP2005112871A (ja) * 2003-10-02 2005-04-28 Toyota Motor Corp チェーンガイド
JP4137147B2 (ja) * 2006-07-21 2008-08-20 株式会社椿本チエイン 低フリクションチェーン

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008045635A (ja) 2008-02-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7837583B2 (en) Silent chain
JP4368912B2 (ja) エンジン用伝動チェーン
US7419449B2 (en) Low friction chain
US6062998A (en) Shoe for guiding the running of a transmission chain
JP5253428B2 (ja) リンクプレート
KR101436203B1 (ko) 동력 전달 체인
KR101256256B1 (ko) 엔진용 전동 체인
JP4611244B2 (ja) 波形コイルばね
JP4923840B2 (ja) チェーン、およびチェーンドライブシステム
US20090062051A1 (en) Silent chain transmission device
RU2714194C2 (ru) Режущая гарнитура цепной пилы и пильная цепь
WO2008069319A1 (ja) 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置
JP5437607B2 (ja) チェーンおよびチェーン式動力伝達システム
JP5565386B2 (ja) 伝動ベルト
RU2626444C2 (ru) Направляющая цепи
JP4387002B2 (ja) 歯付ベルト駆動装置
US20030233821A1 (en) Link plate for restricting back bending of a silent chain
JP2014035020A (ja) サイレントチェーン
JP2008267589A (ja) スチールベルト
JP3980033B2 (ja) サイレントチェーン
JPH0729331Y2 (ja) 高負荷伝動用vベルト
JP2008144825A (ja) 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置
JP4463261B2 (ja) サイレントチェーン
KR20210138715A (ko) 체인 전동 장치
JP2005233275A (ja) 動力伝達チェーンおよび動力伝達装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090326

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110426

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110510

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110705

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110913

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111005

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120110

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120123

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150217

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4923840

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150