JP4923595B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、クラッチツークラッチ変速が所定の変速動作となるように摩擦係合装置の学習補正を行う車両の制御装置に関し、特に、入力トルク低下時に学習補正が禁止される車両の制御装置の改良に関するものである。
駆動源と、その駆動源に接続され、解放側摩擦係合装置の解放および係合側摩擦係合装置の係合によって変速が達成されるクラッチツークラッチ変速が行われる自動変速機と、を有する車両において、前記クラッチツークラッチ変速が予め定められた変速動作となるように前記摩擦係合装置の係合力に関する指令値を学習補正する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
ところで、上記学習補正を適切に行うことができないような状況下では、学習補正を禁止するようにしているのが普通である。例えば、変速中に自動変速機に入力されるトルクが低下した場合には、摩擦係合装置の係合や解放の挙動が変化するため、その時の変速動作に基づいて摩擦係合装置の係合力を学習補正すると、通常のトルク入力時の変速動作が却って損なわれる恐れがあり、学習補正が禁止される。
特開2003−42283号公報
しかしながら、このような入力トルクの低下時に一律に学習補正を禁止すると、変速中に駆動源の過回転を防止するためにその駆動源の出力が低下させられ、それに伴って入力トルクが低下した場合も学習補正が禁止されるため、以後の変速時にも同様の状況下において駆動源の過回転や、それに基づく出力低下が繰り返され、ドライバビリティが悪化するという問題があった。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、クラッチツークラッチ変速が所定の変速動作となるように摩擦係合装置の学習補正を行う車両の制御装置において、駆動源の過回転防止のための出力低下時には入力トルクの低下に拘らず適切に学習補正が行われるようにすることにある。
かかる目的を達成するために、第1発明は、(a) 駆動源と、その駆動源に接続され、解放側摩擦係合装置の解放および係合側摩擦係合装置の係合によって変速が達成されるクラッチツークラッチ変速が行われる自動変速機と、を有する車両に関し、(b) 前記駆動源の回転速度が、オーバーランによるその駆動源の損傷を防止するために予め定められた上限回転速度以上となった場合に、その駆動源の出力を低下させる過回転防止手段と、(c) 前記クラッチツークラッチ変速が予め定められた変速動作となるように前記摩擦係合装置の係合力に関する指令値を学習補正する学習補正手段と、(d) 前記クラッチツークラッチ変速の実行中に前記自動変速機に入力される入力トルクが所定値以下になったことが検出された場合に、前記学習補正手段による学習補正を禁止するトルク低下時学習補正禁止手段と、を備えている車両の制御装置において、(e) 前記学習補正手段は、(e-1) 前記指令値をフィードバック的に増減させるように学習補正する通常学習補正手段と、(e-2) その通常学習補正手段による学習補正では速やかに正常な変速動作とすることができない場合に、前記クラッチツークラッチ変速の変速動作が促進されるように前記指令値をその通常学習補正手段よりも大きな変化幅で一方的に変化させるように学習補正するバックアップ学習補正手段と、を備えており、(f) 前記クラッチツークラッチ変速の実行中に前記駆動源の回転速度が前記上限回転速度以上となって前記過回転防止手段により前記駆動源の出力が低下させられた場合は、前記トルク低下時学習補正禁止手段による学習補正の禁止を規制し、前記バックアップ学習補正手段によって学習補正が行われることを許容する学習補正禁止規制手段を設けたことを特徴とする。
第2発明は、(a) 解放側摩擦係合装置の解放および係合側摩擦係合装置の係合によって変速が達成されるクラッチツークラッチ変速が行われる自動変速機を有する車両に関し、(b) 前記クラッチツークラッチ変速が予め定められた変速動作となるように前記摩擦係合装置の係合力に関する指令値を学習補正する学習補正手段と、(c) 前記クラッチツークラッチ変速の実行中に前記自動変速機に入力される入力トルクが所定値以下になったことが検出された場合に、前記学習補正手段による学習補正を禁止するトルク低下時学習補正禁止手段と、を有する車両の制御装置において、(d) 前記学習補正手段は、(d-1) 予め定められた通常学習補正実行条件が成立した場合に前記指令値をフィードバック的に増減させるように学習補正するとともに、前記トルク低下時学習補正禁止手段によってその学習補正が禁止される通常学習補正手段と、(d-2) その通常学習補正手段による学習補正では速やかに正常な変速動作とすることができない予め定められたバックアップ学習補正実行条件が成立した場合に、前記クラッチツークラッチ変速の変速動作が促進されるように、前記通常学習補正手段よりも前記指令値を大きな変化幅で一方的に変化させるように学習補正するとともに、前記トルク低下時学習補正禁止手段によってその学習補正が禁止されないバックアップ学習補正手段と、を備えていることを特徴とする。
第1発明の車両の制御装置においては、過回転防止手段により駆動源の出力が低下させられた場合は、トルク低下時学習補正禁止手段による学習補正の禁止が規制され、入力トルクの低下に拘らずバックアップ学習補正手段による摩擦係合装置の係合力に関する指令値の学習補正が許容される。これにより、以後の変速時に同様の状況となった場合に、駆動源が過回転となったり、それに伴う過回転防止制御で駆動源の出力低下が繰り返されたりして、ドライバビリティが悪化することが防止される。
第2発明では、学習補正手段が通常学習補正手段とバックアップ学習補正手段とを備えており、通常学習補正手段は、トルク低下時学習補正禁止手段によって学習補正が禁止されるものの、バックアップ学習補正手段は、トルク低下時学習補正禁止手段によっては学習補正が禁止されず、入力トルクの低下に拘らず摩擦係合装置の係合力に関する指令値の学習補正が許容され、クラッチツークラッチ変速の変速動作が促進されるように、通常学習補正手段よりも指令値を大きな変化幅で変化させるように学習補正する。これにより、以後の変速時に同様の状況となった場合に、駆動源が過回転となったり、それに伴う過回転防止制御で駆動源の出力低下が繰り返されたりして、ドライバビリティが悪化することが防止される。
自動変速機としては、例えば遊星歯車式や平行軸式等の有段の自動変速機が好適に用いられ、少なくとも一部の変速でクラッチツークラッチ変速が行われるものであれば良い。また、複数のクラッチツークラッチ変速が行われる場合、必ずしも総てのクラッチツークラッチ変速に適用される必要はなく、一部のクラッチツークラッチ変速に適用するだけでも差し支えない。この自動変速機には、エンジンや電動モータ等の駆動源からトルクが入力される。
係合側摩擦係合装置および解放側摩擦係合装置としては油圧式のものが好適に用いられ、例えばソレノイド弁によって油圧すなわち係合力が所定の変化パターンで変化するように制御されるが、電磁式等の他の摩擦係合装置を用いることもできる。係合側摩擦係合装置および解放側摩擦係合装置は、油圧シリンダ等のアクチュエータによって係合させられる単板式或いは多板式のクラッチやブレーキ、ベルト式のブレーキなどである。
摩擦係合装置の係合力に関する指令値は、例えば変速制御開始時の油圧初期値やフィードバック制御開始時の油圧初期値、定圧待機圧、スウィープ制御する際の油圧の変化率の他、定圧待機の継続時間や、スウィープ制御を開始するまでの待機時間など、係合力に関する種々の制御要素が対象となる。また、それ等の指令値の学習補正制御としては、例えば入力回転速度が所定の変化パターンに従って変化するように油圧をフィードバック制御する際の補正量に基づいてフィードバック制御の油圧初期値を補正したり、入力回転速度の吹き量が所定値以下となるように定圧待機圧や定圧待機時間、スウィープ開始時間、スウィープ制御の変化率等を補正する場合など、種々の学習補正が知られている。
上記学習補正は、入力トルクをパラメータとして行ったり、アップシフトかダウンシフトか、或いはどの変速段からどの変速段への変速かの変速の種類毎に行ったりすることが望ましい。油圧制御回路の油温、入力軸回転速度などの車両状態や運転状態を表す他の物理量をパラメータとして学習制御を行うことも可能である。
トルク低下時学習補正禁止手段は、入力トルクが大きく低下すると、摩擦係合装置の係合や解放の挙動が変化し、その時の変速動作に基づいて摩擦係合装置の係合力を学習補正すると、通常のトルク入力時の変速動作が却って損なわれる恐れがあるため、例えば入力トルクが所定量以上低下したり被駆動状態になったりした場合には学習補正を禁止するものである。入力トルクは、トルクセンサによって検出することも可能であるが、駆動源が電動モータであれば、そのモータ電流から算出したり、モータ電流で代用したりすることもできる。駆動源がエンジンの場合は、燃料噴射量や吸入空気量、スロットル弁開度、回転速度などから推定することができる。
上記入力トルクの低下時以外でも、例えば変速中におけるアクセル操作量の変化量や車速の変化量が所定量以上になった場合や、摩擦係合装置の作動油温度が所定値以下の場合、駆動源の温度が所定値以上となって出力が制限される場合など、変速動作に影響して学習補正を適切に行うことができない場合には、学習補正が禁止されるようにすることが望ましい。
過回転防止手段は、駆動源としての電動モータやエンジン等がオーバーランにより損傷することを防止するためのもので、回転速度が予め定められた上限値を超えた場合にその駆動源の出力を低下させるように構成される。出力低下の度合は、予め一定量が定められても良いが、駆動源の回転速度変化に基づいて低下量を連続的に増大させることもできるなど、種々の態様が可能である。
学習補正禁止規制手段は、例えば過回転防止手段による過回転防止制御が実行されているか否かを判断し、実行時にはトルク低下時学習補正禁止手段による学習禁止を規制してバックアップ学習補正手段による学習補正を許容するように構成されるが、過回転防止制御の実行条件である駆動源の回転速度が前記上限回転速度以上になった場合には、過回転防止制御が実際に行われているか否かに拘らず、トルク低下時学習補正禁止手段による学習禁止を規制してバックアップ学習補正手段による学習補正を許容するようにしても良い。或いは、駆動源の回転速度に対して一定の関係を有する他の回転部材の回転速度に基づいて、トルク低下時学習補正禁止手段による学習禁止を規制することもできる。
過回転防止手段による駆動源の出力低下量が条件によって異なる場合には、その出力低下量が所定以上の場合にトルク低下時学習補正禁止手段による学習禁止を規制するなど、出力低下量に応じて部分的に規制するだけでも良いなど、種々の態様が可能である。
常学習補正手段は、例えば変速動作の所定のパラメータ(例えば吹き量やイナーシャ相開始時間など)が予め定められた許容範囲を超えている場合等の通常学習補正実行条件が成立する場合に、その許容範囲内になるように指令値をフィードバック的に増減補正するように構成される。バックアップ学習補正手段は、例えば吹き量が極端に大きい場合やイナーシャ相開始時間が極端に遅い場合など、通常の学習制御による学習補正では速やかに正常な変速動作とすることができないようなバックアップ学習補正実行条件が成立する場合に、変速動作が促進されるように一方的に指令値を補正するものである。すなわち、通常学習補正手段は、許容範囲或いは目標値との関係で変速動作を促進させたり遅延させたりするものであるのに対し、バックアップ学習補正手段は、変速動作を一方的に促進させるものである点が相違する。
第1発明において、学習補正禁止規制手段は、例えばバックアップ学習補正手段による学習補正がトルク低下時学習補正禁止手段によって禁止されることを不可にするとともに、通常学習補正手段による学習補正がトルク低下時学習補正禁止手段によって禁止されることを不可にするように構成されるが、バックアップ学習補正手段による学習補正がトルク低下時学習補正禁止手段によって禁止されることのみを不可とし、通常学習補正手段による学習補正についてはトルク低下時学習補正禁止手段によって禁止されることを許容するものでも良い。
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用されたハイブリッド駆動装置10を説明する概略構成図である。図1において、このハイブリッド駆動装置10では、車両において、主駆動源である第1駆動源12のトルクが出力部材として機能する出力軸14に伝達され、その出力軸14から差動歯車装置16を介して左右一対の駆動輪18にトルクが伝達されるようになっている。また、このハイブリッド駆動装置10には、走行のための駆動力を出力する力行制御およびエネルギを回収するための回生制御を選択的に実行可能な第2モータ・ジェネレータMG2が第2駆動源として設けられており、この第2モータ・ジェネレータMG2は自動変速機22を介して上記出力軸14に連結されている。したがって、第2モータ・ジェネレータMG2から出力軸14へ伝達されるトルク容量が、その自動変速機22で設定される変速比γs (=MG2の回転速度NMG2/出力軸14の回転速度NOUT )に応じて増減されるようになっている。
上記自動変速機22は、変速比γs が「1」より大きい複数段を成立させることができるように構成されており、第2モータ・ジェネレータMG2からトルクを出力する力行時にはそのトルクを増大させて出力軸14へ伝達することができるので、第2モータ・ジェネレータMG2が一層低容量もしくは小型に構成される。これにより、例えば高車速に伴って出力軸14の回転速度NOUT が高くなった場合には、第2モータ・ジェネレータMG2の運転効率を良好な状態に維持するために、変速比γs を小さくして第2モータ・ジェネレータMG2の回転速度NMG2を低下させ、また、出力軸14の回転速度NOUT が低下した場合には、変速比γs を大きくして第2モータ・ジェネレータMG2の回転速度NMG2を増大させる。
上記自動変速機22の変速の場合、その自動変速機22でのトルク容量が低下したり、あるいは回転速度の変化に伴う慣性トルクが生じたりし、これが出力軸14のトルクすなわち出力軸トルクに影響する。そこで上記のハイブリッド駆動装置10では、自動変速機22による変速の際に第1駆動源12のトルクを補正して出力軸14のトルク変動を防止もしくは抑制するように制御される。
上記第1駆動源12は、エンジン24と、第1モータ・ジェネレータMG1と、これらエンジン24と第1モータ・ジェネレータMG1との間でトルクを合成もしくは分配するための遊星歯車装置26とを主体として構成されている。上記エンジン24は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃料を燃焼させて動力を出力する公知の内燃機関であって、マイクロコンピュータを主体とするエンジン制御用の電子制御装置(E−ECU)28によって、スロットル弁開度や吸入空気量、燃料供給量、点火時期などの運転状態が電気的に制御されるように構成されている。上記電子制御装置28には、アクセルペダル27の操作量θacc を検出するアクセル操作量センサAS、ブレーキペダル29の操作の有無を検出するためのブレーキセンサBS等からの検出信号が供給されている。
上記第1モータ・ジェネレータMG1は、たとえば同期電動機であって、駆動トルクを発生させる電動機としての機能と発電機としての機能とを選択的に生じるように構成され、インバータ30を介してバッテリー、コンデンサなどの蓄電装置32に接続されている。そして、マイクロコンピュータを主体とするモータジェネレータ制御用の電子制御装置(MG−ECU)34によってそのインバータ30が制御されることにより、第1モータ・ジェネレータMG1の出力トルクあるいは回生トルクが調節或いは設定されるようになっている。上記電子制御装置34には、シフトレバー35の操作位置を検出する操作位置センサSS等からの検出信号が供給されている。
前記遊星歯車装置26は、サンギヤS0と、そのサンギヤS0に対して同心円上に配置されたリングギヤR0と、これらサンギヤS0およびリングギヤR0に噛み合うピニオンギヤP0を自転かつ公転自在に支持するキャリアC0とを三つの回転要素として備えて、公知の差動作用を生じるシングルピニオン型の遊星歯車機構である。遊星歯車装置26は、エンジン24および自動変速機22と同心に設けられている。遊星歯車装置26および自動変速機22は中心線に対して略対称的に構成されているため、図1ではそれらの下半分が省略されている。
本実施例では、エンジン24のクランク軸36はダンパー38を介して遊星歯車装置26のキャリアC0に連結されている。これに対してサンギヤS0には第1モータ・ジェネレータMG1が連結され、リングギヤR0には出力軸14が連結されている。このキャリアC0は入力要素として機能し、サンギヤS0は反力要素として機能し、リングギヤR0は出力要素として機能している。
上記トルク合成分配機構として機能するシングルピニオン型の遊星歯車装置26の各回転要素の回転速度の相対的関係は、図2の共線図により示される。この共線図において、縦軸S、縦軸C、および縦軸Rは、サンギヤS0の回転速度、キャリアC0の回転速度、およびリングギヤR0の回転速度をそれぞれ表す軸であり、縦軸S、縦軸C、および縦軸Rの相互の間隔は、縦軸Sと縦軸Cとの間隔を1としたとき、縦軸Cと縦軸Rとの間隔がρ(サンギヤS0の歯数ZS /リングギヤR0の歯数ZR )となるように設定されたものである。
上記遊星歯車装置26において、キャリアC0に入力されるエンジン24の出力トルクに対して、第1モータ・ジェネレータMG1による反力トルクがサンギヤS0に入力されると、出力要素となっているリングギヤR0には、エンジン24から入力されたトルクより大きいトルクが現れるので、第1モータ・ジェネレータMG1は発電機として機能する。また、リングギヤR0の回転速度(出力軸回転速度)NOUT が一定であるとき、第1モータ・ジェネレータMG1の回転速度NMG1を上下に変化させることにより、エンジン24の回転速度NEを連続的に(無段階に)変化させることができる。図2の破線は、MG1の回転速度NMG1を実線で示す値から下げたときにエンジン24の回転速度NEが低下する状態を示している。すなわち、エンジン24の回転速度NEを例えば燃費が最もよい回転速度に設定する制御を、第1モータ・ジェネレータMG1を制御することによって実行することができる。この種のハイブリッド形式は、機械分配式あるいはスプリットタイプと称される。
図1に戻って、本実施例の前記自動変速機22は、一組のラビニヨ型遊星歯車機構によって構成されている。すなわち自動変速機22では、第1サンギヤS1と第2サンギヤS2とが設けられており、その第1サンギヤS1にショートピニオンP1が噛合するとともに、そのショートピニオンP1がこれより軸長の長いロングピニオンP2に噛合し、そのロングピニオンP2が前記各サンギヤS1、S2と同心円上に配置されたリングギヤR1に噛合している。上記各ピニオンP1、P2は、共通のキャリアC1によって自転かつ公転自在にそれぞれ保持されている。また、第2サンギヤS2がロングピニオンP2に噛合している。
前記第2モータ・ジェネレータMG2は、前記モータジェネレータ制御用の電子制御装置(MG−ECU)34によりインバータ40を介して制御されることにより、電動機または発電機として機能させられ、アシスト用出力トルクあるいは回生トルクが調節或いは設定される。第2サンギヤS2には、その第2モータ・ジェネレータMG2が連結され、上記キャリアC1が出力軸14に連結されている。第1サンギヤS1とリングギヤR1とは、各ピニオンP1、P2と共にダブルピニオン型遊星歯車装置に相当する機構を構成し、また第2サンギヤS2とリングギヤR1とは、ロングピニオンP2と共にシングルピニオン型遊星歯車装置に相当する機構を構成している。
そして、自動変速機22には、第1サンギヤS1を選択的に固定するためにその第1サンギヤS1と変速機ハウジング42との間に設けられた第1ブレーキB1と、リングギヤR1を選択的に固定するためにそのリングギヤR1と変速機ハウジング42との間に設けられた第2ブレーキB2とが設けられている。これらのブレーキB1、B2は摩擦力によって係合力を生じるいわゆる摩擦係合装置であり、多板形式の係合装置あるいはバンド形式の係合装置を採用することができる。そして、これらのブレーキB1、B2は、油圧アクチュエータ等により発生させられる係合圧に応じてそのトルク容量が連続的に変化するように構成されている。
以上のように構成された自動変速機22は、第2サンギヤS2が入力要素として機能し、またキャリアC1が出力要素として機能し、第1ブレーキB1が係合させられると「1」より大きい変速比γshの高速段Hが達成され、第1ブレーキB1に替えて第2ブレーキB2が係合させられると、その高速段Hの変速比γshより大きい変速比γslの低速段Lが設定されるように構成されている。これらの変速段HおよびLの間での変速は、車速Vや要求駆動力(もしくはアクセル操作量θacc )などの走行状態に基づいて実行される。より具体的には、変速段領域を予めマップ(変速線図)として定めておき、検出された運転状態に応じていずれかの変速段を設定するように制御される。その制御を行うためのマイクロコンピュータを主体とした変速制御用の電子制御装置(T−ECU)44が設けられている。
上記電子制御装置44には、作動油の温度TOIL を検出するための油温センサTS、第1ブレーキB1の係合油圧を検出するための油圧スイッチSW1、第2ブレーキB2の係合油圧を検出するための油圧スイッチSW2、ライン圧PLを検出するための油圧スイッチSW3等からの検出信号が供給されている。また、第2モータ・ジェネレータMG2の回転速度NMG2を検出する第2MG2回転速度センサ43、車速Vに対応する出力軸14の回転速度NOUT を検出する出力軸回転速度センサ43からも、それ等の回転速度を表す信号が供給される。
図3は、上記自動変速機22を構成しているラビニヨ型遊星歯車機構についての各回転要素の相互関係を表すために4本の縦軸S1、縦軸R1、縦軸C1、および縦軸S2を有する共線図を示している。それら縦軸S1、縦軸R1、縦軸C1、および縦軸S2は、第1サンギヤS1の回転速度、リングギヤR1の回転速度、キャリアC1の回転速度、および第2サンギヤS2の回転速度をそれぞれ示すためのものである。
以上のように構成された自動変速機22では、第2ブレーキB2によってリングギヤR1が固定されると、低速段Lが設定され、第2モータ・ジェネレータMG2の出力したアシストトルクがそのときの変速比γslに応じて増幅されて出力軸14に付加される。これに替えて、第1ブレーキB1によって第1サンギヤS1が固定されると、低速段Lの変速比γslよりも小さい変速比γshを有する高速段Hが設定される。この高速段Hにおける変速比も「1」より大きいので、第2モータ・ジェネレータMG2の出力したアシストトルクがその変速比γshに応じて増大させられて出力軸14に付加される。
なお、各変速段L、Hが定常的に設定されている状態では、出力軸14に付加されるトルクは、第2モータ・ジェネレータMG2の出力トルクを各変速比に応じて増大させたトルクとなるが、自動変速機22の変速過渡状態では各ブレーキB1、B2でのトルク容量や回転速度変化に伴う慣性トルクなどの影響を受けたトルクとなる。また、出力軸14に付加されるトルクは、第2モータ・ジェネレータMG2の駆動状態では正トルクとなり、被駆動状態では負トルクとなる。第2モータ・ジェネレータMG2の被駆動状態とは、出力軸14の回転が自動変速機22を介して第2モータ・ジェネレータMG2に伝達されることにより、その第2モータ・ジェネレータMG2が回転駆動される状態で、車両の駆動、被駆動とは異なるものである。
図4は、上記各ブレーキB1、B2の係合解放によって自動変速機22の変速を自動的に制御するための変速用油圧制御回路50を示している。この油圧制御回路50には、エンジン24のクランク軸36に作動的に連結されることによりそのエンジン24により回転駆動されるメカニカル式油圧ポンプ46と、電動機48aとそれにより回転駆動されるポンプ48bを備えた電動式油圧ポンプ48とを油圧源として備えており、それらメカニカル式油圧ポンプ46および電動式油圧ポンプ48は、図示しないオイルパンに還流した作動油をストレーナ52を介して吸入し、或いは還流油路53を介して直接還流した作動油を吸入してライン圧油路54へ圧送する。上記還流した作動油の油温TOIL を検出するための油温センサTSが、油圧制御回路50が形成されているバルブボデー51に設けられているが、他の部位に設けられても良い。
ライン圧調圧弁56は、リリーフ形式の調圧弁であって、ライン圧油路54に接続された供給ポート56aとドレン油路58に接続された排出ポート56bとの間を開閉するスプール弁子60と、そのスプール弁子60の閉弁方向の推力を発生させるスプリング62を収容すると同時にライン圧PLの設定圧を高く変更するときに電磁開閉弁64を介してモジュール圧油路66内のモジュール圧PMを受け入れる制御油室68と、スプール弁子60の開弁方向の推力を発生させる上記ライン圧油路54に接続されたフィードバック油室70とを備え、低圧および高圧の2種類のいずれかの一定のライン圧PLを出力する。上記ライン圧油路54には、ライン圧PLが高圧側の値であるときにオン作動し、低圧側の値以下であるときにオフ作動する油圧スイッチSW3が設けられている。
モジュール圧調圧弁72は、上記ライン圧PLを元圧とし、そのライン圧PLの変動に拘わらず、低圧側のライン圧PLよりも低く設定された一定のモジュール圧PMをモジュール圧油路66に出力する。第1ブレーキB1を制御するための第1リニアソレノイド弁SLB1および第2ブレーキB2を制御するための第2リニアソレノイド弁SLB2は、上記モジュール圧PMを元圧として電子制御装置44からの指令値である駆動電流ISOL1およびISOL2に応じた制御圧PC1およびPC2を出力する。
第1リニアソレノイド弁SLB1は、非通電時において入力ポートと出力ポートとの間が開弁(連通)される常開型(N/O)の弁特性を備え、図5に示すように、駆動電流ISOL1の増加に伴って出力される制御圧PC1が低下させられる。図5に示すように、第1リニアソレノイド弁SLB1の弁特性には、駆動電流ISOL1が所定値Ia を超えるまで出力される制御圧PC1が低下しない不感帯Aが設けられている。第2リニアソレノイド弁SLB2は、非通電時において入力ポートと出力ポートとの間が閉弁(遮断)される常閉型(N/C)の弁特性を備え、図6に示すように、駆動電流ISOL2の増加に伴って出力される制御圧PC2が増加させられる。図6に示すように、第2リニアソレノイド弁SLB2の弁特性には、駆動電流ISOL2が所定値Ib を超えるまで出力される制御圧PC2が増加しない不感帯Bが設けられている。
B1コントロール弁76は、ライン圧油路54に接続された入力ポート76aおよびB1係合油圧PB1を出力する出力ポート76bとの間を開閉するスプール弁子78と、そのスプール弁子78を開弁方向に付勢するために上記第1リニアソレノイド弁SLB1からの制御圧PC1を受け入れる制御油室80と、スプール弁子78を閉弁方向に付勢するスプリング82を収容し、出力圧であるB1係合油圧PB1を受け入れるフィードバック油室84とを備え、ライン圧油路54内のライン圧PLを元圧として、第1リニアソレノイド弁SLB1からの制御圧PC1に応じた大きさのB1係合油圧PB1を出力し、インターロック弁として機能するB1アプライコントロール弁86を通してブレーキB1に供給する。
B2コントロール弁90は、ライン圧油路54に接続された入力ポート90aおよびB2係合油圧PB2を出力する出力ポート90bとの間を開閉するスプール弁子92と、そのスプール弁子92を開弁方向に付勢するために上記第2リニアソレノイド弁SLB2からの制御圧PC2を受け入れる制御油室94と、スプール弁子92を閉弁方向へ付勢するスプリング96を収容し、出力圧であるB2係合油圧PB2を受け入れるフィードバック油室98とを備え、ライン圧油路54内のライン圧PLを元圧として、第2リニアソレノイド弁SLB2からの制御圧PC2に応じた大きさのB2係合油圧PB2を出力し、インターロック弁として機能するB2アプライコントロール弁100を通してブレーキB2に供給する。
B1アプライコントロール弁86は、B1コントロール弁76から出力されたB1係合油圧PB1を受け入れる入力ポート86aおよび第1ブレーキB1に接続された出力ポート86bとの間を開閉するスプール弁子102と、そのスプール弁子102を開弁方向に付勢するためにモジュール圧PMを受け入れる油室104と、そのスプール弁子102を閉弁方向へ付勢するスプリング106を収容し且つB2コントロール弁90から出力されたB2係合油圧PB2を受け入れる油室108とを備え、第2ブレーキB2を係合させるためのB2係合油圧PB2が供給されるまでは開弁状態とされるが、そのB2係合油圧PB2が供給されると閉弁状態に切り換えられて、第1ブレーキB1の係合が阻止される。
また、上記B1アプライコントロール弁86には、そのスプール弁子102が開弁位置(図4の中心線の右側に示す位置)であるときに閉じられ、逆にそのスプール弁子102が閉弁位置(図4の中心線の左側に示す位置)にあるときに開かれる一対のポート110aおよび110bが設けられている。この一方のポート110aにはB2係合油圧PB2を検出するための油圧スイッチSW2が接続され、他方のポート110bには第2ブレーキB2が直接接続されている。この油圧スイッチSW2は、B2係合油圧PB2が予め設定された高圧状態となるとオン状態となり、B2係合油圧PB2が予め設定された低圧状態以下となるとオフ状態に切り換えられるように構成されている。この油圧スイッチSW2は、B1アプライコントロール弁86を介して第2ブレーキB2に接続されているので、B2係合油圧PB2の異常と同時に、第1ブレーキB1の油圧系を構成する第1リニアソレノイド弁SLB1、B1コントロール弁76、B1アプライコントロール弁86等の異常も判定可能となっている。
B2アプライコントロール弁100も、B1アプライコントロール弁86と同様に、B2コントロール弁90から出力されたB2係合油圧PB2を受け入れる入力ポート100aおよび第2ブレーキB2に接続された出力ポート100bとの間を開閉するスプール弁子112と、そのスプール弁子112を開弁方向に付勢するためにモジュール圧PMを受け入れる油室114と、そのスプール弁子112を閉弁方向に付勢するスプリング116を収容し且つB1コントロール弁76から出力されたB1係合油圧PB1を受け入れる油室118とを備え、第1ブレーキB1を係合させるためのB1係合油圧PB1が供給されるまでは開弁状態とされるが、そのB1係合油圧PB1が供給されると閉弁状態に切り換えられて、第2ブレーキB2の係合が阻止される。
上記B2アプライコントロール弁100にも、そのスプール弁子112が開弁位置(図4の中心線の右側に示す位置)であるときに閉じられ、逆にそのスプール弁子112が閉弁位置(図4の中心線の左側に示す位置)にあるときに開かれる一対のポート120aおよび120bが設けられている。この一方のポート120aにはB1係合油圧PB1を検出するための油圧スイッチSW1が接続され、他方のポート120bには第1ブレーキB1が直接接続されている。この油圧スイッチSW1は、B1係合油圧PB1が予め設定された高圧状態となるとオン状態となり、B1係合油圧PB1が予め設定された低圧状態以下となるとオフ状態に切り換えられるように構成されている。この油圧スイッチSW1は、B2アプライコントロール弁100を介して第1ブレーキB1に接続されているので、B1係合油圧PB1の異常と同時に、第2ブレーキB2の油圧系を構成する第2リニアソレノイド弁SLB2、B2コントロール弁90、B2アプライコントロール弁100等の異常も判定可能となっている。
図7は、以上のように構成された油圧制御回路50の作動を説明する図表である。図7では、○印が励磁状態或いは係合状態を示し、×印が非励磁状態或いは解放状態を示している。すなわち、第1リニアソレノイド弁SLB1および第2リニアソレノイド弁SLB2が共に励磁状態とされることによって、第1ブレーキB1が解放状態に、第2ブレーキB2が係合状態とされ、自動変速機22の低速段Lが達成される。そして、第1リニアソレノイド弁SLB1および第2リニアソレノイド弁SLB2が共に非励磁状態とされることによって、第1ブレーキB1が係合状態に、第2ブレーキB2が解放状態とされ、自動変速機22の高速段Hが達成される。
図8は、電子制御装置28、34および44の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図8において、ハイブリッド制御手段130は、たとえば、キーがキースロットに挿入された後、ブレーキペダル29が操作された状態でパワースイッチが操作されることにより制御が起動されると、アクセル操作量θacc に基づいて運転者の要求出力を算出し、低燃費で排ガス量の少ない運転となるようにエンジン24および/または第2モータ・ジェネレータMG2から要求出力を発生させる。たとえば、エンジン24を最適燃費曲線上で作動させて駆動力を発生させるとともに、要求出力に対する不足分を第2モータ・ジェネレータMG2でアシストするアシスト走行モード、エンジン24を停止し専ら第2モータ・ジェネレータMG2を駆動源とするモータ走行モード、エンジン24の動力で第1モータ・ジェネレータMG1により発電を行いながら第2モータ・ジェネレータMG2を駆動源として走行する充電走行モード、エンジン24の動力を機械的に駆動輪18に伝えて走行するエンジン走行モード、等を走行状態に応じて切り換える。
上記ハイブリッド制御手段130は、エンジン24が最適燃費曲線上で作動するように第1モータ・ジェネレータMG1によってエンジン24の回転速度NEを制御する。また、第2モータ・ジェネレータMG2を駆動してトルクアシストする場合、車速Vが遅い状態では自動変速機22を低速段Lに設定して出力軸14に付加するトルクを大きくし、車速Vが増大した状態では、自動変速機22を高速段Hに設定して第2モータ・ジェネレータMG2の回転速度NMG2を相対的に低下させて損失を低減し、効率の良いトルクアシストを実行させる。さらに、コースト走行時には車両の有する慣性エネルギーで第1モータ・ジェネレータMG1或いは第2モータ・ジェネレータMG2を回転駆動することにより電力として回生し、蓄電装置32にその電力を蓄える。
変速制御手段132は、たとえば図9に示す予め記憶された変速線図(変速マップ)から、車速Vおよび駆動力(要求出力)に基づいて自動変速機22の変速段を決定し、決定された変速段に切り換えるように第1ブレーキB1および第2ブレーキB2を制御する。図9の実線は、低速段Lから高速段Hへ切り換えるアップシフト線で、破線は高速段Hから低速段Lへ切り換えるダウンシフト線であり、所定のヒステリシスが設けられている。
ライン圧制御手段134は、前記算出された運転者の要求出力が予め設定された出力判定値よりも大きい場合、或いは自動変速機22の変速中すなわち変速過渡時である場合などでは、前記電磁開閉弁64を閉状態から開状態に切り換えてモジュール圧PMをライン圧調圧弁56の油室68内に供給してスプール弁子60が閉弁方向に向かう推力を所定値増加させることにより、ライン圧PLの設定圧を低圧状態から高圧状態へ切り換える。
また、過回転防止手段140は、第2モータ・ジェネレータMG2の回転速度NMG2が予め定められた上限回転速度overrev(図11参照)以上となった場合に、その第2モータ・ジェネレータMG2の出力を強制的に低下させて、回転速度NMG2を低下させるものである。上限回転速度overrevは、これ以上高速回転になると第2モータ・ジェネレータMG2が損傷するような回転速度である。また、第2モータ・ジェネレータMG2のトルクダウン量は、モータ回転速度NMG2が低下し始めるまで連続的に増大させられ、低下し始めたら元のトルクまで増大させられる。
ここで、前記変速制御手段132は、前記図9に示す変速線図に従って自動変速機14の変速すべき変速段が決定されると、現在の変速段からその変速すべき変速段への切換が実行されるように、ブレーキB1、B2の係合圧を所定の変化パターンに従って変化させるように前記油圧制御回路50に信号(変速指令)を出力する。図11は、アクセルペダル27が踏込み操作されたパワーON状態(第2モータ・ジェネレータMG2が駆動状態)で低速段Lから高速段Hへ変速するL→Hクラッチツークラッチアップ変速を行う場合の油圧制御パターンの一例を説明する図で、係合側油圧式摩擦係合装置である第1ブレーキB1の係合圧PB1を上昇させて第1ブレーキB1を係合させるように、その係合圧PB1を直接制御する第1リニアソレノイド弁SLB1に対して係合側油圧指令値SPB1 を出力する一方、解放側油圧式摩擦係合装置である第2ブレーキB2の係合圧PB2を低下させて第2ブレーキB2を解放するように、その係合圧PB2を直接制御する前記第2リニアソレノイド弁SLB2に対して解放側油圧指令値SPB2 を出力する。
そして、係合側油圧指令値SPB1 は、変速開始点t0 から所定時間経過後に所定時間tB1W の間だけ作動油を速やかに供給するファーストフィル指令値と、そのファーストフィルに続いて係合圧PB1を第1ブレーキB1の係合開始圧よりも低く設定された所定の定圧待機圧PB1Wとする待機圧指令値SPB1Wと、入力回転速度である第2モータ・ジェネレータMG2の回転速度NMG2が低速段Lの同期回転速度lodoki(=γsl×NOUT )より低くなってイナーシャ相の開始判定が為されたら(時間t3 )、その回転速度NMG2が予め設定された一定の変化率で連続的に降下するように係合圧PB1をフィードバック制御するフィードバック指令値と、回転速度NMG2が高速段Hの同期回転速度hidoki(=γsh×NOUT )と一致して変速終了判定が為された後(時間t3 )に、係合圧PB1を最大係合圧まで上昇させて第1ブレーキB1を完全係合させる終了処理指令値(時間t4 )と、を備えている。なお、図11の係合側油圧指令値SPB1 は、係合圧PB1に対応するもので、常開型(N/O)の弁特性を有する第1リニアソレノイド弁SLB1の励磁電流は逆の変化特性となる。
また、解放側油圧指令値SPB2 は、変速開始から時間tB2W の間だけ係合圧PB2を変速開始前の最大係合圧よりも低く且つ第2ブレーキB2の解放開始圧よりも高く設定された所定の定圧待機圧PB2Wとする待機圧指令値SPB2Wと、定圧待機後に係合圧PB2を一定の変化率で減少させて第2ブレーキB2を徐々に解放するスウィープ指令値と、を備えている。上記時間tB2W は、所定の定圧待機圧PB2Wに維持する待機圧保持時間であるとともに、変速開始から係合圧PB2を連続的に変化(減少)させるまでの時間すなわち変速開始から係合圧PB2のスウィープ制御が開始されるまでのスウィープ制御開始時間でもある。図11の解放側油圧指令値SPB2 は、係合圧PB2に対応するもので、常閉型(N/C)の弁特性を有する第2リニアソレノイド弁SLB2の励磁電流は同じ変化特性となる。
このように、パワーONの加速走行時におけるL→Hクラッチツークラッチアップ変速において、前記変速制御手段132が、解放側油圧式摩擦係合装置である第2ブレーキB2の係合圧PB2を低下させると同時に係合側油圧式摩擦係合装置である第1ブレーキB1の係合圧PB1を上昇させるとき、第1ブレーキB1の係合と第2ブレーキB2の係合との重なり具合が小さい場合、例えば定圧待機圧PB1W或いはPB2Wが低いと、第2モータ・ジェネレータMG2と出力軸14とが切り離された状態すなわちニュートラル傾向となり、第2モータ・ジェネレータMG2の回転速度NMG2がオーバーシュート(上昇)して吹き上がったり、その後の第1ブレーキB1の係合によってその回転速度NMG2が降下させられる際に変速ショックが発生したり、変速時間が長くなったりする。反対に、第2ブレーキB2の係合と第1ブレーキB1の係合との重なり具合が大きい場合、例えば上記定圧待機圧PB1W或いはPB2Wが高いと、前記自動変速機22が一時的にロックされてしまい、出力トルクが一時的に急低下するタイアップ状態となって変速ショックが発生し、またブレーキB1、B2の摩擦材の劣化を招く場合がある。
したがって、上記定圧待機圧PB1WやPB2Wを適当に調整することにより、オーバーシュートを抑制したりタイアップを防止したりすることができる。このため、本実施例では、係合側の定圧待機圧PB1Wに関する待機圧指令値SPB1Wを学習制御によって補正することにより、各部の個体差や経時変化に拘らず、オーバーシュートを抑制したりタイアップを防止したりするようにしている。なお、解放側の待機圧指令値SPB2Wを学習補正するようにしても良いし、その両待機圧指令値SPB1WおよびSPB2Wを学習補正することもできる。また、ファーストフィル時間tB1W やスウィープ制御開始時間tB2W 、或いはそのスウィープ制御時の油圧の変化率など、係合圧PB1、PB2に関する他の制御要素(指令値)を学習補正することも可能である。係合圧PB1、PB2は係合力に相当する。
図12は、係合側の待機圧指令値SPB1Wを用いて定圧待機圧PB1Wを制御する際に、その待機圧指令値SPB1Wを算出する際に用いられる基準値pakおよび補正値pahのマップの一例で、何れも入力トルクTIN、すなわち第2モータ・ジェネレータMG2のモータトルクをパラメータとして記憶されている。基準値pakは、待機圧指令値SPB1Wの基礎となる値で、予め実験やシミュレーション等によって一定の値が定められる。補正値pahは、基準値pakを補正するためのもので、前記図8に示す学習補正手段142により実際の変速時の変速動作、例えばオーバーシュートの有無や程度、イナーシャ相開始時間(図11の時間t0 〜t2 )等が予め定められた範囲内になるように逐次書き換えられる。この補正値pahは、電源OFFでも記憶を保持できるEEPROM等の記憶手段に記憶される。そして、前記変速制御手段132は、これ等の基準値pakと補正値pahとを加算することによって待機圧指令値SPB1Wを算出し、この待機圧指令値SPB1Wを用いて前記係合側の定圧待機圧PB1Wを制御する。なお、基準値pakおよび補正値pahのマップは、アップシフトかダウンシフトかの変速の種類毎に定められている。また、パワーONかOFFかのパワー状態や作動油の油温TOIL など、変速制御に影響する他のパラメータを考慮して設定することもできる。
上記学習補正手段142は、通常学習補正手段とバックアップ学習補正手段とを備えており、通常学習補正手段は、オーバーシュートの有無や程度、イナーシャ相開始時間等の変速動作の所定のパラメータが予め定められた許容範囲内となるように、補正値pahをフィードバック的に増減補正する。また、バックアップ学習補正手段は、オーバーシュートが極端に大きい場合など、通常の学習制御による学習補正では速やかに正常な変速動作とすることができない場合に、変速動作が促進されるように一方的に補正値pahを増大させる。
ここで、上記学習補正手段142による学習補正を常に行うと、却って変速制御が損なわれる場合があるため、本実施例では、図8に示すように学習補正禁止手段144により、一定の条件下で上記学習補正手段142による学習補正を禁止する。学習補正禁止手段144は、一般学習補正禁止手段145およびトルク低下時学習補正禁止手段146を備えているが、トルク低下時学習補正禁止手段146による学習補正の禁止に対しては、学習補正禁止規制手段148により一定の条件下でその学習補正の禁止を規制して、学習補正を許可するようになっている。図10は、これ等の学習補正禁止手段144および学習補正禁止規制手段148の作動を説明するフローチャートであり、図10のステップS2およびS5は一般学習補正禁止手段145に相当し、ステップS4およびS6はトルク低下時学習補正禁止手段146に相当し、ステップS3は学習補正禁止規制手段148に相当する。
図10のステップS1では変速中か否か、すなわち変速のための油圧制御を実行中か否かを判断し、変速中でなければステップS7で学習禁止フラグをOFFにする。この学習禁止フラグがOFFであれば、前記学習補正手段142による学習補正が許容される。
上記ステップS1の判断がYES(肯定)の場合、すなわち変速中であれば、ステップS2を実行し、予め定められた一般学習補正禁止条件が成立するか否かを判断する。一般学習補正禁止条件は、学習補正禁止条件のうち入力トルクTINの低下に関係しないもので、例えば(a) アクセル操作量θacc の変化量Δθacc が所定量以上、(b) 車速Vの変化量ΔVが所定量以上、(c) 作動油温度TOIL が所定値以下、(d) 第2モータ・ジェネレータMG2の温度が所定値以上、などが定められている。これ等の条件を満足する場合は、変速動作が影響を受けるため、適正な学習補正を期待できない。このため、それ等の何れか1つでも満足する場合は一般学習補正禁止条件が成立し、ステップS5で学習禁止フラグをONにする。これにより、今回の変速時の変速動作に基づいて前記学習補正手段142により学習補正が行われることが禁止される。学習禁止フラグは、1回の変速で1回ONになると、変速が終了してステップS1の判断がNOとなり、ステップS7でOFFとされるまでON状態を維持する。
上記ステップS2の判断がNO(否定)の場合、すなわち一般学習補正禁止条件が成立しない場合は、ステップS3を実行し、入力軸回転速度すなわち第2モータ・ジェネレータMG2の回転速度NMG2が所定値未満か否かを判断する。この場合の所定値は、前記過回転防止手段140によって第2モータ・ジェネレータMG2のトルクダウン制御が行われる上限回転速度overrevで、実質的に第2モータ・ジェネレータMG2が過回転によってトルクダウン制御が行われたか否かを判断することになる。そして、NMG2<overrevすなわち過回転によるトルクダウン制御が行われない場合には、ステップS4を実行するが、NMG2≧overrevすなわち過回転によるトルクダウン制御が行われる場合は、そのまま終了して学習禁止フラグのOFF状態を維持する。したがって、過回転により第2モータ・ジェネレータMG2のトルクダウン制御が行われた場合には、そのトルクダウン制御で入力トルクTINがいくら低下しても、学習補正手段142による学習補正が許容される。図11の時間t1 は、第2モータ・ジェネレータMG2の回転速度NMG2が上限回転速度overrev以上となって、過回転防止手段140による第2モータ・ジェネレータMG2のトルクダウン制御が開始された時間である。
ステップS4では、トルク低下時学習補正禁止条件が成立するか否かを判断する。このトルク低下時学習補正禁止条件は、学習補正禁止条件のうち入力トルクTINの低下に関係するもので、本実施例では、例えば(a) 変速開始時(図11の時間t0 )からの入力トルクTINの低下量ΔTINが予め定められた所定値ΔTINA以上、(b) 入力トルクTINが所定値以下の被駆動状態、などが設定されている。入力トルクTINは第2モータ・ジェネレータMG2のモータトルクで、例えばその第2モータ・ジェネレータMG2に通電されるモータ電流などで代用できる。これ等の条件を満足する場合は、変速動作が影響を受けるため、適正な学習補正を期待できない。このため、何れか一方でも満足する場合はトルク低下時学習補正禁止条件が成立し、ステップS6で学習禁止フラグをONにする。これにより、前記学習補正手段142による学習補正が禁止される。
したがって、図11に示すように入力トルクTINの低下量ΔTINが所定値ΔTINA以上の場合は、ステップS4の判断がYES(肯定)となり、ステップS6で学習禁止フラグがONとされて学習補正が禁止されるが、本実施例ではステップS4の前にステップS3が設けられ、NMG2≧overrevすなわち過回転によるトルクダウン制御が行われる場合は、ステップS4を実行することなく、そのまま終了して学習禁止フラグのOFF状態が維持される。すなわち、過回転によるトルクダウン制御に起因して入力トルクTINが低下した場合は、入力トルクTINの低下量ΔTINが所定値ΔTINA以上となるか、或いは入力トルクTINが所定値以下の被駆動状態となっても、学習補正手段142による学習補正をバックアップ的に許容するのである。そして、前記待機圧指令値SPB1Wの補正値pahが学習補正されると、次回の変速では吹きが小さくなるように油圧制御が行われるため、第2モータ・ジェネレータMG2が過回転となったり、その過回転を防止するためにトルクダウン制御が行われたりすることが抑制され、ドライバビリティが改善されるとともに、変速制御が適切に行われるようになる。
このように、本実施例の車両の制御装置においては、変速中に過回転防止手段140により第2モータ・ジェネレータMG2のトルクダウン制御が行われた場合は、ステップS3の判断がNO(否定)となってステップS4の実行が阻止されることにより、トルク低下時学習補正禁止手段146による学習補正の禁止(ステップS4、S6)が阻止され、入力トルクTINの低下に拘らず学習補正手段142による待機圧指令値SPB1Wの学習補正が許容される。これにより、以後の変速時に同様の状況となった場合に、第2モータ・ジェネレータMG2が過回転となったり、それに伴う過回転防止制御で第2モータ・ジェネレータMG2のトルクダウン制御が繰り返されたりして、ドライバビリティが悪化することが防止される。
次に、他の実施例を説明する。なお、以下の実施例は、前記実施例と同様にハイブリッド駆動装置10に適用された場合で、前記補正値pahの学習補正を禁止する態様が相違するだけであるため、その相違部分のみを説明する。
図13は前記図8に対応する図で、前記変速制御用の電子制御装置44は、機能的に学習補正手段150および学習補正禁止手段160を備えており、学習補正手段150は更にバックアップ学習補正手段152および通常学習補正手段154を備えている。すなわち、この学習補正手段150は、実質的に前記学習補正手段142と同じで、通常学習補正手段154は、オーバーシュートの有無や程度、イナーシャ相開始時間等の変速動作の所定のパラメータが予め定められた許容範囲内となるように、前記補正値pahをフィードバック的に増減補正する。また、バックアップ学習補正手段152は、オーバーシュートが極端に大きい場合など、通常の学習制御による学習補正では速やかに正常な変速動作とすることができない場合に、変速動作が促進されるように一方的に補正値pahを増大させる。
学習補正禁止手段160は、共通学習補正禁止手段162および通常学習補正禁止手段164を備えており、共通学習補正禁止手段162は一定の条件下で上記バックアップ学習補正手段152および通常学習補正手段154による学習補正を共に禁止する一方、通常学習補正禁止手段164は一定の条件下で通常学習補正手段154による学習補正のみを禁止するようになっている。共通学習補正禁止手段162は、実質的に前記一般学習補正禁止手段145と同じで、共通学習補正禁止条件として、例えば(a) アクセル操作量θacc の変化量Δθacc が所定量以上、(b) 車速Vの変化量ΔVが所定量以上、(c) 作動油温度TOIL が所定値以下、(d) 第2モータ・ジェネレータMG2の温度が所定値以上など、入力トルクTINの低下に関係しないものが定められている。通常学習補正禁止手段164は、実質的に前記トルク低下時学習補正禁止手段146と同じで、通常学習補正禁止条件として、例えば(a) 変速開始時(図11の時間t0 )からの入力トルクTINの低下量ΔTINが予め定められた所定値ΔTINA以上、(b) 入力トルクTINが所定値以下の被駆動状態など、入力トルクTINの低下に関係するものが定められている。通常学習補正禁止手段164はトルク低下時学習補正禁止手段に相当する。
図14は、これ等の学習補正手段150および学習補正禁止手段160の作動を説明するフローチャートで、アップシフト時における係合側の摩擦係合装置である第1ブレーキB1の定圧待機圧PB1Wの補正値pahの学習補正に関するものである。この図14のフローチャートにおいて、ステップR5は共通学習補正禁止手段162に相当し、ステップR6〜R10はバックアップ学習補正手段152に相当し、ステップR11は通常学習補正禁止手段164に相当し、ステップR12〜R16は通常学習補正手段154に相当する。
図14のステップR1では、変速中か否かを判断し、変速中でなければステップR17を実行し、変速中にステップR3で逐次算出された入力軸回転速度(第2モータ・ジェネレータNG2の回転速度NMG2)の最大値NMG2max をクリアするとともに、ステップR18で各種のフラグを初期化する。変速中の場合は、ステップR2で入力トルクTIN等に応じて補正値pahの学習領域を判定し、ステップR3で入力軸回転速度NMG2の最大値NMG2max を逐次算出し、ステップR4で学習禁止および実行を判定するために必要な各種フラグのON/OFF判定を行う。ステップR3では、例えば入力軸回転速度NMG2を制御周期毎に大きい値で上書きすることにより、最大値NMG2max を求める。
ステップR5では、前記共通学習補正禁止条件が成立するか否かを判断し、成立する場合はそのまま終了するが、成立しない場合はステップR6を実行する。ステップR6では、バックアップ学習補正実行条件が成立するか否かを、例えばオーバーシュート量すなわち前記最大値NMG2max と低速段Lの同期回転速度lodokiとの差が、予め定められた所定値以上になる吹きが発生したか否か等によって判断し、成立する場合はステップR7以下を実行する。前記図11に示すように、第2モータ・ジェネレータMG2が上限回転速度overrev以上になリ、過回転防止手段140により第2モータ・ジェネレータMG2のトルクダウン制御が実行される場合も、ステップR6の判断はYES(肯定)になり、ステップR7以下が実行される。
ステップR7では、バックアップ学習補正により、変速が促進されるように例えば補正値pahに予め定められた一定値αを加算して新たな補正値pah+αを算出する。ステップR8では、現在の学習回数nに「1」を加算して学習回数n+1を求め、ステップR9では、その学習回数n+1を新たな学習回数nとしてメモリ等に書き込み処理を行う。この学習回数nは、ステップR13の通常学習補正値の算出処理で、新たな補正値pahを算出する場合などに用いられ、学習回数nが大きくなるに従って補正値pahの増減幅が小さくされる。そして、ステップR10で、前記図12に記載の補正値マップの対応部分の補正値pahを、上記ステップR7で算出した新たな補正値pah+αに更新する。
前記ステップR6の判断がNO(否定)の場合、すなわちバックアップ学習補正実行条件が成立しない場合は、ステップR11を実行する。ステップR11では、前記通常学習補正禁止条件が成立するか否かを判断し、成立する場合はそのまま終了するが、成立しない場合はステップR12を実行する。ステップR12では、通常学習補正実行条件が成立するか否かを、例えばオーバーシュート量が予め定められた許容範囲を超えているか否か等によって判断し、成立する場合はステップR13以下を実行する。ステップR13では、通常学習補正により例えばオーバーシュート量と許容範囲との差に応じて、補正値pahをフィードバック的に増減補正することにより新たな補正値pah+βを算出する。この時の補正値pahの増減幅βに学習回数nが反映され、学習回数nが大きくなるに従って補正係数等が小さくされることにより、増減幅βが小さくされる。増減幅βの絶対値は、前記一定値αよりも十分に小さい。ステップR14では、現在の学習回数nに「1」を加算して学習回数n+1を求め、ステップR15では、その学習回数n+1を新たな学習回数nとしてメモリ等に書き込み処理を行う。そして、ステップR16で、前記図12に記載の補正値マップの対応部分の補正値pahを、上記ステップR13で算出した新たな補正値pah+βに更新する。
本実施例では、学習補正手段150が通常学習補正手段154とバックアップ学習補正手段152とを備えており、通常学習補正手段154は、通常学習補正禁止手段164により入力トルクTINの低下時に学習補正が禁止されるものの、バックアップ学習補正手段152は、通常時学習補正禁止手段164によっては学習補正が禁止されない。このため、過回転防止手段140により第2モータ・ジェネレータMG2のトルクダウン制御が実施された場合でも、入力トルクTINの低下に拘らず待機圧指令値SPB1Wに関する補正値pahのバックアップ学習補正が実行され、クラッチツークラッチ変速の変速動作が促進されるように、通常学習補正手段154よりも大きな変化幅αで補正値pahが増大させられる。これにより、以後の変速時に同様の状況となった場合に、駆動源である第2モータ・ジェネレータMG2が過回転となったり、それに伴う過回転防止制御で第2モータ・ジェネレータMG2のトルクダウン制御が繰り返されたりして、ドライバビリティが悪化することが防止される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
本発明が好適に適用されるハイブリッド駆動装置の概略構成を説明する図である。 図1のハイブリッド駆動装置において、第1駆動源12に備えられている遊星歯車装置26の作動を説明する共線図である。 図1のハイブリッド駆動装置において、第2モータ・ジェネレータMG2と出力軸14との間に設けられている自動変速機22の複数の変速段を説明する共線図である。 図1の自動変速機22の変速制御を行う油圧制御回路の要部を説明する油圧回路図である。 図4の第1リニアソレノイド弁SLB1の油圧特性を説明する図である。 図4の第2リニアソレノイド弁SLB2の油圧特性を説明する図である。 図1の自動変速機22の各変速段と、それを成立させるためのリニアソレノイド弁およびブレーキの作動状態を示す作動表である。 図1のハイブリッド駆動装置に設けられている電子制御装置が備えている各種の機能を説明するブロック線図である。 図8の変速制御手段によって行われる自動変速機の変速制御で用いられる変速線図(マップ)の一例を示す図である。 図8の学習補正禁止手段および学習補正禁止規制手段の処理内容を具体的に説明するフローチャートである。 パワーONアップシフト時における係合側油圧指令値および解放側油圧指令値の制御パターンを入力トルク変化およびMG2回転速度変化と共に示すタイムチャートの一例である。 図8の変速制御手段による変速制御で用いられる基準値マップ、および学習補正によって更新される補正値マップの一例を説明する図である。 他の実施例を説明する図で、図8に対応するブロック線図である。 図13の学習補正手段および学習補正禁止手段の処理内容を具体的に説明するフローチャートである。
符号の説明
22:自動変速機 44:変速制御用の電子制御装置 132:変速制御手段 140:過回転防止手段 142、150:学習補正手段 146:トルク低下時学習補正禁止手段 148:学習補正禁止規制手段 152:バックアップ学習補正手段 154:通常学習補正手段 164:通常学習補正禁止手段(トルク低下時学習補正禁止手段) B1、B2:ブレーキ(摩擦係合装置) MG2:第2モータ・ジェネレータ(駆動源) TIN:入力トルク SPB1W:待機圧指令値(係合力に関する指令値) pah:補正値 NMG2:駆動源の回転速度 overrev:上限回転速度

Claims (2)

  1. 駆動源と、該駆動源に接続され、解放側摩擦係合装置の解放および係合側摩擦係合装置の係合によって変速が達成されるクラッチツークラッチ変速が行われる自動変速機と、を有する車両に関し、
    前記駆動源の回転速度が、オーバーランによる該駆動源の損傷を防止するために予め定められた上限回転速度以上となった場合に、該駆動源の出力を低下させる過回転防止手段と、
    前記クラッチツークラッチ変速が予め定められた変速動作となるように前記摩擦係合装置の係合力に関する指令値を学習補正する学習補正手段と、
    前記クラッチツークラッチ変速の実行中に前記自動変速機に入力される入力トルクが所定値以下になったことが検出された場合に、前記学習補正手段による学習補正を禁止するトルク低下時学習補正禁止手段と、
    を有する車両の制御装置において、
    前記学習補正手段は、
    前記指令値をフィードバック的に増減させるように学習補正する通常学習補正手段と、
    該通常学習補正手段による学習補正では速やかに正常な変速動作とすることができない場合に、前記クラッチツークラッチ変速の変速動作が促進されるように前記指令値を該通常学習補正手段よりも大きな変化幅で一方的に変化させるように学習補正するバックアップ学習補正手段と、
    を備えており、
    前記クラッチツークラッチ変速の実行中に前記駆動源の回転速度が前記上限回転速度以上となって前記過回転防止手段により前記駆動源の出力が低下させられた場合は、前記トルク低下時学習補正禁止手段による学習補正の禁止を規制し、前記バックアップ学習補正手段によって学習補正が行われることを許容する学習補正禁止規制手段を設けた
    ことを特徴とする車両の制御装置。
  2. 解放側摩擦係合装置の解放および係合側摩擦係合装置の係合によって変速が達成されるクラッチツークラッチ変速が行われる自動変速機を有する車両に関し、
    前記クラッチツークラッチ変速が予め定められた変速動作となるように前記摩擦係合装置の係合力に関する指令値を学習補正する学習補正手段と、
    前記クラッチツークラッチ変速の実行中に前記自動変速機に入力される入力トルクが所定値以下になったことが検出された場合に、前記学習補正手段による学習補正を禁止するトルク低下時学習補正禁止手段と、
    を有する車両の制御装置において、
    前記学習補正手段は、
    予め定められた通常学習補正実行条件が成立した場合に前記指令値をフィードバック的に増減させるように学習補正するとともに、前記トルク低下時学習補正禁止手段によって該学習補正が禁止される通常学習補正手段と、
    該通常学習補正手段による学習補正では速やかに正常な変速動作とすることができない予め定められたバックアップ学習補正実行条件が成立した場合に、前記クラッチツークラッチ変速の変速動作が促進されるように、前記通常学習補正手段よりも前記指令値を大きな変化幅で一方的に変化させるように学習補正するとともに、前記トルク低下時学習補正禁止手段によって該学習補正が禁止されないバックアップ学習補正手段と、
    を備えている
    ことを特徴とする車両の制御装置。
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