JP4923449B2 - タンク用キャップ - Google Patents
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Description
しかし、この従来の技術では、内蓋を超音波溶着法により溶着する手段をとっているので、溶着強度をさらに強くしたくとも限界がある。また、超音波溶着法では、バリが生じやすく、このバリが調圧弁の内部に浸入し、調圧弁の作動に支障を生じやすいという不具合もある。
しかし、この技術では、板材の係合部とケーシングとの係合力を大きくすると、組付作業性が低下し、これを解消するために係合力を弱くすると板材とケーシングとの組付強度が低下する。このように、組付作業性と組付強度とを両立することが難しいという問題があった。
タンク開口をシールした状態で開閉する閉止体と、
上記閉止体に設けられ、タンクと外部とを接続する弁室を形成する弁室形成体と、
上記弁室内に収納され、該弁室に形成された弁流路を開閉することで上記タンク内の調圧を行う調圧弁と、
を備えたタンク用キャップであって、
上記調圧弁は、上記弁流路を開閉する弁体と、該弁体を閉じ方向へ付勢するスプリングと、該スプリングの上記弁体の反対側の端部を支持するスプリングストッパ機構と、を備え、
上記スプリングストッパ機構は、上記閉止体に設けられかつ係止部を有するストッパ保持部と、該ストッパ保持部に保持され上記スプリングの一端を支持するスプリング支持部材と、上記ストッパ保持部に対して周方向に隣接しかつ上記スプリング支持部材を所定量挿入した位置で回転可能に支持する位置決め部とを備え、
上記スプリング支持部材は、円板形状の支持本体と、上記支持本体の外周部から突設されかつ山形の係合突部を有する被係合部とを有し、上記閉止体の軸方向へ上記ストッパ保持部に当たらないように上記スプリングのスプリング力に抗して挿入可能であり、かつ所定量挿入されて上記位置決め部で支持された状態にて上記ストッパ保持部に対して所定角度回転することで、上記係合突部が上記係止部を乗り越えて、該スプリング支持部材の回転が規制されるとともに上記スプリング力により上記ストッパ保持部に押し付けられるように構成したこと、
を特徴とする。
また、スプリング支持部材の被係合部は、上記スプリング力により上記ストッパ保持部に押し付けられるように構成したので、組付強度も高く、よって外力によって容易に外れることもなく、シール性を損なうこともない。
したがって、従来の技術で説明したような機械的な係合力を用いた場合のような不都合がない。
また、従来の技術で説明したようにスプリング止め部材を超音波溶着法により溶着したときにバリが生じ易いが、本発明のスプリングストッパ機構によれば、スプリング支持部材をスプリング力により止めているので、バリの発生による不具合もない。
また、上記ストッパ保持部の好適な態様として、上記閉止体の下端を切り欠いたガイド溝と、該ガイド溝に臨んで設けられ弾性変形可能である係止部とを備え、上記スプリング支持部材は、円板形状の支持本体の外周部に突設されかつ上記係止部に係合される上記被係合部を備える構成をとることができる。また、他の態様として、上記ストッパ保持部は、上記閉止体の下端を切り欠いたガイド溝と、該ガイド溝に臨んで設けられ弾性変形可能である係止部とを備え、上記スプリング支持部材は、円板形状の支持本体の外周部から上記閉止体の下端の外周部に嵌合する円筒部と、該円筒部に設けられ上記係止部に係合する上記被係合部とを備える構成をとることができる。
さらに、上記スプリング支持部材は、上記ストッパ保持部に支持させるときに回転力を加えるための治具を支持するための治具支持部を備えた構成をとることができる。これにより、スプリング支持部材の着脱作業を容易に行なうことができる。
また、スプリングストッパ機構の好適な態様として、上記スプリングストッパ機構は、上記スプリング支持部材が上記所定量挿入された位置にて回転可能に当接支持するストッパ部を備える構成をとることができる。このストッパ部は、スプリング支持部材を安定した姿勢で支持するから、スプリング支持部材の取付作業を容易にする。
図1は本発明の第1の実施例にかかる燃料キャップ10を示す断面図である。図1において、燃料キャップ10は、図示しない燃料タンクに燃料を補給する注入口FNb(タンク開口)を有するフィラーネックFNに装着されており、ポリアセタール等の合成樹脂材料から形成されたキャップ本体20と、このキャップ本体20の上部に装着されナイロン等の合成樹脂材料から形成された操作部を有する蓋体40と、弁室25に収納された調圧弁50と、トルク機構90と、キャップ本体20の上部外周に装着されてフィラーネックFNとの間をシールするガスケットGSとを備えている。なお、本発明にいう閉止体は、注入口FNb(タンク開口)をシールした状態で開閉する部材であり、キャップ本体20とガスケットGSとを含む部材をいうが、キャップ本体だけでシール作用を有するものを含む。
図2は調圧弁50の付近を示す断面図である。調圧弁50は、正圧弁60及び負圧弁80から構成されている。正圧弁60は、弁室25の上室25aに配置され、負圧弁80は、下室25bに配置されている。上室25aと下室25bとの間であって弁室形成体20bの内側から傾斜した部分に第1着座部20fが形成されており、この第1着座部20fに臨んで第1弁流路25dが形成されている。この第1弁流路25dは、底部20dに形成された連通孔25cに連通し、さらに連通孔25cは、図示しないフィラーパイプを通じて燃料タンクに接続されている。
正圧弁60は、第1弁流路25dを開閉する正圧弁体61と、弁保持部材65と、第1スプリング68とを備えている。正圧弁体61は、フッ素ゴムなどから形成された円板状の正圧弁本体62を備えており、この正圧弁本体62に弁機能を果たすための貫通孔や突起が形成されている。すなわち、正圧弁本体62には、第1着座部20fに着座することで第1弁流路25dを閉じるシート部63aが形成されている。また、上記正圧弁本体62の中心部には、第1弁流路25dに接続される第2弁流路63cが貫通形成されている。さらに、正圧弁本体62の下面であって第2弁流路63cに臨んだ部位に、第2着座部63dが形成されている。この第2着座部63dは、後述するように負圧弁80の着座面として作用するものである。
図4に戻り、スプリング支持部材75は、貫通穴75aを有する円板形状の支持本体76と、この支持本体76の外周部に形成された被係合部77とを備え、その間が外周に沿った挿入部78になっている。支持本体76の下面は、第1スプリング68の上端を支持するためのスプリング支持面76aになっている。被係合部77は、周方向に90゜の間隔で4箇所設けられており、山形の係合突部77aと、係合突部77aから周方向へ所定角度隔てて突設された係止突部77bとを備え、その間が保持スペース77cになっている。図5に示すように、ストッパ保持部71の係止部71cがスプリング支持部材75の保持スペース77cに嵌るとともに、第1スプリング68により上方に付勢されることにより、スプリング支持部材75は、ストッパ保持部71に保持され、第1スプリング68の上端を支持している。また、スプリング支持部材75の上部には、ストッパ保持部71に支持させるときに回転力を加えるための治具JGを支持するための治具支持部79が形成されている。治具支持部79は、円周に沿って立設された4箇所の三角形の立壁79aにより形成された治具挿入部79bとにより構成されている。
図2において、負圧弁80は、樹脂からなる負圧弁体81と、負圧弁体81と底部20dとの間に掛け渡されて負圧弁体81に付勢する第2スプリング88とを備えている。負圧弁体81は、上壁板部82aと該上壁板部82aの外周部から突設された円筒状の側壁部82bとから形成されたカップ形状の負圧弁本体82を備えている。負圧弁本体82の上壁板部82aには、正圧弁体61の第2着座部63dに着座することで第2弁流路63cを閉じるシート部82cが円形状に形成されている。
次に、調圧弁50を弁室25内に組み付ける作業について説明する。弁室25内に調圧弁50を組み付けるには、図2に示すように、第2スプリング88、負圧弁体81を下室25bに収納する。続いて、弁保持部材65を組み付けた正圧弁体61を負圧弁体81の上面に載置し、さらに第1スプリング68の下端をばね支持部65bに乗せる。図6は燃料キャップの軸中心から半径方向へ見た状態における組付工程を説明する説明図である。図4および図6(A)に示すように、スプリング支持部材75の被係合部77を、ストッパ保持部71と位置決め部72との間に位置合わせし、スプリング支持部材75を第1スプリング68の上端に乗せて第1スプリング68を圧縮することで、スプリング支持部材75を位置決め部72のストッパ部72sに当たるまで所定量押し下げる。続いて、図4に示す治具JGを治具支持部79の治具挿入部79bに嵌めて、スプリング支持部材75をストッパ部72s上で支持しつつ矢印方向(時計方向)へ回転すると、図6(B)に示すように、係合突部77aが係止部71cに当たる。さらにスプリング支持部材75を回転すると、係合突部77aの傾斜面により、スプリング支持部材75の一部が下方への力を受ける。この状態にて、ストッパ保持部71の台座71dが位置決め部72のストッパ部72sより高さhcだけ低いので、スプリング支持部材75は、係合突部77aの部分で押し下げられるように弾性変形しつつ、図6(C)に示すように、係合突部77aが係止部71cを乗り越えて、図6(D)に示すように係止突部77bが係止部71cに当たる。そして、スプリング支持部材75から手を離すと、第1スプリング68によりスプリング支持部材75が押し上げられて、保持スペース77cに係止部71cが保持される。これにより、スプリング支持部材75がストッパ保持部71で回転を規制された状態で保持されるとともに第1スプリング68の上端を支持して、第1スプリング68が正圧弁体61に付勢するようにスプリング支持部材75と弁保持部材65との間に掛け渡される。
上記構成において、正圧弁60による燃料タンク内の調圧は、以下の動作により行われる。すなわち、図2に示す燃料キャップ10をフィラーネックFNに装着した状態にて、燃料タンク内の圧力が第1圧力値を超える正圧になると、第1スプリング68の付勢力に抗して正圧弁体61及び弁保持部材65が上昇し、燃料タンク内が弁室25などの流路を経て、つまりフィラーパイプ、底部20dの連通孔25c、第1弁流路25d、正圧弁体61の外周の間隙、および弁室形成体20bの上部開口を通じて外気に連通して燃料タンク内の正圧状態が解消する方向へ向かう。外気への連通により、正圧弁体61に加わっている差圧が第1スプリング68の付勢力を下回ると、第1スプリング68の付勢力により正圧弁体61が下げられて閉弁する。このように、燃料タンク内の圧力が第1圧力値を超えないように正圧弁体61が開閉する。
上記実施例の構成により、上述した効果のほか、以下の効果を奏する。
なお、スプリング支持部材75Cの上部に、負圧弁80Cの開弁特性を改善するための円筒形状の弁流路形成体85Cが突設されている。弁流路形成体85Cには、周方向に所定角度隔てて連通孔85Caが形成されている。負圧弁体81Cが開弁して所定ストロークだけ移動して、連通孔85Caに達すると、急激に流量が増大する。したがって、開弁した後、流量が急激に立ち上がって燃料タンク内の負圧を速やかに解消する特性が得られる。
また、実施例では、燃料キャップに適用した構成を説明したが、これに限らず、タンクを調圧する調圧弁を有するキャップであってもよい。
20...キャップ本体(閉止体)
20a...外管体
20b...弁室形成体
20d...底部
20f...第1着座部
21...キャップ側係合部
22...フランジ部
24...シール保持部
25...弁室
25a...上室
25b...下室
25c...連通孔
25d...第1弁流路
40...蓋体
50...調圧弁
60...正圧弁
61...正圧弁体(弁体)
62...正圧弁本体
63a...シート部
63c...第2弁流路
63d...第2着座部
63f...嵌合部
63g...側部支持凹所
65...弁保持部材
65a...嵌合孔
65b...ばね支持部
68...第1スプリング
70...スプリングストッパ機構
71...ストッパ保持部
71a...立壁
71b...切欠き
71c...係止部
71d...台座
72...位置決め部
72a...立壁
72s...ストッパ部
75...スプリング支持部材
75a...貫通穴
76...支持本体
76a...スプリング支持面
77...被係合部
77a...係合突部
77b...係止突部
77c...保持スペース
78...挿入部
80...負圧弁
81...負圧弁体(弁体)
82...負圧弁本体
82a...上壁板部
82b...側壁部
82c...シート部
88...第2スプリング
90...トルク機構
20C...キャップ本体
27C...着座部材
27Ca...着座部
70C...スプリングストッパ機構
71C...ストッパ保持部
72C...位置決め部
72Cs...ストッパ部
75C...スプリング支持部材
77C...被係合部
80C...負圧弁
81C...負圧弁体(弁体)
85C...弁流路形成体
85Ca...連通孔
FN...フィラーネック
GS...ガスケット
FNb...注入口
Claims (5)
- タンク開口をシールした状態で開閉する閉止体と、
上記閉止体に設けられ、タンクと外部とを接続する弁室(25)を形成する弁室形成体(20b)と、
上記弁室(25)内に収納され、該弁室(25)に形成された弁流路を開閉することで上記タンク内の調圧を行う調圧弁(50)と、
を備えたタンク用キャップであって、
上記調圧弁(50)は、上記弁流路を開閉する弁体と、該弁体を閉じ方向へ付勢するスプリングと、該スプリングの上記弁体の反対側の端部を支持するスプリングストッパ機構(70)と、を備え、
上記スプリングストッパ機構(70)は、上記閉止体に設けられかつ係止部(71c)を有するストッパ保持部(71)と、該ストッパ保持部(71)に保持され上記スプリングの一端を支持するスプリング支持部材(75)と、上記ストッパ保持部(71)に対して周方向に隣接しかつ上記スプリング支持部材(75)を所定量挿入した位置で回転可能に支持する位置決め部(72)とを備え、
上記スプリング支持部材(75)は、円板形状の支持本体(76)と、上記支持本体(76)の外周部から突設されかつ山形の係合突部(77a)を有する被係合部(77)とを有し、上記閉止体の軸方向へ上記ストッパ保持部(71)に当たらないように上記スプリングのスプリング力に抗して挿入可能であり、かつ所定量挿入されて上記位置決め部(72)で支持された状態にて上記ストッパ保持部(71)に対して所定角度回転することで、上記係合突部(77a)が上記係止部(71c)を乗り越えて、該スプリング支持部材(75)の回転が規制されるとともに上記スプリング力により上記ストッパ保持部(71)に押し付けられるように構成したこと、
を特徴とするタンク用キャップ。 - 請求項1に記載のタンク用キャップにおいて、
上記位置決め部(72)は、上記係合突部(77a)が上記係止部(71c)を乗り越えるときに上記支持本体(76)の一部が弾性変形可能となるように支持するタンク用キャップ。 - 請求項1に記載のタンク用キャップにおいて、
上記調圧弁は、弁体と、該弁体に閉弁方向へ付勢するスプリングとを備えた負圧弁(80C)であり、
上記ストッパ保持部(71C)は、上記閉止体の下部に設けられ、上記スプリング支持部材(75C)は、上記ストッパ保持部(71C)に装着されかつ上記スプリングの下端を支持するように構成されているタンク用キャップ。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のタンク用キャップにおいて、
上記スプリング支持部材(75)は、上記ストッパ保持部(71)に支持させるときに回転力を加えるための治具(JG)を支持するための治具支持部(79)を備えたタンク用キャップ。 - 請求項1に記載のタンク用キャップにおいて、
上記スプリングストッパ機構(70)は、上記スプリング支持部材(75)を上記所定量挿入した位置にて回転可能に当接支持するストッパ部(72s)を備えたタンク用キャップ。
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