JP4923291B2 - 水性防湿絶縁用コート剤 - Google Patents

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Description

本発明は、水性防湿絶縁用コート剤に関する。さらに詳しくは、有機溶媒を含有せず、電気・電子回路基板等に塗布し防湿絶縁用の被膜(防湿絶縁用コート)を形成することにより電気・電子部品等に絶縁処理を施すことが可能な水性防湿絶縁用コート剤に関する。
従来、ガラスエポキシ、セラミック等の基板の上に所定の金属で配線図が印刷され、その所定の位置にIC、コンデンサ、抵抗体などの各種電子部品が搭載されてなる電気・電子回路基板が製造されている。そして近年、高温多湿の環境下において使用されても湿気や結露水等に起因する絶縁抵抗が低下するのを抑制し、高い信頼性を有する電気・電子部品を得るために、それら電気・電子部品全体に防湿絶縁用コートが施されるようになってきた。このような電気・電子部品等の表面絶縁膜形成用の防湿絶縁用コート剤としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類等の塗料原料として一般的に用いられる有機溶媒に溶解した、溶剤系塗料の形態のものが用いられている。そしてそのコート剤をスプレー法、浸漬法、刷毛塗り法等によって電気・電子部品等の表面に塗布し、加熱乾燥させて防湿絶縁用コート被膜を形成している(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、これらの電気・電子部品等に使用する防湿絶縁用コート剤は、いずれも、溶媒としてトルエン等の有機溶媒を使用しているために、乾燥工程で有機溶媒が空中に蒸散し大気を汚染するという問題があった。昨今、環境対応の必要性が強く叫ばれるようになっており、電気・電子部品等に使用する防湿絶縁用コート剤においても、より環境負荷が低い代替溶媒へ切替えが求められている。
そこで、電気・電子部品用として、有機溶媒を使用しない熱硬化型及びUV硬化型の防湿絶縁用コート剤も提案されている(例えば、特許文献3参照)が、粘度が高いために防湿絶縁用コート被膜が必要以上に厚くなってしまいコスト高になったり、複雑な形状の部分を均一な厚みの被膜で覆うことや微細な空間部分に十分に浸透することが難しく、いまだ十分に満足できるものが得られていない。
また、電気・電子部品用として、水系の絶縁用コート剤も提案されている(例えば、特許文献4参照)が、初期の絶縁電気抵抗性ならびに、高温高湿下の絶縁電気抵抗を長時間持続可能とする点において、いまだ十分に満足できるものが得られていない。
特開平5−75241号公報 特開平7−66538号公報 特開2002−155230号公報 特開2005−36026号公報
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、有機溶媒に替えて溶媒(分散媒)として環境負荷のない水を使用し、電気・電子部品等に塗布したときに、複雑な形状であっても均一な厚みで、しかも微細空間部分に十分浸透した被膜を形成することができ、しかも初期の絶縁電気抵抗性を高め、高温高湿下においても長時間絶縁電気抵抗性を持続する防湿絶縁用コート被膜を形成することができる水性防湿絶縁用コート剤を提供することを特徴とする。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、水性防湿絶縁用コート剤に用いられるアクリル系樹脂として、スチレン由来の構成単位と(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位とを特定の割合で配合した共重合体を用いることにより、上記課題を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によって以下の水性防湿絶縁用コート剤が提供される。
[1] アクリル系樹脂を含有する水性防湿絶縁用コート剤であって、前記アクリル系樹脂が、(A)スチレン由来の構成単位と、(B)(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位とからなる共重合体であり、前記(A)成分と(B)成分との配合割合が質量比で(A):(B)=1:1〜2:1である水性防湿絶縁用コート剤。
[2] 前記(B)成分が、(B1)炭素数8〜15のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである[1]に記載の水性防湿絶縁用コート剤。
[3] 前記(B)成分が、前記(B1)成分と(B2)炭素数1〜6のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとからなり、前記(B1)成分と(B2)成分との配合割合が、質量比で(B1):(B2)=95:5〜5:95である[2]に記載の水性防湿絶縁用コート剤。
[4] アクリル系樹脂を含有する水性防湿絶縁用コート剤であって、前記アクリル系樹脂が、(A)スチレン由来の構成単位、(B2’)炭素数1〜6のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル由来の構成単位及び(B1’)炭素数8〜15のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル由来の構成単位からなる共重合体であり、かつ、前記(A)成分と(B2’)成分との配合割合が質量比で(A):(B2’)=1:2〜1:1であり、前記(A)成分と(B2’)成分との合計量100質量部に対し、前記(B1’)成分の配合割合が50〜80質量部である水性防湿絶縁用コート剤。
[5] 前記水性防湿絶縁用コート剤中に、石油系ワックス及び/又はポリエチレン系ワックスを含有する[1]〜[4]のいずれかに記載の水性防湿絶縁用コート剤。
[6] 前記石油系ワックスがパラフィンワックス及び/又はマイクロクリスタリンワックスを含有することを特徴とする[5]に記載の水性防湿絶縁用コート剤。
[7] 前記アクリル系樹脂100質量部に対し、前記ワックス(石油系ワックス及び/又はポリエチレン系ワックス)を2〜30質量部含有する[5]又は[6]に記載の水性防湿絶縁用コート剤。
[8] 電気・電子部品表面の防湿絶縁被膜形成のために用いられる[1]〜[7]のいずれかに記載の水性防湿絶縁用コート剤。
本発明の水性防湿絶縁用コート剤は、水を分散媒として使用しているため、大気汚染等、環境負荷の少ない水性防湿絶縁用コート剤となる。また、コート剤として用いられるアクリル系樹脂を構成する成分としてスチレンを特定量含有するため、高温高湿下での水の吸着が少なく長時間持続可能な絶縁電気抵抗性を有する防湿絶縁用コート被膜を形成することができる。また、コート剤として用いられるアクリル系樹脂を構成する成分として、スチレンのほか、炭素数8〜15のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと炭素数1〜6のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを有することにより、柔軟性に優れ、かつ、初期段階での電気抵抗性を向上させることができる。さらに、コート剤として用いられるアクリル系樹脂を構成する成分として、スチレンのほか、炭素数8〜15のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルと炭素数1〜6のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルとを有することにより、前記と同様の効果を有する防湿絶縁用コート被膜を形成することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」という。)を具体的に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
本実施形態の水性防湿絶縁用コート剤は、アクリル系樹脂を含有するものであり、前記アクリル系樹脂が(A)スチレン由来の構成単位と(B)(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位とを特定の割合で配合した共重合体を含有するものである。このことにより、測定開始直後の絶縁電気抵抗性が高く、かつ高温高湿下の絶縁電気抵抗性を長時間持続可能とする防湿絶縁用コート被膜を形成することができる。なお、本実施形態の水性防湿絶縁用コート剤における絶縁抵抗性の測定開始直後ならびに長時間とはそれぞれ5時間、500時間以上のことを指し示すものである。
本実施形態の水性防湿絶縁用コート剤に含有されるアクリル系樹脂は、(A)スチレン由来の構成単位及び(B)(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有するものである。前記(A)成分のスチレン由来の構成単位は、置換基を有してもよく、下記一般式(I)で表される構成単位である。
Figure 0004923291
(式中、R1はH又はCH3である。)
このスチレン由来の構成単位を有することにより、絶縁電気抵抗性を長時間持続することができ、更に防湿絶縁用コート被膜の伸び性に優れたものとなる。
また、前記(B)成分の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、メタクリル酸ノニル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上用いてもよい。このような(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有することにより、500時間後の絶縁電気抵抗性を高くすることができ、更に防湿絶縁用コート剤被膜が応力緩和に優れたものとなる。
前記(B)成分として、2種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いる場合は、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、メタクリル酸ノニル等の(B1)炭素数8〜15のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの中から1種以上と、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル等の(B2)炭素数1〜6のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの中から1種以上とを、選択するのが好ましい。前記(B1)成分及び(B2)成分の両方を用いることにより、測定開始直後から少なくとも500時間の長時間に至り電気抵抗性を安定化させ、かつ、耐湿性を向上させることが可能となる。なお、明細書中、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、アクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルのことを示す。
アクリル系樹脂中の、前記(A)成分と前記(B)成分との比率としては、質量比として(A):(B)=1:1〜2:1であることが好ましい。スチレン由来の構造単位の配合割合がこの範囲より少ないと電気抵抗性が低下し、この範囲を超えると乾燥後の塗膜が脆く、クラックが発生しやすくなる。
また、前記(B)成分として、前記(B1)成分と(B2)成分とを用いる場合はその配合比率として、質量比で95:5〜5:95であることが好ましく、90:10〜10:90であることが更に好ましい。(B1)成分がこの範囲より少ないと測定開始直後の電気抵抗性が低下し、この範囲を超えると乾燥後の塗膜がべたつき作業性が悪くなる。
前記実施形態以外の他の実施形態について説明する。本実施形態の水性防湿絶縁用コート剤は、アクリル系樹脂を含有し、含有されるアクリル系樹脂は、前記(A)成分と、前記(B2)成分として炭素数1〜6のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル(B2’)と、前記(B1)成分として炭素数8〜15のアクリル酸アルキルエステル(B1’)とを構成単位とする共重合体であって、前記(A)成分、(B2’)成分及び(B1’)のそれぞれの比率(質量比)が、前記(A)成分:(B2’)成分=1:2〜1:1の範囲で、しかも前記(A)成分と(B2’)成分との合計量100質量部に対し前記(B1’)成分の配合割合が50〜80の範囲である。この範囲より(B2’)成分が少ないと絶縁電気抵抗性を長時間持続することができないし、(B2’)成分の配合割合がこの範囲を超えると、防湿絶縁用コート被膜の伸び性が低下する。また、前記(B1’)成分がこの範囲より少ないと500時間後の絶縁電気抵抗性が低く、前記(B1’)成分がこの範囲を超えると、防湿絶縁用コート被膜の応力緩和低下の原因となる。
前記(B1’)成分としては、先の実施例のアクリル系樹脂を構成する(B1)成分のうち、アクリル酸アルキルエステルを用いることができる。このようなものとしては、例えば、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル等が挙げられる。また、(B2’)成分としては、前記(B1’)成分と同様、先の実施形態のアクリル樹脂を構成する(B2)成分のうち、メタクリル酸アルキルエステルを用いることができる。このようなものとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等が挙げられる。前記(B1’)成分及び(B2’)成分は、単独で用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
本実施形態の水性防湿絶縁用コート剤に含有されるアクリル系樹脂は、更に他の単量体由来の構成単位を有してもよい。他の単量体としては、ビニルエステル類、オレフィン類、クロトン酸類、イタコン酸類、マレイン酸類、フマル酸類、アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、グリシジルエステル類、不飽和ニトリル類、多官能単量体、他各種不飽和酸から選ばれる1種又は2種以上を組み合わせた単量体を挙げることができる。
本実施形態の水性防湿絶縁用コート剤は、水を溶媒又は分散媒として前記アクリル系樹脂を含むコート成分をその水中に溶解又は分散させてなる水系の防湿絶縁用コート剤であるため、有機溶媒を使用した場合と比較して、大気汚染等、環境負荷の少ないものである。
また、前記アクリル系樹脂は電気・電子部品等に均一な塗膜の形成性の面から、水中にアクリル系樹脂の液状微粒子が均一に分散する水中油滴分散型のエマルジョンであることが好ましく、特に連続相である水の中に多数の液状微粒子、好ましくは粒径が10〜1000nmの範囲であるエマルジョンが好ましい。このアクリル系樹脂粒子の外周は、乳化剤で覆われた状態でもよいし、アクリル系樹脂が露出した状態でもよい。アクリル系粒子の外周が乳化剤で覆われている場合の粒径は、乳化剤も含んだ全体の粒径である。アクリル系粒子を乳化剤により形成させるときに使用する乳化剤としては、アニオン系乳化剤、非イオン系乳化剤がある。アニオン系乳化剤としては、例えば、高級脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルホスホン類、ポリエチレングリコール硫酸エステル塩類を挙げることができる。また非イオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン類、脂肪酸モノグリセライド類等を挙げることができる。
アクリル系樹脂のガラス転移温度(以下Tgという)は、樹脂の最低造膜温度(MFT)、耐熱性、高温での透湿性と関係がある。Tgが低すぎると、耐熱性が不足し、高温多湿下において絶縁性が低下することがある。逆にTgが高すぎると基板に対する防湿絶縁被膜の密着性が悪くなるとともに、被膜が脆くなり機械的強度が低下することがある。本発明においては、好ましいアクリル系樹脂粒子のTgを0〜50℃の範囲、更に好ましくは10〜40℃とするのがよい。
本実施形態の水性防湿絶縁用コート剤には、絶縁電気抵抗性を向上させる目的で、各種ワックス、例えば、石油系ワックス及び/又はポリエチレン系ワックスを含有することができる。石油系ワックスを含有した水性防湿絶縁用コート剤からなる被膜は、使用測定開始直後の絶縁電気抵抗性を高めることが可能となる。また、ポリエチレン系ワックスを含有した水性防湿絶縁用コート剤からなる被膜は、高温高湿下での絶縁電気抵抗性の維持に効果があるので好ましい。従って、これら2種を併用することにより、測定開始直後の絶縁電気抵抗性を高め、更に高温高湿下での絶縁電気抵抗性を維持することができる水性防湿絶縁用コート剤を得ることが可能となる。このことから特に前記(B2)成分を構成単位として使用しないアクリル系樹脂と共に用いるのが好ましい。また、ワックスとして、その他のものを更に併用することもできる。例えば、植物系天然ワックス、動物系天然ワックス、鉱物系天然ワックス、ポリエチレンワックスを除くその他の合成炭化水素系ワックス等である。
石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等が挙げられる。ここで、パラフィンワックスはノルマルパラフィンを主成分とし、炭素数が16〜40でかつ融点が35℃〜70℃であるもの、マイクロクリスタリンワックスはイソパラフィン、シクロパラフィンを主成分とし、炭素数32〜70でかつ、融点が60℃〜110℃のものを示すものである。このなかでも、融点が70℃〜110℃のものが高温・多湿条件下で塗膜の安定性が高いといった点で好ましい。
ポリエチレン系ワックスとしては、ポリエチレンワックス、ポリエチレンのカルボキシル変性ワックス、酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンのカルボキシル変性ワックス、エチレン−アクリル酸共重合体ワックス等を挙げることができる。これら、ポリエチレン系ワックスの中でも、重量平均分子量が500〜5,000で、かつ、融点が85〜150℃のものが好ましい。
植物系天然ワックスとしてはカルナウバロウ、カンデリラロウ、綿ロウ等が挙げられる。動物系天然ワックスとしてはミツロウ、鯨ロウ、羊毛ロウ等が挙げられる。鉱物系天然ワックスとしてはモンタンワックス、オゾケライト、セレシン等が挙げられる。合成炭化水素系ワックスとしては、ポリプロピレン系ワックス及びその誘導体、フィッシャートロプッシュワックス及びその誘導体等が挙げられる。
ワックスは、連続相である水の中に多数の液状微粒子(ワックス粒子)として均一に分散させるのが好ましい。ワックス粒子は、アニオン性乳化剤、非イオン性乳化剤等により水中に乳化分散されていることが好ましい。ワックス粒子の平均粒径は、10〜1,000nmであることが好ましい。ワックス粒子の粒径は、界面活性も含んだ全体の粒径である。ワックスを水中に、ワックス粒子として分散させるための乳化剤としては、具体的には、上記アクリル系粒子の項で述べたアニオン系乳化剤、非イオン系乳化剤等を挙げることができる。また、一つの微粒子中に、上記アクリル系樹脂とワックスとが両方含まれていてもよい。アクリル系樹脂を乳化重合する際にワックスを予め添加することにより、両方が含まれる多数の微粒子が形成される。
前記ワックスの配合割合は、本実施形態の水性防湿絶縁用コート剤中の、アクリル系樹脂100質量部に対してワックスが2〜30質量部であることが好ましく、8〜25質量部であることがさらに好ましい。ワックスの配合割合をこの範囲とすることにより、防湿性及び防湿絶縁被膜(本実施形態の水性防湿絶縁用コート剤を電気・電子部品等の表面に塗布して乾燥させたときに形成される被膜)の耐熱性や電気・電子部品等への密着性に優れた防湿絶縁用コート剤が得られる。また、ワックスとして、石油系ワックスとポリエチレン系ワックスとを併用する場合の石油系ワックスとポリエチレン系ワックスとの配合割合は質量比で、10:90〜70:30の範囲であり、好ましくは20:80〜40:60の範囲である。石油系ワックスとポリエチレン系ワックスとの配合割合をこの範囲内とすることにより測定開始直後の絶縁電気抵抗性と、高温高湿下での絶縁電気抵抗性の維持とのバランスのとれた、優れた水性防湿絶縁用コート剤とすることができる。また、ワックスとして、石油系ワックスとポリエチレン系ワックス以外のその他のワックス成分を、全ワックス成分の50質量%未満、好ましくは20質量%未満とするのがよい。その他のワックス成分をこの範囲を超える量配合すると、絶縁抵抗性の低下や防湿性の面から好ましくない。
本実施形態においては、前記アクリル系樹脂及び所望により用いられるワックス成分の合計質量は、水性防湿絶縁用コート剤全体に対する比率が15〜50質量%となるように調製するのが好ましい。アクリル系樹脂とワックス成分の合計量が水性防湿絶縁用コート剤全体に対し50質量%より高いと、水性防湿絶縁用コート剤の粘度が高くなり、電気・電子部品の表面等の複雑で微細な凹凸を有する部分に塗布した場合、微細な空間部分に十分に浸透できなくなる。15質量%より低いと、水性防湿絶縁用コート剤の粘度が低くなり、水性防湿絶縁用コート剤を電気・電子部品等に塗布したときに、塗膜の厚さを所望の厚さにできなくなる。
本実施形態の水性防湿絶縁用コート剤には、使用時に泡立ちしないように、消泡剤が含有されていることが好ましい。含有される消泡剤としては、疎水性粒子、破泡性ポリシロキサン及びポリグリコールの混合物が最適である。ここで、疎水性粒子とは、親水性液体中で異種の粒子として働き、凝集力を低下させ泡の安定性を壊すのに役立つものである。具体的には、疎水性のシリカ、金属ステアレート、脂肪酸誘導体、ポリ尿素等を挙げることができる。また、破泡性ポリシロキサンとしては、消泡性を有する従来公知の各種のポリシロキサン化合物を用いることができる。これらの中でも常温で液状のオルガノポリシロキサンが好ましい。オルガノポリシロキサンとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン−ポリジフェニルシロキサンコポリマー等が挙げられる。ここで、疎水性粒子、破泡性ポリシロキサン及びポリグリコールは、混合物にしてから添加して水性防湿絶縁用コート剤を形成してもよいし、別々に添加して水性防湿絶縁用コート剤を形成してもよい。これにより、本実施形態の水性防湿絶縁用コート剤を電気・電子部品等の表面に塗布するときに、発泡することなく表面全体により均一な防湿絶縁被膜を形成することができ、防湿絶縁性が高められるからである。水性防湿絶縁用コート剤を電気・電子部品等の表面に塗布するときに泡が形成されると、乾燥させたときにその泡が破れ、防湿絶縁被膜に孔が開いた状態になり、防湿絶縁性を維持することができないため、上述のような消泡機能を有する消泡剤が含有されることが好ましい。
本実施形態の水性防湿絶縁用コート剤中の消泡剤の含有率は、水性防湿絶縁用コート剤全体の質量に対して、0.05〜2.0質量%が好ましい。0.05質量%より少ないと、消泡効果が低くなり、2.0質量%より多いと、水性防湿絶縁用コート剤を電気・電子部品等に塗布した場合、ハジキの発生や電気・電子部品等に対する防湿絶縁被膜の密着性低下の面で好ましくない。
本実施形態の水性防湿絶縁用コート剤には、複雑な表面形状を有する被コート物、例えば電気・電子部品に塗布したときに、その複雑な構成の細部にまでコート剤を浸透させ、かつ被コート物の表面により均一な絶縁被膜を形成し、高い絶縁被膜を形成する目的で、界面活性剤が含有されてもよい。含有される界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等、各種の界面活性剤を挙げることができる。これらは単独で使用してもよいし、複数種類を混合して使用してもよい。これらの中でも、陰イオン性界面活性剤が好ましい。陰イオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩及びその他のスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物等を挙げることができる。これらの中でも特に、アルキルベンゼンスルホン酸塩及びその他のスルホン酸塩の一種である、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムが好ましい。界面活性剤の配合割合は、水性防湿絶縁用コート剤全体の質量に対して、0.01〜5質量%の範囲である。
本実施形態の水性防湿絶縁用コート剤中の全固形分量は、水性防湿絶縁用コート剤全体の質量に対し、15〜55質量%の範囲であり、これ以外は溶媒又は分散媒である水である。固形分量がこの範囲を超えると、水性防湿絶縁用コート剤の粘度が高くなり塗布性が低下するし、この範囲未満であっても、水性防湿絶縁用コート剤の粘度が低くなるため、やはり塗布性が低下するので好ましくない。
本実施形態の水性防湿絶縁用コート剤は、25℃における粘度が3〜200mPa・sであることが好ましく、5〜100mPa・sであることが更に好ましい。3mPa・sより低いと、粘度が低すぎるため、塗膜が厚くならないことがあり、防湿絶縁被膜を所定の厚さにするためには、何度も繰り返して塗る必要があるため、生産効率が悪くなることがある。200mPa・sより高いと、粘度が高いため、本実施形態の水性防湿絶縁用コート剤を電気・電子部品等の表面に塗布したときに、表面構造が複雑な場合には、その複雑な構造の細部にまで水性防湿絶縁用コート剤が浸透し難く、防湿絶縁被膜が形成されない部分ができることがある。また、粘度が高いため、塗膜が厚くなることがある。
従って、上記界面活性剤を使用するとともに、水性防湿絶縁用コート剤の粘度を3〜200mPa・sとすることにより、より効果的に水性防湿絶縁用コート剤の浸透性を向上させることができる。
上記水性防湿絶縁用コート剤の粘度の測定方法は、回転粘度計を用い、25℃におけるコーンの回転開始から1分後の粘度を測定する。使用する回転粘度計は、ELD型回転粘度計で、測定する粘度に応じて適宜コーンと回転数を選択すればよい。本実施形態において,粘度が5〜10mPa・sのときは、No.11のコーンを使用し回転速度50rpmの条件で測定を行う。回転粘度計としては、例えば、東京計器社製のELD型回転粘度計を使用することができる。
次に、本実施形態の水性防湿絶縁用コート剤の製造方法について説明する。本実施形態の水性防湿絶縁用コート剤においてワックスエマルジョンを含有する場合には、水中にアクリル系樹脂の液状微粒子が分散するアクリル系樹脂エマルジョンと、水中にワックスの液状微粒子が分散するワックスエマルジョンとを混合し、上述した所定の消泡剤及び水を添加することにより製造することが好ましい。上述のように、アクリル系樹脂を乳化重合等するときに、ワックスを予め添加しておき、一つの粒子中にアクリル系樹脂とワックスの両方が含まれるようにすることも可能である。
アクリル系樹脂エマルジョンはよく知られた方法で重合して得ることができるが、重合方法としては特に限定されるものではない。例えば、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等がある。アクリル系樹脂エマルジョン中のアクリル系樹脂の含有率は、15〜50質量%であることが好ましい。15質量%より低いと、濃度が低いため、水性防湿絶縁用コート剤中のアクリル系樹脂の含有率を所望の値にし難くなることがあり、50質量%より高いと、濃度が高いため、アクリル系樹脂エマルジョンの製造が難しくなることがある。
また、本実施形態の水性防湿絶縁用コート剤には必要に応じて、前記ワックス成分、消泡剤及び界面活性剤以外の添加剤、例えば、架橋剤、増粘剤、レベリング剤、防錆剤等の各種添加剤を加えることができる。
前記添加剤のうち、架橋剤は、アクリル系樹脂を架橋させ、アクリル系樹脂による塗膜の凝集力を高めることができる。このような架橋剤としては、アジリジン系架橋剤、ブロック型や自己乳化型のイソシアネート系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、金属系架橋剤等が挙げられる。これらの架橋剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。この架橋剤の配合割合は、アクリル系樹脂100質量部に対し、3〜25質量部の範囲である。また、架橋剤は、使用直前に水性防湿絶縁用コート剤の中に添加することが好ましい。架橋剤を予め添加しておくと架橋反応が進行してしまい、被膜形成性や塗布性の低下が見られるからである。
さらに、本実施形態の水性防湿絶縁用コート剤の粘度を調整するために、前記添加剤の中から必要に応じ増粘剤を添加することができる。増粘剤としては、ポリアクリル酸塩、水溶性ウレタン樹脂等を用いることができ、その配合量は、アクリル系樹脂100質量部に対し、0.05〜5質量部である。
本実施形態の水性防湿絶縁用コート剤を用いて、電気・電子部品に防湿絶縁処理を施す方法としては、一般に知られている方法とすることができる。すなわち、スプレー法、浸漬法、刷毛塗り法などによって水性防湿絶縁用コート剤を電気・電子部品に、乾燥後の防湿絶縁用コート被膜の厚さが2〜50μmになるように塗布、乾燥すればよい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
アクリル系樹脂エマルジョンを以下の手順により重合した。(A)スチレン50質量部、(B2)アクリル酸ブチル20質量部、(B1)アクリル酸2−エチルヘキシル30質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.6質量部をイオン交換水100質量部に溶解し、イオン交換水中で3時間反応させ、スチレンアクリル系共重合物(アクリル系樹脂)50質量%のスチレンアクリル系共重合物エマルジョンを得た。得られたスチレンアクリル系共重合物の重量平均分子量は100,000であった。粘度を調節するため、水を加え27質量%のスチレンアクリル系エマルジョンを得た。さらに、消泡剤として疎水性粒子、破泡性ポリシロキサン及びポリグリコールを添加して、全体的に均一に分散するように撹拌して、200メッシュの金網で濾過して白色の水性防湿絶縁用コート剤を調製した。
ここで、疎水性粒子は水性防湿絶縁用コート剤全体の0.08質量%となるように添加し、破泡性ポリシロキサンは水性防湿絶縁用コート剤全体の0.08質量%となるように添加し、ポリグリコールは水性防湿絶縁用コート剤全体の0.8質量%となるように添加した。
得られた水性防湿絶縁用コート剤の25℃における粘度は、6mPa・sであった。
(実施例2)
(A)スチレンを60質量部、(B2)アクリル酸ブチルを10質量部とした以外は、実施例1と同様にして水性防湿絶縁用コート剤を調製し、得られた水性防湿絶縁用コート剤の25℃における粘度は6mPa・sであった。
(実施例3)
(B2)アクリル酸ブチルを使用せずに、(A)スチレンを60質量部、(B1)アクリル酸2−エチルヘキシル40質量部を使用して、実施例1と同様にして水性防湿絶縁用コート剤を調製し、得られた水性防湿絶縁用コート剤の25℃における粘度は6mPa・sであった。
(実施例4)
アクリル樹脂の構成成分を(A)スチレンを30質量部、(B1’)アクリル酸2−エチルヘキシル40質量部、(B2’)メタクリル酸メチル30質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして水性防湿絶縁用コート剤を調製し、得られた水性防湿絶縁用コート剤の25℃における粘度は6mPa・sであった。
(実施例5)
実施例1で得たアクリル系樹脂エマルジョン(固形分50質量%)100質量部、次の製法により得たワックスエマルジョンをワックス成分が30質量部になるように添加し、撹拌混合する。そして、アクリル系樹脂及びワックスの合計質量が30質量%となるように水で希釈し、さらに消泡剤として疎水性粒子、破泡性ポリシロキサン及びポリグリコールを添加して、全体的に均一に分散するように撹拌して200メッシュの金網で濾過して白色の水性防湿絶縁用コート剤を調製した。この水性防湿絶縁用コート剤の25℃における粘度は、6mPa・sであった。
[ワックスエマルジョンの調製]
ワックス成分としてパラフィン系ワックス(重量平均分子量1,000、融点107℃)20質量部、酸化ポリエチレンワックス(重量平均分子量3,000、融点135℃)20質量部、界面活性剤であるアルキルベンゼンスルホン酸塩5質量部をイオン交換水80質量部に添加し、撹拌して乳化することによりワックスエマルジョンを得た。
(実施例6)
実施例3で得たアクリル系樹脂を用いた以外は全て実施例5と同様にして水性防湿絶縁用コート剤を調製した。得られた水性防湿絶縁用コート剤の25℃における粘度は6mPa・sであった。
(比較例1)
撹拌機、冷却管、温度計を備えた内容量1リットルの四つ口フラスコに、イオン交換水150gを仕込み、これにアルキルアリルスルホサクシネートアルカリ塩水溶液(三洋化成工業(株)製、商品名エレミノールJS2、固形分38質量%)3.9gを添加した。窒素雰囲気下に水浴中で加熱、撹拌し、槽温が80℃に達したところで、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液1ミリリットルを添加し、引き続きメタクリル酸ブチル135g、アクリル酸2−エチルヘキシル60g、アクリル酸5gの混合液をアルキルアリルスルホサクシネートアルカリ塩の1質量%水溶液100gで乳化した乳化液を2時間かけて滴下した。2時間後に、槽内温度を85℃に上げ、1時間保持したのちに冷却、アンモニア水でpHを7に、固形分濃度を30質量%に調整し、200メッシュの金網で濾過して青白色のアクリル系水性防湿絶縁用コート剤(比較例1)を得た。得られた水性防湿絶縁用コート剤の25℃における粘度は100mPa・sであった。
(比較例2)
(A)スチレンの代わりに(B2)メタクリル酸メチルを使用した以外は実施例3と同様にして、水性防湿絶縁用コート剤を調製した。得られた水性防湿絶縁用コート剤の25℃における粘度は6mPa・sであった。
(比較例3)
実施例1において、(A)スチレン30質量部、(B2’)アクリル酸ブチル50質量部、(B1’)アクリル酸2−エチルヘキシル20質量部とした以外は全て実施例1と同様にして水性防湿絶縁用コート剤を調製した。得られた水性防湿絶縁用コート剤の25℃における粘度は6mPa・sであった。
(比較例4)
実施例3において、(A)スチレン35質量部、(B1)アクリル酸2−エチルヘキシル65質量部にした以外は全て実施例3と同様にして水性防湿絶縁用コート剤を調製した。得られた水性防湿絶縁用コート剤の25℃における粘度は6mPa・sであった。
(水性防湿絶縁用コート剤による電圧印加防湿絶縁試験)
得られた水性防湿絶縁用コート剤(実施例1〜6、比較例1〜4)について、JIS Z 3197に準拠した方法で、電圧印加防湿絶縁試験を行った。具体的には以下の通りである。
得られた水性防湿絶縁用コート剤のそれぞれを、ガラスエポキシくし型基板に、乾燥後の厚みが10μmになるようにスプレー塗布し、熱風ドライヤーに入れて、加熱乾燥させた。このようにして、水性防湿絶縁用コート剤(実施例1〜6、比較例1〜4)により防湿絶縁処理を施した10枚のガラスエポキシくし型基板を作製した。
得られた10枚のガラスエポキシくし型基板のそれぞれについて、以下の方法で防湿絶縁性を評価した。すなわち、ガラスエポキシくし型基板を85℃、85%RHの恒温恒湿槽中に放置した。そして、そのままの状態で5時間後、50時間後、100時間後及び500時間後のの恒温恒湿槽内での絶縁電気抵抗値を、測定時には印加電圧DC100Vで測定した。結果を表1に示す。
(水性防湿絶縁用コート剤による引っ張り試験)
得られた水性防湿絶縁用コート剤(実施例1〜6、比較例1〜4)について、JIS K 7113に準拠した方法で、引っ張り試験を行った。具体的には以下の通りである。
得られた水性防湿絶縁用コート剤のそれぞれを、その一方の表面がシリコーン離型処理された厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シート上に、ベーカー式アプリケーターを使用して乾燥後の塗膜の厚みが100μmとなるように塗布し、熱風ドライヤーに入れて、加熱乾燥させシートを得た。これらのシートを2号試験片に切り出し引っ張り試験用試験片とした。得られた10本の2号試験片のそれぞれについて、以下の環境下で、引張速度5mm/min、ロードセル5kgの条件で測定した。
最大破壊伸びを以下の基準により評価した。結果を表1(「伸び」の欄)に示す。
(−40℃測定)
○…1.0mm以上
△…0.5以上1.0mm未満
×…0.5mm未満
(20℃測定)
◎…80mm以上
○…70mm以上80mm未満
×…70mm未満
Figure 0004923291
表1より、実施例1〜6の水性防湿絶縁用コート剤を使用したガラスエポキシくし型基板は、測定開始後5時間後の絶縁電気抵抗性が高く、更に500時間後まで、高い絶縁電気抵抗性を維持していることが分かる。
電気・電子部品の防湿絶縁処理に利用することができる。そして、本発明の水性防湿絶縁用コート剤を電気・電子部品等に塗布し、防湿絶縁被膜を形成させることにより、絶縁電気抵抗性が高く、高温多湿の環境下において使用しても高い信頼性を有し、かつ、伸びにも優れる電気・電子部品等を得ることができ、本発明の水性防湿絶縁用コート剤が水系であるため、有機溶剤の揮発による環境汚染がほとんどない。

Claims (8)

  1. アクリル系樹脂を含有する水性防湿絶縁用コート剤であって、
    前記アクリル系樹脂が、(A)スチレン由来の構成単位と、(B)(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位とからなる共重合体であり、
    前記(A)成分と(B)成分との配合割合が質量比で(A):(B)=1:1〜2:1である水性防湿絶縁用コート剤。
  2. 前記(B)成分が、(B1)炭素数8〜15のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである請求項1に記載の水性防湿絶縁用コート剤。
  3. 前記(B)成分が、前記(B1)成分と(B2)炭素数1〜6のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとからなり、前記(B1)成分と(B2)成分との配合割合が、質量比で(B1):(B2)=95:5〜5:95である請求項2に記載の水性防湿絶縁用コート剤。
  4. アクリル系樹脂を含有する水性防湿絶縁用コート剤であって、
    前記アクリル系樹脂が、(A)スチレン由来の構成単位、(B2’)炭素数1〜6のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル由来の構成単位及び(B1’)炭素数8〜15のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル由来の構成単位からなる共重合体であり、かつ、
    前記(A)成分と(B2’)成分との配合割合が質量比で(A):(B2’)=1:2〜1:1であり、前記(A)成分と(B2’)成分との合計量100質量部に対し、前記(B1’)成分の配合割合が50〜80質量部である水性防湿絶縁用コート剤。
  5. 前記水性防湿絶縁用コート剤中に、石油系ワックス及び/又はポリエチレン系ワックスを含有する請求項1〜4のいずれかに記載の水性防湿絶縁用コート剤。
  6. 前記石油系ワックスがパラフィンワックス及び/又はマイクロクリスタリンワックスを含有することを特徴とする請求項5に記載の水性防湿絶縁用コート剤。
  7. 前記アクリル系樹脂100質量部に対し、前記ワックス(石油系ワックス及び/又はポリエチレン系ワックス)を2〜30質量部含有する請求項5又は6に記載の水性防湿絶縁用コート剤。
  8. 電気・電子部品表面の防湿絶縁被膜形成のために用いられる請求項1〜7のいずれかに記載の水性防湿絶縁用コート剤。
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