JP4923272B2 - 単結晶基板表面に形成されるステップ構造のピン止め方法、及びピン止めされたステップ構造を有する単結晶基板 - Google Patents

単結晶基板表面に形成されるステップ構造のピン止め方法、及びピン止めされたステップ構造を有する単結晶基板 Download PDF

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Description

本発明は、単結晶基板の表面に形成されるステップ構造に対して、ピン止めによってバンチングを行う工程におけるものであり、特に、バンチングを行うに当って、ステップ部の形成が予測された方向に合わせて当該ステップ部をピン止めする方法と、特定の方向に制御された微小孔又は微小突起によりピン止めされた、ステップ構造を有する単結晶基板に関する。
従来から、平坦面を有する結晶面から数度傾斜(オフ)させた面を主面として有する単結晶基板に対して、加熱等の手段によって形成されるステップ構造に関連して、複数のステップ部を略同一の箇所に形成させた形態を有するマルチステップ構造が作られている。こうしたマルチステップ構造は、例えば特許文献1のように、SAWフィルタ、AFM用高さ校正標準板、ナノインプリント加工用の型や、その他の量子構造を組み込んだ各種デバイスへの応用が進められている。
ここで、単結晶基板の表面にマルチステップ構造を表出させるには、例えばサファイヤ単結晶のc面から数度オフさせた面を主面として有する場合には、以下の工程を用いることが出来る(特許文献1)。
(1) サファイヤ単結晶基板を用意して、c面から所定の角度だけオフさせた面を主面として研磨する。
(2) 必要に応じて、サファイヤ単結晶基板の主面に、ステップ部の形成される方向と平行に、直線状に微小孔または微小突起を配列するように形成する。
(3) 前記主面のオフ角度に応じて熱処理時間及び加熱温度を制御して、当該ステップ部をバンチングさせてマルチステップ構造を形成させる。
そして、マルチステップ構造を形成させるための、単結晶基板の主面に対するオフ角度は、例えば上記特許文献1においては、0.1°以内が好ましいと述べられている。しかしながら、単結晶基板の研磨後における主面のオフ角度の精度は、±0.01〜0.03°が限界である。
ここで、単結晶基板の主面にマルチステップ構造を形成させる場合には、微小孔又は微小突起を形成してからバンチングを行うのが好ましい。上述のように、単結晶基板の主面における、所望のオフ角度に対する誤差の割合が大きいことから、マルチステップ構造のテラス幅やマルチステップ構造の高さのばらつきを防ぐためである。ステップ部のバンチングは、シングルステップ構造のテラス上の原子が熱によってステップエッジ方向に拡散すると共に、不安定なステップエッジ部から原子が昇華することによって生じる現象であるが、当該ステップ部をバンチングさせる際には、テラス上に形成された微小孔又は微小突起は、熱処理中に原子の移動をピン止めする働きを有するため、当該主面の所望の位置に、マルチステップ構造を形成することが出来る。
特開2004−235794号公報
しかしながら、特に所望のオフ方向と垂直な方向について、当該主面の面方位に誤差が生じると、当該ステップ構造のステップ部が所定の方向から回転した方向に向かって形成されやすくなるが、上述のように、単結晶基板の主面における、所望のオフ角度に対する誤差の割合が大きいことから、ステップ部の形成される角度には10〜20°もの誤差が高頻度に生じることになる。
その一方で、ステップ部が形成される方向と当該微小孔又は当該微小突起を形成する方向との間にずれが生じた場合には、単結晶基板の表面には図9のように斜め方向にステップ部が形成されてしまい、一直線に伸びたテラス部分を有したマルチステップ構造を形成することができないという問題点があった。
さらに、所望の形状のステップ構造を得られなかった単結晶基板に対しては、再研磨等の手段により再生させることも考えられるが、特に当該微小孔又は当該微小突起を集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)によって形成した場合には、単結晶基板に照射されたイオンが当該基板内に深く入り込むことが多く、再研磨後においてステップ部を再度形成する際に悪影響を及ぼすため、こうした再生手段を取ることは困難であるという問題点があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、単結晶基板の主面上において、所望のテラス幅及び所望のステップ高さを有したマルチステップ構造を、より再現性良く形成させることである。
本発明者は、単結晶基板の主面上にマルチステップ構造を形成する際に、単結晶基板のステップ部の形成が予測された方向に沿って、微小孔又は微小突起のアレイ体を形成させることが、上記課題の解決のために有効であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、請求項1記載の発明は、単結晶基板の表面に形成されるステップ構造のステップ部の位置を特定の場所にピン止めするための方法であって、当該単結晶基板の表面について、ステップ構造を生じうる面からの、互いに直交するx方向及びy方向オフ角度の大きさとしてθx及びθyを測定し、当該θx及びθyの値から当該ステップ構造のステップ部の形成される方向を当該y方向から当該x方向に向かって
だけ傾いた方向として予測し、この予測した方向に沿って、微小孔又は微小突起のアレイ体の形成を行うことを特徴とする、ステップ構造のピン止め方法である。
ここで、単結晶基板の材料としては、サファイヤ,Si,ZnO,TiO,SiC,GaAs,KDP,ダイヤモンド,SrRuO,SiO,TiN,GaN,Si等が挙げられる。
一方で、ステップ構造を生じうる面として、例えばサファイヤ単結晶のc面を用いた場合には、互いに直交するx方向及びy方向について、当該x方向をサファイヤ単結晶のa軸、当該y方向をサファイヤ単結晶のm軸として指定することが可能である。
また、請求項記載の発明は、請求項記載の構成に加えて、当該微小孔又は微小突起のアレイ体の形成手段として、集束イオンビーム(FIB),レーザ加工,圧子の押圧,電子ビーム加工,プラズマ加工,フォトリソグラフィ(反応性イオンエッチング)の手段を用いることを特徴とする、ステップ構造のピン止め方法である。
ここで、上記形成手段を用いて単結晶基板の表面に微小孔又は微小突起を形成させれば、極めて正確な位置に当該微小孔又は微小突起のアレイ体を形成させることが出来ることから、上記予測結果を正確に当該単結晶基板の表面に反映させることが出来る。
また、請求項記載の発明は、請求項記載の構成に加えて、当該微小孔又は微小突起のアレイ体の形成手段として、FIBの手段を用いることを特徴とする、ステップ構造のピン止め方法である。
ここで、特にFIBは、形成される微小孔又は微小突起の径を数百nm以下にまで小さくすることが出来る上、加工領域の周辺に悪影響を及ぼすことが少ないため、上記ピン止めの工程において、より好ましく用いることが出来る。
また、請求項記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の構成に加えて、予測した方向に沿って微小孔又は微小突起のアレイ体の形成を行う際に、
(a)当該単結晶基板に形成され加工装置に突き当てられる当該単結晶基板の基準面を加工装置の所定の位置に突き当てた上で、上記形成手段を当該単結晶基板に対して相対的に走査させる方向を、当該ステップ部の形成が予測された方向と当該基準面との差についての誤差分だけ当該形成手段を回転させる方法
(b)当該単結晶基板の基準面を加工装置の所定の位置に突き当てた上で、回転ステージにより、当該ステップ部の形成が予測された方向と当該基準面との差についての誤差分だけ当該単結晶基板を回転させる方法
のいずれかにより、微小孔又は微小突起を形成する位置の補正を行うことを特徴とする、ステップ構造のピン止め方法である。
ここで、上記ステップ部の形成される方向についての予測が正確になされるため、ステップ部の形成が予測される方向と実際にステップ部の形成される方向(例えば、ピン止めを行わない部分においてステップ部の形成される方向)とが良く整合する。そのため、ピン止めを形成する当該特定の方向と、実際にステップ部の形成される方向の差を、容易に3°以内に合わせることが出来る。
また、マルチステップ構造を形成させる場合には、当該特定の方向に直線状に形成される微小孔又は微小突起の、当該特定の方向と垂直な方向に対する間隔は、予想されるテラス幅の整数倍であることが好ましい。ここで「予想されるテラス幅」の大きさd[nm]は、当該単結晶基板に形成されるシングルステップ構造のステップ部の高さをh[nm]とすると、以下のように表される。
本発明に係るステップ構造のピン止め方法によれば、単結晶基板表面において、ステップ部の形成が予測された方向に沿って、微小孔又は微小突起のアレイ体を形成させることにより、特に所定のオフ方向とは垂直な方向について、単結晶基板の主面の面方位に誤差が生じた場合であっても、所望のパターンでピン止めされたステップ構造を確実に提供することが出来る。そして、所望のテラス幅及び所望のステップ高さを有したマルチステップ構造を再現性良く提供できるため、より安定した品質及び性能を有した各種デバイスを提供することが可能になるという効果を奏する。
また、本発明に係るピン止めを有する単結晶基板によれば、ステップ構造のステップ部が形成される方向と直線的に形成されるピン止め方向とがなす角を3°以内に抑えることにより、当該マルチステップ構造を一直線状に形成することが出来るとともに、斜め方向に形成されるステップ部に遮られることなく水平なテラス面を得ることが出来るという効果を奏する。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
<ステップ構造のバンチングを行う方法>
本実施形態は、単結晶基板1のステップ部2の形成が予測された方向に沿って、アレイ状に微小孔3a又は微小突起3bを直線状に形成し、当該ステップ部2のバンチングを行う方法である。
本実施形態に用いる単結晶基板1の材料としては、サファイヤ,Si,ZnO,TiO,SiC,GaAs,KDP,ダイヤモンド,SrRuO,SiO,TiN,GaN,Siが挙げられる。そして、当該単結晶基板1の主面としては、平坦面を形成することの出来る結晶面Sから5°以内,好ましくは1°以内のオフ角度θを有する面であることが好ましい。ここで、オフ角度θが大きすぎると、ステップ部2が過剰に密集して存在するようになり、良好なマルチステップ構造が形成されにくくなるため、好ましくない。
ここで、単結晶基板1として単結晶サファイヤ基板を用いた場合には、例えば主面として、超平坦面を生じうるc面から5°以内,好ましくは1°以内のオフ角度θを持った面を有するものを好ましく用いることが出来る。また、単結晶基板1のオフ方向が容易に判別出来るようにするため、当該単結晶基板1の主面上における所定の結晶軸に沿って、直線状の辺を形成することが好ましい。
この単結晶基板1は、予めその全面について研磨を行っておく。当該研磨工程では、平坦度Ra=1nm以下にすることのできる研磨方法であれば、流動砥粒や固定砥粒等を用いた公知の研磨方法を適用することが可能である。
全面研磨を行った単結晶基板1について、結晶面を測定する工程を行う。測定方法としては、X線回折法をはじめとした公知の手段が利用可能であるが、±0.005°以下の測定精度を有しているものが好ましい。ここで、単結晶基板1に設けた辺を結晶面測定装置の所定の位置に突き当てることにより、当該単結晶基板1の測定位置の振れを少なくすることが出来るため好ましい。そして、当該単結晶基板1の表面について、互いに直交する方向(例えばx方向及びy方向)について、上記平坦面を生じうる面Sからのオフ角度θの大きさ(θ及びθ)の測定を行う。
上記測定工程により求められた、各方向に対するオフ角度θの大きさ(θ及びθ)の値から、ステップ部2が形成される方向を予測する。具体的な予測方向の求め方は、例えば直交するx方向及びy方向について求められたオフ角度θの大きさθ,θから、当該y方向を0°として、当該x方向に向かって
傾いた方向として予測される。
次に、ステップ部2の形成される方向を予測した単結晶基板1に対して(図2(a),図3(a))、その主面上に微小孔3a又は微小突起3bのアレイ体を形成する工程を行う。微小孔3a又は微小突起3bの形成手段としては、FIB,レーザ加工,圧子の押圧,電子ビーム加工,プラズマ加工,フォトリソグラフィ(反応性イオンエッチング)の手段を用いることが可能である。ここで特に、当該形成手段としてFIBを用いると、当該微小孔3a又は当該微小突起3bの径を数百nm以下にまで小さくすることが出来る上、加工領域の周辺に悪影響を及ぼすことが少ないためより好ましい。
例えば、FIBによって微小孔3a又は微小突起3bを形成する場合には、単結晶基板1を載置台5aに載せ、図4に示すように、イオン源4aからイオンビーム4を取り出して、コンデンサーレンズ4bを用いて当該イオンビーム4をある程度集束させる。そして、このイオンビーム4のビーム径及び電流をアパーチャ4cによって調整し、対物レンズ4dによって集束させた上で、単結晶基板1の表面に当該イオンビーム4の焦点4eを合わせて当該イオンビームを照射する。なお、当該イオンビーム4による試料の励起によって放出される二次電子を用いて、必要に応じて試料の表面状態を観察することが出来る。
ここで、FIBによって単結晶基板1に微小孔3aを形成させる場合には、所望の位置にイオンビーム4の照射を行い、当該焦点4eの近傍に微小孔3aを形成する。一方で、FIBによって単結晶基板1に微小突起3bを形成させる場合には、ガス銃によって例えば炭化水素ガスを単結晶基板1に吹き付けながら当該イオンビーム4を照射させ、その焦点4eにおける当該炭化水素ガスの分解反応によって、試料表面上に局所的にカーボンからなる微小突起を形成する。
一方で、圧子6の押圧によって微小孔3aを形成する場合には、単結晶基板1を載置台5bに載せ、圧子6を単結晶基板1の主面に、最終的に形成される微小穴の大きさに応じた荷重をかけて所望の間隔で押し付けて圧痕を形成し、微小孔3aを導入する。ここで、1本の圧子6にかける荷重は10mgf〜1gfであることが好ましい。荷重が10mgfよりも小さいと、ステップ部2のピン止めを行えるほどの微小孔3aを単結晶基板1の表面に与えることが困難となる。また、荷重が1gfより大きいと、単結晶基板1に形成される圧痕が大きくなりすぎて直線的なマルチステップ構造の形成が困難になるため、いずれも好ましくない。
ここで、圧子6の材料としては、単結晶基板1よりも硬い材料である必要があり、具体的にはダイヤモンド(C),炭化珪素(SiC),窒化硼素(BN),炭化硼素(BC)等を用いることが好ましい。また、当該圧子6の形状は、より大きな圧力を単結晶基板1の主面に局所的に与えられることから、円錐もしくは角錐形状であることが好ましい。
また、当該圧子6は、図5に示すように複数本組み合わせてアレイ体6aを形成し、当該アレイ体6aを単結晶基板1の主面に押し付けるようにすれば、当該微小孔のアレイ体をより容易に形成することが出来るため、なお好ましい。
一方で、レーザ加工によって微小孔3aを形成する場合には、例えば図6に示すように、単結晶基板1を載置台5cに載せ、レーザ7を集光レンズ7bで集光し、XYZステージ等の手段により当該単結晶基板1をレーザ発光源7aに対して相対的に移動させながら、レーザ7を単結晶基板1に照射させる。それにより、当該単結晶基板1におけるレーザ3の焦点7cの近傍を改質させ、微小孔3aを形成することが出来る。
そして、当該加工に用いるレーザ7としては、例えばYAGレーザの2倍波や3倍波のような、単結晶基板1に対して吸収を有する波長のものに加えて、例えばYAGレーザ及びその高調波やTi−サファイヤレーザ等のような、照射した単結晶基板1に多光子吸収を生じさせる性質を持ったものが挙げられる。
上記手段を用いた微小孔3a又は微小突起3bによるピン止めの工程において、単結晶基板1に基準面が形成されている場合には、単結晶基板1を上記形成手段に載せる際に、当該基準面を上記形成手段の載置台5a〜5cの所定位置に突き当てることで、当該基準面と本来ステップ部2を形成すべき方向とを、所定の位置関係にすることが出来る。
また、上記ピン止めの工程においては、
(a)当該単結晶基板1の基準面を加工装置の所定の位置に突き当てた上で、上記形成手段(例えば、イオンビーム4,圧子6,レーザ7など)を当該単結晶基板1に対して相対的に走査させる方向を、当該ステップ部2の形成が予測された方向と当該基準面との差についての誤差分だけ回転させること
(b)当該単結晶基板1の基準面を加工装置の所定の位置に突き当てた上で、回転ステージにより、当該ステップ部2の形成が予測された方向と当該基準面との差についての誤差分だけ当該単結晶基板を回転させること
により、ピン止め位置の補正を行うことで、前記予測されたステップ部2の形成方向に沿って、当該微小孔3a又は微小突起3bの形成工程を行えば、ステップ部2が実際に形成される方向と、当該微小孔3a又は微小突起3bの形成方向とを、より正確に一致させることが出来るため好ましい。
上記手段により、所望のマルチステップ構造の幅と実際のオフ角度θから求められた間隔L毎に、直線状に連なった微小孔3a又は微小突起3bを、ステップ部2の形成される方向に沿って、単結晶基板1の主面上に形成する(図2(b),図3(b))。そして、当該微小孔3a又は微小突起3bを形成した単結晶基板1は、例えば図7に示すような熱処理炉4を用いて熱処理を行い、当該サファイヤ基板の主面のオフ角度θに応じたシングルステップ構造を形成させる(図2(c),図3(c))。このときの大気中における熱処理の温度は、900℃〜1400℃であることが好ましい。
大気中で熱処理した後の当該単結晶基板1は、さらに熱処理を続けることで、単結晶基板1の主面上に生じていたシングルステップ構造が後退していく。その際に、微小孔3a又は微小突起3bの存在するところで当該後退が止まり、後退したシングルステップ構造が当該微小孔3a又は微小突起3bの近傍で集積してマルチステップ構造が形成されることにより、当該マルチステップ構造同士に挟まれた部分が、所望の幅を有した直線状のテラス部分として構成される(図2(d),図3(d))。ここで、マルチステップ構造の形成に要する熱処理時間は、約3〜10時間である。
<ステップ構造のバンチング方向の制御された単結晶基板>
上記方法により製造された単結晶基板1は、当該微小孔又は微小突起によってピン止めされる特定の方向と、ピン止めを行わない部分におけるステップ部2の形成される方向とのなす角度が、3°以内に抑えられた単結晶基板1となる。
上記方法によって、ステップ部2の形成される方向についての予測が正確になされるため、当該予測された方向と実際にステップ部2の形成される方向(例えば、ピン止めを行わない部分におけるステップ部2の形成される方向)とが良く整合する。そのため、ピン止めを形成する当該特定の方向と、実際にステップ部2の形成される方向の差を、容易に3°以内に合わせることが出来る。
ここで、ピン止めを形成する方向と、実際にステップ部2の形成される方向の差を3°以内に抑えられれば、当該マルチステップ構造が一直線状に形成され、かつテラス面が水平に形成されるため好ましい。その一方で、各方向の差を3°以内に抑えられない場合には、当該マルチステップ構造が斜め方向に形成されるシングルステップ構造に遮られてしまうため好ましくない。
本発明を、以下の実施例を用いて詳細に説明する。
[実施例1]
本実施例は、単結晶材料の主面のオフ角度からステップ部の形成される方向を予測し、当該予測した方向に沿ってピン止めの工程を行った、マルチステップ構造を有する単結晶基板に関するものである。
c面を主面として、m軸方向に1.0°のオフ角度を有する単結晶サファイヤ基板(面精度:0.01°以下)を用意した。当該単結晶サファイヤ基板に対して、互いに直交するa軸方向及びm軸方向へのオフ角度をX線回折法によって±0.005°の精度で測定を行い、前記数1に示した数式に則ってステップ部が形成される方向を予測した。そして、FIBを用いて23nmのビーム径を有するイオンビームを単結晶サファイヤ基板に照射させて、当該予測された方向に沿って直径100〜200nmの微小孔のアレイ体を形成させてピン止めを行い、大気雰囲気中で熱処理を1400℃で3時間行ってマルチステップ構造を形成させた。
その結果、m軸方向とa軸方向についてのオフ角度は、各々0.990°と0.100°となったことから、ステップ部の形成される方向は、m軸方向からa軸方向に向かって約6°ずれた方向であると予測された。そして、当該予測に従ってピン止めを行うことで、ピン止めを行った方向とステップ部の形成された方向との間のずれは1°未満となった。そして当該単結晶サファイヤ基板の主面には、図8に示すように、水平なテラス面を有するマルチステップ構造が、ほぼ一直線状に形成された。
[比較例1]
一方で、実施例1の比較例として、c面を主面として、m軸方向に1.0°のオフ角度を有する単結晶サファイヤ基板(面精度:0.01°以下)を用意した。当該単結晶サファイヤ基板に対して、上記オフ角度の予測を行わずに、FIBを用いて、m軸方向と直角な方向に実施例1と同様にして微小孔のアレイ体を形成させてピン止めを行い、実施例1と同様の方法によって熱処理を行ってマルチステップ構造を形成させた。
その結果、ピン止めを行った方向とステップ部の形成される方向との間には、6°ものずれが生じた。そして当該単結晶サファイヤ基板の主面のマルチステップ構造は一直線状にならず、図9に示すように、斜め方向に形成されたシングルステップ構造によって遮られてしまった。
本発明に係る、マルチステップ構造の一例を説明する図である。 本実施形態に係る、単結晶基板に微小孔を形成した場合におけるマルチステップ構造の形成工程の概略を説明する図である。 本実施形態に係る、単結晶基板に微小突起を形成した場合におけるマルチステップ構造の形成工程の概略を説明する図である。 本実施形態に係る、単結晶基板への集束イオンビーム(FIB)の照射工程を説明する図である。 本実施形態に係る、単結晶基板への圧子の押圧工程を説明する図である。 本実施形態に係る、単結晶基板へのレーザ照射工程を説明する図である。 本実施形態に係る、単結晶基板への熱処理工程を説明する図である。 本発明に係るマルチステップ構造を表す、走査型電子顕微鏡(AFM)像である。 比較例に係る、ステップ部の形成方向とステップ部のピン止め方向との間に誤差が生じた状態のマルチステップ構造を表す、走査型電子顕微鏡(AFM)像である。
符号の説明
1 単結晶基板
2 ステップ部
2a エッチピット
3a 微小孔
3b 微小突起
4 イオンビーム
4a イオン源
4b コンデンサーレンズ
4c アパーチャ
4d 対物レンズ
4e 焦点
5a,5b,5c 載置台
6 圧子
6a 圧子のアレイ体
7 レーザ
7a レーザ発光源
7b レンズ
7c 焦点
8 熱処理炉
9 ヒータ

Claims (4)

  1. 単結晶基板の表面に形成されるステップ構造のステップ部の位置を特定の場所にピン止めするための方法であって、
    当該単結晶基板の表面について、ステップ構造を生じうる面からの、互いに直交するx方向及びy方向のオフ角度の大きさとしてθx及びθyを測定し、
    当該θx及びθyの値から当該ステップ構造のステップ部の形成される方向を当該y方向から当該x方向に向かって
    だけ傾いた方向として予測し、
    この予測した方向に沿って、微小孔又は微小突起のアレイ体の形成を行うことを特徴とする、ステップ構造のピン止め方法。
  2. 当該微小孔又は微小突起のアレイ体の形成手段として、集束イオンビーム(FIB),レーザ加工,圧子の押圧,電子ビーム加工,プラズマ加工,フォトリソグラフィ(反応性イオンエッチング)の手段を用いることを特徴とする、請求項1記載のステップ構造のピン止め方法。
  3. 当該微小孔又は微小突起のアレイ体の形成手段として、FIBの手段を用いることを特徴とする、請求項1記載のステップ構造のピン止め方法。
  4. 予測した方向に沿って微小孔又は微小突起のアレイ体の形成を行う際に、
    (a)当該単結晶基板に形成され加工装置に突き当てられる当該単結晶基板の基準面を加工装置の所定の位置に突き当てた上で、上記形成手段を当該単結晶基板に対して相対的に走査させる方向を、当該ステップ部の形成が予測された方向と当該基準面との差についての誤差分だけ当該形成手段を回転させる方法
    (b)当該単結晶基板の基準面を加工装置の所定の位置に突き当てた上で、回転ステージにより、当該ステップ部の形成が予測された方向と当該基準面との差についての誤差分だけ当該単結晶基板を回転させる方法
    のいずれかにより、微小孔又は微小突起を形成する位置の補正を行うことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のステップ構造のピン止め方法。
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